以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態に係る系統連系システム1の構成を示す。系統連系システム1は、電力業者等が提供する電力系統に含まれる系統電源10と、電力系統の少なくとも一部をなすローカルエリア20に接続され、系統電源10に連系する、太陽光発電システム、風力発電システム、および燃料電池発電システム等の1又は複数の分散電源11、13と、系統電源10および分散電源11、13のそれぞれの間に設けられて分散電源11、13からの電力をそれぞれ変換して系統電源10に供給する1又は複数のパワーコンディショナ30、31とを備える。
系統電源10は、電力系統を管理する電力業者により提供された電力を供給する設備であり、一例として発電所でもよいし、変電所でもよいし、変圧器でもよい。ローカルエリア20は、電力系統において系統電源10の末端側に接続された配線、負荷、分散電源等を含むエリアである。一例として、ローカルエリア20は、人口が少なく電力需要が少ない電力系統の末端の支線に位置するような土地にあり、分散電源11、13の一例として多数のソーラーパネルによる太陽光発電設備を設けることができるエリアである。このようなエリアでは、電力系統の末端の支線に比較的大きい分散電源11、13が接続されるので、フリッカが発生しやすい構造となり得る。本実施形態では、パワーコンディショナ30、31と系統電源10との間の電力線21には、一例として、電力系統の事故停電、計画停電、および保守停電等の場合に遮断される系統側遮断器22が設けられている。また、電力線21には、一例として、負荷26および非常用電源28が接続されている。なお、電力線21には、意図しない抵抗23およびインダクタンス24を含むラインインピーダンス25が存在する。
パワーコンディショナ30は、電力系統の事故停電、計画停電、および保守停電等によって系統電源10からの電力供給が遮断され、系統電源10側が電力系統から切り離されて分散電源11が単独運転状態となっている可能性があることを検出すると、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を変動させる。パワーコンディショナ30は更に、電力供給量を変動させた状態で、系統電源10側の電圧を検出し、系統電源10側の電圧の変化に応じて、単独運転状態であるか否かを確認し、分散電源11と系統電源10側との間を切り離すか否かを判断する。本実施形態に係るパワーコンディショナ30は、一例として、電力供給量を低減させたことに応じて系統電源10側の電圧が基準以下に低減した場合に、分散電源11と系統電源10側との間を切り離す。
このように、パワーコンディショナ30は、単独運電状態であるか否かを確認する必要がある単独運転らしい事象が生じていることを検出すると、単独運転を正しく検出できたのか誤って検出したのかを判断し、単独運転を正しく検出できた場合にのみ分散電源11と系統電源10側との間を切り離す。これにより、パワーコンディショナ30は、単独運転の誤検出によって分散電源11と系統電源10側との間を切り離してしまうことを防止できる。また、パワーコンディショナ30は、系統電源10側での作業・点検の安全性を確保し、及び/又は系統電源10側の配電設備を保護することができる。パワーコンディショナ30は、電力変換部40と、連系リレー50と、検出装置60と、分散電源11から系統電源10側へ出力される電流を検出する電流検出部90とを備える。
電力変換部40は、インバータ42およびインバータ制御部44を有し、分散電源11からの電力を系統電源10に応じた交流に変換する。インバータ42は、分散電源11からの直流電力または交流電力を、電力系統に適合する交流電力に変換して出力する。インバータ制御部44は、インバータ42が出力する交流電力の電圧、周波数、および位相を電力系統側の電力に合わせるようにインバータ42を制御する。
連系リレー50は、電力変換部40と系統電源10側との間に設けられるスイッチである。連系リレー50は、検出装置60からの制御を受けて電力変換部40と系統電源10側との間を接続または遮断する。これにより、連系リレー50は、分散電源11側の電力変換部40を系統電源10側と接続して分散電源11を電力系統と連系させるか否かを切り替える。なお、本実施形態に係るパワーコンディショナ30は、連系リレー50を内蔵している構成としているが、これに代えて、連系リレー50がパワーコンディショナ30の外部にある構成を採ってもよい。
検出装置60は、単独運転らしい事象が生じていることを検出すると、単独運転を正しく検出できたのか誤って検出したのかを判断し、単独運転を正しく検出できた場合にのみ、連系リレー50を遮断状態に切り替える。本実施形態に係る検出装置60は、電力変換部40および系統電源10側の間の電源経路に対して無効電力を注入し、単独運転の場合には無効電力注入の影響により電源電力の周波数が大きく変動することを利用して、単独運転している可能性があるか否かを検出する。本実施形態に係る検出装置60は、制御部61と、格納部64と、系統電源10側の電圧を検出する第2検出部66とを有する。
本実施形態に係る制御部61は、第1検出部63と、電力処理部71と、解列処理部72と、指令処理部73と、第1警告処理部75と、第2警告処理部76と、通信部78とを含む。制御部61は、マイクロコントローラ等のCPUを含む制御コンピュータであり、検出プログラムを実行することにより以下に示す各部として機能する。これに代えて、制御部61は、専用回路またはプログラマブル回路によって実現されてもよい。
第1検出部63は、分散電源11から供給される電力の周波数を検出し、検出した周波数に基づいて、分散電源11が単独運転している可能性があるか否かを検出する。より具体的には、第1検出部63は、分散電源11から供給される電力の周波数に応じた周波数パラメータを算出し、ある期間(第1期間)における周波数パラメータと、第1期間よりも過去の第2期間における周波数パラメータとに基づいて、周波数偏差に応じた偏差パラメータを算出し、偏差パラメータに基づいて、分散電源11が単独運転している可能性があるか否かを検出する。
例えば、第1検出部63は、電力変換部40と系統電源10側との間の電源経路の電圧を検出して、電圧の変化から周波数パラメータの一例として電源電力の周波数を算出する。これに代えて、第1検出部63は、配線を流れる電流を検出して周波数パラメータを算出してもよい。第1検出部63は、周波数パラメータとして周波数を用いるのに代えて周期を用いることができる。周期は周波数の逆数に他ならないから、当業者にとっては、周波数パラメータとして周期を用いる構成もまた本明細書に実質的に記載されているものと理解できる。また、周波数パラメータは、周波数または周期自体ではなく、周波数または周期に応じて変化する値であってもよい。
また、第1検出部63は、算出した周波数パラメータのシーケンスから、現在期間に対応する予め定められた時間長の第1期間における複数の周波数パラメータの代表値と、過去期間に対応する予め定められた時間長の第2期間における複数の周波数パラメータの代表値とを算出する。第1期間および第2期間の代表値は、一例として第1期間および第2期間の周波数パラメータの移動平均値であってよい。第1期間および第2期間は互いに連続していてもよいし、離間していてもよいし、一部が重複していてもよい。第1期間および第2期間の長さは同一でもよいし、異なってもよい。
また、第1検出部63は、第1期間および第2期間における周波数パラメータの代表値の偏差、すなわち例えば第1期間における周波数パラメータの代表値から第2期間における周波数パラメータの代表値を減じた、周波数偏差に応じた偏差パラメータを算出する。また、第1検出部63は、偏差パラメータに基準以上の変化が検出された場合に、分散電源11が単独で電源電力を供給する状態になっている可能性があると判断する。なお、偏差パラメータは、周期偏差、または周期偏差に応じて変化する値等であってもよい。なお、系統電源10が多相の交流電力を供給する場合、周波数パラメータおよび偏差パラメータは、全ての相の交流電流について又は何れかの単相交流電力について算出されてよい。
第1検出部63は、算出した偏差パラメータを電力処理部71に出力する。また、第1検出部63は、分散電源11が単独運転している可能性があることを検出すると、検出結果を電力処理部71に出力する。また、第1検出部63は、分散電源11が単独運転している可能性があることを検出すると、一例として、当該検出の要因となった周波数の波形を格納部64に格納する。なお、第1検出部63は、当該周波数の波形を格納部64に格納しなくてもよい。
電力処理部71は、第1検出部63から入力される偏差パラメータに応じた無効電力を電源経路に注入する。また、電力処理部71は、分散電源11の単独運転状態を検出するために用いられる無効電力出力特性に従って、出力する無効電力量を算出する。
無効電力出力特性は、偏差パラメータと、単独運転状態を検出するべく注入されるべき無効電力量との関係である。本実施形態において無効電力出力特性は調整可能となっている。本実施形態において電力処理部71は、一例として、無効電力出力特性を表す1または複数のパラメータを調整する。但し、電力処理部71は、複数の無効電力出力特性から何れかの無効電力出力特性を使用対象として選択してもよい。電力処理部71は、出力する無効電力量をインバータ制御部44に供給する。
また、電力処理部71は、第1検出部63によって、分散電源11が単独運転している可能性があると検出されたことに応じて、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を変動させる。本実施形態における電力処理部71は、一例として、第1検出部63によって、分散電源11が単独運転している可能性があると検出されたことに応じて、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を低減させる。
より具体的には、電力処理部71は、分散電源11が単独運転している可能性があると検出されたことに応じて、インバータ42が分散電源11から系統電源10側へ出力する電力の供給量を低減させるように、インバータ制御部44へ指令を出力する。本実施形態における電力処理部71は、一例として、インバータ42が分散電源11から系統電源10側へ出力する電流の指令値を下げるように、インバータ制御部44へ指令を出力する。なお、電力処理部71は、分散電源11が単独運転している可能性があると検出されたことに応じて、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を零にしてもよい。
なお、インバータ42は、一例としてキャパシタを含み、キャパシタから分散電源11側に対向電圧を出力することによって、分散電源11から系統電源10側へ出力する電流を低減または零にしてもよい。これにより、分散電源11側に電気が逆流し、分散電源11側の電圧が上昇して動作が停止してしまうことが回避される。
また、電力処理部71は、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を変動させた後に、連系リレー50を遮断状態に切り替えない、すなわち分散電源11を系統電源10側から解列しないことが決定された場合に、変動させた電力供給量を変動前の状態に戻す。本実施形態における電力処理部71は、一例として、分散電源11を系統電源10側から解列しないと決定された場合に、低減させた上記の電力供給量を低減させる前の状態に戻す。より具体的には、電力処理部71は、分散電源11を系統電源10側から解列しないと決定された場合に、インバータ42が分散電源11から系統電源10側へ出力する電力の供給量を低減させる前の状態に戻させるように、インバータ制御部44へ指令を出力する。
また、電力処理部71は、第1検出部63によって、分散電源11が単独運転している可能性があると検出されたことに応じて、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を変動させる場合に、当該電力供給量の変動に関する情報を指令処理部73に出力する。当該情報は、一例として、分散電源11から系統電源10側への電力供給量の変動量および変動タイミングなどを含む。また、電力処理部71は、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を変動させた後に分散電源11を系統電源10側から解列することが決定された場合に、その旨を示す情報を指令処理部73に出力する。また、電力処理部71は、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を変動させた後に分散電源11を系統電源10側から解列しないことが決定された場合に、その旨を示す情報を指令処理部73に出力する。
解列処理部72は、第2検出部66によって検出された系統電源10側の電圧値を入力される。解列処理部72は、電力供給量を変動させた状態における系統電源10側の電圧の変化に応じて、連系リレー50を遮断状態に切り替えるか否か、すなわち分散電源11を系統電源10側から解列するか否かを判断する。本実施形態における解列処理部72は、一例として、電力供給量を低減させた状態における系統電源10側の電圧が基準以下となったことを条件に、分散電源11を系統電源10側から解列すると決定する。
分散電源11が単独運転状態になっている場合、系統電源10側の電圧は、分散電源11から系統電源10側への電力供給量の低下に追従して低下する。一方で、分散電源11が単独運転状態になっていない場合、系統電源10側の電圧は、分散電源11から系統電源10側への電力供給量の低下に応じて僅かに低下するが、分散電源11が単独運転状態になっている場合に比べて殆ど低下しない。そこで、解列処理部72は、上記の基準として、系統電源10側の電圧が、分散電源11が単独運転状態になっている場合には下回る値であって、分散電源11が単独運転状態になっていない場合には下回らない値を用いて、分散電源11を系統電源10側から解列するか否かを判断する。
第2検出部66が電圧を検出する電源経路には、交流電流が流れる。そのため、本実施形態における解列処理部72は、一例として、上記の基準との比較において、第2検出部66によって検出される、三相のそれぞれの実効電圧値を用いてもよく、三相のそれぞれの瞬時電圧の最大値を用いてもよい。解列処理部72は、上記の基準との比較に三相のそれぞれの実効電圧値を用いる場合、各相の電圧値の時間変化において、上記の判断を行う時点が周期内のどこにあるのか、例えば交流周波数が50Hzの場合には1周期20msecで変動していて上記の判断を行う時点が特定の1周期の開始から5msec経過していることを把握しておくことによって、三相のそれぞれの実効電圧値を特定してもよい。なお、解列処理部72は、少なくとも交流の1周期以上の期間、系統電源10側の電圧の変化を見ることが好ましい。
本実施形態の解列処理部72は、上記の基準の一例として、系統電源10の電力業者が系統電源10から電力を供給する負荷26に対して予め指定している不足電圧の整定値に応じた電圧値を用いる。当該整定値は、設定値と呼ばれる場合もある。電力業者は、一例として、系統電源10から負荷26に供給する電力の電圧値を、100V系の場合には通常の±5%以内に維持すること、200V系の場合には通常の±10%以内に維持することが、義務として課せられている。この場合に、電力業者は、上記の不足電圧の整定値の一例として、100V系の場合には通常の90%、200V系の場合には通常の80%を、負荷26に対して指定している。そこで、解列処理部72は、上記の基準として、系統電源10が100V系の場合には、第1検出部63によって分散電源11が単独運転している可能性があると検出されていない状態において、第2検出部66によって検出される系統電源10側の電圧値の90%を用い、系統電源10が200V系の場合には系統電源10側の電圧値の80%を用いてもよい。
また、解列処理部72は、電力供給量を低減させた状態における系統電源10側の電圧が上記の不足電圧の整定値に応じた電圧値以下となったことで分散電源11を系統電源10側から解列すると決定した場合、解列すると決定したことを示す信号を電力処理部71に出力し、連系リレー50を遮断状態にする。この場合、解列処理部72は、分散電源11から系統電源10側へ出力される電流が零になったことを電流検出部90によって検出されたことに応じて、連系リレー50を遮断状態にしてもよい。
また、解列処理部72は、例えば電力変換部40によって分散電源11から系統電源10側への電力供給量の低減を開始してから予め定められた時間内に、電力供給量を低減させた状態における系統電源10側の電圧が上記の不足電圧の整定値に応じた電圧値以下とならなかったことで分散電源11を系統電源10側から解列しないと決定した場合、連系リレー50を接続状態のままとして、解列しないと決定したことを示す信号を電力処理部71および第1警告処理部75に出力する。
指令処理部73は、分散電源11が単独運転している可能性があると検出されたことに応じて、系統電源10に連系する他の分散電源の一例である分散電源13と系統電源10との間に配された、他の電力変換装置の一例であるパワーコンディショナ31に対し、電力処理部71による電力供給量の変動に対応させて、分散電源13から系統電源10側への電力供給量を変動させる指令を送信する。より具体的には、指令処理部73は、電力処理部71から上述の電力供給量の変動に関する情報を入力されたことに応じて、当該情報の内容、例えば分散電源11から系統電源10側への電力供給量の変動量および変動タイミングに対応させて分散電源13から系統電源10側への電力供給量を変動させる指令を、通信部78を介してパワーコンディショナ31に送信する。
また、指令処理部73は、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を変動させた後に分散電源11を系統電源10側から解列しないことが決定された旨を示す情報を電力処理部71から入力されたことに応じて、分散電源13から系統電源10側への変動させた電力供給量を変動前の状態に戻させる指令を、通信部78を介してパワーコンディショナ31に送信する。また、指令処理部73は、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を変動させた後に分散電源11を系統電源10側から解列することが決定された旨を示す情報を電力処理部71から入力されたことに応じて、分散電源13を系統電源10側から解列させる指令を、通信部78を介してパワーコンディショナ31に送信する。
第1警告処理部75は、解列処理部72が分散電源11を系統電源10側から解列しないと決定した場合に、警告信号を発信する。より具体的には、第1警告処理部75は、分散電源11を系統電源10側から解列しないと決定したことを示す信号を解列処理部72から入力されたことに応じて、通信部78を介し、警告信号を電力業者の通信機器に送信する。また、本実施形態における第1警告処理部75は、一例として、電力供給量を変動させる原因となった、分散電源11から供給される電力の周波数の波形を格納部64から取得して、上記の警告信号に付与する。なお、第1警告処理部75は、当該周波数の波形を格納部64から取得せず、警告信号のみを発信してもよい。
第1警告処理部75は、警告信号や誤検出の原因となった周波数波形などを電力業者の通信機器に送信することにより、電力業者にパワーコンディショナ30で単独運転の誤検出が生じたことを通知できる。これにより、第1警告処理部75は、例えば、パワーコンディショナ30で誤検出が生じ難くなるように、パワーコンディショナ30内部の設定を電力業者に調整してもらうことや、電力系統のインピーダンスを小さくして電源経路の周波数が外乱の影響を受け難い強い状態になるよう電力業者に調整してもらうことができる。
パワーコンディショナ30内部の設定を調整することは、一例として、電源経路への無効電力の注入量を減らして既定よりも長い期間で電源経路の周波数変動を見るように設定することや、電力供給量を低減させるための条件の一例として用いる、上述の偏差パラメータの変化と比較する基準を高くすることによって、電力供給量を低減させる頻度を低くすることを含む。
第2警告処理部76は、分散電源11が単独運転している可能性があると検出されたことに応じて変動させたパワーコンディショナ30による電力供給量の変動量が基準以上となったことを条件として、分散電源11側を系統電源10側から解列する可能性があることを警告すべく、警告信号を発信する。本実施形態の第2警告処理部76は、一例として、電流検出部90から、分散電源11から系統電源10側へ出力される電流値を入力され、分散電源11から系統電源10側へ出力される電流が基準以上に低減したことに応じて、通信部78を介し、警告信号をローカルエリア20の非常用電源28の通信機器に送信する。
これによって、第2警告処理部76は、系統電源10側の電圧が、パワーコンディショナ30から系統電源10側への電力供給量の変動に追従して変化するタイミングよりも早いタイミングで、警告信号を非常用電源28の通信機器へ発信することができる。例えば、負荷26が、系統電源10または分散電源11から電力を供給されて動作している重要なデバイスであって停電による不測の動作停止が許されないものである場合には、単独運転状態となっているパワーコンディショナ30が負荷26への電力供給を停止するまでに、負荷26の動作を安全に停止したり、負荷26への電力供給源を非常用電源28に切り替えたりする時間を確保できる。
通信部78は、専用または汎用の通信ネットワーク15を介して電力業者の通信機器との間で通信し、電力業者の通信機器から検出装置60に対する各種の指令を受信し、第1警告処理部75から入力された警告信号を電力業者の通信機器へ送信する。また、通信部78は、通信ネットワーク15を介して他のパワーコンディショナ31との間で通信し、指令処理部73から入力された指令をパワーコンディショナ31へ送信する。また、通信部78は、通信ネットワーク15を介してローカルエリア20の非常用電源28の通信機器との間で通信し、第2警告処理部76から入力された警告信号を非常用電源28の通信機器へ送信する。
本実施形態に係るパワーコンディショナ31は、パワーコンディショナ30の電力変換部40および連系リレー50と対応する構成を備えるが、パワーコンディショナ30の検出装置60および電流検出部90と対応する構成は備えていない。パワーコンディショナ31が備える、パワーコンディショナ30の電力変換部40および連系リレー50と対応する構成については、それぞれ電力変換部40および連系リレー50と同様の機能を有するため、重複する説明を省略する。
パワーコンディショナ31は更に、パワーコンディショナ30の指令処理部73からの指令を受信すると、パワーコンディショナ30の電力変換部40のインバータ制御部44と対応する構成に指令を出力する通信部を備える。パワーコンディショナ31のインバータ制御部44と対応する構成は、当該指令に従って、分散電源13から系統電源10側への電力供給量を変動させたり、変動させた電力供給量を変動前に戻したり、連系リレー50と対応する構成を遮断状態とすることによって分散電源13を系統電源10から解列させたりする。このように、パワーコンディショナ31は、自らの判断で勝手に上記の複数の処理を行わず、パワーコンディショナ30の指令に従って上記の複数の処理を行う。
本実施形態における系統連系システム1は、一例として、ローカルエリア20において、分散電源11およびパワーコンディショナ30の組と、分散電源13およびパワーコンディショナ31の組とを備える構成としたが、分散電源11およびパワーコンディショナ30の1組のみを備えてもよく、3組以上の分散電源およびパワーコンディショナを備えてもよい。系統連系システム1が3組以上の分散電源およびパワーコンディショナを備える場合、少なくとも1組の分散電源11およびパワーコンディショナ30を備え、その他の組における電力変換装置は、パワーコンディショナ30およびパワーコンディショナ31の何れか一方と同じ機能を有するように構成してもよい。
系統連系システム1は、少なくとも1つのパワーコンディショナ30と、任意の数のパワーコンディショナ31とを備え、任意の数のパワーコンディショナ31をパワーコンディショナ30の指令に従って動作させることにより、各パワーコンディショナから系統電源10側への電力供給量の変動を概ね同期させて同じように制御することができる。各パワーコンディショナから系統電源10側への電力供給量の変動が異なって制御される場合例えば、各分散電源が系統電源10から遮断されて単独運転状態となっている状況において、少なくともパワーコンディショナ30が電力供給量を低減させているにも拘わらず他のパワーコンディショナが電力供給量を増加させてしまっている場合には、系統電源10側の電圧が低下し難くなり、各分散電源が単独運転状態となっていることを正しく検出できない可能性がある。これに対して、系統連系システム1によれば、各パワーコンディショナから系統電源10側への電力供給量の変動を概ね同期させて同じように制御することによって、各分散電源が単独運転状態となっていることを正しく検出できる。
ただし、少なくとも1つのパワーコンディショナ30と任意の数のパワーコンディショナ31とによる、電源経路への無効電力の注入タイミングおよび系統電源10側への電力供給量の変動タイミングを合わせるように制御した場合であっても、それぞれのタイミングには相互に多少のズレが生じることが有り得るが、例えば交流周波数が50Hzであって1周期20msecで変動している場合、1周期20msec程度分のズレであれば、各分散電源が単独運転状態となっていることを正しく検出できると考えられる。
また、少なくとも1つのパワーコンディショナ30と任意の数のパワーコンディショナ31とによる、電源経路への無効電力の注入タイミングおよび系統電源10側への電力供給量の変動タイミングを合わせるように制御した場合であっても、系統電源10側の交流の各相の実効電圧値が基準以下となったことを条件として各分散電源を系統電源10から解列すると決定する場合に、不測の事態として、全てのパワーコンディショナが系統電源10側の交流における同じ相の実効電圧値を検出するように構成されていないことが有り得る。その場合であっても、例えば交流周波数が50Hzであって1周期20msecで変動している場合、1周期20msec以内のズレであるため、各分散電源が単独運転状態となっていることを正しく検出できると考えられる。
また、本実施形態のパワーコンディショナ30では、一例として、日本電機工業会規格JEM1498(分散型電源用単相パワーコンディショナの標準型能動的単独運転検出方式)またはJEM1505(低圧配電線に連系する太陽光発電用三相パワーコンディショナの標準型能動的単独運転検出方式)を採用する。これらの標準型単独運転検出方式は、電力系統のインピーダンスが小さかったり回転機による発電機が多かったりするために電源経路の周波数が外乱の影響を受け難いエリアで使用されることを想定されている。この場合に、電源経路の周波数は、単独運転状態以外では殆ど変動しない。しかしながら、ローカルエリア20が、例えば基幹となる電気幹線から遠く離れたエリアであると、電力系統のインピーダンスが大きかったり回転機による発電機が少なかったりするために電源経路の周波数が外乱の影響を受け易く、系統電源10が停電していなくとも無効電力注入などが原因で周波数変動が頻繁に生じ、単独運転の誤検出が頻発する可能性が高い。
系統電源10が50kW以上の高圧または特高連系の場合、単独運転を誤検出して分散電源11と系統電源10側との間を切り離してしまうと、再連系するために発電事業者と電力会社とで協議を行う必要があり、手間が掛かる。更には、再連系するまでの間に発電している電力は、パワーコンディショナが蓄電装置を有していても定格量以上は蓄えることができず放出する必要があるため、売電機会を逸することになる。
これに対して、本実施形態の系統連系システム1が備えるパワーコンディショナ30によれば、分散電源11が単独運転状態となっている可能性があることを検出すると、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を変動させ、電力供給量を変動させた状態で、系統電源10側の電圧を検出し、系統電源10側の電圧の変化に応じて、分散電源11と系統電源10側との間を切り離すか否かを判断することによって、単独運転の検出精度を高めることができる。これにより、パワーコンディショナ30は、単独運転の誤検出によって分散電源11と系統電源10側との間を切り離してしまうことを防止でき、再連系するために発電事業者と電力会社とで協議を行う手間を低減し、不必要に売電機会を逸してしまうことを回避できる。
図2は、本実施形態に係る偏差パラメータと注入無効電力量との関係の一例を示す。本図の横軸は、電力処理部71が第1検出部63から受け取る偏差パラメータ(一例として周波数偏差)、縦軸は、電力処理部71が電源経路に注入すべき無効電力を示す。電力処理部71は、第1検出部63から受け取った偏差パラメータに応じて注入すべき無効電力を図2のグラフから算出し、算出した無効電力を電源経路に注入するように電力変換部40を制御する。これにより、電力処理部71は、電源経路に生じた偏差を助長する方向に無効電力を注入させて、単独運転状態の検出をしやすくする。
偏差パラメータが-a~+aの範囲においては、電力処理部71は、偏差パラメータに応じた無効電流の注入量を比較的小さく制御する。これにより、電力処理部71は、分散電源11が電力系統と連系されており電力系統との間の偏差が小さい場合に、電源経路に大きな無効電力を注入して電力系統を乱すことを防止する。偏差パラメータが-b~-aおよび+a~+bの範囲においては、電力処理部71は、偏差パラメータに応じた無効電力の注入量を比較的大きく制御する。これにより、電力処理部71は、分散電源11が電力系統から切り離されることにより偏差パラメータの大きさがa以上となったことに応じて比較的大きな無効電力を電源経路に注入して、単独運転状態を検出しやくする。偏差パラメータが-b以下または+b以上の範囲においては、電力処理部71は、無効電力の注入量を更に増加させず最小値または最大値のまま維持する。これにより、電力処理部71は、電源経路に過大な無効電力を注入することを防ぐ。
図3は、本実施形態に係る、単独運転状態ではない場合の電力供給量および電圧の時間変化の一例を示す図であり、図4は、本実施形態に係る、単独運転状態である場合の電力供給量および電圧の時間変化の一例を示す図である。各図には、上から順に、分散電源11から系統電源10側への電力供給量の時間変化のグラフと、系統電源10側の電圧の時間変化のグラフとを示し、両グラフは時系列が一致している。また、各図において、電力供給量の時間変化のグラフの横軸は時間(T)、縦軸は電力供給量(P)を示し、電圧の時間変化のグラフの横軸は時間(T)、縦軸は電圧(V)を示す。また、各図の電圧の時間変化のグラフ上には、解列処理部72が、分散電源11を系統電源10側から解列するか否かを判断するのに用いる系統電源10側の電圧の基準を、Vrefとして示す。なお、各図に示す電力供給量および電圧はそれぞれ、説明を明確にする目的で、瞬時に変化するものとして図示するが、何れも緩やかな変化を除外するものではない。
図3を参照すると、時刻T1よりも前に、電力系統に事故停電が生じて系統電源10からの電力供給が遮断された可能性、すなわち分散電源11が単独運転状態となったことを疑う事象が生じ、時刻T1に、パワーコンディショナ30は分散電源11が単独運転状態となっている可能性があることを検出する。なお、標準型単独運転検出方式を採用しているパワーコンディショナ30は、当該事象が生じてから、約200msecで当該可能性を検出する。
本実施形態におけるパワーコンディショナ30は、図3の上のグラフに示す通り、時刻T1に、分散電源11が単独運転状態となっている可能性があることを検出すると、一例として、分散電源11から系統電源10側への電力供給量(P)を零にする。分散電源11が単独運転状態ではない場合、図3の下のグラフに示す通り、系統電源10側の電圧(V)は、時刻T1に、分散電源11から系統電源10側への電力供給量の低下に応じて僅かに低下するが、基準Vref以下とならない。パワーコンディショナ30は、電力供給量を零にさせた状態で、系統電源10側の電圧を検出し、例えば時刻T1から時刻T2までの間に系統電源10側の電圧が基準Vref以下とならないことに応じて、時刻T2で、零にしていた電力供給量(P)を零にする前の初期値に戻す。図3の下のグラフに示す通り、系統電源10側の電圧(V)は、時刻T2に、低下する前の初期値に戻る。
図4を参照すると、図3における上記の説明と同様に、時刻T1よりも前に、分散電源11が単独運転状態となったことを疑う事象が生じ、時刻T1に、パワーコンディショナ30は分散電源11が単独運転状態となっている可能性があることを検出し、一例として、分散電源11から系統電源10側への電力供給量(P)を零にする。
分散電源11が単独運転状態である場合、図4の下のグラフに示す通り、系統電源10側の電圧(V)は、時刻T1に、分散電源11から系統電源10側への電力供給量の低下に応じて、分散電源11が単独運転状態になっていない場合に比べ大幅に低下し、基準Vref以下となっている。パワーコンディショナ30は、電力供給量を零にさせた状態で、系統電源10側の電圧を検出し、例えば時刻T1から時刻T2までの間の少なくとも系統電源10の交流の1周期以上に亘って系統電源10側の電圧が基準Vref以下となっていることに応じて、時刻T2で、分散電源11を系統電源10側から解列する。
図5は、本実施形態に係るパワーコンディショナ30の動作フローを示す図である。当該フローは、電力処理部71が、一例として、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を変動させておらず、連系リレー50が接続状態にある状態で開始する。
電力処理部71は、第1検出部63によって、分散電源11から供給される電力の周波数に基づき分散電源11が単独運転している可能性があることが検出されるまで待機し(ステップS101:NO)、分散電源11が単独運転している可能性があることが検出された場合に(ステップS101:YES)、指令処理部73に電力供給量の変動に関する情報を出力し、これにより、パワーコンディショナ31をパワーコンディショナ30と概ね同期的に制御させ、分散電源11、13から系統電源10側への電力供給量を略一斉に低減させるよう各パワーコンディショナのインバータ制御部に制御させる(ステップS103)。
第2警告処理部76は、電流検出部90によって、分散電源11から系統電源10側へ出力される電流値を入力され、パワーコンディショナ30による電力供給量の変動量が基準以上となるまで、すなわち、分散電源11から系統電源10側へ出力される電流が基準以上に低減するまで待機し(ステップS105:NO)、当該電流が基準以上に低減したことに応じて、通信部78を介し、非常用電源28の通信機器へ警告信号を発信する(ステップS107)。
第2検出部66は、少なくとも電力供給量を変動させた状態で、系統電源10側の電圧を検出する。解列処理部72は、第2検出部66によって、系統電源10側の電圧値を入力され、一例として予め定められた時間内に、電力供給量を低減させた状態における系統電源10側の電圧が基準以下となったか否かを判断する(ステップS109)。予め定められた時間内に系統電源10側の電圧が基準以下とならなかった場合(ステップS109:NO)、解列処理部72は分散電源11を系統電源10側から解列しないと決定し、その旨を示す信号を電力処理部71および第1警告処理部75のそれぞれに出力する。
電力処理部71は、解列処理部72から解列しない旨を示す信号を入力されたことに応じて、指令処理部73に当該信号を出力し、これにより、パワーコンディショナ31をパワーコンディショナ30と概ね同期的に制御させ、低減させた電力供給量を低減させる前の状態に戻すよう各パワーコンディショナのインバータ制御部に制御させる(ステップS111)。
第1警告処理部75は、解列処理部72から解列しない旨を示す信号を入力されたことに応じて、格納部64から、関連する周波数波形を取得して警告信号に付与し、通信部78を介し、電力業者の通信機器へ当該警告信号を発信する(ステップS113)。これにより、当該フローは終了する。当該フローは、パワーコンディショナ30が動作し続ける限り、繰り返される。
ステップS109において、予め定められた時間内に系統電源10側の電圧が基準以下になった場合(ステップS109:YES)、解列処理部72は分散電源11を系統電源10側から解列すると決定し、連系リレー50を遮断状態とすることによって分散電源11を系統電源10側から解列し、また、解列する旨を示す信号を電力処理部71に出力する。電力処理部71は、当該信号を入力されたことに応じて、指令処理部73に当該信号を出力し、これにより、パワーコンディショナ31をパワーコンディショナ30と概ね同期的に制御させ、分散電源13も系統電源10側から解列するようパワーコンディショナ31に制御させる(ステップS115)。これにより、当該フローは終了する。
図6は、本実施形態に係る、単独運転状態であることを判断する場合に系統電源10側の電圧と比較する基準の一例を説明するための図である。本図では、上から順に、分散電源11から系統電源10までの間に接続される各構成を模式的に示した図と、パワーコンディショナ30から系統電源10までの間における電圧変化を表すグラフとを示す。本図の下のグラフにおいて、横軸はパワーコンディショナ30からの距離、縦軸は電圧を示す。本図の下のグラフ上には、分散電源11が系統電源10側から解列されていない状態で、パワーコンディショナ30(PCS)による出力が100%の場合、すなわち分散電源11から系統電源10側への電力供給量が通常の場合、および、パワーコンディショナ30による出力が0%の場合、すなわち分散電源11から系統電源10側への電力供給量が零の場合のそれぞれにおいて、パワーコンディショナ30から系統電源10までの間における電圧の変化が示されている。
本図の下のグラフ上に示される通り、分散電源11から系統電源10側への電力供給量が通常の場合であっても、分散電源11から系統電源10までの間の電力線21には、系統側遮断器22や、抵抗23およびインダクタンス24を含むラインインピーダンス25や、負荷26などが介在することにより、電圧が低下する。そのため、当該通常の場合の電圧変化を示すグラフは、下方に凸の放物線のようになる。分散電源11から系統電源10側への電力供給量が零の場合には、上記と同じ理由により、系統電源10からパワーコンディショナ30に近付くに連れて電圧が低下する。そのため、当該零の場合の電圧変化を示すグラフは、パワーコンディショナ30からの距離が大きくなるに連れて電圧が増加する二次曲線のようになる。
本実施形態の解列処理部72は、単独運転状態であることを判断する場合に系統電源10側の電圧と比較する基準の一例として、分散電源11が系統電源10側から解列されておらず分散電源11から系統電源10側への電力供給がない状態において、第2検出部66によって検出される系統電源10側の電圧値を用いる。すなわち、解列処理部72は、一例として、図6の下のグラフ上における、パワーコンディショナ30による出力が0%の場合の曲線の、縦軸上の切片の電圧値を用いる。解列処理部72は、該基準となる電圧値を予め把握しておく必要がある。解列処理部72は、例えば、太陽光発電が出来ていない時間帯など、パワーコンディショナ30による出力が0%となるときに、予め第2検出部66によって系統電源10側の電圧を計測することで当該基準となる電圧値を把握してもよく、電力業者から当該基準となる電圧値の情報を取得することによって把握してもよい。
分散電源11が電力系統から遮断されて単独運転状態になっている場合、パワーコンディショナ30の出力を0%にすると、第2検出部66によって検出される系統電源10側の電圧は、当該基準以下となる。よって、本実施形態の解列処理部72は、当該基準を用いても、パワーコンディショナ30が単独運転状態であることを正しく判断することができる。
また、本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
図7は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
例えば、以上に示したパワーコンディショナ30は、上述の様々な構成・機能を具備する。これに代えて、パワーコンディショナ30は、必要に応じて上述の様々な構成・機能のうちの一部を具備しない構成とすることも可能である。
例えば、パワーコンディショナ30内の検出装置60は、電力業者の通信機器からの指令を受信したり、電力業者の通信機器に警戒信号を発信したり、他のパワーコンディショナ31へ指令を送信したり、非常用電源28の通信機器に警戒信号を発信したりする機能を有しない場合には、通信部78を有しない構成としてもよい。
また、例えば、電力処理部71は、分散電源11と系統電源10側との間に接続された蓄電装置に対する充電電力を増加させることによって、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を低減させてもよい。蓄電装置に対する充電電力を増加させることは、蓄電装置に蓄電することや、蓄電装置にエネルギーを貯蔵することや、蓄電装置において電気的に水素を生成することなど、任意の手法を含んでもよい。また、蓄電装置に対する充電電力を増加させることは、分散電源11から蓄電装置への充電を新たに開始することや、単独運転の可能性が検出される前から系統電源10または分散電源11から電力供給されていた蓄電装置への電力供給量を追加的に増加させることなど、任意の手法を含んでもよい。何れによっても、パワーコンディショナ30に接続された接地に分散電源11からの電流を放電することによって電力供給量を低減する場合に比べて、分散電源11で発電した電力を有効活用することができる。
また、例えば、解列処理部72は、電力供給量を変動させた状態における系統電源10側の電圧の単位時間当たりの変化量が基準以上であることを条件に、分散電源11を系統電源10側から解列すると決定してもよい。分散電源11が単独運転状態になっている場合、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を変動させると、分散電源11が単独運転状態になっていない場合に比べて、系統電源10側の電圧の単位時間当たりの変化量が大きくなると考えられる。そこで、解列処理部72は、上記の基準として、系統電源10側の電圧の単位時間当たりの変化量が、分散電源11が単独運転状態になっている場合には上回る値であって、分散電源11が単独運転状態になっていない場合には上回らない値を用いて、分散電源11を系統電源10側から解列するか否かを判断してもよい。
また、例えば、電力処理部71は、分散電源11が単独運転している可能性があると検出されたことに応じて、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を徐々に変動させてもよい。この場合、電力処理部71は、分散電源11が単独運転を開始して電力系統から解列されるまでの規定時間、例えば高圧の場合には本出願時で1secという規定時間(本出願時には、フリッカ要因である無効電力の単位時間当たりの注入量を小さくすべく、2secから3secという規定時間に改定することも提案されている。)を最大限に使用し、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を徐々に低下させてもよい。換言すると、分散電源11が単独運転状態になってから、パワーコンディショナ30が分散電源11の単独運転の疑いを検出し、分散電源11から系統電源10側への電力供給量の変動を開始するまでの所要時間を上記の規定時間から減算した残り時間を使用して、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を徐々に低下させてもよい。
なお、日本電気協会によるJEAC9701-2016(系統連系規定)では、単独運転発生後、規定時間以内に、PCSは出力を停止すると共に、コンタクタを開放し、系統から解列する必要がある。本実施形態のパワーコンディショナ30が採用している標準型単独運転検出方式の場合、上記の所要時間は、上述した、分散電源11が単独運転状態になってからパワーコンディショナ30が分散電源11の単独運転の疑いを検出するまでの時間と略同程度であり、本出願時において約200msecである。
パワーコンディショナ30は、分散電源11が単独運転している可能性があると検出されたことに応じて、非常用電源28の通信機器へ警告信号を発信し、且つ、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を徐々に変動させることによって、分散電源11が単独運転状態になっている場合には、負荷26は主に分散電源11から供給される電力によって動作している状態になっているため、パワーコンディショナ30によって分散電源11が系統電源10側から解列される前に、負荷26への電力供給源を非常用電源28に切り替える時間を確保することができる。
また、例えば、以上の実施形態では、第2警告処理部76は、分散電源11が単独運転している可能性があると検出されたことに応じて変動させたパワーコンディショナ30による電力供給量の変動量が基準以上となったことを条件として、分散電源11側を系統電源10側から解列する可能性があることを警告すべく、警告信号を発信するものとして説明した。これに代えて、第2警告処理部76は、分散電源11が単独運転している可能性があると検出されたことを条件として、または、電力処理部71が電力変換部40を介して無効電力を電源経路に注入したことを条件として、または、分散電源11が単独運転している可能性があると検出されてパワーコンディショナ30による電力供給量を変動させたことに応じて変化した系統電源10側の電圧が予備基準以下となったことを条件として、上記の警告信号を発信してもよい。予備基準とは、上述した、解列処理部72が、分散電源11を系統電源10側から解列すると決定することに用いる、電力供給量を低減させた状態における系統電源10側の電圧との比較のための基準よりも電圧が高い基準である。何れの場合においても、第2警告処理部76は、系統電源10側の電圧が、パワーコンディショナ30から系統電源10側への電力供給量の変動に追従して変化するタイミングよりも早いタイミングで警告信号を発信することができ、単独運転状態となっているパワーコンディショナ30が負荷26への電力供給を停止するまでに、負荷26の動作を安全に停止したり、負荷26への電力供給源を非常用電源28に切り替えたりする時間を確保できる。
ただし、電力処理部71が電力変換部40を介して無効電力を電源経路に注入したことを条件として警告信号を発信する場合、電源経路におけるフリッカは頻繁に生じるので、警告信号を発信する頻繁が高くなることが考えられる。警告信号を発信する頻繁が高くなると、非常用電源28を起動させる頻度が高くなるので、非常用電源28を使用することによるコストが嵩んだり、非常用電源28の蓄電池を消耗したりしてしまう可能性があるので、これらの問題点を考慮して警告信号を発信する条件を調整することが好ましい。
また、例えば、電力処理部71は、予め定められた期間に複数回、分散電源11が単独運転している可能性があると検出されたことに応じて、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を変動させてもよい。換言すると、電力処理部71は、一定の期間内に、無効電力を注入することによって単独運転状態であることを疑う事象が複数回生じたら、電力供給量を変動させるようにしてもよい。これにより、パワーコンディショナ30が出力を変動させる頻度を低減させることができ、電源経路でフリッカが生じる頻度を低減させることができる。
また、例えば、以上の実施形態では、電力処理部71は、分散電源11が単独運転している可能性があると検出されたことに応じて、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を低減させるものとして説明した。これに代えて、電力処理部71は、分散電源11が単独運転している可能性があると検出されたことに応じて、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を定格電圧の範囲内で繰り返し増減させることによって、電力供給量を変動させてもよい。この場合、解列処理部72は、電力供給量を変動させた状態における系統電源10側の電圧の変化に応じて、より具体的には、繰り返し増減する電力供給量に追従して系統電源10側の電圧が繰り返し増減するか否かに応じて、分散電源11を系統電源10側から解列するか否かを判断してもよい。この場合、解列処理部72は、繰り返し増減する電力供給量に追従して系統電源10側の電圧が繰り返し増減することを条件として、分散電源11を系統電源10側から解列すると決定してもよい。なお、当該手法は、PCS出力に周期的な有効電力変動を与えておき、単独運転移行時に現れる周期的な電圧変動を検出する有効電力変動方式とは、少なくとも単独運転の疑いが検出される前からPCS出力に周期的な有効電力変動を与えない点で異なる。
なお、上記のように、電力処理部71が、分散電源11が単独運転している可能性があると検出されたことに応じて、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を定格電圧の範囲内で繰り返し増減させ、その後に分散電源11を系統電源10側から解列しないと決定された場合、電力処理部71は、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を増減させることを停止して、増減させる前の電圧供給量に戻してもよい。
また、例えば、負荷26がモータである場合、電力系統からは遮断されて分散電源11からの電力供給量が低減されたモータは、回生電力を発生させる可能性があり、系統電源10側の電圧の低下が起き難くなり、パワーコンディショナ30は分散電源11の単独運転状態を検出し難くなる可能性がある。そこで、負荷26がモータである場合には、パワーコンディショナ30は、分散電源11から系統電源10側への電力供給量を低減させると共に、モータへ、回生電力の出力を停止させる指令を出してもよい。また、この場合に、第1警告処理部75は、誤検出が発生したことを示す警告信号に、負荷26の情報、例えば負荷26がモータであることを示す情報を付与して、発信してもよい。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。