JP7134758B2 - 貨幣処理装置 - Google Patents

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本発明は、少なくとも硬貨の入出金等の処理を行う貨幣処理装置に関する。
銀行等の金融機関で用いられる貨幣処理装置の一つとして、窓口カウンタにて業務を行う2人のテラーの間に設置され、左右何れのテラーからも使用可能な貨幣処理装置が知られている。このような貨幣処理装置が、たとえば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の貨幣処理装置は、左右一対の出金ボックスを備えている。左右のテラーは、それぞれ、装置内部の搬送部によって各出金ボックスに搬出された硬貨をこれらの出金ボックスから取り出すことができる。
特開2012-027555号公報
上述の貨幣処理装置では、各テラーによって投入された硬貨を計数する処理が行われる。この場合、たとえば、識別部によって金種が識別された正常な硬貨は、装置内部の一時保留部へと搬送され、その他の異常な硬貨は、処理を行うテラー側の出金ボックスに搬送される。テラーが出金ボックスから異常な硬貨を回収すると、一時保留部から正常な硬貨が出金ボックスに搬送される。その後、テラーは、出金ボックスから正常な硬貨を回収する。
このような処理が行われる場合、テラーは、異常な硬貨を出金ボックスから回収した後、一時保留部から出金ボックスに正常な硬貨が搬送されるのを待って、正常な硬貨を出金ボックスから回収する必要がある。このため、全ての硬貨を回収するのに長時間を要するとの問題が生じる。
かかる課題に鑑み、本発明は、硬貨の計数処理において、計数対象の硬貨と計数対象外の硬貨を迅速かつ円滑に回収することが可能な貨幣処理装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、左右の操作者の間に配置され、各操作者からそれぞれ貨幣の入出金等の処理を行うことが可能な貨幣処理装置に関する。本態様に係る貨幣処理装置は、前記硬貨を投入するための硬貨入金口と、硬貨を取り出し可能な第1および第2の硬貨出金部と、前記硬貨入金口に投入された前記硬貨を搬送するための搬送部と、前記搬送部により搬送される前記硬貨を前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部に振り分ける振り分け部と、前記硬貨を識別するための識別部と、制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記硬貨入金口に投入された前記硬貨を計数する処理において、前記識別部により計数対象と識別された第1の種別の前記硬貨を前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部のうち処理を占有する操作者側の一方の硬貨出金部に振り分け、前記識別部により計数対象外と識別された第2の種別の前記硬貨を前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部のうち他方の硬貨出金部に振り分ける。
本態様に係る貨幣処理装置によれば、計数対象の硬貨が第1の硬貨出金部および第2の硬貨出金部の一方に振り分けられ、計数対象外の硬貨は第1の硬貨出金部および第2の硬貨出金部の他方に振り分けられる。このため、操作者は、計数処理の終了後に、そのまま、各硬貨出金部にアクセスすることで、計数対象の硬貨と計数対象外の硬貨を速やかに且つ円滑に回収できる。また、計数処理においてより多くの硬貨が搬送される硬貨出金部を、処理を占有する操作者側の硬貨出金部に設定することにより、操作者は、硬貨の回収をより簡便に行うことができる。よって、装置の利便性を高めることができる。
前記硬貨を計数する処理が、たとえば、全ての金種について硬貨を計数する単純計数処理である場合、前記第1の種別の硬貨は計数対象として識別された任意の金種の硬貨とされ、前記第2の種別の硬貨は計数対象として識別され得なかった硬貨とされ得る。
こうすると、操作者は、金種が識別された正常な硬貨とそれ以外の硬貨とを、各硬貨出金部から個別に円滑に取り出すことができる。
また、前記硬貨を計数する処理が、指定された金種について硬貨を計数する整理計数処理である場合、前記第1の種別の硬貨は計数対象として識別された指定金種の硬貨とされ、前記第2の種別の硬貨は計数対象として識別され得なかった硬貨とされ得る。
こうすると、操作者は、指定された金種の正常な硬貨と、それ以外の硬貨とを、各硬貨出金部から個別に円滑に取り出すことができる。
また、前記整理計数処理において、前記指定された金種について所定の枚数ずつ硬貨を出金する処理が行われる場合、前記制御部は、前記指定された金種について前記所定の枚数の硬貨が前記一方の硬貨出金部に搬送されると、前記指定された金種の前記硬貨の搬送先を、前記一方の硬貨出金部から前記硬貨入金口へと切り替えるよう構成され得る。
こうすると、操作者は、一方の硬貨出金部から所定の枚数ずつ指定金種の硬貨を回収できる。また、指定金種の硬貨が所定の枚数だけ一方の硬貨出金部に収容された後は、指定金種の硬貨が硬貨入金口へと自動で戻されて再度整理計数の対象に含められるため、一方の硬貨出金部から硬貨が回収された後、整理計数処理を円滑に再開させることができる。
本態様に係る貨幣処理装置において、前記制御部は、前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部の少なくとも一方において前記硬貨の収容枚数が予め決められた最大収容枚数に到達した場合、前記搬送部による前記硬貨の搬送を停止させるよう構成され得る。
こうすると、過度の枚数の硬貨が硬貨出金部に収容されて硬貨の回収が困難になることを回避できる。
この場合、前記制御部は、前記硬貨の収容枚数が最大収容枚数に到達した前記硬貨出金部を前記操作者に報知する処理を実行することが好ましい。
こうすると、操作者は、硬貨出金部において硬貨の収容枚数が最大収容枚数に到達したことをより確実に知ることができ、当該硬貨出金部から硬貨を回収する作業を円滑かつ適切に進めることができる。
本態様に係る貨幣処理装置において、前記第1の硬貨出金部と前記第2の硬貨出金部は、同等の容量を有するように構成され得る。
こうすると、各硬貨出金部を同等の条件で処理に用いることができる。
本発明の第2の態様は、左右の操作者の間に配置され、各操作者からそれぞれ貨幣の入出金等の処理を行うことが可能な貨幣処理装置に関する。本態様に係る貨幣処理装置は、前記硬貨を投入するための硬貨入金口と、硬貨を取り出し可能な第1および第2の硬貨出金部と、前記硬貨入金口に投入された前記硬貨を搬送するための搬送部と、前記搬送部により搬送される前記硬貨を前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部に振り分ける振り分け部と、前記硬貨を識別するための識別部と、制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記硬貨投入口に投入された前記硬貨を計数する処理において、前記識別部により計数対象と識別された第1の種別の前記硬貨を前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部の一方に振り分け、前記識別部により計数対象外と識別された第2の種別の前記硬貨を前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部の他方に振り分け、前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部のうち、前記第1の種別の前記硬貨の振分先の硬貨出金部および前記第2の種別の前記硬貨の振分先の硬貨出金部を報知する処理を実行する。
本態様に係る貨幣処理装置は、前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部にそれぞれ対応して配置されたランプを備え、前記制御部は、前記第1の種別の前記硬貨の抜取り工程において前記第1の種別の前記硬貨の振分先の硬貨出金部の前記ランプを動作させ、前記第2の種別の前記硬貨の抜取り工程において前記第2の種別の前記硬貨の振分先の硬貨出金部の前記ランプを動作させるよう構成され得る。
以上のとおり、本発明によれば、硬貨の計数処理において、計数対象の硬貨と計数対象外の硬貨を迅速かつ円滑に回収することが可能な貨幣処理装置を提供することができる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
図1は、実施形態に係る貨幣入出金機の構成を示す斜視図である。 図2は、実施形態に係る硬貨入出金ユニットの構成を示す図である。 図3は、実施形態に係る貨幣入出金機の構成を示すブロック図である。 図4(a)は、実施形態に係る、硬貨の単純計数処理における計数硬貨の搬送経路を模式的に示す図である。図4(b)は、実施形態に係る、硬貨の単純計数処理におけるリジェクト硬貨の搬送経路を模式的に示す図である。 図5(a)~(f)は、それぞれ、実施形態に係る、硬貨の単純計数処理における画面の遷移を示す図である。 図6(a)~(f)は、それぞれ、実施形態に係る、硬貨の単純計数処理における画面の遷移を示す図である。 図7(a)、(b)は、それぞれ、実施形態に係る、硬貨の単純計数処理においてリジェクト硬貨用の硬貨出金ボックスがフルになった場合の画面の遷移を示す図である。 図8は、実施形態に係る、硬貨の単純計数処理における処理を示すフローチャートである。 図9(a)は、実施形態に係る、リジェクト硬貨抜取り処理を示すフローチャートである。図9(b)は、実施形態に係る、計数硬貨抜取り処理を示すフローチャートである。 図10(a)は、実施形態に係る、硬貨の単純計数処理において計数硬貨用の硬貨出金ボックスがフルになった場合の処理を示すフローチャートである。図10(b)は、実施形態に係る、硬貨の単純計数処理においてリジェクト硬貨用の硬貨出金ボックスがフルになった場合の処理を示すフローチャートである。 図11(a)は、実施形態に係る、硬貨の整理計数処理における指定金種の硬貨の搬送経路を模式的に示す図である。図11(b)は、実施形態に係る、硬貨の整理計数処理における指定金種以外の金種の硬貨およびリジェクト硬貨の搬送経路を模式的に示す図である。 図12は、実施形態に係る、硬貨の整理計数処理における硬貨の搬送処理を示すフローチャートである。 図13(a)~(f)は、それぞれ、実施形態に係る、硬貨の整理計数処理における画面の遷移を示す図である。 図14は、実施形態の変更例に係る、2つの硬貨出金ボックスを計数対象の硬貨用の硬貨と計数対象外の硬貨の何れの搬送先として用いるかを設定する処理を示すフローチャートである。 図15(a)、(b)は、それぞれ、実施形態に係る、硬貨の回収計数処理における硬貨の搬送経路を模式的に示す図である。 図16は、実施形態に係る、硬貨の回収計数処理における硬貨の搬送先を設定するための処理を示すフローチャートである。 図17(a)は、実施形態に係る、硬貨の回収計数処理における処理を示すフローチャートである。図17(b)は、実施形態に係る、硬貨抜取り処理を示すフローチャートである。 図18(a)は、実施形態に係る、1処理ごとの電子ジャーナルログのメイン画面を示す図である。図18(b)~(g)は、実施形態に係る、1計数ごとの電子ジャーナルログの詳細画面を示す図である。 図19(a)、(b)は、変更例1に係る、計数硬貨およびリジェクト硬貨の搬送経路を模式的に示す図である。 図20は、変更例2に係る、占有ボタン付近の構成を模式的に示す上面図である。 図21(a)は、変更例3に係る貨幣入出金機の硬貨入金口付近の構成を示す斜視図である。また、図21(b)は、図21(a)の構成を左右方向に垂直な平面で切断した断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、貨幣を計数する機能と、貨幣を入金および出金する機能とを備えた貨幣入出金機が、貨幣処理装置の一例として示されている。なお、各図には適宜、貨幣入出金機の上下、左右および前後を示す矢印が付されている。
図1は、貨幣入出金機1の構成を示す斜視図である。図2は、貨幣入出金機1に搭載された硬貨入出金ユニット12を上方から見た構成を模式的に示す図である。
貨幣入出金機1は、銀行等の金融機関における窓口カウンタの内側で窓口業務を行う2人のテラー(操作者)の間に設置される。貨幣入出金機1は、各テラーによって操作される上位端末2に通信ケーブル3を介して接続されている。
貨幣入出金機1は、外郭を構成する外装体10内に、紙幣入出金ユニット11と硬貨入出金ユニット12とを備える。紙幣入出金ユニット11は、外装体10内の下側に設けられ、紙幣の入金処理、出金処理等を行う。硬貨入出金ユニット12は、外装体10内の上側に設けられ、硬貨の入金処理、出金処理等を行う。
図1に示すように、外装体10は、左右方向の横幅よりも前後方向の奥行が長く、上下方向の高さが左右方向の横幅よりも高いほぼ直方体形状を有する。外装体10は、本体10aと、本体10aの前上部に設けられた外装カバー10bと、本体10aの前面に設けられた扉10cとを備える。たとえば、外装カバー10bは樹脂材料で形成され、本体10aおよび扉10cは金属材料で形成される。
外装カバー10bには、上面に硬貨入金口13が形成され、前面に紙幣出金口14が形成され、上面から前面にかけて湾曲する湾曲面に紙幣入金口15が形成される。これら硬貨入金口13、紙幣出金口14および紙幣入金口15は、それぞれ、シャッター13a、14a、15aにより開閉される。
また、外装カバー10bの下部の左右方向の両端には、それぞれ、硬貨出金ボックス16a、16bが設置されている。これら硬貨出金ボックス16a、16bは、前方へ引き出して取り外すことができる。硬貨出金ボックス16a、16bは、後述するロック機構によって装着位置にロックされる。2つの硬貨出金ボックス16a、16bは、互いに同じ形状(左右対称)で、且つ、同等の容量を有している。これら2つの硬貨出金ボックス16a、16bは、硬貨を取り出すための第1および第2の硬貨出金部を構成する。
外装カバー10bの後部には、操作表示部17が設けられている。操作表示部17は、前方斜め上方を向くように外装カバー10bに固定されている。操作表示部17は、ディスプレイとタッチセンサとからなるタッチパネルで構成される。操作表示部17は、ディスプレイに各種の画像(画面)を表示するとともに、ディスプレイに対するユーザのタッチ操作をタッチセンサにより検出する。
外装カバー10bの上面における硬貨入金口13の両側の領域には、4つの占有キー18が設けられる。4つの占有キー18は、それぞれ、左側および右側の操作者が貨幣入出金機1の紙幣に係る取引処理の占有を指示するために操作される占有キー18a、18bと、それぞれ、左側および右側のテラーが貨幣入出金機1の硬貨に係る取引処理の占有を指示するために操作される占有キー18c、18dとからなっている。また、硬貨処理用の占有キー18c、18dは、後述のように、単純計数処理や整理計数処理等における指示入力にも用いられる。占有キー18a~18dは、それぞれ、所定の発光色で点灯可能に構成されている。
さらに、外装カバー10bの前面には、硬貨出金ボックス16a、16bの直上位置にそれぞれランプ19a、19bが設けられている。ランプ19a、19bは、たとえば、LEDにより構成される。また、硬貨出金ボックス16a、16bが装着される領域の下方には、それぞれ、硬貨出金ボックス16a、16bに硬貨が収容されているか否かを検出するための硬貨検出センサ(図1には図示せず)が配置されている。これらの硬貨検出センサは、たとえば、磁気センサや金属センサによって構成される。さらに、硬貨出金ボックス16a、16bの着脱を検出するセンサ(図示せず)が配置されている。
図2に示すように、硬貨入出金ユニット12は、硬貨受け入れ部101と、6つの硬貨収納部102と、一括保留部103と、を備える。
硬貨受け入れ部101は、硬貨入金口13の下方に配置され、硬貨入金口13に投入された硬貨を受け入れる。硬貨入金口13に投入された硬貨は、硬貨受け入れ部101に落下する。6つの硬貨収納部102は、それぞれ、金種ごとに硬貨を収納する。たとえば、6つの硬貨収納部102は、硬貨入出金ユニット12の前側から順番に、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨を収納する。一括保留部103は、入出金処理や、硬貨収納部102に収納された硬貨を回収する処理等において、硬貨を一時的に収納するためのものである。
さらに、硬貨入出金ユニット12は、硬貨受け入れ部101に対応づけられた硬貨繰出機構104と、6つの硬貨収納部102にそれぞれ対応づけられた硬貨繰出機構105と、一括保留部103に対応づけられた硬貨繰出機構106と、搬送部107と、識別部108と、を備えている。
硬貨繰出機構104は、硬貨受け入れ部101に受け入れられた硬貨を、1枚ずつ搬送部107に繰り出す。6つの硬貨繰出機構105は、それぞれ、対応する硬貨収納部102に収納されている硬貨を、1枚ずつ搬送部107に繰り出す。硬貨繰出機構106は、一括保留部103に収納されている硬貨を、1枚ずつ搬送部107に繰り出す。
搬送部107は、時計回りの方向に循環移動を行う循環ベルト107aを備えている。この循環ベルト107aには、複数の突起部分(図示せず)が等間隔で設けられている。循環ベルト107aに設けられた各突起部分に硬貨が引っかかることにより、循環ベルト107aの循環移動に伴って、硬貨が1枚ずつ搬送される。こうして、上記各繰出機構により繰り出された硬貨が、循環ベルト107aの循環経路に沿って搬送される。
識別部108は、硬貨の搬送経路上に設けられ、搬送部107によって1枚ずつ搬送される硬貨の金種および真偽等を識別する。識別部108における硬貨の識別情報は、後述する制御部201に送信される。
さらに、硬貨入出金ユニット12は、一括保留部103に対応づけられた分岐機構109と、6つの硬貨収納部102にそれぞれ対応づけられた分岐機構110と、硬貨入金口13に対応づけられた分岐機構111と、硬貨出金ボックス16aに対応付けられた分岐機構112と、を備えている。
分岐機構109は、搬送部107によって搬送される硬貨を選択的に搬送部107から分岐させて一括保留部103に送る。6つの分岐機構110は、それぞれ、搬送部107によって搬送される硬貨を選択的に搬送部107から分岐させて、対応する硬貨収納部102に送る。分岐機構111は、搬送部107により搬送される硬貨を選択的に搬送部107から分岐させて、硬貨を硬貨入金口13(硬貨受け入れ部101)に移送する移送部(図示せず)に送る。分岐機構112は、搬送部107により搬送される硬貨を選択的に搬送部107から分岐させて硬貨出金ボックス16aに送る。分岐機構112で分岐されなかった硬貨は、全て、搬送部107によって硬貨出金ボックス16bに送られる。
図3は、貨幣入出金機1の構成を示すブロック図である。図3には、硬貨入出金ユニット12に関する主要な構成が示されており、紙幣入出金ユニット11に関する各部の構成は省略されている。
図3に示すように、貨幣入出金機1は、上述の紙幣入出金ユニット11、操作表示部17、占有キー18、ランプ19a、19b、シャッター13a、14a、15a、硬貨繰出機構104、105、106、搬送部107、識別部108および分岐機構109、110、111、112の他、制御部201、記憶部202、通信部203、硬貨検出センサ204、ロック機構205および音声出力部206を備えている。
制御部201は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備え、記憶部202に記憶された動作プログラムに従って各部を制御する。記憶部202は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部201の動作プログラムを記憶し、また、制御部201の制御処理の際にワーク領域として利用される。通信部203は、上位端末2との間で通信を行う。
硬貨検出センサ204は、上記のとおり、硬貨出金ボックス16a、16bが装着される領域の下方に配置され、硬貨出金ボックス16a、16bに硬貨が収容されているか否かを検出する。硬貨検出センサ204は、たとえば、磁気センサや金属センサによって構成される。ロック機構205は、硬貨出金ボックス16a、16bを装着位置においてロックする。音声出力部206は、スピーカを備え、制御部201からの制御に従って、所定の音声を出力する。
さて、貨幣入出金機1の左右両側にいる操作者(テラー)は、貨幣入出金機1を使用して入金処理、出金処理、計数処理などの取引処理を行うことができる。計数処理には、貨幣(紙幣、硬貨)の枚数を単純に計数する単純計数処理と、貨幣の枚数を計数するとともに同じ金種の貨幣を所定枚数単位にまとめる整理計数処理とが含まれる。各操作者は、貨幣入出金機1に対して、貨幣入出金機1の処理を占有する操作(占有操作)を行った後に、操作表示部17上で所定の操作を行って自身の取引処理を実行する。
なお、取引処理が入金処理または出金処理である場合には、占有操作がなされる前あるいはなされた後に、上位端末2において金額等の入力を含む入金操作または出金操作が行われる。入金操作または出金操作に基づいて、上位端末2から貨幣入出金機1へ入金コマンドまたは出金コマンドが送信される。
また、取引処理が計数処理である場合には、占有操作がなされた後に、操作表示部17上で単純計数処理または整理計数処理の何れを行うかの選択が行われる。この選択は、上位端末2でも行うことができ、この場合は、単純計数コマンドまたは整理計数コマンドが、上位端末2から貨幣入出金機1へ送信される。
なお、2つの上位端末2は、それぞれ、貨幣入出金機1を挟む左右の操作者の配備位置と対応付けられている。すなわち、貨幣入出金機1には、貨幣入出金機1の右側の配備位置に対して一方の上位端末2を対応付け、貨幣入出金機1の左側の配備位置に対して他方の上位端末2を対応付ける設定がなされている。各テラーは、自身の配備位置に対応付けられた上位端末2から上記コマンドを送信するための入力を行う。上記コマンドの送信において、各上位端末2は、自身の識別情報を付してコマンドを送信する。コマンドを受信した貨幣入出金機1は、識別情報をもとに、受信したコマンドが何れの配備位置の処理に供されるものであるかを識別する。
次に、硬貨入出金ユニット12における硬貨の処理動作について説明する。
<入出金処理>
まず、図2を参照して、硬貨の入出処理および出金処理について説明する。
硬貨の入金処理において、操作者は、操作表示部17等に対して入金のための入力を行った後、硬貨入金口13から入金対象の硬貨を投入する。投入された硬貨は、硬貨受け入れ部101に受け入れられ、硬貨繰出機構104によって1枚ずつ搬送部107に繰り出される。繰り出された硬貨は、搬送部107によって識別部108に搬送される。識別部108により正常な硬貨と識別された硬貨は、分岐機構109によって一括保留部103に送られる。識別部108により正常な硬貨と識別され得なかった硬貨(リジェクト硬貨)は、2つの硬貨出金ボックス16a、16bのうち操作者側の硬貨出金ボックスに送られる。
操作者は、対応する硬貨出金ボックスからリジェクト硬貨を取り出す。その後、操作者が、操作表示部17等に対して確定処理を行うと、一括保留部103から硬貨が1枚ずつ繰り出されて、再び、識別部108に搬送される。識別部108において、各硬貨の金種が識別される。その後、硬貨は、分岐機構110によって、識別結果に応じた金種の硬貨収納部102に送られる。こうして、金種ごとに、硬貨が硬貨収納部102に収納される。
硬貨の出金処理において、操作者は、操作表示部17等に対して、出金のための入力を行う。これに応じて、出金対象の金種に対応する硬貨収納部102から搬送部107に硬貨が1枚ずつ繰り出される。繰り出された硬貨は、搬送部107によって識別部108に搬送される。このとき、識別部108により正常な硬貨と識別され得なかった硬貨(リジェクト硬貨)は、分岐機構109によって一括保留部103に送られる。識別部108により正常な硬貨と識別された硬貨は、2つの硬貨出金ボックス16a、16bのうち操作者側の硬貨出金ボックスに送られる。操作者は、対応する硬貨出金ボックスから、出金された硬貨を取り出す。こうして、硬貨の出金処理が終了する。
<単純計数処理>
図4(a)、(b)を参照して、単純計数処理における硬貨の搬送方法について説明する。「単純計数処理」とは、投入された硬貨に対し、全ての金種について金種ごとに計数する処理のことである。以下では、識別部108により計数対象として識別された硬貨(第1の種別の硬貨)のことを「計数硬貨」と称し、識別部108により計数対象として識別され得なかった硬貨(第2の種別の硬貨)のことを「リジェクト硬貨」と称する。計数硬貨は、識別部によって何れかの金種に対応し、且つ、破損のない正常な硬貨であると判定された硬貨である。また、リジェクト硬貨には、金種が識別され得なかった硬貨と、金種は識別されたが破損が生じている異常な硬貨(損貨)が含まれる。
本実施形態では、左右何れの操作者が処理を占有しているかに拘わらず、右側の硬貨出金ボックス16aに計数硬貨が収容され、左側の硬貨出金ボックス16bにリジェクト硬貨が収容される。
図4(a)は、計数硬貨の搬送経路を模式的に示す図であり、図4(b)は、リジェクト硬貨の搬送経路を模式的に示す図である。
単純計数処理において、操作者は、操作表示部17に対して単純計数処理のための入力を行った後、硬貨入金口13から計数対象の硬貨を投入する。投入された硬貨は、硬貨受け入れ部101に受け入れられ、硬貨繰出機構104によって1枚ずつ搬送部107に繰り出される。繰り出された硬貨は、搬送部107によって識別部108に搬送される。
識別部108により計数硬貨と識別された硬貨は、図4(a)に示すように、分岐機構112によって、右側の硬貨出金ボックス16aに送られる。一方、識別部108により計数硬貨と識別され得なかった硬貨、すなわち、リジェクト硬貨は、分岐機構112を通過して、左側の硬貨出金ボックス16bに送られる。このとき、各硬貨出金ボックス16a、16bは、ロック機構205によってロックされている。計数動作が終了すると、各硬貨出金ボックス16a、16bのロック状態が解除され、操作者は、右側の硬貨出金ボックス16aから計数硬貨を回収し、左側の硬貨出金ボックス16bからリジェクト硬貨を回収する。こうして、単純計数処理が終了する。
次に、単純計数処理において操作表示部17に表示される画面について説明する。
図5(a)~図7(b)は、単純計数処理における画面の遷移を示す図である。以下に示す画面の表示処理は、図3に示した制御部201が操作表示部17を制御することによって行われる。
操作者は、図5(a)に示す初期画面D11において、枚数計数処理を指定するボタンB11にタッチする。これにより、図5(b)に示す画面D12が表示される。画面D12には、単純計数処理を選択するためのボタンB12と、整理計数処理を選択するためのボタンB13と、画面を1ステップ前の画面に戻すためのボタンB14と、モード選択を促すためのメッセージM11が含まれている。
単純計数処理を行う場合、操作者は、画面D12中のボタンB12にタッチする。これにより、図5(c)に示す画面D13が表示される。画面D13では、ボタンB12が選択状態にあることが、たとえば、ハイライト表示や反転表示等によって示されている。また、ボタンB13が、グレイアウトされて無効化されている。さらに、単純計数処理を紙幣と硬貨の何れで行うかを選択するためのボタンB15、B16が、選択可能に有効化されている。また、紙幣と硬貨の何れかを選択して占有キーを押下することを促すメッセージM12が含まれている。
硬貨の単純計数処理を行う場合、操作者は、画面D13中のボタンB16にタッチする。これにより、図5(d)に示す画面D14が表示される。画面D14では、ボタンB16が選択状態にあることが、たとえば、ハイライト表示や反転表示等によって示されている。その後、操作者は、画面D14中のメッセージM12に従って、硬貨処理の占有キー18c、18dの何れか一方を押下する。なお、図5(c)の画面D13においてボタンB16がタッチされたことに基づいて、硬貨処理の占有キー18c、18dが点滅されてもよい。これにより、操作者は、次に占有キー18c、18dを押すべきことを、より円滑に把握できる。
こうして操作者が占有キー18c、18dの何れかを押下すると、図5(e)に示す画面D15が表示される。このとき同時に、制御部201は、硬貨入金口13のシャッター13aを開放する制御を行う。
画面D15には、硬貨の計数結果を金種別に表示するための表示欄C11と、紙幣の計数結果を金種別に表示するための表示欄C12と、計数の合計値を表示するための表示欄C13と、表示を切り替えるためのボタンB15と、単純計数処理を終了させるためのボタンB16とが含まれている。表示欄C11には、硬貨出金ボックス16aに送り出された計数硬貨の計数値が累計金額によって表示される。操作者がボタンB15にタッチすると、表示欄C11に表示される各金種の計数値が、金額表示から枚数表示に切り替えられる。
この状態において、操作者は、シャッター13aが開放された状態の硬貨入金口13に計数対象の全ての硬貨を投入する。その後、操作者は、硬貨処理の占有キー18c、18dの何れか一方を押下する。これにより、シャッター13aが閉じられて、硬貨の計数が開始される。これに応じて、画面が、図5(f)の画面D16に切り替わる。画面D16では、図5(e)の画面D15に比べてボタンB16が省略されている。また、画面D16には、処理が進行中であることを報知するためのメッセージM13が含まれている。なお、図5(f)には、ある程度硬貨の計数が進んだ状態の画面D16が示されている。
なお、硬貨入金口13に硬貨が投入されたことに基づいて、硬貨処理の占有キー18c、18dが点滅されてもよい。これにより、操作者は、次に占有キー18c、18dを押すべきことを、より円滑に把握できる。
こうして、投入された硬貨の計数が開始されると、図4(a)を参照して説明したとおり、計数処理が進むに伴い、右側の硬貨出金ボックス16aに計数硬貨が溜まっていき、左側の硬貨出金ボックス16aにはリジェクト硬貨が溜まっていく。このとき、硬貨出金ボックス16a、16bに過度の枚数の硬貨が送り込まれると、たとえば、硬貨出金ボックス16a、16bを貨幣入出金機1から抜き取ることが困難となり、これら硬貨出金ボックスに対する硬貨の抜き取りを円滑に進められなくなってしまう。
そこで、本実施形態では、硬貨出金ボックス16a、16bに送り込まれた硬貨の枚数が、予め決められた最大収容枚数に到達した場合に、制御部201によって、搬送部107による硬貨の搬送を停止させて、硬貨出金ボックス16a、16bにさらに硬貨を送り込むことを防ぐための制御が行われる。ここで、最大収容枚数は、500円硬貨の場合、たとえば、50枚に設定される。最大収容枚数は、金種ごとに設定されればよい。
硬貨の計数処理が実行されている間に、たとえば、硬貨出金ボックス16aに送り込まれた計数硬貨の枚数が最大収容枚数に到達すると、図6(a)に示す画面D17が表示される。画面D17には、硬貨出金ボックス16aに収納された計数硬貨を抜き取ることを促すメッセージM14が含まれている。このとき同時に、制御部201は、硬貨出金ボックス16aのロック機構205を解除するとともに、その上方に配置されたランプ19aを点滅させる。これにより、操作者は、より円滑に、硬貨出金ボックス16aに対する計数硬貨の抜き取りを進めることができる。こうして、操作者により、硬貨出金ボックス16aから計数硬貨が抜き取られて、硬貨出金ボックス16aが再セットされると、制御部201は、搬送部107による硬貨の搬送を再開させる。これにより、硬貨の計数処理が再開される。
また、硬貨の計数処理が実行されている間に、たとえば、硬貨出金ボックス16bに送り込まれたリジェクト硬貨の枚数が最大収容枚数に到達すると、図7(a)に示す画面D22が表示される。画面D22には、硬貨出金ボックス16bに収納されたリジェクト硬貨を抜き取ること、および、硬貨処理を占有するための占有キー18c、18dを押下することを促すメッセージM19が含まれている。画面D22の表示とともに、制御部201は、占有キー18c、18dを点滅させる制御を行う。
メッセージM19に従って、操作者が、占有キー18c、18dの何れか一方を押下すると、図7(b)に示す画面D23が表示される。画面D23には、硬貨出金ボックス16bに収容されているリジェクト硬貨を抜き取ることを促すメッセージM20が含まれている。画面D23の表示と同時に、制御部201は、硬貨出金ボックス16bのロック機構205を解除するとともに、その上方に配置されたランプ19bを点滅させる。これにより、操作者は、より円滑に、硬貨出金ボックス16bに対するリジェクト硬貨の抜き取りを進めることができる。こうして、操作者により、硬貨出金ボックス16bからリジェクト硬貨が抜き取られて、硬貨出金ボックス16bが再セットされると、制御部201は、搬送部107による硬貨の搬送を再開させる。これにより、硬貨の計数処理が再開される。
なお、上記のように、リジェクト硬貨を硬貨出金ボックス16bから抜き取る場合には、計数硬貨を硬貨出金ボックス16bから抜き取る場合と異なり、硬貨の抜き取りを行う前に、占有キー18c、18dを押下する作業が操作者に要求される。操作者は、このような作業を行うことにより、硬貨出金ボックス16bから抜き取る硬貨が、計数硬貨ではなくリジェクト硬貨であることを、より明確に認識することができる。
こうして、投入された全ての硬貨の繰り出しおよび搬送が終了すると、図6(b)に示す画面D18または図6(d)に示す画面D20が表示される。すなわち、全ての硬貨の繰り出しおよび搬送が終了した際に、硬貨出金ボックス16bにリジェクト硬貨が収納されている場合は図6(b)の画面D18が表示され、硬貨出金ボックス16bにリジェクト硬貨が収納されていない場合は図6(d)の画面D20が表示される。なお、全ての硬貨の繰り出しおよび搬送が終了するまでに硬貨出金ボックス16a、16bの何れもフルにならなかった場合は、図6(a)および図7(a)、(b)の画面を経ることなく、図6(b)の画面D18または図6(d)の画面D20が表示される。
図6(b)の画面D18には、硬貨出金ボックス16bに収納されたリジェクト硬貨を抜き取ること、および、硬貨処理を占有するための占有キー18c、18dを押下することを促すメッセージM15が含まれている。画面D18の表示とともに、制御部201は、占有キー18c、18dを点滅させる制御を行う。操作者は、メッセージM15に従って、占有キー18c、18dの何れか一方を押下する。この作業により、操作者は、硬貨出金ボックス16bから抜き取る硬貨がリジェクト硬貨であることを、より明確に認識することができる。
こうして、操作者が、占有キー18c、18dの何れかを押下すると、図6(c)に示す画面D19が表示される。画面D19には、硬貨出金ボックス16bに収容されているリジェクト硬貨を抜き取ることを促すメッセージM16が含まれている。画面D19の表示と同時に、制御部201は、硬貨出金ボックス16bのロック機構205を解除するとともに、その上方に配置されたランプ19bを点滅させる。これにより、操作者は、より円滑に、硬貨出金ボックス16bに対するリジェクト硬貨の抜き取りを進めることができる。
操作者が、硬貨出金ボックス16bからリジェクト硬貨を抜き取ると、図6(d)の画面D20が表示される。画面D20には、計数処理を終了させるためのボタンB16と、金額の確認および終了ボタンの押下を促すメッセージM17が含まれている。画面D20の表示とともに、制御部201は、占有キー18c、18dを点滅させる制御を行う。計数処理を終了させる場合、操作者は、ボタンB16にタッチする。他方、硬貨出金ボックス16bから抜き取ったリジェクト硬貨を再度、計数処理に供する場合、操作者は、占有キー18c、18dの何れかを押下する。
占有キー18c、18dが押下された場合、図5(e)の画面D15が表示され、シャッター13aが開放される。このとき、画面D15には、それまでに計数された各金種の計数値が表示欄C11に表示される。操作者が、リジェクト硬貨を硬貨入金口13に投入した後、占有キー18c、18dを押下すると、投入されたリジェクト硬貨に対する計数処理が実行され、随時、表示欄C11の計数値が更新される。その後、図5(f)以降の画面に応じた処理が再度実行される。
図6(d)の画面D20において、操作者がボタンB16にタッチすると、図6(e)に示す画面D21または図6(f)に示す初期画面D11が表示される。すなわち、硬貨出金ボックス16aに計数硬貨が収納されている場合は、図6(e)の画面D21が表示され、硬貨出金ボックス16aに計数硬貨が収納されていない場合は、図6(f)の初期画面D11が表示される。画面D21の表示に伴い、制御部201は、計数硬貨を収納する硬貨出金ボックス16aのロック機構205を解除するとともに、その上方に配置されたランプ19aを点滅させる。
画面D21には、硬貨出金ボックス16aに収納されている計数硬貨を抜き取ることを促すメッセージM18が含まれている。メッセージM18に従い、操作者が、硬貨出金ボックス16aに収納されている計数硬貨を抜き取って、硬貨出金ボックス16aを再セットすると、図6(f)に示す初期画面D11が表示される。これにより、単純計数処理が終了する。
次に、単純計数処理における制御について、図8~図10(b)を参照して説明する。
図8は、硬貨の単純計数処理におけるメイン処理を示すフローチャートである。
図5(e)の画面D15が表示された後、操作者が硬貨入金口13に硬貨を投入して占有キー18c、18dの何れかを押下すると、制御部201は、硬貨受け入れ部101に受け入れられた硬貨を1枚ずつ搬送部107に繰り出して(S101)、計数硬貨の計数を開始する(S102)。
具体的には、制御部201は、搬送部107によって搬送された硬貨が計数硬貨であるかリジェクト硬貨であるかを識別部108の識別結果に基づき識別する。そして、制御部201は、当該硬貨が計数硬貨である場合に、当該硬貨を硬貨出金ボックス16aに搬送して、当該硬貨に対する計数結果を更新する(S103)。これにより、図5(f)に示した画面D16の表示欄C11が更新される。他方、当該硬貨がリジェクト硬貨である場合、制御部201は、計数値を更新することなく、当該硬貨を硬貨出金ボックス16bに搬送する。
制御部201は、硬貨受け入れ部101に受け入れられた全ての硬貨が繰り出されるまで(S104)、ステップS101~S103の処理を継続する。そして、全ての硬貨が繰り出されると(S104:YES)、制御部201は、硬貨出金ボックス16bにリジェクト硬貨が収納されている否かを判定する(S105)。硬貨出金ボックス16bにリジェクト硬貨が収納されていない場合(S105:NO)、制御部201は、処理をステップS108に進めて、図6(d)に示した画面D20を表示させる。他方、硬貨出金ボックス16bにリジェクト硬貨が収納されている場合(S105:YES)、制御部201は、処理をステップS106に進めて、リジェクト硬貨抜取り処理を実行する。
図9(a)は、リジェクト硬貨抜取り処理を示すフローチャートである。便宜上、図9(a)では、リジェクト硬貨を収容するための硬貨出金ボックス16bがリジェクトボックスと記載されている。
制御部201は、リジェクト硬貨抜取りフラグを0に設定するとともに、硬貨処理占有のための占有キー18c、18dを点滅させる(S201)。このとき、制御部201は、図6(b)に示した画面D18を表示させる。操作者により占有キー18c、18dの何れかが押下されると(S202:YES)、制御部201は、占有キー18c、18dを消灯させ(S203)、リジェクト硬貨を収納する硬貨出金ボックス16bのランプ19bを点滅させる(S204)。
このとき同時に、制御部201は、硬貨出金ボックス16bに対するロックを解除する。さらに、制御部201は、図6(c)に示した画面D19を表示させる。この画面D19には、リジェクト硬貨の抜取りを促すメッセージM16が含まれている。これとともに、制御部201は、硬貨出金ボックス16bにリジェクト硬貨が収納されていることを操作者に報知するための音声を、音声出力部206に出力させてもよい。
その後、硬貨出金ボックス16bが着脱されたことを検出すると(S205:YES)、制御部201は、装着された硬貨出金ボックス16bにリジェクト硬貨が残存しているか否かを、硬貨検出センサ204からの出力により判定する(S206)。リジェクト硬貨が残存している場合(S206:YES)、制御部201は、処理をS205に戻して、リジェクト硬貨の抜取りを待つ。他方、リジェクト硬貨が残存していない場合(S206:NO)、制御部201は、ランプ19bを消灯し(S207)、リジェクト硬貨抜取りフラグを1に設定する(S208)。これにより、リジェクト硬貨抜取り処理が終了する。
図8に戻り、制御部201は、リジェクト硬貨の抜取りが完了したか否かを判定する(S107)。具体的には、制御部201は、リジェクト硬貨抜取りフラグが1に設定されたか否かを判定する。リジェクト硬貨の抜取りが完了すると(S107:YES)、制御部201は、図6(d)に示した画面D20を表示させる。
この画面D20に対して終了指示が入力されない場合、すなわち、操作者が、硬貨処理占有のための占有キー18c、18dの何れかを押下すると(S109:NO)、制御部201は、処理をS101に戻して、硬貨の単純計数処理を継続する。他方、画面D20に対して終了指示が入力された場合、すなわち、画面D20中のボタンB16がタッチされた場合(S109:YES)、制御部201は、硬貨出金ボックス16aに計数硬貨が収納されているか否かを判定する(S110)。
硬貨出金ボックス16aに計数硬貨が収納されていない場合(S110:NO)、制御部201は、画面を、図5(a)に示した初期画面D11に戻して単純計数処理を終了する。他方、硬貨出金ボックス16aに計数硬貨が収納されている場合(S110:YES)、制御部201は、計数硬貨抜取り処理を実行する(S111)。
図9(b)、計数硬貨抜取り処理を示すフローチャートである。便宜上、図9(b)では、計数硬貨を収容するための硬貨出金ボックス16aが出金ボックスと記載されている。
制御部201は、計数硬貨抜取りフラグを0に設定するとともに、計数硬貨を収納する硬貨出金ボックス16aのランプ19aを点滅させる(S301)。このとき同時に、制御部201は、硬貨出金ボックス16aに対するロックを解除する。また、制御部201は、図6(e)に示した画面D21を表示させる。この画面D21には、計数硬貨の抜取りを促すメッセージM18が含まれている。これとともに、制御部201は、硬貨出金ボックス16aに計数硬貨が収納されていることを操作者に報知するための音声を、音声出力部206に出力させてもよい。
その後、硬貨出金ボックス16aが着脱されたことを検出すると(S302:YES)、制御部201は、装着された硬貨出金ボックス16aに計数硬貨が残存しているか否かを、硬貨検出センサ204からの出力により判定する(S303)。ここで、計数硬貨が残存している場合(S303:YES)、制御部201は、処理をS302に戻して、計数硬貨の抜取りを待つ。他方、計数硬貨が残存していない場合(S303:NO)、制御部201は、ランプ19aを消灯し(S304)、計数硬貨抜取りフラグを1に設定する(S305)。これにより、計数硬貨抜取り処理が終了する。
図8に戻り、制御部201は、計数硬貨の抜取りが完了したか否かを判定する(S112)。具体的には、制御部201は、計数硬貨抜取りフラグが1に設定されたか否かを判定する。計数硬貨の抜取りが完了すると(S112:YES)、制御部201は、図5(a)に示した初期画面D11を表示させて、処理を終了する。こうして、単純計数処理が終了する。
図10(a)は、硬貨の単純計数処理の実行中に計数硬貨用の硬貨出金ボックス16aがフルになった場合の処理を示すフローチャートである。便宜上、図10(a)では、計数硬貨を収容するための硬貨出金ボックス16aが出金ボックスと記載されている。制御部201は、図10(a)の処理を、図8に示した処理と並行して実行する。
硬貨出金ボックス16aに収容された計数硬貨の枚数が予め決められた最大収容枚数に到達すると(S401:YES)、制御部201は、硬貨受け入れ部101に対する硬貨の繰り出しおよび硬貨の搬送を中断し(S402)、硬貨出金ボックス16aのランプ19aを点滅させる(S403)。このとき同時に、制御部201は、硬貨出金ボックス16aに対するロックを解除する。また、制御部201は、図6(a)に示した画面D17を表示させる。この画面D17には、計数硬貨の抜取りを促すメッセージM14が含まれている。これとともに、制御部201は、硬貨出金ボックス16aに計数硬貨が収納されていることを操作者に報知するための音声を、音声出力部206に出力させてもよい。
その後、硬貨出金ボックス16aが着脱されたことを検出すると(S404:YES)、制御部201は、装着された硬貨出金ボックス16aに計数硬貨が残存しているか否かを、硬貨検出センサ204からの出力により判定する(S405)。ここで、計数硬貨が残存している場合(S405:YES)、制御部201は、処理をS404に戻して、計数硬貨の抜取りを待つ。他方、計数硬貨が残存していない場合(S405:NO)、制御部201は、ランプ19aを消灯し(S406)、硬貨出金ボックス16aの収容枚数をゼロにリセットする(S407)。また、制御部201は、硬貨受け入れ部101に対する硬貨の繰り出しおよび硬貨の搬送を再開させる(S408)。その後、制御部201は、処理をステップS401に戻して、硬貨出金ボックス16aの収容枚数が最大収容枚数に到達したか否かを監視する。
図10(b)は、硬貨の単純計数処理の実行中に、リジェクト硬貨用の硬貨出金ボックス16bがフルになった場合の処理を示すフローチャートである。便宜上、図10(b)では、リジェクト硬貨を収容するための硬貨出金ボックス16bがリジェクトボックスと記載されている。制御部201は、図10(b)の処理を、図8に示した処理と並行して実行する。
硬貨出金ボックス16bに収容されたリジェクト硬貨の枚数が予め決められた最大収容枚数に到達すると(S501:YES)、制御部201は、硬貨受け入れ部101に対する硬貨の繰り出しおよび硬貨の搬送を中断し(S502)、硬貨処理占有用の占有キー18c、18dを点滅させる(S503)。さらに、制御部201は、図7(a)に示した画面D22を表示させる。操作者により占有キー18c、18dの何れかが押下されると(S504:YES)、制御部201は、占有キー18c、18dを消灯させ(S505)、リジェクト硬貨を収納する硬貨出金ボックス16bのランプ19bを点滅させる(S506)。
このとき同時に、制御部201は、硬貨出金ボックス16bに対するロックを解除する。さらに、制御部201は、図7(b)に示した画面D23を表示させる。この画面D23には、リジェクト硬貨の抜取りを促すメッセージM20が含まれている。これとともに、制御部201は、硬貨出金ボックス16bにリジェクト硬貨が収納されていることを操作者に報知するための音声を、音声出力部206に出力させてもよい。
その後、硬貨出金ボックス16bが着脱されたことを検出すると(S507:YES)、制御部201は、装着された硬貨出金ボックス16bにリジェクト硬貨が残存しているか否かを、硬貨検出センサ204からの出力により判定する(S508)。リジェクト硬貨が残存している場合(S508:YES)、制御部201は、処理をS507に戻して、リジェクト硬貨の抜取りを待つ。他方、リジェクト硬貨が残存していない場合(S507:NO)、制御部201は、ランプ19bを消灯し(S509)、硬貨出金ボックス16bの収容枚数をゼロにリセットする(S510)。また、制御部201は、硬貨受け入れ部101に対する硬貨の繰り出しおよび硬貨の搬送を再開させる(S511)。その後、制御部201は、処理をステップS501に戻して、硬貨出金ボックス16bの収容枚数が最大収容枚数に到達したか否かを監視する。
<整理計数処理>
図11を参照して、整理計数処理における硬貨の搬送方法について説明する。「整理計数処理」とは、投入された硬貨に対し、指定された金種について所定枚数ずつ計数を行う処理のことである。以下では、識別部108により計数対象として識別された指定金種の硬貨(第1の種別の硬貨)のことを「計数硬貨」と称し、識別部108により計数対象として識別され得なかった硬貨(第2の種別の硬貨)のことを「リジェクト硬貨」と称する。計数硬貨は、識別部108によって指定金種に対応し、且つ、破損のない正常な硬貨であると判定された硬貨である。また、リジェクト硬貨には、指定金種以外の金種の硬貨と、金種が識別され得なかった硬貨と、指定金種として識別されたが破損が生じている異常な硬貨(損貨)とが含まれる。
本実施形態では、左右何れの操作者が処理を占有しているかに拘わらず、右側の硬貨出金ボックス16aに計数硬貨が収容され、左側の硬貨出金ボックス16bにリジェクト硬貨が収容される。
図11(a)は、計数硬貨の搬送経路を模式的に示す図であり、図11(b)は、リジェクト硬貨の搬送経路を模式的に示す図である。
図11(b)に示すように、リジェクト硬貨の搬送経路は、図4(b)の場合と同様である。すなわち、整理計数処理では、識別部108においてリジェクト硬貨と判別される硬貨の種類が、上記のように、単純計数処理と異なるものの、判別されたリジェクト硬貨は、上記単純計数処理の場合と同様、左側の硬貨出金ボックス16bへと搬送される。
図11(a)に示すように、計数硬貨の搬送経路は、硬貨出金ボックス16aと硬貨受け入れ部101との間で切り替えられる。すなわち、整理計数処理においては、指定金種(1金種)の硬貨(計数硬貨)が所定枚数(以下、「バッチ枚数」という)ずつ計数される。ここで、硬貨出金ボックス16aに収容された硬貨の枚数がバッチ枚数に到達するまでの間は、計数硬貨が硬貨出金ボックス16aに搬送され、硬貨出金ボックス16aに収容された硬貨の枚数がバッチ枚数に到達すると、硬貨の繰り出しが中止されて、搬送部107に残っている計数硬貨が、分岐機構111によって、硬貨受け入れ部101に戻される。そして、操作者が、硬貨出金ボックス16aから計数硬貨を回収した後、硬貨出金ボックス16aを再装着すると、硬貨の繰り出しが再開されて、計数硬貨の搬送および計数が再開される。これにより、計数硬貨が再装着された硬貨出金ボックス16aに搬出される。以下、硬貨受け入れ部101に受け入れられた全ての硬貨に対する処理が終了するまで、同様の処理が実行される。
図12は、整理計数処理における硬貨の搬送処理を示すフローチャートである。便宜上、図12では、計数硬貨を収容するための硬貨出金ボックス16aが出金ボックスと記載され、リジェクト硬貨を収容するための硬貨出金ボックス16bがリジェクトボックスと記載されている。
識別部108によって識別された硬貨が計数硬貨である場合(S601:YES)、制御部201は、硬貨出金ボックス16aに収容されている計数硬貨の枚数がバッチ枚数に到達しているか否かを判定する(S602)。ここで、硬貨出金ボックス16aに収容されている計数硬貨の枚数がバッチ枚数に到達していない場合(S602:NO)、制御部201は、当該硬貨を硬貨出金ボックス16aに搬送し(S603)、硬貨出金ボックス16aに収容されている計数硬貨の枚数がバッチ枚数に到達している場合(S602:YES)、制御部201は、当該硬貨を硬貨入金口13に搬送する(S604)。硬貨出金ボックス16aから計数硬貨が抜き取られると、硬貨出金ボックス16aに収容されている計数硬貨の枚数がゼロにリセットされる。
識別部108によって識別された硬貨がリジェクト硬貨である場合(S601:NO)、制御部201は、当該硬貨を硬貨出金ボックス16bへと搬送する(S605)。制御部201は、以上の処理を、投入された全ての硬貨の繰り出しが終了するまで実行する(S606)。
図13(a)~(f)は、それぞれ、硬貨の整理計数処理における画面の遷移を示す図である。図13(a)~(f)には、硬貨の計数が開始された後の画面が示されている。硬貨の計数が開始されるまでの画面の遷移は、図5(a)~(f)と同様である。但し、整理計数処理では、図5(c)の画面において整理計数を指定するボタンが操作者によりタッチされ、図5(d)の画面において、整理計数のボタンに対応づけられた硬貨のボタンが操作者によりタッチされる。計数対象の金種およびバッチ枚数は、上位端末2を介して指定される。
硬貨出金ボックス16aに収容された硬貨の枚数がバッチ枚数(ここでは50枚)に到達すると、図13(a)に示す画面D31が表示される。画面D31には、硬貨の計数結果を金種別に表示するための表示欄C21と、紙幣の計数結果を金種別に表示するための表示欄C22と、計数の合計値を表示するための表示欄C23と、表示を切り替えるためのボタンB21と、計数硬貨の抜取りを促すメッセージM21と、が含まれている。
このとき同時に、制御部201は、硬貨出金ボックス16aのロック機構205を解除するとともに、その上方に配置されたランプ19aを点滅させる。また、制御部201は、搬送部107に対する硬貨の繰り出しを中止し、搬送部107に残っている計数硬貨を硬貨入金口13に戻して、搬送部107を停止させる。操作者が、硬貨出金ボックス16aから計数硬貨を抜き取った後、硬貨出金ボックス16aを再セットすると、制御部201は、搬送部107による硬貨の搬送を再開させる。これにより、硬貨の計数処理が再開される。
整理計数処理の実行中に硬貨出金ボックス16bに収容されたリジェクト硬貨の枚数が最大収容枚数に到達すると、搬送部107が停止され、図7(a)と同様の画面が表示される。この場合、操作者は、図7(a)の画面D22に応じた操作、すなわち、占有キー18c、18dの何れかを押下する操作を行う。これにより、図7(b)と同様の画面が表示される。このとき同時に、硬貨出金ボックス16bのロック機構205が解除されるとともに、その上方に配置されたランプ19bが点滅する。操作者は、硬貨出金ボックス16bからリジェクト硬貨を抜き取った後、硬貨出金ボックス16bを再セットする。これにより、搬送部107による硬貨の搬送が再開される。
投入された全ての硬貨に対する処理が終了すると、図13(b)の画面D32または図13(d)の画面D34が表示される。すなわち、全ての硬貨の処理が終了した際に、硬貨出金ボックス16bにリジェクト硬貨が収容されていれば、図13(b)の画面D32が表示され、硬貨出金ボックス16bにリジェクト硬貨が収容されていなければ、図13(d)の画面D34が表示される。
画面D32には、硬貨出金ボックス16bに収納されたリジェクト硬貨を抜き取ること、および、硬貨処理を占有するための占有キー18c、18dを押下することを促すメッセージM22が含まれている。操作者が占有キー18c、18dの何れかを押下すると、図13(c)の画面D33が表示される。画面D33には、リジェクト硬貨の抜取りを促すメッセージM23が含まれている。このとき同時に、制御部201は、硬貨出金ボックス16bのロック機構205を解除するとともに、その上方に配置されたランプ19bを点滅させる。操作者が、硬貨出金ボックス16bからリジェクト硬貨を抜き取ると、図13(d)の画面D34が表示される。
画面D34には、計数処理を終了させるボタンB22と、金額の確認を促すメッセージM24とが含まれている。画面D34は、図6(d)に示した画面D20と同様である。操作者は、画面D20の場合と同様の操作を行い得る。操作者が、画面D34において、ボタンB22にタッチすると、図13(e)の画面D35または図5(a)に示した初期画面D11が表示される。すなわち、硬貨出金ボックス16aにバッチ枚数に満たない端数の計数硬貨が収容されている場合、図13(e)の画面D35が表示され、硬貨出金ボックス16aに端数の計数硬貨が収容されていない場合、図5(a)に示した初期画面D11が表示される。
画面D35には、硬貨出金ボックス16aに収納された計数硬貨がバッチ枚数に到達していないこと、および、硬貨処理を占有するための占有キー18c、18dを押下することを促すメッセージM25が含まれている。このメッセージM25が表示されることにより、硬貨出金ボックス16aに収納された計数硬貨がバッチ枚数に到達していないことを明確に把握できる。また、計数硬貨の取り出しに占有キー18c、18dの押下を要求することにより、操作者は、これから回収する計数硬貨の枚数がバッチ枚数に到達していないことをより確実に把握できる。
操作者が占有キー18c、18dの何れかを押下すると、図13(f)の画面D36が表示される。画面D36には、計数硬貨の抜取りを促すメッセージM26が含まれている。このとき同時に、制御部201は、硬貨出金ボックス16aのロック機構205を解除するとともに、その上方に配置されたランプ19aを点滅させる。操作者が、硬貨出金ボックス16aから端数の計数硬貨を抜き取ると、整理計数処理が終了し、図5(a)の初期画面D11が表示される。
なお、整理計数処理においては、図8~図10(b)と同様の処理が、制御部201により実行される。但し、整理計数処理においては、計数硬貨が指定金種の正常な硬貨に置き換えられ、リジェクト硬貨が計数硬貨以外の硬貨に置き換えられる。また、図9(b)のステップS301の前に、図9(a)のステップS201~S203の処理が追加されて、バッチ枚数に満たない端数の計数硬貨の取り出しに、占有キー18c、18dの押下が要求される。さらに、図10(a)のステップS401の判定が、硬貨出金ボックス16aに収容された計数硬貨の枚数がバッチ枚数に到達したか否かの判定に置き換えられる。
なお、整理計数処理においても、単純計数処理と同様、処理を占有する操作者が右側の操作者であるか左側の操作者であるかに拘わらず、右側の硬貨出金ボックス16aが計数硬貨の搬送先に設定され、左側の硬貨出金ボックス16bがリジェクト硬貨の搬送先に設定されている。これに限らず、単純計数処理および整理計数処理において、左側の硬貨出金ボックス16bが計数硬貨の搬送先に設定され、右側の硬貨出金ボックス16aがリジェクト硬貨の搬送先に設定されてもよく、あるいは、計数硬貨およびリジェクト硬貨の搬送先を、硬貨出金ボックス16a、16bの何れに設定するかを、操作者が予め設定できるようにしてもよい。
あるいは、図14に示すように、硬貨出金ボックス16a、16bのうち処理を占有するテラー側の硬貨出金ボックスに計数硬貨を振り分け、他方の硬貨出金ボックスにリジェクト硬貨を振り分けるようにしてもよい。すなわち、硬貨の処理が右側の操作者に占有されている場合(S121:YES)、制御部201は、右側の硬貨出金ボックス16aを計数硬貨の搬送先に設定し(S122)、左側の硬貨出金ボックス16bをリジェクト硬貨の搬送先に設定する(S123)。また、硬貨の処理が左側の操作者に占有されている場合(S121:NO)、制御部201は、左側の硬貨出金ボックス16bを計数硬貨の搬送先に設定し(S124)、右側の硬貨出金ボックス16aをリジェクト硬貨の搬送先に設定する(S125)。
このように、計数処理においてより多くの硬貨が搬送され得る硬貨出金ボックスを、処理を占有する操作者側の硬貨出金ボックスに設定することにより、操作者は、計数硬貨の回収をより簡便に行うことができる。よって、貨幣入出金機1の利便性を高めることができる。
<回収計数処理>
次に、硬貨収納部102から所定枚数の硬貨を回収する処理について説明する。
図15(a)、(b)は、それぞれ、回収計数処理における硬貨の搬送経路を模式的に示す図である。図15(a)には、硬貨入出金ユニット12の最も前側の硬貨収納部102から所定枚数の硬貨を回収する際の搬送経路が示されている。回収すべき硬貨の金種および回収枚数は、上位端末2を介して指定される。
図15(a)に示すように、最も前側の硬貨収納部102から繰り出された硬貨は、搬送部107によって識別部108に搬送される。識別部108によって正常な硬貨であると識別された硬貨は、右側の硬貨出金ボックス16aに搬送される。識別部108によって異常な硬貨であると識別された硬貨は、一括保留部103に搬送される。やがて、右側の硬貨出金ボックス16aに収容された硬貨の枚数が最大収容枚数に到達すると、図15(b)に示すように、正常な硬貨の搬送先が左側の硬貨出金ボックス16bに切り替えられる。このとき、右側の硬貨出金ボックス16aのロック機構205が解除される。操作者は、右側の硬貨出金ボックス16aから硬貨を回収して、硬貨出金ボックス16aを再セットする。
その後、左側の硬貨出金ボックス16bに収容された硬貨の枚数が最大収容枚数に到達すると、正常な硬貨の搬送先が右側の硬貨出金ボックス16aに切り替えられる。こうして、正常な硬貨の搬送先が左右の硬貨出金ボックス16a、16b間で切り替えられながら、指定枚数の硬貨が搬出される。指定枚数の硬貨の回収が終了すると、一括保留部103に収納されている異常な硬貨が一括保留部103から繰り出されて、再度、識別部108に搬送される。その後、異常な硬貨は、識別部108で識別された金種に対応する硬貨収納部102に戻される。これにより、硬貨の回収計数処理が終了する。
図16は、硬貨の回収計数処理における正常な硬貨の搬送先を硬貨出金ボックス16a、16bの何れか一方に設定するための処理を示すフローチャートである。
まず、制御部201は、正常な硬貨の最初の搬送先を、硬貨出金ボックス16a、16bの何れか一方にデフォルトで設定する(S701)。次に、制御部201は、搬送対象の硬貨が正常な硬貨か否かを判定する(S702)。ここで、対象硬貨が正常な硬貨でない場合(S702:NO)、制御部201は、処理をステップS707に進める。他方、対象硬貨が正常な硬貨である場合(S703:YES)、制御部201は、現在の搬送先がフルか否か、すなわち、現在搬送先に設定されている硬貨出金ボックスに最大収容枚数の硬貨が収容されたか否かを判定する(S703)。現在の搬送先がフルでない場合(S703:NO)、制御部201は、現在の搬送先を正常な硬貨の搬送先として維持する(S704)。
現在の搬送先がフルである場合(S703:YES)、制御部201は、現在の搬送先でない他方の硬貨出金ボックスが空であるか否かを判定する(S705)。他方の硬貨出金ボックスが空である場合(S705:YES)、制御部201は、他方の硬貨出金ボックスを正常な硬貨の搬送先に切り替える(S706)。また、他方の硬貨出金ボックスが空でない場合(S705:NO)、制御部201は、正常な硬貨の搬送先を維持する(S704)。なお、ステップS705の判定がNOの場合、制御部201は、硬貨収納部102からの硬貨の繰り出しを中断し、搬送部107の動作を停止させる。
その後、たとえば、他方の硬貨出金ボックスから硬貨が回収されて他方の硬貨出金ボックスが空になると(S703:YES、S705:YES)、制御部201は、他方の硬貨出金ボックスを搬送先に切り替える(S706)。このとき、同時に、制御部201は、硬貨収納部102からの硬貨の繰り出しを再開させ、搬送部107を動作させる。制御部201は、以上の処理を、正常な硬貨が指定枚数計数されるまで繰り返す(S707)。こうして、図15(a)、(b)を参照して説明した搬送先の切り替えが行われる。
図17(a)は、硬貨の回収計数処理における処理を示すフローチャートである。
回数計数処理が開始されると(S801:YES)、制御部201は、硬貨の処理を占有するための占有キー18c、18dを点灯させる(S802)。処理の継続中に何れかの硬貨出金ボックス16a、16bがフルになると(S803:YES)、制御部201は、硬貨抜取り処理を実行する(S804)。
図17(b)は、硬貨抜取り処理を示すフローチャートである。
制御部201は、ランプ19a、19bのうち、フルになった硬貨出金ボックスの上方に配置されたランプを点滅させる(S901)。このとき同時に、制御部201は、フルになった硬貨出金ボックスに対するロックを解除する。また、制御部201は、フルになった硬貨出金ボックスを操作者に報知するための画面を操作表示部17に表示させ、あるいは、報知音を音声出力部206に出力させてもよい。
その後、フルになった硬貨出金ボックスが着脱されたことを検出すると(S902:YES)、制御部201は、当該硬貨出金ボックスに硬貨が残存しているか否かを判定する(S903)。硬貨が残存している場合(S903:NO)、制御部201は、処理をS902に戻して、硬貨の抜取りを待つ。他方、硬貨が残存していない場合(S903:YES)、制御部201は、ステップS901で点滅させたランプを消灯させる(S904)。これにより、硬貨抜取り処理が終了する。
図17(a)に戻り、硬貨抜取り処理(S804)が終了すると、制御部201は、指定枚数の硬貨が搬出されたか否かを判定する(S805)。指定枚数の硬貨が搬出されていない場合(S805:NO)、制御部201は、処理をステップS803に戻して、ステップS803以降の処理を繰り返す。指定枚数の硬貨が搬出された場合(S805:YES)、制御部201は、硬貨を収容している硬貨出金ボックスについて、硬貨抜取り処理を実行する(S806)。ステップS806で行われる硬貨抜取り処理は、図17(b)と同様である。硬貨出金ボックス16a、16bの何れにも硬貨が収容されていない場合、制御部201は、ステップS806をスキップする。その後、制御部201は、占有キー18c、18dを消灯する(S807)。こうして、回収計数処理が終了する。
図15(a)~図17(b)に示した回収計数処理によれば、左右の硬貨出金ボックス16a、16bに順番に硬貨が搬出されるため、操作者は、円滑かつ速やかに硬貨を回収することができる。
また、図17(a)の処理によれば、回収計数処理が継続されている間、占有キー18c、18dが点灯するため、操作者は、占有キー18c、18dを参照することにより、回収計数処理が継続中か否かを明確に把握できる。
さらに、図17(b)に示した硬貨抜取り処理によれば、硬貨を抜き取るべき硬貨出金ボックスのランプが点滅するため、操作者は、硬貨出金ボックスに硬貨が収容されていることを把握でき、硬貨の抜き忘れを防ぐことができる。さらに、報知音や報知画面を出力させることにより、硬貨の抜き忘れをより確実に防ぐことができる。
なお、回収計数処理においては、搬出された硬貨の枚数や金額を示す画面が、操作表示部17に表示される。これにより、操作者は、回収した硬貨の枚数および金額を容易に確認することができる。
<電子ジャーナル>
最後に、操作表示部17に表示される電子ジャーナルログについて説明する。本実施形態では、電子ジャーナルログが2段階に分けられている。すなわち、まず、1つの処理に対して、その処理を纏めた計数結果が表示され、画面中の所定のボタンがタッチされると、詳細ログが表示される。
図18(a)は、1処理ごとの電子ジャーナルログのメイン画面D41を示す図である。ここでは、自動精査に関する電子ジャーナルログのメイン画面が示されている。
メイン画面D41には、画面を戻すためのボタンB31と、前日のログを表示するためのボタンB32と、詳細ログを表示させるためのボタンB33と、前後の時間の電子ジャーナルログに画面を遷移させるためのボタンB34とを含んでいる。メイン画面D41には、1つの処理(自動精査処理)に対して、その処理を纏めた計数結果が表示される。操作者は、ボタンB33にタッチすることにより、メイン画面D41に表示されている電子ジャーナルログの内容を1計数ごとに示す詳細ログを表示させることができる。
図18(b)~(g)は、実施形態に係る、1計数ごとの電子ジャーナルログの詳細画面D51を示す図である。
詳細画面D51には、前後の計数処理に対する電子ジャーナルログに画面を遷移させるためのボタンB35が含まれている。詳細画面D51には、自動精査の処理において行われた各計数処理における計数結果が表示される。たとえば、操作者が、図18(a)に示したメイン画面D41中のボタンB33にタッチすると、図18(b)に示した詳細画面D51が表示される。操作者は、この詳細画面D51中の下向きのボタンB35にタッチすることにより、図18(c)~(g)に示す他の詳細画面D51を順次表示させることができる。
なお、図18(a)~(g)には、自動精査処理における電子ジャーナルログのメイン画面D41と詳細画面D51を示したが、入金処理や出金処理等の他の処理も同様に、処理を纏めたメイン画面と、当該処理の詳細を示す詳細画面とが2段階で表示されてもよい。たとえば、複数回に分けて入金が行われた場合、これら複数回の入金を纏めた1つの入金処理の合計金額をメイン画面に表示させ、このメイン画面中の詳細ボタンがタッチされると、各入金において計数された貨幣枚数や貨幣入出金機1に収納した貨幣の枚数およびその経緯を含む詳細画面を表示させてもよい。
このように電子ジャーナルログを2段階に分けて表示させることにより、操作者は、メイン画面D41で処理の内容を確認しながら、適宜、詳細画面D51を表示させて当該処理における詳細な計数情報を円滑に確認できる。すなわち、操作者は、適宜、メイン画面D41と詳細画面D51とを使い分けることができ、これにより、所定の作業を円滑に進めることができる。
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
計数硬貨(計数対象の硬貨)が2つの硬貨出金ボックス16a、16b(第1の硬貨出金部および第2の硬貨出金部)の一方に振り分けられ、リジェクト硬貨(計数対象外の硬貨)は2つの硬貨出金ボックス16a、16b(第1の硬貨出金部および第2の硬貨出金部)の他方に振り分けられる。このため、操作者は、計数処理の終了後に、そのまま、各硬貨出金ボックスにアクセスすることで、計数硬貨(計数対象の硬貨)とリジェクト硬貨(計数対象外の硬貨)を速やかに且つ円滑に回収できる。
すなわち、単純計数処理においては、計数対象として識別された任意の金種の硬貨が計数硬貨(第1の種別の硬貨)とされ、計数対象として識別され得なかった硬貨(損貨や識別不能の硬貨等)がリジェクト硬貨(第2の種別の硬貨)とされて、それぞれ、2つの硬貨出金ボックス16a、16b(第1の硬貨出金部および第2の硬貨出金部)に振り分けられる。これにより、操作者は、金種が識別された正常な硬貨とそれ以外の硬貨とを、硬貨出金ボックス16a、16bから個別に円滑に取り出すことができる。
また、整理計数処理においては、計数対象として識別された指定金種の硬貨が計数硬貨(第1の種別の硬貨)とされ、計数対象として識別され得なかった硬貨(指定金種以外の金種の硬貨、損貨および識別不能の硬貨等)がリジェクト硬貨(第2の種別の硬貨)とされて、それぞれ、2つの硬貨出金ボックス16a、16b(第1の硬貨出金部および第2の硬貨出金部)に振り分けられる。これにより、操作者は、指定された金種の正常な硬貨と、それ以外の硬貨とを、硬貨出金ボックス16a、16bから個別に円滑に取り出すことができる。
また、整理計数処理においては、図11(a)を参照して説明したように、指定された金種についてバッチ枚数の計数硬貨が硬貨出金ボックス16aに搬送されると、計数硬貨の搬送先が、硬貨出金ボックス16aから硬貨入金口13へと切り替えられて、計数硬貨が硬貨入金口へと自動で戻される。これにより、硬貨出金ボックス16aから計数硬貨が回収された後、整理計数処理を円滑に再開させることができる。
また、図10(a)、(b)に示したように、制御部201は、単純計数処理および整理計数処理において、硬貨出金ボックス16a、16bの少なくとも一方の硬貨の収容枚数が予め決められた最大収容枚数に到達した場合、搬送部107による硬貨の搬送を停止させる。これにより、過度の枚数の硬貨が硬貨出金ボックス16a、16bに収容されて硬貨の回収が困難になることを回避できる。
この場合、制御部201は、硬貨の収容枚数が最大収容枚数に到達した硬貨出金ボックスを操作者に報知する処理(ランプ19a、19bの点滅、メッセージの表示、報知音の出力)を実行する。これにより、操作者は、硬貨出金ボックス16a、16bにおいて硬貨の収容枚数が最大収容枚数に到達したことをより確実に知ることができ、当該硬貨出金ボックス16a、16bから硬貨を回収する作業を円滑かつ適切に進めることができる。
また、本実施形態では、硬貨出金ボックス16a、16bが、同等の容量を有するように構成されている。これにより、硬貨出金ボックス16a、16bを同等の条件で処理に用いることができる。
<変更例1>
上記実施形態では、単純計数処理および整理計数処理において、2つの硬貨出金ボックス16a、16bを、それぞれ、計数硬貨の搬送先とリジェクト硬貨の搬送先とに切り分ける制御モードを示したが、さらに、2つの硬貨出金ボックス16a、16bの一方を計数硬貨の搬送先に設定し、一括保留部103をリジェクト硬貨の搬送先に設定して、硬貨の搬送を行う他の制御モードを設け、これら2つの制御モードの何れを用いるかを操作者が選択設定できるようにしてもよい。この場合、他の制御モードでは、全ての計数硬貨が硬貨出金ボックス16a、16bの一方を介して回収された後に、この硬貨出金ボックスにリジェクト硬貨が搬出される。
図19(a)、(b)は、この場合の計数硬貨およびリジェクト硬貨の搬送経路を模式的に示す図である。図19(a)、(b)には、単純計数処理における各硬貨の流れが示されている。以下の制御は、上記実施形態と同様、制御部201によって行われる。
単純計数処理において、操作者は、操作表示部17に対して単純計数処理のための入力を行った後、硬貨入金口13から計数対象の硬貨を投入する。投入された硬貨は、硬貨受け入れ部101に受け入れられ、硬貨繰出機構104によって1枚ずつ搬送部107に繰り出される。繰り出された硬貨は、搬送部107によって識別部108に搬送される。
識別部108により計数硬貨と識別された硬貨は、単純計数処理を占有する操作者側の硬貨出金ボックスに送られる。図19(a)の例では、右側の操作者が単純計数処理を占有している。したがって、計数硬貨は、図19(a)に示すように、分岐機構112によって、右側の硬貨出金ボックス16aに送られる。左側の操作者が単純計数処理を占有している場合は、左側の硬貨出金ボックス16bに計数硬貨が送られる。一方、識別部108により計数硬貨と識別され得なかった硬貨、すなわち、リジェクト硬貨は、分岐機構109によって、一括保留部103に送られる。
計数動作が終了すると、計数硬貨を収容する右側の硬貨出金ボックス16aのロック状態が解除される。操作者は、右側の硬貨出金ボックス16aから計数硬貨を回収する。その後、右側の硬貨出金ボックス16aが装着されると、硬貨出金ボックス16aがロックされ、図19(b)に示すように、硬貨繰出機構106によって一括保留部103からリジェクト硬貨が繰り出される。繰り出されたリジェクト硬貨は、計数硬貨の場合と同様、単純計数処理を占有する操作者側の硬貨出金ボックスに送られる。図19(a)の例では、右側の操作者が単純計数処理を占有している。したがって、リジェクト硬貨は、図19(b)に示すように、分岐機構112によって、右側の硬貨出金ボックス16aに送られる。
こうしてリジェクト硬貨の搬送が終了すると、硬貨処理占有用の占有キー18c、18dが点滅される。この場合、2つの占有キー18c、18dのうち、単純計数処理を占有する操作者側の占有キーのみ、すなわち、図19(b)の例では、右側の占有キー18bのみが点滅されてもよい。
操作者により占有キー18c、18dの何れかが押下されると、占有キー18c、18dが消灯され、リジェクト硬貨を収納する硬貨出金ボックス16aのランプ19aを点滅される。このとき同時に、硬貨出金ボックス16aのロックが解除される。さらに、リジェクト硬貨の抜取りを促すメッセージが操作表示部17に表示されてもよく、また、硬貨出金ボックス16aにリジェクト硬貨が収納されていることを操作者に報知するための音声が、音声出力部206から出力されてもよい。
これに応じて、操作者は、右側の硬貨出金ボックス16aを引き出して硬貨を抜き取り、その後、硬貨出金ボックス16aを収容位置に戻す。こうして、単純計数処理が終了する。
なお、本変更例1においても、計数動作の間に、計数硬貨を収容する硬貨出金ボックスがフルになった場合は、図10(a)の処理が実行される。また、一括保留部103に収容されたリジェクト硬貨を効果出金ボックスがフルになった場合は、図10(b)の処理が実行される。この場合、図10(b)のステップS502、S511は、一括保留部103に対するリジェクト硬貨の繰り出しおよび搬送に置き換えられる。
また、整理計数処理においては、上記実施形態に比べて、リジェクト硬貨の搬送先が一括保留部103に変更される。この場合も、まず、計数硬貨が、バッチ処理により、整理計数処理を占有する硬貨出金ボックスに送られ、計数硬貨の処理が終了した後に、一括保留部103から整理計数処理を占有する硬貨出金ボックスにリジェクト硬貨が搬送される。各硬貨の搬送時に硬貨出金ボックスがフルになった場合の処理は、上記と同様である。
変更例1の構成によれば、計数硬貨とリジェクト硬貨の両方が、処理を占有する操作者側の硬貨出金ボックスに搬送されるため、操作者は、各硬貨を自身に近い硬貨出金ボックスから簡便に抜き取ることができる。よって、計数硬貨とリジェクト硬貨を迅速かつ円滑に回収することができる。
また、変更例1の構成では、まず、全ての計数硬貨が硬貨出金ボックスに搬送された後、リジェクト硬貨が硬貨出金ボックスに搬送されるため、上記実施形態に比べて、計数硬貨の計数および搬送を迅速に進めることができる。
さらに、計数硬貨の枚数がリジェクト硬貨の枚数よりも多い場合、変更例1の構成では、上記実施形態に比べて、全ての硬貨に対する計数処理に要する時間を短縮することができる。
なお、変更例1の構成では、必ずしも、計数硬貨とリジェクト硬貨が処理を占有する操作射側の硬貨出金ボックスに搬送されなくともよく、たとえば、左右何れの操作者が硬貨計数の処理を占有しているかに拘わらず、計数硬貨とリジェクト硬貨の搬送先が左右何れか一方の硬貨出金ボックスに固定されてもよい。この場合、搬送先の硬貨出金ボックスに対して反対側に位置する操作者は、硬貨の取り出しがやや不便になるものの、上記変更例1と同様、計数硬貨を効率良く計数でき、また、計数硬貨の枚数がリジェクト硬貨の枚数よりも多い場合に、全ての硬貨に対する計数処理に要する時間を短縮できるとの効果が奏され得る。
また、変更例1の構成では、必ずしも、硬貨出金ボックスが左右に設けられなくともよく、硬貨出金ボックスが装置本体に1つだけ設けられてもよい。この場合も、上記変更例1と同様、計数硬貨を効率良く計数でき、また、全ての硬貨に対する計数処理に要する時間を短縮できるとの効果が奏され得る。
<変更例2>
図1に示したように、上記実施形態では、占有キー18a~18dのサイズおよび形状が互いに同じであった。この場合、占有キー18a~18dの見た目が同じであるため、操作者は、硬貨処理の占有または紙幣処理の占有において、占有キー18a~18dを押し間違えることがあり、このため、操作すべき占有ボタンを慎重に見極める必要がある。このような作業は、業務効率の低下に繋がる。
そこで、変更例2では、図20に示すように、紙幣処理を占有するための占有キー18a、18bと、硬貨処理を占有するための占有キー18c、18dの形状を相違させている。より詳細には、紙幣処理を占有するための占有キー18a、18bを、紙幣の平面形状である長方形に設定し、硬貨処理を占有するための占有キー18c、18dを、硬貨の平面形状である円形に設定している。また、紙幣処理を占有するための占有キー18a、18bの向きを、紙幣入金口15に対する紙幣の入出金方向に合わせている。
このように占有キー18a~18dの形状を設定することにより、操作者は、各ボタンを見ることで直観的に、各占有ボタンが紙幣処理と硬貨処理の何れを占有するためのものであるかを認識できる。また、操作者は、視力や距離の関係から各占有ボタンに含まれる表記を明確に視認できない場合も、各占有ボタンの形状から、各占有ボタンが紙幣処理と硬貨処理の何れを占有するためのものであるかを認識できる。さらに、操作者は、各占有ボタンを見なくても手で触れた感触により、その占有ボタンが紙幣処理と硬貨処理の何れを占有するためのものであるかを認識できる。
よって、操作者は、占有キー18a~18dを押し間違えることなく、円滑に、所望の占有ボタンを操作することができる。これにより、作業効率を高めることができる。
<変更例3>
上記実施形態では、硬貨入金口13の後方に操作表示部17が斜めに傾くように配置された。すなわち、操作表示部17は、硬貨入金口13とは別に独立して配置された。これに対し、変更例3では、操作表示部17の配置領域の周辺が、硬貨を受けて硬貨入金口13へと案内するガイドの役割を果たすように構成されている。
図21(a)は、変更例3に係る貨幣入出金機1の硬貨入金口13付近の構成を示す斜視図である。また、図21(b)は、図21(a)の構成を左右方向に垂直な平面で切断した断面図である。
図21(a)に示すように、変更例3では、操作表示部17の配置領域が、硬貨入金口13に向かって低くなるように傾斜したトレイ状の形状となっている。操作表示部17は、このトレイ形状の中央位置に配置されている。トレイ形状の前側は、硬貨入金口13へと繋がっている。また、操作表示部17の左右の領域は、それぞれ、内方に向かって低くなるように滑らかに傾斜した傾斜面S1となっている。
したがって、傾斜面S1に投入された硬貨C1は、傾斜面S1を内方および前方に滑って、硬貨入金口13へと導かれ、硬貨入金口13の内部へと落下する。また、操作表示部17の上面に投入された硬貨C1も、操作表示部17の上面を滑って、硬貨入金口13へと導かれる。操作表示部17や傾斜面S1に硬貨C1が残留した場合、操作者は、手等で軽く硬貨C1を硬貨入金口13側に掃くことにより、簡単に、硬貨C1を硬貨入金口13に導くことができる。
図21(b)に示すように、硬貨入金口13の前側も、中央に向かって低くなる傾斜面S2になっている。したがって、この傾斜面S2に投入された硬貨C1は、傾斜面S2を滑って硬貨入金口13へと導かれ、硬貨入金口13の内部へと落下する。なお、図21(b)において、17aは、操作表示部17の回路ユニットを示している。
このように、変更例3では、操作表示部17の配置領域の周辺が、硬貨C1を受けて硬貨入金口13へと案内するガイドの役割を果たすように構成されている。よって、硬貨を投入可能な領域を広げることができ、操作者は、より簡便かつ円滑に、硬貨を硬貨入金口13に投入することができる。
また、変更例3では、トレイ形状の部分に埋め込まれるようにして操作表示部17が配置されるため、上記実施形態に比べて、奥行きと操作表示部17の上方への突出量を抑制でき、これにより、貨幣入出金機1の小型化を図ることができる。
なお、傾斜面S1の傾き角および形状は、図21(a)に示した傾き角および形状に限定されるものではなく、また、トレイ形状の前後方向の傾き角も図21(a)に示した傾き角に限定されるものではない。トレイ形状およびその傾き角は、トレイ形状が硬貨を受けて硬貨入金口13へと案内するガイドの役割を果たし、かつ、操作表示部17が見にくくならない限りにおいて、種々の変更が可能である。
なお、変更例3の構成において、操作表示部17が感圧式のタッチパネルである場合、硬貨投入時に操作表示部17の上面に硬貨が接触したとしても、操作表示部17は反応することがないよう、タッチパネルは所定時間タッチしなければ反応しないこととしてもよい。但し、万一、硬貨の接触により操作表示部17が反応して誤作動が生じないように、硬貨の投入の期間、すなわち、操作表示部17に対する入力が完了した後、計数開始の指示(占有キー18の押下)までの期間は、操作表示部17が入力を受け付けないように制御を行うことが好ましい。
<その他の変更例>
上記実施形態では、単純計数処理および整理計数処理における計数結果が操作表示部17に表示されたが、上位端末2からの指示により単純計数処理および整理計数処理が行われる場合は、さらに計数結果が上位端末2に表示されてもよく、あるいは、計数結果がレシート印字されてもよい。
また、上記実施形態では、操作表示部17が操作部と表示部とが一体化された構成であったが、操作部と表示部とが別体であってもよく、あるいは、操作表示部17が本体10aとは別に設けられ、無線または有線により本体10a側と接続された構成であってもよい。この場合、図3に示した制御部201、記憶部202および通信部203が、操作表示部17側に設けられてもよい。
また、上記実施形態では、紙幣入出金ユニット11および硬貨入出金ユニット12を備える貨幣入出金機1が、本発明の貨幣処理装置の一例として挙げられたが、本発明は、硬貨入出金ユニット12のみを備える硬貨入出金機に適用されてもよい。
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
1 貨幣入出金機(貨幣処理装置)
13 硬貨入金口
16a、16b 硬貨出金ボックス(第1の硬貨出金部、第2の硬貨出金部)
107 搬送部
108 識別部
109、112 分岐機構(振り分け部)
201 制御部

Claims (9)

  1. 左右の操作者の間に配置され、各操作者からそれぞれ貨幣の入出金等の処理を行うことが可能な貨幣処理装置において、
    前記硬貨を投入するための硬貨入金口と、
    硬貨を取り出し可能な第1および第2の硬貨出金部と、
    前記硬貨入金口に投入された前記硬貨を搬送するための搬送部と、
    前記搬送部により搬送される前記硬貨を前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部に振り分ける振り分け部と、
    前記硬貨を識別するための識別部と、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記硬貨入金口に投入された前記硬貨を計数する処理において、前記識別部により計数対象と識別された第1の種別の前記硬貨を前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部のうち処理を占有する操作者側の一方の硬貨出金部に振り分け、前記識別部により計数対象外と識別された第2の種別の前記硬貨を前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部のうち他方の硬貨出金部に振り分ける、
    ことを特徴とする貨幣処理装置。
  2. 前記硬貨を計数する処理が、全ての金種について硬貨を計数する単純計数処理である場合、前記第1の種別の硬貨は計数対象として識別された任意の金種の硬貨であり、前記第2の種別の硬貨は計数対象として識別され得なかった硬貨である、
    請求項に記載の貨幣処理装置。
  3. 前記硬貨を計数する処理が、指定された金種について硬貨を計数する整理計数処理である場合、前記第1の種別の硬貨は計数対象として識別された指定金種の硬貨であり、前記第2の種別の硬貨は計数対象として識別され得なかった硬貨である、
    請求項に記載の貨幣処理装置。
  4. 前記整理計数処理において、前記指定された金種について所定の枚数ずつ硬貨を出金する処理が行われる場合、前記制御部は、前記指定された金種について前記所定の枚数の硬貨が前記一方の硬貨出金部に搬送されると、前記指定された金種の前記硬貨の搬送先を、前記一方の硬貨出金部から前記硬貨入金口へと切り替える、
    請求項に記載の貨幣処理装置。
  5. 前記制御部は、前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部の少なくとも一方において前記硬貨の収容枚数が予め決められた最大収容枚数に到達した場合、前記搬送部による前記硬貨の搬送を停止させる、
    請求項1ないしの何れか一項に記載の貨幣処理装置。
  6. 前記制御部は、前記硬貨の収容枚数が最大収容枚数に到達した前記硬貨出金部を前記操作者に報知する処理を実行する、
    請求項に記載の貨幣処理装置。
  7. 前記第1の硬貨出金部と前記第2の硬貨出金部は、同等の容量を有する、
    請求項1ないしの何れか一項に記載の貨幣処理装置。
  8. 左右の操作者の間に配置され、各操作者からそれぞれ貨幣の入出金等の処理を行うことが可能な貨幣処理装置において、
    前記硬貨を投入するための硬貨入金口と、
    硬貨を取り出し可能な第1および第2の硬貨出金部と、
    前記硬貨入金口に投入された前記硬貨を搬送するための搬送部と、
    前記搬送部により搬送される前記硬貨を前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部に振り分ける振り分け部と、
    前記硬貨を識別するための識別部と、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記硬貨投入口に投入された前記硬貨を計数する処理において、前記識別部により計数対象と識別された第1の種別の前記硬貨を前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部の一方に振り分け、前記識別部により計数対象外と識別された第2の種別の前記硬貨を前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部の他方に振り分け、
    前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部のうち、前記第1の種別の前記硬貨の振分先の硬貨出金部および前記第2の種別の前記硬貨の振分先の硬貨出金部を報知する処理を実行する、
    ことを特徴とする貨幣処理装置。
  9. 前記第1の硬貨出金部および前記第2の硬貨出金部にそれぞれ対応して配置されたランプを備え、
    前記制御部は、前記第1の種別の前記硬貨の抜取り工程において前記第1の種別の前記硬貨の振分先の硬貨出金部のランプを動作させ、前記第2の種別の前記硬貨の抜取り工程において前記第2の種別の前記硬貨の振分先の硬貨出金部のランプを動作させる、
    請求項8に記載の貨幣処理装置。
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