<第1の実施形態>
以下、図面を参照して本開示の第1の実施形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や、長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1は、照明装置10の外観を示した斜視図である。図2は、照明装置10の概略構成を模式的に示す斜視図である。図3は、照明装置10の光源として一般に用いられる半導体レーザーの斜視図である。図4Aは、図2に示す照明装置10上に形成されるパターンを示す平面図である。
図1に示す照明装置10は、筐体1に格納されて地面または床面に設置されている。照明装置10は、設置面を投影面Sとして被照明領域Zを照明する。より具体的には、照明装置10は、筐体1に設けられた投光窓2を介して、被照明領域Zを照明する。図示された例では、照明装置10は、被照明領域Zを矢印のパターンで照明するが、これに限られない。照明装置10は、被照明領域Zを、矢印以外の図形や文字のパターンで照明してもよい。このような照明装置10は、図1に示すような筐体1に格納されて設置型の照明装置として用いることができるだけでなく、種々の移動体、すなわち自動車や自転車、船舶や飛行機、列車に用いられる種々の照明装置への適用も可能である。また、上述の照明装置や情報表示灯の一部として用いることも可能である。
図2に示すように、照明装置10は、各々が光Lを射出する複数の光源20と、複数の光源から射出された光Lを回折して被照明領域Zに向ける回折光学素子40と、を含む。また、照明装置10は、複数の光源20から射出された光Lをコリメートするコリメートレンズ30を有している。コリメートレンズ30および回折光学素子40は、光源20からの光源光Lの光路に沿ってこの順で配置され、この順で光源光Lに対して作用する。
図示された例において、各光源20は、レーザー光源である。レーザー光源から投射されるレーザー光は、直進性に優れ、被照明領域Zを高精度に照明するための光として好適である。複数のレーザー光源20は、独立して設けられていてもよいし、共通の基板上に複数のレーザー光源20を並べて配置した光源モジュールであってもよい。複数のレーザー光源20は、一例として、同色、例えば緑色の発光波長域の光を発振する6つのレーザー光源20a,20b,20c,20d,20e,20fである。
ただし、以上の例に限られず、複数のレーザー光源20は、複数の色、例えば赤色と緑色と青色の発光波長域の光を発振するものであってもよい。例えば、レーザー光源20a,20bは赤色の発光波長域の光を発振するものであり、レーザー光源20c,20dは緑色の発光波長域の光を発振するものであり、レーザー光源20e,20fは青色の発光波長域の光を発振するものであってもよい。この場合、複数のレーザー光源20で発光された三色のレーザー光Lを重ね合わせることで、所望の色の照明光で被照明領域Zを照明することが可能となる。複数のレーザー光源20から射出するレーザー光Lの放射束[単位:W]を調節しておくことで、照明光の色を調節することが可能となる。また、発光波長域ごとに、複数個ずつのレーザー光源20が設けられていることにより、発光強度を高めることができる。なお、複数のレーザー光源20の数は、6つに限られず、2以上であればよい。
図示された例において、複数の光源20は、図3に示すように、端面発光型の半導体レーザーである。半導体レーザーは、拡散角度に異方性を持つ拡散光としてのレーザー光Lを射出する。より具体的には、半導体レーザーが射出するレーザー光Lは、半導体レーザーの電極間21に配置された活性層22を含む半導体積層体23の積層方向に沿った第1方向d1での拡散角度θ1と、第1方向d1に垂直な第2方向d2での拡散角度θ2とが異なる。なお、図示の例では、第1方向d1での拡散角度θ1の方が、第2方向d2での拡散角度θ2よりも大きい。各光源20から射出された光Lは、拡散して、その光軸Lxに垂直な断面が楕円形の光になる。より具体的には、上記断面が第1方向d1に沿った長手方向と第2方向d2に沿った短手方向とを有する、楕円形の光になる。なお、光軸Lxに垂直な断面が楕円形となる光を射出する光源としては、端面発光型の半導体レーザーに限られず、各種半導体レーザーや、固体レーザー、SHG(Second Harmonic Generation)レーザー等も採用可能である。
次に、コリメートレンズ30について説明する。コリメートレンズ30は、光源20から出射した拡散光Lを、平行光束に近づくように整形する。図示された例において、照明装置10は、複数のコリメートレンズを有している。より具体的には、照明装置10は、6つ光源20a~20fの各々に対応して、6つのコリメートレンズ30a,30b,30c,30d,30e,30fを有している。各コリメートレンズ30a~30fは、対応するレーザー光源20a~20fから射出されたレーザー光Lをコリメートする。
図示の例では、光源20a~20fからの光の光路に沿った光源20a~20fとコリメートレンズ30a~30fとの間には、他の光学系は配置されておらず、光源20a~20fからの光は、直接コリメートレンズ30a~30fに入射される。これにより、照明装置10を構成する部品の部品点数を少なくして、照明装置10を軽量化することができる。
ところで、各コリメートレンズ30でコリメートされた光Lは、回折光学素子40に入射する。そして、回折光学素子40で回折された光Lは、投光窓2を介して被照明領域Zに入射する。ここで、レーザー光を照射する光源を用いた場合、被照明領域Zを明るく照明することができる一方、照明装置10からの照明光を直視した際、人間の目に悪影響を与える虞がある。したがって、安全性を考慮すると、回折光学素子40への光源光Lの入射領域(スポット領域)41を大きく確保して、回折光学素子40上の各位置での光源光Lのパワー密度を低下させることが好ましい。
このような事情を考慮して、コリメートレンズ30は、レーザー光源20から十分に離れた位置に配置され、十分に拡散された光源光Lがコリメートレンズ30に入射するようになっている。したがって、コリメートレンズ30には光軸Lxに垂直な断面が細長い楕円形の拡散光Lが入射し、コリメートレンズ30は、この楕円形の拡散光Lをコリメートして回折光学素子40に向ける。
もちろん、光源20からの光の光路に沿った光源20とコリメートレンズ30との間に、光源20からの光を拡大してその光路幅を拡げる拡散光学系を配置することにより、十分に拡散された光源光Lがコリメートレンズ30に入射されるようにしてもよい。この場合、光源20とコリメートレンズ30との距離を小さくすることができ、照明装置10を小型化することができる。
次に、回折光学素子40について説明する。回折光学素子40は、光源20から射出した光Lに対して回折作用を及ぼす素子である。図示された回折光学素子40は、光源20からの光Lを回折して、被照明領域Zに向ける。したがって、被照明領域Zは、回折光学素子40での回折光Lによって、照明されることになる。
図示された例において、照明装置10は、複数の回折光学素子40を有している。より具体的には、照明装置10は、6つの回折光学素子40a,40b,40c,40d,40e,40fを有している。各回折光学素子40a~40fは、レーザー光源20a~20fのそれぞれに対応して設けられている。この例によれば、レーザー光源20a~20fが異なる波長域のレーザー光を発振する場合にも、各回折光学素子40a~40fは、対応するレーザー光源で生成された異なる波長域のレーザー光を高効率で回折することが可能となる。
複数のレーザー光源20a~20fの各々から射出した光Lは、各レーザー光源に対応する回折光学素子40a~40fで回折された後、少なくとも部分的に重なる領域を照明する。とりわけ図示された例において、複数のレーザー光源20a~20fの各々から射出した光Lは、各レーザー光源に対応する回折光学素子40a~40fで回折された後、同一の被照明領域Zを照明する。さらに厳密には、各回折光学素子40a~40fで回折された回折光Lは、同一の被照明領域Zの全域のみを照明する。各回折光学素子40a~40fからの回折光Lが、それぞれ、被照明領域Z内のみをその全域に亘って照明することで、被照明領域Z内における明るさのムラや色のムラを効果的に目立たなくすることができる。
一例として、各回折光学素子40は、干渉縞パターンを記録されたホログラム記録媒体として構成される。干渉縞パターンを種々に調整することで、各回折光学素子40で回折される光Lの進行方向、言い換えると、各回折光学素子40で拡散される光Lの進行方向を、制御することができる。
各回折光学素子40は、例えば実物の散乱板からの散乱光を物体光として用いて作製することができる。より具体的には、回折光学素子40の母体であるホログラム感光材料に、互いに干渉性を有するコヒーレント光からなる参照光と物体光とを照射すると、これらの光の干渉による干渉縞がホログラム感光材料に形成されて、回折光学素子40が作製される。参照光としては、コヒーレント光であるレーザー光が用いられ、物体光としては、例えば安価に入手可能な等方散乱板からの散乱光が用いられる。
回折光学素子40を作製する際に用いた参照光の光路を逆向きに進むよう回折光学素子40に向けてレーザー光を照射することで、回折光学素子40を作製する際に用いた物体光の元となる散乱板の配置位置に、散乱板の再生像が生成される。回折光学素子40を作製する際に用いた物体光の元となる散乱板が均一的な面散乱をしていれば、回折光学素子40により得られる散乱板の再生像も、均一な面照明となり、この散乱板の再生像が生成される領域を被照明領域Zとすることができる。
また、各回折光学素子40に形成される複雑な干渉縞のパターンは、現実の物体光と参照光を用いて形成する代わりに、予定した再生照明光の波長や入射方向、並びに、再生されるべき像の形状や位置等に基づき計算機を用いて設計することが可能である。このようにして得られた回折光学素子40は、計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)とも呼ばれる。例えば、照明装置10が地面上や水面上の一定の大きさを有した被照明領域Zを照明することに用いられる場合、物体光を生成することが困難であり、計算機合成ホログラムを回折光学素子40として用いることが好適である。
また、各回折光学素子40上の各点における拡散角度特性が同じであるフーリエ変換ホログラムを計算機合成により形成してもよい。さらに、回折光学素子40の下流側にレンズなどの光学部材を設けて、回折光が被照明領域Zの全域に入射するように調整してもよい。
回折光学素子40の具体的な形態としては、フォトポリマーを用いた体積型ホログラム記録媒体でもよいし、銀塩材料を含む感光媒体を利用して記録するタイプの体積型ホログラム記録媒体でもよいし、レリーフ型(エンボス型)のホログラム記録媒体でもよい。また、回折光学素子40は、透過型であってもよいし、反射型であってもよい。
図示の例においては、光源20からの光の光路に沿ったコリメートレンズ30と回折光学素子40との間には、他の光学系は配置されておらず、コリメートレンズ30で整形された光は、回折光学素子40に直接入射する。これにより、照明装置10を軽量化および小型化することができる。もちろん、光源20からの光の光路に沿ったコリメートレンズ30と回折光学素子40との間に、他の光学系が配置されていてもよい。例えば、コリメートレンズ30と回折光学素子40との間には、アフォーカル光学系が配置されてもよい。この場合、回折光学素子40に入射する光の光路幅(ビーム径)あるいは平行度をより適切に調整することができる。
また、図示の例においては、光源20からの光の光路に沿った回折光学素子40と投光窓2あるいは被照明領域Zとの間には、他の光学系は配置されておらず、回折光学素子40で回折された光は、投光窓2を通過して被照明領域Zに直接入射する。これにより、照明装置10を軽量化および小型化することができる。もちろん、光源20からの光の光路に沿った回折光学素子40と投光窓2あるいは被照明領域Zとの間に、他の光学系が配置されていてもよい。例えば、回折光学素子40と投光窓2あるいは被照明領域Zとの間には、回折光学素子40で回折された光を屈折させる光学系、例えばプリズム、が配置されてもよい。この場合、回折光学素子40を出射した光の0次光の方向を変更あるいは調整することができる。したがって、被照明領域Zを照明するために回折光学素子40に入射する光を当該光の光軸に対して大きな回折角度で回折する必要がある場合、回折光学素子40で回折された光を、更に屈折させて被照明領域Zに向けることができる。このような光学系は、回折光学素子40で高い回折効率で回折された光を、高効率で被照明領域Zへ向けることができる。
なお、上述のように、各回折光学素子40には、光軸Lxに垂直な断面が第1方向d1に細長く延びた光Lが入射する。より具体的には、第1方向d1に長手方向を有し、第2方向d2に短手方向を有する楕円形の光Lが入射する。したがって、各回折光学素子40の入射面上のレーザー光Lの入射領域(スポット領域)41も、第1方向d1に細長く延び、第2方向に短手方向を有する楕円形になる。そして、図示の例では、各回折光学素子40の入射面は、当該回折光学素子40の第1方向d1に細長く延びた入射領域41に対応して、第1方向d1の長さが第2方向d2の長さよりも大きい、細長状になっている。回折光学素子40の入射面がその入射領域41の形状に対応して細長状になっていることにより、回折光学素子40の入射面を小面積化することができ、回折光学素子40を小型化することができる。この結果、照明装置10を小型化することができる。ここで、図示の例では、回折光学素子40の入射面が第1方向d1に細長く延びた細長状になっていることにより、各光源20から射出した光Lの回折光学素子40上の各入射領域41は、回折光学素子40の長手方向に沿って細長く延びることとなる。
ところで、上述のように、各回折光学素子40上の光Lの入射領域41は、第1方向d1に細長く延び、第2方向d2に短手方向を有する楕円形である。これに対応して、複数の光源20から射出される光Lは、照明装置10が格納された筐体1の外部から投光窓2を観察する者に、あるいは投光窓2を介して回折光学素子40を観察する者に、第1方向d1に細長く延びる複数の光Lとして把握される。図示された照明装置10では、この複数の細長く延びる光Lを並べることにより、投光窓2あるいは回折光学素子40にライン状のパターンを形成するようになっている。
より具体的には、図4Aに示すように、複数の光源20から射出した複数の細長く延びる光Lを、その長手方向d1に沿って並べることにより、投光窓2にライン状のパターンを形成している。これにより、複数の細長く延びる光Lをその短手方向d2に沿って並べた場合と比較して、より細いライン状のパターンを投光窓2に形成することができる。なお、図4Aに示す例では、複数の細長く延びる光Lを、投光窓2の鉛直方向に延びる縁部に沿って並べている。
図4Aに示すパターンを形成するため、複数の光源20の向きおよび配置は、以下のように決定されている。まず、上述のように、各光源20は、第1方向d1での拡散角度θ1が第1方向d1と直交する第2方向d2での拡散角θ2よりも大きい拡散光Lを射出する。そこで、各光源20の向きは、各光源20から射出される光Lの第1方向d1が鉛直方向に沿うように決定される。すなわち、図示された例では、図3に示す半導体レーザーの半導体積層体23の積層方向が鉛直方向に沿うように、各光源20の向きが決定される。これにより、対応する回折光学素子40の入射領域41は、鉛直方向に長手方向を有するようになる。さらに、図2に示すように、複数の光源20は、鉛直方向に配列されている。これにより、複数の回折光学素子40の入射領域41が、鉛直方向に並ぶ。したがって、回折光学素子40において、各々が鉛直方向に延びる複数の入射領域41が、鉛直方向に整列するようになる。この結果、照明装置10の複数の光源20から射出される光Lによって、回折光学素子40に、さらには投光窓2に、鉛直方向に延びる細長いライン状のパターンが形成される。なお、このような光源20の向きおよび配置に対応して、各回折光学素子40の長手方向は鉛直方向に沿っており、また、複数の回折光学素子40は、鉛直方向に沿って整列している。
なお、上述の照明装置10を用いて、図4Bに示す水平方向に延びるライン状のパターンを形成することもできる。この場合、複数の光源20の向きおよび配置は、以下のように決定される。まず、各光源20の向きは、各光源20から射出される光Lの第1方向d1が水平方向に沿うように決定される。すなわち、図示された例では、図3に示す半導体レーザーの半導体積層体23の積層方向が水平方向に沿うように、各光源20の向きが決定される。これにより、対応する回折光学素子40の入射領域41は、水平方向に長手方向を有するようになる。さらに、複数の光源20は、水平方向に配列される。これにより、複数の回折光学素子40の入射領域41が、水平方向に並ぶ。したがって、回折光学素子40において、各々が水平方向に延びる複数の入射領域41が、水平方向に整列するようになる。この結果、照明装置10の複数の光源20から射出される光Lによって、回折光学素子40に、さらには投光窓2に、水平方向に延びる細長いライン状のパターンが形成される。なお、この場合、以上のような光源20の向きおよび配置に対応して、各回折光学素子40の長手方向は水平方向に沿っており、また、複数の回折光学素子40は、水平方向に沿って整列している。
さらに、上述の照明装置10を用いて、図4Cに示すような曲線状のパターンを形成することもできる。この場合、複数の光源20の向きおよび配置は、以下のように決定されている。まず、複数の光源20は、形成すべき曲線状のパターンに沿って配置される。図4Cに示す例では、複数の光源20は、円形のパターンに沿って配置される。また、各光源20の向きは、各光源20から射出される光Lの第1方向d1が上記パターンの対応する点における湾曲方向に沿うように決定される。すなわち、図示された例では、図3に示す半導体レーザーの半導体積層体23の積層方向が上記湾曲方向に沿うように、各光源20の向きが決定される。図4Cに示す例では、各光源20の向きは、上記第1方向d1が円の周方向に沿うように決定される。すなわち、半導体積層体23の積層方向が円の周方向に沿うように、各光源20の向きが決定される。これにより、回折光学素子40において、上記パターンに沿って配列された複数の入射領域41の各々が、上記パターンの対応する点における湾曲方向に沿って細長く延びるようになる。この結果、回折光学素子40に、さらには投光窓2に、曲線状のパターンを形成することができる。図4Cに示す例では、回折光学素子40において、円形のパターンに沿って配列された複数の入射領域41の各々が、円の周方向に沿って細長く延びるようになる。この結果、回折光学素子40に、さらには投光窓2に、図4Cに示すような円形のパターンを形成することができる。なお、この場合、以上のような光源20の向きおよび配置に対応して、複数の回折光学素子40は上記曲線状のパターンに沿って配列されており、また、各回折光学素子40の長手方向は、上記パターンの対応する点における湾曲方向に沿っている。図4Cに示す例では、複数の回折光学素子40は円形のパターンに沿って配列されており、また、各回折光学素子40の長手方向は、円の周方向に沿っている。
以上を言い換えると、照明装置10は、各々が光を射出する複数の光源20と、複数の光源20から射出された光Lを回折して被照明領域Zに向ける回折光学素子40と、を備えており、複数の光源20から射出された光の回折光学素子40上の複数の入射領域41の各々は、細長状である。そして、複数の光源20は、直線上または曲線上に並べられており、各入射領域41の長手方向は、当該入射領域41に対応する光源20における上記直線または上記曲線の延びる方向に沿っている。これにより、投光窓2あるいは回折光学素子40に直線状または曲線状のライン状のパターンを形成することができる。
なお、図3に示す照明装置10を複数用いて、図4Dに示す複数のライン状のパターンが並置されたパターンや、図4Eに示す複数のライン状のパターンが互いに交わる方向に延びたパターンを形成してもよい。
なお、上述のライン状のパターンの各点の色は、各点に対応する光源20から射出される光Lの波長域に応じた色である。したがって、複数の光源20が同一の色の波長域の光Lを射出する場合、投光窓2あるいは回折光学素子40に形成されるパターンは、単一の色で表される。また、複数の光源20が互いに異なる複数の波長域の光Lを射出する場合、投光窓2あるいは回折光学素子40に形成されるパターンは、当該複数の波長域に応じた複数の色で表される。例えば、光源20a,20bが赤色の波長域の光Lを射出し、光源20c,20dが緑色の波長域の光Lを射出し、光源20e,20fが青色の波長域の光Lを射出する場合、回折光学素子40a,40b上の入射領域41は赤色となり、回折光学素子40c,40d上の入射領域41は緑色となり、回折光学素子40e,40f上の入射領域41は青色となる。このため、投光窓2あるいは回折光学素子40に形成されるパターンは、光源20a,20bに対応する部分が赤色で表され、光源20c,20dに対応する部分が緑色で表され、光源20e,20fに対応する部分が青色で表される。
次に、以上に説明した構成からなる照明装置10の作用について説明する。
各レーザー光源20から射出したレーザー光Lは、まず、対応するコリメートレンズ30に入射する。ここで、レーザー光源20から射出したレーザー光Lは、互いに直交する第1方向d1および第2方向d2での拡散角度θ1,θ2が異なる拡散光である。図示の例では、第1方向d1での拡散角度θ1は、第2方向d2での拡散角度θ2よりも大きい。また、上述のように安全性に配慮して、コリメートレンズ30は、光源20から十分に離れた位置に配置されている。これにより、コリメートレンズ30に十分に拡散したレーザー光Lが入射する。このため、コリメートレンズ30に入射するレーザー光Lは、その光軸Lxに垂直な断面が第1方向d1に沿って細長く延びた楕円形になる。コリメートレンズ30は、この楕円形の発散光束Lをコリメートする。
コリメートレンズ30でコリメートされたレーザー光Lは、次に、回折光学素子40へと向かう。回折光学素子40は、レーザー光源20から射出するレーザー光Lの中心波長に対応した干渉縞を記録しており、一定の方向から入射するレーザー光Lを所望の方向に高効率で回折することができる。図示された例において、各回折光学素子40は、地面や床面等の投影面S上に位置する同一の被照明領域Zの全域に拡散させる。
この結果、被照明領域Zは、レーザー光源20a~20fから射出したレーザー光Lの重ね合わせにより、被照明領域Zを照明することができる。このため複数のレーザー光源20が複数の波長域の光を射出する場合、照明装置10は、単独のレーザー光源から射出するレーザー光だけでは再現することのできない色にて被照明領域Zを照明することができる。ここで、照明色は、各レーザー光源20から射出するレーザー光Lの放射束を適宜調整しておくことで、言い換えると、各レーザー光源の出力を調整して射出するレーザー光Lの放射束を調節しておくことで、所望の色とすることができる。
ところで、上述のようにコリメートレンズ30には、第1方向d1に沿って延びる楕円形の光Lが入射する。このため、コリメートレンズ30から回折光学素子40に入射するレーザー光Lの入射領域41も、第1方向d1に沿って細長く延びている。そして、複数のレーザー光源20は、上記長手方向(第1方向d1)に沿って配列されている。このため、複数の光源20から射出したレーザー光の回折光学素子40上の複数の入射領域41が、当該入射領域の長手方向d1に沿って、したがって回折光学素子40の長手方向に沿って整列する。この結果、回折光学素子40および投光窓2に、第1方向d1に沿って延びる直線状のパターンが形成される。
以上に説明してきた上述の第1の実施形態において、照明装置10は、各々が光Lを射出する複数の光源20と、複数の光源20から射出された光Lを回折して被照明領域Zに向ける回折光学素子40と、を備えている。そして、各光源20から射出された光の回折光学素子40上の各入射領域41は、その第1方向d1における長さが第1方向d1と交わる第2方向d2における長さよりも大きく、複数の光源20は、第1方向d1に沿って配列されている。この照明装置10は、被照明領域Zを照明することができる。さらに、この照明装置10では、回折光学素子40上の光の入射領域41が各入射領域41の長手方向に沿って配列される。このように各々の長手方向に沿って配列された入射領域41は、照明装置10の外観、あるいは、照明装置10が組み込まれた物品の外観を向上させるために利用することができる。例えば、上記複数の入射領域41によって、照明装置10の回折光学素子40上に、あるいは照明装置10が組み込まれた物品の表面に、細いライン状のパターンを形成することができる。
なお、上述の第1の実施形態において、回折光学素子40は、光Lが入射する入射面を有し、入射面の第1方向d1における長さは、入射面の第2方向d2における長さよりも大きい。この場合、回折光学素子40の入射面は、各光源20から射出した光Lの回折光学素子40上の各入射領域41の形状に応じた形状を有している。これにより、回折光学素子40の入射面を小面積化することができ、回折光学素子40を小型化することができる。そして、結果として、照明装置10の寸法を小型化することができる。
具体的には、光源20は、端面発光型の半導体レーザーを含む各種半導体レーザー、固体レーザーまたはSHGレーザーである。そして、光源20が射出する光の第1方向d1での拡散角度は、第2方向d2での拡散角度よりも大きい。
また、上述の第1の実施形態において、前記光の光路に沿った各光源20と回折光学素子40との間に、光源20から射出された光Lを平行光束に近付けるコリメートレンズ30を含む。これにより、平行化された光Lが回折光学素子40に入射するので、回折光学素子40で光Lを所望の方向に高精度に回折させることができる。
また、上述の第1の実施形態において、光源20からの光Lは、コリメートレンズ30に直接入射される。この場合、照明装置10を軽量化することができる。
あるいは、上述の第1の実施形態において、照明装置10は、各々が光を射出する複数の光源20と、複数の光源20から射出された光Lを回折して被照明領域Zに向ける回折光学素子40と、を備え、複数の光源20から射出された光Lの回折光学素子40上の複数の入射領域41の各々は、細長状である。そして、複数の光源20は、直線上または曲線上に並べられており、各入射領域41の長手方向は、当該入射領域41に対応する光源20における前記直線または前記曲線の延びる方向に沿っている。この照明装置10は、被照明領域Zを照明することができる。さらに、この照明装置10では、複数の入射領域41が直線上または曲線上を連なって延びて、当該直線または曲線のライン状のパターンを形成する。そして、このライン状のパターンを、照明装置10の外観、あるいは、照明装置10が組み込まれた物品の外観を向上させるために利用することができる。
<第2の実施形態>
次に、図5乃至図7を参照して、本開示の第2の実施形態について説明する。図5は、照明装置ユニット100を示した斜視図である。図6は、照明装置ユニット100の構成を示す概略図である。図7は、図5および図6に示す照明装置ユニット100上に観察される光のパターンを示す平面図である。
図5および図6に示すように、照明装置ユニット100は、第1の照明装置として図2に示す照明装置10と、第2の照明装置200と、を有する。第2の照明装置200は、光を射出する光源220を有する。図示の例では、第2の照明装置200の光源220は、レーザー光を射出するレーザー光源であるが、これに限られない。例えば、第2の照明装置200の光源220は、ハロゲンランプやLED(Light Emitting Diode)、HIDランプ(High-Intensity Discharge lamp)、キセノンランプ、ナトリウムランプ、メタルハライドランプおよび水銀灯のいずれかを含むものであってもよい。第1の照明装置10および第2の照明装置200は、筐体101に格納されて地面または床面等の設置面Sに設置されている。そして、第1の照明装置10は、筐体101に設けられた投光窓102の縁部の近傍領域を介して、設置面S上の第1被照明領域Z1を矢印のパターンで照明する。一方、第2の照明装置200は、照明装置ユニット100の前方領域を広範囲に照明することを目的として設けられている。第2の照明装置200は、投光窓102の中央領域を介して、設置面S上の、扇形の第2被照明領域Z2を照明する。
図示の例では、照明装置ユニット100は、さらに、第2の照明装置200の光源220から射出される光L2の放射束に応じて第1の照明装置10の光源20から射出される光L1の放射束を調整する制御装置250を有する。制御装置250は、第2の照明装置200の光源220から射出される光L2の放射輝度よりも第1の照明装置10の光源20から射出される光L1の放射輝度が小さくなるよう、第1の照明装置10の光源20から射出される光の放射輝度を調整する。なお、制御装置250は、第1の照明装置10の光源20から射出される光L1の放射輝度に応じて第2の照明装置200の光源220から射出される光L2の放射輝度を調整するものであってもよい。この場合、制御装置250は、第2の照明装置200の光源220から射出される光L2の放射輝度よりも第1の照明装置10の光源20から射出される光L1の放射輝度が小さくなるよう、第2の照明装置200の光源220から射出される光L2の放射輝度を調整する。もちろん、第2の照明装置200の光源220から射出される光L2の放射輝度および第1の照明装置10の光源20から射出される光L1の放射輝度のいずれかを制御することなく、光源220から射出される光の放射輝度よりも光源20から射出される光の放射輝度が小さい場合は、照明装置ユニット100は上述のような制御装置250を有していなくてもよい。図示の例では、制御装置250も、第1の照明装置10および第2の照明装置200と共に、筐体101に格納されている。
以上のような照明装置ユニット100の投光窓102を観察すると、図7に示すように、投光窓102の縁部の近傍領域に、第1の照明装置10からの光L1により形成される線状のパターンが観察される。また、光L1が形成する線状のパターンの一側となる投光窓102の中央領域に、第2の照明装置200からの光L2により形成されるパターンが観察される。ここで、図示の例では、光L2が形成するパターンは、円形のパターンである。そして、第1の照明装置10からの光L1により形成される線状のパターンの明るさは、投光窓102の中央に形成される第2の照明装置200からの光L2により形成されるパターンの明るさよりも弱い。このため、第1の照明装置10からの光L1により形成される線状のパターンの一側(投光窓102の中央領域側)の明るさと、他側(投光窓102の外側)の明るさとの差を、緩和することができる。この結果、第2の照明装置200からの光L2により形成されるパターンの輪郭のうち、第1の照明装置10からの光L1により形成される線状のパターンに隣接する部分を、目立たなくすることができる。これにより、照明装置ユニット100の外観を向上させることができる。
なお、照明装置ユニット100は、複数の第1の照明装置10を含んでもよい。例えば、図8に示すように、照明装置ユニット100は、第2の照明装置200からの光L2により形成されるパターンの全周に亘って線状のパターンが形成されるように、複数の第1の照明装置10を含んでもよい。
以上に説明してきた上述の第2の実施形態において、照明装置ユニット100は、上記第1の実施形態で説明した照明装置10である第1の照明装置10と、光L2を射出する光源220を有する第2の照明装置200と、を備えている。この場合、第1の照明装置10からの光L1により形成される線状のパターンと第2の照明装置200からの光L2により形成されるパターンとを組み合わせて、照明装置ユニット100の外観を向上させることができる。
図示の例では、照明装置ユニット100は、第2の照明装置200の光源220から射出される光L2の放射束に応じて第1の照明装置10の光源20から射出される光L1の放射束を調整する制御装置250を更に備えている。この場合、第1の照明装置10からの光L1により形成される線状のパターンの明るさを第2の照明装置200からの光L2により形成されるパターンの明るさに応じて調整することができ、照明装置ユニット100の外観をさらに向上させることができる。
具体的には、制御装置250は、第2の照明装置200の光源220から射出される光L2の放射輝度よりも第1の照明装置10の光源20から射出される光L1の放射輝度が小さくなるよう、第1の照明装置10の光源20から射出される光L1の放射輝度を調整する。この場合、第1の照明装置10からの光L1により形成される線状のパターンを利用して、第2の照明装置200からの光L2により形成されるパターンの明るさとその外周部の明るさとの差を緩和させることができる。したがって、第2の照明装置200からの光L2により形成されるパターンの輪郭を目立たなくして、照明装置ユニット100の外観を向上させることができる。
もちろん、制御装置250は、第1の照明装置10の光源20から射出される光L1の放射輝度に応じて第2の照明装置200の光源220から射出される光L2の放射輝度を調整するものであってもよい。この場合、第1の照明装置10からの光L1により形成されるパターンの明るさに応じて第2の照明装置200からの光L2により形成されるパターンの明るさを調整することができ、照明装置ユニット100の外観をさらに向上させることができる。
例えば、制御装置250が、第2の照明装置200の光源220から射出される光L2の放射輝度よりも第1の照明装置10の光源20から射出される光L1の放射輝度が小さくなるよう、第2の照明装置200の光源220から射出される光L2の放射輝度を調整するものであれば、第1の照明装置10からの光L1により形成される線状のパターンを利用して、第2の照明装置200からの光L2により形成されるパターンの明るさとその外周部の明るさとの差を緩和させることができる。そして、第2の照明装置200からの光L2により形成されるパターンの輪郭を目立たなくして、照明装置ユニット100の外観を向上させることができる。
なお、第2の照明装置200の光源220は、レーザー光を射出するものであってもよい。また、第2の照明装置200の光源220は、ハロゲンランプ、LED、HIDランプ、キセノンランプ、ナトリウムランプ、メタルハライドランプおよび水銀灯の少なくとも一つを含むものであってもよい。
また、照明装置ユニット100は、第1の照明装置10および第2の照明装置200を収容する筐体1を更に備えている。この場合、第1の照明装置10および第2の照明装置200を含む照明装置ユニット100の設置が容易である。なお、図示の例では、照明装置ユニット100は制御装置250を含み、筐体1は、第1の照明装置10、第2の照明装置200および制御装置250を収容する。このため、第1の照明装置10、第2の照明装置200および制御装置250を含む照明装置ユニット100の設置が容易である。なお、上述の第1の実施の形態において説明したように、第1の照明装置10をその寸法が小さくなるように構成すれば、筐体1の寸法が何らかの事情により制限される場合であっても、第1の照明装置10と第2の照明装置200とを、あるいは、第1の照明装置10と第2の照明装置200と制御装置250とを、一つの筐体1に格納することができる。
以上において、一実施の形態とその変形例を説明してきたが、当然に、異なる変形例として説明された複数の構成を適宜組み合わせることも可能である。