JP7144396B2 - シリコーン消泡剤組成物、および、シリコーン消泡剤組成物の製造方法。 - Google Patents
シリコーン消泡剤組成物、および、シリコーン消泡剤組成物の製造方法。 Download PDFInfo
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Description
シリコーンは表面張力が低いので、泡を消す潜在的な能力を有する。また、シリカが破泡の作用があることが知られているので、シリコーンとシリカを共に用いた消泡剤が広く用いられている。シリコーン系消泡剤としては、オイル、コンパウンド、溶液、エマルジョン、自己乳化、粉体、固体の7つのタイプがある。コンパウンドは消泡剤の業界ではオイルコンパウンドと称されることもあるが、本発明では、シリコーンオイルを必須成分とする油分とシリカの混合物およびさらに一部が化学反応で結合したものをコンパウンドと称する。
消泡剤として働くためには、複合粒子が泡膜の近傍に存在する必要があり、水中での分散性を飛躍的に高めるためにはエマルジョンの形のものが最も有効であるため、エマルジョンタイプのシリコーン消泡剤が最も多く用いられている。また、起泡液にすぐに分散できる状態として、固形状態であるコンパウンドとしても多く用いられている。
主流である、起泡液に予め添加しておくタイプで、シリコーンとシリカの複合粒子からなるシリコーン消泡剤の場合は、抑泡の作用もあるものの十分でないため、泡が立ってしまい、その泡を破泡する。であるからこそ、安定した消泡性能を出すための試行錯誤が難しい。
これらの問題を改善するために、様々なタイプの泡に対して広く安定的に消泡性を示す消泡剤を、理論的かつ定量的に設計、評価し、製造する方法の確立が求められている。また、様々なタイプの泡に対して広く安定的に消泡性を示す消泡剤が求められている。
しかし、E、S>0はそれぞれ消泡剤が泡膜に侵入した配置、泡膜上で拡張した配置が、平衡状態として好まれるかという判別であり、それがどのような時間スケールで起きるかについての予測を与えない。従ってRoss理論の条件を満たすように設計しても、侵入、拡張に長時間を要し、現実の消泡剤としては使用不可能なものが出来うる。さらに、本質的に同じ原料の中からいずれか特定の原料を選択するに際し、これらはいずれも同一の界面張力と表面張力を有しているため、Ross理論だけでは選択の指針が得られないのである。
しかし、シリカをはじめとする疎水性紛体粒子が、泡膜までたどりつく、あるいは近傍に存在するためにはどんな要件が必要であるかについては論ぜられていない。すなわち、ピンホール効果またはニードル効果が実効的に表れる条件が解明されない限り、実用的な消泡性能との関係を見出すことはできない。
しかし、各種の泡に対して当該ブリッジ構造の形成を速める設計要因は明らかではないため、消泡剤の設計には役立っていない。
しかし、消泡剤を用いた場合の破泡は普通泡膜が1μm以上で起きるのに対し、二つの泡膜内壁間の電気二重層による反発は泡膜が20nm程度まで薄まるまで発現しないことが知られており、当該電気二重層反発は消泡剤設計上の考慮に入れる必要が無いことが示唆される。
よって、このタイプの消泡剤の開発においては、対象となる起泡液を入手して経験に基づく組成、製造法を、試行錯誤的に最適条件を見出すしかなく、また製造においても、バッチ間の消泡性能の再現性が十分ではなかった。その制御方法は、定性的な視認であり、定量的な指標に基づく制御方法は見出されていなかった。
また、繊維処理や塗膜の
安定性などを向上させる目的でゼータ電位が用いられることはある。しかし、それらは物質の吸着を促進させる目的であった。
以上のように、消泡剤の消泡性能をゼータ電位を用いて評価する指標はかつて存在せず、それを示唆するような先行技術も存在しなかった。
また、初期消泡性と消泡持続性の制御、消泡性能と分散安定性の制御、抑泡と破泡の制御に関しても、これまでは何ら指標も方法も存在しなかった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、所与の起泡液に対して予め添加しておくタイプの消泡剤の製造方法において、起泡液中での消泡剤の分散性を確保するとともに、抑泡および破泡の両面から消泡性を奏することにより、消泡持続性を確保可能なシリコーン消泡剤組成物を起泡液に応じて安定的に再現よく製造する方法を提供することを目的とする。
本発明のシリコーン消泡剤組成物の製造方法は、起泡液に対して予め添加しておくことにより消泡するタイプのシリコーン消泡剤組成物の製造方法であって、起泡液の種類に応じて、油分成分およびシリカ成分それぞれの種類および/または量を選択する段階と、選択した油分成分およびシリカ成分を混合し、シリコーンを必須成分とする油分とシリカとの複合粒子群を含むシリコーン消泡剤組成物を調製する段階と、生成したシリコーン消泡剤組成物をサンプリングし、複合粒子群のゼータ電位の分布幅を計測する段階と、起泡液により形成される泡を構成する包囲膜の内面に及ぶことにより、抑泡および破泡が可能なように、計測したゼータ電位の分布幅が、起泡液に応じて設定される閾値以上となるまで、前記選択段階および/または前記調整段階、および前記計測段階を繰り返す、ことを特徴とするシリコーン消泡剤組成物の製造方法であることを特徴とする。
なお、抑泡とは、起泡液中において複合粒子による、主に泡の内面の界面張力低下により泡が形成しない、またはしにくい作用が支配的である消泡作用を意味するものである。全く泡を生成しないこと、ないしは既に泡が生成している状況で新たな泡を生成しにくい作用を示すことである。また、破泡とは、既に生成している泡に対し、複合粒子による、主にピンホール効果またはニードル効果により泡を破る作用が支配的である消泡作用を意味するものである。
また、消泡性、消泡性能とは、抑泡および破泡の両方を含む広義の意味である。そして、良好な消泡性能とは、断りのない限り、初期消泡性と消泡持続性のそれぞれが、少なくとも消泡現場で受け入れ可能な水準以上であることを意味する。
本発明のシリコーン消泡剤組成物の製造方法は、所与の起泡液に対して予め添加しておくタイプの消泡剤の製造方法について、起泡液の種類に応じて、油分成分およびシリカ成分それぞれの種類および/または量を選択する段階と、選択した油分成分およびシリカ成分を混合し、シリコーンを必須成分とする油分とシリカとの複合粒子群を含むシリコーン消泡剤組成物を調製する段階、生成したシリコーン消泡剤組成物をサンプリングし、複合粒子群のゼータ電位の分布幅を計測する段階と、起泡液により形成される泡を構成する包囲膜の内面に及ぶことにより、抑泡および破泡が可能なように、計測したゼータ電位の分布幅が、起泡液に応じて設定される閾値以上とすることにより、起泡液中での消泡剤の分散性を確保するとともに、起泡液に応じて消泡性能を安定的に再現よく発揮することが可能にするものである。
また、計測したゼータ電位の分布幅が、起泡液に応じて設定される閾値以上となるまで、前記選択段階および/または前記調整段階、および前記計測段階を繰り返すことにより、起泡液に応じた要求性能を具備した消泡剤を製造するための試行錯誤の負担を軽減するものである。
なお、本発明の場合、コンパウンドの形態で起泡液に添加し消泡する場合と、コンパウンドをエマルジョン化してから起泡液に添加し消泡する場合の双方を対象にしている。両方の場合に対しての発明を実施するための形態について以下記述する。
シリコーンは、平均組成式が一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンである。化学構造は直鎖状でも分岐状でもよいが、オイル状である必要がある。
R1 aSiO(4-a)/2 (1)
式(1)中、R1は、分子中で同一であっても異なっていてもよく、置換もしくは非置換の炭素数1~25の飽和または不飽和一価炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族基、水酸基、炭素数1~6のアルコキシ基または水素原子基である。
また、オルガノポリシロキサンは単一の成分でも、2種以上の成分の混合でも、いずれでもよい。
このオルガノポリシロキサンの構造は、上記の条件内にさえあれば、どのようなものでもよいが、入手の容易性や経済性、化学的安定性の観点からは、全R1の80モル%以上、特に90%モル%以上がメチル基であることが好ましい。
シリコーンと有機物のオイルとの使用割合は限定されないが、シリコーンの割合が50質量%以上であることが好ましい。50質量%未満だと、シリコーンによる界面張力の低下効果を十分に得られないからである。
シリカ粒子は、合成法によって製造される二酸化ケイ素の粒子であって、珪藻土や結晶石英のような鉱物系のシリカは含まれない。合成法によって製造される二酸化ケイ素として、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、溶融シリカ等の乾式法による微紛、湿式法による沈降シリカまたはコロイダルシリカを挙げることができる。これらは当業者には公知のものである。これらの中では、焼成シリカ、沈降性シリカあるいはコロイダルシリカを用いることが好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。本発明に用いるシリカ粒子は、表面のシラノール基が残留した親水性シリカであっても、表面のシラノール基をシリル化した疎水性シリカであってもよい。疎水性シリカは、親水性シリカを、メチルトリクロロシランのようなハロゲン化有機ケイ素やジメチルジアルコキシシランのようなアルコキシシラン類、シラザン、低分子量のメチルポリシロキサンで処理する公知の方法によって製造することができる。
シリカ粒子は、塊状ではなく粒子状である必要がある。また、一次粒子が凝集した一次凝集物の状態、あるいは、さらに一次凝集物が凝集した二次凝集物の状態であってもよい。
ゼータ電位とは、液中で分散体とともに移動する液面(滑り面)における電位のことであり、分散体の荷電状態の指標として一般的に用いられている。例えば、2つの分散体粒子が同符号かつ十分絶対値の大きいゼータ電子を持つ場合は、静電反発によって衝突が避けられるため凝集しない。近年は、板や繊維にもゼータ電位の概念を拡張することが試みられており、例えば、非処理剤である金属板と分散体が異符号あるいは同符号だが絶対値の小さいゼータ電位を持つ場合、分散体が非処理剤に吸着しやすい。
ゼータ電位は、シリカの水分散体中におけるシリカの分散安定性をある程度示せる指標として用いられてきた。その水分散液のゼータ電位の分布幅が狭いほど分散安定性がよいとされてきた。ゼータ電位の分布幅が狭いのは同符号で同様の電位を示すシリカ粒子が多いことを意味し、シリカ粒子同士が凝集しにくいため分散安定性がよいと考えられている。
このように、従来はゼータ電位というものは、粒子の水分散体などにおいて粒子の安定性や凝集性の指標として用いられてきたのに対し、本発明では複合粒子による消泡性能の指標としても使えるという、驚くべき発見をしたものである。
従って、本発明のシリコーン消泡剤組成物の複合粒子群が、水中または起泡液中で分散している場合は、複合粒子群として安定性を確保している一方で、どれかの複合粒子においては他の複合粒子または他の物質との間で電位的に近づき得るチャンネルを持っているということができる。
このような状況の中で消泡効果を高めるためには、シリコーン消泡剤組成物の複合粒子のゼータ電位の分布幅を広くすることが有効であることを、本発明において見出した。泡の包囲膜の内面の状況がばらつき、複合粒子の表面の状況もばらつく中、ばらつきとばらつきの中でどこかで消泡効果が発揮される最適点が現れるためである。
消泡を行いたい起泡液の種類や泡の状況により、泡の内面の電位の符号や分布状況が違うので、それに最も適した最頻度ゼータ電位やゼータ電位分布をもつ複合粒子を適用するのが最も消泡効果が高くなるはずではあるが、本発明では、それらの状況にはよらずに、複合粒子のゼータ電位の分布幅が広いことで、消泡効果が上がることを見出した。ただし、所与の起泡液に対しての所定の消泡効果を上げるためには、複合粒子のゼータ電位の下限の閾値は、個別具体的に設定する方が好ましい。
また、ゼータ電位の分布のピークが2以上に分かれている場合は、本発明で扱うゼータ電位の分布幅としての対象としては適当ではないと推定している。ピークが1つである場合の方が、ゼータ電位の分布幅が消泡性能へ与える影響が、より関連性が高いと推定している。ただし、ピークに肩を持つ場合は1ピークとして定義する。
従来の予め起泡液に入れておくタイプのシリコーンとシリカによる複合粒子の消泡剤においては、分散安定性が必ずしも十分でなかったり、製造処方またはバッチ毎に分散安定性がばらつくことが多かった。それに対し、本発明のシリコーン消泡剤組成物の複合粒子群は、分散安定性が確保されているので、破泡性に加えて抑泡性も十分に発揮でき、しかも安定的に発揮できる。このように、抑泡性と破泡性の双方の機能を発揮することができるため、初期消泡性と消泡持続性の双方を発揮することができる。
ただし、起泡液の外部から投入するタイプの消泡剤に比べ、消泡剤の分散安定性がより重要視されることから、初期消泡性よりも消泡持続性に特徴がある。
シリコーン消泡剤組成物において、油分のみでなくシリカを用いた複合粒子とすること、すなわち、シリカ粒子を用いることがゼータ電位の分布幅が広くなる。また、シリコーンを主成分とする油分、および、シリカの種類の多さと形態のバリエーションがゼータ電位の分布幅を広げる。
組成的不均一性を大きくする具体的方法としては、下記が挙げられる。
使用するシリカ粒子の種類が多いほど、組成的不均一性が大きくなり、ゼータ電位の分布幅が広くなる。使用するシリコーン成分の種類が多いほど、組成的不均一性が大きくなり、ゼータ電位の分布幅が広くなる。油分として、シリコーン成分以外に、有機系オイルを併用すると、組成的不均一性が大きくなり、ゼータ電位の分布幅が広くなる。さらに、有機系オイルの種類が多いほど、組成的不均一性が大きくなり、ゼータ電位の分布幅が広くなる。
シリコーン消泡剤組成物がエマルジョン形態の場合は、エマルジョン製造時のせん断速度が小さいほど、複合粒子1粒内および複合粒子間の形態的不均一性が大きくなり、ゼータ電位の分布幅が広くなる。
シリコーン消泡剤組成物がエマルジョン形態の場合は、製造の過程でゼータ電位の分布幅をチェックする段階を設け、所定の閾値に満たない場合は、リワークを行い、せん断速度その他の工程要素を最適化させて、ゼータ電位の分布幅が所定の閾値以上になるまで、チェックとリワークを繰り返すことで、確実に目的の初期消泡性を得ることができる。
ゼータ電位の分布幅の制御が有効なのは消泡剤に限ったことではないが、泡膜の電位が均質ではないことと、過渡的状況に対して特に有効であることから、消泡剤が最も好適である。
過渡的な状況においては、ゼータ電位の分布幅を決めるのは組成的不均一性と形態的不均一性のどちらが支配的なのかについては、時間的、場所的な条件により異なると考えられる。また、組成的不均一性と形態的不均一性のどちらかが優勢なことにより、消泡が抑泡主体なのか破泡主体なのかに影響をあたえるものと推定できる。そのため、シリコーン消泡剤組成物の例えば、シリカの量比、エマルジョン作製時のせん断速度という2つの要素の使い分けにより、抑泡主体か破泡主体かをある程度制御できる。
1.用途や起泡液の種類に応じて、使えるシリコーンオイルの粘度、有機オイルの種類等の制約を確認する。
2.シリコーンオイル、シリカ、有機オイルのそれぞれの種類をなるべく増やし、シリカの量もなるべく増やした組成を検討する。(複合粒子のゼータ電位をなるべく広くさせる)
3.消泡剤組成物がエマルジョン形態の場合は、エマルジョン製造時のせん断速度をなるべく下げた製造方法を検討する。(複合粒子のゼータ電位をなるべく広くさせる)
4.用途、目的により、必要な初期消泡性、消泡持続性、分散安定性のバランスを取るように、2、3の条件を最適化させる。
起泡液の種類に応じて、油分成分およびシリカ成分それぞれの種類および/または量を選択する段階と、選択した油分成分およびシリカ成分を混合し、油分とシリカとの複合粒子を含むシリコーン消泡剤組成物を調製する段階と、生成したシリコーン消泡剤組成物をサンプリングし、複合粒子のゼータ電位の分布幅を計測する段階と、起泡液からの泡形成開始から泡形成完了までの過渡的状態において泡形成を抑制するように、計測したゼータ電位の分布幅が、起泡液に応じて設定される閾値以上となるまで、該選択段階および/または該調整段階、および該計測段階を繰り返す。
シリコーン消泡剤組成物がコンパウンド形態の場合は、水分散の状態でゼータ電位を計測し、エマルジョン形態の場合は、エマルジョン作製時に所定せん断速度でせん断することにより、シリコーン消泡剤組成物を調製し、エマルジョンの形態でゼータ電位を計測する。
油分に対するシリカの質量比は、複合粒子のゼータ電位の分布幅に影響を与える因子である。好ましい質量比の範囲は、起泡液の種類や目標とする消泡性能にもよるが、油分100質量部に対するシリカの質量部は、0.5質量部以上、かつ、40質量部以下であることが好ましい。0.5質量部未満だと、ゼータ電位の分布幅が十分に広くなく十分な消泡性能が得られない。また、40質量部を超えると、初期消泡性と消泡持続性との両立が難しく、消泡剤がエマルジョン形態の場合は、エマルジョンとしての安定性が低下する、例えば粒子が沈降する、などの問題が生じる。さらに好ましくは、1質量部以上、かつ、30質量部以下の範囲である。
非イオン性界面活性剤を用いて通常のエマルジョンとする場合、非イオン性界面活性剤の使用量はエマルジョン100質量部中で1質量部以上、かつ、30質量部以下であることが好ましくい。1質量部未満だと、乳化が十分行えず、30質量部を超えるとゼータ電位の分布幅を広くする方向でなくなるからである。より好ましくは、2質量部以上、かつ、20質量部以下である。
上記ポリオキシエチレンアルキレン変性オルガノポリシロキサンまたは非イオン性界面活性剤は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよいが、合計の含有量がエマルジョン100質量部中で1質量部以上、かつ、50質量部以下であることが好ましくい。1質量部未満だと、乳化が十分行えず、50質量部を超えるとゼータ電位の分布幅を広くする方向でなくなるからである。より好ましくは、2質量部以上、かつ、30質量部以下である。
エマルジョン作製時に複合粒子にかかるせん断速度は、5,000s-1以上、かつ、100,000s-1以下が好ましい。せん断速度が5,000s-1未満だと、エマルジョン粒子の分散安定性が劣り、粒子が沈降しやすくなったり、消泡持続性が不十分となりやすい。また、100,000s-1を超えると、複合粒子内および/または複合粒子間の組成面および/または形態面のばらつきが小さくなり過ぎるので、ゼータ電位の分布幅が狭くなり、十分な消泡性能が出ない。より好ましくは、7,000s-1以上、かつ、50,000s-1以下である。
界面活性剤量としては、エマルジョン100質量部中、50質量部以下が好ましく、より好ましくは30質量部以下である。50質量部を超えると、環境に悪影響を与えるほか、シリカ粒子の凝集力が低下し、製品の保存安定性および希釈時の取り扱い性を損なう。
さらに本発明の同組成物には本発明の趣旨に反しない限り他の添加物を添加することができる。例えば、pH調整剤、着色剤、酸化防止剤、消臭剤、架橋剤、各種触媒、乳化安定剤、各種有機溶剤、キレート剤などを添加することができる。
また、ゼータ電位を計測する水分散液のpHもゼータ電位に測定結果に影響を与える。起泡液のpHが予め分かっている場合は、そのpHに合わせてゼータ電位を計測するなどのこともできる。ゼータ電位の比較は、同じpH下で比較することに意味がある。
また、抑泡を主体的に起こさせるのか、あるいは破泡を主体的に起こさせるのかについても、用途に応じてある程度使い分けることができる。上述した組成的不均一性と形態的不均一性のバランスを用途に応じ設定することによる。例えば、泡が少しでも立っては困る用途では、抑泡を主体的に起こさせるために組成的不均一性の寄与を大きくし、泡が立つこと自体は構わないが、ある程度の成長段階で破泡してそれ以上成長しないことでよい用途では、形態的不均一性の寄与を大きくする。
また、用途や目的に応じて、抑泡と破泡のどちらを支配的に起こさせるかについても制御できる可能性が期待できる。
なお、性能評価試験において、一部でも不合格の結果を有するものは、比較例として記載する。
シリコーン消泡剤組成物の複合粒子のゼータ電位を計測するに当たっては、イオン交換水によって2倍希釈した中性りん酸塩緩衝液中に複合粒子の濃度を10~100ppmの範囲内に設定した水分散液を調製した。シリコーン消泡剤組成物がコンパウンド形態の場合は、界面活性剤を用いて20,000s-1のせん断速度で分散させ、エマルジョン形態の場合は、複合粒子の濃度が所定範囲に入るように、水で希釈するか、あるいは濃縮することによって調製した。いずれの場合も、水分散液のpHは7に調整した。
ゼータ電位の計測は、マルバーン社製Nano-ZS90型機を使用し、レーザー・ドップラー電気泳動法で実施した。計測は25℃で行った。
ゼータ電位の累積相対度数分布において、積分値10%と積分値90%との差をもってゼータ電位の分布幅とした。
シリコーン消泡剤組成物の複合粒子の分散安定性を評価するに当たっては、イオン交換水中に複合粒子の濃度を1質量%に設定した水分散液を調製した。シリコーン消泡剤組成物がコンパウンド形態の場合は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤を適宜用いて分散させ、エマルジョン形態の場合は、複合粒子の濃度が所定範囲に入るように、水で希釈するか、あるいは濃縮することによって調製した。
調製した水分散液を50mlスクリュー管に30g入れ、25℃で貯蔵1か月後に、クリーミング、沈降分離の有無を確認した。
評価基準;
○:クリーミング、沈降分離なし、△:クリーミング、沈降分離の傾向あり、×:クリーミング、沈降分離あり。
〇または△を合格とする。
イオン交換水に起泡液を1.5質量%投入し、さらにシリコーン消泡剤組成物を添加して試験起泡液を調製した。この際、試験起泡液中における複合粒子の濃度は100ppmになるように調整した。シリコーン消泡剤組成物がコンパウンド形態の場合は、適宜界面活性剤を用いて分散させた。
この試験起泡液100mlを口径50mmの500mlメスシリンダーに入れ、木下ガラスボールフィルター504G-1を使用してエアンプで空気を1.5L/分の流量で送り込み泡立てた。空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積を記録し、初期消泡性を評価した。
起泡液としては、起泡液1として、アルキルエーテル硫酸塩、起泡液2として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、の2種類を用意し、評価に付した。
初期消泡性の評価基準;
10秒後の泡の体積により5段階の評価基準を設けた。3以上を合格とする。
5:10ml未満、4:10ml以上かつ100ml未満、3:100ml以上かつ200ml未満、2:200ml以上かつ300ml未満、1:300ml以上
消泡持続性の評価は、上記の初期消泡性を評価した後に、そのままの状態でさらに同じ条件で空気の送り込みを20分続け、20分経過時点での泡の体積を記録し、上記と同様の評価方法により消泡性能を評価した。
消泡持続性の評価基準;
20分後の泡の体積により5段階の評価基準を設けた。3以上を合格とする。
5:50ml未満、4:50ml以上かつ200ml未満、3:200ml以上かつ300ml未満、2:300ml以上で泡がシリンダー内に留まっている、1:泡がシリンダーから溢れる。
消泡性能の総合評価としては、初期消泡性、消泡持続性共に合格の場合を合格とする。
以下に示す「部」は、特に明示しない限り全て質量に基づく。また、単位の%は、全てのシロキサン中のシロキサンの合計数に対して対応するシロキサン単位の割合を意味する。
(CH3)2SiO2/2単位99.2%と(CH3)3SiO1/2単位0.8%とからなり、ポリジメチルシロキサン単位全体の0.03%がケイ素原子修飾エトキシ基を有するポリジメチルシロキサン(シリコーンオイルAとする)100部と、BET表面積が200m2/gである親水性フュームドシリカ(シリカ1とする)5.0部とをディスク型溶解機を使用して密接に混合した。この混合物を150℃で4時間加熱することでコンパウンドを作製した。
上記コンパウンドのゼータ電位の分布幅は18mVだった。
分散安定性の評価は、〇であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は45mlだったので、評価は4であった。起泡液2では、10秒後に40mlだったので、評価は4であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は95mlだったので、評価は4であった。起泡液2では、20分後に85mlだったので、評価は4であった。
以上のコンパウンド形態としてのシリコーン消泡剤組成物としての組成、ゼータ電位分布幅の計測結果、分散安定性、消泡性能結果を表1に示す。
次に、上記コンパウンドを、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを適宜用いて分散させ、エマルジョンを作製した。せん断速度は120,000s-1とした。生成したエマルジョンのゼータ電位の分布幅は5.5mVだった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は220mlだったので、評価は2であり不合格となった。
そこで、せん断速度を20,000s-1に設定し直してリワークを行った。
生成したエマルジョンのゼータ電位の分布幅は17mVだった。
分散安定性の評価は、〇であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は40mlだったので、評価は4であった。起泡液2では、10秒後に35mlだったので、評価は4であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は90mlだったので、評価は4であった。起泡液2では、20分後に80mlだったので、評価は4であった。
以上のエマルジョン形態としてのシリコーン消泡剤組成物としての組成、ゼータ電位分布幅の計測結果、分散安定性、消泡性能結果を表2に示す。ただし、せん断速度は最終リワーク時のものとし、分散安定性、消泡性能の評価結果は最終リワーク後のものとする。
実施例1において、シリコーンオイルAを100質量部の代わりに、シリコーンオイルAを50質量部および(CH3)2SiO2/2単位99.7%と(CH3)3SiO1/2単位0.3%とからなり、ポリジメチルシロキサン単位全体の0.03%がケイ素原子修飾エトキシ基を有するポリジメチルシロキサン(シリコーンオイルBとする)を50質量部とする以外は、実施例1と同じ方法でコンパウンドを作製した。
上記コンパウンドのゼータ電位の分布幅は19mVだった。
分散安定性の評価は、〇であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は20mlだったので、評価は4であった。起泡液2では、10秒後に9mlだったので、評価は5であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は85mlだったので、評価は4であった。起泡液2では、20分後に70mlだったので、評価は4であった。
次に、上記コンパウンドを実施例1と同じ方法でエマルジョンを作製した。最終リワーク時のせん断速度は20,000s-1とした。
生成したエマルジョンのゼータ電位の分布幅は18mVだった。
分散安定性の評価は、〇であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は20mlだったので、評価は4であった。起泡液2では、10秒後に15mlだったので、評価は4であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は70mlだったので、評価は4であった。起泡液2では、20分後に65mlだったので、評価は4であった。
実施例1において、シリコーンオイルAを100質量部の代わりに、シリコーンオイルAを70質量部および鉱物油としてイソパラフィンを30質量部とする以外は、実施例1と同じ方法でコンパウンドを作製した。
上記コンパウンドのゼータ電位の分布幅は39mVだった。
分散安定性の評価は、〇であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は12mlだったので、評価は4であった。起泡液2では、10秒後に5mlだったので、評価は5であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は55mlだったので、評価は4であった。起泡液2では、20分後に52mlだったので、評価は4であった。
次に、上記コンパウンドを実施例1と同じ方法でエマルジョンを作製した。最終リワーク時のせん断速度は20,000s-1とした。
生成したエマルジョンのゼータ電位の分布幅は37mVだった。
分散安定性の評価は、〇であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は13mlだったので、評価は4であった。起泡液2では、10秒後に12mlだったので、評価は4であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は54mlだったので、評価は4であった。起泡液2では、20分後に51mlだったので、評価は4であった。
実施例1において、シリカ1を5.0質量部の代わりに、シリカ1を2.5質量部およびBET表面積が300m2/gである親水性フュームドシリカ(シリカ2とする)を2.5質量部とする以外は、実施例1と同じ方法でコンパウンドを作製した。
上記コンパウンドのゼータ電位の分布幅は37mVだった。
分散安定性の評価は、〇であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は9mlだったので、評価は5であった。起泡液2では、10秒後に8mlだったので、評価は5であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は48mlだったので、評価は5であった。起泡液2では、20分後に42mlだったので、評価は5であった。
次に、上記コンパウンドを実施例1と同じ方法でエマルジョンを作製した。最終リワーク時のせん断速度は20,000s-1とした。
生成したエマルジョンのゼータ電位の分布幅は35mVだった。
分散安定性の評価は、〇であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は9mlだったので、評価は5であった。起泡液2では、10秒後に7mlだったので、評価は5であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は49mlだったので、評価は5であった。起泡液2では、20分後に43mlだったので、評価は5であった。
実施例1において、シリコーンオイルAを100質量部の代わりに、シリコーンオイルAを50質量部およびシリコーンオイルBを50質量部とし、シリカ1を5.0質量部の代わりに、シリカ1を2.5質量部およびシリカ2を2.5質量部とする以外は、実施例1と同じ方法でコンパウンドを作製した。
上記コンパウンドのゼータ電位の分布幅は39mVだった。
分散安定性の評価は、〇であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は9mlだったので、評価は5であった。起泡液2では、10秒後に8mlだったので、評価は5であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は55mlだったので、評価は4であった。起泡液2では、20分後に52mlだったので、評価は4であった。
次に、上記コンパウンドを実施例1と同じ方法でエマルジョンを作製した。最終リワーク時のせん断速度は20,000s-1とした。
生成したエマルジョンのゼータ電位の分布幅は37mVだった。
分散安定性の評価は、〇であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は8mlだったので、評価は5であった。起泡液2では、10秒後に8mlだったので、評価は5であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は54mlだったので、評価は4であった。起泡液2では、20分後に53mlだったので、評価は4であった。
実施例1において、シリカ1を5.0質量部の代わりに、1.0質量部とする以外は、実施例1と同じ方法でコンパウンドを作製した。
上記コンパウンドのゼータ電位の分布幅は7mVだった。
分散安定性の評価は、〇であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は160mlだったので、評価は3であった。起泡液2では、10秒後に155mlだったので、評価は3であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は270mlだったので、評価は3であった。起泡液2では、20分後に260mlだったので、評価は3であった。
次に、上記コンパウンドを実施例1と同じ方法でエマルジョンを作製した。最終リワーク時のせん断速度は20,000s-1とした。
生成したエマルジョンのゼータ電位の分布幅は7mVだった。
分散安定性の評価は、〇であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は155mlだったので、評価は3であった。起泡液2では、10秒後に150mlだったので、評価は3であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は245mlだったので、評価は3であった。起泡液2では、20分後に240mlだったので、評価は3であった。
実施例1において、シリカ1を5.0質量部の代わりに、30質量部とする以外は、実施例1と同じ方法でコンパウンドを作製した。
上記コンパウンドのゼータ電位の分布幅は55mVだった。
分散安定性の評価は、△であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は5mlだったので、評価は5であった。起泡液2では、10秒後に4mlだったので、評価は5であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は30mlだったので、評価は5であった。起泡液2では、20分後に25mlだったので、評価は5であった。
次に、上記コンパウンドを実施例1と同じ方法でエマルジョンを作製した。最終リワーク時のせん断速度は20,000s-1とした。
生成したエマルジョンのゼータ電位の分布幅は6mVだった。
分散安定性の評価は、△であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は5mlだったので、評価は5であった。起泡液2では、10秒後に3mlだったので、評価は5であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は30mlだったので、評価は5であった。起泡液2では、20分後に28mlだったので、評価は5であった。
実施例1で作製したコンパウンドを、実施例1と同じ方法でエマルジョンを作製した。最終リワーク時のせん断速度は7,000s-1とした。
生成したエマルジョンのゼータ電位の分布幅は25mVだった。
分散安定性の評価は、〇であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は9mlだったので、評価は5であった。起泡液2では、10秒後に8mlだったので、評価は5であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は75mlだったので、評価は4であった。起泡液2では、20分後に60mlだったので、評価は4であった。
実施例1で作製したコンパウンドを、実施例1と同じ方法でエマルジョンを作製した。最終リワーク時のせん断速度は50,000s-1とした。
生成したエマルジョンのゼータ電位の分布幅は12mVだった。
分散安定性の評価は、〇であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は130mlだったので、評価は3であった。起泡液2では、10秒後に115mlだったので、評価は3であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は185mlだったので、評価は4であった。起泡液2では、20分後に180mlだったので、評価は4であった。
実施例1において、シリカ1を5.0質量部の代わりに、0.2質量部とする以外は、実施例1と同じ方法でコンパウンドを作製した。
上記コンパウンドのゼータ電位の分布幅は5mVだった。
分散安定性の評価は、〇であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は310mlだったので、評価は1であった。起泡液2では、10秒後に180mlだったので、評価は3であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点で泡がシリンダーから溢れたので、評価は1であった。起泡液2では、20分後に320mlだったので、評価は2であった。
次に、上記コンパウンドを実施例18と同じ方法でエマルジョンを作製した。最終リワーク時のせん断速度は20,000s-1とした。
生成したエマルジョンのゼータ電位の分布幅は5mVだった。
分散安定性の評価は、〇であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は305mlだったので、評価は1であった。起泡液2では、10秒後に175mlだったので、評価は3であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点で泡がシリンダーから溢れたので、評価は1であった。起泡液2では、20分後に325mlだったので、評価は2であった。
よって、コンパウンド形態、エマルジョン形態共に、起泡液1では、初期消泡性、消泡持続性共に不合格であった。また、コンパウンド形態、エマルジョン形態共に、起泡液2では、初期消泡性は合格だったが、消泡持続性は不合格であった。
実施例1において、シリカ1を5.0質量部の代わりに、50質量部とする以外は、実施例1と同じ方法でコンパウンドを作製した。
上記コンパウンドのゼータ電位の分布幅は70mVだった。
分散安定性の評価は、×であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は7mlだったので、評価は5であった。起泡液2では、10秒後に6mlだったので、評価は5であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点で泡がシリンダーから溢れたので、評価は1であった。起泡液2では、20分後に泡がシリンダーから溢れたので、評価は1であった。
次に、上記コンパウンドを実施例1と同じ方法でエマルジョンを作製した。最終リワーク時のせん断速度は20,000s-1とした。
生成したエマルジョンのゼータ電位の分布幅は67mVだった。
分散安定性の評価は、×であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は7mlだったので、評価は5であった。起泡液2では、10秒後に7mlだったので、評価は5であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点で泡がシリンダーから溢れたので、評価は1であった。起泡液2では、20分後に泡がシリンダーから溢れたので、評価は1であった。
よって、コンパウンド形態、エマルジョン形態共に、起泡液1、起泡液2共に、初期消泡性は合格だったが、消泡持続性は不合格であった。
実施例1において、シリコーンオイルAを100質量部の代わりに、シリコーンオイルAを35質量部、シリコーンオイルBを35質量部および鉱物油としてイソパラフィンを30質量部とする以外は、実施例1と同じ方法でコンパウンドを作製した。
上記コンパウンドのゼータ電位の分布幅は65mVだった。
分散安定性の評価は、×であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は9mlだったので、評価は5であった。起泡液2では、10秒後に8mlだったので、評価は5であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は330mlだったので、評価は2であった。起泡液2では、20分後に315mlだったので、評価は2であった。
次に、上記コンパウンドを実施例1と同じ方法でエマルジョンを作製した。最終リワーク時のせん断速度は20,000s-1とした。
生成したエマルジョンのゼータ電位の分布幅は64mVだった。
分散安定性の評価は、×であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は9mlだったので、評価は5であった。起泡液2では、10秒後に8mlだったので、評価は5であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は325mlだったので、評価は2であった。起泡液2では、20分後に310mlだったので、評価は2であった。
よって、コンパウンド形態、エマルジョン形態共に、起泡液1、起泡液2共に、初期消泡性は合格だったが、消泡持続性は不合格であった。
実施例1で作製したコンパウンドを、実施例1と同じ方法でエマルジョンを作製した。最終リワーク時のせん断速度は3,000s-1とした。
生成したエマルジョンのゼータ電位の分布幅は55mVだった。
分散安定性の評価は、×であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は9mlだったので、評価は5であった。起泡液2では、10秒後に8mlだったので、評価は5であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点で泡がシリンダーから溢れたので、評価は1であった。起泡液2では、20分後に泡の体積は290mlだったので、評価は3であった。
よって、起泡液1では初期消泡性は合格だったが、消泡持続性は不合格であった。起泡液2では初期消泡性、消泡持続性共に合格であった。
実施例1で作製したコンパウンドを、実施例1と同じ方法でエマルジョンを作製した。最終リワーク時のせん断速度は150,000s-1とした。
生成したエマルジョンのゼータ電位の分布幅は6mVだった。
分散安定性の評価は、〇であった。
初期消泡性の評価では、起泡液1では、空気の送り込み開始後10秒後の泡の体積は210mlだったので、評価は2であった。起泡液2では、10秒後に195mlだったので、評価は3であった。
消泡持続性の評価は、起泡液1では、20分経過時点での泡の体積は305mlだったので、評価は2であった。起泡液2では、20分後に275mlだったので、評価は3であった。
よって、起泡液1では初期消泡性、消泡持続性共に不合格であった。起泡液2では初期消泡性、消泡持続性共に合格であった。
ゼータ電位が5mVだった比較例1においては、起泡液1においても起泡液2においても、消泡性の総合評価は不合格だった。ゼータ電位が6mVだった比較例5においては、起泡液1においては、消泡性の総合評価は不合格だったが、泡液2においては、合格だった。従って、ゼータ電位が7mVだった実施例6においては、起泡液1においても起泡液2においても、消泡性の総合評価は合格だった。
従って、シリコーン消泡剤組成物の複合粒子のゼータ電位の分布幅の下限の閾値は、起泡液1においては6mVと7mVの間に、起泡液2においては5mVと6mVの間に存在することが示された。
同様に、実施例7、比較例4、比較例3の結果から、ゼータ電位の分布幅の上限の閾値は、起泡液1においては54mVと55mVの間に、起泡液2においては55mVと64mVの間に存在することが示された。
このように、起泡液に応じたゼータ電位の分布幅の適当な範囲の違いが示された。
ただし、ゼータ電位の分布幅が50mVを超えると、消泡持続性が低下する傾向が見られ、複合粒子の分散安定性も低下した。
Claims (1)
- 起泡液に対して予め添加しておくことにより消泡するタイプのシリコーン消泡剤組成物であって、
シリコーンを必須成分とする油分とシリカとの複合粒子群を含み、
下記のゼータ電位計測方法により得られる前記シリコーン消泡剤組成物の複合粒子群のゼータ電位の累積相対度数分布において、積分値10%と積分値90%との差が6mV以上、かつ、60mV以下であることを特徴とする、シリコーン消泡剤組成物。
<ゼータ電位計測方法>
前記シリコーン消泡剤組成物がコンパウンド形態の場合は、イオン交換水によって2倍希釈した中性りん酸塩緩衝液中に前記複合粒子の濃度が10~100ppmの範囲内となるように、前記シリコーン消泡剤組成物をポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを用いて、20,000s -1 のせん断速度で分散させ、水分散液を調整する。
前記シリコーン消泡剤組成物がエマルジョン形態の場合は、前記複合粒子の濃度が10~100ppmの範囲内となるように、水で希釈するか、あるいは濃縮することにより、水分散液を調整する。
レーザー・ドップラー電気泳動法を用い、pHを7とした前記水分散液のゼータ電位を測定する。
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