図1及び図2は、本実施形態に係る宅配ボックス1の構成を模式的に示す斜視図であり、図3は、本実施形態に係る宅配ボックス1の構成を機能的に示すブロック図である。本実施形態に係る宅配ボックス1は、世帯数の少ない小規模な集合住宅(例えば12世帯程度)に設置される小型のボックスタイプのものであり、その集合住宅の各住戸に暮らす住民(以下「ユーザー」という)により利用される。
宅配ボックス1の機能は、荷物の預入と、荷物の取出とに大別される。そして、荷物の預入には、特定の住戸宛ての荷物を宅配業者がユーザーに向けて預け入れる着荷時預入と、宅配を依頼する荷物をユーザーが宅配業者に向けて預け入れる集荷時預入とがある。同様に、荷物の取出には、特定の住戸に向けて預け入れられた荷物を当該住戸のユーザーが取り出す着荷時取出と、宅配業者に向けて預け入れられた荷物を宅配業者が取り出す集荷時取出とがある。
宅配ボックス1は、常時施錠状態にあり、荷物の預入又は荷物の取出に併せて解錠される。荷物の預入においては、特別の認証は不要であり、誰でも解錠して荷物を預け入れることができる。一方、一旦荷物が預け入れられて施錠状態になると、宅配ボックス1は、認証が成立しない限り解錠されない。この認証は、ICタグを利用したIC認証又は暗証番号を利用した暗証番号認証のいずれかであり、ユーザーはどちらでも好きな方を利用することができる。
この宅配ボックス1の利用においては、ユーザーカード100、ユーザー用登録カード110及び管理者用登録カード120を含む三種類のカードが用意されている(以下、これらのカード100,110,120を総称する場合には「ユーザーカード100等」という)。ユーザーカード100等は、外部装置により、記録された情報を読み取り可能な記録媒体である。例えば、ユーザーカード100等は、RFID(Radio Frequency Identifier)に準拠したICタグが組み込まれたICカードである。ここで、RFIDとは、13.56MHz帯の周波数において電磁誘導技術を用いてICカード内の情報を近距離通信により受信して受け付けるものであり、Felica(登録商標)やMifare(登録商標)がその代表例として挙げられる。
ユーザーカード100は、宅配ボックス1から荷物の取出を行うためのカードであり、ユーザー認証に利用される固有の識別情報(ID)が記録されている。ユーザー用登録カード110は、宅配ボックス1を管理モードとして動作させるためのカードであり、固有のIDが記録されている。宅配ボックス1を管理モードで動作させることにより、宅配ボックス1の利用に必要な情報の登録、具体的には、ユーザーの部屋番号、ユーザーカード100のID、ユーザー用登録カード110のID及びユーザー用暗証番号を登録することができる。ユーザーカード100及びユーザー用登録カード110は、各住戸にそれぞれ配布され、当該住戸のユーザーによって利用される。
ここで、部屋番号は、集合住宅において住戸を特定するための符号であり、0から9までの中から選択される複数の数字、例えば3桁の数字で構成される。また、ユーザー用暗証番号は、ユーザー認証に利用される固有の符号であり、0から9までの中から選択される複数の数字、例えば4桁の数字で構成される。例えば、ユーザー用暗証番号は、ユーザー自身が選択した4つの数字の組み合わせから構成されている。
管理者用登録カード120は、宅配ボックス1を管理モードとして動作させるためのカードであり、固有のIDが記録されている。宅配ボックス1を管理モードで動作させることにより、宅配ボックス1の利用に必要な情報の登録、具体的には、管理者用登録カード120のID及びユーザー用暗証番号を登録することができる。また、宅配ボックス1の運用に関する各種の設定を行うことができる。管理者用登録カード120は、集合住宅に対して一つ以上配布され、当該集合住宅の管理者によって利用される。
ここで、管理者用暗証番号は、管理者認証に利用される固有の符号であり、0から9までの中から選択される複数の数字、例えば4桁の数字で構成される。
宅配ボックス1は、一つのボックス本体10と、一つの扉11と、錠装置20と、カードリーダー30と、入力装置40と、制御装置50とを主体に構成されている。この宅配ボックス1は、電池60で動作する電池式であるが、商用電源で動作するものであってもよい。
ボックス本体10は、荷物を収容する筐体であり、荷物を出し入れするために、前面側が開放された造りとなっている。ボックス本体10の前面には、開閉可能な扉11が取り付けられている。扉11には、カードリーダー30、入力装置40及び制御装置50が一つにユニット化されたアウターユニット70が設けられている。このアウターユニット70には、扉11を開閉する際に把手となる把手部71が設けられている。
錠装置20は、扉11の施解錠を行う装置であり、例えばボックス本体10に設けられている。錠装置20は、制御装置50からの制御信号に基づいて動作する。錠装置20には、扉11の開閉を検知するマイクロスイッチ(図示せず)が搭載されており、マイクロスイッチの検知結果、すなわち、扉11の開閉状態は、制御装置50に入力される。錠装置20は、制御装置50から施錠信号が入力されると、扉11を施錠する状態となる。一方、錠装置20は、制御装置50から解錠信号が入力されると、扉11を解錠する状態となる。
カードリーダー30は、非接触通信を利用して、ユーザーカード100等から情報を読み取る装置である。ユーザーカード100等がICカードから構成されている本実施形態において、カードリーダー30は、RFIDに準拠したICカードリーダーから構成されており、扉11の表面近傍に配置されるアンテナ部31を備えている。ユーザーカード100等がアンテナ部31にかざされると、カードリーダー30は、ユーザーカード100等に記録されている情報を読み取り、この読み取った情報を制御装置50へと出力する。
図4は、入力装置40の主要な構成を示す説明図である。入力装置40は、ユーザーによって操作されて、暗証番号及び部屋番号等の情報、操作指示等を入力する装置である。入力装置40は、起動ボタン(操作部)41と、テンキー(操作部)42と、表示部43とを備えている。
起動ボタン41は、ユーザーが押下操作を行うことができる機械的なスイッチである。ユーザーが起動ボタン41を指で押下すると、オン信号が制御装置50に入力される。起動ボタン41としては、例えばタクトスイッチを利用することができる。
テンキー42は、0から9までの各数字からなる10個の数字キー42aと、STキー42bと、*キー42cとで構成されている(なお、図4においては、数字キー42aの一部について符号の記載が省略されている)。各キー42a,42b,42cは、静電容量式のタッチセンサーから構成されている。テンキー42には、10個の数字キー42a、STキー42b及び*キー42cに対応して、「0」から「9」までの数字、「ST」の文字及び「*」の記号が描画されている。各キー42a,42b,42cを押圧すると、押圧したキー42a,42b,42cに対応するキー信号が制御装置50に入力される。
なお、テンキー42は、テンキー42への操作が必要な期間に限り電力が供給され、入力操作の受け付けが可能となるように構成されている。これにより、電池60の電力消費を抑制するとともに、いたずら等の意図しない操作に反応しないように工夫されている。
表示部43は、10個の数字キー42a、STキー42b及び*キー42cを用いて表示を行うものである。本実施形態において、表示部43は、LED等の表示灯で構成されている。表示部43は、テンキー42の背後において点灯し、各キー42a,42b,42cを透過照明することで、各キー42a,42b,42cを点灯させる。表示部43は、全てのキー42a,42b,42cを同時に点灯させることもできるし、これ以外にも、1つ又は2つ以上のキー42a,42b,42cのみを選択的に点灯させることもできる。表示部43は、10個の数字キー42a、STキー42b及び*キー42cの中から特定のキー42a,42b,42cを選択的に点灯することで、当該をキー42a,42b,42cに表現された数字、文字、記号を外部に表示する。
また、表示部43は、宅配ボックス1に関する各種の情報を表示する表示機能を備えている。テンキー42の周囲には、錠装置20の施錠を示す施錠マーク44a、錠装置20の解錠を示す解錠マーク44b、ICカードを示すカードマーク44c、電池60の電圧低下を示す電池切れ警告マーク44d、及び、後述するスピーカー61の消音状態を示すマナーモードマーク44eが描画されている。表示部43は、各種のマーク44a~44eの背後において点灯し、各マーク44a~44eを透過照明することで、各マーク44a~44eを表示する。これにより、宅配ボックス1に関する各種の状態を表示する。
なお、表示部43は、透過照明を利用して表示を行う以外にも、液晶ディスプレイ等の描画機能を利用して表示を行うものであってもよい。
制御装置50は、宅配ボックス1の制御を司る機能を担っている。制御装置50としては、CPU、ROM及びRAM等のメモリ、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。CPUは、制御プログラムに従い、各種の制御を行う(プロセッサ)。メモリは、CPUが実行するプログラム、又はそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。また、メモリは、CPUがプログラムを実行する際の作業領域である。
本実施形態との関係において、制御装置50は、記憶部51及び制御部52としての機能を備えている。
記憶部51は、各種のプログラムやデータを格納している。記憶部51には、管理データベース51aが格納されている。管理データベース51aは、ユーザー用登録カード110(すなわち、住戸)毎に作成されるユーザーレコードの集合であり、個々のユーザーレコードには、住戸の部屋番号、ユーザー用登録カード110のID、ユーザーカード100のID及びユーザー用暗証番号が登録されている。ユーザーレコードにおいて、ユーザーカード100のID及びユーザー用暗証番号は、一方のみが登録されていればよく、必ずしも両方が登録されている必要はない。管理データベース51aを構成する個々のユーザーレコードは、ユーザー用登録カード110を利用して管理モードを実行することにより、予め登録されている。
また、記憶部51は、部屋番号を記憶する部屋番号記憶領域51bを備える。この部屋番号記憶領域51bには、荷物の預入においてテンキー42から入力される部屋番号が登録される。記憶部51は、ワンタイム暗証番号を記憶するワンタイム暗証番号記憶領域51cを備える。このワンタイム暗証番号記憶領域51cには、荷物の預入においてテンキー42から入力されるワンタイム暗証番号が登録される。この他にも、記憶部51には、管理者用登録カード120のID及び管理者用暗証番号を記憶する管理者用記憶領域(図示せず)を備える。
制御部52は、宅配ボックス1において実行される各種の動作を制御する。本実施形態において、制御部52は、錠装置20を制御して、扉11の施解錠を制御する。制御部52は、ボックス本体10から荷物が取り出され、かつ、扉11が閉扉状態であることを判断した場合に、扉11を仮施錠する。一方、制御部52は、ボックス本体10内に荷物が預け入れられ、かつ、扉11が閉扉状態であることを判断した場合に、扉11を本施錠する。ここで、仮施錠及び本施錠は、制御上において両者を区別するためのものであり、どちらも扉11が施錠された状態である点において相違はない。また、制御部52は、カードリーダー30が読み取った情報、入力装置40において入力された情報に基づいて、仮施錠又は本施錠にある扉11の解錠を行う。
また、宅配ボックス1は、スピーカー61、解錠ユニット62及びシリンダー錠63をさらに備えている。
スピーカー61は、制御装置50に制御され、所定の操作音、エラー音等を出力する。
解錠ユニット62は、ボックス本体10の内部に設けられている。解錠ユニット62は、制御装置50からの解錠信号の有無に係わらず、施錠状態の錠装置20を解錠状態へと切り替えるものである。
シリンダー錠63は、扉11に設けられている。このシリンダー錠63に、管理者に付与された機械式キーを挿入して回動すると、シリンダー錠63が備える作動カム(図示せず)が回動し、これに連動して解錠ユニット62が動作する。この解錠ユニット62の動作により、錠装置20が解錠状態へと切り替わる。すなわち、ユーザーは、機械式キーを利用することで、施錠状態の錠装置20を解錠状態へと切り替えることができる。これにより、ユーザーカード100の紛失、制御装置50の故障、電池切れといった状況であっても、荷物の閉じ込めを解消することができる。
以下、本実施形態に係る宅配ボックス1の動作を説明する。宅配ボックス1の動作には、荷物の着荷に関するものと、荷物の集荷に関するものとがある。
荷物の着荷には、宅配業者が荷物の預入を行う着荷時預入と、ユーザーが荷物の取出を行う着荷時取出とがあり、個々の動作の概略は概ね以下の通りである。具体的には、着荷時預入において、テンキー42は、荷物の宛先となる部屋番号の入力を受け付ける。表示部43は、荷物が預け入れられた状態において、テンキー42から入力された部屋番号を表示する。一方、着荷時取出では、荷物の預入において入力された部屋番号と紐付けられたユーザーカード100のID又はユーザー用暗証番号に基づいて、カードリーダー30によって読み取られた情報又はテンキー42に入力された情報を認証した場合に、扉11の解錠が許可される(通常認証動作モード(第1動作モード))。
これに対して、荷物の集荷には、ユーザーが荷物の預入を行う集荷時預入と、宅配業者が荷物の取出を行う集荷時取出とがあり、個々の動作の概略は概ね以下の通りである。具体的には、集荷時預入において、テンキー42は、荷物を預け入れた部屋番号の入力を受け付けるとともに、預入から取出までの1サイクルにおいて1回限りで利用することができるワンタイム暗証番号の入力を受け付ける。表示部43は、荷物が預け入れられた状態において、テンキー42から入力された部屋番号を表示する。一方、集荷時取出では、荷物の預入において入力されたワンタイム暗証番号に基づいて、テンキー42に入力された情報を認証した場合に、扉11の解錠が許可される(ワンタイム認証動作モード(第2動作モード))。
図5は、着荷時預入及び集荷時預入に関する預入処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、制御部52によって実行される。この預入処理は、扉11が仮施錠状態、すなわち、荷物が預け入れられていない状態において起動ボタン41が押下操作されたことをトリガーとして実行される。
まず、ステップS10において、制御部52は、解錠動作を行う。具体的には、制御部52は、錠装置20に解錠信号を出力し、扉11を解錠する。また、制御部52は、表示部43を制御して解錠マーク44bを所定の期間だけ表示するとともに、スピーカー61から所定の音を出力する。
ステップS11において、制御部52は、錠装置20によって検知される扉11の開閉状態を参照し、扉11が開かれたか否かを判断する。扉11が閉じられたままの場合には、ステップS11において否定判定され、ステップS12に進む。一方、扉11が開かれた場合には、ステップS11において肯定判定され、ステップS14に進む。
ステップS12において、制御部52は、扉11が解錠されてからの経過時間が、待機時間、例えば5秒を経過したか否かを判断する。待機時間を経過していない場合には、ステップS12において否定判定され、ステップS11に戻る。一方、待機時間を経過した場合には、ステップS12において肯定判定され、ステップS13に進む。
ステップS13において、制御部52は、施錠動作を行う。具体的には、制御部52は、錠装置20に施錠信号を出力し、扉11を仮施錠する。また、制御部52は、表示部43を制御して施錠マーク44aを所定の期間だけ表示するとともに、スピーカー61から所定の音を出力する。
ステップS14において、制御部52は、錠装置20によって検知される扉11の開閉状態を参照し、扉11が閉じられたか否かを判断する。ボックス本体10に荷物が預け入れられると、扉11が閉じられることから、本ステップの判断が設けられている。扉11が閉じられた場合には、ステップS14において肯定判定され、ステップS15に進む。一方、扉11が閉じられていない場合には、ステップS14において否定判定され、ステップS14に戻る。
ステップS15において、制御部52は、起動ボタン41が押下操作されたか否かを判断する。起動ボタン41が押下操作された場合には、ステップS15において肯定判定され、ステップS16に進む。一方、起動ボタン41が押下操作されない場合には、ステップS15において否定判定され、ステップS20に進む。
ステップS16において、制御部52は、表示部43を制御してテンキー42を表示し、部屋番号の入力を受け付る。テンキー42の表示は、例えば、ステップS17において部屋番号の入力が判断されるまで行われる。
ステップS17において、制御部52は、管理データベース51aのユーザーレコードに記録された部屋番号が入力されたか否かを判断する。部屋番号が入力された場合には、ステップS17において肯定判定され、ステップS18に進む。一方、部屋番号が入力されない場合には、ステップS17において否定判定され、ステップS16に戻る。
ステップS18において、制御部52は、施錠動作を行う。具体的には、制御部52は、錠装置20に施錠信号を出力し、扉11を本施錠する。また、制御部52は、表示部43を制御して施錠マーク44aを所定の期間だけ表示するとともに、スピーカー61から所定の音を出力する。加えて、制御部52は、入力された部屋番号を、部屋番号記憶領域51bに登録する。
ステップS19において、制御部52は、動作モードを示すモードフラグFを「0」に設定する。動作モードは、荷物の取出を行う際に扉11を解錠するための動作を定義するものである。モードフラグFが「0」の場合、動作モードは、通常認証動作モードであることを示している。
ステップS20において、制御部52は、ワンタイム暗証番号の登録操作がなされたか否かを判断する。この登録操作は、例えば、ユーザー用登録カード110がカードリーダー30によって読み取られ、かつ、このユーザー用登録カード110のIDが管理データベース51aのユーザーレコードのいずれかと一致することである。もっとも、この操作に加え、テンキー42に対して、所定のキー操作が行われたことを条件としてもよい。
登録操作がなされた場合には、ステップS20において肯定判定され、ステップS21に進む。一方、登録要求操作がなされない場合には、ステップS20において否定判定され、ステップS15に戻る。
ステップS21において、制御部52は、表示部43を制御してテンキー42を表示し、ワンタイム暗証番号の入力を受け付ける。テンキー42の表示は、例えば、ステップS22においてワンタイム暗証番号の入力が判断されるまで行われる。
ステップS22において、制御部52は、ワンタイム暗証番号が入力されたか否かを判断する。ワンタイム暗証番号が入力された場合には、ステップS22において肯定判定され、ステップS23に進む。一方、ワンタイム暗証番号が入力されない場合には、ステップS22において否定判定され、ステップS22に戻る。
ステップS23において、制御部52は、施錠動作を行う。具体的には、制御部52は、錠装置20に施錠信号を出力し、扉11を本施錠する。また、制御部52は、表示部43を制御して施錠マーク44aを所定の期間だけ表示するとともに、スピーカー61から所定の音を出力する。加えて、制御部52は、入力されたワンタイム暗証番号を、ワンタイム暗証番号記憶領域51cに登録する。
ステップS24において、制御部52は、動作モードを示すモードフラグFを「1」に設定する。モードフラグFが「1」の場合、動作モードは、ワンタイム認証動作モードであることを示している。
このような荷物の預入が終了すると、表示部43は、荷物が預け入れられた状態においてテンキー42から入力された部屋番号を表示する。例えば、表示部43は、起動ボタン41が押下操作されたことをトリガーとして、部屋番号を表示する。これにより、着荷時預入にあっては、どの住戸に対して荷物が預け入れられているのかを容易に把握することができ、集荷時預入にあっては、どの住戸の荷物が預け入れられているのかを容易に把握することができる。
図6及び図7は、着荷時取出及び集荷時取出に関する取出処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、制御部52によって実行される。この取出処理は、扉11の本施錠状態、すなわち、荷物が預け入れられた状態において起動ボタン41が押下操作されたことをトリガーとして実行される。
ステップS30において、制御部52は、表示部43を制御して0から9までの数字キー42aの中から所定の数字キー42aを順番で点灯させ、荷物の預入において登録された部屋番号を表示する。具体的には、表示部43は、10個の数字キー42aを用いて、部屋番号を構成する数字のうち、最上位の桁を一つ点灯させ、一定時間経過後消灯し、消灯後、その下位の桁の数字を同様に点灯、消灯させる。最下位の桁まですべての桁数で点灯、消灯を行うことにより部屋番号を表示する。ここで、表示される部屋番号は、部屋番号記憶領域51bから読み出される。
ステップS31において、制御部52は、モードフラグFが「0」であるか否かを判断する。モードフラグFが「0」である場合には、ステップS31において肯定判定され、ステップS32に進む。一方、モードフラグFが「0」でない場合には、ステップS31において否定判定され、ステップS45に進む。
ステップS32において、制御部52は、表示部43を制御してテンキー42を表示し、ユーザー用暗証番号の入力を受け付ける。併せて、制御部52は、表示部43を制御して施錠マーク44aを表示する。テンキー42及び施錠マーク44aの表示は、例えば、ステップS33においてテンキー42による入力が判断されるまで、或いは、ステップS35において起動ボタン41の押下操作が判断されるまで行われる。
ステップS33において、制御部52は、テンキー42により暗証番号に相当する4桁の数字の入力が行われたか否かを判断する。テンキー42により入力が行われた場合には、ステップS33において肯定判定され、ステップS34に進む。一方、テンキー42により入力が行われない場合には、ステップS33において否定判定され、ステップS35に進む。
ステップS34において、制御部52は、認証(ユーザー用暗証番号認証)が成立するか否かを判断する。具体的には、制御部52は、部屋番号記憶領域51bから読み出した部屋番号を参照し、管理データベース51aを検索し、当該部屋番号に紐付けられたユーザー用暗証番号を特定する。制御部52は、特定したユーザー用暗証番号と、テンキー42により入力された情報とを比較し、両者が一致する場合には認証成立と判断し、両者が一致しない場合には認証不成立と判断する。認証が成立した場合には、ステップS34において肯定判定され、ステップS39に進む。一方、認証が成立しない場合には、ステップS34において否定判定され、本ルーチンを終了する。
ステップS35において、制御部52は、起動ボタン41が押下操作されたか否かを判断する。起動ボタン41が押下操作された場合には、ステップS35において肯定判定され、ステップS36に進む。一方、起動ボタン41が押下操作されない場合には、ステップS35において否定判定され、ステップS33に戻る。
ステップS36において、制御部52は、表示部43を制御してカードマーク44cを表示する。カードマーク44cの表示は、例えば、ステップS37において情報の読取が判断されるまで行われる。
ステップS37において、制御部52は、カードリーダー30により情報が読み取られたか否かを判断する。カードリーダー30により情報が読み取られた場合には、ステップS37において肯定判定され、ステップS38に進む。一方、カードリーダー30により情報が読み取られない場合には、ステップS37において否定判定され、ステップS37に戻る。
ステップS38において、制御部52は、認証(IC認証)が成立するか否かを判断する。具体的には、制御部52は、部屋番号記憶領域51bから読み出した部屋番号を参照し、管理データベース51aを検索し、当該部屋番号に紐付けられたユーザーカード100のIDを特定する。制御部52は、特定したユーザーカード100のIDと、カードリーダー30により読み取られた情報とを比較し、両者が一致する場合には認証成立と判断し、両者が一致しない場合には認証不成立と判断する。認証が成立した場合には、ステップS38において肯定判定され、ステップS39に進む。一方、認証が成立しない場合には、ステップS38において否定判定され、本ルーチンを終了する。
ステップS39において、制御部52は、解錠動作を行う。具体的には、制御部52は、錠装置20に解錠信号を出力し、扉11を解錠する。また、制御部52は、表示部43を制御して解錠マーク44bを所定の期間だけ表示するとともに、スピーカー61から所定の音を出力する。
ステップS40において、制御部52は、錠装置20によって検知される扉11の開閉状態を参照し、扉11が開かれたか否かを判断する。扉11が閉じられたままの場合には、ステップS40において否定判定され、ステップS41に進む。一方、扉11が開かれた場合には、ステップS40において肯定判定され、ステップS43に進む。
ステップS41において、制御部52は、扉11が解錠されてからの経過時間が、待機時間、例えば5秒を経過したか否かを判断する。待機時間を経過していない場合には、ステップS41において否定判定され、ステップS40に戻る。一方、待機時間を経過した場合には、ステップS41において肯定判定され、ステップS42に進む。
ステップS42において、制御部52は、施錠動作を行う。具体的には、制御部52は、錠装置20に施錠信号を出力し、扉11を本施錠する。また、制御部52は、表示部43を制御して施錠マーク44aを所定の期間だけ表示するとともに、スピーカー61から所定の音を出力する。
ステップS43において、制御部52は、錠装置20によって検知される扉11の開閉状態を参照し、扉11が閉じられたか否かを判断する。ボックス本体10から荷物が取り出されると、扉11が閉じられることから、本ステップの判断が設けられている。扉11が閉じられた場合には、ステップS43において肯定判定され、ステップS44に進む。一方、扉11が閉じられていない場合には、ステップS43において否定判定され、ステップS43に戻る。
ステップS44において、制御部52は、施錠動作を行う。具体的には、制御部52は、錠装置20に施錠信号を出力し、扉11を仮施錠する。また、制御部52は、表示部43を制御して施錠マーク44aを所定の期間だけ表示するとともに、スピーカー61から所定の音を出力する。加えて、制御部52は、部屋番号記憶領域51bに登録された部屋番号を削除する。
ステップS45からステップS53までの処理は、ステップS32からステップS34及びステップS39からステップS44までの処理と概ね対応しているため、以下、相違点について説明する。
具体的には、ステップS46において、制御部52は、テンキー42により暗証番号に相当する4桁の数字の入力が行われたか否かを判断する。テンキー42により入力が行われた場合には、ステップS36において肯定判定され、ステップS47に進む。一方、テンキー42により入力が行われない場合には、ステップS46において否定判定され、ステップS46に戻る。
ステップS47において、制御部52は、認証(ワンタイム暗証番号認証)が成立するか否かを判断する。具体的には、制御部52は、ワンタイム暗証番号記憶領域51cから読み出したワンタイム暗証番号と、テンキー42により入力された情報とを比較し、両者が一致する場合には認証成立と判断し、両者が一致しない場合には認証不成立と判断する。認証が成立した場合には、ステップS47において肯定判定され、ステップS48に進む。一方、認証が成立しない場合には、ステップS47において否定判定され、本ルーチンを終了する。
ステップS53において、制御部52は、施錠動作を行う。具体的には、制御部52は、錠装置20に施錠信号を出力し、扉11を仮施錠する。また、制御部52は、表示部43を制御して施錠マーク44aを所定の期間だけ表示するとともに、スピーカー61から所定の音を出力する。加えて、制御部52は、部屋番号記憶領域51bに登録された部屋番号、及びワンタイム暗証番号記憶領域51cに登録されたワンタイム暗証番号を削除する。
このように本実施形態に係る宅配ボックス1において、入力装置40は、0から9までの各数字からなる10個の数字キー42aを含むテンキー42と、10個の数字キー42aを用いて表示を行う表示部43と、を備えている。この場合、テンキー42は、荷物の預入において部屋番号の入力を受け付ける。そして、表示部43は、荷物が預け入れられた状態において、荷物の預入時にテンキー42から入力された部屋番号を表示する。
この構成によれば、入力装置40が数字キー42aを用いて表示を行う表示機能を備えている。数字キー42aは、0から9までの数字を含み、一方で、部屋番号は数字で表現されるから、両者は数字という点において共通する。そのため、数字キー42aを用いた表示機能を利用して、荷物の預入が行われた部屋番号の表示を行うことができる。入力装置40が備える表示機能を利用することで、部屋番号を表示するための専用の構成を別途設ける必要がないので、廉価な構成で部屋番号を表示することができる。
また、本実施形態において、表示部43は、10個の数字キー42aを用いて、部屋番号を構成する数字を上位の桁から順番に一つずつ表示している。
テンキー42を構成する各キー42a,42b,42cは、予め定められたデザイン(例えば、マトリクス状)に従って、その配置が決められている。そのため、部屋番号を表示するにあたり、部屋番号を構成する4桁の数字を同時に表示してしまうと、どの数字がどの桁(位)を表しているのか判然としない。この点、本実施形態の手法によれば、部屋番号を構成する数字が上位の桁から順番に一つずつ表示されるので、表示される数字とその桁(位)を正しく把握することができる。これにより、数字キー42aによって表示される数字から、部屋番号を正しく認識することができる。
また、本実施形態において、制御部52は、荷物の取出を行う際に扉11を解錠するための動作モードとして、通常認証動作モードとワンタイム認証動作モードとを有しており、2つの動作モードを切り替えることがでる。ここで、通常認証動作モードは、荷物の預入において入力された部屋番号と紐付けられたユーザーカード100のID又はユーザー用暗証番号に基づいて、カードリーダー30によって読み取られた情報又はテンキー42に入力された情報を認証した場合に、扉11の解錠を許可するモードである。一方、ワンタイム認証動作は、荷物の預入において入力されたワンタイム暗証番号に基づいて、テンキー42に入力された情報を認証した場合に、扉11の解錠を許可するモードである。
この構成によれば、荷物の取出を2種類の方法で行うことができる。通常、ユーザーカード100のID又はユーザー用暗証番号を利用しなければ、扉11の解錠を行うことはできない。しかしながら、荷物の集荷にあっては、宅配業者が扉11を解錠する必要がある。この場合、ユーザーが利用するユーザーカード100のID又はユーザー用暗証番号を宅配業者に通知することは、セキュリティー上問題がある。また、宅配業者に専用カードを付与することも考えられるが、専用カードの準備が必要となる。
この点、本実施形態によれば、荷物の取出における扉11の解錠を、ユーザーカード100のID又はユーザー用暗証番号に代えて、ワンタイム暗証番号で行うことができる。したがって、荷物の集荷の依頼に併せて、宅配業者にワンタイム暗証番号を通知すれば、宅配業者が扉11の解錠を行うことができる。このワンタイム暗証番号は、ユーザーカード100のID又はユーザー用暗証番号とは異なるので、ユーザーカード100のID又はユーザー用暗証番号が宅配業者に知られてしまうことを防止することができる。加えて、本実施形態では、ワンタイム暗証番号は、荷物の預入から荷物の取出という1サイクルにおいて、1回限りで有効とされている。そのため、最新のワンタイム暗証番号でなければ、扉11の解錠を行うことができないので、従前のワンタイム暗証番号を知っていたとしても荷物の取出を行うことができない。したがって、荷物の不正な取出を抑制することができる。これにより、1つの宅配ボックス1で、荷物の着荷の他に、荷物の集荷という2つの役割を果たすことができ、ユーザーの利便性の向上を図ることができる。
また、本実施形態において、制御部52は、荷物の預入においては認証を行わず、扉11の解錠を許可している。扉11の解錠に対して常時認証を必要とすると、宅配業者による荷物の預入においても認証が必要となる。上述した通り、ユーザーカード100のID又はユーザー用暗証番号を宅配業者に通知することは、セキュリティー上問題がある。また、宅配業者に専用カードを付与することも考えられるが、専用カードの準備が必要となる。この点本実施形態によれば、荷物の預入においては誰でも扉11の解錠を行うことができるので、宅配業者に対する利便性の向上を図ることができる。
また、本実施形態によれば、ユーザーカード100のID又はユーザー用暗証番号のどちらであっても、扉11の解錠を行うことができる。これにより、ユーザーの使い勝手がよい方法で宅配ボックス1を利用することができる。
なお、上述した実施形態では、取出処理において、テンキー42をイニシャル表示し、ユーザー用暗証番号認証を優先的に利用可能としつつも、起動ボタン41の押下操作を条件に、ICカード認証を代替的に利用可能としている。しかしながら、カードマーク44cをイニシャル表示し、ICカード認証を優先的に利用可能としつつも、起動ボタン41の押下操作を条件に、ユーザー用暗証番号認証を代替的に利用可能とするものであってもよい。
また、管理データベース51aのユーザーレコードの記述内容に応じて、優先利用する認証を切り替えてもよい。例えば、ユーザーレコードにユーザーカード100のIDのみが登録されている場合には、カードマーク44cをイニシャル表示し、ICカード認証を優先的に利用可能とし、ユーザーレコードにユーザー用暗証番号のみが登録されている場合には、テンキー42をイニシャル表示し、ユーザー用暗証番号認証を優先的に利用するといった如くである。あるいは、ユーザーの設定に応じて、優先利用する認証方法を選択するようにしてもよい。
また、本実施形態では、荷物の預入において部屋番号の入力受付を有効としている。しかしながら、この入力受付を無効とすることも可能である。この場合、複数の住戸(部屋番号)を識別することができなくなるので、1つの住戸に対してユーザーカード100のID等の紐付けが行われることとなる。このように、部屋番号の入力受付の有効無効を切り替えることで、集合住宅用途と、一戸建て住宅用途とで宅配ボックス1を使い分けることができる。これにより、複数の使用をラインナップすることなく、一つの仕様の宅配ボックス1を、集合住宅及び一戸建て住宅に対して共通で利用することができる。
また、本実施形態において、表示部43による部屋番号表示を有効としているが、この部屋番号表示を無効とすることも可能である。これらの設定は、管理者による管理モードにより行うことができる。これにより、部屋番号表示が煩わしいと感じるユーザーにあっては、その表示を無効とすることができるので、ユーザーにとって使い勝手のよい宅配ボックス1を提供することができる。
以上、本実施形態に係る宅配ボックスについて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されることなく、その発明の範囲において種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、記録媒体としてICカードを例示したが、磁気カード等その他の記録媒体を広く用いることができる。
また、本実施形態では、宅配ボックスの適用先として一戸建て住宅を例示したが、一戸建て住宅以外にも小規模なオフィスや施設等に適用してもよい。
また、本実施形態では、1台の宅配ボックスを集合住宅に設置する形態を説明した。しかしながら、複数の宅配ボックスを連結させて、1つの纏まりのあるユニットとして利用することも可能である。
また、本実施形態では、宅配業者による荷物の集荷を説明した。しかしながら、荷物の集荷は、親しい間柄での荷物の授受に利用してもよく、宅配業者に限られない。
また、本実施形態では、数字キーとして0から9までの10個の数字を示したが、これに限られない。複数の整数(0以上)から種々の数字キーを利用することができる。