以下に、本願の開示する無線端末、無線基地局、無線通信システム、無線通信方法の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施例は開示の技術を限定するものではない。また、以下に示す各実施例は、適宜組み合わせて実施してもよいことはいうまでもない。ここで、非特許文献1ないし非特許文献18の全ての内容は、参照することによりここに援用される。
上述の如く、第五世代移動通信システムにおける議論はまだ開始されたばかりである。そのため、例えば、超高信頼・低遅延通信(URLLC)を実現する上で生じ得るBSRの実装上の課題については、議論があまり進んでいないのが実情である。
本発明の発明者らは、第五世代移動通信システムを実現する上で生じ得る実装上の困難について、独自の検討の結果、第五世代移動通信システムの一側面において、データ転送レートが従前に比べ飛躍的に向上することで、無線端末(以下、端末とも称される)で生じるデータのライフサイクルが著しく高速化し得ることを見出した。例えば、端末に関連付けられたセンサなどの各種デバイスからのデータが頻繁に生成されて送信バッファに格納されることが想定され得る。あるいは、例えば、比較的短い時間の経過によりデータが陳腐化することで送信バッファに格納されたデータが廃棄されることが想定され得る。別言すると、端末の送信バッファにデータが滞留する時間がデータのライフサイクルに比して長くなることで、基地局へ送信されることなく送信バッファ中のデータが廃棄されやすくなる。
この様に、第五世代移動通信システムの一側面では、端末の送信バッファに格納されたデータの量(バッファサイズ)が頻繁に増減し得る。そのため、無線基地局(以下、基地局とも称される)が把握している端末のバッファサイズの推定量(バッファ推定量とも称される)と、端末での実際のバッファサイズとの差が大きくなる、という事情が生じ得る。別言すると、基地局におけるバッファ推定量の推定精度が低下する。この事情に対処するため、単純に、端末からのBSRの送信周期を短縮すると、BSR送信に伴う通信のオーバヘッドが大きくなり得る。別言すると、無線リソースの利用効率が低下するという新たな事情が生じ得る。なお、本開示において、用語「無線リソース」は、特に他の言及がない限り、アップリンクの無線リソースを指すものとして用いられる。
つぎに、BSR伝送シーケンスの一例を説明する。図1は、無線通信システム1におけるBSR伝送のシーケンスの一例を示す図である。まず、端末10は、BSRの送信契機が生起した場合、基地局20に対してBSR伝送用の無線リソースの割当てを要求する(S1)。その際に端末10から基地局20へ送信される信号は、スケジューリング・リクエストとも称される。なお、BSRの送信契機は、種々のタイミングが挙げられる。上述の様に、基地局20からの設定情報により指定された送信周期に基づいてBSR伝送シーケンスを実行してもよい。あるいは、ある時点を起点とした所定時間内に所定イベントが検知されなかった場合にBSR伝送シーケンスを実行してもよい。
基地局20は、端末10からの要求(スケジューリング・リクエスト)を受けて、例えば、割り当て可能な無線リソースがあるか否かを確認し、優先的に無線リソースを割り当てるべき他の端末が存在しなければ、スケジューリング・リクエストの送信元の端末10に対して無線リソースを割り当てる。そして、基地局20は、端末10に対して、アップリンク許可(UL Grant、UL Scheduling Grantとも称される)を発行する(S2)。なお、基地局20は必ずしもアップリンク許可を発行するとは限らない。
端末10は、基地局20からのアップリンク許可を受けた後、割当てられたアップリンク無線リソースを用いて、最新のBSRを基地局20へ伝送する(S3)。その際、端末装置10は、送信バッファに格納されているデータの量(バッファサイズ)を取得し、上述のBSRインデックステーブルに従って、バッファサイズに対応する小区間のインデックス値(BSRインデックス)を決定する。これにより、端末10は、最新のバッファサイズに対応したBSRインデックスを有するBSR(最新のBSR)を、基地局20へ送信することができる。
基地局20は、端末10からの最新のBSRを受信し、最新のBSRに示されるBSRインデックスに基づいて、端末10のバッファサイズを推定する。その際、基地局20は、端末10が有するのと同じBSRインデックステーブルに従って、最新のBSRに示されるBSRインデックスを、バッファサイズ値に変換する。最新のBSRに基づいて端末10のバッファ推定量を更新することで、どの端末がどれくらいの無線リソースを必要とするかを把握し、適切なスケジューリングを行うことが期待される。基地局20は、最新のバッファ推定量などに基づき、無線リソースのスケジューリングを行う。その結果、端末10に対して無線リソースを割当てた場合、アップリンク許可を発行する(S4)。
端末10は、基地局20からのアップリンク許可を受けて、割当てられたデータ量(割当量とも称される)に応じたサイズのデータ(UL(Uplink)データとも称される)を送信バッファから取り出し、割当てられた無線リソースを用いてデータを基地局20に送信する(S5)。
上述のBSR伝送シーケンスで参照されるBSRインデックステーブルの一例について説明する。図2は、無線通信システム1における端末10及び基地局20が有するBSRインデックステーブルの内容の一例を示す図である。図2に示すBSRインデックステーブルは、バッファの下限値である0byteから、バッファの上限値である3000kbytesまでの区間を、64個の小区間に分割し、各小区間に対して0から63のBSRインデックスが関連付けられている。例えば、インデックス値が「32」のBSRインデックスに対して、小区間「4940<BS<=6074」が関連付けられている。すなわち、小区間「4940<BS<=6074」に対応するバッファ推定量BSは、4940bytesより大きく、かつ、6074bytes以下である範囲である。この様なBSRインデックステーブルを、無線通信システム1における、端末10及び基地局20は有する。
つぎに、上述の事情が生じ得る具体例を説明する。図3は、基地局20におけるバッファ推定量の推定精度の低下により引き起こされ得る事情を示す図である。まず、端末10は、基地局20から割当てられた無線リソースを用いてBSRを送信する際に、バッファに格納されているデータの量(バッファサイズ)を参照し、バッファサイズが6000bytesであることを取得する。そして、端末10は、BSRインデックステーブルに従って、60000bytesのバッファサイズに対応する小区間「4940<BS<=6074」に対応するBSRインデックス「32」を取得する。
端末10は、BSRインデックス「32」を有するBSRを基地局20へ送信する。これにより、基地局20は、端末10から受信したBSRに示されるBSRインデックス「32」を取得し、BSRインデックステーブルに従って、BSRインデックス「32」に対応する小区間「4940<BS<=6074」を特定することで、端末10のバッファ推定量「4940<BS<=6074」を取得する。
基地局20は、端末10に対するスケジューリングにおいて、例えば、バッファ推定量が示す範囲「4940<BS<=6074」から、端末10に対する無線リソースの割当量を決定する。図3に示す例では、端末10に対する割当量として5000bytesが割当てられたことが示されている。基地局20は、端末10に対する割当量「5000bytes」を示すアップリンク許可(UL grant)を、端末10へ送信する。
端末10は、基地局20からのアップリンク許可を受信して、アップリンク許可に示される割当量「5000bytes」に相当するデータを、送信バッファから取り出し、割当てられた無線リソースを用いて、データ(UL Data:5000bytes長)を基地局20へ送信する。図3に示す例では、データ(UL Data:5000bytes長)送信後の端末10のバッファサイズは、6000bytesから5000bytesを減算することで、1000bytesになる。
なお、実際の無線通信システム1において、端末10は、アップリンク許可に示される割当量と同じデータ長のデータを送信できるとは限らないことに留意されたい。例えば、プロトコルスタック上のレイヤでの処理に利用されるヘッダ情報(例えばMAC(Medium Access Control)ヘッダ)などの信号が送信データに付加されることで、割当量の一部がヘッダ情報などに消費され得る。しかし、本開示において示される数値の具体例は、説明の簡略化のため、ヘッダ情報などに分配すべきリソース量は考慮しないこととする。したがって、本開示において、基地局20から端末10に割当てられる無線リソースの割当量は、本開示において示される割当量の数値例に加えて、ヘッダ情報などに分配すべきリソース量が加味された値が設定され得る。なお、ヘッダ情報以外に付加される信号としては、例えば、CRC(Cyclic Redundancy Check)と称される符号系列が挙げられる。以下の開示において、同様である。
基地局20は、端末10からのデータ(UL Data:5000bytes長)を受信し、受信データのデータ長に基づいて、端末10のバッファ推定量を更新する。図3に示す例では、更新前のバッファ推定量の上限値「6074bytes」から受信データのデータ長「5000bytes」を減算することで、更新後のバッファ推定量の上限値は「1074bytes」になる。また、更新前のバッファ推定量の下限値「4940bytes」から受信データのデータ長「5000bytes」を減算することで、更新後のバッファ推定量の下限値は「0bytes」になる。なお、上述の減算において更新後の値が負の数になる場合は、更新後の下限値は「0bytes」を含む値となる。その結果、基地局20は、データ(UL Data:5000bytes長)受信後の端末10のバッファ推定量を、範囲「0<=BS<=1074」に更新する。
基地局20は、端末10に対するスケジューリングにおいて、バッファ推定量が示す範囲「0<=BS<=1074」から、端末10に対する無線リソースの割当量を決定する。図3に示す例では、端末10に対する無線リソースの割当量として、「1100bytes」が割当てられる。基地局20は、端末10に対する割当量「1100bytes」を示すアップリンク許可を、端末10へ送信する。
端末10は、基地局20からのアップリンク許可(割当量:1100bytes)を受信して、アップリンク許可に示される割当量「1100bytes」に相当するデータを、送信バッファから取り出して、割当てられた無線リソースを用いて、データ(UL Data:5000bytes長)を基地局20へ送信する。その際、端末10の送信バッファには、新たなデータ(データ長:5000bytes)が追加されており、データ送信後の端末10のバッファサイズは、6000bytesから1100bytesを減算して、4900bytesになる。
一方、基地局20は、端末10からのデータ(UL Data:1100bytes長)を受信し、受信データのデータ長に基づいて、端末10のバッファ推定量を更新する。図3の例では、端末10の更新後のバッファ推定量は、更新前のバッファ推定量の上限値「1074bytes」から受信データのデータ長「1100bytes」を減算することで、「0bytes」になる。その結果、基地局20は、端末10に対する無線リソースのスケジューリングを停止する。よって、端末10は、基地局20に対してスケジューリング・リクエストを送信するなどして、無線リソースの割り当てを受けるまで、送信バッファに格納されたデータの送信が中断することとなる。しかも、基地局20に対するスケジューリング・リクエストの送信は、端末10において所定のタイマーが満了するなどのタイミングを契機とするため、その分だけ遅延が生じ、無線リソースの利用効率が低下する。
上述の事情は、送信バッファに格納中のデータが廃棄された場合にも生じ得る。図4は、基地局20におけるバッファ推定量の推定精度の低下により引き起こされ得る事情を示す図(その2)である。図4の例において、端末10の最初のバッファサイズは、図3の例と同様に、「6000bytes」である。そのため、端末10は、BSRインデックス「32」を有するBSRを基地局20へ送信する。そして、基地局20は、図3の例と同様に、端末10のバッファ推定量として範囲「4940<BS<=6074」を取得する。
基地局20は、端末10に対するスケジューリングにおいて、例えば、バッファ推定量が示す範囲「4940<BS<=6074」から、端末10に対する無線リソースの割当量として「500bytes」を決定する。基地局20は、端末10に対する割当量「500bytes」を示すアップリンク許可(割当量:500bytes)を、端末10へ送信する。
端末10は、基地局20からのアップリンク許可を受信して、アップリンク許可に示される割当量「500bytes」に相当するデータ(送信データとも称される)を、送信バッファから取り出し、割当てられた無線リソースを用いて、データ(UL Data:500bytes長)を基地局20へ送信する。その結果、データ(UL Data:500bytes長)送信後の端末10のバッファサイズは、6000bytesから送信データのデータ長(500bytes)を減算することで、5500bytesになる。
基地局20は、端末10からのデータ(UL Data:500bytes長)を受信し、受信データのデータ長に基づいて、端末10のバッファ推定量を更新する。図4に示す例では、更新前のバッファ推定量の上限値「6074bytes」から受信データのデータ長「500bytes」を減算することで、更新後のバッファ推定量の上限値は「5574bytes」になる。また、更新前のバッファ推定量の下限値「4940bytes」から受信データのデータ長「500bytes」を減算することで、更新後のバッファ推定量の下限値は「4440bytes」になる。その結果、基地局20は、データ(UL Data:5000bytes長)受信後の端末10のバッファ推定量を、範囲「4440<BS<=5574」に更新する。
基地局20は、端末10に対するスケジューリングにおいて、バッファ推定量が示す範囲「4440<BS<=5574」から、端末10に対する無線リソースの割当量を決定する。図4に示す例では、端末10に対する無線リソースの割当量として、「500bytes」が割当てられる。基地局20は、端末10に対する割当量「500bytes」を示すアップリンク許可を、端末10へ送信する。
ところが、図4に示す例において、端末10は、基地局20からのアップリンク許可(割当量:500bytes)を受信する前に、送信バッファに格納されているデータ(5500bytes長)のうち一部のデータ(5000bytes長)を廃棄する。その結果、端末10の送信バッファには、500bytes長のデータが格納されている。上述のデータ廃棄は、例えば、MAC(Medium Access Control)レイヤの上位層であるPDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤにおいて実施されるPDCP SDU Discardや、AQM(Active Queue Management)などの処理によって生じ得る。端末10は、基地局20からのアップリンク許可(割当量:500bytes)を受信して、アップリンク許可に示される割当量「500bytes」に相当するデータを、送信バッファから取り出して、割当てられた無線リソースを用いて、データ(UL Data:500bytes長)を基地局20へ送信する。データ(UL Data:500bytes長)送信後の端末10のバッファサイズは、500bytesから送信データのデータ長(500bytes)を減算することで、0bytesになる。
一方、基地局20は、端末10からのデータ(UL Data:500bytes長)を受信し、受信データのデータ長に基づいて、端末10のバッファ推定量を更新する。図4の例では、更新前のバッファ推定量の上限値「5574bytes」から受信データのデータ長「500bytes」を減算することで、更新後のバッファ推定量の上限値は「5074bytes」になる。また、更新前のバッファ推定量の下限値「4440bytes」から受信データのデータ長「500bytes」を減算することで、更新後のバッファ推定量の下限値は「3940bytes」になる。その結果、基地局20は、端末10に対する無線リソースのスケジューリングを継続する。しかし、端末10は、送信バッファに送信すべきデータが格納されておらず、基地局20からアップリンク許可を受けたとしても、送信すべきデータがないため、パディングビットを含む信号を送信することとなる。そのため、無線リソースの利用効率が低下する。
この様に、無線通信システム1では、基地局20におけるバッファ推定量の推定精度が低下することで、無線リソースの利用効率が低下し得る。上述したように、第五世代移動通信システムでは、IoTなど無線通信の新たな用途が想定されており、端末で生じるデータのライフサイクルが著しく高速化し得る。そのため、従来のBSR伝送方式を踏襲したのでは、データのライフサイクルの高速化に伴う端末のバッファ状態の変動に基地局20におけるバッファ推定が追従しきれず、バッファ推定量の推定精度が低下し得ることが懸念される。
本開示の一側面によれば、基地局におけるバッファ推定が端末のバッファ状態の変動に追従し得る、新たなBSR伝送技術が提供される。なお、上述の事情は、第五世代移動通信システムを一側面から検討した場合に見出し得るものであり、他の側面から検討した場合には、他の事情が見出され得ることに留意されたい。別言すると、本発明の特徴点及び利点は、上述の事情を解決する用途に限定されるものではなく、以下に開示する実施形態の全体を通じて把握され得る。
以下に示す実施形態の構成は、本発明の技術思想を具体化するための一例を示したものであり、本発明をこの実施形態の構成に限定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態にも等しく適用し得るものである。例えば、MAC等の種々の名称については、今後の第五世代移動通信システムの仕様策定において、名称が変更され得ることも考えられる。また、第五世代移動通信システム以降の移動通信システムについても、各名称が変更され得ることも考えられる。以下の開示では、端末10の送信バッファの状態報告の一例として、MACレイヤにおける処理の例を用いるが、これに限定する意図ではないことに留意されたい。
<実施例1> 図5は、実施例1に係る無線通信システム1におけるBSR伝送のシーケンスの一例を示す図である。図5に示す例において、端末10は、基地局20からのアップリンク許可を受けてアップリンクデータ(ULデータとも称される)を送信する際に、アップリンク許可に示される割当量の一部を、BSR伝送用に割当てる。これにより、基地局20は、端末10からのデータを受信する都度、最新のBSRに基づいて端末10のバッファサイズの推定を行うことができ、バッファ推定量の推定精度の低下を抑制できる。
以下、図5に示すシーケンス例を、順を追って説明する。図5の例において、端末10の最初のバッファサイズは、「B1」である。なお、以下の説明において、特に他の言及がない限り、バッファサイズなどの各種データ長の単位はバイト(byte)である。
端末10は、BSRインデックステーブルに従って、バッファサイズ「B1」をBSRインデックス「X1」に変換する。すなわち、端末10は、最新のバッファサイズ「B1」を包含する小区間「E11<BS<=E12」に対応するBSRインデックス「X1」を取得する。なお、バッファサイズ「B1」と小区間との関係は、例えば、「E11<B1<=E12」で表わされる。
端末10は、BSRインデックス「X1」を有するBSR(BSR (X1))を基地局20へ送信する。そして、基地局20は、BSRインデックステーブルに従ってBSRインデックス「X1」を逆変換して、下限値「E11」と上限値「E12」とを有する小区間「E11<BS<=E12」を取得し、端末10のバッファ推定量として範囲「E11<BS<=E12」を推定する。なお、端末10のバッファサイズ「B1」と小区間との関係は、例えば、「E11<B1<=E12」で表わされる。
基地局20は、端末10に対するスケジューリングにおいて、例えば、バッファ推定量が示す範囲「E11<BS<=E12」から、端末10に対する無線リソースの割当量(第一の割当量とも称される)として「G1」を決定する。なお、割当量「G1」とバッファ推定量との関係は、例えば、「E11<G1<=E12」で表わされる。基地局20は、端末10に対する割当量「G1」を示すアップリンク許可(割当量:G1)を、端末10へ送信する。
端末10は、基地局20からのアップリンク許可を受信し、アップリンク許可に示される割当量「G1」の一部をBSR伝送に割当てる。さらに、端末10は、BSR伝送に割当てた分(BSR伝送用割当量、第二の割当量とも称される)を控除した後の割当量(残余割当量、第三の割当量とも称される)に相当するデータを、送信バッファから取り出す。すなわち、第一の割当量と第二の割当量と第三の割当量との関係は、例えば、「第一の割当量=第二の割当量+第三の割当量」で表わされる。
端末10は、上述の残余割当量に相当するデータ長のデータを取り出した後の最新のバッファサイズ「B2」を取得し、BSRインデックステーブルに従って最新のバッファサイズ「B2」を変換することで、最新のBSRインデックス「X2」を取得する。すなわち、端末10は、最新のバッファサイズ「B2」を包含する小区間「E21<BS<=E22」に対応するBSRインデックス「X2」を取得する。なお、バッファサイズ「B2」と小区間との関係は、例えば、「E21<B2<=E22」で表わされる。
端末10は、最新のバッファサイズ「B2」を取得する方法として、例えば、端末10は、データ取出し前のバッファサイズ「B1」から残余割当量(第三の割当量)を減算することで、最新のバッファサイズ「B2」を取得してもよい。
端末10は、割当てられた無線リソースを用いて、残余割当量に相当するデータ長「D1」のULデータ(UL data (D1))と、最新のBSRインデックス「X2」を有するBSR(New BSR(X2))とを、基地局20へ送信する。
基地局20は、端末10からのULデータ(UL data (D1))と、最新のBSRインデックス「X2」を有するBSR(New BSR (X2))とを受信する。そして、基地局20は、BSRインデックステーブルに従って最新のBSRインデックス「X2」を逆変換することで、下限値「E21」と上限値「E22」とを有する小区間「E21<BS<=E22」を取得し、端末10のバッファ推定量として範囲「E21<BS<=E22」を取得する。これにより、基地局20は、端末10からの最新のBSRに基づいて、端末10のバッファ推定量を更新することができる。なお、端末10のバッファサイズ「B2」と小区間との関係は、例えば、「E21<B2<=E22」で表わされる。
基地局20は、端末10に対するスケジューリングにおいて、バッファ推定量が示す範囲「E21<BS<=E22」から、端末10に対する無線リソースの割当量を決定する。図5に示す例では、端末10に対する無線リソースの割当量として、「G2」が割当てられる。なお、割当量「G2」とバッファ推定量との関係は、例えば、「E21<G2<=E22」で表わされる。基地局20は、端末10に対する割当量「G2」を示すアップリンク許可を、端末10へ送信する。
図5に示す例において、端末10は、基地局20からのアップリンク許可(割当量:G2)を受信する前に、送信バッファのバッファサイズが変動(データ長:B3)しており、最新のバッファサイズは「B4」に変更される。変動前のバッファサイズ「B2」と変動量「B3」と変動後のバッファサイズ「B4」との関係は、例えば、「B4=B2+B3」で表わされる。なお、変動量「B3」は、正の数であってもよいし、負の数であってもよい。例えば、変動量「B3」が正の数である場合、変動量に相当するデータ長の新たなデータが送信バッファに追加されたことを意味する。例えば、変動量「B3」が負の数である場合、変動量「B3」に相当するデータ長のデータが送信バッファから廃棄されたことを意味する。
端末10は、基地局20からのアップリンク許可(割当量:G2)を受信し、アップリンク許可に示される割当量「G2」の一部をBSR伝送に割当てる。そして、端末10は、残余割当量(第三の割当量とも称される)に相当するデータを送信バッファから取り出す。これにより、データ取出し後のバッファサイズは「B5」になる。端末10は、最新のバッファサイズ「B5」をBSRインデックステーブルに従って変換することで、最新のBSRインデックス「X3」を取得する。すなわち、端末10は、最新のバッファサイズ「B5」を包含する小区間「E31<BS<=E32」に対応するBSRインデックス「X3」を取得する。なお、バッファサイズ「B5」と小区間との関係は、例えば、「E31<B5<=E32」で表わされる。
端末10は、割当てられた無線リソースを用いて、残余割当量に相当するデータ長「D2」のデータ(UL data (D2))と、最新のBSRインデックス「X3」を有するBSR(New BSR (X3))とを、基地局20へ送信する。図5に示す例では、端末10は、データ(UL data (D2))と、BSRインデックス「X3」を有するBSR(New BSR (X3))とを、基地局20へ送信する。
基地局20は、端末10からのULデータ(UL data (D2))と、最新のBSRインデックス「X3」を有するBSR(New BSR (X3))とを受信する。そして、基地局20は、最新のBSRインデックス「X3」をBSRインデックステーブルに従って変換することで、端末10のバッファ推定量「E31<BS<=E32」を取得する。これにより、端末10からの最新のBSRに基づいて、端末10のバッファ推定量を更新することができる。その結果、図5に示す例において、基地局20は、端末10に対する無線リソースのスケジューリングを継続することができ、端末10は、適切に無線リソースの割り当てを受けることができる。
<実施例2> 図6は、実施例2に係る無線通信システム1におけるBSR伝送のシーケンスの一例を示す図である。図6に示す例において、端末10は、基地局20からのアップリンク許可を受けてデータを送信する際に、アップリンク許可に示される割当量の一部を、BSR伝送用に割当てる。これにより、基地局20は、端末10からのデータを受信する都度、最新のBSRに基づいて端末10のバッファサイズの推定を行うことができ、バッファ推定量の推定精度の低下を抑制できる。
以下、図6に示すシーケンス例を、順を追って説明する。図6の例において、端末10の最初のバッファサイズは、図3の例と同様に、「6000bytes」である。そのため、端末10は、BSRインデックステーブルに従って、バッファサイズをBSRインデックス「32」に変換し、BSRインデックス「32」を有するBSRを基地局20へ送信する。そして、基地局20は、BSRインデックステーブルに従ってBSRインデックス「32」を逆変換して、バッファサイズの小区間「4940<BS<=6074」を取得し、端末10のバッファ推定量として範囲「4940<BS<=6074」を推定する。
基地局20は、端末10に対するスケジューリングにおいて、例えば、バッファ推定量が示す範囲「4940<BS<=6074」から、端末10に対する無線リソースの割当量として「5000bytes」を決定する。基地局20は、端末10に対する割当量「5000bytes」を示すアップリンク許可(割当量:5000bytes)を、端末10へ送信する。
端末10は、基地局20からのアップリンク許可を受信し、アップリンク許可に示される割当量「5000bytes」の一部をBSR伝送に割当てる。さらに、端末10は、BSR伝送に割当てた分(BSR伝送用割当量とも称される)を控除した後の割当量(残余割当量とも称される)に相当するデータを、送信バッファから取り出す。端末10は、上述の残余割当量に相当するデータ長のデータを取り出した後の最新のバッファサイズを取得し、BSRインデックステーブルに従って最新のバッファサイズを変換することで、最新のBSRインデックスを取得する。
図6に示す例では、アップリンク許可に示される割当量「5000bytes」のうち、BSR伝送用として「3bytes」が割当てられている。この場合、残余割当量は、アップリンク許可に示される割当量「5000bytes」からBSR伝送用割当量「3bytes」を控除して、「4997bytes」である。また、端末10は、残余割当量に相当するデータを取り出した後の最新のバッファサイズとして、データ取出し前のバッファサイズ「6000bytes」から残余割当量「4997bytes」を減算することで、「1003bytes」を取得する。図2に示すBSRインデックステーブルの例によれば、最新のBSRインデックスは、最新のバッファサイズ「1003bytes」を包含する小区間「945<BS<=1162」に対応するBSRインデックス「24」である。
端末10は、割当てられた無線リソースを用いて、残余割当量に相当するデータ長のデータ(UL Data)と、最新のBSRインデックスを有するBSR(New BSR)とを、基地局20へ送信する。図6に示す例では、端末10は、データ(UL Data:4997bytes長)と、BSRインデックス「24」を有するBSR(New BSR)とを、基地局20へ送信する。
基地局20は、端末10からのデータ(UL Data:4997bytes長)と、最新のBSRインデックス「24」を有するBSR(New BSR)とを受信する。そして、基地局20は、BSRインデックステーブルに従って最新のBSRインデックス「24」を変換することで、端末10のバッファ推定量「945<BS<=1162」を取得する。これにより、端末10からのデータを受信する都度、最新のBSRに基づいて、端末10のバッファ推定量を更新することができる。
基地局20は、端末10に対するスケジューリングにおいて、バッファ推定量が示す範囲「945<BS<=1162」から、端末10に対する無線リソースの割当量を決定する。図6に示す例では、端末10に対する無線リソースの割当量として、「1162bytes」が割当てられる。基地局20は、端末10に対する割当量「1162bytes」を示すアップリンク許可を、端末10へ送信する。
図6に示す例において、端末10は、基地局20からのアップリンク許可(割当量:1162bytes)を受信する前に、新たなデータ(データ長:5000bytes)が追加されており、最新のバッファサイズは「6003bytes」に変更される。
端末10は、基地局20からのアップリンク許可(割当量:1162bytes)を受信し、アップリンク許可に示される割当量「1162bytes」の一部をBSR伝送に割当てる。そして、端末10は、残余割当量「1159bytes」に相当するデータを送信バッファから取り出す。これにより、データ取出し後のバッファサイズは「4844bytes」になる。端末10は、図2に示すBSRインデックステーブルの例に従って最新のバッファサイズを変換することで、最新のBSRインデックスを取得する。すなわち、端末10は、最新のバッファサイズ「4844bytes」を包含する小区間「4017<BS<=4940」に対応するBSRインデックス「31」を取得する。
端末10は、割当てられた無線リソースを用いて、残余割当量に相当するデータ長のデータ(UL Data)と、最新のBSRインデックスを有するBSR(New BSR)とを、基地局20へ送信する。図6に示す例では、端末10は、データ(UL Data:1159bytes長)と、BSRインデックス「31」を有するBSR(New BSR)とを、基地局20へ送信する。
基地局20は、端末10からのデータ(UL Data:1159bytes長)と、最新のBSRインデックス「31」を有するBSR(New BSR)とを受信する。そして、基地局20は、BSRインデックステーブルに従って最新のBSRインデックス「31」を変換することで、端末10のバッファ推定量「4017<BS<=4940」を取得する。これにより、端末10からのデータを受信する都度、最新のBSR(New BSR)に基づいて、端末10のバッファ推定量を更新することができる。その結果、図6に示す例において、基地局20は、端末10に対する無線リソースのスケジューリングを継続することができ、端末10は、適切に無線リソースの割り当てを受けることができる。
以上が、実施例2に係る無線通信システム1におけるBSR伝送のシーケンスの一例である。ここで、従来例と実施例2との比較のために、図6の例において、端末10が、基地局20からのアップリンク許可(割当量:1162bytes)を受信した際、割当量の一部をBSR伝送に割当てないという従来の動作を行う場合について説明する。この場合、端末10は、基地局20からのアップリンク許可に示される割当量(1162bytes)に相当するデータを送信バッファから取り出し、データ長「1162bytes」のデータを基地局へ送信する。すなわち、従来のBSR伝送シーケンスにおいて、端末10は、データを送信する際に最新のBSRを送信しない。
従来例において、基地局20は、端末10からの受信データに最新のBSRが含まれていないため、端末10の送信バッファに新たなデータ(データ長:5000bytes)が追加されたことを把握できない。そのため、基地局20は、端末10からのデータ(データ長:1162bytes)を受信したことに応じて、端末10のバッファ推定量を「0bytes」に更新する。その結果、端末10のバッファ推定量の推定精度は低下する。そして、基地局20は、推定精度が低下したバッファ推定量に基づいて、端末10に対する無線リソースのスケジューリングを停止してしまう。よって、端末10は、基地局20に対してスケジューリング・リクエストを送信するなどして、無線リソースの割り当てを受けるまで、送信バッファに格納されたデータの送信が中断することとなる。しかも、基地局20に対するスケジューリング・リクエストの送信は、端末10において所定のタイマーが満了するなどのタイミングを契機とするため、その分だけ遅延が生じ、無線リソースの利用効率が低下する。
上述の実施例2によれば、端末10は、基地局20からのアップリンク許可に示される割当量の一部をBSR伝送用に割当てて、データ(UL Data)の送信時に最新のBSRを送信する。そのため、基地局20は、最新のBSRに基づいて端末10のバッファ推定量を更新ことで、バッファ推定量を端末10のバッファ状態の変動に追従させることができ、推定精度の低下を抑制できる。別言すると、端末10は、基地局20からのアップリンク許可に示される割当量の一部をBSR伝送用に割当てて、データ(UL Data)の送信時に最新のBSRを送信することで、基地局20において推定されるバッファ推定量を、端末10のバッファ状態の変動に追従させることができる。その結果、基地局20は、どの端末がどれくらいの無線リソースを必要とするかを把握し、適切なスケジューリングを行うことが期待される。別言すると、端末10は、適切に無線リソースの割り当てを受けることができる。
なお、図6では、基地局20からのアップリンク許可を受ける前に、新たなデータが追加された例を説明したが、本実施例2はこれに限定されない。すなわち、図4で示した例と同様に、基地局20からのアップリンク許可を受ける前に、送信バッファの一部のデータについてデータ廃棄が行われた場合にも適用され得ることに留意されたい。
次に、端末10における処理の流れの一例を説明する。図7は、実施例2に係る端末10における処理の流れの一例を示す図である。例えば、端末10は、基地局20からアップリンク許可(UL grant)を受信したことに応じて、図7に示す処理の流れを実行してもよい。
端末10は、アップリンク許可に示される割当量の一部をBSR伝送に割当てて、残余割当量を取得する(S101)。処理S101において、端末10は、アップリンク許可に示される割当量から、BSR伝送に割当てたリソース量(BSR伝送用割当量)を減算することで、残余割当量を取得してもよい。
3GPPの通信規格に準拠した無線通信システムでは、端末10から基地局20に伝送されるBSRとして、いくつかの種類が想定される。例えば、複数の論理チャネルを集約した論理チャネルグループが一しか存在しない場合に用いられるShort−BSR(例えば1byte長)と、論理チャネルグループが複数存在する場合に用いられるLong−BSR(例えば3bytes長)とがある。処理S101において、端末10は、論理チャネルの使用状況に応じたBSRの種類に基づいて、BSR伝送用割当量を決めてもよい。例えば、端末10は、論理チャネルグループが一つのみ存在する場合、Short−BSRのデータ長に基づいてBSR伝送用割当量を決めてもよい。例えば、Short−BSRに対して付加するヘッダ(MACヘッダとも称される)が2バイト長である場合、Short−BSRのデータ長に基づくBSR伝送用割当量は、3バイト長であってもよい。あるいは、Short−BSRに対して付加するMACヘッダが1バイト長である場合、Short−BSRのデータ長に基づくBSR伝送用割当量は、2バイト長であってもよい。
端末10は、送信バッファから所定のアルゴリズムに従って残余割当量に相当するULデータを取り出し、アップリンク信号のパケットを生成する(S102)。アップリンク信号のパケットの一例として、MAC−PDU(Medium Access Control - Packet Data Unit)が挙げられる。処理S102において、端末10は、生成されるMAC−PDUのデータ長が所定長に収まるように、適宜、データを分割してもよい。ここで、所定長は、TB(Transport Block)サイズとも称されてよい。TBサイズは、端末10と基地局20との無線通信の電波品質に応じて、適宜調整されてもよい。
端末10は、送信バッファの最新のバッファサイズを取得し(S103)、BSRインデックステーブルに従って最新のバッファサイズをBSRインデックスに変換する(S104)。BSRインデックステーブルの内容例は、図2に例示される。
端末10は、処理S104で取得したBSRインデックスを有するBSR−MAC制御要素(BSR−MAC−CEとも称される)を生成し、これにMACヘッダを付加して、処理S102で生成したアップリンク信号のパケットに連結する(S105)。処理S105において、端末10は、BSRインデックスを有する情報要素を、処理S102で生成したアップリンク信号のパケットの後方に付加してもよいし、パケットの前方に付加してもよい。第五世代移動通信システムの一側面によれば、BSRインデックスを有する情報要素は、アップリンク信号のパケットの後方に付加することが好ましい場合がある。なお、アップリンク信号のパケットの一例として、MAC−PDUが挙げられる。情報要素の一例として、MAC−SDU(Medium Access Control - Service Data Unit)が挙げられる。また、BSRインデックスを格納する情報要素は、BSRインデックスを格納するMAC−SDUと称されてもよいし、MAC制御要素と称されてもよいし、BSRと称されてもよい。
端末10は、最新のBSRインデックスを有する情報要素が付加されたアップリンク信号のパケットを基地局20へ送信する(S106)。処理S106において、端末10は、最新のBSRインデックスを有する情報要素が付加されたアップリンク信号のパケットを、プロトコルスタック上の下位レイヤに回送する際に、所定のアルゴリズムに基づく信号系列を付加してもよい。この様な信号系列の一例として、CRCなどの誤り検出に用いる符号(誤り訂正符号と称されてもよい)が挙げられる。
以上が、実施例2に係る端末10における処理の流れの一例である。次に、実施例2に係る基地局20における処理の流れについて説明する。図8は、実施例2に係る基地局20における処理の流れの一例を示す図である。例えば、基地局20は、端末10からのアップリンク信号を受信したことに応じて、図8に示す処理の流れを実行してもよい。
基地局20は、端末10から受信したアップリンク信号から、ULデータとBSRとを取得する(S201)。処理S201において、基地局20は、例えば、端末10からのアップリンク信号に含まれる複数の情報要素の各々に関連付けられている識別子を参照することで、ULデータを格納した情報要素であるか、BSRを格納した情報要素であるかを区別してもよい。ここで、情報要素の一例として、MAC−SDU(Medium Access Control - Service Data Unit)が挙げられる。BSRを格納するMAC−SDUは、MAC制御要素とも称されてよい。情報要素に関連付けられた識別子の一例として、LCID(Logical Channel IDentifier)が挙げられる。例えば、非特許文献5(3GPP TS 36.321 V14.2.0 (2017-03))によれば、Short−BSRを示すLCIDは「11101」、Long−BSRを示すLCIDは「11110」である。なお、これらの値は、一例であり、今後の仕様変更によって変わり得ることに留意されたい。
基地局20は、BSRに示される最新のBSRインデックスに基づき、端末10のバッファ推定量を更新する(S202)。処理S202において、基地局20は、図2に例示されるBSRインデックステーブルに従って、最新のBSRインデックスをバッファサイズ値に変換する。例えば、BSRインデックス「32」は、図2に例示されるBSRインデックステーブルに従って、下限値が「4940bytes」であり、上限値が「6074bytes」を有するバッファサイズ値に変換され、これらの値に基づいて、端末10のバッファ推定量が更新される。
基地局20は、処理S202による更新後のバッファ推定量が0値であるかを判定する(S203)。基地局20は、更新後のバッファ推定量が0値である場合(S203でYES)、端末10に対する無線リソースのスケジューリングを停止してもよい(S204)。一方、基地局20は、更新後のバッファ推定量が0値でない場合(S203でNO)、端末10に対する無線リソースのスケジューリングを継続してもよい。
以上が、実施例2に係る基地局20における処理の流れの一例である。なお、図8に示す処理の一例では、基地局20における無線リソースのスケジューリング処理の詳細な流れについては、説明の簡略化のため、説明を省略している。上述の処理の流れにより、基地局20は、最新のBSRに基づいて端末10のバッファ推定量を更新することで、どの端末がどれくらいの無線リソースを必要とするかを把握し、適切なスケジューリングを行うことが期待される。
<実施例3> 図9は、実施例3に係る無線通信システム1におけるBSR伝送のシーケンスの一例を示す図である。図9に示す例において、端末10は、基地局20からのアップリンク許可を受けてULデータを送信する際に、実施例2と同様に、アップリンク許可に示される割当量の一部を、BSR伝送用に割当てる。ただし、実施例3に係る端末10は、送信バッファの状況が所定の条件を満たす場合に、アップリンク許可に示される割当量の一部を、BSR伝送用に割当てる。別言すると、実施例3に係る端末10は、送信バッファの状況が所定の条件を満たさない場合、アップリンク許可に示される割当量の一部を、BSR伝送用に割当てなくてもよい。端末10における、送信バッファの状況が所定の条件を満たすか否かの判定は、基地局20における端末10のバッファ推定量の推定精度が低下したか否かを間接的に判定することに役立つ。
図9において、端末10の最初のバッファサイズは「6000bytes」である。そして、端末10は、図6に示す例と同様に、初回のBSR伝送を行い、基地局20からアップリンク許可(割当量:5000bytes長)を受信する。その際、端末10は、前回のULデータの送信後の送信バッファのバッファサイズと、現在のバッファサイズとを比較する。図9に示す例では、その比較結果が所定の条件を満たさないため、端末10は、アップリンク許可に示される割当量の一部を、BSR伝送用に割当てない。すなわち、割当量(5000bytes長)に相当するデータ長のULデータ(5000bytes長)を、基地局20へ送信する。その結果、端末10の送信バッファのバッファサイズは「1000bytes」になり、基地局20における端末10のバッファ推定量は「0byte<BS<=1074bytes」になる。
基地局20は、端末10に対するスケジューリングにおいて、更新後のバッファ推定量が示す範囲「0byte<BS<=1074bytes」から、端末10に対する無線リソースの割当量として例えば「1074bytes」を決定する。基地局20は、端末10に対する割当量「1074bytes」を示すアップリンク許可(割当量:1074bytes)を、端末10へ送信する。
端末10は、基地局20からのアップリンク許可(割当量:1074bytes)を受信し、前回のULデータの送信後の送信バッファのバッファサイズと、現在のバッファサイズとを比較する。図9に示す例では、端末10は、アップリンク許可(割当量:1074bytes)を受信する前に、新たなULデータ(5000bytes長)が送信バッファに追加されている。
端末10は、前回のULデータの送信後における送信バッファのバッファサイズ「1000bytes」を、図2に例示するBSRバッファインデックステーブルに従って、BSRインデックスに変換する。その結果、BSRインデックス「24」を取得する。端末10は、現在の送信バッファのサイズ「6000bytes」を、図2に例示するBSRバッファインデックステーブルに従って、BSRインデックスに変換する。その結果、BSRインデックス「32」を取得する。
端末10は、前回のULデータの送信後におけるバッファサイズに対応するBSRインデックスと、現在のバッファサイズに対応するBSRインデックスとを比較する。その結果、両BSRインデックスが異なるため、端末10は、BSRインデックスが異なるほどのバッファサイズの変動があったと判定する。別言すると、前回のULデータの送信後におけるバッファサイズに対応するBSRインデックスは、基地局20が把握している端末10の送信バッファの状況に対応する。そのため、上述の比較において、両BSRインデックスが異なることは、基地局20における端末10のバッファ推定量の推定精度が低下したことに相当し得る。
図9において、端末10は、前回のULデータの送信後におけるバッファサイズに対応するBSRインデックスと、現在のバッファサイズに対応するBSRインデックスとが異なるため、割当量の一部をBSR伝送に割当てる。例えば、BSR伝送に割当てる量は3bytesであってもよい。あるいは、BSR伝送に割当てる量は2bytesなどであってもよい。これらの値は、一例である。
そして、端末10は、BSR伝送に3bytes割当てた場合の残余割当量「1071bytes」に相当するデータを、送信バッファから取り出す。これにより、データ取出し後のバッファサイズは「4929bytes」になる。端末10は、図2に示すBSRインデックステーブルの例に従って最新のバッファサイズを変換することで、最新のBSRインデックスを取得する。すなわち、端末10は、最新のバッファサイズ「4929bytes」を包含する小区間「4017<BS<=4940」に対応するBSRインデックス「31」を取得する。
端末10は、割当てられた無線リソースを用いて、残余割当量に相当するデータ長のデータ(UL Data)と、最新のBSRインデックスを有するBSR(New BSR)とを、基地局20へ送信する。図6に示す例では、端末10は、データ(UL Data:1071bytes長)と、BSRインデックス「31」を有するBSR(New BSR)とを、基地局20へ送信する。
基地局20は、端末10からのデータ(UL Data:1071bytes長)と、最新のBSRインデックス「31」を有するBSR(New BSR)とを受信する。そして、基地局20は、BSRインデックステーブルに従って最新のBSRインデックス「31」を変換することで、端末10のバッファ推定量「4017<BS<=4940」を取得する。これにより、端末10からのデータを受信する都度、最新のBSR(New BSR)に基づいて、端末10のバッファ推定量を更新することができる。その結果、図9に示す例において、基地局20は、端末10に対する無線リソースのスケジューリングを継続することができ、端末10は、適切に無線リソースの割り当てを受けることができる。
以上が、実施例3に係る無線通信システム1におけるBSR伝送のシーケンスの一例である。実施例3によれば、端末10において、前回のULデータの送信後におけるバッファサイズに対応するBSRインデックスと、現在のバッファサイズに対応するBSRインデックスとが異なるか否かを判定する。そして、両BSRインデックスが異なる場合には、基地局20における端末10のバッファ推定量の推定精度が低下している可能性があるため、割当量の一部をBSR伝送に割当てる。これにより、基地局20におけるバッファ推定量の推定精度が低下していないと判断される場合には、BSR伝送を省略して、ULデータ伝送などの他の用途に無線リソースを有効活用することが可能となる。その一方で、端末10は、上述の手法により、基地局20における推定精度の低下を検知した場合には、割当量の一部をBSR伝送に割当てることで、基地局20において推定されるバッファ推定量を、端末10のバッファ状態の変動に追従させることができる。その結果、基地局20は、どの端末がどれくらいの無線リソースを必要とするかを把握し、適切なスケジューリングを行うことが期待される。別言すると、端末10は、適切に無線リソースの割り当てを受けることができる。
なお、図9では、基地局20からのアップリンク許可を受ける前に、新たなデータが追加された例を説明したが、本実施例3はこれに限定されない。すなわち、図4で示した例と同様に、基地局20からのアップリンク許可を受ける前に、送信バッファの一部のデータについてデータ廃棄が行われた場合にも適用され得ることに留意されたい。
図10及び図11は、実施例3に係る端末10における処理の流れの一例を示す図である。例えば、端末10は、基地局20からULデータ伝送用の無線リソースの割当量を示すアップリンク許可(UL grant)を受信したことに応じて、図10及び図11に示す処理の流れを実行してもよい。
端末10は、前回のULデータ送信後のバッファサイズ(第一バッファサイズとも称される)を端末10のメモリから取得する(S101−1)。端末10のメモリには、後述の処理S101−7が実行される都度、送信バッファのバッファサイズがメモリに格納される。なお、処理S101−1の初回実行時には、0値が格納されていてもよい。あるいは、処理S101−1の初回実行時には、第一バッファサイズとして、現在の送信バッファのバッファサイズを用いてもよい。なお、端末10は、例えば、基地局20へスケジューリング・リクエストを送信する都度、処理S101−1の初回実行であるか否かの判定基準をリセットしてもよい。あるいは、端末10は、例えば、休止状態(IDLE状態とも称される)から復帰する都度、処理S101−1の初回実行であるか否かの判定基準をリセットしてもよい。
端末10は、現在のバッファサイズ(第二バッファサイズとも称される)を取得する(S101−2)。
端末10は、第一バッファサイズと第二バッファサイズとを、BSRインデックステーブルに従って、BSRインデックスに変換する(S101−3)。
端末10は、第一バッファサイズのBSRインデックスと、第二バッファサイズのBSRインデックスとを比較し、第一バッファサイズのBSRインデックスが第二バッファサイズのBSRインデックスと同じかを判定する(S101−4)。処理S101−4において、第一バッファサイズのBSRインデックスが第二バッファサイズのBSRインデックスと同じかを判定することは、アップリンク許可に示される割当量の一部をBSR伝送に割当てるか否かを判定するという側面を有する。例えば、第一バッファサイズのBSRインデックスと第二バッファサイズのBSRインデックスとが同じ場合、端末10は、後述の処理において、割当量の一部をBSR伝送に割当てない。一方、第一バッファサイズのBSRインデックスと第二バッファサイズのBSRインデックスとが同じでない場合、端末10は、後述の処理において、割当量の一部をBSR伝送に割当てる。
第一バッファサイズのBSRインデックスと第二バッファサイズのBSRインデックスとが同じ場合(S101−4でYES)、端末10は、アップリンク許可に示される割当量に相当するULデータを送信バッファから取り出し、取り出したULデータに基づいてアップリンク信号のパケットを生成する(S101−5)。
端末10は、処理S101−5で生成したアップリンク信号のパケットを送信する(S101−6)。処理S101−6において、端末10は、アップリンク信号のパケットをプロトコルスタック上の下位レイヤに回送する際に、所定のアルゴリズムに基づく信号系列を付加してもよい。この様な信号系列の一例として、CRCなどの誤り検出に用いる符号(誤り訂正符号と称されてもよい)が挙げられる。
端末10は、送信バッファのバッファサイズを取得し、最新のバッファサイズをメモリに格納する(S101−7)。処理S101−7でメモリに格納した最新のバッファサイズは、次回の処理S101−1を実行する際に、第一バッファサイズとして参照される。
一方、処理S101−4で、第一バッファサイズのBSRインデックスと第二バッファサイズのBSRインデックスとが異なる場合(S101−4でNO)、端末10は、図7に示す実施例2に係る処理の流れを実行する(S101−8)。すなわち、端末10は、アップリンク許可に示される割当量の一部をBSR伝送に割当てて、残余割当量に相当するULデータに基づいて生成したアップリンク信号のパケットに、最新のBSRを連結したパケットを、基地局20へ送信する。これにより、基地局20は、最新のBSRに基づいて、端末10のバッファ推定量を推定することができる。
割当量の一部をBSR伝送に割当てた場合も、端末10は、送信バッファのバッファサイズを取得し、最新のバッファサイズをメモリに格納する(S101−7)。この場合も、処理S101−7でメモリに格納した最新のバッファサイズは、次回の処理S101−1を実行する際に、第一バッファサイズとして参照される。
以上が、実施例3に係る端末10における処理の流れの一例である。次に、実施例3に係る基地局20における処理の流れの一例を説明する。図12は、実施例3に係る基地局における処理の流れの一例を示す図である。例えば、基地局20は、端末10からのアップリンク信号を受信したことに応じて、図12に示す処理の流れを実行してもよい。
基地局20は、端末10から受信したアップリンク信号に、BSRが含まれているかを判定する(S201−1)。処理S201−1において、基地局20は、アップリンク信号に含まれる複数の情報要素の各々に関連付けられている識別子を参照することで、BSRを格納した情報要素が存在するかを判定してもよい。情報要素に関連付けられた識別子の一例として、LCID(Logical Channel IDentifier)が挙げられる。例えば、非特許文献5(3GPP TS 36.321 V14.2.0 (2017-03))によれば、Short−BSRを示すLCIDは「11101」、Long−BSRを示すLCIDは「11110」である。なお、これらの値は、一例であり、今後の仕様変更によって変わり得ることに留意されたい。
基地局20は、端末10からのアップリンク信号に、上述のBSRを示すLCIDが関連付けられた情報要素を検出できなければ、BSRが含まれていないと判定してもよい。アップリンク信号にBSRが含まれていないと判定した場合(S201−1でYES)、基地局20は、アップリンク信号から、ULデータを取得し(S201−2)、ULデータのデータ長に基づき、端末のバッファ推定量を更新する(S201−3)。
基地局20は、更新後のバッファ推定量が0値であれば(S201−4でYES)、端末10に対する無線リソースのスケジューリングを停止してもよい(S201−5)。一方、更新後のバッファ推定量が0値でなければ(S201−4でNO)、端末10に対する無線リソースのスケジューリングを継続してもよい。
上述の処理S201−1において、端末からのアップリンク信号にBSRが含まれていると判定した場合(S201−1でNO)、基地局20は、図8に示す実施例2に係る基地局20における処理を実行してもよい(S201−6)。すなわち、基地局20は、端末10からのアップリンク信号から、ULデータとBSRとを取出し、最新のBSRに示されるBSRインデックスに基づいて端末10のバッファ推定量を更新する。
以上が、実施例3に係る基地局20における処理の流れの一例である。実施例3によれば、端末10において、前回のULデータの送信後におけるバッファサイズに対応するBSRインデックスと、現在のバッファサイズに対応するBSRインデックスとが異なるか否かを判定する。そして、両BSRインデックスが異なる場合には、基地局20における端末10のバッファ推定量の推定精度が低下している可能性があるため、割当量の一部をBSR伝送に割当てる。これにより、基地局20におけるバッファ推定量の推定精度が低下していないと判断される場合には、BSR伝送を省略して、ULデータ伝送などの他の用途に無線リソースを有効活用することが可能となる。その一方で、端末10は、上述の手法により、基地局20における推定精度の低下を検知した場合には、割当量の一部をBSR伝送に割当てることで、基地局20において推定されるバッファ推定量を、端末10のバッファ状態の変動に追従させることができる。その結果、基地局20は、どの端末がどれくらいの無線リソースを必要とするかを把握し、適切なスケジューリングを行うことが期待される。別言すると、端末10は、適切に無線リソースの割り当てを受けることができる。
<実施例4> 図13は、実施例4に係る無線通信システム1におけるBSR伝送のシーケンスの一例を示す図である。図13に示す例において、端末10は、基地局20からのアップリンク許可を受けてデータを送信する際に、実施例2と同様に、アップリンク許可に示される割当量の一部を、BSR伝送用に割当てる。ただし、実施例4に係る端末10は、送信バッファの状況が所定の条件を満たす場合に、アップリンク許可に示される割当量の一部を、BSR伝送用に割当てる。別言すると、実施例4に係る端末10は、送信バッファの状況が所定の条件を満たさない場合、アップリンク許可に示される割当量の一部を、BSR伝送用に割当てなくてもよい。端末10における、送信バッファの状況が所定の条件を満たすか否かの判定は、基地局20における端末10のバッファ推定量の推定精度が低下したか否かを間接的に判定することに役立つ。
図6に示す例と同様に、端末10は、基地局20からアップリンク許可(割当量:5000bytes長)を受信する。その際、端末10は、前回のULデータの送信後の送信バッファのバッファサイズと、現在のバッファサイズとを比較する。図13に示す例では、その比較結果が所定の条件を満たさないため、端末10は、アップリンク許可に示される割当量の一部を、BSR伝送用に割当てない。すなわち、割当量(5000bytes長)に相当するデータ長のULデータ(5000bytes長)を、基地局20へ送信する。その結果、端末10の送信バッファのバッファサイズは「1000bytes」になり、基地局20における端末10のバッファ推定量は「0byte<BS<=1074bytes」になる。
基地局20は、端末10に対するスケジューリングにおいて、更新後のバッファ推定量が示す範囲「0byte<BS<=1074bytes」から、端末10に対する無線リソースの割当量として例えば「1074bytes」を決定する。基地局20は、端末10に対する割当量「1074bytes」を示すアップリンク許可(割当量:1074bytes)を、端末10へ送信する。
端末10は、基地局20からのアップリンク許可(割当量:1074bytes)を受信し、現在のバッファサイズから、アップリンク許可に示される割当量を減算したバッファサイズ(第三バッファサイズ)を取得する。そして、端末10は、第三バッファサイズが1bytes以上であり、かつ、所定の閾値未満であるかを判定する。図13に示す例では、端末10は、アップリンク許可(割当量:1074bytes)を受信する前に、新たなULデータ(75bytes長)が送信バッファに追加されている。
図13において、端末10は、現在のバッファサイズ「1075bytes」から、アップリンク許可に示される割当量「1074bytes」を減算することで、第三バッファサイズ「1bytes」を取得する。その結果、端末10は、第三バッファサイズが上述の所定の条件を満たすと判定し、アップリンク許可に示される割当量の一部をBSR伝送に割当てる。図13に示す例では、端末10は、一例として、BSR伝送に3bytesを割当てている。
そして、端末10は、BSR伝送に3bytes割当てた場合の残余割当量「1071bytes」に相当するデータを、送信バッファから取り出す。これにより、データ取出し後のバッファサイズは「4bytes」になる。端末10は、図2に示すBSRインデックステーブルの例に従って最新のバッファサイズを変換することで、最新のBSRインデックスを取得する。すなわち、端末10は、最新のバッファサイズ「4bytes」を包含する小区間「0<BS<=10」に対応するBSRインデックス「1」を取得する。
端末10は、割当てられた無線リソースを用いて、残余割当量に相当するデータ長のデータ(UL Data)と、最新のBSRインデックスを有するBSR(New BSR)とを、基地局20へ送信する。図13に示す例では、端末10は、データ(UL Data:1071bytes長)と、BSRインデックス「1」を有するBSR(New BSR)とを、基地局20へ送信する。
基地局20は、端末10からのデータ(UL Data:1071bytes長)と、最新のBSRインデックス「1」を有するBSR(New BSR)とを受信する。そして、基地局20は、BSRインデックステーブルに従って最新のBSRインデックス「1」を変換することで、端末10のバッファ推定量「0<BS<=10」を取得する。これにより、端末10からのデータを受信する都度、最新のBSR(New BSR)に基づいて、端末10のバッファ推定量を更新することができる。その結果、図13に示す例において、基地局20は、端末10に対する無線リソースのスケジューリングを継続することができ、端末10は、適切に無線リソースの割り当てを受けることができる。
以上が、実施例4に係る無線通信システム1におけるBSR伝送のシーケンスの一例である。実施例4によれば、端末10において、基地局20からの割当量に相当するULデータを送信した後のバッファサイズ(第三バッファサイズとも称される)を推定する。そして、端末において推定された第三バッファサイズが所定の閾値未満の場合には、基地局20における端末10のバッファ推定量が0値になる可能性が高まるため、割当量の一部をBSR伝送に割当てる。別言すると、第三バッファサイズが所定の閾値未満にある場合、基地局20において端末10に対する無線リソースのスケジューリングが停止する可能性が高くなる。なお、閾値は、基地局における推定精度の低下の許容度合いに応じて適宜設定すればよい。図13では、閾値の一例として、閾値=1000bytesに設定された例を示している。
実施例4では、基地局20におけるバッファ推定量により端末10に対する無線リソースのスケジューリングが停止される可能性が高くない場合には、BSR伝送を省略して、ULデータ伝送などの他の用途に無線リソースを有効活用することが可能となる。その一方で、端末10は、上述の手法により、送信バッファにULデータが残っているにもかかわらず、端末10に対する無線リソースのスケジューリングが停止する可能性があることを検知した場合、割当量の一部をBSR伝送に割当てることで、基地局20において推定されるバッファ推定量を、端末10のバッファ状態の変動に追従させることができる。その結果、基地局20は、どの端末がどれくらいの無線リソースを必要とするかを把握し、適切なスケジューリングを行うことが期待される。別言すると、端末10は、適切に無線リソースの割り当てを受けることができる。
なお、図13では、基地局20からのアップリンク許可を受ける前に、新たなデータが追加された例を説明したが、本実施例4はこれに限定されない。すなわち、図4で示した例と同様に、基地局20からのアップリンク許可を受ける前に、送信バッファの一部のデータについてデータ廃棄が行われた場合にも適用され得ることに留意されたい。
図14は、実施例4に係る端末10における処理の流れの一例を示す図である。例えば、端末10は、基地局20からアップリンク許可(UL grant)を受信したことに応じて、図14に示す処理の流れを実行してもよい。
端末10は、現在の送信バッファのバッファサイズから、アップリンク許可に示される割当量に相当するデータ量を減算することで、第三バッファサイズを取得する(S101−1A)。
端末10は、処理S101−1Aで取得した第三バッファサイズが所定の閾値以上であるかを判定する(S101−2A)。所定の閾値は、例えば、端末10の製造時に予めメモリなどに記録しておいても良いし、基地局20から受信した信号に基づいて設定してもよい。この様な信号の一例として、RRCメッセージの一種であるRRCConnectionReconfigurationメッセージが挙げられる。RRCConnectionReconfigurationメッセージは、例えば、端末10と基地局20との間で無線通信リンクが確立(再確立)される際に、基地局20から端末10に送信されるRRCメッセージである。
端末10は、第三バッファサイズが所定の閾値以上であると判定した場合(S101−2AでYES)、割当量に相当するULデータを送信バッファから取り出してアップリンク信号のパケットを生成する(S101−5)。そして、S101−5で生成したアップリンク信号のパケットを送信する(S101−6)。処理S101−6において、端末10は、アップリンク信号のパケットをプロトコルスタック上の下位レイヤに回送する際に、所定のアルゴリズムに基づく信号系列を付加してもよい。この様な信号系列の一例として、CRCなどの誤り検出に用いる符号(誤り訂正符号と称されてもよい)が挙げられる。
一方、処理S101−2Aで、第三バッファサイズが所定の閾値未満である場合(S101−2AでNO)、端末10は、図7に示す実施例2に係る処理の流れを実行する(S101−8)。すなわち、端末10は、アップリンク許可に示される割当量の一部をBSR伝送に割当てて、残余割当量に相当するULデータに基づいて生成したアップリンク信号のパケットに、最新のBSRを連結したパケットを、基地局20へ送信する。これにより、基地局20は、最新のBSRに基づいて、端末10のバッファ推定量を推定することができる。
以上が、実施例4に係る端末10における処理の流れの一例である。なお、実施例4に係る基地局20における処理の流れは、実施例3と同様であるため、説明を省略する。
<実施例5> 図15は、実施例5に係る端末10における処理の流れの一例を示す図である。実施例5に係る端末10は、実施例3に係る端末10と同様に、送信バッファの状況が所定の条件を満たす場合に、アップリンク許可に示される割当量の一部を、BSR伝送用に割当てる。別言すると、実施例3に係る端末10は、送信バッファの状況が所定の条件を満たさない場合、アップリンク許可に示される割当量の一部を、BSR伝送用に割当てなくてもよい。端末10における、送信バッファの状況が所定の条件を満たすか否かの判定は、基地局20における端末10のバッファ推定量の推定精度が低下したか否かを間接的に判定することに役立つ。
実施例5では、端末10は、基地局20が行うバッファ推定と略同様の処理を行うことで、端末10のバッファ推定量のミラーリングを行う。そして、ミラーリングされたバッファ推定量と現在のバッファサイズとに基づいて、基地局20における端末10のバッファ推定量の推定精度が低下しているか否かを判定する。以下、図15に示す処理の流れの一例を、順を追って説明する。
実施例5に係る端末10は、例えば、基地局20からアップリンク許可(UL grant)を受信したことに応じて、図15に示す処理の流れを実行してもよい。
端末10は、バッファ推定量の上限値をメモリから取得する(S101−1B)。端末10のメモリには、後述の処理S101−8Bが実行される都度、バッファ推定量の上限値がメモリに格納される。また、後述の処理S101−6Bが実行される都度、バッファ推定量の上限値が更新される。処理S101−1Bの初回実行時には、0値が格納されていてもよい。
端末10は、現在のバッファサイズと、処理S101−1Bで取得したバッファ推定量の上限値との差分(第四バッファサイズ)を取得する(S101−2B)。
端末10は、第四バッファサイズが所定の閾値未満かを判定する(S101−3B)。所定の閾値は、例えば、端末10の製造時に予めメモリなどに記録しておいても良いし、基地局20から受信した信号に基づいて設定してもよい。この様な信号の一例として、RRCメッセージの一種であるRRCConnectionReconfigurationメッセージが挙げられる。RRCConnectionReconfigurationメッセージは、例えば、端末10と基地局20との間で無線通信リンクが確立(再確立)される際に、基地局20から端末10に送信されるRRCメッセージである。例えば、閾値=1000bytesとしてもよい。
処理S101−2Bにおいて、第四バッファサイズが所定の閾値未満かを判定することは、アップリンク許可に示される割当量の一部をBSR伝送に割当てるか否かを判定するという側面を有する。例えば、第四バッファサイズが閾値未満であると判定された場合、端末10は、後述の処理において、割当量の一部をBSR伝送に割当てない。一方、第四バッファサイズが閾値以上であると判定された場合、端末10は、後述の処理において、割当量の一部をBSR伝送に割当てる。
端末10は、第四バッファサイズが所定の閾値以上であると判定した場合(S101−3BでYES)、割当量に相当するULデータを送信バッファから取り出してアップリンク信号のパケットを生成する(S101−4B)。そして、S101−4Bで生成したアップリンク信号のパケットを送信する(S101−5B)。処理S101−5Bにおいて、端末10は、アップリンク信号のパケットをプロトコルスタック上の下位レイヤに回送する際に、所定のアルゴリズムに基づく信号系列を付加してもよい。この様な信号系列の一例として、CRCなどの誤り検出に用いる符号(誤り訂正符号と称されてもよい)が挙げられる。
端末10は、送信したULデータのデータ長に基づき、バッファ推定量の上限値を更新する(S101−6B)。処理S101−6Bにおいて、端末10は、処理S101−1Bでメモリから取得したバッファ推定量の上限値から、処理S101−5Bで送信したULデータのデータ長を減算することで、バッファ推定量の上限値を更新してもよい。更新後のバッファ推定量の上限値は、メモリに格納される。なお、処理S101−6Bにおいて、処理S101−5Bで送信したULデータのデータ長は、処理101−4Bで送信バッファから取り出したULデータのデータ長に相当し得る、という側面を有する。別言すると、処理S101−6Bにおいて、基地局20からのアップリンク許可に示される割当量に基づいて、バッファ推定量の上限値を更新してもよい。
処理S101−6Bにおいて、更新後の上限値が負の値になる場合、端末10は、更新後のバッファ推定量の上限値を0値としてもよい。
上述の処理S101−3Bにおいて、第四バッファサイズが閾値以上であると判定した場合(S101−3BでNO)、端末10は、図7に示す実施例2に係る処理の流れを実行する(S101−7B)。すなわち、端末10は、アップリンク許可に示される割当量の一部をBSR伝送に割当てて、残余割当量に相当するULデータに基づいて生成したアップリンク信号のパケットに、最新のBSRを連結したパケットを、基地局20へ送信する。これにより、基地局20は、最新のBSRに基づいて、端末10のバッファ推定量を推定することができる。
端末10は、最新のBSRに基づき、バッファ推定量の上限値をメモリに格納する(S101−8B)。処理S101−8Bにおいて、端末10は、処理S101−7Bで基地局へ送信した最新のBSRに示されるBSRインデックスを、図2に例示されるBSRインデックステーブルに従って、バッファ推定量に変換する。例えば、BSRインデックス値「32」は、図2に例示されるBSRインデックステーブルに従って、下限値「4940bytes」と上限値「6074bytes」とを有するバッファ推定量に変換される。この例によれば、端末10は、バッファ推定量の上限値「6074bytes」をメモリに格納する。これにより、上述の処理S101−1Bにおいて、端末10は、バッファ推定量の上限値をメモリから取得することができる。なお、端末10は、基地局へのULデータ伝送シーケンスにおいて、BSR伝送のみを行ってもよい。その場合、処理S101−8Bを実行することで、BSRに基づき推定されたバッファ推定量の上限値をメモリに格納すればよい。
以上が、実施例5に係る端末10における処理の流れの一例である。実施例5に係る基地局20における処理の流れの一例は、実施例3に係る基地局20と同様であるため、説明を省略する。
次に、実施例5に係る端末10のBSR伝送のシーケンスにおける動作の概要を、図9を用いて説明する。すなわち、実施例5のBSR伝送シーケンスは、実施例3と同様である。ただし、端末10における動作の概要が若干異なるため、以下に補足的に説明する。
図9に示すシーケンス例において、まず、端末10は、バッファサイズ「6000bytes」を、BSRインデックステーブルに従って、BSRインデックス「32」に変換する。そして、端末10は、BSRインデックス「32」を有するBSRを基地局20へ送信する。その際、端末10は、BSRインデックス「32」をBSRインデックステーブルに従ってバッファ推定量に変換し、バッファ推定量の上限値「6074bytes」をメモリに格納する。
基地局20は、端末10に対するスケジューリングにおいて、例えば、バッファ推定量が示す範囲「4940<BS<=6074」から、端末10に対する無線リソースの割当量として「5000bytes」を決定する。基地局20は、端末10に対する割当量「5000bytes」を示すアップリンク許可(割当量:5000bytes)を、端末10へ送信する。
端末10は、基地局20からのアップリンク許可を受信し、アップリンク許可に示される割当量「5000bytes」の一部をBSR伝送に割当てるべきか否かの判定において、メモリに格納されているバッファ推定量の上限値「6074bytes」と、現在のバッファサイズ「6000bytes」との差分である第四バッファサイズ「74bytes」を取得する。そして、端末10は、第四バッファサイズ「74bytes」が閾値未満であるかを判定する。ここで、閾値の一例として1000bytesであるとする。端末10は、第四バッファサイズ「74bytes」が閾値「1000bytes」未満であるため、割当量の一部をBSR伝送に割当てないと判定する。
端末10は、割当量(5000bytes長)に相当するデータ長のULデータ(5000bytes長)を、基地局20へ送信する。その結果、端末10の送信バッファのバッファサイズは「1000bytes」になり、基地局20における端末10のバッファ推定量は「0byte<BS<=1074bytes」になる。さらに、端末10は、基地局20と同様に、送信したULデータのデータ長に基づき更新したバッファ推定量の上限値(1074bytes)を、メモリに格納する。
基地局20は、端末10に対するスケジューリングにおいて、更新後のバッファ推定量が示す範囲「0byte<BS<=1074bytes」から、端末10に対する無線リソースの割当量として例えば「1074bytes」を決定する。基地局20は、端末10に対する割当量「1074bytes」を示すアップリンク許可(割当量:1074bytes)を、端末10へ送信する。
端末10は、基地局20からのアップリンク許可(割当量:1074bytes)を受信し、割当量の一部をBSR伝送に割当てるべきか否かの判定をする。図9に示す例では、端末10は、アップリンク許可(割当量:1074bytes)を受信する前に、新たなULデータ(5000bytes長)が送信バッファに追加されている。端末10は、メモリに格納されているバッファ推定量の上限値「1074bytes」と、現在のバッファサイズ「6000bytes」との差分である第四バッファサイズ「4926bytes」を取得する。そして、端末10は、第四バッファサイズ「4926bytes」が閾値未満であるかを判定する。端末10は、第四バッファサイズ「4926bytes」が閾値「1000bytes」以上であるため、割当量の一部をBSR伝送に割当てると判定する。別言すると、第四バッファサイズが閾値以上であることは、基地局20が把握している端末10のバッファ推定量の推定精度が閾値以上低下したことに相当し得る。
図9において、基地局20からアップリンク許可(割当量:1074bytes)を受信した際、端末10は、基地局20における推定精度の低下を改善するため、割当量の一部をBSR伝送に割当てる。例えば、BSR伝送に割当てる量は3bytesであってもよい。あるいは、BSR伝送に割当てる量は2bytesなどであってもよい。これらの値は、一例である。
端末10は、BSR伝送に3bytes割当てた場合の残余割当量「1071bytes」に相当するデータを、送信バッファから取り出す。これにより、データ取出し後のバッファサイズは「4929bytes」になる。端末10は、図2に示すBSRインデックステーブルの例に従って最新のバッファサイズを変換することで、最新のBSRインデックスを取得する。すなわち、端末10は、最新のバッファサイズ「4929bytes」を包含する小区間「4017<BS<=4940」に対応するBSRインデックス「31」を取得する。
端末10は、割当てられた無線リソースを用いて、残余割当量に相当するデータ長のデータ(UL Data)と、最新のBSRインデックスを有するBSR(New BSR)とを、基地局20へ送信する。図6に示す例では、端末10は、データ(UL Data:1071bytes長)と、BSRインデックス「31」を有するBSR(New BSR)とを、基地局20へ送信する。
さらに、端末10は、最新のBSRインデックス「31」に基づいてバッファ推定量の上限値を更新する。例えば、端末10は、最新のBSRインデックス「31」を、図2に例示するBSRインデックステーブルに従って、バッファ推定量の上限値「4940bytes」に変換する。端末10は、最新のBSRインデックス「31」に基づいて取得したバッファ推定量の上限値「4940bytse」をメモリに格納する。これにより、次回のアップリンク許可を受けた場合に、割当量の一部をBSR伝送に割当てるか否かの判定において、メモリに格納したバッファ推定量の上限値「4940bytes」が参照される。
実施例5に係るBSR伝送シーケンスにおいて、基地局20の動作概要は、実施例3と同様であるため、説明を省略する。
以上が、実施例5に係る無線通信システム1の説明である。実施例5によれば、端末10において、基地局20で行っているバッファ推定のミラーリングを行い、バッファ推定量の上限値と現在のバッファサイズとの差分である第四バッファサイズが閾値未満であるか否かを判定する。そして、第四バッファサイズが閾値以上である場合には、基地局20における端末10のバッファ推定量の推定精度が低下している可能性があるため、割当量の一部をBSR伝送に割当てる。一方、端末10は、基地局20におけるバッファ推定量の推定精度が低下していないと判断される場合には、BSR伝送を省略する。これにより、不要なBSR伝送への無線リソースの割当てを防止し、ULデータ伝送などの他の用途に無線リソースを有効活用することが可能となる。
さらに、端末10は、上述の手法により、基地局20における推定精度の低下を検知した場合には、割当量の一部をBSR伝送に割当てることで、基地局20において推定されるバッファ推定量を、端末10のバッファ状態の変動に追従させることができる。その結果、基地局20は、どの端末がどれくらいの無線リソースを必要とするかを把握し、適切なスケジューリングを行うことが期待される。別言すると、端末10は、適切に無線リソースの割り当てを受けることができる。
<変形例1> 上述の実施例1ないし実施例5では、端末10がULデータを送信した後に、基地局20におけるスケジューリング処理により端末10に対してアップリンク許可が発行されている例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。変形例1に係る端末10は、基地局20からのアップリンク許可を受ける前に、BSR伝送用の無線リソースの割り当てを基地局20に依頼する信号であるスケジューリング・リクエスト(SRとも称される)を基地局20に送信する。
変形例1に係る基地局20は、端末10からのスケジューリング・リクエストを受けて、端末10に対してBSR伝送用の無線リソースを割り当てるためのスケジューリング処理を実行する。そして、基地局20は、端末10に対して割当てた無線リソース(割当量とも称される)を示すアップリンク許可(BSR伝送用アップリンク許可とも称される)を、端末10に送信する。その際、端末10に対する割当量は、少なくともBSR伝送が可能な無線リソースの割り当てが行われればよい。
変形例1に係る端末10は、基地局からのBSR伝送用アップリンク許可を受けて、最新のバッファサイズを示すBSRインデックスを、基地局20へ送信する。その後、端末10は、基地局20から、ULデータ送信用に割当てられた無線リソース(割当量とも称される)を示すアップリンク許可を受けて、アップリンク許可に示される割当量に相当するデータ長のULデータを基地局20へ送信する。
上述のように、変形例1では、実施例1ないし実施例5に係る端末10における処理の流れの実行契機を、基地局20からのアップリンク許可の受信に依存させなくてもよい。例えば、送信バッファのバッファサイズの変動が所定の閾値以上であることを検知したことを契機として、実施例1ないし実施例5に示される様なBSR伝送を実行してもよい。
例えば、実施例2に対して変形例1を適用することで、端末10は、送信バッファのバッファサイズの変動が所定の閾値以上であることを検知した場合、BSR伝送用の無線リソースの割り当てを基地局20に依頼するスケジューリング・リクエストを送信する。
例えば、実施例3に対して変形例1を適用することで、端末10は、送信バッファのバッファサイズの変動を検知した場合、第一バッファサイズのBSRインデックスと第二バッファサイズのBSRインデックスとが異なるか否かを判定する。そして、端末10は、第一バッファサイズのBSRインデックスと第二バッファサイズのBSRインデックスとが異なる場合、BSR伝送用の無線リソースの割り当てを基地局20に依頼するスケジューリング・リクエストを送信する。
例えば、実施例4に対して変形例1を適用することで、端末10は、送信バッファのバッファサイズの変動を検知した場合、変動後のバッファサイズが所定の閾値未満であるか否かを判定する。そして、端末10は、変動後のバッファサイズが所定の閾値未満である場合、BSR伝送用の無線リソースの割り当てを基地局20に依頼するスケジューリング・リクエストを送信する。実施例4に対して変形例1を適用した場合、アップリンク許可を受信する前に実行契機が到来するため、アップリンク許可に示される割当量を用いた処理が省略される。
なお、実施例4に対して変形例1を適用した場合に、端末10において、アップリンク許可に示される割当量を予想して、予想値に基づき第三バッファサイズを取得してもよい。例えば、実施例5で説明したように、端末10は、基地局20における端末10のバッファ推定量を取得する処理をミラーリングし、バッファ推定量の上限値に相当する割当量を予想値としてもよい。
例えば、実施例5に対して変形例1を適用することで、端末10は、送信バッファのバッファサイズの変動を検知した場合、現在のバッファサイズとバッファ推定量の上限値との差分である第四バッファサイズを取得し、第四バッファサイズが閾値未満か否かを判定する。そして、端末10は、第四バッファサイズが閾値以上であると判定した場合、BSR伝送用の無線リソースの割り当てを基地局20に依頼するスケジューリング・リクエストを送信する。
<変形例2> 上述の実施例4では、第三バッファサイズが所定の閾値未満の場合に、BSR伝送に無線リソースを割り当てると判定されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、実施例4に変形例2を適用することで、端末10は、第三バッファサイズが所定の閾値以上であると判定した場合に、BSR伝送に無線リソースを割り当ててもよい。一方、端末10は、第三バッファサイズが所定の閾値未満であると判定した場合、BSR伝送に無線リソースを割当てなくてもよい。
第三バッファサイズが所定の閾値以上であるということは、別言すると、送信バッファに滞留しているデータ量が比較的多い状態にあるという側面を有する。すなわち、この様な状態は、端末10において、ULデータを発生させるアプリケーションが活発に動作している状態ともいえる。したがって、変形例2では、端末10は、ULデータを発生させるアプリケーションが活発に動作している状態か否かを、第三バッファサイズが所定の閾値以上であるか否かに基づいて間接的に判定する、という側面を有する。
この様に、変形例2では、ULデータを発生させるアプリケーションが活発に動作している状態の場合、BSR伝送に無線リソースを割り当てる。これにより、変形例2に係る端末10は、最新のバッファ状態に基づき、基地局20から適切に無線リソースの割り当てを受けることができる。
<変形例3> 上述の実施例1ないし実施例5の各々に係る無線端末10は、基地局20からの信号に基づき、基地局20からの割当量の一部をBSR伝送に割当てる機能を有効にするか否かを切り替えるように動作してもよい。この様な信号の一例として、RRCメッセージの一種であるRRCConnectionReconfigurationメッセージが挙げられる。RRCConnectionReconfigurationメッセージは、例えば、端末10と基地局20との間で無線通信リンクが確立(再確立)される際に、基地局20から端末10に送信されるRRCメッセージである。
例えば、実施例2に変形例3を適用することで、端末10は、基地局20から、例えばRRCConnectionReconfigurationメッセージを受信した際に、当該RRCメッセージに含まれる設定情報に基づき、基地局20からの割当量の一部をBSR伝送に割当てる機能を有効にするか否かを切り替えるように動作する。例えば、基地局20から受信したRRCConnectionReconfigurationメッセージに、基地局20からの割当量の一部をBSR伝送に割当てる機能を有効にするための設定情報が含まれていない場合、端末10は、割当量の一部をBSR伝送に割当てなくてもよい。
例えば、実施例3ないし実施例5の各々に変形例3を適用することで、端末10は、基地局20から受信したRRCConnectionReconfigurationメッセージに、基地局20からの割当量の一部をBSR伝送に割当てる機能を有効にするための設定情報が含まれていない場合、割当量の一部をBSR伝送に割当てるか否かの判定を実行しなくてもよい。その結果、端末10は、割当量の一部をBSR伝送に割当てない。
<変形例4> さらに、本願に記載されている実施例は、複数の実施例を組み合わせて実施することは可能であり、一実施例に限定されるものではない。例えば、実施例1ないし実施例5に記載の何れか二以上の実施例を組み合わせてもよい。例えば、端末10は、基地局20からの設定情報に基づいて、実施例1ないし実施例5の何れかによる動作を選択的に実行してもよい。基地局20からの設定情報に基づき選択される動作のバリエーションとして、上述の変形例1ないし変形例3による動作を含んでもよい。この様な設定情報を基地局20から端末10に通知する信号として、例えば、RRCメッセージの一種であるRRCConnectionReconfigurationメッセージが挙げられる。
<データ構造> 図16は、上述の各実施例で端末10から基地局20へ送信されるアップリンク信号のデータ構造の一例を示す図である。図16では、無線通信の機能を一連の層(レイヤ)に分割したプロトコルスタック(階層型プロトコルとも称される)における、第二層(レイヤ2とも称される)に着目したデータ構造が示されている。
図16に示す第二層は、PDCP(Packet Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)の三つのサブレイヤを有する。ただし、これらは一例であって、第五世代移動通信の仕様策定の動向によっては、異なる名称になり得ることに留意すべきである。
図16に例示する無線通信システム1における端末10の各レイヤは、上位レイヤからのデータブロック(サービスデータユニット(SDU:Service Data Unit)とも称される)に対して、ヘッダを付すなどの所定のプロトコルに準拠した処理を行うことで、基地局20におけるピアプロセス間で交換される情報単位であるプロトコルデータユニット(PDU:Protocol Data Unit)を生成し、下位レイヤに転送する。例えば、LTEのRLCレイヤでは、上位レイヤであるPDCPレイヤからのデータブロックであるPDCP−PDU(すなわち、PDCPヘッダと、PDCP−SDUとを有するデータブロック)をRLC−SDUとし、例えば、RLC−SDUにRLCヘッダを付すなどの所定の処理を行うことでRLC−PDUを生成する。その様なRLC−PDUは、RLCレイヤにおけるシーケンス番号(SN:Sequence Number)を有するRLCヘッダが付された状態で、下位レイヤであるMACレイヤに転送される。
図16に例示する端末10のMACレイヤでは、上位レイヤであるRLCレイヤからのRLC−PDUはMAC−SDUとして送信バッファに格納される。そして、基地局20からのアップリンク許可に含まれる割当量の一部をBSR伝送に割当てた場合、残余割当量に相当するデータ長のULデータが送信バッファから取り出される。
図16に示す例では、2つのMAC−SDUと、各々のMAC−SDUに付加されたMACヘッダとを合計したデータ長D10が、残余割当量に相当する。すなわち、端末10は、残余割当量に相当するデータ長のMAC−SDUを送信バッファから取り出す際は、各々のMAC−SDUに付加するMACヘッダのデータ長を考慮して、残余割当量に収まる範囲内のMAC−SDUを送信バッファから取り出せばよい。
図16に示す例では、上述の2つのMAC−SDUなどに基づき生成したMAC−PDUの末尾に、最新のBSRインデックスを有するMAC制御要素(New-BSR)と、そのMAC制御要素に関連付けられたMACヘッダ(H)とを有するデータブロックが付加されている。図16の例では、MAC制御要素とMACヘッダとを合計したデータ長D20が、BSR伝送用割当量に相当する。
なお、図16に示す例では、残余割当量D10とBSR伝送用割当量D20とを合計した割当量が、トランスポートブロックサイズ(MAC PDU - Transport Block)と同じ例を示したが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、割当量がトランスポートブロックサイズよりも大きい場合、残余割当量に相当するULデータは、トランスポートブロックサイズを超えないように、複数のMAC−PDUに分割される。その場合、最新のBSRは、いずれか一つのMAC−PDUに付加してもよい。
<ハードウェア構成> 最後に、本実施例に用いられる各装置のハードウェア構成について、簡単に説明する。図17は、無線通信システム1における端末10と基地局20とのハードウェア構成の一例を示す図である。
図17に示す端末10は、無線通信回路101、処理回路102、メモリ103を有する。なお、図17に示す端末10では、アンテナの図示を省略している。また、端末10は、液晶ディスプレイなどの表示装置や、タッチパネルなどの入力装置や、リチウムイオン二次電池(lithium-ion rechargeable battery)などのバッテリを備えてもよい。
無線通信回路101は、ダウンリンクにおいて、処理回路102からのベースバンド信号を受けて、ベースバンド信号から所定の出力レベルの無線信号を生成し、アンテナを介して無線信号を空間に放射するように構成される。また、無線通信回路101は、アップリンクにおいて、アンテナから入力される無線信号を受信し、無線信号をベースバンド信号に変換し、処理回路102にベースバンド信号を供給するように構成される。無線通信回路101は、伝送回路を介して処理回路102と通信可能に接続され得る。伝送回路としては、例えば、M−PHY、Dig−RFなどの規格に準拠した伝送回路が挙げられる。上述のように、無線通信回路101は、基地局20との無線通信を行う機能を有する通信部(送受信部、第一の送受信部とも称される)としての側面を有する。
処理回路102は、ベースバンド信号処理を行うように構成さる回路である。処理回路102は、アップリンクにおいて、無線通信システムにおけるプロトコルスタックに基づいてベースバンド信号を生成し、無線通信回路101にベースバンド信号を出力するように構成される。また、処理回路102は、ダウンリンクにおいて、無線通信回路101から入力されたベースバンド信号に対して、無線通信システムにおけるプロトコルスタックに基づいて復調・復号などの受信処理を行うように構成される。別言すると、アップリンクにおいて、処理回路102は、無線通信の機能を複数のレイヤに分割したプロトコルスタックの手順に従って、受信装置としての基地局装置20に向けて、上位レイヤから下位レイヤへと送信データを順次処理して、無線通信回路101を介して送信する回路としての側面を有する。また、ダウンリンクにおいて、処理回路102は、無線通信の機能を複数のレイヤに分割したプロトコルスタックの手順に従って、無線通信回路101を介して受信した無線信号を、下位レイヤから上位レイヤへと順次処理する回路としての側面を有する。ここで、ダウンリンクにおいて、無線通信回路101からベースバンド信号の入力を受けることは、無線通信回路101を介して基地局装置20からの無線信号を受信するという側面を有する。
処理回路102は、例えば、メモリ103に格納されたプログラムを読みだして実行することで、上述の各種の実施例に係る端末10の動作を実現する演算装置であってもよい。処理回路102として、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などが挙げられる。なお、処理回路102は、二以上のコアを含むマルチコアプロセッサであっても良い。また、処理回路102は、無線通信システムのプロトコルスタックにおける各レイヤに応じて、二以上の処理回路102を実装してもよい。例えば、MACレイヤに属するMACエンティティとしての処理を実行する処理回路102と、RLCレイヤに属するRLCエンティティとしての処理を実行する処理回路102と、PDCPレイヤに属するPDCPエンティティとしての処理を実行する処理回路102とを、個別に実装してもよい。処理回路102は、C−CPUとも称される。端末装置10は、処理回路102の他に、アプリケーションを実行するA−CPUとも称されるプロセッサ回路を実装してもよい。なお、処理回路102は、A−CPUとも称されるプロセッサ回路とともに1チップで実装してもよいし、個別のチップとして実装してもよい。上述のように、処理回路102は、端末10の動作を制御する機能を有する制御部(第一の制御部とも称される)としての側面を有する。
メモリ103は、処理回路102で実行されるベースバンド信号処理に係るデータやプログラムを記憶保持するように構成される回路である。メモリ103は、不揮発性記憶装置と揮発性記憶装置の両方あるいは一方を少なくとも含んで構成される。たとえば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などが挙げられる。図17において、メモリ103は、主記憶装置及び補助記憶装置などの各種記憶装置を総称したものである。なお、メモリ103は、処理回路102と同様に、無線通信システムのプロトコルスタックにおける各レイヤに応じて、二以上のメモリ103を実装してもよい。例えば、MACレイヤに属するMACエンティティとしての処理に用いられるメモリ103と、RLCレイヤに属するRLCエンティティとしての処理に用いられるメモリ103と、PDCPレイヤに属するPDCPエンティティとしての処理に用いられるメモリ103とを、個別に実装してもよい。
図17に示す基地局20は、無線通信回路201、処理回路202、メモリ203、有線通信回路204、を有する。なお、図17に示す基地局20では、アンテナの図示を省略している。
無線通信回路201は、ダウンリンクにおいて、処理回路202からのベースバンド信号を受けて、ベースバンド信号から所定の出力レベルの無線信号を生成し、アンテナを介して無線信号を空間に放射するように構成される。また、無線通信回路201は、アップリンクにおいて、アンテナから入力される無線信号を受信し、無線信号をベースバンド信号に変換し、処理回路202へベースバンド信号を供給するように構成される。無線通信回路201は、CPRI(Common Public Radio Interface)などの伝送路を介して処理回路202と通信可能に接続させることも可能であり、RRH(Remote Radii Head)、RRE(Remote Radio Equipment)とも称され得る。また、無線通信回路201と処理回路202との組み合わせは、一対一に限定されるものではなく、一つの無線通信回路201に複数の処理回路202を対応付けたり、複数の無線通信回路201を一つの処理回路202に対応付けたり、複数の無線通信回路201を複数の処理回路202に対応付けることも可能である。上述のように、無線通信回路201は、端末10との無線通信を行う機能を有する通信部(送受信部、第二の送受信部とも称される)としての側面を有する。
処理回路202は、ベースバンド信号処理を行うように構成さる回路である。処理回路202は、ダウンリンクにおいて、無線通信システムにおけるプロトコルスタックに基づいてベースバンド信号を生成し、無線通信回路201にベースバンド信号を出力するように構成される。また、処理回路202は、アップリンクにおいて、無線通信回路201から入力されたベースバンド信号に対して、無線通信システムにおけるプロトコルスタックに基づいて復調・復号などの受信処理を行うように構成される。別言すると、ダウンリンクにおいて、処理回路202は、無線通信の機能を複数のレイヤに分割したプロトコルスタックの手順に従って、受信装置としての端末装置10宛ての送信データを、上位レイヤから下位レイヤへと順次処理して、無線通信回路201を介して送信する回路としての側面を有する。また、アップリンクにおいて、処理回路202は、無線通信の機能を複数のレイヤに分割したプロトコルスタックの手順に従って、無線通信回路201を介して受信した無線信号を、下位レイヤから上位レイヤへと順次処理する回路としての側面を有する。ここで、アップリンクにおいて、無線通信回路201からベースバンド信号の入力を受けることは、無線通信回路201を介して端末10からの無線信号を受信するという側面を有する。
処理回路202は、例えば、メモリ203に格納されたプログラムを読みだして実行することで、上述の各種の実施例に係る基地局20の動作を実現する演算装置であってもよい。処理回路202として、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などが挙げられる。なお、処理回路202は、二以上のコアを含むマルチコアプロセッサであっても良い。また、処理回路202は、無線通信システムのプロトコルスタックにおける各レイヤに応じて、二以上の処理回路202を実装してもよい。例えば、MACレイヤに属するMACエンティティとしての処理を実行する処理回路202と、RLCレイヤに属するRLCエンティティとしての処理を実行する処理回路202と、PDCPレイヤに属するPDCPエンティティとしての処理を実行する処理回路202とを、個別に実装してもよい。上述のように、処理回路202は、基地局20の動作を制御する機能を有する制御部(第二の制御部とも称される)としての側面を有する。
メモリ203は、処理回路202で実行されるベースバンド信号処理に係るデータやプログラムを記憶保持するように構成される回路である。メモリ203は、不揮発性記憶装置と揮発性記憶装置の両方あるいは一方を少なくとも含んで構成される。たとえば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などが挙げられる。図17において、メモリ203は、主記憶装置及び補助記憶装置などの各種記憶装置を総称したものである。なお、メモリ203は、処理回路202と同様に、無線通信システムのプロトコルスタックにおける各レイヤに応じて、二以上のメモリ203を実装してもよい。例えば、MACレイヤに属するMACエンティティとしての処理に用いられるメモリ203と、RLCレイヤに属するRLCエンティティとしての処理に用いられるメモリ203と、PDCPレイヤに属するPDCPエンティティとしての処理に用いられるメモリ203とを、個別に実装してもよい。
有線通信回路204は、他の装置へ出力可能なフォーマットのパケットデータに変換して他の装置へ送信したり、他の装置から受信したパケットデータからデータなどを抽出して、メモリ203や処理回路202などに出力したりする。他の装置の例としては、他の基地局装置やMME(Mobility Management Entity)やSGW(Serving Gateway)などがあり得る。MMEやSGWはコアノードとも称され、コアノードとの通信に用いられる論理的な通信インタフェースはS1インタフェースとも称される。他の基地局装置との通信に用いられる論理的な通信インタフェースはX2インタフェースとも称される。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点及び利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神及び権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点及び利点にまで及ぶことを意図するものである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物及び均等物に拠ることも可能である。例えば、本明細書に開示の各工程は、必ずしも処理の流れの一例として説明された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、工程の順序を入れ替えてもよく、あるいは複数の工程を並列的に実行してもよい。なお、以上の詳細な説明により明らかにされる第五世代移動通信システムに生じ得る事情は、第五世代移動通信システムを一側面から検討した場合に見出し得るものであり、他の側面から検討した場合には、他の事情が見出され得ることに留意されたい。別言すると、本発明の特徴点及び利点は、以上の詳細な説明に明記された事情を解決する用途に限定されるものではない。