以下、本発明の防音ボックスの実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の防音ボックスは、長方形状の複数の板状部材が互いに連結されてなる直方体形状とされており、側壁部20と、側壁部20の上端を覆う上壁部30を備えている。側壁部20で区画された内部の収容空間内には、例えば、粉砕機や比較的大型のモータ等、工場内で使用される騒音源を収容可能に形成されている。なお、図1に示す防音ボックスは、側壁部20の一部に扉44が取り付けられた構造のものであるが、以下の説明では、扉44のない構造のものについて説明する。
側壁部20は、2枚の側壁用板材40からなる第1側壁部21と、第1側壁部21と直交する方向に延び、3枚の側壁用板材40からなる第2側壁部22を備えている。本実施形態の各側壁用板材40は、約1000mm×2500mmの長方形状に形成されている。各側壁用板材40の短辺と長辺の比は、1:1.5~1:2.5の範囲であることが好ましく、1:2~1:2.5の範囲であることがより好ましい。各側壁用板材40は、上下方向に延びる側方フレーム50により互いに連結されている。また、各側壁用板材40の内面には、図示しない板状のウレタンマット材(発泡ウレタンフォーム材)が脱着可能に貼着されている。ウレタンマット材(発泡ウレタンフォーム材)は、内部に複数の孔を有する多孔質性の合成樹脂材料であり、吸音材として機能する。
上壁部30は、3枚の上壁用板材60からなり、各上壁用板材60は、その長手方向を第1側壁部21の延びる方向に沿うようにして配置されている。本実施形態の各上壁用板材60は、約1000mm×2000mmの長方形状に形成されている。3枚の上壁用板材60によって、側壁部20で区画された収容空間の上方が覆われている。上壁用板材60の周縁部には、上方フレーム70が取り付けられており、上方フレーム70を介して側壁部20に連結されている。また、各上壁用板材60の内面には、図示しない板状のウレタンマット材(発泡ウレタンフォーム材)が脱着可能に貼着されている。
側壁部20の下端縁には、長尺状の下方フレーム80が設けられている。下方フレーム80は、第1側壁部21の下方に設けられた第1下方フレーム81と、第2側壁部22の下方に設けられた第2下方フレーム82を備えている。第1下方フレーム81の端縁と第2下方フレーム82の端縁は、互いに連結されていない。
本実施形態の側方フレーム50及び上方フレーム70は、従来公知の樹脂材料を押出し成形することにより形成されている。また、本実施形態の下方フレーム80は、例えばアルミニウム、鉄等の金属材料で形成されている。下方フレーム80を金属材料で形成すると、好適な強度が得られるため、下方フレーム80が曲がったり撓んだりしにくく、その形状が保持される。後に説明する組立作業時に、側壁用板材40を下方フレーム80に挿入する際の作業性が良くなる。
図2に示すように、側壁用板材40及び上壁用板材60は、内部に複数のセルSが並設された板状の中空構造体である中空板材10により形成されている。中空板材10は、吸音材として機能する。
まず、中空板材10の構造について説明する。
図2(a)に示すように、中空板材10は、内部に複数のセルSが並設されたコア層2と、コア層2の厚み方向両面(図2(a)において上下両面)に接合されたシート状のスキン層3、4とで構成されている。図2(b)及び図2(c)に示すように、コア層2は、所定形状に成形された1枚の熱可塑性樹脂製のシート材を折り畳んで形成されている。コア層2は、上方壁部2aと、下方壁部2bと、上方壁部2a及び下方壁部2bの間に立設されてセルSを六角柱形状に区画する側方壁部2cとで構成されている。なお、図2(a)では、一部のセルS(第1セルS1及び第2セルS2)にのみ、符号を付している。
図2(b)及び図2(c)に示すように、コア層2の内部に区画形成されるセルSには、構成の異なる第1セルS1及び第2セルS2が存在する。図2(b)に示すように、第1セルS1においては、側方壁部2cの上部に2層構造の上方壁部2aが設けられている。この2層構造の上方壁部2aの各層は互いに接合されている。また、第1セルS1においては、側方壁部2cの下部に1層構造の下方壁部2bが設けられている。一方、図2(c)に示すように、第2セルS2においては、側方壁部2cの上部に1層構造の上方壁部2aが設けられている。また、第2セルS2においては、側方壁部2cの下部に2層構造の下方壁部2bが設けられている。この2層構造の下方壁部2bの各層は互いに接合されている。また、図2(b)及び図2(c)に示すように、隣接する第1セルS1同士の間、及び隣接する第2セルS2同士の間は、それぞれ2層構造の側方壁部2cによって区画されている。
図2(a)に示すように、第1セルS1はX方向に沿って列を成すように並設されていて、上面視した場合に、隣り合う2つの第1セルS1が六角形の1辺を共有している。同様に、第2セルS2はX方向に沿って列を成すように並設されていて、上面視した場合に、隣り合う2つの第2セルS2が六角形の1辺を共有している。第1セルS1の列及び第2セルS2の列は、X方向に直交するY方向において交互に配列されている。そして、これら第1セルS1及び第2セルS2により、コア層2は、全体としてハニカム構造をなしている。
図2(a)~(c)に示すように、上記のように構成されたコア層2の上面には熱可塑性樹脂製のシート材であるスキン層3が接合されている。また、コア層2の下面には、熱可塑性樹脂製のシート材であるスキン層4が接合されている。この実施形態では、コア層2における側方壁部2cの上部が、コア層2の上方壁部2a及びスキン層3で閉塞されている。すなわち、上方壁部2a及びスキン層3が、セルSを上側から区画する上部閉塞壁11を構成している。同様に、コア層2における側方壁部2cの下部が、コア層2の下方壁部2b及びスキン層4で閉塞されている。すなわち、下方壁部2b及びスキン層4が、セルSを下側から区画する下部閉塞壁12を構成している。
図2(b)及び図2(c)に示すように、中空板材10の上部閉塞壁11には、セルSの内外を連通させる連通孔15が設けられている。具体的には、図2(b)に示すように、第1セルS1において連通孔15は、上面側のスキン層3及び2層構造の上方壁部2aを貫通している。また、図2(c)に示すように、第2セルS2において連通孔15は、上面側のスキン層3及び1層構造の上方壁部2aを貫通している。
図2(a)に示すように、連通孔15は、1つのセルSに対して1箇所ずつ設けられている。この実施形態では、連通孔15は、中空板材10を上面視した場合に、各セルSの六角形状の中央に位置している。図2(b)及び図2(c)に示すように、各連通孔15の開口の直径は、セルSを上面視した場合の六角形の一辺の長さ以下に設定されている。具体的には、各連通孔15の開口の直径は、X方向に隣り合うセルSの中心同士の間隔P1の数分の1(例えば、0.5~3.0mm程度)に設定されている。
次に、中空板材10の製造方法について図3に従って説明する。
図3(a)に示すように、第1シート材100は、1枚の熱可塑性樹脂製のシートを所定の形状に成形することにより形成される。第1シート材100には、帯状をなす平面領域110及び膨出領域120が、第1シート材100の長手方向(X方向)に交互に配置されている。膨出領域120には、上面と一対の側面とからなる断面下向溝状をなす第1膨出部121が膨出領域120の延びる方向(Y方向)の全体に亘って形成されている。なお、第1膨出部121の上面と側面とのなす角は90度であることが好ましく、その結果として、第1膨出部121の断面形状は下向コ字状となる。また、第1膨出部121の幅(上面の短手方向の長さ)は平面領域110の幅と等しく、かつ第1膨出部121の膨出高さ(側面の短手方向の長さ)の2倍の長さとなるように設定されている。
また、膨出領域120には、その断面形状が正六角形を最も長い対角線で二分して得られる台形状をなす複数の第2膨出部122が、第1膨出部121に直交するように形成されている。第2膨出部122の膨出高さは第1膨出部121の膨出高さと等しくなるように設定されている。また、隣り合う第2膨出部122間の間隔は、第2膨出部122の上面の幅と等しくなっている。
なお、こうした第1膨出部121及び第2膨出部122は、シートの塑性を利用してシートを部分的に上方に膨出させることにより形成されている。また、第1シート材100は、真空成形法や圧縮成形法等の周知の成形方法によって1枚のシートから成形することができる。
図3(a)及び図3(b)に示すように、上述のように構成された第1シート材100を、境界線P、Qに沿って折り畳むことでコア層2が形成される。具体的には、第1シート材100を、平面領域110と膨出領域120との境界線Pにて谷折りするとともに、第1膨出部121の上面と側面との境界線Qにて山折りしてX方向に圧縮する。そして、図3(b)及び図3(c)に示すように、第1膨出部121の上面と側面とが折り重なるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なることによって、一つの膨出領域120に対して一つのY方向に延びる角柱状の区画体130が形成される。こうした区画体130がX方向に連続して形成されていくことにより中空板状のコア層2が形成される。なお、この実施形態では、第1シート材100を折り畳むために圧縮する方向が、セルSが並設される方向(X方向)である。
上記のように第1シート材100を圧縮するとき、第1膨出部121の上面と側面とによってコア層2の上方壁部2aが形成されるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とによってコア層2の下方壁部2bが形成される。なお、図2(c)に示すように、上方壁部2aにおける第1膨出部121の上面と側面とが折り重なって2層構造を形成する部分、及び下方壁部2bにおける第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なって2層構造を形成する部分がそれぞれ重ね合わせ部131となる。
また、第2膨出部122が折り畳まれて区画形成される六角柱形状の領域が第2セルS2となるとともに、隣り合う一対の区画体130間に区画形成される六角柱形状の領域が第1セルS1となる。本実施形態では、第2膨出部122の上面及び側面が第2セルS2の側方壁部2cを構成するとともに、第2膨出部122の側面と、膨出領域120における第2膨出部122間に位置する平面部分とが第1セルS1の側方壁部2cを構成する。そして、第2膨出部122の上面同士の当接部位、及び膨出領域120における上記平面部分同士の当接部位が2層構造をなす側方壁部2cとなる。また、第1セルS1では、一対の重ね合わせ部131によってその上部が区画され、第2セルS2では、一対の重ね合わせ部131によってその下部が区画されている。なお、こうした折り畳み工程を実施するに際して、第1シート材100を加熱処理して軟化させた状態としておくことが好ましい。
このようにして得られたコア層2の上面及び下面には、それぞれ熱可塑性樹脂製の第2シート材が熱溶着により接合される。コア層2の上面に接合された第2シート材はスキン層3となり、コア層2の上方壁部2aと共にセルSを上側から閉塞する上部閉塞壁11を構成する。コア層2の下面に接合された第2シート材は、スキン層4となり、コア層2の下方壁部2bと共にセルSを下側から閉塞する下部閉塞壁12を構成する。
なお、第2シート材(スキン層3、4)をコア層2に熱溶着する際には、第1セルS1における2層構造の上方壁部2a(重ね合せ部131)が互いに熱溶着される。同様に、第2セルS2における2層構造の下方壁部2b(重ね合せ部131)が互いに熱溶着される。
上記各工程により、X方向に第1セルS1又は第2セルS2がそれぞれ列を成すように多数並設され、Y方向に第1セルS1及び第2セルS2が交互に多数並設された中空板材10が得られる。
その後、中空板材10のスキン層3及びコア層2の上方壁部2a(上部閉塞壁11)に多数の連通孔15を形成する。連通孔15は、ドリル、針、パンチ等の貫通冶具Tを、中空板材10のスキン層3及びコア層2の上方壁部2aに貫通させることにより形成される。図3(d)に示すように、貫通冶具Tは、隣り合うセルSの中心同士の各間隔と略同一の間隔で複数配列された構成となっている。複数の貫通冶具Tの下方側に中空板材10を配置して固定し、貫通冶具Tを下降移動させる。このようにして、中空板材10のスキン層3及びコア層2の上方壁部2aには、各セルSの略中央部分に各1箇所ずつの連通孔15が形成される。以上の工程を経て、複数の連通孔15が形成された中空板材10が製造される。なお、本実施形態の中空板材10は、その板厚が約20mmとされている。
次に、図4~図13に従って、上記の中空板材10を側壁用板材40及び上壁用板材60として使用した防音ボックスを組み立てるための防音ボックス用組立キットの構成について説明する。
図4に示すように、本実施形態の防音ボックス用組立キットは、防音ボックスの側壁部20を形成するための構成として、第1側壁用板材41、第2側壁用板材42、及び第3側壁用板材43を備えている。また、上壁部30を形成するための構成として、第1上壁用板材61、及び第2上壁用板材62を備えている。さらに、第1側壁用板材41、第2側壁用板材42、及び第3側壁用板材43の下端縁を支持する下方フレーム80として、第1側壁部21の下端縁を支持する第1下方フレーム81と、第2側壁部22の下端縁を支持する第2下方フレーム82を備えている。これら、各側壁用板材41、42、43、各上壁用板材61、62、及び各下方フレーム81、82により、防音ボックス用組立キットが構成されている。
図4、図5、図7及び図8に示すように、第1側壁用板材41及び第2側壁用板材42には、側壁用板材40を互いに連結するための側方フレーム50が予め側壁用板材40に取り付けられて形成されている。側方フレーム50は、図示しないビスによって、側壁用板材40に取り付けられている。
図5及び図7に示すように、側方フレーム50は、形状の異なる第1側方フレーム51と第2側方フレーム52を有している。図5に示すように、第1側方フレーム51が取り付けられた側壁用板材40を第1側壁用板材41と言い、図7に示すように、第2側方フレーム52が取り付けられた側壁用板材40を第2側壁用板材42と言う。また、第1側方フレーム51と第2側方フレーム52の両方が取り付けられた図5に示すものは、第1側壁用板材41でもあり、第2側壁用板材42でもある。なお、第1側方フレーム51、第2側方フレーム52のいずれも取り付けられていない側壁用板材40を、便宜上、第3側壁用板材43と言う。
図4及び図8に示すように、第1側方フレーム51が取り付けられた第1側壁用板材41は、防音ボックスの側壁部20のうち、第1側壁部21を形成するための部材である。ここで、図8は、防音ボックス用組立キットの側壁部20の構成について説明する図であるため、寸法、形状が実際のものとは異なっている。
図5に示すように、第1側方フレーム51は、第1側壁用板材41を形成する側壁用板材40の上端縁近傍から下端縁に至るまでの長さを有する長尺状の部材として形成されている。
図6(a)及び図6(b)に示すように、第1側方フレーム51は、互いに直交する2つの外側壁51aと、各外側壁51aと所定距離離れた位置で各外側壁51aと平行に延びる2つの内側壁51bを有する断面L字状に形成されている。そのため、一方の外側壁51aと内側壁51bの間には、長手方向に延びる溝51cが形成され、他方の外側壁51aと内側壁51bの間には、溝51cと直交する方向に開口して長手方向に延びる溝51dが形成されている。また、2つの外側壁51a及び2つの内側壁51bで囲まれた空間は、長手方向に延びる筒状空間51eを形成している。
図6(b)に示すように、一方の溝51cでは、外側壁51aの内側面と内側壁51bの内側面との間の距離L1は、中空板材10の厚み、つまり、側壁用板材40の厚みよりやや広く形成されている。具体的には、側壁用板材40の厚みより3~12%広く形成されていることが好ましく、6~9%広く形成されていることがより好ましい。同様に、他方の溝51dでは、外側壁51aの内側面と内側壁51bの内側面との間の距離L2は、側壁用板材40の厚みよりやや広く形成されている。具体的には、側壁用板材40の厚みより3~12%広く形成されていることが好ましく、6~9%広く形成されていることがより好ましい。また、L1とL2は同一とされている。
図6(a)及び図6(b)に示すように、2つの外側壁51aの外側面には、溝51c、51dと対応する部分に、内側面側に凹む凹部51fが長手方向に延びるように形成されている。凹部51fの短手方向中央部分には、凹部51fからさらに内側面側に凹む凹部51gが長手方向に延びるように形成されている。凹部51gは、凹部51fより深く、かつ幅狭に形成されている。
図5(a)、図5(b)及び図6(c)に示すように、こうした形状の第1側方フレーム51を側壁用板材40に取り付けるには、例えば一方の溝51c内に側壁用板材40の一方の長辺を挿入して、第1側方フレーム51の外側面側からビス90により固定する。ビス90による固定箇所は特に限定されないが、第1側方フレーム51の上下端部及び中間部分の最低3箇所にビス止めすることが好ましい。このとき、第1側方フレーム51の外側壁51aの外側面には、凹部51f、51gが形成されているため、図6(c)に示すように、ビス90の先端90bを凹部51gの位置に合わせてビス止めすればよい。その結果、ビス90の頭部90aの端縁が、凹部51f内に収まり、ビス90への引っ掛かりが抑制される。
図5(a)に示すように、第1側壁用板材41の上端縁近傍では、第1側方フレーム51の上端縁は、側壁用板材40の上端縁から所定距離下がった位置に取り付けられている。ここで言う所定距離とは、後に説明する第1上方フレーム71の側壁用板材40への取付け幅分に相当する。
また、図5(c)に示すように、第1側壁用板材41の下端縁では、第1側方フレーム51の下端縁が、側壁用板材40の下端縁から所定距離下がった位置となるように取り付けられている。ここで言う所定距離とは、後に説明する第1下方フレーム81及び第2下方フレーム82の底壁81b、82bの厚み分に相当する。
図4及び図8に示すように、第2側方フレーム52が取り付けられた第2側壁用板材42は、防音ボックスの側壁部20のうち、第2側壁部22の一部分を形成している。また、第1側壁部21の第1側壁用板材41の一方は、第1側方フレーム51と第2側方フレーム52の両方が取り付けられており、第2側壁用板材42としても機能している。
図7に示す第2側壁用板材42では、第2側方フレーム52は、第2側壁用板材42を形成する側壁用板材40の上端縁近傍から下端縁近傍に至るまでの長さを有する長尺状の部材として形成されている。
図7(b)に示すように、第2側方フレーム52は、互いに平行に延びる2つの外側壁52aと、各外側壁52a、52aの中央位置を連結する連結壁52bを有する断面H字状に形成されている。そのため、連結壁52bを介して互いに180゜異なる方向に開口して長手方向に延びる2つの溝52c、52dが形成されている。
図7(b)に示すように、一方の溝52cでは、外側壁52aの内側面同士の間の距離L3は、中空板材10の厚み、つまり、側壁用板材40の厚みよりやや広く形成されている。同様に、他方の溝52dでは、外側壁52aの内側面同士の間の距離L4は、側壁用板材40の厚みよりやや広く形成されている。また、L3とL4は同一とされている。溝52cでの距離L3及び溝52dでの距離L4は、具体的には、側壁用板材40の厚みより3~12%広く形成されていることが好ましく、6~9%広く形成されていることがより好ましい。
図7(a)に示すように、2つの外側壁52aの外側面であって、溝51c、51dと対応する部分には、第1側方フレーム51に形成された凹部51f、51gと同一の凹部52f、52gが長手方向に延びるように形成されている。
図7に示すように、こうした形状の第2側方フレーム52を側壁用板材40に取り付けるには、例えば一方の溝52c内に側壁用板材40の一方の長辺を挿入して、第2側方フレーム52の外側壁52aの外側面側からビス90により固定する。ビス90による固定箇所は特に限定されないが、第2側方フレーム52の上下端部及び中間部分の最低3箇所にビス止めすることが好ましい。このとき、第2側方フレーム52の外側壁52aの外側面には、凹部52f、52gが形成されているため、第1側方フレーム51と同様に、ビス90の先端90bを凹部52gの位置に合わせてビス止めすればよい。その結果、ビス90の頭部90aの端縁が、凹部52f内に収まり、ビス90への引っ掛かりが抑制される。
図7(a)に示すように、第2側壁用板材42の上端縁近傍では、第2側方フレーム52の上端縁は、側壁用板材40の上端縁から所定距離下がった位置に取り付けられている。ここで言う所定距離とは、後に説明する第1上方フレーム71の側壁用板材40への取付け幅分に相当する。
また、図7(c)に示すように、第1側壁用板材41の下端縁近傍では、第2側方フレーム52の下端縁は、側壁用板材40の下端縁から所定距離上がった位置に取り付けられている。ここで言う所定距離とは、後に説明する下方フレーム81、82の側壁用板材40への取付け幅分に相当する。
図4及び図8に示すように、防音ボックスの側壁部20のうち、第2側壁部22の一部分は、第1側方フレーム51、第2側方フレーム52のいずれも取り付けられていない第3側壁用板材43で構成されている。
本実施形態の防音ボックス用組立キットは、側壁部20を構成する部材として、第1側壁用板材41、第2側壁用板材42、及び第3側壁用板材43の3種類が存在し、それぞれ図8に上面視として説明する図に示すような配置で組み立てられるものである。すなわち、対向して配置される2つの第1側壁部21を形成するために、側壁用板材40の長辺の一方に第1側方フレーム51が取り付けられ、他方に第2側方フレーム52が取り付けられた第1側壁用板材41であり、かつ第2側壁用板材42であるものを2枚と、側壁用板材40の長辺の一方に第1側方フレーム51が取り付けられた第1側壁用板材41を2枚備えている。また、対向して配置される2つの第2側壁部22を形成するために、側壁用板材40の長辺の一方に第2側方フレーム52が取り付けられた第2側壁用板材42を4枚と、側壁用板材40に側方フレームが取り付けられていない第3側壁用板材43を2枚備えている。
図4、図9、図11及び図12に示すように、第1上壁用板材61及び第2上壁用板材62には、上壁用板材60を互いに連結し、上壁用板材60を側壁用板材40に連結するための上方フレーム70が予め上壁用板材60に取り付けられて形成されている。ここで、図12は、防音ボックス用組立キットの上壁部30の構成について説明する図であるため、寸法、形状が実際のものとは異なっている。
図9及び図11に示すように、上方フレーム70は、形状の異なる第1上方フレーム71及び第2上方フレーム72と、上壁用板材60の角部を支持する連結ジョイント73を備えている。連結ジョイント73が取り付けられた上壁用板材60を第1上壁用板材61と言い、第2上方フレーム72が取り付けられた上壁用板材60を第2上壁用板材62と言うものとする。また、連結ジョイント73と第2上方フレーム72の両方が取り付けられたものは、第1上壁用板材61でもあり、第2上壁用板材62でもある。なお、第1上方フレーム71は上壁用板材60の端縁を側壁用板材40の上端縁に連結するためのものであり、すべての上壁用板材60に取り付けられている。第1上方フレーム71及び第2上方フレーム72は、図示しないビスによって、それぞれ側壁用板材40に取り付けられている。一方、連結ジョイント73は、後に説明する挿入突部73b、73cが、第1上方フレーム71の筒状空間71eへ挿入されることによって支持されており、ビスによる固定はなされていない。連結ジョイント73がビス止めされていないため、第1上壁用板材61を形成する際の作業効率が良くなる。なお、連結ジョイント73について、ビスによる固定がなされていなくても、防音ボックスの強度に及ぼす影響は小さい。
図4及び図12に示すように、連結ジョイント73が取り付けられた第1上壁用板材61は、防音ボックスの上壁部30を構成する複数の上壁用板材60のうち、防音ボックスの上壁部30の両端部に位置するものである。
まず、すべての上壁用板材60に取り付けられている第1上方フレーム71について説明する。
図9、図11及び図12に示すように、すべての上壁用板材60の短辺及び/又は長辺には、第1上方フレーム71が取り付けられている。図12で最も右側に位置する第1上壁用板材61では、2つの短辺及び1つの長辺に取り付けられ、中央に位置する第2上壁用板材62では、2つの短辺に取り付けられている。また、図12で最も左側に位置する第1上壁用板材61かつ第2上壁用板材62では、2つの短辺及び1つの長辺に取り付けられている。
第1上方フレーム71は、上壁用板材60の周縁と側壁用板材40の上端縁とを連結するための部材であり、第1側方フレーム51と同形状の断面L字状に形成されている。つまり、図9(a)、図9(c)及び図11(a)に示すように、互いに直交する2つの外側壁71aと、各外側壁71aと所定距離離れた位置で各外側壁71aと平行に延びる2つの内側壁71bを有する断面L字状に形成されている。そのため、一方の外側壁71aと内側壁71bの間には、長手方向に延びる溝71cが形成され、他方の外側壁71aと内側壁71bの間には、溝71cと直交する方向に開口して長手方向に延びる溝71dが形成されている。また、2つの外側壁71a及び2つの内側壁71bで囲まれた空間は、長手方向に延びる筒状空間71eを形成している。
本実施形態の第1上方フレーム71は、その長さは異なるものの、第1側方フレーム51と同じ大きさの断面L字状に形成されている。そのため、外側壁51aの内側面と内側壁51bの内側面との間の溝71c、71dには、中空板材10を挿入可能とされている。また、図9(c)に示すように、2つの外側壁51aの外側面には、溝71c、71dと対応する部分に、内側面側に凹む凹部71f、71gが長手方向に延びるように形成されている。
図9に示すように、こうした形状の第1上方フレーム71を上壁用板材60に取り付けるには、例えば一方の溝71c内に上壁用板材60の短辺或いは長辺を挿入して、第1上方フレーム71の外側面側からビス90により接合する。ビス90による接合箇所は特に限定されないが、第1上方フレーム71の両端部及び中間部分の最低3箇所にビス止めすることが好ましい。このとき、第1上方フレーム71の外側壁71aの外側面には、凹部71f、71gが形成されているため、ビス90の先端90bを凹部71gの位置に合わせてビス止めすればよい。その結果、ビス90の頭部90aの端縁が、凹部71f内に収まり、ビス90への引っ掛かりが抑制される。
図9及び図11に示すように、第1上方フレーム71は、第1上壁用板材61及び第2上壁用板材62の長辺及び短辺において、それぞれの辺より少し短い長さとされている。具体的には、各辺において、後に説明する連結ジョイント73が取り付けられている部分以外の部分を覆うように取り付けられている。例えば、図9に示す第1上壁用板材61では、短辺側に取り付けられた第1上方フレーム71は、上壁用板材60において連結ジョイント73が取り付けられていない端縁の位置から、連結ジョイント73が取り付けられた端縁の近傍まで取り付けられている(図9(b))。つまり、連結ジョイント73が取り付けられた端縁では、その端縁から連結ジョイント73の上壁用板材60への取付け幅分に相当する所定距離だけ短くされた位置に取り付けられている。第1上方フレーム71の長さ、取付け位置については、第1上壁用板材61の長辺についても同様である。また、図11に示すように、第2上方フレーム72が取り付けられた第2上壁用板材62では、短辺側に取り付けられた第1上方フレーム71は、一方の端縁の位置から他方の端縁の位置まで取り付けられている。
図9、図10及び図12に示すように、第1上壁用板材61の一方の長辺の両端部には、それぞれ連結ジョイント73が取り付けられている。連結ジョイント73は、第1側壁部21と第2側壁部22とを連結する第1側方フレーム51に対して、第1上壁用板材61を連結するための部材である。
図10(a)及び図10(b)に示すように、連結ジョイント73は、互いに直交する3つの板状部材73aの内側角部に沿うように、互いに直交する3方向に向かって延びる3つの挿入突部73b、73c、73dを有する形状とされている。挿入突部73b、73c、73dは、断面正方形の筒形状とされて、その先端部は、3つの板状部材73aの端縁から突出している。3つの挿入突部73b、73c、73dはすべて同じ大きさで同じ長さとされている。また、3つの挿入突部73b、73c、73dは、第1側方フレーム51に形成された筒状空間51e及び第1上方フレーム71に形成された筒状空間71eに挿入可能な大きさに形成されている。
また、図10(a)に示すように、連結ジョイント73の板状部材73aの外側面には、挿入突部73b、73c、73dに沿う形状で外側面から凹む凹部73eが形成されている。凹部73eは、樹脂材料で成形された連結ジョイント73において、肉厚となる挿入突部73b、73c、73dが成形されることにより樹脂材料にヒケが生じることを抑制するための肉抜き部として形成されている。
図9(b)に示すように、連結ジョイント73は、第1上壁用板材61の長辺側に取り付けられた第1上方フレーム71の筒状空間71eに1つの挿入突部73bを挿入し、短辺側に取り付けられた第1上方フレーム71の筒状空間71eに別の1つの挿入突部73cを挿入した状態で取り付けられている。この状態では、3つの板状部材73aの内面が、それぞれ上壁用板材60の上面と2つの端面に当接している。また、第1上方フレーム71の筒状空間71eに挿入されていない1つの挿入突部73dは、第1側壁部21と第2側壁部22とを連結する第1側方フレーム51の筒状空間51eに挿入されて、連結ジョイント73を第1側方フレーム51に連結するための構成となる。
図11及び図12に示すように、第2上壁用板材62の一方の長辺には、長尺状の第2上方フレーム72が取り付けられている。第2上方フレーム72は、第2上壁用板材62を形成する上壁用板材60の一方の長辺の両端部近傍までの長さを有する長尺状の部材として形成されている。
図11(b)に示すように、第2上方フレーム72は、互いに平行に延びる2つの外側壁72a、72aと、各外側壁72a、72aの端縁同士を連結する連結壁72bと、一方の外側壁72aの端縁からさらに延びる支持部72cを有する断面h字状に形成されている。そのため、外側壁72a、72a及び連結壁72bで囲まれた部分が長手方向に延びる溝72dを形成し、支持部72cが溝72dの開口方向とは180゜異なる方向に向けて延びる形状とされている。
図11(b)に示すように、溝72dでは、外側壁72aの内側面同士の間の距離L5は、中空板材10の厚み、つまり、上壁用板材60の厚みよりやや広く形成されている。具体的には、上壁用板材60の厚みより3~12%広く形成されていることが好ましく、6~9%広く形成されていることがより好ましい。
図11(b)に示すように、2つの外側壁72aの外側面には、凹部72f、72gが長手方向に延びるように形成されている。凹部72f、72gは、第1側方フレーム51に形成された凹部51f、51gや、第2側方フレーム52に形成された凹部52f、52gと同一の形状、大きさとされている。
図11(a)及び図11(b)に示すように、こうした形状の第2上方フレーム72を上壁用板材60に取り付けるには、溝72d内に上壁用板材60の長辺を挿入して、第2上方フレーム72の外側壁72aの外側面側からビス90により固定する。ビス90による固定箇所は特に限定されないが、第2上方フレーム72の両端部及び中間部分の最低3箇所にビス止めすることが好ましい。このとき、第2上方フレーム72の外側壁72aの外側面には、凹部72f、72gが形成されているため、第1側方フレーム51や第2側方フレーム52と同様に、ビス90の先端90bを凹部72gの位置に合わせてビス止めすればよい。その結果、ビス90の頭部90aの端縁が、凹部72f内に収まり、ビス90への引っ掛かりが抑制される。
図11(a)に示すように、第2上壁用板材62に取り付けられている第2上方フレーム72は、第2上壁用板材62の長辺の両端部近傍の位置まで延びている。第2上壁用板材62の2つの短辺には、第1上方フレーム71が取り付けられているため、第2上方フレーム72は、上壁用板材60の長辺の長さより、第1上方フレーム71の上壁用板材60への取付け幅分、短い長さとなっている。
図12(a)及び図12(b)に示すように、本実施形態の防音ボックス用組立キットは、上壁部30を構成する部材として、第1上壁用板材61、第2上壁用板材62の2種類が存在する。それぞれ図12(a)に上面視として説明する図に示すような配置で組み立てられるものである。すなわち、上壁部30において、防音ボックスの角部を閉塞する第1上壁用板材61を2枚と、中央部分を閉塞する第2上壁用板材62を1枚備えている。2枚の第1上壁用板材61のうちの一方には、第2上方フレーム72も取り付けられており、第2上壁用板材62としても機能している。
図4及び図13に示すように、側壁部20の下方に設けられる下方フレーム80は、断面コ字状の長尺状に形成された第1下方フレーム81と第2下方フレーム82を備えている。第1下方フレーム81は、第1側壁部21の下端縁を挿入して支持し、第2下方フレーム82は、第2側壁部22の下端縁を挿入して支持する。本実施形態の下方フレーム80はアルミニウムで形成されている。
第1下方フレーム81と第2下方フレーム82は、互いに長さが異なるのみで他の構成は共通している。第1側壁部21の下端縁を支持する第1下方フレーム81は、側壁用板材40の短辺の約2倍の長さ、すなわち、約2000mmの長さとされている。また、第2側壁部22の下端縁を支持する第2下方フレーム82は、側壁用板材40の短辺の約3倍の長さ、すなわち、約3000mmの長さとされている。
図13に示すように、第1下方フレーム81は、互いに平行に延びる2つの外側壁81aと、各外側壁81a、81aの端縁同士を連結する底壁81bを有する断面コ字状に形成されている。そのため、外側壁81a、81aと底壁81bで囲まれた部分には、長手方向に延びる溝81cが形成されている。溝81cでは、外側壁81aの内側面同士の間の距離L6は、中空板材10の厚み、つまり、側壁用板材40の厚みよりやや広く形成されている。具体的には、側壁用板材40の厚みより3~12%広く形成されていることが好ましく、6~9%広く形成されていることがより好ましい。
第1下方フレーム81の外側壁81aの外側面には、第1側方フレーム51、第2側方フレーム52、第1上方フレーム71、第2上方フレーム72と同様に、ビス打ちの際に使用する凹部81f、81gが長手方向に延びるように形成されている。
第2下方フレーム82は、第1下方フレーム81と長さ以外の構成は共通していることから、ここでは説明を省略するが、対応する部材番号としては、外側壁82a、底壁82b、溝82c、凹部82f、82gとする。
以上説明したように、本実施形態の防音ボックス用組立キットは、防音ボックスの側壁部20を形成するための構成として、第1側壁用板材41、第2側壁用板材42、及び第3側壁用板材43を備えている。また、上壁部30を形成するための構成として、第1上壁用板材61、及び第2上壁用板材62を備えている。さらに、第1側壁用板材41、第2側壁用板材42、及び第3側壁用板材43の下端縁を支持する下方フレーム80として、第1側壁部21の下端縁を支持する第1下方フレーム81と、第2側壁部22の下端縁を支持する第2下方フレーム82を備えている。これら、各側壁用板材41、42、43、各上壁用板材61、62、及び各下方フレーム81、82により、防音ボックス用組立キットが構成されている。
次に、図14に従って、上記の防音ボックス用組立キットを使用して防音ボックスを組み立てる組立方法について、防音ボックス用組立キットの作用とともに説明する。
図14(a)に示すように、まず、防音ボックスを設置する床上に、2つの第1下方フレーム81と2つの第2下方フレーム82を長方形状を形作るように載置する。このとき、図14(a)の拡大図に示すように、第1下方フレーム81と第2下方フレーム82とは互いに連結しない状態としておく。また、第1下方フレーム81の端部と第2下方フレーム82の端部との間に、少し間隔があけられた状態としておく。
図14(b)に示すように、側壁部20の角部、すなわち、第1側壁部21と第2側壁部22との連結部分を形成する第1側壁用板材41及び第2側壁用板材42をまず連結する。ここでは、図4及び図8における手前側の第1側壁部21の右側に位置する第1側壁用板材41(図8では左側の第1側壁部21の下側に位置する第1側壁用板材41)と、手前側の第2側壁部22の左側に位置する第2側壁用板材42とについて説明する。
まず、第1側壁用板材41の下端縁を第1下方フレーム81の溝81cに挿入し、第2側壁用板材42の下端縁を第2下方フレーム82の溝82cに挿入する。このとき作業者は、第1下方フレーム81の溝81cにその下端縁を挿入した状態の第1側壁用板材41を、一方の長辺に取り付けられた第1側方フレーム51の部分だけが、第1下方フレーム81に挿入されていない状態で支持する。また、第2下方フレーム82の溝82cにその下端縁を挿入した状態の第2側壁用板材42を、第2側壁用板材42への第1側方フレーム51の取付け幅分に相当する部分だけが、第2下方フレーム82に挿入されていない状態で支持する。
この状態で、第1側壁用板材41の第2側壁用板材42側の長辺には、第1側方フレーム51が取り付けられている。また、第2側壁用板材42の第1側壁用板材41側の長辺には、側方フレーム50は取り付けられていない。そのため、第1側壁用板材41に取り付けられている第1側方フレーム51の溝51dに、第2側壁用板材42の前記長辺を挿入する。このとき、第2側壁用板材42の前記長辺の端面が、第1側方フレーム51の内側壁51bに当接するまで挿入する。この状態で、図6(c)に示すように、第1側方フレーム51の外側壁51aに形成された凹部51gにビス90の先端90bを位置合わせして、複数箇所にビス止めをする。ビス90の頭部90aは、凹部51fの幅よりやや小さく形成されており、凹部51f内に収まる。このようにして、側壁部20の角部、すなわち、第1側壁部21と第2側壁部22との連結部分を形成する第1側壁用板材41と第2側壁用板材42が連結固定される。
この状態では、第1側壁部21の角部の第1側壁用板材41と、第2側壁部22の角部の第2側壁用板材42とが、第1側方フレームにより、互いに直交する形状で固定されている。また、第1側壁用板材41と第2側壁用板材42の下端縁は、第1下方フレーム81及び第2下方フレーム82によって支持されている。そのため、第1側壁用板材41、第2側壁用板材42を作業者が手で支持していなくても自立状態となっている。
また、第1側壁部21と第2側壁部22との連結部分である第1側方フレーム51の下端部は、第1下方フレーム81の溝81c及び第2下方フレーム82の溝82cに挿入されていない。そして、図5(c)に示すように、第1側壁用板材41の下端縁では、第1側方フレーム51の下端縁が、側壁用板材40の下端縁から、第1下方フレーム81及び第2下方フレーム82の底壁81b、82bの厚み分だけ下がった位置に取り付けられている。そのため、下方フレーム81、82の下端縁と、第1側方フレーム51の下端縁とが面一となっている。連結固定された第1側壁用板材41と第2側壁用板材42ががたつかず、安定した自立状態となっている。
第1側方フレーム51の溝51dでは、外側壁51aの内側面と内側壁51bの内側面との間の距離L2が、側壁用板材40の厚みよりやや広く形成されている。そして、第1下方フレーム81の溝81cでは、2つの外側壁81aの内側面同士の距離L6が、側壁用板材40の厚みよりやや広く形成されている。さらに、第2下方フレーム82の溝82cでも、2つの外側壁82aの内側面同士の距離L6が、側壁用板材40の厚みよりやや広く形成されている。そのため、第2側壁部22側の第1側壁用板材41の第1側方フレーム51の溝51dに、第1側壁部21側の第2側壁用板材42の一方の長辺を挿入する作業がスムーズとなる。また、第2側壁用板材42の下端部端縁を第1下方フレーム81の溝81cに挿入する作業や、第1側壁用板材41の下端部端縁を第2下方フレーム82の溝82cに挿入する作業がスムーズとなる。
また、第1下方フレーム81と第2下方フレーム82とは互いに連結されていない。そのため、第1下方フレーム81で支持された状態の第1側壁用板材41を、第2下方フレーム82で支持された状態の第2側壁用板材42に位置合わせするように動かしながら、連結作業をすることができる。
続いて、図4において、手前側の第1側壁部21の右側に位置する第1側壁用板材41に、手前側の第1側壁部21の左側に位置する第1側壁用板材41を連結する。図4、図5及び図8に示すように、手前側の第1側壁部21の右側に位置する第1側壁用板材41は、第1側方フレーム51が取り付けられた長辺とは反対側の長辺に、第2側方フレーム52の溝52cが取り付けられており、第2側壁用板材42としても機能する。そのため、右側に位置する第1側壁用板材41(第2側壁用板材42)に取り付けられている第2側方フレーム52の溝52cに、左側に位置する第1側壁用板材41において第1側方フレーム51が取り付けられていない長辺側端縁を挿入してビス止めにより固定する。
なお、第2側方フレーム52と第1側壁用板材41とのビス止めによる固定は、第2側方フレーム52に形成された凹部52f、52gの部分で、第1側方フレーム51でのビス止めと同様に行う。また、以下の説明においても、第1上方フレーム71とのビス止めによる固定は、凹部71f、71gの部分で同様に行い、第2上方フレーム72とのビス止めによる固定も、凹部72f、72gの部分で同様に行うことから、以下の説明ではビス止めの詳しい説明は省略する。
このとき、図14(b)に示す工程によって既に連結固定されている第1側壁用板材41と第2側壁用板材42は、直交するように連結固定されて自立状態とされている。そのため、図4の手前側の第1側壁部21の右側に位置する第1側壁用板材41に、手前側の第1側壁部21の左側に位置する第1側壁用板材41を連結する際には、自立状態とされた第1側壁用板材41と第2側壁用板材42を支えていなくても倒れにくい。作業者が一人であってもスムーズに組立作業を進めることができる。
さらに、図4の手前側の第1側壁部21の左側に位置する第1側壁用板材41に、図4の奥側の第2側壁部22の左側に位置する第3側壁用板材43を連結する。図4の手前側の第1側壁部21の左側に位置する第1側壁用板材41には、第1側方フレーム51の一方の溝51c、51dが取り付けられているため、他方の溝51d、51c内に第3側壁用板材43の一方の長辺を挿入してビス止めにより固定する。
これにより、図14(c)に示すように、第1側壁部21と、手前側の第2側壁部22の第2側壁用板材42と、奥側の第2側壁部22の第3側壁用板材43により、4枚の側壁用板材40が連結されてなる上面視コ字状の部分構造が形成される。
図14(c)に示すように、側壁部20の一部が形成された部分構造の上端に、1枚の第1上壁用板材61を連結する。ここでは、図4に示す上壁部30の左側に位置する第1上壁用板材61を、上述した上面視コ字状の部分構造の上端に連結する。
第1上壁用板材61の一方の長辺の両端部には、連結ジョイント73が取り付けられている。また、図9に示す状態としたとき、連結ジョイント73に形成された挿入突部73dは、下方を向いている。連結ジョイント73が取り付けられた長辺が左側に位置し、挿入突部73dが下方を向いた状態の第1上壁用板材61を、上面視コ字状の部分構造の上端に位置合わせする。このとき、第1側壁部21と第2側壁部22の角部には、第1側方フレーム51が取り付けられており、第1側方フレーム51には、上下方向に延びる筒状空間51eが形成されている。この筒状空間51e内に、第1上壁用板材61に取り付けられている連結ジョイント73の挿入突部73dを挿入する。筒状空間51eの上端部は、挿入突部73dを挿入するための挿入孔として機能する。
また、第1上壁用板材61の2つの短辺及び1つの長辺には、断面L字状の第1上方フレーム71の一方の溝71cに上壁用板材60の端縁が挿入された形状で取り付けられている。そして、他方の溝71dは、下方に向かって開口している。他方の溝71dに、上面視コ字状の部分構造を構成する第1側壁用板材41、第2側壁用板材42、及び第3側壁用板材43の上端縁を挿入してビス止めにより固定する。
図14(d)に示すように、同様の作業により、図4に示す手前側の第2側壁部22の中央に位置する第2側壁用板材42を連結固定し、奥側の第2側壁部22の中央に位置する第2側壁用板材42を連結固定し、上壁部30の中央に位置する第2上壁用板材62を第2側壁部22の上方に載置する。このとき、図4に示す上壁部30の左側に位置する第1上壁用板材61は、図12に示すように、他方の長辺に第2上方フレーム72が取り付けられた第2上壁用板材62としても機能する。第2上方フレーム72は、断面h字状に形成されており、上壁部30の左側の第1上壁用板材61には、第2上方フレーム72の溝72dが取り付けられている。そして、支持部72cが、溝72dの開口方向とは反対側に延びている。そのため、第2上壁用板材62に隣接する上壁用板材60は、その長辺を第2上方フレーム72の支持部72c上に載置することで安定して支持される。
また、上壁部30の中央に位置する第2上壁用板材62の2つの短辺に取り付けられた第1上方フレーム71の他方の溝71dに、第2側壁部22の中央に位置する第2側壁用板材42の上端縁を挿入してビス止めにより固定する。
図14(e)に示すように、同様の作業により、図4に示す手前側の第2側壁部22の右側に位置する第3側壁用板材43を連結固定し、奥側の第2側壁部22の右側に位置する第2側壁用板材42を連結固定する。さらに、図4に示す奥側の第1側壁部21の2つの第1側壁用板材41を第2側壁部22の左側端部にそれぞれ連結固定する。そして、最後に、図4に示す上壁部30の右側に位置する第1上壁用板材61を側壁部20の上方に載置する。左側の第1上壁用板材61に取り付けられた第1上方フレーム71の他方の溝71dに、第1側壁用板材41、第2側壁用板材42、及び第3側壁用板材43の上端縁を挿入してビス止めにより固定する。
これにより、図1及び図14(f)に示すような直方体形状の防音ボックスが組み立てられる。
上記実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)上記実施形態の防音ボックスは、防音ボックスの側壁部20は長方形状の板材である側壁用板材40を側方フレーム50によって互いに連結して構成されている。そして、上記実施形態の防音ボックス用組立キットは、側壁用板材40に、側方フレーム50が予め取り付けられたもので構成されている。側方フレーム50は、断面L字状の第1側方フレーム51と、断面H字状の第2側方フレーム52を備えており、第1側方フレーム51が予め取り付けられた第1側壁用板材41と、第2側方フレーム52が予め取り付けられた第2側壁用板材42を備えている。さらに、側方フレーム50が取り付けられていない第3側壁用板材43を備えている。これら第1側壁用板材41、第2側壁用板材42、第3側壁用板材43を適宜組み合わせて連結することにより、側壁部20が形成することができる。そのため、現場において、側壁用板材40に側方フレーム50を連結するための連結作業が不要となり、組立作業の工程を簡略化することができる。組立作業がし易い防音ボックス用組立キットが得られる。
(2)上記実施形態の防音ボックスの側壁部20は、互いに交差する方向に延びる第1側壁部21と第2側壁部22を備えており、第1側壁部21の下端縁は第1下方フレーム81で支持され、第2側壁部22の下端縁は第2下方フレーム82で支持される。そして、防音ボックス用組立キットでの防音ボックスの組立作業時には、第1下方フレーム81と第2下方フレーム82とが、互いに連結されていない状態としている。そのため、組立作業時に、第1下方フレーム81で支持された状態の第1側壁部21を形成する側壁用板材40を、第2下方フレーム82で支持された状態の第2側壁部22を形成する側壁用板材40に位置合わせするように動かしながら、連結作業をすることができる。逆に、第2下方フレーム82で支持された状態の第2側壁部22を形成する側壁用板材40を、第1下方フレーム81で支持された状態の第1側壁部21を形成する側壁用板材40に位置合わせするように動かしながら、連結作業をすることができる。下方フレーム81、82で支持された一方の側壁部21、22の側壁用板材40を、他方の側壁部22、21の側壁用板材40に位置合わせし易く、側壁用板材40同士を容易に連結することができる。
(3)第1下方フレーム81は、第1側壁部21を形成する2枚の第1側壁用板材41の下端縁全長を支持している。そのため、第1側壁部21を形成する第1側壁用板材41同士を連結する際、先に第1下方フレーム81に支持された第1側壁用板材41に対して連結する第1側壁用板材41は、下端縁を第1下方フレーム81内に挿入させた後、長辺を第2側方フレーム52内に挿入させていく。この場合、第1側壁用板材41の下端縁が第2下方フレーム82で支持されているため、第1側壁用板材41の側縁(長辺)を下方から上方にかけて挿入させていけば、安定して挿入することができる。組立作業中には、長方形状に形成された第1側壁用板材41の上端部が垂れ下がるように変形し易いが、下端縁が2枚の第1側壁用板材41の下端縁の長さに相当する第1下方フレーム81によって支持されているため、第1側壁用板材41の側縁(長辺)を下方から上方にかけて挿入する作業をし易く、第1側壁用板材41が変形しても修正しながら挿入することができる。そのため、第1側壁部21を形成する2枚の第1側壁用板材41同士を容易に連結することができる。これは、3枚の第2側壁用板材42、第3側壁用板材43の下端縁全長が第2下方フレーム82で支持されている第2側壁部22での連結作業についても同様である。
(4)防音ボックスの角部を連結する第1側方フレーム51が取り付けられた第1側壁用板材41の下端縁では、第1側方フレーム51の下端縁が、側壁用板材40の下端縁から、第1下方フレーム81及び第2下方フレーム82の底壁81b、82bの厚み分だけ下がった位置に取り付けられている。また、組立作業時には、第1側方フレーム51が、第1下方フレーム81の溝81c、第2下方フレームの溝82cに挿入されない状態としている。そのため、防音ボックスの角部を構成する第1側壁用板材41及び第2側壁用板材42の下端縁と、第1側方フレーム51の下端縁とが面一となり、防音ボックスのガタつきが抑制される。また、組立作業中においてもガタつきが抑制され、組立作業がスムーズに行える。
(5)上記実施形態の防音ボックスは、防音ボックスの側壁部20により区画された収容空間の上部が上壁部30で閉塞されている。そのため、内部に騒音源を収容した場合に、騒音が外部に漏れることを低減することができる。
(6)上記実施形態の防音ボックス用組立キットは、上壁部30を構成する第1上壁用板材61の角部には、連結ジョイント73が取り付けられており、連結ジョイント73には、挿入突部73dが形成されている。また、第1側壁用板材41に取り付けられた第1側方フレーム51の筒状空間51eが形成されており、連結ジョイント73の挿入突部73dを挿入可能な挿入孔として機能している。そのため、第1上壁用板材61に取り付けられている連結ジョイント73の挿入突部73dを、第1側壁用板材41に取り付けられている第1側方フレーム51の筒状空間51eに挿入することで、第1上壁用板材61をスムーズに側壁部20の上部に取り付けることができる。上壁部30の組立作業がし易い防音ボックス用組立キットが得られる。
(7)第1側方フレーム51に形成された溝51c、51dの幅、第2側方フレーム52に形成された溝52c、52dの幅、第1上方フレーム71に形成された溝71c、71dの幅、第1下方フレーム81に形成された溝81cの幅、及び第2下方フレーム82に形成された溝82cの幅は、中空板材10の厚みよりやや広く形成されている。そのため、各フレーム50,70、80と各側壁用板材40との連結作業がスムーズに行え、防音ボックスの組立作業がし易い。
(8)第1側方フレーム51の外側壁51aの外側面、第2側方フレーム52の外側壁52aの外側面、第1上方フレーム71の外側壁71aの外側面には、防音ボックス用組立キットの組立作業時にビス打ちするための凹部51f、51g、52f、52g、71f、71gが形成されている。そのため、ビス打ちの作業がし易く、ビス打ち後にビス90の頭部90aへの引っ掛かりが抑制される。
(9)上記実施形態の防音ボックス用組立キットでは、側壁部20を形成する側壁用板材40及び上壁部30を形成する上壁用板材60は、内部に複数のセルSが並設された中空板材10で形成されている。そのため、防音ボックス用組立キットを構成する側壁用板材40及び上壁用板材60が軽量であるとともに、適度な剛性を備えている。運搬作業がし易く、組立作業がし易い。
(10)上記実施形態の防音ボックス用組立キットでは、下方フレーム80はアルミニウム製である。そのため、適度な強度を備えている。側壁部20を構成する第1側壁用板材41、第2側壁用板材42及び第3側壁用板材43を、下方フレーム80に挿入する際、挿入し易い。
(11)上記実施形態の防音ボックス用組立キットを使用した防音ボックスの組立方法では、先に、防音ボックスの角部となる第2側壁部22の端部の第2側壁用板材42と、第1側壁部21の端部の第1側壁用板材41を連結して固定する。そのため、連結固定された第1側壁用板材41と第2側壁用板材42が自立状態となり、作業者が支えていなくてもよい。組立作業の効率がよくなり、防音ボックスを早く効率的に組み立てることができる。
(12)上記実施形態の防音ボックス用組立キットでは、第2上壁用板材62の長辺に断面h字状の第2上方フレーム72が取り付けられている。また、各上壁用板材60の短辺には、第1上方フレーム71が取り付けられている。第2上方フレーム72は、第2上壁用板材62に取り付けられた状態で、第2上壁用板材62から外方へ突出する支持部72cを有している。また、第1上方フレーム71は、各上壁用板材60に取り付けられた状態で、下方に向かって開口する溝71c、71dを有している。そのため、第2上壁用板材62に隣接して上壁用板材60を連結する時、隣接する上壁用板材60の長辺を支持部72cの上に載置し、側壁用板材40の上端縁に上壁用板材60に取り付けられた第1上方フレーム71の溝71c、71dを挿入する。これにより、第1上方フレーム71を側壁用板材にビス止めする前であっても、上壁用板材60は、その長辺を第2上壁用板材62の支持部72cの上に載せた状態で、側壁用板材40の上端部に安定して支持される。何人もの作業者が上壁用板材60を固定するまで落ちないように支持する必要がなくなり、組立作業がスムーズに行える。
(13)上記実施形態の防音ボックス用組立キットでは、側壁用板材40を形成する中空板材10は、すべて約1000mm×2500mmの長方形状とされており、上壁用板材60を形成する中空板材10は、すべて約1000mm×2000mmの長方形状とされている。そのため、2枚の側壁用板材40で形成した第1側壁部21の上端部の幅と、上壁用板材60の長辺の長さが一致する。第1側壁部21を2枚の側壁用板材40で形成した場合、防音ボックスの上部を閉塞することができる。また、第2側壁部22を構成する側壁用板材40の枚数を適宜増やすごとに、上壁部30を構成する上壁用板材60の枚数を適宜増やすことで、防音ボックスの上部を閉塞することができる。適宜の大きさの防音ボックスを形成し易い。
(14)上記実施形態の防音ボックスでは、側壁部20及び上壁部30は、内部に複数のセルSが並設された中空板材10で形成されており、防音ボックスの収容空間側の面には、複数の連通孔15が形成されている。また、中空板材10の収容空間側の面には板状のウレタンマット材が脱着可能に貼着されている。そのため、収容空間内の騒音源からの騒音は、ウレタンマット材だけでなく中空板材10のセルS内で減衰され、吸音される。ここで、多孔質性の材料で形成されているウレタンマット材においては、ウレタンマット材の隙間の空気を伝播し、空気の摩擦や粘性抵抗等によって、空気の振動が熱エネルギーとして消費されることで吸音される。一方、複数のセルSを有する中空板材10においては、セルSの内外を連通させる連通孔15の近傍で空気が激しく振動し、当該空気が連通孔15の周辺部分と摩擦することにより空気の振動が熱エネルギーとして消費される。すなわち、ウレタンマット材と中空板材10では、異なる原理によって騒音の吸音を行っている。このように異なる原理での吸音を併用することで、上記実施形態の防音ボックスによれば、広い周波数域での吸音効果が期待できる。
上記実施形態は、次のように変更できる。なお、以下の変更例は、必要に応じて、適宜組み合わせて適用してもよい。
・ 上記実施形態の防音ボックス用組立キットは、窓や扉等のない単純な直方体形状の箱体としての防音ボックスを組み立てるためのものとして説明したが、これに限定されない。例えば、図1に示すように、側壁用板材40として、扉44が設けられたものを使用してもよく、窓が設けられたものを使用してもよい。また、上壁用板材60として、窓が設けられたものを使用してもよい。さらに、側壁用板材40の一部を扉として開閉可能としてもよい。
図1に示すような扉44が設けられた防音ボックスを組み立てる防音ボックス用組立キットとしては、第1側壁部21を形成する一方の第1側壁用板材41として、長方形状の開口部が形成されたものを使用する。上記実施形態と同様の工程で防音ボックスを組み立てた後、開口部が形成された第1側壁用板材41が連結された第1側壁部21の上方、下方、右側方に、第2上方フレーム72と同一形状のフレーム部材をビス止めにより取り付ける。その後、開口部を覆う形状、大きさに形成した扉44を、フレーム部材に沿うように取り付け、開口部が形成された第1側壁用板材41が連結された第1側壁部21の左側方に、第2上方フレーム72と同一形状のフレーム部材をビス止めにより取り付ける。これにより、上方及び下方のフレーム部材に沿うように扉44をスライドさせれば、開口部を開放することができ、開口部を介して作業者が防音ボックスに出入りすることができる。
・ 上記実施形態の防音ボックスは、側壁部で区画された収容空間の上方全体を覆う形状の上壁部を備える構造としたが、上壁部は収容空間の上方全体を覆うものではなく、部分的に覆うものであってもよい。例えば、この場合の防音ボックス用組立キットとしては、連結ジョイント73を有する第1上壁用板材61のみを有し、防音ボックスの上壁部の両端部のみが覆われている防音ボックスとしてもよい。また、防音ボックス用組立キットとして第1上壁用板材61、第2上壁用板材62のいずれも有さず、防音ボックスが上壁部を備えないものであってもよい。
・ 上記実施形態の防音ボックスは、直方体形状とされているがこれに限定されない。上面視三角形状或いは上面視五角形状以上の多角体形状であってもよい。この場合、第1側方フレーム51の形状や連結ジョイント73の形状を適宜変更すればよい。
・ 上方フレーム70は、断面L字状の第1上方フレーム71、断面h字状の第2上方フレーム72及び連結ジョイント73で構成されているが、他の構成を備えていてもよい。例えば、図15(a)に示すように、隣り合う側壁用板材40同士の連結部分の上端部を支持する第3上方フレーム74を備えていてもよい。
図15(b)及び図15(c)に示すように、第3上方フレーム74は、互いに直交する2つの板状部材74aと、2つの板状部材74aの内側角部の位置で、板状部材74aの端縁から互いに180゜異なる方向に向かって延びる2つの挿入突部74b、74cを有している。挿入突部74b、74cは、断面正方形の筒形状とされて、その先端部は、板状部材74aの両端縁からそれぞれ突出している。2つの挿入突部74b、74cは同じ大きさで同じ長さとされている。これら2つの挿入突部74b、74cは、第1上方フレーム71に形成された筒状空間71eに挿入可能な大きさに形成されている。
図15(c)に示すように、第3上方フレーム74の内側には、2つの板状部材74a、74aの内側角部と2つの挿入突部74b、74cの基端側端面とを連結する形状の第1リブ74dと、第1リブ74dの長手方向中間位置で、2つの板状部材74a、74aを連結する形状の第2リブ74eが形成されている。第1リブ74d及び第2リブ74eが形成されているため、2つの板状部材74aの内側角部の全体に挿入突部74b、74cが形成されている場合に比べて、2つの板状部材74aの内側角部が肉厚となることが抑制され、樹脂材料にヒケが生じることが抑制される。また、2つの板状部材74aの外側面を平坦面とすることができる。さらに、第1リブ74d及び第2リブ74eによって、第3上方フレーム74が補強される。第1リブ74d及び第2リブ74eは、肉抜き部として機能するとともに補強部として機能する。
こうした第3上方フレーム74を備える防音ボックス用組立キットでは、図15(a)に示すように、第3上方フレーム74が取り付けられる部分に位置する上壁用板材60において、短辺に取り付けられた第1上方フレーム71の長さが所定距離短くされている。ここで言う所定距離とは、第3上方フレーム74の上壁用板材60への取付け幅分に相当する。
第3上方フレーム74は、予め上壁用板材60に取り付けられていてもよい。また、組立作業時に、上壁用板材60に取り付けられている第1上方フレーム71の筒状空間71eに、挿入突部74b、74cを挿入して連結してもよい。
第3上方フレーム74が取り付けられた防音ボックスでは、第3上方フレーム74の一方の板状部材74aが隣り合う上壁用板材60に当接して支持し、他方の板状部材74aが隣り合う側壁用板材40に当接して支持する。そのため、側壁用板材40、上壁用板材60の連結箇所の強度が向上する。
・ 上記実施形態の防音ボックス用組立キットでは、第1側壁部21を形成する側壁用板材40に第1側方フレーム51を予め取り付けて第1側壁用板材41としたが、これに限定されない。第2側壁部22を形成する側壁用板材40に第1側方フレーム51を予め取り付けてもよく、第1側壁部21を形成する側壁用板材40と第2側壁部22を形成する側壁用板材40とに第1側方フレーム51を予め取り付けてもよい。この場合、例えば、第2側壁部22を形成する側壁用板材40の一方を第1側壁用板材41とし、他方の側壁用板材40では、連結される第1側壁部21の側壁用板材40を第1側壁用板材41とする。
同様に第2側方フレーム52を取り付けられている第2側壁用板材42の配置位置も適宜変更することができる。例えば、図8に示す第2側壁部22において、左右両端部に位置する側壁用板材40に第2側方フレーム52を取り付け、中央に位置する側壁用板材40には第2側方フレーム52を取り付けないようにしてもよい。つまり、左右両端部に第2側壁用板材42を配置し、中央に第3側壁用板材43を配置してもよい。
・ 上記実施形態の防音ボックス用組立キットは、各側方フレーム50、各上方フレーム70が予めビス止めによって側壁用板材40や上壁用板材60に取り付けられているが、取付方法はビス止めに限らない。ネジ止めによって取り付けられていてもよく、接着剤によって取り付けられていてもよい。
・ 第1上壁用板材61では、第1上方フレーム71はビス止めされているが、連結ジョイント73は、挿入突部73b、73cが、第1上方フレーム71の筒状空間71eへ挿入されることによって支持されているだけで、ビス止めによって接合はされていない。これに限らず、連結ジョイント73もビス止めや、接着剤等の固定手段によって接合されていてもよい。
・ 上記実施形態の防音ボックスでは、側方フレーム50、上方フレーム70、下方フレーム80は、側壁用板材40及び上壁用板材60のすべての端縁を覆うように取り付けられているが、これに限定されない。側壁用板材40及び上壁用板材60の各辺の長さより短く、各フレーム50、70、80が取り付けられていない部分があってもよい。
・ 上記実施形態の防音ボックス用組立キットでは、側方フレーム50は予め側壁用板材40に取り付けられており、上方フレーム70は予め上壁用板材60に取り付けられているが、下方フレーム80は、側壁用板材40に取り付けられていない。これに限定されず、下方フレーム80が側壁用板材40に予め取り付けられていてもよい。この場合、第1側壁部21の下方を支持する第1下方フレーム81が、第1側壁部21の下端縁全長を支持する長さでなくてもよい。例えば、第1下方フレーム81が、第1側壁部21を形成する一方の第1側壁用板材41の下端縁であって、該第1側壁用板材41の下端縁の端部から側方に突出する位置に予め取り付けられていてもよい。この場合、側方から突出する長さは、他方の第1側壁用板材41の下端縁全長の長さでなく、短くてもよい。
このような構成であっても、第1下方フレーム81が取り付けられた第1側壁用板材41に対して、他方の第1側壁用板材41を連結する際、第1側壁用板材41の下端縁の端部から側方に突出した第1下方フレーム81に他方の第1側壁用板材41の下端縁を挿入して連結することができる。第1下方フレーム81の、第1側壁用板材41の下端縁の端部からの突出量は、防音ボックスの組立作業時に、第1側壁用板材41の取り扱い易さを考慮して適宜決定することができる。
同様に、第2側壁部22を形成する第2側壁用板材42、第3側壁用板材43の少なくとも1枚に第2下方フレーム82を予め取り付けておいてもよい。
・ 防音ボックスの剛性を維持するために、例えば、筋交い等のフレーム部材を取り付けてもよい。
・ 第1側壁用板材41の長辺に取り付けられた第1側方フレーム51は、長辺の長さより短いものが複数取り付けられていてもよい。第2側壁用板材42に対する第2側方フレーム52、第1上壁用板材61に対する第1上方フレーム71、第2上壁用板材62に対する第2上方フレーム72も同様である。
・ 上記実施形態の防音ボックスの組立方法では、ビス90による固定箇所を各側方フレーム50、各上方フレーム70の両端部及び中間部分の最低3箇所としたが、これに限定されない。ビス止めの箇所をさらに多くしてもよい。例えば、各フレーム50、70の全長に亘って、約150~200mm間隔でビス止めしてもよい。この場合、各フレーム50、70の両端部にビス止めされていることが好ましい。
・ 各側壁用板材、各上壁用板材の1枚または複数枚を透明、或いは半透明の中空板材10で形成してもよい。こうすると、防音ボックスの内部が明るくなる。
・ 各側壁用板材、各上壁用板材に持ち手部分を取り付けてもよい。組立作業時の運搬作業がし易い。
・ 中空板材10の外面に、他のシート材を接合してもよい。シート材としては、例えば、金属シート(金属箔)、鋼板、紙、布などであってもよい。また、スキン層4そのものを、金属シート(金属箔)、紙、布などで構成してもよい。
・ 側壁用板材40及び上壁用板材60を中空板材10で形成したが、中空構造体でなくてもよい。また、中空板材10は、一枚の第1シート材100を折り畳み成形してコア層2を形成するのに限らず、複数枚のシート材を用いてコア層を形成するものであってもよい。
・ 中空板材10におけるセルSの形状は、六角柱形状に限らない。例えばセルSの形状は、四角柱形状であってもよいし円柱形状であってもよい。また、異なる形状のセルSが混在されていてもよい。さらに、中空板材10において、隣り合うセルSが接している場合に限らず、隣り合う2つのセルSの間に間隔が生じていてもよい。なお、セルSとセルSとの間に間隔が生じている場合、セルSの内外を連通させる連通孔15だけでなく、セルSとセルSとの間の空間の内外を連通させる連通孔を設けてもよい。
・ 中空板材10において、連通孔15は、一つのセルSに対して複数設けられていてもよい。また、連通孔15は、全てのセルSに対応して設けられていなくてもよく、一部のセルSに対応して設けられていてもよい。なお、連通孔15を設けなくてもよい。
・ 上記実施形態の防音ボックスでは、各側壁用板材40及び各上壁用板材60の内面には、板状のウレタンマット材(発泡ウレタンフォーム材)が脱着可能に貼着されているが、ウレタンマット材を省略してもよい。また、ウレタンマット材ではなく、グラスウールや不織布等であってもよい。いずれも内部に複数の孔を有する多孔質性の部材であり、吸音材として機能する。
・ 側壁用板材40に、内部の粉砕機やモータ等の配線を通すための孔を設けてもよい。また、側壁用板材40や、上壁用板材60に、換気扇等が取り付けられるようにしてもよい。