JP7135499B2 - 擦過具、分離装置、及び、樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

擦過具、分離装置、及び、樹脂フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、擦過具、当該擦過具を備えた分離装置、及び、当該擦過具を用いた樹脂フィルムの製造方法に関する。
樹脂で形成された層を備える複層フィルムから、その複層フィルムに含まれる樹脂をリサイクルしようとする場合がある。この場合、一般には、各層を分離し、目的の層に含まれる樹脂を他の層に含まれる材料とは別に回収することが求められる。多くの場合、回収したい樹脂とそれ以外の材料との間の溶媒に対する溶解性の差を利用して、目的の層に含まれる樹脂の回収が行われる(特許文献1~3)。例えば、ある溶媒に不溶な樹脂で形成された基材層と、その溶媒に可溶な材料で形成された表面層とを備えた複層フィルムからは、前記の溶媒で表面層を溶解して分離することにより、基材層に含まれる樹脂を回収することができる。
特開2013-173239号公報 特開2004-169005号公報 特開平05-200379号公報
ところが、回収したい樹脂とそれ以外の材料との間の溶媒に対する溶解性の差が小さい場合、従来の方法では、目的の層に含まれる樹脂を他の層に含まれる材料と別に回収することが難しい。そこで、本発明者は、擦過によって物理的に分離を行うことを試みた。
具体的には、本発明者は、基材層及び表面層を備えた長尺の複層フィルムを用意し、その複層フィルムの表面層を擦過した。擦過具としては、突起部を有する擦過面を外周面として有するローラー状の擦過具を用いた。ローラー状の擦過具を回転させて表面層を擦過することにより、基材層から表面層が分離されるので、基材層を含む樹脂フィルムが得られる。そこで、本発明者は、その樹脂フィルムに含まれる樹脂を回収し、リサイクルすることを試みた。
前記のような表面層の擦過を行うと、その擦過された表面層は、擦過片として分離される。この擦過片は、擦過具の擦過面に付着することがある。長期間の擦過によって、擦過片が擦過面に多く付着すると、その擦過面の突起部が擦過片で埋まる場合がある。この場合、表面層の擦過の効率が低下するので、長期間にわたって表面層の分離を続けることが難しい。
また、前記のように表面層の擦過の効率が低下すると、回収される樹脂に、表面層の材料が混入する可能性がある。このような混入は、特に、光学フィルムのリサイクルの分野において大きな課題となる。例えば、表面層が材料としてウレタン樹脂を含む場合、そのウレタン樹脂の混入は、リサイクルされた樹脂の着色を生じる可能性がある。光学フィルムでは、僅かな着色であっても当該光学フィルムの性能に対する影響が大きい。よって、前記の着色を抑制できる程度に効率的な分離ができないと、光学フィルムのリサイクルとしては、実用化は難しい。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、樹脂で形成された基材層及び表面層を備えた複層フィルムの前記表面層を、長期間にわたって擦過できる擦過具;複層フィルムの表面層を長期間にわたって分離できる分離装置;並びに、長期間にわたって、複層フィルムから表面層を分離して樹脂フィルムを製造できる製造方法;を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく、鋭意検討した。その結果、本発明者は、擦過具の擦過面から流体を流出させながら擦過を行うことにより、擦過面に対する擦過片の付着を抑制できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 樹脂で形成された基材層及び表面層を備えた複層フィルムの前記表面層を擦過するための擦過具であって、
細孔を有する多孔質部と、
前記多孔質部の表面としての、前記表面層を擦過可能な突起部を有する擦過面と、
前記多孔質部の内部に形成された中空部と、を有し、
前記細孔が、前記中空部から前記擦過面まで連通している、擦過具。
〔2〕 前記多孔質部が、円筒形を有する、〔1〕に記載の擦過具。
〔3〕 〔1〕又は〔2〕に記載の擦過具と、
樹脂で形成された基材層及び表面層を備えた複層フィルムを、前記擦過具の擦過面に前記表面層が接触するように、前記擦過具に供給できるフィルム供給部と、
前記擦過具の中空部に流体を供給できる流体供給部と、を備える、分離装置。
〔4〕 樹脂で形成された基材層及び表面層を備えた複層フィルムから、前記表面層を分離して、前記基材層を含む樹脂フィルムを得る、樹脂フィルムの製造方法であって、
前記表面層を、請求項1又は2に記載の擦過具の擦過面で擦過する工程と、
前記擦過具の中空部に、流体を供給する工程と、
供給された前記流体が、前記多孔質部の細孔を通って、前記擦過面に流出する工程と、を含む、樹脂フィルムの製造方法。
本発明によれば、樹脂で形成された基材層及び表面層を備えた複層フィルムの前記表面層を、長期間にわたって擦過できる擦過具;複層フィルムの表面層を長期間にわたって分離できる分離装置;並びに、長期間にわたって、複層フィルムから表面層を分離して樹脂フィルムを製造できる製造方法;を提供できる。
図1は、本発明の第一実施形態に係る分離装置を模式的に示す平面図である。 図2は、本発明の第一実施形態に係る分離装置を模式的に示す正面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る分離装置の擦過ローラーを、当該擦過ローラーの軸方向に平行な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。 図4は、本発明の第二実施形態に係る分離装置を模式的に示す正面図である。 図5は、本発明の第三実施形態に係る分離装置を模式的に示す正面図である。 図6は、本発明の第四実施形態に係る分離装置を模式的に示す正面図である。 図7は、一例としての複層フィルムをその厚み方向に平行な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。 図8は、別の一例としての複層フィルムをその厚み方向に平行な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。
以下、実施形態及び例示物を示して、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、幅に対して、5倍以上の長さを有するフィルムをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムをいう。長尺のフィルムの長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下としうる。
以下の説明において、「上流」及び「下流」とは、別に断らない限り、フィルムの搬送方向における上流及び下流を示す。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態に係る樹脂フィルムの製造方法を説明する。第一実施形態に係る樹脂フィルムの製造方法では、基材層及び表面層を備えた長尺の複層フィルムから、表面層を分離して、基材層を含む長尺の樹脂フィルムを得る。
図1は、本発明の第一実施形態に係る分離装置1を模式的に示す平面図である。また、図2は、本発明の第一実施形態に係る分離装置1を模式的に示す正面図である。
図1に示すように、分離装置1は、複層フィルム10の表面層を擦過できる擦過具としての擦過ローラー110と;複層フィルム10を擦過ローラー110に供給できるフィルム供給部としての供給ローラー120と;複層フィルム10と擦過ローラー110との接触圧力を調整できる圧力調整部としての押えローラー131及び132と;樹脂フィルム20を送出できるフィルム送出部としての送出ローラー140と;流体が収納された収納容器としてのタンク150と;流体を供給できる流体供給部としてのポンプ160と;流体をろ過できるろ過部としてのフィルタ170と;流体を回収できる流体回収部としての回収器180と;流体中の擦過片を分離できる擦過片分離部190と;を備える。本実施形態では、分離装置1が、供給ローラー120、押えローラー131、擦過ローラー110、押えローラー132及び送出ローラー140を、フィルム搬送路において上流からこの順に備える例を示す。
擦過ローラー110は、複層フィルム10の表面層を擦過するためのローラーであって、多孔質部111と、この多孔質部111を支持するフランジ112及び113とを備える。
多孔質部111は、当該多孔質部111の表面として、複層フィルム10の表面層を擦過可能な突起部(図示せず)を有する擦過面114を有している。通常、擦過面114は、複数の突起部及び窪み部を有する粗面として形成されていて、突起部が複層フィルム10の表面層に接触することにより、表面層の擦過が達成される。前記の粗面の粗さは、表面層の擦過が可能である範囲で任意に設定できる。例えば、厚み100nm以下程度の樹脂からなる表面層を擦過したい場合には、粗面の最大高さRzで5μm程度でありうる。本実施形態では、多孔質部111が円筒形を有しており、この多孔質部111の外側面の全体が擦過面114である例を示す。多孔質部111が円筒形を有することにより、擦過ローラー110の回転による表面層の効率的な擦過が可能である。
図3は、本発明の一実施形態に係る分離装置1の擦過ローラー110を、当該擦過ローラー110の軸方向に平行な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。図3に示すように、擦過ローラー110の多孔質部111の内部には、中空部115が形成されている。本実施形態で示す例においては、多孔質部111が円筒形を有しているので、その内部に円柱状の中空部115が形成されている。
前記の多孔質部111は、細孔を有する多孔質材料で形成されている。よって、多孔質部111は、多数の細孔(図示せず。)を有する。この細孔は、中空部115から擦過面114まで連通している。前記の多孔質材料としては、擦過面114の摩耗を抑制する観点から、複層フィルム10の表面層よりも硬度が硬い硬質材料が好ましい。このような多孔質部111は、例えば、適切な粉末状の無機材料を焼成して得られるセラミック部材として形成できるが、多孔質部111の形成方法はこれに限定されない。
フランジ112は、多孔質部111の軸方向の一端に設けられている。他方、フランジ113は、多孔質部111の軸方向の他端に設けられている。よって、多孔質部111内の中空部115は、フランジ112及び113によって蓋をされている。また、一方のフランジ112には、中空部115に流体としての水を供給できるように、導入路116が形成されている。なお、本実施形態では、フランジ112とフランジ113とが分離された例を示すが、これらのフランジ112及び113は、ローラーの構造上、分離されずに一体に設けられていてもよい。
図1及び図2に示すように、前記の擦過ローラー110は、複層フィルム10の搬送路の一側(表面層側)に、周方向に回転可能に設けられている。この擦過ローラー110には、当該擦過ローラー110を回転駆動するための駆動装置(図示せず。)が接続されている。よって、擦過ローラー110は、回転状態の擦過ローラー110の擦過面114が複層フィルム10の表面層に接触することにより、その表面層を擦過できるように設けられている。複層フィルム10の長手方向において、擦過ローラー110の回転の向きは、複層フィルム10の搬送方向A10と同じ向きでもよい。ただし、擦過ローラー110による複層フィルム10の表面層の擦過回数を増やす観点では、複層フィルム10の長手方向における擦過ローラー110の回転の向きは、図2において矢印A110で示すように、複層フィルム10の搬送方向A10と逆向きが好ましい。
擦過ローラー110は、複層フィルム10の表面層の少なくとも一部のエリアを擦過できるように設けられている。特に、擦過ローラー110は、複層フィルム10の表面層の全部のエリアを擦過できるように設けられることが好ましい。本実施形態では、図1に示すように、複層フィルム10の表面層の全部のエリアを擦過できるようにするため、複層フィルム10の幅方向全体に亘って多孔質部111が延在するように擦過ローラー110が設けられた例を示す。
供給ローラー120は、図2に示すように、周方向に回転可能に設けられている。また、この供給ローラー120には、当該供給ローラー120を回転駆動するための駆動装置(図示せず。)が接続されている。よって、供給ローラー120は、駆動装置から与えられる駆動力によって矢印A120で示すように回転し、その回転によって複層フィルム10を擦過ローラー110へと供給できるように設けられている。この際、供給ローラー120は、供給される複層フィルム10の表面層が擦過ローラー110の擦過面114(図1参照)に接触できるように、表面層を擦過ローラー110側にして複層フィルム10を供給できるように設けられている。本実施形態では、供給ローラー120が、長尺の複層フィルム10を、その長手方向に搬送することにより、擦過ローラー110へと供給可能に設けられた例を示す。
押えローラー131は、擦過ローラー110の上流に設けられたローラーであり、押えローラー132は、擦過ローラー110の下流に設けられてローラーである。これらの押えローラー131及び132は、それぞれ、複層フィルム10に対して擦過ローラー110とは反対側に回転可能に設けられている。また、押えローラー131及び132は、搬送される複層フィルム10を、擦過ローラー110とは反対側から押えることができるように設けられる。このように押えることにより、押えローラー131及び132は、複層フィルム10と擦過ローラー110との接触圧力の調整、及び、複層フィルム10と擦過ローラー110との接触長さの調整、が可能である。
送出ローラー140は、周方向に回転可能に設けられている。また、この送出ローラー140には、当該送出ローラー140を回転駆動するための駆動装置(図示せず。)が接続されている。よって、送出ローラー140は、駆動装置から与えられる駆動力によって矢印A140で示すように回転し、その回転によって樹脂フィルム20を送出できるように設けられている。本実施形態では、送出ローラー140が、長尺の樹脂フィルム20を、その長手方向に搬送することにより、送出可能に設けられた例を示す。
タンク150には、流体としての水が収納されている。また、タンク150には、タンク150内の水を擦過ローラー110の中空部115に加圧しながら供給できるように、ポンプ160が接続されている。具体的には、ポンプ160による水の供給ができるように、タンク150とポンプ160とが配管で接続され、また、ポンプ160と擦過ローラー110のフランジ112に形成された導入路116とが配管で接続されている。さらに、ポンプ160と擦過ローラー110の導入路116との間には、水をろ過できるフィルタ170が設けられている。これらのタンク150、ポンプ160及びフィルタ170により、擦過ローラー110の中空部115へ水を供給する供給系が形成される。
回収器180は、擦過ローラー110の擦過面114(図1参照)から送出される水を回収できるように、擦過ローラー110の鉛直下方に設けられた容器である。この回収器180は、回収器180で回収した水をタンク150に戻せるようにするため、配管によって前記のタンク150に接続されている。また、回収器180とタンク150との間には、タンク150へ戻される水に含まれる擦過片を分離できるフィルタ等の擦過片分離部190が設けられている。これらの回収器180及び擦過片分離部190により、タンク150へ水を回収する回収系が形成される。回収器180とタンク150との間には、回収器180からタンク150への水の送出を促進するため、必要に応じてポンプ(図示せず)を設けてもよい。
上述した分離装置1を用いることにより、基材層及び表面層を備えた複層フィルム10から表面層を分離して、基材層を含む樹脂フィルム20を得る、樹脂フィルム20の製造方法を行うことができる。この製造方法は、
複層フィルム10を用意する工程と、
用意された複層フィルム10を擦過ローラー110へ供給する工程と、
供給された複層フィルム30の表面層を、擦過ローラー110の擦過面114で擦過する工程と、
擦過ローラー110の中空部115に、流体としての水を供給する工程と、
供給された水が、擦過ローラー110の多孔質部111の細孔を通って、擦過面114に流出する工程と、を含む。
複層フィルム10としては、基材層及び表面層を備える長尺のフィルムを用意する。基材層は、回収したい樹脂で形成された層である。また、表面層は、基材層に含まれる樹脂とは異なる材料で形成された層である。通常、表面層の材料は、基材層に含まれる樹脂とは種類の異なる樹脂である。本実施形態では、基材層及び表面層を備える2層構造の複層フィルム10を用いた例を示す。
複層フィルム10を用意した後で、図1及び図2に示すように、その複層フィルム10を擦過ローラー110に供給する工程を行う。分離装置1では、矢印A120(図2参照)に示すように回転駆動される供給ローラー120によって、複層フィルム10がその長手方向に連続的に搬送される。そして、この搬送される複層フィルム10は、押えローラー131を経て、擦過ローラー110へと供給される。
複層フィルム10が擦過ローラー110に供給されると、その複層フィルム10の表面層が、擦過ローラー110の多孔質部111の外周面としての擦過面114(図1参照)に接触する。これにより、擦過面114に接触したエリアにおいて、複層フィルム10の表面層を擦過する工程が行われる。本実施形態に示す例では、図1に示すように、複層フィルム10の幅方向全体に亘って擦過ローラー110の多孔質部111が設けられている。よって、複層フィルム10の表面層の全部のエリアにおいて、表面層の擦過が行われる。
擦過ローラー110による擦過は、搬送される複層フィルム10が押えローラー131及び132によって押さえられた状態で行われる。この際、押えローラー131及び132により、複層フィルム10と擦過ローラー110との接触圧力、及び、複層フィルム10と擦過ローラー110との接触長さが調整される。前記の接触圧力及び接触長さは、表面層の適切な分離ができる範囲で、任意に設定できる。
本実施形態に示す例においては、擦過ローラー110が、図2に矢印A110で示すように、回転駆動されている。よって、擦過ローラー110による擦過回数を多くして、効率的な表面層の擦過を行うことができる。擦過ローラー110の回転数は、摩擦による樹脂フィルム20の切断、及び、擦過面114から流出する水の飛散、を抑制できる範囲で、任意に設定できる。
前記のような表面層の擦過により、通常は大部分、好ましくは全ての表面層が複層フィルム10から分離され、樹脂フィルム20が得られる。得られた樹脂フィルム20は、押えローラー132及び送出ローラー140を経て送出され、回収される。
さらに、前記のように擦過ローラー110による複層フィルム10の表面層の擦過が行われている期間に、タンク150、ポンプ160及びフィルタ170を含む供給系によって、擦過ローラー110の中空部115に水を供給する工程が行われる。具体的には、タンク150に収納された水が、ポンプ160によって、所定の圧力を加えられながら擦過ローラー110へ向けて送出される。この送出された水は、フィルタ170によってろ過された後、図3に示すフランジ112の導入路116を経て、中空部115へと供給される。
供給された水は、多孔質部111が有する細孔を通って、擦過面114に染み出るように流出する。一般に、前記の擦過は、擦過面114の突起部と複層フィルム10の表面層とのが接触する点(擦過点)が、当該表面層上を移動することによって、行われる。よって、表面層には、擦過点が移動した跡としての擦過跡が形成されて表面層の除去が達成される一方、擦過面114の突起部には、分離された表面層の一部が擦過片として付着する。前記のように擦過面114から流出する水によれば、擦過面114に付着したこの擦過片を除去できる。よって、擦過片の付着によって突起部が埋まることを抑制できるので、擦過ローラー110の擦過能力の低下を抑制できる。したがって、長期間にわたっての表面層を擦過することが可能である。
通常、擦過面114からの水の流出は、複層フィルム10と接触していない擦過面114の部位において生じるが、複層フィルム10と接触している擦過面114の部位において水の流出が生じてもよい。
また、擦過面114からの水の流出量は、ポンプ160による加圧の程度、及び、多孔質部111が有する細孔の径などの条件によって調整できる。よって、これらの条件は、表面層の擦過片の除去が円滑にできるように、適切に調整することが好ましい。
擦過ローラー110の擦過面114から流出した水は、回収器180及び擦過片分離部190を含む回収系によって、タンク150へと回収される。具体的には、擦過面114から流出した水は、擦過片と一緒に、擦過ローラー110、複層フィルム10又は樹脂フィルム20を伝って落下し、回収器180に回収される。この回収された水は、擦過片分離部190によって擦過片を分離された後、タンク150へと戻される。そして、回収された水は、再び、擦過ローラー110の中空部115への供給に用いられる。
以上のように、本実施形態に係る樹脂フィルム20の製造方法は、擦過ローラー110の擦過面114の突起部が擦過片によって埋まることを抑制できる。よって、長期間にわたっての樹脂フィルム20を製造することが可能である。
また、通常は、擦過面114から流出した水という流体の流れによって、擦過片を輸送できる。したがって、流体と一緒に擦過片を回収器180で回収できるので、擦過片の回収を円滑に行うことができる。
さらに、本実施形態では、流体として水という液体を用いている。よって、表面層の一部が分離されて生じる擦過片に液体が付着するので、擦過片の飛散を抑制できる。一般に、擦過片は粉状であり、粉塵となって飛散する傾向があるが、擦過面114から流出する液体がこの粉を湿らせるので、前記の飛散を抑制できる。
ところで、本実施形態に係る樹脂フィルム20の製造方法によれば、複層フィルム10から表面層だけでなく、基材層の一部も分離されることがありえる。適切なリサイクルの観点では、表面層の効率的な分離が達成できれば、このように基材層の一部が分離されてもよい。基材層の一部が分離される場合、樹脂フィルム20への表面層の残留を特に効果的に抑制できるので、基材層に含まれる樹脂の特に高い純度でのリサイクルが可能である。
上述した第一実施形態は、更に変更して実施してもよい。
例えば、流体としては、水以外の液体を用いてもよく、ガスを用いてもよい。
また、例えば、擦過具としての擦過ローラー110は、回転させずに固定してもよい。擦過ローラー110が固定されている場合でも、複層フィルム10が搬送されることにより、擦過ローラー110による表面層の擦過が可能である。
さらに、例えば、擦過具の形状は、ローラー状に限定されない。例えば、外側面に擦過面を有する柱状部材を擦過具として用いてもよい。具体例を挙げると、断面が半円状の柱状部材であって、側面に擦過面を有する部材を擦過具として用いてもよい。
また、例えば、分離装置1に設ける擦過ローラー110の数を、2個以上にしてもよい。
さらに、例えば、押えローラー131及び132の代わりに、当該押えローラー131及び132以外の部材によって複層フィルム10と擦過ローラー110との接触圧力の調整を行ってもよい。具体例を挙げると、擦過ローラー110と対向する位置に、複層フィルム10を擦過ローラー110とは反対側から押えることができる押え材を設け、この押え材が押える力によって複層フィルム10と擦過ローラー110との接触圧力の調整を行ってもよい。
[第二実施形態]
複層フィルムの表面層が擦過されて生じる擦過片は、飛散しやすい。第一実施形態で説明したように、擦過ローラー110の擦過面114から液体が流出する場合、その液体によって擦過片の飛散を抑制できるが、擦過片の飛散を更に効果的に抑制するために、分離装置には、擦過片の飛散を抑制できる飛散抑制部を設けてもよい。以下、その例を、第二実施形態を示して説明する。
図4は、本発明の第二実施形態に係る分離装置2を模式的に示す正面図である。この分離装置2は、図4に示すように、飛散抑制部として液体を噴射可能なノズル210を備えること以外は、第一実施形態において説明した分離装置1と同じに設けられている。よって、分離装置2は、第一実施形態で説明したのと同じ擦過ローラー110、供給ローラー120、押えローラー131及び132、送出ローラー140、タンク150、ポンプ160、フィルタ170、回収器180並びに擦過片分離部190に組み合わせて、更にノズル210を備える。このノズル210は、擦過ローラー110と複層フィルム10とが接触する範囲に水等の液体を噴射できるように設けられている。
上述した分離装置2を用いることにより、第一実施形態で説明した樹脂フィルム20の製造方法と同じように、複層フィルム10から表面層を分離して基材層を含む樹脂フィルム20を得る、樹脂フィルム20の製造方法を行うことができる。よって、第二実施形態に係る分離装置2を用いることによれば、第一実施形態で説明したのと同じ利点を得ることができる。また、第二実施形態に係る分離装置2を用いる場合、ノズル210から液体を噴射することにより、擦過によって生じる擦過片の飛散を効果的に抑制することができる。
上述した第二実施形態は、更に変更して実施してもよい。例えば、第二実施形態は、第一実施形態において説明したのと同じように変更して実施してもよい。
[第三実施形態]
前述の第二実施形態では、擦過片の飛散を抑制するための飛散抑制部として、液体を噴射可能なノズルを用いたが、飛散抑制部は、前記のノズルに限定されない。以下、ノズル以外の飛散抑制部を用いた場合の例を、第三実施形態を示して説明する。
図5は、本発明の第三実施形態に係る分離装置3を模式的に示す正面図である。この分離装置3は、図5に示すように、回収器180の代わりに流体回収部及び飛散抑制部の両方として機能できる液槽380を備えること以外は、第一実施形態において説明した分離装置1と同じに設けられている。よって、分離装置3は、第一実施形態で説明したのと同じ擦過ローラー110、供給ローラー120、押えローラー131及び132、送出ローラー140、タンク150、ポンプ160、フィルタ170、並びに擦過片分離部190に組み合わせて、更に液槽380を備える。
液槽380には、液体が溜められている。この液体として、通常は、擦過ローラー110の中空部(図5では図示せず。)に供給される液体と同じものを用いる。本実施形態では、液槽380に液体として水が溜められた例を示す。また、液槽380は、当該液槽380の水中に擦過ローラー110が位置するように設置されている。よって、液槽380は、第一実施形態で説明した回収器180と同じく、擦過ローラー110の擦過面(図5では図示せず。)から流出する水を回収できる。
さらに、液槽380は、液槽380中の水をタンク150に戻せるようにするため、配管によってタンク150に接続されている。また、液槽380とタンク150との間には擦過片分離部190が設けられている。よって、本実施形態に係る分離装置3では、液槽380及び擦過片分離部190により、タンク150へ水を回収する回収系が形成される。
上述した分離装置3を用いることにより、第一実施形態で説明した樹脂フィルム20の製造方法と同じように、複層フィルム10から表面層を分離して基材層を含む樹脂フィルム20を得る、樹脂フィルム20の製造方法を行うことができる。よって、第三実施形態に係る分離装置3を用いることによれば、第一実施形態と同じ利点を得ることができる。また、第三実施形態に係る分離装置3を用いる場合、液槽380に溜められた液体中で擦過が行われるので、擦過によって生じる擦過片の飛散を効果的に抑制することができる。
上述した第三実施形態は、更に変更して実施してもよい。例えば、第三実施形態は、第一実施形態において説明したのと同じように変更して実施してもよい。
[第四実施形態]
前述の第一実施形態から第三実施形態では、いずれも、片側にのみ表面層を有する複層フィルム10を用いた例を示したが、両側に表面層を有する複層フィルムについても、本発明を適用することが可能である。以下、その例を、第四実施形態を示して説明する。
図6は、本発明の第四実施形態に係る分離装置4を模式的に示す正面図である。この分離装置4は、図6に示すように、第一実施形態で説明したのと同じ擦過ローラー110、供給ローラー120、送出ローラー140、タンク150、ポンプ160、フィルタ170、回収器180並びに擦過片分離部190に組み合わせて、更に擦過ローラー410、ポンプ460及びフィルタ470を備える。
この分離装置4において、擦過ローラー110は、複層フィルム30の一側の表面層を擦過するための擦過具であり、適宜「第一擦過ローラー110」と呼ぶことがある。また、ポンプ160及びフィルタ170は、この第一擦過ローラー110の中空部(図6には図示せず。)に水を供給するための供給系に含まれるので、適宜「第一ポンプ160」及び「第一フィルタ170」と呼ぶことがある。これらの第一擦過ローラー110、第一ポンプ160及び第一フィルタ170は、第一実施形態で説明したのと同じく、第一擦過ローラー110の擦過面(図6には図示せず。)から水を流出させながら、複層フィルム30の一側の表面層を擦過できるように設けられている。
他方、擦過ローラー410は、複層フィルム30の他側の表面層を擦過するための擦過具であり、適宜「第二擦過ローラー410」と呼ぶことがある。また、ポンプ460及びフィルタ470は、この第二擦過ローラー410の中空部(図示せず。)に水を供給するための供給系に含まれるので、適宜「第二ポンプ460」及び「第二フィルタ470」と呼ぶことがある。
第二擦過ローラー410は、複層フィルム30の表面層のうち、第一擦過ローラー110によって擦過されるのとは反対側の表面層を擦過できるように設けられている。具体的には、第二擦過ローラー410は、第一擦過ローラー110に対向する位置に、複層フィルム30の表面層を擦過できるように設けられている。以上の事項以外は、第二擦過ローラー410は、第一擦過ローラー110と同じに設けられている。
また、第二ポンプ460及び第二フィルタ470は、第一ポンプ160及び第一フィルタ170がタンク150内の水を第一擦過ローラー110の中空部に水を供給するのと同じく、タンク150内の水を第二擦過ローラー410の中空部に供給できるように設けられている。よって、タンク150、第二ポンプ460及び第二フィルタ470により、第二擦過ローラー410の中空部へ水を供給する供給系が形成される。したがって、第二擦過ローラー410、第二ポンプ460及び第二フィルタ470は、第二擦過ローラー410の擦過面(図示せず)から水を流出させながら、複層フィルム30の他側の表面層を擦過できるように設けられている。
上述した分離装置4を用いることにより、両側に表面層を有する複層フィルム30から表面層を分離して、基材層を含む樹脂フィルム20を得る樹脂フィルム20の製造方法を行うことができる。
具体的には、本実施形態に係る樹脂フィルム20の製造方法では、基材層と、この基材層の一側に形成された表面層と、この基材層の他側に形成された表面層とを備える複層フィルム30を用意し、供給ローラー120によって第一擦過ローラー110及び第二擦過ローラー410へ供給する。第一擦過ローラー110は、複層フィルム30の一側の表面層を擦過する。他方、第二擦過ローラー410は、複層フィルム30の他側の表面層を擦過する。これにより、複層フィルム30から両方の表面層が分離されて、樹脂フィルム20が得られる。
また、これらの擦過は、第一擦過ローラー110及び第二擦過ローラー410の擦過面から水を流出させながら行われる。よって、擦過片の付着によって擦過面の突起部が埋まることを抑制できるので、長期間にわたって樹脂フィルム20を製造することが可能である。さらに、擦過面から流出した水は、回収器180で回収され、擦過片分離部190によって擦過片を分離された後で、タンク150へと戻される。
このように、第四実施形態に係る分離装置4を用いることによれば、基材層の両側に表面層を備える複層フィルム30から樹脂フィルム20を製造する場合であっても、第一実施形態と同じ利点を得ることができる。
第四実施形態に係る樹脂フィルム20の製造方法は、更に変更して実施してもよい。例えば、第四実施形態は、第一実施形態において説明したのと同じように変更して実施してもよい。
[その他の実施形態]
上述した第一実施形態から第四実施形態は、更に変更して実施してもよい。
例えば、上述した実施形態は、任意に組み合わせて実施してもよい。具体例を挙げると、第四実施形態に係る分離装置4に、第二実施形態又は第三実施形態で説明した飛散抑制部を設けてもよい。
また、一般に、複層フィルム10又は30の張力が大きい方が、擦過による表面層の分離を効果的に行うことができることが判明している。そこで、例えば、上述した分離装置1~4に、複層フィルム10又は30の張力を調整する張力調整部を設けてもよい。
[樹脂のリサイクル方法]
上述した樹脂フィルムの製造方法を用いることにより、基材層及び表面層を含む複層フィルムから、基材層に含まれる樹脂をリサイクルするリサイクル方法を実現できる。このリサイクル方法は、通常、上述した樹脂フィルムの製造方法によって、複層フィルムから表面層を分離して、基材層を含む樹脂フィルムを得る工程と;前記の樹脂フィルムに、加熱処理等の溶融処理を行って、溶融樹脂を得る工程と;溶解樹脂を成形して、再生樹脂を得る工程と;を含む。一般的には、溶融樹脂はペレット状に成形されるので、再生樹脂は、樹脂ペレットとして得られる。また、前記のリサイクル方法は、樹脂フィルムを粉砕する工程、樹脂フィルムを洗浄する工程、などの任意の工程を含んでいてもよい。
上述した樹脂フィルムの製造方法によれば、擦過具の擦過面に対する擦過片の付着を抑制できるので、複層フィルムから表面層を分離する能力の低下を抑制できる。よって、長期間にわたって、基材層に含まれていた樹脂を高い含有率で含む樹脂フィルムを得ることができる。このため、この樹脂フィルムから得られる再生樹脂は、表面層に由来する成分の混入が少ない。したがって、前記のリサイクル方法によれば、基材層に含まれていた樹脂を高い純度で含む再生樹脂を得ることができる。
前記のように純度の高い再生樹脂が得られるリサイクル方法は、特に、光学フィルムの材料としての樹脂のリサイクル方法として、特に有用である。光学フィルムは、一般に、光線透過率、ヘイズ、レターデーション、色等の光学属性において、厳しい制限がある。しかし、表面層に由来する成分が再生樹脂に混入すると、再生樹脂は前記の光学属性の制限を逸脱し易くなる。
例えば、本発明者は、厚み50μmの無色の樹脂で形成された基材層と、厚み50nm以下のポリウレタンで形成された表面層とを備える光学フィルムから、無色の樹脂をリサイクルする実験を行った。この際、表面層を擦過することで表面層の分離を行った後、樹脂のリサイクルを試みた。しかし、擦過具の擦過面に対する擦過片の付着が生じると、複層フィルムから表面層を分離する能力が低下し、得られる樹脂フィルムに僅かに表面層が残留した。そして、この残留した表面層に由来して、再生樹脂にポリウレタンが混入したため、再生樹脂が着色し、光学フィルムの材料として不適になった。
このように、表面層に由来する成分の混入は、例えその混入量が僅かでも、光学フィルムの材料としての再生樹脂が得られない原因となりうる。これに対し、上述したリサイクル方法では、そのような表面層に由来する成分の混入を効果的に抑制できるので、光学フィルムからの樹脂のリサイクルに好適である。
[複層フィルム]
図7及び図8は、それぞれ、一例としての複層フィルム10及び30をその厚み方向に平行な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。図7及び図8に示すように、複層フィルム10及び30は、基材層11並びに表面層12及び33を備える。図7に示すように、複層フィルム10は、基材層11の一側のみに表面層12を備えていてもよい。また、図8に示すように、複層フィルム30は、基材層11の両側に表面層12及び33を備えていてもよい。
基材層は、樹脂によって形成された層である。基材層に含まれる樹脂が、前述したリサイクル方法において、リサイクルする対象となる。基材層に含まれる樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂を用いる。この熱可塑性樹脂は、熱可塑性の重合体と、必要に応じて任意の成分を含みうる。重合体としては、例えば、スチレンポリマー;アクリルポリマー;ポリメチルメタクリレート等のメタクリルポリマー;ポリ塩化ビニル等のハロゲン含有ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィンポリマー;脂環式構造含有重合体;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリアミド;熱可塑性ポリウレタン;ポリエーテルスルホン;ポリスルホン;2,6-キシレノールの重合体等のポリフェニレンエーテル;二酢酸セルロース、三酢酸セルロース等のセルロースエステル類、セルロースカーバメートル類、セルロースエーテル類等のセルロース誘導体;ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等のシリコーンポリマー;ビニルポリマー;ポリイミド;ポリアリレート;などが挙げられる。また、重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び加工性に優れ、光学フィルムの材料に好適であることから、脂環式構造含有重合体が好適である。脂環式構造含有重合体は、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有する重合体であり、例えば、特開2007-057971号公報に記載のものを用いうる。
基材層は、1層を単独で含む単層構造を有していてもよく、組成の異なる複数の層を含む複層構造を有していてもよい。
表面層を分離した後に得られる樹脂フィルムの機械的強度を高めてその搬送性を良好にする観点では、基材層の厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは20μm以上である。基材層の厚みの上限は、特段の制限は無いが、好ましくは1mm以下、より好ましくは200μm以下、特に好ましくは100μm以下である。
表面層は、基材層の一側又は両側に形成された層であり、通常、複層フィルムの最外層となっている。この表面層は、基材層に含まれる樹脂とは異なる材料で形成されている。表面層に含まれる材料は、単体金属、金属化合物などのように、樹脂以外の材料であっても構わないが、通常は、樹脂である。
表面層に含まれる樹脂は、通常、重合体を含む。重合体としては、例えば、スチレンポリマー;アクリルポリマー;メタクリルポリマー;ハロゲン含有ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィンポリマー;脂環式構造含有重合体;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリアミド;熱可塑性ポリウレタン等のポリウレタン;ポリエーテルスルホン;ポリスルホン;2,6-キシレノールの重合体等のポリフェニレンエーテル;セルロースエステル類、セルロースカーバメートル類、セルロースエーテル類等のセルロース誘導体;ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等のシリコーンポリマー;ビニルポリマー;ポリエチレンイミン;等が挙げられる。また、重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、ポリウレタンが好ましい。ポリウレタンとしては、例えば、特開2015-189051号公報に記載された物を用いうる。
さらに、表面層に含まれる樹脂は、重合体以外の任意の成分を含んでいてもよい。このような任意の成分としては、例えば、耐熱安定剤、耐候安定剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、粒子等が挙げられる。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
表面層は、1層を単独で含む単層構造を有していてもよく、組成の異なる複数の層を含む複層構造を有していてもよい。
表面層の厚みは、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が特に好ましく、また、5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、1μm以下が特に好ましい。
複層フィルムは、通常、長尺のフィルムとして用意される。このような長尺の複層フィルムは、例えば、長尺の光学フィルムから切り取った端材、光学フィルムの製造途中で作成される中間フィルムから切り取った端材、等が挙げられる。
1、2、3及び4 分離装置
10及び30 複層フィルム
20 樹脂フィルム
110 擦過ローラー(第一擦過ローラー)
111 多孔質部
112及び113 フランジ
114 擦過面
115 中空部
116 導入路
120 供給ローラー
131及び132 抑えローラ―
140 送出ローラー
150 タンク
160 ポンプ(第一ポンプ)
170 フィルタ(第一フィルタ)
180 回収器
190 擦過片分離部
210 ノズル
380 液槽
410 擦過ローラー(第二擦過ローラー)
460 ポンプ(第二ポンプ)
470 フィルタ(第二フィルタ)

Claims (3)

  1. 樹脂で形成された基材層及び表面層を備えた複層フィルムの前記表面層を擦過するための擦過具であり、細孔を有する多孔質部、前記多孔質部の表面としての、前記表面層を擦過可能な突起部を有する擦過面、及び前記多孔質部の内部に形成された中空部、を有し、前記細孔が、前記中空部から前記擦過面まで連通している、擦過具と、
    前記複層フィルムを、前記擦過具の擦過面に前記表面層が接触するように、前記擦過具に供給できるフィルム供給部と、
    前記擦過具の中空部に流体を供給できる流体供給部と、
    前記流体を回収できる流体回収部及び擦過片の飛散を抑制できる飛散抑制部として機能できる液槽と、を備え
    前記液槽は、前記液槽に溜められた液体中に、前記擦過具が位置するように設置され、前記液槽の前記液体中で、前記複層フィルムの前記表面層を擦過することで、前記擦過により生じる前記擦過片の飛散を抑制し、前記流体供給部からの前記流体を回収する、分離装置。
  2. 前記多孔質部が、円筒形を有する、請求項1に記載の分離装置。
  3. 請求項1又は2に記載の分離装置を用いて、樹脂で形成された基材層及び表面層を備えた複層フィルムから、前記表面層を分離して、前記基材層を含む樹脂フィルムを得る、樹脂フィルムの製造方法であって、
    前記表面層を、前記擦過具の擦過面で擦過する工程と、
    前記擦過具の中空部に、流体を供給する工程と、
    供給された前記流体が、前記多孔質部の細孔を通って、前記擦過面に流出する工程と、を含む、樹脂フィルムの製造方法。
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