JP7130791B2 - 基板処理方法および基板処理装置 - Google Patents
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Description
典型的な基板処理工程では、スピンチャックに保持された基板に対して薬液が供給される。その後、水が基板に供給され、それによって、基板上の薬液が水に置換される。その後、基板上の水を排除するためのスピンドライ工程が行われる。スピンドライ工程では、基板が高速回転されることにより、基板に付着している水が振り切られて除去(乾燥)される。一般的な水は脱イオン水である。
下記特許文献1のように、リンス処理後スピンドライ工程の前に有機溶剤の液体(以下、単に「有機溶剤」という)を基板の表面に供給する場合には、有機溶剤がパターンの間に入り込む。有機溶剤の表面張力は、典型的な水である水よりも低い。そのため、表面張力に起因するパターン倒壊の問題が緩和される。
そこで、この発明の目的は、パターンの倒壊を効果的に抑制しながら、基板の上面を乾燥させることができる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
液膜境界がフッ化水素蒸気の雰囲気に保たれているので、フッ化水素は処理液の液膜に析出しているシリコン酸化物と反応し、式(1)に示すように、H2SiF6と水とに分解する。
SiO2+6HF→H2SiF6+2H2O ・・・(1)
これにより、処理液中に析出しているシリコン酸化物がパターンに付着しないか、あるいはパターンに付着しているシリコン酸化物を除去することが可能である。
この発明の一実施形態では、前記液膜除去領域拡大工程において前記処理液の液膜に含まれる処理液が常温よりも高い液温を有している。
この方法によれば、液膜除去領域拡大工程において処理液の液膜に含まれる処理液が常温よりも高い液温を有している。H2SiF6の融点は約19℃であり、処理液の液膜の温度が常温よりも高くなるに従って、残渣の蒸発が促進される。これにより、残渣を蒸発させて基板の上面から除去することができる。
この発明の一実施形態では、前記液膜形成工程において形成される前記処理液の液膜は常温を有している。そして、前記基板処理方法が、前記液膜除去領域拡大工程に並行して前記処理液の液膜を加熱する加熱工程を含む。
この発明の一実施形態では、前記液膜形成工程によって形成される前記処理液の液膜は、フッ酸を含むフッ酸含有液の液膜を含む。そして、前記基板の上方の空間は、その周囲から遮断された遮断空間である。そして、前記フッ化水素雰囲気保持工程は、前記フッ酸含有液の液膜に含まれるフッ酸が前記遮断空間内で蒸発して、フッ化水素を含む蒸気が前記遮断空間に供給される工程を含む。
この発明の一実施形態では、前記フッ酸含有液の液膜は、水よりも低い表面張力を有する有機溶剤とフッ酸との混合液の液膜を含む。
この発明の一実施形態では、前記基板の上方の空間は、その周囲から遮断された遮断空間である。そして、前記フッ化水素雰囲気保持工程は、前記処理液の液膜の周囲の雰囲気を、フッ化水素を含む蒸気の雰囲気に維持すべく、フッ化水素を含む蒸気を前記遮断空間に供給するフッ化水素蒸気供給工程を含む。
この発明の一実施形態では、前記フッ化水素蒸気供給工程によって供給される前記フッ化水素を含む蒸気は、水よりも低い表面張力を有する有機溶剤とフッ化水素とを含む蒸気を含む。
この方法によれば、フッ化水素蒸気供給工程によって供給されるフッ化水素を含む蒸気が、フッ化水素だけでなく有機溶剤をも含むので、処理液の液膜における液膜除去領域との境界近傍に有機溶剤の蒸気を供給することができ、これにより、液膜境界におけるパターンの倒壊を抑制することができる。
この発明の一実施形態では、前記フッ化水素蒸気供給工程は、前記基板の上面に向けて、前記フッ化水素を含む蒸気を吹き付ける工程を含む。
この方法によれば、前記液膜除去領域にフッ化水素を含む蒸気を吹き付けることにより、液膜除去領域の拡大を促進することができる。したがって、前記基板の上面に向けてフッ化水素を含む蒸気を吹き付けることにより、周囲から遮断された遮断空間にフッ化水素を含む蒸気を供給するだけでなく、併せて、液膜除去領域の拡大を促進させることができる。
この発明は、複数の凸状の構造体を含むパターンを表面に有する基板を処理する基板処理方法であって、倒れかけた互いに隣接する構造体同士を接着する異物を、フッ化水素を含む蒸気に曝すことにより、前記構造体から除去する異物除去工程を含み、前記構造体から前記異物を除去することにより、倒れている前記構造体を前記起立状態に弾性復元させる、基板処理方法を提供する。
前記基板処理方法が、前記基板の表面に処理液を供給して、当該基板の表面を覆う処理液の液膜を形成する液膜形成工程と、前記処理液の液膜から処理液を部分的に排除して、前記処理液の液膜に液膜除去領域を形成する液膜除去領域形成工程と、前記液膜除去領域を前記基板の外周に向けて拡大させる液膜除去領域拡大工程とをさらに含んでいてもよい。そして、前記異物除去工程が、前記液膜除去領域拡大工程において実行されてもよい。
この発明の一実施形態では、前記基板処理方法は、前記異物除去工程に並行して、前記基板の裏面を加熱する裏面加熱工程をさらに含む。
この発明は、複数の凸状の構造体を含むパターンを表面に有する基板を、保持する基板保持ユニットと、前記基板の表面に、フッ化水素を含む蒸気を供給するための蒸気供給ユニットと、前記蒸気供給ユニットを制御する制御装置と、を含み、前記制御装置は、前記基板の表面に前記蒸気を供給することにより、倒れかけた互いに隣接する構造体同士を接着する異物を、前記構造体から除去する異物除去工程を実行し、前記構造体から前記異物を除去することにより、倒れている前記構造体を前記起立状態に弾性復元させる、基板処理装置を提供する。
前記基板処理装置が、前記基板保持ユニットに保持されている前記基板を、その中央部を通る回転軸線周りに回転させるための回転ユニットと、前記基板の表面に、処理液を供給するための処理液供給ユニットとをさらに備えていてもよい。そして、前記制御装置が、前記処理液供給ユニットによって前記基板の表面に処理液を供給して、当該基板の表面を覆う処理液の液膜を形成する液膜形成工程と、前記処理液の液膜から処理液を部分的に排除して、前記処理液の液膜に液膜除去領域を形成する液膜除去領域形成工程と、前記回転ユニットによって前記回転軸線周りに回転させることにより前記液膜除去領域を前記基板の外周に向けて拡大させる液膜除去領域拡大工程とを実行してもよい。そして、前記異物除去工程が、前記液膜除去領域拡大工程において実行されてもよい。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置1の内部のレイアウトを説明するための図解的な平面図である。基板処理装置1は、シリコンウエハなどの基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。この実施形態では、基板Wは、円板状の基板である。基板処理装置1は、処理液で基板Wを処理する複数の処理ユニット2と、処理ユニット2で処理される複数枚の基板Wを収容するキャリヤCが載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよびCRと、基板処理装置1を制御する制御装置3とを含む。搬送ロボットIRは、キャリヤCと搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。複数の処理ユニット2は、たとえば、同様の構成を有している。
処理ユニット2は、箱形のチャンバ4と、チャンバ4内で一枚の基板Wを水平な姿勢で保持して、基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック(基板保持ユニット、回転ユニット)5と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面に薬液を供給するための薬液供給ユニット(処理液供給ユニット)6と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面にリンス液(処理液)を供給するためのリンス液供給ユニット(処理液供給ユニット)7と、スピンチャック5に保持されている基板Wを下面側から加熱するホットプレート(加熱ユニット)8と、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面に対向する対向部材9と、水よりも低い表面張力を有する有機溶剤の一例のIPA(isopropyl alcohol)とフッ酸(フッ化水素(HF)溶液)との混合液(処理液。以下、「有機溶剤/フッ酸混合液」という。図6では、IPA/HF(液))を、スピンチャック5に保持されている基板W上に供給するための有機溶剤/フッ酸混合液供給ユニット(フッ酸含有液供給ユニット)10と、スピンチャック5の周囲を取り囲む筒状のカップ(図示しない)とを含む。
スピンベース15の上面には、その周縁部に複数個(3個以上。たとえば6個)の挟持部材16が配置されている。複数個の挟持部材16は、スピンベース15の上面周縁部において、基板Wの外周形状に対応する円周上で適当な間隔を空けて配置されている。
薬液供給ユニット6は、薬液ノズル17と、薬液ノズル17に接続された薬液配管18と、薬液配管18に介装された薬液バルブ19と、薬液ノズル17を移動させる第1のノズル移動ユニット20とを含む。薬液ノズル17は、たとえば、連続流の状態で液を吐出するストレートノズルである。薬液配管18には、薬液供給源からの薬液が供給されている。
なお、薬液ノズル17およびリンス液ノズル21は、スキャン可能に設けられている必要はなく、たとえば、スピンチャック5の上方において固定的に設けられ、基板Wの上面における所定の位置に処理液(薬液またはリンス液)が着液する、いわゆる固定ノズルの形態が採用されてもよい。
上スピン軸28は、遮断板27の中心を通り鉛直に延びる回転軸線A2(基板Wの回転軸線A1と一致する軸線)まわりに回転可能に設けられている。上スピン軸28は、円筒状である。上スピン軸28の内周面は、回転軸線A2を中心とする円筒面に形成されている。上スピン軸28の内部空間は、遮断板27の貫通穴44に連通している。上スピン軸28は、遮断板27の上方で水平に延びる支持アーム32に相対回転可能に支持されている。
また、支持アーム32には、電動モータ、ボールねじ等を含む構成の対向部材昇降ユニット37が結合されている。対向部材昇降ユニット37は、対向部材9(遮断板27および上スピン軸28)および上ノズル29を、支持アーム32と共に鉛直方向に昇降する。
制御装置3は、たとえばマイクロコンピュータを用いて構成されている。制御装置3はCPU等の演算ユニット、固定メモリデバイス、ハードディスクドライブ等の記憶ユニット、および入出力ユニットを有している。記憶ユニットには、演算ユニットが実行するプログラムが記憶されている。
パターンPは、たとえば絶縁膜を含む。また、パターンPは、導体膜を含んでいてもよい。より具体的には、パターンPは、複数の膜を積層した積層膜により形成されており、さらには、絶縁膜と導体膜とを含んでいてもよい。パターンPは、単層膜で構成されるパターンであってもよい。絶縁膜は、シリコン酸化膜(SiO2膜)やシリコン窒化膜(SiN膜)であってもよい。また、導体膜は、低抵抗化のための不純物を導入したアモルファスシリコン膜であってもよいし、金属膜(たとえば金属配線膜)であってもよい。
図5は、基板処理装置1による第1の基板処理例を説明するための流れ図である。図6は、第1の基板処理例に含まれる、リンス工程(図5のS3)および乾燥工程(図5のS4)を説明するためのタイムチャートである。図7A~7Fは、乾燥工程(図5のS4)を説明するための図解的な図である。図8は、液膜除去領域拡大工程T14における基板Wの表面の状態を拡大して示す断面図である。
未処理の基板W(たとえば直径450mmの円形基板)は、搬送ロボットIR,CRによってキャリヤCから処理ユニット2に搬入され、チャンバ4内に搬入され、基板Wがその表面(パターン形成面)を上方に向けた状態でスピンチャック5に受け渡され、スピンチャック5に基板Wが保持される(図5のS1:基板搬入(基板保持工程))。基板Wの搬入に先立って、薬液ノズル17およびリンス液ノズル21は、スピンチャック5の側方に設定されたホーム位置に退避させられている。また、遮断板27も退避位置に退避させられている。
基板Wをパドル速度に減速してから予め定める期間が経過すると、パドルリンス工程T41が終了し(リンス工程(図5のS3)が終了し)、乾燥工程(ステップS4)の実行が開始される。乾燥工程(ステップS4)は、基板Wの上面に、有機溶剤/フッ酸混合液の液膜(フッ酸含有液の液膜)51を保持させるパドル工程T1(図6参照)と、遮断空間38を、フッ化水素蒸気(HF vapor)を多量に含む雰囲気で満たす(を形成する)雰囲気形成工程T2(図6参照)と、有機溶剤/フッ酸混合液の液膜51から有機溶剤/フッ酸混合液を部分的に排除して、有機溶剤/フッ酸混合液の液膜51の中央部に円形の液膜除去領域52を形成する液膜除去領域形成工程T3(図6参照)と、液膜除去領域52を基板Wの外周に向けて拡大させる液膜除去領域拡大工程T4(図6参照)と、基板Wを振り切り乾燥速度で回転させて基板Wの上面を乾燥させるスピンドライ工程T5(図6参照)とを含む。乾燥工程(図5のS4)の終了後、搬送ロボットCRが、処理ユニット2に進入して、処理済みの基板Wを処理ユニット2外へと搬出する(図5のステップS5)。その基板Wは、搬送ロボットCRから搬送ロボットIRへと渡され、搬送ロボットIRによって、キャリヤCに収納される。
パドル工程T1の開始に先立って、制御装置3は、対向部材昇降ユニット37を制御して、遮断板27を、退避位置から近接位置まで下降させる。遮断板27が近接位置に配置された後、制御装置3は、基板Wの回転をパドル速度に保ちながら、有機溶剤液体バルブ40およびフッ酸バルブ42を開いて、遮断板27の中央部吐出口33から有機溶剤/フッ酸混合液を吐出する。これにより、基板Wの上面の液膜に含まれるリンス液が有機溶剤/フッ酸混合液に順次置換されていく。これにより、基板Wの上面に、図7Aに示すように、基板Wの上面全域を覆う有機溶剤/フッ酸混合液の液膜51がパドル状に保持される(パドル工程T1)。有機溶剤/フッ酸混合液の液膜51のバルク部分54(図8参照)の厚みは、パターンPの高さよりも大きい。基板Wの上面全域の液膜がほぼ全て有機溶剤/フッ酸混合液の液膜51に置換されると、制御装置3は、有機溶剤液体バルブ40およびフッ酸バルブ42を閉じて、中央部吐出口33からの有機溶剤/フッ酸混合液の吐出を停止させる。これにより、パドル工程T1が終了する。
有機溶剤/フッ酸混合液の吐出停止後、制御装置3は、対向部材昇降ユニット37を制御して、遮断板27を、近接位置から遮断位置まで下降させる。これにより、基板対向面43と基板Wの上面との間に、遮断空間38(図7B参照)が形成される。
も高く、かつIPAの沸点(約82.4℃)より低い所定の温度)に温められる。有機溶剤/フッ酸混合液の液膜51に含まれる有機溶剤液体を昇温させることにより、リンス液から有機溶剤への置換性能を向上させることができる。
図9の場合には、瞬間的に倒壊したパターンPの倒壊状態が維持されるものと考えられる。すなわち、弾性を有しているパターンに瞬間的に倒壊が生じた場合、パターンP自身が持つ弾性によって、倒壊しているパターンPに起立(回復)しようとする力がある程度働く。しかしながら、瞬間的に倒壊するパターンPの先端部PAが、有機溶剤/フッ酸混合液の液膜51に析出しているシリコン酸化物(すなわち、生成物55(異物))を介して、当該パターンPとバルク部分54側(つまり、基板Wの外方)に隣接するパターンの先端部と接着する。これにより、パターンPの起立(回復)が阻止され、パターンPの倒壊状態が維持される。このようなメカニズムにより、基板Wの全域でパターン倒壊が発生すると考えられる。
SiO2+6HF→H2SiF6+2H2O ・・・(2)
そのため、液膜境界53の周囲の雰囲気に含まれるフッ化水素が、有機溶剤/フッ酸混合液の液膜51に析出しているシリコン酸化物と反応し、その結果、有機溶剤/フッ酸混合液の液膜51に析出しているシリコン酸化物がパターンPの先端部Paに付着しないか、あるいはパターンPの先端部Paに付着していたシリコン酸化物(すなわち、生成物55(図9参照))も当該パターンPの先端部Paから除去される(異物除去工程)。
図7Fに示すように、液膜除去領域52が基板Wの上面の全域に拡大した後、制御装置3は、基板Wの回転を、振り切り乾燥速度(たとえば約1500rpm)までさらに加速させる。これにより、基板Wの上面の液体を振り切ることができ、これにより、基板Wの上面を完全に乾燥させることができる。
乾燥工程(図5のS4)の終了後、制御装置3は、ヒータ8aを制御して、ホットプレート8の発熱を停止させる。また、制御装置3は、対向部材昇降ユニット37を制御して、遮断板27を、退避位置から近接位置まで上昇させる。これにより、遮断空間38が消失する。その後、搬送ロボットCRによって、基板Wが搬出される。
また、液膜除去領域拡大工程T4において、有機溶剤/フッ酸混合液の液膜51を約70~80℃に保持されている。そのため、フッ化水素蒸気(HF vapor)に含まれるフッ化水素がシリコン酸化物と反応することにより、H2SiF6の残渣が生成される。しかし、シリコン酸化物が、有機溶剤/フッ酸混合液の液膜51に含まれる、約70~80℃の液温を有する有機溶剤/フッ酸混合液(フッ酸の蒸発により、実質的には有機溶剤液体)に接液することにより、このような残渣の蒸発が促進される。H2SiF6の融点は約19℃であるので、約70~80℃の環境下では、残渣の蒸発が促進される。これ
により、残渣を蒸発させて基板Wの表面から除去することができる。
第2の実施形態に示す実施形態において、前述の第1の実施形態と共通する部分には、図1~図8の場合と同一の参照符号を付し、説明を省略する。
処理ユニット202は、有機溶剤/フッ酸混合液供給ユニット10(図2参照)に代えて、水よりも低い表面張力を有する有機溶剤の液体の一例のIPA(isopropyl alcohol)液をスピンチャック5に保持されている基板W上に供給するための有機溶剤液体供給ユニット203と、スピンチャック5に保持されている基板W上にフッ化水素蒸気(HF vapor)を供給するためのフッ化水素蒸気供給ユニット204とを含む点で、第1の実施形態に係る処理ユニット2と相違している。また、処理ユニット202は、ホットプレート8に代えて、スピンチャック5に保持されている基板Wの下面(パターン形成面とは反対側の裏面)に、加熱流体の一例である温水を供給する下面供給ユニット205を、加熱ユニットとして備える点で、処理ユニット2と相違している。
一方、有機溶剤液体バルブ207が閉じられた状態でフッ化水素蒸気バルブ210が開かれると、上ノズル29にフッ化水素蒸気が供給され、中央部吐出口33から下方に向けてフッ化水素蒸気(HF vapor)が吐出される。中央部吐出口33からのフッ化水素蒸気の吐出流量は、流量調整バルブ208の開度の調整により変更可能である。
制御装置3は、予め定められたプログラムに従って、スピンモータ13、対向部材昇降ユニット37、遮断板回転ユニット36、第1のノズル移動ユニット20および第2のノズル移動ユニット24等の動作を制御する。また、制御装置3は、予め定められたプログラムに従って、薬液バルブ19、リンス液バルブ23、有機溶剤液体バルブ207、フッ化水素蒸気バルブ210、加熱流体バルブ213等を開閉する。また、制御装置3は、予め定められたプログラムに従って、流量調整バルブ208の開度を調整する。
第2の基板処理例は、第1の基板処理例と同様に、図5のステップS1~ステップS5の各工程と同等の工程を含んでいる。
第2の基板処理例に係る乾燥工程(図5のS4)は、基板Wの上面に、有機溶剤液体の液膜(処理液の液膜)251を保持させるパドル工程T11(図12参照)と、遮断空間38を、フッ化水素蒸気を多量に含む雰囲気で満たす(を形成する)雰囲気形成工程T12(図12参照)と、有機溶剤液体の液膜251から有機溶剤液体を部分的に排除して、有機溶剤液体の液膜251の中央部に円形の液膜除去領域252を形成する液膜除去領域形成工程T13(図12参照)と、液膜除去領域252を基板Wの外周に向けて拡大させる液膜除去領域拡大工程T14(図12参照)と、基板Wを振り切り乾燥速度で回転させて基板Wの上面を乾燥させるスピンドライ工程T15(図12参照)とを含む。
パドル工程T11の開始に先立って、制御装置3は、対向部材昇降ユニット37を制御して、遮断板27を、退避位置から近接位置まで下降させる。遮断板27が近接位置に配置された後、制御装置3は、基板Wの回転をパドル速度に保ちつつ、フッ化水素蒸気バルブ210を閉じながら有機溶剤液体バルブ207を開いて、遮断板27の中央部吐出口33から有機溶剤液体を吐出する。これにより、基板Wの上面の液膜に含まれるリンス液が有機溶剤液体に順次置換されていく。これにより、基板Wの上面に、図13Aに示すように、基板Wの上面全域を覆う有機溶剤液体の液膜251がパドル状に保持される(パドル工程T11)。有機溶剤液体の液膜251のバルク部分の厚みは、パターンPの高さよりも大きい。基板Wの上面全域の液膜がほぼ全て有機溶剤液体の液膜251に置換されると、制御装置3は、有機溶剤液体バルブ207を閉じて、中央部吐出口33からの有機溶剤液体の吐出を停止させる。これにより、パドル工程T11が終了する。
有機溶剤液体の吐出停止後、制御装置3は、対向部材昇降ユニット37を制御して、遮断板27を、近接位置から遮断位置まで下降させる。これにより、基板対向面43と基板Wの上面との間に、遮断空間38(図13B参照)が形成される。
図13Fに示すように、液膜除去領域252が基板Wの上面の全域に拡大した後、制御装置3は、加熱流体バルブ213を閉じて、基板Wの下面への加熱流体の吐出を停止させる。また、制御装置3は、流量調整バルブ208の開度を調整して、中央部吐出口33から吐出されるフッ化水素蒸気(HF vapor)の吐出流量を大流量(たとえば約150(リットル/分)に上昇させる。また、制御装置3は、基板Wの回転を、振り切り乾燥速度(たとえば約1500rpm)までさらに加速させる。これにより、基板Wの上面の液体を振り切ることができ、これにより、基板Wの上面を完全に乾燥させることができる。
図14は、本発明の第3の実施形態に係る基板処理装置301に備えられた処理ユニット302の構成例を説明するための図解的な断面図である。
第3の実施形態に示す実施形態において、前述の第2の実施形態と共通する部分には、図10~図13Fの場合と同一の参照符号を付し、説明を省略する。
有機溶剤液体供給ユニット303は、上ノズル29に有機溶剤蒸気を供給するための有機溶剤蒸気配管306と、有機溶剤蒸気配管306を開閉するための有機溶剤蒸気バルブ307と、有機溶剤蒸気配管306の開度を調整して上ノズル29への有機溶剤蒸気の供給流量を調整するための流量調整バルブ308とを含む。有機溶剤蒸気配管306に供給される有機溶剤蒸気は、キャリアガス(たとえば、窒素ガス等の不活性ガス)を含むものであってもよい。
リンス液バルブ313が閉じられた状態で、有機溶剤蒸気バルブ307とフッ化水素蒸気バルブ310とが同時に開かれることにより、有機溶剤蒸気とフッ化水素蒸気とが上ノズル29に供給され、有機溶剤とフッ化水素とを含む有機溶剤/フッ化水素混合蒸気(IPA/HF vapor)が中央部吐出口33から下向きに吐出される。また、中央部吐出口33からのフッ化水素蒸気の有機溶剤/フッ化水素混合蒸気(IPA/HF vapor)の吐出流量は、流量調整バルブ308の開度調整および流量調整バルブ311の開度調整により変更可能である。
図15は、基板処理装置301の主要部の電気的構成を説明するためのブロック図である。
第3の基板処理例は、第1の基板処理例や第2の基板処理例と同様に、図5のステップS1~ステップS5の各工程と同等の工程を含んでいる。
第2の基板処理例に係るリンス工程(図5のS3。パドルリンス工程T41を含む。)においては、中央部吐出口33から吐出されるリンス液を用いて、基板Wの上面にリンス処理が施される。具体的には、制御装置3は、有機溶剤蒸気バルブ307およびフッ化水素蒸気バルブ310を閉じながら、リンス液バルブ313を開く。これにより、中央部吐出口33からリンス液が吐出される。パドルリンス工程T41では、基板Wの回転速度がパドル速度に維持される。これにより、基板Wの上面に、図17Aに示すように、基板Wの上面全域を覆うリンス液の液膜351(処理液の液膜)がパドル状に保持される。リンス液の液膜351のバルク部分の厚みは、パターンPの高さよりも大きい。基板Wをパドル速度に減速してから予め定める期間が経過すると、制御装置3は、リンス液バルブ313を閉じて、中央部吐出口33からのリンス液の吐出を停止する。その後、乾燥工程(図5のS4)が実行される。
基板Wとしてシリコン基板を用いる場合には、リンス液の液膜351にシリコン酸化物が析出していることがある。このシリコン酸化物は、基板Wに対する薬液工程(図5のS2)において生成され、それが、乾燥工程(図5のS4)時まで基板W上に残存していたものである。
また、有機溶剤液体の吐出停止後、制御装置3は、加熱流体バルブ213を開く。これにより、基板Wが下面側から加熱され、基板W上のリンス液の液膜351が約70~80℃まで昇温させられる。
<回復試験>
次に、倒壊しているパターンを回復させるための回復試験について説明する。アスペクト比AR16を有するパターンが形成された半導体基板を、第1の回復試験の試料として採用した。2つの試料(試料1および試料2)に対し、スピンドライ工程(図5のS5に相当)を行い、各試料のパターンを倒壊させた。各試料におけるパターンの倒壊率はほぼ共通している。
試料2:その後、遮断空間に試料1を配置し、試料1を裏面側から約120℃に加熱しながら、約75℃のIPA/フッ酸混合液を試料2の表面に滴下し、その状態で、0.5分間、遮断空間内の雰囲気中に曝した。IPA/フッ酸混合液の滴下量は約1(ミリリットル)であった。IPA/フッ酸混合液におけるIPA液とフッ酸(濃度50%の濃縮フッ酸)との混合比は、体積比で100:1であった。
また、図18A,18Bに、試料1および試料2の、SEMによる画像図をそれぞれ示す。
たとえば、図19に示すように、第2および第3の実施形態において、遮断板27を貫通する上面ノズル401を複数設け、液膜除去領域252,352の拡大に合わせて、フッ化水素蒸気(HF vapor)または有機溶剤/フッ化水素混合蒸気(IPA/HF vapor)を吐出する上面ノズル401を変更させるようにしてもよい。上面ノズル401は、基板Wの回転軸線A1上に位置する中央ノズル402と、回転軸線A1から離隔した位置に配置された複数の周囲ノズル403とを含む。複数の周囲ノズル403は、遮断板27を上下に貫通する挿通穴404に挿入されて、その下端に形成された吐出口が遮断空間38の内部に臨む。複数の周囲ノズル403および各周囲ノズルには、個々にバルブ405を介して、フッ化水素蒸気(HF vapor)または有機溶剤/フッ化水素混合蒸気(IPA/HF vapor)が供給されるようになっている。
また、第1~第3の基板処理例に係る液膜除去領域拡大工程(図6のT4,図12のT14,図16のT24)に並行して、遮断板27を回転軸線A2まわりに回転させてもよい。
また、第1の実施形態において、中央部吐出口33から有機溶剤/フッ酸混合液を吐出することにより、有機溶剤/フッ酸混合液の基板Wの上面への供給を行うとして説明したが、基板対向面43に設けられた複数の吐出口から、有機溶剤液体およびフッ酸が個別に吐出され、基板Wの上面において有機溶剤液体とフッ酸とが混合されるようになっていてもよい。
また、第2の実施形態において、基板Wの上面に常温の有機溶剤液体が供給されるとして説明したが、約70~80℃の有機溶剤液体が基板Wの上面に供給されるようになっていてもよい。
また、第1~第3の実施形態において、有機溶剤の一例としてIPAを例示したが、有機溶剤としてその他に、メタノール、エタノール、HFE(ハイドロフロロエーテル)、アセトン等を例示できる。また、有機溶剤としては、単体成分のみからなる場合だけでなく、他の成分と混合した流体であってもよい。たとえば、IPAとアセトンの混合液であってもよいし、IPAとメタノールの混合流体であってもよい。
また、加熱ユニットを省略してもよい。この場合、第1~第3の基板処理例に係る液膜除去領域拡大工程(図6のT4,図12のT14,図16のT24)において処理液の液膜に含まれる処理液が常温を有していてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
3 :制御装置
5 :スピンチャック(基板保持ユニット、回転ユニット)
8 :ホットプレート(加熱ユニット)
9 :対向部材(遮断空間形成ユニット)
10 :有機溶剤/フッ酸混合液供給ユニット(フッ酸含有液供給ユニット)
37 :対向部材昇降ユニット(遮断空間形成ユニット)
51 :有機溶剤/フッ酸混合液の液膜(フッ酸含有液の液膜)
52 :液膜除去領域
53 :液膜境界(液膜除去領域とフッ酸含有液の液膜との境界)
55 :生成物(異物)
61 :構造体
201 :基板処理装置
204 :フッ化水素蒸気供給ユニット
205 :下面供給ユニット(加熱ユニット)
251 :有機溶剤液体の液膜(処理液の液膜)
252 :液膜除去領域
253 :液膜境界(液膜除去領域と処理液の液膜との境界)
301 :基板処理装置
304 :フッ化水素蒸気供給ユニット
351 :リンス液の液膜(処理液の液膜)
352 :液膜除去領域
353 :液膜境界(液膜除去領域と処理液の液膜との境界)
Claims (3)
- 複数の凸状の構造体を含むパターンを表面に有する基板の表面に処理液を供給して、当該基板の表面を覆う処理液の液膜を形成する液膜形成工程と、
前記処理液の液膜から処理液を部分的に排除して、前記処理液の液膜に液膜除去領域を形成する液膜除去領域形成工程と、
前記液膜除去領域を前記基板の外周に向けて拡大させる液膜除去領域拡大工程と、
前記液膜除去領域拡大工程において、倒れかけた互いに隣接する構造体同士を接着する異物を、フッ化水素を含む蒸気に曝すことにより、前記構造体から除去する異物除去工程とを含み、
前記構造体から前記異物を除去することにより、倒れている前記構造体を起立状態に弾性復元させる、基板処理方法。 - 前記異物除去工程に並行して、前記基板の裏面を加熱する裏面加熱工程をさらに含む、請求項1に記載の基板処理方法。
- 複数の凸状の構造体を含むパターンを表面に有する基板を保持する基板保持ユニットと、
前記基板保持ユニットに保持されている前記基板を、その中央部を通る回転軸線周りに回転させるための回転ユニットと、
前記基板の表面に、処理液を供給するための処理液供給ユニットと、
前記基板の表面に、フッ化水素を含む蒸気を供給するための蒸気供給ユニットと、
前記蒸気供給ユニットを制御する制御装置と、を含み、
前記制御装置は、前記処理液供給ユニットによって前記基板の表面に処理液を供給して、当該基板の表面を覆う処理液の液膜を形成する液膜形成工程と、前記処理液の液膜から処理液を部分的に排除して、前記処理液の液膜に液膜除去領域を形成する液膜除去領域形成工程と、前記回転ユニットによって前記回転軸線周りに回転させることにより前記液膜除去領域を前記基板の外周に向けて拡大させる液膜除去領域拡大工程と、前記液膜除去領域拡大工程において、前記基板の表面に前記蒸気を供給することにより、倒れかけた互いに隣接する構造体同士を接着する異物を、前記構造体から除去する異物除去工程とを実行し、
前記構造体から前記異物を除去することにより、倒れている前記構造体を起立状態に弾性復元させる、基板処理装置。
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