JP7148863B2 - 多巻線交流電動機駆動装置 - Google Patents
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Description
この駆動装置では、直流電源Bに接続された(m×n)台の単相2レベルインバータによって(m×n)個の絶縁された固定子巻線(以下、単に巻線ともいう)を有する1台の多巻線交流電動機Mを駆動しており、各インバータは、搬送波(キャリア)と信号波とを比較して半導体スイッチング素子をオン/オフするPWM制御を行っている。なお、Dは交流電動機Mの回転子位置θを検出する位置検出器である。
図14において、2001,2002,……,200mは、各群INV1,INV2,……,INVmを構成するn台のインバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号(PWM信号)を生成する同一構成の制御部である。
基準化部6では、図13における直流入力電圧Vd1を用いて電圧指令11~1nを基準化することにより信号波11~1nを作成し、PWM制御部151~15n内の比較器10にそれぞれ入力する。
PWM制御部151~15n内の搬送波発生器9は、搬送波位相11~1nと位相基準信号とに基づいてインバータINV11~INV1n用に設定された位相の搬送波11~1nを作成し、比較器10にそれぞれ入力する。これらの比較器10では信号波11~1nと搬送波11~1nとをそれぞれ比較し、各インバータINV11~INV1nのスイッチング素子に与えるオン/オフ信号を生成する。
この従来技術では、搬送波位相設定器7及び位相基準信号発生器8が群ごとに設けられているが、各群の間では搬送波位相等の信号をやりとりしていないため、各群の搬送波位相は、互いに影響することなく成り行きによって決まる値になっている。
例えば、図13の第1群INV1が5台のインバータINV11~INV15からなり、これらの出力電力の合計波形を周波数解析した結果を、図15及び図16に示す。これらの図における縦軸、横軸は同スケールである。
図15は、5台のインバータINV11~INV15をPWM制御する際の搬送波の位相差を図17のように180deg/5ずつとした場合の解析結果、図16は、搬送波位相を図18のように5台とも同位相とした場合の解析結果であり、位相以外の運転条件は全く同一である。
このため、図18のように搬送波が全て同位相である場合は勿論のこと、図17のように各搬送波が位相差を有する場合には図18よりは改善されるものの、依然として、合計出力電力には第2調波付近の高調波成分が含まれることになり、これと同一周波数の直流電流等の振動が発生すると共に交流電動機にも同一周波数の機械的振動や騒音が発生するため、各種の振動対策や防音対策が必要であった。
すなわち、本発明の目的は、複数の群の間でPWM制御用の搬送波位相を操作することにより、振動や騒音の抑制効果を一層向上させた多巻線交流電動機駆動装置を提供することにある。
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを1つの群としたm1群のインバータ群の交流側を(m1×n)個の前記固定子巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m1群のインバータ群の中から3群を選択し、これらの3群内の各単相インバータをそれぞれPWM制御するための搬送波の位相差が、各群間で順次60deg/p(p:自然数)となるように、各単相インバータの搬送波位相を設定したことを特徴とする。
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを1つの群としたm2群のインバータ群の交流側を(m2×n)個の前記固定子巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m2群のインバータ群の中から6群を選択し、これらの6群を第1群~第3群からなる第1グループと第4群~第6群からなる第2グループとに分割し、
前記第1グループ及び前記第2グループ内の各単相インバータをそれぞれPWM制御するための搬送波の位相差が、前記第1グループの各群間で順次60deg/p(p:自然数)になり、かつ、前記第2グループの各群間で順次60deg/pになると共に、
前記第1群と前記第4群との間、前記第2群と前記第5群との間、前記第3群と前記第6群との間の位相差がそれぞれ30deg/pになるように、
各単相インバータの搬送波位相を設定したことを特徴とする。
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを1つの群としたm3群のインバータ群の交流側を(m3×n)個の前記固定子巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m3群のインバータ群の中から5群を選択し、これらの5群内の各単相インバータをそれぞれPWM制御するための搬送波の位相差が、各群間で順次36deg/p(p:自然数)となるように、各単相インバータの搬送波位相を設定したことを特徴とする。
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを1つの群としたm4群のインバータ群の交流側を(m4×n)個の前記固定子巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m4群のインバータ群の中から10群を選択し、これらの10群の単相インバータ群を第1群~第5群からなる第1グループと第6群~第10群からなる第2グループとに分割し、
前記第1グループ及び前記第2グループ内の各単相インバータをそれぞれPWM制御するための搬送波の位相差が、前記第1グループの各群間で順次36deg/p(p:自然数)になり、かつ、前記第2グループの各群間で順次36deg/pになると共に、
前記第1群と前記第6群との間、前記第2群と前記第7群との間、前記第3群と前記第8群との間、前記第4群と前記第9群との間、前記第5群と前記第10群との間の位相差がそれぞれ18deg/pになるように、
各単相インバータの搬送波位相を設定したことを特徴とする。
まず、図1は、本発明の第1実施形態に係る多巻線交流電動機駆動装置の制御回路を示すブロック図である。多巻線交流電動機駆動装置の主回路の構成は図13と同様であり、直流電源Bに接続された(m×n)台の単相2レベルインバータによって(m×n)個の互いに絶縁された固定子巻線を有する1台の多巻線交流電動機Mを駆動するように構成されている。
図1の制御部1001~100mと図14の制御部2001~200mとの相違点は、図14では群ごとに搬送波位相設定器7及び位相基準信号発生器8を備えていたのに対し、図1では、全群共通の単一の搬送波位相設定器17及び位相基準信号発生器18を有する点である。すなわち、図1では、全群共通の位相基準信号発生器18から出力される位相基準信号がm個の制御部1001~100mのPWM制御部151~15n内の搬送波発生器9にそれぞれ入力され、これらの搬送波発生器9には、全群共通の搬送波位相設定器17により設定されたm組の位相11~1n,21~2n,m1~mnがそれぞれ入力されている。
図1における他の部分は、図14と同一である。
例えば、インバータ群が6つあって第1群INV1~第6群INV6が何れも5台の単相2レベルインバータからなる駆動装置(m1=6,n=5)により、5相の巻線からなる群を6つ備えた交流電動機Mを駆動する場合について説明する。
そして、6つのインバータ群のうち第1群INV1~第3群INV3を1つのグループとし、搬送波位相設定器17により、第1群INV1~第3群INV3をそれぞれ構成する各5台のインバータに対して搬送波位相11~15,21~25,31~35を図2または図3のように与える。
なお、この実施例において、第4群INV4~第6群INV6の各インバータの搬送波位相については、どのように設定してもよい。
図4,図5を図15,図16とそれぞれ比較すると、図4,図5では、3つの群の合計出力電力に含まれる直流成分は図15,図16の3倍になると共に、図15の(1),(2)、図16の(3)に相当する第2調波付近の高調波成分や、図15の(4),(5)、図16の(6)に相当する第4調波付近の高調波成分が除去されているのが判る。
単相2レベルインバータを用いて駆動装置を構成する場合、1つのインバータ群で発生する高調波成分の中で最も問題になるのは第2調波付近の成分であるから、通常はp=1として各群の間の搬送波の位相差を60degとすれば、第2調波成分や第4調波成分を除去して直流電流の振動や電動機の振動、騒音を抑制することが可能である。但し、電気的または機械的な共振点が、例えば搬送波の6倍周波数成分付近に存在する場合には、p=2として各群の間の搬送波の位相差を30degとすることにより、第6調波付近の成分を除去すれば良い。
この場合には、p=2として各群の間で搬送波位相を30degずつずらせば、第4調波付近の成分やより高次の高調波成分を抑制することができる。
なお、図3に示したように、各群における全てのインバータに対する搬送波位相を等しくすれば、従来技術の問題点として説明したように、搬送波位相をずらした場合の交流電動機Mの隣接巻線間の干渉に起因する高調波電流や銅損の増加を防ぐことができる。
例えば、前記同様に第1群~第6群のインバータ群が何れも5台の単相2レベルインバータからなる駆動装置(m2=6,n=5)により交流電動機Mを駆動する場合において、インバータ群を第1グループ(第1群~第3群)と第2グルーブ(第4群~第6群)とに分割し、各グループのインバータの搬送波位相を図6または図7のように設定する。
従って、各グループ内の群間における搬送波の位相差や2つのグループ間の群間における搬送波の位相差を上記のように設定することにより、第2調波成分、第4調波成分、及び第6調波成分の低減が可能になる。
なお、各インバータに対する搬送波位相を設定する際の除数pの選び方(p=1または2など)については第1実施例によって説明した通りであり、これは以下の実施例でも同様である。
例えば、インバータ群の数が10であり、各インバータ群が何れも5台の単相2レベルインバータからなる駆動装置(m3=10,n=5)により交流電動機Mを駆動する場合、10のインバータ群のうち第1群~第5群を1つのグループとし、搬送波位相設定器17により、各群をそれぞれ構成する各5台のインバータに対して搬送波位相を図8または図9のように与える。
なお、残りの第6群~第10群の各インバータの搬送波位相については、どのように設定してもよい。
この実施例において、5つの群の合計出力電力を図4、図5と同様に高調波解析すると、第2調波成分や第4調波成分を除去できるだけでなく、図4、図5において発生していた第6調波成分まで除去することができる。すなわち、最も問題になる第2調波成分、第4調波成分、第6調波成分等の高調波成分を低減して直流電流の振動や電動機の振動、騒音を抑制することができる。
例えば、第1群~第10群のインバータ群が何れも5台の単相2レベルインバータからなる駆動装置(m4=10,n=5)により交流電動機Mを駆動する場合において、10のインバータ群を第1グループ(第1群~第5群)と第2グルーブ(第6群~第10群)とに分割し、各グループのインバータの搬送波位相を図10または図11のように設定する。
何れの場合にも、1つのグループ内の群間における搬送波の位相差は36degであり、第1グループ、第2グルーブにまたがった第1群と第6群、第2群と第7群、第3群と第8群、第4群と第9群、第5群と第10群の搬送波の位相差は、それぞれ18degに設定されている。
この第2実施形態は、インバータ群を第1群INV1~第4群INV4により構成すると共に、第1群,第2群,第3群の巻線11~1n,21~2n,31~3nを有する多巻線交流電動機Maの出力軸と、第4群の巻線41~4nを有する巻線を有する多巻線交流電動機Mbの出力軸とを連結し、インバータ群の第1群INV1~第3群INV3から交流電動機Maの巻線11~1n,21~2n,31~3nにそれぞれ給電し、インバータ群の第4群INV4から交流電動機Mbの巻線41~4nにそれぞれ給電している。なお、Dは、図13と同様に位置検出器である。
なお、図示されていないが、交流電動機Maに連結される他方の交流電動機Mbがそれぞれ5相の巻線からなる3群の巻線を有し、インバータ群が第1群INV1~第3群INV3の他に第4群INV4~第6群INV6を有する場合には、第1群INV1~第6群INV6を3群ずつ第1,第2グループに分割すると共に図6や図7に示したような搬送波位相を設定して運転すれば良い。
M,Ma,Mb:多巻線交流電動機
D:位置検出器
INV1:第1群
INV2:第2群
INV3:第3群
INV4:第4群
INVm:第m群
INV11~INV1n,INV21~INV2n,INV31~INV3n,INV41~INV4n,INVm1~INVmn:単相2レベルインバータ
5:電流制御部
6:基準化部
9:搬送波発生器
10:比較器
151~15n:PWM制御部
17:搬送波位相設定器
18:位相基準信号発生器
1001~100m:制御部
Claims (6)
- 互いに絶縁されたn相(n:4以上の整数)の固定子巻線をm1群(m1:3以上の整数)備えた多巻線交流電動機の駆動装置であって、
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを1つの群としたm1群のインバータ群の交流側を(m1×n)個の前記固定子巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m1群のインバータ群の中から3群を選択し、これらの3群内の各単相インバータをそれぞれPWM制御するための搬送波の位相差が、各群間で順次60deg/p(p:自然数)となるように、各単相インバータの搬送波位相を設定したことを特徴とする多巻線交流電動機駆動装置。 - 互いに絶縁されたn相(n:4以上の整数)の固定子巻線をm2群(m2:6以上の整数)備えた多巻線交流電動機の駆動装置であって、
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを1つの群としたm2群のインバータ群の交流側を(m2×n)個の前記固定子巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m2群のインバータ群の中から6群を選択し、これらの6群を第1群~第3群からなる第1グループと第4群~第6群からなる第2グループとに分割し、
前記第1グループ及び前記第2グループ内の各単相インバータをそれぞれPWM制御するための搬送波の位相差が、前記第1グループの各群間で順次60deg/p(p:自然数)になり、かつ、前記第2グループの各群間で順次60deg/pになると共に、
前記第1群と前記第4群との間、前記第2群と前記第5群との間、前記第3群と前記第6群との間の位相差がそれぞれ30deg/pになるように、
各単相インバータの搬送波位相を設定したことを特徴とする多巻線交流電動機駆動装置。 - 互いに絶縁されたn相(n:4以上の整数)の固定子巻線をm3群(m3:5以上の整数)備えた多巻線交流電動機の駆動装置であって、
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを1つの群としたm3群のインバータ群の交流側を(m3×n)個の前記固定子巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m3群のインバータ群の中から5群を選択し、これらの5群内の各単相インバータをそれぞれPWM制御するための搬送波の位相差が、各群間で順次36deg/p(p:自然数)となるように、各単相インバータの搬送波位相を設定したことを特徴とする多巻線交流電動機駆動装置。 - 互いに絶縁されたn相(n:4以上の整数)の固定子巻線をm4群(m4:10以上の整数)備えた多巻線交流電動機の駆動装置であって、
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを1つの群としたm4群のインバータ群の交流側を(m4×n)個の前記固定子巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m4群のインバータ群の中から10群を選択し、これらの10群の単相インバータ群を第1群~第5群からなる第1グループと第6群~第10群からなる第2グループとに分割し、
前記第1グループ及び前記第2グループ内の各単相インバータをそれぞれPWM制御するための搬送波の位相差が、前記第1グループの各群間で順次36deg/p(p:自然数)になり、かつ、前記第2グループの各群間で順次36deg/pになると共に、
前記第1群と前記第6群との間、前記第2群と前記第7群との間、前記第3群と前記第8群との間、前記第4群と前記第9群との間、前記第5群と前記第10群との間の位相差がそれぞれ18deg/pになるように、
各単相インバータの搬送波位相を設定したことを特徴とする多巻線交流電動機駆動装置。 - 請求項1~4の何れか1項に記載した多巻線交流電動機駆動装置において、
各群を構成するn台の単相インバータの搬送波位相をすべて等しくしたことを特徴とする多巻線交流電動機駆動装置。 - 出力軸が互いに連結された複数台の多巻線交流電動機のうちの少なくとも1台の多巻線交流電動機を駆動することを特徴とした請求項1~5の何れか1項に記載の多巻線交流電動機駆動装置。
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