上述の如く、第五世代移動通信システムにおける議論はまだ開始されたばかりである。そのため、例えば、超高信頼・低遅延通信のために、無線リソースの割り当てが実際に行われるタイミングよりも前の段階で、RLC-PDUに対してMACヘッダを付与するなどの事前処理(プリプロセッシングとも称される)を実行するようにした場合に生じ得る実装上の課題については、議論があまり進んでいないのが実情である。
本発明の発明者らは、上述の事前処理を実行するようにした場合に生じ得る実装上の課題について独自の検討の結果、無線リソースの割当て量が未確定であることから、事前処理の対象とするデータ量に制約が存在しないことによる不都合な点を見出した。
例えば、アプリケーションなどの上位層でデータが発生する都度、そのデータを即時に事前処理の実行対象とすると、ハンドオーバが生じた場合に、事前処理後のデータを廃棄することとなり、事前処理の実行に供したリソースが結果として無駄になる。別言すれば、ハンドオーバ発生時に廃棄されるデータに対して、事前処理を実行していなければ、その分だけ動作電力を削減できていたかもしれない。
また、従前から、二元接続を実行するか否かを判断する際の指標値として、第二層における副層の一つであるPDCPレイヤのバッファに滞留している送信データの量(PDCP送信バッファ量、第二バッファ量とも称されてよい)が用いられている。第五世代移動通信システムにおいても、そのような実装を継承することが議論されている。しかし、上位層で発生したデータに対して即時に事前処理を実行すると、PDCP送信バッファ量が概ねゼロ値となり、上述の判断の指標値として機能し得なくなる。
本発明の発明者らは、上述の事前処理の対象とするデータ量に制約が存在しないことによる不都合な点は、超高信頼・低遅延通信を実現する上で障害となり得る、という独自の知見を得るに至った。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、実施形態、実施例とも称する)について説明する。以下に示す実施形態の構成は、本発明の技術思想を具体化するための一例を示したものであり、本発明をこの実施形態の構成に限定することを意図するものではなく、特許請求の範囲(請求の範囲とも称される)含まれるその他の実施形態にも等しく適用し得るものである。例えば、PDCP、RLC、MAC等の種々のレイヤの名称については、今後の第五世代移動通信システムの仕様策定において、名称が変更され得ることも考えられる。第六世代以降の移動通信システムについても、各レイヤの名称が変更され得ることも考えられる。以下の開示では、無線通信のプロトコルスタックにおけるレイヤの一例として、PDCP、RLC、MAC等のレイヤの名称を用いるが、これらの名称のレイヤに限定する意図ではないことに留意されたい。
<実施例1> 実施例1に係る無線通信システム1では、受信装置に無線信号を送信することが可能な送信装置において、受信装置に対する無線リソースの割当量が確定する前に実行される事前処理の処理量が第一閾値未満となるように制約が設けられる。すなわち、第一の閾値は、事前処理により生成されるデータの分量を制御するための基準値としての側面を有する。このような事前処理の制約は、アップリンクに適用してもよいし、ダウンリンクに適用してもよい。アップリンクに適用した場合、送信装置は無線端末(UE(User Equipment)とも称される)であり、受信装置は基地局(BS(Base Station)、AP(Access Point)とも称される)である。ダウンリンクに適用した場合、送信装置は基地局であり、受信装置は無線端末である。
図1は、実施例1に係る無線通信システム1における通信プロトコルスタックの概略を示す図である。図1に示される無線通信システム1は、送信装置100と受信装置200とを有する。送信装置100は、上位層(Upper Layer)P110と、第二層(Layer 2)P120と、第一層(Layer 1)P130と、を有する。第一層は、通信プロトコルスタックにおける最下層の一例である。送信装置100の第二層P120は、第一副層(PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤ)P121と、第二副層(RLC(Radio Link Control)レイヤ)P122と、第三副層(MAC(Medium Access Control)レイヤ)P123と、を有する。なお、各層の名称は一例であり、第五世代以降の移動通信システムの仕様策定において、名称が変更され得ることに留意されたい。
送信装置100の第二層P120は、上位層P110から供給された受信装置200宛てのデータ(第一データとも称される)に対して、第一副層P121、第二副層P122、第三副層P123の順に各層に応じた処理を実行することで、第二データを生成する。
送信装置100の第一層P130は、第二層P120で生成された第二データに基づいて無線信号を生成し、無線通信回路を介して無線信号を送信する。これにより、受信装置200宛てのデータを含む無線信号が、受信装置200に送信される。
受信装置200は、上位層(Upper Layer)P210と、第二層(Layer 2)P220と、第一層(Layer 1)P230と、を有する。受信装置200の第二層P220は、第一副層(PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤ)P221と、第二副層(RLC(Radio Link Control)レイヤ)P222と、第三副層(MAC(Medium Access Control)レイヤ)P223と、を有する。
受信装置200の第一層P230は、送信装置100からの無線信号(受信信号とも称される)を無線通信回路を介して受信し、第一層P230に応じた処理を実行することで受信信号から第二データを抽出する。
受信装置200の第二層P220は、第一層P230により抽出された第二データに対して、第三副層P223、第二副層P222、第一副層P221の順に各層に応じた処理を実行することで、第一データを再生する。そして、受信装置200の第二層P220は、再生した第一データを上位層P210へ供給する。これにより、送信装置100の上位層P110から供給された第一データが、無線通信を介して、受信装置200の上位層P210へ供給される。
図2は、実施例1に係る送信装置100における事前処理の概要を示す図である。図2の例において、送信装置100の上位層P110から第一データが第一副層P121に供給されると(T10)、事前処理が実行されることで、第一データは、第一副層P121、第二副層P122、第三副層P123の各層における処理が順次適用され、第二データに変換されて、第一バッファP140に格納される(B10)。ここで、第一バッファP140は、事前処理の結果である第二データが格納されるバッファとしての側面を有する。
さらに、上位層P110から第一データが第一副層P121に供給されると(T11、T12)、同様にして、第一副層P121、第二副層P122、第三副層P123の各層における処理により第一データから変換された第二データが、第一バッファP140に追加され、第一バッファP140に格納された第二データの量(第一バッファ量とも称される)が増加する(B11、B12)。ここで、第一バッファ量は、事前処理により第一データから生成される第二データの分量としての側面を有する。
図2の例では、時点T13において、上位層P110から第一データが第一副層P121に供給されることで、第一バッファP140に格納された第二データの量が、事前処理の閾値(第一閾値とも称される)T20に到達する(B13)。時点T14において、上位層P110から第一データが第一副層P121に供給されると、すでに第一バッファ量が第一閾値に到達しているため、第一データに対する第二データへの変換は一時停止される。そして、第一バッファ量が第一閾値未満となるまで、第一データは第二バッファP150に格納される(B20)。
時点T15および時点T16では、上位層P110から第一データが第一副層P121に供給されたタイミングにおいて、第一バッファ量は第一閾値に到達したままであるため、上位層P110から供給された第一データは、第二バッファP150に格納される(B21,B22)。
図2の例では、時点T21において、無線スケジューリングによる無線リソースの割当てが第三副層P123に通知される。これにより、第一バッファP140から、無線リソースの割当量(トランスポートブロックサイズとも称され得る)に相当する第二データが、第三副層P123から第一層P130へ供給される(T22)。その結果、図2の例では、第一バッファ量が第一閾値T20未満にまで減少している。
時点T23では、第一バッファ量が第一閾値T20未満にまで減少したことを検知し、その検知結果に応じて、第二バッファP150に格納された第一データに対する事前処理が再開され(T23)、第二バッファP150の第一データから変換された第二データが第一バッファP140に格納される(B14)。さらに、時点T17では、まだ第一バッファ量が第一閾値T20に到達していないため、上位層P110から供給された第一データに対する事前処理が継続され、時点T17の第一データから変換された第二データが第一バッファP140に追加される(B15)。
以上のように、上位層P110から第一副層P121に第一データが供給されたときに、第一バッファP140に既に格納されている第二データの量(第一バッファ量とも称される)が第一閾値に到達しているか、第一閾値未満であるかが判断される。そして、第一バッファ量が第一閾値に到達している場合、送信装置100は、上位層P110から供給された第一データに対する事前処理を一時停止するように制御する。
これにより、第一バッファ量が第一閾値に到達している場合、上位層P110から供給される第一データは、第二データへの変換が行われずに、第二バッファP150に格納される。一側面では、第一データから第二データへの変換が一時停止されることで、例えば、変換処理を停止したことによる動作電力の削減が期待される。
また、他の一側面では、第二バッファP150に第一データが格納されることで、送信装置100は、第二バッファP150に格納された第一データの量(第二バッファ量とも称される)に基づいて、二元接続を実行するか否かを判断することが可能となる。
図3は、実施例1に係る送信装置100における事前処理の流れの一例を示す図である。図3に例示する処理の流れは、例えば、上位層(上位レイヤと称されてもよい)から第一データの供給を受けたことを契機として実行を開始してもよい。
送信装置100は、第一バッファP140に既に格納されている第二データの量(第一バッファ量)が第一閾値未満であるかを判定する(S101)。ここで、第一閾値は、予め設定された静的な閾値(固定値)であってもよいし、動作時に受信装置からの信号(第一信号と称されてもよい)に基づいて設定(更新)され得る動的な閾値であってもよい。例えば、静的な閾値としての第一閾値は、送信装置100のハードウェアの能力に応じて決められてもよい。送信装置100が無線端末である例では、無線端末の能力情報(Capability Information)に基づいて決定されてもよい。無線端末の能力情報は、UE Categoryと称されてもよい。この場合、UE Categoryにより規定される能力値としてのバッファサイズに対して、所定の係数(例えば0.8、0.9,1.0、1.1、1.2など)を乗算することで、第一閾値を決定してもよい。
第一バッファ量が第一閾値未満であると判定した場合(S101でYES)、送信装置100は、上位層から供給された第一データに対して事前処理を実行する(S102)。そして、送信装置100は、第一データから事前処理により生成された第二データを、第一バッファP140に格納する(S103)。これにより、第一バッファ量が増加する。
一方、第一バッファ量が第一閾値以上であると判定した場合(S101でNO)、送信装置100は、上位層から供給された第一データに対して事前処理を実行せず、第一データを第二バッファP150に格納する(S104)。なお、事前処理を実行する場合にも、第一データを第二バッファP150に格納してもよい。
以上の処理の流れにより、事前処理の対象とするデータ量に制約が設けられることとなる。これにより、上位層から供給される第一データに対して無制限に事前処理を実行する場合に生じ得る不都合を解消し、より効率的に超高信頼・低遅延通信を実現することができる。
<実施例2> 実施例2に係る無線通信システム1では、第一層のシグナリングにより、事前処理の対象とするデータ量を制約する第一閾値が動的に設定(更新)される。なお、第一層は、通信プロトコルスタックにおける最下層の一例である。以下では、第一層のシグナリングの一例として、PDCCH(Physical Downlink Control CHannel)またはE-PDCCH(Extended-PDCCH)で送信される下り制御情報(DCI(Downlink Control Information)、下り制御信号、第一信号と称されてもよい)を用いた例を説明する。この場合、送信装置100は無線端末(UE)であり、受信装置200は基地局(BS)である。なお、本実施例は、これに限定されるものではなく、第一層のシグナリングを上り制御情報(UCI(Uplink Control Information)、上り制御信号、第一信号と称されてもよい)としてもよい。
図4は、実施例2に係る無線通信システム1における第一層シグナリングによる第一閾値の設定シーケンスの一例を示す図である。送信装置100は、受信装置200とのコネクションを確立する際に、受信装置200からRRCメッセージ(RRC Connection Reconfiguration)を受信する(S201)。送信装置100は、受信装置200からのRRC Connection Reconfigurationに含まれる各種情報に基づいて、SRB(Signalling Radio Bearer)やDRB(Data Radio Bearer)を設定してもよい。また、送信装置100は、受信装置200に対して、RRCメッセージ(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信してもよい。
図4では、送信装置100が受信装置200からRRCメッセージを受信した後(S201)、送信装置100の第一バッファP140に格納されている第二データの量(第一バッファ量)は120[Byte]であることが示されている。これは、第一閾値の初期値が120[Byte]に設定されていることによる。別言すれば、第一閾値は、何らかの値に設定されていればよい。
受信装置200は、第一層のシグナリングにより、無線リソースの割当量(トランスポートブロックサイズとも称される)を、送信装置100に通知する(S202)。S202において、受信装置200は、第一層のシグナリングとして、DCIのFormat0を用いてもよい。例えば、DCI(Format0)における、リソースブロック割当て(Resource Block Assignment)やMCS(Modulation and Coding Scheme)インデックスなどを用いて、無線リソースの割当量を通知してもよい。
図4の例では、S202により、送信装置100は、受信装置200宛てのデータに対する無線リソースの割当量(TBS)が100[Byte]であることが通知される。
そして、送信装置100は、第一層のシグナリングにより通知された無線リソースの割当量に基づいて、第一閾値を設定(更新)する。図4の例では、S202で通知された割当量(TBS=100[Byte])に基づき、第一閾値が100[Byte]に設定される。なお、第一閾値は、第一層のシグナリングで通知される無線リソースの割当量と必ずしも同じ値に設定される必要は無く、例えば、通知された割当量に対して所定の係数(例えば0.8、0.9,1.0,1.1、または1.2など)を乗算した値を用いて決定してもよい。
送信装置100は、S202で通知された割当量に基づき、受信装置200宛てのデータを送信する(S203)。S203において、送信装置100は、例えば、PUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)を用いて、受信装置200宛てのデータを送信してもよい。図4の例では、第一バッファP140に格納された第二データのうち、S202で通知された割当量に相当する100[Byte]の第二データが、送信装置100から受信装置200へ伝送される。
その結果、第一バッファ量は、120[Byte]から100[Byte]が減算され、20[Byte]となる。そして、第一閾値が100[Byte]であるため、S203でのデータ送信後の第一バッファ量は、「第一バッファ量<第一閾値」の条件を満たす。
送信装置100は、第一バッファ量が第一閾値未満の場合、上位層から供給される第一データに対して事前処理を実行する。その結果、図4の例では、事前処理により第一データから生成された第二データが第一バッファP140に格納されることで、第一バッファP140に80[Byte]の第二データが追加され、第一バッファ量は合計100[Byte]になる。
受信装置200は、無線スケジューリングによる無線リソースの割当量を、第一層のシグナリングにより、送信装置100に通知する(S204)。図4の例では、前回の割当量(TBS=100[Byte])よりも少ない割当量(TBS=50[Byte])が通知されている。
送信装置100は、第一層のシグナリングにより通知された無線リソースの割当量に基づいて、第一閾値を設定(更新)する。図4の例では、S204で通知された割当量(TBS=50[Byte])に基づき、第一閾値が50[Byte]に設定される。S202の通知と同様に、第一閾値は、第一層のシグナリングで通知される無線リソースの割当量と必ずしも同じ値に設定される必要は無く、例えば、通知された割当量に対して所定の係数(例えば0.8,0.9,1.0,1.1、または1.2など)を乗算した値を用いて決定してもよい(以下、同様である)。
送信装置100は、S204で通知された割当量に基づき、受信装置200宛てのデータを送信する(S205)。S205において、送信装置100は、例えば、PUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)を用いて、受信装置200宛てのデータを送信してもよい。図4の例では、第一バッファP140に格納された第二データのうち、S204で通知された割当量に相当する50[Byte]の第二データが、送信装置100から受信装置200へ伝送される。
その結果、第一バッファ量は、100[Byte]から50[Byte]が減算され、50[Byte]となる。そして、第一閾値が50[Byte]であるため、S205でのデータ送信後の第一バッファ量は、「第一バッファ量<第一閾値」の条件を満たさない。送信装置100は、第一バッファ量が第一閾値以上の場合、上位層から供給される第一データに対する事前処理を停止し、第一データを第二バッファP150に格納する。その結果、図4の例では、事前処理により新たな第二データが第一バッファP140に格納されることはなく、第一バッファ量は50[Byte]のままである。
以上の設定シーケンス例では、第一層のシグナリングで通知される無線リソースの割当量に基づいて、第一閾値の設定が行われる。このように、第一層のシグナリングで通知される無線リソースの割当量に第一閾値を追随させることで、送信装置100と受信装置200との間の無線品質などが反映された無線スケジューリングに第一閾値を追随させることができる。その結果、送信装置100と受信装置200との間の無線品質などが反映された無線スケジューリングの状況にあわせて、事前処理の処理量を適切に調整することができる。この様な作用は、超高信頼・低遅延通信を適切に実現するうえで有用である。
<実施例2の変形例> 図4の例では、第一層の1回分のシグナリングに基づいて第一閾値を設定する例を説明したが、本実施例はこれに限定されるものではない。例えば、複数回のシグナリングで通知される無線リソースの割当量を加重平均するなどの統計処理を行った値に基づいて、第一閾値を設定してもよい。
<実施例3> 実施例3に係る無線通信システム1では、RRC(Radio Resource Control)シグナリングにより、第一閾値が動的に設定(変更)される。以下では、第一閾値の設定に用いるRRCシグナリングの一例として、RRC Connection Reconfigurationメッセージ(第一信号と称されてもよい)を用いた例を説明する。この場合、送信装置100は無線端末(UE)であり、受信装置200は基地局(BS)である。なお、実施例3において、第一閾値の設定に用いるRRCシグナリングは、この例に限定されるものではなく、他のRRCメッセージ(例えばRRC Connection Setup)を用いてもよい。
図5は、実施例3に係る無線通信システム1におけるRRCシグナリングによる第一閾値の設定シーケンスの一例を示す図である。受信装置200は、送信装置100とのコネクションを確立する際に、RRCメッセージ(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(S301)。S301において、受信装置200は、送信装置100宛てのRRCメッセージに、第一閾値設定情報を格納する。別言すると、実施例3に係るRRCメッセージは、第一閾値設定情報を情報要素の一つとして有する。
第一閾値設定情報は、送信装置100における第一閾値の設定に用いられる情報を含む。第一閾値設定情報の一例として、送信装置100においていられるべき第一閾値の値そのものであってもよい。あるいは、二元接続を実行するか否かの判定に用いられる閾値(第二閾値とも称される)である「ul_DataSplitThreshold」を、第一閾値設定情報として格納するようにしてもよい。この場合、送信装置100は、RRCメッセージに格納された「ul_DataSplitThreshold」に基づいて、第二閾値として設定するとともに、第一閾値としても設定すればよい。その際、「ul_DataSplitThreshold」に所定の係数(例えば、0.8,0.9,1.0,1.1,または1.2など)を乗算した値を、第一閾値としてもよい。また、送信装置100において第一閾値を決定する際に所定の数値(例えば、端末性能情報(UE Categoryとも称され得る)に基づき定まる端末のバッファ量、第二閾値など)に対して乗算する係数を、第一閾値設定情報として、RRCメッセージに格納してもよい。
図5では、送信装置100は、第一閾値を120[Byte]に設定すべき旨を示す第一閾値設定情報を、RRCシグナリングにより、受信装置200から受信する。送信装置100は、S301により受信した第一閾値設定情報に基づいて、第一閾値を120[Byte]に設定する。
その後、送信装置100は、第一バッファ量が第一閾値未満である場合、上位層から供給された第一データから事前処理により第二データを生成し、事前処理により生成された第二データを第一バッファP140に格納する。これにより、第一バッファ量は増加する。図5では、送信装置100の第一バッファ量は、第一閾値と同じ値である120[Byte]になっている。
つぎに、受信装置200は、実施例2と同様に、第一層のシグナリングにより、無線リソースの割当量(トランスポートブロックサイズとも称される)を、送信装置100に通知する(S302)。S302において、受信装置200は、第一層のシグナリングとして、DCIのFormat0を用いてもよい。例えば、DCI(Format0)における、リソースブロック割当て(Resource Block Assignment)やMCS(Modulation and Coding Scheme)インデックスなどを用いて、無線リソースの割当量を通知してもよい。
図5の例では、S302により、送信装置100は、受信装置200宛てのデータに対する無線リソースの割当量(TBS)が100[Byte]であることが通知される。しかし、実施例3では、送信装置100の第一閾値は、120[Byte]のままである。
送信装置100は、S302で通知された割当量に基づき、受信装置200宛てのデータを送信する(S303)。S303において、送信装置100は、例えば、PUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)を用いて、受信装置200宛てのデータを送信してもよい。図5の例では、第一バッファP140に格納された第二データのうち、S302で通知された割当量に相当する100[Byte]の第二データが、送信装置100から受信装置200へ伝送される。
その結果、第一バッファ量は、120[Byte]から100[Byte]が減算され、20[Byte]となる。そして、第一閾値が120[Byte]であるため、S303でのデータ送信後の第一バッファ量は、「第一バッファ量<第一閾値」の条件を満たす。
送信装置100は、第一バッファ量が第一閾値未満の場合、上位層から供給される第一データに対して事前処理を実行する。その結果、図5の例では、事前処理により第一データから生成された第二データが第一バッファP140に格納されることで、第一バッファP140に100[Byte]の第二データが追加され、第一バッファ量は合計120[Byte]になる。
受信装置200は、無線スケジューリングによる無線リソースの割当量を、第一層のシグナリングにより、送信装置100に通知する(S304)。図5の例では、前回の割当量(TBS=100[Byte])よりも少ない割当量(TBS=50[Byte])が通知されている。しかし、実施例3では、送信装置100の第一閾値は、120[Byte]のままである。
送信装置100は、S304で通知された割当量に基づき、受信装置200宛てのデータを送信する(S305)。S305において、送信装置100は、例えば、PUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)を用いて、受信装置200宛てのデータを送信してもよい。図5の例では、第一バッファP140に格納された第二データのうち、S304で通知された割当量に相当する50[Byte]の第二データが、送信装置100から受信装置200へ伝送される。
その結果、第一バッファ量は、120[Byte]から50[Byte]が減算され、70[Byte]となる。そして、第一閾値が120[Byte]であるため、S305でのデータ送信後の第一バッファ量は、「第一バッファ量<第一閾値」の条件を満たす。
送信装置100は、第一バッファ量が第一閾値未満の場合、上位層から供給される第一データに対して事前処理を実行する。その結果、図5の例では、事前処理により第一データから生成された第二データが第一バッファP140に格納されることで、第一バッファP140に50[Byte]の第二データが追加され、第一バッファ量は合計120[Byte]になる。
受信装置200は、送信装置100と受信装置200との間の無線品質の変化などを契機として、第一閾値を更新すべき旨を示す第一閾値設定情報を、RRCシグナリングにより、送信装置100に送信してもよい(S306)。図5のS306において、受信装置200は、送信装置100における第一閾値を150[Byte]に設定すべき旨を示す第一閾値設定情報を、RRCシグナリングにより、送信装置100に送信する。
送信装置100は、RRCシグナリングにより、受信装置200から受信した第一閾値設定情報に基づいて、第一閾値を更新(設定)する。図5の例では、送信装置100は、S306により受信した第一閾値設定情報に基づいて、第一閾値を150[Byte]に更新する。その結果、第一バッファ量は、「第一バッファ量<第一閾値」の条件を満たす。
送信装置100は、第一バッファ量が第一閾値未満の場合、上位層から供給される第一データに対して事前処理を実行する。その結果、図5の例では、事前処理により第一データから生成された第二データが第一バッファP140に格納されることで、第一バッファP140に30[Byte]の第二データが追加され、第一バッファ量は合計150[Byte]になる。
以上の設定シーケンス例では、RRCシグナリングにより通知される第一閾値設定情報に基づいて、第一閾値の設定が行われる。このように、RRCシグナリングにより第一閾値の設定に用いられる第一閾値設定情報を通知することで、第一層のシグナリングで第一閾値を設定する方式と比較して、第一閾値の更新周期を緩やかにすることができる。この様な作用は、例えば、瞬間的な無線品質の変動に追随して無線リソースの割当量が一時的に変動するような事象が発生したとしても、RRCシグナリングによる第一閾値設定情報の通知(更新指示とも称される)がなければ第一閾値は維持されるため、事前処理の処理量を安定させるという側面を有する。
<実施例4> 実施例4に係る無線通信システム1では、第一層のシグナリングと、RRCシグナリングとの両方により、第一閾値が動的に設定(更新)される。以下では、第一層のシグナリングの一例として、PDCCH(Physical Downlink Control CHannel)またはE-PDCCH(Extended-PDCCH)で送信される下り制御情報(DCI(Downlink Control Information))を用いた例を説明する。また、第一閾値の設定に用いるRRCシグナリングの一例として、RRC Connection Reconfigurationメッセージを用いた例を説明する。この場合、送信装置100は無線端末(UE)であり、受信装置200は基地局(BS)である。
図6は、実施例4に係る無線通信システム1におけるRRCシグナリング及び第一層シグナリングによる第一閾値の設定シーケンスの一例を示す図である。受信装置200は、送信装置100とのコネクションを確立する際に、RRCメッセージ(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(S401)。S401において、受信装置200は、送信装置100宛てのRRCメッセージに、第一閾値設定情報を格納する。
第一閾値設定情報は、送信装置100における第一閾値の設定に用いられる情報を含む。第一閾値設定情報の一例として、送信装置100において用いられるべき第一閾値の値そのものであってもよい。あるいは、二元接続を実行するか否かの判定に用いられる閾値(第二閾値とも称される)である「ul_DataSplitThreshold」を、第一閾値設定情報として格納するようにしてもよい。この場合、送信装置100は、RRCメッセージに格納された「ul_DataSplitThreshold」に基づいて、第二閾値として設定するとともに、第一閾値としても設定すればよい。その際、「ul_DataSplitThreshold」に所定の係数(例えば、0.8,0.9,1.0,1.1,または1.2など)を乗算した値を、第一閾値としてもよい。また、送信装置100において第一閾値を決定する際に所定の数値(例えば、端末性能情報(UE Categoryとも称され得る)に基づき定まる端末のバッファ量、第二閾値など)に対して乗算する係数を、第一閾値設定情報として、RRCメッセージに格納してもよい。
図6では、送信装置100は、第一閾値を120[Byte]に設定すべき旨を示す第一閾値設定情報を、RRCシグナリングにより、受信装置200から受信する。送信装置100は、S401により受信した第一閾値設定情報に基づいて、第一閾値を120[Byte]に設定する。
その後、送信装置100は、第一バッファ量が第一閾値未満である場合、上位層から供給された第一データから事前処理により第二データを生成し、事前処理により生成された第二データを第一バッファP140に格納する。これにより、第一バッファ量は増加する。図6では、送信装置100の第一バッファ量は、第一閾値と同じ値である120[Byte]になっている。
つぎに、受信装置200は、第一層のシグナリングにより、無線リソースの割当量(トランスポートブロックサイズとも称される)を、送信装置100に通知する(S402)。S402において、受信装置200は、第一層のシグナリングとして、DCIのFormat0を用いてもよい。例えば、DCI(Format0)における、リソースブロック割当て(Resource Block Assignment)やMCS(Modulation and Coding Scheme)インデックスなどを用いて、無線リソースの割当量を通知してもよい。
図6の例では、S402により、送信装置100は、受信装置200宛てのデータに対する無線リソースの割当量(TBS)が100[Byte]であることが通知される。
そして、送信装置100は、第一層のシグナリングにより通知された無線リソースの割当量に基づいて、第一閾値を設定(更新)する。図6の例では、S402で通知された割当量(TBS=100[Byte])に基づき、第一閾値が100[Byte]に設定される。なお、第一閾値は、第一層のシグナリングで通知される無線リソースの割当量と必ずしも同じ値に設定される必要は無く、例えば、通知された割当量に対して所定の係数(例えば0.8、0.9,1.0,1.1、または1.2など)を乗算した値を用いて決定してもよい。
送信装置100は、S402で通知された割当量に基づき、受信装置200宛てのデータを送信する(S403)。S403において、送信装置100は、例えば、PUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)を用いて、受信装置200宛てのデータを送信してもよい。図6の例では、第一バッファP140に格納された第二データのうち、S402で通知された割当量に相当する100[Byte]の第二データが、送信装置100から受信装置200へ伝送される。
その結果、第一バッファ量は、120[Byte]から100[Byte]が減算され、20[Byte]となる。そして、第一閾値が100[Byte]であるため、S403でのデータ送信後の第一バッファ量は、「第一バッファ量<第一閾値」の条件を満たす。
送信装置100は、第一バッファ量が第一閾値未満の場合、上位層から供給される第一データに対して事前処理を実行する。その結果、図6の例では、事前処理により第一データから生成された第二データが第一バッファP140に格納されることで、第一バッファP140に80[Byte]の第二データが追加され、第一バッファ量は合計100[Byte]になる。
受信装置200は、無線スケジューリングによる無線リソースの割当量を、第一層のシグナリングにより、送信装置100に通知する(S404)。図6の例では、前回の割当量(TBS=100[Byte])よりも少ない割当量(TBS=50[Byte])が通知されている。
送信装置100は、第一層のシグナリングにより通知された無線リソースの割当量に基づいて、第一閾値を設定(更新)する。図6の例では、S404で通知された割当量(TBS=50[Byte])に基づき、第一閾値が50[Byte]に設定される。S402の通知と同様に、第一閾値は、第一層のシグナリングで通知される無線リソースの割当量と必ずしも同じ値に設定される必要は無く、例えば、通知された割当量に対して所定の係数(例えば0.8、0.9,1.0,1.1、または1.2など)を乗算した値を用いて決定してもよい。
送信装置100は、S404で通知された割当量に基づき、受信装置200宛てのデータを送信する(S405)。S405において、送信装置100は、例えば、PUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)を用いて、受信装置200宛てのデータを送信してもよい。図6の例では、第一バッファP140に格納された第二データのうち、S404で通知された割当量に相当する50[Byte]の第二データが、送信装置100から受信装置200へ伝送される。
その結果、第一バッファ量は、100[Byte]から50[Byte]が減算され、50[Byte]となる。そして、第一閾値が50[Byte]であるため、S405でのデータ送信後の第一バッファ量は、「第一バッファ量<第一閾値」の条件を満たさない。送信装置100は、第一バッファ量が第一閾値以上の場合、上位層から供給される第一データに対する事前処理を停止し、第一データを第二バッファP150に格納する。その結果、図6の例では、事前処理により新たな第二データが第一バッファP140に格納されることはなく、第一バッファ量は50[Byte]のままである。
受信装置200は、送信装置100と受信装置200との間の無線品質の変化などを契機として、第一閾値を更新すべき旨を示す第一閾値設定情報を、RRCシグナリングにより、送信装置100に送信してもよい(S406)。図6のS406において、受信装置200は、送信装置100における第一閾値を150[Byte]に設定すべき旨を示す第一閾値設定情報を、RRCシグナリングにより、送信装置100に送信する。
送信装置100は、RRCシグナリングにより、受信装置200から受信した第一閾値設定情報に基づいて、第一閾値を更新(設定)する。図6の例では、送信装置100は、S406により受信した第一閾値設定情報に基づいて、第一閾値を150[Byte]に更新する。その結果、第一バッファ量は、「第一バッファ量<第一閾値」の条件を満たす。
送信装置100は、第一バッファ量が第一閾値未満の場合、上位層から供給される第一データに対して事前処理を実行する。その結果、図6の例では、事前処理により第一データから生成された第二データが第一バッファP140に格納されることで、第一バッファP140に100[Byte]の第二データが追加され、第一バッファ量は合計150[Byte]になる。
以上の設定シーケンス例では、RRCシグナリングにより通知される第一閾値設定情報に基づいて、第一閾値の設定が行われる。これにより、第一層のシグナリングで通知される無線リソースの割当量に第一閾値を追随させることで、送信装置100と受信装置200との間の無線品質などが反映された無線スケジューリングに第一閾値を追随させることができる。その結果、送信装置100と受信装置200との間の無線品質などが反映された無線スケジューリングの状況にあわせて、事前処理の処理量を適切に調整することができる。
以上の設定シーケンス例では、さらに、第一層のシグナリングで通知される無線リソースの割当量に基づいて、第一閾値の設定が行われる。これにより、瞬間的な無線品質の異常変動に追随して無線リソースの割当量が異常変動したことを受けて、第一閾値が適切でない値に更新されてしまったとしても、RRCシグナリングにより第一閾値を適切に設定し直すことが期待できる。
<実施例4の変形例> 図6に例示する設定シーケンスでは、送信装置100が受信装置200宛てのデータを送信する契機として、受信装置200からの第一層シグナリングによる無線リソースの割当量の通知(例えば、S402、S404)が用いられる例を説明したが、実施例4はこれに限定されるものではない。なお、他の実施例も同様である。
例えば、無線スケジューリングの方式の一つであるセミパーシステントスケジューリング方式(SPS(Semi-Persistent Scheduling))によれば、無線リソースの割当量の一回の通知が、1サブフレーム(TTI(Transmission Time Interval)と称されてもよい)だけでなく、複数のサブフレームにも適用される。別言すれば、ある一定の無線リソースを周期的に割り当てることで、第一層シグナリングによる無線リソースの割当て通知に要するオーバーヘッド(負荷と称されてもよい)を削減する。
SPS方式を用いる場合、図6に示す設定シーケンスにおいて、例えば、S404の第一層シグナリングが省略されてもよい。この場合、送信装置100は、S405において、第一バッファP140に格納された第二データのうち、100[Byte]の第二データを、受信装置200に送信する。
なお、上述のいずれの実施例も、SPS方式を適用することも可能であるし、DS(Dynamic Scheduling)方式を適用することも可能である。
<実施例5> 実施例5に係る無線通信システム1では、送信装置100と受信装置200との無線通信の方式を選択する際の判定に用いる第二閾値が、第一閾値に基づいて調整される。無線通信の方式の一例では、一つの送信装置100が複数の受信装置200との無線通信を行う方式(多元接続と称されてもよい)と、一つの送信装置100が一つの受信装置200との無線通信を行う方式(一元接続と称されてもよい)などがある。
図7は、実施例5に係る送信装置100における事前処理の概要を示す図である。図7において、図2と同様の箇所については、同じ参照符号を付している。図7の例でも、送信装置100の上位層P110から第一データが第一副層P121に供給されると(T10)、第一バッファ量が第一閾値T20未満であるため、事前処理が実行される。その結果、第一データは、第一副層P121、第二副層P122、第三副層P123の各層における処理が順次適用され、第二データに変換されて、第一バッファP140に格納される(B10)。
時点T11ないし時点T13においても、第一バッファ量は、第一閾値T20未満であるため、上位層P110から第一データが第一副層P121に供給されると(T11、T12、T13)、同様にして、第一データから変換された第二データが、第一バッファP140に追加される。その結果、第一バッファP140に格納された第二データの量(第一バッファ量とも称される)が増加する(B11、B12、B13)。
図7の例では、時点T14において、実施例2ないし実施例4などに例示される方式により、第一閾値T30Aに更新される。その結果、時点T14において上位層P110から供給された第一データに対しても事前処理が実行され、第一データから変換された第二データが第一バッファP140に追加される(B13A)。
図7の例では、時点T14において、多元接続をするか否かの判定に用いられる第二閾値T31Aが、更新後の第一閾値T30Aに基づき、第二閾値T32Aに更新される。例えば、更新後の第一閾値T30Aが更新前の第一閾値T20と比較して大きな値に更新された場合、更新後の第二閾値T32Aは、更新前の第二閾値T31Aと比較して小さな値に更新してもよい。別言すれば、更新後の第一閾値T30Aが更新前の第一閾値T20と比較して小さな値に更新された場合、更新後の第二閾値T32Aは、更新前の第二閾値T31Aと比較して大きな値に更新してもよい。
つづいて、時点T15および時点T16では、上位層P110から第一データが第一副層P121に供給されたタイミングにおいて、第一バッファ量は第一閾値に到達しているため、上位層P110から供給された第一データは、第二バッファP150に格納される(B20A,B21A)。
その結果、時点T16において、上位層P110から供給された第一データが第二バッファP150に格納されることで、第二バッファP150に格納された第一データの量(第二バッファ量とも称される)は、更新後の第二閾値T32Aを超える。送信装置100は、第二バッファ量が第二閾値T32Aを超えたことに基づき、二元接続を実行することを決定してもよい。
図7の例では、時点T22において、第一バッファに格納された第二データが送信されることで、第一バッファ量が減算される。そして、時点T23において、第一バッファ量が第一閾値T30A未満となることで、第二バッファに格納された第一データに対して事前処理が実行され、第二バッファ量が減算される。その結果、図7の例では、第二バッファ量は、期間T33Aにおいて第二閾値以上となり、その後、第二閾値未満となる。
送信装置100は、第二バッファ量が第二閾値未満となったことを検知した場合、複数の受信装置200と無線通信を行う接続方式である二元接続の実行を終了し、一つの受信装置200と無線通信を行う接続方式である一元接続に切り替えてもよい。
<実施例5の変形例1> 実施例5において、第一閾値に基づいて第二閾値を更新する方法について説明したが、第二閾値の更新方法はこれに限定されない。例えば、送信装置100は、第二バッファ量と第二閾値とを比較する際に、つぎのように、第一閾値に基づいて第二閾値を調整してもよい。すなわち、送信装置100は、第二バッファ量が、判定条件「第二バッファ量>=(第二閾値-(第一閾値×D))」を満たす場合、二元接続を実行することを決定してもよい。ここで、係数Dは、第一閾値に乗算する所定の値(例えば、0.8、0.9,1.0,1.1、または1.2など)である。
<実施例5の変形例2> 実施例5において、第二バッファ量と第二閾値との比較結果に基づいて、二元接続を実行するか、一元接続を実行するかを制御する説明を行ったが、本実施例はこれに限定されない。例えば、送信装置100は、第二バッファ量と第二閾値との比較結果に基づいて、複数の受信装置200の各々に異なるデータを送信するDualConectivity方式(DC方式とも称される)を実行するか、複数の受信装置200の各々に同じデータを送信するDuplication方式(DP方式とも称される)を実行するか、を制御してもよい。
すなわち、送信装置100は、第二バッファ量が、判定条件「第二バッファ量<(第二閾値-(第一閾値×D))」を満たす場合、DP方式を実行することを決定してもよい。あるいは、送信装置100は、第二バッファ量が、判定条件「第二バッファ量<(第二閾値-(第一閾値×D))」を満たさない場合、DC方式を実行することを決定してもよい。
なお、「ul_DataSplitThreshold」に基づいて第二閾値を設定する場合、上述の判定条件は、例えば、「第二バッファ量<(ul_DataSplitThreshold-(第一閾値×D))」と表現することもできる。
<ハードウェア構成> 最後に、本実施例に用いられる各装置のハードウェア構成について、簡単に説明する。図8は、無線通信システム1における送信装置100と受信装置200とのハードウェア構成の一例を示す図である。
図8に示す送信装置100は、無線通信回路101、処理回路102、メモリ103を有する。なお、図8に示す送信装置100では、アンテナなどの一部の構成について、図示を省略している。また、送信装置100が無線端末である場合、送信装置100は、液晶ディスプレイなどの表示装置や、タッチパネルなどの入力装置や、リチウムイオン二次電池(lithium-ion rechargeable battery)などのバッテリなどを備えてもよい。
また、送信装置100が基地局である場合、送信装置100は、他の装置へ出力可能なフォーマットのパケットデータに情報を変換して他の装置へ送信したり、他の装置から受信したパケットデータからデータなどを抽出して、メモリ103や処理回路102などに出力したりするように構成された、有線通信回路を有してもよい。他の装置の例としては、他の基地局装置やMME(Mobility Management Entity)やSGW(Serving Gateway)などがあり得る。MMEやSGWはコアノードとも称され、コアノードとの通信に用いられる論理的な通信インタフェースはS1インタフェースとも称される。他の基地局装置との通信に用いられる論理的な通信インタフェースはX2インタフェースとも称される。
無線通信回路101は、処理回路102からベースバンド信号(無線信号、デジタル無線信号と称されてもよい)の供給を受けて、当該ベースバンド信号から所定の出力レベルの無線信号(第二の無線信号、アナログ無線信号と称されてもよい)を生成し、アンテナを介して無線信号を空間に放射するように構成される。これにより、送信装置100は、受信装置200に無線信号を送信することができる。また、無線通信回路101は、アンテナから入力される無線信号を受信し、無線信号をベースバンド信号に変換し、処理回路102にベースバンド信号を供給するように構成される。これにより、送信装置100は、受信装置200からの無線信号を受信することができる。上述のように、無線通信回路101は、無線信号の送受信が可能となるように構成され、受信装置200との無線通信を行う機能を有する。
送信装置100が無線端末の場合、無線通信回路101は、無線端末内部の伝送回路を介して処理回路102と通信可能に接続され得る。伝送回路としては、例えば、M-PHY、Dig-RFなどの規格に準拠した伝送回路が挙げられる。
送信装置100が基地局の場合、無線通信回路101は、CPRI(Common Public Radio Interface)などの伝送路を介して処理回路102と通信可能に接続させることも可能であり、RRH(Remote Radii Head)、RRE(Remote Radio Equipment)とも称され得る。また、無線通信回路101と処理回路102との組み合わせは、一対一に限定されるものではなく、一つの無線通信回路101に複数の処理回路102を対応付けたり、複数の無線通信回路101を一つの処理回路102に対応付けたり、複数の無線通信回路101を複数の処理回路102に対応付けることも可能である。
処理回路102は、ベースバンド信号処理を行うように構成された回路である。処理回路102は、無線通信システム1におけるプロトコルスタックに基づいてベースバンド信号(無線信号、デジタル無線信号と称されてもよい)を生成し、無線通信回路101にベースバンド信号を出力するように構成される。また、処理回路102は、無線通信回路101から入力されたベースバンド信号に対して、無線通信システム1におけるプロトコルスタックに基づいて復調・復号などの受信処理を行うように構成される。別言すれば、アップリンクにおいて、処理回路102は、無線通信の機能を複数のレイヤに分割したプロトコルスタックの手順に従って、受信装置200宛ての第一データを上位層から下位レイヤへと送信データを順次処理して得られた第二データに基づいて、無線通信回路101に無線信号を送信させる回路としての側面を有する。また、処理回路102は、無線通信の機能を複数のレイヤに分割したプロトコルスタックの手順に従って、無線通信回路101を介して受信した無線信号を、下位レイヤから上位層へと順次処理する回路としての側面を有する。ここで、無線通信回路101からベースバンド信号の入力を受けることは、無線通信回路101を介して受信装置200からの無線信号を受信するという側面を有する。
処理回路102は、例えば、メモリ103に格納されたプログラムを読みだして実行することで、上述の各種の実施例に係る送信装置100の動作を実現する演算装置であってもよい。処理回路102として、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、これらの組合せなどが挙げられる。なお、処理回路102は、二以上のコアを含むマルチコアプロセッサであっても良い。また、処理回路102は、無線通信システム1のプロトコルスタックにおける各レイヤに応じて、二以上の処理回路102を実装してもよい。例えば、第一副層(PDCPレイヤ)に属する第一副層エンティティ(PDCPエンティティ)としての処理を実行する処理回路102と、第二副層(RLCレイヤ)に属する第二副層エンティティ(RLCエンティティ)としての処理を実行する処理回路102と、第三副層(MACレイヤ)に属する第三副層エンティティ(MACエンティティ)としての処理を実行する処理回路102とを、個別に実装してもよい。
処理回路102は、C-CPUと称されてもよい。送信装置100は、処理回路102の他に、アプリケーションを実行するA-CPUとも称されるプロセッサ回路を実装してもよい。なお、処理回路102は、A-CPUとも称されるプロセッサ回路とともに1チップで実装してもよいし、個別のチップとして実装してもよい。上述のように、処理回路102は、送信装置100の動作を制御する機能を有する制御部としての側面を有する。
メモリ103は、処理回路102で実行されるベースバンド信号処理に係るデータやプログラムを記憶保持するように構成される回路である。メモリ103は、不揮発性記憶装置と揮発性記憶装置の両方あるいは一方を少なくとも含んで構成される。たとえば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などが挙げられる。図8において、メモリ103は、主記憶装置及び補助記憶装置などの各種記憶装置を総称したものである。なお、メモリ103は、処理回路102と同様に、無線通信システム1のプロトコルスタックにおける各レイヤに応じて、二以上のメモリ103を実装してもよい。例えば、第一副層(PDCPレイヤ)に属する第一副層エンティティ(PDCPエンティティ)としての処理に用いられるメモリ103と、第二副層(RLCレイヤ)に属する第二副層エンティティ(RLCエンティティ)としての処理に用いられるメモリ103と、第三副層(MACレイヤ)に属する第三副層エンティティ(MACエンティティ)としての処理に用いられるメモリ103とを、個別に実装してもよい。
図8に示す受信装置200は、無線通信回路201、処理回路202、メモリ203を有する。なお、図17に示す基地局装置20では、アンテナの図示を省略している。また、受信装置200が無線端末である場合、受信装置200は、液晶ディスプレイなどの表示装置や、タッチパネルなどの入力装置や、リチウムイオン二次電池(lithium-ion rechargeable battery)などのバッテリなどを備えてもよい。
また、受信装置200が基地局である場合、受信装置200は、他の装置へ出力可能なフォーマットのパケットデータに情報を変換して他の装置へ送信したり、他の装置から受信したパケットデータからデータなどを抽出して、メモリ203や処理回路202などに出力したりするように構成された、有線通信回路を有してもよい。他の装置の例としては、他の基地局装置やMME(Mobility Management Entity)やSGW(Serving Gateway)などがあり得る。MMEやSGWはコアノードとも称され、コアノードとの通信に用いられる論理的な通信インタフェースはS1インタフェースとも称される。他の基地局装置との通信に用いられる論理的な通信インタフェースはX2インタフェースとも称される。
無線通信回路201は、処理回路202からのベースバンド信号(無線信号、デジタル無線信号と称されてもよい)の供給を受けて、当該ベースバンド信号から所定の出力レベルの無線信号(第二の無線信号、アナログ無線信号と称されてもよい)を生成し、アンテナを介して無線信号を空間に放射するように構成される。これにより、受信装置200は、送信装置100に無線信号を送信することができる。また、無線通信回路201は、アンテナから入力される無線信号を受信し、無線信号をベースバンド信号に変換し、処理回路202へベースバンド信号を供給するように構成される。これにより、受信装置200は、送信装置100からの無線信号を受信することができる。上述のように、無線通信回路201は、無線信号の送受信が可能となるように構成され、送信装置100との無線通信を行う機能を有する。
受信装置200が基地局の場合、無線通信回路201は、CPRI(Common Public Radio Interface)などの伝送路を介して処理回路202と通信可能に接続させることも可能であり、RRH(Remote Radii Head)、RRE(Remote Radio Equipment)とも称され得る。また、無線通信回路201と処理回路202との組み合わせは、一対一に限定されるものではなく、一つの無線通信回路201に複数の処理回路202を対応付けたり、複数の無線通信回路201を一つの処理回路202に対応付けたり、複数の無線通信回路201を複数の処理回路202に対応付けることも可能である。
受信装置200が無線端末の場合、無線通信回路201は、無線端末内部の伝送回路を介して処理回路202と通信可能に接続され得る。伝送回路としては、例えば、M-PHY、Dig-RFなどの規格に準拠した伝送回路が挙げられる。
処理回路202は、ベースバンド信号処理を行うように構成された回路である。処理回路202は、無線通信システム1におけるプロトコルスタックに基づいてベースバンド信号(無線信号、デジタル無線信号と称されてもよい)を生成し、無線通信回路201にベースバンド信号を出力するように構成される。また、処理回路202は、無線通信回路201から入力されたベースバンド信号に対して、無線通信システム1におけるプロトコルスタックに基づいて復調・復号などの受信処理を行うように構成される。別言すると、処理回路202は、無線通信の機能を複数のレイヤに分割したプロトコルスタックの手順に従って、送信装置100宛てのデータを、上位層から下位レイヤへと順次処理して、無線通信回路201を介して送信する回路としての側面を有する。また、アップリンクにおいて、処理回路202は、無線通信の機能を複数のレイヤに分割したプロトコルスタックの手順に従って、無線通信回路201を介して受信した無線信号を、下位レイヤから上位層へと順次処理する回路としての側面を有する。
処理回路202は、例えば、メモリ203に格納されたプログラムを読みだして実行することで、上述の各種の実施例に係る受信装置200の動作を実現する演算装置であってもよい。処理回路202として、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、これらの組合せなどが挙げられる。なお、処理回路202は、二以上のコアを含むマルチコアプロセッサであっても良い。また、処理回路202は、無線通信システムのプロトコルスタックにおける各レイヤに応じて、二以上の処理回路202を実装してもよい。例えば、第一副層(PDCPレイヤ)に属する第一副層エンティティ(PDCPエンティティ)としての処理を実行する処理回路202と、第二副層(RLCレイヤ)に属する第二副層エンティティ(RLCエンティティ)としての処理を実行する処理回路202と、第三副層(MACレイヤ)に属する第三副層エンティティ(MACエンティティ)としての処理を実行する処理回路202とを、個別に実装してもよい。上述のように、処理回路202は、受信装置200の動作を制御する機能を有する制御部(第二の制御部と称されてもよい)としての側面を有する。
メモリ203は、処理回路202で実行されるベースバンド信号処理に係るデータやプログラムを記憶保持するように構成される回路である。メモリ203は、不揮発性記憶装置と揮発性記憶装置の両方あるいは一方を少なくとも含んで構成される。たとえば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などが挙げられる。図8において、メモリ203は、主記憶装置及び補助記憶装置などの各種記憶装置を総称したものである。なお、メモリ203は、処理回路202と同様に、無線通信システムのプロトコルスタックにおける各レイヤに応じて、二以上のメモリ203を実装してもよい。例えば、第一副層(PDCPレイヤ)に属する第一副層エンティティ(PDCPエンティティ)としての処理に用いられるメモリ203と、第二副層(RLCレイヤ)に属する第二副層エンティティ(RLCエンティティ)としての処理に用いられるメモリ203と、第三副層(MACレイヤ)に属する第三副層エンティティ(MACエンティティ)としての処理に用いられるメモリ203とを、個別に実装してもよい。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点及び利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲(請求の範囲とも称される)がその精神及び権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点及び利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良及び変さらに容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物及び均等物に拠ることも可能である。例えば、本明細書に開示の各工程は、必ずしも処理の流れの一例として説明された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、特許請求の範囲(請求の範囲とも称される)に記載された本発明の要旨の範囲内において、工程の順序を入れ替えてもよく、あるいは複数の工程を並列的に実行してもよい。なお、以上の詳細な説明により明らかにされる第五世代移動通信システムに生じ得る事情は、第五世代移動通信システムを一側面から検討した場合に見出し得るものであり、他の側面から検討した場合には、他の事情が見出され得ることに留意されたい。別言すると、本発明の特徴点及び利点は、以上の詳細な説明に明記された事情を解決する用途に限定されるものではない。