以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1は、照明装置10の全体構成を模式的に示す斜視図である。照明装置10は、コヒーレント光を用いて被照明領域Zを照明する。照明装置10は、コヒーレント光源として機能するレーザ光源15を有する。レーザ光源15は、コヒーレント光の一例としてレーザ光を発振する。照明装置10は、レーザ光源15から射出した光に作用する整形光学系20、走査装置30、集光光学系40及び光拡散素子50を有している。図1に示された例において、整形光学系20、走査装置30、集光光学系40及び光拡散素子50は、レーザ光源15からのレーザ光の光路に沿ってこの順で配置され、この順でレーザ光に対して作用する。ここで説明する照明装置10は、以下に詳述するように、整形光学系20及び集光光学系40での光学作用によって、コヒーレント光源の性能を十分に活用しながら、所望の配光パターンで被照明領域Zを高光量で照明することができる。以下、各構成要素について、順に説明していく。
図1に示された例において、レーザ光源15は、レーザ光を発光する複数の光源部17を有する。複数の光源部17は、独立して設けられていてもよいし、共通の基板上に複数の光源部17を並べて配置した光源モジュールであってもよい。複数の光源部17は、一例として、赤色の発光波長域の光を発振する第1光源部17aと、緑色の発光波長域の光を発振する第2光源部17bと、青色の発光波長域の光を発振する第3光源部17cと、を有している。この例によれば、複数の光源部17a,17b,17cが発光した三つのレーザ光を重ね合わせることで、白色の照明光を含む種々の色の照明光を生成することができる。
なお、以下において、レーザ光源15が、発光波長域が互いに異なる三つの光源部17a,17b,17cを有する例について説明するが、この例に限られない。レーザ光源15は、発光波長域が互いに相違する二つの光源部17又は四つ以上の光源部17を有するようにしてもよい。また、発光強度を高めるために、発光波長域ごとに、複数個ずつの光源部17が設けられていてもよい。
ところで、図1に示すように、照明装置10は、レーザ光源15と接続された発光制御部12を有している。発光制御部12は、レーザ光源15によるレーザ光の発光タイミングを制御する。とりわけ、発光制御部12は、各光源部17a,17b,17cからのレーザ光の射出およびレーザ光の射出停止を、他の光源部から独立して、切り替えることができる。発光制御部12によるレーザ光の射出の有無の制御は、走査装置30による複数のレーザ光の走査タイミングに基づいて、言い換えると、光拡散素子50上におけるレーザ光の入射位置に基づいて、実施される。上述したように、レーザ光源15が赤青緑の三つのレーザ光を発光可能である場合、各レーザ光の発光タイミングを制御することで、赤青緑のうち任意の二色以上の色を混ぜ合わせた色の照明光を生成することが可能となる。
発光制御部12は、各光源部17からレーザ光を発光させるか否か、すなわち発光のオン/オフを制御してもよいし、各光源部17から射出した後のレーザ光の光路を遮断するか否かを切り替えてもよい。後者の場合、各光源部17と整形光学系20との間に不図示の光シャッタ部を設けて、この光シャッタ部でレーザ光の通過及び遮断を切り替えればよい。
次に、整形光学系20について説明する。整形光学系20は、レーザ光源15から射出したレーザ光を整形する。言い換えると、整形光学系20は、レーザ光の光軸に直交する断面での形状や、レーザ光の光束の立体的な形状を整形する。
図2は、照明装置10を示す平面図である。図2に示すように、整形光学系20は、レーザ光の光路に沿った順で、ビームエクスパンダ21、コリメートレンズ22及びレンズアレイ23を有している。ビームエクスパンダ21は、レーザ光源15から射出したレーザ光を発散光束に整形する。コリメートレンズ22は、ビームエクスパンダ21で生成された発散光束を、平行光束lf1に整形し直す。レンズアレイ23は、コリメートレンズ22に対面する位置に配置された複数の要素レンズ24を含んでいる。各要素レンズ24は、その光軸d24が、コリメートレンズ22の光軸d22と平行となるようにして配置されている。また、複数の要素レンズ24は、コリメートレンズ22の光軸d22に直交する仮想面vl上に配列されている。各要素レンズ24は、コリメートレンズ22で整形された後に入射してくる平行光束lf1を収束光束lf2に整形する。
図2に示された例において、整形光学系20は、レーザ光源15から射出したレーザ光を複数の光束lf2に分割する。整形光学系20は、レンズアレイ23に含まれる要素レンズ24の数と同数の光束lf2に分割する。図示された例において、各要素レンズ24は、コリメートレンズ22で整形された後に入射してくる平行光束lf1を収束光束lf2に整形する。すなわち、整形光学系20で分割された各光束lf2は、収束光束となっている。また、図示された例において、複数の要素レンズ24は、互いに同一に構成されている。したがって、複数の要素レンズ24から出射した複数の光束lf2は、互いに同一の配光となっている。例えば、複数の光束lf2は、同一の収束角度や収束位置を有し、複数の光束lf2の光軸dlf2は、互いに平行となる。
整形光学系20は、レーザ光源15に含まれる各光源部17に対応して、複数設けられるようにしてもよい。また、複数の光源部17a,17b,17cからのレーザ光の光路を調整し得る単一の整形光学系20が設けられるようにしてもよい。図2に示された例では、図2の紙面の奥行き方向に複数の光源部17a,17b,17cが配列され、ビームエクスパンダ21が、図2の紙面の面内でのみレーザ光を発散させ、整形光学系20のコリメートレンズ22及びレンズアレイ23の要素レンズ24が、それぞれ、図2の紙面の奥行き方向に一定の断面形状で延びるシリンドリカルレンズとして構成されていてもよい。この例によれば、コリメートレンズ22及びレンズアレイ23を、複数の光源部17の間で共用することができる。
次に、走査装置30について説明する。走査装置30は、レーザ光源15から射出したレーザ光の進行方向を調整する。走査装置30は、レーザ光の進行方向を経時的に変化させる。走査装置30での光路調整により、レーザ光源15から射出したレーザ光は、光拡散素子50上を走査する。図1及び図2に示された例において、走査装置30は、六つの反射面を有したポリゴンミラー31として形成されている。ポリゴンミラー31は、その中心軸線を回転軸線raとして回転することにより、一定方向から入射する光の反射方向を周期的に変化させることができる。ポリゴンミラー31の六つの反射面の各々は、平坦面として形成されている。したがって、図3に示すように、整形光学系20で整形された三つの光束lf3は、ポリゴンミラー31での反射によって進路を変更された後においても、その光軸dlf3を平行に保っている。ここで図3は、走査装置30から光拡散素子50までの光路を示す部分拡大平面図である。
とりわけ、図示された例において、ポリゴンミラー31の回転軸線raと平行な方向に、複数の光源部17a,17b,17cが配列されている(図1参照)。ポリゴンミラー31の反射面は、その回転軸線raに沿って、第1反射部31a、第2反射部31b及び第3反射部31cを含んでいる。第1反射部31aは、第1光源部17aから射出したレーザ光を反射し、回転軸線raに直交する面内において、当該レーザ光の進行方向を周期的に変化させる。また、第2反射部31bは、第2光源部17bから射出したレーザ光を反射し、第3反射部31cは、第3光源部17cから射出したレーザ光を反射する。
なお、図2に示すように、ポリゴンミラー31は、レンズアレイ23の要素レンズ24の焦点位置又はその近傍となる位置において整形光学系20からの光を反射するよう、整形光学系20に対して位置決めされている。したがって、図3に示すように、ポリゴンミラー31から反射された光は、概ね、ポリゴンミラー31の反射面を発散点とする発散光束lf3となる。
なお、走査装置30は、図示されたポリゴンミラー31に限られない。走査装置30として、一定方向から入射する光の進行方向を二軸方向で立体的に変化させる装置を用いることもできる。一例として、デジタルミラーデバイス(DMD:digital micromirror device)等のMEMS(micro electro mechanical systems)を、走査装置30として用いることができる。
次に、集光光学系40について説明する。集光光学系40は、整形光学系20から光拡散素子50までのレーザ光の光路中に配置される。集光光学系40は、整形光学系20で整形されたレーザ光に対して光学作用を及ぼす。集光光学系40は、レーザ光を集光して、光拡散素子50上でのスポット領域S、すなわち、ある瞬間に光拡散素子50上でレーザ光を照射されている領域を小面積化する。
図示された例において、集光光学系40は、焦点Pfを有した集光レンズ41によって形成されている。集光レンズ41は、走査装置30から光拡散素子50へ向かうレーザ光の光路中に配置されている。上述したように、整形光学系20は、レーザ光を複数の光束lf3に分割する。そして、図3に示すように、複数の光束lf3の光軸dlf3は、互いに平行となっている。したがって、図3に示すように、集光レンズ41でのレンズ作用によって、三つの光束lf4の光軸dlf4は、集光レンズ41の光軸d40に沿って集光レンズ41の焦点距離f40だけ集光レンズ41から離間した仮想面vlf上の位置Pxにおいて、交わっている。図示された例において、集光レンズ41の光軸d40に沿って集光レンズ41の焦点距離f40だけ集光レンズ41から離間した仮想面vlf上に、光拡散素子50が配置されている。このため、整形光学系20で整形された三つの光束lf3は、集光光学系40での集光作用により、少なくとも部分的に光拡散素子50上において重ねて合わせられる。
とりわけ図示された例では、図3に示すように、ポリゴンミラー31は、集光レンズ41の光軸d40に沿って集光レンズ41の焦点距離f40だけ集光レンズ41から離間した位置または当該位置の近傍において、整形光学系20からのレーザ光を反射するよう、走査装置30及び集光光学系40は配置されている。さらに、上述したように、ポリゴンミラー31で反射されて集光光学系40へ入射する複数の光束lf3の各々は、発散光束lf3であり、当該発散光束の発散点は、ポリゴンミラー31の反射面上またはその近傍に位置している。したがって、各光束lf3は、集光レンズ41を透過することで平行光束lf4に変換される。この結果、整形光学系20で整形された複数の光束lf4は、集光光学系40での集光機能により、光拡散素子50上の同一領域に照射される、つまり、光拡散素子50上で高精度に重ね合わせられる。そして、走査装置30がレーザ光の進行方向を経時的に変化させることで、複数の光束lf4が集光光学系40に集光されてなるスポット領域Sは、光拡散素子50上で経時的に位置を変化させるようになる。
集光光学系40は、レーザ光源15に含まれる各光源部17a,17b,17cに対応して、複数設けられるようにしてもよい。また、複数の光源部17a,17b,17cからのレーザ光の光路を調整し得る単一の集光光学系40が設けられるようにしてもよい。
例えば、レーザ光が、図3の紙面と平行な面内においてのみ、発散又は収束する場合、集光光学系40をなす集光レンズ41は、図2の紙面の奥行き方向に一定の断面形状で延びるシリンドリカルレンズとして構成されてもよい。この例によれば、集光レンズ41を、複数の光源部17a,17b,17cで発光されたレーザ光の間で共通して利用することが可能となる。
次に、光拡散素子50について説明する。光拡散素子50は、レーザ光を拡散させて、所定範囲を照明する。より具体的には、光拡散素子50で拡散されたレーザ光は、被照明領域Zを通過した後、実際の照明範囲である所定範囲を照明する。
ここで、被照明領域Z及びその一部をなす要素被照明領域Zpは光拡散素子50内の各要素拡散素子55によって重ねて照明されるニアフィールドの被照明領域である。ファーフィールドの照明範囲は、実際の被照明領域の寸法よりも、角度空間における拡散角度分布として表現されることが多い。本明細書における「被照明領域」及び「要素被照明領域」という用語は、実際の被照射面積(照明範囲)に加え角度空間における拡散角度範囲も包含するものとする。したがって、図1及び図4の照明装置10によって照明される所定範囲は、図1及び図4に示すニアフィールドの被照明領域Zよりもはるかに広い領域となりうる。
図4は、光拡散素子50を、当該光拡散素子50によって光が向けられるようになる被照明領域Zともに、示す平面図である。図示された例において、光拡散素子50は、レーザ光源15が複数の第1〜第3光源部17a,17b,17cを有することに対応して、第1光拡散素子50a、第2光拡散素子50b及び第3光拡散素子50cを有している。
第1光源部17aからのレーザ光は、第1光拡散素子50aに入射し、第2光源部17bからのレーザ光は、第2光拡散素子50bに入射し、第3光源部17cからのレーザ光は、第3光拡散素子50cに入射する。各光拡散素子50a,50b,50cの全域に入射して拡散したレーザ光を用いて、互いに同一の被照明領域Zの全域を照明することができる。したがって、第1光拡散素子50aが第1光源部17aからの赤色光を被照明領域Zに向け、第2光拡散素子50bが第1光源部17bからの緑色光を被照明領域Zに向け、第3光拡散素子50cが第3光源部17cからの青色光で被照明領域Zを向けることで、被照明領域Zを白色に照明することができる。図1に示すように、各光拡散素子50a,50b,50cは、それぞれ、走査装置30をなすポリゴンミラー31の回転軸線raに直交する方向に細長く形成されている。そして、複数の光拡散素子50a,50b,50cは、その長手方向と直交する方向に並べられている。
図4に点線で示すように、各光拡散素子50a,50b,50cは、複数の要素拡散素子55を有している。各要素拡散素子55は、その入射面内における各領域への入射光を当該領域の位置に応じた特定の方向に向ける光路制御機能を有している。ここで説明する要素拡散素子55は、その任意の領域または任意の位置への入射光の進行方向を補正して所定の領域に向ける。すなわち、要素拡散素子55の入射面を平面分割してなる各領域に照射されたレーザ光は、要素拡散素子55を経由した後に、少なくとも一部分において重なり合う領域を照明するようになる。
図示された例では、走査装置30を経て要素拡散素子55内の微小領域に入射した光は、要素拡散素子55で拡散して、一定の要素被照明領域Zpの全域を照明する。要素被照明領域Zpは、被照明領域Zの一部分をなしている。一つの要素拡散素子55に対応する要素被照明領域Zpは、少なくとも部分的に、他の要素拡散素子55に対応する要素被照明領域Zpと重なっていない。すなわち、複数の要素拡散素子55に対応した要素被照明領域Zpの集合が、照明装置10によって照明可能な被照明領域Zとなる。
図4に示された例では、九つの要素拡散素子55が、各光拡散素子50a,50b,50cの長手方向に沿って一直線上に並べられている。被照明領域Zは、格子状に九つの要素被照明領域Zpに平面分割されている。すなわち、図示された例において、一つの要素被照明領域Zpは、他の要素被照明領域Zpと重なっていない。各光拡散素子50a,50b,50cの第1の要素拡散素子55aは、第1の要素被照明領域Zp1を照明する。
同様に、各光拡散素子50a,50b,50cの第2〜第8の要素拡散素子55b〜55iは、それぞれ、第2〜第9の要素被照明領域Zp2〜ZP9を照明する。
走査装置30がレーザ光の進行方向を経時的に変化させることによって、図4に示すように、各光拡散素子50a,50b,50cの長手方向に沿って、レーザ光が光拡散素子50a,50b,50c上を走査する。図4に示すように、或る瞬間にレーザ光を照射されている光拡散素子50上の領域、すなわちスポット領域Sは、要素拡散素子55よりも小さい面積となっている。スポット領域Sは、第1〜第9の要素拡散素子55a〜55iを順に走査する。
光拡散素子50は、例えばホログラム記録媒体52を用いて形成される。図1及び図4に示された例において、各光拡散素子50a,50b,50cにそれぞれ対応して、三つのホログラム記録媒体52a,52b,52cが、設けられている。各ホログラム記録媒体52a,52b,52cは、波長域が異なる複数のレーザ光のそれぞれに対応して設けられている。各ホログラム記録媒体52a,52b,52cの全域に入射して拡散された複数波長域のレーザ光を用いることで、互いに同一の被照明領域Zの全域を照明することが可能となっている。
各ホログラム記録媒体52a,52b,52cが、複数の要素拡散素子55に区分けされている。各要素拡散素子55は、互いに異なる干渉縞パターンを記録された要素ホログラム57から構成されている。各要素ホログラム57に入射したレーザ光は、干渉縞パターンによって回折されて、被照明領域Z上の対応する要素被照明領域Zpを照明する。干渉縞パターンを種々に調整することで、各要素ホログラム57で回折されるレーザ光の進行方向、言い換えると、各要素ホログラム57で拡散されるレーザ光の進行方向を、制御することができる。
要素ホログラム57は、例えば実物の散乱板からの散乱光を物体光として用いて作製することができる。より具体的には、要素ホログラム57の母体であるホログラム感光材料に、互いに干渉性を有するコヒーレント光からなる参照光と物体光とを照射すると、これらの光の干渉による干渉縞がホログラム感光材料に形成されて、要素ホログラム57が作製される。参照光としては、コヒーレント光であるレーザ光が用いられ、物体光としては、例えば安価に入手可能な等方散乱板の散乱光が用いられる。
要素ホログラム57を作製する際に用いた参照光の光路を逆向きに進むよう要素拡散素子55に向けてレーザ光を照射することで、要素ホログラム57を作製する際に用いた物体光の元となる散乱板の配置位置に、散乱板の再生像が生成される。要素ホログラム57を作製する際に用いた物体光の元となる散乱板が均一的な面散乱をしていれば、要素ホログラム57により得られる散乱板の再生像も、均一な面照明となり、この散乱板の再生像が生成される領域が要素被照明領域Zpとなる。
各要素ホログラム57に形成される複雑な干渉縞のパターンは、現実の物体光と参照光を用いて形成する代わりに、予定した再生照明光の波長や入射方向、並びに、再生されるべき像の形状や位置等に基づき計算機を用いて設計することが可能である。このようにして得られた要素ホログラム57は、計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)とも呼ばれる。また、各要素ホログラム57上の各点における拡散角度特性が同じであるフーリエ変換ホログラムを計算機合成により形成してもよい。さらに、要素被照明領域Zpの光軸後方側にレンズなどの光学部材を設けて、実際の照明範囲のサイズおよび位置を設定してもよい。
要素拡散素子55として要素ホログラム57を設けることによる利点の一つは、レーザ光の光エネルギー密度を拡散により低下できることであり、また、その他の利点の一つは、要素ホログラム57が指向性の面光源として利用可能になるため、従来のランプ光源(点光源)と比較して、同じ照度分布を達成するための光源面上の輝度を低下できることである。これにより、レーザ光の安全性向上に寄与でき、要素被照明領域Zpを通過したレーザ光を人間の目で直視しても、単一点光源を直視する場合に比べ、人間の目に悪影響を与えるおそれが少なくなる。
要素拡散素子55の具体的な形態としては、フォトポリマーを用いた体積型ホログラム記録媒体でもよいし、銀塩材料を含む感光媒体を利用して記録するタイプの体積型ホログラム記録媒体でもよいし、レリーフ型(エンボス型)のホログラム記録媒体でもよい。
次に、以上のような構成からなる照明装置10の作用について説明する。
まず、図1に示すように、発光制御部12からの制御信号に基づき、各光源部17a,17b,17cが各波長域のレーザ光を発振する。レーザ光源15から射出したレーザ光は、まず、整形光学系20に進む。図2に示された例において、各波長域のレーザ光は、整形光学系20のビームエクスパンダ21及びコリメートレンズ22によって、平行光束lf1に整形される。その後、各波長域の平行光束lf1は、それぞれ、レンズアレイ23の要素レンズ24によって、複数の収束光束lf2に分割される。各波長域のレーザ光について、複数の収束光束lf2は、同様に整形され、且つ、且つ収束光束lf2の光軸dlf2は互いに平行となる。
整形光学系20で整形されたレーザ光、すなわち、複数の収束光束lf2は、走査装置30をなすポリゴンミラー31に向かう。ポリゴンミラー31は、回転軸線raを中心として連続的に回転している。したがって、ポリゴンミラー31の反射面は、所定の角度域内で周期的に傾斜角度を変化させている。この結果、ポリゴンミラー31による、レーザ光の反射方向は、周期的に変化する。
なお、図2に示すように、ポリゴンミラー31は、複数の収束光束lf2が収束する位置、又は、その近傍の位置において、複数の収束光束lf2を反射する。したがって、複数の収束光束lf2は、ポリゴンミラー31で反射されることで、ポリゴンミラー31の反射位置またはその近傍を発散点とする複数の発散光束lf3に変換される。また、ポリゴンミラー31の六つの反射面の各々は、整形光学系20で整形された複数の収束光束lf2のすべてを反射するのに十分な広さを有している。したがって、図3に示すように、ポリゴンミラー31で反射されたレーザ光からなる複数の発散光束lf3は、その光軸dlf3を平行に維持している。なお、ポリゴンミラー31は、複数の光束lf3を収束した状態で反射するため、ポリゴンミラー31が大型化してしまうことを効果的に回避することもできる。
また、ポリゴンミラー31は、その回転軸線raに沿って、第1反射部31a、第2反射部31b及び第3反射部31cを有している。そして、これらの反射部31a,31b,31cは、同期して動作することから、第1光源部17aからのレーザ光、第2光源部17bからのレーザ光、及び、第3光源部17cからのレーザ光は、同期して、進行方向を変化させる。
図3に示すように、走査装置30で光路を調整された複数の発散光束lf3は、集光光学系40へ入射する。複数の発散光束lf3の光軸dlf3は、互いに平行に維持され、且つ、集光光学系40をなす集光レンズ41の焦点Pf上に、光拡散素子50が配置されている。このため、集光レンズ41で光路を調整された複数の光束lf4は、集光レンズ41で集光され、その光軸dlf4を光拡散素子50上で交差させるようになる。とりわけ、図示された例では、集光レンズ41の後側の焦点位置またはその近傍に、ポリゴンミラー31の反射位置が位置している。したがって、ポリゴンミラー31から集光レンズ41に向かう複数の光束lf3は、集光レンズ41でのレンズ効果によって、平行光束lf4に変換される。そして、複数の平行光束lf4は、光拡散素子50上で互いに重ねられる。
複数の平行光束lf4が光拡散素子50上で互いに重ね合わせられる領域、すなわちスポット領域Sは、走査装置30の動作にともなって、細長状の光拡散素子50の長手方向に沿って光拡散素子50上を走査する。この結果、図4に示すように、複数の要素拡散素子55にレーザ光を順に照明していくことになる。各要素拡散素子55に照射されたレーザ光は、当該要素拡散素子55で拡散され、当該要素拡散素子55に対応した要素被照明領域Zpの全域を照明する。
発光制御部12は、光拡散素子50上におけるレーザ光の照射位置に応じて、光源部17からのレーザ光の発光を制御する。したがって、被照明領域Zの内の所望の要素被照明領域Zpのみを選択して照明することができる。また、発光制御部12は、複数の光源部17a,17b,17cについて、独立して発光を制御することができる。したがって、特定の要素被照明領域Zpを、第1光源部17a、第2光源部17b及び第3光源部17cのうちから選択された一以上で発光された光で照明することも可能となる。すなわち、被照明領域Zに含まれる第1〜第9の要素被照明領域Zp1〜Zp9の各々を、他の要素被照明領域から独立して、照明の有無、明るさの程度および照明光の色を調整することができる。
なお、コヒーレント光を用いた場合、WO2012/033174に開示されているように、スペックルの発生という問題が生じる。スペックルは、斑点模様として認識され、生理的な不快感を与え得る。
図示された照明装置10では、図4に示すように、任意の瞬間に光拡散素子50上においてレーザ光が照射されている領域、すなわち、複数の平行光束lf4が重ねて照射されている光拡散素子50上のスポット領域Sは、要素拡散素子55よりも小さくなっている。そして、スポット領域Sは、走査装置30の動作にともなって、要素拡散素子55内を移動する。要素拡散素子55は、例えばホログラム記録媒体52としての要素ホログラム57からなり、その任意の一部分に特定の方向またはその近傍の方向から入射する特定波長域の光を拡散して、当該要素拡散素子55に対応した要素被照明領域Zpの全域を照明する。したがって、スポット領域Sが、一つの要素拡散素子55内を移動する間、要素被照明領域Zpの各位置に入射する照明光の入射方向は経時的に変化する。この入射方向の変化は、人間の目で分解不可能な速さであり、結果として、人間の目には、相関の無いコヒーレント光の散乱パターンが多重化されて観察される。したがって、各散乱パターンに対応して生成されたスペックルが重なり合って平均化し、観察者に観察されることになる。これにより、各要素被照明領域Zpにおいて、スペックルを目立ちにくくすることができる。
ところで、走査装置30の制御を単純化するため、走査装置30は、レーザ光が光拡散素子50上の全域を周期的に走査し得るように動作することが好ましい。図4に示された例においては、各光拡散素子50a,50b,50cの長手方向に沿って当該光拡散素子50a,50b,50cの全長に亘りレーザ光が走査するよう、走査装置30が動作することが好ましい。そして、特定の要素被照明領域Zpのみを照明したい場合には、走査装置30の動作に応じて、言い換えると、レーザ光が照射されるべき光拡散素子50上の位置に応じて、発光制御部12が、レーザ光源15によるレーザ光の発停を制御すればよい。
その一方で、レーザ光源等のコヒーレント光源から射出したコヒーレント光は、通常、そのスポット領域内において照度の不均一性をともなっている。一般的には、図6に示すように、スポット領域Spの中心において最も明るく、スポット領域Spの周縁に向けてしだいに暗くなっていく。典型的には、スポット領域Spの中心から周縁に向けて、照度分布はガウシアン分布となる。すなわち、スポット領域Spは、照度が低い広い裾野部分を有している。したがって、図6に示すように、このスポット領域Spの全体が、特定の要素被照明領域Zpに対応した一つの要素拡散素子55の内側に位置するようになる有効走査区間scp1は、比較的に短くなる。その一方で、図6に示すように、このスポット領域Spの一部分のみが、当該一つの要素拡散素子55内に位置するようになる非有効走査区間scp2、図6に示された例では、スポット領域Spが、走査方向sdに隣り合う二つの要素拡散素子55に跨がって位置するようになる非有効走査区間scp2は、比較的に長くなってしまう。図6に示された例において、有効走査区間scp1が、非有効走査区間scp2よりも大幅に短くなっている。
図6に示された例において、特定の要素被照明領域Zpのみを照明する場合には、発光制御部12は、スポット領域Spの中心が有効走査区間scp1内に位置するようになる状態でレーザ光を発光し、スポット領域Spの中心が非有効走査区間scp2内に位置するようになる状態でレーザ光の発光を停止することになる。したがって、走査装置30が一定速度で動作する場合、図6に示された例では、レーザ光の発光を停止している時間が極めて長くなる。このことは、レーザ光源15を効率的に利用していることにならない。
さらに、短期間の発光で要素被照明領域Zpを十分に明るく照明するには、高出力のレーザ光源を用意する必要が生じる。
この点、本実施の形態における照明装置10では、整形光学系20及び走査装置30が設けられている。整形光学系20は、レーザ光源15から射出したコヒーレント光を整形する。集光光学系40は、整形光学系20から光拡散素子50までのコヒーレント光の光路に設けられ、光拡散素子50上でのスポット領域Sが要素拡散素子55よりも小さくなるように、コヒーレント光を集光する。この整形光学系20及び走査装置30により、光拡散素子50上でのスポット領域Sの形状及び大きさを整えることができるだけでなく、スポット領域Sの照度分布を均一化することも可能となる。
したがって、図5に示すように、このスポット領域Sの全体が、特定の要素被照明領域Zpに対応した一つの要素拡散素子55内のみに位置するようになる有効走査区間sc1を、比較的長くすることができる。その一方で、図5に示すように、このスポット領域Sの一部分のみが、当該一つの要素拡散素子55内に位置するようになる非有効走査区間sc2、図示された例では、スポット領域Spが、走査方向sdに隣り合う二つの要素拡散素子55に跨がって位置するようになる非有効走査区間sc2を、比較的短くすることができる。図5に示された例において、有効走査区間sc1が、非有効走査区間sc2よりも大幅に長くなっている。したがって、特定の要素被照明領域Zpのみを照明する場合においても、レーザ光が発光している時間を長くすることができる。この点から、高出力のレーザ光源15を用いることなく、レーザ光源15の効率的な利用を図ることで要素拡散素子55を十分に明るく照明することが可能となる。したがって、レーザ光源15の性能を十分に活用して、所望の配光パターンで被照明領域Zを十分に明るい光量で照明することができる。
とりわけ、図4及び図5に示された例において、スポット領域Sの走査方向sdに平行な方向に沿ったスポット領域Sの寸法wsxは、スポット領域Sの走査方向sdに直交する方向に沿った寸法wsyよりも大幅に小さい、とりわけ寸法wsyの半分よりも小さくなっている。そして、スポット領域Sの走査方向sdに平行な方向において、スポット領域Sの寸法wsxは、要素拡散素子55の寸法wpxよりも大幅に小さく、とりわけ寸法wpxの半分よりも小さくなっている。したがって、このスポット領域Sの一部分のみが、当該一つの要素拡散素子55内に位置している非有効走査区間sc2を非常に短くすることができる。このため図4及び図5に示された例によれば、レーザ光源15がレーザ光の発光を停止している時間を大幅に短くすることができる。すなわち、レーザ光源15をより効率的に活用することができる。
また、図5に示すように、スポット領域Sの走査方向sdに直交する方向において、スポット領域Sの寸法wsyは、要素拡散素子55の寸法wpyとほぼ同一または若干小さくなっている。したがって、走査装置30の動作にともなって、光拡散素子50の大部分にコヒーレント光を照射することができる。すなわち、光拡散素子50の全面を有効に利用して、照明装置10の大型化を抑制することもできる。
さらに、整形光学系20及び集光光学系40を用いて、スポット領域Sの形状およびスポット領域S内の照度分布を調整することは、スペックルを目立たなくさせる観点からも都合が良い。
まず、図5に示すように、スポット領域Sの走査方向sdに平行な方向に沿ったスポット領域Sの寸法wsxを小さくすることで、要素拡散素子55の各位置がコヒーレント光を照射され続けている期間を、比較的短くなる。すなわち、要素被照明領域Zpの各位置に向けた照明光の要素拡散素子55からの出射位置が、短時間で切り替わっていく。さらに言い換えると、要素被照明領域Zpの各位置に向けた照明光の入射方向が高速で変化していく。この結果、経時的なスペックルパターンの重ね合わせにより、スペックルを効果的に目立たなくさせることができる。
また、図5に示すように、スポット領域S内の照度分布を均一化することで、各瞬間でのスペックルを効果的に目立たなくさせることができる。図6に示すように、スポット領域Sp内における照度分布の均一性が低い場合、任意の瞬間に、スポット領域Sp内の各位置から要素被照明領域Zp内の一つの位置Psに向かう位相強度が不均一となる。したがって、各瞬間におけるスペックルパターンの重ね合わせが不十分となり、スペックル低減効果を十分有効に発揮することができない。その一方で、図5に示すように、スポット領域Sp内での照度分布が均一化されていると、スポット領域S内の各位置から要素被照明領域Zp内の一つの位置Psに向かう位相強度も均一化される。このため、各瞬間において、スペックルパターンの重ね合わせが有効に実現され、スペックル低減効果を効果的に発揮することができる。
とりわけ図5に示された例では、スポット領域Sの走査方向sdに直交する方向におけるスポット領域Sの寸法wsyを大きく確保している。したがって、スポット領域Sの走査方向sdに平行な方向におけるスポット領域Sの寸法wsxを小さくしながら、スポット領域Sの広がりを有効に確保することができる。この結果、各瞬間において、スペックルパターンの重ね合わせをより効果的に実現することができる。
以上に説明したように、本実施の形態において、照明装置10は、コヒーレント光を整形する整形光学系20と、整形光学系20から光拡散素子50までのコヒーレント光の光路に設けられた集光光学系40と、を有している。集光光学系40は、光拡散素子50上でのスポット領域Sが要素拡散素子55よりも小さくなるように、コヒーレント光を集光する。各要素拡散素子55は、入射したコヒーレント光を拡散して、当該要素拡散素子55に対応した要素被照明領域Zpを照明する。そして、本実施の形態によれば、整形光学系20及び集光光学系40により、スポット領域Sの形状およびスポット領域Sの照度分布を調整することができる。この結果、コヒーレント光源15の性能を十分に活用して、所望の配光パターンで被照明領域Zを十分に明るい光量で照明することができる。
また、本実施の形態において、整形光学系20は、コヒーレント光源15から射出したコヒーレント光を複数の光束lf2に分割する。そして、集光光学系40は、複数の光束lf3が光拡散素子50上で少なくとも部分的に重なるよう、複数の光束lf3の光路を調整する。したがって、コヒーレント光源15からの射出時におけるコヒーレント光の照度分布が不均一であったとしても、当該照度分布を分割して重ね合わせることで、照度分布を効果的に均一化することができる。とりわけ、コヒーレント光源15からの射出時におけるコヒーレント光の照度分布が、典型的なガウシアン分布となっている場合には、当該照度分布を平面分割して重ね合わせることで、極めて効果的に照度分布を均一化することができる。これにより、所望の配光パターンで被照明領域Zをより明るく照明することができる。
さらに、本実施の形態において、集光光学系40は、その焦点位置Pfに光拡散素子50が配置されているレンズ41である。このような集光光学系40によれば、単純な構成を採用しながら、集光光学系40に任意の瞬間に入射する光を、集光光学系40上のスポット領域Sに高効率で集光し、スポット領域Sの照度分布を効果的に均一化することができる。
さらに、本実施の形態において、整形光学系20は、コリメートレンズ22と、コリメートレンズ22から集光光学系40までの光路中に設けられたレンズアレイ23と、を有している。このような整形光学系20によれば、集光光学系40に入射する複数の光束lf3の光軸dlf3を平行にすることができる。この場合、集光レンズ41を用いた集光光学系40によって、整形光学系20によって整形された複数の光束の光軸dlf4を光拡散素子50上で交差させることが可能となり、スポット領域Sの照度分布をより効果的に均一化することができる。
さらに、本実施の形態において、レンズアレイ23は、複数の要素レンズ24を含んでいる。そして、複数の要素レンズ24から出射した光束lf2は、互いに同一の配光とすることができる。この場合、集光レンズ41を用いた集光光学系40によって、整形光学系20によって整形された複数の光束を光拡散素子50上で高精度に互いに重ね合わせることが可能となる。したがって、スポット領域Sの形状をより高精度に調整することができ、且つ、スポット領域Sの照度分布をより効果的に均一化することができる。
なお、上述した一実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、変形の一例について説明する。以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
上述した一実施の形態において、整形光学系20が、ビームエクスパンダ21、コリメートレンズ22及びレンズアレイ23を有する例を示したが、この例に限られない。整形光学系20が、均一強度分布を形成するビームホモジナイザ25によって構成されていてもよい。ビームホモジナイザ25としては、回折光学素子(DOE:diffractive Optical elements)を用いた部材や、非球面レンズ又は自由曲面レンズを用いた部材を採用することができる。
また、上述した一実施の形態において、光拡散素子50が、ホログラム記録媒体52によって構成されている例を示したが、この例に限られない。例えば、各要素拡散素子55をそれぞれ一つのレンズアレイとするレンズアレイ群を用いて光拡散素子50を構成してもよい。この場合、要素拡散素子55ごとにレンズアレイが設けられ、各レンズアレイが被照明領域Z内の要素被照明領域Zpを照明するように各レンズアレイの形状が設計される。そして、各要素被照明領域Zpの位置は、少なくとも一部が相違している。
さらに、上述した一実施の形態では、ポリゴンミラー31が、要素レンズ24の焦点距離だけ要素レンズ24の光軸d24に沿って要素レンズ24から離間した位置において、レーザ光を反射する例を示したが、この例に限られない。また、上述した実施の形態において、ポリゴンミラー31が、集光レンズ41の焦点距離だけ集光レンズ41の光軸d40に沿って集光レンズ41から離間した位置において、レーザ光を反射する例を示したが、この例に限られない。例えば、集光レンズ41が、要素レンズ24から走査装置30に向かう光路中に配置されていてもよい。また、複数の要素レンズ24を含むレンズアレイ23が、走査装置30から集光光学系40に向かう光路中に配置されていてもよい。
さらに、上述した一実施の形態では、コヒーレント光源としてのレーザ光源15が、複数の波長域のレーザ光を発光する例を示したが、この例に限られない。コヒーレント光源は、単一の波長域のコヒーレント光を発光する光源として構成されていてもよい。
さらに、上述した照明装置10は、乗物に搭載されてもよいし、或いは、特定の場所に設置されるようにしてもよい。また、乗物に搭載する場合、乗物は、自動車等の車両、航空機等の飛行体、列車、船舶、潜水物などの各種の移動体にも適用することができる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。