JP7129028B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、中心金属が五配位構造又は六配位構造をとることのできる、金属フタロシアニン又は金属フタロシアニン誘導体と、前記金属フタロシアニン又は金属フタロシアニン誘導体の中心金属に配位可能なn-電子供与性化合物と、を少なくとも含有することを特徴とする顔料分散剤が記載されている。当該顔料分散剤によれば、顔料を分散媒中で容易に微分散させることができると記載されている。
その他、特許文献2には、広範囲の樹脂との相溶性に優れ、かつ優れた顔料分散能を有する微粒子粉末分散性化合物を提供するとして、特定構造のポリアリルアミン誘導体が記載されている。また、特許文献3には、顔料分散剤として、ポリアリルアミン誘導体が記載されている。
本発明は、優れた保存性、及び優れた顔料分散性を示す静電荷像現像用トナー、及び当該トナーの製造方法等に関する。
〔1〕着色剤と、スチレン系化合物を含む重合性単量体の付加重合体と、樹脂組成物(A-P)と、を含有する、静電荷像現像用トナーであって、
前記樹脂組成物(A-P)が、酸基を有する非晶性ポリエステル系樹脂(A)とポリアルキレンイミンとを縮合させて得られる樹脂組成物であり、
前記非晶性ポリエステル系樹脂(A)が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であり、且つ、
前記樹脂組成物(A-P)の含有率が、前記付加重合体100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下である、静電荷像現像用トナー。
〔2〕工程1:着色剤と、樹脂組成物(A-P)と、スチレン系化合物を含む重合性単量体とを含む重合性単量体組成物を水系媒体中に分散する工程、及び
工程2:前記重合性単量体組成物を水系媒体中で懸濁重合する工程、を含み、
前記樹脂組成物(A-P)が、酸基を有する非晶性ポリエステル系樹脂(A)とポリアルキレンイミンとを縮合させて得られる樹脂組成物であり、
前記非晶性ポリエステル系樹脂(A)が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であり、且つ、
前記樹脂組成物(A-P)の含有率が、前記重合性単量体100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下である、静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、着色剤と、スチレン系化合物を含む重合性単量体の付加重合体(以下、単に「付加重合体(B)」ともいう)と、樹脂組成物(A-P)(以下、単に「樹脂組成物(A-P)」ともいう。)と、を含有する。
樹脂組成物(A-P)は、酸基を有する非晶性ポリエステル系樹脂(A)(以下、単に「樹脂(A)」ともいう。)とポリアルキレンイミンとを縮合させて得られる樹脂組成物である。
そして、非晶性ポリエステル系樹脂(A)が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であり、且つ、
前記樹脂組成物(A-P)の含有率が、前記付加重合体100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下である。
当該トナーによれば、優れた保存性、及び、トナー中での優れた顔料分散性が示される。
樹脂組成物(A-P)は、その構造中にポリアルキレンイミンに由来する部分を含んでおり、着色剤の分散剤として働くことで、着色剤が結着樹脂組成物中で微分散化されたと考えられる。また、樹脂組成物(A-P)によって、着色剤が分散されるため、分散剤の添加による可塑化が進行せず、高い保存性が得られ、前述の高い分散性と両立できる。
上記の「吸熱の最大ピーク温度」とは、実施例に記載する測定方法の条件下で観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度のことを指す。
樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。
「ポリエステル系樹脂」とは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル樹脂を含んでいてもよい。変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂がウレタン結合で変性されたウレタン変性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂がエポキシ結合で変性されたエポキシ変性ポリエステル樹脂、及びポリエステル成分と付加重合系樹脂成分を有する複合樹脂が挙げられる。
「ビスフェノールA」は、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンを意味する。
「カルボン酸化合物」としては、例えば、カルボン酸、それらの無水物及び炭素数1以上3以下のアルキルエステルが挙げられる。
「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を示す。また、アルキル部位について「(イソ)」とは、ノルマルアルキル又はイソアルキルを意味する。
「トナーの樹脂成分」とは、付加重合体(B)、樹脂組成物(A-P)、樹脂(C)を包含するトナー中に含まれる樹脂成分を意味する。
トナーは、例えば、トナー粒子と外添剤とを含有する。
トナー粒子は、好ましくは、着色剤と、付加重合体(B)と、樹脂組成物(A-P)とを含む。
そして、トナー粒子は、例えば、着色剤誘導体、離型剤、荷電制御剤、その他添加剤を含んでいてもよい。
トナーは、スチレン系化合物を含む重合性単量体の付加重合体(B)を含む。
付加重合体(B)の重合性単量体は、好ましくはスチレン系化合物、及び(メタ)アクリル酸エステルを含む。
スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、tert-ブチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、スチレンスルホン酸又はその塩等のスチレン類が挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。
スチレン系化合物の量は、重合性単量体中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルの脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、更に好ましくは4以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは12以下、更に好ましくは8以下、更に好ましくは6以下である。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸(イソ)プロピル、(メタ)アクリル酸(イソ)ブチル、(メタ)アクリル酸(イソ)ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(イソ)オクチル、(メタ)アクリル酸(イソ)デシル、(メタ)アクリル酸(イソ)ドデシル、(メタ)アクリル酸(イソ)パルミチル、(メタ)アクリル酸(イソ)ステアリル、(メタ)アクリル酸(イソ)ベヘニルが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸ブチルが好ましい。
付加重合体(B)は、後述の方法により付加重合することができる。
本発明で用いる樹脂組成物(A-P)は、酸基を有する非晶性ポリエステル系樹脂(A)とポリアルキレンイミンとを縮合させて得られる樹脂組成物である。前述のとおり、樹脂組成物(A-P)中には、例えば、樹脂(A)とポリアルキレンイミンとの反応物及びポリアルキレンイミン由来の副生成物、並びに未反応の樹脂(A)及び未反応の残存ポリアルキレンイミン等が含まれる。そして、前記樹脂(A)とポリアルキレンイミン及びポリアルキレンイミン由来の副生成物との反応物が、樹脂組成物(A-P)中で着色剤の分散剤として働くものと考えられる。
非晶性ポリエステル系樹脂(A)は、酸基を有する。
酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基が挙げられる。これらの中でも、カルボキシ基が好ましい。
非晶性ポリエステル系樹脂(A)としては、例えば、非晶性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂セグメント及びビニル系樹脂セグメントを有する非晶性複合樹脂が挙げられる。これらの中でも、好ましくは非晶性ポリエステル樹脂である。
非晶性ポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。以下非晶性ポリエステル樹脂に含まれるアルコール成分とカルボン酸成分について説明する。
アルコール成分は、好ましくは、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物(以下、「BPA-AO」ともいう。)及び炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、より好ましくはBPA-AOを含有する。BPA-AOとしては、好ましくは、式(I):
〔式中、OR11及びR12Oは、アルキレンオキシ基であり、R11及びR12はそれぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキレン基(好ましくはエチレン基又はプロピレン基)であり、x及びyは、アルキレンオキサイドの平均付加モル数であって、それぞれ独立に正の数であり、x及びyの和の平均値は、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは4以下である。〕で表されるBPA-AOが挙げられる。
BPA-AOは、好ましくはビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(以下、「BPA-PO」ともいう。)、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(以下、「BPA-EO」ともいう。)、より好ましくはBPA-POである。これらのBPA-AOは、1種又は2種以上を用いてもよい。
BPA-AOの量は、アルコール成分中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上、更に好ましくは98モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
直鎖又は分岐の脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3,3-ジメチル-1,2-ブタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオールが挙げられる。
脂環式ジオールとしては、例えば、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数2以上12以下)付加物が挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタンが挙げられる。
なお、得られるポリエステルの分子量や軟化点を調整する観点から、アルコール成分は、1価のアルコールを含んでいてもよい。
これらアルコール成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
カルボン酸成分としては、例えば、ジカルボン酸化合物、3価以上の多価カルボン酸化合物が挙げられる。
ジカルボン酸化合物の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。これらの中でも、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、ペンタン二酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは9以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下である。脂肪族炭化水素基は、直鎖及び分岐鎖のいずれであってもよく、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれであってもよい。炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸としては、例えば、オクテニルコハク酸、ノネニルコハク酸、デセニルコハク酸、ウンデセニルコハク酸、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、トリデセニルコハク酸、テトラデセニルコハク酸、テトラプロペニルコハク酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸化合物の量は、カルボン酸成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは65モル%以上、更に好ましくは70モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
3価以上の多価カルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、更に好ましくは1モル%以下であり、そして、0モル%である。
なお、樹脂の分子量や軟化点を調整する観点から、カルボン酸成分には、1価のカルボン酸が、適宜含有されていてもよい。
これらのカルボン酸成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
樹脂(A)の軟化点は、トナーの保存性をより向上させる観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは95℃以上であり、そして、トナーの低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは110℃以下である。
樹脂(A)は、例えば、アルコール成分及びカルボン酸成分による重縮合反応を行う工程Aを含む方法により製造してもよい。
工程Aにおいて、必要に応じて、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)、酸化ジブチル錫、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のエステル化触媒をアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下;没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸と同じ。)等のエステル化助触媒をアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対し0.001質量部以上0.5質量部以下用いて重縮合してもよい。
また、重縮合反応にフマル酸等の不飽和結合を有するモノマーを使用する際には、必要に応じてアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上0.5質量部以下のラジカル重合禁止剤を用いてもよい。ラジカル重合禁止剤としては、例えば、4-tert-ブチルカテコールが挙げられる。
重縮合反応の温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは260℃以下、より好ましくは240℃以下である。なお、重縮合は、不活性ガス雰囲気中にて行ってもよい。
ポリアルキレンイミンは、好ましくは炭素数が2以上5以下のアルキレン基を有するポリアルキレンイミンである。ポリアルキレンイミンは、樹脂(A)の酸基と縮合反応して、樹脂(A)の分子骨格中に取り込まれうる化合物である。
ポリアルキレンイミンは、好ましくはアルキレン基の炭素数が2以上4以下のポリアルキレンイミン、より好ましくはポリエチレンイミン又はポリプロピレンイミン、更に好ましくはポリエチレンイミンである。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
該分子量の値は、実施例に記載の方法により求められる。
樹脂組成物(A-P)の製造方法は、例えば、
工程A:酸基を有する非晶性ポリエステル系樹脂(A)とポリアルキレンイミンとを縮合させて樹脂組成物(A-P)を得る工程、
を含む。
結着樹脂組成物は、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは、結晶性ポリエステル系樹脂(C)(以下、単に「樹脂(C)」ともいう)を含有する。
結晶性ポリエステル系樹脂(C)は、好ましくは酸基を有する結晶性ポリエステル系樹脂である。
結晶性ポリエステル系樹脂(C)としては、後述する結晶性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂セグメント及びビニル系樹脂セグメントを有する結晶性複合樹脂が好ましい。これらの中でも、結晶性ポリエステルが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。
以下、結晶性ポリエステル樹脂のアルコール成分とカルボン酸成分とについて説明する。
α,ω-脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下である。
α,ω-脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオールが挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールが好ましく、1,6-ヘキサンジオールがより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上であり、そして、好ましくは14以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸が挙げられる。これらの中でも、フマル酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸の例は、先に例示したものと同様である。
なお、結晶性ポリエステル樹脂の分子量や軟化点を調整する観点から、カルボン酸成分には、1価のカルボン酸が、適宜含有されていてもよい。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
樹脂(C)の軟化点は、トナーの保存性をより向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは75℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
着色剤は、顔料又は染料のいずれであってもよい。
顔料としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、縮合多環顔料、レーキ顔料が挙げられる。
アゾ顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド3等の不溶性アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド48:1等の溶性アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド144等の縮合アゾ顔料が挙げられる。
フタロシアニン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15:3等の銅フタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン58等のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料が挙げられる。
縮合多環顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド177等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド123等のペリレン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ43等のペリノン系顔料、C.I.ピグメントレッド122等のキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントレッド269等のナフトール系顔料、C.I.ピグメントバイオレット23等のジオキサジン系顔料、C.I.ピグメントイエロー139、185等のイソインドリノン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ66等のイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントイエロー138等のキノフタロン系顔料、C.I.ピグメントイエロー150等のニッケルアゾ錯体系顔料、C.I.ピグメントレッド88等のインジゴ系顔料、C.I.ピグメントグリーン8等の金属錯体顔料、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントオレンジ71等のジケトピロロピロール系顔料が挙げられる。
レーキ顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド57:1が挙げられる。
これらの中では、フタロシアニン顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ナフトール系顔料、レーキ顔料が好ましく、フタロシアニン顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料がより好ましい。
なお、本発明のトナーにおいては、フタロシアニン系顔料のみならず、従来、顔料分散性が不十分であった顔料である、キナクリドン系顔料やナフトール系顔料に対しても良好な顔料分散性が得られている。
着色剤の色相は特に限定されず、イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、レッド、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
着色剤誘導体は、例えば、酸性基又は塩基性基が導入された着色剤又はその塩が挙げられる。
着色剤誘導体は、スルホ基が導入された着色剤又はその塩が好ましい。
着色剤として、C.I.ピグメントブルー15:3を用いた場合の着色剤誘導体としては、スルホ基が導入された銅フタロシアニン化合物又はその塩が好ましい。
塩としては、例えば、ハロゲン化物塩、アミン塩、4級アンモニウム塩が挙げられる。
着色剤誘導体としては、銅フタロシアニンのスルホン化物又はその塩が好ましい。
着色剤誘導体の市販品としては、例えば、「SOLSPERS」シリーズの「5000S」、「22000」(以上、日本ルブリゾール株式会社製)などが挙げられる。
トナーは、離型剤を含有してもよい。
離型剤としては、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス;マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の炭化水素系ワックス又はそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス又はそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
離型剤の融点は、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは75℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは100℃以下である。
トナーは、荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤は、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロン(登録商標)N-01」、「ボントロン(登録商標)N-04」、「ボントロン(登録商標)N-07」、「ボントロン(登録商標)N-09」、「ボントロン(登録商標)N-11」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロン(登録商標)P-51」(オリヱント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリヱント化学工業株式会社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業株式会社製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。
トナー粒子は、その他添加剤として、更に、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜含有してもよい。
トナーには、流動性を向上させるために、更に外添剤を含有させてもよい。外添剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化亜鉛等の無機材料の微粒子や、メラミン系樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子等の樹脂粒子等の有機微粒子が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。これらの外添剤の中では、シリカが好ましく、疎水化処理剤で処理された疎水性シリカがより好ましい。
トナーは、溶融混練法、乳化転相法、懸濁重合法、乳化凝集法等の公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、懸濁重合法により得られた懸濁重合トナーが好ましい。
工程1:着色剤と、樹脂組成物(A-P)と、スチレン系化合物を含む重合性単量体とを含む重合性単量体組成物を水系媒体中に分散する工程、及び
工程2:前記重合性単量体組成物を水系媒体中で懸濁重合する工程、
を含む。
そして、樹脂組成物(A-P)が、酸基を有する非晶性ポリエステル系樹脂(A)とポリアルキレンイミンとを縮合させて得られる樹脂組成物である。
更に、樹脂(A)が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。
そして、樹脂組成物(A-P)の含有率が、重合性単量体100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下である。
工程1では、例えば、以下の重合性単量体組成物を水系媒体中に分散する。
重合性単量体組成物は、着色剤と、樹脂組成物(A-P)と、スチレン系化合物を含む重合性単量体とを含む。
重合性単量体組成物は、例えば、重合開始剤、荷電制御剤、離型剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤を含んでいてもよい。
水系媒体としては、水を主成分とするものが好ましい。
水系媒体中の水の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、より更に好ましくは100質量%である。水としては、脱イオン水又は蒸留水が好ましい。
水系媒体に含まれうる水以外の成分としては、例えば、炭素数1以上5以下のアルキルアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の炭素数3以上5以下のジアルキルケトン;テトラヒドロフラン等の環状エーテル等の水に溶解する有機溶剤が挙げられる。
重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物、ジブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。
重合開始剤の含有量は、重合性単量体100質量部に対して、好ましくは4質量部以上、より好ましくは6質量部以上であり、そして、好ましくは12質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
工程1-1:着色剤と、樹脂組成物(A-P)と、スチレン系化合物を含む重合性単量体とを含むを混合し、重合性単量体組成物を得る工程
工程1-2:前記重合性単量体組成物を、水系媒体中に投入して、懸濁液を得る工程
工程1-1において、重合性単量体組成物は、各成分を加熱して混合する。
ここで、荷電制御剤、離型剤を混合することが好ましい。
混合温度は、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
各成分が相溶した重合性単量体組成物を得た後に、重合開始剤を添加して混合することが好ましい。
(分散安定剤)
分散安定剤としては、例えば、炭酸塩、リン酸金属塩、硫酸塩、金属水酸化物が挙げられる。炭酸塩としては、例えば、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムが挙げられる。リン酸金属塩としては、例えば、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、リン酸亜鉛が挙げられる。硫酸塩としては、例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウムが挙げられる。金属水酸化物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄が挙げられる。これらの中でも、リン酸カルシウムが好ましい。
分散安定剤の量は、混合水系媒体中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の各種界面活性剤を使用することができる。これらの中でも、陰イオン性界面活性剤が好ましい。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩が挙げられる。塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。アルキル硫酸塩としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムが挙げられる。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩は、好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩である。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムが挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
これらの中でも、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩がより好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが更に好ましい。
界面活性剤の量は、混合水系媒体中、好ましくは1質量ppm以上、より好ましくは3質量ppm以上、更に好ましくは5質量ppm以上であり、そして、好ましくは30質量ppm以下、より好ましくは20質量ppm以下、更に好ましくは10質量ppm以下である。
工程1-2において、重合性単量体組成物を、水系媒体中に投入する温度は、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
当該工程で使用する装置としては、例えば、高剪断力を有する撹拌機を設置した竪型撹拌槽で行なうことができる。高剪断力を有する撹拌機の市販品としては、例えば、「ハイシェアミキサー」(IKA社製)、「T.K.ホモミクサー」、「T.K.フィルミックス」(以上、特殊機化工業株式会社製)、クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)が挙げられる。
撹拌速度は、好ましくは1,000r/min以上、より好ましくは5,000r/min以上、更に好ましくは8,000r/min以上であり、そして、好ましくは30,000r/min以下、より好ましくは20,000r/min以下、更に好ましくは15,000r/min以下である。
工程2では、懸濁液中で重合性単量体を重合する。
重合する温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは75℃以下である。
重合は、撹拌しながら行うことが好ましい。使用する装置は、特に限定されない。
撹拌速度は、好ましくは50r/min以上、より好ましくは100r/min以上、更に好ましくは150r/min以上であり、そして、好ましくは1,000r/min以下、より好ましくは500r/min以下、更に好ましくは300r/min以下である。
鉱酸としては、例えば、塩酸、硫酸が挙げられる。
重合後、固液分離してトナー粒子を得ることが好ましい。固液分離後、洗浄、乾燥してもよい。乾燥方法としては、例えば、真空低温乾燥法、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法が挙げられる。
トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる。また、当該トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
〔樹脂の酸価及び水酸基価〕
樹脂の酸価及び水酸基価は、JIS K0070:1992の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070:1992規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、非晶ポリエステル系樹脂の場合はアセトンとトルエンの混合溶媒〔アセトン:トルエン=1:1(容量比)〕に、結晶性ポリエステル樹脂の場合はクロロホルムの溶媒に変更する。
以下の方法により得られる、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量及び重量平均分子量を求める。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料を、テトラヒドロフラン(非晶性ポリエステル系樹脂の場合)又はクロロホルム(結晶性ポリエステル樹脂の場合)に、25℃で溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「DISMIC-25JP」(ADVANTEC製)を用いて濾過して不溶解分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフラン(非晶性ポリエステル系樹脂)又はクロロホルム(結晶性ポリエステル樹脂)を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン「A-500」(5.0×102)、「A-1000」(1.01×103)、「A-2500」(2.63×103)、「A-5000」(5.97×103)、「F-1」(1.02×103)、「F-2」(1.81×104)、「F-4」(3.97×104)、「F-10」(9.64×104)、「F-20」(1.90×105)、「F-40」(4.27×105)、「F-80」(7.06×105)、「F-128」(1.09×106)(以上、東ソー株式会社製)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:「HLC-8220CPC」(東ソー株式会社製)
分析カラム:「GMHXL」+「G3000HXL」(東ソー株式会社製)
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出しする。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計「Q-20」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、室温(20℃)から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料をそのままの温度で1分間維持し、その後、昇温速度10℃/分で180℃まで昇温しながら測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も大きいピークの温度を吸熱の最大ピーク温度とする。
示差走査熱量計「Q-20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/minで-10℃まで冷却し、1分間温度を保持する。次に試料を昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで-30℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピーク温度を融点とする。
以下に示す、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.2g/100mLになるように、ポリアルキレンイミンを、0.15モル/LでNa2SO4を1質量%酢酸水溶液に溶解させた溶液に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業株式会社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として0.15モル/LでNa2SO4を1質量%酢酸水溶液に溶解させた溶液を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに、試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の標準プルラン「P-5」(5.9×103)、「P-50」(4.73×104)、「P-200」(2.12×105)、「P-200」(2.12×105)、「P-800」(7.08×105)(以上昭和電工株式会社製)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:「HLC-8320GPC」(東ソー株式会社製)
分析カラム:α+α-M+α-M(東ソー株式会社製)
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温した後、200℃から降温速度10℃/分で0℃まで冷却する。次いで、試料を昇温速度10℃/分で昇温し、熱量を測定する。得られた吸熱の最大ピーク温度を融点とする。
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は、次のとおり測定する。
・測定装置:「コールターマルチサイザー(登録商標)III」(ベックマン・コールター株式会社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:「コールターマルチサイザー(登録商標)IIIバージョン 3.51」(ベックマン・コールター株式会社製)
・電解液:「アイソトン(登録商標)II」(ベックマン・コールター株式会社製)
・分散液:「エマルゲン(登録商標)109P」〔ポリオキシエチレンラウリルエーテル、花王株式会社製、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance、グリフィン法)=13.6〕を前記電解液に溶解させ、濃度5質量%の分散液を得る。
・分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
・測定条件:ビーカー内で、前記試料分散液を、前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、得られた粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
製造例AL1,AL2(樹脂AL-1、AL-2の製造)
表1に示すアルコール成分とテレフタル酸、及びエステル化触媒及び助触媒を、温度計、ステンレス製撹拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで昇温し、常圧で7時間反応を行った。その後、235℃、8kPaにて所望の酸価と軟化点まで減圧反応を行い、樹脂AL-1及びAL-2を得た。各種物性を測定し表1に示した。
製造例C1〔樹脂C-1の製造〕
表2に示すアルコール成分とカルボン酸成分、及びエステル化触媒及び重合禁止剤を、温度計、ステンレス製撹拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、140℃まで昇温し、5時間反応を行った後、200℃まで10℃/hの速度で段階的に昇温を行った。その後8kPaにて所望の軟化点まで反応を行い、樹脂C-1を得た。各種物性を測定し表2に示した。
製造例AP1~AP4〔樹脂組成物AP-1~AP-4の製造〕
表3に示す樹脂とポリアルキレンイミンを、温度計、ステンレス製撹拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、150℃まで昇温し、常圧で3時間反応を行い、樹脂組成物AP-1~AP-4を得た。
実施例1~4、比較例1~2(トナー1~4,81~82)
〈分散液の調製〉
250mL容の容器に、表4に示す配合比の重合性単量体、樹脂、着色剤「シアニンブルー4927」(大日精化工業株式会社製、C.I.ピグメントブルー15:3)、及び着色剤誘導体「S5000」(日本ルブリゾール株式会社製)を合計で110g及び0.3mmのガラスビーズを220g投入し、ペイントシェーカーにて0.5時間分散を行い、分散液を得た。
300mL容のガラスビーカーに、上記の分散液を100g投入し、荷電制御剤「ボントロンE-88」(オリヱント化学工業株式会社製、サリチル酸アルミニウム)1g及び離型剤「HNP-9」(日本精蝋株式会社製、パラフィンワックス、融点:75.5℃)10gを添加した後、撹拌混合しながら60℃に昇温して均一に溶解した。その後、重合開始剤「V-65」(和光純薬工業株式会社製、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル))4gを添加し、樹脂溶液を調製した。
1L容のガラスビーカーに、イオン交換水150g及び第三リン酸カルシウム(化学式:3[Ca3(PO4)2]・Ca(OH)2)10質量%スラリー「TCP-10・U」(太平化学産業株式会社製)500gを投入し、アニオン性界面活性剤「ネオペレックスG-15」(花王株式会社製、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)0.004gを添加した後、撹拌混合して水系媒体を調製した。
1L容のガラスビーカー中で上記の水系媒体を60℃に加温し、60℃を保ちながら、上記の樹脂溶液を一気に加え、ホモミキサー「MARK II 2.5型」(プライミクス株式会社製)で、12,000r/minにて4分間撹拌し、懸濁液を得た。
上記の懸濁液をセパラブルフラスコに移し、70℃、200r/minで撹拌しながら8時間重合した。その後、80℃に昇温し、減圧下で残存モノマーを留去した。撹拌を続けながら20℃まで冷却し、系内のpHが1以下になるまで塩酸を入れた。次にイオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥を経て体積中位粒径(D50)が6μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に、外添剤として疎水性シリカ「アエロジル R-972」(日本アエロジル株式会社製、平均粒子径:16nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで3600r/min、5分間混合することにより、外添剤処理を行い、トナー1~4,81~82を得た。
〈分散液の調製〉
250mL容の容器に、表4に示す配合比の重合性単量体、樹脂、着色剤「スーパーマゼンタR」(DIC株式会社製、C.I.ピグメントレッド122)、及び着色剤誘導体「SOLSPERSE 22000」(日本ルブリゾール株式会社製)を合計で110g及び0.3mmのガラスビーズを220g投入し、ペイントシェーカーにて0.5時間分散を行い、200メッシュの金網分散液を得た。
300mL容のガラスビーカーに、上記の分散液を100g投入した以外は、実施例1の樹脂溶液の調製と同様にして樹脂溶液を調製した。
〈水系媒体の調製〉
実施例1の水系媒体の調製と同様にして水系媒体を調製した。
実施例1の懸濁液の作製と同様にして、上記の樹脂溶液と水系媒体から懸濁液を得た。
〈懸濁重合〉
実施例1の〈懸濁重合〉と同様にして、上記の懸濁液から体積中位粒径(D50)が6μmのトナー粒子を得た。また、外添剤処理を行い、トナー5~8、83~85を得た。
〈分散液の調製〉
250mL容の容器に、表4に示す配合比の重合性単量体、樹脂、着色剤「シアニンブルー4927」(大日精化工業株式会社製、C.I.ピグメントブルー15:3)、着色剤誘導体「S5000」(日本ルブリゾール株式会社製)、及び分散剤「アジスパーPB821」(味の素ファインテクノ株式会社製)を合計で110g及び0.3mmのガラスビーズを220g投入し、ペイントシェーカーにて0.5時間分散を行い、分散液を得た。
実施例1と同様にして、樹脂溶液及び水系媒体を調製し懸濁液を作製した後、懸濁重合を行い、体積中位粒径(D50)が6μmのトナー粒子を得た。また、外添剤処理を行い、トナー86、87を得た。
〈分散液の調製〉
250mL容の容器に、表4に示す配合比の重合性単量体、樹脂、着色剤「スーパーマゼンタR」(DIC株式会社製、C.I.ピグメントレッド122)、着色剤誘導体「SOLSPERSE 22000」(日本ルブリゾール株式会社製)、及び分散剤「アジスパーPB821」(味の素ファインテクノ株式会社製)を合計で110g及び0.3mmのガラスビーズを220g投入し、ペイントシェーカーにて0.5時間分散を行い、分散液を得た。
〈懸濁重合〉
実施例1と同様にして、樹脂溶液及び水系媒体を調製し懸濁液を作製した後、懸濁重合を行い、体積中位粒径(D50)が6μmのトナー粒子を得た。また、外添剤処理を行い、トナー88を得た。
〈分散液の調製〉
250mL容の容器に、表4に示す配合比の重合性単量体、樹脂、着色剤「パリオトールイエローD1155」(BASF社製、C.I.ピグメントイエロー185)を合計で110g及び0.3mmのガラスビーズを220g投入し、ペイントシェーカーにて0.5時間分散を行い、200メッシュの金網分散液を得た。
300mL容のガラスビーカーに、上記の分散液を100g投入した以外は、実施例1の樹脂溶液の調製と同様にして樹脂溶液を調製した。
〈水系媒体の調製〉
実施例1の水系媒体の調製と同様にして水系媒体を調製した。
実施例1の懸濁液の作製と同様にして、上記の樹脂溶液と水系媒体から懸濁液を得た。
〈懸濁重合〉
実施例1の〈懸濁重合〉と同様にして、上記の懸濁液から体積中位粒径(D50)が6μmのトナー粒子を得た。また、外添剤処理を行い、トナー9、89を得た。
〈分散液の調製〉
250mL容の容器に、表4に示す配合比の重合性単量体、樹脂、着色剤「パリオトールイエローD1155」(BASF社製、C.I.ピグメントイエロー185)、及び分散剤「アジスパーPB821」(味の素ファインテクノ株式会社製)を合計で110g及び0.3mmのガラスビーズを220g投入し、ペイントシェーカーにて0.5時間分散を行い、分散液を得た。
〈懸濁重合〉
実施例1と同様にして、樹脂溶液及び水系媒体を調製し懸濁液を作製した後、懸濁重合を行い、体積中位粒径(D50)が6μmのトナー粒子を得た。また、外添剤処理を行い、トナー90を得た。
〔粘度〕
円錐平板形回転粘度計「TVE-25L」(東機産業株式会社製)を用いてコーンロータ(標準:1°34′×R24)の回転速度50rpm、測定温度20℃、分散液量1.1mLで粘度(mPa・s)を測定した。粘度が低いほど分散液中での顔料分散性が良好である。
分散液の分散直後の粘度及び25℃で30日保管後の粘度を上記と同様にして測定し、増粘率(30日後の粘度/分散直後の粘度)を算出した。数値が1に近いほど分散液中での顔料分散安定性が良好である。表中、「>5」は、保存後の粘度測定が不安定(測定中に数値が変動する)のため、正確な数値として表せないが、5倍以上の増粘率ではあることを示す。表中、「測定不可」は、保存後の粘度が非常に高く、分散液に流動性がない状態を示す。
〔保存性〕
20mL容の容器(直径約3cm)にトナー4gを入れ、温度55℃、相対湿度60%の環境下で48時間放置した。6時間毎に72時間までトナー凝集の発生程度を目視にて観察した。凝集の発生が認められた時点の時間の値が大きいほど高温高湿下での保存性が良好である。結果を表4に示す。なお、表4中「>72」は72時間後も凝集は認められないことを示す。
トナー濃度が1質量%になるように、20mL容の容器(直径約3cm)にトナー0.1gを計量し、クロロホルムで合計10gになるまで希釈した。次に容器をキャップで密閉したあと、試験管ミキサー(アズワン株式会社製)で撹拌混合し、クロロホルム中にトナーを溶融分散させた。得られた試料は、石英キュベットセル(四面透過)にセルの底面から10mm以上まで入れ、ナノ粒子解析装置「SZ-100」(株式会社堀場製作所製)にセットした。試料の屈折率及び分散媒(クロロホルム)の屈折率及び粘度を入力したあと、測定モード(標準モード)、演算条件(スタンダード)及び分布形態(他分散、スタンダード)を選択し、25℃でトナー中の顔料粒径(nm)を測定した。顔料粒径が小さいほどトナー中での顔料分散性が良好である。
Claims (7)
- 着色剤と、スチレン系化合物を含む重合性単量体の付加重合体と、樹脂組成物(A-P)と、を含有する、静電荷像現像用トナーであって、
前記樹脂組成物(A-P)が、酸基を有する非晶性ポリエステル系樹脂(A)とポリアルキレンイミンとを縮合させて得られる樹脂組成物であり、
前記非晶性ポリエステル系樹脂(A)が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であり、且つ、
前記樹脂組成物(A-P)の含有率が、前記付加重合体100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下である、静電荷像現像用トナー。 - 前記ポリアルキレンイミンが、炭素数2以上5以下のアルキレン基を有するポリアルキレンイミンである、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 着色剤誘導体を更に含有する、請求項1~3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記着色剤誘導体が、銅フタロシアニンのスルホン化物又はその塩である、請求項4に記載の静電荷像現像用トナー。
- 結晶性ポリエステル系樹脂を更に含有する、請求項1~5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 工程1:着色剤と、樹脂組成物(A-P)と、スチレン系化合物を含む重合性単量体とを含む重合性単量体組成物を水系媒体中に分散する工程、及び
工程2:前記重合性単量体組成物を水系媒体中で懸濁重合する工程、を含み、
前記樹脂組成物(A-P)が、酸基を有する非晶性ポリエステル系樹脂(A)とポリアルキレンイミンとを縮合させて得られる樹脂組成物であり、
前記非晶性ポリエステル系樹脂(A)が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であり、且つ、
前記樹脂組成物(A-P)の含有率が、前記重合性単量体100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下である、静電荷像現像用トナーの製造方法。
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