JP7142348B2 - 弁装置 - Google Patents

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本発明は、主として蒸気通路の温調トラップとして用いられる弁装置に関し、詳しくは主として弁口周辺に付着堆積して流体の排出流量の減少や目詰まりの原因となる錆や水垢などのスケールの清掃除去が容易に行える弁装置に関する。
一般に、重油のような油を送給する送油管には、その外周に蒸気管(鋼管トレース)を螺旋状に巻いて、蒸気管に蒸気を通すことによって送油管内の油を間接的に加熱し、油の温度を上げてスムースに流せるようにしている。蒸気管内を流れる蒸気は油との熱交換によって温度低下し、一部がドレン化して復水が生じるが、この復水は、蒸気管の適所に配置した感温弁のような弁装置からなる温調トラップによって外部に排出している。
ところで前記蒸気管には、送油管に対する熱伝導性を考慮し、もっぱら熱伝導性に優れた銅管が多く用いられている。ところがこの銅管は錆が発生しやすく、ゴミ、水垢とともにスケールとして温調トラップの弁部分(特に弁口周辺)にこびりつき付着堆積する。このようにスケールが弁部分に付着堆積すると、流体の排出流量の減少、目詰まりなどを生じて、復水を外部に排出しにくくなって、温調トラップとして正常に機能しなくなる。
このため、温調トラップが常に正常に機能するように、弁部分に付着堆積したスケールは随時、清掃して取り除かれるが、従来、このようなスケールを清掃除去する機能を備えた温調トラップとして、次のようなものが知られている。すなわち、このようなスケールを清掃除去する機能を備えた温調トラップとして、出口流路より清掃具を下方から弁口に繋がる内周面を擦るように上昇させ、弁口流路に付着堆積したスケールを除去させるトラップがある(例えば特許文献1)。この温調トラップによれば、排出流量の減少や目詰まりの原因となるスケールを清掃除去することができ、弁体の清掃および強制開弁によるブローも可能となる。
特許第4388347号
しかしながら、前記温調トラップの場合、清掃具により擦り取ったスケールを、強制
開弁により流出する流体とともに弁口を通過させて外部に排出する際に、清掃具とこの清掃具を保持するケースとの間から高温の流体が外部へ漏れ出ることがある。このため、一旦通気を止めてからしか清掃作業ができず、作業効率が悪かった。このような高温の流体が外部へ漏れ出る原因は、シール材として用いている0―リングが強度不足、耐熱性および耐久性に劣るためであると考えられる。
本発明は、強制開弁により流体とスケールとを弁口を通過させて外部に排出する際に、高温の流体が外部へ漏れ出ることがなく、スケール除去機能を十分に発揮できる弁装置を提供することを目的する。
上記目的を達成するために、本発明に係る弁装置は、弁座部材における弁口に連なる弁座連通路を清掃する清掃具を備え、前記清掃具は、清掃棒がケースに進退自在に挿入され、前記清掃棒と前記ケースとの間に、シール性の高い第1のパッキンと、その軸方向両側に配置された第2のパッキンとを有し、前記第2のパッキンは前記第1のパッキンよりも耐熱性が高い。
この構成によれば、清掃具により弁口周辺に付着堆積したスケールを清掃除去したのち、強制開弁により前記スケールを流体と共に弁口を通過させて外部に排出する際、前記清掃棒とケースとの間が、シール性の高い第1のパッキンと、その軸方向両側に第1のパッキンよりも耐熱性が高い第2のパッキンとを配置したので、高温の流体に晒されても第2のパッキンはもとより第1のパッキンも軸方向両側の第2のパッキンで覆われているから、高温による熱劣化が抑制され、清掃棒とケースとの間のシール性が確保される。これにより、高温の流体が外部へ漏れ出ることがなく、スケール除去機能を長期にわたって十分に発揮できる。
本発明において、前記清掃棒の外端に清掃棒を進退させる回転自在なハンドルが取り付けられていることが望ましい。この構成によれば、ハンドルを回転操作することで清掃棒を回転させながら弁口にねじ込んで進入させることができるので清掃作業が容易になる。
本発明において、前記清掃棒の中間部位に前記清掃棒が前記弁口に進入する方向への移動量を規制する移動量規制部材が設けられていることが望ましい。この構成によれば、移動量規制部材によって清掃棒が必要以上に弁口の内側に進入するのを阻止できるので、弁口より先にある他の部材に接触するのを防止できる。
また、本発明において、前記移動量規制部材が当接して前記清掃棒の進入限度位置を決める当接面が前記ボデイの上部に設けられていることが望ましい。この構成によれば、構造が簡素となるため、製作が容易でコストの低減も図ることができる。
さらに、本発明において、前記清掃棒の先端に前記弁口の内周面のスケールをかき落とすシェーパ部が形成されていることが望ましい。この構成によれば、シェーパ部は削り機能を有するため、弁口の周辺に付着堆積したスケールを効率的にかき落すことができる。
本発明によれば、清掃具により弁口周辺に付着堆積したスケールを清掃除去したのち、強制開弁により前記スケールを流体と共に弁口を通過させて外部に排出する際、前記清掃棒とケースとの間が、シール性の高い第1のパッキンと、その軸方向両側に第1のパッキンよりも耐熱性が高い第2のパッキンとを配置したので、高温の流体に晒されても第2のパッキンはもとより第1のパッキンも軸方向両側の第2のパッキンで覆われているから、高温による熱劣化が抑制され、清掃棒とケースとの間のシール性が確保される。これにより、高温の流体が外部へ漏れ出ることがなく、スケール除去機能を長期にわたって十分に発揮できる。
本発明の一実施形態に係る弁装置の縦断面図である。 同弁装置の要部の拡大図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る弁装置の縦断面図である。
〈弁装置全体の概略構成〉
同図に示す弁装置1は感温弁であり、左右両側に蒸気のような流体の流入口2aおよび流出口2bを有するケース2と、このケース2の上部の開口部に着脱可能にねじ連結されたカバー3と、このカバー3の上部を覆うキャップ4とを備えており、これらケース2およびカバー3により、弁室30が形成されている。
弁装置1にはさらに、弁室30の底部にねじ結合された弁座部材5と、この弁座部材5の弁口51を開閉するボール弁タイプの弁体17を下端部に備えた円筒形のホルダ6と、このホルダ6内に下端部が上方から挿入された弁棒10とが配置されている。ここで、弁口51は、円錐面の一部からなる弁座面51aと、これの下流に同心状に連なる円孔からなる弁孔51bとを含む、弁出口となる部分をいう。
前記弁棒10は、これの下端部近傍箇所に一体形成された鍔部10aがホルダ6の内部上端部に係合されて、ホルダ6に対し一体的に軸方向(この例では上下方向)に移動するように連結されている。鍔部10aと弁体17との間に介装された保持ばね19は、弁体17を下方に押圧してホルダ6の下面のガイド孔22から一部突出させた状態に保持する。このとき、前記弁体17は、前記ホルダ6のガイド孔22に入った状態では上方のみに移動可能に支持されている。弁体17はガイド孔22から上方に離れた位置にあるとき、鉛直方向および水平方向に移動可能なフリー状態となっている。弁棒10の上端部は、調節部材7に設けた挿通孔71に上下移動可能に挿通されることにより、調節部材7に支持されている。この調節部材7はカバー3のねじ孔にねじ結合され、ロックナット31で固定されている。調節部材7とカバー3との間はOリング7aによりシールされている。
前記弁棒10には、調節部材7の下方側に、流体の温度に応じて前記ホルダ6を上下に駆動する感温駆動体8が上下方向に向け膨張変形可能に装着されている。この感温駆動体8は、複数のバイメタルが積層されたバイメタル積層体で構成されている。感温駆動体8の上端は調節部材7の下端面に接触し、下端は弁棒10に固定されたばね受け部材21の上面に接触している。前記ホルダ6は、弁座部材5に溶接で固定された円筒形のガイド体12の内周面に嵌合されて、このガイド体12に沿って上下方向(軸方向)に案内される。これにより、ホルダ6の上下移動(軸方向移動)が安定してなされる。また、ばね受け部材21と弁室30の底面との間にコイルスプリングからなる復帰用ばね9が介装されており、この復帰用ばね9により弁棒10に開弁方向のばね力が付加されている。さらに、弁室30には、感温駆動体8、ホルダ6および復帰用ばね9の外周を覆う形で、円筒形のスクリーン11が配置されており、流入口2aから流入する流体Fは、これに含まれるごみのような異物がスクリーン11で除去されたのち、弁口51に達する。
前記ガイド体12には、弁口51へ向かう流体の通路を形成する通孔20が周方向に均等に複数(図示のものでは前後左右計4つ)設けられている。通孔20は、弁体17が弁口51を閉じる直前に、下降したホルダ6により部分的に閉じられる位置に設定されている。これらガイド体12と弁座部材5は、前記のように、別体のものを溶接したものに限らず、一体形成されたものであってもよい。
前記流体の流入口2aと弁室30とは、導入側連通孔13を介して連通しており、流体の流出口2bと弁室30とは、前記弁座部材5に設けられて弁口51から下方に延びる弁座連通路14と、この弁座連通路14につながる導出側連通孔15とを介して連通している。
〈清掃具の構成について〉
このような構成からなる弁装置1において、ケース2の下部に、弁座連通路14に臨むねじ孔61が貫通して形成されており、このねじ孔61に清掃具63のボデイ64がねじ64aで連結されている。ボデイ64の中心部を清掃棒65が貫通している。清掃棒65は中間の膨出部66の外周の雄ねじ部65aがボデイ64のねじ孔64bに螺合している。ボデイ64の内端部に設けた挿通孔80に清掃棒65が挿通されている。ボデイ64の外端部にはカップ状の保持部材69がねじ70により結合されている。清掃棒65は保持部材69を貫通している。この清掃棒65の中間部位には清掃棒65の軸方向への移動量を規制する移動量規制部材71が設けられ、清掃棒65の外端には回転自在なハンドル76が取り付けられている。これにより、ハンドル76の回転操作により清掃棒65を弁口51内に進入させたとき、移動量規制部材71がボデイ64の上部の当接面64cに当接して、清掃棒65の進入限度位置が決まる。
ボデイ64の外端部の径方向内側における清掃棒65との間の空間には三層構造からなるパッキンユニット73が配設され、このパッキンユニット73の上層部とボデイ64の内側の段部64dとの間にプレート75が介装されている。パッキンユニット73と保持部材69の底壁との間にはブッシュ77が嵌め込まれており、ボデイ64の外端面と保持部材69の底壁との間に隙間Sが設けられている。これにより、保持部材69の締め込みによって、プレート75とパッキンユニット73がブッシュ77を介して段部64dに圧接される。パッキンユニット73は、シール性の高い第1のシート状パッキン73aと、その軸方向両側に配置された第2のシート状パッキン73bとを有し、第2のシート状パッキン73bは第1のシート状パッキン73aよりも耐熱性が高い構成となっている。
この場合において、弁室30内の高温の流体がボデイ64の挿通孔80およびねじ孔64bを通ってプレート75およびパッキンユニット73に達するが、このパッキンユニット73によってシールされて、外部に漏れない。このとき、弁室30に近い内側の第2のシート状パッキン73bはボデイ64、清掃棒65およびプレート75を介して受熱し、外側の第2のシート状パッキン73bはボデイ64、清掃棒65およびブッシュ77を介して受熱するので比較的高温となるが、中央の第1のシート状パッキン73aはボデイ64および清掃棒65から受熱するのみなので、比較的低温である。そこで、第2のシート状パッキン73bの耐熱温度は第1のシート状パッキン73aよりも30~70℃、または40~60℃高いのが好ましい。この実施形態では第1のシート状パッキン73aは200℃の耐熱性を保持し、第2のシート状パッキン73bは250℃の耐熱性を保持している。一般に、耐熱性の低い第1のシート状パッキン73aは第2のシート状パッキン73bよりも安価であり、さらに弾性率が高い、すなわち、柔軟であるから、シール性が高い。なお、第1のシート状パッキン73aの好ましい耐熱性の範囲は180~220℃、第2のシート状パッキン73bの好ましい耐熱性の範囲は230~270℃である。
ここで、第1のシート状パッキン73aの素材としては、シール性に優れ、摩擦抵抗が小さく、固着しにくい性質を有するPTFE(ポリテトラフルオロエチレン樹脂:商品名テフロン(登録商標))を用いる。また、第2のシート状パッキン73bの素材としては、耐熱性に優れたPEEK(ポリエーテル・エーテルケトン樹脂)を用いる。これにより、第1のシート状パッキン73aと第2のシート状パッキン73bとの相乗効果として、シール性に優れ、摩擦抵抗が小さく、固着しにくい性質と、優れた耐熱性を併せ持つパッキンユニット73を実現できる。パッキンユニット73、プレート75およびブッシュ77はいずれも、中空孔を有する環状である。
〈動作について〉
このように構成される弁装置1が温調トラップとして使用されると、弁口51の下流に連なる弁座連通路14には錆や水垢などのスケールが経時的に付着堆積して、弁体17の表面にもスケールが付着する。これにより、流路が狭められて排出流量の減少や目詰まりの原因となる。このようなスケールは定期的に前記清掃具63によって取り除く。すなわち、図1の清掃具63のハンドル76を回転操作して清掃棒65を回転させながら、図2に示すように、弁口51に進入させ、清掃棒65の先端のシェーパ部79で弁口51の周辺に付着堆積したスケールをかき落とす。このシェーパ部79は削り機能を有するもので、中央部が円錐状にくぼみ、周縁部が鋭利な切れ刃状に形成されたものであり、弁口の周辺に付着堆積したスケールを効率的にかき落すことができる。
上記のようにして弁口51の周辺に付着堆積したスケールがかき落とされた後、シェーパ部79が弁体17を若干押し上げて弁口51を開放する。これにより、高温の流体が弁口51から図1の弁座連通路14および導出側連通孔15を経て流出口2bから外部に排出され、この流体とともにスケールも外部に排出される。
〈作用・効果について〉
以上のように構成されるこの発明の弁装置1は、図1に示すように、清掃棒65とボデイ64との間が、シール性の高い第1のシート状パッキン73aと、その軸方向両側に第1のシート状パッキン73aよりも耐熱性が高い第2のシート状パッキン73bとを配置したので、清掃棒65により弁口51周辺に付着堆積したスケールを清掃除去する際に、強制開弁によりスケールを流体と共に弁口51を通過させて外部に排出するときに、高温の流体がボデイ64と清掃棒65の隙間に進入しても第1のパッキン73aを含めてパッキンユニット73が熱劣化することなく、清掃棒65とケース2との間のシール性が確保される。これにより、高温の流体が外部へ漏れ出ることがなく、スケール除去機能を長期にわたって十分に発揮できる。
図1に示すように、清掃棒65の外端に清掃棒65を進退させる回転自在なハンドル76が取り付けられているので、ハンドル76を回転操作することで清掃棒65を回転させながら弁口51ねじ込んで進入させることができるから清掃作業が容易になる。
また、清掃棒65の中間部位にこの清掃棒65が弁口51に進入する方向への移動量を規制する移動量規制部材71が設けられているから、この移動量規制部材71によって清掃棒65が必要以上に弁口51の内側に進入するのを阻止できるので、弁口51より先にある他の部材に接触するのを防止できる。
前記清掃棒65の進入限度位置は、図1の移動量規制部材71がボデイ64の上部に設けた当接面64cに当接することにより決められる。このような簡素な構造としたので、製作が容易でコストの低減も図ることができる。
さらに、図2に示すように、清掃棒65の先端に弁口51の内周面のスケールをかき落とすシェーパ部79が形成されている。このシェーパ部79は削り機能を有するため、弁口51の周辺に付着堆積したスケールを効率的にかき落すことができる。
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものもこの発明の範囲内に含まれる。
1…弁装置
2…ケース
2b…流出口
5…弁座部材
10…弁棒
14…弁座連通路
15…導出側連通孔
17…弁体
20…通孔
51…弁口
63…清掃具
64…ボデイ
64c…当接面
65…清掃棒
69…保持部材
71…移動量規制部材
73…パッキンユニット
73a…第1のパッキン
73b…第2のパッキン
76…ハンドル
79…シェーパ部

Claims (2)

  1. 弁座部材における弁口に連なる弁座連通路を清掃する清掃具を備え、
    前記清掃具は、清掃棒がボデイに進退自在に挿入され、前記清掃棒と前記ボデイとの間に、シール性の高い第1のパッキンと、その軸方向両側に配置された第2のパッキンとを有し、前記第2のパッキンは前記第1のパッキンよりも耐熱性が高く、
    前記清掃棒の外端に清掃棒を進退させる回転自在なハンドルが取り付けられており、
    前記清掃棒の中間部位に前記清掃棒が前記弁口に進入する方向への移動量を規制する移動量規制部材が設けられており、
    前記移動量規制部材が当接して前記清掃棒の進入限度位置を決める当接面が前記ボデイの上部に設けられている、弁装置。
  2. 請求項に記載の弁装置において、前記清掃棒の先端に前記弁口の内周面のスケールをかき落とすシェーパ面が形成されている、弁装置。
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