JP7138857B2 - 半導体検査装置および半導体検査方法 - Google Patents

半導体検査装置および半導体検査方法 Download PDF

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Description

この発明は、絶縁層および半導体層を含む半導体試料を検査する半導体検査装置および半導体検査方法に関し、特に、絶縁層および半導体層間の界面特性を検査する技術に関する。
近年、省エネ化の観点からSiCやGaNを代表とするワイドギャップ半導体(一般的には、バンドギャップが2.2eV以上の半導体)が注目を集めている。ワイドギャップ半導体デバイスは、従来のSiデバイスの物性値による限界を超えた性能が達成可能である。高性能、高信頼性のデバイスの作製には、酸化膜(絶縁層)および半導体層間の界面などの材料界面の物理的理解が重要であるが、Siと比べてワイドギャップ半導体ではその界面での物理が未解明な点が多い。
代表的な半導体デバイスであるMOSデバイスでは、絶縁層および半導体層の界面に存在する界面準位(または、表面準位)が形成されている。この界面準位は、電子や正孔を捕まえる働きを有するため、デバイスの動作に影響を与えることが知られている。例えば、界面準位に電子や正孔が捕まり、固定されることによって、可動電子や正孔はクーロン散乱を受けて移動度が低下し、結果的にドレイン電流が劣化する。また、界面準位に電子または正孔が捕えられたまま蓄積されると、空乏層が広くなったり、反転層の電荷量が変化したりすることによって、ゲート電圧でソース-ドレイン間電流を制御することが困難となる場合がある(閾値電圧が変動する)。
このように、一般的には、MOSデバイスの性能としては界面準位が少ない方が好ましい。すなわち、界面準位が少なければ界面特性が優れており、界面準位が多ければ界面特性が悪いことになる。
半導体デバイスにおける絶縁層および半導体層間の界面の検査手法として、容量-電圧(Capacitance-Voltage:CV)測定法がよく知られている。CV測定法では、検査対象である半導体試料の絶縁層上にゲート電極を形成することによって、いわゆるMIS(Metal-Insulator-Semiconductor)構造(絶縁層として酸化膜を用いた場合はMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)構造)を作製する。また、当該MIS構造の半導体層(半導体基板)側に裏面電極が形成される。そして、ゲート電極と裏面電極間に印加する電圧を変化させつつ、静電容量(C)が測定される(例えば、特許文献1)。
特開2013-38340号公報
CV測定法では、ゲート電極と裏面電極間に電圧を印加して静電容量を検出するものであるため、検出される静電容量は、絶縁層および半導体層の界面だけではなく、ゲート電極および裏面電極を含む構造全体の静電容量である。すなわち、CV測定法では、絶縁層および半導体層間の界面特性を選択的に検査するためには、半導体基板の抵抗値や金属電極とのコンタクト抵抗低減に注意する必要がある。
そこで、本発明は、絶縁層および半導体層間の界面特性を良好に検査する技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、第1態様は、絶縁層および半導体層の界面を有する半導体試料を検査する半導体検査装置であって、前記半導体試料を保持する保持部と、前記保持部に保持されている前記半導体試料である対象半導体試料の前記絶縁層および前記半導体層間に異なる電圧を切り換えて印加する電圧印加部と、前記対象半導体試料に第1波長領域の光を照射する光照射部と、前記異なる電圧の各々が印加される前記対象半導体試料から、前記光の照射に応じて放射される電磁波の強度である電磁波強度を検出する電磁波検出部と、前記異なる電圧に応じた前記電磁波強度の各々から、前記電磁波強度の変化量を示す情報である変化量情報を生成する変化量情報生成部とを備える。前記変化量情報は、前記異なる電圧の変化量に対する前記電磁波強度各々の変化量の比率である変化量比率を示す情報を含む。
第2態様は、第1態様の半導体検査装置であって、前記対象半導体試料は、順に、第1電極、前記絶縁層、前記半導体層、第2電極を有しており、前記電圧印加部は、前記第1電極と前記第2電極に電気的に接続されて、これらの間に電圧を印加する。
第3態様は、第2態様の半導体検査装置であって、前記第1電極は透明性を有する透明性電極を有しており、前記光照射部は、前記透明性電極に前記光を照射する。
第4態様は、第1態様の半導体検査装置であって、前記対象半導体試料は、順に、第1電極、前記絶縁層、前記半導体層、第2電極を有しており、前記第1電極は透明性を有する透明性電極を有しており、前記光照射部は、前記透明性電極に前記光を照射する。
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか1つの半導体検査装置であって、前記変化量比率と基準値との比較に基づいて、前記対象半導体試料の良否判定を行う判定部をさらに備える。
第6態様は、第5態様の半導体検査装置であって、前記基準値を設定する基準値設定部をさらに備える。
第7態様は、第6態様の半導体検査装置であって、良品を示す前記変化量比率である良品変化量比率と、不良品を示す前記変化量比率である不良品変化量比率を記憶する記憶部、をさらに備え、前記基準値設定部は、前記良品変化量比率と前記不良品変化量比率との間で、前記基準値の設定変更を受け付ける。
第8態様は、第1態様から第7態様のいずれか1つの半導体検査装置であって、前記対象半導体試料の主面に対して前記光の照射位置を相対的に変更する照射位置変更部と、前記対象半導体試料における、前記変化量の分布を示す変化量分布画像を生成する画像生成部とをさらに備える。
第9態様は、第1態様から第8態様のいずれか1つの半導体検査装置であって、前記照射部が前記対象半導体試料に照射する前記光の波長領域を、前記第1波長領域とは異なる第2波長領域に変更する波長領域変更部をさらに備える。
第10態様は、絶縁層および半導体層の界面を有する半導体試料を検査する半導体検査方法であって、(a)前記半導体試料を保持する保持工程と、(b)前記保持工程にて保持されている前記半導体試料である対象半導体試料の前記絶縁層および前記半導体層間に、異なる電圧を切り換えて印加する電圧印加工程と、(c)前記対象半導体試料に前記異なる電圧各々を印加している状態で、前記対象半導体試料に第1波長領域の光を照射して前記対象半導体試料から放射される電磁波の強度である電磁波強度各々を検出する電磁波検出工程と、(d)前記異なる電圧に応じた前記電磁波強度各々から、前記電磁波強度の変化量を示す情報である変化量情報を生成する変化量情報生成工程とを含む。前記変化量情報は、前記異なる電圧の変化量に対する前記電磁波強度各々の変量の比率である変化量比率を示す情報を含む。

第1態様の半導体検査装置によると、異なる電圧に応じて対象半導体試料から放射される電磁波の強度の変化量を示す変化量情報が生成される。光の照射に応じて半導体試料から放射される電磁波は、絶縁層および半導体層間の界面の電場情報を含む。このため、上記変化量情報は、印加される電圧変化に対する、絶縁層および半導体層間の界面の電場変化を示している。この界面電場変化は、界面の欠陥などの状態に依存するため、上記変化量情報に基づいて、絶縁層および半導体層間の界面特性を選択的に検査することができる。電圧の変化量に対する電磁波の強度の変化量比率から、印加電圧の変化に対する界面電場の変化状況を把握できる。このため、当該変化量比率に基づいて半導体試料を検査することにより、界面特性を定量的に評価できる。
第2態様の半導体検査装置によると、第1電極および第2電極間に電圧を印加することによって、絶縁層および半導体層間に電圧を印加できる。
第3態様の半導体検査装置によると、透明性電極に光を照射することによって、光が第1電極に遮られることを抑制できる。
第4態様の半導体検査装置によると、透明性電極に光を照射することによって、光が第1電極に遮られることを抑制できる。
第5態様の半導体検査装置によると、変化量比率を基準値と比較することによって、対象半導体試料の良否判定を容易に行うことができる。
第6態様の半導体検査装置によると、基準値を変更することによって、良否判定の判定基準を適当に設定できる。
第7態様の半導体検査装置によると、良品変化量比率と不良品変化比率の間で基準値を変更できるため、良否判定に適した基準値を設定できる。
第8態様の半導体検査装置によると、半導体試料における界面特性の空間的な分布を計測できる。
第9態様の半導体検査装置によると、半導体試料の種別に応じて照射する光の波長領域を変更できるため、半導体試料から電磁波を適切に放射させることができる。
第10態様の半導体検査方法によると、異なる電圧に応じて対象半導体試料から放射される電磁波の強度の変化量を示す変化量情報が生成される。光の照射に応じて半導体試料から放射される電磁波は、絶縁層および半導体層間の界面の電場情報を含む。このため、上記変化量情報は、印加される電圧変化に対する、絶縁層および半導体層間の界面の電場変化を示している。この界面電場変化は、界面の欠陥などの状態に依存するため、上記変化量情報に基づいて、絶縁層および半導体層間の界面特性を選択的に検査することができる。電圧の変化量に対する電磁波の強度の変化量の変化量比率から、印加電圧の変化に対する界面電場の変化状況を把握できる。このため、変化量比率に基づいて半導体試料を検査することにより、界面特性を定量的に評価できる。
第1実施形態の半導体検査装置1の全体構成を概略的に示す図である。 第1実施形態の半導体試料9を示す概略断面図である。 第1実施形態の半導体検査装置1における制御部50と他の要素との接続関係を示すブロック図である。 第1実施形態の半導体検査装置1による半導体試料9の検査の流れを示す図である。 電磁波LT1の時間波形TW1を示す図である。 電磁波ピーク強度-ゲート電圧グラフを示す図である。 界面特性と電磁波ピーク強度の関係を説明するための説明図である。 イメージングによる検査例を説明するための図である。 第2実施形態の半導体検査装置1Aの全体構成を概略的に示す図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」等)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」等)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」等)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸や面取り等を有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「~の上」とは、特に断らない限り、2つの要素が接している場合のほか、2つの要素が離れている場合も含む。
<1. 第1実施形態>
図1は、第1実施形態の半導体検査装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、第1実施形態の半導体試料9を示す概略断面図である。
半導体検査装置1において検査対象となる半導体試料9は、平板状を有する。半導体試料9は、半導体層90と、半導体層90上に配された絶縁層92とを含む積層構造を有する。半導体層90は、Si(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、SiC(炭化シリコン)、GaN(窒化ガリウム)などで構成される。また、絶縁層92は、SixOy(酸化シリコン、x>0、y>0)、SixNy(窒化ケイ素)又はAlOx(酸化アルミニウム)などで構成される。以下の説明では、半導体層90がn型4H-SiC基板であり、絶縁層92がSixOyの熱酸化膜である場合を説明する。
半導体試料9の絶縁層92側の表面(第1主面)には、ゲート電極94が形成されている。半導体試料9の半導体層側の表面(第2主面)には、裏面電極96が形成されている。すなわち、半導体試料9は、上から順に、ゲート電極94(第1電極)、絶縁層92、半導体層90、裏面電極96(第2電極)を有する。このように、半導体試料9は、MIS構造(ここでは、MOS構造)を有する。
ゲート電極94は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)または酸化スズ(SnO)系を主材料とする透明導電膜のように、透明性を有する透明性電極であることが好ましい。裏面電極は、例えば、アルミニウムなどの導電性金属を主成分とする電極である。
半導体検査装置1では、後述するように、半導体試料9を検査する上で基準となる試料(基準半導体試料9A,9B)を用いて、各種パラメータ(後述する、基準比率)の取得が行われる。基準半導体試料9A,9Bも、半導体試料9と同様の構造を有する。
半導体検査装置1は、光照射部10、電磁波検出部20、ステージ30(保持部)、ステージ移動部35、電圧印加部40および制御部50を備える。半導体検査装置1は、ステージ30に保持された半導体試料9(対象半導体試料)に、光照射部10からの検査光LP10(光)を照射して、半導体試料9から放射される電磁波LT1(主にテラヘルツ波)の強度を電磁波検出部20で検出する装置である。以下、各要素について説明する。
<光照射部10>
光照射部10は、半導体試料9から電磁波LT1を放射させる所定の波長領域の検査光LP10を半導体試料9に照射する。ここでは、半導体試料9から放射される電磁波LT1は、周波数0.1THz(テラヘルツ)~10THz帯のテラヘルツ波を含む。
図1に示すように、光照射部10は、フェムト秒レーザ12を備える。フェムト秒レーザ12は、周期が数kHz(キロヘルツ)~数十MHz(メガヘルツ)であって、パルス幅が10~150フェムト秒程度の直線偏光であり、200nm(ナノメートル)以上2.5μm(マイクロメートル)以下の紫外から赤外領域の波長に含まれる波長領域のパルス光LP1を出力する。
光照射部10は、ビームスプリッタ14を備える。ビームスプリッタ14は、パルス光LP1の光路上に設けられており、パルス光LP1を2つに分割する。一方のパルス光LP1は後述する波長変換器16に導かれ、他方のパルス光LP1は、参照光LP12として電磁波検出部20に導かれる。
光照射部10は、波長変換器16を備える。波長変換器16は、ビームスプリッタ14から出力されたパルス光LP1の光路上に設けられており、制御部50からの制御指令に基づいて、パルス光LP1の波長領域を他の波長領域に変換することができる。波長変換器16から出力されたパルス光LP1は、検査光LP10として半導体試料9に導かれる。
波長変換器16による波長の変換方式は特に限定されないが、例えば、非線形光学結晶を用いて第2次高調波発生、第3次高調波発生を起こすものとしてもよい。なお、波長変換器16は、パルス光LP1に対して波長変換を行わずに(すなわち、元のパルス光LP1の波長のまま)出力できるようにしてもよい。また、波長変換器16は省略してもよい。
検査光LP10は、不図示の光学系によって1点に集光されて、半導体試料9に対してスポット状に照射される。半導体試料9における照射径(スポット径)は、1μm~10mmとされるが、これに限定されるものではない。
半導体試料9のような半導体試料においてテラヘルツ波が発生する原理は、例えば、国際公開2006-093265号に記載されている。フェムト秒パルスレーザが半導体試料9に照射されると、光励起キャリアが半導体試料9内で生成される。この光励起キャリアが半導体試料9内の電場または拡散によって加速されることにより、パルス状の過渡電流が発生する。この過渡電流によって、電磁波が発生する(過渡電流効果)。この電磁波は、内部電界の向きや強さに依存して発生するため、当該電磁波を分析することによって、半導体試料9の特性を検査することができる。
例えば、半導体層90の絶縁層92との界面98付近は、半導体層90の内部とは異なるエネルギー状態を取るが、平衡状態では界面98付近と半導体層90内部のフェルミ準位が同じ値を取るため、界面98付近でキャリアの移動が起こる。このキャリアの移動によって、表面付近ではバンド構造が曲がり、表面電位が生じる。この表面電位によって光励起キャリアが加速されることで、電磁波が発生する。
半導体試料9に照射される検査光LP10の波長は、ゲート電極94を透過して、絶縁層92および半導体層90間の界面98に到達する波長とされる。また、検査光LP10の光子エネルギーは、半導体試料9の半導体層90のバンドギャップ近傍以上のエネルギーとされる。
半導体層90が4H-SiC基板である場合を想定すると、空乏層幅に近い約1μmの侵入長を持つ光の波長は、約280nmである。また、4H-SiCのバンドギャップは3.26eVであり、このエネルギーに相当する波長は380nmである。したがって、280nmより長く、かつ、380nmよりも短い波長のパルス光を照射することによって、当該半導体試料9から電磁波LT1を放射させ得る。ここでは、検査光LP10として、280nmを照射するものとする。
<電磁波検出部20>
電磁波検出部20は、電磁波検出器22を備える。電磁波検出器22は、光伝導アンテナ(光伝導スイッチ)を有する。電磁波検出器22には、参照光LP12が照射される。
光伝導アンテナとしては、ダイポール型、ボウタイ型およびスパイラル型などが知られている。ダイポール型の光伝導アンテナは、光が入射したときに電子および正孔を生成する光伝導膜と、光伝導膜上に平行に形成された金属製の一対の平行伝送線(電極)とを備える。一対の平行伝送線各々の中央部には、内向きに延びてギャップを形成する出っ張り(アンテナ)が設けられている。また、一対の平行伝送線間には、電流計が設けられる。
アンテナ間のギャップに参照光LP12を照射すると、光伝導膜において光励起キャリアが生成される。光励起キャリアが生成されても、電磁波LT1が入射していない状態では、ギャップ間に電位差が生じていないため、電流は発生しない。対照的に、電磁波LT1が参照光LP12と重なるタイミングで入射すると、電磁波LT1の電界強度(電磁波強度)に比例した電位差がギャップ間に瞬時的に発生し、電流が瞬時的に発生する。この電流値は、図示しないロックインアンプやA/D変換回路などを介して適宜デジタル量に変換される。
このように、電磁波検出器22は、光伝導アンテナを備えることにより、参照光LP12が入射するタイミングに応じて、半導体試料9が放射する電磁波LT1の電界強度を検出する。なお、電磁波LT1を検出する構成としては、光伝導アンテナを含む構成に限定されるものではなく、例えば、非線形光学結晶を用いてもよい。
電磁波検出部20は、遅延部24を備える。遅延部24は、参照光LP12に時間遅延を与える光学遅延素子である。遅延部24は、遅延ステージ240と遅延ステージ移動部242とを備える。
遅延ステージ240は、ビームスプリッタ14から電磁波検出器22までの間の参照光LP12の光路上に設けられている。遅延ステージ240は、参照光LP12を反射する反射ミラー240Mを備えている。反射ミラー240Mは、参照光LP12をその入射方向と平行に、かつ、入射時の光軸からずらして反射する。反射ミラー240Mで反射した参照光LP12は、その光路上に配置されたミラー群を介して、電磁波検出器22に導かれる。
遅延ステージ移動部242は、遅延ステージ240を参照光LP12の光路と平行に往復移動させる。遅延ステージ240の往復移動により、参照光LP12の光路長が変化するため、参照光LP12が電磁波検出器22に到達するタイミングを変更できる。これによって、電磁波検出器22が電磁波LT1を検出するタイミングが変更される。電磁波LT1はパルス波であるが、参照光LP12に遅延を与えることによって、電磁波強度を異なる位相毎に検出することができる。
参照光LP12に時間遅延を与える代わりに、検査光LP10に時間遅延を与えることによっても、電磁波LT1が検出されるタイミングを変更できる。この場合、検査光LP10の光路長を変更するように、遅延ステージ240、遅延ステージ移動部242を設けてもよい。検査光LP10に時間遅延を与えることによって、電磁波LT1の発生を遅延させることができる。これにより、電磁波LT1が電磁波検出器22に到達するタイミングを、参照光LP12が電磁波検出器22に入射するタイミングに対して相対的に早めたり、あるいは、遅延したりすることができる。
<ステージ30>
ステージ30は、水平面に平行な保持面を有する。ステージ30は、当該保持面にて、図2に示すように、半導体試料9を裏面電極96側から支持する。これにより、半導体試料9は、ゲート電極94側に検査光LP10が入射するように保持される。また、検査光LP10は、半導体試料9のゲート電極94の表面に対して斜めに入射する。ここでは、検査光LP10の入射角は、45度とされているが、これは必須ではなく、0度から90度の範囲内で任意に設定してもよい。
ステージ30は、半導体試料9を保持する構成として、例えば、半導体試料9の縁部等を挟み持つ挟持具、半導体試料9を保持面に接着させる粘着部材(例えば、粘着性シート)、または、半導体試料9を吸着する吸着孔を備えていてもよい。
<ステージ移動部35>
ステージ移動部35は、制御部50からの制御指令に応じて、光照射部10および電磁波検出部20に対して、ステージ30をその保持面に平行な水平面内で移動させる。ステージ移動部35は、例えば、リニアモータ機構またはボールネジ機構などの駆動機構を含むXYテーブルを備えていてもよい。ステージ移動部35の動作によりステージ30が移動することによって、半導体試料9に対する検査光LP10の入射位置が変更される。本実施形態では、制御部50の制御指令に応じてステージ移動部35がステージ30を移動させることにより、半導体試料9の表面が検査光LP10で走査される。なお、半導体検査装置1は、検査光LP10の光路を変更するガルバノミラーなどの光学素子を備えてもよい。検査光LP10の光路を変更することによっても、検査光LP10の入射位置を変更できる。
<電圧印加部40>
電圧印加部40は、プローブピン42と、電圧可変電源44とを備える。電圧印加部40は、半導体試料9のゲート電極94に対してプローブピン42を介して電気的に接続可能であり、裏面電極96に対してステージ30に設けられた導電性の電極部材(不図示)を介して電気的に接続可能である。電圧可変電源44は、プローブピン42およびステージ30に設けられた電極部材を介して、ゲート電極94および裏面電極96間に所定の電圧(以下、「ゲート電圧」とも称する。)を印加する。電圧可変電源44が印加するゲート電圧は、制御部50からの制御指令に応じて変更可能とされている。

<制御部50>
図3は、第1実施形態の半導体検査装置1における制御部50と他の要素との接続関係を示すブロック図である。制御部50は、CPU、ROMおよびRAMなどの一般的なコンピュータとしての構成を備えており、CPUがプログラムに従って動作することにより、半導体検査装置1の各要素(フェムト秒レーザ12、波長変換器16、遅延ステージ移動部242,ステージ移動部35、電圧印加部40など)に接続されており、制御指令を出力してこれらの動作を制御する。また、制御部50は電磁波検出器22に接続されており、電磁波検出器22が検出した電磁波LT1の電界強度が制御部50に入力される。
制御部50には、各種情報を表示する表示部60、キーボードおよびマウスなどの各種入力デバイスを含む操作部62が接続されている。また、制御部50には、各種情報を記憶する記憶部64が接続されている。記憶部64は、プログラムPG1や各種情報が保存されるハードディスクなどの固定ディスクを含む。プログラムPG1は、半導体検査装置1の各要素の動作を制御するための制御アプリケーションのほか、データ加工などの処理を実行するためのソフトウェアアプリケーションを含む。
制御部50は、光学メディア、磁気メディア、半導体メモリなどの可搬性を有する各種記憶媒体からプログラムPG1や各種情報を読み取る読取装置を備えていてもよい。制御部50は、ネットワークを介して他のコンピュータとプログラムまたは各種情報をやりとりする通信部を備えていてもよい。
制御部50のCPUは、プログラムPG1に従って動作することにより、変化量情報生成部52、判定部540、基準値設定部542、画像生成部56、時間波形復元部58として機能する。なお、これらの機能のうち一部または全部は、専用の回路でハードウェア的に実現されてもよい。
変化量情報生成部52は、半導体試料9に印加された異なるゲート電圧に応じた電磁波強度の各々から、電磁波強度の変化量を示す情報である変化量情報640を生成する。変化量情報640は、後述するように、2つの異なるゲート電圧に応じた2つの電磁波強度の差分値、または、ゲート電圧の変化量に対する電磁波強度の変化量の比率(傾き)を含む。これらの詳細については、後述する。
判定部540は、基準値に基づいて、変化量情報640に含まれる比率を基準値ST1と比較することによって、検査対象の半導体試料9の良否判定を行う。基準値設定部542は、操作部62を介して、基準値ST1の設定変更を受け付ける。基準値設定部542は、良品を示す比率である良品変化量比率SR1と、不良品を示す比率である不良品変化量比率SR2との間で、基準値ST1の設定変更を受け付ける。
画像生成部56は、変化量分布画像を生成する。変化量分布画像は、半導体試料9におけるゲート電圧に応じた電磁波強度の変化量の分布を示す画像である。変化量分布画像は、半導体試料9に対して2つの異なるゲート電圧(第1ゲート電圧V1、第2ゲート電圧V2)を切り換えて印加した際に、半導体試料9の各地点から放射される電磁波強度(第1電磁波強度、第2電磁波強度)の変化量(差分値)の分布を示す画像である。画像生成部56が生成した画像は、制御部50によって表示部60に適宜表示されてもよい。
時間波形復元部58は、電磁波検出器22が検出した電磁波強度に基づき、電磁波LT1の時間波形を復元する。時間波形復元部58は、遅延ステージ240を動作させて参照光LP12に時間遅延を与えることにより、電磁波LT1の電界強度を複数の異なる位相毎に検出する。時間波形復元部58は、複数の異なる位相(時間)に応じた各電界強度から、電磁波LT1を示す波形(時間波形)を復元する。
<半導体検査装置1の動作>
図4は、第1実施形態の半導体検査装置1による半導体試料9の検査の流れを示す図である。以下に説明する半導体検査装置1の動作は、特に断らない限り、制御部50からの制御指令に基づいて行われるものとする。また、動作が実行される順序については、図4に示すものに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
半導体検査装置1において検査が開始されると、まず、ステージ30が半導体試料9を保持する(保持工程S1)。保持工程S1において、ステージ30が半導体試料9を保持すると、電圧印加部40が半導体試料9のゲート電極94及び裏面電極96に電気的に接続される。これにより、半導体層90および絶縁層92間にゲート電圧を印加できる状態となる。
保持工程S1が完了すると、計測条件の設定が行われる(条件設定工程S2)。計測条件は、半導体試料9の全面のうちの検査対象とする検査領域、検査光LP10の波長の設定、検査光LP10の強度、および、異なるゲート電圧の大きさなどを含む。これらの計測条件は、制御部50が操作部62を介したオペレータからの操作入力を受け付けて設定する。
条件設定工程S2が完了すると、電圧印加部40が条件設定工程S2で設定された異なるゲート電圧のうち1つのゲート電圧を半導体試料9に印加する(ゲート電圧印加工程S3)。電圧可変電源44の動作により、半導体試料9のゲート電極94および裏面電極96間にゲート電圧が印加される。
ゲート電圧印加工程S3が完了すると、電磁波ピーク強度の検出が行われる(電磁波検出工程S4)。電磁波ピーク強度は、電磁波LT1が最大となるタイミングで検出される電磁波強度である。電磁波LT1が最大となるタイミングは、時間波形復元部58が試験的に復元した電磁波LT1の時間波形から決定されるとよい。
図5は、電磁波LT1の時間波形TW1を示す図である。図5において、縦軸は電界強度を示しており、横軸は位相(時間(ps:ピコ秒))を示している。図5に示すように、復元された時間波形TW1から、電界強度が最大(電磁波ピーク強度P1)となる時間t1が特定される。電磁波検出工程S4では、遅延ステージ240の位置が時間t1に応じた位置に固定された状態で、電磁波強度の検出が行われる。これにより、電磁波LT1の電磁波ピーク強度を理論的に検出することが可能となる。
なお、時間t1の特定は、例えば、半導体検査装置1において、半導体試料9を用いて試験的に電磁波LT1を発生させて、時間波形TW1を復元して行うとよい。また、初めて電磁波検出工程S4を行うとき(すなわち、半導体試料9に1つ目のゲート電圧を印加した状態で電磁波測定を行うとき)に、時間波形を復元して時間t1を特定してもよい。
電磁波検出工程S4が完了すると、制御部50は、計測条件で設定されたすべてのゲート電圧について電磁波ピーク強度が検出されたどうかを判断する(判断工程S5)。測定されていないゲート電圧がある場合(判断工程S5においてNoの場合)、ゲート電圧印加工程S3に戻って、電磁波ピーク強度が未計測であるゲート電圧が半導体試料9に印加される。そして、電磁波検出工程S4が実行される。このようにすべてのゲート電圧について電磁波ピーク強度が取得されるまで、ゲート電圧印加工程S3から判断工程S5までの動作が繰り返し実行される。
すべてのゲート電圧について電磁波ピーク強度が検出された場合(判断工程S5においてYesの場合)、制御部50は電磁波ピーク強度とゲート電圧の関係を示すグラフを作成する(グラフ作成工程S6)。このグラフ作成は、変化量情報生成部52が実行するようにしてもよい。
図6は、電磁波ピーク強度-ゲート電圧グラフを示す図である。図6中、縦軸は電磁波ピーク強度を示しており、横軸はゲート電圧(V:ボルト)を示している。図6に示す例では、ゲート電圧を、-5Vから9Vまでの1V刻みとし、各ゲート電圧を半導体試料9に印加したときに検出される電磁波ピーク強度を白抜きの丸(○)で示している。本例の場合、ゲート電圧を-5Vから9Vまで変化させることにより、電磁波ピーク強度が線形的に減少している。
グラフ作成工程S6が完了すると、変化量情報生成部52がグラフの傾きを求める(傾き算出工程S7)。具体的には、変化量情報生成部52は、ゲート電圧を説明変数(独立変数)とし、電磁波ピーク強度を目的変数(従属変数)として、線形モデルを用いる回帰分析(例えば、最小二乗法)を行うことによって、近似直線L1を算出するとともにその傾きA1を算出する。この傾きA1は、検査対象である半導体試料9についての、ゲート電圧の変化量に対する電磁波ピーク強度の比率である変化量比率に対応する値である。傾きA1を算出する傾き算出工程S7は、変化量情報取得工程である。
傾き算出工程S7が完了すると、判定部540は検査対象である半導体試料9の良否判定を行う(良否判定工程S8)。判定部540は、傾き算出工程S7で算出された傾きA1と、基準値ST1とを比較して、半導体試料9が良品であるか不良品であるかを判定する。
基準値ST1の決め方の一例を説明する。まず、界面特性が優れていることが確認されている良品の半導体試料9である基準半導体試料9Aと、界面特性が不良であることが確認されている不良品の半導体試料9である基準半導体試料9Bとが準備される。界面特性の確認は、CV測定法など周知の方法で行われるとよい。このような基準半導体試料9A,9Bを検査対象として、図4に示す検査が実行される。すなわち、基準半導体試料9A,9Bについて、ゲート電圧を切り換えて印加しつつ、電磁波ピーク強度が計測される。そして、基準半導体試料9A,9B毎に近似直線LS1,LS2が算出され、それぞれの傾きα,βが算出される。傾きα,βは、良品変化量比率SR1および不良品変化量比率SR2として、記憶部64に保存される。
図6に示すように、半導体層90の導電型がn型である場合、ゲート電圧が負から正になるにつれて、電磁波ピーク強度が小さくなっており、傾きα,βは負の値となる。また、界面特性が優れた基準半導体試料9Aの傾きαの絶対値は、界面特性が不良である基準半導体試料9Bの傾きβの絶対値よりも大きくなる。傾きα,βがこのような傾向を示す要因について、図7を参照しつつ考察する。
図7は、界面特性と電磁波ピーク強度の関係を説明するための説明図である。ゲート電圧を変化させることにより、半導体層90および絶縁層92の界面98の電場が変化する。上述したように、半導体試料9、基準半導体試料9Aまたは9Bから放射される電磁波LT1は界面98の電場情報を含んでいる。このため、電磁波ピーク強度-ゲート電圧グラフの傾きA1,α,βは、ゲート電圧変化に対する界面電場の変化量に対応していると考えられる。
ゲート電圧の変化に対する界面電場の応答は、界面98の欠陥などの状態に依存する。界面98に欠陥が少ない(すなわち、界面特性が優れている)基準半導体試料9Aの場合、ゲート電圧変化に対して界面電場の応答が良好である。すなわち、ゲート電圧を大きくすると、界面98に捕らえられる電荷(ここでは、電子)が比較的少なく、ゲート電圧変化を妨げにくい。このため、電磁波ピーク強度-ゲート電圧グラフの傾きαは相対的に急峻となる。これとは対照的に、界面98に欠陥が多く存在する(すなわち、界面特性が不良である)基準半導体試料9Bの場合、ゲート電圧が変化しても、界面98に捕らえられた電荷が比較的多いため界面電場の変化が妨げられる。このため、電磁波ピーク強度-ゲート電圧グラフの傾きβは相対的に緩やかになる。
良否判定工程S8で判定部540が用いる基準値ST1を、傾きαと傾きβの間の値とするとよい。例えば、基準値ST1を、傾きα,βの平均値(=(α+β)/2)としてもよい。判定部540は、検査対象の半導体試料9から得られた傾きA1の絶対値が当該基準値の絶対値よりも大きい場合(すなわち、傾きが相対的に急峻な場合)、当該半導体試料9を良品と判定するとよい。また、判定部540は、傾きA1の絶対値が基準値の絶対値よりも小さい場合(すなわち、傾きが相対的に緩やかな場合)、当該半導体試料9を不良品と判定するとよい。
基準値ST1は、傾きα,βの平均値よりも大きい値(すなわち、傾きβ寄りの値)としてもよく、例えば、傾きα,βの和を2よりも大きい数で割って得られる値を基準値ST1としてもよい。例えば、傾きα,βの和であってβの比重を重くした値(p1・α+p2・βであって、p1<p2。計算の便宜上、p1+p2=1.0であることが好ましい。)を基準値ST1とした場合、上記平均値を採用する場合よりも、良品と判定される基準が緩くなる。具体例として、基準値ST1を0.2α+0.8βとすることが考えられる。これとは対照的に、傾きα、βの平均値よりも小さい値(すなわち、傾きα寄りの値)としてもよい。例えば、傾きα,βの和であってαの比重を重くした値(p1・α+p2・βであって、p1>p2)を基準値ST1とした場合、良品と判定される基準を厳しくすることができる。また、基準値ST1は、傾きαよりも小さい値(ST1<α)、あるいは、傾きβよりも大きい値(ST1>β)とすることも妨げられない。
半導体検査装置1では、半導体試料9から放射される電磁波LT1を検出することによって、半導体試料9における界面電場を選択的に観測できる。したがって、半導体試料9における界面98の特性を選択的に観測できる。半導体検査装置1では、ゲート電圧を変化させることによって、ゲート電圧に応じた電磁波強度の変化量を示す変化量情報を生成する。このため、ゲート電圧に応じた界面電界の変化を解析できるため、半導体試料9における界面98の特性を選択的に検査できる。
<イメージングによる検査例について>
図8は、イメージングによる検査例を説明するための図である。図8(a)-(d)は、それぞれ、界面特性が比較的良好である良好領域R1および界面特性が比較的不良である不良領域R2を有する半導体試料9、第1強度分布画像9I1、第2強度分布画像9I2、変化量分布画像9I3を概念的に示す図である。画像9I1,9I2,9I3は、画像生成部56によって生成される画像である。第1強度分布画像9I1は、第1ゲート電圧V1が印加されている半導体試料9の各地点から検査光LP10の照射に応じて放射される電磁波ピーク強度の分布を示している。第2強度分布画像9I2は、第2ゲート電圧V2が印加されている半導体試料9の各地点から検査光LP10の照射に応じて放射される電磁波ピーク強度の分布を示している。変化量分布画像9I3は、第1強度分布画像9I1および第2強度分布画像9I2において対応する画素間の画素値(電磁波ピーク強度)の差分の分布を示す差分画像である。なお、差分値は、ゲート電圧の変化(V1→V2)に応じた電磁波ピーク強度の変化量を示す情報である変化量情報640の一例である。
図8に示すように、不良領域R2を有する半導体試料9について、第1,第2強度分布画像9I1,9I2を生成すると、各画像が示すように、不良領域R2において良好領域R1とは異なる大きさの電磁波ピーク強度が検出される。ところが、第1,第2強度分布画像9I1,9I2上では、良好領域R1と不良領域R2とを明瞭に識別することが困難な場合がある。これに対して、変化量分布画像9I3が示すように、第1,第2強度分布画像9I1,9I2の差分(変化量)を画像化することによって、良好領域R1と不良領域R2の違いが強調され、識別が容易となる。すなわち、不良領域R2の特定を容易に行うことができる。
また、従来の界面特性の検査方法であるCV測定法では、ゲート電極の面積以下の空間分解能で、絶縁層および半導体層間の界面の特性分布を得ることは困難である。ゲート電極を微細化することによって、空間分解能を上げることは可能であるものの、そのような電極を形成するプロセスの複雑化及び高コスト化、並びに、計測回数の増大といった課題があった。これとは対照的に、半導体検査装置1では、検査対象に照射する検査光LP10のスポット径で空間的な分解能が決まる。このため、複雑かつ微細なゲート電極を作製することなく、界面特性の空間的な分布を計測できる。
<2. 第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。なお、以降の説明において、既に説明した要素と同様の機能を有する要素については、同じ符号又はアルファベット文字を追加した符号を付して、詳細な説明を省略する場合がある。
上記実施形態では、電圧印加部40は、ゲート電極94および裏面電極96に電気的に接続されて、半導体層90および絶縁層92間に異なる電圧(ゲート電圧)を印加する。しかしながら、これとは異なる方法で、半導体層90および絶縁層92間に電圧を印加してもよい。
図9は、第2実施形態の半導体検査装置1Aの全体構成を概略的に示す図である。半導体検査装置1Aは、電圧印加部40の代わりに、コロナ放電機構46を備える点で半導体検査装置1とは相違する。
コロナ放電機構46は、コロナ放電によって正イオンまたは負イオンを含む電荷粒子を発生させ、当該電荷粒子を半導体試料9の絶縁層92に付与する。コロナ放電機構46は、電源部460、放電電極462および電極464を備える。放電電極462は、針状に形成された導電性を有する部材であり、ステージ30に保持された半導体試料9よりも上方に離隔して配置されている。放電電極462の先端部は、半導体試料9の絶縁層92に向けられている。電源部460は、放電電極462に高電圧を印加する装置である。電源部460は、制御部50の制御指令に基づいて動作する。
放電電極462が放電を開始すると、空気中の分子がイオン化する。図9に示すように、発生したイオン(ここでは、負イオン)は、中央に孔が形成された電極464を通って、半導体試料9の絶縁層92に付与される。なお、電極464を正または負に帯電させることにより、それとは反対の極の負イオンまたは正イオンが吸収される。これにより、正イオンまたは負イオンのいずれか一方のみを選択的に半導体試料9に付与できる。
コロナ放電機構46は、半導体試料9の絶縁層92の表面全体ではなく一部の限定された領域のみに電荷粒子を付与するようにしてもよい。ステージ移動部35がステージ30を水平面内で移動させることにより、コロナ放電機構46が半導体試料9に荷電粒子が付与される領域を変更してもよい。
コロナ放電機構46からの電荷粒子が絶縁層92に付与されると、半導体層90および絶縁層92間に電圧が印加された状態となる。コロナ放電機構46は、制御部50の制御指令に応じて、電荷粒子の量を変更可能に構成されている。このため、コロナ放電機構46は、半導体層90および絶縁層92間に、異なる電圧を切り換えて印加できる。コロナ放電によって半導体試料9に電圧を印加する場合、ゲート電極94および裏面電極96は省略することができる。
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
1,1A 半導体検査装置
10 光照射部
12 フェムト秒レーザ
16 波長変換器(波長領域変更部)
20 電磁波検出部
22 電磁波検出器
30 ステージ(保持部)
35 ステージ移動部(走査機構)
40 電圧印加部
42 プローブピン
44 電圧可変電源
46 コロナ放電機構(電圧印加部)
50 制御部
52 変化量情報生成部
540 判定部
542 基準値設定部
56 画像生成部
58 時間波形復元部
64 記憶部
640 変化量情報
9 半導体試料
9A,9B 基準半導体試料
90 半導体層
92 絶縁層
94 ゲート電極(第1電極)
96 裏面電極(第2電極)
98 界面
9I1 第1強度分布画像
9I2 第2強度分布画像
9I3 変化量分布画像
LP10 検査光
LP12 参照光
L1,LS1,LS2 近似直線
LT1 電磁波
R1 良好領域
R2 不良領域
SR1 良品変化量比率
SR2 不良品変化量比率
ST1 基準値
TW1 時間波形

Claims (10)

  1. 絶縁層および半導体層の界面を有する半導体試料を検査する半導体検査装置であって、
    前記半導体試料を保持する保持部と、
    前記保持部に保持されている前記半導体試料である対象半導体試料の前記絶縁層および前記半導体層間に異なる電圧を切り換えて印加する電圧印加部と、
    前記対象半導体試料に第1波長領域の光を照射する光照射部と、
    前記異なる電圧の各々が印加される前記対象半導体試料から、前記光の照射に応じて放射される電磁波の強度である電磁波強度を検出する電磁波検出部と、
    前記異なる電圧に応じた前記電磁波強度の各々から、前記電磁波強度の変化量を示す情報である変化量情報を生成する変化量情報生成部と、
    を備え
    前記変化量情報は、前記異なる電圧の変化量に対する前記電磁波強度各々の変化量の比率である変化量比率を示す情報を含む、半導体検査装置。
  2. 請求項1の半導体検査装置であって、
    前記対象半導体試料は、順に、第1電極、前記絶縁層、前記半導体層、第2電極を有しており、
    前記電圧印加部は、前記第1電極と前記第2電極に電気的に接続されて、これらの間に電圧を印加する、半導体検査装置。
  3. 請求項2の半導体検査装置であって、
    前記第1電極は透明性を有する透明性電極を有しており、
    前記光照射部は、前記透明性電極に前記光を照射する、半導体検査装置。
  4. 請求項1の半導体検査装置であって、
    前記対象半導体試料は、順に、第1電極、前記絶縁層、前記半導体層、第2電極を有しており、
    前記第1電極は透明性を有する透明性電極を有しており、
    前記光照射部は、前記透明性電極に前記光を照射する、半導体検査装置。
  5. 請求項1からのいずれか1項の半導体検査装置であって、
    前記変化量比率と基準値との比較に基づいて、前記対象半導体試料の良否判定を行う判定部、
    をさらに備える、半導体検査装置。
  6. 請求項5の半導体検査装置であって、
    前記基準値を設定する基準値設定部、
    をさらに備える、半導体検査装置。
  7. 請求項6の半導体検査装置であって、
    良品を示す前記変化量比率である良品変化量比率と、不良品を示す前記変化量比率である不良品変化量比率を記憶する記憶部、
    をさらに備え、
    前記基準値設定部は、前記良品変化量比率と前記不良品変化量比率との間で、前記基準値の設定変更を受け付ける、半導体検査装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項の半導体検査装置であって、
    前記対象半導体試料の主面に対して前記光の照射位置を相対的に変更する照射位置変更部と、
    前記対象半導体試料における、前記変化量の分布を示す変化量分布画像を生成する画像生成部と、
    をさらに備える、半導体検査装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項の半導体検査装置であって、
    前記光照射部が前記対象半導体試料に照射する前記光の波長領域を、前記第1波長領域とは異なる第2波長領域に変更する波長領域変更部、
    をさらに備える、半導体検査装置。
  10. 絶縁層および半導体層の界面を有する半導体試料を検査する半導体検査方法であって、
    (a)前記半導体試料を保持する保持工程と、
    (b)前記保持工程にて保持されている前記半導体試料である対象半導体試料の前記絶縁層および前記半導体層間に、異なる電圧を切り換えて印加する電圧印加工程と、
    (c)前記対象半導体試料に前記異なる電圧各々を印加している状態で、前記対象半導体試料に第1波長領域の光を照射して前記対象半導体試料から放射される電磁波の強度である電磁波強度各々を検出する電磁波検出工程と、
    (d)前記異なる電圧に応じた前記電磁波強度各々から、前記電磁波強度の変化量を示す情報である変化量情報を生成する変化量情報生成工程と、
    を含み、
    前記変化量情報は、前記異なる電圧の変化量に対する前記電磁波強度各々の変量の比率である変化量比率を示す情報を含む、半導体検査方法。
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