以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
図1は本発明に係る実施形態のフロート10にソーラパネル50を設置した状態を示す斜視図であり、図2はフロート10からソーラパネル50を外した状態を示す斜視図である。
なお、以降の説明において、フロート10のソーラパネル50が設置される側を上側と呼び、フロート10の水面に設置される側を下側と呼ぶ場合がある。
また、ソーラパネル50等においても水面側となる側を下側と呼び、水面側と反対側となる側を上側と呼ぶ場合がある。
図1及び図2に示す本実施形態のフロート10は、後ほど説明するように、多数のフロート10が通路ジョイント60(図10参照)で連結されて、ソーラパネル50を設置する集合フロート部120(図14参照)を構成することができるものである。
なお、この集合フロート部120(図14参照)は、数千個(例えば、多いものでは1万個)ものフロート10が集合する部分であり、その集合フロート部120に用いられているフロート10のうち、一部のフロート10には、ソーラパネル50を設置せず、ソーラパネル50の保守点検を行うための通路とされている。
また、その通路は、ソーラパネル50からのケーブルを敷設するのにも利用されている。
一方、集合フロート部120(図14参照)は、ソーラパネル50の発電効率のよい位置に設置される必要があり、このため風等の影響で移動しないようにすることも重要となる。
このため、上述したようなソーラパネル50が設置されていない通路等として使用されているフロート10を利用してアンカーロープ等の係留部材が係留できるように、フロート10は、後述するように、アンカーロープ等の係留部材が係留できる構成も有している。
なお、本実施形態のフロート集合体100(図14参照)は、上述の集合フロート部120(図14参照)だけでなく、後ほど詳細に説明するように、フロート10をうまく活用することで、集合フロート部120から陸上にある施設までケーブルを敷設することができるものになっている。
このように、本実施形態のフロート10は、ソーラパネル50を設置するフロートとしても通路等を構成するフロートとしても使用できるものになっているため、以下では、まず、ソーラパネル50を設置する場合の構成に関して説明を行い、その後に、通路等として用いられ、係留部材が係留されるフロートとして使用される場合の構成に関して説明を行うこととする。
そして、更にフロート10としての一通りの説明が終わった後に、フロート集合体100(図14参照)の構成について、詳細に説明を行うこととする。
本実施形態のフロート10は、図1に示すように、ほぼ長方形状のソーラパネル50の短手側を傾斜させるように支持し、例えば、池や湖等の水上にソーラパネル50を設置することができるソーラパネル用のフロートである。
(ソーラパネルの設置の概要)
図1に示すように、フロート10は、ソーラパネル50の一対の長手側のうちの一端部51(一端部51側を一端側ともいう)を支持する支持部11と、ソーラパネル50のもう一方の長手側の他端部52(他端部52側を他端側ともいう)を受ける受け部12と、を備えている。
なお、支持部11の高さは、ソーラパネル50の発電効率を考慮してソーラパネル50が適切な傾斜状態に設置されるように設計される。
図2に示すように、ソーラパネル50の一端部51には、支持部11に支持されるアルミ製の台座53が設けられており、この台座53が支持部11上に支持される。
一方、後ほど詳細に説明するが、フロート10は、ソーラパネル50の一端部51側(一端側)を支持部11に固定する一端側の固定金具13を備えている。
そして、ソーラパネル50は、この一端側の固定金具13と支持部11との間に挟まれて挟持されることで固定される。
例えば、特許文献1では、ソーラパネルのフレームを挟持する溝が設けられたエラストマー製の固定用形材をフロートに取り付け、その固定用形材でソーラパネルのフレームのエッジを弾性的に挟持させ、フロートへのソーラパネルの固定が行われている。
しかしながら、特許文献1の態様の場合、強風等よってソーラパネルが浮遊する方向に力が加わり、ソーラパネルの挟持が解除されるような方向(溝が広がる方向)に応力がかかると、ソーラパネルの固定が外れてしまうおそれがある。
一方、本実施形態のように、金属製の固定金具13を用いることにより、エラストマー等の弾性による狭持と異なり、より強固にソーラパネル50を狭持することができる。
また、図2に示すように、ソーラパネル50の他端部52にも、一端部51に設けられているアルミ製の台座53と同様のアルミ製の台座54が設けられている。
そして、後ほど詳細に説明するが、フロート10は、受け部12に受けられるソーラパネル50の他端部52側(他端側)をフロート10に固定する2つの他端側の固定金具14を備えており、この他端側の固定金具14によって、ソーラパネル50の他端側がフロート10に固定される。
このように、ソーラパネル50の他端部52側(他端側)にあっても、金属製の固定金具14を用いることで、エラストマー等による弾性による挟持と異なり、より強固にソーラパネル50を挟持することができる。
なお、本実施形態では、中央にも他端側の固定金具14を設けることができるようになっており、必要に応じて、2つの台座54の間の位置にも台座を設け、3つの他端側の固定金具14を用いて3か所で固定するようにしてもよく、そうすることでより強固に安定してソーラパネル50の他端部52側(他端側)を固定することができる。
ただし、フロート10に対する取り付けに際して、ソーラパネル50に台座53,54を設ける必要がない場合もある。
(フロートの全体構成)
以下、図面を参照しながら、フロート10について詳細な説明を行う。
図3はフロート10の上側を見た図であり、図3(a)は斜視図であり、図3(b)は平面図であり、図4はフロート10の下側を見た図であり、図4(a)は斜視図であり、図4(b)は平面図である。
また、図5は、図3(a)に対応する図、つまり、フロート10の上側を見た斜視図であり、後述のようにして支持部11が立ち上げられた状態を示す斜視図であり、図6は、図4(a)に対応する図、つまり、フロート10の下側を見た斜視図であり、後述のようにして支持部11が立ち上げられた状態を示す斜視図である。
なお、図5では、支持部11に一端側の固定金具13を仮固定した状態も併せて示している。
フロート10は、例えば、溶融状態の筒状のパリソンを複数の分割金型で挟んで膨らますブロー成形によって製造され、成形材料には、各種の熱可塑性樹脂を使用することができるが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。
フロート10は、図3及び図4に示すように、全体の外形が矩形状(長方形状)をしており、図3(a)及び図4(a)に示すように、パーティングラインPLを含む側壁部15と、上側に位置する表面壁16(図3(a)参照)と、下側に位置する裏面壁17(図4(a)参照)と、を有し、内部に気体(空気等)を収容する中空部を有する構造になっている。
(支持部及び開口部)
図3(a)及び図4(a)に示すように、フロート10は、裏面壁17と表面壁16とを合わせて構成されたソーラパネル50を支持するための支持部11(ハッチング部分参照)が形成されている。
図3及び図4は、支持部11を図1に示すように立ち上げる前の状態が示されており、この支持部11の周囲の一端側の辺24以外の3辺21,22,23が切断されて、一端側の辺24をヒンジとして、開口部26(図5及び図6参照)を形成するように、表面壁16側(ソーラパネル50が配置される側)に立ち上げ可能になっている。
なお、本実施形態のフロート10は、図5に示すように、この開口部26を囲むように形成された環状フロート部30(ハッチング部分参照)を備えるものになっており、この環状フロート部30は、中空構造を有し、内部に浮力を発生させる気体(空気等)が存在する。
そして、図1に示すように、ソーラパネル50を設置する時には、ヒンジとなる辺24側の開口部26の内壁面25(図3(a)参照)に当接するように支持部11が表面壁16側に立ち上げられて、ヒンジとなる一端側の辺24と対向する側の辺22側でソーラパネル50の一端側の下側が支持されるようにソーラパネル50が設置される。
なお、図4(b)に示すように、支持部11のヒンジとなる一端側の辺24と対向する側の辺22側には、ソーラパネル50の一端部51側を受ける受けリブ22a(点線部分参照)が設けられている。
具体的には、この受けリブ22aの部分は、裏面壁17を表面壁16側に近づけて段差構造を設けるようにしており、ソーラパネル50のフロート10への設置に際して、ソーラパネル50の一端部51側が受けられるようになっており、ソーラパネル50の一端部51側が支持部11を超えて一端側にずれることがないようになっている。
このように支持部11を構成すると、支持部11の近傍には、開口部26が位置することになるが、この開口部26の内壁面が構造的な撓みを抑制する壁面となるため、撓みが発生し難い。
また、支持部11がヒンジ構造でフロート10の本体と繋がっている構造のため、フロート10に撓みが発生しても、支持部11はその影響を受け難く、さらに、支持部11が裏面壁17と表面壁16をあまり離間させずに合わせるようにして剛性が高められた部分であることも相まって、撓みの影響で変形をきたすことがないようになっている。
このため、集合フロート部120(図14参照)で固定作業のために、その固定作業を行うフロート10の近くの通路ジョイント60(図10参照)に作業者がいたり、その固定作業を行うフロート10上に作業者が足をかけていたりして、作業者の体重等の影響でフロート10に応力がかかるような状況であっても、支持部11はフロート10の撓みの影響を受け難くなっている。
このため、撓みの影響を受けずに、一端側の固定金具13でフロート10の一端部51側(一端側)を固定する作業を行うことができるので、フロート10の撓みの影響で一端側の固定金具13の取り付けが緩くなることが回避される。
一方、本実施形態では、他端側の固定金具14は後述する取付部19(図2参照)に固定されるが、この取付部19に撓み等が起きると、他端側の固定金具14の固定作業がやり難く不十分な固定になったり、一旦、正しく固定されても、メンテナンス作業で作業者が近くを通ることやその他のさまざまな要因で取付部19に繰り返し撓み等が起きると、そのうちに他端側の固定金具14の固定に緩みが発生するおそれがある。
このため、後述するように取付部19自体、撓みが起きにくいようにしているが、フロート10自体の剛性も高めるようにすることで、フロート10自体の撓みの発生を軽減し、より一層、取付部19に撓みを発生させるような応力が加わり難いようにしており、以下この点について説明する。
(フロートの撓み抑制構造)
図6では支持部11が見えていないが、支持部11が位置するところに矢印で支持部11の符号を示し、図1に示す支持部11に沿った方向(図1のZ軸参照)と、同じ方向をZ軸として示している。
フロート10には、図6に示すように、開口部26を囲むように設けられ、浮力を発生させる気体(空気等)を内部に有する環状フロート部30(図5のハッチング部分も参照のこと)が設けられている。 そして、図6に示すように、この環状フロート部30内には、開口部26を挟んで支持部11と反対側の位置に周壁を有する凹部40が設けられている。
具体的には、凹部40は、裏面壁17を表面壁16側に向かって凹ますように成形することで形成されている。
図7は、図3、図4及び図6に示すA-A線に沿ったA-A線断面図であり、図7において上側はフロート10の表面壁16側であり、下側は裏面壁17側である。
なお、図7においても、図6と同様に、図1に示す支持部11に沿った方向(図1のZ軸参照)と、同じ方向をZ軸として示している。
図6及び図7に示すように、凹部40は、支持部11に沿った方向(Z軸参照)の一方の端部に設けられた表面壁16側に先細りする円錐台形状の凹み41と、他方の端部に設けられた表面壁16側に先細りする円錐台形状の凹み42と、円錐台形状の凹み41と円錐台形状の凹み42の間の中央に位置する表面壁16側に先細りする円錐台形状の凹み43と、を備えている。
つまり、凹部40は、支持部11に沿った方向(Z軸参照)の両端及び中央に表面壁16側に先細りする円錐台形状の凹み41,42,43を備えている。
また、凹部40は、支持部11に沿った方向(Z軸参照)に円錐台形状の凹み41,42,43を繋ぐ表面壁16側に向かって幅が狭くなる溝状の凹み44,45を備えている。
そして、図7に示すように、凹部40は、円錐台形状の凹み41,42,43の先端部分で裏面壁17と表面壁16とが一体化されている一方、溝状の凹み44,45部分では裏面壁17と表面壁16とが一体化されていないようになっている。
このような凹部40を設けるようにすると、この凹部40の周壁が剛性を強化するリブとしての役割を果たし、フロート10に撓みが発生し難くなる。
なお、溝状の凹み44,45の表面壁16側となる底部を表面壁16に一体化させないようにして、気体(空気等)が流通できる流路としておくことで、ブロー成型を行うときの成形性を良好なものとすることができる。
一方で、この凹部40によって、環状フロート部30内の気体(空気等)を収容する容積が減少するが、この凹部40が裏面壁17を表面壁16側に凹ますようにして、裏面壁17側に開口する周壁を有する凹部40として形成されていることにより、水面にフロート10を配置したときに、浮力の一端を担う空気だまりとなるため、フロート10内の気体(空気等)の容量が減少することに伴う浮力の減少を抑制する役目を果たす。
ところで、フロート10はソーラパネル50の発電効率がよいように日当たりの良い場所に設置されるため、昼間の気温が高い時には、フロート10内の気体(空気等)が膨張し、夜間の気温が低下すると膨張したフロート10内の気体(空気等)が収縮し、それに伴ってフロート10自体も膨張収縮を起こすことになる。
このような膨張収縮は、フロート10上に作業者が乗ることによる撓み(変形)とは、原因が異なるものの、やはり撓み(変形)を発生させる要因となる。
しかしながら、本実施形態では、上述のように、凹部40を設けているため、環状フロート部30内に収容される気体(空気等)の総量が減少しているため、気体(空気等)の膨張収縮力が小さいものになっており、昼夜の温度差に起因するフロート10の撓み(変形)の発生も抑制できるようになっている。
特に、凹部40は、上述したように、円錐台形状の凹み41,42,43の先端部分で裏面壁17と表面壁16とが一体化されているため、内部の気体(空気等)が膨張しても表面壁16と裏面壁17とが離間するように動くことがなく、また、逆に、内部の気体(空気等)が収縮するときにも表面壁16と裏面壁17とが近づくように動くことがないため、より一層、撓み(変形)が抑制できるものとなっている。
一方、この凹部40は、上述したように、剛性を高める補強リブとしての効果を奏するものの、裏面壁17を表面壁16側に凹ますように成形して形成されているため、肉厚がその分だけ薄くなり、成形時にピンホールが発生するおそれがある。
そこで、最も表面壁16側に凹ました部分となる箇所については、成形時に局所的な肉厚の変化が発生しない円錐台形状としている。
また、図6を見るとわかるとおり、円錐台形状の凹み41,42,43の部分の底辺(開口側)の直径は、溝状の凹み44,45の幅よりも大きくされており、緩やかに傾斜して薄肉にならないようにしている。
さらに、本実施形態では、図7に示すように、凹部40に隣接する裏面壁17と円錐台形状の凹み41,42の開始点付近での薄肉によるピンホールの発生を考慮して、円錐台形状の凹み41,42に関しては、凹部40に隣接する裏面壁17からθ1(具体的には110度)の角度で表面壁16側に円錐台形状の凹み41,42が立ち上がるようにしている。
同様に、円錐台形状の凹み43では、溝状の凹み44,45の表面壁16側となる底面からθ2(具体的には145度)の角度で表面壁16側に円錐台形状の凹み43の先端側が立ち上がるようにしている。
なお、上記角度は一例であって、θ1は110±15度の範囲内に設定されるのが好適であり、θ2は145±15の範囲内に設定されるのが好適である。
また、図7に示すように、凹部40の中央に位置する円錐台形状の凹み43の裏面壁17が表面壁16に一体化されている部分の直径が、凹部40の両端に位置する2つの円錐台形状の凹み(凹み41,42)の裏面壁17が表面壁16に一体化されている部分の直径より小さくすることで成形性を向上させることができる。
このように、環状フロート部30内に裏面壁17を表面壁16側に凹ますようにして形成した凹部40を設けるようにすることで、フロート10の浮力が犠牲になることを抑制しつつ、フロート10内の気体(空気等)の容量を減少させ、フロート10が変形をきたす原因となる気体の膨張や収縮を抑制するとともに、構造的にも剛性を高めることができる。
したがって、フロート10自身の撓み(変形)の発生が抑制され、取付部19に撓みを発生させるような応力がかかることが軽減されているため、取付部19の撓みの発生が抑制されるので、他端側の固定金具14(図2参照)の固定が緩くなることが抑制できる。
なお、溝状の凹み44,45部分を形成する裏面壁17を表面壁16に一体化させない程度の凹みに抑えることで、円錐台形状の凹み41,42,43を成形するときに、凹部40内にピンホールが発生しないように肉厚を保つ設計とすることができ、この溝状の凹み44,45部分を形成する裏面壁17を表面壁16からどの程度離間させておくか、つまり、溝状の凹み44,45部分をどの程度の凹みとするかは、フロート10の成形時のピンホールを抑制するという観点で決めればよい。
また、この溝状の凹み44,45部分の幅を大きくすると、フロート10内の気体の容積を減らすことができる。
しかしながら、凹部40自体は水面側に開口していることで水面が蓋となり、空気等の気体が閉じ込められているので、強い風等でフロート10が揺れたりしたタイミングで、その凹部40内の気体の一部が逃げることがあり得る。
そうすると、その分だけフロート10の浮力が低下することになるので、そのようなことが突発的に起こったとしても、フロート10としての十分な浮力を確保できるようにしておくことが重要である。
そして、この溝状の凹み44,45部分は表面壁16側への凹みが浅く形成されている箇所であるため、成形時のピンホールという観点からすると、幅が小さくてもピンホールが起きにくいことから、この溝状の凹み44,45部分の幅を円錐台形状の凹み41,42,43の部分の底辺(開口側)の直径よりも小さめにすることで、浮力という観点で、フロート10内の気体の容積が減少しすぎないようにしている。
さらに、本実施形態では、表面壁16の形状によっても、フロート10の撓み(変形)を抑制し、フロート10の撓みの影響で取付部19が撓み、他端側の固定金具14(図2参照)の固定が緩くなることを抑制したものになっており、以下、この点について説明する。
表面壁16側に着目すると、図3(a)のA-A線の部分は、図7に示したように、凹部40が位置していることから、図3(a)に示すように、表面壁16は、凹部40を挟んで開口部26(図5参照)と反対側となる凹部40上のほぼ端の位置(点線B参照)から凹部40から離れる側に向かって、裏面壁17側に近づく、フロート10の他端側寄りに設けられた傾斜部18を備えるものになっている。
この傾斜部18は、ソーラパネル50が所定の傾きをもって設置されやすい傾斜面を構成するように設計されており、その傾斜部18には溝部35が設けられている。
このような溝部35を設けるようにして、表面壁16が凹凸構造を有するものとすると、この凹凸構造が剛性を高める補強リブとしての役割を果たし、撓み(変形)の発生を抑制することができる。
また、この溝部35は、凹部40上の位置にも存在するように傾斜部18から開口部26側にも設けられており、上述した凹部40の裏面壁17がこのように剛性が強化された表面壁16に対して一体化されることで、さらに、全体的な剛性が高まり、より一層、撓み(変形)が抑制できるものになっている。
なお、この溝部35は、傾斜部18側の先端が傾斜部18の表面にほぼ段差がないように解放されているため、フロート10上に水が溜まるのを抑制する役目も果たすようになっている。
(ソーラパネルの一端側の固定)
上記で図1を参照しながら説明したように、ソーラパネル50は、ソーラパネル50の一端部51側が、一端側の固定金具13によって支持部11に対して固定されるようにしてフロート10に固定される。
図1に示すように、一端側の固定金具13は、ヒンジ(図3に示す辺24参照)と対向する側(図3に示す辺22側)であって、支持部11が立ち上げられた状態でフロート10の一端側を向く支持部11の面11aに固定される他方の面を有する固定部13bと、固定部13bにほぼ直交する方向に固定部13bから延びるように設けられ、支持部11とでソーラパネル50を挟持する一方の面を有する挟持部13aと、を備えるL字アングル状の固定金具である。
そして、図1に示すように、一端側の固定金具13は、支持部11に対して4つのネジ13cでネジ止めされるようになっているが、このうち中央寄りの2つのネジ13cに対する一端側の固定金具13に設けられたネジ13cを通すネジ孔は上下方向に長穴になっている。
このため、この中央寄りの2つのネジ13cで一端側の固定金具13を支持部11に対して仮止めした状態のときには、挟持部13aと支持部11の間の距離が変更可能に一端側の固定金具13を支持部11に対してスライドさせることができるようになっている。
したがって、一端側の固定金具13を支持部11に仮止めした状態として、一端側の固定金具13の挟持部13aと支持部11の間にソーラパネル50を挿入する隙間ができるように一端側の固定金具13をスライドさせておき、その隙間にソーラパネル50を挿入した後、ソーラパネル50が支持部11と一端側の固定金具13の挟持部13aで挟持されるように、再び、一端側の固定金具13をスライドさせて、中央寄りの2つのネジ13cを本締めする。
そして、中央寄りの2つのネジ13cを本締めした後に、さらに、外側の2つのネジ13cで一端側の固定金具13を支持部11に固定するようにすれば、ソーラパネル50の一端部51側(一端側)のフロート10への固定が完了する。
上述したように、支持部11はフロート10の本体の撓みの影響を受け難く構成されているため、一端側の固定金具13の挟持部13aをしっかりとソーラパネル50側に押すようにして、一端側の固定金具13を支持部11に固定するだけで撓みの影響を受けない固定が可能である。
また、その固定作業も、一端側の固定金具13が支持部11に対して仮止めされた状態で行えるため、作業性がよい。
(ソーラパネルの他端側の固定)
上記で図2を参照しながら説明したように、ソーラパネル50は、ソーラパネル50の他端部52側(他端側)が、他端側の固定金具14によってフロート10に固定される。
そして、図2及び図3に示すように、フロート10は、他端側の固定金具14を取り付ける取付部19を備えている。
図8は、図3及び図4において、矢印Cで指し示す1つの取付部19の周辺を拡大した図であり、図8(a)は表面壁16側を見た拡大斜視図であり、図8(b)は裏面壁17側を見た拡大平面図である。
また、図9は、取付部19の一部断面図であり、図9(a)は図8のY-Y線に沿った断面の一部を示した断面図であり、図9(b)は図8のX-X線に沿った断面の一部を示した断面図である。
なお、図9において、上側が表面壁16側であり、下側が裏面壁17側であり、左側がフロート10の中央側であり、右側がフロート10の端側である。
図2に示すように、他端側の固定金具14は、一端側がソーラパネル50の下側に配置される下側金具14aと、一端側がソーラパネル50の上側に配置される上側金具14bと、からなり、それら下側金具14a及び上側金具14bの他端側がネジ19ac(図11参照)で、他端側の固定金具14を取り付ける取付部19に共止めされるようになっている。
このように、下側金具14aと上側金具14bをネジ19ac(図11参照)で、共止めする固定形態にしておくと、下側金具14aと上側金具14bはネジ19acを取り外すだけでフロート10から外すことができる。
また、下側金具14aと上側金具14bをフロート10に固定するときにもネジ19acを取り付けるだけでよい。
したがって、下側金具14aと上側金具14bが個別にフロート10に対して固定されている場合に比べ、下側金具14aと上側金具14bの取り付け及び取り外しの作業が簡単に行えるので、ソーラパネル50が故障したとき等に、新しいソーラパネル50に交換する作業性を向上させることができる。
そして、図8(a)に示すように、取付部19には、他端側の固定金具14のネジ19ac(図11参照)を通すネジ孔に対応する位置に、表面壁16が裏面壁17側に凹みナットを収容固定する一対のナット収容部19aがソーラパネル50の他端部52側(図2参照)を受ける受け部12に沿った方向に離間して設けられており、そのナット収容部19a内には、他端側の固定金具14をネジ止めするネジ19ac(図11参照)が螺合される鬼目ナット19ab(図11参照)が収容固定される。
また、図8(a)に示すように、取付部19には、下側金具14aが配置される部分に、下側金具14aの厚みとほぼ等しい段差部が設けられており、下側金具14aが出っ張らないように配置できるようになっている。
なお、他の図においては、この段差部の図示を省略している場合がある。
一方、この取付部19に対応する位置を裏面壁17側から見ると、図8(b)に示すように、裏面壁17が表面壁16側に凹み周壁部19bを有する第1凹部19cが設けられている。
つまり、取付部19は、裏面壁17が表面壁16側に凹み周壁部19bを有する第1凹部19cと、表面壁16が裏面壁17側に凹みナットを収容固定するナット収容部19aと、を備えたものになっている。
なお、図8(b)に示すように、第1凹部19cよりもフロート10の他端側(図8(b)の右側)には、第1凹部19cに隣接して凹部19fが設けられている。
この凹部19fは、第1凹部19cよりも少し浅めに、裏面壁17を表面壁16側に凹ますようにして形成されており、フロート10を運搬するとき等に作業者がフロート10を把持するときの取っ手として利用することができる。
このため、作業者はフロート10を安定して把持することができるので、フロート10を水面上に運ぶ等の運搬作業が行いやすくなっている。
そして、この部分についての断面構造を見ると、図9(a)に示すように、ナット収容部19aは、裏面壁17側となる底部19aaが第1凹部19cの表面壁16側となる底部19dに一体化している。
このような一体化を実現するための製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ブロー成型を行う金型の形状によって実現することができる。
したがって、取付部19は、補強リブとして機能する第1凹部19cが設けられるとともに、鬼目ナット19ab(図11参照)を収容するナット収容部19aが裏面壁17に一体化されているため、撓みの影響を受け難く、このナット収容部19aが変形して収容固定される鬼目ナット19abがナット収容部19aから外れたりすることがない。
また、ソーラパネル50の他端部52側(図2参照)を受ける受け部12に沿った方向における一対のナット収容部19aの間の位置(図8のX-X線の位置)の断面である図9(b)に示すように、一対のナット収容部19a(図8及び図9(a)参照)を結ぶ直線よりも他端側には、さらに、表面壁16側に凹む第2凹部19eが設けられており、その第2凹部19eの表面壁16側となる底部19eaが表面壁16と一体化されることで、更に剛性が高められている。
加えて、図9に示すように、ソーラパネル50の他端部52側(他端側)を受ける受け部12は、表面壁16と裏面壁17とが一体化した部分を有している。
具体的には、受け部12は、図3に示すように、傾斜部18の他端側の端部から表面壁16が裏面壁17から離れる方向に立ち上がるように形成されている。
つまり、受け部12は立壁部として形成されており、図9に示すように、第1凹部19cの周壁部19bは、その受け部12としての立壁部側に位置する部分が立壁部と一体化している。
このため、ソーラパネル50の他端部52側(他端側)を受ける受け部12の剛性が高くなり、受け部12よりもフロート10の中央寄りの気体(空気等)が多く存在する部分で気体の膨張収縮が発生しても、それによる撓み(変形)が受け部12よりも外側に位置する取付部19に影響しないようになっている。
このように、取付部19は撓み(変形)自体が起きにくいように高い剛性を有するものとされているだけでなく、フロート10の他の部分で撓み(変形)が起きたとしても、その影響を受け難くされているので、その取付部19に設けられているナット収容部19aが変形して、そのナット収容部19a内に収容固定される鬼目ナット19ab(図11参照)がナット収容部19aから外れたりすることがないようになっている。
一方、上述したように、このように撓みの影響を受け難い取付部19に設けられる鬼目ナット19ab(図11参照)に対して他端側の固定金具14が固定されるため、安定した固定ができるだけでなく、他端側の固定金具14を下側金具14aと上側金具14bとでソーラパネル50を上下で挟むように固定しているため、より安定した固定が可能になっている。
例えば、ソーラパネル50とフロート10との間に強い風が吹き込んだりすると、ソーラパネル50を持ち上げる方向に強い力がかかり、上側からソーラパネル50を押さえるように固定しているだけだと、ソーラパネル50の位置がずれたりするおそれがあるが、本実施形態では、ソーラパネル50の下側及び上側をしっかりと固定可能にしているので、そのような位置ずれが発生することが抑制された安定した固定を実現することができる。
より具体的には、図1を見ればわかるとおり、ソーラパネル50は、フロート10上に傾斜して配置され、ソーラパネル50の一端部51側は、他端部52側よりもフロート10から離れた位置にあるため、風等はソーラパネル50の一端部51側からソーラパネル50とフロート10との間に入り込む。
一方、ソーラパネル50の他端部52側はフロート10との間にほとんど隙間がないようにフロート10上に配置されているため、ソーラパネル50とフロート10との間に入り込んだ風は、そのまま抜けることができず、ソーラパネル50の他端部52側を押し上げるように作用し、他端側の固定金具14に上側に押し上げる応力がかかることになる。
そして、ソーラパネル50の上側には、ソーラパネル50のガラス部分50a(図2参照)が位置するため、他端側の固定金具14の上側金具14b(図2参照)は、ソーラパネル50に対してネジ止め等で固定されず、他端側の固定金具14の下側金具14a(図2参照)側にソーラパネル50を押圧するようにして下側金具14aとでソーラパネル50を挟持する手段として機能している。
このため、風等の影響でソーラパネル50を上側に押し上げる応力によって、ソーラパネル50が上側に動こうとする力によって、上側金具14bと下側金具14aとの間の隙間が広がると、上側金具14bでは安定してソーラパネル50を固定することが難しい。
一方、下側金具14aはソーラパネル50に設けられた台座54に対してネジ止めすることでソーラパネル50に固定することができるため、ソーラパネル50が上側に動こうとしても安定したソーラパネル50の固定状態を保つことができる。
したがって、本実施形態によれば、安定したソーラパネル50の固定状態を保つことができる。
なお、本実施形態では、図2に示すように、ソーラパネル50の他端部52側は、ソーラパネル50の他端部52(他端側)を受ける受け部12に沿った方向のフロート10の両端の位置において、それぞれ他端側の固定金具14によってフロート10に固定されている。
このように、両端で固定することで左右にぐらつきの発生しない安定した固定が実現できるが、さらに、中央でも固定するようにしてより安定した固定ができるようにしてもよい。
ところで、上述したフロート10は、単体で使用されるのではなく、多数のフロート10が、図10に示すように、メンテナンス等を行うときに通路となる通路ジョイント60で連結されて集合フロート部120(図14参照)を構成する。
具体的には、図1に示すように、フロート10は、支持部11に近い側のフロート10の第1端部10a側に通路ジョイント60(図10参照)に係合する一対の係合突起部61が形成されており、通路ジョイント60は、裏面側にその係合突起部61に係合する係合凹部(図示せず)を有している。
また、フロート10は、ソーラパネル50の他端部52側(他端側)を受ける受け部12に近い側のフロート10の第2端部10b側に通路ジョイント60を連結する連結ボルト62を通すボルト孔62a(図3参照)を備えている。
さらに、フロート10は、図10に示すように、フロート10の第2端部10b側の一部と第1端部10a側の一部を重ねるようにしたときに、フロート10の第1端部10a側にも、第2端部10b側のボルト孔62aに対応したボルト孔62b(図1参照)が設けられている。
そして、図10に示すように、通路ジョイント60は、そのボルト孔62a及びボルト孔62bに対応したボルト孔63を備えている。
したがって、一方のフロート10に対してその一方のフロート10の係合突起部61に通路ジョイント60が係合されるとともに、一方のフロート10の第1端部10a側のボルト孔62b(図1参照)と他方のフロート10の第2端部10b側のボルト孔62aと通路ジョイント60のボルト孔63を連結ボルト62で連結するようにして、多数のフロート10が通路ジョイント60を介して連結された状態となるようになっている。
なお、図10に示すように、通路ジョイント60は、一方のフロート10と他方のフロート10を連結する部分に対してフロート10の並び方向(Z軸参照)と直交する方向(W軸参照)に対称に一対配置され、一方の通路ジョイント60(60A参照)の一端60aは上述した一方と他方のフロート10に連結されるが、一方の通路ジョイント60の他端60bは、別のフロート10の一方と他方のフロート10の連結部分に連結される。
また、一対設けられた他方の通路ジョイント60(60B参照)の他端60bは上述した一方と他方のフロート10に連結されるが、他方の通路ジョイント60(60B参照)の一端60aは別のフロート10の一方と他方のフロート10の連結部分に連結される。
このようにして、通路ジョイント60を介して次々にフロート10が連結され、後述する集合フロート部120(図14参照)が構成されるようになっている。
この通路ジョイント60は、メンテナンス等の際に、人が歩く部分となるため、荷重がかかることになり、フロート10の剛性が低いと、その荷重を受けることでフロート10が変形することになる。
しかしながら、上述したように、本実施形態のフロート10は、取付部19だけでなく、フロート10自体の剛性が高められているため、そのような荷重を受けた場合にも撓み(変形)が発生し難くなっており、通路ジョイント60を人が通るときに、揺れ等が起きにくく、歩きやすい等、作業性が向上したものとなっている。
また、剛性が強化された取付部19は、そのような荷重を受けたときでも変形が起き難く、メンテナンス等の作業によって、他端側の固定金具14が固定される取付部19が変形をきたすことが回避され、その取付部19に設けられる鬼目ナット19ab(図11参照)が外れるようなことも抑制されるので、安定したソーラパネル50の固定が実現できる。
(ソーラパネルの他端側の固定の変形例)
上記では、ソーラパネル50に設けられた台座54(図2参照)に対して他端側の固定金具14の下側金具14a(図2参照)をネジ固定する態様について示した。
しかしながら、下側金具14aを台座54にネジ固定する作業が必要であり、水面上に置かれたフロート10上での作業となる場合、ソーラパネル50の下側に位置する台座54の面に対して下側金具14aをネジ固定する作業は作業性がよくないという問題がある。
そこで、以下で説明するようにすることで、より作業性を向上させることが可能である。
図11は、ソーラパネル50の他端部52側(他端側)の固定の変形例を説明するための断面図である。
より具体的には、他端側の固定金具14が取り付けられる取付部19の鬼目ナット19abを収容する一対のナット収容部19a(図3(b)参照)の一方のナット収容部19aを横断するように切断したときの取付部19周辺の一部断面図であり、ソーラパネル50が他端側の固定金具14によってフロート10に固定されている状態を示した図になっている。
なお、この変形例においては、フロート10側の構成としては、他端側の固定金具14の下側金具14aの構成が異なるだけであり、その他の構成は先に説明したものと同様である。
図11に示すように、ソーラパネル50には、ソーラパネル50のガラス部分50aの外周50bに沿って設けられ、ガラス部分50aを受けるパネル受け部55aと、ソーラパネル50のガラス部分50aの反対側に位置するパネル受け部55aの端部からガラス部分50aにほぼ平行にソーラパネル50の内側に延びる係合部55bと、を備えるフレーム55が設けられている。
一方、他端側の固定金具14の下側金具14aは、一端側を上側に折り返すようにして形成されたU字状のフック部14aaが一端側に設けられている。
したがって、下側金具14aは、ソーラパネル50に設けられるフック部14aaが係合できる係合部55bに、フック部14aaが係合することでソーラパネル50に係合されるようになっている。
このように下側金具14aがソーラパネル50に係合していると、風等の影響でソーラパネル50が上側に動こうとしても、下側金具14aが外れることがないようにできる。
そして、この変形例の場合、ネジ止め等を行わずに、フック部14aaを係合部55bに係合させるだけでよいため、下側金具14aをソーラパネル50に取り付ける作業の作業性をよくすることができる。
なお、本変形例では、フック部14aaに対応するソーラパネル50側の構造(係合部55b)をソーラパネル50に設けられるフレーム55に持たせるようにしているが、上述した台座54に、このような構造(係合部55b)を形成するようにしてもよい。
以上、フロート10におけるソーラパネル50を設置するための構成について説明したが、上記具体例は、一例であることに留意されたい。
例えば、上記では、凹部40が、支持部11に沿った方向の両端及び中央に表面壁16側に先細りする円錐台形状の凹み41,42,43と、支持部11に沿った方向に円錐台形状の凹み41,42,43を繋ぐ表面壁16側に向かって幅が狭くなる溝状の凹み44,45と、を備えたものとした場合を示したが、これは、好適な凹部40の一例であって、これに限定されるものではなく、例えば、凹部40の一部の形状を変更するようにしてもよい。
また、上記では、凹部40は、凹部40の支持部11に沿った方向(Z軸方向)の幅がほぼ支持部11の幅と同じ幅であるものになっているが、支持部11の幅よりも小さい幅を有する複数の凹部を支持部11に沿った方向に並べるようにしてもよい。
さらに、加えて、上記では、凹部40を形成する裏面壁17の凹部40の底面の一部が表面壁16に一体化されていたが、全部が一体化されているものであってもよい。
さらに、上記では、台座53及び台座54は、ソーラパネル50の外周50bの一部に設けられる態様として示したが、外周50bの全体を覆うフレーム55に似た構造の台座としてもよい。
(フロートの係留のための構成)
次に、ソーラパネル50を設置せず、通路等の一部として使用され、アンカーロープ等の係留部材に係留されるときのための構成について説明する。
本実施形態のフロート10は、上述したように、開口部26を有する環状フロート部30を備えている。 具体的には、上記でも説明したとおり、開口部26は、開口部26に対応する表面壁16と裏面壁17とを合わせて構成され、開口部26の一端側の内壁面に繋がる辺24をヒンジとして開口部26を開口させるように表面壁16側にソーラパネル50の一端部51側(一端側)を支持する支持部11が立ち上げられることで形成されている。
そして、図6に示すように、開口部26を形成するように、支持部11が立ち上げられると、その開口部26からフロート10の中央の裏面壁17側の領域Fにアクセスすることができるようになっている。
このフロート10の中央の領域Fは、矩形状のフロート10の四隅から対角線を引いたときに交点が位置するあたりに位置し、ほぼ重心位置になっている。
このような重心位置にアンカーロープ等の係留部材を固定するようにすれば、強い風等によって、フロート10が移動しようとしたときに、係留部材の引っ張るような引き留め力は、フロート10が傾いたりすることがない姿勢安定性が高い重心位置に加わることになるため、フロート10の姿勢が悪くなることが回避できる。
また、フロート10の周囲の縁部近くに作業者が乗ったとすると、場合によっては、フロート10が傾いて作業者が水中に落下することも考えられ、フロート10の周囲の縁部近くに作業者が乗らなければアンカーロープ等の係留部材をフロート10に固定する作業が行えないとすると極めて作業性が悪い。
なお、このような水中への落下を考慮してフロート10の周囲の縁部近くに船等で近づいて作業することもできるが、この場合であっても船からの作業となるため、決して作業性はよくない。
一方、フロート10の中央の領域Fは、上述したように、姿勢安定性が高い重心位置にあるため、この近くに作業者が乗っていたとしても、フロート10のバランスが崩れ難くい。
したがって、フロート10の中央の領域Fにアンカーロープ等の係留部材を固定するようにすると、アンカーロープ等の係留部材をフロート10に固定する作業のときに、フロート10のバランスが崩れることがないため、アンカーロープ等の係留部材をフロート10に固定する作業が行い易い。
そこで、このフロート10のほぼ中央の領域Fにアンカーロープ等の係留部材を係留させる係留部70を設けるようにしており、以下、具体的に係留部70について説明する。
図5に示すように、係留部70は、開口部26の近傍(他端側近傍)、より具体的には開口部26を挟んで立ち上げられた支持部11と対向する開口部26の縁部26aに隣接して設けられている。
そして、係留部70は、図5に示すように、表面壁16が裏面壁17側に凹むように形成されているとともに、図6に示すように、係留部70は、裏面壁17も表面壁16側に凹むように形成されている。 つまり、係留部70は、表面壁16と裏面壁17とを合わせ剛性を高めるように構成されている。
図12は、図3(b)及び図4(b)のD-D線に沿ったD-D線断面図であり、(a)はアイボルト80等の係留部材を固定する部品を取り付けていない状態を示す図であり、(b)はアイボルト80のリング80aが裏面壁17側に位置するようにアイボルト80等の係留部材を固定する部品を取り付けている状態を示す図であり、(c)はアイボルト80のリング80aが表面壁16側に位置するようにアイボルト80等の係留部材を固定する部品を取り付けている状態を示す図である。
そして、図12(b)及び図12(c)に示すように、フロート10は、付属部品として、アンカーロープ等の係留部材を固定するリング80aを有するアイボルト80と、リング80aから延びて先端に螺合溝が設けられた本体部80bを有するアイボルト80の螺合溝に螺合するナット81と、を備えており、それに対応して、係留部70は、アイボルト80の本体部80bを通す第1貫通孔71を有している。
また、図12(b)及び図12(c)に示すように、フロート10は、付属部品として、係留部70の表面壁16側又は裏面壁17側に配置される第1固定板82と、第1固定板82を係留部70に固定する一対の第1ボルト83と、第1ボルト83に螺合する一対の第1ナット84と、を備えており、それに対応して、係留部70は、第1貫通孔71を挟んで設けられた第1ボルト83を通す一対の第2貫通孔72を有している。
そして、第1固定板82は、第1貫通孔71及び第2貫通孔72に対応して設けられた、アイボルト80の本体部80b及び第1ボルト83を通す3つの貫通孔82aを有している。
なお、図3(b)、図4(b)、図5及び図6に示すように、第1貫通孔71及び第2貫通孔72は、係留部70に開口部26の他端側の縁部26a(図5参照)に沿った方向に並んで設けられている。
このような付属部品を用いて構成されるアンカーロープ等の係留部材を係留するための構成について説明する。
図12(b)は、池や湖の底にアンカー(錨)を沈め、アンカーロープ等の係留部材の一端が、この錨に接続され、係留部材の他端をフロート10に係留するときの形態として使用する場合であり、このため、アイボルト80のリング80aが水面側となる裏面壁17側に位置するように配置されている。
この場合、集合フロート部120(図14参照)が風等によって移動しようとするときに、アンカーロープ等の係留部材がフロート10を引き留めようとする力は、アイボルト80をフロート10の裏面壁17から表面壁16と反対側となる方向(図の下側)に引っ張る力として働く。
このときに、アイボルト80が位置するフロート10の局所的な位置に応力が集中すると、樹脂製であるフロート10が破損するおそれがある。
このため、本実施形態では、図12(b)に示すように、係留部70の表面壁16側に厚みのある第1固定板82を設け、アイボルト80の本体部80bが第1固定板82を貫通するように配置した後、第1固定板82を貫通したアイボルト80の本体部80bの先端にナット81を螺合させることで、第1固定板82を係留部70の表面壁16上に固定し、その引っ張る力が第1固定板82を介して係留部70全体に分散されるようにしている。
なお、第1固定板82は、アンカーロープ等の係留部材の引っ張る力を、直接、受けることになるため厚みが厚いだけでなく、素材としての強度も高いことが好ましく、例えば、金属製のプレート等を好適に用いることができる。
ただし、第1固定板82は必要に応じて設ければよく、必ずしも設けなければならないものではない。
このため、係留部70の局所的な位置にアンカーロープ等の係留部材の引っ張る力が集中することが避けられるので、係留部70が破損することが回避できる。
なお、本実施形態のように、アイボルト80を挟んで一対の第1ボルト83と第1ナット84で第1固定板82を係留部70に対して固定するようにしておくことで、第1固定板82の固定を安定したものとすることができる。
一方、アンカーロープ等の係留部材の一端を池や湖の底のアンカー(錨)に接続するのではなく、池や湖の周囲の陸上に固定したいとき等もあり、この場合には、アイボルト80のリング80aがフロート10の表面壁16側に位置するほうが都合がよい。
このように、アイボルト80のリング80aを表面壁16側に位置するように設置すると、アンカーロープ等の係留部材がフロート10を引き留めようとする力が、先ほどとは逆にかかることになるので、この場合、図12(c)に示すように、第1固定板82を係留部70の裏面壁17側に設置するようにするとよい。
本実施形態では、アイボルト80の本体部80bを通す、係留部70に設けられた第1貫通孔71が表面壁16を裏面壁17側に先細りする形状に凹ませたテーパ部71aを有するようにして、補強リブ構造を有するものとしている。
このため、第1固定板82が裏面壁17側に配置されるときに、このテーパ部71a内にアイボルト80のリング80aが落ち込まないように、付属部品として、図12(c)に示すように、テーパ部71aを覆うように係留部70の表面壁16上に設けられる第2固定板85を備えるようにしている。
ただし、この第2固定板85には、アンカーロープ等の係留部材がフロート10を引き留めようとするときに、それほど強く力がかかるわけではないので、図12(c)に示すように、第1固定板82ほど厚みのあるものでなくてよい。
なお、この第2固定板85もアイボルト80の本体部80bが貫通できる必要がるので、第1貫通孔71に対応する位置に、アイボルト80の本体部80bを通す貫通孔を有するものになっている。
上記では、水中と陸上に固定されたアンカーローブ等の係留部材の固定場所別に説明の都合上説明を行ったが、多数(複数)のフロート10を集合させた集合フロート部に接続されるアンカーロープ等の係留部材は、水中及び陸上に固定されたアンカーローブ等の係留部材が混在していてよいことは言うまでもない。
つまり、集合フロート部では、安定して係留できるように、複数個所にアンカーロープ等の係留部材が接続されるため、その複数個所のうちのいくつかが水中のアンカー(錨)に固定されたアンカーロープ等の係留部材に接続され、残る箇所が陸上に固定されたアンカーロープ等の係留部材に接続されるようにしてよいことはいうまでもない。
ここで、例えば、特許文献1では、フロートの四隅に固定用耳部が設けられるとともに連結用要素の四隅にも固定用耳部が設けられて、それら固定用耳部を留めピンで連結することでフロートを集合させることが行われているが、この場合、外形が矩形状となるようにフロートを集合させると、集合したフロート部の四隅にしか固定用耳部が残らないため、4つのアンカーロープしか接続できないことになる。 このように、アンカーロープ等の係留部材をフロートの連結構造を利用して行っている場合、その連結構造が使用されている部分には、アンカーロープ等の係留部材を係留することができない。
一方、本実施形態では、フロート10を集合させるときの連結構造とは別に、アンカーロープ等の係留部材を係留する係留部70が設けられているため、フロート10を集合させて集合フロート部120(図14参照)としたときに、通路等に使用されるフロート10であれば、どのフロート10にでもアンカーロープ等の係留部材を係留させることができ、アンカーロープの設置の自由度が極めて高い。
そして、特許文献1の場合には、上述したように、4箇所でしかアンカーロープに接続できない場合があり、そうすると、集合したフロート部が動こうとするときの力全体の25%ずつを各アンカーロープが受け持つころになるが、1本でもアンカーロープが破断すると、集合したフロート部が動こうとするときの力全体の33%もの力が、残る各アンカーロープに加わることになり、一気にアンカーロープの破断確率が上昇するため、係留安定性に不安がある。
しかしながら、本実施形態のフロート10であれば、通路等に使用されるフロート10であれば、どのフロート10にでもアンカーロープ等の係留部材を係留させることができるため、集合フロート部120(図14参照)を係留するためのアンカーロープ等の係留部材の数を大幅に増やすことができ、各係留部材にかかる力を小さくすることができるため、アンカーロープ等の係留部材が破損する確率を大幅に低減することができるとともに、仮にいずれかの係留部材が破損しても、残る係留部材に大きな力が加わる状態となることを回避することができる。
したがって、集合フロート部120(図14参照)の高い係留安定性を得ることができる。
また、このことは、1つのアンカーロープ等の係留部材に接続されているアンカー(錨)の重量を減らしても、その分、集合フロート部に接続されるアンカーロープ等の係留部材の本数を増やすことで、集合フロート部を十分に係留できることも意味している。
このため、アンカー(錨)の重量を減らしておくことで、ソーラパネル50の使用が終了して、集合フロート部等を撤去しなければいけない場合に、アンカー(錨)の引き上げ作業等が容易に行えるようになる。
なお、アンカーロープ等の係留部材が係留されるフロート10の係留部70においても、一箇所当たりにかかる力が軽減できるため、アンカーロープ等の係留部材が破損する確率が低減できるのと同様に、係留部70が破損する確率も大幅に低減することができる。
また、フロート10の中央側という、アンカーロープ等の係留部材がフロート10を引き留めようとする力が加わった場合でも、フロート10が傾くことなく安定した姿勢を保てる位置に、係留部70が設けられているため、姿勢安定性のよいフロート10の係留が可能である。
一方、このようなフロート10の中央側の位置に係留部70を設けると、そこにアクセスできる開口部26が存在しないとすれば、アンカーロープ等の係留部材を係留部70に係留する作業が行い難い位置である。
しかしながら、本実施形態では、その係留部70の近傍に開口部26が存在するので、簡単に係留部70の裏面壁17側にアクセスすることができ、アイボルト80のリング80aが裏面壁17側に設けられているときにも、簡単に、そのリング80aにアンカーロープ等の係留部材を係留させる作業が行える。
さらに、集合フロート部120(図14参照)の中央側等であっても、ソーラパネル50を設置しないフロート10を設けるようにすれば、そのフロート10に対しても簡単にアンカーロープ等の係留部材を係留させることができる。
したがって、本実施形態のフロート10を用いて構成される集合フロート部120(図14参照)であれば、集合フロート部120の周囲に限らず、集合フロート部120の中央側であってもアンカーロープ等の係留部材で係留することが可能である。
ところで、本実施形態のフロート10は、通路等としても使用できるものであり、このような使用形態のときには、開口部26が閉じられていることが好ましい一方、係留部70の裏面壁17側にアクセスしたいときには、簡単に、開口部26を開口できるようになっていることが好ましい。
なお、以下で説明するように、簡単に開口部26を開け閉めできる構成にしておくと、平常時は開口部26を閉じて通路としての利便性を高めつつ、アンカーロープ等の係留部材を点検するときには、簡単に開口部26を開口させることができるため、点検作業が簡単に行えるという利点もある。
そこで、本実施形態では、簡単に、開口部26を閉じたり開いたりすることができるようにしており、以下、この開口部26を簡単に閉じたり、開いたりすることができる構成について説明する。
図13は、開口部26の開閉機構を説明するための断面図である。
具体的には、図10のE-E線に沿ったE-E線断面図であり、図10では、一端側の固定金具13が支持部11に取り付けられていない図になっているが、図13では、支持部11に一端側の固定金具13を取り付けた状態を示している。
上述したように、開口部26は、支持部11を立ち上げることで形成されているため、開口部26の内形と支持部11の外形はほぼ同じ形状をしている。
このため、この支持部11で開口部26を閉じるようにしても、支持部11を裏面壁17側に押す力がかかると、簡単に、支持部11は、裏面壁17側に移動してしまう。
そこで、図10及び図13に示すように、支持部11が辺24をヒンジとして立ち上げられて、開口部26(図5参照)が開口した状態となったときの、その開口部26の他端側(ヒンジとなる辺24に対向する側)の縁部26a(図5参照)の両端近傍に、一端側の固定金具13が支持部11に取り付けられた状態で開口部26を塞ぐように支持部11を倒したときに、一端側の固定金具13の一部(両端)を受けるストッパ部90が設けられている。
このようなストッパ部90をフロート10に備えさせることで、支持部11で開口部26を閉じるようにしているときに、支持部11を裏面壁17側に押す力が加わったとしても、支持部11が裏面壁17側に移動しないようにできる。
しかも、一端側の固定金具13は、ソーラパネル50を固定するための付属部品であり、その付属部品を活用しているだけなので、新たに部品を増やす必要もない。
一方、図1に示すように、支持部11には、支持部11が表面壁16側に立ち上げられた状態で一端側を向く支持部11の面11aに、一端側の固定金具13の固定部13bと支持部11との間に指を挿入できる指挿入凹部91が設けられている。
このため、支持部11が開口部26を閉じるように倒されている状態から表面壁16側に立ち上げようとするときには、固定部13bと支持部11との間に指を挿入して表面壁16側に支持部11を立ち上げるように引っ張るだけでよく、簡単に、開口部26を開口させることができるようになっている。
なお、上記では、ソーラパネル50が設置されていないフロート10にアンカーロープ等の係留部材を係留させることについて説明してきたが、ソーラパネル50が設置されていると、アンカーロープ等の係留部材を係留させる作業がやり難くなるものの、アンカーロープ等の係留部材を係留させることができないわけではない。
したがって、必要に応じて、ソーラパネル50が設置されているフロート10に対してもアンカーロープ等の係留部材を係留させるようにしてもよい。
(フロート集合体)
次に、上記で説明したフロート10及び通路ジョイント60を用いて形成されるフロート集合体100について説明する。
図14は、本実施形態のフロート10を連結したフロート集合体100を示す図である。
図14に示すように、フロート集合体100は、フロート10を線状に連結した線状フロート部を有する桟橋110と、フロート10を連結して形成され、ソーラパネル50を配置する集合フロート部120と、フロート10を連結して形成され、集合フロート部120と桟橋110の間を連結する連結フロート部130と、を備えている。
桟橋110と連結フロート部130は、集合フロート部120に用いられているフロート10と同じ構造のフロート10を用いて構成されている。
したがって、桟橋110や連結フロート部130用に別の構造のフロートを作成する必要はないため、桟橋110や連結フロート部130を構成するためのフロートの製造コストを抑えることができる。
なお、図14に示す集合フロートに120は、あくまでも例示であって、はじめに述べたように、集合フロート部120は、実際には、数百、数千という数のフロート10が通路ジョイント60を介して接続され、無数のソーラパネル50が配置される。
また、ソーラパネル50を配置する集合フロート部120と異なり、桟橋110や連結フロート部130には、ソーラパネル50が配置されないため、支持部11のヒンジとなる辺24(図3及び図4参照)を残して残る3辺21,22,23を切断する作業は不要であり、そのような切断作業を行わなければ、支持部11が裏面壁17側に落ち込むのを防止するために、図13を参照して説明したような、固定金具13の取り付け等も不要であり、支持部11が傾斜することがないため歩行しやすくできるとともに、切断や固定金具13の取り付けといった手間を省くことができる。
以下、フロート集合体100の各部(桟橋110、集合フロート部120及び連結フロート部130)について詳細に説明する。
集合フロート部120は、フロート集合体100におけるソーラパネル50を設置する部分であるが、図14に示すように、一部のフロート10には、ソーラパネル50を設置しないようにして、例えば、集合フロート部120の周囲や中央を横断するように通路が形成されている。
そして、この通路は、メンテナンス等の際に作業者が歩行する部分であるとともに、各ソーラパネル50からのケーブル等が敷設される場所となる。
一方、そのようなケーブルを陸上に向けて敷設できるようにするために、本実施形態のフロート集合体100では、フロート10を線状に連結した線状フロート部を有する桟橋110を設けるようにしている。
なお、図14では、直線状の線状フロート部を有する桟橋110の場合について示しているが、これは、どのように桟橋110を設けたいのかによって直線状でなくてもよく、例えば、L字状の線状フロート部を有する桟橋等としてもよい。
そして、桟橋110と集合フロート部120との接続部分は、フロート集合体100が風等によって、動こうとしたときに応力がかかりやすく破損のおそれがあるため、直接、連結するのではなく、集合フロート部120と桟橋110の間を連結する連結フロート部130を介して連結するようにしている。
具体的には、連結フロート部130は、幅方向のフロート10の数が桟橋110の幅方向のフロート10の数よりも多く、連結フロート部130が連結される集合フロート部120の辺121のフロート10の数よりも少ないようになっており、連結部の剛性の強化と応力を分散する役目を果たしている。
なお、本実施形態では、幅方向に連結されたフロート10を1列分(1段ともいう)だけ有する連結フロート部130を示しているが、連結フロート部130は、幅方向に連結されたフロート10を複数段有する構成であってもよい。
この場合には、連結フロート部130は、幅方向のフロート10の数が桟橋110側から集合フロート部120側に向かって増加するように各段を構成するのが応力分散の観点から好ましい。
このように構成されたフロート集合体100であれば、ソーラパネル50が設置される集合フロート部120から陸上側に向かって桟橋110が設けられているため、この桟橋110上にケーブルを敷設することができるので、極めてケーブルのメンテナンス等の作業が行いやすい。
しかも、水中に敷設するのと異なり、水底までケーブルを垂らす必要もないので必要なケーブルの長さを短くすることもできる。
ところで、集合フロート部120の東側や西側に、桟橋110を連結させるようにすると、強風や波の影響を受けたときに、集合フロート部120と桟橋110の間(連結フロート部130の当たり)に強い応力が発生する場合があるので、フロート集合体100の設置方法としては、桟橋110が北側又は南側に位置するように、集合フロート部120に桟橋110を連結するように設置することが好ましい。
一方、図14で示すフロート集合体100は、あくまでも一例であって、図15に示すようなフロート集合体100であってもよい。
図15は、フロート集合体100の他の例を示す図である。
図15に示すフロート集合体100では、連結フロート部130を省略し、桟橋110が、集合フロート部120側となる基端部のフロート10で、直接、集合フロート部120のフロート10に連結されているようにしている。
この場合、集合フロート部120と桟橋110との連結部分に応力がかかってもよいように、桟橋110は、並置された複数の線状フロート部(例えば3つ以上)を有するものとして、隣接する線状フロート部が通路ジョイント60で連結されているようにすればよい。
そして、この桟橋110上にケーブルを敷設する場合には、桟橋110の中央側をケーブルが這うように設置し、桟橋110の端を通路として用いることでケーブルが水中に落下することが抑制できるため好ましい。
また、桟橋110の左右のどちらかにケーブルが片寄って敷設されると、桟橋110のバランスが悪くなり、ケーブルが敷設されている側に桟橋110傾いたりする場合があるが、桟橋110の中央側に重量のあるケーブルを敷設することで、そのような傾きが発生することが回避でき、作業者等が桟橋110上を歩行するときに歩行しやすい桟橋とすることができる。
なお、図14に示した連結フロート部130を有するフロート集合体100の場合であっても、桟橋110を図15に示すように並置された複数の線状フロート部(例えば3つ以上)を有するものとして構成してもよいことは言うまでもない。
ところで、ソーラパネル50からのケーブルCA(図17参照)は、模式的に示せば、例えば、一例として、図16に示す実線140のように敷設することが可能である。
一方、図16に示す点線145のように、ケーブルCA(図17参照)を敷設したい場合等もあるが、この場合、如何にして、ソーラパネル50の他端部52(図1及び図2参照)側を通過させるのかが課題となる。
そこで、図17を参照して説明するように、フロート10に図16の点線145で示すようなケーブルCA(図17参照)の敷設が行いやすくできる構造を設けておくことが好ましい。
図17は、図16に示す点線145のようにケーブルCA(図17参照)を敷設するときのケーブルCA(図17参照)の敷設形態に合わせた構成を有するフロート10の変形例を説明するための図である。
なお、図17では、左側のフロート10上には、ソーラパネル50を設置する前の状態を示しているが、ソーラパネル50が設置されると、二点鎖線で示すようになる。
図17に示すフロート10の変形例では、図3で示した溝部35の中央側の一対の溝部35の深さを、図17に示すように深くするとともに、ソーラパネル50の他端部52側を受ける受け部12をケーブルCAが通過できるように溝部35を他端部52側に延長したものとしている。
このようにすれば、図17に模式的に示すように、右側のフロート10に配置されているソーラパネル50のケーブルCAを左側のフロート10に配置されているソーラパネル50の下側を通過するように配線することが可能となり、図16の点線145で示したようなケーブルCAの敷設にも簡単に対応できるものとなる。
このような点線145の敷設の場合、通路ジョイント60のところに敷設される以外のケーブルCAの部分はソーラパネル50の下側に位置し、雨等に曝され難いため、ケーブルCAの劣化を抑制する効果が得られる。
また、確実にフロート10上を通ることになるため、ケーブルCAが水中に落下するようなことも回避できる。
以上、具体的な実施形態に基づき、本発明について説明してきたが、本発明は、実施形態に限定されるものではない。
例えば、集合フロート部120には、ソーラパネル50以外のもの、例えば、ソーラパネル50からのケーブルCAが接続されるパワーコンディショナーのような機器類を併せて設置するようにしてもよく、このパワーコンディショナーから陸上へのケーブルが敷設されるようになっていてもよい。
また、桟橋110は、陸の近くまでだけ設けるものとして、陸に対して直接固定しないものとしてもよい。
このようにしておけば、集合フロート部120が動こうとしたときに、同じように動こうとすることができるため、桟橋110の損傷を抑制することができる。
ただし、このように桟橋110を陸に固定しない場合でも、桟橋110と集合フロート部120は、風を受ける面積や重量が異なるため、桟橋110と集合フロート部120の動き方自体は同じにならない場合が多いため、上述したような桟橋110の破損を抑制できる構成を備えることが好ましい。
また、逆に、桟橋110が自由に動ける状態であると、かえって集合フロート部120との連結部に応力がかかりやすくなることがあるため、桟橋110の適切な位置を係留させるべく、桟橋110に用いられているフロート10にもアンカーロープ等の係留部材を係留させるようにすることが好ましい。
上記では、桟橋110のフロート10では、支持部11を立ち上げるために、ヒンジとなる辺24を残して残る3辺21,22,23を切断する工程は不要であると述べたが、アンカーロープ等の係留部材をフロート10に係留させるときには開口部26が必要となる。
したがって、上述のように、桟橋110のフロート10にアンカーロープ等の係留部材を係留させる場合には、桟橋110に用いられるフロート10のうち、アンカーロープ等の係留部材を係留させるフロート10についてだけ、3辺21,22,23を切断する工程を行うようにすればよい。
そして、係留作業以外のときには、歩行しやすいように、支持部11を立ち上げることによって、できる開口部26が閉じられていることが好ましい。
したがって、このアンカーロープ等の係留部材を係留させる桟橋110のフロート10についても、平常時には、図13を参照して説明したように、支持部11に固定金具13を設け、支持部11が裏面壁17側に脱落しないようにして、開口部26を閉じるようにすればよい。
このように、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であり、そのような種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれることは、当業者にとって、特許請求の範囲の記載から明らかである。