JP7138917B2 - 多段式蒸発装置 - Google Patents

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Description

本発明は、多段式蒸発装置に関し、より詳細には液体から効率的に溶媒回収や濃縮を行うことのできる多段式蒸発装置に関する。
例えば、食品工業や化学工業の分野において、夾雑物や不純物を含む液体からの溶媒の回収または濃縮のための蒸発システムには、従来より「流下薄膜蒸発装置」と呼ばれる蒸発装置が使用されている。
この流下薄膜蒸発装置では、撹拌槽内の上方から原料液が撹拌槽の内壁に向かって散布され流下する際に、撹拌槽内を内壁に沿ってローラーやワイパーが移動することにより、原料液の薄膜が形成される。その後、当該内壁に予め付与された熱によって薄膜内の揮発成分が蒸発し、撹拌槽の外に排出される。
しかし、こうした流下薄膜蒸発装置では、供給された原料液が、撹拌槽内の内壁(伝熱面)をいわゆる「ワンパス」による1回の流下で通過するため、原料液に大量の揮発成分が含まれている場合や、内壁を流下するまでの間に充分に揮発成分が蒸発し得ない場合の蒸発効率が充分でないとの指摘がなされている。
また、流下薄膜蒸発装置に採用されるローラーやワイパーは、常に伝熱面に接触しているために摩耗が生じ易く、定期的な交換が必要となり、メンテナンスのための作業時間、労力およびコストが増大することが指摘されていた。
そして、近年では、ローラーやワイパーに代えて、撹拌槽内で傾斜しかつ回転可能な樋状部材を備える、蒸発装置が提供されている(特許文献1)。このような蒸発装置では、撹拌槽内で樋状部材を回転させることにより、撹拌槽内の底部に貯留した原料液を当該樋状部材の下端から掬い上げ、掬い上げた原料液を樋状部材にかかる遠心力を利用して、樋状部材の上端から撹拌槽の内壁に散布し、そして内壁を流下する際に原料液の揮発成分を蒸発させることができるように設計されている。ここで、内壁を流下した残渣の原料液は再び撹拌槽の底部に貯留されるので、原料液は、樋状部材の回転によって繰り返し撹拌槽の内壁を流下することができる。このような蒸発装置では、樋状部材と撹拌槽の内壁とは非接触の状態に保持されるため、樋状部材の摩耗による交換は特に必要とされない。
さらに近年では、当該樋状部材を高さ方向に多段に配置した多段式の蒸発装置が提案されている(特許文献2)。
多段式の蒸発装置では、連通する1つの撹拌槽内で、傾斜しかつ回転可能な複数の樋状部材が上下方向に並んで配置されており、そして各樋状部材の下端が、当該撹拌槽内で上下方向に分かれて設けられておりかつ原料液を貯留する貯留部内に配置されている。
このような多段式の蒸発装置では、上下段の樋状部材が回転することによって、各貯留部の原料液は各樋状部材の下端から掬い上げられ、樋状部材にかかる遠心力を利用して撹拌槽の内壁に散布され、そして内壁を流下する際に原料液の揮発成分が蒸発し、残渣が再び各貯留部に貯留される。
ここで、撹拌槽の上方から新たな原料液が追加されると、上段の貯留部では、上段の樋状部材の回転、掬い上げ、および散布を通じて揮発成分の蒸発が行われ、その後流下して再び貯留された残渣の原料液と、当該新たな原料液とが合わさる。そして、新たな原料液の追加が継続されると、合わさった原料液は上段の貯留部からオーバーフローし、下段の貯留部に移動する。
そして、下段の貯留部では、上段の貯留部からオーバーフローした原料液が貯留され、下段の樋状部材の回転、掬い上げ、および散布を通じて揮発成分の蒸発が行われ、その後流下して再び下段の貯留部に貯留される。
このように、多段式の蒸発装置は、多段かつ複数の樋状部材によって原料液に含まれる揮発成分を一層効率的に蒸発させることが可能である。
しかし、こうした多段式の蒸発装置は、その内部構造が複雑であることから、撹拌槽の内部の洗浄やメンテナンスが煩雑になるおそれがある点が指摘されている。例えば、ある原料液について上記のような蒸発操作を行った後に別の種類の原料液について蒸発操作を行うことが所望されるような場合には、蒸発装置の分解、洗浄、および再組み立てに多くの時間を要することが想定される。
国際公開第2003/022389号 国際公開第2016/143776号
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、メンテナンスまたは内部の洗浄のために、分解および再組み立てを簡便に行うことができる、多段式蒸発装置を提供することにある。
本発明は、蓋体、撹拌槽本体および揮発成分出口を備え、かつ内部に原料液が供給される、撹拌槽と、
該撹拌槽本体の外周に設けられておりかつ該撹拌槽本体の内壁を加熱する、ジャケットと、
該撹拌槽本体内で上下方向に並んで配置されておりかつ該撹拌槽本体の該内壁に原料液を流下する、少なくとも2つの散液部とを備える、多段式蒸発装置であって、
該撹拌槽が、
該撹拌槽本体の該内壁と該撹拌槽本体の底部とで囲まれておりかつ該流下した原料液を貯留する、下段貯留部と、
該下段貯留部の上方に設けられた少なくとも1つの上段貯留部であって、該撹拌槽本体の該内壁と環状部材とで囲まれており、かつ該流下した原料液を貯留する、上段貯留部と
を備え;
該散液部がそれぞれ、
回転軸と、
該回転軸の回転に伴って該下段貯留部に貯留された該原料液を該撹拌槽本体の下方から上方に向かって流動する流路を有しかつ該回転軸に装着されている、少なくとも1つの下段樋状部材と、
該回転軸の回転に伴って該上段貯留部に貯留された該原料液を該撹拌槽本体の下方から上方に向かって流動する流路を有しかつ該回転軸に装着されている、少なくとも1つの上段樋状部材と
から構成されており;そして
該環状部材が、環状底面部および該環状底面部の開口端から上方に向かって延びる筒状隔壁部を備え、かつ該撹拌槽から取り外し可能である、装置である。
1つの実施形態では、上記環状部材は、上記内壁から突出する係止部に係止されている。
さらなる実施形態では、上記撹拌槽本体の上記内壁は、内部が互いに連通した複数の円筒部の組み合わせから構成されており、そして該複数の円筒部は、該撹拌槽本体の上方から下方にかけて段階的に縮径した内径を有する。
さらなる実施形態では、上記撹拌槽本体の上記内壁は、内部が連通した1つの円筒部から構成されている。
1つの実施形態では、上記上段貯留部において、上記原料液は上記環状部材の上記筒状隔壁部を超えてオーバーフロー可能である。
本発明はまた、原料液を含む原料タンクと、
該原料タンクから供給される該原料液を処理する上記多段式蒸発装置と、
該多段式蒸発装置の揮発成分出口から排出される揮発成分を凝縮するコンデンサーと、
を備える、蒸発システムである。
本発明によれば、メンテナンスまたは撹拌槽内の洗浄を効率的に行うことができる。このため、蒸発操作を要する原料液の種類を簡便に切り替えることができる。これにより、例えば、多種の原料液についても、1つの多段式蒸発装置を用いて効率的に蒸発させることができる。
本発明の多段式蒸発装置の一例を模式的に示す断面図である。 図1に示す本発明の多段式蒸発装置を構成する環状部材を表す図であって、(a)は、図1に示す2つの上段貯留部のうち、上方の上段貯留部に配置される環状部材の斜視図であり、そして(b)は、図1に示す2つの上段貯留部のうち、下方の上段貯留部に配置される環状部材の斜視図である。 図2の(a)および(b)にそれぞれ示す2つの環状部材の大きさを比較するための、当該環状部材の断面図である。 図1に示す本発明の多段式蒸発装置を構成する撹拌槽の断面図である。 図1に示す本発明の多段式蒸発装置を構成する散液部の部分拡大図である。 図1に示す本発明の多段式蒸発装置を構成する散液円盤を表す図であって、(a)は、図1に示す3つの散液円盤のうち、最も上方に配置される散液円盤の斜視図であり、(b)図1に示す3つの散液円盤のうち、中段に配置される散液円盤の斜視図であり、そして(c)は、図1に示す3つの散液円盤のうち、最も下方に配置される散液円盤の斜視図である。 図1に示す本発明の多段式蒸発装置を分解した一例を説明するための、分解した多段式蒸発装置の断面図である。 本発明の多段式蒸発装置の他の例を模式的に示す断面図である。 図8に示す突起部材の拡大断面図であって、(a)は図8に示す上段の突起部材の拡大断面図であり、(b)は図8に示す下段の突起部材の拡大断面図である。 図8に示す撹拌槽本体110’の端面図である。 本発明の多段式蒸発装置を備える蒸発システムの一例を模式的に表す図である。
本発明の多段式蒸発装置を、添付の図面を参照して説明する。
図1は、本発明の多段式蒸発装置の一例を示す模式的に表す図である。図1に示される本発明の多段式蒸発装置100は、撹拌槽108とジャケット112と散液部120a,120b,120cとを備える。
撹拌槽108は、蓋体109、撹拌槽本体110および揮発成分出口113を備え、かつ内部に原料液が供給される密閉可能なタンクである。撹拌槽108は、撹拌槽本体110において、水溶液、スラリーなどの液体を収容して撹拌することができる。図1に示す実施形態では、揮発成分出口113は撹拌槽本体110の上方に配置された蓋体109の一部に設けられている。撹拌槽108内で原料液から蒸発した揮発成分は、この揮発成分出口113を通じて外部に排出され得る。
撹拌槽108を構成する撹拌槽本体110の大きさ(容量)は、多段式蒸発装置100の用途(供される原料液の種類)や、原料液の処理量などによって適宜設定され得るため、必ずしも限定されないが、例えば、0.1リットル~100,000リットルである。撹拌槽108(すなわち、蓋体109および撹拌槽本体110)を構成する材質は特に限定されないが、例えば、種々の原料液に対して安定であり、熱伝導性に優れ、かつ入手および加工が容易であるとの理由から、鉄、ステンレススチール、チタン、ハステロイまたは銅のような金属で構成されていることが好ましい。さらに、撹拌槽本体110の内壁111は、耐薬品性を高めるために、テフロン(登録商標)やゴムライニングのような当該分野において公知のコーティングが付与されていてもよい。
図1に示す多段式蒸発装置100において、撹拌槽108を構成する撹拌槽本体110はまた、内壁111から流下した原料液を一時的に貯留するための下段貯留部115と、下段貯留部115の上方に設けられた2つの上段貯留部117b,117cとを備える。
図1において、下段貯留部115は、撹拌槽108または撹拌槽本体110の最も下方に貯留した原料液によって占められ得る領域であって、撹拌槽本体110の内壁111と底部114とで取り囲まれておりかつ上方が開放されている領域をいう。
一方、図1において、上段貯留部117cは、内壁111を流下した後に撹拌槽本体110の最も上方に貯留した原料液によって占められ得る領域であって、撹拌槽本体110の内壁111と環状部材116cとで取り囲まれておりかつ上方が開放されている領域である。また、上段貯留部117bは、内壁111を流下した後に撹拌槽本体110内の下段貯留部115と上段貯留部117cとの間で貯留した原料液によって占められ得る領域であって、撹拌槽本体110の内壁111と環状部材116bとで取り囲まれておりかつ上方が開放されている領域である。
なお、図1では、下段貯留部115の上方には、2つの上段貯留部117b,117cが設けられた例について記載しているが、本発明は必ずしもこのような実施形態にのみ限定されるものではない。本発明においては、下段貯留部115の上方には少なくとも1つの上段貯留部(例えば、1段、2段、3段、または4段の上段貯留部)が設けられていてもよい。
図2は、図1に示す本発明の多段式蒸発装置を構成する環状部材の斜視図である。ここで、図2の(a)は、図1に示す上段貯留部117cに配置される環状部材116cの斜視図であり、そして(b)は、図1に示す上段貯留部117bに配置される環状部材116bの斜視図である。
図2の(a)および(b)に示すように、環状部材116c,116bは、それぞれ環状底面部118c,118bと、筒状隔壁部119c,119bとを備える。
環状底面部118c,118bはいずれも、中央に円形の開口端を有する円盤状部材であり、例えば、鉄、ステンレススチール、ハステロイ、チタンなどの金属およびこれらの組合せでなる材料から構成されている。筒状隔壁部119c,119bは、好ましくは内径が互いに異なる円筒状であり、環状底面部118c,118bの各開口端から上方に向かって延びるように配置されている。筒状隔壁部119c,119bもまた、例えば、鉄、ステンレススチール、ハステロイ、チタンなどの金属およびこれらの組合せのいずれかでなる材料から構成されている。
図3は、図2の(a)および(b)にそれぞれ示す環状部材116c,116bの断面図である。
図3において、環状部材116bは、環状部材116cよりも全体として小さいサイズとなるように設計されている。
本発明の1つの実施形態では、図3に示すように、環状部材116c,116bの開口端の中心線Lを一致させた場合、2つの環状部材116c,116bのうち、上方に配置される環状部材116cの中心線Lから環状底面部118cの外周部までの最短距離(環状底面部118cの半径)rc1は、下方に配置される環状部材116bの中心線Lから環状底面部118bの外周部までの最短距離(環状底面部118bの外周半径)rb1よりも長く(すなわち、rc1>rb1の関係を満たすように)設計されている。rc1およびrb1の各大きさがこのような関係を満たしていることにより、本発明において環状部材116c,116bを撹拌槽本体から容易に取り外すことが可能となる。
さらに、2つの環状部材116c,116bのうち、上方に配置される環状部材116cの中心線Lから筒状隔壁部119cの内周部までの最短距離(筒状隔壁部119cの開口半径)rc3は、下方に配置される環状部材116bの中心線Lから筒状隔壁部119bの外周部までの最短距離(筒状隔壁部119bの外周半径)rb2と同一またはそれよりも長く(すなわち、rc3≧rb2の関係を満たすように)設計されている。rc3およびrb2がこのような関係を満たす場合、環状部材116cにおける筒状隔壁部119cの内周部と環状部材116bにおける筒状隔壁部119bの外周部との間には、G≧0の関係を満たす間隙Gが形成される。当該Gがこのような関係を満たすことにより、(図1に示す上段貯留部117cに貯留した)原料液の液面が環状部材116cにおける筒状隔壁部119cの高さを超えてオーバーフローしたとしても、オーバーフローした原料液は、図1に示す下段貯留部115まで落下して貯留される前に、筒状隔壁部119bの外周側に落下するため、結果として図1に示す上段貯留部117cからオーバーフローした原料液は、上段貯留部117b内に容易に貯留され得る。
なお、上記に関わらず、rc3に対して、下方に配置される環状部材116bの中心線Lから筒状隔壁部119bの内周部までの最短距離(筒状隔壁部119cの開口半径)rb3が、rc3≧rb3の関係を満たす場合は、上記間隙GはG≦0となってもよい。
本発明の好ましい実施形態では、上記環状部材116b,116cは、撹拌槽本体の内壁から撹拌槽の中心軸方向に向かって突出する係止部によって係止される。
例えば、図1に示す本発明の多段式蒸発装置100に記載されるような撹拌槽108が採用される場合、撹拌槽108は、図4の断面図にて示すように、撹拌槽本体110の内部が互いに連通した複数の円筒部110a,110b,110cの組み合わせから構成されている。さらに、複数の円筒部110a,110b,110cは、撹拌槽本体110の上方から下方にかけて段階的に縮径した内径を有する。図4に示す撹拌槽本体110は、円筒部110a,110b,110cを一体的に組み合わせたもの、あるいは円筒部110a,110b,110cのそれぞれを分解可能に組み合わせたもののいずれであってもよい。
ここで、図4に示す撹拌槽本体110では、円筒部110aと円筒部110bとの間、ならびに円筒部110bと円筒部110cとの間に、円筒部110a,110b,110cの各内径の相違により生じた段差128a,128bが設けられている。段差128a,128bは、円筒部110b,110cのそれぞれの下端において、撹拌槽本体110の内壁111から撹拌槽本体110の中心軸方向に向かって突出している。そして、これらの段差128a,128bが係止部となって、図2に示すような環状部材116b,116cにおける環状底面部118b,118c(例えば、環状底面部118b,118cの外縁)をそれぞれ係止することができる。一方、このように係止によって、環状部材116b,116cは撹拌槽本体110の上端開口部(すなわち、撹拌槽108の上方)から容易に取り外すことができる。
再び図1を参照すると、多段式蒸発装置100における撹拌槽本体110の一部である蓋体109は、撹拌槽本体110の上端開口部を覆うことができ、かつ撹拌槽本体110から取り外すこともできる。蓋体109は、例えば、鉄、ステンレススチール、チタン、ハステロイまたは銅のような金属で構成されている。さらに、蓋体109の内側には、耐薬品性を高めるために、テフロン(登録商標)やゴムライニングのような当該分野において公知のコーティングが付与されていてもよい。
図1において、揮発成分出口113は、蓋体109の一部において撹拌槽108の軸方向に対して略直角となる方向に設けられているが、本発明はこれに限定されない。例えば、揮発成分出口はモーター140の配置を妨げない限りにおいて、蓋体109の上部に設けられていてもよい。あるいは、揮発性成分出口は、後述する散液部の機能に影響を及ぼさない限りにおいて、撹拌槽本体110の上方(例えば、撹拌槽本体110と蓋体109との連結部分近傍の撹拌槽本体110側)に設けられていてもよい。
ジャケット112は、撹拌槽本体110の外周に設けられており、撹拌槽本体110の内壁111を加熱することができる。ジャケット112は、例えば、内壁111の全面を加熱可能とするために、撹拌槽本体110の外側の側面全体を連続的または断続的に覆うように配置されていてもよい。あるいは、ジャケット112は、撹拌槽本体110の外側底面と外側の側面全体とを覆うように配置されていてもよい。ジャケット112の種類およびその形状は、内壁111の表面上に付与した原料液を蒸発可能な温度にまで加熱し得るものである限り、特に限定されない。このようなジャケット112には、当業者に公知の加熱手段(例えば、内部に蒸気や熱媒を導入することができる加熱媒体、ケーブルヒーター、ならびにそれらの組み合わせ)を採用することができる。
図1において、散液部120a,120b,120cは、回転軸121を共通して含むように構成されている。そして、散液部120a,120b,120cはまた、撹拌槽本体110内で回転軸121に対して上下方向に並んで配置されている。
回転軸121は、鉄、ステンレススチール、ハステロイ、チタンなどの剛性を有する金属で構成されたシャフトであり、例えば、円筒状または円柱状の形状を有する。回転軸121は、撹拌槽本体110内で、通常、鉛直方向に配置されている。回転軸121の太さは、必ずしも限定されないが、例えば、8mm~200mmである。回転軸121の長さは、使用する撹拌槽本体110の大きさ等によって変動し、当業者によって適切な長さが選択され得る。
回転軸121の上部は、蓋体109上に配置されたモーター140などの回転手段と接続されている。回転軸121の下部は、撹拌槽本体110の底部に接していてもよく、または接していなくてもよい。例えば、図1に示すように、回転軸121の下部が撹拌槽本体110の底部から一定の間隔をあけた位置に配置されていてもよい。
より詳細に説明すると、図1に示す散液部120aは、撹拌槽本体110内を軸方向に延びる回転軸121と、水平方向に延びかつ当該回転軸121に取り付けられている、取付具122aと、当該取付具122aの両端に取り付けられておりかつ回転軸121に対して所定の角度で傾斜する、2つの樋状部材123aとを備える。図1に示す散液部120bは、上記回転軸121と、水平方向に延びかつ当該回転軸121に取り付けられている、取付具122bと、当該取付具122bの両端に取り付けられておりかつ回転軸121に対して所定の角度で傾斜する、2つの樋状部材123bとを備える。図1に示す散液部120cは、上記回転軸121と、水平方向に延びかつ当該回転軸121に取り付けられている、取付具122cと、当該取付具122cの両端に取り付けられておりかつ回転軸121に対して所定の角度で傾斜する、2つの樋状部材123cとを備える。
図5は、図1に示す本発明の多段式蒸発装置を構成する散液部120aの部分拡大図である。
図5に示すように、散液部120aは、回転軸121の回転により、図1に示す下段貯留部115に収容された原料液を、樋状部材123aの長さ方向に沿って設けられた流路126aを通じて撹拌槽本体110の下方から上方に向かって流動させ、樋状部材123aの上端から撹拌槽本体の内壁に向かって散布することができる。
樋状部材123aは、取付具122aに対して所定の角度(取付傾斜角ともいう)θで当該樋状部材123aの下端が回転軸121側に近づくように傾斜して取付けられている。取付傾斜角θは、例えば、40°~89.5°である。取付傾斜角θが40°を下回ると、樋状部材123aの回転半径が大きくなるために、撹拌層本体が無用に大型化するおそれがある。取付傾斜角θが89.5°を上回ると、原料液を樋状部材123aの流路126aの下方から上方に流動させるための充分な遠心力を獲得するために、樋状部材123aをより高速で回転させることが必要となるおそれがある。
本発明において、樋状部材123aの流路126aは、例えば、半円筒状、半角筒状、V字状などの、いわゆるハーフパイプの形態を有していてもよく、あるいは、下端および上端がこのようなハープパイプの形態を有し、その間の中間部分が筒状(例えば、円筒状、角筒状)に加工されたものであってもよい。
樋状部材123aの大きさは、特に限定されないが、例えば、半円筒状の樋状部材が使用される場合、半円筒部分の直径は、例えば2mm~200mmである。下端から上端までの長さは、例えば40mm~8,000mmである。樋状部材123aは、例えば、鉄、ステンレススチール、ハステロイ、チタンなどの金属およびこれらの組合せのいずれかでなる材料から構成されている。
なお、上記では、図5に示す樋状部材123aについて説明したが、例えば図1に示す樋状部材123b,123cもまた同様にして設計されている。
本発明の蒸発装置において、1つの散液部に対して、例えば、複数の(すなわち、2つまたはそれ以上)、好ましくは2つ~8つ、より好ましくは2つ~6つの樋状部材が取り付けられている。本発明において、1つの散液部を構成するこれらの樋状部材は、回転軸の周りにそれぞれ略均等な角度となるように所定の間隔をおいて装着されていることが好ましい。
再び図1を参照すると、本発明の多段式蒸発装置100において、撹拌槽本体110内の散液部120a,120b,120cが、下段貯留部115および上段貯留部117b,117cに収容される液体(原料液)を汲み上げるために設定される好適な回転軸121の回転数(すなわち、散液部120a,120b,120cの回転数)は、使用する液体の粘性、撹拌槽本体110の大きさ、撹拌槽本体110内の液体の残量などによって異なるため、必ずしも限定されないが、例えば30rpm~500rpmである。
また、本発明の多段式蒸発装置100には、蓋体109の一部に、原料液供給口131を備えた供給パイプ130が配置されている。さらに、図1に示すように、蓋体109の下方には、原料液供給口131から吐出された原料液を一時的に貯留し、かつ所定量を超えた際にオーバーフロー可能な補助トレイ132が設けられている。
さらに、本発明の多段式蒸発装置100には、散液部120a,120b,120cのそれぞれの真上(より詳細には、散液部120aと環状部材116bとの間、散液部120bと環状部材116cとの間、および散液部120cと補助トレイ132との間)に、上方に段差を有する散液円盤150a,150b,150cが設けられていてもよい。散液円盤150a,150b,150cは、例えば、回転軸121に直接取り付けられており、回転軸121の回転に伴って一緒に回転することができる。
図6は、図1に示す本発明の多段式蒸発装置を構成する散液円盤150a,150b,150cの斜視図である。
散液円盤150a,150b,150cは、それぞれ円盤本体152a,152b,152c上に段差(厚み)S,S,Sを有する隆起部154a,154b,154cが設けられており、そして中央部分に開口部156a,156b,156cが穿設されている。
円盤本体152a,152b,152cは、略平坦な面を有する円盤の形態を有し、図1に示す撹拌槽本体110内の散液円盤150a,150b,150cの配置順序(図1の下方から上方)にしたがって、直径K3a,K3b,K3cがこの順番に大きくなる(すなわち、直径K3a>K3b>K3c)ように設計されている。さらに、本発明においては、円盤本体152aの直径K3aは、例えば図1に示す環状部材116bの開口部分の直径(内径)よりも大きく、円盤本体152bの直径K3bは、例えば図1に示す環状部材116cの開口部分の直径(内径)よりも大きく、そして円盤本体152cの直径K3cは、例えば図1に示す補助トレイ132の開口部分の直径(内径)よりも大きくなるように設計されている。
図6の(a)~(c)に示す散液円盤150a,150b,150cにおいて、隆起部154a,154b,154cはそれぞれ円盤上の形態を有し、図1に示す撹拌槽本体110内の散液円盤150a,150b,150cの配置順序(図1の下方から上方)にしたがって、直径K2a,K2b,K2cがこの順番に大きくなる(すなわち、直径K2a>K2b>K2c)ように設計されている。さらに、本発明においては、隆起部154aの直径K2aは、例えば図1に示す環状部材116bの開口部分の直径(内径)と同じまたはそれ未満の大きさを有し、隆起部154bの直径K2bは、例えば図1に示す環状部材116cの開口部分の直径(内径)と同じまたはそれ未満の大きさを有し、そして隆起部154cの直径K2cは、例えば図1に示す補助トレイ132の開口部分の直径(内径)と同じまたはそれ未満の大きさを有するように設計されている。これに対し、隆起部154a,154b,154cの厚み(段差)S,S,Sは特に限定されず、当業者によって任意の長さが選択され得る。
さらに、図6の(a)~(c)に示す散液円盤150a,150b,150cにおいて、開口部156a,156b,156cの開口径K1a,K1b,K1cは、図1に示す回転軸121の軸径に一致するように互いに同一(K1a=K1b=K1c)に設計されている。
図1に示す本発明の多段式蒸発装置100は、以下のようにして原料液から揮発成分を蒸発することができる。
まず、撹拌槽108の外部に取り付けられた原料タンク(図示せず)から供給された原料液が、供給パイプ130を通じて原料液供給口131から吐出され、補助トレイ132内に貯留される。そして、補助トレイ132に貯留された原料液がオーバーフローすると、オーバーフローした原料液は、一旦散液円盤150cに接触し、散液円盤150cの回転によって撹拌槽本体110の内壁111方向に散布される。これにより、当該原料液は、上段貯留部117cよりも下方に位置する貯留部(例えば、上段貯留部117bおよび/または下段貯留部115)に直接的に移動することなく、上段貯留部117c内に一層確実に貯留される。このとき、オーバーフローした原料液は、補助トレイ132からそのまま落下して上段貯留部117cに貯留されるか、あるいは補助トレイ132の下面から内壁111を伝って上段貯留部117cに貯留される。後者の場合では、オーバーフローした原料液に含まれる揮発成分の少なくとも一部が、上段貯留部117cに貯留されるまでの間にジャケット112から内壁111に付与された熱によって蒸発する。
上段貯留部117cに貯留された原料液は、モーター140および回転軸121の回転に伴って回転する散液部120c内の樋状部材123cの下端から汲み上げられ、そして回転軸121の回転に伴う遠心力を利用して流路126cを下方から上方に移動する。そして、原料液は、樋状部材123cの上端から内壁111に向かって散布され、原料液に含まれる揮発成分の少なくとも一部がジャケット112から内壁111に付与された熱によって蒸発し、残部はそのまま流下して再び上段貯留部117cに貯留される。これにより、原料液が、上段貯留部117c内、散液部120c内および内壁111上をこの順で繰り返し移動し、徐々に原料液に含まれる蒸発成分が蒸発する。
一方で、上段貯留部117cに貯留される原料液が増加して、環状部材116cに設けられた筒状隔壁部119cをオーバーフローすると、オーバーフローした原料液は、一旦散液円盤150bに接触し、散液円盤150bの回転によって撹拌槽本体110の内壁111方向に散布される。これにより、当該原料液は、上段貯留部117bよりも下方に位置する下段貯留部115に直接的に移動することなく、上段貯留部117b内に一層確実に貯留される。あるいは、オーバーフローした原料液は、上段貯留部117cの下面から内壁111を伝って上段貯留部117bに貯留される。後者の場合では、オーバーフローした原料液に含まれる揮発成分の少なくとも一部が、上段貯留部117bに貯留されるまでの間にジャケット112から内壁111に付与された熱によって蒸発する。
上段貯留部117bに貯留された原料液は、モーター140および回転軸121の回転に伴って回転する散液部120b内の樋状部材123bの下端から汲み上げられ、そして回転軸121の回転に伴う遠心力を利用して流路126bを下方から上方に移動する。そして、原料液は、樋状部材123bの上端から内壁111に向かって散布され、原料液に含まれる揮発成分の少なくとも一部がジャケット112から内壁111に付与された熱によって蒸発し、残部はそのまま流下して再び上段貯留部117bに貯留される。これにより、原料液は上段貯留部117b内、散液部120c内および内壁111上をこの順で繰り返し移動し、徐々に原料液に含まれる蒸発成分が蒸発する。
さらに、上段貯留部117bに貯留される原料液が増加して、環状部材116bに設けられた筒状隔壁部119bをオーバーフローすると、オーバーフローした原料液は、一旦散液円盤150aに接触し、散液円盤150aの回転によって撹拌槽本体110の内壁111方向に散布される。あるいは、オーバーフローした原料液は、上段貯留部117bの下面から内壁111を伝って下段貯留部115に貯留される。後者の場合では、オーバーフローした原料液に含まれる揮発成分の少なくとも一部が、下段貯留部115に貯留されるまでの間にジャケット112から内壁111に付与された熱によって蒸発する。
下段貯留部115に貯留された原料液は、モーター140および回転軸121の回転に伴って回転する散液部120a内の樋状部材123aの下端から汲み上げられ、そして回転軸121の回転に伴う遠心力を利用して流路126aを下方から上方に移動する。そして、原料液は、樋状部材123aの上端から内壁111に向かって散布され、原料液に含まれる揮発成分の少なくとも一部がジャケット112から内壁111に付与された熱によって蒸発し、残部はそのまま流下して再び下段貯留部115に貯留される。これにより、原料液は下段貯留部115内、散液部120c内および内壁111上をこの順で繰り返し移動し、徐々に原料液に含まれる蒸発成分が蒸発する。
本発明の多段式蒸発装置100では、撹拌槽本体110の底部(すなわち、下段貯留部115の底部)の中央部分に、撹拌槽本体110の内部において高さ方向に延びる隔壁部129が設けられていてもよい。下段貯留部115に貯留される原料液の液面が隔壁部129の上端を越えると、原料液はオーバーフローし、撹拌槽本体110の底部に設けられた廃液排出口133から図示しない管を通じて外部に排出される。
なお、内壁111で蒸発した蒸発成分は、撹拌層本体110の上方に移動し、蓋体109に設けられた揮発成分出口113から排出される。
このように、図1に示す本発明の多段式蒸発装置100では、下段貯留部115および上段貯留部117b,117cのそれぞれに貯留した原料液が、散液部120a,120b,120cの回転を通じて撹拌層本体110の内壁111に散布され、蒸発成分の蒸発を効率的に促すことができる。
また、本発明の蒸発装置によれば、運転を停止する場合、撹拌槽内に原料液が収容されている限り、原料液の循環を行うことができ、内壁の温度がある程度低下するまで当該循環を行うことにより、撹拌槽の内壁における焼き付きを回避することができる。この点で、撹拌槽内の内壁を「ワンパス」による1回の流下で通過させる従来の蒸発装置と比較して、撹拌槽の冷却の際の所望でない原料液の使用量を低減することができる。
さらに、本発明の多段式蒸発装置は、清掃や部品交換のためのメンテナンス作業も容易に行うことができる。
図7は、図1に示す本発明の多段式蒸発装置を分解した一例を説明するための、分解した多段式蒸発装置の断面図である。
図7に示すように、多段式蒸発装置100の分解は、例えば、蓋体109を取り外した後、撹拌槽本体110から、回転軸121とともに散液部120a,120b,120c、補助トレイ132、環状部材116b,116c、および散液円盤150a,150b,150cを一緒に取り出すことができる。
なお、この取り出しにおいて、散液円盤150a,150b,150cのそれぞれに設けられた段差が補助トレイ132および環状部材116b,116cの開口部分に嵌合可能である。このため、より円滑にこれら部品の取り出しを行うことができる。その結果、撹拌槽本体110内の清掃もより簡便に行うことができる。また、取り出した回転軸121、散液部120a,120b,120c、補助トレイ132、および環状部材116b,116cの清掃や部品交換も簡便に行うことができる。
一方、撹拌槽本体110に、回転軸121とともに散液部120a,120b,120c、補助トレイ132、環状部材116b,116c、および散液円盤150a,150b,150cを取り付ける際、散液円盤150a,150b,150cのそれぞれに設けられた段差を予め補助トレイ132および環状部材116b,116cの開口部分に嵌合させておくことにより、これらの部品は安定し、より円滑に撹拌槽本体110に挿入することができる。
図8は、本発明の多段式蒸発装置の他の例を模式的に示す断面図である。なお、図8において、図1と共通する構成には同一の符号が付されている。
図8に示す多段式蒸発装置200は、撹拌槽108’とジャケット112と散液部120a,120b,120cとを備える。また、撹拌槽108’は、蓋体109と撹拌槽本体110’とを備え、撹拌槽本体110’は、内壁111’の内部が連通した1つの円筒部から構成されている。撹拌槽本体110’の内部には、環状部材116b,116cをそれぞれ係止可能な突起部材202,204が設けられている。
図9は、図8に示す突起部材202,204の拡大断面図である。
図9の(a)は、図8の(a)で示される破線で囲まれた部分の拡大断面図である。図9の(a)に示すように、上段に設けられた突起部材202は、撹拌槽本体の内壁111’から突出した、例えばOリング状の部材である。あるいは、Oリング状の形態に代えて、複数の突起物が内壁111’の内周に不連続に設けられ、突起部材202を構成していてもよい。そして、突起部材202の上に、環状部材116cが配置される。貯留する原料液の漏液を防ぐために、環状部材116cの端部は撹拌槽本体の内壁111’と略接触していることが好ましい。
これに対し、図9の(b)は、図8の(b)で示される破線で囲まれた部分の拡大断面図である。図9の(b)に示すように、下段に設けられた突起部材204は、上記突起部材202と略同様の形状および/または大きさに設計された第1突起部206と、当該第1突起部206の下方に接触して設けられた第2突起部208とから構成されている。第2突起部208は、撹拌槽本体の内壁111’から突出した、例えばOリング状の部材である。ここで、第2突起部208は、内壁111’の中心方向に向かって第1突起部206よりも長く設計されている。そして、第2突起部208の上に、環状部材116bが配置されている。さらに、貯留する原料液の漏液を防ぐために、環状部材116bの端部は第1突起部206の内周と略接触していることが好ましい。なお、図9の(b)では、突起部材204は、第1突起部206と第2突起部208の2つの部材から構成されていることが示されているが、本発明は当該構成にのみ限定されるものではない。第1突起部および第2突起部に相当するものが一体となって設けられていてもよい。
図10は、図8に示す撹拌槽本体110’の端面図である。
撹拌槽本体110’内で上段に設けられる突起部材202の内径Dは、図8に示す散液部120b、環状部材116b、および散液部120aのすべてを通過し得る大きさに設計されている。また、撹拌槽本体110’内で下段に設けられる突起部材204を構成する第2突起部208の内径Dは、図8に示す120aを通過し得る大きさに設計されている。内径DおよびDが当該大きさを満たすように設計されていることにより、図8に示す多段式蒸発装置200の分解は容易となり、例えば、蓋体109を取り外した後、撹拌槽本体110’から、回転軸121とともに散液部120a,120b,120c、補助トレイ132、および環状部材116b,116cを一緒に取り出すことができる。
図11は、上記本発明の多段式蒸発装置を備える蒸発システムの一例を模式的に表す図である。
本発明の蒸発システム900は、原料となる原料液を含む原料タンク910と、本発明の多段式蒸発装置100と真空ポンプ920とコンデンサー930とを備える。
原料液は、ポンプ902の駆動により、原料タンク910から管904を通って予熱器906で一旦予熱され、多段式蒸発装置100に送給される。多段式蒸留装置100は、例えば、管905から供給されるスチーム(STM)により加熱される。多段式蒸発装置100にて蒸発した揮発成分は、多段式蒸発装置100の揮発成分出口から管907を通ってコンデンサー930に供給され、コンデンサー930にて冷却後、液化される。一方、多段式蒸発装置100の下段貯留部の残留物(原料液の濃縮物)は、必要に応じて管908から外部に排出される。
本発明の多段式蒸発装置は、例えば、不純物を含有する液体たとえばメチルエステル、乳酸、魚油、油脂、グリセリンなどの精製および濃縮;インク、塗料、化学品などの化学製品に含まれる水、エタノール、メチルエチルケトン(MEK)、N-メチルピロリドン(NMP)、ヘキサン、トルエン、アセトン、エチレングリコールなどの除去;塗料および樹脂製造分野に使用するモノマーおよびポリマーなどから揮発性の不純物の除去;において有用である。
100,200 多段式蒸発装置
108,108’ 撹拌槽
109 蓋体
110,110’ 撹拌槽本体
110a,110b,110c 円筒部
111,111’ 内壁
112 ジャケット
113 揮発成分出口
114 底部
115 下段貯留部
116b,116c 環状部材
117b,117c 上段貯留部
118b,118c 環状底面部
119b,119c 筒状隔壁部
120a,120b,120c 散液部
121 回転軸
122a,122b,122c 取付具
123a,123b,123c 樋状部材
126a,126b,126c 流路
128a,128b 段差
129 隔壁部
130 供給パイプ
131 原料液供給口
132 補助トレイ
133 廃液排出口
140 モーター
150a,150b,150c 散液円盤
152a,152b,152c 円盤本体
154a,154b,154c 隆起部
156a,156b,156c 開口部
202,204 突起部材
206 第1突起部
208 第2突起部
900 蒸発システム
910 原料タンク
920 真空ポンプ
930 コンデンサー

Claims (4)

  1. 蓋体、撹拌槽本体および揮発成分出口を備え、かつ内部に原料液が供給される、撹拌槽と、
    該撹拌槽本体の外周に設けられておりかつ該撹拌槽本体の内壁を加熱する、ジャケットと、
    該撹拌槽本体内で上下方向に並んで配置されておりかつ該撹拌槽本体の該内壁に原料液を流下する、少なくとも2つの散液部とを備える、多段式蒸発装置であって、
    該撹拌槽が、
    該撹拌槽本体の該内壁と該撹拌槽本体の底部とで囲まれておりかつ該流下した原料液を貯留する、下段貯留部と、
    該下段貯留部の上方に設けられた少なくとも1つの上段貯留部であって、該撹拌槽本体の該内壁と環状部材とで囲まれており、かつ該流下した原料液を貯留する、上段貯留部と
    を備え;
    該散液部がそれぞれ、
    1本の回転軸と、
    該回転軸の回転に伴って該下段貯留部に貯留された該原料液を該撹拌槽本体の下方から上方に向かって流動する流路を有しかつ該回転軸に装着されている、少なくとも1つの下段樋状部材と、
    該回転軸の回転に伴って該上段貯留部に貯留された該原料液を該撹拌槽本体の下方から上方に向かって流動する流路を有しかつ該回転軸に装着されている、少なくとも1つの上段樋状部材と
    から構成されており
    該環状部材が、環状底面部および該環状底面部の開口端から上方に向かって延びる筒状隔壁部を備え該撹拌槽から取り外し可能であり、かつ該内壁から突出する係止部に係止されており;そして
    該撹拌槽本体の該内壁が、内部が互いに連通した複数の円筒部の組み合わせから構成されており、そして該複数の円筒部が、該撹拌槽本体の上方から下方にかけて段階的に縮径した内径を有する、装置。
  2. 前記撹拌槽本体の前記内壁が、内部が連通した1つの円筒部から構成されている、請求項に記載の多段式蒸発装置。
  3. 前記上段貯留部において、前記原料液が前記環状部材の前記筒状隔壁部を超えてオーバーフロー可能である、請求項1または2に記載の多段式蒸発装置。
  4. 原料液を含む原料タンクと、
    該原料タンクから供給される該原料液を処理する請求項1からのいずれかに記載の多段式蒸発装置と、
    該多段式蒸発装置の揮発成分出口から排出される揮発成分を凝縮するコンデンサーと、
    を備える、蒸発システム。
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