JP4157804B2 - 溶剤回収装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば半導体や液晶機器、電子機器等の被洗浄物を洗浄処理するときに使用された汚液(廃液を含む)から溶剤を分離回収する作業に用いられる溶剤回収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例のような溶剤を回収する装置としては、例えば平板ジャケット内を通って余熱された廃液を、廃液に含まれる溶剤が蒸発気化する温度にヒータで加熱された蒸発傾斜底板の上流側斜面に吐出し、蒸発傾斜底板の斜面及び底板に立設した複数の蛇行用案内壁に沿って流下する廃液を沸点まで加熱して蒸発気化する。その蒸発気化した溶剤の蒸気を、蒸発傾斜底板上方に架設した天板及び平板ジャケットに接触させて熱交換により凝縮液化し、その凝縮液化された溶剤を回収樋に滴下して回収する特許文献1の溶剤回収装置がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−262403号公報。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の溶剤回収装置は、洗浄処理に使用された廃液を、蒸発傾斜底板の斜面及び蛇行用案内壁に沿って上流側から下流側に向けて自重流下させながら蒸発気化するので、廃液全体に含まれる溶剤を分離回収するのに時間が掛かるだけでなく、蒸発傾斜底板の熱が蛇行用案内壁から放熱されるため、廃液に含まれる溶剤を蒸発気化するのに適した一定の温度に保つことが難しい。且つ、回収樋に滴下される廃液中に溶剤が残留する場合、上述の回収処理を再度実行する必要があるが、回収樋から蒸発傾斜底板に供給する途中において、廃液の温度が低下するため、蒸発傾斜底板に沿って流下する廃液を、溶剤が蒸発気化する温度にヒータで再加熱しなければならず、処理能力が低く、熱損失が大きいため、回収コストが高くなる。且つ、回収樋に滴下された廃液を、平板ジャケット及び蒸発傾斜底板に循環供給する場合、例えばポンプやバルブ、供給路等の供給装置を設けなければならず、装置全体の構成及び構造が複雑となるため、製作費が高価になるという問題点を有している。
【0005】
この発明は上記問題に鑑み、汚液貯溜槽に貯溜された汚液を液面に露出するスクリューの螺旋羽根に連続して乗り上げさせ、薄膜状に展開した汚液を溶剤の沸点に近く該沸点よりも低い温度の熱で連続的に加熱することにより、洗浄処理に使用された汚液中に含まれる略全ての溶剤を効率よく且つ短い時間で分離回収することができる溶剤回収装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、洗浄処理に使用された油分と溶剤とが混合する汚液を貯溜する汚液貯溜槽上部と、溶剤の蒸気を凝縮液化して貯溜する溶剤貯溜槽上部とを回収路で接続し、上記汚液貯溜槽に貯溜された汚液を液面に向けて移送する螺旋羽根が形成され、該汚液を液面に向けて移送する方向に回転するスクリューと、上記汚液貯溜槽の外面に沿って形成され、該汚液貯溜槽に貯溜された汚液に対して該汚液中に含まれる溶剤を蒸発気化する温度の熱を伝導するための加熱媒体が貯溜された加熱部と、上記加熱部に貯溜された加熱媒体を上記汚液貯溜槽に貯溜された汚液中に含まれる溶剤が蒸発気化する沸点に近く該沸点よりも低い温度に加熱するための加熱ヒータと、上記溶剤貯溜槽に供給される溶剤の蒸気が凝縮液化する温度に該溶剤の蒸気を冷却する蒸気冷却手段とを備え、上記スクリューの螺旋羽根に凹凸を形成して表面積を大きくした溶剤回収装置であることを特徴とする。
【0007】
上述の汚液は、例えば約40%の油分と、約60%の溶剤が含まれる混合液、或いは、約40%以下及び約40%以上の油分、約60%以下及び約60%以上の溶剤が含まれる混合液等で構成される。また、溶剤は、例えばジクロロメタンやトリクロロエチレン、パークロロエチレン、HCFC(141b又は225)などの塩素系溶剤、或いは、HFCやHFEなどの不活性有機系溶剤等で構成される。また、スクリューの螺旋羽根に、例えば略凹凸を形成すれば、表面積が大きくなり、薄膜蒸留が効率よく行える。また、汚液加熱手段は、例えばオイルに蓄熱された熱で間接的に加熱する加熱部(オイルヒータ)、或いは、バンドヒータ、電熱ヒータ等で構成される。また、蒸気冷却手段は、例えば溶剤の蒸気が凝縮液化する温度に冷却する冷却コイル、冷却パネル、或いは、冷却ガスや冷気を吹き付けて冷却する冷却装置等で構成される。
【0008】
つまり、汚液貯溜槽に貯溜された油分と溶剤とが混合する汚液をスクリューの回転力により液面に向けて移送すると共に、汚液貯溜槽外面の加熱部に貯溜された加熱媒体を、加熱ヒータにより汚液貯溜槽に貯溜された汚液中に含まれる溶剤が蒸発気化する沸点に近く該沸点よりも低い温度に加熱する。加熱部の加熱媒体に蓄熱された熱を、汚液貯溜槽に貯溜された汚液に伝導する。且つ、液面に移送される汚液を、スクリューの螺旋羽根に連続して乗り上げさせながら円周方向及び径方向に向けてゆっくりと流動させ、薄膜状に展開された汚液中の溶剤を、加熱部の加熱媒体から汚液自体及び汚液貯溜槽及び螺旋羽根に蓄熱且つ伝導される溶剤の沸点に近く該沸点よりも低い温度の熱で連続的に加熱して蒸発気化させる。且つ、回収路を介して、汚液貯溜槽から溶剤貯溜槽に向けて流入及び供給される溶剤の蒸気を蒸気冷却手段で凝縮液化し、その凝縮液化された再生溶剤を溶剤貯溜槽内部に貯溜し、洗浄処理に再利用する。
【0009】
実施の形態として、上記スクリューの螺旋羽根を、ステンレスで構成し、上記汚液中に含まれる塩素系溶剤或いは不活性有機系溶剤などの溶剤を蒸発気化する温度の熱が蓄熱される厚みに形成することができる。且つ、螺旋羽根の厚みを、汚液に応じて所望する厚みに変更することも含まれる。
【0012】
また、上記スクリューの螺旋羽根を、5度〜15度の範囲に含まれる角度に傾斜することができる。且つ、螺旋羽根の角度を、例えば5度以下及び15度以上の角度に変更することも含まれる。
【0014】
【作用及び効果】
この発明によれば、汚液貯溜槽に貯溜された汚液を液面に露出するスクリューの螺旋羽根に連続して乗り上げさせながら、その螺旋羽根に沿って薄膜状に展開された汚液を、汚液貯溜槽及び螺旋羽根に蓄熱且つ伝導される溶剤の沸点に近く該沸点よりも低い温度の熱で連続的に加熱するので、汚液中に含まれる溶剤のみが確実に蒸発気化され、汚液中に含まれる略全ての溶剤を効率よく且つ短い時間で分離回収することができ、回収率及び処理能力が向上する。
【0015】
且つ、汚液全体を汚液貯溜槽に貯溜したまま処理するので、汚液中に含まれる溶剤を蒸発気化するのに適した一定の温度に保つことができ、環境に影響を与えるような物質が発生しにくく、作業に適した環境を保つことができると共に、処理時の温度変化及び熱損失が少なく、溶剤Cを分離回収する作業が安定して行える。且つ、汚液を循環供給する装置を設ける必要が無く、構成及び構造を簡素化して、小型化及び製作コストの低減を図ることができる。
【0016】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は、洗浄処理に使用された汚液中(廃液を含む)に含まれる溶剤を分離回収する作業に用いられる薄膜蒸留型の溶剤回収装置を示し、図1及び図2、図3に於いて、この溶剤回収装置10は、洗浄処理に使用された汚液A(例えば約40%の油分Bと、約60%の溶剤Cが含まれる混合液)を貯溜する密閉型の汚液貯溜槽20と、汚液Aから分離された溶剤C(例えば塩素系溶剤や不活性有機系溶剤等)の蒸気Caを凝縮液化する密閉型の溶剤貯溜槽30とを、後述する冷凍機(図示省略)が内蔵された設置台40に搭載し、例えばキャスター等の走行輪41…を設置台40の底面側四隅部に取り付けて走行移動可能に設けている。
【0017】
上述の汚液貯溜槽20は、上方から見て略正方形状の貯溜槽20aを、洗浄処理に使用された汚液Aを所定量貯溜するのに適した大きさ(容積を含む)に形成し、貯溜槽20a内部に貯溜された汚液Aを液面に向けて移送する略螺旋状のスクリュー21を、貯溜槽20aの上端側開口部に嵌合する蓋部20bの略下面側中心部に略垂直軸受し、貯溜槽20a底部に近接又は到達する長さに垂設すると共に、蓋部20b上面に設けた減速機付きモータ22(例えばパルスモータ)をスクリュー21の回転軸21bに直結している。
【0018】
つまり、スクリュー21を、モータ22の駆動力により、貯溜槽20aに貯溜された汚液Aが上方の液面に向けて移送される方向に回転(例えば1分間に略15回〜略25回の範囲に含まれるようなゆっくりとした回転速度、好ましくは略20回転)すると共に、その汚液Aの液面に露出するスクリュー21の螺旋羽根21aに沿って汚液Aの薄膜が略均一に形成されるような速度でゆっくりと低速回転する。また、スクリュー21の回転速度を、例えば略15回以下及び略25回以上の回転速度に変更してもよい。
【0019】
上述のスクリュー21は、図4、図5にも示すように、回転軸21bの外周面に沿って螺旋方向に形成した螺旋羽根21aを、貯溜槽20aに貯溜された汚液Aが上方の液面に向けてゆっくりと移送されるようなピッチ間隔Pに形成すると共に、螺旋羽根21aの傾斜角度θを、例えば略5度〜略15度の範囲に含まれる角度、つまり、汚液Aの液面に露出する螺旋羽根21aの斜面に沿って溶剤Cの薄膜が略均一に形成されるような角度に傾斜している。なお、螺旋羽根21aの傾斜角度θを、例えば略5度以下及び略15度以上の角度に変更してもよい。また、螺旋羽根21aに、例えば略凹凸や略波形、略鋸歯状等に形成してもよく、表面積が大きくなり、薄膜蒸留が効率よく行える。また、螺旋羽根21aを、螺旋方向に対して部分的に分割形成してもよい。
【0020】
且つ、貯溜槽20aの両側部及び後面部、底面部及びスクリュー21の螺旋羽根21aを、加熱部23から伝導される熱を蓄熱するのに適した蓄熱率の高い材質(例えばステンレスやその他の蓄熱金属等)で形成し、汚液A中に含まれる溶剤Cを蒸発気化するのに適した温度の熱が蓄熱及び温度が維持される厚みWに形成している。また、螺旋羽根21aのピッチ間隔P及び厚みWを、汚液Aに応じて所望するピッチ間隔P及び厚みWに変更してもよい。
【0021】
且つ、貯溜槽20aに貯溜された汚液Aを、溶剤Cの沸点に近い低い温度で間接的に加熱する上方から見て略コ字状の加熱部23(オイルヒータ)を、貯溜槽20aの正面部(窓部側)を除いて、両側部及び後面部、底面部の外面に沿って形成すると共に、汚液A中に含まれる溶剤Cを蒸発気化するのに適した沸点に近い低い温度の熱を伝導及び伝達するオイルDを、加熱部23に形成した加熱槽23a内部に所定量貯溜している。
【0022】
且つ、加熱槽23aに貯溜されたオイルDを加熱する加熱ヒータ24を、加熱槽23a内部の下部貯溜領域に配設し、そのオイルDが一時貯溜される貯溜タンク25を加熱槽23a上部に接続して、貯溜タンク25に貯溜されたオイルDを加熱槽23a内部に定期的に補充及び供給するか、オイルD全体を交換する。また、オイルDの代わりに、例えば水や混合液等の流体、その他の蓄熱性及び熱伝導性の良い加熱媒体を用いてもよい。
【0023】
上述の加熱ヒータ24は、例えばオイルや水等の加熱媒体を所定温度に加熱して循環供給する加熱機(図示省略)に接続され、加熱部23の加熱槽23a内部に貯溜されたオイルDを、汚液貯溜槽20に貯溜された汚液A中に含まれる溶剤Cを蒸発気化するのに適した温度に加熱する。また、加熱部23の代わりに、例えばバンドヒータや電熱ヒータ等で加熱することも可能である。
【0024】
且つ、汚液貯溜槽20内部に貯溜される汚液Aの貯溜量を槽外部から目視可能な窓部26(図3参照)を、汚液貯溜槽20の正面部に対して汚液Aの漏洩が防止されるように水密状態に設け、その汚液Aが一時貯溜される貯溜タンク27を汚液貯溜槽20内部の上部蒸気空間に接続している。つまり、汚液Aの貯溜量を窓部26から目視確認して、貯溜タンク27に貯溜された汚液Aを全量供給するか、所望量補充するか判断する。例えば先に貯溜された汚液A全体の処理が完了した後、貯溜タンク27に貯溜された未処理の汚液Aを汚液貯溜槽20に全量供給するか、先に貯溜された汚液Aの処理途中において、未処理の汚液Aを所望量補充する。
【0025】
前述の溶剤貯溜槽30は、上方から見て略正方形状の貯溜槽30を、汚液Aから分離される略全ての溶剤Cを貯溜するのに適した大きさ(容積を含む)及び形状に形成し、貯溜槽30の上部蒸気空間に供給される溶剤Cの蒸気Caを凝縮液化する冷却コイル31を、貯溜槽30内部の上部蒸気空間に供給される溶剤Cの蒸気Caと、貯溜槽30の下部貯溜領域に貯溜される溶剤Cと略接触する大きさ及び部分に設けている。また、冷却コイル31を、貯溜槽30の内壁面に沿って設けてもよい。
【0026】
上述の冷却コイル31は、例えばガスや液体等の冷却媒体(図示省略)を所定温度に冷却して供給する冷凍機35に接続され、貯溜槽30の上部蒸気空間に供給される溶剤Cの蒸気Caを、液状の溶剤Cに凝縮液化するのに適した温度(例えば溶剤Cの沸点よりも低い温度)に冷却する。また、溶剤Cの種類や沸点等に応じて冷却温度を変更及び設定してもよい。
【0027】
且つ、貯溜槽30に貯溜された再生溶剤Cを排出するバルブ付き排出口32を、貯溜槽30内部の下部貯溜領域(底部)と連通して設け、貯溜槽30に貯溜される溶剤Cの貯液量を槽外部から目視可能な液量計33を槽外面に設けている。また、液量計33の代わりに、例えば貯溜槽30内部に貯溜される溶剤Cの貯液量を槽外部から目視可能な窓部を設けてもよい。
【0028】
且つ、汚液貯溜槽20内部の上部蒸気空間と、溶剤貯溜槽30内部の上部蒸気空間とを回収路34で接続している。つまり、汚液A中に含まれる溶剤Cを汚液貯溜槽20内部で蒸発気化すると、汚液貯溜槽20内部の気圧(温度)が高くなり、溶剤Cの蒸気Caを溶剤貯溜槽30内部で凝縮液化すると、溶剤貯溜槽30内部の気圧が低くなるため、汚液貯溜槽20内部と溶剤貯溜槽30内部との間に生じる気圧差(温度差を含む)を利用して、汚液貯溜槽20内部の上部蒸気空間に放出される溶剤Cの蒸気Caを、回収路34を介して、汚液貯溜槽20内部の上部蒸気空間から溶剤貯溜槽30内部の上部蒸気空間に向けて自然に流入及び供給することができる。また、溶剤Cの蒸気Caを、例えばブロワーやポンプ等の供給手段で強制的に供給することも可能である。
【0029】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、溶剤回収装置10により洗浄処理に使用された汚液A中に含まれる溶剤Cを薄膜蒸留作用により分離回収する方法を説明する。
【0030】
先ず、図1、図2に示すように、洗浄処理に使用された汚液A(例えば約40%の油分Bと、約60%の溶剤Cが含まれる混合液)を貯溜タンク27に一時貯溜して、汚液Aを、貯溜タンク27から供給される汚液貯溜槽20に供給する。また、汚液Aを汚液貯溜槽20に直接供給してもよい。
【0031】
次に、汚液貯溜槽20に貯溜された汚液A全体を、加熱部23から伝導される熱で汚液A中に含まれる溶剤Cが蒸発気化する温度に加熱し、汚液貯溜槽20内部に軸受されたスクリュー21を、汚液A全体が液面に向けて移送される方向に回転すると共に、液面上に露出する螺旋羽根21aの斜面に沿って汚液Aの薄膜が略均一に形成されるような速度でゆっくりと低速回転する。
【0032】
つまり、図3、図5にも示すように、液面に移送される汚液Aを、液面上に露出する螺旋羽根21aの斜面に連続して乗り上げさせながら円周方向及び径方向に向けてゆっくりと流動させ、汚液Aの薄膜を螺旋羽根21aの斜面に沿って略均一に形成すると共に、薄膜状に展開された汚液A中に含まれる溶剤Cを、汚液A自体及び汚液貯溜槽20及び螺旋羽根21aに蓄熱且つ伝導される溶剤Cの沸点に近い低い温度の熱で連続的に加熱して蒸発気化させ、その溶剤Cの蒸気Caを汚液貯溜槽20内部の上部蒸気空間に効率よく放出する。
【0033】
且つ、汚液貯溜槽20内部の上部蒸気空間と、溶剤貯溜槽30内部の上部蒸気空間との間に生じる気圧差を利用して、溶剤Cの蒸気Caを、回収路34を介して、汚液貯溜槽20内部の上部蒸気空間から溶剤貯溜槽30内部の上部蒸気空間に向けて自然に流入及び供給するので、例えばブロワーやポンプ等で強制的に供給する必要がない。
【0034】
一方、図6に示すように、溶剤貯溜槽30内部の上部蒸気空間に流入及び供給される溶剤Cの蒸気Caを、冷却コイル31自体の冷却作用により直接的に凝縮液化するか、その冷却作用で冷却された溶剤貯溜槽30の内壁面により間接的に凝縮液化する等して、その凝縮液化される液状の再生溶剤Cを、溶剤貯溜槽30内部の下部貯溜領域に滴下及び流下させて貯溜するので、例えば略99%以上の純度を有する溶剤Cを回収することができる。
【0035】
且つ、溶剤貯溜槽30内部に貯溜される再生溶剤Cの貯溜量を液量計33で目視確認し、所定量又は所望量の再生溶剤Cが貯溜された場合、溶剤貯溜槽30の排出口32から排出される再生溶剤Cを貯溜容器(図示省略)に貯溜して洗浄装置(図示省略)まで運搬するか、洗浄装置の洗浄槽(図示省略)に直接供給する等して再利用する。
【0036】
なお、汚液A中に含まれる略全ての溶剤Cを分離回収した場合、汚液貯溜槽20内部の下部貯溜領域に油分Bが残留しても、スクリュー21の回転に何ら支障が無く、続いて供給される汚液Aの処理が継続して行える。なお、汚液貯溜槽20内部は定期的に清掃する。
【0037】
以上のように、汚液貯溜槽20に貯溜された汚液Aを液面に露出するスクリュー21の螺旋羽根21aに連続して乗り上げさせながら、その螺旋羽根21aの斜面に沿って薄膜状に展開された汚液Aを、汚液A自体及び汚液貯溜槽20及び螺旋羽根21aに蓄熱且つ伝導される溶剤Cの沸点に近い低い温度の熱で連続的に加熱するので、汚液A中に含まれる溶剤Cのみが確実に蒸発気化され、所定量(例えば略20リッター)の汚液Aを略1時間30分程の短い時間で処理することができると共に、汚液A中に含まれる略全ての溶剤Cを効率よく且つ短い時間で分離回収することができ、回収率及び処理能力が向上する。
【0038】
且つ、汚液A全体を汚液貯溜槽20に貯溜したまま処理するので、汚液A中に含まれる溶剤Cを蒸発気化するのに適した一定の温度に保つことができ、環境に影響を与えるような物質が発生しにくく、作業に適した環境を保つことができると共に、処理時の温度変化及び熱損失が少なく、溶剤Cを分離回収する作業が安定して行える。且つ、汚液Aを循環供給する装置を設ける必要が無く、構成及び構造を簡素化して、小型化及び製作コストの低減を図ることができる。
【0039】
且つ、スクリュー21をモータ22でゆっくりと回転させ、汚液A中に含まれる溶剤Cを蓄熱及び伝導される熱を利用して蒸発気化させるので、装置全体を運転するときに要する電力が小さく、家庭用電源から供給される電力(例えば100Vや200V等)で運転することができるため、消費電力が少なく、経済的である。なお、工業用電源から供給される電力で運転することも可能である。
【0040】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の汚液加熱手段は、実施例の加熱部23に対応し、
以下同様に、
蒸気冷却手段は、冷却コイル31に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0041】
実施例の汚液貯溜槽20及び溶剤貯溜槽30を、例えば略矩形状や略円筒形状等の形状に形成してもよい。また、本発明の汚液回収装置10は、例えば約40%以下及び約40%以上の油分Bと、約60%以下及び約60%以上の溶剤Cとが含まれる汚液Aを処理する作業にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 溶剤回収装置による溶剤の分離回収方法を示す正面図。
【図2】 汚液貯溜槽における溶剤の分離方法を示す側面図。
【図3】 汚液貯溜槽における溶剤の分離方法を示す横断平面図。
【図4】 スクリューに形成した螺旋羽根の傾斜及び角度を示す側面図。
【図5】 スクリューによる汚液の薄膜蒸留方法を示す拡大側面図。
【図6】 汚液中に含まれる略全ての溶剤を分離した状態を示す正面図。
【符号の説明】
A…汚液
B…油分
C…溶剤
Ca…蒸気
10…溶剤回収装置
20…汚液貯溜槽
21…スクリュー
21a…螺旋羽根
22…モータ
23…加熱部
30…溶剤貯溜槽
31…冷却コイル
32…排出口
34…回収路
Claims (3)
- 洗浄処理に使用された油分と溶剤とが混合する汚液を貯溜する汚液貯溜槽上部と、溶剤の蒸気を凝縮液化して貯溜する溶剤貯溜槽上部とを回収路で接続し、
上記汚液貯溜槽に貯溜された汚液を液面に向けて移送する螺旋羽根が形成され、該汚液を液面に向けて移送する方向に回転するスクリューと、
上記汚液貯溜槽の外面に沿って形成され、該汚液貯溜槽に貯溜された汚液に対して該汚液中に含まれる溶剤を蒸発気化する温度の熱を伝導するための加熱媒体が貯溜された加熱部と、
上記加熱部に貯溜された加熱媒体を上記汚液貯溜槽に貯溜された汚液中に含まれる溶剤が蒸発気化する沸点に近く該沸点よりも低い温度に加熱するための加熱ヒータと、
上記溶剤貯溜槽に供給される溶剤の蒸気が凝縮液化する温度に該溶剤の蒸気を冷却する蒸気冷却手段とを備え、
上記スクリューの螺旋羽根に凹凸を形成して表面積を大きくした
溶剤回収装置。 - 上記スクリューの螺旋羽根を、
ステンレスで構成し、
上記汚液中に含まれる塩素系溶剤或いは不活性有機系溶剤などの溶剤を蒸発気化する温度の熱が蓄熱される厚みに形成した
請求項1記載の溶剤回収装置。 - 上記スクリューの螺旋羽根を、5度〜15度の範囲に含まれる角度に傾斜し、
上記スクリューの回転速度を、1分間に15回〜25回の範囲に含まれる回転速度に設定した
請求項1又は2記載の溶剤回収装置。
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