上述したように、例えば、吸着容器内で吸着材の塊が生成された場合、この塊によって吸着材の流動が阻害され、吸着容器内で吸着材が滞留する。吸着材の滞留が生じると、反応熱の蓄積等により、吸着容器内でホットスポットが発生する。ホットスポットを発生させないためには、吸着容器内において吸着材を滞留させないことが重要である。
吸着容器内で吸着材が滞留せず、スムーズに流動している場合、吸着容器への吸着材の供給量は、吸着容器からの吸着材の排出量とほとんど一致する。このため、供給量と排出量との間に有意な差が生じたときは、吸着容器内で吸着材が滞留していると判断することができる。吸着容器内で吸着材が滞留していることを把握できれば、吸着容器内でホットスポットが生成され始めている可能性があると判断できる。本発明者等は、この点に着目し、実施形態に係る発明を考案した。
実施形態に係るガス処理システムは、粒状の吸着材によって被処理ガスから対象物質を除去する。ガス処理システムは、吸着容器と、第1検出部と、第2検出部と、滞留判定部と、を備える。吸着容器には、吸着材が充填される。吸着容器は、吸着材を排出しながら吸着材の供給を受ける。第1検出部は、吸着容器への吸着材の供給量を検出する。第2検出部は、吸着容器からの吸着材の排出量を検出する。滞留判定部は、第1検出部によって検出された供給量と、第2検出部によって検出された排出量との差に基づいて、吸着容器内で吸着材の滞留が発生しているか否かを判定する(第1の構成)。
第1の構成に係るガス処理システムでは、吸着容器への吸着材の供給量と、吸着容器からの吸着材の排出量との双方を検出し、供給量と排出量との差に基づいて吸着材の滞留が発生しているか否かを判定する。当該ガス処理システムによって滞留が発生していると判定された場合、ホットスポットが生成され始めている可能性があると判断して、吸着容器の状態を確認することができる。よって、第1の構成によれば、吸着容器内におけるホットスポットの発生を早期に検知することが可能となる。
上記ガス処理システムは、さらに、流量低下判定部を備えることができる。流量低下判定部は、第1検出部によって検出された供給量が設定された供給量範囲よりも小さい場合、及び/又は、第2検出部によって検出された排出量が設定された排出量範囲よりも小さい場合、吸着容器における吸着材の流量が低下していると判定する(第2の構成)。
第2の構成によれば、仮に、滞留判定部によって吸着材の滞留が発生していないと判定されたとしても、供給量及び排出量の少なくとも一方が設定された範囲未満であれば、流量低下判定部は、吸着容器における吸着材の流量が低下していると判定する。この場合、吸着容器内で吸着材の滞留が発生している可能性がある。第2の構成によれば、より確実且つ早期に、吸着材の滞留を検知することができる。
第1又は第2の構成に係るガス処理システムは、複数の吸着容器と、複数の吸着容器に対応して複数ずつ設けられる第1検出部及び第2検出部と、を備えていてもよい。当該ガス処理システムは、複数の吸着容器の間で、第1検出部によって検出された供給量同士に差が生じていること、及び/又は、第2検出部によって検出された排出量同士に差が生じていることを検知することができる(第3の構成)。
例えば、ある吸着容器で吸着材の流量が小さく、他の吸着容器で吸着材の流量が大きい場合、吸着材の流量が小さい吸着容器で被処理ガスの流速が低下する。これに伴い、吸着材の流量が大きい吸着容器では、被処理ガスの流速が増加し、吸着材が外部に吹き飛ばされたり、対象物質が十分に除去されないままの被処理ガスが排出されたりという問題が生じ得る。このため、吸着容器間で吸着材の流量を平準化することが好ましい。そこで、第3の構成では、複数の吸着容器が存在する場合に、吸着容器間での吸着材の供給量及び/又は排出量のばらつきを検知する。これにより、吸着容器間での吸着材の供給量及び/又は排出量のばらつきを是正し、吸着材の流量を平準化することが可能となる。
第1又は第2の構成に係るガス処理システムは、複数の吸着容器と、複数の吸着容器に対応して複数ずつ設けられる第1検出部及び第2検出部と、ホッパと、を備えていてもよい。ホッパは、2以上の吸着容器ごとに設けられ、吸着容器の各々に対して吸着材を分配して供給する。第1検出部は、ホッパよりも、吸着材の供給方向の下流側に配置される(第4の構成)。
第4の構成では、複数の吸着容器に兼用のホッパから当該複数の吸着容器に対して吸着材が分配供給されるが、各吸着容器の供給量を検出する第1検出部は、このホッパの下流側に配置される。よって、吸着材の供給に兼用のホッパを用いる場合であっても、吸着容器ごとの吸着材の供給量を正確に検出することができる。
上記ガス処理システムにおいて、滞留判定部は、第1検出部によって検出された供給量の所定期間の平均値、及び第2検出部によって検出された排出量の所定期間の平均値を用いて、吸着材の滞留が発生しているか否かを判定することが好ましい(第5の構成)。
上記ガス処理システムは、さらに、流動異常判定部を備えることが好ましい。流動異常判定部は、吸着容器に対する吸着材の供給頻度の変動に基づき、吸着容器内の吸着材の流動状態に異常が発生しているか否かを判定する(第6の構成)。
吸着容器では、容器下部から連続的に常時排出されていても、容器上部への吸着材の供給が常時連続して行われているわけではなく、通常、吸着材が間欠的に供給される。つまり、吸着材が吸着容器に供給される供給期間と、吸着材が吸着容器に供給されない供給停止期間とが繰り返される。供給期間の開始タイミングから次の供給期間の開始タイミングまでの時間に基づいて規定される供給頻度には、吸着容器内の吸着材の流動状態が如実に反映される。そこで、第6の構成では、吸着容器に対する吸着材の供給頻度の変動に基づき、吸着材の流動状態が異常か否かを判定する。吸着材の流動状態が異常であると判定された場合、ホットスポットが生成される可能性があると判断することができる。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。各図において同一又は相当の構成については同一符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
[ガス処理システム]
図1は、本実施形態に係るガス処理システム100の概略構成図である。図1に示すように、ガス処理システム100は、吸着塔1と、複数のホッパ2と、複数の検出部3,4と、制御装置5と、を備える。ガス処理システム100は、再生塔6と、搬送装置71,72,73,74,75,76と、検出部8と、をさらに備える。
吸着塔1には、被処理ガスが導入される。吸着塔1において、被処理ガスから対象物質が除去される。被処理ガスは、例えば、産業廃棄物の焼却炉、発電用ボイラ、又は焼結機等といった、化石燃料を燃焼する設備からの排ガスである。排ガスは、対象物質として、窒素酸化物(NOx)及び硫黄酸化物(SOx)を含む。
吸着塔1は、少なくとも1つの吸着容器10を含む。本実施形態では、図1の左右方向において、複数の吸着容器10が並べて配置されている。図1の紙面奥行方向にも複数の吸着容器10が並べて配置されている。言い換えると、平面視でマトリックス状に複数の吸着容器10が配列されている。吸着容器10の各々には、粒状の吸着材が充填される。吸着材は、例えば活性炭である。
吸着容器10は、上下方向に延びている。吸着容器10は、それぞれ、脱硝部11と、脱硫部12とを備える。脱硝部11及び脱硫部12の各々には、吸着材が充填されている。脱硝部11では、被処理ガスとしての排ガスから対象物質としてのNOxが除去される。脱硫部12では、被処理ガスとしての排ガスから対象物質としてのSOxが除去される。脱硫部12は、脱硝部11の下方に配置されている。脱硫部12は、脱硝部11と連通している。本実施形態では、説明の便宜上、各吸着容器10の脱硝部11で構成される層を脱硝層110、各吸着容器10の脱硫部12で構成される層を脱硫層120と称する。
図1において二点鎖線の矢印で示すように、脱硫層120には、排ガスが導入される。排ガスは、脱硫層120及び脱硝層110を順に通過する。排ガスが脱硫層120を通過するとき、排ガス中のSOxが各脱硫部12内の吸着材に接触して吸着される。排ガスが脱硝層110を通過するとき、排ガス中のNOxが各脱硝部11内の吸着材に接触して分解される。SOx及びNOxが除去された排ガスは、吸着塔1から排出される。
吸着容器10は、吸着材を排出しながら吸着材の供給を受ける。ガス処理システム100の運転中、吸着容器10は、その底部から連続的又は断続的に吸着材を排出する。これに伴い、各吸着容器10内で吸着材が下方に流動する。吸着材は、脱硝部11及び脱硫部12を流下した後、ロールフィーダ(図示略)によって吸着容器10の底部から切り出される。
ガス処理システム100の運転中、吸着容器10には、その頂部から連続的又は断続的に吸着材が供給される。理論的には、各吸着容器10において、排出量と実質的に同量の吸着材が供給される。
複数のホッパ2は、吸着塔1よりも上方に配置されている。各ホッパ2は、2以上の吸着容器10に対応して設けられる。各ホッパ2は、配管91を介して、対応する吸着容器10の各々に接続される。各ホッパ2は、吸着材を分配して対応する吸着容器10に供給する。
複数の検出部3は、複数の吸着容器10に対応して設けられている。すなわち、検出部3は、吸着容器10ごとに設けられる。本実施形態において、各検出部3は、吸着材の流動方向においてホッパ2よりも下流側で且つ吸着容器10よりも上流側に設けられている。検出部3は、各配管91に設置されている。
検出部3の各々は、ガス処理システム100の運転中、対応する吸着容器10への吸着材の供給量に対応した検出情報を出力する。検出部3は、自身が設置された配管91を移動する吸着材の量を、吸着材の供給量として検出する。
検出部3としては、配管91を移動する粉粒体の量を検出可能な市販又は公知の流量計を採用することができる。検出部3は、例えば、羽根車式流量計であってもよいし、インパクト式流量計であってもよい。検出部3として、ホッパスケール等を用いることもできる。
複数の検出部4は、複数の吸着容器10に対応して設けられている。すなわち、検出部4は、吸着容器10ごとに設けられる。検出部4は、吸着材の流動方向で吸着容器10よりも下流側に設けられている。検出部4は、吸着容器10から搬送装置71に向かって延びる配管92内に設置することができる。
検出部4の各々は、ガス処理システム100の運転中、対応する吸着容器10からの吸着材の排出量に対応した検出情報を出力する。検出部4は、各吸着容器10の底部から排出されて落下する吸着材の量を、吸着材の排出量として検出する。
検出部4としては、自由落下中の粉粒体の量を検出可能な市販又は公知の流量計を採用することができる。検出部4は、例えば、インパクト式等といった接触式の流量計であってもよいし、光遮断式等といった非接触式の流量計であってもよい。
制御装置5は、検出部3によって検出された供給量の情報、及び検出部4によって検出された排出量の情報を処理するコンピュータである。制御装置5は、中央処理装置(CPU)、主記憶装置、入力装置、及び出力装置等を含む。制御装置5が行う処理については後述する。
搬送装置71~76は、吸着塔1と再生塔6との間で吸着材を搬送する。搬送装置71,73,75,76は、吸着材を水平方向に搬送する。搬送装置71,73,75,76として、例えば、ベルトコンベヤを採用することができる。搬送装置72,74は、吸着材を垂直方向に搬送する。搬送装置72,74として、例えば、バケットエレベータ、又はひれ付きベルトコンベヤを採用することができる。
ガス処理システム100の運転中、再生塔6には、吸着塔1からの吸着材が連続的又は断続的に供給される。搬送装置71は、各吸着容器10の底部から排出された吸着材を水平方向に搬送して搬送装置72に供給する。搬送装置72は、搬送装置71から受け取った吸着材を再生塔6の上方に搬送する。吸着材は、搬送装置72から再生塔6の頂部に供給される。
再生塔6は、吸着塔1でSOxを吸着した吸着材を受け入れる。吸着材は、再生塔6の頂部から供給され、再生塔6内を下方に流動する。再生塔6は、その内部の吸着材を加熱する。これにより、吸着材からSOxが脱離して吸着材が再生される。再生された吸着材は、再生塔6の底部から排出される。再生塔6は、ガス処理システム100の運転中、連続的又は断続的に吸着材を排出する。
再生塔6で再生された吸着材は、吸着塔1に送られ、再び吸着塔1に供給される。搬送装置73は、再生塔6の底部から排出された吸着材を水平方向に搬送して搬送装置74に供給する。搬送装置74は、搬送装置73から受け取った吸着材を吸着塔1の上方に搬送し、搬送装置75に供給する。搬送装置76は、搬送装置75から吸着材を受け取って各ホッパ2に供給する。
検出部8は、搬送装置72と再生塔6との間に配置されている。検出部8は、搬送装置72から再生塔6に供給される吸着材の流量を検出する。検出部8は、搬送装置72から再生塔6に向かって延びる配管93内に設置することができる。検出部8は、検出部4と同様に、自由落下中の粉粒体の流量を検出可能な市販又は公知の流量計とすることができる。検出部8によって検出される吸着材の流量は、ガス処理システム100全体の吸着材の循環量である。
[制御装置]
図2は、制御装置5の機能ブロック図である。制御装置5は、滞留判定部51と、流量低下判定部52と、流動異常判定部53と、を含む。制御装置5は、循環量監視部54をさらに含んでいてもよい。滞留判定部51、流量低下判定部52、流動異常判定部53、及び循環量監視部54の機能は、制御装置5において、主記憶装置に記憶されたプログラムをCPUが実行することによって実現される。以下、各部の機能について説明する。
(滞留判定部)
滞留判定部51には、各検出部3,4によって検出された吸着材の供給量及び排出量の情報が入力される。滞留判定部51は、各吸着容器10について、供給量と排出量との差に基づき、その内部で吸着材の滞留が発生しているか否かを判定する。各検出部3,4によって検出された吸着材の供給量及び排出量の情報に基づき、各吸着容器10についての供給量データ及び排出量データが算出される。すなわち、図外の流量データ算出部が設定算出タイミングごとに流量データ算出処理を実行する。流量データ算出処理では、吸着容器10のそれぞれについて、検出部3の検出情報に基づき、吸着容器10に供給される吸着材の供給量データが算出される。同様に、流量データ算出処理では、吸着容器10のそれぞれについて、検出部4の検出情報に基づき、吸着容器10から排出される吸着材の排出量データが算出される。設定算出タイミングの周期(算出周期)は、滞留判定部51の判定タイミングの周期(判定周期)よりも短い。これにより、滞留判定部51は、判定処理タイミングごとに複数の供給量データ及び複数の排出量データを対象として判定を行うことができる。
滞留判定部51は、吸着容器10ごとに、所定期間中に流量データ算出部が算出した複数の供給量データ及び複数の排出量データから、これらの平均値を算出する。上記所定期間は、適宜設定することができる。例えば、滞留判定部51は、供給量及び排出量の各々について、1時間分の複数のデータの平均値を求めることができる。滞留判定部51の判定周期は、上記所定期間と同じでもよいし、短くてもよい。滞留判定部51の判定周期が上記所定期間よりも短い場合、平均値は、移動平均値であることが好ましい。すなわち、所定期間中の複数の供給量データ及び複数の排出量データのうち、判定周期分の複数の供給量データ及び複数の排出量データが更新される。
滞留判定部51は、吸着容器10ごとに、同一時間帯における供給量の平均値及び排出量の平均値を用いて、供給量と排出量との間に差がないか否かを判定する。滞留判定部51は、供給量の平均値及び排出量の平均値が以下の式(1)を満たすか否かを判定する。式(1)において、αは、例えば、0.03~0.05の範囲から選択して設定することができる。
1-α≦供給量の平均値/排出量の平均値≦1+α (1)
吸着容器10は、吸着材が充填された状態に維持される。吸着容器10から吸着材が排出されたときには、排出量と実質的に同量の吸着材が吸着容器10に供給される。吸着容器10内で吸着材がスムーズに流下し、吸着材の供給及び排出が順調に行われているときは、供給量と排出量との間に大きな差はなく、供給量の平均値及び排出量の平均値は、上記式(1)を満たすはずである。
吸着容器10内で吸着材が滞留した場合、供給量と排出量との間に差が生じ、上記式(1)を満たさなくなる。滞留とは、何らかの原因で、吸着容器10内における吸着材の流下が阻害されること、あるいは吸着容器10からの吸着材の排出が阻害されることをいう。
例えば、ある吸着容器10において、その内部で吸着材の塊が生成された場合、この塊によって吸着材の粒子の流下が阻害され、吸着材の供給が困難になることがある。ただし、塊よりも下方にある吸着材の粒子は、吸着容器10内を順調に流下し、吸着容器10の底部から排出される。この場合、吸着容器10への吸着材の供給量は、吸着容器10からの吸着材の排出量よりも明らかに小さくなる。よって、供給量の平均値及び排出量の平均値が上記式(1)を満たさなくなる。
また、例えば、ある吸着容器10内で吸着材の塊が生成されたとしても、この塊が吸着材の粒子の流下を阻害しない程度に小さい場合、吸着容器10への吸着材の供給を問題なく行うことができる。すなわち、吸着容器10の水平断面は、巨大であるため、吸着材の塊が、この水平断面を急激に完全閉塞することはない。吸着容器10内では、吸着材の塊が徐々に大きくなっていくが、水平断面を完全閉塞するまでには至らない。吸着材の粒子又は小さな塊は、吸着容器10の水平断面のうち閉塞されていない部分を通過することができる。このため、しばらくの間は、吸着容器10における吸着材の供給量及び排出量が変化せず、供給量と排出量との差も現れない。この吸着容器10では、ホットスポットの成長が進行していく。吸着材の小さな塊は、吸着容器10内を流下していくが、吸着容器10の底部でロールフィーダに引っかかり、吸着材の排出を阻害する。この場合、吸着容器10からの吸着材の排出量が減少する。しかしながら、これとほぼ同時に吸着容器10に対する吸着材の供給量も減少するため、排出量と供給量との有意な差は生じない。よって、上記式(1)を満たす状態が維持されることが考えられる。このような場合、滞留判定部51では、吸着材の供給量及び排出量の低下(吸着材の滞留)を検出することができない。
そこで、本実施形態に係るガス処理システム100では、排出量と供給量とに有意な差が生じずに上記式(1)を満たす状態が維持されるような滞留が生じた場合に、後述する流量低下判定部52によって流量が低下していると判定することで、滞留発生の可能性を発見できるようにしている。
上述した通り、吸着容器10の水平断面が急激に完全閉塞されることはない。ただし、吸着容器10内での吸着材の塊の生成速度が速く、吸着材の小さい塊が吸着容器10の底部に到達する前に、吸着容器10内のある水平断面がほとんど閉塞されることがある。また、吸着容器10内において、吸着材は、非常に遅い速度で流下しており、ほとんど動いていないような状態となっている。このため、吸着容器10内において、吸着材の塊が大きく成長していなくても、吸着材の棚吊り(ブリッジ)が発生した場合、棚吊り部分によって吸着容器10の水平断面が閉塞状態となることがある。これらの場合、吸着材の排出量が変化せず、供給量が低下するため、排出量と供給量との間に有意な差が生じ得る。よって、滞留判定部51により、滞留発生を検出することができる。
滞留判定部51は、判定対象の吸着容器10の供給量の平均値及び排出量の平均値が式(1)を満たす場合、この吸着容器10では、吸着材の供給量と排出量との間に実質的に差が生じておらず、吸着材の滞留が発生していないと判定する。判定対象の吸着容器10の供給量の平均値及び排出量の平均値が式(1)を満たさない場合、滞留判定部51は、この吸着容器10では、吸着材の供給量と排出量との間に差が生じており、吸着材の滞留が発生していると判定する。
滞留判定部51は、すべての吸着容器10について、吸着材の滞留が発生しているか否かを判定する。滞留判定部51は、滞留が発生していると判定した吸着容器10が存在する場合、ガス処理システム100(図1)のオペレータへの報知を行う。滞留判定部51は、滞留が発生していると判定した吸着容器10の情報を、制御装置5の出力装置に画面表示又は音声発信等で報知させる。
(流量低下判定部)
流量低下判定部52には、滞留判定部51と同様に、各検出部3,4によって検出された吸着材の供給量及び排出量の情報が入力される。流量低下判定部52は、各吸着容器10について、供給量及び排出量に基づき、吸着材の流量が低下しているか否かを判定する。流量低下判定部52は、滞留判定部51と同様、流量データ算出部によって算出された供給量データ及び排出量データを使用して判定を行う。流量低下判定部52の判定タイミングの周期(判定周期)は、流量データ算出部の算出周期よりも短い。このため、流量低下判定部52は、滞留判定部51と同様、判定処理タイミングごとに、複数の供給量データ及び複数の排出量データを対象として判定を行うことができる。
流量低下判定部52は、吸着容器10ごとに、吸着材の供給量が供給量範囲内に収まっているか否かを判定する。流量低下判定部52は、吸着容器10ごとに、吸着材の排出量が排出量範囲内に収まっているか否かを判定する。吸着材の供給量及び排出量として、所定期間における供給量の平均値及び排出量の平均値をそれぞれ使用することができる。供給量及び排出量の各平均値は、滞留判定部51で使用されるものと同様である。
供給量範囲は、システム全体としての吸着材の目標循環量と、吸着容器10の数と、に基づいて設定することができる。吸着材の目標循環量は、各吸着容器10における吸着材の流下速度やランニングコスト等を考慮して、予め定められている。供給量範囲は、例えば、目標循環量/吸着容器数を設定供給量として、設定供給量×(1-β)以上、且つ設定供給量×(1+β)以下とすることができる。βは、例えば、0.03~0.05の範囲から選択して設定することができる。
吸着容器10内で吸着材の滞留が生じていなければ供給量と排出量とが概ね一致することから、排出量範囲は、供給量範囲と同一に設定されることが好ましい。すなわち、排出量範囲は、目標循環量/吸着容器数を設定排出量として、設定排出量×(1-β)以上、且つ設定排出量×(1+β)以下とすることができる。
流量低下判定部52は、各吸着容器10について、供給量が供給量範囲内であり、且つ排出量が排出量範囲内である場合、吸着材の流量が正常であると判定する。
流量低下判定部52は、判定対象の吸着容器10について、吸着材の供給量が供給量範囲の下限値よりも小さい場合、その吸着容器10における吸着材の供給流量が低下していると判定する。流量低下判定部52は、判定対象の吸着容器10について、吸着材の排出量が排出量範囲の下限値よりも小さい場合、その吸着容器10における吸着材の排出流量が低下していると判定する。流量低下判定部52は、すべての吸着容器10について、吸着材の供給流量及び排出流量が低下しているか否かを判定する。
流量低下判定部52は、流量が低下していると判定した吸着容器10が存在する場合、オペレータへの報知を行う。流量低下判定部52は、供給流量及び/又は排出流量が低下していると判定した吸着容器10の情報を、制御装置5の出力装置に画面表示又は音声発信等で報知させる。流量低下判定部52は、流量が低下していると判定した吸着容器10のうち、滞留判定部51によって滞留が発生していると判定されていない吸着容器10のみをオペレータに報知してもよい。
例えば、吸着材の粒度変化や、ロールフィーダのゲートの偏摩耗、あるいはロールフィーダの表面状態の経年変化等により、吸着材の排出量が増加することがある。また、例えば、ある吸着容器10で供給流量及び排出流量が低下して、この吸着容器10を通過する排ガスの流速が低下した場合、他の吸着容器10における排ガスの流速が増加し、吸着材を容器外に吹き飛ばすことがある。この場合、当該吸着容器10では、吸着材の供給量が増加する。このような事態を検知するため、流量低下判定部52は、各吸着容器10について、吸着材の供給流量及び/又は排出流量が増加しているか否かについて判定してもよい。
流量低下判定部52は、判定対象の吸着容器10について、吸着材の供給量が供給量範囲の上限値よりも大きい場合、その吸着容器10における吸着材の供給流量が増加していると判定することができる。流量低下判定部52は、判定対象の吸着容器10について、吸着材の排出量が排出量範囲の上限値よりも大きい場合、その吸着容器10における吸着材の排出流量が増加していると判定することができる。流量低下判定部52は、流量増加判定を行った場合、流量が増加していると判定した吸着容器10についても、出力装置による画面表示又は音声発信等でオペレータに報知する。
流量低下判定部52は、すべての吸着容器10について、吸着材の供給量及び排出量を参照する。このため、流量低下判定部52は、吸着容器10間で供給量同士及び排出量同士を比較し、吸着容器10間で供給量及び/又は排出量に差が生じている場合、これを検知することができる。例えば、流量低下判定部52は、すべての吸着容器10の供給量の平均値を算出し、この平均値よりも所定の判定用しきい値以上小さい供給量である吸着容器10を、流量低下状態の吸着容器10と判定することができる。同様に、流量低下判定部52は、すべての吸着容器10の排出量の平均値を算出し、この平均値よりも所定の判定用しきい値以上小さい排出量である吸着容器10を、流量低下状態の吸着容器10と判定することができる。流量低下判定部52は、吸着容器10間における供給量の差、及び/又は排出量の差を、出力装置による画面表示又は音声発信等でオペレータに報知することができる。
流量低下判定部52は、複数の吸着容器10間での供給量及び/又は排出量の差に基づき、吸着容器10からの吸着材の吹きこぼれを予測することもできる。複数の吸着容器10の間で吸着材の供給量及び/又は排出量の差、つまり流量の差が大きくなった場合、吸着容器10を通過する排ガスの圧力損失の差が大きくなる。この場合、吸着容器10間における圧力損失の差を一定にすべく、複数の吸着容器10に対して、自然と排ガスが分配される。その結果、吸着材の流量が大きい吸着容器10では、排ガスの圧力損失が小さいことから、大量の排ガスが流れることになる。この吸着容器10において、排ガスの流速が限界流速を超えると、排ガスの出口側の側壁を構成するパンチングプレートの孔等から吸着材が外部に吹き飛ばされることがある。そこで、流量低下判定部52は、他の吸着容器10と比較して供給量及び/又は排出量が大きい吸着容器10を、吸着材の吹きこぼれが生じる可能性がある吸着容器10として特定し、オペレータに報知してもよい。
(流動異常判定部)
本実施形態に係るガス処理システム100では、粒状の吸着材を使用する。吸着材は、例えば球状であり、表面に凹凸を有するため、滑りにくい。よって、吸着材は、各吸着容器10の下部から連続的に常時排出されていても、各吸着容器10の上部に対して常時連続して供給されるわけではなく、ある程度脈動しながら供給される。すなわち、各吸着容器10では、吸着材の流動に応じ、吸着材の供給と停止とが繰り返される。
各吸着容器10内における吸着材の流下速度は、非常に遅い。各吸着容器10内では、吸着材の粗充填状態と密充填状態とが波のように上方に伝搬しながら、吸着材自体の位置が下方に変わっていくことで、吸着材が流動する。吸着材の流動状態が悪くなると、例えば、吸着材の供給が停止される時間が長くなったり、不定期に大量の吸着材が供給されたりして、吸着材の供給の脈動が変化する。
より詳細に説明すると、数mから十数m(例えば、14m)の高さの吸着容器10では、吸着材の充填状態が粗の状態と密の状態とが上方に伝播されていき、吸着容器10の下部で小さかった粗密波が、吸着容器10の上部に到達するときには、大きく増幅されている。このため、吸着容器10に対する吸着材の供給は、間欠的供給になっている。すなわち、吸着容器10内には、吸着材間の空隙が多い粗の充填部分と、吸着材間の空隙が少ない密な充填部分とが存在する。例えば振動等で吸着材の粒子が動くとき、これらの粒子は空隙が小さくなるように移動するため、吸着容器10内で密な充填部分が発生する。密な充填部分が新たに発生したとき、吸着容器10内の別の場所では、密な充填部分が粗の充填部分に変化する。このようにして、粗の充填部分と密な充填部分とが次々と上方に伝搬していき、粗の充填部分の隙間又は空間が吸着容器10の最上部に到達したときに、吸着容器10内に吸着材が供給されることになる。吸着材の充填状態が伝搬していく間、吸着材間の微小な隙間又は空間は、合体を繰り返し、吸着容器10の最上部に到達するときには大きな隙間又は空間となっている。このため、粗の充填部分の隙間又は空間が吸着容器10の最上部に到達したときに、吸着材が吸着容器10に大量に流入し、その後、数分間以上は吸着容器10に対する吸着材の供給が停止するという現象が生じる。
例えば、ある吸着容器10内で吸着材の棚吊りが発生した場合、数分から数十分の間、棚吊りが発生した高さから上方側では吸着材が全く流下しなくなり、この吸着容器10に対する吸着材の供給が停止する。当該吸着容器10において、棚吊り部分が崩壊して滞留していた吸着材が流下すると、当該吸着容器10の上端側に空間が生じようとするため、新たな吸着材が供給される。ホットスポットの生成間近、あるいは小さなホットスポットが既に発生している場合、吸着材の流動状態が悪くなるため、棚吊りから崩壊までの時間が長くなる等して、吸着材の供給及び停止の繰り返しパターンが変化する。
流動異常判定部53は、各吸着容器10について、吸着材の供給及び停止の繰り返しパターンを監視する。言い換えると、流動異常判定部53は、吸着材の供給頻度の変動を監視する。流動異常判定部53は、供給頻度の変動に基づき、各吸着容器10の流動状態に異常が発生しているか否かを判定する。
流動異常判定部53には、滞留判定部51と同様に、各検出部3によって検出された吸着材の供給量の情報が入力される。流動異常判定部53は、各検出部3から出力された供給量の情報に基づいて、吸着材の供給頻度を算出する。各吸着容器10では、吸着材が供給される供給期間と、吸着材が供給されない供給停止期間とが存在する。各吸着容器10において、吸着材の排出量は一定であるため、単位時間内の供給期間数が多くなると(供給頻度が増加すると)、各供給期間において供給される吸着材の量は少なくなる傾向がある。一方、単位時間内の供給期間数が少なくなると(供給頻度が減少すると)、各供給期間において供給される吸着材の量は多くなる傾向がある。供給頻度が減少するということは吸着容器10内において吸着材の一時的な滞留が発生していると考えられるため、供給頻度が減少すること自体が流動状態の悪化を示すと考えられる。そこで、流動異常判定部53は、流動状態の悪化を検出するべく、供給頻度が許容頻度範囲(吸着材の流動が正常な場合の供給頻度の範囲)の下限値未満である場合は異常と判定し、許容頻度範囲の下限値以上である場合は正常と判定する。
流動異常判定部53は、すべての吸着容器10の吸着材の供給頻度を許容頻度範囲と比較する。許容頻度範囲は、吸着材が正常に流動している状態における単位時間当たりの、1つの吸着容器10に対する吸着材の供給回数(供給期間の数)の範囲であり、ガス処理システム100の通常の運転状態に基づいて予め定めておくことができる。
判定対象の吸着容器10の供給頻度が許容頻度範囲の下限値未満になった場合、流動異常判定部53は、この吸着容器10の流動状態に異常が発生していると判定する。流動異常判定部53は、1回当たりの供給停止期間が長くなっており、ホットスポット生成の可能性があると判定することができる。さらに、供給頻度が許容頻度範囲の下限値未満であり、且つ、1回の供給期間における吸着材の供給量が少ない場合は、吸着材の滞留が進行しており、流動状態はさらに悪化していると考えられる。そこで、好ましくは、流動異常判定部53は、供給頻度が許容頻度範囲の下限値未満である場合において、1回の供給期間における吸着材の供給量が滞留進行判定用しきい値未満であるときは、吸着材の滞留が進行している滞留進行状態であると判定してもよい。
判定対象の吸着容器10の供給頻度が、許容頻度範囲の上限値よりも大きくなった場合、流動異常判定部53は、この吸着容器10の流動状態に異常が発生していると判定することができる。流動異常判定部53は、1回当たりの吸着材の供給停止期間が短くなっていると判定することができる。判定対象の吸着容器10の供給頻度が許容頻度範囲の上限値よりも大きくなった場合、流動状態が良好であると考えることができるが、当該吸着容器10の摩耗等が生じている可能性も考えられる。吸着容器10が摩耗して穴が空くと、当該穴から吸着容器10の外部に吸着材が漏れることになる。この場合、吸着容器10内では粗密波の増幅(吸着材間の隙間又は空間の合体)が生じず、吸着容器10の穴から漏れた分だけ、吸着材が吸着容器10に供給される。これにより、吸着容器10の供給頻度が許容頻度範囲の上限値を超える可能性がある。よって、流動異常判定部53は、吸着容器10の供給頻度が許容頻度範囲の上限値よりも大きくなった場合に異常と判定する。
判定対象の吸着容器10の供給頻度が、許容頻度範囲内である場合、流動異常判定部53は、この吸着容器10の流動状態は正常であると判定する。ただし、供給頻度の増加は、原則として、流動状態が良好であることを意味する。よって、流動異常判定部53は、上記許容頻度範囲の下限値に相当する供給頻度判定用しきい値を用いて、流動状態を判定してもよい。すなわち、流動異常判定部53は、判定対象の吸着容器10の供給頻度が供給頻度判定用しきい値以上である場合に、この吸着容器10の流動状態が正常であると判定してもよい。
流動異常判定部53は、吸着材の流動状態に異常が発生していると判定した吸着容器10が存在する場合、オペレータへの報知を行う。流動異常判定部53は、吸着材の流動状態に異常が発生していると判定した吸着容器10の情報を、画面表示又は音声発信等により、制御装置5の出力装置に報知させる。
(循環量監視部)
循環量監視部54は、システム全体としての吸着材の循環量を監視する。循環量監視部54には、検出部8によって検出された循環量の情報が定期的に入力される。
循環量監視部54は、予め設定されている目標循環量と、検出部8から入力された実際の循環量とを比較する。循環量監視部54は、実際の循環量が目標循環量を下回らないように、ガス処理システム100(図1)を循環する吸着材の量を制御する。循環量監視部54は、実際の循環量が目標循環量よりも少ない場合、吸着材の貯槽(図示略)を制御して新たな吸着材をガス処理システム100に補給する。
[実施形態の効果]
吸着容器10内におけるホットスポットの発生を予防するためには、吸着容器10の吸着材を適切な速度で流下させて、所定の時間内に吸着容器10から排出することが必要である。すなわち、吸着容器10内における吸着材の滞留を抑制する必要がある。そこで、上記実施形態に係るガス処理システム100の滞留判定部51は、各吸着容器10について、吸着材の供給量と排出量との差に基づき、吸着材の滞留が発生しているか否かを判定する。この滞留判定部51によれば、吸着材の滞留を検知することができる。
吸着容器10内で吸着材の滞留が生じると、吸着材の反応熱がこもること等により、吸着材が高温となってホットスポットが発生する。上記実施形態では、滞留判定部51によって吸着容器10に滞留が発生していると判定された段階で、ガス処理システム100のオペレータへの報知が行われる。オペレータは、例えば、温度計を用いて該当の吸着容器10内の温度を確認することで、ホットスポットが発生し始めているか否かを判断することができる。したがって、吸着容器10内におけるホットスポットの早期発見が可能となる。
例えば、ある吸着容器10において、供給量及び排出量の双方が低下している場合、滞留判定部51は、供給量と排出量との間に差がないものとして、滞留が発生していないと判定する可能性がある。しかしながら、流量低下判定部52は、供給量と排出量との差の有無にかかわらず、供給量及び/又は排出量が設定範囲よりも小さければ、吸着容器10における吸着材の流量が低下していると判定する。流量低下判定部52によって流量が低下していると判定された吸着容器10では、吸着材の滞留が発生している可能性がある。よって、流量低下判定部52によれば、より確実且つ早期に、吸着材の滞留を検知することができる。
上記実施形態において、流量低下判定部52は、吸着容器10間で吸着材の供給量及び/又は排出量に差が生じていることを検知し、報知することができる。よって、オペレータは、吸着容器10間における供給量及び排出量のばらつきを是正することができる。
上記実施形態に係るガス処理システム100では、吸着容器10に吸着材を分配して供給するホッパ2が設けられている。各吸着容器10の供給量を検出する検出部3は、ホッパ2の下流に配置されている。このため、検出部3は、吸着容器10ごとの吸着材の供給量を正確に検出することができる。
ガス処理システム全体としての吸着材の循環量を大きくした場合、吸着容器内の吸着材の流下速度が大きくなり、ホットスポットの発生の防止を期待することができる。しかしながら、吸着材の循環量を大きくすると、吸着材の摩耗が激しくなって新たな吸着材の補給量が増加するため、ランニングコスト上は好ましくない。そこで、上記実施形態に係るガス処理システム100は、検出部8及び循環量監視部54を備える。検出部8は、システム全体の吸着材の循環量を検出する。循環量監視部54は、検出部8によって検出される実際の循環量を監視し、吸着材の流下速度及びランニングコストを考慮して設定された目標循環量を実際の循環量が下回らないように吸着材の循環量を制御する。これにより、吸着容器10内におけるホットスポットの発生を予防しつつ、ガス処理システム100のランニングコストを抑えることができる。
上記実施形態に係るガス処理システム100は、流動異常判定部53を備える。流動異常判定部53は、吸着容器10に対する吸着材の供給頻度の変動に基づき、吸着容器10内の吸着材の流動状態に異常が発生しているか否かを判定する。これにより、吸着容器10内でホットスポットが生成される可能性を、より確実に検知することができる。
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
上記実施形態に係るガス処理システム100は、複数の吸着容器10を備えているが、吸着容器10の数は1つであってもよい。
上記実施形態では、流量低下判定部52は、吸着材の供給量が供給量範囲内に収まっているか否かを判定し、且つ、吸着材の排出量が排出量範囲内に収まっているか否かを判定している。しかしながら、流量低下判定部52は、供給量が供給量範囲内に収まっているか否かのみを判定してもよいし、吸着材の排出量が排出量範囲内に収まっているか否かのみを判定してもよい。
上記実施形態に係るガス処理システム100は、流量低下判定部52、流動異常判定部53、及び循環量監視部54を備える。しかしながら、ガス処理システム100は、流量低下判定部52、流動異常判定部53、及び循環量監視部54のうち少なくとも1つを備えていなくてもよい。ガス処理システム100において、循環量監視部54が設けられていない場合、検出部8を省略することもできる。
上記実施形態に係るガス処理システム100において、検出部8は、搬送装置72と再生塔6との間に配置されている。しかしながら、検出部8は、吸着材の循環量を検出することができる位置に配置すればよい。例えば、搬送装置71と搬送装置72との間、再生塔6と搬送装置73との間、搬送装置73と搬送装置74との間、搬送装置74と搬送装置75との間、あるいは搬送装置75と搬送装置76との間等に、検出部8を配置することができる。
上記実施形態において、検出部3,4は、設定算出タイミングごとに供給量データ及び排出量データを出力するように構成されていてもよい。すなわち、制御装置5における流量データ算出部を検出部3及び検出部4がそれぞれ備え、流量データ算出処理を検出部3及び検出部4が実行してもよい。