JP7135023B2 - 残渣の溶解方法および有価金属回収方法 - Google Patents
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Description
図1で例示するように、銅電解殿物を酸化浸出することで、銅電解殿物からCu(銅)を回収する。
次に、脱銅澱物に対して塩化浸出を行うことで、脱銅澱物からAg(銀)を回収する。
次に、塩化浸出後液を冷却することで、塩化浸出後液からPb(鉛)を回収する。
次に、DBC(ジブチルカルビトール)などを用いて、脱鉛後液からAu(金)を抽出する。
次に、金抽出工程後液を第1還元槽に投入し、亜硫酸ガス(SO2)などの還元性ガスを吹き込むことによって、Pt(白金)、Pd(パラジウム)などを還元析出させる。それにより、Pt、Pdなどを、第1還元滓として回収する。
第1還元滓から公知の技術によってPtおよびPdを回収する。
第1還元工程後の後液を第2還元槽に投入し、亜硫酸ガスなどの還元性ガスを吹き込むことによって、Se(セレン)などを還元析出させる。それにより、第2還元滓として、Se含有物を回収する。
次に、第2還元工程後の後液を第3還元槽に投入し、亜硫酸ガスなどの還元性ガスを吹き込むことによって、白金族金属などを還元析出させる。それにより、第3還元滓として白金族金属を回収する。
次に、第3還元滓をアルカリ浸出および硫酸浸出することで、硫酸浸出残渣が得られる。
硫酸浸出残渣には、例えば、Rh、Ru、Irなどの白金族金属が含まれている。そこで、硫酸浸出残渣から公知の技術で白金族金属を分離回収する。
第2還元工程で得られた第2還元滓に対して蒸留を行うことで、Seを回収する。残った残渣は、セレン蒸留残渣と呼ばれる。
セレン蒸留残渣にFeが多く含まれる場合には、セレン蒸留残渣からFeを選択除去する。例えば、セレン蒸留残渣におけるFeの濃度が0.3mass%以上である場合に、セレン蒸留残渣に塩酸を添加することで、Feを浸出する。白金族金属は塩酸に対してはほとんど溶解しないため、Feを選択除去することができる。Feを予め除去しておくことで、後述する第2分離工程における沈殿物へのFeの分配を低下させることができる。それにより、その後のRh、RuおよびIrの回収効率を向上させることができる。
Fe除去後のセレン蒸留残渣における白金族金属は、難溶性である。特に、白金族金属がSeと化合物を形成している場合には、王水、塩酸と過酸化水素との混合液、アルカリ液、などでは白金族金属を浸出することが困難である。そこで、本実施形態においては、セレン蒸留残渣に対して塩酸(HCl)でリパルプし、その後に次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を添加することで浸出を行う。このようにすることで、白金族金属を浸出することができる。
次に、白金族浸出工程の浸出後液に対して亜硫酸ガス(SO2)を吹き込むか、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)を添加する。それにより、PtおよびPdが還元されて沈殿する。固液分離によって、PtおよびPdを分離することができる。亜硫酸ガスの吹き込み量は、浸出後液1Lに対して0.1L/min~1.0L/minの比率とすることが好ましい。亜硫酸ナトリウムを過剰に添加するとRh、RuおよびIrも還元されて沈殿してしまうため、亜硫酸ナトリウムの添加量は、主としてPtおよびPdが沈殿するような量であることが好ましい。例えば、PtおよびPdに対する当量が0.5~2.0の範囲で亜硫酸ナトリウムを添加することが好ましい。浸出後液の温度は、50℃~80℃であることが好ましい。
次に、第1分離工程PtおよびPdが分離された後の浸出後液に亜硫酸ナトリウムを添加するか、水酸化ナトリウム(NaOH)などのアルカリを添加する。それにより、Rh、RuおよびIrが還元されて沈殿する。固液分離によって、Rh、RuおよびIrを分離することができる。Rh、RuおよびIrに対する当量が0.5~5.0の範囲で亜硫酸ナトリウムを添加することが好ましい。液のpHが3.0以上となるようにアルカリを添加することが好ましい。反応効率向上の観点から、浸出後液の温度は、30℃~80℃であることが好ましい。
まず、一部のセレン蒸留残渣に対して塩酸浸出を行った。結果を表2に示す。表2に示すように、Feの浸出率が98%となり、白金族金属はほとんど溶解しなかった。この結果から、塩酸浸出を行うことで、Feを選択除去できることがわかった。
比較例では、塩酸および次亜塩素酸ナトリウムではなく、塩酸および過酸化水素(60%液)を一定速度で添加した。
Claims (10)
- 白金族金属の1種以上と、Seとを含む残渣に対して塩酸でリパルプした後に次亜塩素酸ナトリウムを添加することで前記白金族金属を浸出する白金族浸出工程を含むことを特徴とする残渣の溶解方法。
- 前記残渣は、白金族金属の1種以上とSeとの化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の残渣の溶解方法。
- 前記白金族浸出工程において、浸出完了時のpHが1.0以下となるようにpHを調整することを特徴とする請求項1または2に記載の残渣の溶解方法。
- 前記残渣は、Feを0.3mass%以上含み、
前記白金族浸出工程前に、塩酸で前記Feを除去する除去工程を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の残渣の溶解方法。 - 前記残渣は、銅電解殿物から発生する残渣であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の残渣の溶解方法。
- 前記残渣は、銅電解殿物に対して蒸留処理を行った後の残渣であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の残渣の溶解方法。
- 前記残渣は、銅電解殿物を処理したものを第1還元槽に投入して還元性ガスを吹き込むことによってPtおよびPdを還元析出させた後の後液を第2還元槽に投入して還元性ガスを吹き込むことによって還元析出させたSe含有物を蒸留した後の残渣であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の残渣の溶解方法。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載の残渣の溶解方法において、前記残渣は、PtおよびPdのいずれか1種以上を含み、
前記白金族浸出工程の後液にSO2を吹き込むか、前記後液に亜硫酸ナトリウムを添加することで、PtおよびPdのいずれか1種以上を沈殿させて回収する工程を含むことを特徴とする有価金属回収方法。 - 請求項1~7のいずれか一項に記載の残渣の溶解方法において、前記残渣は、Rh、RuおよびIrのいずれか1種以上を含み、
前記白金族浸出工程の後液に亜硫酸ナトリウムを添加するか、アルカリを添加して中和することで、Rh、RuおよびIrのいずれか1種以上を沈殿させて回収する工程を含むことを特徴とする有価金属回収方法。 - 前記残渣は、PtおよびPdのいずれか1種以上と、Rh、RuおよびIrのいずれか1種以上とを含み、
前記白金族浸出工程の後液に、前記白金族浸出工程の後液にSO2を吹き込むか前記後液に亜硫酸ナトリウムを添加することでPtおよびPdのいずれか1種以上を沈殿分離した後に、前記後液に亜硫酸ナトリウムを添加するかアルカリを添加して中和することでRh、RuおよびIrのいずれか1種以上を沈殿分離することを特徴とする請求項9記載の有価金属回収方法。
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