JP7126616B2 - レーザ加工システム、加工条件探索装置および加工条件探索方法 - Google Patents

レーザ加工システム、加工条件探索装置および加工条件探索方法 Download PDF

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Description

本発明は、加工条件を探索するレーザ加工システム、加工条件探索装置および加工条件探索方法に関する。
レーザ加工機を用いた加工を行う際には、レーザ加工機を制御するための制御パラメータのパラメータ値が加工条件としてレーザ加工機に設定される。レーザ加工によって所望の加工品質を実現するためには、適切な加工条件が設定される必要がある。従来は、一般には、レーザ加工機の製造メーカが、レーザ加工機の開発時に、加工対象物の板厚、材質などに応じた適切な加工条件を実験により求めておき、求めた加工条件をユーザに提供し、ユーザは、メーカから提供された加工条件をレーザ加工機に設定して加工を行っていた。
しかしながら、上記提供された加工条件を用いて加工を行うと、加工対象物の板厚、材質などが同じであっても、加工対象物の製造メーカ、製造ロット、表面状態のばらつき、加工機の製造号機によるばらつき、などによって、加工品質にばらつきが生じていた。加工品質にばらつきが生じた場合、所望の加工品質で加工を行えるように加工条件の調整を行うことになるが、非熟練の作業者では原因の特定が困難であり、適切な加工条件を設定するまでに時間を要する。加工条件の調整が長時間にわたると、レーザ加工機による生産も、長時間にわたって停止することになる。
このため、機械学習装置を用いて最適な加工条件を探索する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、加工対象の表面状態、温度上昇、レーザ発振器などの構造部品の温度を含めたレーザ加工システムの状態量とレーザ加工条件データを加工結果観測部から出力される加工結果に関連付けて機械学習させることにより、最適な加工条件を求める機械学習装置が開示されている。
特開2017-164801号公報
しかしながら、特許文献1では、過去の状態量、加工結果および加工条件を用いて機械学習により最適な加工条件を求めている。このため、状態量として考慮していない要因により加工結果にばらつきが生じる場合には、特許文献1に記載の技術で求めた最適な加工条件を使用しても所望の加工結果が得られない可能性がある。一方、状態量として考慮していない要因によって真の最適な加工条件が変化する場合であっても、設定した加工条件で加工を行えば所望の加工結果を得られることが望ましい。すなわち、真の最適な加工条件が多少変化したとしても所望の加工結果を得られるようなロバスト性のある加工条件がレーザ加工機に設定されることが望ましい。したがって、ロバスト性のある加工条件であるか否かを確認できる技術が望まれる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ロバスト性のある加工条件であるか否かを確認することができるレーザ加工システムを得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるレーザ加工システムは、レーザ加工機と、レーザ加工機の加工状態を検出する検出部と、レーザ加工機に設定可能な1つ以上の制御パラメータで構成される加工条件を生成する加工条件生成部と、を備える。また、レーザ加工システムは、検出部により検出された加工状態に基づいて、加工の品質を判定する加工判定部と、加工判定部による判定結果と判定結果に対応する加工条件とに基づいて、レーザ加工機に設定する加工条件の候補である候補条件を生成する候補条件生成部と、を備える。さらに、レーザ加工システムは、候補条件を用いて、候補条件のロバスト性を示す加工裕度を確認するための確認加工を行う裕度確認部、を備える。
本発明にかかるレーザ加工システムは、ロバスト性のある加工条件であるか否かを確認することができるという効果を奏する。
実施の形態1にかかるレーザ加工システムの構成例を示す図 実施の形態1の処理回路の構成例を示す図 実施の形態1のレーザ加工システムにおける加工条件探索処理手順の一例を示すフローチャート 実施の形態1の加工判定部が機械学習を用いて判定処理を行う場合に用いる機械学習モデルの一例を示す図 実施の形態1の加工判定部が信号処理により判定処理を行う場合の判定処理の一例を示す図 実施の形態1の良加工空間の一例を示す図 実施の形態1の良加工空間の別の一例を示す図 実施の形態1の試し加工と確認加工とを説明するための図 試し加工時に実施の形態1の表示部により表示される表示画面の一例を示す図 確認加工時に実施の形態1の表示部により表示される表示画面の一例を示す図 荒れが発生した場合の実施の形態1のレーザ加工機により切断された加工対象物の切断面の一例を示す図 キズが発生した場合の実施の形態1のレーザ加工機により切断された加工対象物の切断面の一例を示す図 酸化膜剥れが発生した場合の実施の形態1のレーザ加工機により切断された加工対象物の切断面の一例を示す図 ドロスが発生した場合の実施の形態1のレーザ加工機により切断された加工対象物の切断面の一例を示す図 実施の形態2にかかるレーザ加工システムの構成例を示す図
以下に、本発明の実施の形態にかかるレーザ加工システム、加工条件探索装置および加工条件探索方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかるレーザ加工システムの構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態のレーザ加工システム100は、レーザ加工機101と、レーザ加工機101を制御する制御部102とを備える。
レーザ加工機101は、レーザ発振器1、加工ヘッド2、駆動装置3および検出部15を備える。なお、検出部15は、レーザ加工機101の構成要素ではなくてもよい。すなわち、検出部15は、レーザ加工機101とは別に設けられてもよい。レーザ発振器1は、レーザ光を発振して射出する。レーザ発振器1は、例えば、連続発振とパルス発振とを切替え可能であり、パルス発振を行う場合には、パルス周波数を設定可能である。レーザ発振器1は、これに限定されず、連続発振、パルス発振のいずれか一方のみの発振を行うものであってもよい。レーザ発振器1から射出されたレーザ光は、光路18を介して、加工ヘッド2へ供給される。加工ヘッド2内部には、加工ガスが供給され、レーザ光が加工対象物16へ照射される際に、加工ガスが加工対象物16へ供給される。加工ヘッド2は、レーザ光を加工対象物16へ集光する不図示の集光レンズを有している。加工ヘッド2は、レーザ光19を集光して加工対象物16へ照射することにより加工対象物16を切断する。加工ヘッド2内部にはズームレンズが設けられることがある。また、加工ヘッド2は不図示のノズルを有する。ノズルは、集光レンズと加工対象物16との間の光路上に開口部を有し、この開口部をレーザ光および加工ガスが通過する。駆動装置3は、加工ヘッド2と加工対象物16との相対位置を変更可能である。例えば、制御部102の制御の元で、駆動装置3が備えるモータが回転することにより、加工ヘッド2と加工対象物16との相対位置が変更される。
検出部15は、レーザ加工機101の加工状態を検出する。図1では、検出部15を1つ図示しているが、検出部15は1つ以上であればよく、複数であってもよい。検出部15は、後述する加工開始信号を受信すると、自動的に加工対象物16の加工状態を検出する。検出部15は、例えば、加工中に発生する散乱光の振幅または強度、加工ガス音のスペクトル、加工パレットの振動、駆動軸の加速度、駆動装置3のモータの電流値、および切断面の画像のうちの1つ以上を、加工状態を示す状態変数として数値化する。検出部15は、数値化した検出結果を加工信号として制御部102へ出力する。検出部15は、加工ヘッド2の内部、周辺などに設置されていてもよいし、駆動装置3に設置されていてもよい。
なお、レーザ発振器1の種類は限定されない。レーザ発振器1は、炭酸ガスレーザのような気体レーザでもよいし、YAG結晶等を励起媒体とする固体レーザであってもよいし、光ファイバを励起媒体とするファイバーレーザであってもよいし、レーザダイオードの光をそのまま利用するダイレクトダイオードレーザ等であってもよい。
以下では、レーザ加工機101が切断加工を行う例を説明するが、本実施の形態の加工条件探索方法は、加工結果の評価方法などを加工の種別に応じた方法に変更すれば、穴あけ加工など他の加工を行う場合にも適用可能である。
制御部102は、レーザ加工機101を制御するとともに、本実施の形態の加工条件探索装置として機能する。本実施の形態の制御部102は、生産などの運用時の加工のために、レーザ加工機101を制御する機能を有するとともに、適切な加工条件を探索する加工条件探索処理を実施することができる。制御部102は、加工条件探索処理では、試し加工として複数の加工条件を用いて加工を実施して試し加工により得られた結果を用いて所望の加工品質が得られる加工条件を探索する。試し加工は、後述する候補条件を求めるための加工である。そして、制御部102は、試し加工の候補条件を満たすと、試し加工で探索された加工条件がロバスト性を有するか否かを確認するための確認加工を実施し、確認加工によりロバスト性を有すると確認された加工条件を最適な加工条件と決定する。
本実施の形態の制御部102は、図1に示すように、記録部4、加工判定部5、条件探索部6、第1情報記憶部7、条件生成部8、裕度確認部11、第2情報記憶部12、表示部13および入力部14を備える。
記録部4は、検出部15から出力された加工信号を受け取り、加工信号を条件生成部8から入力される加工条件と対応付けて試し加工データとして記録するとともに、試し加工データを加工判定部5へ出力する。加工条件は、レーザ加工機101を制御するための1つ以上の制御パラメータで構成される。一般には、加工条件は、複数の制御パラメータのそれぞれのパラメータ値の組み合わせである。制御パラメータとしては、レーザ出力、加工ガス圧、加工速度、焦点位置、集光径、レーザのパルス周波数、パルスのデューティ比、加工ヘッド2内部のズームレンズ系の倍率、アダプティブオプティクス(AO)の曲率変化、ノズルの種類、ノズルの径、切断ワークとノズルとの距離、レーザビームモードの距離、ノズル穴の中心とレーザビームの位置の変位量などが挙げられる。制御パラメータは、これらのうちの1つ以上であってもよいし、これら以外のパラメータが含まれていてもよく、レーザ加工において設定可能なパラメータであれば特に制約はない。
加工判定部5は、検出部15により検出された加工状態に基づいて、加工の品質を判定する。詳細には、加工判定部5は、記録部4に記録された加工信号に基づいて、機械学習、信号処理などを行うことにより、加工結果の良否を示す評価値を判定結果として算出する。加工判定部5は、判定結果と対応する加工条件とを、条件探索部6へ渡すとともに、第1情報記憶部7へ格納する。条件探索部6は、加工判定部5による判定結果と判定結果に対応する加工条件とに基づいて、制御パラメータの空間における、加工の品質が良となると推定される領域である良判定領域を推定する。詳細には、条件探索部6は、加工判定部5による判定結果と第1情報記憶部7に記憶されている情報とを用いて加工条件空間における、所望の品質を満たす領域である良加工領域を推定する。すなわち、条件探索部6は、所望の品質を満たす加工条件を探索する。本実施の形態において、加工条件空間とは、加工条件で指定される1つ以上の制御パラメータを次元とする空間である。なお、ここでいう空間は、数学的な空間を意味し、考慮する制御パラメータが1つである場合の一次元空間なども含む。なお、試し加工は、一般には、複数の加工条件を用いて行われるので、加工判定部5は、複数の加工条件のそれぞれ加工の品質を判定し、条件探索部6は、複数の加工条件に基づいて良判定領域を推定する。
第1情報記憶部7は、条件探索部6における探索を補助するための情報を記憶する。第1情報は、過去に行われた加工条件の探索で得られた情報である。第1情報は、例えば、レーザ加工機101の製造メーカなどが開発時に取得した情報を含む。レーザ加工機101の製造メーカは、一般に、開発時に、最適な加工条件を実験などにより探索しており、探索に得られた最適な加工条件をユーザに提供する。本実施の形態では、開発時の探索により得られた情報を第1情報として用いることで、条件探索部6により条件探索を効率的に行う。開発時の探索により得られた情報は、開発時の探索で設定された制御パラメータの範囲、開発時の探索で得られた最適な加工条件、開発時の探索で得られた良加工領域の推定結果などである。また、第1情報には、過去に加工判定部5により判定された判定結果も含まれる。
条件生成部8は、試し加工条件生成部9および候補条件生成部10を備える。加工条件生成部である試し加工条件生成部9は、試し加工における加工条件を生成し、生成した加工条件に基づいてレーザ加工機101を制御するための制御信号をレーザ加工機101へ出力する。試し加工は、試し加工条件生成部9は、条件探索部6を介して、第1情報記憶部7に格納されている過去に加工が行われた加工条件を取得し、過去に加工が行われた加工条件のなかから選択することにより加工条件を生成してもよい。この制御信号は、駆動装置3のモータを制御する制御指令、レーザ発振器1を制御するための制御指令、検出部15を制御するための制御指令などを含む。各加工の開始時には、試し加工条件生成部9は、制御信号として加工開始信号をレーザ加工機101へ出力する。また、試し加工条件生成部9は、生成した加工条件を記録部4へ出力する。候補条件生成部10は、試し加工を終了するための条件が満たされたか否かを判断し、試し加工を終了するための条件が満たされた場合には、試し加工を終了すると判断し、レーザ加工機101に設定する最適な加工条件の候補である候補条件を生成し、候補条件を裕度確認部11へ出力する。候補条件生成部10は、例えば、条件探索部6により推定された良加工領域に基づいて、良加工と不良加工の境界を探索し、探索した条件と得られた評価値とから候補条件を生成する。なお、ここでは、候補条件生成部10が、条件探索部6により推定された良加工領域を用いて候補条件を求める例を説明するが、候補条件を生成する方法は、加工判定部5による判定結果と判定結果に対応する加工条件とに基づくものであればどのような方法であってもよい。例えば、試し加工によって得られた複数の判定結果のうち、判定結果が良加工であることを示す候補条件としてもよい。判定結果が評価値である場合、試し加工によって得られた複数の評価値のうち、評価値の最もよいものを候補条件としてもよい。
裕度確認部11は、候補条件を用いて、候補条件のロバスト性を示す加工裕度を確認するための確認加工を行う。詳細には、裕度確認部11は、候補条件生成部10から入力された候補条件に基づいて、候補条件にロバスト性があるか否かを確認するための確認加工を実施し、ロバスト性がある場合には、候補条件を最適な加工条件に決定する。裕度確認部11は、候補条件の加工裕度の確認のために第2情報記憶部12に記憶されている情報を用いてもよい。第2情報記憶部12は、裕度確認部11における処理を補助するための情報を記憶する。表示部13は、ユーザからの入力を受け付けるための画面を表示したり、制御部102内で生成された情報を表示したり、といった表示を行う。入力部14は、ユーザから入力される情報を受け付け、受け付けた情報を、対応する各部へ出力する。
また、制御部102は、図示しない構成要素により、生産のための通常加工時には、例えば、加工プログラムと設定された加工条件とに従って、レーザ光が加工対象物16上の加工経路を走査するように、レーザ発振器1および駆動装置3のモータを制御する。このとき、加工条件に上述した裕度確認部11により決定された最適な加工条件を用いることにより、ロバスト性の高い加工を実施することができる。
なお、本実施の形態では、レーザ加工システム100の制御部102が本実施の形態の加工条件探索装置として機能する例を説明するが、レーザ加工システム100とは別に、加工条件探索装置が設けられてもよい。
次に、本実施の形態の制御部102のハードウェア構成について説明する。制御部102の加工判定部5、条件探索部6、条件生成部8および裕度確認部11は、処理回路により実現される。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、プロセッサを備える回路であってもよい。記録部4、第1情報記憶部7および第2情報記憶部12は、メモリにより実現される。また、記録部4は、外部からの信号を受信する受信回路とメモリとにより実現される。表示部13は、ディスプレイ、モニタなどにより、実現され、入力部14は、キーボード、マウスなどにより実現される。表示部13と入力部14が一体化されてタッチパネルとして実現されてもよい。
処理回路がプロセッサを備える回路である場合、処理回路は例えば図2に示した構成の処理回路である。図2は、本実施の形態の処理回路の構成例を示す図である。図2に示す処理回路200は、プロセッサ201およびメモリ202を備える。加工判定部5、条件探索部6、条件生成部8および裕度確認部11が図2に示した処理回路200によって実現される場合、プロセッサ201が、メモリ202に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、これらが実現される。すなわち、加工判定部5、条件探索部6、条件生成部8および裕度確認部11が図2に示した処理回路200によって実現される場合、これらの機能は、ソフトウェアであるプログラムを用いて実現される。メモリ202はプロセッサ201の作業領域としても使用される。プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit)等である。メモリ202は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク等が該当する。
加工判定部5、条件探索部6、条件生成部8および裕度確認部11が専用ハードウェアである場合、処理回路は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。なお、加工判定部5、条件探索部6、条件生成部8および裕度確認部11は、プロセッサを備える処理回路および専用ハードウェアを組み合わせて実現されてもよい。加工判定部5、条件探索部6、条件生成部8および裕度確認部11は、複数の処理回路により実現されてもよい。
次に、本実施の形態の動作について説明する。図3は、本実施の形態のレーザ加工システム100における加工条件探索処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、レーザ加工システム100は、試し加工用の加工条件を生成する(ステップS1)。詳細には、制御部102の試し加工条件生成部9が試し加工用の加工条件を生成する。ステップS1で試し加工条件生成部9が生成する加工条件は、試し加工の初期点となる加工条件であり、どのように決定されてもよい。例えば、初期点となる加工条件は、各制御パラメータのパラメータ値をランダムに組み合わせて生成されてもよいし、第1情報記憶部7に格納されている情報に基づいて生成されてもよいし、ユーザにより指定されてもよい。また、レーザ加工システム100は、条件探索部6の推定結果に依存せずに行う初期探索として、複数回の試し加工を行い、その後に、条件探索部6の推定結果を用いて加工条件を生成して実施する試し加工である推定探索を行ってもよい。これらの試し加工の回数はあらかじめ定められていてもよいし、ユーザにより指定されてもよい。
次に、レーザ加工システム100は、試し加工を実施する(ステップS2)。詳細には、試し加工条件生成部9が、加工条件に基づいてレーザ加工機101を制御するための制御信号を生成しレーザ加工機101へ出力する。レーザ加工機101は、試し加工条件生成部9から出力された制御信号に基づいて、加工対象物16を加工する。
次に、レーザ加工システム100は、加工信号を検出し(ステップS3)、加工信号を記録する(ステップS4)。詳細には、ステップS3では、検出部15が、加工状態を検出し、検出結果を加工信号として制御部102へ出力する。ステップS4では、制御部102の記録部4は、加工信号を受け取り、加工信号を加工条件と対応付けて試し加工データとして記録するとともに加工判定部5へ出力する。
次に、レーザ加工システム100は、加工を判定する(ステップS5)。詳細には、加工判定部5が、記録部4から入力された加工データに含まれる加工信号に基づいて特徴量を抽出し、特徴量を用いて加工の良否の判定を行い、判定結果を加工条件と対応付けて、条件探索部6へ出力するとともに第1情報記憶部7へ格納する。特徴量は、切断面を撮影した画像から抽出されるものであってもよいし、加工ガス音のスペクトルのピークの周波数などであってもよい。特徴量は、加工の良否に用いられるものであればどのようなものであってもよい。
また、加工の良否の判定結果である評価値は、段階で表される数値であってもよいし、連続的な値であってもよい。評価値は、換言する加工品質を示す値である。評価値が段階で表される場合、良または不良の2値のうちのいずれかを示す2段階の値であってもよいし、3段階以上の不良の度合いを示すものであってもよい。また、例えば、良である確率が70%といったように確率で示される値であってもよい。また、発生した加工不良の評価値の下限を0、上限を1とし、1が最も良いことを示すと定義して、0から1までの値に正規化して評価値を求めてもよい。また、加工不良の種類、すなわち加工不良モードが複数想定されて、加工判定部5が、どの加工不良モードであったかを判定する場合には、加工判定部5は、加工不良モードごとに評価値を求めて、各加工不良モードの合計値を評価値として出力してもよい。また、加工判定部5による判定結果は、加工不良モードであってもよい。この場合、例えば、加工判定部5は、判定結果として、不良モード#1、不良モード#2、…、不良モード#n、加工不良でないすなわち良加工である、のいずれであるかを示す情報を出力する。また、加工判定部5は、加工不良モードごとに加工不良の有無を判定し、1つでも加工不良と判定された場合に、加工不良と判定してもよい。
加工判定部5における判定処理は、機械学習を用いて行われてもよいし、閾値判定といった信号処理により行われてもよい。図4は、本実施の形態の加工判定部5が機械学習を用いて判定処理を行う場合に用いる機械学習モデルの一例を示す図である。図4に示した例では、機械学習として、ニューラルネットワークを適用している。図4に示すように、このニューラルネットワークは、入力層のノードであるX1,X2,X3と、中間層のノードであるY1,Y2と、出力層のノードであるZ1,Z2,Z3とで構成される。入力層の各ノードには、モータの電流値、加工中に発生する散乱光の振幅または強度といった各加工信号が入力されてもよいし、抽出された特徴量が入力されてもよい。加工信号が入力層の各ノードに入力される場合は、特徴量の抽出も機械学習によって行うことになる。抽出された特徴量が入力層の各ノードに入力される場合は、加工判定部5は、加工信号から特徴量を抽出してから特徴量を入力層に入力することになる。
入力層の各ノードは、入力された信号に重み付けを行って中間層の各ノードへ出力する。中間層の各ノードは入力された信号に重み付けを行って出力層の各ノードへ出力する。出力層の各ノードは、中間層から入力された信号に活性化関数を用いた演算などを行って判定結果として出力する。なお、中間層が1層の例を示しているが中間層は2層以上であってもよい。各ニューロンにおける重み係数は教師信号を用いた誤差逆伝搬法等により算出される。すなわち、いわゆる教師あり学習により、事前に学習した内容に従って、加工の良否、または加工不良モードを出力する。事前の学習は、例えば、加工を行って、その加工の結果を作業者が評価し、対応する加工信号と評価した結果とを教師データとして与える方法で行われる。
加工判定部5が用いる機械学習の学習アルゴリズムとしては、特徴量そのものの抽出を学習する、ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolution Neural Network)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)を代表手法とした、深層学習を用いることもできる。または、機械学習の学習アルゴリズムとして、他の公知のアルゴリズム、例えば遺伝的プログラミング、機能論理プログラミング、フィッシャー判別法、部分空間法、マハラノビス空間を用いた判別分析、サポートベクターマシンなどを用いてもよい。
図5は、本実施の形態の加工判定部5が信号処理により判定処理を行う場合の判定処理の一例を示す図である。図5では、横軸は時間を示し、縦軸は加工中に発生する散乱光を電圧に換算した値である出力電圧を示す。加工信号20は、ある加工において検出部15により検出された出力電圧を示している。例えば、加工判定部5は、出力電圧が閾値を超えた場合に加工不良と判定する。図5に示した例では、加工信号20は、時刻t1で閾値を超えているので、この加工信号20に対応する加工は不良と判定される。図5は一例であり、閾値を複数段階設定して、評価値を複数段階で算出してもよい。また、加工良否の判定基準に関しては、使用する作業者によって良否の判断が異なる。ユーザが閾値を決定できるようにしてもよい。
図3の説明に戻る。ステップS5の後、レーザ加工システム100は、良加工領域の推定を行う(ステップS6)。具体的には、条件探索部6が、第1情報記憶部7に格納されている加工条件と評価値の組と加工判定部5から入力される加工条件と評価値の組とに基づいて、良加工領域を推定する。第1情報記憶部7には、探索済みの加工条件と評価値との組だけでなく、上述したように、開発時に取得された情報も記憶されている。また、条件探索部6は、加工条件を構成する制御パラメータを次元とする空間において良加工領域を求めるが、どの制御のパラメータ空間において良加工領域を求めるかは、あらかじめ定められていてもよいしユーザにより指定可能であってもよい。また、良加工領域の探索時の各制御パラメータに関する探索する範囲と刻みについても、あらかじめ定められていてもよいし、ユーザにより指定可能であってもよい。例えば、パラメータAとパラメータBの空間において、パラメータAはa1からa2の範囲をΔa刻みで、パラメータBはb1からb2までの範囲をΔb刻みで探索する。
図6は、本実施の形態の良加工空間の一例を示す図である。図6において、縦軸は制御パラメータの1つであるパラメータAのパラメータ値aを示し、横軸は制御パラメータの1つであるパラメータBのパラメータ値bを示す。領域21は、パラメータAとパラメータBの2次元空間における良加工領域を示し、境界22は、良加工領域と不良加工領域との境目である。良加工領域とは、例えば、評価値が閾値以上となる領域である。良加工領域か否かを判定するための基準はユーザが設定可能である。図6では、領域21は真の良加工領域を示しているが、条件探索部6が、良加工領域を探索するときには、離散的な点の評価値に基づいて、領域21を推定することになる。この離散的な点は、上述した各制御パラメータを探索する範囲と刻みにより決定される。各評価値は離散的な点であり、かつ各評価値には誤差も含まれることから、一般に条件探索部6が推定する良加工領域は領域21と完全には一致しない。
図7は、本実施の形態の良加工空間の別の一例を示す図である。図7に示した例では、図6に示した例とは別の加工対象物16のロッドが異なるなどにより領域21が図6の状態から変化しているため、境界22も図6の状態から変化している。このように、板厚、材料などが同一でも、なんらかの理由により良加工領域が変化する可能性がある。本実施の形態では、試し加工の結果を用いて良加工領域を推定することにより、実際の生産の加工の条件で良加工領域を推定することができる。
また、制御パラメータに、加工条件の探索中に加工ヘッド2などレーザ加工システム100内の各部または加工対象物16に損傷を与える可能性のある範囲がある場合、このような範囲で試し加工を行うことを避けるため、探索を禁止する条件を設定してもよい。例えば、第1情報記憶部7に、制御パラメータに関して探索を禁止する範囲を記憶させておき、条件探索部6は、この範囲を避けて良加工領域の探索を行うとともに、試し加工条件生成部9にこの範囲を避けて加工条件を生成するよう指示する。例えば、加工速度が標準条件の60%と遅い条件である場合、ドロスなどの加工不良を発生させる可能性があるため、除外してもよい。なお、標準加工条件は、製造メーカから提示される加工条件である。
また、試し加工条件生成部9が、表示部13に次に試し加工を行う加工条件を表示させ、ユーザから該加工条件での加工を希望しないことを示す入力を受け付けた場合に、該加工条件を次の試し加工の加工条件とはせずに、別の加工条件を次の加工条件の候補として表示部13に表示させてもよい。ユーザは、表示された、次に試し加工を行う加工条件を確認して、加工不良が発生すると判断した場合には、この加工条件で試し加工を行わないように入力を行う。
条件探索部6は、試し加工により得られた加工条件と評価値との組み合わせと、開発時に得られた情報とに基づいて、良加工領域を推定する。なお、開発時に得られた情報を用いずに、試し加工により得られた情報を用いて良加工領域を推定してもよい。すなわち、条件探索部6は、第1情報記憶部7に格納された情報を用いて推定アルゴリズムによって制御パラメータの関数として評価値を求め、その評価値が閾値以上となる領域を良加工領域として求める。探索のために用いる推定アルゴリズムとしては、観測されたデータから推定の対象を推定する方法であればどのような方法であってもよく、例えば、ガウス過程回帰法であってもよいし、ベイズ推定、最尤推定などの他の公知の方法であってもよい。なお、加工判定部5が出力する判定結果が加工不良モードである場合には、加工不良モードごとに対応する領域を推定し、推定した領域を除くことにより良加工領域を推定する。条件探索部6は、算出した結果を候補条件生成部10へ出力する。
また、条件探索部6は、加工判定部5から出力される判定結果が加工不良モードである場合、加工不良モードに基づいて、探索すべき制御パラメータを決定し、決定した制御パラメータを変更した加工条件を生成するように試し加工条件生成部9に指示してもよい。加工不良モードによってどの制御パラメータが影響するかが推定できるものもある。このような場合、加工不良モードと制御パラメータとを対応付けておけば、加工不良モードに対応する制御パラメータを優先して変化させるように試し加工を行えば、判定結果が不良であった場合に、効率的に良加工領域を探索することができる。また、条件探索部6は、加工不良モードに基づいて、制御パラメータを補正してもよい。補正すべき制御パラメータと補正量は、加工不良モードと対応付けて、テーブルなどにより第1情報記憶部7に記憶されていてもよいし、ユーザから入力されてもよい。また、加工判定部5から出力される判定結果が不良度合いを示す評価値である場合、評価値に基づいて、補正すべき制御パラメータの補正量に重みをつけて変更してもよいし、補正対象とする制御パラメータ自体を変更してもよい。また、熟練者が運用しているルールがある場合は、それを使用してもよい。熟練者は、レーザ加工機1の状態によって制御パラメータをどのように補正すべきかのルールをノウハウとして有していることがある。熟練者が運用しているルールを、制御パラメータを補正するための情報として第1情報記憶部7に記憶させておき、条件探索部6がこの情報に基づいて補正を行うことにより、熟練者のノウハウを反映して効率的に良加工領域を探索することができる。
図3の説明に戻り、ステップS6の後、レーザ加工システム100は、試し加工を終了するか否かを判断する(ステップS7)。詳細には、候補条件生成部10が、試し加工の終了条件を満たすか否かを判断する。試し加工の終了条件は、例えば、条件探索部6が定められた範囲での推定が終了したという条件、加工判定部5が連続して5回以上良加工に対応する判定結果を出力したという条件、あらかじめ定めた回数の試し加工を実施したという条件などが考えられる。また、上記条件を満たした後、ユーザから確認加工へ進むか否かの入力を受け付け、ユーザから確認加工へ進むことを指示する入力を受け付けた場合に、確認加工へ進むようにしてもよい。ユーザから確認加工へ進まないことを指示する入力を受け付けた場合には、試し加工を継続するかまたは加工条件探索処理を終了する。条件探索部6が定められた範囲での推定が終了したという条件は、例えば、条件探索部6が用いる推定アルゴリズムが、推定誤差の見積もりが可能な推定アルゴリズムの場合には、推定誤差が一定値以下となった場合を終了条件にすることも考えられる。また、条件探索部6が求めた良加工領域の面積、体積などを算出し、算出した値が一定値を超えた場合に、試し加工を終了するとしてもよい。また、候補条件生成部10は、後述する候補条件として選定する加工条件の制御パラメータのパラメータ値の変化が一定値以下となった場合に試し加工を終了してもよい。
レーザ加工システム100は、試し加工を終了しない場合(ステップS7 No)、加工条件を変更し(ステップS8)、ステップS2からの処理を繰り返す。詳細には、候補条件生成部10が、試し加工の継続を、試し加工条件生成部9へ指示し、試し加工条件生成部9が、試し加工における次の加工条件を生成して、ステップS2の処理を再び実施する。試し加工条件生成部9は、例えば、あらかじめ定められた範囲、またはユーザにより指定された範囲で、ランダムに加工条件を生成してもよいし、探索する範囲に格子状に試し加工を行う点を定めておき、これらの点に対応する加工条件を順番に生成してもよい。また、良加工領域を効率よく推定するためは、探索する範囲内を格子状にすべて試し加工を実施するのではなく、条件探索部6が算出した制御パラメータと評価値との関係を用いて、試し加工を行う加工条件を絞ってもよい。例えば、試し加工条件生成部9は、制御パラメータと評価値との関係に基づいて、良加工と不良加工の境界となる付近の加工条件を生成してもよいし、境界から一定の距離にあるものなど何らかの基準によって加工条件を生成してもよい。候補点を絞り込むことにより、探索の回数が減る効果が得られる。
レーザ加工システム100は、試し加工を終了する場合(ステップS7 Yes)、確認加工を実施する(ステップS9)。詳細には、試し加工を終了する場合(ステップS7 Yes)、候補条件生成部10が、条件探索部6の探索結果を用いて候補条件を選択して、候補条件を裕度確認部11へ渡す。候補条件は、条件探索部6によって推定された良加工領域のなかで、評価値の最も高いと推定される条件であってもよいし、良加工領域の重心などであってもよい。裕度確認部11が、候補条件を受け取ると、候補条件に基づいて、確認加工のための加工条件を生成し、生成した加工条件に基づいてレーザ加工機101を制御するための制御指令を生成してレーザ加工機101へ出力する。確認加工を実施する際に、裕度確認部11は、候補条件のうち少なくとも1つの制御パラメータの値を変更して、変更した加工条件を用いて確認加工を実施する。
ここで、確認加工について説明する。図8は、本実施の形態の試し加工と確認加工とを説明するための図である。図8では、縦軸がパラメータAのパラメータ値aを示し、横軸がパラメータBのパラメータ値bを示す。境界22は、図6に示した例と同様の真の良加工領域と不良加工領域との境界である。境界23は、条件探索部6により推定された良加工領域と不良加工領域との境界を示す。図8の丸印は、試し加工領域で良加工と判定された点を示し、図8のバツ印は、試し加工領域で不良加工と判定された点を示す。図8に示すように、推定された境界23は新の境界22と異なっている可能性もある。このため、本実施の形態では、良加工領域を推定して候補条件を求めた後、候補条件の加工裕度が定められた基準以上確保できるか否かを確認するための確認加工を行う。ここで、加工裕度とは、ある加工条件で加工を行った場合に、なんらかの要因により予想と異なる加工結果となった場合でも、所望の品質の加工が得られる可能性の高さを示すものである。すなわち、加工裕度はロバスト性の高さを示すものである。加工裕度は、例えば、ある加工条件を示す点に関しての、良加工領域と不良加工領域との境界からの距離で表すことができる。図8では、候補条件を黒丸で示しており、黒丸の加工裕度が矢印で示されている。
裕度確認部11は、確認加工では、第2情報記憶部12に格納されている情報に基づいて、確認加工における加工条件を生成する。第2情報記憶部12には、例えば、開発時に使用された、各制御パラメータに関する加工裕度に関する情報が格納されている。加工裕度に関する情報は、各制御パラメータに関してどの程度の加工裕度を確保すればよいかを示す情報である。
加工不良は、「突発的に発生するもの」と、「突発的には発生しないもの」との、2つに分類することができる。突発的に発生してしまう加工不良としては、
・保護ガラス等の光学系の汚れ
・ノズルの損傷または変形
・ノズルへのスパッタの付着による倣い制御の不良
が例示できる。これらは発生前に検知することが困難である。
突発的に発生しない加工不良の例については、
・芯ずれ(加工ノズルの中心とレーザ光、加工ガスの中心とがずれている状態)
・加工対象物16の表面状態や組成変化
・加工対象物16の蓄熱状態
・加工条件の調整
・熱レンズ(光学部品に熱がたまり、光学特性が変化した状態)
が例示できる。
また、「突発的に発生しない加工不良」で例示した要因に関しても、以下の要因により良加工領域が、ユーザに認知されることなく変化してしまう可能性がある。
・加工ノズルの中心とレーザ光、加工ガスの中心を合わせる芯だし作業ばらつき
・レーザ発振器の出力安定性
上述したような要因により、良加工となるはずの加工条件を用いて加工を行っても、ユーザが認知しない要因により、良加工とならない可能性がある。このような変化があった場合でも、良加工、すなわち所望の品質が得られるように、本実施の形態では、裕度確認部11は、確認加工において候補条件から1つ以上の制御パラメータの値を変化させて良加工となるか否かを確認することにより、候補条件の加工裕度を確認する。したがって、確認加工において、加工裕度を確保すべき定められた基準に対応する量だけ候補条件を変化させて、良加工という結果が得られれば、候補条件は、定められた基準(以下、基準値という)以上の加工裕度を有することになる。
候補条件を変化させる方法は、例えば、候補条件で設定されている値に対して、その値の5%を増加させたり、減少させたりする方法でもよいし、あらかじめ定めた固定値を変化させる方法であってもよい。例えば、候補条件の制御パラメータが焦点位置を含み、固定値を0.5[mm]として焦点位置を変化させる場合、裕度確認部11は、候補条件として設定された焦点位置に0.5[mm]を加算した加工条件と、候補条件として設定された焦点位置から0.5[mm]減算した加工条件とを加工条件として設定する。なお、上記の例では、パラメータ値を増加させるときと減少させるときとで変化量を同じにしたが、パラメータ値を増加させるときと減少させるときとで変化量を変えてもよい。
また、候補条件を変化させる変化量に関する情報を第2情報記憶部12に記憶させておき、裕度確認部11が、第2情報記憶部12に格納されている情報に基づいて、変化量を決めてもよい。例えば、上述のような要因により変化する可能性のある制御パラメータに関して、開発時に得られた加工結果に基づいて、上述した要因による良加工領域の変化範囲を求めておき、この変化範囲を第2情報記憶部12に格納しておく。また、第2情報記憶部12に、熟練の作業者の知見により得られた上記の変化量を示す情報を格納してもよい。
また、第2情報記憶部12に、加工条件の設計時の情報、加工パラメータの調整範囲、レーザ発振器1の安定性、加工ヘッド2の冷却能力といった数値をテーブルとして蓄積してもよい。具体的には、設計または過去の調整により得られた情報として、レーザ出力ばらつき、加工ガス圧の許容加工裕度、加工速度の許容加工裕度、焦点位置変動量、集光径変動、ズームレンズ系の温度変化、ノズル種類、ノズルの径、芯だしの作業ばらつきの許容値、切断ワークとノズルとの距離検出ばらつきなどを第2情報記憶部12に格納しておく。また、熟練の作業者が把握している上記情報をテーブルに追加してもよい。そして、裕度確認部11が、テーブルを参照して、候補条件に対応する各制御パラメータに要求される基準値を求めてもよい。例えば、加工ガス圧の許容加工裕度は、制御パラメータの1つである加工ガス圧に関して基準値となる加工裕度として直接用いることができる。制御パラメータに関して基準値として直接用いることができない項目については、あらかじめ変換規則などを定めておき、裕度確認部11が、変換規則を用いて制御パラメータに関する基準値を算出する。
また、熱レンズなどのレーザ加工機101の部品へのレーザ照射時間に依存して良加工領域が変化する場合もある。したがって、レーザ照射時間が、第2情報記憶部12に格納されている情報を算出した場合と確認加工とで同一となるように、一定時間以上ビームを照射した後に、確認加工を実施してもよい。例えば、裕度確認部11が、候補条件生成部10から候補条件を受け取ると、レーザ光を10分以上照射してから、確認加工を実施するようにしてもよい。
図3の説明に戻り、ステップS9の後、レーザ加工システム100は、確認加工を終了するか否かを判断し(ステップS10)、確認加工を終了する場合(ステップS10 Yes)、最適加工条件を決定し(ステップS11)、加工条件探索処理を終了する。最適加工条件は、生産のための加工である通常加工で用いられる。詳細には、ステップS10では、裕度確認部11が、確認加工を実施すべき全ての加工条件の加工を行い、かつ確認加工において加工判定部5による判定結果が全て良加工であったか否かを判断する。なお、裕度確認部11は、加工判定部5による判定結果が評価値である場合、評価値が所望の値以上である場合に良加工であると判断する。確認加工を実施すべき全ての加工条件の加工とは、候補条件の制御パラメータのうち、変化させるべき全ての制御パラメータに関してそれぞれ増加させる方向と減少させる方向で変化させた加工条件の加工である。例えば、上述したパラメータAとパラメータBをそれぞれ増加させる方向と減少させる方向とで変化させる場合には合計4つの加工条件で加工が行われることになるので、これら4つの加工条件が、確認加工を実施すべき全ての加工条件の加工となる。ステップS11では、裕度確認部11は、候補条件を最適加工条件と決定する。
なお、裕度確認部11は、加工判定部5の判定結果に基づいて、確認加工における加工条件のパラメータ値を補正し、補正後の候補条件を用いて再度確認加工を行ってもよい。すなわち、裕度確認部11は、候補条件が定められた基準を満たす加工裕度を有していない場合、候補条件の制御パラメータのうち少なくとも一部の値を変更し、変更後の候補条件に基づいて、再度、確認加工を実施してもよい。裕度確認部11は、例えば、確認加工を実施すべき全ての加工条件の加工を行い、かつ確認加工において加工判定部5による判定結果のうち一部が不良であった場合、例えば、条件探索部6により得られた良加工領域に基づいて、対応する制御パラメータのパラメータ値を、補正可能か否かを判断する。例えば、候補条件に関して、パラメータAを減少させる側の良加工領域と不良加工領域との境界までの距離である加工裕度が基準値よりX大きく、パラメータAを増加させる側の加工裕度が基準値よりY小さかったとする。なお、XがYより大きいとする。この場合、パラメータAを増加させる側に変化させた確認加工で不良加工という結果となるが、裕度確認部11は、候補条件にパラメータAをY減少させる補正を行い、補正後の候補条件を基に、再度確認加工を実施してもよい。
また、加工判定部5による判定結果が評価値である場合に、裕度確認部11は、良加工と判定するための評価値の閾値より、候補条件に対応する評価値がどの程度マージンがあるか、すなわち、候補条件に対応する評価値と良加工と判定するための評価値の閾値との差を、表示部13に表示してもよい。
ステップS10で確認加工を終了しないと判断した場合(ステップS10 No)、レーザ加工システム100は、再度、ステップS1からの処理を繰り返す。このとき、同じ加工条件で試し加工を繰り返しても、同じ結果となる可能性があるため、ステップS1では、前回までの試し加工で設定していない加工条件を初期値として選択して生成する。
以上のように、裕度確認部11は、候補条件が定められた基準を満たす加工裕度を有する場合、候補条件を最適加工条件と決定する。一方、裕度確認部11は、候補条件が定められた基準を満たす加工裕度を有していない場合、試し加工条件生成部9へ加工条件の生成を指示する。裕度確認部11から試し加工条件生成部9へ、加工条件の生成が指示されると、再度、試し加工条件生成部9、加工判定部5、候補条件生成部10および裕度確認部11の処理が実施される。
上述した図8では、確認加工が行われた点を三角印で示している。黒丸は、候補条件を示している。図8では、黒丸が示す候補条件に関して、パラメータAとパラメータBの両方をそれぞれ上下に変化させた4点の確認加工が行われている。これらの確認加工を行った結果が良加工であれば、黒丸の候補条件は、加工裕度が閾値以上確保できるため、最適な加工条件となる。
次に、本実施の形態の表示部13への表示方法の例について説明する。図9および図10は、本実施の形態の表示部13により表示される表示画面の一例を示す図である。図9は、試し加工時に表示される画面を示している。図10は、確認加工時に表示される画面を示している。これらの表示画面には、ユーザからの入力を受け付ける入力欄およびボタンも表示されている。ユーザは、図9および図10に表示された画面を確認して、入力欄およびボタンを操作する。
図9に示した例では、「1.現在の加工情報」として、加工対象物16の材質および板厚と加工方法とが表示されている。また、図9には、「1.現在の加工情報」の右側に初期探索の回数と推定探索の回数とをそれぞれ受け付けるための入力欄が表示されている。このように、表示部13は、試し加工の回数の入力を受け付けるための表示領域を表示可能であってもよい。これらの入力欄には、デフォルト値または前回の設定値が表示され、ユーザが変更したいときに入力欄の数字を変更するようにしてもよい。入力欄に入力された数値は、入力部14によって受け付けられ、入力部14から対応する各部へ入力される。初期探索の回数と推定探索の回数との入力は、試し加工条件生成部9および候補条件生成部10へ入力される。
図9に示した例では、「2.次の探索条件」として、次の試し加工の加工条件が表示されている。また、図9に示した例では、「2.次の探索条件」の右側に試し加工に進んでもよいかの入力を受け付けるボタンが表示されている。Yesのボタンが押下された場合に、試し加工が行われ、Noのボタンが押下された場合には、例えば、試し加工を行う加工条件の別の候補が表示される。このようにして、試し加工を行う加工条件をユーザの要求に応じて変更できるようにしてもよい。
図9に示した例では、「3.加工結果入力」として、試し加工による評価結果を表示するとともに評価結果を修正するため入力欄が設けられている。「2.次の探索条件」でYesのボタンが押下されると表示された加工条件で試し加工が行われ、加工スコアの欄に加工判定部5による判定結果が表示される。ここでは、加工判定部5による判定結果が評価値で算出されるとし、この評価値をスコアとして示している。ユーザは、この値を変更したいときに、入力欄の数値を変更する。入力欄に入力された数値は、入力部14によって受け付けられ、入力部14から加工判定部5へ入力される。加工判定部5は、評価値であるスコアが修正されると修正を反映した評価値を、第1情報記憶部7へ格納するとともに条件探索部6へ出力する。なお、加工判定部5が加工不良モードを判定している場合には、加工不良モードが表示されてもよい。
図9に示した例では、「4.候補条件」として、候補条件が表示される。候補条件は、試し加工が終了したときに表示される。「4.候補条件」の右側に確認加工に進んでもよいかの入力を受け付けるボタンが表示されている。Yesのボタンが押下された場合に、確認加工が行われ、Noのボタンが押下された場合には、試し加工が継続されるかまたは加工条件探索処理が中止されてもよい。
図10に示した画面は、確認加工に進んだ後に表示される。図10に示した例では、「5.確認加工」として、加工対象物16の材質および板厚と加工方法とが表示されている。図10に示した例では、「6.裕度確認項目の有効状況」として、出力裕度確認、速度裕度確認、焦点裕度確認の3つの加工裕度をそれぞれ確認するか否かを設定するためのボタンが表示されている。出力裕度確認は、制御パラメータの1つであるレーザ光の出力に関する加工裕度の確認を意味し、速度裕度確認は、制御パラメータの1つであるレーザ光の出力に関する加工裕度の確認を意味し、焦点裕度確認は、制御パラメータの1つである焦点位置に関する加工裕度の確認を意味する。各項目に対応する有効ボタンが押下された場合には、確認加工において対応する制御パラメータの加工裕度の確認が行われる。各項目に対応する無効ボタンが押下された場合には、確認加工において対応する制御パラメータの加工裕度の確認は行われない。このように、表示部13は、確認加工において加工裕度の確認の対象となる制御パラメータの指定を受けるための表示領域を表示可能であってもよい。
図10に示した例では、「7.確認加工を実施しますか?」という文字の下に、候補条件が表示されている。また、図10に示した例では、「7.確認加工を実施しますか?」の右側には、確認加工を実施するか否かの入力を受け付けるためのボタンが表示されている。さらに、候補条件の右側には、加工裕度の確認対象となる制御パラメータを各軸にとり、候補条件の位置が黒丸で示され、次に行う確認加工の加工条件が三角印で示され、試し加工で推定された良加工領域と不良加工領域との境界が破線で示されている。このように、候補条件、確認加工が行われる加工条件などを制御パラメータの空間における点として表示可能であってもよい。これにより、どのような加工条件で確認加工が行われるかをユーザが把握しやすくなる。
図10に示した「8.確認加工が終了しました。」という文字は、確認加工が終了すると表示される。「8.確認加工が終了しました。」の下には、最適加工条件が表示される。図9および図10に示した例では、制御パラメータとして、レーザ加工機101における加工速度、焦点位置および加工ガス圧のうち少なくとも1つを含む。そして、裕度確認部11は、加工速度、焦点位置および加工ガス圧のうち少なくとも1つに関して加工裕度を確認するための確認加工を実施する。なお、図9および図10は、表示画面の一例であり、表示される項目、配置、入力の受け付け方法などは、図9および図10に示した例に限定されない。
次に、上記に述べた加工不良モードの具体例を説明する。レーザ加工機101において生じる加工不良モードの例として、荒れ、キズ、酸化膜剥れ、ドロスを挙げることができる。図11は、荒れが発生した場合の本実施の形態のレーザ加工機101により切断された加工対象物16の切断面の一例を示す図である。図11の部分31で示した部分が荒れの特徴的な部分である。図11に示すように、切断面の上部に周期的に荒れが発生している。荒れが発生すると、荒れが発生していない場合に比べ、条痕の凹凸の深さが深くなる。荒れの発生の有無を判断する基準として、例えば、切断面の面粗度が一定の値以上であるか否かを用いることができる。
図12は、キズが発生した場合の本実施の形態のレーザ加工機101により切断された加工対象物16の切断面の一例を示す図である。部分32に示すように、キズは、切断面において局所的に上面から下面にかけて発生する。したがって、キズの発生の有無は、例えば、切断面を撮影した画像の画素の明度の差などに基づいてキズの有無を判定することができる。
図13は、酸化膜剥れが発生した場合の本実施の形態のレーザ加工機101により切断された加工対象物16の切断面の一例を示す図である。部分33で示す部分が酸化膜剥れの特徴的な部分である。酸化膜剥れは、切断に用いる加工ガスが酸素である場合に生じ、切断面に生じている酸化膜が剥れてしまう症状であり、切断面の下部に発生する。したがって、酸化膜剥れの有無は、例えば、切断面を撮影した画像の切断面の下部のおける画素の明度の差などに基づいて酸化膜剥れの有無を判定することができる。
図14は、ドロスが発生した場合の本実施の形態のレーザ加工機101により切断された加工対象物16の切断面の一例を示す図である。部分34で示す部分がドロスの特徴的な部分である。ドロスは、切断中に溶融した金属等が切断面に付着する症状であり、切断面の下端から発生する。したがって、酸化膜剥れの有無は、例えば、切断面を撮影した画像の切断面の最下部における画素の明度の差などに基づいてドロスの有無を判定することができる。なお、各加工不良モードの判定方法は上述した例に限定されない。
また、上記説明した加工不良モード以外の加工不良モードを、加工判定部5が判定するようにしてもよい。上記説明した加工不良モード以外の加工不良モードとしては、加工ガスの純度による切断面の変色の発生、加工機本体の機械振動による振動面の有無、レーザが貫通せず溶融物が加工表面に吹き上がるガウジングなどが例示される。加工ガスの種類によって、発生する加工不良が異なる場合もある。例えば、加工ガスの種類が酸素である酸素切断である場合は、切断面に酸化膜が発生するため、加工不良モードに酸化膜剥れが存在する。しかし、加工ガスの種類が窒素である窒素切断である場合は、切断面に酸化膜が発生することがないため、加工不良モードに酸化膜剥れを含まなくてよい。
以上述べたように、本実施の形態では、レーザ加工システム100は、試し加工を行い、試し加工により得られた加工結果を用いて、良加工領域を推定するとともに、最適加工条件の候補である候補条件を求める。そして、レーザ加工システム100は、確認加工を行って候補条件の加工裕度が基準値以上であるかを確認し、加工裕度が基準値以上の場合に候補条件を最適加工条件として決定することにした。このため、本実施の形態のレーザ加工システム100は、ロバスト性のある加工条件であるか否かを確認することができる。
実施の形態2.
図15は、本発明の実施の形態2にかかるレーザ加工システム100aの構成例を示す図である。図15に示すように、レーザ加工システム100aは、実施の形態と同様のレーザ加工機101と、制御部102aとを備える。以下、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略し、実施の形態1と異なる部分を主に説明する。
制御部102aは、第2情報記憶部12のかわりに、通信部40を備える以外は、実施の形態1の制御部102と同様である。通信部40は、データ処理装置41との間で通信を行う。
データ処理装置41は、リモート診断サービスにより収集された情報を送信可能な装置である。データ処理装置41は、例えば、クラウドサーバにより実現され、レーザ加工システムに関するリモート診断機能であるリモート診断サービスを提供する装置である。または、データ処理装置41は、リモート診断サービスを提供する別の装置から、リモート診断サービスで得られる情報を収集する装置であってもよい。データ処理装置41は、リモート診断サービスにより収集された情報を収集するデータ収集部42と、第2情報記憶部12aと、通信部43とを備える。データ収集部42は、収集した情報を第2情報記憶部12aに格納する。リモート診断機能であるリモート診断サービスにより得られる情報、すなわちリモート診断サービスにより収集された情報は、本実施の形態のレーザ加工システム100a以外の他のレーザ加工システムにおいて発生した加工不良時のレーザ加工システムの状態を示す情報である。
一般に、リモート診断サービスでは、加工不良の要因を診断するため、加工不良が発生する前後のレーザ加工システムの稼働状況、設定した加工条件に関する情報、などをリアルタイムに収集する。リモート診断サービスにより得られる情報は、例えば、レーザ加工システムの稼働状況、管理情報、消費情報、アラーム発生状況などである。アラームは、レーザ加工システムにおいて加工不良が発生したことを示す。レーザ加工システムの稼働状況は、例えば、運転時間、加工プログラムの内容を示す情報、実加工時間、材質および板厚の情報、加工残時間、稼働実績、概略コストである。管理情報は、例えば、電源入り時間、ビームON時間である。消費情報は、例えば、加工レンズの使用時間、加工ヘッド保護用の光学ガラスの消費時間、トータル加工時間、ノズル使用時間、加工ガス消費量、加工材料毎の加工時間である。また、リモート診断サービスにより得られる情報に、アラームの発生履歴が含まれていてもよい。また、第2情報記憶部12aには、実施の形態1の第2情報記憶部12が記憶している情報と同様の情報、すなわち加工条件の設計情報、過去の開発で得られた加工裕度に関する情報などが記憶されている。本実施の形態では、これらの情報を用いて確認加工を行うことにより、確認加工における加工条件の設定を効率的にかつ適正に実施する。
本実施の形態の動作について説明する。試し加工の動作は実施の形態1と同様である。確認加工を開始すると、裕度確認部11は、通信部40および通信部43を介して、第2情報記憶部12aから取得した情報に基づいて、確認加工における加工条件を生成する。具体的には、第2情報記憶部12aから取得した情報に基づいて、アラームが発生した加工条件を避けるように確認加工の加工条件を生成する。例えばレーザ発振器1に関するアラームが、直前に、現在より一定時間前以降に、発生していた場合、レーザ出力または周波数を変更してもよい。また、稼動状況、消費情報が類似するレーザ加工システムに関してアラームが発生している場合に、このアラームの発生時に設定されていた加工条件を避けて確認加工を行うようにしてもよい。これにより、本実施の形態のレーザ加工システム100aは、確認加工をより正確かつ短時間で終わらせることができる。以上述べた以外の本実施の形態の動作は実施の形態1と同様である。なお、実施の形態1と同様に、制御部102a内に第2情報記憶部12を設け、裕度確認部11は、第2情報記憶部12に格納された情報と、通信部40および通信部43を介して、第2情報記憶部12aから取得した情報との両方を用いて、確認加工の加工条件を生成してもよい。第2情報記憶部12に格納された情報と、通信部40および通信部43を介して、第2情報記憶部12aから取得した情報とのどちらを用いるかをユーザが選択するようにしてもよい。
また、裕度確認部11は、教師なし学習によって、裕度確認項目を学習してもよい。教師なし学習とは、入力データのみを大量に機械学習装置に与えることで、入力データがどのような分布をしているか学習し、対応する教師出力データを与えなくても、入力データに対して圧縮、分類、整形等を行うための学習方法である。教師なし学習を用いて、入力データに第2情報記憶部12aが記憶している様々な項目のデータで構成されるデータセットを用いることで、特徴の似た者どうしにクラスタリングすること等ができる。この結果を使って、何らかの基準を設けてそれを最適にするような出力の割り当てを行うことで、出力の予測を実現することができる。出力は、例えば、加工裕度を調整すべき制御パラメータと確保すべき加工裕度である。例えば、裕度確認部11には、機械学習モデルが実装され、機械学習モデルに、リモート診断サービスから取得した情報(以下、取得情報と呼ぶ)と加工裕度の調整が行われた制御パラメータとが入力される。そして、機械学習モデルが、入力データのクラスタリングを行うことにより、同一クラスタに属する取得情報と調整すべき制御パラメータとが関連付けられる。このような学習を行った後に、裕度確認部11は、取得情報に含まれる情報の内容に応じて、調整すべき制御パラメータを選択することができ、調整すべき制御パラメータを優先して調整するように加工条件を生成する。例えば、加工裕度を確認する時点での加工ガス消費量および実加工時間の値がそれぞれの基準値からはずれており、これらの値があるクラスタに属する場合、同一クラスタに分類されている制御パラメータである加工速度、加工ガスなどが調整対象の制御パラメータとして選択される。また、裕度確認部11は、調整すべき制御パラメータを表示部13に表示させてもよい。確保すべき加工裕度についても、制御パラメータと同様に、機械学習モデルを用いて、取得情報と対応付けることができる。また、教師なし学習と教師あり学習の中間的な問題設定として、半教師あり学習と呼ばれるものもあり、これは一部のみ入力と出力のデータの組が存在し、それ以外は入力のみのデータである場合がこれに当たる。半教師あり学習を用いて、クラスタリングを行ってもよい。
以上のように、本実施の形態では、リモート診断サービスにより得られる情報に基づいて確認加工を実施するようにした。このため、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、より短時間で適切に確認加工を実施することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 レーザ発振器、2 加工ヘッド、3 駆動装置、4 記録部、5 加工判定部、6 条件探索部、7 第1情報記憶部、8 条件生成部、9 試し加工条件生成部、10 候補条件生成部、11 裕度確認部、12,12a 第2情報記憶部、13 表示部、14 入力部、15 検出部、16 加工対象物、18 光路、100,100a レーザ加工システム、101 レーザ加工機、102,102a 制御部。

Claims (15)

  1. レーザ加工機と、
    前記レーザ加工機の加工状態を検出する検出部と、
    前記レーザ加工機に設定可能な1つ以上の制御パラメータで構成される加工条件を生成する加工条件生成部と、
    前記検出部により検出された前記加工状態に基づいて、加工の品質を判定する加工判定部と、
    前記加工判定部による判定結果と前記判定結果に対応する加工条件とに基づいて、前記レーザ加工機に設定する加工条件の候補である候補条件を生成する候補条件生成部と、
    前記候補条件を用いて、前記候補条件のロバスト性を示す加工裕度を確認するための確認加工を行う裕度確認部と、
    を備えることを特徴とするレーザ加工システム。
  2. 前記判定結果と前記判定結果に対応する加工条件とに基づいて、制御パラメータの空間における、加工の品質が良となると推定される領域である良判定領域を推定する条件探索部、
    を備え、
    前記候補条件生成部は、前記良判定領域に基づいて前記候補条件を生成することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工システム。
  3. 前記加工条件生成部は、前記加工条件を、過去に加工が行われた加工条件のなかから選択することにより生成することを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工システム。
  4. 前記加工条件生成部は、複数の前記加工条件を生成し、前記加工判定部は、複数の前記加工条件のそれぞれの加工の品質を判定し、前記条件探索部は、複数の前記加工条件に基づいて前記良判定領域を推定することを特徴とする請求項2または3に記載のレーザ加工システム。
  5. 前記加工条件生成部は、複数の前記加工条件を生成し、前記加工判定部は、複数の前記加工条件のそれぞれの加工の品質を判定し、前記候補条件生成部は、複数の前記加工条件と対応する前記判定結果とに基づいて前記候補条件を生成することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工システム。
  6. 前記裕度確認部は、前記候補条件が定められた基準を満たす加工裕度を有する場合、前記候補条件を最適加工条件と決定し、前記候補条件が定められた基準を満たす加工裕度を有していない場合、前記加工条件生成部へ加工条件の生成を指示し、
    前記裕度確認部から前記加工条件生成部へ、加工条件の生成が指示されると、再度、前記加工条件生成部、前記加工判定部、前記候補条件生成部および前記裕度確認部の処理を実施することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載のレーザ加工システム。
  7. 前記裕度確認部は、前記候補条件が定められた基準を満たす加工裕度を有する場合、前記候補条件を最適加工条件と決定し、前記候補条件が定められた基準を満たす加工裕度を有していない場合、前記候補条件の制御パラメータのうち少なくとも一部の値を変更し、変更後の前記候補条件に基づいて、再度、確認加工を実施することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載のレーザ加工システム。
  8. リモート診断サービスにより収集された情報を送信可能なデータ収集装置から、前記収集された情報を受信する通信部、
    を備え、
    前記収集された情報は、他のレーザ加工システムにおいて発生した加工不良時の前記レーザ加工システムの状態を示す情報であり、
    前記裕度確認部は、前記通信部が受信した前記収集された情報を用いて前記確認加工における加工条件を生成することを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載のレーザ加工システム。
  9. 前記候補条件は、前記制御パラメータとして、前記レーザ加工機における加工速度、焦点位置および加工ガス圧のうち少なくとも1つを含み、
    前記裕度確認部は、前記加工速度、焦点位置および加工ガス圧のうち少なくとも1つに関して加工裕度を確認するための確認加工を実施することを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載のレーザ加工システム。
  10. 前記加工判定部は、加工不良の種類を示す加工不良モードを判定し、
    前記加工条件生成部は、前記加工不良モードに対応する制御パラメータを優先して変化させるように加工条件を生成することを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載のレーザ加工システム。
  11. 前記候補条件を求めるために実施する加工である試し加工の回数の入力を受け付けるための表示領域を表示可能な表示部、
    を備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載のレーザ加工システム。
  12. 前記表示部は、確認加工において前記加工裕度の確認の対象となる前記制御パラメータの指定を受けるための表示領域を表示可能であることを特徴とする請求項11に記載のレーザ加工システム。
  13. 前記表示部は、確認加工が行われる加工条件を前記制御パラメータの空間での点として表示可能であることを特徴とする請求項11または12に記載のレーザ加工システム。
  14. レーザ加工機に設定可能な1つ以上の制御パラメータで構成される加工条件を生成する加工条件生成部と、
    前記レーザ加工機の加工状態の検出結果に基づいて、加工の品質を判定する加工判定部と、
    前記加工判定部による判定結果と前記判定結果に対応する加工条件とに基づいて、前記レーザ加工機に設定する加工条件の候補である候補条件を生成する候補条件生成部と、
    前記候補条件を用いて、前記候補条件のロバスト性を示す加工裕度を確認するための確認加工を行う裕度確認部と、
    を備えることを特徴とする加工条件探索装置。
  15. 加工条件探索装置が、
    レーザ加工機に設定可能な1つ以上の制御パラメータで構成される加工条件を生成する加工条件生成ステップと、
    前記レーザ加工機の加工状態の検出結果に基づいて、加工の品質を判定する加工判定ステップと、
    前記加工判定ステップによる判定結果と前記判定結果に対応する加工条件とに基づいて、前記レーザ加工機に設定する加工条件の候補である候補条件を生成する候補条件生成ステップと、
    前記候補条件を用いて、前記候補条件のロバスト性を示す加工裕度を確認するための確認加工を行う裕度確認ステップと、
    を含むことを特徴とする加工条件探索方法。
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