JP7131739B2 - コロンバイトの結晶構造を有する単結晶膜、電子機器及び光学機器 - Google Patents
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Description
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ね、本発明を完成させるに至った。
[1] コロンバイトの結晶構造を有する単結晶からなり、実質的に炭素を含まないことを特徴とする単結晶膜。
[2] 単結晶が金属酸化物を含む、前記[1]に記載の単結晶膜。
[3] 金属酸化物がスズ(Sn)を含む、前記[2]に記載の単結晶膜。
[4] 単結晶が酸化スズ(SnO2)を含む、前記[1]~[3]のいずれかに記載の単結晶膜。
[5] さらに、ドーパントを含む、前記[1]~[4]のいずれかに記載の単結晶膜。
[6] ドーパントは、フッ素、銀、又はアンチモンを含む、前記[5]に記載の単結晶膜。
[7] 主面が、(100)結晶面又は(200)結晶面である前記[1]~[6]のいずれかに記載の単結晶膜。
[8] 単結晶膜と、非晶膜とが、直接又は他の層を介して積層されている積層構造体であって、単結晶膜が、コロンバイトの結晶構造を有する単結晶からなり、非晶膜が少なくともスズを含むことを特徴とする積層構造体。
[9] 前記[1]~[7]のいずれかに記載の単結晶膜又は前記[8]に記載の積層構造体を含む、電子機器又は光学機器。
前記基板としては、特に限定されないが、主面の全部又は一部に、正方晶の結晶構造を有している基板などが好適な例として挙げられ、より好適には、主面が(100)結晶面又は(200)結晶面の正方晶の結晶構造を有している基板などが挙げられる。また、前記結晶基板は、オフ角を有してしてもよい。前記結晶基板の基板形状は、板状であって、前記単結晶膜の支持体となるものであれば特に限定されない。絶縁体基板であってもよいし、半導体基板であってもよいし、導電性基板であってもよい。前記基板の形状は、特に限定されず、略円形状(例えば、円形、楕円形など)であってもよいし、多角形状(例えば、3角形、正方形、長方形、5角形、6角形、7角形、8角形、9角形など)であってもよく、様々な形状を好適に用いることができる。また、本発明においては、大面積の基板を用いることもでき、このような大面積の基板を用いることによって、前記単結晶膜の面積を大きくすることができる。前記結晶基板の基板材料は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、公知のものであってよい。例えば、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)などが挙げられる。また、前記結晶基板の表面には、バッファ層等が設けられていてもよい。前記バッファ層としては、斜方晶の金属酸化膜や単結晶膜材料の非晶膜などが挙げられる。なお、このようなバッファ層を用いて形成された単結晶膜とバッファ層との積層構造体も本発明に含まれる。前記積層構造体は、前記単結晶膜と、非晶膜との積層構造体が好ましく、前記非晶膜は、特に限定されないが、本発明においては、少なくともスズを含むのが好ましく、酸化スズであるのがより好ましい。
霧化・液滴化工程は、原料溶液を霧化又は液滴化する。原料溶液の霧化手段又は液滴化手段は、原料溶液を霧化又は液滴化できさえすれば特に限定されず、公知の手段であってよいが、本発明においては、超音波を用いる霧化手段又は液滴化手段が好ましい。超音波を用いて得られたミスト又は液滴は、初速度がゼロであり、空中に浮遊するので好ましく、例えば、スプレーのように吹き付けるのではなく、空間に浮遊してガスとして搬送することが可能なミストであるので衝突エネルギーによる損傷がないため、非常に好適である。液滴サイズは、特に限定されず、数mm程度の液滴であってもよいが、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは0.1~10μmである。
前記原料溶液は、ミストCVDにより、前記単結晶膜が得られる溶液であれば特に限定されない。前記原料溶液としては、例えば、2価の前記金属(好ましくは周期律表第14族金属)のハロゲン化物(例えばフッ化物、塩化物、臭化物又はヨウ化物等)の水溶液などが挙げられる。原料溶液中の前記金属の含有量は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、好ましくは、0.001モル%~50モル%であり、より好ましくは0.01モル%~50モル%である。
搬送工程では、キャリアガスでもって前記ミスト又は前記液滴を成膜室内に搬送する。前記キャリアガスは、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、例えば、酸素、オゾン、窒素やアルゴン等の不活性ガス、又は水素ガスやフォーミングガス等の還元ガスが好適な例として挙げられる。また、キャリアガスの種類は1種類であってよいが、2種類以上であってもよく、流量を下げた希釈ガス(例えば10倍希釈ガス等)などを、第2のキャリアガスとしてさらに用いてもよい。また、キャリアガスの供給箇所も1箇所だけでなく、2箇所以上あってもよい。キャリアガスの流量は、特に限定されないが、0.01~20L/分であるのが好ましく、1~10L/分であるのがより好ましい。希釈ガスを用いる場合には、希釈ガスの流量が、0.001~5L/分であるのが好ましく、0.1~5L/分であるのがより好ましい。
成膜工程では、成膜室内で前記ミスト又は液滴を熱反応させることによって、前記結晶基板上に、単結晶膜を成膜する。熱反応は、熱でもって前記ミスト又は液滴が反応すればそれでよく、化学反応であってもよいし、物理反応であってもよい。その他の反応であってもよい。反応条件等も本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。本工程においては、前記熱反応を、通常、溶媒の蒸発温度以上の温度で行うが、高すぎない温度(例えば1000℃)以下が好ましく、200℃~500℃がより好ましく、250℃~450℃が最も好ましい。また、熱反応は、本発明の目的を阻害しない限り、真空下、非酸素雰囲気下、還元ガス雰囲気下及び酸素雰囲気下のいずれの雰囲気下で行われてもよく、また、大気圧下、加圧下及び減圧下のいずれの条件下で行われてもよいが、本発明においては、大気圧下で行われるのが好ましい。なお、膜厚は、成膜時間を調整することにより、設定することができる。
1.成膜装置
図1を用いて、本実施例で用いたミストCVD装置を説明する。ミストCVD装置19は、基板20を載置するサセプタ21と、キャリアガスを供給するキャリアガス供給手段22aと、キャリアガス供給手段22aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23aと、キャリアガス(希釈)を供給するキャリアガス(希釈)供給手段22bと、キャリアガス(希釈)供給手段22bから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁23bと、原料溶液24aが収容されるミスト発生源24と、水25aが入れられる容器25と、容器25の底面に取り付けられた超音波振動子26と、内径40mmの石英管からなる供給管27と、供給管27の周辺部に設置されたヒーター28とを備えている。サセプタ21は、石英からなり、基板20を載置する面が水平面から傾斜している。成膜室となる供給管27とサセプタ21をどちらも石英で作製することにより、基板20上に形成される膜内に装置由来の不純物が混入することを抑制している。
二塩化スズ水溶液(SnCl2・2H2O)0.05mol/Lを原料溶液24aとした。
上記2.で得られた原料溶液24aをミスト発生源24内に収容した。次に、基板20として、YSZ(100)基板をサセプタ21上に設置し、ヒーター28を作動させて成膜室27内の温度を400℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁23a、23bを開いて、キャリアガス源であるキャリアガス供給手段22a、22bからキャリアガスを成膜室27内に供給し、成膜室27の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を2.5L/minに調節した。なお、キャリアガス(希釈)は用いなかった。また、キャリアガスとして窒素を用いた。
次に、超音波振動子26を2.4MHzで振動させ、その振動を、水25aを通じて原料溶液24aに伝播させることによって、原料溶液24aを微粒子化させて原料微粒子を生成した。この原料微粒子が、キャリアガスによって成膜室27内に導入され、大気圧下、400℃にて、供給管27内でミストが反応して、基板20上に単結晶膜が形成された。なお、成膜時間は20分間であった。
上記で得られた単結晶膜について、X線回折装置を用いて、それぞれの結晶構造を測定評価した。結果を図2示す。図2から明らかなとおり、単結晶膜は、コロンバイトの結晶構造を有することがわかる。また、SEMにて単結晶膜を観察した。結果を図3に示す。図3から明らかなように、表面凹凸がなく、非常にきれいな表面であることがわかる。
原料溶液として、二塩化スズ水溶液(SnCl2・2H2O)の代わりに、四塩化スズ水溶液(SnCl4・5H2O)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして酸化スズを成膜した。得られた膜につき、X線回折装置にて膜の同定を行ったところ、コロンバイトの結晶構造を形成することができなかった。なお、実施例1と比較例1のXRD測定結果を図4に示す。
成膜温度を500℃としたこと以外は、実施例1と同様にして酸化スズを成膜した。得られた膜の断面を断面SEMにて観察した。結果を図5に示す。図5から明らかなように、得られた単結晶膜は、非常に表面がきれいであることがわかる。
20 基板
21 サセプタ
22a キャリアガス供給手段
22b キャリアガス(希釈)供給手段
23a 流量調節弁
23b 流量調節弁
24 ミスト発生源
24a 原料溶液
25 容器
25a 水
26 超音波振動子
27 供給管
28 ヒーター
29 排気口
Claims (7)
- コロンバイトの結晶構造を有する単結晶からなり、実質的に炭素を含まないことを特徴とする単結晶SnO 2 膜。
- さらに、ドーパントを含む、請求項1記載の単結晶SnO 2 膜。
- 前記ドーパントは、フッ素、銀、又はアンチモンを含む、請求項2に記載の単結晶SnO 2 膜。
- 主面が、(100)結晶面又は(200)結晶面である請求項1~3のいずれかに記載の単結晶SnO 2 膜。
- 単結晶SnO 2 膜と、非晶膜とが、直接又は他の層を介して積層されている積層構造体であって、単結晶SnO 2 膜が、コロンバイトの結晶構造を有する単結晶からなり、非晶膜が少なくともスズを含むことを特徴とする積層構造体。
- 結晶基板と、該結晶基板上に形成された単結晶SnO 2 膜とを有する積層構造体であって、前記単結晶SnO 2 膜が、コロンバイトの結晶構造を有する単結晶からなり、実質的に炭素を含まないことを特徴とする積層構造体。
- 請求項1~4のいずれかに記載の単結晶SnO 2 膜又は請求項5~6のいずれかに記載の積層構造体を含む、電子機器又は光学機器。
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