JP2021189372A - 積層レンズ構造体の製造方法 - Google Patents

積層レンズ構造体の製造方法 Download PDF

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Norikazu Wada
利浩 寺内
Toshihiro Terauchi
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Abstract

【課題】蒸着コート膜を有し、且つ十分な接着強度で接着されてなる積層レンズ構造体の製造方法を提供する。【解決手段】蒸着コート膜3を備えたプラスチックレンズの2個以上が接着層を介して積層された構成を有する積層レンズ構造体6の製造方法であって、プラスチックレンズ1の面のうち、プラスチックレンズ1の接着に関与する部位にマスク2を設け、その状態で、プラスチックレンズ1のマスク2が設けられた面に蒸着コート膜3を形成する工程(I)、及びマスク2を取り除き、マスク2が設けられていた部位に接着剤4を塗布してプラスチックレンズ1を貼り合わせる工程(II)を含む。【選択図】図1

Description

本開示は、少なくとも一方の面に蒸着コート膜を有するプラスチックレンズの2個以上が積層された構成を有する、積層レンズ構造体の製造方法に関する。
近年、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、モバイル装置、デジタルカメラ、車載カメラ、防犯カメラ等に代表される電子機器は、小型化、軽量化、薄型化が飛躍的に進んでいる。それに伴い、それらの電子機器に搭載される撮像モジュールにも、小型化、軽量化、薄型化が求められている。
撮像モジュールは、一般に、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子と、固体撮像素子上に画像を結像するためのレンズモジュールとを備えている。
そして、前記レンズモジュールとしては、2個以上のレンズが縦に積層された、積層レンズ構造体を使用することが知られており、それによって解像度を飛躍的に向上することができる。
更に、特許文献1には、リフロー処理により実装される光学レンズについて、反射による光量損失等を抑制するため、レンズ表面に、SiO2等の無機蒸着材料からなる蒸着コート膜を形成することが知られている。
特開2011−150154号公報
しかし、前記蒸着コート膜が形成されたレンズは接着しにくく、前記蒸着コート膜が形成されたレンズを積層し、接着しても十分な接着強度が得られないため、界面剥離し易いことが問題であった。
従って、本開示の目的は、蒸着コート膜を有し、且つ十分な接着強度で接着されてなる積層レンズ構造体の製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、予め、接着剤を塗布する部位にマスクを施し、その状態で蒸着コート膜を形成すると、接着剤を塗布する部位には蒸着コート膜が形成されることがなく、その後、マスクを剥がし、そこに接着剤を塗布してレンズを貼り合わせることで、十分な接着強度でレンズを接着することができることを見い出した。本開示はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本開示は、蒸着コート膜を備えたプラスチックレンズの2個以上が接着層を介して積層された構成を有する積層レンズ構造体の製造方法であって、
プラスチックレンズの面のうち、プラスチックレンズの接着に関与する部位にマスクを設け、その状態で、プラスチックレンズのマスクが設けられた面に蒸着コート膜を形成する工程(I)、及び
前記マスクを取り除き、マスクが設けられていた部位に接着剤を塗布してプラスチックレンズを貼り合わせる工程(II)
を含む、積層レンズ構造体の製造方法を提供する。
本開示は、また、マスクが金属製又は樹脂製のテープ若しくはシートである、前記積層レンズ構造体の製造方法を提供する。
本開示は、また、蒸着コート膜が反射防止膜である、前記積層レンズ構造体の製造方法を提供する。
本開示は、また、プラスチックレンズが2個以上のレンズ部が1次元的又は2次元的に配列したプラスチックレンズアレイである、前記積層レンズ構造体の製造方法を提供する。
本開示は、また、工程(II)を経て積層レンズアレイ構造体を得、得られた積層レンズアレイ構造体を個片化する工程(III)を含む、前記積層レンズ構造体の製造方法を提供する。
本開示の積層レンズ構造体の製造方法は上記構成を有するため、蒸着コート膜を有し、且つ十分な接着強度でレンズ間が接着されてなる積層レンズ構造体を歩留まり良く製造することができる。
そして、前記積層レンズ構造体の製造方法で得られる積層レンズ構造体は、蒸着コート膜を有するため、反射による光量損失を抑制することができ、迷光を抑えてフレアやゴーストの発生を抑制することができる。また、前記積層レンズ構造体は、2個以上のプラスチックレンズが積層された構成を有するため、色収差や単色収差(ザイデル収差)を抑制でき、高解像度の画像が得られる。更に、レンズを電子機器に搭載する際には、複数枚のレンズを一括して搭載することができるため、作業性に優れ、電子機器の生産性を高める効果が得られる。
従って、前記積層レンズ構造体の製造方法は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、モバイル装置、デジタルカメラ、車載カメラ、防犯カメラ等に代表される電子機器に搭載されるレンズモジュールの製造に好適に使用される。
本開示の積層レンズ構造体の製造方法の一例を示す模式図(側面図)である。 図1の[1]〜[3]工程の模式図(正面図)である。
[積層レンズ構造体の製造方法]
本開示の積層レンズ構造体の製造方法は、蒸着コート膜を備えたプラスチックレンズの2個以上が接着層を介して積層された構成を有する積層レンズ構造体の製造方法であって、
プラスチックレンズの面のうち、プラスチックレンズの接着に関与する部位にマスクを設け、その状態で、プラスチックレンズのマスクが設けられた面に蒸着コート膜を形成する工程(I)、及び
前記マスクを取り除き、マスクが設けられていた部位に接着剤を塗布してプラスチックレンズを貼り合わせる工程(II)
を含む。
本開示の積層レンズ構造体の製造方法の一例を図1に示す。
[1]プラスチックレンズアレイ(1)の面のうち接着剤を塗布する部位にマスク(2)を設ける。
[2]蒸着コート膜(3,3’)を設けて、蒸着コート膜付きプラスチックレンズアレイを得る。
[3]マスク(2)を剥離して、マスク(2)を剥離した部位に接着剤(4)を塗布して、蒸着コート膜と接着剤付きプラスチックレンズアレイを得る。
[4]接着剤(4)が塗布された、蒸着コート膜(3,3’)を有するプラスチックレンズアレイ(1)を積層する。
[5]接着剤(4)を硬化して、接着剤の硬化物(4’)で接着固定された積層レンズアレイ構造体(5)を得る。
[6]積層レンズアレイ構造体(5)をダイシングして、積層レンズ構造体(6)を得る。
(工程(I))
工程(I)は、プラスチックレンズの面のうち、プラスチックレンズの接着に関与する部位にマスクを設ける工程(I-1)と、蒸着コート膜を形成する工程(I-2)とを含む。
前記プラスチックレンズは、少なくとも1個のレンズ部とレンズ周辺部を備えるものであり、なかでも、2個以上(好ましくは10個以上、より好ましくは20個以上、特に好ましくは30個以上、最も好ましくは50個以上である。上限は、例えば5000個、好ましくは2000個である)のレンズ部が、レンズ周辺部によって隔てられた状態で、1次元的又は2次元的に配列した構成を有するプラスチックレンズアレイであることが、効率よく積層レンズ構造体を製造することができる点で好ましい。
前記レンズ部の直径は、例えば1〜5mmである。また、2個以上のレンズ部が配列した構成を有する場合、隣り合うレンズ部の距離(若しくは、レンズ部の間隔)は、例えば1mm以下、好ましくは0.05〜1mm、特に好ましくは0.05〜0.5mmである。
(工程(I-1))
前記マスクは、真空蒸着による蒸着コート膜の形成の際に、蒸着コート膜の形成を阻害する効果を発揮できる素材からなるものであれば特に制限無く使用することができ、例えば、金属製又は樹脂製のテープ若しくはシート等が挙げられる。
前記マスクはプラスチックレンズの表面のうち、接着に関与する部位[例えば、プラスチックレンズの接着目的で、接着剤を塗布する部位、若しくは、工程(II)において、接着剤を塗布する部位であり、プラスチックレンズの表面のうち、レンズ部以外の部(すなわち、レンズ周辺部)の少なくとも一部である]が隠れるように設置すれば良く、それはプラスチックレンズ一方の面であってもよいし、両方の面であってもよい。
前記マスクは、例えば、感圧接着剤等を介して接着固定してもよく、治具(例えば、ウェハリング、ダイシングフレーム等)を利用してマスクをプラスチックレンズ表面に固定してもよく、適度な重量を有するマスクを使用してマスクの自重によって固定してもよい。さらに、磁性を備えた治具を使用して、プラスチックレンズとマスクとを磁石で挟み込むようにして固定しても良い。
前記金属製テープ若しくはシートにおける金属としては、例えば、アルミ、SUS等が挙げられる。
前記樹脂製テープ若しくはシートにおける樹脂としては、例えば、(ポリ)アクリル酸、(ポリ)メタクリル酸、(ポリ)アクリレート、(ポリ)メタクリレート、(ポリ)オレフィン類、(ポリ)スチレン、(ポリ)イミド、(ポリ)ビニル化合物、(ポリ)エステル、(ポリ)アリレート、(ポリ)カーボネート、(ポリ)エーテル、(ポリ)エーテルケトン、(ポリ)スルホン、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、オルガノ(ポリ)シロキサン、(ポリ)シロキサン、(ポリ)塩化ビニル、(ポリ)ビニルアルコール、(ポリ)ビニルブチラール、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンオキシド等が挙げられる。
(工程(I-2))
蒸着コート膜は、プラスチックレンズの面のうち、少なくとも、マスクが設けられた面に形成する。蒸着コート膜は、プラスチックレンズのマスクが設けられた部位以外の部位全体に形成しても良いし、一部のみに形成してもよいが、少なくともレンズ部には蒸着コート膜を形成することが、光学特性に優れた積層レンズ構造体が得られる点で好ましい。
本開示ではプラスチックレンズの接着に関与する部位にマスクを設け、当該部位には蒸着コート膜が形成されないように処置を施した状態で蒸着コート膜を形成するため、続く工程(II)において接着剤を用いてプラスチックレンズを接着する際に、蒸着コート膜によって接着が阻害されることが無く、優れた接着力でプラスチックレンズを接着し、固定することができる。
上記蒸着コート膜としては、特に限定されないが、例えば、反射防止膜(若しくは、ARコート膜)等が挙げられる。反射防止膜は、単層または多層の被膜で構成される。
反射防止膜を形成する蒸着材料としては、SiO2、ZrO2、Al23、TiO2、Ta25、MgF2などが一般的に使用される
蒸着コート膜が多層で構成される場合、各層の構成材料は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記蒸着コート膜の成膜方法としては、例えば真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法、PVD法等の乾式メッキ法(若しくは、ドライコーティング法)を採用する。真空蒸着法においては、蒸着中にイオンビームを同時に照射するイオンビームアシスト法を用いてもよい。
また、特に、真空蒸着法によって蒸着コート膜を形成する場合、蒸着材料の揮発方向とプラスチックレンズの面の角度が例えば30°〜75°の範囲となるよう調整した状態で真空蒸着を実施すると、多孔性を有する蒸着コート膜(好ましくは、反射防止膜)を形成することができ、当該多孔性を有する蒸着コート膜(好ましくは、反射防止膜)は、高温環境下でもクラックが生じ難く、リフロー耐熱性に優れる(すなわち、リフロー方式による半田付けにより実装可能な耐熱性を有する)ため好ましい。
工程(I-2)を経て、プラスチックレンズのうち、接着に関与する部位にマスクが設けられ、前記マスクが設けられた部位以外の部位に蒸着コート膜が形成された、蒸着コート膜付きプラスチックレンズが得られる。
前記プラスチックレンズがプラスチックレンズアレイである場合は、プラスチックレンズアレイのうち、接着に関与する部位にマスクが設けられ、前記マスクが設けられた部位以外の部位に蒸着コート膜が形成された、蒸着コート膜付きプラスチックレンズアレイが得られる。
(工程(II))
工程(II)は、工程(I)を経て得られた蒸着コート膜付きプラスチックレンズ(若しくは、蒸着コート膜付きプラスチックレンズアレイ)のマスクを取り除き、マスクが設けられていた部位に接着剤を塗布して、蒸着コート膜と接着剤付きプラスチックレンズ(若しくは、蒸着コート膜と接着剤付きプラスチックレンズアレイ)を得、これらを貼り合わせる工程である。
前記接着剤としては、周知慣用の接着剤(永久接着剤)を使用することができ、例えば、光又は熱硬化性組成物が挙げられる。前記光又は熱硬化性組成物は、硬化性化合物と光又は熱重合開始剤とを含有し、前記硬化性化合物には、例えば、カチオン重合性化合物や、ラジカル重合性化合物が含まれる。
本開示においては、なかでも、硬化性化合物としてカチオン重合性化合物を含む光又は熱硬化性組成物を使用することが、酸素の存在下でも硬化性に優れる点で好ましく、特に、後述のエポキシ樹脂(特に、脂環エポキシ基を有する多官能脂環式エポキシ化合物)を含有する光又は熱硬化性組成物を使用することが、耐熱性、透明性に優れる硬化物を形成して、プラスチックレンズを強固に固定することができる点で好ましい。
接着剤の塗布方法としては、特に制限がなく、例えば、ディスペンサー等を利用して吐出、或いは噴霧する方法、刷毛やスキージを利用して塗布する方法、型押しする方法、印刷する方法等が挙げられる。
前記接着剤の塗布部位は、マスクが設けられていた部位の全体であってもよいし、その一部であってもよい。例えば、ディスペンサーを利用する場合、接着剤は、例えば、マスクが設けられていた部位のうち、レンズの四隅に当たる部位に塗布することが好ましい(図2参照)。
また、接着剤を塗布する場合には、プラスチックレンズ表面のうち、接着剤を塗布すべき部位以外の部位をマスクした状態で塗布すると、レンズ部の光学特性を損なうこと無く、高く維持することができる。この場合に使用するマスクとしては、上述のマスクと同様のものを使用することができる。
接着剤の塗布量(塗布厚み)としては、プラスチックレンズを固定するのに十分な接着力を発揮することができる範囲であれば特に制限が無く、例えば5〜500μm程度である。
接着剤を塗布した後は、蒸着コート膜と接着剤付きプラスチックレンズを、レンズ部が重なるように積層して貼り合わせ、接着剤を硬化させることで積層レンズ構造体が得られる。
接着剤の硬化は、使用する接着剤に応じて適宜行うことが好ましく、例えば、光硬化性組成物を使用した場合は光を照射することで硬化させることができ、熱硬化性組成物を使用した場合は加熱処理を施すことで硬化させることができる。
例えば、接着剤として後述のエポキシ樹脂(特に、脂環エポキシ基を有する多官能脂環式エポキシ化合物)を含有する光又は熱硬化性組成物を使用した場合は、後述の硬化組成物の硬化方法と同様の方法を採用することができる。
そして、前記プラスチックレンズがプラスチックレンズアレイである場合は、工程(II)を経て、積層レンズアレイ構造体が得られるが、この場合は、工程(II)終了後に、得られた積層レンズアレイ構造体を個片化する工程(III)を設けることが好ましい。
積層レンズアレイ構造体の個片化は、レンズ部とレンズ周辺部とを備えるプラスチックレンズアレイの、レンズ周辺部において切断することが好ましい。
積層レンズアレイ構造体の個片化手段としては特に制限されることがなく周知慣用の手段を採用することができるが、なかでも高速回転するブレードを用いることが好ましい。
高速回転するブレードを使用して切断する場合、ブレードの回転速度は例えば10000〜50000回転/分程度である。また、積層レンズアレイ構造体を高速回転するブレード等を用いて切断する際には摩擦熱が生じるため、積層レンズアレイ構造体を冷却しながら切断することが、摩擦熱によってレンズが変形したり光学特性が低下するのを抑制することができる点で好ましい。
上記工程を経て、レンズ部とレンズ周辺部とを含み、蒸着コート膜を備えたプラスチックレンズの2個以上が積層され、積層された各プラスチックレンズが接着層によって互いに固定された構造を有する、積層レンズ構造体が得られる。
前記プラスチックレンズには、例えば、マイクロレンズ、フレネルレンズ等が含まれる。そして、当該プラスチックレンズの積層体である、本開示の積層レンズ構造体は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、モバイル装置、デジタルカメラ、車載カメラ、防犯カメラ等に代表される電子機器のレンズモジュールとして好適に使用することができる。
本開示では、マスクを設けた状態で蒸着コート膜を形成し、その後、マスクを除去して、マスクが設けられていた部位に接着剤を塗布して接着するため、蒸着コート膜によって接着が阻害されることがなく、強固にプラスチックレンズを固定することができる。
(プラスチックレンズの製造方法)
工程(I)に供するプラスチックレンズは、例えば、硬化性組成物を金型を用いて成型し、硬化させることによって製造することができる。
前記金型としては、所望のプラスチックレンズの反転形状を有する金型が用いられる。例えば、プラスチックレンズとしてプラスチックレンズアレイを製造する場合は、2個以上(好ましくは10個以上、好ましくは20個以上、特に好ましくは30個以上、最も好ましくは50個以上である。上限は、例えば5000個、好ましくは2000個である)のレンズキャビティー(=レンズの反転形状を有する凹部)が2次元的に配列(好ましくは、一定の間隔で配列)した構成を有する金型を使用すればよい。
また、前記金型は、製造するレンズの形状によっては、上型と下型の2部構成(例えば、レンズの凹面の反転形状を有する金型と、レンズの凸面の反転形状を有する金型を、一方を上型、他方を下型とする2部構成)になっていてもよい。
また、前記金型は、表面に離型処理が施されたものを使用することが好ましい。離型処理方法としては、例えば、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、ワックス系離型剤等の離型剤を塗布することにより離型膜を形成する方法や、フッ素樹脂等を真空蒸着することにより蒸着離型膜を形成する方法等が挙げられる。離型膜は1層であっても多層であってもよい。又、離型膜が多層である場合、各層は同じ成分で形成されていてもよく、異なる成分で形成されていてもよい。
金型を用いて硬化性組成物を成型する方法としては、例えば、下記(1)〜(3)の方法が挙げられる。尚、硬化性組成物としては、後述の光又は熱硬化性組成物が好ましい。
(1)金型に硬化性組成物を塗布し、その上から基板を押し付け、硬化性組成物を硬化させた後、金型を剥離する方法
(2)金型の上型と下型の少なくとも一方に硬化性組成物を塗布し、上型と下型とを合わせた上で硬化性組成物を硬化させ、その後、上型と下型を剥離する方法
(3)基板上に塗布された硬化性組成物に金型を押し付けて成型し、硬化性組成物を硬化させた後、金型を離型する方法(インプリント法)
例えば硬化性組成物として光硬化性組成物を使用する場合は、前記基板として50〜400nmの波長の光の光線透過率が50%以上である基板を使用することが好ましく、石英やガラスからなる基板を好適に使用することができる。尚、前記波長の光線透過率は、基板(厚み:1mm)を試験片として使用し、当該試験片に照射した前記波長の光線透過率を、分光光度計を用いて測定することで求められる。
硬化性組成物の塗布方法としては、特に制限が無く、例えば、ディスペンサーやシリンジ等を使用する方法等が挙げられる。
硬化性組成物の硬化は、例えば硬化性組成物として光硬化性組成物を使用する場合は、紫外線を照射することによって行うことができる。紫外線照射を行う時の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯等が用いられる。照射時間は、光源の種類、光源と塗布面との距離、その他の条件により異なるが、長くとも数十秒である。照度は、5〜200mW/cm2程度である。紫外線照射後は、必要に応じて加熱(ポストキュア)を行って硬化の促進を図ってもよい。
例えば硬化性組成物として熱硬化性組成物を使用する場合は、加熱処理を施すことによって硬化性組成物を硬化させることができる。加熱温度は、例えば60〜200℃程度である。加熱時間は、例えば0.5〜20時間程度である。
また、硬化性組成物を硬化させて得られたプラスチックレンズ(若しくは、プラスチックレンズアレイ)は表面処理[例えば、ハードコート処理(=ハードコート層を形成する処理)、コロナ放電処理、プラズマ処理、アンカーコート処理等]が施されていても良い。
(硬化性組成物)
前記硬化性組成物は、加熱処理及び/又は紫外線照射を行うことで硬化して、光学特性に優れた硬化物を形成することができるものが好ましい。本開示においては、なかでも、紫外線照射又は加熱処理を施すことにより硬化して、光学特性に優れた硬化物を形成することができる組成物(すなわち、光又は熱硬化性組成物)が好ましく、硬化性化合物としてカチオン硬化性化合物を含む組成物が硬化性に優れる点で特に好ましく、(カチオン)硬化性化合物として少なくともエポキシ樹脂を含む組成物が、硬化性に優れ、光学特性(特に、透明性)、高硬度、及び耐熱性を兼ね備えた硬化物(すなわち、レンズ)が得られる点で最も好ましい。
エポキシ樹脂としては、分子内に1以上のエポキシ基(オキシラン環)を有する公知乃至慣用の化合物を使用することができ、例えば、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等が挙げられる。本開示においては、なかでも、耐熱性、及び透明性に優れた硬化物を形成することができる点で、1分子内に脂環構造と、官能基としてのエポキシ基を2個以上有する、多官能脂環式エポキシ化合物が好ましい。
前記多官能脂環式エポキシ化合物としては、具体的には、
(i)脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(すなわち、脂環エポキシ基)を有する化合物
(ii)脂環に直接単結合で結合したエポキシ基を有する化合物
(iii)脂環とグリシジル基とを有する化合物
等が挙げられる。
上述の脂環エポキシ基を有する化合物(i)としては、例えば、下記式(i)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2021189372
上記式(i)中、Xは単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、これらが複数個連結した基等が挙げられる。尚、式(i)中のシクロヘキセンオキシド基には、置換基(例えば、アルキル基等)が結合していてもよい。
上記二価の炭化水素基としては、炭素数が1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。上記二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記Xにおける連結基としては、特に、酸素原子を含有する連結基が好ましく、具体的には、−CO−、−O−CO−O−、−COO−、−O−、−CONH−、エポキシ化アルケニレン基;これらの基が複数個連結した基;これらの基の1又は2以上と上記二価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基等が挙げられる。
上記式(i)で表される化合物の代表的な例としては、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタンや、下記式(i-1)〜(i-10)で表される化合物等が挙げられる。下記式(i-5)中のLは炭素数1〜8のアルキレン基であり、中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。下記式(i-5)、(i-7)、(i-9)、(i-10)中のn1〜n8は、それぞれ1〜30の整数を示す。
Figure 2021189372
Figure 2021189372
上述の脂環エポキシ基を有する化合物(i)には、エポキシ変性シロキサンも含まれる。
エポキシ変性シロキサンとしては、例えば、下記式(i’)で表される構成単位を有する、鎖状又は環状のポリオルガノシロキサンが挙げられる。
Figure 2021189372
上記式(i’)中、R1は下記式(1a)又は(1b)で表されるエポキシ基を含む置換基を示し、R2はアルキル基又はアルコキシ基を示す。
Figure 2021189372
式中、R1a、R1bは、同一又は異なって、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示し、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、デカメチレン基等の炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。
エポキシ変性シロキサンのエポキシ当量(JIS K7236に準拠)は、例えば100〜400、好ましくは150〜300である。
エポキシ変性シロキサンとしては、例えば、下記式(i’-1)で表されるエポキシ変性環状ポリオルガノシロキサン(商品名「KR−470」、信越化学工業(株)製)等の市販品を用いることができる。
Figure 2021189372
上述の脂環に直接単結合で結合したエポキシ基を有する化合物(ii)としては、例えば、下記式(ii)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2021189372
式(ii)中、R'は、p価のアルコールの構造式からp個の水酸基(−OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、n9はそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R'−(OH)p]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコール(炭素数1〜15のアルコール等)等が挙げられる。pは1〜6が好ましく、n9は1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの角括弧(外側の括弧)内の基におけるn9は同一でもよく異なっていてもよい。上記式(ii)で表される化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等が挙げられる。
上述の脂環とグリシジル基とを有する化合物(iii)としては、例えば、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビフェノール型エポキシ化合物、水添フェノールノボラック型エポキシ化合物、水添クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAの水添クレゾールノボラック型エポキシ化合物、水添ナフタレン型エポキシ化合物、トリスフェノールメタン型エポキシ化合物の水添物等の水素化芳香族グリシジルエーテル系エポキシ化合物等が挙げられる。
多官能脂環式エポキシ化合物としては、表面硬度が高く、透明性に優れた硬化物が得られる点で、脂環エポキシ基を有する化合物(i)が好ましく、上記式(i)で表される化合物(特に、(3,4,3',4'−ジエポキシ)ビシクロヘキシル)が特に好ましい。
前記硬化性組成物は、硬化性化合物としてエポキシ樹脂以外にも他の硬化性化合物を含有していても良く、例えば、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等のカチオン硬化性化合物を1種又は2種以上含有することができる。
前記硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量%)に占めるエポキシ樹脂の割合は、例えば50重量%以上、好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、最も好ましくは80重量%以上である。尚、上限は、例えば100重量%、好ましくは90重量%である。
また、前記硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量%)に占める脂環エポキシ基を有する化合物(i)の割合は、例えば20重量%以上、好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上である。尚、上限は、例えば70重量%、好ましくは60重量%である。
また、前記硬化性組成物に含まれる硬化性化合物全量(100重量%)に占める式(i)で表される化合物の割合は、例えば10重量%以上、好ましくは15重量%以上、特に好ましくは20重量%以上である。尚、上限は、例えば50重量%、好ましくは40重量%である。
前記硬化性組成物は、上記硬化性化合物と共に重合開始剤を含有することが好ましく、なかでも光又は熱重合開始剤(特に、光又は熱カチオン重合開始剤)を1種又は2種以上含有することが好ましい。
光カチオン重合開始剤は、光の照射によって酸を発生して、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物(特に、カチオン硬化性化合物)の硬化反応を開始させる化合物であり、光を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、ホスホニウム塩系化合物、セレニウム塩系化合物、オキソニウム塩系化合物、アンモニウム塩系化合物、臭素塩系化合物等が挙げられる。
前記カチオン重合開始剤としては、なかでも、スルホニウム塩系化合物を使用することが、硬化性に優れた硬化物を形成することができる点で好ましい。スルホニウム塩系化合物のカチオン部としては、例えば、(4−ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムイオン、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウムイオン、トリ−p−トリルスルホニウムイオン等のアリールスルホニウムイオン(特に、トリアリールスルホニウムイオン)が挙げられる。
光カチオン重合開始剤のアニオン部としては、例えば、[(Y)sB(Phf)4-s-(式中、Yはフェニル基又はビフェニリル基を示す。Phfは水素原子の少なくとも1つが、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、及びハロゲン原子から選択される少なくとも1種で置換されたフェニル基を示す。sは0〜3の整数である)、BF4 -、[(Rf)tPF6-t-(式中、Rfは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を示す。tは0〜5の整数を示す)、AsF6 -、SbF6 -、SbF5OH-等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、(4−ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、[4−(2−チオキサントニルチオ)フェニル]フェニル−2−チオキサントニルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、商品名「サイラキュアUVI−6970」、「サイラキュアUVI−6974」、「サイラキュアUVI−6990」、「サイラキュアUVI−950」(以上、米国ユニオンカーバイド社製)、「Irgacure250」、「Irgacure261」、「Irgacure264」、「CG−24−61」(以上、BASF社製)、「オプトマーSP−150」、「オプトマーSP−151」、「オプトマーSP−170」、「オプトマーSP−171」(以上、(株)ADEKA製)、「DAICAT II」((株)ダイセル製)、「UVAC1590」、「UVAC1591」(以上、ダイセル・サイテック(株)製)、「CI−2064」、「CI−2639」、「CI−2624」、「CI−2481」、「CI−2734」、「CI−2855」、「CI−2823」、「CI−2758」、「CIT−1682」(以上、日本曹達(株)製)、「PI−2074」(ローディア社製、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート トリルクミルヨードニウム塩)、「FFC509」(3M社製)、「BBI−102」、「BBI−101」、「BBI−103」、「MPI−103」、「TPS−103」、「MDS−103」、「DTS−103」、「NAT−103」、「NDS−103」(以上、ミドリ化学(株)製)、「CD−1010」、「CD−1011」、「CD−1012」(以上、米国、Sartomer社製)、「CPI−100P」、「CPI−101A」(以上、サンアプロ(株)製)等の市販品を使用できる。
熱カチオン重合開始剤は、加熱処理を施すことによって酸を発生して、硬化性組成物に含まれるカチオン硬化性化合物の硬化反応を開始させる化合物であり、熱を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。熱カチオン重合開始剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱カチオン重合開始剤としては、例えば、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物等を挙げることができる。
熱カチオン重合開始剤のカチオン部としては、例えば、4−ヒドロキシフェニル−メチル−ベンジルスルホニウムイオン、4−ヒドロキシフェニル−メチル−(2−メチルベンジル)スルホニウムイオン、4−ヒドロキシフェニル−メチル−1−ナフチルメチルスルホニウムイオン、p−メトキシカルボニルオキシフェニル−ベンジル−メチルスルホニウムイオン等を挙げることができる。
熱カチオン重合開始剤のアニオン部としては、上記光カチオン重合開始剤のアニオン部と同様の例を挙げることができる。
熱カチオン重合開始剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニル−メチル−ベンジルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−ヒドロキシフェニル−メチル−(2−メチルベンジル)スルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−ヒドロキシフェニル−メチル−1−ナフチルメチルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、p−メトキシカルボニルオキシフェニル−ベンジル−メチルスルホニウム フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
重合開始剤の含有量は、硬化性組成物に含まれる硬化性化合物(特に、カチオン硬化性化合物)100重量部に対して、例えば0.1〜5.0重量部となる範囲である。重合開始剤の含有量が上記範囲を下回ると、硬化不良を引き起こすおそれがある。一方、重合開始剤の含有量が上記範囲を上回ると、硬化物が着色しやすくなる傾向がある。
前記硬化性組成物は、上記硬化性化合物と重合開始剤と、必要に応じて他の成分(例えば、溶剤、酸化防止剤、表面調整剤、光増感剤、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤、界面活性剤、難燃剤、紫外線吸収剤、着色剤等)を混合することによって製造することができる。他の成分の配合量は、硬化性組成物全量の、例えば20重量%以下、好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。
前記硬化性組成物としては、例えば、商品名「CELVENUS OUH106」、「CELVENUS OTM107」(以上、(株)ダイセル製)等の市販品を使用することができる。
以上、本開示の各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において、適宜、構成の付加、省略、置換、及び変更が可能である。また、本開示は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。
以下、実施例により本開示をより具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
(プラスチックレンズアレイの調製)
レンズキャビティーが2次元的に配列(縦5列×横5列)した金型を使用した。
基板上に、硬化性組成物(商品名「CELVENUS OTM107」、硬化性化合物と熱重合開始剤を含有し、前記硬化性化合物して(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシルを含む、(株)ダイセル製)を、容積定量式ディスペンサーを用いて塗布した。
その後、塗布された硬化性組成物に上記金型を押し付け(押し付け開始時圧力100N、最大押し付け圧力300N)、その状態で加熱処理(60℃から、35℃/分で昇温し、170℃で2分間)を施し、次いで100℃において離型して、100個のレンズ部が縦10列×横10列に配列し、これらのレンズ部がレンズ周辺部を介して連結した構成を有するプラスチックレンズアレイを得た。
(蒸着コート膜の調製)
得られたプラスチックレンズアレイ表面のレンズ部以外を、アルミ板を使用してマスクした。前記アルミ板は治具で固定した。
マスクした状態のプラスチックレンズアレイを真空蒸着装置に設置し、プラスチックレンズのマスクした面と、プラスチックレンズのマスクした面とは反対側の面に、真空蒸着法により金属酸化物被膜(SiO2層:70−90nm)を形成し、蒸着コート膜付きプラスチックレンズアレイを製造した。
得られた蒸着コート膜付きプラスチックレンズアレイについて、23℃、50%Rhの条件下にて、表面の入射角0度の反射率を、顕微分光測定機(USPM−RU3、オリンパス社製)を用いて測定した。その結果、波長450〜780nmの範囲の光の反射率は2%以下であった。
(プラスチックレンズアレイの積層)
得られた蒸着コート膜付きプラスチックレンズアレイ表面の、レンズ周辺部に、ジェットディスペンサーを使用して接着剤(商品名「CELVENUS OUA017」、(株)ダイセル製)を塗布(塗布厚み:100μm)し、接着剤付きプラスチックレンズアレイを得た。
同様の方法で得られた100個の接着剤付きプラスチックレンズアレイを、レンズ部が重なるように調整しつつ積層し、紫外線照射を行って接着剤を硬化させて、積層レンズアレイ構造体を得た。
(積層レンズアレイ構造体の個片化)
得られた積層レンズアレイ構造体に、ブレードを使用して格子状に切り込みを入れて個片化して、積層レンズ構造体を得た。
(積層レンズアレイ構造体の評価)
得られた積層レンズ構造体の界面剥離強度を、JIS Z 0237:2009に準拠した方法(90°剥離試験;剥離速度300mm/min)で測定した。
実施例2
プラスチックレンズアレイ表面のレンズ部以外に、片面に感圧接着剤層を有するオレフィンテープ(商品名「三井マスキングテープ T435J」、三井化学東セロ(株)製)を貼着することでマスクした以外は実施例1と同様にして、積層レンズ構造体を得、得られた積層レンズ構造体を評価した。
比較例1
マスクしなかった以外は実施例1と同様にして、積層レンズ構造体を得、得られた積層レンズ構造体を評価した。
参考例1
プラスチックレンズアレイに蒸着コート膜の調製を行わなかった以外は実施例1と同様にして、積層レンズ構造体を得、得られた積層レンズ構造体を評価した。また、積層前のプラスチックレンズアレイ表面の、波長450〜780nmの範囲の光の反射率は4%であった。
Figure 2021189372
上記結果より、接着剤塗布部にも蒸着コート膜が形成されていると、光学特性には優れるが、十分な接着強度が得られず、界面剥離しやすかった。
一方、マスクした状態で蒸着コート膜を形成し、接着剤塗布部には蒸着コート膜が形成されないようにすると、蒸着コート膜を設けなかった場合と同等に優れた界面剥離強度を有する積層レンズ構造体が得られることが分かった。
以上より、本開示の方法によれば、接着強度に優れ、且つ光学特性に優れる(反射率は2%以下であり、反射による光量損失を抑制することができる)積層レンズ構造体が得られることが分かった。
1 プラスチックレンズアレイ
2 マスク
3,3’蒸着コート膜
4 接着剤
4’ 接着剤の硬化物
5 積層レンズアレイ構造体
6 積層レンズ構造体
7 レンズ部
8 マスク開口部
9 レンズ周辺部、若しくはマスクが設けられていた部位

Claims (5)

  1. 蒸着コート膜を備えたプラスチックレンズの2個以上が接着層を介して積層された構成を有する積層レンズ構造体の製造方法であって、
    プラスチックレンズの面のうち、プラスチックレンズの接着に関与する部位にマスクを設け、その状態で、プラスチックレンズのマスクが設けられた面に蒸着コート膜を形成する工程(I)、及び
    前記マスクを取り除き、マスクが設けられていた部位に接着剤を塗布してプラスチックレンズを貼り合わせる工程(II)
    を含む、積層レンズ構造体の製造方法。
  2. マスクが金属製又は樹脂製のテープ若しくはシートである、請求項1に記載の積層レンズ構造体の製造方法。
  3. 蒸着コート膜が反射防止膜である、請求項1又は2に記載の積層レンズ構造体の製造方法。
  4. プラスチックレンズが2個以上のレンズ部が1次元的又は2次元的に配列したプラスチックレンズアレイである、請求項1〜3の何れか1項に記載の積層レンズ構造体の製造方法。
  5. 工程(II)を経て積層レンズアレイ構造体を得、得られた積層レンズアレイ構造体を個片化する工程(III)を含む、請求項4に記載の積層レンズ構造体の製造方法。
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