JP7137130B2 - 多巻線交流電動機駆動装置 - Google Patents
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Description
この駆動装置では、直流電源Bに接続された(m×n)台の単相2レベルインバータによって(m×n)個の絶縁された巻線を有する1台の多巻線交流電動機Mを駆動しており、各インバータは、搬送波(キャリア)と信号波とを比較して半導体スイッチング素子をオン/オフするPWM制御を行っている。なお、Dは交流電動機Mの回転子位置θを検出する位置検出器である。
図13において、2001,2002,……,200mは、各群INV1,INV2,……,INVmを構成するn台のインバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号(PWM信号)を生成する同一構成の制御部である。
基準化器6では、図12における直流入力電圧Vd1を用いて電圧指令11~1nを基準化することにより信号波11~1nを作成し、PWM制御部151~15n内の比較器10にそれぞれ入力する。
PWM制御部151~15n内の搬送波発生器9は、搬送波位相11~1nと位相基準信号とに基づいてインバータINV11~INV1n用に設定された位相の搬送波11~1nを作成し、比較器10にそれぞれ入力する。これらの比較器10では信号波11~1nと搬送波11~1nとをそれぞれ比較し、各インバータINV11~INV1nのスイッチング素子に与えるオン/オフ信号を生成する。
この従来技術では、搬送波位相設定器7及び搬送波位相基準信号発生器8が群ごとに設けられているが、各群の間では搬送波位相等の信号をやりとりしていないため、各群の搬送波位相は、互いに影響することなく成り行きによって決まる値になっている。
例えば、図12の第1群INV1が5台のインバータINV11~INV15からなり、これらの出力電力の合計波形を周波数解析した結果を、図16及び図17に示す。なお、これらの図における縦軸、横軸は同スケールである。
図16は、5台のインバータINV11~INV15をPWM制御する際の搬送波の位相差を図14のように180deg/5ずつとした場合の解析結果、図17は、搬送波の位相を図15のように5台とも同位相とした場合の解析結果であり、位相以外の運転条件は全く同一である。
このように、出力電力に第2調波付近の高調波成分が含まれる場合には、これと同じ周波数の直流電流等の振動が発生すると共に、交流電動機にも同じ周波数の機械的振動や騒音が発生するため、各種の振動対策や防音対策が必要であった。
すなわち、本発明の目的は、複数の群の間でインバータのPWM制御用の搬送波に位相差を持たせることにより、振動や騒音の抑制効果を高めた多巻線交流電動機駆動装置を提供することにある。
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを一つの群としたm群の単相インバータ群の交流側を(m×n)個の前記巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m群の中から少なくとも二つの群を選択してそれぞれを第1群,第2群とし、
前記第1群を構成するn台の単相インバータの搬送波と前記第2群を構成するn台の単相インバータの搬送波との位相差を、それぞれ90deg/p(p:自然数)に設定したことを特徴とする。
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを一つの群としたm1群の単相インバータ群の交流側を(m1×n)個の前記巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m1群を二つの群ずつに分割して(m1/2)個のペアを構成し、
各ペア内の一方の群を構成するn台の単相インバータの搬送波と他方の群を構成するn台の単相インバータの搬送波との位相差を、それぞれ90deg/p(p:自然数)に設定したことを特徴とする。
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを一つの群としたm2群の単相インバータの交流側を(m2×n)個の前記巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m2群を二つの群ずつに分割して少なくとも2組以上のペアを構成すると共に、2組のペアを組み合わせたペアグループを少なくとも一つ構成し、
前記ペアグループ内で、第1のペアの一方の群を構成するn台の単相インバータの搬送波と第2のペアの一方の群を構成するn台の単相インバータの搬送波との位相差を、それぞれ45deg/p(p:自然数)に設定したことを特徴とする。
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを一つの群としてm3群の単相インバータの交流側を(m3×n)個の前記巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m 3 群を二つの群ずつに分割して少なくとも2組以上のペアを構成すると共に、2組のペアを組み合わせたペアグループを(m3/4)個構成し、
前記ペアグループ内で、第1のペアの一方の群を構成するn台の単相インバータの搬送波と第2のペアの一方の群を構成するn台の単相インバータの各相の搬送波との位相差を、それぞれ45deg/p(p:自然数)に設定したことを特徴とする。
まず、図1は、本発明の第1実施形態に係る多巻線交流電動機駆動装置の制御回路を示すブロック図である。なお、多巻線交流電動機駆動装置の主回路の構成は図12と同様であり、直流電源Bに接続された(m×n)台の単相2レベルインバータによって(m×n)個の互いに絶縁された巻線を有する1台の多巻線交流電動機Mを駆動するように構成されている。
これらの制御部1001~100mと図13に示した制御部2001~200mとの相違点を説明すると、図13では、群ごとに搬送波位相設定器7及び搬送波位相基準信号発生器8を備えていたのに対し、図1では、全群共通の単一の搬送波位相設定器17及び搬送波位相基準信号発生器18を有する点であり、制御部1001~100mの他の部分は制御部2001~200mと同一である。
いま、インバータ群が4群あって第1群INV1~第4群INV4が何れも5台の単相2レベルインバータからなる場合(m=4,n=5)を想定し、第1群INV1と第2群INV2とによりペアを構成して各群のインバータの搬送波位相を調整することを考えてみる。
あるいは、図3に示すように、第1群INV1の全てのインバータINV11~INV15に対する搬送波位相11~15を0degとし(図15に相当)、第2群INV2の全てのインバータINV21~INV25に対する搬送波位相21~25を90degとする。
なお、第3群INV3、第4群INV4の各インバータ間の搬送波位相については、どのように設定してもよい。
特に、単相2レベルインバータを用いる場合、一つの群で発生する高調波成分のうち最も問題になるのは2倍調波付近の成分であるから、通常はp=1として上記の位相差を90degにすれば良い。但し、電気的または機械的な共振点が、例えば4倍調波の周波数付近にある場合には、p=2として搬送波位相差を45degに設定し、4倍調波付近の高調波成分を抑制することが望ましい。
これらの図4,図5を図16,図17とそれぞれ比較すると、本実施例によれば、出力電力の合計波形に含まれる直流分は2倍になっているのに対し、図16の(1),(2)、図17の(3)に相当する第2調波付近の高調波成分が除去されているのが判る。
このような場合には、ペアを構成する第1群INV1、第2群INV2の各インバータINV11~INV15,INV21~INV25に対して、図6に示すように、90deg/pにおけるp=2とした場合の搬送波位相差、つまり45degを搬送波位相設定器17から与えても良い。
これらは、請求項2に相当する実施例であって、何れも各ペア内の二つの群の搬送波位相差をそれぞれ90degに設定した例であり、図7は各群内の5台のインバータの搬送波位相差を180deg/5ずつとし、図8は各群内の5台のインバータの搬送波位相を全て等しくした場合である。
ここで、図9は請求項3~5に相当する実施例であり、図10は請求項3,4,6に相当する実施例である。
なお、各群において基準となるインバータINV11,INV21,INV31,INV41の搬送波位相は0deg,90deg,45deg,135degというように全て異なり、図9は各群内の5台のインバータの搬送波位相差を180deg/5ずつに設定した場合、図10は各群内の5台のインバータの搬送波位相を全て等しくした場合である。
更に、群の数mを4の倍数とし、全ての群を何れかのペアグループに帰属させることにより、装置全体の合計出力電力に含まれる第2調波付近及び第4高調波付近の高調波成分を抑制することができる。
この第2実施形態は、インバータ群を第1群INV1~第4群INV4により構成すると共に、第1群の巻線及び第2群の巻線を有する多巻線交流電動機Maと第3群の巻線及び第4群の巻線を有する多巻線交流電動機Mbとの出力軸を連結し、交流電動機Maの各巻線に第1群INV1及び第2群INV2からそれぞれ給電し、交流電動機Mbの各巻線に第3群INV3及び第4群INV4からそれぞれ給電するようにしたものである。なお、図12と同様にDは位置検出器である。
この多巻線交流電動機駆動装置に対しては、例えば図9や図10に示した実施例のように各群のインバータに対して搬送波位相を設定して運転すれば良い。
M,Ma,Mb:多巻線交流電動機
D:位置検出器
INV1:第1群
INV2:第2群
INV3:第3群
INV4:第4群
INVm:第m群
INV11~INV1n,INV21~INV2n,INV31~INV3n,INV41~INV4n,INVm1~INVmn:単相2レベルインバータ
5:電流制御器
6:基準化器
7,17:搬送波位相設定器
8,18:搬送波位相基準信号発生器
9:搬送波発生器
10:比較器
151~15n:PWM制御部
1001~100m:制御部
Claims (7)
- 互いに絶縁されたn相(n:4以上の整数)の巻線をm群(m:2以上の整数)備えた多巻線交流電動機の駆動装置であって、
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを一つの群としたm群の単相インバータ群の交流側を(m×n)個の前記巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m群の中から少なくとも二つの群を選択してそれぞれを第1群,第2群とし、
前記第1群を構成するn台の単相インバータの搬送波と前記第2群を構成するn台の単相インバータの搬送波との位相差を、それぞれ90deg/p(p:自然数)に設定したことを特徴とする多巻線交流電動機駆動装置。 - 互いに絶縁されたn相(n:4以上の整数)の巻線をm1群(m1:偶数)備えた多巻線交流電動機の駆動装置であって、
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを一つの群としたm1群の単相インバータ群の交流側を(m1×n)個の前記巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m1群を二つの群ずつに分割して(m1/2)個のペアを構成し、
各ペア内の一方の群を構成するn台の単相インバータの搬送波と他方の群を構成するn台の単相インバータの搬送波との位相差を、それぞれ90deg/p(p:自然数)に設定したことを特徴とする多巻線交流電動機駆動装置。 - 互いに絶縁されたn相(n:4以上の整数)の巻線をm2群(m2:4以上の整数)備えた多巻線交流電動機の駆動装置であって、
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを一つの群としたm2群の単相インバータの交流側を(m2×n)個の前記巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m2群を二つの群ずつに分割して少なくとも2組以上のペアを構成すると共に、2組のペアを組み合わせたペアグループを少なくとも一つ構成し、
前記ペアグループ内で、第1のペアの一方の群を構成するn台の単相インバータの搬送波と第2のペアの一方の群を構成するn台の単相インバータの搬送波との位相差を、それぞれ45deg/p(p:自然数)に設定したことを特徴とする多巻線交流電動機駆動装置。 - 互いに絶縁されたn相(n:4以上の整数)の巻線をm3群(m3:4の倍数)備えた多巻線交流電動機の駆動装置であって、
直流電源側が互いに並列接続されたn台の単相インバータを一つの群としてm3群の単相インバータの交流側を(m3×n)個の前記巻線にそれぞれ接続し、信号波と搬送波とを比較するPWM制御により前記単相インバータの半導体スイッチング素子に対するオン/オフ信号をそれぞれ生成する多巻線交流電動機駆動装置において、
前記m 3 群を二つの群ずつに分割して少なくとも2組以上のペアを構成すると共に、2組のペアを組み合わせたペアグループを(m3/4)個構成し、
前記ペアグループ内で、第1のペアの一方の群を構成するn台の単相インバータの搬送波と第2のペアの一方の群を構成するn台の単相インバータの各相の搬送波との位相差を、それぞれ45deg/p(p:自然数)に設定したことを特徴とする多巻線交流電動機駆動装置。 - 請求項1~4の何れか1項に記載した多巻線交流電動機駆動装置において、
各群を構成するn台の単相インバータの搬送波の位相を順次ずらしたことを特徴とする多巻線交流電動機駆動装置。 - 請求項1~4の何れか1項に記載した多巻線交流電動機駆動装置において、
各群を構成するn台の単相インバータの搬送波の位相をすべて等しくしたことを特徴とする多巻線交流電動機駆動装置。 - 請求項1~5の何れか1項に記載した多巻線交流電動機駆動装置において、
前記多巻線交流電動機が、n個の巻線を一群または複数群備えた複数台の多巻線交流電動機の出力軸を連結してなることを特徴とする多巻線交流電動機駆動装置。
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