JP7128182B2 - 補体関連障害におけるC5b-9沈着に関するアッセイ - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2016年10月27日に出願された米国仮出願第62/413,614号の優先権を主張する。前述の出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)は、非制限的内皮補体活性化の稀な疾患であり、これは最終的に腎臓微小血管血栓症を引き起こす。新患の発症率は、年間100万人あたり1~2人である。
薬剤ソリリス(Soliris(登録商標))を用いたaHUS患者の治療は、米国および欧州で承認されている。しかしながら、これらの患者を治療するための効果的な薬剤の利用可能性にもかかわらず、aHUS患者の診断と、疾患の治療の効能および過程のモニタリングは必要なままである。補体活性化の特異的マーカーおよび感受性マーカーがないことは、aHUSだけでなく、他の補体関連障害にも当てはまる。
以前の研究では、C5b-9沈着を手動検出する試験について説明した(Noris et al.,Blood 2014;124:1715-26)。しかしながら、この試験は煩雑で時間がかかり、長い経験年数を持つ専門家の博士号の科学者または技術者によって、高度な試験研究環境でのみ実施できる。aHUSは慢性疾患であり、患者はエクリズマブおよび他の療法の有効性をモニタリングし、また患者の生涯にわたって内皮レベルで補体活性をモニタリングするのみならず、治療が間隔を置いているかまたは中断されるものであれば疾患の再発を予測するために反復検査がしばしば必要であるということを考慮すると、対費用効果が高く、再現性があり、効果的であり、精密であり、正確であり、また高度でない研究環境において容易に行うことができる(例えば、適切なトレーニングを受けた技術者によって)ような信頼できる検査が未だ要望されている。これにより、コストが著しく低減され、大掛かりな移動を必要とすることなく、患者がより迅速に結果を得ることができるようになるという重要な利点が提供される。このような検査はまた、外部委託を可能にし、分析時間を短縮し、それによって検査を診断に適切なものとし、治療のモニタリングおよび調整を行うことができる。本明細書に記載される方法は、未だ対処されていないこれらの要望に対処するものである。
Noris et al.,Blood 2014;124:1715-26
補体関連障害であるか、または、該障害であることが疑われる患者における補体C5b-9沈着を測定するための方法が本明細書で提供される。
一態様では、補体C5b-9沈着を測定する方法であって、
(a)補体関連障害であるか、または、該障害であることが疑われる患者から得られた生体試料を、疾患関連細胞と生体外で接触させることと、
(b)該細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(c)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含む方法が、本明細書で提供される。
別の態様では、補体関連障害(例えば、aHUS)である患者がC5の阻害剤(例えば、エクリズマブ)での治療から利益を得るかどうかを判断する方法であって、該方法が、
(a)患者から得られた生体試料を、C5の阻害剤がある状態および該阻害剤がない状態でインキュベートすることと、
(b)工程(a)からの生体試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(c)該細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(d)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含み、
阻害剤がない状態でのインキュベートと比較して、阻害剤がある状態でインキュベートした生体試料ではC5b-9沈着が少ないということが、患者が阻害剤での治療から利益が得られる可能性が高いことを示唆するものである方法が、本明細書で提供される。
別の態様では、補体関連障害であり、C5の阻害剤で治療している患者をモニタリングする方法であって、該方法が、
(a)患者からの生体試料およびコントロール試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(b)該細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(c)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化すること、
(d)阻害剤で治療している患者からの生体試料でのC5b-9沈着が、コントロール試料でのC5b-9沈着と比較してより大きい場合、患者に投与する阻害剤の用量を増加させることとを含む方法が、本明細書で提供される。
一実施形態では、増加した用量の阻害剤を患者に投与する場合、工程(a)から(c)を繰り返して、増加した用量が細胞におけるC5b-9沈着レベルを正規化するのに十分であるかどうかを判断する。
別の態様では、本明細書に記載される方法に従ってC5の阻害剤またはエクリズマブに反応すると判断された患者内の補体関連障害を治療する方法が本明細書で提供され、該治療する方法は、治療有効量の阻害剤またはエクリズマブを患者に投与することを含む。
一部の実施形態では、患者は非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、STEC-HUS、糖尿病、ループス腎炎、血管炎、または慢性の同種移植片拒絶反応を有する。
特定の実施形態では、C5の阻害剤は、エクリズマブなどの抗体である。
一部の実施形態では、細胞は、マイクロプレート(例えば、96ウェルマイクロプレート)などの固体プラットフォーム上で培養される。
一部の実施形態では、疾患関連細胞は、内皮細胞、網膜色素上皮細胞、軟骨細胞、ニューロン、グリア細胞、骨格筋細胞、および心筋細胞からなる群から選択される。一部の実施形態では、内皮細胞は、皮膚由来のヒト微小血管内皮細胞、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞、包皮の内皮細胞、および肝臓腺癌由来の内皮細胞からなる群から選択される。
特定の実施形態では、細胞は、ウェル当たり約5,000~約6,000細胞の密度で蒔いて、コンフルエントまで培養される。他の実施形態では、細胞は、ウェル当たり約10,000細胞~約12,500細胞の密度で蒔いて、コンフルエントまで培養される。さらに他の実施形態では、細胞は、ウェル当たり約15,000細胞の密度で蒔いて、コンフルエントまで培養される。一部の実施形態では、細胞は、生体試料(例えば、血清)と接触させる前にコンフルエントである。一部の実施形態では、血清は、aHUSの患者、寛解の患者またはエクリズマブ未感作患者からのものである。
一部の実施形態では、細胞は、アデノシン5’-二リン酸、トロンビン、またはリポ多糖で活性化される。一部の実施形態では、細胞は、約1.5時間~約4時間生体試料と接触させる。一部の実施形態では、細胞は、接触させる工程の後であるが、評価する工程の前に、パラホルムアルデヒドなどの固定液でインキュベートされる。
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法におけるC5b-9沈着のレベルは、抗C5b-9抗体を使用して評価される。一部の実施形態では、抗C5b-9抗体は、染料などの検出可能な標識を含む二次抗体で検出される。一部の実施形態では、C5b-9沈着レベルは、On-cell Westernアッセイを使用して評価される。特定の実施形態では、抗C5b-9抗体が二次抗体で検出された後で、細胞を透過処理する。他の実施形態では、抗C5b-9抗体が二次抗体で検出される前に、細胞を透過処理する。一部の実施形態では、透過処理の後、DNAを染色する薬剤などである、核に蓄積する薬剤と共に細胞をインキュベートする。例示的な薬剤としては、例えば、CellTag 700 Stain染色試薬、DAPI、アクリジンオレンジ、Hoechst 33342 Dye染料、Hoechst 33258、SYTOX緑色核酸染色試薬、およびVybrant DyeCycle染色試薬が挙げられる。
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法の一つ以上の工程は自動化される。
特許または出願書類は、カラーで作成された少なくとも一つの図面を含む。カラー図面を伴う本特許または特許出願公開公報の写しは、請求および必要な料金の支払いにより米国特許庁によって提供されることとなる。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
補体C5b-9沈着を測定する方法であって、
(a)補体関連障害であるか、または、前記障害であることが疑われる患者から得られた生体試料を、疾患関連細胞と生体外で接触させることと、
(b)前記細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(c)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含む、方法。
(項目2)
補体関連障害を有する患者がC5の阻害剤での治療から利益を得るかどうかを判断する方法であって、前記方法が、
(a)前記患者から得られた生体試料を、C5の阻害剤がある状態および前記阻害剤がない状態でインキュベートすることと、
(b)工程(a)からの前記生体試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(c)前記細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(d)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含み、
前記阻害剤がない状態でのインキュベートと比較して、前記阻害剤がある状態でインキュベートした生体試料ではC5b-9沈着がより少ないということが、前記患者が前記阻害剤での治療から利益を得る可能性が高いことを示唆するものである、方法。
(項目3)
補体関連障害を有する患者がエクリズマブでの治療から利益を得るかどうかを判断する方法であって、前記方法が、
(a)前記患者から得られた生体試料を、エクリズマブがある状態およびエクリズマブがない状態でインキュベートすることと、
(b)工程(a)からの前記生体試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(c)前記細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(d)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含み、
エクリズマブがない状態でのインキュベートと比較して、エクリズマブがある状態でインキュベートした生体試料ではC5b-9沈着がより少ないということが、前記患者がエクリズマブでの治療から利益を得る可能性が高いことを示唆するものである、方法。
(項目4)
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)を有する患者がエクリズマブでの治療から利益を得る可能性が高いかどうかを判断するための方法であって、前記方法が、
(a)前記患者から得られた生体試料を、エクリズマブがある状態およびエクリズマブがない状態でインキュベートすることと、
(b)工程(a)からの前記生体試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(c)前記細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(d)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含み、
エクリズマブがない状態でのインキュベートと比較して、エクリズマブがある状態でインキュベートした生体試料ではC5b-9沈着がより少ないということが、前記患者がエクリズマブでの治療から利益を得る可能性が高いことを示唆するものである、方法。
(項目5)
補体関連障害を有し、C5の阻害剤で治療されている患者をモニタリングする方法であって、前記方法が、
(a)前記患者からの生体試料およびコントロール試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(b)前記細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(c)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、
(d)前記阻害剤で治療されている前記患者からの前記生体試料でのC5b-9沈着が、前記コントロール試料でのC5b-9沈着と比較してより多い場合、前記患者に投与する前記阻害剤の用量を増加させることとを含む、方法。
(項目6)
増加させた用量の前記阻害剤を前記患者に投与する場合、工程(a)から(c)を繰り返して、前記増加させた用量が前記細胞におけるC5b-9沈着レベルを正規化するのに十分であるかどうかを判断する、項目5に記載の方法。
(項目7)
項目1から4のいずれか一項に記載の方法に従ってC5の阻害剤またはエクリズマブに対して応答性であると判断された患者において補体関連障害を治療する方法であって、前記方法は、治療有効量の前記阻害剤またはエクリズマブを前記患者に投与することを含む、方法。
(項目8)
前記C5の前記阻害剤は、エクリズマブなどの抗体である、項目2、5または6に記載の方法。
(項目9)
前記細胞が、マイクロプレートなどの固体プラットフォーム上で培養される、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記固体プラットフォームが、96ウェルマイクロプレートである、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記疾患関連細胞は、内皮細胞、網膜色素上皮細胞、軟骨細胞、ニューロン、グリア細胞、骨格筋細胞、および心筋細胞からなる群から選択される、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記疾患関連細胞は、皮膚起源由来のヒト微小血管内皮細胞、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞、包皮の内皮細胞、および肝臓腺癌由来の内皮細胞からなる群から選択される内皮細胞である、項目11記載の方法。
(項目13)
前記細胞は、ウェル当たり約5,000~約6,000細胞の密度で蒔かれて、コンフルエントまで培養される、項目1から12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記細胞は、ウェル当たり約10,000~約12,500細胞の密度で蒔かれて、コンフルエントまで培養される、項目1から13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記細胞は、ウェル当たり約15,000細胞の密度で蒔かれて、コンフルエントまで培養される、項目1から12のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
細胞は、前記生体試料と接触させられる前にコンフルエントである、項目1から15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記生体試料が血清である、項目1から16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記血清は、aHUSの患者、寛解の患者またはエクリズマブ未感作患者由来のものである、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記細胞は、アデノシン5’-二リン酸、トロンビン、またはリポ多糖で活性化される、項目1から18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記細胞は、約1.5時間~約4時間、前記生体試料と接触させられる、項目1から19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記細胞は、前記接触させる工程の後であるが、前記評価する工程の前に、パラホルムアルデヒドなどの固定液と共にインキュベートされる、項目1から20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
C5b-9沈着のレベルは、抗C5b-9抗体を使用して評価される、項目1から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記抗C5b-9抗体は、色素などの検出可能な標識を含む二次抗体で検出される、項目20記載の方法。
(項目24)
C5b-9沈着のレベルは、On-cell Westernアッセイを使用して評価される、項目1から23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記抗C5b-9抗体が二次抗体で検出された後で、前記細胞を透過処理する、項目23に記載の方法。
(項目26)
前記抗C5b-9抗体が二次抗体で検出される前に、前記細胞を透過処理する、項目23に記載の方法。
(項目27)
透過処理の後、DNAを染色する薬剤などである、核に蓄積する薬剤と共に前記細胞をインキュベートする、項目25または26に記載の方法。
(項目28)
前記薬剤が、CellTag 700 Stain、DAPI、アクリジンオレンジ、Hoechst 33342 Dye、Hoechst 33258、SYTOX Green nucleic acid stain、およびVybrant DyeCycle stainからなる群から選択される、項目27に記載の方法。
(項目29)
一つ以上の工程が自動化されている、項目1から28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記患者は、非典型溶血性尿毒症症候群、STEC-HUS、糖尿病、ループス腎炎、血管炎、または慢性の同種移植片拒絶反応を有する、項目1から3、5から17、および、19から29のいずれか一項に記載の方法。
図1は、96ウェルマイクロプレート上に播種後の様々な時点での培養中の3,000、4,000、5,000、6,000、7,500、および10,000個のHMEC-1細胞の位相差顕微鏡画像を示す。最右列は、培養96時間後にクリスタルバイオレット染色で染色された細胞の位相差顕微鏡画像を示す。 図2Aおよび2Bは、96ウェルマイクロプレート上に播種後の様々な時点での培養中の10,000、12,500、および15,000個のHMEC-1細胞の位相差顕微鏡画像を示す。 図3は、96ウェルプレート内のHMEC-1増殖の時間経過(24~96時間)を示す。 図4A-4Dは、96時間培養したHMEC-1細胞を使用した生存能力実験の代表的画像を示す。 図5Aは、培地、コントロール血清、aHUS1急性血清、aHUS1急性血清+sCR1、およびaHUS2急性血清、と共にインキュベートされた休止HMEC-1細胞の染色を示す。二次抗体を1:600希釈で使用した。左側は100μLのPBS/2%BSAブロッキング緩衝液であり、右側はOdysseyブロッキング緩衝液である。 図5Bは、培地、コントロール血清、aHUS1急性血清、aHUS1急性血清+sCR1、およびaHUS2急性血清、と共にインキュベートされたADP活性化HMEC-1細胞の染色を示す。二次抗体を1:600希釈で使用した。左側は100μLのPBS/2%BSAブロッキング緩衝液であり、右側はOdysseyブロッキング緩衝液である。 図5Cは、培地、コントロール血清、aHUS1急性血清、aHUS1急性血清+sCR1、およびaHUS2急性血清、と共にインキュベートされた休止HMEC-1細胞の染色を示す。二次抗体を1:1200希釈で使用した。左側は100μLのPBS/2%BSAブロッキング緩衝液であり、右側はOdysseyブロッキング緩衝液である。 図5Dは、培地、コントロール血清、aHUS1急性血清、aHUS1急性血清+sCR1、およびaHUS2急性血清、と共にインキュベートされたADP活性化HMEC-1細胞の染色を示す。二次抗体を1:1200希釈で使用した。左側は100μLのPBS/2%BSAブロッキング緩衝液であり、右側はOdysseyブロッキング緩衝液である。 図6Aおよび図6Bは、24時間培養(左)または一晩培養(右)後に、4時間にわたってコントロールまたはaHUS血清に曝露された休止HMEC-1細胞の、CellTag 700染色試薬(赤色)を用いた染色を示す。円形が、標準グリッドの周り(図6A)および減少されたグリッドの周り(図6B)に描画されている。 図7は、典型的なC5b-9試験および自動化C5b-9試験(一晩のHMEC-1培養、標準グリッドでの分析)の結果の間の関係(R=0.9696)を示すグラフである。 図8は、典型的なC5b-9試験および自動化C5b-9試験(24時間のHMEC-1培養、標準グリッドでの分析)の結果の間の関係(R=0.9631)を示すグラフである。 図9は、典型的なC5b-9試験および自動化C5b-9試験(一晩のHMEC-1培養、標準グリッドでの分析)の結果の間の関係(R=0.73)を示すグラフである。
本明細書において、補体関連障害であるか、または、該障害であることが疑われる患者の生体試料中に存在する因子によって促進される、細胞、例えば、内皮細胞におけるC5b-9沈着を検出するアッセイが開示される。このアッセイは、例えば、補体関連障害を有する患者を診断するため、C5の阻害剤(例えば、エクリズマブ)での治療で患者が利益を得る可能性が高いかどうかを判断するため、C5の阻害剤で治療している患者においてC5の阻害剤の投与量を漸増するため、および/または新規のC5阻害剤のスクリーニングを行うために、使用することができる。
定義
本明細書がより簡単に理解できるように、以下の定義が提供される。
本明細書において使用される場合、「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という語は区別なく使用され、長さまたは翻訳後修飾に関わらず、アミノ酸の任意のペプチド結合鎖を意味する。本明細書に記載されるタンパク質は、野生型タンパク質を含有もしくは野生型タンパク質であることが可能であり、または50個以下(例えば、1個以下、2個以下、3個以下、4個以下、5個以下、6個以下、7個以下、8個以下、9個以下、10個以下、12個以下、15個以下、20個以下、25個以下、30個以下、35個以下、40個以下、または50個以下)の保存的アミノ酸置換を有する変異体であることが可能である。保存的置換は通常、以下のグループの範囲内の置換を含む:グリシンおよびアラニン;バリン、イソロイシン、およびロイシン;アスパラギン酸およびグルタミン酸;アスパラギン、グルタミン、セリンおよびトレオニン;リシン、ヒスチジンおよびアルギニン;フェニルアラニンおよびチロシン。
本明細書において使用される場合、「抗体」という語は、全抗体および全抗体の抗原結合断片の両方を含む。全抗体には、IgM、IgG、IgA、IgD、およびIgE抗体を含む異なる抗体アイソタイプが含まれる。「抗体」という語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ化抗体またはキメラ抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体(primatized antibody)、脱免疫化抗体、および完全ヒト抗体を含む。抗体は、例えば、ヒトなどの哺乳動物、非ヒト霊長類(例えば、オランウータン、ヒヒ、またはチンパンジー)、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、アレチネズミ(gerbil)、ハムスター、ラット、およびマウスなどの種々の種のいずれかにおいて作られるか、またはそれらから誘導することができる。抗体は、精製抗体または組換え抗体とすることができる。
本明細書において使用される場合、「抗体断片」、「抗原結合断片」という語、または類似の語は、標的抗原(例えば、ヒトC5)に結合して該標的抗原の活性を阻害する能力を保持する抗体の断片を指す。かかる断片としては、例えば、一本鎖抗体、一本鎖Fv断片(scFv)、Fd断片、Fab断片、Fab’断片、またはF(ab’)断片が挙げられる。scFv断片は、そこからscFvが誘導される抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域との両方を含む一本鎖ポリペプチドである。さらに、細胞内抗体(intrabody)、ミニボディ(minibody)、トリアボディ(triabody)、およびダイアボディもまた、抗体の定義内に含まれ、本明細書に記載の方法での使用に適合する。例えば、Todorovska et al.(2001)J Immunol Methods 248(1):47-66;Hudson and Kortt (1999) J Immunol Methods 231(1):177-189;Poljak(1994)Structure 2(12):1121-1123および、Rondon and Marasco(1997)Annual Review of Microbiology 51:257-283を参照されたく、またそのそれぞれの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
「抗体」という語は、例えば、ラクダ化された(camelized)単一ドメイン抗体等である単一ドメイン抗体を含む。例えば、Muyldermans et al.(2001)Trends Biochem Sci 26:230-235;Nuttall et al.(2000)Curr Pharm Biotech :253-263;Riechmann et al.(1999)J Immunol Meth 231:25-38;PCT出願国際公開第94/04678号および第94/25591号および米国特許第6,005,079号を参照されたく、このすべてはその全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態においては、この開示は、単一ドメイン抗体が形成されるように修飾を有する二つのVHドメインを含む単一ドメイン抗体を提供する。「抗体」という語はまた、少なくとも二つの異なる抗原に対して結合特異性を有する二重特異性抗体および多重特異性抗体を含む。二重特異性抗体(DVD-Ig抗体を含む)は、少なくとも二つの異なる抗原に対する結合特異性を有する。
本明細書で使用される場合、「個体」または「対象」という語を修飾するために使用される場合、「正常」という語は、特定の疾患もしくは症状(例えば、aHUS)を有さず、かつ、疾患もしくは症状を発症するリスクを有するまたはあることが疑われない、個体または個体の群を指す。
本明細書において使用される場合、「コントロール試料」または「参照試料」は、例えば、健康な対象からの試料、または評価される対象からの早期の試料等を含む、任意の臨床関連コントロールまたは参照試料を指す。例えば、コントロール試料または参照試料は、補体関連障害の発症前、疾患の早期段階、または治療の施術前の対象からのサンプルでありうる。
本明細書で使用される場合、「コンフルエント(confluent)」という語は、実質的に全ての利用可能な表面が使用されるように、細胞がある面(例えば、マイクロプレートのウェルの表面)上に可干渉性の単細胞層を形成したことを意味する。「実質的にコンフルエント」という語は、使用可能な表面の約70%超、例えば約90%超が使用されるように、細胞が表面上に全体的に接触することを意味する。「利用可能な表面」は、細胞を収容するのに十分な表面積を意味する。
本明細書で使用される場合、「補体関連障害(complement-associated disorder)」とは、病原体が補体系の異常な活性化に関与しているようなすべての疾患および病態を指す。
本明細書で使用される場合、「エクリズマブ未感作」は、エクリズマブで以前に治療されていない患者を指す。
本明細書で使用される場合、「生体試料」は、患者から単離された、流体、細胞、または組織、および/またはその組み合わせを指す。特定の実施形態においては、患者から単離された生体試料は、血清、血液、および尿からなる群から選択される。
本明細書で使用される場合、「生体外(ex vivo)」は、患者または対象の外側の環境を指す。
「細胞数によるC5b-9沈着レベルの正規化」という文脈で使用される場合、「正規化(する)」という語は、細胞試料(例えば、96ウェルマイクロプレートのあるウェル)中にある生のC5b-9信号レベルを獲得して、その値を同じ細胞試料中の細胞数で除算することを指す。C5の阻害剤の用量を漸増する(titrating)文脈では、「正規化」という語は、C5b-9沈着のレベルがコントロール試料(すなわち、ベースラインまたはバックグラウンドのレベル)のそれと本質的に同様であるか、またはそれよりも低くなるまで、阻害剤の用量を増加することを指す。特定の実施形態では、コントロール試料のレベルと本質的に同様であるC5b-9沈着のレベルは、コントロールのレベルよりも低いC5b-9のレベルを示しうるか、または、高い場合には、コントロールのレベルよりも約1~20%高く、例えば約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、または約20%高いレベルを示しうる。
本明細書で使用される場合、「患者」は、予防的または治療的な治療いずれかを受けるヒトまたは他の哺乳類の対象を指す。
本明細書において使用される場合、「対象」とは、任意のヒト動物または非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」とは、例えば哺乳類、および非哺乳類である全ての脊椎動物、例えば非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などを指す。
「治療有効量」または「治療上有効な用量」または本明細書において使用される類似の語は、所望の生物学的または医学的応答(例えば、aHUSの一つ以上の症状の改善)を引き出すような、薬剤(例えば、ヒトC5の阻害剤)の量を意味することが意図されている。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、治療有効量のヒト補体成分C5の阻害剤を含有する。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、補体成分C5タンパク質に結合する、治療有効量の抗体又はその抗原結合断片の阻害剤を含有する。一部の実施形態では、組成物は、全体として治療上有効であるように、2種以上(例えば、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、または11種以上)のヒト補体成分C5の異なる阻害剤を含有する。例えば、組成物は、ヒトC5タンパク質に結合する抗体と、ヒトC5タンパク質をコードするmRNAと結合し、該mRNAの分解を促進するsiRNAとに結合する抗体を含有することができ、ここで抗体およびsiRNAはそれぞれ組み合わされたときに治療的に有効である濃度である。一部の実施形態では、組成物は、組成物全体として治療的に有効であるように、阻害剤および一つ以上の第二の活性薬剤を含有する。例えば、組成物は、ヒトC5タンパク質に結合する抗体、およびaHUSなどの補体関連障害の治療または予防に有用な別の薬剤を含むことができる。
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、および「the」は、文脈により別途明示していない限り、複数の指示対象を含む。「または」または「および」の使用は、別段の記載がない限り、「および/または」を意味する。また、「含むこと」という語ならびに「含む」、「含む」、および「含まれる」などのその他の形態の使用を制限しない。
本明細書で使用される場合、「約」は、量、時間的期間等の測定可能な値に言及するとき、指定された値から最大±10%の変化を包含する。別途示さない限り、分子量、反応条件、スコアシステムのスコアなど、本明細書で使用される成分、性質の量を表すすべての数字は、「約」という語によって修飾されているものとして理解される。
本開示のその他の特徴および利点は、以下の説明、実施例、および請求項から明らかであろう。
I.補体系の概要
補体系は、体の他の免疫系と共に作用することで、細胞病原体およびウイルス病原体の侵入に対して防御する。少なくとも25個の補体タンパク質があり、これは血漿タンパク質および膜因子の複合集合(complex collection)として見出される。血漿タンパク質は、脊椎動物血清中のグロブリンの約10%を占める。補体成分は、複雑だが正確な一連の酵素的切断および膜結合イベントにおいて相互作用することにより、それらの免疫防御機能を達成する。その結果である補体カスケードが、オプソニン作用、免疫調節作用および溶解作用を有する産物の産生を導く。補体活性化に関連付けられた生物学的活性の簡潔な要約が、例えば、The Merck Manual,16th Editionで提供される。
補体カスケードは、古典経路、副経路、またはレクチン経路を経て進行する。これらの経路は多くの成分を共有し、それらはそれらの初期ステップで異なっているが、標的細胞の活性化および破壊に重要な役割を担う同一の「終末補体」成分(C5~C9)に収束して、それを共有する。
古典経路(CP)は、典型的には、標的細胞上の抗原部位の抗体認識および該抗原部位への結合によって開始される。副経路(AP)は抗体と独立であることができ、病原体表面上の特定の分子によって開始されうる。さらに、レクチン経路は典型的には、高マンノースである基質にマンノース結合レクチン(「MBL」)が結合することにより開始される。これら経路は、補体成分C3が活性プロテアーゼによって切断されてC3aおよびC3bが得られる点において収束する。補体攻撃を活性化する他の経路は、後に補体機能の様々な態様を導く事象のシーケンスにおいて作用することができる。C3aはアナフィラトキシンである。C3bは細菌および他の細胞のみならず、特定のウイルスおよび免疫複合体に結合し、循環からの除去のためにそれらにタグを付ける。このC3bのオプソニン作用は、概して、補体系の最も重要な抗感染作用であると考えられている。C3bはまた、補体成分C5(以下「C5」と称する)をC5aおよびC5bに切断する、古典経路又は副経路のC5転換酵素を形成するために、各経路に固有である他の成分と複合体を形成する。
C5の切断は、例えばC5a、強力なアナフィラトキシンおよび化学的因子、およびC5bなどの生物学的活性種を放出するが、これは一連のタンパク質相互作用を通して溶解性終末補体複合体C5b-9の形成につながる。C5aおよびC5b-9はまた、加水分解酵素、活性酸素種、アラキドン酸代謝産物、および様々なサイトカインなどの下流炎症因子の放出を増幅することによって、多面発現的な細胞活性化特性も有する。
C5bは、C6、C7、およびC8と複合化して、C5b-8複合体を標的細胞表面で形成する。いくつかのC9分子が結合すると、膜侵襲複合体(MAC、終末補体複合体TCCであるC5b-9)が形成される。標的細胞膜に十分な数のMACを挿入すると、それらが作り出す開口(MACポア)が、標的細胞の急速な浸透圧溶解を媒介する。非溶解(non-lytic)性の濃度の低いMACは、その他の影響を生じうる。特に、内皮細胞および血小板への少数のC5b-9複合体の膜内挿入は、有害な細胞活性化を引き起こす可能性がある。一部の事例では、活性化が細胞溶解に先行しうる。
上述のように、C3aおよびC5aは活性化された補体成分である。これらは、好塩基球および肥満細胞からのヒスタミン、ならびに、平滑筋収縮、血管透過性亢進、白血球活性化、および、細胞過形成をもたらす細胞増殖を含めた他の炎症性の現象をもたらす他の炎症の介在物質が放出される、肥満細胞の脱顆粒を誘発することができる。C5aはまた、炎症促進性顆粒球を補体活性化部位に引き寄せる働きをする走化性ペプチドとして機能する。C5a受容体は、気管支および肺胞の上皮細胞ならびに気管支の平滑筋細胞の表面上で発見される。C5a受容体は、好酸球、肥満細胞、単球、好中球、および活性化リンパ球上でも発見されている。
II.生体外(ex vivo)でのC5b-9沈着の検出
本明細書において、細胞(例えば、内皮細胞)上のC5b-9の沈着を検出するための新しい生体外アッセイを提供する。こうしたアッセイは、抗C5抗体療法に反応するであろう、補体関連障害であるかまたは該障害であることが疑われる患者を特定するために特に有用である(例えば、このような患者からの生体試料について細胞におけるC5b-9沈着を促進する能力を試験することによって)。かかるアッセイはまた、例えばC5の候補阻害剤などの補体副経路の候補阻害剤をスクリーニングするためにも有用である。
概して、細胞におけるC5b-9沈着を検出するアッセイは、以下の工程:
(a)補体関連障害であるか、または、該障害であることが疑われる患者から得られた生体試料を、関心の特定の障害に関連する細胞型と生体外で接触させることと、
(b)細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(c)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含む。
接触させる工程は、関心の補体関連障害に関連する細胞を生体外で提供することと、補体関連障害であるかまたは該障害であることが疑われる患者からの生体試料を細胞と接触させることとが必要である。理論に束縛されるものではないが、生体試料中に存在する補体分子は、細胞におけるC5b-9の生成および沈着を促進する。好ましい実施形態では、関心の疾患はaHUSであり、患者からの生体試料(例えば、血清)は内皮細胞と接触させる。一実施形態では、内皮細胞はHMEC-1細胞である。別の実施形態では、内皮細胞は初代内皮細胞(primary endothelial cell)である。またその他の実施形態では、内皮細胞は、皮膚起源のヒト内皮細胞、ヒト臍静脈内皮細胞、包皮からの内皮細胞、または肝臓腺癌からの内皮細胞である。
一実施形態では、足細胞またはメサンギウム細胞を、C3糸球体症などの補体関連障害であるかまたは該障害であることが疑われる患者からの生体試料と接触させる。別の実施形態では、網膜色素上皮細胞を、加齢性黄斑変性症などの補体関連障害であるかまたは該障害であることが疑われる患者からの生体試料と接触させる。別の実施形態では、軟骨細胞を、関節炎などの補体関連障害であるかまたは該障害であることが疑われる患者からの生体試料と接触させる。別の実施形態では、ニューロンおよびグリア細胞を、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、ならびに虚血性および外傷性の脳障害などの補体関連障害であるか、または該障害であることが疑われる患者からの生体試料と接触させる。別の実施形態では、赤血球を、発作性夜間血色素尿症などの補体関連障害であるかまたは該障害であることが疑われる患者からの生体試料と接触させる。別の実施形態では、骨格筋細胞を、重症筋無力症などの補体関連障害であるかまたは該障害であることが疑われる患者からの生体試料と接触させる。別の実施形態では、心筋細胞を、心筋梗塞などの補体関連障害であるかまたは該障害であることが疑われる患者からの生体試料と接触させる。同様の様式で、補体関連障害に関与することが知られている任意の細胞型を、本明細書に記載の方法で使用して、障害を有する患者からの生体試料のC5b-9沈着を促進する能力を試験することができる。本明細書で提供するガイダンス(特に、実施例において)により、当業者は、本明細書に記載される方法において特定の細胞型を使用するのに必要な条件を容易に決定することができる。
患者からの生体試料は、例えば、全血とすることができる。一部の実施形態では、生物学的流体は、血液分画、例えば、血清または血漿である。一部の実施形態では、生物学的流体は尿である。追加的な適切な生体試料には、組織、細胞溶解物、リンパ液、唾液、脳脊髄液、滑液、鼻の分泌物、およびその他の体液を含む試料が含まれる。本明細書に記載される方法で使用するための生体試料は典型的には新鮮であるが、凍結保存することができる。C5b-9複合体の生成を可能にする/サポートする任意の生体試料は、本明細書に記載の方法での使用に適している。生体試料がC5b-9複合体の生成を可能にする/サポートするかどうかは、当技術分野で公知である方法を用いて、陽性コントロール(例えば、aHUSなどの補体関連障害を有することがわかっている患者からの生体試料)および陰性コントロール(健康なコントロールからの生体試料)と比較して判断することができる。
一部の実施形態では、アッセイは、固体支持体上で培養された細胞上で実施される。固体支持体は、例えば、ビーズ、チューブ、チップ、樹脂、プレート、ウェル、フィルム、またはマイクロプレートとすることができる。固体支持体のための模範的な材料には、プラスチック、ガラス、セラミック、シリコーン、金属、セルロース、ゲル、ポリスチレン、ポリエステル、およびデキストランが含まれるがこれらに限定されない。好ましい実施形態では、細胞は96ウェルマイクロプレートなどの標準の複数ウェルのマイクロプレート上で培養される。
特定の実施形態では、患者は、関節リウマチ(RA);抗リン脂質抗体症候群(APS);ループス腎炎;虚血再灌流損傷;aHUS;志賀毒素産生性大腸菌感染症(STEC-HUS)に関連する典型的な(下痢性または感染性とも呼ばれる)溶血性尿毒症症候群;デンスデポジット病(DDD);視神経脊髄炎(NMO);多巣性運動ニューロパチー(MMN);多発性硬化症(MS);黄斑変性症(例えば、加齢性黄斑変性症);溶血、肝酵素上昇および血小板低下の症候群(HELLP);血小板減少性血栓性紫斑病(TTP);自然死産;血管炎(例えば、Pauci-immune血管炎);糸球体症(例えば、C3糸球体症);表皮水疱症;慢性同種移植片拒絶反応;習慣性流産;外傷性脳障害;ならびに、心筋梗塞、心肺バイパスおよび血液透析から生じる障害、からなる群から選択される補体関連障害であるかまたは該障害であることが疑われる。一部の実施形態では、補体関連障害は、心血管障害、心筋炎、脳血管障害、末梢(例えば、筋骨格)血管障害、腎血管障害、腸間膜/腸血管障害、血管炎、シェンラインヘノッホ紫斑病腎炎、全身性エリテマトーデス関連血管炎、関節リウマチ関連血管障炎、免疫複合体性血管炎、高安病、拡張型心筋症、糖尿病性血管障害、川崎病(動脈炎)、静脈ガス塞栓症(VGE)ならびにステント留置、回転性のアテレクトミーおよび経皮的冠動脈形成術(PTCA)の後の再狭窄などである補体関連血管障害である。さらなる補体関連障害には、重症筋無力症(MG)、寒冷凝集素症(CAD)、皮膚筋炎、発作性寒冷ヘモグロビン尿症(PCH)、バセドウ病、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、全身性炎症反応性敗血症(systemic inflammatory response sepsis)、敗血症性ショック、脊髄障害、糸球体腎炎、橋本甲状腺炎、I型糖尿病、乾癬、天疱瘡、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、グッドパスチャー症候群、デゴス病、および劇症型APS(CAPS)が挙げられるがこれに限定されない。好ましい実施形態では、患者はaHUSを有するかもしくはaHUSであることが疑われる、または寛解している。
一部の実施形態では、細胞が固体支持体上にコンフルエントな単層を形成したら、患者からの生体試料と細胞を接触させる。例えば、一実施形態では、内皮細胞を、96ウェルマイクロプレート上に5,000細胞/ウェルの密度で蒔いて、生体試料と接触させる前にコンフルエントに到達させる。細胞培養条件によるが、96ウェルマイクロプレート上に約5,000細胞/ウェルの密度で播種したHMEC-1細胞は、典型的には、約96時間かかってコンフルエントに達する。特定の実施形態では、内皮細胞は、96ウェルマイクロプレート上に約15,000細胞/ウェルの密度で蒔く。ここでも細胞培養条件によるが、96ウェルマイクロプレート上に約15,000細胞/ウェルの密度で播種したHMEC-1細胞は、約16~24時間でコンフルエントになる。特定の実施形態では、内皮細胞は、96ウェルマイクロプレート上に約10,000または約12,500細胞/ウェルの密度で蒔く。細胞培養条件によるが、ウェルあたり約10,000または約12,500細胞で播種したHMEC-1細胞は、典型的には、約48時間かかってコンフルエントに達する。細胞を蒔いてからコンフルエントに達するまでの時間は、細胞型に依存し、本明細書で提供するガイダンスに基づいて当業者によって容易に決定されうる。
さらなる実施形態では、生体試料と接触させる前に、細胞を活性化させる。一部の実施形態では、生体試料と接触させる前に、細胞(例えば、内皮細胞)がアデノシン二リン酸(ADP)、リポ多糖、またはトロンビンを使用して活性化される。他の実施形態では、細胞は休止状態で使用される(すなわち、細胞は活性化されない)。
一部の実施形態では、細胞は、増殖培地(すなわち、血清を含有する培地)中でマイクロプレート上に播種され、活性化または生体試料との接触の前に血清を含まない培地中で特定の期間(例えば、24時間)培養される。
一部の実施形態では、接触させる工程のために、生体試料(例えば、試験血清)は、約1:1~約1:10であって、例えば約1:1~約1:8、約1:1~約1:6、約1:1~約1:4、または約1:1~約1:2の体積/体積比で培地(例えば、細胞培養培地)と混合される。一部の実施形態では、接触させる工程のために、生体試料は、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9または約1:10の体積/体積比で培地と混合される。一実施形態では、生体試料は約1:2の比で培地と混合される。生体試料と培地との混合物は、本明細書で「試験試料/試験培地混合物」と呼称される。一部の実施形態では、試験培地は、例えば、137mmol/lのNaCl、5.4mmol/lのKCl、0.7mmol/lのNaHPO、0.73mmol/lのKHPO、1.9mmol/lのCaCl、0.8mmol/lのMgSO、28mmol/lのトリス塩基(Trizma base)pH7.3、0.1%デキストロースに、0.5%BSAを添加した組成を有するHank緩衝生理食塩水である。その他の適切なタイプの試験培地には、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。必要ではないが、細胞は典型的には、試験試料/試験培地混合物との培養の前に、試験培地で洗浄(例えば、1、2、3または4回)される。
一部の実施形態では、細胞は、約30分~12時間であって、例えば、約1時間~8時間、約2時間~6時間、または約3時間~4時間の間、生体試料(例えば、試験試料/試験培地混合物)と接触させる。特定の実施形態では、細胞は、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、または約12時間の間、生体試料と接触させる。好ましい実施形態では、細胞は4時間の間、生体試料と接触させる。
接触させる工程に続いて、細胞は、特に後に免疫染色手順を受けることとなる場合には、C5b-9沈着の検出の前に固定されうる。適切な非限定的な固定液としては、例えば、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、酢酸、アセトン、四酸化オスミウム、クロム酸、塩化第二水銀、ピクリン酸、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール)、Gendre’s液、ロスマン液、B5固定液、Bouin液、Carnoy固定液、およびmethacarn液が挙げられる。好ましい実施形態では、細胞はパラホルムアルデヒド中で固定される。一実施形態では、細胞は4%パラホルムアルデヒド中で固定される。細胞は典型的には、例えばリン酸緩衝生理食塩水である、適切な緩衝液での固定後に洗浄される。
評価する工程は典型的に、細胞(例えば、内皮細胞)におけるC5b-9沈着の検出を伴う。特定の実施形態では、評価する工程は、C5b-9を特異的に認識する抗体(例えば、抗C5b-9抗体)での免疫染色(例えば、免疫細胞化学)を伴う(すなわち、一次抗体)。かかる抗体は、例えば、Calbiochem社から市販されているか、または当技術分野で公知の標準の抗体産生方法を使用して新規に生成することができる。
C5b-9沈着の検出前に、細胞をブロッキング溶液でインキュベートすることができる。例示的な非限定的なブロッキング剤としては、ウシ血清アルブミン、ヤギ血清、魚皮ゼラチン、ウマ血清、ブタ血清、ロバ血清、ウサギ血清、またはOdysseyブロッキング緩衝液(LI-COR Biosciences社)などの任意の適切な市販のブロッキング剤が挙げられる。
C5b-9沈着の検出は、一次抗体および二次抗体を使用する免疫染色を伴いうる。一部の実施形態では、一次抗体は、C5b-9(例えば、ヒトC5b-9)を特異的に認識する抗体である。一実施形態では、一次抗体はポリクローナル抗体である。別の実施形態では、一次抗体はモノクローナル抗体である。一部の実施形態では、一次抗体は、任意の種、例えば、ラット、ウマ、ヤギ、ウサギ、マウス、モルモット、ヒトなどからのものとすることができる。
特定の実施形態では、一次抗体は、少なくとも1:50であって、例えば、1:100、1:150、1:200、1:250、1:300、1:350、1:400、1:450、1:500、1:550、1:600、1:650、1:700、1:750、1:800、1:850、1:900、1:1000、1:1500、1:2000、1:2500、1:3000、1:3500、1:4000、1:4500、1:5000、1:6000、1:7000、1:8000、1:9000、または約1:10,000、およびその間のすべての範囲および値を含む、約1:50~約1:10,000で、適切な緩衝液中で希釈される。適切な緩衝液は当業者に周知であり、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、およびこれに類するものを含む。一部の実施形態では、緩衝液は、例えば、約0.05%~約0.3%であって、例えば約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、およびその間の全ての範囲および値の最終濃度で、例えばTriton X-100、NP-40等である界面活性剤、ならびに/またはブロッキング剤(例えば、BSA)が補われる。
一次抗体と抗原との間の結合を検出するために二次抗体を使用することは周知である(例えば、Antibodies:A Laboratory Manual,Harlow and Lane,Cold Spring Harbor laboratory Press,1988;Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel et al.,John Wiley and Sons,Inc.NY,2001を参照されたい)。二次抗体は、一次抗体の起源の種に基づいて選択され、例えば、一次抗体がマウス抗体であれば、その場合二次抗体は例えば、ウサギ抗マウス抗体であることになる。
二次抗体は、典型的には検出可能な部分に結合(例えば、抱合または融合)される。検出可能な部分は、当技術分野で公知の標準的な方法を使用して、二次抗体に抱合されることができる。適切な検出可能な部分には、発光標識、蛍光標識、放射性標識、酵素標識(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、ウレアーゼ、グルコース酸化酵素、アセチルコリン転移酵素)、発色団標識、エピトープ標識、リン光性標識、ECL標識、染料、ハプテン、ビオテン(bioten)、光親和性標識等が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載の方法で使用するための検出可能な部分に抱合される二次抗体も市販されている。
一部の実施形態では、一次抗体は検出可能部分に抱合され、二次抗体はC5b-9沈着物を検出するために使用されない。検出可能部分を付加することは、その標的抗原(例えば、C5b-9)の一次抗体との結合に干渉しない。検出可能部分を一次抗体に抱合する方法は、当技術分野ではルーチンである。
抗体複合体(一次/二次抗体複合体)の抗原との結合後、細胞上の抗体-抗原複合体から生成される信号を定量化することによってC5b-9沈着を評価することができる。検出手段は、使用される特定の標識によって決定される。例えば、定量化は、共焦点顕微鏡下で一次抗体または二次抗体に抱合された蛍光染料によって生成される信号を測定することを含みうる。さらに、測定は、C5b-9に特異的に結合しない抗体を洗浄溶液を使用して洗浄した後に実施されうる。洗浄溶液は、例えば、水、緩衝液(例えば、PBS)、生理食塩水、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されうる。特定の実施形態では、測定する工程は、LI-COR Biosciences社のOdyssey CLXプラットフォームを使用したOn-Cell Western(商標)アッセイなどの自動化システムを使用して実施される。On-Cell Western(商標)アッセイを実施および最適化する方法の詳細は製造元のウェブサイト(www.licor.com)で利用可能である。一実施形態において、On-Cell Western(商標)アッセイを使用する場合、二次抗体はIRDye 800 CWヤギ抗ウサギIgG(H+L)抗体(LI-COR社)であり、約1:500~約1:1500であって、例えば約1:600または約1:1200の希釈で使用される。
使用される検出可能部分に適した手段でC5b-9沈着のレベルを定量化したら、細胞数の相違による変動を除去するために、C5b-9のレベルを試料中の細胞の数で正規化する。このことは、例えばDNAに結合する染料(例えば、DAPI)を使用することを伴うことができ、その信号を試料中の細胞数を決定するために使用できる。試料中の細胞数を定量化するためのその他の適切な薬剤には、例えば、アクリジンオレンジ、Hoechst 33342 Dye染料、ヘキスト33258、SYTOX緑色核酸染色試料、およびVybrant DyEcycle染色試料が含まれる。例示的な市販の染色試薬には、LI-CORおよびTO-PRO3(Life Technologies社)からのCellTag 700染色試薬が含まれる。
固定後で、かつ、C5b-9沈着検出前の細胞は、細胞浸透性が増し、試料中の細胞数を決定するために使用される薬剤が細胞内の区画(例えば、核)にアクセス可能にするような処理が供されうる。細胞透過性を増加させるために使用できる非限定的な薬剤としては、例えば、メタノールおよびアセトンなどの有機溶媒、または、Triton-X 100、サポニン、およびTween-20などの界面活性剤が挙げられる。一実施形態では、検出可能部位に抱合された二次抗体で抗C5b-9抗体を検出した後で、細胞を透過処理する。別の実施形態では、抗C5b-9抗体自体が検出可能部分を含む場合には、抗C5b-9抗体でC5b-9沈着を検出した後で、細胞を透過処理する。さらに別の実施形態では、二次抗体で抗C5b-9抗体を検出する前に、または抗C5b-9抗体自体が検出可能部分を含む場合には、抗C5b-9抗体を使用して細胞におけるC5b-9沈着を検出する前に、細胞を透過処理する。
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法の一つ以上の工程(例えば、上述の測定する工程)は、試料中の抗体染色パターンを検出および定量化するために、例えば自動化装置を使用して自動化される。一部の実施形態では、固体支持体上の細胞のプレーティングが自動化される。一部の実施形態では、生体試料との細胞の接触が自動化される。特定の実施形態では、C5b-9沈着物を検出するための免疫染色が自動化される(例えば、免疫染色すること)。一部の実施形態では、C5b-9沈着のレベルを測定することは、例えばEnSightマルチモードプレートリーダー(パーキンエルマー社)、サイテルイメージングシステム(Cytell Imaging System)(GEヘルスケア社)で、自動化される(例えば、LI-COR社のOdyssey CLXプラットフォームまたは蛍光染料などの検出可能な部分の自動化された検出/定量化を可能にするその他任意のプラットフォームを伴うOn-cell Western(商標)アッセイを使用して)。一部の工程では、細胞数によるC5b-9沈着のレベルを正規化することが自動化される。一部の実施形態では、すべての工程が自動化される。
本明細書に記載の方法は典型的に、参照試料またはコントロール試料と併せて実施される。一部の実施形態では、コントロール試料または参照試料は、健康な個体からの対応する生体試料である。他の実施形態では、コントロール試料または参照試料は、患者が補体関連障害を発症する前に得られた生体試料である。これらのコントロール試料または参照試料は、生体試料によって促進されるC5b-9沈着の量に対する標準化された参照を提供することができる。本明細書に記載される方法は、例えば、補体関連障害を有することがわかっている患者からの生体試料など、陽性コントロールと併せて実施することもできる。
III.診断、モニタリング、および治療方法
本明細書においては、補体関連障害を有する患者がC5の阻害剤での治療から利益を得るかどうかを判断する方法であって、
(a)患者から得られた生体試料を、C5の阻害剤がある状態および阻害剤がない状態でインキュベートすることと、
(b)工程(a)からの生体試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(c)細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(d)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含み、
阻害剤がない状態でのインキュベートと比較して、阻害剤がある状態でインキュベートした生体試料ではC5b-9沈着が少ないということが、患者が阻害剤での治療から利益が得られる可能性が高いことを示唆するものである方法が、本明細書で提供される。
特定の実施形態では、補体関連障害および細胞型は、前述のセクションに列記されたもののいずれかである。好ましい実施形態では、補体関連障害はaHUSである。一実施形態では、内皮細胞はHMEC-1細胞である。
一部の実施形態では、C5の阻害剤はエクリズマブである。したがって、本明細書においては、補体関連障害を有する患者がエクリズマブでの治療から利益が得られる可能性が高いかどうかを判断する方法であって、方法が、
(a)患者から得られた生体試料を、エクリズマブがある状態およびエクリズマブがない状態でインキュベートすることと、
(b)工程(a)からの生体試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(c)細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(d)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含み、
エクリズマブがない状態でのインキュベートと比較して、エクリズマブがある状態でインキュベートした生体試料ではC5b-9沈着が少ないということが、患者がエクリズマブでの治療から利益が得られる可能性が高いことを示唆するものである方法が、本明細書で提供される。
一部の実施形態では、補体関連障害はaHUSである。したがって、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)を有する患者がエクリズマブでの治療から利益を得る可能性が高いかどうかを決定するための方法であって、方法が、
(a)患者から得られた生体試料を、エクリズマブがある状態およびエクリズマブがない状態でインキュベートすることと、
(b)工程(a)からの生体試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(c)細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(d)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含み、
エクリズマブがない状態でのインキュベートと比較して、エクリズマブがある状態でインキュベートした生体試料ではC5b-9沈着が少ないということが、患者がエクリズマブでの治療から利益が得られる可能性が高いことを示唆するものである方法が、本明細書で提供される。
本明細書に記載される方法を使用して、補体関連障害であるまたは該障害であることが疑われる患者が、C5の阻害剤(例えば、エクリズマブ)での治療から利益を得る可能性が高いと特定されると、この患者に対して、アッセイで使用される阻害剤(例えば、エクリズマブ)などのC5の治療阻害剤で治療することができる。
したがって、本明細書においては、本明細書に開示される方法を使用して、障害または疾患に関連する細胞型(例えば、aHUSの内皮細胞)におけるC5b-9沈着のレベルによって決定されるように、補体関連障害であるまたは該障害であることが疑われる患者を治療する方法が提供され、該方法は、C5の阻害剤、例えばエクリズマブまたは次のセクションに記載されるC5の阻害剤のいずれかを、治療有効量で患者に投与することを含む。補体関連障害を有する患者へのC5の阻害剤の投与に関する詳細は、例えば、国際公開第2010054403号および国際公開第2015/021166号に見ることが可能であり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
補体関連障害を有し、C5の阻害剤を用いて治療を受けている患者に関して、例えば患者に投与する阻害剤の投薬量が本明細書に記載される生体外アッセイにおける内皮細胞におけるC5b-9沈着を正規化に十分であるかどうかを判断することによって、治療の効能をモニタリングする方法もまた本明細書で提供する。したがって、補体関連障害を有し、C5の阻害剤で治療している患者の治療の効能をモニタリングする方法であって、
(a)患者からの生体試料およびコントロール試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(b)細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(c)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、
(d)阻害剤で治療している患者からの生体試料でのC5b-9沈着が、コントロール試料でのC5b-9沈着と比較してより大きい場合、患者に投与する阻害剤の用量を増加させることとを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、工程(d)の結果に基づいて、増加した用量の阻害剤を患者に投与する場合、工程(a)から(c)を繰り返して、増加した用量が細胞におけるC5b-9沈着レベルを正規化するのに十分であるかどうかを判断する。これら工程は、C5b-9沈着のレベルを正規化するのに十分な投薬量が決定されるまで繰り返すことができる。正規化された、細胞におけるC5b-9沈着のレベルは、コントロール試料で観察されたC5b-9沈着に対して本質的に類似したC5b-9沈着のレベルに関する。一部の実施形態では、コントロール試料のレベルに相対的な正規化されたレベルが、コントロールのレベルよりも低いC5b-9のレベルを示しうるか、または、高い場合、コントロールのレベルよりも約1~20%高く、例えば約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、または約20%高いレベルを示しうる。
また、以下を含むC5の候補阻害剤をスクリーニングする方法も本明細書で提供される:
(a)補体関連障害を有することがわかっている患者からの生体試料を、候補阻害剤がある状態および候補阻害剤がない状態でインキュベートすることと、
(b)工程(a)からの生体試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(c)細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(d)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含み、
阻害剤がない状態でのインキュベートと比較して、候補阻害剤がある状態でインキュベートした生体試料ではC5b-9沈着が少ないということが、候補阻害剤が抗C5活性を有するということを示唆する。こうした方法は、例えば既知の検証された阻害活性を有するC5の阻害剤である、陽性コントロールと並行して実施することができる。
本明細書に記載される方法での使用に適したC5の例示的な阻害剤は、次のセクションに記載している。
IV.ヒト補体成分C5の阻害剤
本明細書に記載される方法で使用するためのヒト補体成分C5の適切な阻害剤(「C5の阻害剤」)には、任意の阻害剤がC5b-9の生成および/またはC5の活性に結合またはそうでなければ阻害する任意の分子である任意の阻害剤を含むことが可能である。例えば、「C5の阻害剤」は、以下を阻害する任意の薬剤とすることができる:(i)補体成分C5タンパク質の発現、もしくは、ある細胞によるタンパク質の適切な細胞内輸送もしくは分泌;(ii)C5切断断片C5aもしくはC5bの活性(例えば、C5aのその同族細胞受容体への結合、またはC5bのC6および/もしくは終末補体複合体のその他の成分への結合、上記参照);(iii)C5aおよびC5bを形成するヒトC5タンパク質の切断;(iv)ある細胞による、補体成分C5タンパク質の適切な細胞内輸送もしくは分泌;または(v)C5タンパク質もしくはC5タンパク質をコードするmRNAの安定性。補体成分C5タンパク質発現の阻害には、ヒトC5タンパク質をコードする遺伝子の転写の阻害;ヒトC5タンパク質をコードするmRNAの分解の増加;ヒトC5タンパク質をコードするmRNAの翻訳の阻害;ヒトC5タンパク質の分解の増加;プレプロヒトC5タンパク質の適切なプロセシングの阻害;またはヒトC5タンパク質の細胞による適切な輸送もしくは分泌の阻害が含まれる。候補薬剤がヒト補体成分C5の阻害剤であるかどうかを判断する方法は、当技術分野で公知であり、本明細書に記載されている。C3転換酵素および/もしくはC5転換酵素の減衰を形成または誘導を防止する任意の補体阻害剤を、本明細書に記載の方法を使用してスクリーニングすることができる。
阻害剤はまた、天然または可溶性形態の補体C5阻害性化合物を含むことができる。補体C5に結合する、またはそうでなければ補体C5の生成および/もしくは活性を阻害するのために利用されうる他の阻害剤は、例えば、タンパク質、タンパク質断片、ペプチド、小分子、ARC187を含むRNAアプタマー(マサチューセッツ州ケンブリッジ、Archemix Corporation社から市販されている)、L-RNAアプタマー、Spiegelmer、アンチセンス化合物、セリンプロテアーゼ阻害剤、RNA干渉(RNAi)で利用されうる、低分子干渉RNA(siRNA)、LNA(locked nucleic acid)阻害剤、ペプチド核酸(PNA)阻害剤などを含む二本鎖RNA等の分子などである。
一部の実施形態では、阻害剤は補体の活性化を阻害する。一部の実施形態では、阻害剤は、補体の副経路および/もしくは古典経路のC3転換酵素および/もしくはC5転換酵素の形成または構築を阻害する。一部の実施形態では、阻害剤は、例えばC5b-9膜侵襲複合体の形成である終末補体形成を阻害する。例えば、抗体補体阻害剤は、抗C5抗体を含みうる。かかる抗C5抗体は、C5bの形成および/または生理機能を阻害するように、C5および/またはC5bと直接相互作用しうる。
C5の阻害剤は、例えば、小分子、ポリペプチド、ポリペプチドアナログ、核酸、または核酸アナログとすることができる。
本明細書で使用される場合、「小分子」とは、好ましくは約6kDa未満、最も好ましくは約2.5kDa未満の分子量を持つ薬剤を指すことを意味する。多くの医薬品企業は、しばしば真菌、細菌、または藻類の抽出物である小分子の配列を含む、化学的混合物および/または生物学的混合物の広範なライブラリーを持つが、それはこの出願のアッセイのいずれかでスクリーニングできる。本出願は、特に、小型化学ライブラリー、ペプチドライブラリー、または天然産物のコレクションの使用を意図している。Tanらは、小型化した細胞ベースアッセイと互換性がある、200万個以上の合成化合物を含むライブラリーについて記述した(J Am Chem Soc(1998)120:8565-8566)。このようなライブラリーを、関心の標的抗原に結合する薬剤(例えば、補体成分C5)をスクリーニングするために使用しうることは、本出願の範囲内である。Chembridge DIVERSetなど、多数の市販の化合物ライブラリーが存在する。ライブラリーはまた、NCI開発治療プログラムのDiversity Setなど、学術的調査機関から利用することもできる。合理的薬物設計(rational drug design)も用いることができる。例えば、合理的薬物設計では、ヒト補体成分C5タンパク質についての、結晶構造または溶解構造の情報の使用を採用することができる。例えば、Hagemann et al.(2008)J Biol Chem 283(12):7763-75およびZuiderweg et al.(1989)Biochemistry 28(1):172-85に記載の構造を参照されたい。合理的薬物設計はまた、公知の化合物、例えば、公知のC5の阻害剤(例えば、ヒト補体成分C5タンパク質に結合する抗体、またはその抗原結合断片)に基づいて達成されうる。
ペプチド模倣薬は、対象のポリペプチドの少なくとも一部分が改変され、ペプチド模倣薬の三次元構造が対象のポリペプチドの構造と実質的に同一のままである化合物でありうる。ペプチド模倣薬は、対象のポリペプチド配列内の一つ以上の置換またはその他の修飾を含むそれ自体のポリペプチドである、開示の対象のポリペプチドの類似体でありうる。あるいは、対象のポリペプチド配列の少なくとも一部分は、対象のポリペプチドの三次元構造が実質的に保持されるように、非ペプチド構造で置換されていてもよい。言い換えれば、対象のポリペプチド配列内の一つ、二つまたは三つのアミノ酸残基が、非ペプチド構造によって置換されていてもよい。さらに、対象のポリペプチドのその他のペプチド部分は、非ペプチド構造で置換されていてもよいが、必要ではない。ペプチド模倣薬(ペプチド類似体および非ペプチジル類似体の両方)は、改善された特性(例えば、タンパク分解の減少、保持性の増加または生物学的利用度の増加)を持ちうる。ペプチド模倣薬は概して、改善された経口利用性を持ち、これらは特にヒトまたは動物の障害の治療に適するようにさせる。ペプチド模倣薬は、類似した二次元化学構造を有してもよく、または有さなくてもよいが、共通の三次元構造的な特徴および形状を共有していることに留意されたい。各ペプチド模倣薬は、一つ以上の一意的な追加的結合成分をさらに有してもよい。
C5の核酸阻害剤を使用して、C5に結合してC5を阻害することができる。核酸拮抗薬は、例えば、アプタマーとすることができる。アプタマーは、細胞表面タンパク質を含むほぼあらゆる分子を認識して特異的に結合するために使用することができる短いオリゴヌクレオチド配列である。SELEX(systematic evolution of ligands by exponential enrichment)プロセスは強力であり、かかるアプタータを容易に特定するために使用できる。アプタマーは、成長因子および細胞表面抗原など、治療ならびに診断に重要な幅広いタンパク質に対して作られうる。これらのオリゴヌクレオチドは、抗体がなすままの同様の親和性および特異性でそれらの標的に結合する(例えば、Ulrich(2006)Handb Exp Pharmacol.173:305-326を参照のこと)。
一部の実施形態では、C5の阻害剤は非抗体足場タンパク質である。これらのタンパク質は、概して、既存の抗原結合タンパク質についてコンビナトリアルケミストリーに基づいた適応を介して得られる。例えば、ヒトトランスフェリン受容体に対するヒトトランスフェリンの結合部位は、コンビナトリアルケミストリーを使用して改変されて、トランスフェリン変異体の多様なライブラリーを作り出すものであって、その一部は異なる抗原に対する親和性を取得している。Ali et al.(1999)J Biol Chem 274:24066-24073。受容体の結合に関与していないヒトトランスフェリンの一部は、変化しないまま、抗体のフレームワーク領域のように足場としての役割を果たし、変異結合部位を提示する。次いで、上記ライブラリーは、標的抗原に対して最適な選択性および親和性を有するそれらの変異体を特定する関心の標的抗原に対して、抗体ライブラリーであるとしてスクリーニングされる。非抗体足場タンパク質は、抗体と機能は類似であるが、抗体と比較して多くの利点を有するとされて、この利点は、特に増強された溶解性および組織浸透性、製造コストの軽減、および関心の他の分子との複合化の容易さを含む。Hey et al.(2005)TRENDS Biotechnol 23(10):514-522。
当業者であれば、非抗体足場タンパク質の足場部分が、例えば黄色ブドウ球菌(S.aureus)プロテインAのZドメイン、ヒトトランスフェリン、ヒト第10フィブロネクチンIII型ドメイン、ヒトトリプシン阻害剤のkunitzドメイン、ヒトCTLA-4、アンキリンリピートタンパク質、ヒトリポカリン、ヒトクリスタリン、ヒトユビキチン、またはテッポウウリ(E.elaterium.Id)からのトリプシン阻害剤のうちの全てまたは一部を含むことができることを理解するであろう。
一部の実施形態では、C5の阻害剤は抗体またはその抗原結合断片であり、それはヒト補体成分C5タンパク質に結合する。本発明での使用に適した抗C5抗体(またはそれから誘導されるVH/VLドメイン)は、当技術分野で周知の方法を使用して生成することができる。あるいは、当技術分野で認識されている抗C5抗体を使用できる。C5に結合する、これら当技術分野で認識されている抗体のいずれかと競合する抗体もまた使用できる。
一実施形態では、抗C5抗体は、C5aに関連するアナフィラトキシン活性の生成、および/または膜侵襲複合体C5b-9の構築を防止することを防ぐ。別の実施形態においては、本明細書に記載の抗C5抗体は、補体成分C5(例えばヒトC5)に結合し、C5aおよびC5b断片へのC5の切断を阻害する。一部の実施形態では、抗C5抗体はヒト補体成分C5タンパク質のアルファ鎖内のエピトープに結合することができる。C5のアルファ鎖に結合する抗体は、例えば、国際公開第2010/015608号および米国特許第6,355,245号に記載されている。一部の実施形態では、抗C5抗体はヒト補体成分C5タンパク質のベータ鎖内のエピトープに結合することができる。C5ベータ鎖に結合する抗体は、例えば、Moongkarndi et al.(1982)Immunobiol 162:397;Moongkarndi et al.(1983)Immunobiol 165:323、およびMollnes et al.(1988)Scand J Immunol 28:307-312に記載されている。一部の実施形態では、抗C5抗体は、米国特許第9,079,949号に記載される抗体であり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
ヒト補体成分C5のさらなる例示的な抗原性断片が、例えば、米国特許第6,355,245号に開示されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載される方法での使用に適したさらなる抗C5抗体、およびその抗原結合断片は、例えば、PCT出願国際公開第2010/015608号に記載されており、その開示は、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、抗C5抗体は、ヒト補体成分C5タンパク質(例えば、配列番号1で示すアミノ酸配列を有するヒトC5タンパク質)に特異的に結合する。「特異的結合」または「特異的に結合する」という語は、生理学的条件下で比較的安定している複合体(例えば、抗体と補体成分C5タンパク質との間の複合体)を形成する二つの分子を指す。通常、結合は、会合定数(K)が10-1よりも高いときに特異的であるとみなす。したがって、抗体は、少なくとも(またはこれよりも大きい)10-1(例えば、10、10、10、1010、10111012、1013、1014または1015またはそれ以上)のKでC5タンパク質と特異的に結合することができる。ヒト補体成分C5タンパク質に特異的に結合する抗体の例は、例えば、米国特許第6,355,245号に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載される抗C5抗体は、補体成分C5タンパク質(例えば、ヒトC5タンパク質)のC5aおよび/もしくはC5b活性断片の生成または活性を阻害することに活性を有することができる。この阻害作用を通じて、この抗C5抗体は、例えばC5aの炎症誘発効果および細胞の表面におけるC5b-9膜侵襲複合体(MAC)の生成等をさらに阻害する。C5aの生成を阻害する能力を有する抗C5抗体は、例えば、Moongkarndi et al.(1982)Immunobiol 162:397およびMoongkarndi et al.(1983)Immunobiol 165:323に記載されている。
一部の実施形態では、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、C5タンパク質の、50(例えば、55、60、65、70、75、80、85、90、または95またはそれ以上)%を超えてヒト補体成分C3b(例えば、APまたはCPのC5転換酵素複合体中に存在するC3b)に結合する能力を減少させうる。一部の実施形態では、C5タンパク質に結合すると、抗C5抗体またはその抗原結合性断片は、C5タンパク質の、50(例えば、55、60、65、70、75、80、85、90、または95またはそれ以上)%を超えて補体成分C4b(例えば、CPのC5転換酵素中に存在するC4b)に結合する能力を減少させうる。抗体が、補体成分C5タンパク質のC5aおよび/もしくはC5b活性断片の生成もしくは活性、または補体成分C4bもしくはC3bへの結合を阻害できるかどうかを判断する方法は、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第6,355,245号およびWurzner et al.(1991)Complement Inflamm :328-340に記載されている。
例示的な抗C5抗体は、エクリズマブ(ソリリス(Soliris(登録商標);アレクシオンファーマ社(Alexion Pharmaceuticals,Inc.)、コネチカット州チェシャー)または、エクリズマブと同じC5上のエピトープに結合するかもしくはC5への結合に関してエクリズマブと競合する抗体(例えば、Kaplan(2002)Curr Opin Investig Drugs 3(7):1017-23;Hill(2005)Clin Adv Hematol Oncol 3(11):849-50および、Rother et al.(2007)Nature Biotechnology 25(11):1256-1488を参照のこと)である。ソリリス(登録商標)は、マウス骨髄腫細胞培養により産生され、標準バイオプロセス技術により精製された組換えヒト化モノクローナルIgG2/4κ抗体であるエクリズマブの剤形である。エクリズマブは、ヒトIgG2配列およびヒトIgG4配列からのヒト定常領域と、ヒトのフレームワーク軽鎖可変領域と重鎖可変領域とに対して移植されたマウスの相補性決定領域とを含有する。エクリズマブは、二つの448個のアミノ酸重鎖と二つの214個のアミノ酸軽鎖から構成され、およそ148kDaの分子量を有する。エクリズマブは、それぞれ配列番号10および11で示す重鎖および軽鎖アミノ酸配列、それぞれ配列番号7および8で示す重鎖および軽鎖可変領域のアミノ酸配列、ならびに、それぞれ配列番号1、2、および3および4、5、および6で示す重鎖可変領域CDR1-3および軽鎖可変領域CDR1-3配列を含む。
別の例示的な抗体は、パキセリズマブ(アレクシオンファーマ社(Alexion Pharmaceuticals,Inc.)、コネチカット州チェシャー)、またはパキセリズマブと同じC5上のエピトープに結合するかもしくはC5への結合に関してパキセリズマブと競合する抗体(例えば、Whiss(2002)Curr Opin Investig Drugs 3(6):870-7;Patel et al. (2005) Drugs Today(Barc)41(3):165-70およびThomas et al.(1996)Mol Immunol 33(17-18):1389-401を参照のこと)である。
別の例示的な抗C5抗体は、それぞれ配列番号14および11で示す配列を有する重鎖および軽鎖を含む抗体BNJ441であるか、またはその抗原結合断片および変異体である。BNJ441(ALXN1210としても知られる)は、国際特許出願第PCT/US2015/019225号および米国特許第9,079,949号に記載されているが、その教示は参照により本明細書に援用される。BNJ441は、エクリズマブ(ソリリス(登録商標))と構造的に関連するヒト化モノクローナル抗体である。BNJ441はヒト補体タンパク質C5に選択的に結合し、補体活性化の間にC5がC5aとC5bに切断されることを阻害する。この阻害により、炎症促進性メディエーターC5aの放出と、細胞溶解性の孔を形成する膜侵襲複合体C5b-9の形成が妨害される一方で、微生物のオプソニン化と免疫複合体のクリアランスに必須である、補体活性化の基部の成分または早期の成分(例えばC3およびC3b)は保存される。
他の実施形態では、抗体は、BNJ441の重鎖および軽鎖のCDRまたは可変領域を含む。したがって一つの実施形態では、抗体は、配列番号12で示す配列を有するBNJ441のVH領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインと、配列番号8で示す配列を有するBNJ441のVL領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号19、18および3で示す配列を有する重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3ドメインと、それぞれ配列番号4、5、および6で示す配列を有する軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3ドメインとを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号12および配列番号8で示すアミノ酸配列を有するVHおよびVL領域を含む。
さらに別の例示的な抗C5抗体は、それぞれ配列番号20および11で示す配列を有する重鎖および軽鎖を含む抗体BNJ421であるか、またはその抗原結合断片および変異体である。BNJ421(ALXN1211としても知られる)は、国際特許出願第PCT/US2015/019225号および米国特許第9,079,949号に記載されているが、その教示は参照により本明細書に援用される。
他の実施形態では、抗体は、BNJ421の重鎖および軽鎖のCDRまたは可変領域を含む。したがって一つの実施形態では、抗体は、配列番号12で示す配列を有するBNJ421のVH領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインと、配列番号8で示す配列を有するBNJ421のVL領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインとを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号19、18および3に記載された配列を有する重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3ドメインと、それぞれ配列番号4、5、および6に記載された配列を有する軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3ドメインを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号12および配列番号8で示すアミノ酸配列を有するVHおよびVL領域を含む。
CDRの正確な境界は、異なる方法に従って様々に定義されている。一部の実施形態では、軽鎖可変ドメインまたは重鎖可変ドメイン内のCDRまたはフレームワーク領域の位置は、Kabatらの[(1991)“Sequences of Proteins of Immunological Interest.”NIH Publication No.91-3242,U.S.Department of Health and Human Services,Bethesda,MD]によって規定されているとおりとすることが可能である。このような場合には、CDRは、「Kabat CDR(カバットCDR)」(例えば、「Kabat LCDR2」または「Kabat HCDR1」)と称することがある。一部の実施形態では、軽鎖可変領域または重鎖可変領域のCDRの位置は、Chothia et al.(1989)Nature 342:877-883によって規定されているとおりとすることができる。したがって、これらの領域は、「Chothia CDR」(例えば、「Chothia LCDR2」または「Chothia HCDR3」)と称することがある。一部の実施形態では、軽鎖可変領域および重鎖可変領域のCDRの位置は、KabatとChothiaとを(Kabat-Chothia)組み合わせた定義によって規定されているとおりとすることができる。このような実施形態では、これらの領域を「Kabat-Chothia複合CDR」と称することがある。Thomasら[(1996)Mol Immunol 33(17/18):1389-1401]は、KabatおよびChothiaの定義に従うCDR境界の特定を例示する。
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列を含むまたはアミノ酸配列からなる、重鎖CDR1を含む:GIFSNYWIQ(配列番号19)。
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列を含むまたはアミノ酸配列からなる、重鎖CDR2を含む:EILPGSGTEYTENFKD(配列番号18)。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む:QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGIFSNYWIQWVRQAPGQGLEWMGEILPGSGTEYTENFKDRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARYFFGSSPNWYFDVWGQGTLVTVSS(配列番号12)。
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCGASENIYGALNWYQQKPGKAPKLLIYGATNLADGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQNVLNTPLTFGQGTKVEIK(配列番号8)。
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗C5抗体は、そこから変異ヒトFc定常領域が誘導される天然のヒトFc定常領域の親和性よりも高い親和性を有するヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合する変異ヒトFc定常領域を含むことができる。例えば、Fc定常領域は、そこから変異ヒトFc定常領域が誘導される天然のヒトFc定常領域と比べて、一つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、または8、またはそれ以上)のアミノ酸置換を含むことができる。置換により、相互作用のpH依存性を維持しながら、pH6.0における変異Fc定常領域を含有するIgG抗体のFcRnに対する結合親和性を増加させることができる。抗体のFc定常領域内の一つ以上の置換が、pH6.0におけるFcRnに対するFc定常領域の親和性を増加させる(相互作用のpH依存性を維持しながら)か否かを試験する方法は、当技術分野で公知であり、実施例に例証する。例えば、国際特許出願第PCT/US2015/019225号および米国特許第9,079949号を参照されたく、このそれぞれの開示はその全体が参照により本明細書に援用される。
FcRnに対する抗体Fc定常領域の結合親和性を高める置換は、当技術分野において公知であり、例えば、(1)Dall’Acqua et al.(2006)J Biol Chem 281:23514-23524に記載されるM252Y/S254T/T256Eの三つの置換、(2)Hinton et al.(2004)J Biol Chem 279:6213-6216およびHinton et al.(2006)J Immunol 176:346-356に記載のM428LまたはT250Q/M428Lの置換、ならびに(3)Petkova et al.(2006)Int Immunol 18(12):1759-69に記載されるN434AまたはT307/E380A/N434Aの置換を含む。さらなる置換の組み合わせとしては、P257I/Q311I、P257I/N434HおよびD376V/N434Hが、例えば、Datta-Mannan et al.(2007)J Biol Chem 282(3):1709-1717に記載されており、その開示はその全体が参照により本明細書に援用される。
一部の実施形態では、変異定常領域(variant constant region)は、EUアミノ酸残基255における、バリンに対する置換を有する。一部の実施形態では、変異定常領域は、EUアミノ酸残基309における、アスパラギンに対する置換を有する。一部の実施形態では、変異定常領域は、EUアミノ酸残基312における、イソロイシンに対する置換を有する。一部の実施形態では、変異定常領域は、EUアミノ酸残基386における置換を有する。
一部の実施形態では、変異Fc定常領域は、そこから誘導されたネイティブ定常領域と比べて、30以下(例えば、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下、24以下、23以下、22以下、21以下、20以下、19以下、18以下、17以下、16以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下)のアミノ酸の置換、挿入または欠失を含む。一部の実施形態では、変異Fc定常領域は、以下からなる群から選択される一つ以上のアミノ酸置換を含む:M252Y、S254T、T256E、N434S、M428L、V259I、T250IおよびV308F。一部の実施形態では、変異ヒトFc定常領域は、それぞれEUナンバリングで、428位にメチオニンと434位にアスパラギンを含む。一部の実施形態では、変異Fc定常領域は、例えば、米国特許第8,088,376号に記載される428L/434Sの二つの置換を含む。
いくつかの実施形態では、これらの変異の正確な位置は、抗体エンジニアリングによって天然のヒトFc定常領域位置からシフトされてもよい。例えば、IgG2/4キメラFcで使用される場合、428L/434Sの二つの置換は、BNJ441に見られてその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,079,949号に記載されているM429LおよびN435S変異体のように、429Lおよび435Sに対応し得る。
一部の実施形態では、変異定常領域は、ネイティブヒトFc定常領域と比べて、アミノ酸位置237、238、239、248、250、252、254、255、256、257、258、265、270、286、289、297、298、303、305、307、308、309、311、312、314、315、317、325、332、334、360、376、380、382、384、385、386、387、389、424、428、433、434、または436(EUナンバリング)における置換を含む。一部の実施形態では、置換は、237位におけるグリシンに対するメチオニン;238位におけるプロリンに対するアラニン;239位におけるセリンに対するリシン;248位におけるリシンに対するイソロイシン;250位におけるトレオニンに対する、アラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、メチオニン、グルタミン、セリン、バリン、トリプトファン、またはチロシン;252位におけるメチオニンに対する、フェニルアラニン、トリプトファン、またはチロシン;254位におけるセリンに対するトレオニン;255位におけるアルギニンに対するグルタミン酸;256位におけるトレオニンに対する、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはグルタミン;257位におけるプロリンに対する、アラニン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、セリン、トレオニン、またはバリン;258位におけるグルタミン酸に対するヒスチジン;265位におけるアスパラギン酸に対するアラニン;270位におけるアスパラギン酸に対するフェニルアラニン;286位におけるアスパラギンに対する、アラニンまたはグルタミン酸;289位におけるトレオニンに対するヒスチジン;297位におけるアスパラギンに対するアラニン;298位におけるセリンに対するグリシン;303位におけるバリンに対するアラニン;305位におけるバリンに対するアラニン;307位におけるトレオニンに対する、アラニン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、バリン、トリプトファン、またはチロシン、308位におけるバリンに対する、アラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン、またはトレオニン;309位におけるロイシンまたはバリンに対する、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、もしくはアルギニン;311位におけるグルタミンに対する、アラニン、ヒスチジン、またはイソロイシン;312位におけるアスパラギン酸に対する、アラニンまたはヒスチジン;314位におけるロイシンに対する、リシンまたはアルギニン;315位におけるアスパラギンに対する、アラニンまたはヒスチジン;317位におけるリシンに対するアラニン;325位におけるアスパラギンに対するグリシン;332位におけるイソロイシンに対するバリン;334位におけるリシンに対するロイシン;360位におけるリシンに対するヒスチジン;376位におけるアスパラギン酸に対するアラニン;380位におけるグルタミン酸に対するアラニン;382位におけるグルタミン酸に対するアラニン;384位におけるアスパラギンまたはセリンに対するアラニン;385位におけるグリシンに対するアスパラギン酸またはヒスチジン;386位におけるグルタミンに対するプロリン;387位におけるプロリンに対するグルタミン酸;389位におけるアスパラギンに対する、アラニンまたはセリン;424位におけるセリンに対するアラニン;428位におけるメチオニンに対する、アラニン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、またはチロシン;433位におけるヒスチジンに対するリシン;434位におけるアスパラギンに対するアラニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、セリン、トリプトファン、またはチロシン;および、436位におけるチロシンまたはフェニルアラニンに対するヒスチジン、からなる群からのために選択され、すべてEUナンバリングによる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法で使用するための抗C5抗体に適したものは、配列番号14で示すアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド、および/または配列番号11で示すアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む。あるいは、一部の実施形態では、本明細書に記載の方法で使用するための抗C5抗体は、配列番号20で示すアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド、および/または配列番号11で示すアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む。
一部の実施形態では、C5阻害剤は、C5aに結合する抗体(本明細書では「抗C5a抗体」と呼称される場合がある)である。一部の実施形態では、抗体はC5aに結合するが、完全長C5には結合しない。一部の実施形態では、C5aへの抗体の結合は、C5aの生物活性を阻害することができる。C5a活性を測定するための方法には、例えば化学走性アッセイ、RIA、またはELISAが含まれる(例えば、Ward and Zvaifler(1971)J Clin Invest 50(3):606-16およびWurzner et al.(1991)Complement Inflamm :328-340を参照のこと)。一部の実施形態では、C5aへの抗体の結合は、C5aおよびC5aR1間の相互作用を阻害することができる。C5aとC5aR1の相互作用(抗体の存在下および不在下で)を検出および/または測定するための適切な方法は、当技術分野で公知であり、例えば、Mary and Boulay(1993)Eur J Haematol 51(5):282-287;Kaneko et al.(1995)Immunology 86(1):149-154;Giannini et al.(1995)J Biol Chem 270(32):19166-19172および米国特許出願公開公報第20060160726号に記載されている。例えば、検出可能に標識された(例えば、放射活性物質で標識された)C5aのC5aR1発現末梢血単核細胞への結合は、抗体の存在および不在下において評価することができる。抗体存在下でのC5aR1に結合する検出可能に標識されたC5aの量が、抗体不在下での結合量と比べて減少するということは、抗体がC5aとC5aR1との間の相互作用を阻害するということの表れである。一部の実施形態では、C5aへの抗体の結合は、C5aおよびC5L2間の相互作用を阻害することができる(以下を参照のこと)。C5aとC5L2との間の相互作用を検出および/または測定する方法は、当技術分野で公知であり、例えば、Ward(2009)J Mol Med 87(4):375-378およびChen et al.(2007)Nature 446(7132):203-207(以下を参照のこと)に記載されている。
例示的な抗C5a抗体は、それぞれ配列番号26および21で示す配列を有する重鎖および軽鎖を含む抗体BNJ383、またはその抗原結合断片および変異体である。BNJ383(ALXN1007としても知られる)は、国際公開第2011/137395号および米国特許第9,011,852号に記載されているが、その教示は参照により本明細書に援用される。一実施形態では、抗C5a抗体は、BNJ383の重鎖および軽鎖のCDRまたは可変領域を含む。したがって一実施形態では、抗体は、配列番号27で示す配列を有するBNJ383のVH領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインと、配列番号22で示す配列を有するBNJ383のVL領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインとを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号28、29、および30で示す配列を有する重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3ドメインと、それぞれ配列番号23、24、および25で示す配列を有する軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3ドメインとを含む。別の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号27および配列番号22で示すアミノ酸配列を有するVHおよびVL領域を含む。
一部の実施形態では、C5阻害剤は、C5bに結合する抗体(本明細書では「抗C5b抗体」と呼称される場合がある)である。一部の実施形態では、抗体はC5bに結合するが、完全長C5には結合しない。C5bの構造は、例えば、Muller-Eberhard(1985)Biochem Soc Symp 50:235-246およびYamamoto and Gewurz(1978)J Immunol 120(6):2008-2015に記載されている。上記したように、C5bは、C6、C7、およびC8と複合化して、C5b-8複合体を標的細胞表面で形成する。一連の複合化の間に形成されたタンパク質複合体中間体には、C5b-6(C5bおよびC6を含む)、C5b-7(C5b、C6、およびC7)、およびC5b-8(C5b、C6、C7、およびC8)が含まれる。いくつかのC9分子が結合すると、膜侵襲複合体(MAC、終末補体複合体(TCC)であるC5b-9)が形成される。標的細胞膜に十分な数のMACを挿入すると、それらが作り出す開口(MACポア)が、標的細胞の急速な浸透圧溶解を媒介する。
一部の実施形態では、C5bへの抗体の結合は、C5bおよびC6間の相互作用を阻害することができる。一部の実施形態では、C5bへの抗体の結合は、C5b-9 MAC-TCCの構築または活性を阻害することができる。一部の実施形態では、C5bへの抗体の結合は、補体依存性細胞溶解(例えば、試験管内(in vitro)で、および/または、生体内(in vivo)で)を阻害することができる。抗体が補体依存性溶解を阻害するかどうかを評価するための適切な方法には、例えば、溶血性アッセイまたは可溶性C5b-9の活性を検出するための他の機能アッセイが含まれる。例えば、抗体の存在下での補体の細胞溶解能の低下は、Kabat and Mayer(eds.),“Experimental Immunochemistry,2nd Edition,”135-240,Springfield,IL,CC Thomas(1961),pages 135-139によって記載される溶血性アッセイ、または、Hillmen et al.(2004)N Engl J Med 350(6):552によって記載されるニワトリ赤血球の溶血法等の従来の種々の方法で測定することができる。
C5bに結合する抗体、ならびにこうした抗体を作製するための方法は、当技術分野で公知である。市販の抗C5b抗体は、例えば、ハイカルト社(Hycult Biotechnology)(カタログ番号:HM2080、クローン568)およびAbcam(商標)社(ab46151またはab46168)等をいくつかのメーカーから入手可能である。
本明細書に記載される方法での使用に好適である抗体、またはその抗原結合断片は、当技術分野において認識される様々な技術を使用して生成することができる。モノクローナル抗体は、当業者によく知られている様々な技術によって得られうる。簡潔に述べると、所望の抗原で免疫化された動物由来の脾臓細胞は、通常、骨髄腫細胞との融合によって不死化される(Kohler&Milstein,Eur.J.Immunol.6:511-519(1976)を参照のこと)。代替的な不死化法としては、エプスタイン・バーウイルス、癌遺伝子、またはレトロウイルス、または当技術分野で周知の他の方法を用いた形質転換が挙げられる。単一の不死化細胞から生じるコロニーは、抗原に対して所望の特異性および親和性をもつ抗体の産生のためにスクリーニングされ、かかる細胞によって産生されるモノクローナル抗体の産生量は、脊椎動物宿主の腹膜腔への注射を含めた様々な技術によって増強されてもよい。あるいは、Huse,et al.,Science 246:1275-1281(1989)により概説される一般的なプロトコルに従って、ヒトB細胞からのDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、モノクローナル抗体またはその結合断片をコードするDNA配列を単離してもよい。
特定の薬剤がヒト補体成分C5の阻害剤であるかどうかを判断する方法は、本明細書に記載されており、当技術分野で公知である。例えば、体液中のC5aおよびC5bの濃度および/または生理学的活性は、当技術分野において周知の方法によって測定することができる。C5aの濃度または活性を測定するための方法には、例えば化学走性アッセイ、RIA、またはELISAが含まれる(例えば、Ward and Zvaifler(1971)J Clin Invest 50(3):606-16およびWurzner et al.(1991)Complement Inflamm :328-340を参照のこと)。C5bについては、溶血性アッセイまたは本明細書に記載される溶解性C5b-9に対するアッセイを使用することができる。当技術分野で公知の他のアッセイも使用することができる。これらまたはその他の適切なタイプのアッセイを使用して、抗C5抗体などのヒト補体成分C5を阻害することができる候補薬剤は、例えば、本明細書に記載される方法で有用な化合物を特定し、かかる化合物の適切な投与量レベルを決定するためにスクリーニングすることができる。
候補化合物がヒトC5の形態C5aおよびC5bへの切断を阻害するかどうかを判断する方法は、当技術分野で公知であり、例えば、Moongkarndi et al.(1982)Immunobiol 162:397;Moongkarndi et al.(1983)Immunobiol 165:323;Isenman et al.(1980)J Immunol 124(1):326-31;Thomas et al.(1996)Mol.Immunol 33(17-18):1389-401およびEvans et al.(1995)Mol.Immunol 32(16):1183-95に記載されている。さらに、本明細書に記載される方法を使用して、C5の候補阻害剤をスクリーニング、すなわち、生体外で細胞(例えば、内皮細胞)のC5b-9沈着を阻害する分子のスクリーニングを行うことができる。
ヒト補体成分C5の阻害はまた、対象の体液中の補体の細胞溶解能を低下させることもできる。存在する補体の細胞溶解能のかかる低下は、例えば、Kabat and Mayer(eds),“Experimental Immunochemistry,2nd Edition,”135-240,Springfield,IL, CC Thomas (1961),pages 135-139に記載される溶血性アッセイなどの従来の溶血性アッセイ、または、例えば、Hillmen et al.(2004)N Engl J Med 350(6):552によって記載されるニワトリ赤血球の溶血法等の従来の種々のアッセイ等である、当技術分野で周知の方法によって測定することができる。
V.診断キット
本明細書においては、本明細書に記載する方法を実行するための構成要素および使用説明書を含むキットも提供される。したがって、一部の実施形態では、このキットは、関心の補体関連障害または補体関連疾患に関連する細胞と、抗C5b-9抗体と、検出可能部分を含む二次抗体などの抗C5b-9抗体を検出するための手段とを含む。こうしたキットは、緩衝液、安定剤、基質、免疫検出試薬(一次および二次抗体)、および/または方法を実施するために必要な補因子など、少なくとも一つの追加的試薬を含みうる。一部の実施形態では、キットは、患者から生体試料を収集するための手段を含む。こうした手段は、例えば、患者から流体または組織試料を得るために使用できる試薬または容器を含むことができる。キットはまた、例えば、市販の自動化されたプラットフォーム(例えば、LI-COR Odyssey CLXプラットフォーム)と併せてこの方法を使用する方法に関する指針を提供することによって、アッセイを自動化するための説明書を含みうる。
例示的な方法および材料は、以下に記載されているが、本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料も、本開示の方法および組成物の実施または試験で使用することができる。本明細書に記載されるすべての刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。特に、国際特許出願第PCT/US2009/063929号(国際公開第2010/054403号)および国際特許出願第PCT/US2014/049957号(国際公開第2015/021166号)は、参照により本明細書に明示的に援用される。
VI.例示的な実施形態
1.補体C5b-9沈着を測定する方法であって、
(a)補体関連障害であるか、または、該障害であることが疑われる患者から得られた生体試料を、疾患関連細胞と生体外で接触させることと、
(b)細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(c)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含む方法。
2.補体関連障害を有する患者がC5の阻害剤での治療から利益を得るかどうかを判断する方法であって、方法が、
(a)患者から得られた生体試料を、C5の阻害剤がある状態および阻害剤がない状態でインキュベートすることと、
(b)工程(a)からの生体試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(c)細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(d)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含み、
阻害剤がない状態でのインキュベートと比較して、阻害剤がある状態でインキュベートした生体試料ではC5b-9沈着が少ないということが、患者が阻害剤での治療から利益が得られる可能性が高いことを示唆するものである方法。
3.補体関連障害を有する患者がエクリズマブでの治療から利益を得るかどうかを判断する方法であって、方法が、
(a)患者から得られた生体試料を、エクリズマブがある状態およびエクリズマブがない状態でインキュベートすることと、
(b)工程(a)からの生体試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(c)細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(d)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含み、
エクリズマブがない状態でのインキュベートと比較して、エクリズマブがある状態でインキュベートした生体試料ではC5b-9沈着が少ないということが、患者がエクリズマブでの治療から利益が得られる可能性が高いことを示唆するものである方法。
4.非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)を有する患者がエクリズマブでの治療から利益を得る可能性が高いかどうかを判断するための方法であって、方法が、
(a)患者から得られた生体試料を、エクリズマブがある状態およびエクリズマブがない状態でインキュベートすることと、
(b)工程(a)からの生体試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(c)細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(d)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含み、
エクリズマブがない状態でのインキュベートと比較して、エクリズマブがある状態でインキュベートした生体試料ではC5b-9沈着が少ないということが、患者がエクリズマブでの治療から利益が得られる可能性が高いことを示唆するものである方法。
5.補体関連障害を有し、C5の阻害剤で治療している患者をモニタリングする方法であって、方法が、
(a)患者からの生体試料およびコントロール試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(b)細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(c)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、
(d)阻害剤で治療している患者からの生体試料でのC5b-9沈着が、コントロール試料でのC5b-9沈着と比較してより大きい場合、患者に投与する阻害剤の用量を増加させることとを含む方法。
6.増加した用量の阻害剤を患者に投与する場合、工程(a)から(c)を繰り返して、増加した用量が細胞におけるC5b-9沈着レベルを正規化するのに十分であるかどうかを判断する、実施形態5に記載の方法。
7.実施形態1から4のいずれか一つに記載の方法に従ってC5の阻害剤またはエクリズマブに反応すると判断された患者において補体関連障害を治療する方法であって、方法は、治療有効量の阻害剤またはエクリズマブを患者に投与することを含む方法。
8.C5の阻害剤は、エクリズマブなどの抗体である、実施形態2、5または6に記載の方法。
9.細胞がマイクロプレートなどの固体プラットフォーム上で培養される、先行する実施形態のいずれか一つに記載の方法。
10.固体プラットフォームが96ウェルマイクロプレートである、実施形態9に記載の方法。
11.疾患関連細胞は、内皮細胞、網膜色素上皮細胞、軟骨細胞、ニューロン、グリア細胞、骨格筋細胞、および心筋細胞からなる群から選択される、先行する実施形態のいずれか一つに記載の方法。
12.疾患関連細胞は、皮膚由来のヒト微小血管内皮細胞、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞、包皮の内皮細胞、および肝臓腺癌由来の内皮細胞からなる群から選択される内皮細胞である、実施形態11に記載の方法。
13.細胞は、ウェル当たり約5,000~約6,000細胞の密度で蒔いて、コンフルエントまで培養される、先行する実施形態のいずれか一つに記載の方法。
14.細胞は、ウェル当たり約10,000細胞~約12,500細胞の密度で蒔いて、コンフルエントまで培養される、先行する実施形態のいずれか一つに記載の方法。
15.細胞は、ウェル当たり約15,000細胞の密度で蒔いて、コンフルエントまで培養される、実施形態1から12のいずれか一つに記載の方法。
16.細胞は、生体試料と接触させる前にコンフルエントである、先行する実施形態のいずれか一つに記載の方法。
17.生体試料が血清である、先行する実施形態のいずれか一つに記載の方法。
18.血清は、aHUSの患者、寛解の患者またはエクリズマブ未感作患者からのものである、実施形態17に記載の方法。
19.細胞は、アデノシン5’-二リン酸、トロンビン、またはリポ多糖で活性化される、先行する実施形態のいずれか一つに記載の方法。
20.細胞は、約1.5時間~約4時間生体試料と接触させる、先行する実施形態のいずれか一つに記載の方法。
21.細胞は、接触させる工程の後であるが評価する工程の前に、パラホルムアルデヒドなどの固定液でインキュベートされる、先行する実施形態のいずれか一つに記載の方法。
22.C5b-9沈着のレベルは、抗C5b-9抗体を使用して評価される、先行する実施形態のいずれか一つに記載の方法。
23.抗C5b-9抗体は、染料などの検出可能な標識を含む二次抗体で検出される、実施形態20に記載の方法。
24.C5b-9沈着のレベルは、On-cell Westernアッセイを使用して評価される、先行する実施形態のいずれか一つに記載の方法。
25.抗C5b-9抗体が二次抗体で検出された後で、細胞を透過処理する、実施形態23に記載の方法。
26.抗C5b-9抗体が二次抗体で検出される前に、細胞を透過処理する、実施形態23に記載の方法。
27.透過処理の後、DNAを染色する薬剤などである、核に蓄積する薬剤と共に細胞をインキュベートする、実施形態25または26に記載の方法。
28.薬剤が、CellTag 700 Stain染色試薬、DAPI、アクリジンオレンジ、Hoechst 33342 Dye染料、Hoechst 33258、SYTOX緑色核酸染色試薬、およびVybrant DyeCycle染色試薬からなる群から選択される、実施形態27記載の方法。
29.一つ以上の工程が自動化されている、先行する実施形態のいずれか一つに記載の方法。
30.患者は非典型溶血性尿毒症症候群、STEC-HUS、糖尿病、ループス腎炎、血管炎、または慢性の同種移植片拒絶反応を有する、実施形態1から3、5から17、および、19から29のいずれか一つに記載の方法。
31.補体C5b-9沈着を測定する方法であって、
(a)補体関連障害であるか、または、該障害であることが疑われる患者から得られた生体試料を、疾患関連細胞と生体外で接触させることと、
(b)細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(c)細胞におけるC5b-9レベルの評価前または評価後に細胞を透過処理することと、
(c)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含む、方法。
32.補体関連障害を有する患者がC5の阻害剤での治療から利益を得るかどうかを判断する方法であって、方法が、
(a)患者から得られた生体試料を、C5の阻害剤がある状態および阻害剤がない状態でインキュベートすることと、
(b)工程(a)からの生体試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(c)細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(d)細胞におけるC5b-9レベルの評価前または評価後に細胞を透過処理することと、
(e)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含む方法であって、
阻害剤がない状態でのインキュベートと比較して、阻害剤がある状態でインキュベートした生体試料ではC5b-9沈着が少ないということが、患者が阻害剤での治療から利益が得られる可能性が高いことを示唆するものである方法。
33.補体関連障害を有する患者がエクリズマブでの治療から利益を得るかどうかを判断する方法であって、方法が、
(a)患者から得られた生体試料を、エクリズマブがある状態およびエクリズマブがない状態でインキュベートすることと、
(b)工程(a)からの生体試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(c)細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(d)細胞におけるC5b-9レベルの評価前または評価後に細胞を透過処理することと、
(e)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含む方法であって、
エクリズマブがない状態でのインキュベートと比較して、エクリズマブがある状態でインキュベートした生体試料ではC5b-9沈着が少ないということが、患者がエクリズマブでの治療から利益が得られる可能性が高いことを示唆するものである方法。
34.非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)を有する患者がエクリズマブでの治療から利益を得る可能性が高いかどうかを判断するための方法であって、方法が、
(a)患者から得られた生体試料を、エクリズマブがある状態およびエクリズマブがない状態でインキュベートすることと、
(b)工程(a)からの生体試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(c)細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(d)細胞におけるC5b-9レベルの評価前または評価後に細胞を透過処理することと、
(e)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含む方法であって、
エクリズマブがない状態でのインキュベートと比較して、エクリズマブがある状態でインキュベートした生体試料ではC5b-9沈着が少ないということが、患者がエクリズマブでの治療から利益が得られる可能性が高いことを示唆するものである方法。
35.補体関連障害を有し、C5の阻害剤で治療している患者をモニタリングする方法であって、方法が、
(a)患者からの生体試料およびコントロール試料を、内皮細胞と生体外で接触させることと、
(b)細胞におけるC5b-9沈着レベルを評価することと、
(c)細胞におけるC5b-9レベルの評価前または評価後に細胞を透過処理することと、
(d)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含み、
(e)阻害剤で治療している患者からの生体試料でのC5b-9沈着が、コントロール試料でのC5b-9沈着と比較してより大きい場合、患者に投与する阻害剤の用量を増加させることとを含む方法。
実施例1 マイクロプレートにおけるHMEC-1培養条件の決定
以下に記述した実験を、内皮細胞におけるC5b-9沈着を検出するためのアッセイを自動化する目的で行った。
この第一の実験では、条件を、Norisら(Blood 2014;124:1715-26)が記載の「典型的な方法」で用いられるガラス支持体(すなわち、ガラス製カバーガラス)から、プラスチックの96ウェルマイクロプレートへ内皮細胞(HMEC-1)の培養を移すために最適化した。
皮膚起源のヒト微小血管内皮細胞株(HMEC-1)を、10%ウシ胎児血清(Gibco社)を補ったMCDB131(ニューヨーク州グランドアイランド、Gibco社)、10μg/mlヒドロコルチゾンf.c.、100U/mlペニシリンf.c.、100μg/mlストレプトマイシンf.c.、2mMグルタミンf.c.(Gibco社)、および50μg/ml内皮細胞成長因子f.c.、からなる増殖培地中で培養した。
最初に、96ウェルマイクロプレートを用いる細胞の播種からのコンフルエントまでが96時間である期間に関して、培養条件を決定した。具体的には、96ウェルマイクロプレートにウェルあたり3,000、4,000、5,000、6,000、7,500、または10,000細胞で播種した。増殖培地中で培養24、48、72、および96時間後に位相差顕微鏡を使用して、細胞を観察した。三つの独立した実験では、ウェル当たり5,000細胞の播種は、96時間でコンフルエントな単層を達成した(図1)。実際に、96時間で、3,000~4,000個のHMEC-1細胞で播種されたウェルはコンフルエントに達しなかった。ウェル当たり7,500個または10,000個の細胞で播種された場合、HMEC-1細胞は複数層を形成した。5,000個または6,000個の細胞で播種されたウェルにおいて、96時間でコンフルエントが得られた。
細胞の播種からコンフルエントまでに必要な時間を減少させるために、さらなる条件を試験した。具体的には、ウェル当たり10,000、12,500、および15,000細胞を96ウェルマイクロプレートに播種し、増殖培地中での培養一晩後、24時間後および48時間後に位相差顕微鏡で増殖細胞を観察した。10,000細胞および12,500細胞で播種したウェルが、48時間後にコンフルエントに達した(図2A)。ウェル当たり15,000個で播種した場合、培養一晩後、24時間後にコンフルエントな単層が再現可能に現れた(図2Aおよび図2B)。
次に、異なるサイズのプラスチックマイクロプレート上で、増殖培地中で、HMEC-1細胞の成長速度(96、24、12、および6ウェル/マイクロプレート)が決定された。HMEC-1細胞(15,625細胞/cm)を播種し、96時間培養した。最終的に、接着細胞をトリプシン処理によって分離し、二回計数した。トリパンブルーを加えて、死細胞を評価した。表1に示すように、細胞の再現性のある増殖が、96、24、12および6ウェル/マイクロプレートで達成され、その結果、最終細胞数は播種された細胞数とウェル表面とに比例した。トリパンブルー排除法により、単層内に無視できる数の死細胞が示された。
表1 96、24、12および6ウェル/マイクロプレート上の二つの培養実験の結果の平均。
Figure 0007128182000001
96ウェルマイクロプレート上に播種した、ウェル当たり5,000個のHMEC-1細胞の成長速度も決定された。細胞をウェル当たり5,000細胞で播種し、24、48、72、および96時間用の別々のプレートで培養した。細胞は、96時間用プレート中の細胞を除いて、増殖培地中で維持されたが、96時間用プレート中の細胞は、次いで「典型的」アッセイで使用された条件を再現するために、増殖培地で72時間培養され、最後の24時間は血清なしの培地に移動した。24、48、72、および96時間で、MTS試薬[3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム、内塩]を追加の3時間に添加し、次いでマイクロプレート分光光度計リーダーで490nmの吸光度を測定した。図3に示されるように、細胞は分析された各時点で良好に成長した。
96ウェルマイクロプレート上で成長した細胞が生育可能かどうかをさらに確立するために、5,000個のHMEC-1をマイクロプレート上に播種し、96時間培養した。培養期間の終了時に、培地を除去し、PBS中のアクリジンオレンジおよびヨウ化ピプロジウムを細胞に添加した。アクリジンオレンジ(AO)およびヨウ化プロピジウム(PI)は、細胞生存率を測定するために使用できる核酸結合染料である。AOは細胞透過性であるため、染色されたすべての核酸細胞は緑色蛍光を発生する。PIは膜障害を有する細胞にのみ入り、したがって、PIで染色された瀕死有核細胞、死有核細胞、および壊死性の有核細胞が赤色蛍光を発生する。赤色および緑色の細胞を計数し、赤色の死細胞の割合を計算した。図4および表2に示されるように、三つの独立した実験では、細胞の大部分は生存していた。
表2 高倍率視野あたりの細胞数および96時間培養後の死細胞のパーセンテージ(n=3の実験の平均±SD)。
Figure 0007128182000002
実施例2:HMEC-1細胞におけるコントロール血清とのインキュベーション効果の評価
この実験では、細胞数および生存率におけるADPまたはトロンビンを用いたHMEC-1細胞の活性化の効果が評価された。5,000個のHMEC-1細胞を96ウェルマイクロプレート上に播種し、96時間培養した(増殖培地で72時間、および血清なしの培地で最後の24時間)。HMEC-1細胞単層を、試験培地(HBSS:137mmol/lのNaCl、5.4mmol/lのKCl、0.7mmol/lのNaHPO、0.73mmol/l KHPO、1.9mmol/lのCaCl、0.8mmol/lのMgSO、28mmol/lのトリス塩基(Trizma base)pH7.3、0.1%デキストロース;0.5%BSA添加)で三回洗浄し、その後10分間試験培地中で10μMのADP(シグマアルドリッチ社)を用いて活性化(ADP活性化細胞)、もしくはトロンビン(2U/ml、10分)を用いて活性化するか、 または試験培地単独でインキュベートした(細胞の静止)。ADPまたはトロンビンで予め活性化された休止細胞または細胞を、50%のコントロール血清(HBSS中、75μL最終量)で4時間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、接着細胞数および生存率を、生/死細胞生存率アッセイを用いて評価した。
表3に示されるように、二つの独立した実験では、細胞の総数はすべての条件 で比較可能であり、死細胞のパーセンテージは低く、また培地単独で観察される割合に匹敵する。
表3 高倍率視野あたりの細胞数およびコントロール血清と4時間培養後の死細胞のパーセンテージ(それぞれ3ウェルの平均±SD)。
Figure 0007128182000003
同様の実験を異なる細胞密度で行った。HMEC-1細胞をウェル当たり10,000および12,500細胞で播種し、96ウェルマイクロプレートで48時間培養した。ウェル当たり15,000細胞で播種された細胞を一晩または24時間培養した。コンフルエントなHMEC-1細胞を、試験培地(HBSS:137mmol/lのNaCl、5.4mmol/lのKCl、0.7mmol/lのNaHPO、0.73mmol/l KHPO、1.9mmol/lのCaCl、0.8mmol/lのMgSO、28mmol/lのトリス塩基(Trizma base)pH7.3、0.1%デキストロース;0.5%BSA添加)で三回洗浄し、その後10分間試験培地中で10μMのADP(シグマアルドリッチ社)を用いて活性化(ADP活性化細胞)、もしくはトロンビン(2U/ml、10分)を用いて活性化するか、または試験培地単独でインキュベートした(細胞の静止)。
ADPまたはトロンビンで予め活性化された休止細胞または細胞を、50%のコントロール血清(HBSS中、75マイクロリットルの最終量)で4時間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、生/死細胞生存率アッセイを実施するために、アクリジンオレンジおよびヨウ化プロピシジウムを添加して細胞の生存率を検証した。
表4(10,000および12,500細胞/ウェル)、表5(15,000細胞/ウェル)および表6(15,000細胞/ウェルのデュプリケート実験)に示されるように、大多数の細胞が生存した。
表4
Figure 0007128182000004
表5
Figure 0007128182000005
表6
Figure 0007128182000006
実施例3:患者由来試料および96時間の細胞培養による血清誘導C5b-9沈着物の評価
上記の実施例で決定された最適な培養条件を使用して、プラットフォームがHMEC-1細胞におけるC5b-9沈着の新しい自動化アッセイを開発するために使用できるか否かを評価する目的で、Odyssey CLXスキャナーを使用してパイロット試験を行った。
HMEC-1細胞を96ウェルマイクロプレートにウェル当たり5,000細胞で播種して、播種の96時間後に使用した。HMEC-1細胞単層を、試験培地(HBSS:137mmol/lのNaCl、5.4mmol/lのKCl、0.7mmol/lのNaHPO、0.73mmol/l KHPO、1.9mmol/lのCaCl、0.8mmol/lのMgSO、28mmol/lのトリス塩基(Trizma base)pH7.3、0.1%デキストロース;0.5%BSA添加)で三回洗浄し、その後10分間試験培地中で10μMのADP(シグマアルドリッチ社)を用いて活性化(ADP活性化細胞)するか、または試験培地単独でインキュベートした(細胞の静止)。次いで、細胞を試験培地で三回洗浄して、試験培地で1:2希釈した(最終量75μL)、コントロールからの血清または別個の二人のaHUS患者からの血清(疾患の急性期中に採取し)と共に、sCR1(一般的な補体阻害剤)の存在下または不在下で4時間インキュベートした。培養工程の終了時に、細胞を、PBSで二回洗浄し、3%のパラホルムアルデヒド中に固定し、次いでPBSで二回洗浄した。
細胞は、2%BSAを有する100μlのPBS(すなわち、「典型的」アッセイで使用されるブロッキング緩衝液)、またはOdyssey on-cell westernプロトコルで提案される100μlの市販のブロッキング緩衝液(Odysseyブロッキング緩衝液、LI-COR社)で一時間ブロッキングした。二つのブロッキング緩衝液は、比較的良好な結果を与えた(図5Aから5D)。細胞を、ウサギ抗ヒト補体C5b-9複合体(Calbiochem社)を用いて染色し、続いて二次抗体IRDye 800 CWヤギ抗ウサギIgG(H+L)(LI-COR社)で染色した。二次抗体の二つの異なる希釈1:600、および1:1200が試験された。
細胞数で蛍光強度を正規化するために、二次抗体染色の獲得後、細胞はPBS 1x+0.1%Triton X-100で透過処理し、その後、各ウェルの細胞数の計算を可能にする、近赤外蛍光、非特異的な細胞染色であるCellTag 700 Stain染色試薬で攻撃した。細胞の透過処理はDNA染色に必要であるが、「典型的」バージョンのC5b-9アッセイでは、細胞を透過処理することはない。透過処理工程がC5b-9染色に影響を及ぼす可能性があるかどうかを試験するために、二回のC5b-9蛍光の検出を実施した:一方が、二次抗体染色後(800nm)であり、もう一方が、透過処理およびDNA染色後(700および800nmの両方)である。これら二つの条件下では、C5b-9信号の差異は観察されなかった。
各試料および各条件について、以下のように三つ組みで試験された。
・ プレート1:休止セル;培地、コントロール血清、aHUS 1急性、aHUS 1急性+sCR1、aHUS 2急性、二次抗体1/600、左側:作製したブロッキング緩衝液、右側:市販のOdysseyブロッキング緩衝液(図5A)。
・ プレート2:ADP活性化細胞:培地、コントロール血清、aHUS 1急性、aHUS 1急性+sCR1、aHUS 2急性、二次抗体1/600、左側:作製したブロッキング緩衝液、右側:市販のOdysseyブロッキング緩衝液(図5B)。
・ プレート3:休止セル;培地、コントロール血清、aHUS 1急性、aHUS 1急性+sCR1、aHUS 2急性、二次抗体1/1200、左側:作製したブロッキング緩衝液、右側:市販のOdysseyブロッキング緩衝液(図5C)。
・ プレート4:ADP活性化細胞:培地、コントロール血清、aHUS 1急性、aHUS 1急性+sCR1、aHUS 2急性、二次抗体1/1200、左側:作製したブロッキング緩衝液、右側:市販のOdysseyブロッキング緩衝液(図5D)。
表7にまとめた結果は、aHUS患者からの血清が、コントロール血清よりも、静止するまたはADP活性化されたHMEC-1細胞のいずれかにおいてより多くのC5b-9沈着物を誘発したことを示し、沈着物はsCR1によって大幅に減少された。最良の結果は、二次抗体の1:1200希釈で得られ、同じ患者からの血清の別のアリコートを使用した「典型的」アッセイで得られたものと非常に同等であった。唯一の例外は、患者のaHUS 2が、「典型的」アッセイと比較して新しいアッセイでのADP活性化HMEC-1細胞におけるC5b-9沈着物(コントロール血清でのC5b-9沈着物のパーセンテージ)の増加が小さかったということであった(事前に解凍された血清のアリコートはこの患者に使用された)。
表7 並行して行った対応するコントロール血清によって誘導された沈着のパーセンテージとして表したC5b-9沈着物。
Figure 0007128182000007
実施例4:自動化されたC5b-9沈着アッセイおよびHMEC-1との短時間(16および24時間)培養での患者由来試料の評価
本実施例は、aHUS患者(#3:エクリズマブ治療中のaHUS患者、#4:寛解状態で治療されていないaHUS患者、#5:エクリズマブ治療中のaHUS患者)および健康なコントロール(健康な対象20人からプールした血清)からの血清試料での、自動化したC5b-9沈着アッセイの使用について説明する。
HMEC-1細胞を96ウェルマイクロプレートにウェル当たり15,000細胞で播種して、培養の一晩(約16時間)または24時間後に使用した。HMEC-1細胞単層を、試験培地(HBSS:137mmol/lのNaCl、5.4mmol/lのKCl、0.7mmol/lのNaHPO、0.73mmol/l KHPO、1.9mmol/lのCaCl、0.8mmol/lのMgSO、28mmol/lのトリス塩基(Trizma base)pH7.3、0.1%デキストロース;0.5%BSA添加)で三回洗浄し、その後10分間試験培地中で10μMのADP(シグマアルドリッチ社)を用いて活性化(ADP活性化細胞)するか、または試験培地単独でインキュベートした(細胞の静止)。これに続いて、細胞を試験培地で三回洗浄し、その後、試験培地で1:2で希釈(最終量:75μL)した、コントロールからまたは別個のaHUS患者3人からの血清と共に4時間インキュベートした。インキュベーション工程の終了時に、HMEC-1を、PBSで二回洗浄し、3%のパラホルムアルデヒド中に固定し、次いで再度PBSで二回洗浄した。細胞を、100μlの市販のブロッキング緩衝液(Odysseyブロッキング緩衝液、LI-COR社)で一時間ブロックし、続いて、ウサギ抗ヒト補体C5b-9複合体(Calbiochem社)で、続いて二次抗体IRDye 800 CWヤギ抗ウサギIgG(H+L)(LI-COR社)を1:800希釈で染色した。
細胞数で蛍光強度を正規化するために、二次抗体染色の獲得後、細胞はPBS 1x+0.1%Triton X-100で透過処理し、その後、各ウェルの細胞数の計算を可能にする、近赤外蛍光、非特異的な細胞染色であるCellTag 700 Stain染色試薬で攻撃した。その後、C5b-9蛍光の検出を800nmで行い、CellTag 700 Stain染色試薬の検出を700nmで行った。800nmにおける信号を700nm(細胞数)での信号に対して補正した。コントロールプール血清とインキュベートされたHMEC-1を用いたウェルからの補正信号を100%として採取し、結果をコントロールの%として表した。各試料および各条件について三つ組で試験して、三つの複製の平均を計算した。
各ウェルの全体の面積に対応するグリッドを使用して、信号の強度を最初に検出した(標準グリッド、HMEC-1細胞核および細胞質を標識するCellTag 700 Stain染色試薬を700nmで中心にした、図6A)。しかしながら、各ウェルにおけるCellTag 700 Stain染色試薬の赤色蛍光分布は、周辺領域におけるよりもウェルの中央領域でより均一であった。したがって、分析は、ウェルの中央領域のみを分析するもうひとつのグリッドを使用して繰り返した(減少させたグリッド、図6B)。
自動化された試験およびHMEC-1の一晩培養で得られた結果と、のうち良好な一致があり、およびHMEC-1が一晩培養された結果と、「典型的」C5b-9沈着試験(HMEC-1の96時間培養およびC5b-9沈着物の共焦点顕微鏡検出)により同一の血清試料を用いて得られた結果とで、良好な一致があった(表8)。両方の方法で実際に、患者#3および#5(エクリズマブ治療中)が少ないC5b-9沈着物を示し、患者#4(寛解、治療なし)は、休止およびADP活性化HMEC-1細胞における正常のC5b-9沈着物よりも多いことを示した。特に、患者#4は明らかな臨床寛解であったが、試験では、典型的方法と自動化された方法との両方で休止HMEC-1細胞におけるC5b-9沈着物について陽性であった。これらの結果は、血清誘導C5b-9沈着試験が無症候性疾患の活性を強調することができることを示しており、これはaHUS患者の習慣的なモニタリングにとって非常に適切なこととなる。
Figure 0007128182000008
分析において「標準」グリットに対して「減少させた」グリッドを使用することは、実質的に結果には影響を及ぼさなかった。しかしながら、標準グリッド(R:0.97、図7)では、減少したグリッド(R:0.95)よりも、「典型的」および「自動化された」試験の結果間でより良好な相関関係が観察された。
類似の実験を、24時間培養されたHMEC-1細胞を用いて行った(表9)が、結果は、一晩培養された細胞で得られたものと類似していた。自動化試験で得られた結果と、「典型的」C5b-9沈着試験を用いた同じ血清試料を使用して得られた先の結果とにおいて、良好な一致が観察された。
Figure 0007128182000009
分析において「標準」グリッドに対して「サイズ」グリッドを使用することは、実質的に結果に影響を及ぼさなかった(典型的試験と自動化試験との間の相関関係:標準グリッドR:0.96、図8、減少させたグリッドR:0.96)。
上記の結果に基づいて、その後の実験は、蛍光信号の分析のために、各ウェルの全体の面積を覆う標準グリッドを使用した。
実施例5:自動化C5b-9沈着アッセイの検証
この実施例では、自動化されたC5b-9沈着アッセイは、三人の追加のaHUS患者からの血清試料を使用して検証された。
HMEC-1細胞を96ウェルマイクロプレートにウェル当たり15,000細胞で播種して、培養の一晩(約16時間)または24時間後に使用した。HMEC-1細胞(休止またはADP活性化のいずれか)を、3人の追加のaHUS患者から血清と共にインキュベートした:aHUSである#6は治療前の急性期であり、aHUSである#7は寛解、治療なしであり、aHUSである#8はエクリズマブ治療中である。健康な対象20人からの血清のプールを、コントロールとして並行して試験した。試料は三つの組で実行され、標準グリッドを使用して上述したように分析された。
これら追加の3人の患者からの血清で得られた結果は、一晩培養のHMEC-1で実施された典型的試験の結果と自動化された試験の結果との間の良好な一致を確認した(表10および図9)。注目すべきことに、患者#6および#7は、両方の試験で休止HMEC-1およびADP活性化HMEC-1におけるC5b-9沈着物の増加を示した。
Figure 0007128182000010
均等物
当業者は、本明細書に開示される特定の実施形態の多くの均等物を通常の実験以外に使用することを認識し、または確認することができる。こうした均等物は、以下の請求項に包含されることが意図されている。
配列の概要
Figure 0007128182000011
Figure 0007128182000012
Figure 0007128182000013
Figure 0007128182000014
Figure 0007128182000015

Claims (28)

  1. 補体C5b-9沈着を測定する方法であって、
    (a)補体関連障害であるか、または、前記障害であることが疑われる患者から得られた生体試料を、内皮細胞、網膜色素上皮細胞、軟骨細胞、ニューロン、グリア細胞、骨格筋細胞、および心筋細胞からなる群から選択される細胞と生体外で接触させることと、
    (b)前記細胞におけるC5b-9沈着レベルを測定することと、
    (c)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含み、
    工程(b)と(c)が自動化されている、方法。
  2. C5b-9沈着レベルを、補体関連障害を有する患者がC5の阻害剤での治療から利益を得るかどうかの指標とする方法であって、前記方法が、
    (a)前記患者から得られた生体試料をC5の阻害剤がある状態でインキュベートし、そして、前記患者から得られた生体試料をC5の阻害剤がない状態でインキュベートすることと、
    (b)工程(a)からの前記生体試料を、内皮細胞、網膜色素上皮細胞、軟骨細胞、ニューロン、グリア細胞、骨格筋細胞、および心筋細胞からなる群から選択される細胞と生体外で接触させることと、
    (c)前記細胞におけるC5b-9沈着レベルを測定することと、
    (d)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含み、
    工程(c)と(d)が自動化されており、前記阻害剤がない状態でインキュベートした試料と比較した、前記阻害剤がある状態でインキュベートした生体試料でのC5b-9沈着の減少が、前記患者が前記阻害剤での治療から利益を得る可能性が高いことを示唆するものである、方法。
  3. C5b-9沈着レベルを、補体関連障害を有する患者がエクリズマブまたはALXN1210での治療から利益を得るかどうかの指標とする方法であって、前記方法が、
    (a)前記患者から得られた生体試料をエクリズマブまたはALXN1210がある状態でインキュベートし、そして、前記患者から得られた生体試料をエクリズマブまたはALXN1210がない状態でインキュベートすることと、
    (b)工程(a)からの前記生体試料を、内皮細胞、網膜色素上皮細胞、軟骨細胞、ニューロン、グリア細胞、骨格筋細胞、および心筋細胞からなる群から選択される細胞と生体外で接触させることと、
    (c)前記細胞におけるC5b-9沈着レベルを測定することと、
    (d)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含み、
    工程(c)と(d)が自動化されており、エクリズマブまたはALXN1210がない状態でインキュベートした試料と比較した、エクリズマブまたはALXN1210がある状態でインキュベートした生体試料でのC5b-9沈着の減少が、前記患者がエクリズマブまたはALXN1210での治療から利益を得る可能性が高いことを示唆するものである、方法。
  4. C5b-9沈着レベルを、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)を有する患者がエクリズマブまたはALXN1210での治療から利益を得る可能性が高いかどうかの指標とする方法であって、前記方法が、
    (a)前記患者から得られた生体試料をエクリズマブまたはALXN1210がある状態でインキュベートし、そして、前記患者から得られた生体試料をエクリズマブまたはALXN1210がない状態でインキュベートすることと、
    (b)工程(a)からの前記生体試料を、内皮細胞、網膜色素上皮細胞、軟骨細胞、ニューロン、グリア細胞、骨格筋細胞、および心筋細胞からなる群から選択される細胞と生体外で接触させることと、
    (c)前記細胞におけるC5b-9沈着レベルを測定することと、
    (d)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと、を含み、
    工程(c)と(d)が自動化されており、エクリズマブまたはALXN1210がない状態でインキュベートした試料と比較した、エクリズマブまたはALXN1210がある状態でインキュベートした生体試料でのC5b-9沈着の減少が、前記患者がエクリズマブまたはALXN1210での治療から利益を得る可能性が高いことを示唆するものである、方法。
  5. C5b-9沈着レベルを、補体関連障害を有し、C5の阻害剤で治療されている患者をモニタリングするための指標とする方法であって、前記方法が、
    (a)前記患者からの生体試料およびコントロール試料を、内皮細胞、網膜色素上皮細胞、軟骨細胞、ニューロン、グリア細胞、骨格筋細胞、および心筋細胞からなる群から選択される細胞と生体外で接触させることと、
    (b)前記細胞におけるC5b-9沈着レベルを測定することと、
    (c)細胞数によってC5b-9沈着レベルを正規化することと
    を含む方法であって、工程(b)と(c)が自動化されており、前記阻害剤で治療されている前記患者からの前記生体試料でのC5b-9沈着の、前記コントロール試料でのC5b-9沈着と比較した増加が、前記患者に投与する前記阻害剤の用量が増加させられ得ることを示す、方法。
  6. 増加させた用量の前記阻害剤を前記患者に投与する場合、工程(a)から(c)を繰り返して、前記増加させた用量が前記細胞におけるC5b-9沈着レベルを、前記コントロール試料のものと同レベルまたはそれより低くなるまで抑制するのに十分であるかどうかを判断する、請求項5に記載の方法。
  7. 前記C5の前記阻害剤は、エクリズマブまたはALXN1210などの抗体あるいはその抗原結合断片である、請求項2、5または6に記載の方法。
  8. 前記細胞が、固体プラットフォーム上で培養される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記固体プラットフォームが、96ウェルマイクロプレートである、請求項8に記載の方法。
  10. 記細胞は、皮膚起源由来のヒト微小血管内皮細胞、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞、包皮の内皮細胞、および肝臓腺癌由来の内皮細胞からなる群から選択される内皮細胞である、請求項1から9のいずれか一項記載の方法。
  11. 前記細胞は、ウェル当たり約5,000~約6,000細胞の密度で蒔かれて、コンフルエントまで培養され、約には、指定された値から最大±10%の変化が包含される、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記細胞は、ウェル当たり約10,000~約12,500細胞の密度で蒔かれて、コンフルエントまで培養され、約には、指定された値から最大±10%の変化が包含される、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記細胞は、ウェル当たり約15,000細胞の密度で蒔かれて、コンフルエントまで培養され、約には、指定された値から最大±10%の変化が包含される、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
  14. 細胞は、前記生体試料と接触させられる前にコンフルエントである、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記生体試料が血清を含む、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記血清は、aHUSの患者、aHUSからの寛解の患者またはエクリズマブ未感作またはALXN1210未感作患者由来のものである、請求項1に記載の方法。
  17. 前記細胞は、前記生体試料と接触させられる前に、アデノシン5’-二リン酸、トロンビン、またはリポ多糖で活性化される、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記細胞は、約1.5時間~約4時間、前記生体試料と接触させられ、約には、指定された値から最大±10%の変化が包含される、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記細胞は、前記接触させる工程の後であるが、前記測定する工程の前に、固定液と共にインキュベートされる、請求項1から1のいずれか一項に記載の方法。
  20. C5b-9沈着のレベルは、抗C5b-9抗体を使用して測定される、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記抗C5b-9抗体は、検出可能な標識を含む二次抗体で検出される、請求項2に記載の方法。
  22. C5b-9沈着のレベルは、On-cell Westernアッセイを使用して測定される、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記抗C5b-9抗体が二次抗体で検出された後で、前記細胞を透過処理する、請求項2に記載の方法。
  24. 前記抗C5b-9抗体が二次抗体で検出される前に、前記細胞を透過処理する、請求項2に記載の方法。
  25. 透過処理の後、核に蓄積する薬剤と共に前記細胞をインキュベートする、請求項2または2に記載の方法。
  26. 前記薬剤が、CellTag 700 Stain、DAPI、アクリジンオレンジ、Hoechst 33342 Dye、Hoechst 33258、SYTOX Green nucleic acid stain、およびVybrant DyeCycle stainからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
  27. 前記患者は、非典型溶血性尿毒症症候群、STEC-HUS、糖尿病、ループス腎炎、血管炎、または慢性の同種移植片拒絶反応を有する、請求項1から3、および、5から7のいずれか一項に記載の方法。
  28. 請求項2から4のいずれか一項に記載の方法に従ってエクリズマブまたはALXN1210での治療から利益を得ると示唆された患者において補体関連障害を治療する方法において使用するための組成物であって、前記組成物は、エクリズマブもしくはALXN1210またはその抗原結合断片を含み、前記方法は、治療有効量のエクリズマブもしくはALXN1210またはその抗原結合断片を前記患者に投与することを含む、組成物。
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