JP7137324B2 - 成型品の離型方法、及び離型装置 - Google Patents

成型品の離型方法、及び離型装置 Download PDF

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本発明は、成型品をモールド(型)から離型する方法、及びその装置に関する。成型品は、好ましくは、インプリント成型品である。
近年、携帯電話、スマートフォンをはじめとするモバイル電子機器においては、センサーやカメラ等の光学部品を搭載することにより製品価値を向上することが求められている。また、年々、小型化、薄型化が進み、使用される部品も、より小型で、より薄型のものが求められている。そのような要求に対して、従来、射出成型によって部品を製造することで対応してきたが、射出成型法では小型化、薄型化への対応に限界がきている。そこで、射出成型法に代わる新たな成型方法としてインプリント成型法が注目を浴びている。しかし、インプリント成型法では、モールドからの成型品の離型性に問題が生じやすく、成型精度が損なわれる場合があった。
インプリント成型においてモールドからの成型品を離型する方法としては、モールドと成型品の間にピンを差し込んで離型する方法(例えば、特許文献1)、成型品の周辺部を保持して垂直方向にモールドから離型する方法(例えば、特許文献2)、成型品の一部を保持して斜め方向にモールドから離型する方法(例えば、特許文献3、4)、モールドに振動や超音波を照射して離型をアシストする方法(例えば、特許文献5)、モールドを傾斜させて成型品から離型する方法(例えば、特許文献6)などが報告されている。
特開2007-118552号公報 特開2003-181855号公報 特開2008-284822号公報 WO2010/142958号パンフレット 特開2012-254559号公報 特開2012-253303号公報
インプリント成型法では、一般にモールドに微細な形状パターンが形成されており、高度な成型精度が要求される。特に、ウェハレベルレンズアレイのように、一度の成型で複数の製品の集合体を成型する場合、ダイシングにより個々の製品に個片化する必要があるため、成型品全体の反りが小さく、さらに個々の製品間の位置精度に優れることが要求される。しかし、特許文献1~4の方法では、特に離型開始時において成型品の一部に過度の負荷がかかるため、成型品に反りが生じたり、位置精度が悪化するといった問題が生じることが判明した。また、モールドに樹脂やガラスを使用する場合は、モールド自体の強度が低く、特許文献5、6といった外部から力を加える方法は採用することが困難であった。
従って、本発明の目的は、モールドから高精度の成型品を取り出すことができる離型方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、モールドから高精度の成型品を取り出すことができる離型装置を提供することである。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、モールドの成型面に付着した成型品をモールドから離型する際に、成型品のモールドに付着していない方の面の全体に基材を貼り付けて離型することにより、離型時の負荷が成型品全体に均一に分散される結果、成型品全体の反りが小さく、さらに成型パターンの位置精度が高い高精度の成型品をモールドから安定的に取り出すことができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、モールドの成型面に供給された硬化性材料を硬化することにより形成される、前記成型面のパターン形状が転写された第1の面とその裏側の第2の面を有する成型品を前記モールドから離型する方法であって、以下の工程を有することを特徴とする、前記成型品の離型方法を提供する。
第1工程:前記成型品の前記第2の面の全体に基材を貼り付ける;
第2工程:前記基材と前記モールドが離間する方向に、前記基材と前記モールドを相対的に移動させることにより前記成型品を前記モールドから離型する。
前記成型品の離型方法において、前記成型品は、前記第1の面上に2個以上の光学素子が2次元的に配列され、これらの光学素子を互いに連結する基板部を有するアレイであってもよい。
前記成型品の離型方法において、前記第2の面上に、前記基材が貼り付く平面部が少なくとも存在することが好ましい。
前記成型品の離型方法において、前記基材は、樹脂製シートであってもよい。
前記樹脂製シートは、一方の面に粘着剤層を有していてもよい。
前記成型品の離型方法は、さらに、以下の工程を有していてもよい。
第3工程:第2工程で得られる前記成型品の第2の面から前記基材を剥離する。
前記成型品の離型方法は、さらに、以下の工程を有していてもよい。
第3’工程:第2工程で得られる、第1の面に2次元的に配列された複数の光学素子を有し、第2の面が前記基材で固定された成型品をダイシングすることにより光学素子を個片化して光学部材を得る。
前記成型品の離型方法において、前記光学素子は、ウェハレベルレンズであってもよい。
前記成型品の離型方法において、前記硬化性材料は、硬化性エポキシ樹脂組成物であってもよい。
前記成型品の離型方法において、前記モールドを構成する材質は、樹脂、金属、及びガラスからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
前記成型品の離型方法において、前記モールドの成型面のパターン領域の少なくとも一部は離型剤で処理されていてもよい。
また、本発明は、モールドの成型面に供給された硬化性材料を硬化することにより形成される、前記成型面のパターンが転写された第1の面とその裏側の第2の面を有する成型品を前記モールドから離型する装置であって、
前記第2の面に基材の貼り付けを行う貼付手段と、
前記基材と前記モールドを相対的に移動させる移動手段と、
前記貼付手段を制御して、前記成型品の第2の面の全体に前記基材を貼り付ける貼付制御手段と、
前記移動手段を制御して、前記基材と前記モールドが離間する方向に、前記基材と前記モールドを相対的に移動させる移動制御手段と、を含むことを特徴とする離型装置を提供する。
本発明の離型方法及び離型装置は上記構成を有するため、成型品をモールドから離型する際の負荷が成型品全体に均一に分散される結果、成型品全体の反りが小さく、成型パターンの位置精度が高い高精度の成型品をモールドから安定的に取り出すことができる。
本発明の離型方法又は離型装置は、一度の成型(好ましくは、インプリント成型)で複数の製品の集合体の成型品に使用することにより、成型品全体の反りや個々の製品の位置関係のずれが小さい高精度の成型品を安定的に製造することができるので、例えば、携帯電話、スマートフォンをはじめとするモバイル電子機器のセンサー用レンズやカメラ用レンズを効率的に製造するためのウェハレベルレンズアレイの製造に好適に適用することができる。
モールドの一例を示す概略図である。(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は側面図である。 成型品の一例を示す概略図である。(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は側面図である。 成型品の第1の面がモールドの成型面に付着している状態の一例を示す概略図である。(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は側面図である。 本発明の離型方法の第1工程の一例を示す説明図である。(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は側面図である。 本発明の離型方法の第2工程の一例を示す説明図である。(a)は斜視図、(b)側面図である。 本発明の離型方法の第2工程の他の一例を示す説明図である。(a)は斜視図、(b)側面図である。 本発明の離型方法により得られる基材が第2の面に貼り付いた成型品の一例を示す概略図である。(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)はX-X’における断面図である。 本発明の離型装置一例を示すブロック図である。 本発明の離型方法の一例の流れを示すフローチャートである。 実施例、比較例で用いた下型の模式図である。(a)は上面図、(b)はA-A’における断面図である。 製造例1の工程を示す説明図(断面図)である。 比較例1の離型方法を示す説明図である。(a)は上面図、(b)はY-Y’における断面図である。 比較例2の離型方法を示す説明図である。(a)は上面図、(b)はI-I’、II-II’ 、III-III’における断面図である。
本発明の典型的な実施形態について図面を参照しつつ説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例示に過ぎない。
[成型品の離型方法]
本発明の成型品の離型方法(以下、「本発明の離型方法」と称す場合がある)は、モールド(以下、「本発明のモールド」と称す場合がある)の成型面に供給された硬化性材料を硬化することにより形成される、前記成型面のパターン形状が転写された第1の面とその裏側の第2の面を有する成型品(以下、「本発明の成型品」と称す場合がある)を前記モールドから離型する方法であって、以下の工程を有することを特徴とする。
第1工程:前記成型品の前記第2の面の全体に基材を貼り付ける;
第2工程:前記基材と前記モールドが離間する方向に、前記基材と前記モールドを相対的に移動させることにより前記成型品を前記モールドから離型する。
[モールド]
図1に、本発明のモールドの一例の概略図を示す。(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は側面図である。
本発明のモールド1は、パターン領域11(パターン形状は図示略)を有する成型面1Aを少なくとも有する。本発明のモールド1の成型面1Aは、パターン領域11以外に、パターン領域11の周囲に非パターン領域12を有していてもよい。
本発明のモールドにおいて、パターン領域には、成型品に所望の形状を付与するための、当該形状に対応する逆凹凸のパターン形状(所望の成型品の反転形状)が付与されている。上記モールドが有するパターン形状部の水平面の形状は、特に限定されないが、アスペクト比が0.1~1であることが好ましく、より好ましくは0.5~1であり、1に近いほど好ましい。上記アスペクト比は、上記水平面の形状のうち最長の方向を横方向としたときの横方向の長さに対する縦方向の長さの割合である。上記アスペクト比が上記範囲内であると、本発明の成型品全体で硬化度が均等となりやすく、硬化前後で位置ずれが起こりにくくなる。上記水平面の形状は、図1(a)に示すように、パターン領域11が上面となるようにモールドを水平位置に静置したときの上面(図1(b)に相当)から見たパターン形状部の形状である。
本発明のモールドを構成する材質は、特に限定されないが、樹脂、金属、ガラス、これら材料の組み合わせなどが挙げられる。
本発明のモールドを構成する樹脂としては、特に限定されないが、上記硬化性材料との相性(濡れ性等)、硬化後の成型品の形状精度、剥離性(離型性)等を考慮して選択され、例えば、シリコーン系樹脂(ジメチルポリシロキサン等)、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ環状オレフィン等)、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
本発明のモールドを構成する金属としては、特に限定されないが、鉄、鉄合金(ステンレス、パーマロイなど)、ニッケル、真鍮、シリコンウェハ、銅、銅合金、金、銀、コバルト、アルミニウム、亜鉛、錫、錫合金、チタン、クロムなどの金属材料が挙げられる。本発明のモールドが金属から構成される場合、成型面は、ニッケル等の金属材料の無電解メッキ、電鋳などのメッキ処理、フォトリソグラフィーによる形状加工などがされていてもよい。
本発明のモールドを構成する材質としては、樹脂が好ましく、中でも、シリコーン系樹脂が好ましい。シリコーン系樹脂を用いると、エポキシ化合物を含む硬化性材料との相性、形状精度に優れる。また、成型品の離型性及びモールドの柔軟性にも優れるため、成型品をより容易に取り出すことができる。
本発明のモールドは、市販品を用いてもよいし、製造したものを用いてもよい。本発明のモールドを製造する場合、例えば、モールドを形成する樹脂組成物を成型(好ましくは、インプリント成型)し、その後熱硬化させることにより製造することができる。樹脂組成物の成型には、所望の凹凸形状を有する金型を使用することができ、例えば、下記(1)、(2)の方法で製造することができる。
(1)基板上に塗布した樹脂組成物の塗膜に対し、金型を押し付け、樹脂組成物の塗膜を硬化させたうえで、金型を剥離する方法
(2)金型に対し樹脂組成物を直接塗工し、その上から基板を密着させた後、樹脂組成物の塗膜を硬化させたうえで、金型を剥離する方法
本発明のモールドの成型面では、上記パターン領域の少なくとも一部が離型剤で処理されていてもよい。離型剤の処理方法としては、例えば、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、ワックス系離型剤等の離型剤を塗布することにより離型膜を形成する方法や、フッ素樹脂等を真空蒸着することにより蒸着離型膜を形成する方法等が挙げられる。上記離型剤の塗布方法としては、スプレーコート法、ディップコート法、スピンコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
上記離型膜は1層であっても多層であってもよい。又、離型膜が多層である場合、各層は同じ成分で形成されていてもよく、異なる成分で形成されていてもよい。本発明においては、なかでも、フッ素系離型剤が塗布された離型膜を成型面に有するモールドが、優れた離型性を有する点で好ましい。
[成型品]
図2に、本発明の成型品の一例の概略図を示す。(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は側面図である。
本発明の成型品2は、本発明のモールド1の成型面1Aのパターン形状11が転写された第1の面2Aとその裏側の第2の面2Bを有する。本発明の成型品2の形状は、当該第1の面2Aと第2の面2Bを有している限り特に限定されないが、図2に示すように、第1の面2Aと第2の面2Bを有する基板が好ましい。
本発明の成型品の第1の面2Aは、本発明のモールドの成型面1Aのパターン領域11のパターン形状が転写された反転形状を有する転写領域21(パターン形状は図示略)を有する。第1の面2Aは、転写領域21以外に、転写領域21の周囲に非転写領域22を有していてもよい。
第1の面2A上の転写領域21に形成されるパターン形状は、特に限定されないが、高品質の光学部材に好ましく適応され、例えば、レンズ、プリズム、LED、有機EL素子、半導体レーザー、トランジスタ、太陽電池、CCDイメージセンサ、光導波路、光ファイバー、代替ガラス(例えば、ディスプレイ用基板、ハードディスク基板、偏光フィルム)、光学回折素子等が挙げられ、特に、高い精度が求められるレンズが好ましい。
レンズの種類や形状は、特に制限されないが、例えば、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、オプトエレクトロニクス用レンズ、レーザー用レンズ、ピックアップ用レンズ、車載カメラ用レンズ、携帯カメラ用レンズ、スマートフォン用レンズ、デジタルカメラ用レンズ、OHP用レンズ、フレネルレンズ、マイクロレンズ、ウェハレベルレンズ等が挙げられ、特に、小型、薄型で高い精度が求められるウェハレベルレンズに好ましく適用できる。
本発明の成型品は、特に限定はされないが、第1の面上に上記光学部材の素子(光学素子)の2個以上が2次元的に配列され、これらの光学素子を互いに連結する基板部を有するアレイ(光学素子アレイ)に好適に適用できる。本発明の成型品は、成型品全体の反りが小さく、成型パターンの位置精度が高いことから、光学素子アレイを個々の光学素子に個片化した場合、形状精度が揃った複数の光学素子を得ることができる。光学素子アレイがウェハレベルレンズアレイの場合、レンズの直径は、例えば1~5mmである。また、前記基板部幅は、例えば1mm以下、好ましくは0.05~1mm、特に好ましくは0.05~0.5mmである。
本発明の成型品の第2の面は、特に限定されないが、パターン形状を有していてもよく、パターン形状を有しない平面状であってもよいが、本発明の離型方法の第1工程で、基材が貼り付いて第2の面に安定的に固定するための平面部を少なくとも有することが好ましい。当該平面部の面積の第2の面の全体面積(100%)に対する割合は、特に限定されないが、好ましくは15%以上、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは35%以上である。前記平面部の面積の割合が15%以上であることにより、第2の面を基材に安定的に固定することができ、成型品をモールドから確実に離型することができる。平面部の面積の割合の上限は、特に限定されず、100%、すなわち第2の面の全面が平面部であってもよい。上記平面部の面積、第2の面の全体面積は、図2(a)に示すように、第2の面が上面となるように成型品を水平位置に静置したときの上面(図2(b))から見た平面部、第2の面の全体の投影図の面積である。以下、本願明細書で「面積」という場合は、同様に定義するものとする。
本発明の成型品の第2の面がパターン形状を有している場合、特に限定されないが、基材が貼り付く前記平面部に対して凸部を有しないことが好ましい。第2の面が前記平面部に対して凸部を有すると、基材が第2の面の平面部に十分に貼り付くことができず、成型品の離型がうまくできない場合がある。
本発明の成型品の第2の面がパターン形状を有している場合、特に限定されないが、基材が貼り付く前記平面部に対して凹部を有していてもよい。その際、本発明の成型品が光学素子アレイである場合、第2の面に存在する2個以上の凹部が第1の面に存在する上記2個以上の光学素子に対応する位置に配列していることが好ましい。
本発明の成型品の第2の面が、基材が貼り付く前記平面部に対して凹部を有している場合、凹部の面積の第2の面2Bの全体面積(100%)に対する割合は、特に限定されないが、好ましくは85%以下、より好ましくは75%以下、さらに好ましくは65%以下である。前記凹部の面積の割合が85%以下であることにより、第2の面を本発明の基材に安定的に固定することができ、成型品をモールドから確実に離型することができる。第2の面の全面積に対する凹部の面積の割合の下限値は、特に限定されず、0%、すなわち、第2の面に凹部が存在しない場合も本願発明は包含する。
本発明の成型品は、本発明のモールドの成型面に硬化性材料を供給して硬化することにより形成することができる。
上記硬化性材料は、特に限定されないが、成型品の量産性や成型性の観点から、短時間に硬化し、耐熱性に優れる樹脂が好ましく、エポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物、アクリル系ラジカル硬化性樹脂組成物、硬化性シリコーン樹脂組成物等が挙げられ、このうち、短時間に硬化し、モールドへのキャスト時間が短く、硬化収縮率が小さく寸法安定性に優れ、硬化時に酸素阻害を受けないエポキシ系カチオン硬化性樹脂組成物(硬化性エポキシ樹脂組成物)が好ましい。
エポキシ樹脂としては、分子内に1以上のエポキシ基(オキシラン環)を有する公知乃至慣用の化合物を使用することができ、例えば、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等が挙げられる。本発明においては、なかでも、耐熱性、及び透明性に優れた硬化物を形成することができる点で、1分子内に脂環構造と、官能基としてのエポキシ基を2個以上有する、多官能脂環式エポキシ化合物が好ましい。
前記多官能脂環式エポキシ化合物としては、具体的には、
(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(すなわち、脂環エポキシ基)を有する化合物
(ii)脂環に直接単結合で結合したエポキシ基を有する化合物
(iii)脂環とグリシジル基とを有する化合物
等が挙げられる。
上述の脂環エポキシ基を有する化合物(i)としては、例えば、下記式(i)で表される化合物を挙げられる。
Figure 0007137324000001
上記式(i)中、Xは単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素-炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、これらが複数個連結した基等が挙げられる。尚、式(i)中のシクロヘキセンオキシド基には、置換基(例えば、アルキル基等)が結合していてもよい。
上記二価の炭化水素基としては、炭素数が1~18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1~18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。上記二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2-シクロペンチレン基、1,3-シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2-シクロヘキシレン基、1,3-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
上記炭素-炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1-ブテニレン基、2-ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2~8の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素-炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素-炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2~4のアルケニレン基である。
上記Xにおける連結基としては、特に、酸素原子を含有する連結基が好ましく、具体的には、-CO-、-O-CO-O-、-COO-、-O-、-CONH-、エポキシ化アルケニレン基;これらの基が複数個連結した基;これらの基の1又は2以上と上記二価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基等が挙げられる。
上記式(i)で表される化合物の代表的な例としては、(3,4,3’,4’-ジエポキシ)ビシクロヘキシル、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2-エポキシ-1,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-1-イル)エタン、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-1-イル)プロパン、1,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-1-イル)エタンや、下記式(i-1)~(i-10)で表される化合物等が挙げられる。下記式(i-5)中のLは炭素数1~8のアルキレン基であり、中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1~3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。下記式(i-5)、(i-7)、(i-9)、(i-10)中のn1~n8は、それぞれ1~30の整数を示す。
Figure 0007137324000002
Figure 0007137324000003
上述の脂環エポキシ基を有する化合物(i)には、エポキシ変性シロキサンも含まれる。
エポキシ変性シロキサンとしては、例えば、下記式(i’)で表される構成単位を有する、鎖状又は環状のポリオルガノシロキサンが挙げられる。
Figure 0007137324000004
上記式(i’)中、R1は下記式(1a)又は(1b)で表されるエポキシ基を含む置換基を示し、R2はアルキル基又はアルコキシ基を示す。
Figure 0007137324000005
式中、R1a、R1bは、同一又は異なって、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示し、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、デカメチレン基等の炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。
エポキシ変性シロキサンのエポキシ当量(JIS K7236に準拠)は、例えば100~400、好ましくは150~300である。
エポキシ変性シロキサンとしては、例えば、下記式(i’-1)で表されるエポキシ変性環状ポリオルガノシロキサン(商品名「X-40-2670」、信越化学工業(株)製)等の市販品を用いることができる。
Figure 0007137324000006
上述の脂環に直接単結合で結合したエポキシ基を有する化合物(ii)としては、例えば、下記式(ii)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0007137324000007
式(ii)中、R’は、p価のアルコールの構造式からp個の水酸基(-OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、n9はそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R’-(OH)p]としては、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノール等の多価アルコール(炭素数1~15のアルコール等)等が挙げられる。pは1~6が好ましく、n9は1~30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの角括弧(外側の括弧)内の基におけるn9は同一でもよく異なっていてもよい。上記式(ii)で表される化合物としては、具体的には、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等が挙げられる。
上述の脂環とグリシジル基とを有する化合物(iii)としては、例えば、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビフェノール型エポキシ化合物、水添フェノールノボラック型エポキシ化合物、水添クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAの水添クレゾールノボラック型エポキシ化合物、水添ナフタレン型エポキシ化合物、トリスフェノールメタン型エポキシ化合物の水添物等の水素化芳香族グリシジルエーテル系エポキシ化合物等が挙げられる。
多官能脂環式エポキシ化合物としては、表面硬度が高く、透明性に優れた硬化物が得られる点で、脂環エポキシ基を有する化合物(i)が好ましく、上記式(i)で表される化合物(特に、(3,4,3',4'-ジエポキシ)ビシクロヘキシル)が特に好ましい。
本発明における硬化性樹脂組成物は、硬化性化合物としてエポキシ樹脂以外にも他の硬化性化合物を含有していても良く、例えば、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等のカチオン硬化性化合物を1種又は2種以上含有することができる。
前記硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量%)に占めるエポキシ樹脂の割合は、例えば50重量%以上、好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、最も好ましくは80重量%以上である。尚、上限は、例えば100重量%、好ましくは90重量%である。
また、前記硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量%)に占める脂環エポキシ基を有する化合物(i)の割合は、例えば20重量%以上、好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上である。尚、上限は、例えば70重量%、好ましくは60重量%である。
また、前記硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量%)に占める式(i)で表される化合物の割合は、例えば10重量%以上、好ましくは15重量%以上、特に好ましくは20重量%以上である。尚、上限は、例えば50重量%、好ましくは40重量%である。
前記硬化性樹脂組成物は、上記硬化性化合物と共に重合開始剤を含有することが好ましく、なかでも光又は熱重合開始剤(特に、光又は熱カチオン重合開始剤)を1種又は2種以上含有することが好ましい。
光カチオン重合開始剤は、光の照射によって酸を発生して、硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性化合物(特に、カチオン硬化性化合物)の硬化反応を開始させる化合物であり、光を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、ホスホニウム塩系化合物、セレニウム塩系化合物、オキソニウム塩系化合物、アンモニウム塩系化合物、臭素塩系化合物等を挙げられる。
本発明においては、なかでも、スルホニウム塩系化合物を使用することが、硬化性に優れた硬化物を形成することができる点で好ましい。スルホニウム塩系化合物のカチオン部としては、例えば、(4-ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムイオン、4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル-4-ビフェニリルフェニルスルホニウムイオン、トリ-p-トリルスルホニウムイオン等のアリールスルホニウムイオン(特に、トリアリールスルホニウムイオン)を挙げられる。
光カチオン重合開始剤のアニオン部としては、例えば、[(Y)sB(Phf)4-s-(式中、Yはフェニル基又はビフェニリル基を示す。Phfは水素原子の少なくとも1つが、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、及びハロゲン原子から選択される少なくとも1種で置換されたフェニル基を示す。sは0~3の整数である)、BF4 -、[(Rf)tPF6-t-(式中、Rfは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を示す。tは0~5の整数を示す)、AsF6 -、SbF6 -、SbF5OH-等を挙げられる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、(4-ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル-4-ビフェニリルフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル]-4-ビフェニリルフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル-4-ビフェニリルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4-(2-チオキサントニルチオ)フェニル]フェニル-2-チオキサントニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、商品名「サイラキュアUVI-6970」、「サイラキュアUVI-6974」、「サイラキュアUVI-6990」、「サイラキュアUVI-950」(以上、米国ユニオンカーバイド社製)、「Irgacure250」、「Irgacure261」、「Irgacure264」、「CG-24-61」(以上、BASF社製)、「オプトマーSP-150」、「オプトマーSP-151」、「オプトマーSP-170」、「オプトマーSP-171」(以上、(株)ADEKA製)、「DAICAT II」((株)ダイセル製)、「UVAC1590」、「UVAC1591」(以上、ダイセル・サイテック(株)製)、「CI-2064」、「CI-2639」、「CI-2624」、「CI-2481」、「CI-2734」、「CI-2855」、「CI-2823」、「CI-2758」、「CIT-1682」(以上、日本曹達(株)製)、「PI-2074」(ローディア社製、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート トリルクミルヨードニウム塩)、「FFC509」(3M社製)、「BBI-102」、「BBI-101」、「BBI-103」、「MPI-103」、「TPS-103」、「MDS-103」、「DTS-103」、「NAT-103」、「NDS-103」(以上、ミドリ化学(株)製)、「CD-1010」、「CD-1011」、「CD-1012」(以上、米国、Sartomer社製)、「CPI-100P」、「CPI-101A」(以上、サンアプロ(株)製)等の市販品を使用できる。
熱カチオン重合開始剤は、加熱処理を施すことによって酸を発生して、硬化性樹脂組成物に含まれるカチオン硬化性化合物の硬化反応を開始させる化合物であり、熱を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。熱カチオン重合開始剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱カチオン重合開始剤としては、例えば、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物等を挙げることができる。
熱カチオン重合開始剤のカチオン部としては、例えば、4-ヒドロキシフェニル-メチル-ベンジルスルホニウムイオン、4-ヒドロキシフェニル-メチル-(2-メチルベンジル)スルホニウムイオン、4-ヒドロキシフェニル-メチル-1-ナフチルメチルスルホニウムイオン、p-メトキシカルボニルオキシフェニル-ベンジル-メチルスルホニウムイオン等を挙げることができる。
熱カチオン重合開始剤のアニオン部としては、上記光カチオン重合開始剤のアニオン部と同様の例を挙げることができる。
熱カチオン重合開始剤としては、例えば、4-ヒドロキシフェニル-メチル-ベンジルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-ヒドロキシフェニル-メチル-(2-メチルベンジル)スルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-ヒドロキシフェニル-メチル-1-ナフチルメチルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、p-メトキシカルボニルオキシフェニル-ベンジル-メチルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
重合開始剤の含有量は、硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性化合物(特に、カチオン硬化性化合物)100重量部に対して、例えば0.1~5.0重量部となる範囲である。重合開始剤の含有量が上記範囲を下回ると、硬化不良を引き起こすおそれがある。一方、重合開始剤の含有量が上記範囲を上回ると、硬化物が着色しやすくなる傾向がある。
本発明における硬化性樹脂組成物は、上記硬化性化合物と重合開始剤と、必要に応じて他の成分(例えば、溶剤、酸化防止剤、表面調整剤、光増感剤、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤、界面活性剤、難燃剤、紫外線吸収剤、着色剤等)を混合することによって製造することができる。他の成分の配合量は、硬化性樹脂組成物全量の、例えば20重量%以下、好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。
本発明の硬化性樹脂組成物の25℃における粘度としては、特に限定されないが、5000mPa・s以下が好ましく、より好ましくは2500mPa・s以下である。本発明の硬化性樹脂組成物の粘度を上記範囲に調整することにより、流動性が向上し、気泡が残存しにくくなり、注入圧の上昇を抑制しつつ、モールドへの充填を行うことができる。即ち、塗布性及び充填性を向上することができ、本発明の硬化性樹脂組成物の成型作業全体に亘り、作業性を向上させることができる。尚、本明細書における粘度とは、レオメーター(Paar Physica社製「PHYSICA UDS200」)を使用して、温度25℃、回転速度20/秒の条件下で測定した値である。
本発明における硬化性樹脂組成物としては、例えば、商品名「CELVENUS OUH106」、「CELVENUS OTM107」(以上、(株)ダイセル製)等の市販品を使用することができる。
硬化性材料の硬化は、例えば硬化性樹脂組成物として光硬化性樹脂組成物を使用する場合は、紫外線を照射することによって行うことができる。紫外線照射を行う時の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯等が用いられる。照射時間は、光源の種類、光源と塗布面との距離、その他の条件により異なるが、長くとも数十秒である。照度は、5~200mW程度である。紫外線照射後は、必要に応じて加熱(ポストキュア)を行って硬化の促進を図ってもよい。
例えば硬化性樹脂組成物として熱硬化性樹脂組成物を使用する場合は、加熱処理を施すことによって硬化性樹脂組成物を硬化させることができる。加熱温度は、例えば60~150℃程度である。加熱時間は、例えば0.5~20時間程度である。
本発明のモールドの成型面に上記の硬化性材料を供給して硬化するする方法としては、好ましくは、インプリント成型法で行うことができ、例えば、下記(1)~(3)の方法が挙げられる。
(1)本発明のモールドの成型面に対し硬化性材料を塗布し、その上から基板を密着させた後、硬化性材料の塗膜を硬化させたうえで、前記基板を剥離する方法
(2)基板上に塗布した硬化性材料の塗膜に対し、本発明のモールドの成型面を押し付け、硬化性材料の塗膜を硬化させたうえで、前記基板を剥離する方法
(3)本発明のモールドの成型面に対し硬化性材料を塗布し、その上から硬化性材料を塗布した基板を密着させた後、合わさった硬化性材料の塗膜を硬化させたうえで、前記基板を剥離する方法
例えば、硬化性材料として光硬化性樹脂組成物を使用する場合は、前記基板として400nmの波長の光線透過率が90%以上である基板を使用することが好ましく、石英やガラス、樹脂からなる基板を好適に使用することができる。尚、前記波長の光線透過率は、基板(厚み:1mm)を試験片として使用し、当該試験片に照射した前記波長の光線透過率を分光光度計を用いて測定することで求められる。
例えば、硬化性材料として熱硬化性樹脂組成物を使用する場合は、加熱処理を施すことによって硬化性樹脂組成物を硬化させることができる。加熱温度は、例えば60~150℃程度である。加熱時間は、例えば0.5~20時間程度である。
上記(1)~(3)の方法において、上記基板が剥離して露出する成型品の面が第2の面であり、本発明のモールドの成型面に保持され、パターン形状が反転転写された面が第1の面である。
前記基板は、パターン形状部を有するモールドであってもよいし、平面基板であってもよい。例えば、本発明の成型品の第2の面が凹凸形状を有しない場合は平面基板を用いることができる。一方、第2の面が凹凸形状を有する場合は、基板として対応する凸凹形状を有するモールドを用いることができるが、平面部を少なくとも有することが好ましい。前記基板が、平面部を有することにより、第2の面に平面部が転写され、基材が貼り付いて安定的に固定しやすくなる。
前記基板は、本発明のモールドと異なる材料から形成されていてもよいし、同じ材料から形成されていてもよい。また、前記基板と本発明のモールドの成型面は、同じ又は対応するパターン形状を有していてもよいし、異なるパターン形状を有していてもよい。
重ね合わせられる前の本発明のモールドの成型面及び前記基板の少なくとも一方には硬化性材料が塗布されているが、成型品内のボイド(気泡)の発生を防止するためには、本発明のモールドの成型面に硬化性材料が塗布されたものを用いることが好ましい。この場合、前記基板には、硬化性材料が塗布されていてもよいし、塗布されていなくてもよい。
本発明のモールドの成型面及び/又は前記基板への硬化性材料の塗布は、公知乃至慣用の塗布方法により行うことができる。上記塗布としては、例えば、スピンコート塗布、ロールコート塗布、スプレー塗布(スプレー噴霧)、ディスペンスコート、ディップコート、インクジェット塗布、エアーブラシ塗布(エアーブラシ噴霧)、超音波塗布(超音波噴霧)等が挙げられる。
上記(1)~(3)の方法により、第1の面がモールドの成型面に付着した成型品が得られる。図3に成型品の第1の面がモールドの成型面に付着している状態の一例の概略図を示す。(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は側面図である。
成型品2の第1の面2Aはモールド1の成型面1Aに付着しており、成型面1Aのパターン領域11(図示せず)とパターン領域11のパターン形状が反転転写された転写領域21(パターン形状は図示略)が篏合した状態で密着している。従って、成型品2をモールド1の成型面1Aから離型すると、転写領域21に形成されたパターン形状に負荷がかかり、成型品2の全体に反りが生じたり、パターン形状の位置精度が悪化しやすい。
本発明の離型方法の第1工程は、成型品の前記第2の面の全体に基材(以下、「本発明の基材」と称す場合がある)を貼り付ける工程である。図4に本発明の離型方法の第1工程の一例を示す。本発明の基材3は、本発明の成型品2の第2の面2Bの全体に貼り付けられる。
「第2の面の全体に基材が貼り付く」とは、第2の面の非転写領域22のみではなく、転写領域21に対応する第2の面の全面に基材が貼り付くことを意味する。ただし、第2の面に凹部が存在する場合は、当該凹部の部分は基材と接触していなくともよい。すなわち、第2の面上に存在する上記平面部の全体が基材と貼り付いていればよい。
本発明の基材を構成する材質は、特に限定されないが、紙、樹脂、不織布、金属、ガラス、シリコン等を使用できるが、離型する際の負荷を成型品全体に均一に分散させるためには、樹脂が好ましい。
本発明の基材を構成する材質としての樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等)、ポリカーボネート、ポリアミド(ポリアミド6、ポリアミド6/6、ポリアミド6/10、ポリアミド6/12等)、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエステル等が挙げられ、さらにこれらの共重合体、ブレンド物、架橋物を用いてもよい。離型する際の負荷を成型品全体に均一に分散させるためには、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
本発明の基材の形状は、特に限定されず、フィルム状、シート状、板状のいずれであってもよいが、離型する際の負荷を成型品全体に均一に分散させるためには、シート状が好ましく、特に、樹脂製シートが好ましい。
本発明の基材がシート状である場合、その面積は、本発明の成型品の第2の面以上の広さである限り特に限定されないが、後述の第2工程で基材の端部を保持するためには、本発明のモールドの成型面よりも広いことが好ましい。本発明の基材の面積の本発明のモールドの成型面の面積(100%)に対する割合は、特に限定されないが、好ましくは100~500%、より好ましくは100~400%である。
本発明の基材がシート状である場合、その厚さは特に限定されないが、離型する際の負荷を成型品全体に均一に分散させるためには、好ましくは50~300μm、より好ましくは50~200μmである。
本発明の基材の破断応力は、特に限定されないが、好ましくは20~200MPa、より好ましくは25~180MPaである。本発明の基材の破断応力がこの範囲にあることにより、離型する際の負荷を成型品全体に均一に分散させやすくなる。すなわち、本発明の基材の破断応力が20MPaよりも低いと、本発明の基材が柔らかくなりすぎ、離型する際の負荷を成型品全体に均一に分散させることが困難になる場合がある。一方、本発明の基材の破断応力が200MPaよりも高いと、本発明の基材が硬くなりすぎ、離型自体が困難になる場合がある。
上記破断応力は、サンプルサイズが15mm×10mm、引っ張り速度200mm/minで測定された値である。
本発明の基材がシート状である場合、本発明の成型品の第2の面に固定するために、その一方の面に粘着剤層を有することが好ましい。
上記粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に限定されないが、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤(天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤等)、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤等を使用することができる。上記粘着剤は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。なお、上記粘着剤は、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤、ホットメルト型粘着剤、オリゴマー系粘着剤、固系粘着剤等のいずれの形態の粘着剤であってもよい。離型する際の負荷を成型品全体に均一に分散させやすいという観点から、アクリル系粘着剤等が好ましい。
上記粘着剤層は、単層であってもよいし、複数の層からなる積層体であってもよく、複数の層からなる場合は、同種の粘着剤層の積層体であってもよく、異種の粘着剤層の積層体であってもよい。また、中間層、下塗り層等を介して本発明の基材に積層されていてもよい。
上記粘着剤層は、本発明の基材の一方の面の全体に積層されていてもよく、成型品の第2の面全体に粘着剤層が密着できる限り、本発明の基材の一方の面の一部に積層されていてもよい。
上記粘着剤層は、離型シートで保護されていてもよく、その場合は、本発明の離型方法に使用する前に離型シートは取り除かれる。
上記粘着剤層の厚さは特に限定されないが、離型する際の負荷を成型品全体に均一に分散させやすくするという観点から、好ましくは5~50μm、より好ましくは5~40μmである。
上記粘着剤層の粘着力は、本発明の基材を第2の面に保持したまま、モールドの成型面から成型品を離型させる程度の粘着力である限り、特に限定されないが、好ましくは3N/20mm以上、より好ましくは4N/20mm以上、さらに好ましくは5N/20mm以上である。粘着剤層の粘着力が3N/20mm以上であることにより、成型品をモールドの成型面から確実に離型させることができると共に、離型する際の負荷を成型品全体に均一に分散させやすくなり、成型品の精度を向上しやすい。一方、粘着剤層の粘着力の上限値は、特に限定されないが、好ましくは25N/20mm以下、より好ましくは24N/20mm以下、さらに好ましくは23N/20mm以下である。粘着剤層の粘着力が25N/20mmを超えると、成型品をモールドから離型した後に、基材を成型品の第2の面から剥離しにくくなり、基材を剥離する際に成型品の精度が低下したり、剥離後に第2の面に糊残りが発生する場合がある。
上記粘着力は、JIS-Z-0237に準拠し、シリコンミラーウェハに対する180°ピール粘着力として測定された値である。
上記粘着剤層を構成する粘着剤は非硬化型であっても良く、硬化型であっても良い。上記粘着剤が硬化型である場合、熱硬化型であっても良く、光硬化型(紫外線や電子線等の活性エネルギー線による硬化型)であっても良い。上記粘着剤が硬化型である場合、本発明の離型方法の後、加熱又は光照射することにより上記粘着剤が固化するため、得られた本発明の成型品を基材から剥離することが容易となる。
本発明の基材としては、市販の粘着シートを制限なく用いることができ、日東電工(株)、リンテック(株)、3M(株)、古河電工(株)、デンカアドテックス(株)等が一般に販売している粘着テープ、UV剥離テープ、熱剥離テープ等が挙げられる。
本発明の離型方法の第1工程は、特に限定されないが、本発明の基材が粘着剤層を有するシートである場合、成型品の第2の面の全体に粘着剤層が密着するように貼り付けることにより行うことができる。第2の面の全体に粘着剤層が確実に密着するように、本発明の基材の粘着剤層を有しない面をローラなどで押し付けてもよい。
本発明の離型方法の第2工程は、本発明の基材と本発明のモールドが離間する方向に、基材とモールドを相対的に移動させることにより本発明の成型品をモールドから離型する工程である。第2工程により、成型品が基材に保持されたまま、モールドの成型面から離型される。
基材及び/又はモールドの移動は、両者が離間する限り相対的であればよく、基材のみを移動させても、モールドのみを移動させても、両者を移動させてもよいが、効率的に成型品を離型するためには、モールドを固定して、基材をモールドから離間する方向に移動させることが好ましい。
基材及び/又はモールドの移動は、特に限定されないが、手作業で行ってもよく、例えば、基材の端部を保持部材に保持して移動させて行ってもよい。
図5に本発明の離型方法の第2工程の一例を示す。(a)は斜視図、(b)側面図である。基材3の端部の1ヵ所を手作業又は保持部材で保持し、図5(a1)、(b1)に示すように、当該端部に基材3の中心方向に傾くように、斜め方向に離間するように力Fをかけて、図5(a2)、(b2)に示すように、基材とモールドを斜めに離間させて、成型品2を基材3に保持したままモールド1の成型面から離型する。
図6に本発明の離型方法の第2工程の他の一例を示す。(a)は斜視図、(b)側面図である。基材3の端部の少なくとも2ヵ所以上を手作業又は保持部材で保持し、図6(a1)、(b1)に示すように、当該2ヵ所以上の端部に垂直方向に同時に離間するように力Fをかけて、図6(a2)、(b2)に示すように、基材とモールドを水平に離間させて、成型品2を基材3に保持したままモールド1の成型面から離型する。
離型する際に、負荷を成型品全体に均一に分散させて、成型品の精度を向上するためには、図5に示すように、基材の端部を斜め方向にモールドから離間させて、成型品を基材に保持したままモールドの成型面から離型する態様が好ましい。
本発明の離型方法により、第2の面が基材に付着した成型品を得ることができる。図7に、本発明の離型方法により得られる基材が第2の面に貼り付いた成型品の一例の概略図を示す。(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)はX-X’における断面図である。
図7(a)に、第2の面2Bが基材3に付着した成型品2の斜視図を示す。成型品2の第1の面2Aには、パターン形状が転写された転写領域21(パターン形状は図示略)が露出している。
図7(b)に、第2の面2Bが基材3に付着した成型品2の上面図、図7(c)にX-X’における断面図を示す。図7(b)において、成型品2の第1の面2Aの転写領域21には、2個以上の光学素子23が2次元的に配列している。本発明の離型方法により、成型品2はモールド1の成型面1Aから離型する際に、負荷が成型品2の全体に均一に掛かるため、成型品2の反りが小さく、2個以上の光学素子23間の位置精度に優れる。
本発明の離型方法は、第2工程の後、さらに、以下の第3工程を有していてもよい。
第3工程:第2工程で得られる前記成型品の第2の面から前記基材を剥離する。
上記第3工程により、成型品の第2の面から基材を剥離して、例えば、図2に示される成型品2を得ることができる。
成型品の第2の面から基材を剥離する方法は、特に限定されず、基材の端部の少なくとも1ヵ所を保持し、成型品から離間する方向に基材及び/成型品を相対的に離間移動することにより行うことができる。基材及び/成型品を相対的な離間移動は、特に限定されないが、例えば、図5、6に示す基材及び/モールドを相対的に離間移動する方法と同様に行うことができる。
上述のように、上記粘着剤層の粘着剤が硬化型である場合、加熱又は光照射することにより上記粘着剤が固化するため、本発明の成型品を基材から剥離することが容易となる。
また、成型品が光学素子アレイの場合は、本発明の離型方法は、第2工程の後、さらに、以下の第3’工程を有する態様も好ましい。
第3’工程:第2工程で得られる、第1の面に2次元的に配列された複数の光学素子を有し、第2の面が基材で固定された成型品(すなわち、光学素子アレイ)をダイシングすることにより光学素子を個片化して光学部材を得る。
図7(b)、(c)に光学素子アレイである成型品2の第2の面2Bが基材3に固定されている状態を示す。基材3は、ダイシングテープとしても機能できるため、基材3に固定された光学素子アレイである成型品2をダイシングすることにより光学素子23を個片化して光学部材を得ることができる。
図7(b)の切断線24に沿って光学素子アレイである成型品2をダイシングすることにより光学素子23を個片化することができる。ダイシングにより、個片化された光学素子23の周辺に成型品2の基板に相当する基板部が結合している光学部材が得られる。本発明の離型方法により得られる光学素子アレイである成型品2は、反りが少なく、2個以上の光学素子23の位置精度が高く、ずれが小さいため、形状の揃った複数の光学部材を得ることができる。
光学素子アレイの個片化手段としては特に制限されることがなく周知慣用の手段を採用することができるが、なかでも高速回転するダイシングブレードを用いることが好ましい。
高速回転するダイシングブレードを使用して切断する場合、ダイシングブレードの回転速度は例えば10000~50000回転/分程度である。また、光学素子アレイを高速回転するブレード等を用いて切断する際には摩擦熱が生じるため、光学素子アレイを冷却しながら切断することが、摩擦熱によって光学素子が変形したり光学特性が低下するのを抑制することができる点で好ましい。
光学素子アレイをダイシングブレードを使用して切断する際、本発明の基材は切断しないことが好ましい。その場合、個片化された光学部材は、第2の面で基材に固定された状態となり、各光学部材を基材からピックアップすることにより、光学部材を取り出すことができる。
本発明の離型方法は、本発明の離型装置が実施するものであってもよい。以下、図8および図9を参照して、本発明の離型装置100について説明する。図8は、本発明の離型装置100を示すブロック図である。
本発明の離型装置100は、図8に示すように、貼付部(貼付手段)101、及び移動部(移動手段)102を備えており、制御部110は、貼付制御部(貼付制御手段)111、及び移動制御部(移動制御手段)112を備えている。
本発明の離型装置100において、貼付部101は、モールドの成型面に付着した成型品の第2の面に基材を貼り付ける。移動部102は、基材及び/又はモールドを離接方向に相対的に移動させる。移動部102は、基材のみを移動させるものであってもよいし、モールドのみを移動させるものであってもよいし、基材及びモールドの両方を移動させるものであってもよいが、基材のみを移動させるものが好ましい。制御部110は、貼付部101、及び移動部102を制御して、本発明の離型方法を実行する。
次に、制御部110の各部の処理について、図9を参照し説明する。図9は、本発明の離型方法の流れを示すフローチャートである。
貼付制御部111は、第2の面に基材の貼り付けを行う第1工程を実行するよう、貼付部101を制御する。貼付部101は、貼付制御部111からの制御に従い、基材を成型品の第2の面の全体に貼り付ける(S1:第1工程)。本発明の離型装置100において、貼付部101および貼付制御部111は、市販の粘着シートの貼付装置およびその制御部等をそのまま使用することができ、高精度の制御システムを別途構築する必要はない。
第1工程の後、移動制御部112は、基材及び/又はモールドが離間する方向に、基材とモールドを相対的に移動させる第2工程を実行するよう、移動部102を制御する。移動部102は、移動制御部112からの制御に従い、基材及び/モールドを相対的に離間移動させる(S2:第2工程)。移動制御部112は、移動部102が有する保持部材(例えば、ロボットハンド)で基材の端部に保持し、図5又は6に示すように、基材端部に力Fをかけるように調整することが好ましい。本発明の離型装置100において、移動部102及び移動制御部112は、市販のロボットハンド、ロボットアーム及びその制御部等をそのまま使用することができ、高精度の制御システムを別途構築する必要はない。
本発明の離型装置は、必要に応じて、第3工程を実施するための第2の移動部及び第2の移動制御部を有していてもよい。第2の移動部及び第2の移動制御部は、移動部102及び移動制御部112と同様の市販のロボットハンド、ロボットアーム及びその制御部等を使用することができる。
本発明の離型装置は、必要に応じて、第3’工程を実施するためのダイシング部及びダイシング制御部を有していてもよい。ダイシング部及びダイシング制御部は、市販のダイシング装置及びその制御部等を使用することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の典型的な実施形態について実施例及び比較例を示すが、本発明はこれに限定されるものではなく、例示に過ぎない。
製造例1
図10に示す直径150mm×高さ3mmのシリコーン樹脂製モールド(下型4)を準備した。(a)は上面図、(b)はA-A’における断面図である。下型4の成型面には複数の凹部41が図10(a)に示すように配列されている。
下型4の成型面をフッ素系離型剤(オプツールHD-1100、ダイキン工業(株)社製)にてディップコート処理を行った後、エポキシ樹脂(CELVENUS106、(株)ダイセル製)を10g滴下し、同じ大きさの表面がフッ素系離型剤で離型処理されたシリコーン樹脂板(上型5、平板基板)を厚みが約0.5mmになるように型を閉じ(図11(a)参照)、100mW/cm2×30秒でUV照射を行った。上型5を取り除くと、エポキシ樹脂の硬化物として、下型4の凹部41に対応する位置に凸部61がそれぞれ形成された樹脂ウェハ6が下型4の成型面に付着した状態で得られた(図11(b)参照)。
実施例1
製造例1で得られた下型4の成型面に樹脂ウェハ6が付着した状態から、樹脂ウェハ6の上型5を取り除いて形成された面の全体に粘着シート(SRL-0759、リンテック(株)製)を貼り付け、粘着シートの端部を、図5に示す要領で斜め方向に力Fをかけて引っ張り、樹脂ウェハ6を下型4から離型した。
比較例1
比較例1の離型方法を示す説明図を図12に示す。(a)は上面図、(b)はY-Y’における断面図である。
製造例1で得られた下型4の成型面に樹脂ウェハ6が付着した状態から、図12(a)に示す要領で、外周の任意の1点に下型4と樹脂ウェハ6の間に金属製の先が平らなへら7を挿入し、図12(b1)に示す要領で、へら7にてこの原理を使って力Fを加え、図12(b2)に示すように下型4の成型面から樹脂ウェハ6を離型した。
比較例2
比較例2の離型方法を示す説明図を図13に示す。(a)は上面図、(b)はI-I’、II-II’ 、III-III’における断面図である。
製造例1で得られた下型4の成型面に樹脂ウェハ6が付着した状態から、図13(a)に示す要領で、樹脂ウェハ6の外周の任意の6点に縦30mm×横10mmの粘着テープ8を貼り付け、図13(b1)に示す要領で、粘着テープ8の端部を6点同時に力Fをかけて持ち上げて、図13(b2)に示すように下型4の成型面から樹脂ウェハ6を離型した。
<評価>
実施例及び比較例で得られた樹脂ウェハについて、下記の評価試験を実施した。
離型した樹脂ウェハの反りを表面形状測定システム(Dyvoce、神津精機社製)、位置精度をCNC画像測定システム(NEXIV-VMR-3030、ニコン社製)で測定した。
反りは樹脂ウェハ6面内の高さを測定し、[(ピークトップ)―(ボトム)](μm)によって求めた。
位置精度は樹脂ウェハ6の中心の位置を基準にして、各凸部61が下型4の対応する凹部41の位置からX方向Y方向にどれだけずれたかにより評価した。具体的には、測定点として基準点42の凹部41から約50mm離れたA~Dの凹部41に対応する凸部61の4点について各X,Yの座標を測定し、凹部41からのずれの大きさ(mm)で評価した。凸部61の測定点は、高さ0.2mm、直径1mmの半球形の頂点位置とした。結果を表1に示す。
Figure 0007137324000008
本発明の離型方法及び離型装置は、レンズ、プリズム、LED、有機EL素子、半導体レーザー、トランジスタ、太陽電池、CCDイメージセンサ、光導波路、光ファイバー、代替ガラス(例えば、ディスプレイ用基板、ハードディスク基板、偏光フィルム)、光学回折素子等の各種光学部材の製造分野および製造装置において好適に利用することができる。
1 モールド(型)
11 パターン領域
12 非パターン領域
1A 成型面
2 成型品
21 転写領域
22 非転写領域
23 光学素子
24 切断線
2A 第1の面
2B 第2の面
3 基材
F 力(の方向)
4 下型(樹脂製モールド)
41 凹部
42 基準点
5 上型(樹脂板)
6 樹脂ウェハ
61 凸部
7 金属製へら
8 粘着テープ

Claims (11)

  1. モールドの成型面に供給された硬化性材料を硬化することにより形成される、前記成型面のパターン形状が転写された第1の面とその裏側の第2の面を有する成型品を前記モールドから離型する方法であって、以下の工程を有することを特徴とする、前記成型品の離型方法。
    第1工程:前記硬化性材料の硬化物である前記成型品の前記第2の面の全体に基材を貼り付ける;
    第2工程:前記基材と前記モールドが離間する方向に、前記基材と前記モールドを相対的に移動させることにより前記成型品を前記モールドから離型する
    第3工程:第2工程で得られる前記成型品の第2の面から前記基材を剥離する。
  2. 前記成型品が、前記第1の面上に2個以上の光学素子が2次元的に配列され、これらの光学素子を互いに連結する基板部を有するアレイである、請求項1に記載の方法。
  3. さらに、以下の工程を有する、請求項2に記載の方法。
    第3’工程:第2工程で得られる、第1の面に2次元的に配列された複数の光学素子を有し、第2の面が前記基材で固定された成型品をダイシングすることにより光学素子を個片化して光学部材を得る。
  4. 前記光学素子が、ウェハレベルレンズである、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記第2の面上に、前記基材が貼り付く平面部が少なくとも存在する、請求項1~4の何れか1項に記載の方法。
  6. 前記基材が、樹脂製シートである、請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
  7. 前記樹脂製シートが、一方の面に粘着剤層を有する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記硬化性材料が、硬化性エポキシ樹脂組成物である請求項1~の何れか1項に記載の方法。
  9. 前記モールドを構成する材質が、樹脂、金属、及びガラスからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~の何れか1項に記載の方法。
  10. 前記モールドの成型面のパターン領域の少なくとも一部が離型剤で処理されている、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  11. モールドの成型面に供給された硬化性材料を硬化することにより形成される、前記成型面のパターン形状が転写された第1の面とその裏側の第2の面を有する成型品を前記モールドから離型する装置であって、
    前記第2の面に基材の貼り付けを行う貼付手段と、
    前記基材と前記モールドを相対的に移動させる移動手段と、
    前記貼付手段を制御して、前記硬化性材料の硬化物である前記成型品の第2の面の全体に前記基材を貼り付ける貼付制御手段と、
    前記移動手段を制御して、前記基材と前記モールドが離間する方向に、前記基材と前記モールドを相対的に移動させる移動制御手段と、
    前記基材と前記成型品を相対的に移動させる第2の移動手段と、
    前記第2の移動手段を制御して、前記基材と前記成型品が離間する方向に、前記基材と前記成型品を相対的に移動させる第2の移動制御手段と、を含むことを特徴とする離型装置。
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