JP7141803B2 - 窒化物半導体素子 - Google Patents
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Description
特に、AlGaNは、深紫外光の受発光素子やAlGaN/GaN系トランジスタやパワーデバイス等の様々なデバイスに用いられている。しかし、Al組成の高いAlGaNは、電極材料とのオーミックコンタクトが取りにくく、かつ電極との界面の抵抗が高くなるという課題がある。また、電極は複数の金属材料からなる積層体を加熱処理することで形成されるため、この加熱処理中に合金が形成されるが、形成された合金の抵抗が高いと、電極のバルク抵抗が上昇することがある。なお、ここでは、半導体と電極との界面の抵抗およびバルク抵抗の和を、コンタクト抵抗と定義する。
Al組成の高いAlGaNを用いた発光素子のコンタクト抵抗を低くする方法としては、例えば特許文献1に記載された方法が挙げられる。この方法では、n型AlxGa(1-x)N層上に、電極用の金属層として例えばTi/Al/Ti/Au層をそれぞれ20nm/100nm/50nm/100nmの膜厚で蒸着し、瞬間熱アニール処理を行うことで電極層を形成している。そして、熱処理温度をn型AlxGa(1-x)N層のAl組成に応じて適正な温度に設定することで、コンタクト抵抗を低くしている。つまり、熱処理温度を、n型AlxGa(1-x)N層のAl組成に応じてコンタクト抵抗が最も低くなるように設定している。
本発明の課題は、Al組成の高いAlGaNを用いた発光素子の場合でもコンタクト抵抗の低減効果が高い窒化物半導体素子を提供することである。
(1)基板と、基板上に形成された第一導電型の第一窒化物半導体層と、第一窒化物半導体層上に形成された第一電極層と、を有する。
(2)第一電極層はアルミニウムとニッケルを含む。
(3)第一電極層の第一窒化物半導体層に対する接触面または接触面の近傍に、少なくともアルミニウムおよびアルミニウムとニッケルとを含む合金の両方が存在する。
一態様の窒化物半導体素子においては、上記構成(1)~(3)を含み、上記接触面の少なくとも一部にTi、Mo、V、Au、W、Pt、Pd、Si、およびZrから選択される一以上の元素が存在していてもよいし、接触面の少なくとも一部にTiまたはAuの少なくとも一以上の元素が存在していてもよい。また、一態様の窒化物半導体素子においては、接触面の少なくとも一部にTiが存在していてもよい。
(4)上記接触面または上記接触面の近傍面におけるアルミニウムおよびアルミニウムとニッケルとを含む合金の合計存在率が60面積%以上または70面積%以上である。
(5)上記接触面または上記近傍面は、アルミニウムとニッケルとを含む合金層の第一窒化物半導体層側の面である第一領域、および上記合金層以外のアルミニウム含有層の第一窒化物半導体層側の面である第二領域を有し、第一領域および第二領域の合計面積に対する第二領域の面積の比率が30%以上である。
また、上記接触面の近傍面とは、上記接触面に平行な第一電極層内の面であって上記接触面から3nm離れた面と上記接触面との間の領域にある面を意味する。
(6)上記アルミニウム含有層の厚さは1nm以上150nm以下または1nm以上100nm以下である。
(7)上記合金層の厚さは100nm以上1000nm以下または100nm以上600nm以下である。
(8)上記基板に垂直で、平面視で上記基板の中心を通り上記基板の一端から他端まで延びる直線に沿った断面において、上記合金層と上記アルミニウム含有層との面積比が、合金層:アルミニウム含有層=1:2~400:1または2:35~400:1を満たす。
一態様の窒化物半導体素子において、第一窒化物半導体層は、AlxGa(1-x)N(0≦x≦1)を含むものとすることができる。
一態様の窒化物半導体素子は、下記の構成(9)を有する紫外線発光素子を構成することができる。
(9)上記第一窒化物半導体層上の一部に形成され、第二導電型の第二窒化物半導体層を含む窒化物半導体積層体と、上記窒化物半導体積層体の上記第二窒化物半導体層上に形成された第二電極層と、を有する。上記窒化物半導体積層体は、上記第二窒化物半導体層よりも上記第一窒化物半導体層側に窒化物半導体発光層を含み、上記窒化物半導体発光層は波長が300nm以下の紫外線を発光する。
第一態様の窒化物半導体素子に含まれる紫外線発光素子を備えた発光装置は、紫外線発光モジュールとして使用することができる。紫外線発光モジュールは、例えば、医療・ライフサイエンス分野、環境分野、産業・工業分野、生活・家電分野、農業分野、その他分野の装置に適用可能である。
第一態様の窒化物半導体素子に含まれる紫外線発光素子または第二態様の窒化物半導体発光素子に含まれる紫外線発光素子を備えた発光装置は、薬品や化学物質の合成・分解装置、液体・気体・固体(容器、食品、医療機器等)殺菌装置、半導体等の洗浄装置、フィルム・ガラス・金属等の表面改質装置、半導体・FPD・PCB・その他電子部品製造用の露光装置、印刷・コーティング装置、接着・シール装置、フィルム・パターン・モックアップ等の転写・成形装置、紙幣・傷・血液・化学物質等の測定・検査装置に適用可能である。
気体殺菌装置の例としては、空気清浄器、エアコン、天井扇、床面用や寝具用の掃除機、布団乾燥機、靴乾燥機、洗濯機、衣類乾燥機、室内殺菌灯、保管庫の換気システム、靴箱、タンス等が挙げられるがこの限りではない。固体殺菌装置(表面殺菌装置を含む)の例としては、真空パック器、ベルトコンベヤ、医科用・歯科用・床屋用・美容院用のハンドツール殺菌装置、歯ブラシ、歯ブラシ入れ、箸箱、化粧ポーチ、排水溝のふた、便器の局部洗浄器、便器フタ等が挙げられるがこの限りではない。
以下、この発明の実施形態について説明するが、この発明は以下に示す実施形態に限定されない。以下に示す実施形態では、この発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定はこの発明の必須要件ではない。
この実施形態では、本発明の一態様の窒化物半導体素子が紫外線発光素子に適用された例が記載されている。
先ず、図1~図3を用いて、この実施形態の紫外線発光素子10の全体構成を説明する。
図1および図2に示すように、紫外線発光素子10は、基板1と、n型窒化物半導体層(第一導電型の第一窒化物半導体層)2と、窒化物半導体積層体3と、第一電極層4と、第二電極層5と、第一パッド電極6と、第二パッド電極7と、絶縁層8を有する。
n型窒化物半導体層2は、基板1の一面11上に形成されている。窒化物半導体積層体3は、n型窒化物半導体層2上の一部に形成されたメサ部であり、側面30が斜面となっている。図2に示すように、窒化物半導体積層体3は、基板1側から、n型窒化物半導体層31、窒化物半導体発光層32、およびp型窒化物半導体層(第二導電型の第二窒化物半導体層)33が、この順に形成されたものである。
第一電極層4は、n型窒化物半導体層2上に例えば図3に示す平面形状で形成されている。つまり、第二電極層5は、基板1の中心Cを中心とした円形の平面形状を有し、第一電極層4は、第二電極層5の外側に配置され、第二電極層5の円より径の大きい同心円を開口する形で、その同心円を平面形状の内側形状線として有する。第一パッド電極6は、第一電極層4上に第一電極層4と同じ平面形状で形成されている。第二パッド電極7は、第二電極層5上に第二電極層5と同じ平面形状で形成されている。
紫外線発光素子10は、例えば、波長が300nm以下の紫外線を発光する素子である。
n型窒化物半導体層2およびn型窒化物半導体層31を形成する材料は、AlN、GaN、InNの単結晶および混晶であることが好ましく、具体例としてはn-AlxGa(1-x)N(0≦x≦1)が挙げられる。また、これらの材料には、P、As、SbといったN以外のV族元素や、C、H、F、O、Mg、Siなどの不純物が含まれていてもよい。
窒化物半導体発光層32は、単層構造でも多層構造であっても良いが、多層構造の例としては、AlGaNからなる量子井戸層とAlGaNまたはAlNからなる電子バリア層とからなる多重量子井戸構造(MQW)が挙げられる。また、窒化物半導体発光層32には、P、As、SbといったN以外のV族元素や、C、H、F、O、Mg、Siなどの不純物が含まれていてもよい。
また、n型窒化物半導体層2とp型窒化物半導体層33の間にキャリア防壁層や組成傾斜層を含んでいても良い。光出力向上の観点では窒化物半導体発光層32とp型窒化物半導体層33の間にキャリア防壁層が、キャリア防壁層とp型窒化物半導体層33の間に組成傾斜層が含まれることが好ましい。
第一電極層4の材料については後述する。
第一パッド電極6および第二パッド電極7の材料としては、例えばAu、Al、Cu、Ag、Wなどが挙げられるが、導電性の高いAuが望ましい。パッド電極の密着性向上のため界面にTiを含んでいても良い。
第一電極層4は、アルミニウムとニッケルを含む材料で形成されている。第一電極層4の材料としては、アルミニウムとニッケルに加えて、電極の密着性の向上、電極材料の酸化防止などの効果があり、かつn-AlGaNとのコンタクト抵抗が低くなる材料を用いてもよい。このような材料としては、例えば、Ti、Mo、V、Au、W、Pt、Pd、Si、Zrなどが挙げられる。第一電極層4は、より好ましくは、チタン、アルミニウム、ニッケル、および金を含む材料で形成されているのが良い。
第一の領域411は、アルミニウムとニッケルとを含む合金層である第一の層4aの下面(n型窒化物半導体層2側の面)である。この下面に存在する成分は、アルミニウムとニッケルとを含む合金がほとんどであるが、例えば、Ti、Mo、V、Au、W、Pt、Pd、Si、Zrなどが含まれていても良い。より好ましくはTi、V、Zr、Au、更に好ましくはTi、V、Au更に好ましくはTi、Au更に好ましくはTiが界面に含まれており、半導体との界面の抵抗を下げる効果がある。
そして、アルミニウムとニッケルとを含む合金層の下面である第一の領域411の面積と、第二の層4bの下面である第二の領域412に存在するアルミニウム単体の面積と、の合計値が、好ましくは接触面41の面積(第一の領域411、第二の領域412、および第三の領域413の合計面積)の60%以上になっている。更に好ましくは70%以上になっており、更に好ましくは80%以上になっており、さらに好ましくは90%以上になっている。
また、第一の領域411と第二の領域412の合計面積に対する第二の領域412の面積の比率(以下、「アルミニウム含有率」と称する。)が、30%以上になっている。好ましくは40%以上になっており、さらに好ましくは50%以上になっている。
また、第二の領域412では、アルミニウム単体が連続層になっていてもよいし、アルミニウム単体が他の元素と混合された状態で存在していてもよいし、アルミニウムと他の元素との化合物が存在していてもよいし、ニッケル以外の金属とアルミニウムとの合金が存在していてもよい。第二の領域412には、例えば、Ti、Mo、V、Au、W、Pt、Pd、Si、Zrなどが含まれていても良い。より好ましくはTi、V、Zr、Au、更に好ましくはTi、V、Au、更に好ましくはTi、Au、更に好ましくはTiが界面に含まれており、半導体との界面の抵抗を下げる効果がある。
図4のA-A断面は、基板1に垂直で、平面視で基板1の中心を通り基板1の一端から他端まで延びる直線に沿った断面である。つまり、図5に示す第一電極層4が複数横方向に連続した状態が、例えば図3のB-B断面に対応する。また、図4に示す接触面41が複数横方向に連続した状態が、図3のB-B断面に示す第一電極層4の下面に対応する。図1および図3において、直線Lは、平面視で基板1の中心Cを通り基板1の一端から他端まで延びる直線の一例である。
実施形態の紫外線発光素子10は、第一電極層4のn型窒化物半導体層2に対する接触面41または接触面41の近傍に、アルミニウム単体およびアルミニウムとニッケルとを含む合金の両方が存在することで、n型窒化物半導体層2がn-AlxGa(1-x)N(0.50≦x<0.95)である場合でも、コンタクト抵抗を大幅に低減することが期待できる。コンタクト抵抗が低減できることで駆動電圧を低減できるため、紫外線発光素子10は、発熱量が少なくなり、熱による出力低下や寿命低下が抑制される。
実施形態の紫外線発光素子10では、接触面41または接触面41の近傍に存在するアルミニウム単体により、第一電極層4のn型窒化物半導体層2との界面及びその近傍に導電率の高い層が形成されるため、第一電極層4の面内で電流が流れやすくなり、コンタクト抵抗の低減及び電流集中の抑制が可能になる。また、第一電極層4のn型窒化物半導体層2に対する接触面41または接触面近傍にアルミニウム単体が存在することで、第一電極層4のn型窒化物半導体層2との界面及びその近傍での反射率が高くなるため、発光出力が向上する。これらの効果はアルミニウムを含む合金中のアルミニウムでも得ることができるが、アルミニウム単体の方が得られる効果が高い。
また、第一電極層4のn型窒化物半導体層2に対する接触面41または接触面41近傍にアルミニウムとニッケルとを含む合金が存在することにより、第一電極層4の上面(接触面41の反対側の面)が凹凸状となる。これに伴い、第一電極層4とパッド電極6との密着性が向上するため、紫外線発光素子10の寿命を長くすることができる。この効果は、接触面41または接触面41近傍にアルミニウムが存在することによっても得ることができるが、アルミニウムとニッケルとを含む合金が存在する場合に高い効果が得られる。
なお、第一電極層4および第二電極層5の平面形状の例としては、図3に示す例以外に、図6に示す例が挙げられる。
図6の例では、図3の例よりも、第一電極層4の平面形状の内側形状線、すなわち周辺長が長い。また、図6のB-B断面は、図3のB-B断面と同様に、図5に示す状態になっている場合がある。
なお、この実施形態では、本発明の一態様の窒化物半導体素子を紫外線発光素子に適用した例を説明しているが、他の例としては、発光波長が紫外線に限定されない窒化物半導体発光素子、窒化物半導体受光素子、トランジスタ、パワーデバイスなどの電子デバイスが挙げられる。
実施形態に記載された構造の紫外線発光素子10を、第一電極層4の形成工程以外は既知の材料を用い既知の方法を採用して作製した。
先ず、基板1の全面にn型窒化物半導体層2を形成した後、n型窒化物半導体層2の全面に窒化物半導体発光層32を形成した。次に、窒化物半導体発光層32の全面に、p型窒化物半導体層33を形成した。これにより、基板1上に積層体が形成された構造体を得た。
基板1としては、AlN基板を用いた。n型窒化物半導体層2としては、Siを不純物として用いたn型Al0.7Ga0.3N層を形成した。窒化物半導体発光層32としては、AlGaN(量子井戸層)とAlGaN(バリア層)とからなる多重量子井戸構造の発光層を形成した。p型窒化物半導体層33としては、Mgを不純物として用いたp型GaN層を形成した。
次に、この状態の基板1の窒化物半導体層3が形成されている面の全体に絶縁層8を形成した後、面内の一部の絶縁層8を除去してn型窒化物半導体層2の一部を露出するためにBHFによるエッチングを行った。
次に、n型窒化物半導体層2の平面視で露出面となった領域に、以下の方法で第一電極層4を形成する。
次に、この状態の基板1を蒸着装置に入れ、窒化物半導体積層体3のp型窒化物半導体層33上に、図3に示す第二電極層5の平面形状で、ニッケル(Ni)層、金(Au)層をこの順に形成した後、既知の加熱処理を行って第二電極層5を形成した。
次に、この状態の基板1の第一電極層4、ドライエッチング後に形成された絶縁層8、第二の電極層5が形成されている面の全体に絶縁層8を形成した後、絶縁層8に第一パッド電極6および第二パッド電極7を形成する開口部を形成した。
次に、第一パッド電極6および第二パッド電極7をTiとAuとの積層膜で形成した。
具体的には、先ず、30kVのGa+を用いたFIB(集束イオンビーム)法で、紫外線発光素子10の第一電極層4を含む部分の基板1に垂直な所定断面を100nm以下の厚さで切り出した。次に、切り出した切片を、STEM(走査透過電子顕微鏡)により加速電圧200kVで観察し、切り出した切片のBF(明視野)およびHAADF(高角散乱環状暗視野)像を得て、その一部についてSTEM-EDX(エネルギー分散型X線分光分析法)分析を行った。
測定した結果を用い、接触面41またはその近傍における存在率(面積比率)と断面積比を算出した。この時の解析範囲は20μmとした。また、接触面41または接触面41近傍におけるAlとNi以外の混在元素の有無はSTEM-EDX分析結果から推定した。
さらに、上記と同じ方法で、第一電極層4の平面形状、窒化物半導体積層体3の平面形状および第二電極層5の平面形状が図6に示す形状である紫外線発光素子10を、図3に示す形状の場合と同一のチップサイズ(一辺が800μmの正方形)で作製し、上記と同じ方法で上述の各測定を行うとともに駆動電圧の相対値および増加率を算出した。
実施例2~7では、以下の点以外は実施例1と同じ方法で、第一電極層4、窒化物半導体積層体3および第二電極層5の平面形状が図3に示す例であるものと図6に示す例であるものの両方で、紫外線発光素子10を作製した。具体的には、表1に示すように、第一電極層4の形成条件を構成する熱処理条件のうちの基板温度、窒素温度、および加熱時間のいずれかを、実施例1とは異なる値に変化させた。
実施例8~12では、以下の点以外は実施例1と同じ方法で、第一電極層4および第二電極層5の平面形状が図3に示す例であるものと図6に示す例であるものの両方で、紫外線発光素子10を作製した。具体的には、表1に示すように、第一電極層4の形成条件を構成する金属積層構成を、実施例1とは異なるものにした。また、熱処理条件のうち窒素温度の制御は行わなかった。また、実施例9,10では基板温度を、実施例11,10では加熱時間を、実施例1とは異なる値に変化させた。
実施例9~12の第一電極層4の形成方法は、実施例8の方法と基板温度または加熱時間が異なるだけである。
実施例8~12では、このような方法で第一電極層4を形成したため、第一電極層4は、アルミニウムと金の合金等のような高抵抗の合金を含んでいない。
実施例13~17では、以下の点以外は実施例1と同じ方法で、第一電極層4および第二電極層5の平面形状が図3に示す例であるものと図6に示す例であるものの両方で、紫外線発光素子10を作製した。具体的には、表1に示すように、第一電極層4の形成条件を構成する熱処理条件のうちの基板温度および加熱時間を、実施例1とは異なる値に変化させた。
実施例18,19では、以下の点以外は実施例1と同じ方法で、第一電極層4および第二電極層5の平面形状が図3に示す例であるものと図6に示す例であるものの両方で、紫外線発光素子10を作製した。具体的には、表1に示すように、第一電極層4の形成条件を構成する金属積層構成を、実施例1とは異なるものにした。
実施例18では、第一電極層4の形成の際に、先ず、バナジウム(V)層、アルミニウム(Al)層、ニッケル(Ni)層、金(Au)層を、この順に20nm/130nm/35nm/50nmの厚さに蒸着法で形成することで、金属積層体を得た。その後、実施例1と同じ熱処理を行った。
実施例19では、第一電極層4の形成の際に、先ず、ジルコニウム(Zr)層、アルミニウム(Al)層、ニッケル(Ni)層、金(Au)層を、この順に20nm/130nm/35nm/50nmの厚さに蒸着法で形成することで、金属積層体を得た。その後、実施例1と同じ熱処理を行った。
比較例1では、以下の点以外は実施例1と同じ方法で、第一電極層4および第二電極層5の平面形状が図3に示す例であるものと図6に示す例であるものの両方で、紫外線発光素子を作製した。具体的には、表1に示すように、第一電極層4の形成条件を構成する熱処理条件のうち、窒素温度の制御は行わなかった。
そして、実施例2~19および比較例1についても、実施例1と同じ方法で第一電極層4の接触面41でのアルミニウム単体およびアルミニウムとニッケルとを含む合金の合計存在率などを測定した。また、実施例1と同じ方法で第一電極層4の駆動電圧を測定し、駆動電流が100mAの場合の駆動電圧を1とした相対値を算出した。さらに、駆動電流100mAでの駆動電圧に対する、駆動電流500mAでの駆動電圧の比を、駆動電圧増加率として算出した。
これらの測定結果および駆動電圧増加率を、第一電極層4の形成条件とともに表1に示す。
なお、表1の「Al+AlNi」は、アルミニウム単体およびアルミニウムとニッケルとを含む合金の合計を、「Al分」はアルミニウム存在率を、「AlNi層」は第一の層を、「含Al層」は第二の層をそれぞれ示す。
(a)接触面41及び接触面41近傍におけるアルミニウム単体およびアルミニウムとニッケルとを含む合金の合計存在率(Al+AlNi)が60面積%以上である。
(b)接触面41及び接触面41近傍におけるアルミニウム含有率(Al分)が30面積%以上である。
(c)アルミニウム含有層(含Al層)4bの厚さが1nm以上150nm以下である。
(d)第一の層(AlNi層)4aの厚さが100nm以上1000nm以下である。
(e)第一の層(AlNi層)4aとアルミニウム含有層(含Al層)4bとの、第一の層4aの断面積:アルミニウム含有層4bの断面積=1:2~400:1を満たす。
また、接触面及び接触面近傍にAlとNi以外の混在元素がある場合は、表1に、その元素記号を記載した。
表1において、実施例1~19の紫外線発光素子10の駆動電圧増加率は、比較例1の紫外線発光素子の駆動電圧増加率よりも小さくなっている。駆動電圧増加率はコンタクト抵抗が高いほど大きくなるため、駆動電圧増加率が小さいほどコンタクト抵抗が低いことを意味する。よって、表1の結果から、実施例1~19の紫外線発光素子10は比較例1の紫外線発光素子よりもコンタクト抵抗が低いことが分かる。
さらに、図7のグラフと図8のグラフの比較から、実施例1の紫外線発光素子10および比較例1の紫外線発光素子でも、第一電極層4および第二電極層5の平面形状が図6に示す形状である場合の方が、図3に示す形状である場合よりも、同じ駆動電流での駆動電圧(つまり、コンタクト抵抗)を低減できることが分かる。これは、平面視における第一電極層4、窒化物半導体積層体3、第二電極層5の周辺長が、図6の例で図3の例よりも長いことによる効果であり、周辺長の長い素子を設計することがコンタクト抵抗を下げる上で好ましいことを意味している。
2 n型窒化物半導体層(第一導電型の第一窒化物半導体層)
3 窒化物半導体積層体
31 n型窒化物半導体層
32 窒化物半導体発光層
33 p型窒化物半導体層(第二導電型の第二窒化物半導体層)
4 第一電極層
4a 第一電極層を構成する第一の層
4b 第一電極層を構成する第二の層
4c 第一電極層を構成する第三の層
41 第一電極層のn型窒化物半導体層に対する接触面
411 接触面の第一の領域
412 接触面の第二の領域
413 接触面の第三の領域
5 第二電極層
51 棒状部
52 棒状部
53 棒状部
54 繋ぎ部
55 繋ぎ部
6 第一パッド電極
7 第二パッド電極
8 絶縁層
10 紫外線発光素子(窒化物半導体発光素子)
Claims (14)
- 基板と、
前記基板上に形成された第一導電型の第一窒化物半導体層と、
前記第一窒化物半導体層上に形成された第一電極層と、
を有し、
前記第一電極層は、アルミニウムとニッケルとを含む合金層と、前記合金層以外のアルミニウム含有層を含み、
前記第一電極層の前記第一窒化物半導体層に対する接触面または前記接触面の近傍に、少なくともアルミニウムおよびアルミニウムとニッケルとを含む合金の両方が存在し、
前記接触面内または前記接触面の近傍面内に、前記合金層の前記第一窒化物半導体層側の面である第一領域、および前記アルミニウム含有層の前記第一窒化物半導体層側の面である第二領域が存在し、
前記接触面内または前記近傍面内に、前記第二領域で囲まれている前記第一領域を有する窒化物半導体素子。 - 前記接触面の少なくとも一部には、Ti、Mo、V、Au、W、Pt、Pd、Si、およびZrから選択される一以上の元素が存在する請求項1に記載の窒化物半導体素子。
- 前記接触面の少なくとも一部にはTiまたはAuの少なくとも一以上の元素が存在する請求項1または2に記載の窒化物半導体素子。
- 前記接触面の少なくとも一部にはTiが存在する請求項1または2に記載の窒化物半導体素子。
- 前記接触面または前記接触面の近傍面におけるアルミニウムおよびアルミニウムとニッケルとを含む合金の合計存在率が60面積%以上であり、
前記接触面または前記近傍面における前記第一領域および前記第二領域の合計面積に対する前記第二領域の面積の比率が30%以上である請求項1~4のいずれか一項に記載の窒化物半導体素子。 - 前記接触面または前記接触面の近傍面におけるアルミニウムおよびアルミニウムとニッケルとを含む合金の合計存在率が70面積%以上である請求項5に記載の窒化物半導体素子。
- 前記アルミニウム含有層の厚さは1nm以上150nm以下である請求項5に記載の窒化物半導体素子。
- 前記アルミニウム含有層の厚さは1nm以上100nm以下である請求項5に記載の窒化物半導体素子。
- 前記合金層の厚さは100nm以上1000nm以下である請求項5~7のいずれか一項に記載の窒化物半導体素子。
- 前記合金層の厚さは100nm以上600nm以下である請求項5~7のいずれか一項に記載の窒化物半導体素子。
- 前記基板に垂直で、平面視で前記基板の中心を通り前記基板の一端から他端まで延びる直線に沿った断面において、
前記合金層と前記アルミニウム含有層との面積比が、前記合金層:前記アルミニウム含有層=1:2~400:1を満たす請求項5~9のいずれか一項に記載の窒化物半導体素子。 - 前記基板に垂直で、平面視で前記基板の中心を通り前記基板の一端から他端まで延びる直線に沿った断面において、
前記合金層と前記アルミニウム含有層との面積比が、前記合金層:前記アルミニウム含有層=2:35~400:1を満たす請求項5~9のいずれか一項に記載の窒化物半導体素子。 - 前記第一窒化物半導体層はAlxGa(1-x)N(0≦x≦1)を含む請求項1に記載の窒化物半導体素子。
- 請求項1~13のいずれか一項に記載の窒化物半導体素子であって、
前記第一窒化物半導体層上の一部に形成され、第二導電型の第二窒化物半導体層を含む窒化物半導体積層体と、
前記窒化物半導体積層体の前記第二窒化物半導体層上に形成された第二電極層と、
を有し、
前記窒化物半導体積層体は、前記第二窒化物半導体層よりも前記第一窒化物半導体層側に窒化物半導体発光層を含み、前記窒化物半導体発光層は波長が300nm以下の紫外線を発光する紫外線発光素子。
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