JP7128075B2 - 金属水酸化物の製造装置及び製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属水酸化物の製造装置及び製造方法に関し、より詳しくは、金属酸化物ターゲットの作製に用いられる金属水酸化物を製造するものに関する。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイにおいては、電極としてITO膜やIGZO膜等の透明導電膜が用いられている。透明導電膜の成膜には、量産性等を考慮してスパッタリング装置が広く利用され、この種のスパッタリング装置としては、ITOターゲットやIGZOターゲット等の金属酸化物ターゲットに高周波電力を投入して透明導電膜を成膜するものがある。
このような金属酸化物ターゲットの作製に用いられる金属水酸化物の製造装置は例えば特許文献1で知られている。このものは、電解槽と、電解槽内に設置されるガス拡散電極と、ガス拡散電極により区画された電解槽の反応層が面する部分に収納される電解液と、電解液中に設置される導電性金属酸化物と、導電性金属酸化物を陽極、ガス拡散電極を陰極とし、両電極間に電圧を印加する電源とを備える。陽極の導電性金属酸化物をIGZOターゲットスクラップとし、電解液を硝酸アンモニウムとし、水酸化インジウム、水酸化ガリウム及び水酸化亜鉛を析出させる場合を例に説明すると、電解中、陽極からインジウムイオン、ガリウムイオン及び亜鉛イオンが溶出し、これら溶出した各イオンが電解液中の水酸化物イオンと反応して水酸化インジウム、水酸化ガリウム及び水酸化亜鉛が析出する。これら析出した水酸化物を焼成して酸化インジウム、酸化ガリウム及び酸化亜鉛とし、これらの酸化物を粉末化し、粉末を所定形状に成形した後に焼結することにより、IGZOターゲットが製造される。
ところで、陽極として上記IGZOターゲットスクラップのようなInを含有する導電性金属酸化物を用いると、電解中、導電性金属酸化物が溶解し易いため(つまり、金属イオンが溶出し易いため)、導電性金属酸化物に容易にひび割れが生じ、その結果として、導電性金属酸化物の破片や粉末が不可避的に生じる。このような破片や粉末の存在下で金属水酸化物が析出すると、析出した金属水酸化物の粒径が所望の粒径よりも大きくなり、スパッタリングターゲットの製造に適さなくなるという問題がある。
特開2015-67901号公報
本発明は、以上の点に鑑み、陽極としてInを含有する導電性金属酸化物を用いる場合でも、スパッタリングターゲットの製造に適した粒径を持つ金属水酸化物を得ることが可能な金属水酸化物の製造装置及び製造方法を提供することをその課題とする。
上記課題を解決するために、電解槽と、電解槽内に設置される、疎水性のガス拡散層とこのガス拡散層に積層される親水性の反応層とを有するガス拡散電極と、ガス拡散電極により区画された電解槽の反応層が面する部分に収納される電解液と、電解液中に設置される少なくともInを含有する導電性金属酸化物と、導電性金属酸化物を陽極、ガス拡散電極を陰極とし、両電極間に電圧を印加する電源とを備える本発明の金属水酸化物の製造装置は、電解液が収納される電解槽の部分にフィルター板を設けて、金属水酸化物が析出する析出室と前記導電性金属酸化物が設置される陽極室とを区画し、陽極室に前記導電性金属酸化物と導通するようにPtメッキ電極を設置し、陽極室の電解液のpHが酸性に維持されるようにフィルター板の通気度を0.3~150cc/cm /secの範囲に設定したことを特徴とする。
本発明によれば、フィルター板により析出室と陽極室とを区画することで、陽極室に設置した導電性金属酸化物から生じた破片や粉末が析出室に移動することを防止できる。
ここで、陽極室のpHがアルカリ性側であると、陽極室で金属水酸化物が生じ、この金属水酸化物によりフィルター板の目詰まりが生じることで、電圧上昇により電解が停止する虞がある。本発明では、酸化力を有するPtでメッキされたPtメッキ電極を陽極室に導電性金属酸化物と導通させて設置すると共に、フィルター板の通気度を適宜設定することで、陽極室の電解液のpHを所定範囲(例えば酸性側)に維持することができ、陽極室内で導電性金属酸化物の破片や粉末を溶解することができる。結果として、陽極室での金属水酸化物の析出が抑制され、フィルター板の目詰まりを防止することができ、金属イオンを析出室に効率よく供給することができる。従って、上記導電性金属酸化物の破片や粉末の析出室への移動が防止されることと相俟って、析出室で析出した金属水酸化物の粒径は大きくならず、スパッタリングターゲットの製造に適したものとなる。
記フィルター板の通気度が0.3cc/cm/sec未満である場合、イオン伝導度(インピーダンス)に影響を及ぼし、電圧が上昇し、電力消費量が増加する虞がある。一方で、通気度が150cc/cm/secを超える場合、フィルター板のフィルター効果が無くなり、導電性金属酸化物の破片や粉末が析出室に移動する虞がある。さらに、フィルター板の液抵抗効果が無くなり、陽極室内が酸性になり難くなるため、陽極室内で金属水酸化物が析出してしまい、フィルター板の目詰まりや析出室における金属水酸化物の回収ロスが多くなり、生産効率が著しく低下する虞もある。
本発明においては、前記Ptメッキ電極が籠状に形成され、この籠状のPtメッキ電極に前記導電性金属酸化物が収納されることが好ましい。これによれば、Ptメッキ電極及び導電性金属酸化物と電解液との接触面積を増やすことができ、効率よく電解を行うことができる。さらに、導電性金属酸化物の欠片のフィルター板への衝突を防ぐことができるため、フィルター板の破損を防止でき、有利である。この場合、Ptメッキ電極を、0.3~150cc/cm /secの範囲の通気度を持つようにメッシュ状に形成すれば、籠状のPtメッキ電極内で導電性金属酸化物の破片や粉末を可及的速やかに溶解させることができ、溶解前の導電性金属酸化物の破片や粉末がフィルター板の一部を塞いでしまうことも防止でき、有利である。
上記課題を解決するために、電解槽内に、疎水性のガス拡散層と親水性の反応層とを積層して構成されるガス拡散電極を設置してこの電解槽内を区画し、この区画された電解槽の反応層に面する部分に電解液を収納し、この電解液中に少なくともInを含有する導電性金属酸化物を浸漬し、導電性金属酸化物を陽極、ガス拡散電極を陰極として両電極間に電圧を印加すると共に、区画された電解槽のガス拡散層に面する部分に酸素を供給して電解し、電解液中に金属水酸化物を析出させる本発明の金属水酸化物の製造方法は、電解液中に0.3~150cc/cm/secの範囲の通気度を有するフィルター板を設けて、金属水酸化物が析出する析出室と、導電性金属酸化物が設置される陽極室とに区画すると共に、電解中、陽極室内が酸性に維持されるようにしたことを特徴とする。
本発明は、前記電解液として硝酸アンモニウムを用い、前記導電性金属酸化物としてIGZO又はIAZOを用いる場合に特に好適に適用することができる。
本発明の実施形態の金属水酸化物の製造方法に用いられる電解装置を示す模式図。 (a)及び(b)は、イオンクロマト分析の測定結果を示すグラフ。 (a)及び(b)は、イオンクロマト分析の測定結果を示すグラフ。 (a)及び(b)は、イオンクロマト分析の測定結果を示すグラフ。 本発明の変形例の金属水酸化物の製造装置を示す模式図。 本発明の変形例の金属水酸化物の製造装置を示す模式図。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る金属水酸化物の製造装置である電解装置について説明する。図1に示すように、電解装置EMは、電解槽1を備える。電解槽1は、空気槽10と沈殿槽11とで構成されている。これら空気槽10及び沈殿槽11は、アクリル樹脂や塩化ビニル樹脂等、後述する電解液Sに対して耐性を有する絶縁性材料で構成されている。このため、後述する陰極2と陽極4との間を絶縁する絶縁部材を別途設ける必要はない。これら空気槽10及び沈殿槽11は、上面と一側面とが開口となっており、この一側面の周囲にはフランジ部10a、11aが形成されている。このフランジ部10a、11aに形成された凹溝にはパッキン10b、11bが嵌め込まれており、後述する保持板21との間で電解液をシールできるようになっている。
電解槽1内には陰極2が設置されており、この陰極2により電解槽1内が区画されている。陰極2は、ガス拡散電極20と、このガス拡散電極20を挟持する2枚のチタン製の保持板21とで構成される。保持板21は、ガス拡散電極20に効率よく通電する役割を果たす。ガス拡散電極20は、疎水性のガス拡散層20aと親水性の反応層20bとが積層されてなる。ガス拡散電極20としては、ガス拡散層20aが疎水性カーボンと基材たるPTFE(フッ素系樹脂)とで構成され、反応層20bが白金もしくは銀からなる触媒を担持した親水性カーボンと疎水性カーボンと基材たるPTFEとで構成されたものを用いることができる。各保持板21にはガス拡散電極20の輪郭と略一致する外形を有し、かつ、ガス拡散電極20全体の厚さの略半分の深さを有する凹部21aが形成され、この凹部21aにガス拡散電極20が嵌め込まれるようになっている。両保持板21でガス拡散電極20を挟持した状態で、空気槽10のフランジ部10a、保持板21及び沈殿槽11のフランジ部11aとの位置合わせをし、ボルトとナットで固定することにより、電解槽1内でガス拡散電極20が位置決め保持される。各保持板21には、凹部21aに通じ、凹部21aよりも一回り小さい開口21bが夫々開設されている。これにより、各開口21bを介してガス拡散層20aが空気槽10内に面すると共に、反応層20bが沈殿槽11内に面する。空気槽10内にはガス供給管3の先端が挿入され、空気槽10内に所定圧力に加圧した空気(酸素含有ガス)を導入でき、さらに、この空気をガス拡散電極20のガス拡散層20aに供給できるようになっている。沈殿槽11内には電解液Sが収能され、この電解液S中に陽極4を浸漬させている。
陽極4としては、少なくともInを含有する導電性金属酸化物を用いることができ、この導電性金属酸化物としては、IGZO又はIAZOを用いることができる。これらの組成としては、In:50~90wt%、Ga:0~50wt%、Zn:0~50wt%、Ti:0~30wt%、Al:0~30wt%を例示することができる。導電性金属酸化物としては、これらの組成のスパッタリングターゲットスクラップ(例えば、IGZOターゲットスクラップ又はIAZOターゲットスクラップ)も用いることができ、このスパッタリングターゲットスクラップに微量の不純物が入っていてもよい。また、陽極4と接触させて、つまり、陽極4と導通するように、電解液Sに対して不溶解性を有するPtメッキ電極41が設置されている。Ptメッキ電極41としては、例えば、PtメッキTi電極を用いることができる。また、Ptメッキ電極41は電解液S中の上部領域まで存在することが好ましい。これによれば、電解液Sとの接触面積が増加し、水素イオンを効率的に供給し、後述する極室11b内のpHを所定範囲(酸性側)に維持することができる。
電解液Sとしては、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム及び硫酸カリウムから選択された少なくとも1種を用いることができる。ここで、析出する金属水酸化物に含まれる不純物(窒素)の量を少なくでき、しかも、その不純物を比較的低温での熱処理で容易に除去可能である点を考慮すると、硝酸アンモニウムを用いることが好適である。陽極4をIGZOとする場合、金属水酸化物が効率良く析出するように、pH制御手段5により電解液SのpHが8~9に制御されている。この場合、pH制御手段5は、図示省略するpHセンサにより電解液SのpHを測定し、例えば、pH測定値が8未満になると、後述する析出室11aにアンモニア水(pH10)を所定量投入する。
電解装置EMは、直流電源6を更に備え、陰極2と陽極4との間に所定の電圧を印加できるようになっている。印加電圧は、所定の電流密度(例えば、2.5A/dm)となるように適宜設定できる。例えば、電解液Sとして硝酸アンモニウムを用いる場合、印加電圧を3.0~10.0Vの範囲内で設定できる。電解液Sとして塩化アンモニウムや硫酸アンモニウムを用いる場合、印加電圧を2.5~10.0Vの範囲内で設定できる。また、電解液Sとして酢酸アンモニウムを用いる場合、印加電圧を8.5~15.0Vの範囲内で設定できる。
ところで、陽極4としてIGZOのようなInを含有する導電性金属酸化物を用いると、電解中、導電性金属酸化物が溶解し易いため、導電性金属酸化物に容易にひび割れが生じ、その結果として、導電性金属酸化物の破片や粉末が不可避的に生じる。このような破片や粉末の存在下で金属水酸化物が析出すると、析出した金属水酸化物の粒径が所望の粒径よりも大きくなり、スパッタリングターゲットの製造に適さなくなる。
そこで、本実施形態では、電解槽1内に所定の通気度を有するフィルター板7を設けて、水酸化ガリウムが析出する析出室11aと、陽極4が設置される陽極室11bとを区画した。フィルター板7は、ポリプロピレンメッシュのような樹脂製メッシュや、ポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維ボードフィルターを用いることができる。フィルター板7は、例えば、図示省略するPVC板で挟持した状態で設置することができる。フィルター板7としては、0.3~150cc/cm/secの範囲の通気度を有するものを好適に用いることができる。通気度は、JISの通気性試験(L1096 6.27.1A 法)に準拠するものである。通気度が0.3cc/cm/sec未満である場合には、イオン伝導度(インピーダンス)に影響を及ぼし、電圧が上昇し、電力消費量が増加する虞がある。一方で、通気度が150cc/cm/secを超える場合、イオン伝導度(インピーダンス)に影響を及ぼし、電圧が上昇し、電力消費量が増加する虞がある。一方で、通気度が150cc/cm/secを超える場合、陽極室11bで生じた導電性金属酸化物の破片や粉末が析出室11aに移動し、フィルター板7のフィルター効果が無くなる虞がある。さらに、フィルター板7の液抵抗効果がほとんどなくなり、析出室11aと陽極室11bとの間で硝酸イオンの濃度差を維持し難く、両室間のpH差が生じ難くなる(つまり、陽極室11bの電解液SのpHを酸性側に維持する効果が低下する)。その結果、陽極室11b内で金属水酸化物が析出してしまい、金属水酸化物の回収ロスが多くなる虞もある。以下、本実施形態の金属水酸化物の製造方法について、上記電解装置EMを用い、電解液Sを硝酸アンモニウムとし、導電性金属酸化物4をIGZOターゲットスクラップ(すなわち、In、Ga及びZnを含有する酸化物)とし、水酸化インジウム、水酸化ガリウム及び水酸化亜鉛を析出させる場合を例に説明する。
先ず、電解槽1内に設置される陰極2により区画される沈殿槽11内に電解液Sを収納し、さらに沈殿槽11内に設置されるフィルター板7により、水酸化ガリウムが析出される析出室11aと、陽極室11bとに区画され、この陽極室11bの電解液S中にIGZOターゲットスクラップ4を浸漬させる。ガス拡散電極20を陰極、金属ガリウム又はその合金4を陽極とし、これら両極間に電源6から電圧を印加して電解を行う。電解中、IGZOターゲットスクラップ4は溶解しやすいため、IGZOターゲットスクラップに容易にひび割れが生じ、その結果として、IGZOターゲットスクラップの破片が不可避的に生じる。フィルター板7の通気度を適宜設定することで、フィルター板7のフィルター効果により、IGZOターゲットスクラップの破片や粉末の析出室11aへの通過が防止できる。析出室11aで析出した金属水酸化物の粒径は大きくならず、IGZOスパッタリングターゲットの製造に適したものとなる。
ところで、陽極室11bのpHがアルカリ側であると、陽極室11bで金属水酸化物が生じ、この金属水酸化物によるフィルター板7の目詰まりが生じ、電圧上昇により電解が停止する虞がある。本発明では、陽極室11bに陽極4と導通させてPtメッキ電極41を設置したため、このPtメッキ電極41のPtの酸化力と上記フィルター板7の液抵抗効果によって析出室11aと陽極室11bとの間のpH差が生じ、つまり、陽極室11bの電解液SのpHが酸性側となる。その結果として、陽極室11bでの金属水酸化物の析出を抑制することができると共に、陽極室11bで生じた導電性金属酸化物の欠片や粉末を溶解することができ、フィルター板7の目詰まりを防止することができる。
尚、電解中、空気槽10内にガス供給管3から空気を導入することで、ガス拡散層20aを介して反応層20bに酸素が供給される。これにより、反応層20bの内部に気液界面が形成され、この気液界面にて酸素の還元反応が起こり、電解液S中に水酸化物イオンが供給される。
次に、上記実施形態を更に具体化した実施例について説明する。
(実施例1)
電解液Sを1.2mol/lの硝酸アンモニウム水溶液とし、陽極4をIGZOターゲットスクラップとし、IGZOターゲットスクラップ4にPtメッキTi電極41を接触(導通)させて陽極室11bに配置した。フィルター板7として濾過精度10μmのポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維ボードフィルター(通気度は17.6cc/cm/sec)を用い、陰極2と陽極4との間に、電流密度が7.5A/dmとなるように電圧を印加し、析出室11aにpH10のアンモニア水を適宜追加しながら析出室11aの電解液SのpHを8~9の範囲に調整して電解を6時間行った。析出室11aにIGZOターゲットスクラップ4の欠片や粉末が移動せず、陽極室11bで金属水酸化物の発生を抑制することができることが確認された。24時間当たりの溶解量を求めたところ52g/lであり、高い生産効率が得られることが確認された。また、電解中の析出室11aと陽極室11bの硝酸イオン濃度を、イオンクロマト分析により測定した結果を図2(a)に示す。これによれば、フィルター板7の液抵抗効果及びPtメッキTi電極41の酸化力により析出室11aよりも陽極室11bの硝酸イオン濃度が高い状態となり、電解開始から1時間後に陽極室11b内のpHが酸性側になることが確認された。
(実施例2)
本実施例2では、フィルター板7として濾過精度100μmのポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維ボードフィルター(通気度は104.8cc/cm/sec)を用いた点を除いて、上記実施例1と同様に電解を行った。24時間当たりの溶解量を求めたところ31g/lであり、上記実施例1よりは低いものの、高い生産効率が得られることが確認された。また、電解中の析出室11aと陽極室11bの硝酸イオン濃度を、イオンクロマト分析により測定した結果を図2(b)に示す。これによれば、上記実施例1と同様に、フィルター板7の液抵抗効果及びPtメッキTi電極41の酸化力により析出室11aよりも陽極室11bの硝酸イオン濃度が高い状態となり、電解開始後から2時間後に陽極室11b内のpHが酸性側になることが確認された。
(実施例3)
本実施例3では、フィルター板7として目開き100μmのポリプロピレンメッシュ(通気度は136cc/cm/sec)を用いた点を除いて、上記実施例1と同様に電解を行った。24時間当たりの溶解量を求めたところ43g/lであり、上記実施例1よりは低いものの、上記実施例2よりも高い生産効率が得られることが確認された。また、電解中の析出室11aと陽極室11bの硝酸イオン濃度を、イオンクロマト分析により測定した結果を図3(a)に示す。これによれば、フィルター板7の液抵抗効果及びPtメッキTi電極41の酸化力により析出室11aよりも陽極室11bの硝酸イオン濃度が高い状態となり、電解開始から2時間後に陽極室11b内のpHが酸性側になることが確認された。
(実施例4)
本実施例4では、陽極4をIAZOターゲットスクラップとし、フィルター板7として目開き1μmのポリプロピレンメッシュ(通気度は0.3cc/cm/sec)を用いた点を除いて、上記実施例2と同様に電解を行った。24時間当たりの溶解量を求めたところ100g/lであり、高い生産効率が得られることが確認された。また、電解中の析出室11aと陽極室11bの硝酸イオン濃度を、イオンクロマト分析により測定した結果を図3()に示す。これによれば、フィルター板7の液抵抗効果及びPtメッキTi電極41の酸化力により析出室11aよりも陽極室11bの硝酸イオン濃度が高い状態となり、電解開始から1時間後に陽極室11b内のpHが酸性側になになることが確認された。
(実施例5)
本実施例5では、フィルター板7として濾過精度100μmのポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維ボードフィルター(通気度は104.8cc/cm/sec)を用いた点を除いて、上記実施例と同様に電解を行った。24時間当たりの溶解量を求めたところ46g/lであり、高い生産効率が得られることが確認された。また、イオンクロマト分析による測定結果は、図2(b)と同様の結果が得られた。
次に、上記実施例に対する比較例について説明する。
(比較例1)
本比較例1では、PtメッキTi電極を陽極室11bに配置しない点を除いて、上記実施例1と同様に電解を行った。この場合、析出室11aにて金属水酸化物は析出せず、陽極室11bにて金属水酸化物が析出することが確認された。これより、陽極室11b内のpHが酸性側とならずアルカリ側となることが判った。
(比較例2)
本比較例2では、フィルター板7として濾過精度150μmのポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維ボードフィルター(通気度は150.3cc/cm/sec)を用いた点を除いて、上記実施例1と同様に電解を行った。24時間当たりの溶解量を求めたところ4g/lであり、生産効率が低いことが確認された。また、電解中の析出室11aと陽極室11bの硝酸イオン濃度を、イオンクロマト分析により測定した結果を図4()に示す。これによれば、陽極室11bが硝酸イオン濃度リッチな状態となり難く、電解開始から8時間後にようやく陽極室11bのpHが酸性側になることが確認された。
(比較例3)
本比較例3では、フィルター板7として目開き150μmのポリプロピレンメッシュ(通気度は155cc/cm/sec)を用いた点を除いて、上記実施例1と同様に電解を行った。24時間当たりの溶解量を求めたところ10g/lであり、生産効率が低いことが確認された。また、電解中の析出室11aと陽極室11bの硝酸イオン濃度を、イオンクロマト分析により測定した結果を図4()に示す。これによれば、析出室11aよりも陽極室11bの硝酸イオン濃度が高い状態となり難く、24時間後でも陽極室11bが中性であることが確認された。
(比較例4)
本比較例4では、フィルター板7として濾過精度150μmのポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維ボードフィルター(通気度は150.3cc/cm/sec)を用いた点を除いて、上記実施例と同様に電解を行った。24時間当たりの溶解量を求めたところ10g/lであり、生産効率が低いことが確認された。また、イオンクロマト分析による測定結果は、図4(b)と同様の結果が得られた。
尚、上記実施例1,2,5及び比較例2,4においてフィルター板7として用いたポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維ボードフィルターの濾過精度及び通気度と陽極室11bの酸性化との関係を下表1に示す。また、上記実施例3,4及び比較例3においてフィルター板7として用いたポリプロピレンメッシュの目開き及び通気度と陽極室11bの酸性化との関係を下表2に示す。
(表1)
Figure 0007128075000001
(表2)
Figure 0007128075000002
なお、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、板状に形成したPtメッキ電極41を陽極(導電性金属酸化物)4の側面に接触させて設けているが、図5に示すように、陽極室11bの底面にもPtメッキ電極41と一体もしくは別体の他のPtメッキ電極42を配置してもよい。これによれば、Ptメッキ電極41,42のPtの酸化力が増加するため、陽極室11bの電解液SのpHを確実に所定範囲(酸性側)とすることができる。さらに、従来例のものでは、導電性金属酸化物4から脱落した欠片や粉末は電解液S中に存在して電源6から通電されないのに対して、本変形例では、導電性金属酸化物4の欠片や粉末は重力により落下してPtメッキ電極42に接触して電源6から通電されるため、上記従来例と比較して電解速度を高めることができる。
また、図6に示すように、陽極室11bに籠状に形成したPtメッキ電極41aを設け、この籠状のPtメッキ電極41a内に陽極(導電性金属酸化物)4を収納してもよい。これによれば、Ptメッキ電極41a及び導電性金属酸化物4と電解液Sとの接触面積を増やすことができ、効率よく電解を行うことができる。さらに、導電性金属酸化物4から脱落した欠片のフィルター板7への衝突(物理的な接触)を防ぐことができるため、フィルター板7の破損を防止することができ、有利である。この場合、Ptメッキ電極41aをフィルター板7と同等の通気度を持つようにメッシュ状に形成すれば、籠状のPtメッキ電極41a内で導電性金属酸化物4の破片や粉末を可及的速やかに電解液Sに溶解させることができ、溶解前の導電性金属酸化物4の破片や粉末がフィルター板7の一部を塞いでしまうことも防止でき、有利である。
また、上記実施形態及び実施例では、電解液Sとして硝酸アンモニウムを用いる場合について説明したが、金属水酸化物の粒径に応じて、例えば、上記例示した塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等を用いることができる。この場合、析出した金属水酸化物に塩素、硫黄、炭素等が不純物として混入し、これらの不純物を除去するには、窒素を除去する場合に比べてより高温の熱処理を行う必要がある。
また、フィルター板7の目詰まりの可及的抑制し、析出室11a内のpHを調整を行うためには、析出室11a内をスターラー等の撹拌手段により撹拌することが好ましい。
1…電解槽、2…陰極、11a…析出室、11b…陽極室、20…ガス拡散電極、20a…ガス拡散層、20b…反応層、S…電解液、4…陽極,導電性金属酸化物、41,41a,42…Ptメッキ電極、6…電源、7…フィルター板。

Claims (5)

  1. 電解槽と、電解槽内に設置される、疎水性のガス拡散層とこのガス拡散層に積層される親水性の反応層とを有するガス拡散電極と、ガス拡散電極により区画された電解槽の反応層が面する部分に収納される電解液と、電解液中に設置される少なくともInを含有する導電性金属酸化物と、導電性金属酸化物を陽極、ガス拡散電極を陰極とし、両電極間に電圧を印加する電源とを備える金属水酸化物の製造装置において、
    電解液が収納される電解槽の部分にフィルター板を設けて、金属水酸化物が析出する析出室と前記導電性金属酸化物が設置される陽極室とを区画し、陽極室に前記導電性金属酸化物と導通するようにPtメッキ電極を設置し、陽極室の電解液のpHが酸性に維持されるようにフィルター板の通気度を0.3~150cc/cm /secの範囲に設定したことを特徴とする金属水酸化物の製造装置。
  2. 前記Ptメッキ電極が籠状に形成され、この籠状のPtメッキ電極に前記導電性金属酸化物が収納されることを特徴とする請求項1記載の金属水酸化物の製造装置。
  3. 請求項記載の金属水酸化物の製造装置において、
    前記Ptメッキ電極が、0.3~150cc/cm /secの範囲の通気度を持つようにメッシュ状に形成されていることを特徴とする金属水酸化物の製造装置。
  4. 電解槽内に、疎水性のガス拡散層と親水性の反応層とを積層して構成されるガス拡散電極を設置してこの電解槽内を区画し、この区画された電解槽の反応層に面する部分に電解液を収納し、この電解液中に少なくともInを含有する導電性金属酸化物を浸漬し、導電性金属酸化物を陽極、ガス拡散電極を陰極として両電極間に電圧を印加すると共に、区画された電解槽のガス拡散層に面する部分に酸素を供給して電解し、電解液中に金属水酸化物を析出させる金属水酸化物の製造方法であって、
    電解液中に0.3~150cc/cm/secの範囲の通気度を有するフィルター板を設けて、金属水酸化物が析出する析出室と、導電性金属酸化物が設置される陽極室とに区画すると共に、電解中、陽極室内が酸性に維持されるようにしたことを特徴とする金属水酸化物の製造方法。
  5. 前記電解液として硝酸アンモニウムを用い、前記導電性金属酸化物としてIGZO又はIAZOを用いることを特徴とする請求項記載の金属水酸化物の製造方法。
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