いくつかの具体例を説明する。
具体例に係るマッハツェンダ変調器は、(a)第1アーム導波路メサと、(b)第2アーム導波路メサと、(c)導波路メサと、(d)前記導波路メサ、前記第1アーム導波路メサ及び前記第2アーム導波路メサに光学的に結合された光合波器と、を備え、前記光合波器は、第1多モード導波路メサを含み、前記第1多モード導波路メサは、第1軸の方向に延在する上面、第1側面及び第2側面と、前記第1軸の方向に配置された第1端面及び第2端面とを含み、前記第1多モード導波路メサは、前記第1端面のポートの位置で前記導波路メサに接続され、前記第1多モード導波路メサは、前記第2端面の第1ポートの位置で前記第1アーム導波路メサに接続され、前記第1多モード導波路メサは、前記第2端面の第2ポートの位置で前記第2アーム導波路メサに接続され、前記第1多モード導波路メサの前記上面及び前記第1側面は、前記第1多モード導波路メサの第1側縁を共有し、前記第1多モード導波路メサの前記上面及び前記第1端面は、前記第1多モード導波路メサの前縁を共有し、前記第1多モード導波路メサの前記第1側縁及び前記前縁は、前記第1多モード導波路メサの前記第1側縁及び前記前縁が出会う外頂点で鋭角を成す。
マッハツェンダ変調器によれば、第1多モード導波路メサの第1側縁及び前縁が、第1多モード導波路メサの第1側縁及び前縁が出会う外頂点で鋭角を成す。第1多モード導波路メサは、多モードの光成分が伝搬することを可能にする。多モードの光成分は、第1多モード導波路メサの第1側面及び第2側面における多モードの反射により第1端面に到達する。第1端面における光成分は、第1端面のポートから導波路メサに進み、ポートから離れたところで第1端面により外向きに屈折される。この屈折により、第1多モード導波路メサにおける迷光の発生を低減できる。
具体例に係るマッハツェンダ変調器では、前記光合波器は、2×1多モード干渉器を含む。
マッハツェンダ変調器によれば、光合波器は、2×1多モード干渉器を用いてアーム導波路メサからの光を合波できる。
具体例に係るマッハツェンダ変調器では、前記導波路メサは、上面、第1側面及び第2側面を有し、前記導波路メサの前記上面及び前記第1側面は、前記導波路メサの第1側縁を共有し、前記導波路メサの前記上面及び前記第2側面は、前記導波路メサの第2側縁を共有し、前記第1多モード導波路メサの前記前縁及び前記導波路メサの前記第1側縁は、第1内頂点で出会い、前記第1多モード導波路メサの前記前縁及び前記導波路メサの前記第2側縁は、第2内頂点で出会い、前記第1多モード導波路メサの前記前縁は、前記第1内頂点及び前記第2内頂点を通過する直線に対して前記第1内頂点で鋭角を成す。
マッハツェンダ変調器によれば、第1内頂点及び第2内頂点を通過する直線と第1多モード導波路メサの前縁とは、該直線及び第1多モード導波路メサの前縁が出会う第1内頂点で鋭角を成す。第1端面に到達した光成分は、ポートの近くの第1端面により外向きに屈折される。この屈折により、第1多モード導波路メサにおける迷光の発生を低減できる。
具体例に係るマッハツェンダ変調器では、前記前縁は、第1基準線に沿って延在し、前記第2端面と前記上面は後縁を共有し、前記後縁は、第2基準線に沿って延在し、前記第1基準線と前記第2基準線との成す角度は、前記第1内頂点における前記鋭角に実質的に等しい。
マッハツェンダ変調器によれば、第1多モード導波路メサの第2側面と上面は、第2側縁を共有する。後縁は、第3外頂点で第1側縁に出会い、第4外頂点で第2側縁に出会う、後縁は、第3外頂点で第1側縁に実質的に直角を成し、第4外頂点で第2側縁に実質的に直角を成す。
具体例に係るマッハツェンダ変調器は、(a)第1アーム導波路メサと、(b)第2アーム導波路メサと、(c)導波路メサと、(d)前記導波路メサ、前記第1アーム導波路メサ及び前記第2アーム導波路メサに光学的に結合された光分波器と、を備え、前記光分波器は、第1多モード導波路メサを含み、前記第1多モード導波路メサは、第1軸の方向に延在する上面、第1側面及び第2側面と、前記第1軸の方向に配置された第1端面及び第2端面とを含み、前記第1多モード導波路メサは、前記第1端面のポートの位置で前記導波路メサに接続され、前記第1多モード導波路メサは、前記第2端面の第1ポートの位置で前記第1アーム導波路メサに接続され、前記第多モード導波路メサは、前記第2端面の第2ポートの位置で前記第2アーム導波路メサに接続され、前記第1多モード導波路メサの前記上面及び前記第1側面は、前記第1多モード導波路メサの第1側縁を共有し、前記第1多モード導波路メサの前記上面及び前記第1端面は、前記第1多モード導波路メサの後縁を共有し、前記第1多モード導波路メサの前記第1側縁及び前記後縁は、前記第1多モード導波路メサの前記第1側縁及び前記後縁が出会う外頂点で鋭角を成す。
マッハツェンダ変調器によれば、アーム導波路メサに接続された第1多モード導波路メサは、アーム導波路メサからの迷光を受ける可能性がある。第1多モード導波路メサは、迷光の光成分が逆向きに伝搬することを許容する。該光成分は、第1多モード導波路メサの第1側面及び第2側面における反射により第1端面に到達する。第1多モード導波路メサの第1側縁及び前縁が、第1多モード導波路メサの第1側縁及び前縁が出会う外頂点で鋭角を成す。第1端面における光成分の一部分は、第1端面のポートから外れた第1端面により外向きに屈折される。この屈折により、第1多モード導波路メサにおける迷光を低減できる。
具体例に係るマッハツェンダ変調器では、前記光分波器は、1×2多モード干渉器を含む。
マッハツェンダ変調器によれば、光分波器は、1×2多モード干渉器を用いてアーム導波路メサへ光を分配できる。
具体例に係るマッハツェンダ変調器では、前記導波路メサは、上面、第1側面及び第2側面を有し、前記導波路メサの前記上面及び前記第1側面は、前記導波路メサの第1側縁を共有し、前記導波路メサの前記上面及び前記第2側面は、前記導波路メサの第2側縁を共有し、前記第1多モード導波路メサの前記後縁及び前記導波路メサの前記第1側縁は、第1内頂点で出会い、前記第1多モード導波路メサの前記後縁及び前記導波路メサの前記第2側縁は、第2内頂点で出会い、前記第1多モード導波路メサの前記後縁は、前記第1内頂点及び前記第2内頂点を通過する直線に対して前記第1内頂点で鋭角を成す。
マッハツェンダ変調器によれば、第1内頂点及び第2内頂点を通過する直線及び第1多モード導波路メサの前縁は、第1内頂点で鋭角を成す。第1端面に到達した光成分は、ポートから僅かに離れた第1端面により外向きに屈折される。この屈折により、第1多モード導波路メサへの迷光を低減できる。
具体例に係るマッハツェンダ変調器では、前記後縁は、第1基準線に沿って延在し、前記第2端面と前記上面は前縁を共有し、前記前縁は、第2基準線に沿って延在し、前記第1基準線と前記第2基準線との成す角度は、前記第1内頂点における前記鋭角に実質的に等しい。
マッハツェンダ変調器によれば、第1多モード導波路メサの第2側面と上面は、第2側縁を共有する。前縁は、第3外頂点で第2側縁に出会い、第4外頂点で第2側縁に出会う、前縁は、第3外頂点で第1側縁に実質的に直角を成し、第4外頂点で第2側縁に実質的に直角を成す。
具体例に係る多モード干渉器は、(a)第1軸の方向に延在する上面、第1側面及び第2側面と、前記第1軸の方向に配置された第1端面及び第2端面とを含む第1多モード導波路メサと、(b)前記第1端面のポートの位置に接続される導波路メサと、(c)前記第2端面の第1ポートの位置に接続される第1導波路メサと、(d)前記第2端面の第2ポートの位置に接続される第2導波路メサと、を備え、前記第1多モード導波路メサの前記上面及び前記第1側面は、前記第1多モード導波路メサの第1側縁を共有し、前記第1多モード導波路メサの前記上面及び前記第1端面は、前記第1多モード導波路メサの端縁を共有し、前記第1多モード導波路メサの前記第1側縁及び前記端縁は、前記第1多モード導波路メサの前記第1側縁及び前記端縁が出会う外頂点で鋭角を成す。
多モード干渉器によれば、外頂点で鋭角を成す第1端面は、ポートに収束しない光成分を第1多モード導波路メサの外に向けて屈折する。
具体例に係る多モード干渉器では、前記導波路メサは、上面、第1側面及び第2側面を有し、前記導波路メサの前記上面及び前記第1側面は、前記導波路メサの第1側縁を共有し、前記導波路メサの前記上面及び前記第2側面は、前記導波路メサの第2側縁を共有し、前記第1多モード導波路メサの前記端縁及び前記導波路メサの前記第1側縁は、第1内頂点で出会い、前記第1多モード導波路メサの前記端縁及び前記導波路メサの前記第2側縁は、第2内頂点で出会い、前記第1多モード導波路メサの前記端縁は、前記第1内頂点及び前記第2内頂点を通過する直線に対して前記第1内頂点で鋭角を成す。
多モード干渉器によれば、第1内頂点で鋭角を成す第1端面は、ポートに収束しない光成分を第1多モード導波路メサの外に向けて屈折する。
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、マッハツェンダ変調器、及び多モード干渉器に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
図1は、本実施形態に係る光半導体素子を概略的に示す平面図である。図1には、XY座標系が描かれている。この実施例では、光半導体素子は、マッハツェンダ変調器1を含む。マッハツェンダ変調器1は、光分波器のための第1多モード干渉器2、光合波器のための第2多モード干渉器3、入力光を受ける入力導波路メサ4、出力光を提供する出力導波路メサ5、第1アーム導波路メサ6、第2アーム導波路メサ7、第1電極8、及び第2電極9を備える。マッハツェンダ変調器1は、入力導波路メサ4から光ビームを受け、変調された光ビームを出力導波路メサ5から出力する。第1アーム導波路メサ6及び第2アーム導波路メサ7は、第1多モード干渉器2と第2多モード干渉器3とをつなぐ。
図2の(a)部は、本実施形態に係る光半導体素子のための第1多モード干渉器を概略的に示す図面である。図2の(b)部は、図2の(a)部に示されたIIb-IIb線に沿って取られた断面図である。図2の(a)部には、XY直交座標系が示されている。
図1及び図2を参照すると、マッハツェンダ変調器1は、入力導波路メサ4、第1アーム導波路メサ6、第2アーム導波路メサ7、及び第1多モード干渉器2(光分波器)のための多モード導波路メサ12を備える。多モード導波路メサ12の光分波器は、入力導波路メサ4、第1アーム導波路メサ6及び第2アーム導波路メサ7に光学的に結合される。光分波器は、本実施例では、1×2多モード干渉器を含み、マッハツェンダ変調器1は、この1×2多モード干渉器を用いてアーム導波路メサ(6、7)へ光を分配できる。多モード導波路メサ12は、第1端面21及び第2端面22と、第1側面23a及び第2側面23bと、基準面RPLに沿って延在する実質的に平坦な上面25とを含む。第1側面23aは第2側面23bの反対側にある。第1側面23a、第2側面23b、及び上面25は、第1端面21及び第2端面22の一方から他方に向かう第1軸の方向に延在する。第1端面21及び第2端面22は、この第1軸の方向に配置される。第1端面21は第2端面22の反対側にある。
多モード導波路メサ12は、第1端面21のポート11の位置で入力導波路メサ4に接続される。多モード導波路メサ12は、第2端面22の第1ポート13の位置で第1アーム導波路メサ6に接続され、第2端面22の第2ポート14の位置で第2アーム導波路メサ7に接続される。
多モード導波路メサ12の上面25及び第1側面23aは、多モード導波路メサ12の第1側縁25aを共有し、多モード導波路メサ12の上面25及び第1端面21(第1部分21a)は、多モード導波路メサ12の後縁25bを共有する。多モード導波路メサ12の第1側縁25a及び後縁25bは、外頂点26aで鋭角(θ1)を成す。この鋭角は、外頂点26aにおける第1側縁25aへの接線と外頂点26aにおける後縁25bへの接線との角度として規定される。引き続く説明に現れる「外頂点」及び「内頂点」における角度も、接線を用いて同様に規定される。
マッハツェンダ変調器1によれば、アーム導波路メサ(6、7)に接続された多モード導波路メサ12は、アーム導波路メサ(6、7)からの迷光を受ける可能性がある。多モード導波路メサ12は、迷光の光成分が逆向きに伝搬することを許容する。該光成分は。多モード導波路メサ12の第1側面23a及び第2側面23bにおける反射により第1端面21に到達する。多モード導波路メサ12の第1側縁25a及び後縁25bが、多モード導波路メサ12の第1側縁25a及び後縁25bが出会う外頂点26aで鋭角を成す。第1端面21における光成分の大部分は、第1端面21のポートから離れた第1端面21により外向きに屈折される。この屈折により、多モード導波路メサ12が迷光を低減することを可能にする。
マッハツェンダ変調器1では、多モード導波路メサ12の上面25及び第2側面23bは、多モード導波路メサ12の第2側縁25cを共有し、多モード導波路メサ12の上面25及び第1端面21(第2部分21b)は、多モード導波路メサ12の後縁25dを共有する。多モード導波路メサ12の第2側縁25c及び後縁25dは、多モード導波路メサ12の第2側縁25c及び後縁25dが出会う外頂点26bで鋭角(θ2)を成す。
マッハツェンダ変調器1によれば、光成分は、多モード導波路メサ12の第1側面23a及び第2側面23bにおける反射により第1端面21に到達する。多モード導波路メサ12の第2側縁25c及び後縁25dが、外頂点26bで鋭角を成す。第1端面21における光成分の一部分は、第1端面21のポートから離れた第1端面21により外向きに屈折される。この屈折により、多モード導波路メサ12が迷光を低減することを可能にする。
外頂点26bにおける鋭角(θ2)は、製造上のばらつき範囲内において外頂点26aにおける鋭角(θ1)と実質的に同じであることができ、しかしながら、これら鋭角(θ1、θ2)の関係は、これに限定されるものではない。鋭角(θ1)は、例えば45~90度の角度範囲であることができる。鋭角(θ2)は、例えば45~90度の角度範囲であることができる。
マッハツェンダ変調器1では、入力導波路メサ4は、基準面RPLに沿って延在する実質的に平坦な上面18、第1側面23c及び第2側面23dを有する。上面18は上面25に繋がって、上面18、25は、基準面RPLに沿って延在する。
入力導波路メサ4の上面18及び第1側面23cは、入力導波路メサ4の第1側縁18aを共有し、入力導波路メサ4の上面18及び第2側面23dは、入力導波路メサ4の第2側縁18bを共有する。多モード導波路メサ12の後縁25b及び入力導波路メサ4の第1側縁18aは、第1内頂点26cで出会い、多モード導波路メサ12の後縁25d及び入力導波路メサ4の第2側面23dは、第2内頂点26dで出会う。
多モード導波路メサ12の後縁25dは、第1内頂点26c及び第2内頂点26dを通過する直線LN1に対して第1内頂点26cで鋭角(θ3)を成す。
マッハツェンダ変調器1によれば、多モード導波路メサ12の第1端面21は、第1内頂点26cで鋭角(θ3)を成すように傾斜する。第1端面21に到達した光成分は、ポート11から僅かに離れた第1端面21により外向きに屈折される。この屈折により、多モード導波路メサ12が迷光を低減することを可能にする。
また、マッハツェンダ変調器1では、多モード導波路メサ12の後縁25dは、直線LN1に対して第2内頂点26dで鋭角(θ4)を成す。
マッハツェンダ変調器1によれば、多モード導波路メサ12の第1端面21は、第2内頂点26dで鋭角(θ4)を成すように傾斜する。第1端面21に到達した光成分は、ポート11から僅かに離れた第1端面21により外向きに屈折される。この屈折により、多モード導波路メサ12が迷光を低減することを可能にする。
第2内頂点26dにおける鋭角(θ4)は、製造上のばらつき範囲内において第1内頂点26cにおける鋭角(θ3)と実質的に同じであることができ、しかしながら、これらの角度(θ3、θ4)の関係は、これに限定されるものではない。鋭角(θ3)は、例えば0度より大きく45度以下の角度範囲であることができ、また15度以上40度以下の角度範囲であることができる。鋭角(θ4)は、例えば0度より大きく45度以下の角度範囲であることができ、また15度以上40度以下の角度範囲であることができる。大きすぎる鋭角(θ3、θ4)は、半導体メサをドライエッチングにより作製する際に第1内頂点26c、第2内頂点26dの近傍においてエッチングガスの供給を妨げる。
多モード導波路メサ12の第1端面21、第2端面22、上面25、第1側面23a及び第2側面23bは、無機絶縁膜により覆われる。入力導波路メサ4の上面18、第1側面23c及び第2側面23dは、無機絶縁膜により覆われる。
マッハツェンダ変調器1では、第2端面22及び上面25は前縁25e、25f、25gを共有する。前縁25e及び第1側縁25aは、外頂点26eで出会う。前縁25f及び第2側縁25cは、外頂点26fで出会う。
マッハツェンダ変調器1では、第1アーム導波路メサ6は、上面20、第1側面23e及び第2側面23fを有する。第1アーム導波路メサ6の上面20及び第1側面23eは、第1アーム導波路メサ6の第1側縁20aを共有し、第1アーム導波路メサ6の上面20及び第2側面23fは、第1アーム導波路メサ6の第2側縁20bを共有する。第1側縁20aは、内頂点26gで第1側縁20aに出会う。第2側縁20bは、内頂点26hで前縁25gに出会う。
第2アーム導波路メサ7は、上面24、第1側面23g及び第2側面23hを有する。第2アーム導波路メサ7の上面24及び第1側面23gは、第2アーム導波路メサ7の第1側縁24aを共有し、第2アーム導波路メサ7の上面24及び第2側面23hは、第1アーム導波路メサ6の第2側縁24bを共有する。第1側縁24aは、内頂点26iで前縁25gに出会う。第2側縁20bは、内頂点26jで前縁25fに出会う。
マッハツェンダ変調器1では、例えば、第1端面21に係る後縁25bは、第1基準線R1に沿って延在する。また、第2端面22に係る前縁25e、25f、25gは、第2基準線R2に沿って延在する。本実施例では、第1基準線R1は、製造上のばらつき範囲内において第2基準線R2に対して角度θ3に実質的に等しい角度で傾斜するようにしてもよい。マッハツェンダ変調器によれば、前縁25fは、外頂点26fで第2側縁25cに出会う、前縁25eは、製造上のばらつき範囲内において外頂点26eで第1側縁25aに実質的に直角を成す。前縁25hは、製造上のばらつき範囲内において外頂点26fで第2側縁25cに実質的に直角を成す。
本実施例では、第1側面23aの第1側縁25a及び第2側面23bの第2側縁25cは、それぞれ、点26k、26mで直線LN1に交差する。第1端面21の第1部分21aは、角度θ1と角度θ3との和が直角になるように向き付けされることができ、或いは角度θ1と角度θ3との和が直角未満になるように向き付けされることができる。また、第1端面21の第2部分21bは、角度θ2と角度θ4との和が直角になるように向き付けされることができ、或いは角度θ2と角度θ4との和が直角未満になるように形作られることができる。
図2の(b)部に示されるように、具体的には、多モード導波路メサ12は、半導体基板S上に設けられた半導体積層体31を有しており、半導体積層体31は、下クラッド層32、上クラッド層33、及びコア層34を含む。下クラッド層32及び上クラッド層33は、半導体基板S上に設けられ、コア層34は、下クラッド層32と上クラッド層33との間に設けられる。多モード導波路メサ12に加えて、入力導波路メサ4、第1アーム導波路メサ6及び第2アーム導波路メサ7も、半導体積層体31を含む。
半導体積層体31の上面及び側面は、無機絶縁膜で覆われている。具体的には、半導体積層体31の上面及び側面は、無機絶縁膜35で覆われている。半導体積層体31及び無機絶縁膜35は、平坦化膜36で埋め込まれる。半導体積層体31、無機絶縁膜35及び平坦化膜36は、無機絶縁膜37で覆われる。無機絶縁膜37は、平坦化膜38で覆われており、平坦化膜38は、無機絶縁膜39で覆われる。
多モード導波路メサ12の例示。
第2端面22の全幅:13.6マイクロメートル。
第2端面22と直線LNとの間隔:194マイクロメートル。
下クラッド層32の厚さ32a:約1.5マイクロメートル。
上クラッド層33の厚さ:約1.4マイクロメートル。
コア層34の厚さ:約0.5マイクロメートル。
下クラッド層32及び上クラッド層33の屈折率:約3.1。
コア層34の屈折率:約3.4。
埋込構造。
無機絶縁膜39:シリコン系無機絶縁体、例えばシリコン酸化物(SiO2)。
無機絶縁膜35,37:シリコン系無機絶縁体、例えば酸化窒化ケイ素(SiON)。
無機絶縁膜35,37の厚さ:例えば約300nm。
無機絶縁膜35,37の屈折率:例えば約1.7。
平坦化膜36、38:樹脂体、例えばベンゾシクロブテン(BCB)。
半導体積層体31は、例えば以下のように作製される。半導体基板S上に半導体層をエピタキシャルに成長してエピ基板を得る。エピ基板をフォトリソグラフィおよびエッチングにより加工して半導体積層体31を得る。半導体積層体31上に上記の埋込構造を形成する。
第2端面22から第1端面21への方向に向かう光は、第1端面21の第1部分21a及び第2部分21bによって外向きに反射される。鋭角(θ3、θ4)は、15度以上40度以下の角度範囲であることができる。多モード導波路メサ12の外側における媒質の屈折率及び多モード導波路メサ12の半導体の屈折率の観点では、鋭角(θ3、θ4)は、ブリュースター角又はその近傍の角度であることができる。本実施形態では、このような角度は、例えば25度~35度の角度範囲である。
具体的に、本実施形態に係る光半導体素子の構成について説明する。図1に示されるように、マッハツェンダ変調器1は、半導体基板S(後述する図2の(b)部を参照)の上に形成されたマッハツェンダ変調器の一部であり、第1多モード干渉器2(第1多モード干渉型光導波路)と、第2多モード干渉器3と、入力導波路メサ4と、出力導波路メサ5と、第1アーム導波路メサ6と、第2アーム導波路メサ7と、第1電極8と、第2電極9とを備える。第1多モード干渉器2と、第2多モード干渉器3とは、所定の方向に沿って並んでいる。この所定の方向は、マッハツェンダ変調器1内を通る光の進行方向である。以下では、所定の方向を「第1方向X」と定義し、図1に示す。また、図1において第1方向Xに直交する方向を「第2方向Y」と定義する。
図2の(a)日に示される第1多モード干渉器2は、光カプラを構成する素子であり、ポート11(入射ポート)と、ポート11に隣接する多モード導波路メサ12と、多モード導波路メサ12を挟んでポート11の反対側に位置する第1ポート13(出射ポート),第2ポート14(出射ポート)とを備える。
ポート11(入射ポート)は、図1に示される入力導波路メサ4の一部であり、第1多モード干渉器2における入射部として機能する光導波路である。ポート11は、多モード導波路メサ12と同一の半導体積層体31(図2の(b)部を参照)から形成されており、多モード導波路メサ12に光学的に結合されている。平面視において、ポート11は、第1方向Xに沿って延在すると共に、先細りとなるテーパ形状を呈している。具体的には、ポート11の幅が多モード導波路メサ12から離れるにつれて狭くなっている。ポート11の傾斜角は、例えば約0.01度である。ポート11の幅は、第2方向Yに沿ったポート11の長さである。ポート11の傾斜角は、平面視にて第1方向Xと、ポート11の幅を画定する面とがなす角度である。
多モード導波路メサ12は、ポート11から入射された光が分岐する領域であり、ポート11と、第1ポート13及び第2ポート14との間に位置する光導波路である。多モード導波路メサ12の幅(以下、単に「MMI幅」とする)は、ポート11の幅よりも大きく、例えば13.5マイクロメートルである。また、多モード導波路メサ12の第1方向Xに沿った長さ(以下、単に「MMI長さ」とする)は、例えば195マイクロメートルである。多モード導波路メサ12の第1方向Xに沿った長さは、第1方向Xに沿ったポート11と第1ポート13(もしくは第2ポート14)との間隔に相当する。多モード導波路メサ12は、ポート11につながる第1端面21と、第1端面21に対向する第2端面22と、平面視にて第1方向Xに沿って延在すると共に第1端面21及び第2端面22をつなぐ一対の第1側面23a及び第2側面23bとを有する。第2端面22は、平面視にて第2方向Yに沿って延在している。側面(23a,23b)は、平行又は略平行に延在している。
第1端面21は、多モード導波路メサ12において入力側に位置する面であり、その中央部にてポート11とつながっている。第1端面21は、第1側面23aからポート11まで延びると共に第1ポート13に対向する面状の第1部分21aと、第2側面23bからポート11まで延びると共に第2ポート14に対向する面状の第2部分21bとを有している。第1部分21aと第1側面23aとがなす角度θ1(第1角度)は、鋭角になっている。このため、第1部分21aは、第1側面23aからポート11に近づくにつれて、出力側に向かうように傾斜する傾斜面をなしている。同様に、第2部分21bと第2側面23bとがなす角度θ2(第2角度)は、鋭角になっている。このため、第2部分21bは、第2側面23bからポート11に近づくにつれて、出力側に向かうように傾斜する傾斜面をなしている。換言すると、第1部分21aと第2部分21bとのそれぞれは、第1端面21の中心に近づくにつれて出力側に向かうように傾斜する傾斜面をなしている。図2の(a)部においては、第1部分21aは、第1ポート13を通過する光の軸(光軸)に対し、上述した傾斜面をなしており、第2部分21bもまた、第2ポート14を通過する光の軸(光軸)に対し、上述した傾斜面をなしている。角度θ1,θ2は、互いに同一又は略同一であるが、互いに異なってもよい。
図2の(b)部に示されるように、多モード導波路メサ12は、半導体基板S上に設けられた下クラッド層32、下クラッド層32上に設けられた上クラッド層33、及び下クラッド層32と上クラッド層33との間に設けられたコア層34を含む半導体積層体31を有している。下クラッド層32は、コア層34が設けられる突出部(32a)を有する。下クラッド層32における突出部(32a)の厚さは、例えば約1.5マイクロメートルである。上クラッド層33の厚さは、例えば約1.4マイクロメートルである。コア層34の厚さは、例えば約0.5マイクロメートルである。下クラッド層32及び上クラッド層33の屈折率は、例えば約3.1であり、コア層34の屈折率は、例えば約3.4である。半導体積層体31は、例えば半導体基板S上にエピタキシャル成長した半導体層に対して、フォトレジストをマスクとしたエッチングを実施することによって形成される。
半導体積層体31の側面は、無機絶縁膜35に覆われている。平面視にて半導体積層体31の周囲であって無機絶縁膜35上には、例えばBCB(ベンゾシクロブテン)を含む平坦化膜36が設けられている。半導体積層体31の上面及び平坦化膜36の上面は、無機絶縁膜37に覆われている。無機絶縁膜37上には、例えばBCB(ベンゾシクロブテン)を含む平坦化膜38が設けられている。平坦化膜38上には、例えばSiO2(二酸化ケイ素)を含む無機絶縁膜39が設けられている。半導体積層体31を覆う無機絶縁膜35,37は、例えばSiON(酸化窒化ケイ素)を含む膜である。無機絶縁膜35,37の厚さは、例えば約300nmであり、無機絶縁膜35,37の屈折率は、例えば約1.7である。
図2の(a)部に戻って、第1ポート13は、図1に示される第1アーム導波路メサ6の一部であり、第1多モード干渉器2における出射部として機能する光導波路である。第1ポート13には、多モード導波路メサ12にて分岐した光の一部が入射される。また、第1ポート13には、第2多モード干渉器3側から入力導波路メサ4に向かって伝搬された光が入射する。このため、第1ポート13は、第2多モード干渉器3側から入力導波路メサ4に向かって伝搬された光を多モード導波路メサ12に入射させるための入射部としても機能する。第1ポート13は、多モード導波路メサ12と同一の半導体積層体31から形成されており、多モード導波路メサ12(具体的には第2端面22)に光学的に結合されている。平面視において、第1ポート13は、第1方向Xに沿って延在すると共に、先細りとなるテーパ形状を呈している。具体的には、第1ポート13の幅が多モード導波路メサ12から離れるにつれて狭くなっている。第1ポート13の傾斜角は、例えば約0.01度である。
第2ポート14(出射ポート)は、図1に示される第2アーム導波路メサ7の一部であり、第1多モード干渉器2における出射部として機能する光導波路である。第2ポート14には、多モード導波路メサ12にて分岐した光の一部が入射される。また、第2ポート14には、第2多モード干渉器3側から入力導波路メサ4に向かって伝搬された光が入射する。このため、第2ポート14は、第1ポート13と同様に、入射部としても機能する。第2ポート14は、第1ポート13と同様に、多モード導波路メサ12と同一の半導体積層体31から形成されており、多モード導波路メサ12(具体的には第2端面22)に光学的に結合されている。平面視において、第2ポート14は、第1方向Xに沿って延在すると共に、先細りとなるテーパ形状を呈している。具体的には、第2ポート14の幅が多モード導波路メサ12から離れるにつれて狭くなっている。第2ポート14の傾斜角は、例えば約0.01度である。
第1ポート13及び第2ポート14は、第2方向Yに沿って互いに離間している。第2端面22の中心と第1ポート13との第2方向Yに沿った間隔は、第2端面22の中心と第2ポート14との第2方向Yに沿った間隔と略同一である。これにより、多モード導波路メサ12から第1ポート13に入射する光の割合と、多モード導波路メサ12から第2ポート14に入射する光の割合とが同程度になる。
第1ポート13から多モード導波路メサ12に入射し、第1部分21aによって反射した光が第1ポート13に帰還することを抑制する観点から、平面視において第1部分21aと第2方向Yとがなす角度θ3(第3角度)は、例えば0度より大きく45度以下である。第1部分21aとポート11とによってなされる角及びその周辺におけるエッチング残渣を抑制する観点から、角度θ3は、45度以下であってもよい。第1ポート13から多モード導波路メサ12に入射し、第1部分21aによって反射した光が第1ポート13に帰還することを良好に抑制する観点から、角度θ3は、15度以上40度以下であってもよい。多モード導波路メサ12内部の屈折率と多モード導波路メサ12外部の屈折率との観点から、角度θ3は、ブリュースター角でもよい。本実施形態では、ブリュースター角は、例えば25度~35度である。
同様に、第2ポート14から多モード導波路メサ12に入射し、第2部分21bによって反射した光が第2ポート14に帰還することを抑制する観点から、平面視において第2部分21bと第2方向Yとがなす角度θ4(第4角度)は、例えば0度より大きく45度以下である。第2部分21bとポート11とによってなされる角及びその周辺におけるエッチング残渣を抑制する観点から、角度θ4は、45度以下であってもよい。第2ポート14から多モード導波路メサ12に入射し、第2部分21bによって反射した光が第2ポート14に帰還することを良好に抑制する観点から、角度θ4は、15度以上40度以下であってもよい。多モード導波路メサ12内部の屈折率と多モード導波路メサ12外部の屈折率との観点から、角度θ4は、ブリュースター角及びその近傍でもよい。なお、角度θ3,θ4は、互いに同一又は略同一であるが、互いに異なってもよい。
上述したように、第1多モード干渉器2は、ポート11と、第1ポート13及び第2ポート14とを備えている。このため、第1多モード干渉器2は、1つの入射ポートと2つの出射ポートを備える多モード干渉型光導波路(1×2MMI光導波路)とも呼称される。
図3の(a)部は、本実施形態に係る光半導体素子のための第2多モード干渉器を概略的に示す図面である。図3の(b)部は、図3の(a)部に示されたIIIb-IIIb線に沿って取られた断面図である。図3の(a)部には、XY直交座標系が示されている。
マッハツェンダ変調器1は、出力導波路メサ5、第1アーム導波路メサ6、第2アーム導波路メサ7、及び第2多モード干渉器3(光合波器)のための多モード導波路メサ43を備える。多モード導波路メサ43の光合波器は、出力導波路メサ5、第1アーム導波路メサ6及び第2アーム導波路メサ7に光学的に結合される。光合波器は、本実施例では、2×1多モード干渉器を含み、マッハツェンダ変調器1は、この2×1多モード干渉器を用いてアーム導波路メサ(6、7)からの光を合波できる。多モード導波路メサ43は、第1端面52及び第2端面51と、第1側面53a及び第2側面53bと、基準面RPLに沿って延在する実質的に平坦な上面55とを含む。第1側面53aは第2側面53bの反対側にある。第1側面53a、第2側面53b、及び上面55は、第1端面52及び第2端面51の一方から他方に向かう第2軸の方向に延在する。第1端面52及び第2端面51は、この第2軸の方向に配置される。第1端面52は第2端面51の反対側にある。
多モード導波路メサ43は、第1端面52のポート44の位置で出力導波路メサ5に接続される。多モード導波路メサ43は、第2端面51の第1ポート41の位置で第1アーム導波路メサ6に接続され、第2端面51の第2ポート42の位置で第2アーム導波路メサ7に接続される。
多モード導波路メサ43の上面55及び第1側面53aは、多モード導波路メサ12の第1側縁55aを共有し、多モード導波路メサ43の上面55及び第1端面52(第1部分52a)は、多モード導波路メサ12の前縁55bを共有する。多モード導波路メサ43の第1側縁55a及び前縁55bは、多モード導波路メサ43の第1側縁55a及び前縁55bが出会う外頂点56aで鋭角(θ5)を成す。
マッハツェンダ変調器1によれば、多モード導波路メサ43の第1側縁55a及び前縁55bが、外頂点56aで鋭角(θ5)を成す。多モード導波路メサ43は、多モードの光成分が伝搬することを可能にする。多モードの光成分は、多モード導波路メサ43の第1側面53a及び第2側面53bにおける多モードの反射により第1端面52に到達する。第1端面52における光成分は、第1端面52のポートから出力導波路メサ5に進み、ポート44から離れた第1端面52により外向きに屈折される。この屈折により、多モード導波路メサ43が迷光の発生を低減することを可能にする。
マッハツェンダ変調器1では、多モード導波路メサ43の上面55及び第2側面53bは、多モード導波路メサ12の第2側縁55cを共有し、多モード導波路メサ43の上面55及び第1端面52(第2部分52b)は、多モード導波路メサ12の前縁55dを共有する。多モード導波路メサ43の第2側縁55c及び前縁55dは、多モード導波路メサ43の第2側縁55c及び前縁55dが出会う外頂点56bで鋭角(θ6)を成す。
マッハツェンダ変調器1によれば、光成分は、多モード導波路メサ43の第1側面53a及び第2側面53bにおける反射により第1端面52に到達する。多モード導波路メサ43の第2側縁55c及び前縁55dが、外頂点56bで鋭角を成す。第1端面52における光成分の大部分は、第1端面52のポートから外れた第1端面52により外向きに屈折される。この屈折により、多モード導波路メサ43が迷光の発生を低減することを可能にする。
外頂点56bにおける鋭角(θ6)は、製造上のばらつき範囲内において外頂点56aにおける鋭角(θ5)と実質的に同じであることができ、しかしながら、これらの角度(θ5、θ6)の関係は、これに限定されるものではない。鋭角(θ5)は、例えば45~90度の角度範囲であることができる。鋭角(θ6)は、例えば45~90度の角度範囲であることができる。
マッハツェンダ変調器1では、出力導波路メサ5は、基準面RPLに沿って延在する実質的に平坦な上面48、第1側面53c及び第2側面53dを有する。上面48は上面55に繋がり、上面48、50は、基準面RPLに沿って延在する。
出力導波路メサ5の上面48及び第1側面53cは、出力導波路メサ5の第1側縁48aを共有し、出力導波路メサ5の上面48及び第2側面53dは、出力導波路メサ5の第2側縁48bを共有する。多モード導波路メサ43の前縁55b及び出力導波路メサ5の第1側縁48aは、第1内頂点56cで出会い、多モード導波路メサ43の前縁55d及び出力導波路メサ5の第2側縁48bは、第2内頂点56dで出会う。
多モード導波路メサ43の前縁55dは、第1内頂点56c及び第2内頂点56dを通過する直線LN2に対して第1内頂点56cで鋭角(θ7)を成す。
マッハツェンダ変調器1によれば、多モード導波路メサ43の第1端面52は、第1内頂点56cで鋭角(θ7)を成すように傾斜する。第1端面52に到達した光成分は、ポート44から僅かに離れた第1端面52により外向きに屈折される。この屈折により、多モード導波路メサ43が迷光の発生を低減することを可能にする。
マッハツェンダ変調器1では、多モード導波路メサ43の前縁55dは、直線LN2に対して第2内頂点56dで鋭角(θ8)を成す。
マッハツェンダ変調器1によれば、多モード導波路メサ43の第1端面52は、第2内頂点56dにおいて鋭角(θ8)で傾斜する。第1端面52に到達した光成分は、ポート44から僅かに離れた第1端面52により外向きに屈折される。この屈折により、多モード導波路メサ43が迷光の発生を低減することを可能にする。
第2内頂点56dの鋭角(θ8)は、製造上のばらつき範囲内において第1内頂点56cの鋭角(θ7)と実質的に同じであることができ、しかしながら、鋭角(θ8)及び鋭角(θ7)の角度関係は、これに限定されるものではない。鋭角(θ7)は、例えば0度より大きく45度以下の角度範囲であることができ、また15度以上40度以下の角度範囲であることができる。鋭角(θ8)は、例えば0度より大きく45度以下の角度範囲であることができ、また15度以上40度以下の角度範囲であることができる。大きすぎる鋭角(θ7、θ8)は、半導体メサをドライエッチングにより作製する際に第1内頂点56c及び第2内頂点56dの近傍にエッチングガスの供給を妨げる可能性がある。
マッハツェンダ変調器1では、第2端面51及び上面55は後縁55e、55f、55gを共有する。後縁55e及び第1側縁55aは、外頂点56eで出会う。後縁55f及び第2側縁55cは、外頂点56fで出会う。
マッハツェンダ変調器1では、第1アーム導波路メサ6は、基準面RPLに沿って延在する実質的に平坦な上面50、第1側面53e及び第2側面53fを有する。第1アーム導波路メサ6の上面50及び第1側面53eは、第1アーム導波路メサ6の第1側縁50aを共有し、第1アーム導波路メサ6の上面50及び第2側面53fは、第1アーム導波路メサ6の第2側縁50bを共有する。第1側縁50aは、内頂点56gで後縁55eに出会う。第2側縁50bは、内頂点56iで後縁55gに出会う。
第2アーム導波路メサ7は、基準面RPLに沿って延在する実質的に平坦な上面54、第1側面53g及び第2側面53hを有する。第2アーム導波路メサ7の上面54及び第1側面53gは、第2アーム導波路メサ7の第1側縁54aを共有し、第2アーム導波路メサ7の上面54及び第2側面53hは、第1アーム導波路メサ6の第2側縁54bを共有する。第1側縁54aは、内頂点56hで後縁55gに出会う。第2側縁54bは、内頂点56jで後縁55fに出会う。
マッハツェンダ変調器1では、例えば、第1端面52に係る前縁55bは、第1基準線R3に沿って延在する。また、第2端面51に係る後縁55e、55f、55gは、第2基準線R4に沿って延在する。本実施例では、第1基準線R3は、製造上のばらつき範囲内において第2基準線R4に対して角度θ7に実質的に等しい角度で傾斜するようにしてもよい。
マッハツェンダ変調器によれば、後縁55eは、外頂点56eで第1側縁55aに出会う。後縁55eは、製造上のばらつき範囲内において外頂点56eで第1側縁25aに実質的に直角を成す。後縁55fは、外頂点56fで第2側縁55cに出会う。後縁55fは、製造上のばらつき範囲内において外頂点56fで第2側縁55cに実質的に直角を成す。
本実施例では、第1側面53a及び第2側面53bは、交点56k、56mにおいて直線LN2に交差する。具体的には、第1端面52の第1部分52a(第2部分52b)に関して、前縁55bと直線LN2との間隔は、交点56k(又は外頂点56a)から第1内頂点56cへの方向に、交点56kと外頂点56aとの間隔から単調に減少する。
第1端面52の第1部分52aは、角度θ5と角度θ7との和が直角になるように向き付けされることができ、或いは角度θ5と角度θ7との和が直角未満になるように形作られることができる。また、第1端面52の第2部分52bは、角度θ6と角度θ8との和が直角になるように向き付けされることができ、或いは角度θ6と角度θ8との和が直角未満になるように形作られることができる。
多モード導波路メサ43の上面55、第1側面53a及び第2側面53bは、無機絶縁膜により覆われる。出力導波路メサ5の上面48、第1側面53c及び第2側面53dは、無機絶縁膜により覆われる。
図3の(b)部に示されるように、具体的には、多モード導波路メサ43は、半導体積層体31を有しており、半導体積層体31は、下クラッド層32、上クラッド層33、及びコア層34を含む。下クラッド層32及び上クラッド層33は、半導体基板S上に設けられ、コア層34は、下クラッド層32と上クラッド層33との間に設けられる。多モード導波路メサ43、出力導波路メサ5、第1アーム導波路メサ6及び第2アーム導波路メサ7は、半導体積層体31を含む。
第2端面51から第1端面52への方向に向かう光は、第1端面52の第1部分52a及び第2部分52bによって外向きに反射される。鋭角(θ7、θ8)は、15度以上40度以下の角度範囲であることができる。多モード導波路メサ43の外側における媒質の屈折率及び多モード導波路メサ43の半導体の屈折率の観点では、鋭角(θ7、θ8)は、ブリュースター角又はその近傍の角度であることができる。本実施形態では、このような角度は、例えば25度~35度の角度範囲である。
具体的には、第2多モード干渉器3は、第1ポート41及び第2ポート42と、多モード導波路メサ43と、ポート44(出射ポート)とを備える。
第1ポート41(入射ポート)は、図1に示される第1アーム導波路メサ6の一部であり、第2ポート42(入射ポート)は、図1に示される第2アーム導波路メサ7の一部である。第1ポート41及び第2ポート42は、多モード導波路メサ43に光学的に結合されている。平面視において、第1ポート41及び第2ポート42のそれぞれは、第1方向Xに沿って延在すると共に、先細りとなるテーパ形状を呈している。具体的には、第1ポート41及び第2ポート42の幅が多モード導波路メサ43から離れるにつれて狭くなっている。第1ポート41及び第2ポート42の傾斜角は、例えば約0.01度である。これに対してポート44は、図1に示される出力導波路メサ5の一部であり、多モード導波路メサ43にて合波した光が入力される光導波路である。ポート44は、多モード導波路メサ43に光学的に結合されている。平面視において、ポート44は、第1方向Xに沿って延在すると共に、先細りとなるテーパ形状を呈している。具体的には、ポート44の幅が多モード導波路メサ43から離れるにつれて狭くなっている。ポート44の傾斜角は、例えば約0.01度である。
多モード導波路メサ43は、第1ポート41及び第2ポート42から入射された光が合流する領域であり、第1方向Xにおいて第1ポート41及び第2ポート42とポート44との間に位置する光導波路である。図3の(b)部に示されるように、多モード導波路メサ43は、半導体積層体31を有しており、且つ、無機絶縁膜35,37によって覆われている。このため、多モード導波路メサ43は、多モード導波路メサ12と同一の半導体積層体をエッチングすることによって設けられる。
多モード導波路メサ43は、第1ポート41及び第2ポート42につながる第2端面51と、第2端面51に対向すると共にポート44につながる第2端面51と、平面視にて第1方向Xに沿って延在すると共に第2端面51及び第1端面52をつなぐ一対の第1側面53a及び第2側面53bとを有する。第2端面51は、第1側面53aからポート44まで延びると共に第1ポート41に対向する面状の第1部分52aと、第2側面53bからポート44まで延びる共に第2ポート42に対向する面状の第2部分52bとを有している。第1部分52aと第1側面53aとがなす角度θ5と、第2部分52bと第2側面53bとがなす角度θ6とのそれぞれは、鋭角になっている。したがって、第1部分52aと第2部分52bとのそれぞれは、第2端面51の中心に近づくにつれて入力側に向かうように傾斜する傾斜面をなしている。図3の(a)部においては、第1部分52aは、第1ポート41を通過する光の軸(光軸)に対し、上述した傾斜面をなしており、第2部分52bもまた、第2ポート42を通過する光の軸(光軸)に対し、上述した傾斜面をなしている。
第1ポート41から多モード導波路メサ43に入射し、第1部分52aによって反射した光が第1ポート41に帰還することを抑制する観点から、平面視において第1部分52aと第2方向Yとがなす角度θ7は、例えば0度より大きく45度以下である。第1部分52aとポート44(出射ポート)とによってなされる角及びその周辺におけるエッチング残渣を抑制する観点から、角度θ7は、45度以下であってもよい。第1ポート41から多モード導波路メサ43に入射し、第1部分52aによって反射した光が第1ポート41に帰還することを良好に抑制する観点から、角度θ7は、15度以上40度以下であってもよい。多モード導波路メサ43内部の屈折率と多モード導波路メサ43外部の屈折率との観点から、角度θ7は、ブリュースター角及びその近傍でもよい。
第2ポート42から多モード導波路メサ43に入射し、第2部分52bによって反射した光が第1ポート41に帰還することを抑制する観点から、平面視において第2部分52bと第2方向Yとがなす角度θ8は、例えば0度より大きく45度以下である。第2部分52bとポート44とによってなされる角及びその周辺におけるエッチング残渣を抑制する観点から、角度θ8は、45度以下であってもよい。第2ポート42から多モード導波路メサ43に入射し、第2部分52bによって反射した光が第2ポート42に帰還することを良好に抑制する観点から、角度θ8は、15度以上40度以下であってもよい。多モード導波路メサ43内部の屈折率と多モード導波路メサ43外部の屈折率との観点から、角度θ8は、ブリュースター角及びその近傍でもよい。
再び図1を参照すると、マッハツェンダ変調器1は、第1電極8及び第2電極9を用いて、第1アーム導波路メサ6及び第2アーム導波路メサ7を伝搬する光ビームの位相を変更する。具体的には、第1電極8は、第1アーム導波路メサ6上に設けられており、配線金属層を介して駆動信号を第1アーム導波路メサ6に印加する。第2電極9は、第2アーム導波路メサ7上に設けられており、配線金属層を介して与えられた駆動信号を第2アーム導波路メサ7に印加する。第1電極8上の電圧に応答して、第1アーム導波路メサ6を導波する光の位相が変更される。同様に、第2電極9上の電圧に応答して、第2アーム導波路メサ7を導波する光の位相が変更される。これらの光ビームは、光合波器において合波されて、単一の光ビームに変わる。
第2多モード干渉器3は、同位相の2つの光ビームの入射に応答して、大きな振幅の光ビームを生成し、引き続く説明において、これを「オン状態」と呼ぶ。第2多モード干渉器3は、逆位相の2つの光ビームの入射に応答して、非常に小さい振幅、実質的にゼロ振幅の光ビームを生成し、引き続く説明において、これを「オフ状態」と呼ぶ。マッハツェンダ変調器1における消光比は、オン状態の出力光強度IONとオフ状態の出力光強度IOFFの比(ION/IOFF)によって規定される。本実施形態に係る第2多モード干渉器3は、マッハツェンダ変調器1の消光比を改善できる。また、本実施形態に係る第1多モード干渉器2及び第2多モード干渉器3は、マッハツェンダ変調器1における迷光を低減できる。
以上に説明した本実施形態に係るマッハツェンダ変調器1に含まれる第2多モード干渉器3では、ポート44につながる第2端面51は、第1部分52aと第2部分52bとを有し、第1部分52aと第1側面53aとがなす角度θ5、及び第2部分52bと第2側面53bとがなす角度θ6のそれぞれは、鋭角である。このため、第1方向Xに沿って第1ポート41から多モード導波路メサ43に入射され、且つ、第1部分52aに到達した光は、多モード導波路メサ43の外側に向かって放射または反射する。同様に、第1方向Xに沿って第2ポート42から多モード導波路メサ43に入射され、且つ、第2部分52bに到達した光は、多モード導波路メサ43の外側に向かって放射または反射する。これにより、第1ポート41及び第2ポート42から多モード導波路メサ43に入射した光が、第1ポート41及び第2ポート42に帰還する割合を低減できる。したがって、オフ状態の出力光強度を良好に抑制できるので、第2多モード干渉器3の消光比向上が可能になる。
また、第1多モード干渉器2においてポート11につながる第1端面21は、第1部分21aと第2部分21bとを有し、第1部分21aと第1側面23aとがなす角度θ1、及び第2部分21bと第2側面23bとがなす角度θ2のそれぞれは、鋭角である。このため上記第2多モード干渉器3と同様に、第1ポート13及び第2ポート14から多モード導波路メサ12に入射した光が、第1ポート13及び第2ポート14に帰還する割合を低減できる。したがって、第1多モード干渉器2は、第2多モード干渉器3と同様の作用効果を奏することができる。
第2多モード干渉器3では、平面視において、第1部分52aと第2方向Yとがなす角度θ7、及び第2部分52bと第2方向Yとがなす角度θ8のそれぞれは、15度以上40度以下であってもよい。この場合、第1ポート41及び第2ポート42から多モード導波路メサ43に入射した光が、第1ポート41及び第2ポート42に帰還する割合を良好に低減できる。同様に、第1多モード干渉器2では、平面視において、第1部分21aと第2方向Yとがなす角度θ3、及び第2部分21bと第2方向Yとがなす角度θ4のそれぞれは、15度以上40度以下であってもよい。この場合、第1ポート13及び第2ポート14から多モード導波路メサ12に入射した光が、第1ポート13及び第2ポート14に帰還する割合を良好に低減できる。
上記の説明から理解されるように、第1多モード干渉器2及び第2多モード干渉器3の少なくとも一方を備えるマッハツェンダ変調器1は、高品質な光変調を可能にする。具体的には、マッハツェンダ変調器1は、第1多モード干渉器2及び第2多モード干渉器3の両方を備えることができ、或いは、第1多モード干渉器2及び第2多モード干渉器3のいずれか一方を備えることができる。
必要な場合には、マッハツェンダ変調器1は、光合波器のための第2多モード干渉器3を備えると共に、光分波器のために、第1多モード干渉器2と異なる構造の多モード干渉器を備えることができる。或いは、マッハツェンダ変調器1は、第1多モード干渉器2を備えると共に、光合波器のために、第2多モード干渉器3と異なる構造の多モード干渉器を備えることができる。マッハツェンダ変調器1は、高品質な光伝送を実施可能である。
図4の(a)部及び(b)部は、第1多モード干渉器2及び第2多モード干渉器3と異なる構造を有する多モード干渉器を示す図面である。図4の(a)部及び(b)部には、XY座標系が描かれている。
多モード干渉器100は、多モード導波路メサ143を含み、多モード導波路メサ143は、実質的に平行な第1側面153a及び第2側面153bと、製造上のばらつき範囲内において実質的に平行な第1端面151及び第2端面152を含む。2つの導波路メサが、第1端面151上のポート141、142(例えば入力ポート)に接続され、単一の導波路メサが、第2端面152上のポート144(例えば出力ポート)に接続される。第1側面153aと第2端面152に係る外頂点156aにおける角度(θ11)は、製造上のばらつき範囲内において直角である。第2側面153bと第2端面152に係る外頂点156bにおける角度(θ12)は、製造上のばらつき範囲内において直角である。また、第1側面153aと第1端面151に係る外頂点156cにおける角度も、製造上のばらつき範囲内において直角である。第2側面153bと第1端面151に係る外頂点156dにおける角度も、製造上のばらつき範囲内において直角である。
多モード干渉器200は、多モード導波路メサ243を含み、多モード導波路メサ243は、互いに平行な第1側面253a及び第2側面253bと、第1端面251及び第2端面252を含む。第2端面252の第1部分252a及び第2部分252bは、第2端面252の第1部分252aと第2部分252bとの間隔が第1端面251から第2端面252への方向に小さくなるように、第1端面251に対して傾斜している。2つの導波路メサが、第1端面251上のポート241、242(例えば入力ポート)に接続され、単一の導波路メサが、第2端面252上のポート244(例えば出力ポート)に接続される。第1側面253aと第2端面252に係る外頂点256aにおける角度(θ21)は、鈍角、例えば112度である。第2側面253bと第2端面252に係る外頂点256bにおける角度(θ22)は、鈍角、例えば112度である。また、第1側面253aと第1端面251に係る外頂点256cにおける角度は、製造上のばらつき範囲内において直角である。第2側面253bと第1端面251に係る外頂点256dにおける角度も、製造上のばらつき範囲内において直角である。
多モード干渉器100、多モード干渉器200及び第2多モード干渉器3は、2つのポートに逆位相の光ビームを受ける。
具体的には、図4の(a)部及び図4の(b)部を参照しながら、本実施形態に係るマッハツェンダ変調器1に含まれるMMI光導波路の作用効果についてさらに説明する。引き続く説明、図4の(a)部に示される多モード干渉器100、図4の(a)部に示される多モード干渉器100、及び第2多モード干渉器3を参照する。
下記においては、特に指定されない限り、第2多モード干渉器3における多モード導波路メサ43の角度θ7,θ8は、22度とする。また、2つの入射ポートには、互いに逆位相となる光が入射されるものとする。
図4の(a)部に示される多モード干渉器100の多モード導波路メサ143は、平面視にて略矩形状を呈している。このため第1比較例においては、ポート144(出射ポート)につながる多モード導波路メサ143の第2端面152は、傾斜面を有しておらず、平面視にて第2方向Yに沿って延在している。よって、多モード導波路メサ143において第1方向Xに沿って延在する第1側面153aと第2端面152とがなす角度θ11、及び、多モード導波路メサ143において第1方向Xに沿って延在する第2側面153bと第2端面152とがなす角度θ12は、それぞれ直角になっている。一方、図4の(b)部に示される多モード干渉器200の多モード導波路メサ243において、ポート244(出射ポート)につながる第2端面252は、傾斜面である第1部分252a及び第2部分252bを有している。第1部分252aと第2部分252bとのそれぞれは、第2端面252の中心に近づくにつれて出力側に向かうように傾斜している。よって、多モード導波路メサ243において第1方向Xに沿って延在する第1側面253aと第1部分252aとがなす角度θ21、及び、多モード導波路メサ243において第1方向Xに沿って延在する第2側面253bと第2部分252bとがなす角度θ22は、それぞれ鈍角になっている。角度θ21,θ22のそれぞれは、112度に設定されている。
図5の(a)部~(c)部は、多モード導波路メサの導波路長(「MMI長」として参照する)と多モード干渉器の特性との関係を示す。多モード干渉器の特性は、固有モード展開法(EME法)を用いたシミュレーションにより計算される。MMI長は、2つの入力ポートを受ける端面と出力ポートとの距離として規定される。図5の(a)部~(c)部の横軸は導波路長を示す。図5の(a)部の縦軸はオフ状態における出力量を示し、出力量は、多モード干渉器に入力する光パワー(LIN)と多モード干渉器から出力する光パワー(LOUT)の比率(LOUT/LIN)を示す。図5の(b)部の縦軸はオフ状態における反射率(戻り比率)を示し、反射率は、(I2/I1)0.5によって表され、ここで、「I1」は、入射ポートから多モード導波路メサに入力された光パワーを表し、「I2」は、当該入射ポートに帰還する光パワーを表す。図5の(c)部の縦軸は消光比を示す。図5の(a)部~(c)部における値61~63は、第2多モード干渉器3のシミュレーション結果を示している。図5の(a)部~(c)部における値64~66は、多モード干渉器100のシミュレーション結果を示している。図5の(a)部~(c)部における値67~69は、多モード干渉器200のシミュレーション結果を示している。
図5の(a)部に示されるように、第2多モード干渉器3及び多モード干渉器200の出力量(61、67)は、横軸(多モード導波路の長さ)上の値の範囲においてほぼ一定である。多モード干渉器100の出力量(64)は、多モード導波路の設計長において極小を示す。第2多モード干渉器3の出力量(61)は、多モード干渉器100及び多モード干渉器200の出力量(64、67)に比べて4~7桁程度で小さい。
図5の(b)部に示されるように、第2多モード干渉器3の反射率(62)は、多モード干渉器100の反射率(65)よりも数桁小さく、多モード干渉器200の反射率(68)より1桁程度大きい。
図5の(c)部に示されるように、第2多モード干渉器3の最高消光比は約70dBであり、多モード干渉器100の最高消光比は約42dBであり、多モード干渉器200の最高消光光比は約7.6dBである。
また、第2多モード干渉器3及び多モード干渉器200では、横軸(多モード導波路メサの長さ)の値の範囲において消光比の変動は殆どない。多モード干渉器100においては、消光比がMMI長に依存して変化する。多モード干渉器100の当該変動は、オフ状態の出力量の変動と関連付けられる。第2多モード干渉器3は、これらのうちで最も良い最大消光比を示しており、これは、オフ状態において、第2多モード干渉器3の出力量が多モード干渉器100及び多モード干渉器200に比べて極めて小さいことに由来する。多モード導波路メサにおいて出射ポートにつながる端面全体の傾斜(本実施例における第1部分52a及び第2部分52bの傾斜)が、消光比がMMI長の変化に依存することを低くしている。この低い依存性は、入射ポートから多モード導波路メサに入射された光が、端面全体の傾斜面によって多モード導波路メサの外向きに放射又は反射されることに起因する。加えて、傾斜する端面に出射ポートを有する多モード導波路メサは、消光比がMMI長の変化に対して小さい依存性を示している。
多モード干渉器200の最高消光比は、第2多モード干渉器3及び多モード干渉器100より小さい。以下の理由は、このシミュレーション結果を説明できる:多モード干渉器200は、多モード導波路メサ243の中心に位置する出射ポートに向けて狭まる幅の第1部分252a及び第2部分252bを有しており、第1部分252a及び第2部分252bは内側に向けて光を反射する。この反射光は、ポート244(出射ポート)に向かって進み、その一部はポート244に入射する可能性を残す。
図6の(a)部~(c)部は、多モード導波路メサの導波路幅(「MMI幅」として参照する)と多モード干渉器の特性との関係を示す。多モード干渉器の特性は、固有モード展開法(EME法)を用いたシミュレーションにより計算される。MMI幅は、多モード導波路メサの導波路軸の方向に延在する第1側面及び第2側面の間隔として規定される。図6の(a)部~(c)部の横軸は、MMI幅を示す。図6の(a)部の縦軸はオフ状態における出力量を示し、図6の(b)部の縦軸はオフ状態における反射率を示し、図6の(c)部の縦軸は消光比を示す。図6の(a)部~(c)部における値71~73は、第2多モード干渉器3のシミュレーション結果を示している。図6の(a)部~(c)部における値74~76は、多モード干渉器100のシミュレーション結果を示している。
図6の(a)部に示されるように、第2多モード干渉器3の出力量は、横軸に示されルMMI幅の範囲においてほぼ一定である。多モード干渉器100の出力量は、設計値のMMI幅において最も小さい。また、第2多モード干渉器3の出力量は、多モード干渉器100に比べて4桁程度小さい。
図6の(b)部に示されるように、第2多モード干渉器3の反射率は、多モード干渉器200よりも数桁小さい。
図6の(c)部に示されるように、第2多モード干渉器3の最高消光比は約70dBである。多モード干渉器100の最高消光比は約40dBである。第2多モード干渉器3は、MMI幅の変化にほとんど依存しない。しかしながら、多モード干渉器100の消光比は、横軸に示されたMMI幅の範囲において、MMI幅に依存する。これらの結果は、出射ポートに繋がる端面の全体に傾斜面(端面の第1部分及び第2部分)を備える多モード導波路メサが高い最大消光比を有すること、及び多モード導波路メサの消光比がMMI幅の変化にあまり依存しないことを示す。
図7の(a)部は、本実施形態に係る第2多モード干渉器のための多モード導波路メサにおける光分布を示す図面であり、図7の(b)部は、多モード干渉器100のための多モード導波路メサにおける光分布を示す図面である。図7の(a)部~(b)部に示されるシミュレーション結果は、ビーム伝搬法(BPM法)によって計算される。BPM法においては、MMI光導波路内にて反射した光は原理上計算できない。また、各シミュレーションにおいて、MMI光導波路に入射した光は、出射ポートに入射せず、多モード導波路メサにおける出射ポートにつながる端面にて単に放射するものとする。図7の(a)部~(b)部において、X軸は、多モード導波路メサ43の第2端面51から第1端面52への方向に向く。Y軸は、多モード導波路メサ43のポート44(出力ポート)上に位置する。
図7の(a)部に示されるように、第1ポート41及び第2ポート42からそれぞれ入射される光L1、L2の大部分は、ポート44(出射ポート)の両側の傾斜面(第1端面52:第1部分52a及び第2部分52b)において屈折する、又は放射される。第1端面52によって反射された戻り光は非常に僅かである。
図7の(b)部に示されるように、ポート141、142からそれぞれ入射された光L11、L12は、ポート144(出射ポート)の両側の第2端面152において屈折せずに、多モード導波路メサ143内に反射される。
図8及び図9は、本実施形態に係る多モード干渉器の反射率と多モード導波路メサにおける第2端面の傾斜角との関係を示す図面である。具体的には、図8は、第2端面の傾斜角(θ3、θ4、θ7、θ8)に対する反射率の依存性を示す。図8において、横軸は第2多モード干渉器3における角度θ7を示し、縦軸は反射率を示す。図9は、第2端面の傾斜角(θ1、θ2、θ5、θ6)に対する反射率の依存性を示す。図9において、横軸は第2多モード干渉器3における角度θ5を示し、縦軸は反射率を示す。図8及び図9の結果は、FDTD法(Finite-Difference Time-Domain法)によって計算される。
図8を参照すると、反射率が約30度の角度θ7で最も低い。25%以下の反射率は、例えば15度以上42度以下の角度θ7の角度範囲において得られる。図8に示される結果から理解されるように、消光比は、第2端面の傾斜により向上される。また、消光比は、上記の角度範囲において良好な値を示す。
図9を参照すると、反射率が約60度の角度θ5で最も低い。25%以下の反射率は、例えば48度以上75度以下の角度θ7の角度範囲において得られる。図9に示される結果から理解されるように、消光比は、第2端面の傾斜により向上される。また、消光比は、上記の角度範囲において良好な値を示す。
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
図5の(a)部~(c)部、図6の(a)部~(c)部及び図7の(a)部~(b)部を参照しながら、シミュレーション結果を更に説明する。引き続く説明において、多モード干渉器100を第1比較例として参照する。多モード干渉器200を第2比較例として参照する。
図5の(a)部に示されるように、本実施形態及び第2比較例の出力量は、MMI長の変化にかかわらずほぼ一定である。一方、第1比較例の出力量は、MMI長が設計値のとき最も小さくなっている。また、本実施形態の出力量は、第1及び第2比較例に比べて極めて小さくなっている(4~7桁程度小さくなっている)。
図5の(b)部に示されるように、本実施形態の反射率は、第1比較例よりも数桁小さくなっているが、第2比較例よりも約1桁大きくなっている。
図5の(c)部に示されるように、本実施形態の最大消光比は約70dBである。一方、第1比較例の最大消光比は約42dBであり、第2比較例の最大消光比は約7.6dBである。また、本実施形態及び第2比較例では、MMI長が変化しても消光比の変動は殆どない。一方で第1比較例においては、MMI長が変化すると、消光比が変動する傾向にある。第1比較例の当該変動は、オフ状態の出力量の変動と連動している。これらの結果より、本実施形態の最大消光比が最も高いことがわかる。これは、本実施形態のオフ状態における出力量が第1及び第2比較例に比べて極めて小さいことに起因すると考えられる。また、多モード導波路メサにおいて出射ポートにつながる面に傾斜面(すなわち、第1部分及び第2部分)が設けられることによって、MMI長が変化しても消光比が変化しにくいことがわかる。これは、入射ポートから多モード導波路メサに入射された光が、傾斜面にて多モード導波路メサの外側に向かって放射または反射したためと推察される。加えて、多モード導波路メサにおいて出射ポートにつながる面に傾斜面が設けられることによって、MMI長が変化しても消光比が変化しにくいことがわかる。
第2比較例の最大消光比は、本実施形態及び第1比較例よりも大幅に小さくなっている。このシミュレーション結果は、少なくとも以下の2つの理由によるものと推察される。1つ目の理由は、多モード導波路メサ243の第1部分252a及び第2部分252bにて放射した光は、ポート244に向かい、ポート244に放射光の一部が入射してしまうことである。2つ目の理由は、多モード導波路メサ243の第1部分252a及び第2部分252bにて反射した光は、多モード導波路メサ243の内側に向かい、ポート244に反射光の一部が入射してしまうことである。
図6の(a)部に示されるように、本実施形態の出力量は、MMI幅の変化にかかわらずほぼ一定である。一方、第1比較例の出力量は、MMI幅が設計値のとき最も小さくなっている。また、本実施形態の出力量は、第1に比べて極めて小さくなっている(7桁程度小さくなっている)。
図6の(b)部に示されるように、本実施形態の反射率は、第1比較例よりも数桁小さくなっている。
図6の(c)部に示されるように、本実施形態の最大消光比は約70dBである。一方、第1比較例の最大消光比は約40dBである。また、本実施形態では、MMI幅が変化しても消光比の変動は殆どない。しかしながら第1比較例においては、MMI幅が変化すると、消光比が変動する傾向にある。これらの結果からも、多モード導波路メサにおいて出射ポートにつながる面に傾斜面(すなわち、第1部分及び第2部分)が設けられる場合、最大消光比が高くなる傾向にあることがわかる。加えて、多モード導波路メサにおいて出射ポートにつながる面に傾斜面が設けられることによって、MMI幅が変化しても消光比が変化しにくいことがわかる。
図7の(a)部は、本実施形態におけるMMI光導波路内を伝搬する光の挙動のシミュレーション結果を示す図であり、図7の(b)部は、第1比較例におけるMMI光導波路内を伝搬する光の挙動のシミュレーション結果を示す図である。図7の(a)部~(b)部に示されるシミュレーション結果は、ビーム伝搬法(BPM法)によって得られたものである。BPM法においては、MMI光導波路内にて反射した光は原理上計算できないので、当該反射光は考慮しないものとする。また、各シミュレーションにおいて、MMI光導波路に入射した光は、出射ポートに入射せず、多モード導波路メサにおける出射ポートにつながる端面にて単に放射するものとする。図7の(a)部~(b)部において、横軸は第2方向Yを示し、縦軸は第1方向Xを示す。
図7の(a)部に示されるように、第1ポート41から入射された光L1と、第2ポート42から入射された光L2とのそれぞれは、ポート44につながる第2端面51にて多モード導波路メサ43から放射される。具体的には、光L1は第1部分52aにて屈折して放射され、光L2は第2部分52bにて屈折して放射される。実際には、光L1,L2の一部は、第2端面51にて反射して多モード導波路メサ43内に戻る。この場合、反射した光は、多モード導波路メサ43の外側に向かい、第1ポート41及び第2ポート42に帰還しにくくなると推察される。
これに対して図7の(b)部に示されるように、ポート141(入射ポート)から入射された光L11と、ポート142(入射ポート)から入射された光L12とのそれぞれは、ポート144(出射ポート)につながる第2端面152にて、ほぼ屈折せずに放射されることがわかる。実際には、光L11,L12の一部は、第2端面152にて反射して多モード導波路メサ143内に戻る。この場合、反射した光は、ポート141,142に向かい、ポート141,142に帰還しやすくなると推察される。この帰還した光が多モード導波路メサ143内にて干渉してアーム導波路メサにて結像し、反射光となる。したがって、第1比較例は、本実施形態よりも反射率が高い傾向にあると推察される。
本発明による光半導体素子に含まれる多モード干渉型光導波路は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。