JP7148863B2 - 多巻線交流電動機駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、多巻線交流電動機の各固定子巻線にこれらと同数の単相インバータからそれぞれ給電するようにした多巻線交流電動機駆動装置に関する。
互いに絶縁されたn相(n:4以上の整数)の固定子巻線をm群(m:3以上の整数)備えた多巻線交流電動機駆動装置の従来技術として、例えば特許文献1,2に記載されたものが知られている。図13は、これらの特許文献の図5に相当する多巻線交流電動機駆動装置の主回路構成図である。
この駆動装置では、直流電源Bに接続された(m×n)台の単相2レベルインバータによって(m×n)個の絶縁された固定子巻線(以下、単に巻線ともいう)を有する1台の多巻線交流電動機Mを駆動しており、各インバータは、搬送波(キャリア)と信号波とを比較して半導体スイッチング素子をオン/オフするPWM制御を行っている。なお、Dは交流電動機Mの回転子位置θを検出する位置検出器である。
ここで、インバータ群の第1群INV1は、直流側が並列接続されて交流側が交流電動機Mの第1群の巻線1~1にそれぞれ接続されたn台(n相)のインバータINV1~INV1からなり、同様に、第2群INV2は、交流側が第2群の巻線2~2にそれぞれ接続されたインバータINV2~INV2からなり、第3群INV3は、交流側が第3群の巻線3~3にそれぞれ接続されたインバータINV3~INV3からなり、第m群INVmは、交流側が第m群の巻線m~mにそれぞれ接続されたインバータINVm~INmからなる。図13において、Vo1~Vomは各インバータの単相出力電圧、io11~iomnは各インバータの出力電流である。
特許文献1等には、例えば第1群INV1において、交流電動機Mのn相の巻線1~1にそれぞれ接続されたn台のインバータINV1~INV1をPWM制御するための搬送波位相を各相間(各インバータ間)でずらすことにより、直流電源Bの電流や電圧に含まれる所定周波数(搬送波周波数またはその整数倍周波数)の振動を抑制可能であることが記載されている。しかしながら、各群INV1,INV2,……,INVmの間での搬送波相互の位相関係等については特に記載されておらず、その示唆もない。
図14は、図13に示した多巻線交流電動機駆動装置の制御回路のブロック図である。
図14において、200,200,……,200は、各群INV1,INV2,……,INVmを構成するn台のインバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号(PWM信号)を生成する同一構成の制御部である。
例えば、第1群用の制御部200では、多巻線交流電動機Mにより発生したいトルクを(1/m)倍したトルク指令が電流制御部5に入力される。電流制御部5は、前記トルク指令と電流検出値(io1~io1)及び位置検出値θから、第1群INV1のインバータINV1~INV1に対する電圧指令1~1を生成する。
基準化部6では、図13における直流入力電圧Vd1を用いて電圧指令1~1を基準化することにより信号波1~1を作成し、PWM制御部15~15内の比較器10にそれぞれ入力する。
また、第1群用の位相基準信号発生器8により搬送波の位相基準信号を発生し、同じく第1群用の搬送波位相設定器7から各インバータ用の搬送波位相1~1を発生させる。
PWM制御部15~15内の搬送波発生器9は、搬送波位相1~1と位相基準信号とに基づいてインバータINV1~INV1用に設定された位相の搬送波1~1を作成し、比較器10にそれぞれ入力する。これらの比較器10では信号波1~1と搬送波1~1とをそれぞれ比較し、各インバータINV1~INV1のスイッチング素子に与えるオン/オフ信号を生成する。
この従来技術では、搬送波位相設定器7及び位相基準信号発生器8が群ごとに設けられているが、各群の間では搬送波位相等の信号をやりとりしていないため、各群の搬送波位相は、互いに影響することなく成り行きによって決まる値になっている。
なお、特許文献1には、1つの群において各相の搬送波位相をずらすことにより直流電流や電圧の振動を抑制できるという知見と共に、搬送波位相をずらしたインバータにより給電される1つの巻線とその隣接巻線との間の干渉によって巻線電流の高調波成分が増加し、結果的に交流電動機の銅損が増加するという問題点も記載されている。
特開2009-268277号公報(請求項3、[0038]、図5等) 特開2012-257456号公報(請求項1、[0040]、図5等)
図13に示した構成の多巻線交流電動機駆動装置において、インバータの各群を5相(n=5)とし、5台の単相2レベルインバータにより多巻線交流電動機Mの各群の5個の巻線にそれぞれ給電する場合について考える。
例えば、図13の第1群INV1が5台のインバータINV1~INV1からなり、これらの出力電力の合計波形を周波数解析した結果を、図15及び図16に示す。これらの図における縦軸、横軸は同スケールである。
図15は、5台のインバータINV1~INV1をPWM制御する際の搬送波の位相差を図17のように180deg/5ずつとした場合の解析結果、図16は、搬送波位相を図18のように5台とも同位相とした場合の解析結果であり、位相以外の運転条件は全く同一である。
図15,図16によれば、最も問題になる第2調波(搬送波周波数をfとした場合に周波数2fを有する高調波)付近の高調波成分として、図15では(1),(2)の成分が発生し、図16では(3)の成分が発生している。図15と図16とを比較すると、各インバータの搬送波に180deg/5ずつ位相差を設けてPWM制御した図15の(1),(2)の方が、搬送波を全て同位相にした図16の(3)よりも小さくなっているが、それでも、最も問題となる第2調波付近の高調波成分を完全になくすことはできていない。
このため、図18のように搬送波が全て同位相である場合は勿論のこと、図17のように各搬送波が位相差を有する場合には図18よりは改善されるものの、依然として、合計出力電力には第2調波付近の高調波成分が含まれることになり、これと同一周波数の直流電流等の振動が発生すると共に交流電動機にも同一周波数の機械的振動や騒音が発生するため、各種の振動対策や防音対策が必要であった。
本発明は、従来技術のように1つの群を構成する複数台のインバータ間における搬送波位相の調整だけでは、合計出力電力に含まれる高調波成分のうち最も問題となる成分を抑制しきれず、電流振動や機械振動、騒音が発生する点に鑑みてなされたものである。
すなわち、本発明の目的は、複数の群の間でPWM制御用の搬送波位相を操作することにより、振動や騒音の抑制効果を一層向上させた多巻線交流電動機駆動装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、互いに絶縁されたn相(n:4以上の整数)の固定子巻線をm群(m:3以上の整数)備えた多巻線交流電動機の駆動装置であって、
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを1つの群としたm群のインバータ群の交流側を(m×n)個の前記固定子巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m群のインバータ群の中から3群を選択し、これらの3群内の各単相インバータをそれぞれPWM制御するための搬送波の位相差が、各群間で順次60deg/p(p:自然数)となるように、各単相インバータの搬送波位相を設定したことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、互いに絶縁されたn相(n:4以上の整数)の固定子巻線をm群(m:6以上の整数)備えた多巻線交流電動機の駆動装置であって、
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを1つの群としたm群のインバータ群の交流側を(m×n)個の前記固定子巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m群のインバータ群の中から6群を選択し、これらの6群を第1群~第3群からなる第1グループと第4群~第6群からなる第2グループとに分割し、
前記第1グループ及び前記第2グループ内の各単相インバータをそれぞれPWM制御するための搬送波の位相差が、前記第1グループの各群間で順次60deg/p(p:自然数)になり、かつ、前記第2グループの各群間で順次60deg/pになると共に、
前記第1群と前記第4群との間、前記第2群と前記第5群との間、前記第3群と前記第6群との間の位相差がそれぞれ30deg/pになるように、
各単相インバータの搬送波位相を設定したことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、互いに絶縁されたn相(n:4以上の整数)の固定子巻線をm群(m:5以上の整数)備えた多巻線交流電動機の駆動装置であって、
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを1つの群としたm群のインバータ群の交流側を(m×n)個の前記固定子巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m群のインバータ群の中から5群を選択し、これらの5群内の各単相インバータをそれぞれPWM制御するための搬送波の位相差が、各群間で順次36deg/p(p:自然数)となるように、各単相インバータの搬送波位相を設定したことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、互いに絶縁されたn相(n:4以上の整数)の固定子巻線をm群(m:10以上の整数)備えた多巻線交流電動機の駆動装置であって、
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを1つの群としたm群のインバータ群の交流側を(m×n)個の前記固定子巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m群のインバータ群の中から10群を選択し、これらの10群の単相インバータ群を第1群~第5群からなる第1グループと第6群~第10群からなる第2グループとに分割し、
前記第1グループ及び前記第2グループ内の各単相インバータをそれぞれPWM制御するための搬送波の位相差が、前記第1グループの各群間で順次36deg/p(p:自然数)になり、かつ、前記第2グループの各群間で順次36deg/pになると共に、
前記第1群と前記第6群との間、前記第2群と前記第7群との間、前記第3群と前記第8群との間、前記第4群と前記第9群との間、前記第5群と前記第10群との間の位相差がそれぞれ18deg/pになるように、
各単相インバータの搬送波位相を設定したことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1~4の何れか1項に記載した多巻線交流電動機駆動装置において、各群を構成するn台の単相インバータの搬送波位相をすべて等しくしたことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、出力軸が互いに連結された複数台の多巻線交流電動機のうちの少なくとも1台の多巻線交流電動機を、請求項1~5の何れか1項に記載の駆動装置によって駆動することを特徴とする。
本発明によれば、複数のインバータ群の間で各インバータの搬送波位相を適宜ずらすことにより、複数台のインバータの合成出力電力に含まれる第2調波成分、第4調波成分、第6調波成分等の高調波成分を抑制して電流振動や機械振動、騒音を低減し、防振ゴム等の振動対策や騒音対策を簡略化してこれらに要する費用を削減することができる。
本発明の第1実施形態に係る多巻線交流電動機駆動装置の制御回路を示すブロック図である。 各群のインバータの搬送波位相を示す図である。 各群のインバータの搬送波位相を示す図である。 図2に対応する合計出力電力の周波数解析結果を示す図である。 図3に対応する合計出力電力の周波数解析結果を示す図である。 各グループ及び各群のインバータの搬送波位相を示す図である。 各グループ及び各群のインバータの搬送波位相を示す図である。 各群のインバータの搬送波位相を示す図である。 各群のインバータの搬送波位相を示す図である。 各グループ及び各群のインバータの搬送波位相を示す図である。 各グループ及び各群のインバータの搬送波位相を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る多巻線交流電動機駆動装置の主回路構成図である。 多巻線交流電動機駆動装置の主回路構成図である。 図13の多巻線交流電動機駆動装置の制御回路を示すブロック図である。 各インバータの搬送波に所定の位相差を設けた場合の波形図である。 各インバータの搬送波が同一位相である場合の波形図である。 図15に対応する合計出力電力の周波数解析結果を示す図である。 図16に対応する合計出力電力の周波数解析結果を示す図である。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、図1は、本発明の第1実施形態に係る多巻線交流電動機駆動装置の制御回路を示すブロック図である。多巻線交流電動機駆動装置の主回路の構成は図13と同様であり、直流電源Bに接続された(m×n)台の単相2レベルインバータによって(m×n)個の互いに絶縁された固定子巻線を有する1台の多巻線交流電動機Mを駆動するように構成されている。
図1に示す制御回路は、図13におけるインバータ群、すなわち第1群INV1~第m群INVmを構成する(m×n)台のインバータのスイッチング素子をPWM制御によってオン/オフするためのものであり、何れも同一構成の制御部100~100を備えている。
図1の制御部100~100と図14の制御部200~200との相違点は、図14では群ごとに搬送波位相設定器7及び位相基準信号発生器8を備えていたのに対し、図1では、全群共通の単一の搬送波位相設定器17及び位相基準信号発生器18を有する点である。すなわち、図1では、全群共通の位相基準信号発生器18から出力される位相基準信号がm個の制御部100~100のPWM制御部15~15内の搬送波発生器9にそれぞれ入力され、これらの搬送波発生器9には、全群共通の搬送波位相設定器17により設定されたm組の位相1~1,2~2,m~mがそれぞれ入力されている。
図1における他の部分は、図14と同一である。
まず、本願発明の第1実施例を説明する。この実施例は、n台(n:4以上の整数)の単相インバータを1つの群としたm(m:3以上の整数)群のインバータ群の中から3群を選択して構成される駆動装置に関するものである。
例えば、インバータ群が6つあって第1群INV1~第6群INV6が何れも5台の単相2レベルインバータからなる駆動装置(m=6,n=5)により、5相の巻線からなる群を6つ備えた交流電動機Mを駆動する場合について説明する。
この場合、図1の制御回路は、それぞれ5台のインバータのスイッチング素子用の駆動信号を生成する第1群用~第6群用の制御部100~100によって構成される。
そして、6つのインバータ群のうち第1群INV1~第3群INV3を1つのグループとし、搬送波位相設定器17により、第1群INV1~第3群INV3をそれぞれ構成する各5台のインバータに対して搬送波位相1~1,2~2,3~3を図2または図3のように与える。
図2における第1群は、図17と同様に群内の各インバータの搬送波位相を180deg/5ずつずらした例であり、図2の第2群、第3群は、第1群に対して位相基準信号の位相を順次60degずつずらし、かつ、群内の各インバータの搬送波位相を180deg/5ずつずらした例である。また、図3における第1群は、図18と同様に群内の各インバータの搬送波位相を等しくした例であり、図3の第2群、第3群は、第1群に対して位相基準信号の位相を順次60degずつずらし、かつ、群内の各インバータの搬送波位相を等しくした例である。
なお、この実施例において、第4群INV4~第6群INV6の各インバータの搬送波位相については、どのように設定してもよい。
第1群INV1~第3群INV3のインバータの搬送波位相を図2のように設定すると、これら3つの群の出力電力の合計波形を周波数解析した結果は図4のようになり、また、第1群INV1~第3群INV3のインバータの搬送波位相を図3のように設定すると、これら3つの群の出力電力の合計波形を周波数解析した結果は図5のようになる。なお、図4,図5における縦軸の全量は、図15,図16における縦軸の全量の3倍である。
図4,図5を図15,図16とそれぞれ比較すると、図4,図5では、3つの群の合計出力電力に含まれる直流成分は図15,図16の3倍になると共に、図15の(1),(2)、図16の(3)に相当する第2調波付近の高調波成分や、図15の(4),(5)、図16の(6)に相当する第4調波付近の高調波成分が除去されているのが判る。
上記のように、この実施例は、m群のインバータ群の中から3つの群からなるグループを少なくとも1つ選定し、各群の単相2レベルインバータをPWM制御するための搬送波位相に関して、各群の間で位相差をそれぞれ60deg/p(p:自然数)に設定し、かつ、p=1としている。
単相2レベルインバータを用いて駆動装置を構成する場合、1つのインバータ群で発生する高調波成分の中で最も問題になるのは第2調波付近の成分であるから、通常はp=1として各群の間の搬送波の位相差を60degとすれば、第2調波成分や第4調波成分を除去して直流電流の振動や電動機の振動、騒音を抑制することが可能である。但し、電気的または機械的な共振点が、例えば搬送波の6倍周波数成分付近に存在する場合には、p=2として各群の間の搬送波の位相差を30degとすることにより、第6調波付近の成分を除去すれば良い。
また、変形例として、例えば「パワーエレクトロニクス回路」(平成12年11月30日,オーム社発行)のp.177~p.179に記載されているごとく、各群のインバータとして単相3レベルインバータを用い、これらのインバータをダイポーラ変調した場合、1つの群を構成する複数台のインバータの合計出力電力を周波数解析すると、第2調波付近の成分は発生せず、第4調波付近の成分(図15の(4),(5)や図16の(6))が顕著になってくる。
この場合には、p=2として各群の間で搬送波位相を30degずつずらせば、第4調波付近の成分やより高次の高調波成分を抑制することができる。
なお、図3に示したように、各群における全てのインバータに対する搬送波位相を等しくすれば、従来技術の問題点として説明したように、搬送波位相をずらした場合の交流電動機Mの隣接巻線間の干渉に起因する高調波電流や銅損の増加を防ぐことができる。
次に、本願発明の第2実施例を説明する。この実施例は、n台(n:4以上の整数)の単相インバータを1つの群としたm(m:6以上の整数)群の単相インバータ群を3群ずつ2つに分けて構成される駆動装置に関する。
例えば、前記同様に第1群~第6群のインバータ群が何れも5台の単相2レベルインバータからなる駆動装置(m=6,n=5)により交流電動機Mを駆動する場合において、インバータ群を第1グループ(第1群~第3群)と第2グルーブ(第4群~第6群)とに分割し、各グループのインバータの搬送波位相を図6または図7のように設定する。
図6は、各群内の5台のインバータに対する搬送波の位相差をそれぞれ180deg/5ずつに設定した例であり、図7は、各群内の5台のインバータの搬送波位相を全て同位相とした例である。何れの場合にも、1つのグループ内の群間における搬送波の位相差は60degであり、第1グループ、第2グルーブにまたがった第1群と第4群、第2群と第5群、第3群と第6群の搬送波の位相差は、それぞれ30degに設定されている。
上記のように、群の数mが6の場合には、3つの群を1つのグループとして2つのグループを設け、各グループ内の群間における搬送波の位相差をそれぞれ60degにすると、第2調波成分や第4調波成分を低減することができる。また、2つのグループにまたがった第1群と第4群、第2群と第5群、第3群と第6群の搬送波の位相差をそれぞれ30degにすれば、第6調波成分も低減することができる。
従って、各グループ内の群間における搬送波の位相差や2つのグループ間の群間における搬送波の位相差を上記のように設定することにより、第2調波成分、第4調波成分、及び第6調波成分の低減が可能になる。
なお、各インバータに対する搬送波位相を設定する際の除数pの選び方(p=1または2など)については第1実施例によって説明した通りであり、これは以下の実施例でも同様である。
次に、本願発明の第3実施例を説明する。この実施例は、n台(n:4以上の整数)の単相インバータを1つの群としたm(m:5以上の整数)群の単相インバータ群の中から5群を選択して構成される駆動装置に関するものである。
例えば、インバータ群の数が10であり、各インバータ群が何れも5台の単相2レベルインバータからなる駆動装置(m=10,n=5)により交流電動機Mを駆動する場合、10のインバータ群のうち第1群~第5群を1つのグループとし、搬送波位相設定器17により、各群をそれぞれ構成する各5台のインバータに対して搬送波位相を図8または図9のように与える。
なお、残りの第6群~第10群の各インバータの搬送波位相については、どのように設定してもよい。
図8は、各群内の5台のインバータの搬送波の位相差を180deg/5ずつ設けた例であり、図9は、各群内の5台のインバータ搬送波位相を全て同位相とした例である。何れの場合にも、1つのグループ内の群間における搬送波の位相差は36degに設定されている。
この実施例において、5つの群の合計出力電力を図4、図5と同様に高調波解析すると、第2調波成分や第4調波成分を除去できるだけでなく、図4、図5において発生していた第6調波成分まで除去することができる。すなわち、最も問題になる第2調波成分、第4調波成分、第6調波成分等の高調波成分を低減して直流電流の振動や電動機の振動、騒音を抑制することができる。
次に、本願発明の第4実施例を説明する。この実施例は、n台(n:4以上の整数)の単相インバータを1つの群としたm(m:10以上の整数)群の単相インバータ群を5群ずつ2つに分けて構成される駆動装置に関するものである。
例えば、第1群~第10群のインバータ群が何れも5台の単相2レベルインバータからなる駆動装置(m=10,n=5)により交流電動機Mを駆動する場合において、10のインバータ群を第1グループ(第1群~第5群)と第2グルーブ(第6群~第10群)とに分割し、各グループのインバータの搬送波位相を図10または図11のように設定する。
図10は、各群内の5台のインバータに対する搬送波の位相差をそれぞれ180deg/5ずつに設定した例であり、図11は、各群内の5台のインバータの搬送波位相を全て同位相とした例である。
何れの場合にも、1つのグループ内の群間における搬送波の位相差は36degであり、第1グループ、第2グルーブにまたがった第1群と第6群、第2群と第7群、第3群と第8群、第4群と第9群、第5群と第10群の搬送波の位相差は、それぞれ18degに設定されている。
上記のように、群の数mが10の場合には、5つの群を1つのグループとして2つのグループを設け、各グループ内の群間における搬送波の位相差をそれぞれ36degにすると共に、2つのグループにまたがった搬送波の位相差をそれぞれ18degにすることにより、第2調波成分、第4調波成分、及び第6調波成分の低減が可能になる。
なお、本願発明の第5実施例は、図3、図7、図9、図11に示したごとく各群におけるインバータの搬送波位相を等しくすることに相当するものであり、これによって交流電動機Mの隣接巻線間の干渉に起因する高調波電流や銅損の増加を防ぐことができる。
次に、図12は、本発明の第2実施形態に係る多巻線交流電動機駆動装置の主回路を示すブロック図であり、本願発明の第6実施例に相当する。
この第2実施形態は、インバータ群を第1群INV1~第4群INV4により構成すると共に、第1群,第2群,第3群の巻線1~1,2~2,3~3を有する多巻線交流電動機Maの出力軸と、第4群の巻線4~4を有する巻線を有する多巻線交流電動機Mbの出力軸とを連結し、インバータ群の第1群INV1~第3群INV3から交流電動機Maの巻線1~1,2~2,3~3にそれぞれ給電し、インバータ群の第4群INV4から交流電動機Mbの巻線4~4にそれぞれ給電している。なお、Dは、図13と同様に位置検出器である。
この第2実施形態において、交流電動機Maの各巻線1~1,2~2,3~3に給電するインバータ群の第1群INV1~第3群INV3が例えば5相である場合(n=5)には、各群のインバータINV1~INV1,INV2~INV2,INV3~INV3に、前述した図2や図3に示したような搬送波位相を設定して運転すれば良い。
なお、図示されていないが、交流電動機Maに連結される他方の交流電動機Mbがそれぞれ5相の巻線からなる3群の巻線を有し、インバータ群が第1群INV1~第3群INV3の他に第4群INV4~第6群INV6を有する場合には、第1群INV1~第6群INV6を3群ずつ第1,第2グループに分割すると共に図6や図7に示したような搬送波位相を設定して運転すれば良い。
なお、本発明は、図12や図13のように共通の直流電源から給電するだけでなく、各インバータ群に対して個別の直流電源からそれぞれ給電する場合のように、複数台の直流電源を備えた駆動装置にも適用することができる。
B:直流電源
M,Ma,Mb:多巻線交流電動機
D:位置検出器
INV1:第1群
INV2:第2群
INV3:第3群
INV4:第4群
INVm:第m群
INV1~INV1,INV2~INV2,INV3~INV3,INV4~INV4,INVm~INVm:単相2レベルインバータ
5:電流制御部
6:基準化部
9:搬送波発生器
10:比較器
15~15:PWM制御部
17:搬送波位相設定器
18:位相基準信号発生器
100~100:制御部

Claims (6)

  1. 互いに絶縁されたn相(n:4以上の整数)の固定子巻線をm群(m:3以上の整数)備えた多巻線交流電動機の駆動装置であって、
    直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを1つの群としたm群のインバータ群の交流側を(m×n)個の前記固定子巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
    前記m群のインバータ群の中から3群を選択し、これらの3群内の各単相インバータをそれぞれPWM制御するための搬送波の位相差が、各群間で順次60deg/p(p:自然数)となるように、各単相インバータの搬送波位相を設定したことを特徴とする多巻線交流電動機駆動装置。
  2. 互いに絶縁されたn相(n:4以上の整数)の固定子巻線をm群(m:6以上の整数)備えた多巻線交流電動機の駆動装置であって、
    直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを1つの群としたm群のインバータ群の交流側を(m×n)個の前記固定子巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
    前記m群のインバータ群の中から6群を選択し、これらの6群を第1群~第3群からなる第1グループと第4群~第6群からなる第2グループとに分割し、
    前記第1グループ及び前記第2グループ内の各単相インバータをそれぞれPWM制御するための搬送波の位相差が、前記第1グループの各群間で順次60deg/p(p:自然数)になり、かつ、前記第2グループの各群間で順次60deg/pになると共に、
    前記第1群と前記第4群との間、前記第2群と前記第5群との間、前記第3群と前記第6群との間の位相差がそれぞれ30deg/pになるように、
    各単相インバータの搬送波位相を設定したことを特徴とする多巻線交流電動機駆動装置。
  3. 互いに絶縁されたn相(n:4以上の整数)の固定子巻線をm群(m:5以上の整数)備えた多巻線交流電動機の駆動装置であって、
    直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを1つの群としたm群のインバータ群の交流側を(m×n)個の前記固定子巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
    前記m群のインバータ群の中から5群を選択し、これらの5群内の各単相インバータをそれぞれPWM制御するための搬送波の位相差が、各群間で順次36deg/p(p:自然数)となるように、各単相インバータの搬送波位相を設定したことを特徴とする多巻線交流電動機駆動装置。
  4. 互いに絶縁されたn相(n:4以上の整数)の固定子巻線をm群(m:10以上の整数)備えた多巻線交流電動機の駆動装置であって、
    直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを1つの群としたm群のインバータ群の交流側を(m×n)個の前記固定子巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
    前記m群のインバータ群の中から10群を選択し、これらの10群の単相インバータ群を第1群~第5群からなる第1グループと第6群~第10群からなる第2グループとに分割し、
    前記第1グループ及び前記第2グループ内の各単相インバータをそれぞれPWM制御するための搬送波の位相差が、前記第1グループの各群間で順次36deg/p(p:自然数)になり、かつ、前記第2グループの各群間で順次36deg/pになると共に、
    前記第1群と前記第6群との間、前記第2群と前記第7群との間、前記第3群と前記第8群との間、前記第4群と前記第9群との間、前記第5群と前記第10群との間の位相差がそれぞれ18deg/pになるように、
    各単相インバータの搬送波位相を設定したことを特徴とする多巻線交流電動機駆動装置。
  5. 請求項1~4の何れか1項に記載した多巻線交流電動機駆動装置において、
    各群を構成するn台の単相インバータの搬送波位相をすべて等しくしたことを特徴とする多巻線交流電動機駆動装置。
  6. 出力軸が互いに連結された複数台の多巻線交流電動機のうちの少なくとも1台の多巻線交流電動機を駆動することを特徴とした請求項1~5の何れか1項に記載の多巻線交流電動機駆動装置。
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