JP7147262B2 - 固形製剤 - Google Patents
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Description
放出制御製剤には大きくリザーバー型とマトリックス型がある。リザーバー型製剤は主に放出制御膜をコーティングすることにより薬物の放出を制御する。レペタブ型、スパスタブ型、スパンスル型、顆粒型が属する。放出制御膜を構成する基剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート 、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、メタクリル酸メチル・メタクリル酸共重合体、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネートおよびポリビニルアセテートフタレート(特許文献1)やアクリル酸アルキル-メタクリル酸アルキルコポリマーが用いられている(特許文献2)。マトリックス型製剤は水の浸入による有効成分や放出制御基剤の溶解、拡散、膨潤等に伴って有効成分を徐々に放出する制御であり、放出制御基剤として、親水性高分子を用いたハイドロゲル基剤(特許文献3~6)やエチルセルロースやアクリル酸系の疎水性高分子、硬化油、高級アルコールなどのワックス類を用いることが提唱されている(非特許文献1)。ワックスマトリックス型、グラデュメット型、ロンタブ型、スパンタブ型などが属する。
(1)少なくとも一つの放出制御層を有する多層錠であって、
多層錠の表面は上下両面とも凸R形状であり、
前記放出制御層は、融点が120℃以下の低融点薬物または1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物と、水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤を含み、かつ、その放出制御層の上下両面のうち少なくとも一方は凹R形状であることを特徴とする多層錠、
(2)融点が120℃以下の低融点薬物が、イブプロフェン又はグアイフェネシンである(1)に記載の多層錠、
(3)1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物が、ロキソプロフェンナトリウム水和物である(1)に記載の多層錠、
(4)水性液体と接すると膨張する放出制御基剤が、ハイドロゲルを形成する高分子である(1)に記載の多層錠、
(5)ハイドロゲルを形成する高分子が、2%水溶液20℃において粘度が2.5mPa・s以上である、(4)に記載の多層錠、
(6)ハイドロゲルを形成する高分子がヒプロメロースである(4)又は(5)に記載の多層錠、
(7)ヒプロメロースのメトキシ基含量が19~24質量%であり、かつ、ヒドロキシプロポキシ基含量が4~12質量%である、(6)に記載の多層錠、
(8)水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤の含有量が、その放出制御基剤が含まれる放出制御層全体の質量に対して15質量%以上85質量%以下である、(1)または(4)に記載の多層錠、
(9)錠剤直径/R値(曲率半径)が0.01より大きく2未満である、(1)~(8)のいずれかに記載の多層錠、
(10)非放出制御層を有する、(1)~(9)のいずれかに記載の多層錠、
(11)放出制御製剤である、(1)~(10)のいずれかに記載の多層錠、
(12)1日1回又は2回服用型である、(1)~(11)のいずれかに記載の多層錠、
(13)非コーティング錠である、(1)~(12)のいずれかに記載の多層錠、
(14)下杵の型面上に、多層錠中の各層を順次積層し、上杵によって打錠する工程を有する多層錠の製造方法であって、 上下の杵の形状は凹R形状であり、
水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤を含まない層を圧縮する工程の後に、
融点が120℃以下の低融点薬物または1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物と、水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤を含む層を圧縮する工程を有することを特徴とする、前記多層錠の製造方法、
である。
ハイドロゲルを形成する高分子物質としては、例えば2%水溶液20℃の粘度が2.5mPa・s以上、他の態様として2%水溶液20℃の粘度が140000mPa・s以下、更なる態様として、1%水溶液25℃の粘度が7mPa・s以上、1%水溶液25℃の粘度が15000mPa・s以下、更に他の態様として、10%水溶液30℃の粘度が100mPa・s以上、10%水溶液30℃の粘度が180mPa・s以下となるものが好ましい。なお、本発明のハイドロゲルを形成する高分子物質の粘度は、本発明の多層錠中にハイドロゲルを形成する高分子物質を複数含む場合は、複数組み合わせて混合した場合の粘度を指す。よって、単一成分の粘度が上記の粘度範囲から外れるものであっても、当該粘度範囲内の粘度となるように適宜組み合わせて使用することができる。また、ハイドロゲルを形成する高分子物質の分子量は、例えば、5万以上、他の態様として5万以上800万以下、更なる態様として5万以上500万以下、更に他の態様として5万以上200万以下である。本発明の多層錠においては、融点が120℃以下の低融点薬物又は1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物の放出が制御されるよう、ハイドロゲルを形成する高分子として用いる高分子の種類、粘度、量を適宜調節すればよい。
なお、本発明の粘度は第十七改正日本薬局方に基づき測定される。
打錠用粉体A全体に対し、結晶セルロース30.7質量%、乳糖61.0質量%、CMS-Na4.9質量%、軽質無水ケイ酸2.9質量%、黄色5号0.1質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.5質量%添加・混合し、打錠用粉体A(非放出制御層)を得た。
別に、打錠用粉体B全体に対し、イブプロフェン35.0質量%、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製、)52.3質量%、結晶セルロース9.3質量%、軽質無水ケイ酸2.8質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.5質量%添加・混合し、打錠用粉体B(放出制御層)を得た。
次に、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮した後、2層目として打錠用粉体B107mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。得られた二層錠の表面は、上下両面もR凸形状であり、放出制御層の上下面の形状は、一方が凸R形状、一方が凹R形状を有する。
簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体B107mgを充填し圧縮した後、2層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、両方が凸R形状を有する。
簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値12mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮した後、2層目として打錠用粉体B107mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、一方が凸R形状、一方が凹R形状を有する。
簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値12mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体B107mgを充填し圧縮した後、2層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、両方が凸R形状を有する。
簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R形状を有さない平面形の杵を用い、1層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮した後、2層目として打錠用粉体B107mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。
簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R形状を有さない平面形の杵を用い、1層目として打錠用粉体B107mgを充填し圧縮した後、2層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。
打錠用粉体C全体に対し、イブプロフェン35.0質量%、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製、)15.0質量%、結晶セルロース46.7質量%、軽質無水ケイ酸2.8質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.5質量%添加・混合し、打錠用粉体C(放出制御層)を得た。
次に、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮した後、2層として打錠用粉体C107mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、一方が凸R形状、一方が凹R形状を有する。
簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体C107mgを充填し圧縮した後、2層として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、両方が凸R形状を有する。
打錠用粉体D全体に対し、イブプロフェン35.0質量%、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製、)19.9質量%、結晶セルロース41.7質量%、軽質無水ケイ酸2.8質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.5質量%添加・混合し、打錠用粉体D(放出制御層)を得た。
次に、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮した後、2層として打錠用粉体D107mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、一方が凸R形状、一方が凹R形状を有する。
簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体D107mgを充填し圧縮した後、2層として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、両方が凸R形状を有する。
打錠用粉体E全体に対し、ロキソプロフェンナトリウム水和物15.9質量%、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製、)52.3質量%、結晶セルロース28.5質量%、軽質無水ケイ酸2.8質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.5質量%添加・混合し、打錠用粉体E(放出制御層)を得た。
次に、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮した後、2層として打錠用粉体E107mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、一方が凸R形状、一方が凹R形状を有する。
簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体E107mgを充填し圧縮した後、2層として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、両方が凸R形状を有する。
打錠用粉体F全体に対し、アセトアミノフェン44.4質量%、ヒプロメロース(置換度タイプ2208)(商品名:METOLOSE 90SH-100SR、信越化学工業(株)製、)52.3質量%、軽質無水ケイ酸2.8質量%になるように秤量した粉体を粉砕・混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを0.5質量%添加・混合し、打錠用粉体F(放出制御層)を得た。
次に、簡易錠剤成型機(HANDTAB-200;市橋精機社製)にて、直径8mm円形、R値6.5mmの杵を用い、1層目として打錠用粉体F169mgを充填し圧縮した後、2層として打錠用粉体A205mgを充填し圧縮成形し二層錠を得た。この時、放出制御層の上下面の形状は、両方が凸R形状を有する。
Claims (13)
- 少なくとも一つの放出制御層を有する多層錠であって、
多層錠の表面は上下両面とも凸R形状であり、
前記放出制御層は、融点が120℃以下の低融点薬物または1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物と、水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤を含み、かつ、その放出制御層の上下両面のうち少なくとも一方は凹R形状であることを特徴とする、放出制御製剤である多層錠。 - 融点が120℃以下の低融点薬物が、イブプロフェン又はグアイフェネシンである請求項1に記載の多層錠。
- 1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物が、ロキソプロフェンナトリウム水和物である請求項1に記載の多層錠。
- 水性液体と接すると膨張する放出制御基剤が、ハイドロゲルを形成する高分子である請求項1に記載の多層錠。
- ハイドロゲルを形成する高分子が、2%水溶液20℃において粘度が2.5mPa・s以上である、請求項4に記載の多層錠。
- ハイドロゲルを形成する高分子がヒプロメロースである請求項4又は5に記載の多層錠。
- ヒプロメロースのメトキシ基含量が19~24質量%であり、かつ、ヒドロキシプロポキシ基含量が4~12質量%である、請求項6に記載の多層錠。
- 水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤の含有量が、その放出制御基剤が含まれる放出制御層多層錠全体の質量に対して15質量%以上85質量 %以下である、請求項1または4に記載の多層錠。
- 錠剤直径/R値(曲率半径)が0.01より大きく2未満である、請求項1~8のいずれかに記載の多層錠。
- 非放出制御層を有する、請求項1~9のいずれかに記載の多層錠。
- 1日1回又は2回服用型である、請求項1~10のいずれかに記載の多層錠。
- 非コーティング錠である、請求項1~11のいずれかに記載の多層錠。
- 下杵の型面上に、多層錠中の各層を順次積層し、上杵によって打錠する工程を有する放出制御製剤である多層錠の製造方法であって、 多層錠の表面は上下両面とも凸R形状であり、
水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤を含まない層を圧縮する工程の後に、
融点が120℃以下の低融点薬物または1分子構造内に水和水を1分子以上有する薬物と、水性液体と接すると膨潤する放出制御基剤を含む層を圧縮する工程を有することを特徴とする、前記多層錠の製造方法。
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