JP7141253B2 - 船舶推進装置の転舵装置 - Google Patents

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Description

この発明は、船舶推進装置の転舵装置に関する。
従来、船舶推進装置の転舵装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、操舵状態検出手段と、走行状態検出手段と、船舶推進装置状態認識手段と、電動モータ状態検出手段とを有するECUを備える、船舶用操舵装置が開示されている。操舵状態検出手段は、ハンドル操作に従った操舵状態を検出する。走行状態検出手段は、船舶の走行状態を検出する。船舶推進装置状態認識手段は、船外機の搭載数などの状態を確認する。電動モータ状態検出手段は、電動モータの状態を検出する。この特許文献1の船舶用操舵装置のECUは、4つの上記手段からの検知値に基づいて転舵時に作用する電動モータに対する負荷が大きくなると判断される場合に、限界転舵角が小さくなるように制御する、転舵角制御手段をさらに有している。これにより、電動モータのモータ特性の限度を超えた出力が行われるのが抑制されるので、電動モータにかかる負荷が過度に大きくなるのが抑制される。
特開2008-126773号公報
上記特許文献1の船舶用操舵装置では、4つの上記手段からの検知値に基づいて電動モータに対する負荷が大きくなると判断される場合に、転舵角の上限となる限界転舵角が小さくなるように制御される。このため、実際に転舵可能な範囲よりも限定的な範囲でしか旋回することができず、転舵可能な範囲を十分に活用することができないと考えられる。このため、船舶の旋回半径が大きくなってしまう。そこで、電動アクチュエータにかかる負荷が過度に大きくなるのを抑制しつつ、転舵可能な範囲を十分に活用することが可能な船舶推進装置の転舵装置が望まれている。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、電動アクチュエータにかかる負荷が過度に大きくなるのを抑制しつつ、転舵可能な範囲を十分に活用することが可能な船舶推進装置の転舵装置を提供することである。
この発明の第1の局面による船舶推進装置の転舵装置は、船舶推進装置の推力の向きを変更可能な電動アクチュエータと、電動アクチュエータによる転舵速度と転舵速度に応じた転舵トルクとに基づいて設定される出力領域を記憶する記憶部と、ステアリングホイールの回動角度に応じた要求転舵速度と要求転舵トルクとを取得し、取得した要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域外の場合には、要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域内に入るように、要求転舵速度および要求転舵トルクの少なくとも一方を調整して、調整後の要求転舵速度および要求転舵トルクに応じて目標転舵角を設定し、取得した要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域内の場合には、ステアリングホイールの回動角度に応じた目標転舵角を設定し、設定された目標転舵角に応じて電動アクチュエータを駆動制御するように構成された制御部と、を備え、制御部は、所定の時間間隔により、目標転舵角の設定を更新するように構成されている
この第1の局面による船舶推進装置の転舵装置では、ステアリングホイールの回動角度に応じた要求転舵速度と要求転舵トルクとを取得し、取得した要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域外の場合には、要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域内に入るように、要求転舵速度および要求転舵トルクの少なくとも一方を調整して、調整後の要求転舵速度および要求転舵トルクに応じて目標転舵角を設定し、設定された目標転舵角に応じて電動アクチュエータを駆動制御するように構成する制御部を設ける。これにより、要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域外である場合には、電動アクチュエータにかかる負荷が低減されるように出力領域内に調整された要求転舵速度と要求転舵トルクとから目標転舵角が設定される。この結果、電動アクチュエータにかかる負荷が過度に大きくなるのを抑制することができる。さらに、制御部は、限界転舵角を小さくするように制御する場合と異なり、ステアリングホイールの回動角度に応じた要求転舵速度と要求転舵トルクとが取得される毎に、調整された要求転舵速度と要求転舵トルクとから目標転舵角を設定することができる。これにより、目標転舵角をステアリングホイールの回動角度に合わせて随時更新することができる。この結果、目標転舵角を適切に設定し続けることによって、船舶推進装置の転舵装置の転舵可能な範囲を十分に活用することができる。また、制御部を、取得した要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域内の場合には、ステアリングホイールの回動角度に応じた目標転舵角を設定し、設定された目標転舵角に応じて電動アクチュエータを駆動制御するように構成する。これにより、電動アクチュエータにかかる負荷を低減する必要がない場合には、ステアリングホイールの回動角度に応じた目標転舵角を設定することによって、調整された要求転舵速度と要求転舵トルクとから目標転舵角を設定する場合と比べて、船舶推進装置の転舵装置の転舵性能を十分に発揮させることができる。
上記第1の局面による船舶推進装置の転舵装置において、好ましくは、制御部は、取得した要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域外の場合には、調整後の要求転舵速度および要求転舵トルクに応じて、所定の時間間隔における目標転舵角の増加度合を抑制した状態で、目標転舵角の設定を更新するように構成されている。このように構成すれば、調整後の要求転舵速度および要求転舵トルクに応じて目標転舵角の増加度合を抑制することによって、目標転舵角の急激な増加を抑制することができる。これにより、電動アクチュエータにかかる負荷が過度に大きくなるのを確実に抑制することができる。
上記第1の局面による船舶推進装置の転舵装置において、好ましくは、制御部は、取得した要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域内の場合に、目標転舵角の増加度合がステアリングホイールの回動角度の変化度合に比例するように目標転舵角を設定するように構成されている。このように構成すれば、ユーザによるステアリングホイールの回動操作を目標転舵角に適切に反映させることができる。これにより、船舶の操舵性をより向上させることができる。
この発明の第2の局面による船舶推進装置の転舵装置は、船舶推進装置の推力の向きを変更可能な電動アクチュエータと、電動アクチュエータによる転舵速度と転舵速度に応じた転舵トルクとに基づいて設定される出力領域を記憶する記憶部と、ステアリングホイールの回動角度に応じた要求転舵速度と要求転舵トルクとを取得し、取得した要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域外の場合には、要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域内に入るように、要求転舵速度および要求転舵トルクの少なくとも一方を調整して、調整後の要求転舵速度および要求転舵トルクに応じて目標転舵角を設定し、取得した要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域内の場合には、ステアリングホイールの回動角度に応じた目標転舵角を設定し、設定された目標転舵角に応じて電動アクチュエータを駆動制御するように構成された制御部と、を備え、制御部は、要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域内に入るように、要求転舵トルクを調整せずに要求転舵速度を調整するように構成されている。
この第2の局面による船舶推進装置の転舵装置では、上記第1の局面と同様に、電動アクチュエータにかかる負荷が過度に大きくなるのを抑制しつつ、転舵可能な範囲を十分に活用することができる。また、調整された要求転舵速度と要求転舵トルクとから目標転舵角を設定する場合と比べて、船舶推進装置の転舵装置の転舵性能を十分に発揮させることができる。また、転舵角の変化率である要求転舵速度を調整することによって、要求転舵トルクを調整する場合と比べて目標転舵角をより適切に設定することができる。これにより、電動アクチュエータを適切に駆動制御させることができる。
上記第2の局面による船舶推進装置の転舵装置において、好ましくは、制御部は、要求転舵速度を調整した際に要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域内に入らない場合には、要求転舵速度および要求転舵トルクの両方を調整するように構成されている。このように構成すれば、出力領域内に入るように要求転舵速度と要求転舵トルクとをより確実に調整することができる。
この発明の第3の局面による船舶推進装置の転舵装置は、船舶推進装置の推力の向きを変更可能な電動アクチュエータと、電動アクチュエータによる転舵速度と転舵速度に応じた転舵トルクとに基づいて設定される出力領域を記憶する記憶部と、ステアリングホイールの回動角度に応じた要求転舵速度と要求転舵トルクとを取得し、取得した要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域外の場合には、要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域内に入るように、要求転舵速度および要求転舵トルクの少なくとも一方を調整して、調整後の要求転舵速度および要求転舵トルクに応じて目標転舵角を設定し、取得した要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域内の場合には、ステアリングホイールの回動角度に応じた目標転舵角を設定し、設定された目標転舵角に応じて電動アクチュエータを駆動制御するように構成された制御部と、を備え、記憶部には、電動アクチュエータによる転舵速度と転舵トルクとに基づいて設定される出力領域を示すマップが記憶されており、記憶部には、出力領域が各々異なる複数のマップが記憶されており、制御部は、電動アクチュエータの使用可能電流に応じてマップを選択するように構成されている。
この第3の局面による船舶推進装置の転舵装置では、上記第1の局面と同様に、電動アクチュエータにかかる負荷が過度に大きくなるのを抑制しつつ、転舵可能な範囲を十分に活用することができる。また、調整された要求転舵速度と要求転舵トルクとから目標転舵角を設定する場合と比べて、船舶推進装置の転舵装置の転舵性能を十分に発揮させることができる。また、制御部は、マップを参照することによって、複雑な演算を行うことなく要求転舵速度および要求転舵トルクの少なくとも一方を容易に調整することができる。これにより、制御部の負担を軽減することができる。また、制御部は、電動アクチュエータの出力に影響を及ぼす電動アクチュエータの使用可能電流に合わせて参照するマップを変更することができる。これにより、要求転舵速度および要求転舵トルクの少なくとも一方をより正確に調整することができる。
上記第3の局面による船舶推進装置の転舵装置において、好ましくは、複数のマップには、通常マップと、通常マップよりも転舵速度に応じた転舵トルクの上限値が小さくなるように出力領域が補正された補正マップとが含まれており、制御部は、電動アクチュエータの使用可能電流が制限されていない場合には、通常マップを選択し、電動アクチュエータの使用可能電流が制限されている場合には、補正マップを選択するように構成されている。このように構成すれば、電動アクチュエータの出力が小さくなるように電動アクチュエータの使用可能電流が制限されている場合に、制御部は、転舵速度に応じた転舵トルクの上限値が小さくなるように出力領域が狭く補正された補正マップを用いる。これにより、制御部は、要求転舵速度および要求転舵トルクの少なくとも一方を電動アクチュエータの状況に適合するように正確に調整することができる。
この発明の第4の局面による船舶推進装置の転舵装置は、船舶推進装置の推力の向きを変更可能な電動アクチュエータと、電動アクチュエータによる転舵速度と転舵速度に応じた転舵トルクとに基づいて設定される出力領域を記憶する記憶部と、ステアリングホイールの回動角度に応じた要求転舵速度と要求転舵トルクとを取得し、取得した要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域外の場合には、要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域内に入るように、要求転舵速度および要求転舵トルクの少なくとも一方を調整して、調整後の要求転舵速度および要求転舵トルクに応じて目標転舵角を設定し、取得した要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域内の場合には、ステアリングホイールの回動角度に応じた目標転舵角を設定し、設定された目標転舵角に応じて電動アクチュエータを駆動制御するように構成された制御部と、を備え、制御部は、電動アクチュエータの使用可能電流に基づいて、出力領域を更新するように構成されている。
この第4の局面による船舶推進装置の転舵装置では、上記第1の局面と同様に、電動アクチュエータにかかる負荷が過度に大きくなるのを抑制しつつ、転舵可能な範囲を十分に活用することができる。また、調整された要求転舵速度と要求転舵トルクとから目標転舵角を設定する場合と比べて、船舶推進装置の転舵装置の転舵性能を十分に発揮させることができる。また、
上記第4の局面による船舶推進装置の転舵装置において、好ましくは、制御部は、電動アクチュエータの温度が所定の温度以上である場合に、電動アクチュエータの使用可能電流を制限するとともに、制限された使用可能電流に基づいて、出力領域を更新するように構成されている。このように構成すれば、制御部は、電動アクチュエータの使用可能電流を制限して電動アクチュエータの温度上昇を抑制する必要がある場合に、制限された使用可能電流に基づいて出力領域を更新することができる。これにより、制御部は、電動アクチュエータの温度上昇を抑制しつつ、要求転舵速度および要求転舵トルクの少なくとも一方を調整することができる。
本発明によれば、上記のように、電動アクチュエータにかかる負荷が過度に大きくなるのを抑制しつつ、転舵可能な範囲を十分に活用することができる。
本発明の一実施形態による転舵装置を備えた船舶の概略を示した平面図である。 本発明の一実施形態による転舵装置を備えた船舶の制御構成を示したブロック図である。 本発明の一実施形態による転舵装置の電動舵きり部を示した平面図である。 本発明の一実施形態による転舵装置における転舵速度と転舵トルクとの関係を示した図である。 本発明の比較例における転舵制御を説明するための図である。 本発明の一実施形態による転舵装置の転舵制御を説明するための図である。 図6の調整期間における転舵制御の一例を拡大して示した図である。 本発明の一実施形態による転舵装置の通常マップを示した図である。 本発明の一実施形態による転舵装置の第1補正マップを示した図である。 本発明の一実施形態による転舵装置の第2補正マップを示した図である。 本発明の一実施形態による転舵装置の第3補正マップを示した図である。 本発明の一実施形態による転舵装置の電流-モータ温度マップを示した図である。 本発明の一実施形態による転舵制御フローを示したフローチャートである。 本発明の一実施形態による目標転舵角設定制御フローを示したフローチャートである。 本発明の一実施形態による性能マップ設定制御フローを示したフローチャートである。 調整不要時の制御結果のうち、目標の転舵速度と実際の転舵速度とを示したグラフである。 調整不要時の制御結果のうち、目標の転舵トルクと実際の転舵トルクとを示したグラフである。 調整無の制御結果のうち、目標の転舵速度と実際の転舵速度とを示したグラフである。 調整無の制御結果のうち、目標の転舵トルクと実際の転舵トルクとを示したグラフである。 調整有の制御結果のうち、目標の転舵速度と実際の転舵速度とを示したグラフである。 調整有の制御結果のうち、目標の転舵トルクと実際の転舵トルクとを示したグラフである。 本発明の一実施形態の変形例による性能マップ設定制御フローを示したフローチャートである。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
<船舶の概略構成>
図1を参照して、本発明の一実施形態による転舵装置1を備えた船舶100の構成について説明する。転舵装置1は、特許請求の範囲の「船舶推進装置の転舵装置」の一例である。
船舶100は、図1に示すように、船体2と、船外機3と、ステアリングホイール4とを備えている。船外機3は、船舶100を推進させるための推力を発生する機能を有する。船外機3は、クランプブラケット31を介して、船体2の船尾に接続されている。船外機3は、上下方向に延びるスイベル軸32周りに回動可能なように構成されている。スイベル軸32の上端部には、ステアリングブラケット33が取り付けられている。ステアリングブラケット33の船首側(FWD側)には、電動舵きり部5が連結されている。船外機3は、特許請求の範囲の「船舶推進装置」の一例である。
船外機3には、図2に示すように、図示しないプロペラに推進力を発生させるためのエンジン34と、エンジン34の回転数を検知するエンジン回転数センサ35とが設けられている。
電動舵きり部5は、図3に示すように、電動モータ51と、ねじ棒52と、連結ブラケット53と、連結ピン54とを有している。ねじ棒52は、船幅方向に延び船体2に固定されている。連結ブラケット53は、電動モータ51から船尾側(BWD側)に延びている。連結ピン54は、連結ブラケット53とステアリングブラケット33とを回動可能に連結している。これにより、電動モータ51が回転駆動してねじ棒52に対して船幅方向に移動することにより、連結ブラケット53とステアリングブラケット33とを介して、船外機3(図1参照)がスイベル軸32周りに回動する。この結果、電動舵きり部5により船外機3の推力の向きが変更されて、船舶100の転舵が行われる。電動舵きり部5は、特許請求の範囲の「電動アクチュエータ」の一例である。
電動舵きり部5には、図2に示すように、温度センサ55と電流センサ56とがさらに設けられている。温度センサ55は、電動モータ51のモータ温度tmを検知する機能を有する。電流センサ56は、電動モータ51に供給される電流の大きさ(電流I)を検知する機能を有する。
ステアリングホイール4は、ユーザに回動操作される。ステアリングホイール4は、図1に示すように、ホイール軸41に固定されている。ホイール軸41には、図2に示すように、操舵角センサ42と反力モータ43とが設けられている。操舵角センサ42は、ステアリングホイール4の回動角度(ステアリング回動角)θhを検知する機能を有する。反力モータ43は、ステアリングホイール4に反力を発生させる機能を有する。
船舶100には、図2に示すように、船舶100の全体の制御を行うECU(Engine Control Unit)6と、記憶部7と、速度センサ8aと、舵角センサ8bとが設けられている。速度センサ8aは、船舶100の移動速度を検知する機能を有する。舵角センサ8bは、船舶100の実際の回動角度である実舵角を検知する機能を有する。電動舵きり部5、ECU6および記憶部7により、転舵装置1が構成されている。ECU6は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
記憶部7は、ROMおよびRAMなどのメモリを含んでいる。記憶部7は、ECU6により実行される各種のプログラムを記憶するように構成されている。記憶部7は、プログラムがECU6により実行される際などに作業領域として利用されるように構成されている。
<転舵制御の説明>
次に、図4~図11を参照して、船舶100の転舵制御について説明する。
電動舵きり部5の電動モータ51は、転舵時に電流が流されることによって、図4に示す出力領域内の任意の転舵速度ωおよび任意の転舵トルクTで回転駆動する。この出力領域とは、転舵速度ωと転舵速度ωに応じた転舵トルクTとに基づいて設定される領域である。出力領域では、出力領域の境界(出力特性線)上が所定の転舵速度ωにおける転舵トルクTの最大値T_maxになり、所定の転舵トルクTにおける転舵速度ωの最大値ω_maxになる。
(一般的な船舶(比較例)の転舵制御の説明)
一般的な船舶の転舵制御としては、ECUは、下記のような転舵制御を行う。ステアリングホイールが回動操作された際に、ECUは、船外機の船体に対する目標転舵角を設定する。ECUは、その設定された目標転舵角と船体の実際の舵角(実舵角)との角度差に基づいて電動舵きり部の電動モータにより発生する転舵トルクを演算する。ECUは、演算された転舵トルクに基づいて電動モータに流れる駆動電流の大きさを演算して、電動モータに電流を流す。この際、ECUは、デューティ制御により演算された駆動電流が発生するように制御する。この結果、電動モータが駆動されて、船舶の転舵(旋回)が行われる。
ここで、図4に示すように、ECUにより転舵速度および転舵トルクが出力領域外で回転駆動するように設定および演算された場合であっても、電動モータは出力領域外で回転駆動せずに出力領域内で回転駆動する。このため、目標転舵角と実舵角とにずれが生じる。図4では、転舵速度のみが小さくなるように図示しているものの、実際は、転舵トルクが小さくなる場合もある。その結果、ユーザによりステアリングホイールが急速に回動操作された場合などには、ECUは、図5のグラフに示すような船舶の転舵制御を行う。
時間s1においてユーザによりステアリングホイールの回動操作が始められると、上記転舵制御が行われ始める。ここで、ユーザがステアリングホイールを早い速度で操作した場合、ECUは、時間s2から出力領域外の転舵速度および転舵トルクにより電動モータが回転駆動するように転舵速度および転舵トルクが設定および演算する。これにより、目標転舵角に到達するまで電動モータが回転駆動できずに舵きり能力の不足が生じ、その結果、目標転舵角と実舵角とにずれが生じる。その後、ユーザが実際の旋回速度を体感しながらステアリングホイールの操作を遅くした場合、時間s3から出力領域内の転舵速度および転舵トルクにより電動モータが回転駆動することが可能であるようなステアリングホイールの回動操作になる。しかし、時間s2から時間s3までの舵きり能力不足期間において目標転舵角と実舵角との間でずれが生じているため、このずれを埋めるように、電動モータは回転駆動され続ける。
ここで、時間s4において、ユーザが所望の旋回速度になったとしてステアリングホイールの回動操作を停止したとしても、目標転舵角と実舵角とのずれが未だ埋められていないため、電動モータは出力領域内で回転駆動され続ける。すなわち、ユーザが所望する旋回速度に対応する転舵角と、ユーザが実際に操作したステアリングホイールに対応する目標転舵角にかい離が生じているため、ユーザが転舵操作を停止した後も設定された目標転舵角に向けて電動モータが駆動を続ける。この結果、時間s5までさらに旋回速度が大きくされるため、ユーザの旋回速度の期待値と実際に生じた旋回速度とのかい離が大きくなる。したがって、ユーザは、大きくなりすぎた旋回速度を戻すためにステアリングホイールの逆方向の回動操作を行う必要があり、船舶の操舵性が低下する。
(本実施形態における船舶の転舵制御の説明)
そこで、本実施形態の船舶100の転舵装置1では、ECU6は、下記のような転舵制御を行うように構成されている。ECU6は、ステアリングホイール4の回動角度(ステアリング回動角)θhに応じた要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとを取得する。ECU6は、取得した要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域外の場合には、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域内に入るように、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrの少なくとも一方を調整して、調整後の要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrに応じて目標転舵角θsを設定する。ECU6は、設定された目標転舵角θsに応じて電動舵きり部5の電動モータ51を駆動制御する。この転舵制御は、ECU6により所定の時間間隔S(たとえば、約20m秒)毎に行われる。
このように構成した場合には、ECU6は、図6のグラフに示すような船舶100の転舵制御を行う。時間s1においてユーザによりステアリングホイール4の回動操作が始められると、ECU6により上記転舵制御が行われ始める。ここで、比較例と同様に、ユーザがステアリングホイール4を早い速度で操作した結果、時間s2から取得した要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域外になったとしても、ECU6は、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域内に入るように、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrの少なくとも一方を調整し、調整後の要求転舵速度ωrおよび要求転舵トルクTrに応じて目標転舵角θsを設定する。すなわち、ECU6により、ユーザのステアリングホイール4の操作に対する目標転舵角θsの値が通常時よりも低い値に演算されて設定される。これにより、調整された目標転舵角θsに到達するまで電動舵きり部5の電動モータ51が回転駆動することができ、その結果、時間s2から時間s3までの調整期間において、目標転舵角θsと実舵角とにずれが生じるのが抑制される。
たとえば、図7に示す調整期間における転舵制御の一例のように、調整無の場合と比べて、調整有の場合には、目標転舵角θsの増加度合dθsが抑制された状態で、調整後の要求転舵速度ωrおよび要求転舵トルクTrに応じて目標転舵角θsの設定が所定の時間間隔Sで更新される。なお、図7の一例では、所定の時間間隔S毎に、0.2(=0.5-0.3)度だけ目標転舵角θsの増加度合dθsが抑制されている。
この結果、図6に示すように、時間s3以降も目標転舵角θsと実舵角とにずれが生じるのが抑制される。そのため、時間s4において、ユーザが所望の旋回速度になったとしてステアリングホイール4の回動操作を停止した際には、目標転舵角θsと実舵角とのずれが小さくなるので、電動モータ51の回転駆動が早期に停止される。この結果、ユーザの旋回速度の期待値とユーザが体感する実際に生じた旋回速度とのかい離が小さくなる。したがって、船舶100の操舵性が向上される。
(本実施形態における船舶の転舵制御のその他の説明)
ECU6は、記憶部7に記憶され、出力領域が示された性能マップ(転舵速度-転舵トルクマップ)を用いるように構成されている。具体的には、ECU6は、取得した要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域外か否かを判断する際と、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域内に入るように、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrの少なくとも一方を調整する際とに、性能マップを用いるように構成されている。
ECU6は、取得した要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域外である場合には、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域内に入るように、要求転舵速度ωrを調整するように構成されている。一方、要求転舵速度ωrを調整した際に、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域内に入らない場合には、ECU6は、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとの両方の値を調整してもよい。
具体的には、図8に実線で示すように、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域外で、かつ、要求転舵トルクTrが出力特性線上の転舵トルクT_maxの最大値Tmax以下である場合には、ECU6は、要求転舵速度ωrを小さく調整する。これにより、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域内に入る。一方、図8に一点鎖線で示すように、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域外で、かつ、要求転舵トルクTrがTmaxを超える場合には、要求転舵速度ωrを小さく調整するだけでは要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域内に入らないので、ECU6は、まず要求転舵トルクTrをTmaxに調整した後に、要求転舵速度ωrを小さく調整する。
ECU6は、電動モータ51の推定モータ温度tが所定の温度t0(たとえば、約70℃)以上である場合には、電動モータ51の使用可能電流I_maxを制限するとともに、転舵速度ωと転舵トルクTとの出力領域を更新するように構成されている。具体的には、電動モータ51の使用可能電流I_maxが制限されていない場合には、ECU6は、図8に示す通常マップを性能マップとして用いる。電動モータ51の使用可能電流I_maxが制限されている場合には、ECU6は、図9~図11に示す、通常マップとは出力領域が各々異なるように更新された第1~第3補正マップを性能マップとして用いる。つまり、ECU6は、電動舵きり部5の電動モータ51の使用可能電流I_maxに応じて性能マップを選択するように構成されている。なお、通常マップおよび第1~第3補正マップは記憶部7に記憶されている。
第1~第3補正マップでは、通常マップよりも出力特性線上の転舵トルクT_maxの最大値(上限値)Tmaxが小さくなるように出力領域が補正されている。具体的には、図9に示す第1補正マップでは、通常マップの出力特性線から出力特性線上の転舵トルクT_maxの最大値TmaxのみがT1maxに小さく更新されている。つまり、第1補正マップを用いる場合には、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域外で、かつ、要求転舵トルクTrがT1max以下である場合には、要求転舵速度ωrは通常マップと同様の値に小さく調整される。一方、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域外で、かつ、要求転舵トルクTrがT1maxを超える場合には、ECU6は、まず要求転舵トルクTrがT1maxを調整した後に、要求転舵速度ωrを小さく調整する。
図10に示す第2補正マップでは、通常マップの出力特性線から出力特性線上の転舵トルクT_maxが一定割合だけ一律に小さく更新されている。たとえば、更新後の出力特性線上の転舵トルクT2_maxおよびT2maxは、それぞれ、更新前の出力特性線上の転舵トルクT_maxおよびTmaxの約0.8倍である。この結果、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域外で、かつ、要求転舵トルクTrが同一の場合には、第2補正マップを用いる場合、第1補正マップを用いる場合よりも、要求転舵速度ωrが小さく調整される。要求転舵トルクTrが小さい場合には、要求転舵トルクが大きい場合に比べて要求転舵速度ωrの調整量は小さくなる。
図11に示す第3補正マップでは、通常マップの出力特性線から出力特性線上の転舵トルクT_maxの最大値TmaxがT3maxに小さく更新されることに加えて、出力特性線上の転舵速度ω_maxが一定量だけ小さく更新される。この結果、第3補正マップを用いる場合には、第2補正マップを用いる場合と比べて、要求転舵トルクTrが小さい場合であっても、要求転舵速度ωrが小さく調整される。つまり、第1補正マップ、第2補正マップおよび第3補正マップの順に要求転舵速度ωrおよび要求転舵トルクTrの調整度合が大きくなり、その結果、電動モータ51の使用可能電流I_maxが小さくなる。ここで、使用可能電流I_maxが小さな第1~第3補正マップのいずれかが選択されることによって、電動モータ51の温度の上昇を抑制することができるので、高熱により電動モータ51に不具合が生じるのを抑制することが可能である。
ECU6は、電動モータ51の使用可能電流I_maxが制限される際に、第1~第3補正マップのいずれかを選択するように構成されている。具体的には、ECU6は、電動舵きり部5の温度センサ55および電流センサ56からの検出結果に基づいて温度上昇後の推定モータ温度tを算出する。ECU6は、推定モータ温度tと記憶部7に記憶された電流-モータ温度マップ(図12参照)とから使用可能電流I_maxを取得する。ECU6は、電動モータ51の使用可能電流I_maxが第1電流I1_max以上である場合には、第1補正マップを選択する。ECU6は、第2電流I2_max以上第1電流I1max未満である場合には、第2補正マップを選択する。ECU6は、第2電流I2_max未満である場合には、第3補正マップを選択する。なお、図12中の第1電流I1_maxおよび第2電流I2_maxは一例である。
ECU6は、取得した要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域内の場合には、目標転舵角θsの増加度合dθsがステアリングホイール4の回動角度(ステアリング回動角)θhの変化度合dθhに比例するように目標転舵角θsを設定するように構成されている。つまり、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域内の場合には、目標転舵角θsの増加度合(変化量)dθsは、k1を定数とした際に、dθs=dθh×k1を満たすようにECU6により設定される。
<制御フロー>
(転舵制御フロー)
次に、図13~図15を参照して、上記転舵制御に関する転舵制御フローについて説明する。なお、この制御フローの制御は、ECU6により、所定の時間間隔Sで継続的に行われる。
図13に示すように、ステップS1において、操舵角センサ42によりステアリングホイール4が回動操舵されたことが検知されると、ステップS2において、後述する目標転舵角θsの設定(図14に示す目標転舵角設定制御フロー)が行われる。ステップS3において、舵角センサ8bにより実舵角が検知される。ステップS4において、実舵角と目標転舵角θsとの角度差が算出される。ステップS5において、実舵角と目標転舵角θsとの角度差と、エンジン回転数センサ35により検知されたエンジン回転数や速度センサ8aにより検知された船舶100の移動速度などの船舶100の状況とに基づいてPID制御が行われて、転舵トルクTが演算される。なお、この際、後述するように要求転舵トルクTrがTmaxに補正されている場合には、転舵トルクTがTmax以下になるように演算される。
ステップS6において、転舵トルクTに所定の定数を乗算することによって、駆動電流が演算される。ステップS7において、デューティ制御により演算された駆動電流が発生するように電流制御が行われる。そして、転舵制御フローが終了される。
(目標転舵角設定制御フロー)
図14に示す目標転舵角設定制御フローでは、ステップS11において、性能マップの選択および設定(図15の性能マップ設定制御フロー)が行われる。ステップS12において、ステアリングホイール4の回動角度(ステアリング回動角)θhの変化量dθhが算出される。具体的には、操舵角センサ42により検知されたステアリング回動角θhから、記憶部7に記憶されている前回の転舵制御時のステアリング回動角θhbを減算する。これにより、ステアリング回動角θhの変化量dθh(=θh-θhb)が算出される。ステップS13において、ステアリング回動角θhの変化量dθhから目標転舵角θsの加算分dθsが算出される。具体的には、ステアリング回動角θhの変化量dθhに所定の定数k1が乗算されることによって、目標転舵角θsの加算分(増加度合)dθs(=dθh×k1)が算出される。
ステップS14において、目標転舵角θsの加算分dθsを所定の時間間隔Sで除することによって、要求転舵速度ωr(=dθs/S)が算出される。ステップS15において、要求転舵トルクTrが取得される。ここで、要求転舵トルクTrの取得方法としては、たとえば、前回の転舵制御のステップS5(図13参照)において演算した転舵トルクTを要求転舵トルクTrとして推定してもよいし、電流センサ56の電流Iに所定の定数を乗算することによって、電流から要求転舵トルクTrを推定してもよい。
ステップS16において、要求転舵トルクTrが転舵トルクTの最大値Tmaxよりも大きいか否かが判断される。ステップS11において選択されたマップが第1~第3補正マップのいずれかである場合には、ステップS16において、それぞれ、転舵トルクTの最大値Tmaxとして、更新されたTmaxである、対応するT1max、T2maxおよびT3maxが用いられる。ステップS16において、要求転舵トルクTrがTmax以下である場合には、ステップS18に進む。ステップS16において、要求転舵トルクTrがTmaxよりも大きい場合には、ステップS17において、要求転舵トルクTrがTmaxに補正される。そして、ステップS18に進む。
ステップS18において、ステップS11において選択した性能マップに基づいて、ステップS15またはS17により取得または補正した要求転舵トルクTrに対応する出力特性線上の転舵速度ω_maxが取得される。たとえば、図8に示すように、所定のTrと出力特性線との交点が出力特性線上の転舵速度ω_maxとして取得される。ステップS19において、ステップS14で算出した要求転舵速度ωrがステップS18で取得した出力特性線上の転舵速度ω_maxよりも大きいか否かが判断される。ステップS19において、要求転舵速度ωrがω_max以下場合には、ステップS21に進む。ステップS19において、要求転舵速度ωrがω_maxよりも大きい場合には、ステップS20において、ステップS13で算出した目標転舵角θsの加算分dθs(=dθh×k1=ωr×S)がdθs(=ω_max×S)に補正される。そして、ステップS21に進む。
ステップS21において、ステップS13で算出またはステップS20で補正した目標転舵角θsの加算分dθsを用いて、目標転舵角θsが算出される。具体的には、記憶部7に記憶されている前回の転舵制御時の目標転舵角θsbに、目標転舵角θsの加算分dθsが加算されることによって、目標転舵角θsが算出および設定される。そして、目標転舵角設定制御フローが終了されて、図13のステップS3に進む。
(性能マップ設定制御フロー)
図15に示す性能マップ設定制御フローでは、ステップS31において、電動舵きり部5の電流センサ56により電流Iが検知される。ステップS32において、電流Iから電動モータ51の温度の上昇度合dtが推定される。具体的には、電流Iと所定の定数k2とを乗算した値に、記憶部7に記憶されている前回の転舵制御時の温度上昇度合dtbを加算する。これにより、電動モータ51の温度の上昇度合dt(=I×k2+dtb)が算出される。ステップS33において、電動舵きり部5の温度センサ55により電動モータ51の実際の温度(モータ温度tm)が検知される。ステップS34において、モータ温度tmに温度上昇度合dtが加算されることによって、温度上昇後の電動モータ51の推定モータ温度t(=tm+dt)が算出される。
ステップS35において、電流-モータ温度マップに基づいて、推定モータ温度tに対応する使用可能電流I_maxが取得される。たとえば、図12に示すように、所定の推定モータ温度t1と電流特性線との交点が使用可能電流I_maxとして取得される。ステップS36において、取得した使用可能電流I_maxに基づいて、性能マップとして、図8の通常マップまたは図9~図11の第1~第3補正マップのいずれかが選択される。そして、性能マップ設定制御フローが終了されて、図14のステップS12に進む。
<制御結果>
上記制御フローに基づいて制御を行った場合の結果について図16、図17、図20および図21に示す。一方、上記制御フローに基づいて制御を行わない場合の制御結果について比較例として図18および図19に示す。図16および図17には、要求転舵速度と要求転舵トルクとが電動舵きり部の電動モータの出力領域内である場合(調整不要時)を示す。この場合、目標の転舵速度(図16の点線)と実際の転舵速度(図16の実線)との差、および、目標の転舵トルク(図17の点線)と実際の転舵トルク(図17の実線)との差は、共にほとんど生じなかった。
図18および図19には、所定の期間(出力領域外期間)において、要求転舵速度と要求転舵トルクとが電動舵きり部の電動モータの出力領域外であり、かつ、要求転舵速度と要求転舵トルクとを調整しない場合(調整無)を示す。この場合、目標の転舵速度(図18の点線)と実際の転舵速度(図18の実線)との差、および、目標の転舵トルク(図19の点線)と実際の転舵トルク(図19の実線)との差は、共に明らかに生じた。つまり、要求転舵速度と要求転舵トルクとが電動舵きり部の電動モータの出力領域外であれば、目標の転舵速度および転舵トルクを生じさせることができない。その結果、ユーザの旋回速度の期待値と実際に生じた旋回速度とのかい離が大きくなり、船舶の操舵性が低下する。
図20および図21には、所定の期間(調整期間)において、電動舵きり部の電動モータの出力領域外である要求転舵速度と要求転舵トルクとを上記実施形態のように調整する場合(調整有)を示す。この場合、調整された目標の転舵速度(図20の点線)と実際の転舵速度(図20の実線)との差、および、調整された目標の転舵トルク(図21の点線)と実際の転舵トルク(図21の実線)との差は、共にほとんど生じなかった。これにより、要求転舵速度と要求転舵トルクとが電動舵きり部の電動モータの出力領域外であっても、上記制御フローに基づいて制御することによって、図16および図17に示す要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域内である場合と同様に、調整された目標の転舵速度および転舵トルクを確実に生じさせることができる。これにより、ユーザの旋回速度の期待値と実際に生じた旋回速度とのかい離を小さくして、船舶の操舵性が低下するのを抑制することができる。
<実施形態の効果>
上記実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、ECU6は、ステアリングホイール4の回動角度(ステアリング回動角)θhに応じた要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとを取得する。ECU6は、取得した要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域外の場合には、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域内に入るように、要求転舵速度ωrおよび要求転舵トルクTrの少なくとも一方を調整して、調整後の要求転舵速度ωrおよび要求転舵トルクTrに応じて目標転舵角θsを設定する。ECU6は、設定された目標転舵角θsに応じて電動舵きり部5の電動モータ51を駆動制御する。これにより、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域外である場合には、電動舵きり部5の電動モータ51にかかる負荷が低減されるように出力領域内に調整された要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとから目標転舵角θsが設定される。この結果、電動舵きり部5にかかる負荷が過度に大きくなるのを抑制することができる。さらに、ECU6は、限界転舵角を小さくするように制御する場合と異なり、ステアリングホイール4の回動角度に応じた要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが取得される毎に、調整された要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとから目標転舵角θsを設定することができる。これにより、目標転舵角θsをステアリングホイール4の回動角度に合わせて随時更新することができる。この結果、目標転舵角θsを適切に設定し続けることによって、転舵装置1の転舵可能な範囲を十分に活用することができる。
本実施形態では、上記のように、ECU6は、取得した要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域内の場合には、ステアリングホイール4の回動角度に応じた目標転舵角θsを設定する。ECU6は、設定された目標転舵角θsに応じて電動舵きり部5を駆動制御する。これにより、電動舵きり部5にかかる負荷を低減する必要がない場合には、ステアリングホイール4の回動角度に応じた目標転舵角θsを設定することによって、調整された要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとから目標転舵角θsを設定する場合と比べて、転舵装置1の転舵性能を十分に発揮させることができる。この結果、転舵装置1が設けられる船舶100の操舵性を向上させることができる。
本実施形態では、上記のように、ECU6は、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域内に入るように、要求転舵トルクTrを調整せずに要求転舵速度ωrを調整する。これにより、転舵角の変化率である要求転舵速度ωrを調整することによって、要求転舵トルクTrを調整する場合と比べて、目標転舵角θsをより適切に設定することができる。これにより、電動舵きり部5を適切に駆動制御させることができる。
本実施形態では、上記のように、ECU6は、要求転舵速度ωrを調整した際に要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域内に入らない場合には、要求転舵速度ωrおよび要求転舵トルクTrの両方を調整する。これにより、出力領域内に入るように要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとをより確実に調整することができる。
本実施形態では、上記のように、記憶部7に、電動舵きり部5による転舵速度ωと転舵トルクTとに基づいて設定される出力領域を示すマップ(性能マップ)を記憶する。これにより、ECU6は、性能マップを参照することによって、複雑な演算を行うことなく要求転舵速度ωrおよび要求転舵トルクTrが出力領域外か否かを容易に判断することができるとともに、要求転舵速度ωrおよび要求転舵トルクTrの少なくとも一方を容易に調整することができる。これにより、ECU6の負担を軽減することができる。
本実施形態では、上記のように、ECU6は、電動舵きり部5の電動モータ51の使用可能電流I_maxに応じて性能マップを選択する。これにより、ECU6は、電動モータ51の出力に影響を及ぼす電動モータ51の使用可能電流I_maxに合わせて参照する性能マップを変更することができる。この結果、要求転舵速度ωrおよび要求転舵トルクTrの少なくとも一方をより正確に調整することができる。
本実施形態では、上記のように、複数のマップには、通常マップと、通常マップよりも転舵速度ωに応じた転舵トルクTの最大値(上限値)Tmaxが小さくなるように出力領域が補正された第1~第3補正マップとが含まれている。ECU6は、電動舵きり部5の電動モータ51の使用可能電流I_maxが制限されていない場合には、通常マップを選択する。ECU6は、電動モータ51の使用可能電流I_maxが制限されている場合には、第1~第3補正マップのいずれかを選択する。これにより、電動舵きり部5の電動モータ51の出力が小さくなるように電動モータ51の使用可能電流I_maxが制限されている場合に、ECU6は、Tmaxが小さくなるように出力領域が狭く補正された第1~第3補正マップを用いる。この結果、ECU6は、要求転舵速度ωrおよび要求転舵トルクTrの少なくとも一方を電動舵きり部5の状況に適合するように正確に調整することができる。
本実施形態では、上記のように、ECU6は、電動舵きり部5の電動モータ51の使用可能電流I_maxに基づいて、出力領域を更新する。これにより、電動舵きり部5の出力に影響を及ぼす電動モータ51の使用可能電流I_maxに合わせて出力領域を更新することによって、ECU6は、要求転舵速度ωrおよび要求転舵トルクTrの少なくとも一方を電動舵きり部5の状況に適合するように正確に調整することができる。
本実施形態では、上記のように、ECU6は、電動舵きり部5の電動モータ51の推定モータ温度tが所定の温度t0以上である場合に、電動舵きり部5の電動モータ51の使用可能電流I_maxを制限するとともに、制限された使用可能電流I_maxに基づいて、出力領域を更新する。これにより、ECU6は、電動舵きり部5の使用可能電流I_maxを制限して電動舵きり部5の電動モータ51の温度上昇を抑制する必要がある場合に、制限された使用可能電流I_maxに基づいて出力領域を更新することができる。この結果、ECU6は、電動モータ51の温度上昇を抑制しつつ、要求転舵速度ωrおよび要求転舵トルクTrの少なくとも一方を調整することができる。
本実施形態では、上記のように、ECU6は、所定の時間間隔で目標転舵角θsの設定を更新する。ECU6は、取得した要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域外の場合には、所定の時間間隔における目標転舵角θsの増加度合dθsを抑制した状態で、調整後の要求転舵速度ωrおよび要求転舵トルクTrに応じて目標転舵角θsの設定を更新する。これにより、調整後の要求転舵速度ωrおよび要求転舵トルクTrに応じて目標転舵角θsの増加度合dθsを抑制することによって、目標転舵角θsの急激な増加を抑制することができる。この結果、電動舵きり部5にかかる負荷が過度に大きくなるのを確実に抑制することができる。
本実施形態では、上記のように、ECU6は、取得した要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力領域内の場合に、目標転舵角θsの増加度合dθsがステアリング回動角θhに比例するように目標転舵角θsを設定する。これにより、ユーザによるステアリングホイール4の回動操作を目標転舵角θsに適切に反映させることができる。この結果、船舶100の操舵性をより向上させることができる。
<変形例>
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、ECU6は、出力領域を示すマップを用いて、要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域外か否かを判断する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ECUは、マップを用いずに、要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域外か否かを判断してもよい。ECUは、たとえば、数式を用いて、要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力領域外か否かを判断してもよい。
上記実施形態では、出力領域を示すマップとして、4つの性能マップ(通常マップおよび第1~第3補正マップ)を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、出力領域を示すマップとして、通常マップのみを用いてもよいし、通常マップと1個、2個または4個以上の補正マップとを用いてもよい。
上記実施形態では、性能マップ設定制御フローが行われる際に、ECU6は、記憶部7に記憶された4つの性能マップをいずれかを選択して設定する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、性能マップ設定制御フローが行われる際に、性能マップをその都度作成して設定してもよい。たとえば、図22に示す本実施形態の変形例のような性能マップ設定制御フローがECUにより行われてもよい。この変形例の性能マップ設定制御フローでは、図15のステップS31~S35が行われて使用可能電流I_maxが取得される。ステップS41において、使用可能電流I_maxに所定の定数k3が乗算されて出力特性線上の転舵トルクT_maxの最大値Tmaxが算出される。ステップS42において、算出されたTmaxに基づいて性能マップが更新される。たとえば、通常マップの出力特性線上の転舵トルクT_maxの最大値Tmaxが、ステップS41において算出されたTmaxに更新されるように、性能マップが更新される。このように構成すれば、ECUは、要求転舵速度および要求転舵トルクの少なくとも一方を電動アクチュエータの状況により適合するように調整することが可能である。
上記実施形態では、船舶100に船舶推進装置としての船外機3が1機設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、船舶に船舶推進装置が複数設けられていてもよい。この場合、複数の船舶推進装置の各々に対応する電動舵きり部が設けられる。そして、ECUは、各々の電動舵きり部において発生させるべき要求転舵速度および要求転舵トルクの少なくとも一方を調整する。
上記実施形態では、電動舵きり部5の電動モータ51が回転駆動してねじ棒52に対して船幅方向に移動することによって、船外機3がスイベル軸32周りに回動する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、電動モータが油圧ポンプの圧力を制御することによって、船外機がスイベル軸周りに回動されるように構成してもよい。つまり、電動舵きり部は、全て電動である必要はなく、一部に油圧を用いる構造を有していてもよい。
上記実施形態では、ECU6は、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとが出力特性線上に位置するように、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとの少なくともいずれか一方を調整する例を示したが、本発明はそれに限られない。本発明では、ECUは、要求転舵速度と要求転舵トルクとを出力特性線上ではなく、出力特性線よりも内側の出力領域内に位置するように、要求転舵速度ωrと要求転舵トルクTrとの少なくともいずれか一方を調整してもよい。なお、ユーザの回動操作に可能な限り対応する観点からは、ECUは、上記実施形態のように要求転舵速度と要求転舵トルクとが出力特性線上または出力特性線近傍の出力領域内に位置するように調整するのが好ましい。
上記実施形態では、電動モータ51の使用可能電流I_maxが制限される際に、ECU6は、転舵速度ωと転舵トルクTとの出力領域を更新する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ECUは、出力領域の更新に加えて、使用可能電流が制限されることに起因する船舶の転舵能力の低下をユーザに通知してもよい。また、ECUは、出力領域の更新に加えて、エンジン回転数を所定の回転数以下に制限したり、ステアリングホイールの回転制限(ハンドルロック)をより広い角度範囲で行ったりしてもよい。
上記実施形態では、ECU6は、電動舵きり部5の電動モータ51の推定モータ温度tが所定の温度t0以上である場合に、電動舵きり部5の電動モータ51の使用可能電流I_maxを制限する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、推定モータ温度を求めずに、電動モータの実際の温度が所定の温度以上である場合に、ECUは、電動舵きり部の電動モータの使用可能電流を制限してもよい。
上記実施形態では、船舶推進装置として船体の外に取り付けられる船外機を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。船舶推進装置として、船体の内に取り付けられる船内機を用いてもよいし、船体の内および外に設けられた船内外機(スターンドライブ)を用いてもよい。
上記実施形態では、説明の便宜上、ECU6(制御部)の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
1 転舵装置(船舶推進装置の転舵装置)
3 船外機(船舶推進装置)
4 ステアリングホイール
5 電動舵きり部(電動アクチュエータ)
6 ECU(制御部)
7 記憶部
Tr 要求転舵トルク
θs 目標転舵角
ωr 要求転舵速度

Claims (9)

  1. 船舶推進装置の推力の向きを変更可能な電動アクチュエータと、
    前記電動アクチュエータによる転舵速度と前記転舵速度に応じた転舵トルクとに基づいて設定される出力領域を記憶する記憶部と、
    ステアリングホイールの回動角度に応じた要求転舵速度と要求転舵トルクとを取得し、取得した前記要求転舵速度と前記要求転舵トルクとが前記出力領域外の場合には、前記要求転舵速度と前記要求転舵トルクとが前記出力領域内に入るように、前記要求転舵速度および前記要求転舵トルクの少なくとも一方を調整して、調整後の前記要求転舵速度および前記要求転舵トルクに応じて目標転舵角を設定し、取得した前記要求転舵速度と前記要求転舵トルクとが前記出力領域内の場合には、前記ステアリングホイールの回動角度に応じた前記目標転舵角を設定し、設定された前記目標転舵角に応じて前記電動アクチュエータを駆動制御するように構成された制御部と、を備え
    前記制御部は、所定の時間間隔により、前記目標転舵角の設定を更新するように構成されている、船舶推進装置の転舵装置。
  2. 前記制御部は、取得した前記要求転舵速度と前記要求転舵トルクとが前記出力領域外の場合には、調整後の前記要求転舵速度および前記要求転舵トルクに応じて、前記所定の時間間隔における前記目標転舵角の増加度合を抑制した状態で、前記目標転舵角の設定を更新するように構成されている、請求項1に記載の船舶推進装置の転舵装置。
  3. 前記制御部は、取得した前記要求転舵速度と前記要求転舵トルクとが前記出力領域内の場合に、前記目標転舵角の増加度合が前記ステアリングホイールの回動角度の変化度合に比例するように前記目標転舵角を設定するように構成されている、請求項1または2に記載の船舶推進装置の転舵装置。
  4. 船舶推進装置の推力の向きを変更可能な電動アクチュエータと、
    前記電動アクチュエータによる転舵速度と前記転舵速度に応じた転舵トルクとに基づいて設定される出力領域を記憶する記憶部と、
    ステアリングホイールの回動角度に応じた要求転舵速度と要求転舵トルクとを取得し、取得した前記要求転舵速度と前記要求転舵トルクとが前記出力領域外の場合には、前記要求転舵速度と前記要求転舵トルクとが前記出力領域内に入るように、前記要求転舵速度および前記要求転舵トルクの少なくとも一方を調整して、調整後の前記要求転舵速度および前記要求転舵トルクに応じて目標転舵角を設定し、取得した前記要求転舵速度と前記要求転舵トルクとが前記出力領域内の場合には、前記ステアリングホイールの回動角度に応じた前記目標転舵角を設定し、設定された前記目標転舵角に応じて前記電動アクチュエータを駆動制御するように構成された制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記要求転舵速度と前記要求転舵トルクとが前記出力領域内に入るように、前記要求転舵トルクを調整せずに前記要求転舵速度を調整するように構成されている、船舶推進装置の転舵装置。
  5. 前記制御部は、前記要求転舵速度を調整した際に前記要求転舵速度と前記要求転舵トルクとが前記出力領域内に入らない場合には、前記要求転舵速度および前記要求転舵トルクの両方を調整するように構成されている、請求項4に記載の船舶推進装置の転舵装置。
  6. 船舶推進装置の推力の向きを変更可能な電動アクチュエータと、
    前記電動アクチュエータによる転舵速度と前記転舵速度に応じた転舵トルクとに基づいて設定される出力領域を記憶する記憶部と、
    ステアリングホイールの回動角度に応じた要求転舵速度と要求転舵トルクとを取得し、取得した前記要求転舵速度と前記要求転舵トルクとが前記出力領域外の場合には、前記要求転舵速度と前記要求転舵トルクとが前記出力領域内に入るように、前記要求転舵速度および前記要求転舵トルクの少なくとも一方を調整して、調整後の前記要求転舵速度および前記要求転舵トルクに応じて目標転舵角を設定し、取得した前記要求転舵速度と前記要求転舵トルクとが前記出力領域内の場合には、前記ステアリングホイールの回動角度に応じた前記目標転舵角を設定し、設定された前記目標転舵角に応じて前記電動アクチュエータを駆動制御するように構成された制御部と、を備え、
    前記記憶部には、前記電動アクチュエータによる前記転舵速度と前記転舵トルクとに基づいて設定される前記出力領域を示すマップが記憶されており、
    前記記憶部には、前記出力領域が各々異なる複数の前記マップが記憶されており、
    前記制御部は、前記電動アクチュエータの使用可能電流に応じて前記マップを選択するように構成されている、船舶推進装置の転舵装置。
  7. 複数の前記マップには、通常マップと、前記通常マップよりも前記転舵速度に応じた前記転舵トルクの上限値が小さくなるように前記出力領域が補正された補正マップとが含まれており、
    前記制御部は、前記電動アクチュエータの使用可能電流が制限されていない場合には、前記通常マップを選択し、前記電動アクチュエータの使用可能電流が制限されている場合には、前記補正マップを選択するように構成されている、請求項6に記載の船舶推進装置の転舵装置。
  8. 船舶推進装置の推力の向きを変更可能な電動アクチュエータと、
    前記電動アクチュエータによる転舵速度と前記転舵速度に応じた転舵トルクとに基づいて設定される出力領域を記憶する記憶部と、
    ステアリングホイールの回動角度に応じた要求転舵速度と要求転舵トルクとを取得し、取得した前記要求転舵速度と前記要求転舵トルクとが前記出力領域外の場合には、前記要求転舵速度と前記要求転舵トルクとが前記出力領域内に入るように、前記要求転舵速度および前記要求転舵トルクの少なくとも一方を調整して、調整後の前記要求転舵速度および前記要求転舵トルクに応じて目標転舵角を設定し、取得した前記要求転舵速度と前記要求転舵トルクとが前記出力領域内の場合には、前記ステアリングホイールの回動角度に応じた前記目標転舵角を設定し、設定された前記目標転舵角に応じて前記電動アクチュエータを駆動制御するように構成された制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記電動アクチュエータの使用可能電流に基づいて、前記出力領域を更新するように構成されている、船舶推進装置の転舵装置。
  9. 前記制御部は、前記電動アクチュエータの温度が所定の温度以上である場合に、前記電動アクチュエータの使用可能電流を制限するとともに、制限された前記使用可能電流に基づいて、前記出力領域を更新するように構成されている、請求項8に記載の船舶推進装置の転舵装置。
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