JP7137301B2 - 研磨パッド - Google Patents

研磨パッド Download PDF

Info

Publication number
JP7137301B2
JP7137301B2 JP2017189689A JP2017189689A JP7137301B2 JP 7137301 B2 JP7137301 B2 JP 7137301B2 JP 2017189689 A JP2017189689 A JP 2017189689A JP 2017189689 A JP2017189689 A JP 2017189689A JP 7137301 B2 JP7137301 B2 JP 7137301B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polishing
curing agent
polishing pad
polyol
polishing layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017189689A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019063903A (ja
Inventor
博仁 宮坂
哲平 立野
立馬 松岡
匠 三國
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujibo Holdins Inc
Original Assignee
Fujibo Holdins Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujibo Holdins Inc filed Critical Fujibo Holdins Inc
Priority to JP2017189689A priority Critical patent/JP7137301B2/ja
Publication of JP2019063903A publication Critical patent/JP2019063903A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7137301B2 publication Critical patent/JP7137301B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Mechanical Treatment Of Semiconductor (AREA)

Description

本発明は、光学材料、半導体ウエハ、ハードディスク基板、液晶用ガラス基板、半導体デバイスなどの高度の表面平坦性を要求される材料の研磨を行うための研磨シート乃至研磨パッドに関する。本発明は、特に半導体ウエハの上に酸化物層、金属層等が形成されたデバイスを研磨するのに好適に用いられる。
光学材料、半導体ウエハ、ハードディスク基板、液晶用ガラス基板、半導体デバイスなどは非常に精密な平坦性が要求される。特に半導体デバイス製造工程での材料の表面は、金属、有機及び無機の絶縁材料など硬度の異なる様々な材料が露出している。このような材料の表面を平坦に研磨するためには、研磨パッドの表面も均一な剛性を維持していることが必要である。研磨パッドの表面の剛性が研磨作業の間に変化する場合には、所望の平坦性は達成できない。
例えば、研磨開始から研磨パッドの1回の研磨作業の終期には相当の研磨屑が発生している。研磨屑の蓄積が原因で開口部に目詰まりして、スラリーの保持が悪化し、摩擦熱が発生するので、1回の研磨作業の間に、研磨される材料の表面の温度は初期から終期にかけて上昇し、20℃~70℃を含む幅広い温度範囲で変化する。また、化学機械研磨に使用される研磨液は温度上昇とともに化学的作用(被研磨物の表面の腐食)が強くなる。したがって、被研磨物や研磨液の温度変化により、局部的に剛性が低下した研磨パッドの表面により、精密な平坦性は達成できず、また、パッドの変形・目詰まり等でディフェクトが増加しやすい傾向となる。
多くの硬質研磨パッドは、ポリオール成分とイソシアネート成分との反応中間体であるウレタンプレポリマーを用い、ジアミン類及び/又はジオール類等の硬化剤(鎖延長剤)、発泡剤、触媒等を添加混合して得られるポリウレタン組成物を硬化させるプレポリマー法により製造されている。プレポリマー法において、ポリウレタン組成物の改質を行う場合、例えば、研磨時の摩擦熱による研磨パッドの硬度の低下を抑制するため、ウレタンプレポリマーのポリオール成分やイソシアネート成分や硬化剤のジアミン類やジオール類等、配合する材料の検討が進められている。
特許文献1には、アミン系硬化剤に水酸基を1つ有する芳香族化合物及び/又はアミノ基を一つ有する芳香族化合物組み合わせて使用して、ポリウレタン樹脂中に比較的低分子量のポリマーを分散させて、ポリウレタン樹脂の硬度を維持したままポリウレタン樹脂自体の「ねばり」を低減し、ドレス性を向上させることが開示されている。
特開2013-066977号公報
しかしながら、本発明者らが検討したところ、硬化剤としてジアミン類とジオール類を併用すると、ジオール類はジアミン類よりも反応速度が低いため、ジオール類が反応せずに未反応残留物として硬化後のポリウレタン樹脂組成物に含まれていることが分かった。そして、この未反応残留物が研磨時に有機残渣として被研磨物に付着し、ディフェクトを発生させていることが分かった。そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、研磨層を溶出物試験により測定して得られた結果が未反応の硬化剤の量と関係していることを見出し、未反応の硬化剤の少ない研磨層とすることにより、研磨時における有機残渣の発生を抑制し、被研磨物におけるディフェクトの発生を抑制できる本発明を完成した。
即ち、本発明は以下のものを提供する。
[1]
ポリウレタン樹脂からなる研磨層を有する研磨パッドであって、
前記研磨層が、ポリイソシアネート化合物及び硬化剤を含むポリウレタン樹脂硬化性組成物を硬化させて形成され、
前記硬化剤は、アミン系硬化剤及びポリオール硬化剤を含み、
前記研磨層に対して溶出物試験を行った際に検出される、前記ポリオール硬化剤の量が前記研磨層の重量に対して0.10%以下である、前記研磨パッド。
[2]
前記ポリオール硬化剤の1級水酸基化率が60%以上であるポリオールを含む、[1]に記載の研磨パッド。
[3]
前記ポリオール硬化剤に含まれるポリオールの数平均分子量が500~6000である、[1]又は[2]に記載の研磨パッド
[4]
前記アミン系硬化剤が3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタンを含む、[1]~[3]のいずれかに記載の研磨パッド。
[5]
前記ポリウレタン樹脂硬化性組成物が微小中空球体をさらに含む、[1]~[4]のいずれかに記載の研磨パッド。
[6]
[1]~[5]のいずれかに記載の研磨パッドの製造方法であって、
前記研磨層を成形する工程を含む、前記方法。
[7]
光学材料又は半導体材料の表面を研磨する方法であって、[1]~[5]のいずれかに記載の研磨パッドを使用することを特徴とする、前記方法。
[8]
[1]~[5]のいずれかに記載の研磨パッドを使用して光学材料又は半導体材料の表面を研磨する際のディフェクトを低減する方法。
本発明の研磨パッドにおいては、特定のポリオール硬化剤を硬化剤として含むことにより湿潤耐熱性を向上させることができ、さらに、研磨層に残留物として含まれている未反応のポリオール硬化剤の量を低減させることにより、研磨時に被研磨物に付着する有機残渣を低減させることができる。結果として、本発明によれば、湿潤耐熱性に優れ、被研磨物におけるディフェクトの発生を抑制できる研磨パッドを提供することができる。
(作用)
本発明の研磨パッドにおいては、研磨層に対して溶出物試験を行った際に検出される、ポリオール硬化剤の量が研磨層の重量に対して0.10%以下である。
本発明においては、ポリオール硬化剤をポリイソシアネート化合物と反応させ、分子量が大きいポリウレタン樹脂の分子内により多くのポリオール硬化剤が取り込まれるようにすることにより、溶出物試験を行った際に検出されるポリオール硬化剤の量が研磨層の重量に対して0.10%以下の研磨層を有する研磨パッドを得ることができる。溶出物試験を行った際に検出されるポリオール硬化剤の量が研磨層の重量に対して0.10%以下の研磨層を有する研磨パッドを得るために必要なポリオール硬化剤に含まれるポリオールの特性としては、特に限定されないが、ポリオールの1級水酸基化率(全水酸基数に対する1級水酸基数の比率)、数平均分子量、水酸基の官能基数などを所定の数値範囲とすることにより達成することができる。
(溶出物試験)
本発明において、研磨層に対して溶出物試験を行った際に検出されるポリオール硬化剤の量は、以下の測定方法及び測定条件により測定したものを意味する。溶出物試験を行った際に検出されるポリオール硬化剤の量は、研磨層の重量に対して0.10%以下であり、0.09%以下がより好ましい。
(測定方法)
研磨層を有する研磨パッドにおいて、研磨層の一部0.5gを採取し、それにDMF(N,N-ジメチルホルムアミド)を10g加え、50℃で5日間振とうさせた。その後常温で5日間放置し、溶液の上澄みを0.5μl測り取り、80℃の乾燥機にて溶媒を揮発させ測定試料とした。そして、測定試料について、下記測定条件においてガスクロマトグラフ質量分析計で測定を行う。ガスクロマトグラフ質量分析計の分析結果からポリオール硬化剤を同定する。ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオールを硬化剤に用いた場合、ガスクロマトグラフ質量分析では、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオールに由来する、例えば1-(1-メチルエトキシ)-2-プロパノン等が検出される。
(ガスクロマトグラフの測定条件)
<熱分解条件>
熱分解装置:PY2020iD(フロンティア・ラボ株式会社製)
熱分解温度:550℃で30秒間
<GC条件>
ガスクロマトグラフ装置:Agilent6890N(アジレントテクノロジー株式会社製)
カラム: UltraALLOY-5(MT/HT)-30M-0.25F(フロンティア・ラボ株式会社製)
注入口温度:360℃
キャリアガス:ヘリウム
キャリアガス流量:1ml/分
スプリット比:1:100
昇温条件:50℃で5分間保持後、30℃/分で320℃まで昇温し、320℃で5分間保持
試料量:10μl
<MS条件>
質量分析装置:日本電子(株)製JMS-Q100OGCK9
質量分析装置温度:インターフェイス320℃、イオン源250℃
検出器電圧:-800V
次に、同定したポリオール硬化剤を用いて検量線を作成する。ポリオール硬化剤を5mg、10mg、50mgを採取し、それぞれにDMF(N,N-ジメチルホルムアミド)を10g加え、溶解させ検量線用試料とした。検量線用試料について下記測定条件でゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)測定を行い、得られたチャートから濃度と各ピーク面積を基に検量線を作成した。
そして、研磨層を有する研磨パッドにおいて、研磨層の一部0.5gを採取し、それにDMFを10g加え、50℃で一晩振とうさせた。その後5日間常温で放置し、溶液の上澄みを1.5ml測り取り、30000G、60分遠心し、その上澄み0.5mlを測定試料とした。そして、測定試料について、下記測定条件においてGPC測定を行う。得られたチャートをデータ処理することにより、研磨層に含まれる未反応のポリオール硬化剤についてピーク面積を算出した。得られた未反応のポリオール硬化剤に関するピーク面積と上記のようにして作成した検量線により研磨層に含まれる未反応のポリオール硬化剤の重量を算出した。そして、研磨層の重量(0.5g)と得られた未反応のポリオール硬化剤の重量より、研磨層に対する未反応のポリオール硬化剤の重量%を算出した。
(GPC測定の測定条件)
使用分析機:Gel Permeation Chromatography L-7200(Hitachi)
カラム:Ohpak SB-803HQ(排除限界100000)
移動相:5mM LiBr/DMF
流速:0.3ml/min
オーブン:60℃
検出器:RI 40℃
試料量:20μL
(ポリオール硬化剤)
本発明においては、ポリオール硬化剤を硬化剤として一部に用いることにより、研磨パッドの湿潤耐熱性を向上させることができる。
ポリオール硬化剤に含まれるポリオールの1級水酸基化率(全水酸基数に対する1級水酸基数の比率)は、60%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、70%以上が特に好ましい。上記数値範囲内の1級水酸基化率を有するポリオール硬化剤を用いることにより、溶出物試験を行った際に検出されるポリオール硬化剤の量が研磨層の重量に対して0.10%以下の研磨層を有する研磨パッドを得ることができる。ポリオール硬化剤に含まれるポリオールの1級水酸基化率は、例えば、特開2000-344881号公報に記載の方法に準じて測定することができる。
ポリオール硬化剤に含まれるポリオールの数平均分子量は、数平均分子量が500~6000が好ましく、800~5000がより好ましく、1000~4000が特に好ましい。
ポリオール硬化剤に含まれるポリオールの水酸基の官能基数は、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上が特に好ましい。
ポリオール硬化剤としては、例えば、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどのジオール;
グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールなどの3官能以上のポリオール;
ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオールなどのポリエーテルポリオール;
エチレングリコールとアジピン酸との反応物やブチレングリコールとアジピン酸との反応物等のポリエステルポリオール;
ポリカーボネートポリオール;
ポリカプロラクトンポリオール;
ビスフェノールA構造を有するポリオール;
等が挙げられる。
(研磨パッド)
本発明の研磨パッドは、発泡ポリウレタン樹脂からなる研磨層を有する。研磨層は被研磨材料に直接接する位置に配置され、研磨パッドのその他の部分は、研磨パッドを支持するための材料、例えば、ゴムなどの弾性に富む材料で構成されてもよい。研磨パッドの剛性によっては、研磨パッド全体を1つの研磨層とすることができる。
本発明の研磨パッドは、被研磨材料に付着する有機残渣に起因するディフェクトが生じにくいことを除けば、一般的な研磨パッドと形状に大きな差異は無く、一般的な研磨パッドと同様に使用することができ、例えば、研磨パッドを回転させながら研磨層を被研磨材料に押し当てて研磨することもできるし、被研磨材料を回転させながら研磨層に押し当てて研磨することもできる。
(研磨パッドの製造方法)
本発明の研磨パッドは、一般に知られたモールド成形、スラブ成形等の製造法より作成できる。まずは、それら製造法によりポリウレタンのブロックを形成し、ブロックをスライス等によりシート状とし、ポリウレタン樹脂から形成される研磨層を成形し、支持体などに貼り合わせることによって製造される。あるいは支持体上に直接研磨層を成形することもできる。
より具体的には、研磨層は、研磨層の研磨面とは反対の面側に両面テープが貼り付けられ、所定形状にカットされて、本発明の研磨パッドとなる。両面テープに特に制限はなく、当技術分野において公知の両面テープの中から任意に選択して使用することが出来る。また、本発明の研磨パッドは、研磨層のみからなる単層構造であってもよく、研磨層の研磨面とは反対の面側に他の層(下層、支持層)を貼り合わせた複層または多層からなっていてもよい。
研磨層は、ポリイソシアネート化合物を含むポリウレタン樹脂硬化性組成物を調製し、前記ポリウレタン樹脂硬化性組成物を硬化させることによって成形される。
研磨層は発泡ポリウレタン樹脂から構成されるが、発泡は微小中空球体を含む発泡剤をポリウレタン樹脂中に分散させて行うことができ、この場合、ポリイソシアネート化合物、硬化剤及び発泡剤を含むポリウレタン樹脂発泡硬化性組成物を調製し、ポリウレタン樹脂発泡硬化性組成物を硬化させることによって成形される。
ポリウレタン樹脂硬化性組成物は、例えば、ポリイソシアネート化合物を含むA液と、それ以外の硬化剤成分を含むB液とを混合して調製する2液型の組成物とすることもできる。それ以外の成分を含むB液はさらに複数の液に分割して3液以上の液を混合して構成される組成物とすることができる。
ここで、ポリイソシアネート化合物は、当業界でよく用いられるような、以下のポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応により調製されるプレポリマーをいう。プレポリマーは未反応のイソシアネート基を含む当業界で一般に使用されているものが本発明においても使用できる。
(ポリイソシアネート成分)
ポリイソシアネート成分としては、例えば、
m-フェニレンジイソシアネート、
p-フェニレンジイソシアネート、
2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、
2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、
ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、
ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、
4,4’-メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、
3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、
3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、
キシリレン-1,4-ジイソシアネート、
4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、
トリメチレンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、
プロピレン-1,2-ジイソシアネート、
ブチレン-1,2-ジイソシアネート、
シクロヘキシレン-1,2-ジイソシアネート、
シクロヘキシレン-1,4-ジイソシアネート、
p-フェニレンジイソチオシアネート、
キシリレン-1,4-ジイソチオシアネート、
エチリジンジイソチオシアネート
等が挙げられる。
(ポリオール成分)
ポリオール成分としては、例えば、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどのジオール;
ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオール;
エチレングリコールとアジピン酸との反応物やブチレングリコールとアジピン酸との反応物等のポリエステルポリオール;
ポリカーボネートポリオール;
ポリカプロラクトンポリオール;
等が挙げられる。
(アミン系硬化剤)
本発明では、例えば、以下に説明するアミン系硬化剤を例示できる。
アミン系硬化剤としては、例えば、ジアミンなどのポリアミンが挙げられ、これには、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルキレンジアミン;イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミンなどの脂肪族環を有するジアミン;3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(別名:メチレンビス-o-クロロアニリン)(以下、MOCAと略記する。)などの芳香族環を有するジアミン;2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の水酸基を有するジアミン、特にヒドロキシアルキルアルキレンジアミン;等が挙げられる。また、3官能のトリアミン化合物、4官能以上のポリアミン化合物も使用可能である。
特に好ましい硬化剤は、前述したMOCAであり、このMOCAの化学構造は、以下のとおりである。
Figure 0007137301000001
(硬化剤の使用量)
研磨パッドの湿潤耐熱性は、アミン系硬化剤とポリオール硬化剤との配合比によって調節できる。この配合比は、好ましくは、アミン系硬化剤:ポリオール硬化剤の重量比で、75:25~45:55であり、より好ましくは、70:30~50:50である。
また、アミン系硬化剤とポリオール硬化剤とのモル比は、90:10~70:30であり、より好ましくは85:15~75:25である。
さらに、ポリイソシアネート化合物のNCOのモル数に対する、アミン系硬化剤のNHのモル数とポリオール硬化剤のOHのモル数との合計の比率((NHのモル数+OHのモル数)/NCOのモル数)が0.6~1.0であり、好ましくは0.7~0.95である。
硬化剤全体の量は、ポリイソシアネート化合物の量(プレポリマーの量)を100重量部として、好ましくは10~50重量部、より好ましくは20~40重量部である。
(微小中空球体)
微小中空球体をポリウレタン樹脂に混合することによって発泡体を形成することができる。微小中空球体とは、熱可塑性樹脂からなる外殻(ポリマー殻)と、外殻に内包される低沸点炭化水素とからなる未発泡の加熱膨張性微小球状体を、加熱膨張させたものをいう。前記ポリマー殻としては、例えば、アクリロニトリル-塩化ビニリデン共重合体、アクリロニトリル-メチルメタクリレート共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体などの熱可塑性樹脂を用いることができる。同様に、ポリマー殻に内包される低沸点炭化水素としては、例えば、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、石油エーテル等を用いることができる。
(その他の成分)
その他に当業界で一般的に使用される触媒などをポリウレタン樹脂硬化性組成物に添加しても良い。
(湿潤耐熱性)
研磨パッドの湿熱耐熱性については下記式(I)により評価することができる。
{(20℃の水で湿潤させた研磨層のD硬度)-(50℃の水で湿潤させた研磨層のD硬度)}/(20℃の水で湿潤させた研磨層のD硬度)
(I)
式(I)では、20℃と50℃の水で湿潤させた研磨層のD硬度から、研磨パッドの温度が20℃から50℃に変化することで低下する研磨層のD硬度の割合を算出する。D硬度は、先端が小さい圧子を用いて測定するため研磨層の表面(研磨面)の変化を検出しやすい。また、式(I)の温度条件(20℃、50℃)は、研磨作業の間に変化する温度範囲(20℃~70℃)のうち、研磨初期と研磨中の温度における評価を意味する。そして、研磨作業中の研磨パッドは常にスラリーに曝され湿潤した状態となることから湿潤させた研磨層を評価に用いる。
本発明の研磨パッドは、式(I)の値が、0.20以下であることが好ましく、0.18以下であることがより好ましい。式(I)の値が0.20以下であると、研磨パッドの湿潤耐熱性が十分にあり、研磨時の摩擦熱により研磨パッドが十分な硬度を保持することができ研磨性能を発揮できる。
本発明を以下の例により実験的に説明するが、以下の説明は、本発明の範囲が以下の例に限定して解釈されることを意図するものではない。
(材料)
以下の例で使用した材料を列挙する。
・ウレタンプレポリマー:
2,4-トリレンジイソシアネートを主成分とするNCO当量460のウレタンプレポリマー
・硬化剤:
アミン系硬化剤
MOCA・・・3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(別名:メ
チレンビス-o-クロロアニリン)
ポリオール硬化剤
ポリオキシプロピレントリオール(1級水酸基化率65%、数平均分子量3000、OH当量=1000)
ポリプロピレングリコール(1級水酸基化率2%、数平均分子量2000、OH当量=1000)
・微小中空球体:
日本フィライト社製 EXPANCEL 551DE40d42
(実施例1)
A成分に2,4-トリレンジイソシアネートを主成分とするNCO当量460のウレタンプレポリマーを100g(部)、B成分に硬化剤であるMOCA(NH当量=133.5)とポリオキシプロピレントリオール(数平均分子量=3000、OH当量=1000、1級水酸基化率=65%)を重量比50:50で混合したものを34g(部)、C成分に微小中空球体(EXPANCEL 551DE40d42)1g(部)をそれぞれ準備した。なお、B成分の硬化剤は、アミン系硬化剤とポリオール硬化剤とのモル比が80:20である。また、A成分のプレポリマーのNCOのモル数に対する、B成分のアミン系硬化剤のNHのモル数とポリオール硬化剤のOHのモル数の合計の比率((NHのモル数+OHのモル数)/NCOのモル数)が0.9である。なお、比率を示すためg表示として記載しており、ブロックの大きさに応じて必要な重量(部)を準備する。以下同様にg(部)表記で記載する。
A成分とC成分を混合し、A成分とC成分の混合物及びB成分をそれぞれ減圧脱泡した後、A成分とC成分の混合物及びB成分を混合機に供給した。
得られた混合液を80℃に加熱した型枠(890mm×890mmの正方形)に注型し、1時間加熱し硬化させた後、形成された樹脂発泡体を型枠から抜き出し、その後120℃で5時間キュアリングした。この発泡体を1.3mm厚にスライスしてウレタンシートを作成し、これを研磨層とした研磨パッドを得た。
(比較例1)
実施例1のB成分で用いた硬化剤に代えて、MOCA(NH当量=133.5)とポリプロピレングリコール(数平均分子量=2000、OH当量=1000、1級水酸基化率=2%)を重量比50:50で混合したものを34g(部)準備した。なお、B成分の硬化剤は、アミン系硬化剤とポリオール硬化剤とのモル比が80:20である。また、A成分のプレポリマーのNCOのモル数に対する、B成分のアミン系硬化剤のNHのモル数とポリオール硬化剤のOHのモル数の合計の比率((NHのモル数+OHのモル数)/NCOのモル数)が0.9である。A成分及びC成分は実施例1と同様とした。
以降、実施例1と同様にしてウレタンシートを作成し、これを研磨層とした研磨パッドを得た。
実施例1及び比較例1において得られた研磨パッドについて、上記測定方法及び測定条件によりガスクロマトグラフ質量分析及びGPC測定を行い、研磨層の重量に対する未反応のポリオール硬化剤の量を算出した。実施例1及び比較例1それぞれの研磨パッドについて、研磨層の重量に対する未反応のポリオール硬化剤の量は、実施例1:0.09%、比較例1:0.12%であった。
実施例1及び比較例1で得られた研磨パッドについて、以下の湿潤耐熱性(D硬度)及びディフェクトの評価を行った。
(D硬度)
D硬度はJISK6253-1997/ISO7619に準じて測定した。20℃の水で湿潤させた研磨層及び50℃の水で湿潤させた研磨層のD硬度をテクロック社製D型硬度計(GS702)で測定した。湿潤させた研磨層とは、所定温度の脱イオン水中に30分浸漬して湿潤したものをいう。脱イオン水中から湿潤させたウレタンシートを取り出し、軽くろ紙で水気を拭き取りすぐに測定を開始した。試料は、少なくとも総厚さ4.5mm以上になるように設定した。また、D硬度は、加圧板を試料に接触させた後、2秒後の数値を読み取った。実施例および比較例にかかるウレタンシート(厚さ約1.3mm)は4枚重ねにして測定した。
(ディフェクト)
ディフェクトの評価は、25枚の基板を研磨し、研磨加工後の21~25枚目の基板5枚について、ウエハ表面検査装置(KLAテンコール社製、Surfscan SP1DLS)の高感度測定モードにて測定し、基板表面に付着した有機残渣に起因するディフェクトの個数を評価した。ディフェクトの評価では、12インチ(300mmφ)ウエハに0.16μm以上のディフェクトが200個未満を○、200個以上を×とした。
(研磨条件)
研磨試験の条件は下記の通りである。
・使用研磨機:荏原製作所社製、F-REX300
・Disk:3M A188(#60)
・回転数:(定盤)70rpm、(トップリング)71rpm
・研磨圧力:3.5psi
・研磨剤:キャボット社製、品番:SS25(SS25原液:純水=重量比1:1の混合液を使用)
・研磨剤温度:20℃
・研磨剤吐出量:200ml/min
・使用ワーク(被研磨物):12インチφシリコンウエハ上にテトラエトキシシランをPE-CVDで絶縁膜1μmの厚さになるように形成した基板
研磨の初期温度が20℃から研磨中にパッド表面温度が上昇し、40~50℃になる。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0007137301000002
表1に示すように、比較例1の場合、式Iから得られた値が0.2を超え、湿潤耐熱性が悪かった。また、比較例1で得られた研磨パッドは、基板表面に付着した有機残渣に起因するディフェクトの個数が多く、評価は×であった。
一方、実施例1の場合、湿潤耐熱性が向上し、式Iから得られた値を0.2以下に抑制することができ、研磨パッドの硬度を維持することができた。また、実施例1で得られた研磨パッドは、基板表面に付着した有機残渣に起因するディフェクトの個数が少なく、評価は○であった。
したがって、本発明の研磨パッドは、湿潤耐熱性が高く、スラリーを使用した研磨作業中に発生する摩擦熱等による研磨パッドの極端な軟質化が抑制され、研磨加工に好適な硬度を維持できることがわかった。また、本発明の研磨パッドは、被研磨物におけるディフェクトの発生を抑制できることがわかった。

Claims (7)

  1. ポリウレタン樹脂からなる研磨層を有する研磨パッドであって、
    前記研磨層が、ポリイソシアネート化合物及び硬化剤を含むポリウレタン樹脂硬化性組成物を硬化させて形成され、
    前記硬化剤は、アミン系硬化剤及びポリオール硬化剤を含み、
    前記ポリオール硬化剤に含まれるポリオールの1級水酸基化率が60%以上であり、
    前記研磨層に対して溶出物試験を行った際に検出される、前記ポリオール硬化剤の量が前記研磨層の重量に対して0.10%以下であ
    下記の式(I)の値が0.20以下である、前記研磨パッド。
    {(20℃の水で湿潤させた研磨層のD硬度)-(50℃の水で湿潤させた研磨層のD硬度)}/(20℃の水で湿潤させた研磨層のD硬度) (I)
  2. 前記ポリオール硬化剤に含まれるポリオールの数平均分子量が500~6000である、請求項1に記載の研磨パッド
  3. 前記アミン系硬化剤が3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタンを含む、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
  4. 前記ポリウレタン樹脂硬化性組成物が微小中空球体をさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載の研磨パッド。
  5. 請求項1~のいずれかに記載の研磨パッドの製造方法であって、
    前記研磨層を成形する工程を含む、前記方法。
  6. 光学材料又は半導体材料の表面を研磨する方法であって、請求項1~のいずれかに記載の研磨パッドを使用することを特徴とする、前記方法。
  7. 請求項1~のいずれかに記載の研磨パッドを使用して光学材料又は半導体材料の表面を研磨する際のディフェクトを低減する方法。
JP2017189689A 2017-09-29 2017-09-29 研磨パッド Active JP7137301B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017189689A JP7137301B2 (ja) 2017-09-29 2017-09-29 研磨パッド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017189689A JP7137301B2 (ja) 2017-09-29 2017-09-29 研磨パッド

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019063903A JP2019063903A (ja) 2019-04-25
JP7137301B2 true JP7137301B2 (ja) 2022-09-14

Family

ID=66338786

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017189689A Active JP7137301B2 (ja) 2017-09-29 2017-09-29 研磨パッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7137301B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TW202204461A (zh) 2020-03-31 2022-02-01 日商德山股份有限公司 Cmp研磨墊用中空微球

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013089767A (ja) 2011-10-18 2013-05-13 Fujibo Holdings Inc 研磨パッド及びその製造方法
JP2013103329A (ja) 2011-11-17 2013-05-30 Toray Ind Inc 研磨パッド

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013089767A (ja) 2011-10-18 2013-05-13 Fujibo Holdings Inc 研磨パッド及びその製造方法
JP2013103329A (ja) 2011-11-17 2013-05-30 Toray Ind Inc 研磨パッド

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019063903A (ja) 2019-04-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI352726B (ja)
JP6600149B2 (ja) 研磨パッド及びその製造方法
JP7137301B2 (ja) 研磨パッド
JP6685805B2 (ja) 研磨パッド
WO2022210037A1 (ja) 研磨パッド及び研磨パッドの製造方法
TWI833924B (zh) 研磨墊、研磨光學材料或半導體材料之表面之方法、及減少研磨光學材料或半導體材料之表面時之刮痕之方法
JP2017185563A (ja) 研磨パッド
JP2018171675A (ja) 研磨パッド
JP6914144B2 (ja) 研磨パッド
WO2019188476A1 (ja) 研磨パッド、研磨パッドの製造方法、及び光学材料又は半導体材料の表面を研磨する方法
JP6498498B2 (ja) 研磨パッド
TWI669360B (zh) Abrasive pad
JP2017064891A (ja) 研磨パッド
WO2022210676A1 (ja) 研磨パッド及び研磨パッドの製造方法
JP6695197B2 (ja) 研磨パッド
JP7191749B2 (ja) 研磨パッド、研磨パッドの製造方法、及び光学材料又は半導体材料の表面を研磨する方法
JP2023049623A (ja) 研磨パッド、研磨パッドの製造方法、及び光学材料又は半導体材料の表面を研磨する方法
JP6588785B2 (ja) 研磨パッド
JP2023049625A (ja) 研磨パッド、研磨パッドの製造方法、及び光学材料又は半導体材料の表面を研磨する方法
JP7405500B2 (ja) 研磨パッド、研磨パッドの製造方法、及び光学材料又は半導体材料の表面を研磨する方法
JP6513455B2 (ja) 研磨パッド
JP2017064886A (ja) 研磨パッド
JP2018051744A (ja) 研磨パッド
JP2023050175A (ja) 研磨パッド、研磨パッドの製造方法、及び光学材料又は半導体材料の表面を研磨する方法
JP2023049880A (ja) 研磨パッド

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200805

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210730

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210730

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210924

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220221

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220519

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20220519

C11 Written invitation by the commissioner to file amendments

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C11

Effective date: 20220527

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20220615

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20220616

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220829

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220902

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7137301

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150