JP7126411B2 - 熱媒体加熱装置及び車両用空調装置 - Google Patents

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Description

本発明は、熱媒体加熱装置及び車両用空調装置に関する。
従来の車両用空調装置を構成する熱媒体加熱装置には、PTC(Positive Temperature Coefficient)素子を発熱要素とするPTCヒータを備えたものがある。
特許文献1には、PTCヒータと、PTCヒータの両面に密着し、それぞれ、内部に熱媒体流通経路が形成された第1、第2の熱媒体流通ボックスと、を備えた熱媒体加熱装置が開示されている。このような構成の熱媒体加熱装置では、第1の熱媒体流通ボックスは、基板収容ボックスと、上部熱媒体流通ボックスとを備えている。第2の熱媒体流通ボックスは、下部熱媒体流通ボックスと、蓋とを備えている。PTCヒータは、上部熱媒体流通ボックスの下面と下部熱媒体流通ボックスの上面とに密着している。上部熱媒体流通ボックスの上面には、複数のフィンが形成されている。上部熱媒体流通ボックスと基板収容ボックスとの間に、熱媒体流通経路が形成されている。また、下部熱媒体流通ボックスの下面には、複数のフィンが形成されている。下部熱媒体流通ボックスと蓋との間に、熱媒体流通経路が形成されている。熱媒体流通経路は、複数のフィンによって区画される複数の流通路を有している。第1、第2の熱媒体流通ボックス内の熱媒体流通経路を流通する熱媒体は、PTCヒータからの放熱により加熱される。このような構成において、上部熱媒体流通ボックスと基板収容ボックス、下部熱媒体流通ボックスと蓋とは、それぞれ液状ガスケットによって接合されている。
特開2014-129090号公報
ところで、上部熱媒体流通ボックスと基板収容ボックスとの間の液状ガスケットや、下部熱媒体流通ボックスと蓋との間の液状ガスケットが、熱媒体が流れる熱媒体流路である複数の熱媒体流通経路の中の最も最も外側の熱媒体流通路内にはみ出す場合がある。液状ガスケットが熱媒体流路内にはみ出すことで、外側に形成された熱媒体流路だけ流路断面積が狭められてしまう。熱媒体流路が狭められると熱媒体の流れが阻害され、流通可能な熱媒体の量が低下する。その結果、外側に形成された熱媒体流路を流通する熱媒体は、内側に形成された熱媒体流路を流通する熱媒体に比べて、PTCヒータによって急速に加熱されてしまう可能性がある。このような状態となると、内側と外側とで、加熱される熱媒体の温度に偏りが生じてしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、熱媒体の温度の偏りを抑えることが可能な熱媒体加熱装置及び車両用空調装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明の第一態様に係る熱媒体加熱装置は、熱媒体が流れる熱媒体流路が内部に形成されたケーシングと、前記ケーシング内に配置され、前記熱媒体を加熱するPTCヒータと、を備え、前記ケーシングは、前記熱媒体流路の一部を形成する流路溝が複数形成された流路形成部材と、前記流路形成部材とともに前記熱媒体流路を形成するように前記流路溝に対向して設けられ、前記流路形成部材の外周部に液状ガスケットを介して接合される対向部材と、を有し、複数の前記流路溝は、前記熱媒体流路の延びる方向と直交する幅方向に間隔を空けて形成され、複数の前記流路溝の中で最も前記幅方向の外側に位置する外側流路溝は、前記外側流路溝よりも前記幅方向の内側に位置する他の前記流路溝よりも流路深さが浅く、前記流路溝の流路幅をW、前記流路深さをdとした場合に、前記外側流路溝は、前記他の前記流路溝よりも、W/dの値が大きく、前記外側流路溝の流路断面積は、他の前記流路溝の前記流路断面積以上の大きさである。
このような構成とすることで、液状ガスケットが外側流路溝内にはみ出しても、外側流路溝内に熱媒体の流通するために十分な空間を確保することができる。その結果、外側流路溝が形成する熱媒体流路における熱媒体の流れが阻害されるのを抑えることができる。そのため、外側流路溝における熱媒体の流量の減少に伴う熱媒体の沸騰等の急激な温度上昇が抑えられる。これにより、熱媒体流路では、外側流路溝内を流れる熱媒体と、他の流路溝内を流れる熱媒体とを同等の条件で加熱することができる。
また、本発明の第二態様に係る熱媒体加熱装置では、第一態様において、前記外側流路溝は、複数の前記流路溝の中で最も前記流路幅が大きくてもよい。
このような構成とすることで、流離深さを大きくできなくとも、熱媒体の流通するために十分な空間を確実に確保することができる。
また、本発明の第三態様に係る熱媒体加熱装置では、第一態様又は第二態様において、前記流路形成部材と前記対向部材との接合部は、前記流路形成部材の外周部に形成された第一シール面と、前記対向部材に形成され、前記第一シール面に対向する第二シール面と、前記第一シール面及び前記第二シール面の一方に連続して形成され、前記外側流路溝に近づくにしたがって、前記第一シール面及び前記第二シール面の他方から離れるように延びる離間面と、を有し、前記外側流路溝の前記流路断面積は、他の前記流路溝の前記流路断面積に対して、前記離間面と、前記第一シール面及び前記第二シール面の他方との間に形成される空隙部の断面積以上大きく形成されていてもよい。
このような構成とすることで、離間面と第一シール面及び第二シール面の他方との間の空隙部に充填されていた液状ガスケットが、幅方向において最も外側に位置する流路溝に全量はみ出したとしても、熱媒体の流れが阻害されるのを抑えることができる。
また、本発明の第四態様に係る車両用空調装置は、第一態様から第三態様のいずれか一つの熱媒体加熱装置と、外気または車室内の空気に流れを生じさせるブロアと、前記ブロアの下流側に設けられ、前記外気または前記空気を冷却する冷却器と、前記冷却器の下流側に設けられ、前記熱媒体加熱装置により加熱された前記熱媒体によって前記外気または前記空気を加熱する放熱器と、を備える。
本発明によれば、加熱された熱媒体の温度の偏りを抑えることが可能となる。
本発明の実施形態に係る車両用空調装置の概要構成を示す模式図である。 上記熱媒体加熱装置の外観を示す斜視図である。 上記熱媒体加熱装置の内部構造を示す図であり、図2におけるA-A矢視断面図である。 上記熱媒体加熱装置の内部構造を示す図であり、図3におけるB-B矢視断面図である。 上記熱媒体加熱装置の内部構造を示す図であり、図4の要部拡大断面図である。 上記熱媒体加熱装置内に形成された流路溝を示す平面図である。 上記熱媒体加熱装置内に設けられたPTCヒータを示す平面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明による熱媒体加熱装置及び車両用空調装置の実施形態について説明する。なお、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用空調装置の概要構成を示す模式図である。
図1に示すように、車両用空調装置10は、ハウジング11と、ブロア13と、冷却器15と、放熱器16と、エアミックスダンパ17と、熱媒体循環回路19と、を備えている。車両用空調装置10は、例えば、ハイブリッド車両や電動車両等に適用可能な空調装置である。
ハウジング11は、取込口11Aと、吐出口11Bと、流路11Cと、を有している。取込口11Aは、ハウジング11の一方の端部に設けられている。取込口11Aは、外気または車室内の空気(以下、単に「空気」という)をハウジング11に取り込む。吐出口11Bは、ハウジング11の他方の端部に設けられている。吐出口11Bは、ハウジング11内の空気を吐出する。吐出口11Bは、車室内に設けられた複数の吹き出し口に接続されている。流路11Cは、取込口11Aと吐出口11Bとの間を連通する。流路11Cでは、取込口11Aから取り込まれた空気が、吐出口11Bに向かって流れる。
ブロア13は、流路11C内の取込口11Aに近い位置に設けられている。ブロア13は、取込口11Aから空気を流路11C内に吸い込み、吐出口11B側に向けて圧送する。流路11C内には、ブロア13によって、取込口11A側から吐出口11B側に向かう空気の流れが生じる。
冷却器15は、流路11C内でブロア13の下流側(吐出口11B側)に設けられている。冷却器15は、流路11Cの一部を塞ぐように配置されている。冷却器15は、図示していない圧縮機、凝縮器、及び膨張弁とともに冷媒回路を構成する。冷却器15は、膨張弁で断熱膨張された冷媒を蒸発させることで、冷却器15を通過する空気を冷却する。
放熱器16は、流路11C内で冷却器15の下流側に設けられている。放熱器16は、冷却器15で冷却された空気と、後述する熱媒体循環回路19から供給される熱媒体とを熱交換させることで空気を加熱する。放熱器16は、導入口16A及び導出口16Bを有する。導入口16A及び導出口16Bは、熱媒体循環回路19に接続されている。導入口16Aには、熱媒体循環回路19から熱媒体が導入される。放熱器16内を通過した熱媒体は、導出口16Bから熱媒体循環回路19に導出される。
エアミックスダンパ17は、流路11C内で放熱器16と並列に設けられている。エアミックスダンパ17は、放熱器16をバイパスして流れる空気の量を調整する。エアミックスダンパ17を経た空気は、放熱器16及びエアミックスダンパ17の下流側で、放熱器16を通過した空気と混合される。エアミックスダンパ17は、放熱器16を通過した空気と、放熱器16をバイパスして流れる空気との混合空気の温度を調節する。
熱媒体循環回路19は、循環ライン21と、タンク23と、ポンプ24と、熱媒体加熱装置25と、を備えている。循環ライン21は、ハウジング11の外側に配置されている。循環ライン21は、放熱器16の導入口16A及び導出口16Bと、タンク23と、ポンプ24と、熱媒体加熱装置25と、を接続する。循環ライン21は、放熱器16と、タンク23と、ポンプ24と、熱媒体加熱装置25との間で、熱媒体を循環させる。
ハイブリッド車両に車両用空調装置10を適用する場合、上記熱媒体としては、例えば、ハイブリッド車両のエンジン冷却水が用いられる。また、エンジンを備えない電動車両に車両用空調装置10を適用する場合、上記熱媒体としては、例えば、冷凍機用のブライン等として用いられる、塩化カルシウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液、エチレングリコール水溶液等が用いられる。
タンク23は、循環ライン21において放熱器16の下流側(導出口16B側)に設けられている。タンク23内には、熱媒体が貯留される。
ポンプ24は、循環ライン21において、タンク23の下流側に設けられている。ポンプ24は、タンク23内の熱媒体を熱媒体加熱装置25に供給する。
熱媒体加熱装置25は、循環ライン21において、ポンプ24と放熱器16との間に設けられている。熱媒体加熱装置25は、後述するPTCヒータ33で熱媒体を加熱する。
以下、熱媒体加熱装置25の構成について詳細に説明する。
図2は、本実施形態における熱媒体加熱装置の外観を示す斜視図である。図3は、上記熱媒体加熱装置の内部構造を示す図であり、図2におけるA-A矢視断面図である。図4は、上記熱媒体加熱装置の内部構造を示す図であり、図3におけるB-B矢視断面図である。図5は、上記熱媒体加熱装置の内部構造を示す図であり、図4の要部拡大断面図である。図6は、上記熱媒体加熱装置内に形成された流路溝を示す平面図である。図7は、上記熱媒体加熱装置内に設けられたPTCヒータを示す平面図である。
図2に示すように、熱媒体加熱装置25は、全体として略直方体状をなしている。以下の説明において、X方向は熱媒体加熱装置25の長手方向(熱媒体流路の延びる方向)、Y方向はX方向に対して直交する熱媒体加熱装置25の短手方向(幅方向)、Z方向はX-Y平面(X方向及びY方向が通過する仮想平面)に対して直交する熱媒体加熱装置25の厚み方向を示している。図2~図4に示すように、熱媒体加熱装置25は、ケーシング31と、PTCヒータ33(図3、図4参照)と、制御基板37(図3参照)と、を有する。
ケーシング31は、第一ケーシング部41と、第二ケーシング部42と、を有する。
図3、図4に示すように、第一ケーシング部41は、基板収容部材(対向部材)45と、第一流路形成部材(流路形成部材)46と、第一蓋部材47と、を有する。第一蓋部材47、基板収容部材45、及び第一流路形成部材46は、厚み方向Zに積層して設けられている。
基板収容部材45は、第一流路形成部材46とともに、後述する第一熱媒体流路48を形成している。基板収容部材45は、厚み方向Zにおいて第一流路形成部材46と第一蓋部材47との間に設けられている。基板収容部材45は、基板収容空間45Aと、第一流路形成凹部45Bと、熱媒体導入口45Cと、熱媒体導出口45Dと、を有する。
基板収容空間45Aは、基板収容部材45において第一蓋部材47と対向する側に形成されている。基板収容空間45Aは、板状の底板部45eと、底板部45eの外周部から第一蓋部材47側に立ち上がる収容外周壁部45fと、に囲まれて形成されている。底板部45eは、ケーシング31の内部でX-Y平面に沿って広がる部材である。収容外周壁部45fは、ケーシング31の側面の一部を形成する部材である。これにより、基板収容空間45Aは、第一蓋部材47に対向する側から第一流路形成部材46側に窪む凹部として形成されている。
図3に示すように、基板収容空間45A内には制御基板37が収容されている。制御基板37は、後述するPTCヒータ33の動作を制御する。制御基板37は、基板本体66と、電子部品68,69と、を有する。
基板本体66は、基板収容部材45に固定されている。基板本体66は、板状で、基板収容部材45の底板部45eと平行に配置されている。基板本体66は、PTCヒータ33に、接続部(図示無し)を介して電気的に接続されている。
電子部品69は、基板本体66において第一蓋部材47側を向く面66aに実装されている。電子部品68は、基板本体66において底板部45e側を向く面66bに実装されている。電子部品68は、底板部45eに接するように設けられている。電子部品68は、電子部品69よりも発熱しやすい電子部品である。電子部品68としては、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やFET(Field effect transistor:電界効果トランジスタ)等を例示することが可能である。
第一流路形成凹部45Bは、基板収容部材45において第一流路形成部材46側に形成されている。第一流路形成凹部45Bは、底板部45eと、底板部45eの外周部から第一流路形成部材46側に立ち上がる収容外周壁部45iと、に囲まれて形成されている。収容外周壁部45iは、収容外周壁部45fと共に、ケーシング31の側面の一部を形成する部材である。収容外周壁部45iは、収容外周壁部45fと一体に形成されて厚み方向Zに延びている。第一流路形成凹部45Bは、第一流路形成部材46に対向する側から第一蓋部材47側に窪んで形成されている。つまり、第一流路形成凹部45Bは、底板部45eを挟んで基板収容空間45Aに対して厚み方向Zにおける反対側に形成された凹部である。
熱媒体導入口45Cは、ケーシング31の長手方向Xの一方の端部側に設けられている。熱媒体導入口45Cは、熱媒体を循環する循環ライン21(図1参照)と接続される。図4に示すように、熱媒体導入口45Cと第一流路形成凹部45Bとの間には、導入側流路45pが形成されている。導入側流路45pは、熱媒体導入口45Cと第一流路形成凹部45Bとを連通する。熱媒体導入口45Cは、循環ライン21から導入側流路45pを介して第一流路形成凹部45B内に熱媒体を導入する。
図3に示すように、熱媒体導出口45Dは、ケーシング31の長手方向Xの他方の端部側に設けられている。熱媒体導出口45Dは、熱媒体を循環する循環ライン21(図1参照)と接続される。図4に示すように、熱媒体導出口45Dと第一流路形成凹部45Bとの間には、導出側流路45qが形成されている。熱媒体導出口45Dは、第一流路形成凹部45B内の熱媒体を、導出側流路45qを介して循環ライン21に導出させる。
図3、図4に示すように、第一流路形成部材46は、熱媒体が流れる第一熱媒体流路48の一部を形成している。第一流路形成部材46は、第一板状部46Aと、複数の第一フィン46Bと、ヒータ収容凹部46Cと、第一外周壁部46fとを有する。第一外周壁部46fは、第一流路形成部材46の外周部に沿って設けられ、ケーシング31の側面の一部を形成する部材である。第一外周壁部46fは、厚み方向Zに延びている。
第一板状部46Aは、基板収容部材45の底板部45eに対して、厚み方向Zにおいて間隔をあけて設けられている。第一板状部46Aは、底板部45eと平行に、ケーシング31の内部でX-Y平面に沿って広がる部材である。第一板状部46Aの短手方向Yの両端は、第一外周壁部46fと繋がっている。第一板状部46Aの長手方向Xの両端は、第一外周壁部46fに対して間隔を空けるように離れている。第一板状部46Aと基板収容部材45の底板部45eとの間には、第一熱媒体流路(熱媒体流路)48が形成される。第一熱媒体流路48は、第一板状部46Aと、収容外周壁部45iと、底板部45eとによって区画された空間である。第一熱媒体流路48では、熱媒体導入口45Cから第一流路形成凹部45B内に導入された熱媒体が、長手方向Xに沿って熱媒体導出口45D側に向かって流れる。
複数の第一フィン46Bは、第一板状部46Aにおいて、基板収容部材45の底板部45eと対向する側に設けられている。複数の第一フィン46Bは、短手方向Yに間隔をあけて設けられている。各第一フィン46Bは、底板部45eに向かって突出している。各第一フィン46Bは、長手方向Xに延びている。複数の第一フィン46Bは、第一熱媒体流路48内において熱媒体が流れる通路を形成している。
図4~図6に示すように、第一流路形成部材46では、短手方向Yの両側の第一外周壁部46fの間において、複数の第一フィン46Bが短手方向Yに間隔をあけて設けられることで、第一板状部46A上に複数の第一流路溝70Aが形成されている。つまり、第一流路溝70Aは、第一熱媒体流路48の一部を形成している。複数の第一流路溝70Aは、複数の第一フィン46Bに沿って長手方向(熱媒体流路の延びる方向)Xにそれぞれ延びている。複数の第一流路溝70Aは、短手方向(熱媒体流路の延びる方向に直交する幅方向)Yに間隔をあけて設けられている。第一熱媒体流路48内で、熱媒体は、複数の第一流路溝70A内を長手方向Xに流れる。
図5に示すように、複数の第一流路溝70Aの中で短手方向Yにおいて最も外側に位置する第一外側流路溝71は、短手方向Yにおける内側に位置する他の第一内側流路溝72に対し、以下のような差異を有する。なお、短手方向Yの両側の第一外側流路溝71に対して、内側に配置されている第一内側流路溝72は、本実施形態では全て同じ断面形状となるように形成されている。
ここで、流路溝の短手方向Yにおける長さを流路幅W、厚み方向Zにおける長さを流路深さdと称する。本実施形態の第一流路溝70Aにおける流路幅Wは、例えば、最も短手方向Yの間隔が広い位置における長さである。また、本実施形態の第一流路溝70Aにおける流路深さdは、第一流路溝70Aを形成する第一フィン46Bの先端から第一板状部46Aにおける第一フィン46Bが延びている面までの距離である。
第一外側流路溝71は、第一内側流路溝72よりも、流路深さdが小さい。つまり、第一外側流路溝71の流路深さd1は、第一内側流路溝72の流路深さd2未満となる(d1<d2)。したがって、本実施形態の第一外側流路溝71は、全ての第一流路溝70Aの中で最も浅く形成されている。
加えて、第一外側流路溝71は、第一内側流路溝72よりも、流路幅Wが大きい。つまり、第一内側流路溝72の流路幅W2は、第一外側流路溝71の流路幅W1未満となる(W2<W1)。したがって、本実施形態の第一外側流路溝71は、全ての第一流路溝70Aの中で最も幅が広くなるように形成されている。
また、第一外側流路溝71は、他の全ての第一内側流路溝72に対し、流路幅Wと流路深さdとの比W/dの値が大きい。すなわち、第一外側流路溝71の流路幅W1と流路深さd1の比W1/d1の値は、他の全ての第一内側流路溝72の流路幅W2と流路深さd2との比W2/d2の値よりも大きい。
図3に示すように、ヒータ収容凹部46Cは、第一板状部46Aに対して、基板収容部材45とは反対側である第二ケーシング部42側に形成されている。第一板状部46Aの長手方向Xの両端には、第二ケーシング部42側に立ち上がる周壁部46wが形成されている。周壁部46wは、第一外周壁部46fに対して長手方向Xに離れた位置で、第一外周壁部46fに対して平行に延びている。ヒータ収容凹部46Cは、第一板状部46Aと周壁部46wとに囲まれて形成されている。ヒータ収容凹部46Cは、第二ケーシング部42に対向する側から基板収容部材45側に窪む凹部として形成されている。
第一蓋部材47は、複数本のねじ(不図示)で収容外周壁部45fに固定されている。第一蓋部材47は、基板収容空間45Aを閉塞している。第一蓋部材47は、基板収容空間45Aに配置された制御基板37と対向している。
第二ケーシング部42は、第二流路形成部材(流路形成部材)53と、第二蓋部材(対向部材)54と、を有する。第二流路形成部材53及び第二蓋部材54は、厚み方向Zに積層して設けられている。
第二流路形成部材53は、熱媒体が流れる第二熱媒体流路56の一部を形成している。第二流路形成部材53は、第一流路形成部材46に、厚み方向Zに積層して設けられている。第二流路形成部材53は、第二板状部53Aと、第二流路形成凹部53Bと、複数の第二フィン53Cと、第二外周壁部53fとを一体に有する。
第二板状部53Aは、第一板状部46Aに対して、厚み方向Zに所定の間隔をあけて設けられている。第二板状部53Aにおいて、第一板状部46Aに対向する側には、周方向に連続する溝部53mが形成されている。溝部53mには、後述するPTCヒータ33の外周部に設けられる絶縁部材34が収容される。溝部53mは、第二板状部53Aの外周全域に渡って形成されている。
第二板状部53Aと第一板状部46Aとの間には、ヒータ収容凹部46C及び溝部53mにより、PTCヒータ33が収容される収容空間であるヒータ収容部(収容空間)50が形成されている。ヒータ収容部50は、第二板状部53Aと、第二外周壁部53fと、第一板状部46Aと、第一外周壁部46fと周壁部46wとによって囲まれて隔離された空間である。これにより、ヒータ収容部50は、厚み方向Zにおいて、第一熱媒体流路48と第二熱媒体流路56との間に形成されている。
第二流路形成凹部53Bは、第二流路形成部材53において、第一ケーシング部41側とは反対側の第二蓋部材54側に形成されている。第二流路形成凹部53Bは、第二板状部53Aと、第二板状部53Aの外周部から第二蓋部材54側に立ち上がる第二外周壁部53fと、に囲まれて形成されている。第二流路形成凹部53Bは、第二流路形成部材53において第二蓋部材54側から第一ケーシング部41側に窪んで形成された凹部である。
図3、図4に示すように、第二蓋部材54と第二流路形成凹部53Bとの間には、第二熱媒体流路56が形成される。第二熱媒体流路56は、第二板状部53Aと、第二外周壁部53fと、第二蓋部材54とによって区画された空間である。
図4に示すように、複数の第二フィン53Cは、第二熱媒体流路56内に配置されている。複数の第二フィン53Cは、第二板状部53Aにおいて、第二蓋部材54側に設けられている。複数の第二フィン53Cは、短手方向Yに間隔をあけて設けられている。各第二フィン53Cは、第二板状部53Aから第二蓋部材54側に突出して形成されている。各第二フィン53Cは、長手方向Xに延びている。複数の第二フィン53Cは、第二熱媒体流路56内において熱媒体が流れる通路を形成している。
図4に示すように、第二流路形成部材53では、短手方向Yの両側の第二外周壁部53fの間において、複数の第二フィン53Cが短手方向Yに間隔をあけて設けられることで、第二板状部53A上に複数の第二流路溝70Bが形成されている。つまり、第二流路溝70Bは、第二熱媒体流路56の一部を形成している。複数の第二流路溝70Bは、複数の第二フィン53Cに沿って長手方向Xに延びている。複数の第二流路溝70Bは、短手方向Yに間隔をあけて設けられている。第二熱媒体流路56内で、熱媒体は、複数の第二流路溝70B内を長手方向Xに流れる。
図5に示すように、複数の第二流路溝70Bの中で短手方向Yにおいて最も外側に位置する第二外側流路溝76は、短手方向Yにおける内側に位置する他の第二内側流路溝77に対し、以下のような差異を有する。なお、短手方向Yの両側の第二外側流路溝76に対して、内側に配置されている第二内側流路溝77は、本実施形態では全て同じ断面形状となるように形成されている。第二内側流路溝77は、第一内側流路溝72と同じ断面形状とされている。
本実施形態の第二流路溝70Bにおける流路幅Wは、第一流路溝70Aと同様に、例えば、最も短手方向Yの間隔が広い位置における長さである。また、本実施形態の第二流路溝70Bにおける流路深さdは、第二流路溝70Bを形成する第二フィン53Cの先端から第二板状部53Aにおける第二フィン53Cが延びている面までの距離である。
第二外側流路溝76は、第二内側流路溝77よりも、流路深さdが小さい。つまり、第二外側流路溝76の流路深さd3は、第二内側流路溝77の流路深さd4未満となる(d3<d4)。したがって、本実施形態の第二外側流路溝76は、全ての第二流路溝70Bの中で最も浅く形成されている。
加えて、第二外側流路溝76は、第二内側流路溝77よりも、流路幅Wが大きい。つまり、第二内側流路溝77の流路幅W4は、第二外側流路溝76の流路幅W3未満となる(W4<W3)。したがって、本実施形態の第二外側流路溝76は、全ての第二流路溝70Bの中で最も幅が広くなるように形成されている。
また、第二外側流路溝76は、他の全ての第二内側流路溝77に対し、流路幅Wと流路深さdとの比W/dの値が大きい。すなわち、第二外側流路溝76の流路幅W3と流路深さd3の比W3/d3は、他の全ての第二内側流路溝77の流路幅W4と流路深さd4との比W4/d4よりも大きい。
第二蓋部材54は、第二流路形成部材53とともに、第二熱媒体流路56を形成している。第二蓋部材54は、複数本のねじ(不図示)で第二外周壁部53fに固定されている。
図3~図5に示すように、熱媒体加熱装置25は、第一流路形成部材46と基板収容部材45との接合部分として、第一接合部J1を有する。図5に示すように、第一接合部J1は、第一外周壁部46fと収容外周壁部45iとを、液状ガスケット80Aによって接合している。第一接合部J1は、上側第一シール面461と、上側第二シール面451と、上側離間面(離間面)452とを有する。
上側第一シール面461は、第一流路形成部材46に形成されている。具体的には、上側第一シール面461は、厚み方向Zに直交する平面として第一外周壁部46fの先端に形成されている。
上側第二シール面451は、基板収容部材45に形成されている。具体的には、上側第二シール面451は、上側第一シール面461と対向するように、厚み方向Zに直交する平面として収容外周壁部45iの先端に形成されている。
上側離間面452は、基板収容部材45に形成されている。具体的には、上側離間面452は、収容外周壁部45iにおいて、ケーシング31の内周側で上側第二シール面451に連続するように形成されている。上側離間面452は、ケーシング31の内側に向かって上側第一シール面461から漸次離間するよう傾斜している。これにより、第一接合部J1では、第一流路形成部材46と基板収容部材45とを接触させた状態で、上側第一シール面461と上側離間面452との間に、長手方向Xに直交する断面形状が略三角形状の第一空隙部81が形成される。
液状ガスケット80Aは、上側第一シール面461と、上側第二シール面451及び上側離間面452との間に介在するよう設けられる。
さらに、熱媒体加熱装置25は、第二流路形成部材53と第二蓋部材54との接合部分として、第二接合部J2を有する。第二接合部J2は、第二外周壁部53fと第二蓋部材54の外周部とを、液状ガスケット80Bによって接合している。第二接合部J2は、下側第一シール面541と、下側第二シール面531と、下側離間面(離間面)532とを有する。
下側第一シール面541は、第二蓋部材54に形成されている。具体的には、下側第一シール面541は、厚み方向Zに直交する平面として第二外周壁部53fの先端に対向する面に形成されている。下側第一シール面541は、厚み方向Zにおいて第二流路形成部材53側を向く第二蓋部材54の内面の一部である。
下側第二シール面531は、第二流路形成部材53に形成されている。具体的には、下側第二シール面531は、下側第一シール面541と対向するように、厚み方向Zに直交する平面として第二外周壁部53fの先端に形成されている。
下側離間面532は、第二流路形成部材53に形成されている。具体的には、下側離間面532は、第二外周壁部53fにおいて、ケーシング31の内周側で下側第二シール面531に連続するように形成されている。下側離間面532は、ケーシング31の内側に向かって下側第一シール面541から漸次離間するよう傾斜している。これにより、第二接合部J2では、第二流路形成部材53と第二蓋部材54とを接触させた状態で、下側第一シール面541と下側離間面532との間に、長手方向Xに直交する断面形状が略三角形状の第二空隙部82が形成される。
液状ガスケット80Bは、下側第一シール面541と、下側第二シール面531及び下側離間面532との間に介在するよう設けられる。
液状ガスケット80A,80Bとしては、例えば、有機溶剤タイプの液状ガスケット、無溶剤タイプの液状ガスケット、水性タイプの液状ガスケット等を用いることが可能である。有機溶剤タイプの液状ガスケットとしては、例えば、変性アルキッド系、繊維素エステル系、或いは合成ゴム系の液状ガスケットを用いること可能である。無溶剤タイプの液状ガスケットとしては、例えば、フェノール系、変性エステル系、シリコーン系、アクリル系等の液状ガスケットを用いること可能である。水性タイプの液状ガスケットとしては、例えば、水性アクリル系の液状ガスケットを用いること可能である。
また、第一外側流路溝71の流路断面積は、第一内側流路溝72の流路断面積以上の大きさとされている。ここで流路断面積とは、長手方向Xに対して直交する第一流路溝70Aの断面積(例えば、流路深さdと流路幅Wとの積で表される値)である。具体的には、第一外側流路溝71の流路断面積は、第一内側流路溝72の流路断面積と少なくとも同じであればよく、第一内側流路溝72の流路断面積よりも大きいことが好ましい。本実施形態の第一外側流路溝71の流路断面積は、第一内側流路溝72の流路断面積に対して、第一空隙部81の断面積の値以上大きく形成されている。
同様に、第二外側流路溝76の流路断面積は、第二内側流路溝77の流路断面積以上の大きさとされている。具体的には、第二外側流路溝76の流路断面積は、第二内側流路溝77の流路断面積と少なくとも同じであればよく、第二内側流路溝77の流路断面積よりも大きいことが好ましい。本実施形態の第二外側流路溝76の流路断面積は、第二内側流路溝77の流路断面積に対して、第二空隙部82の断面積の値以上大きく形成されている。
図3に示すように、第二熱媒体流路56は、上流連通部43A及び下流連通部43Bを通して、第一熱媒体流路48と連通している。上流連通部43Aは、第一上流連通口51Aと、第二上流連通口55Aとによって形成されている。下流連通部43Bは、第一下流連通口51Bと、第二下流連通口55Bとによって形成されている。
図3に示すように、第一上流連通口51A及び第一下流連通口51Bは、第一板状部46Aの長手方向Xの両端部に形成されている。第一上流連通口51A及び第一下流連通口51Bは、長手方向Xにおける第一板状部46Aと第一外周壁部46fとの間の開口である。第一上流連通口51A及び第一下流連通口51Bは、厚み方向Zから見た際に短手方向Yに長く延びる長穴状をなしている。
第二上流連通口55A及び第二下流連通口55Bは、第二板状部53Aの長手方向Xの両端部に形成されている。第二上流連通口55A及び第二下流連通口55Bは、長手方向Xにおける第二板状部53Aと第二外周壁部53fとの間の開口である。第二上流連通口55A及び第二下流連通口55Bは、厚み方向Zから見た際に、第一上流連通口51A及び第一下流連通口51Bと同じ位置に、同じ形状で形成されている。
これにより、熱媒体導入口45Cから第一熱媒体流路48に導入された熱媒体は、上流連通部43Aを通して第二熱媒体流路56に流れ込む。熱媒体は、第二熱媒体流路56内で、複数の第二フィン53Cに沿って長手方向Xに流れ、下流連通部43Bを通して、第一熱媒体流路48を経て熱媒体導出口45Dに向かって流れる。
PTCヒータ33は、ヒータ収容部50に収容されている。PTCヒータ33の外周部には絶縁部材34が設けられている。絶縁部材34は、溝部53mに嵌り込んでいる。
図3、図4に示すように、PTCヒータ33は、厚み方向Zにおいて、第一熱媒体流路48と第二熱媒体流路56との間に配置されている。PTCヒータ33は、長手方向Xにおいて、上流連通部43Aと下流連通部43Bとの間に配置されている。PTCヒータ33は、複数の第一電極板62と、第二電極板63と、PTC素子61と、を有する。
複数の第一電極板62は、PTC素子61における第一板状部46Aと対向する面側に積層されている。第一電極板62は、第一板状部46Aと平行な板状をなしている。第一電極板62と第一板状部46Aとの間には、絶縁シート(図示無し)が設けられている。
図7に示すように、本実施形態において、複数の第一電極板62は、それぞれ端子62d~62fを有する。端子62d~62fは、第一電極板62の外周部から外方に突出している。端子62d~62fは、制御基板37に電気的に接続されている。
図3に示すように、第二電極板63は、PTC素子61における第二板状部53Aと対向する面側に積層されている。第二電極板63は、第一電極板62と平行な板状をなしている。第二電極板63と第二板状部53Aとの間には、絶縁シート(図示無し)が設けられている。
図7に示すように、本実施形態において、第二電極板63は、端子63dを有する。端子63dは、第二電極板63の外周部から外方に突出している。端子63dは、制御基板37に電気的に接続されている。
図3に示すように、PTC素子61は、第一電極板62と第二電極板63との間に挟み込まれている。PTC素子61は、例えば、矩形の板状である。
PTCヒータ33は、制御基板37の制御により、端子62d~62fを介して第一電極板62に電圧が印加される。第一電極板62に電圧が印加されると、PTC素子61が発熱する。PTC素子61で発生した熱は、第一板状部46A及び第二板状部53Aと、第一フィン46B及び第二フィン53Cとに伝達される。これにより、第一熱媒体流路48及び第二熱媒体流路56を流れる熱媒体が加熱される。また、第一熱媒体流路48を流れる熱媒体は、基板収容部材45の底板部45eを介して、発熱しやすい電子部品68の熱によっても加熱される。このようにして熱媒体加熱装置25で加熱された熱媒体は、熱媒体導出口45Dを介して循環ライン21に排出される。その後、加熱された熱媒体は、放熱器16の導入口16Aを通じて、放熱器16に供給される。
上述したような熱媒体加熱装置25によれば、第一ケーシング部41において、第一外側流路溝71は、第一内側流路溝72よりも、流路深さdが浅い状態で、かつ流路幅W/流路深さdが大きい。さらに、第一外側流路溝71は、第一内側流路溝72と同等以上の流路断面積として形成されている。そのため、上側第一シール面461と上側第二シール面451とを接着している液状ガスケット80Aが第一空隙部81から第一外側流路溝71内にはみ出しても、第一外側流路溝71内に熱媒体の流通するために十分な空間を確保することができる。その結果、第一外側流路溝71が形成する第一熱媒体流路48における熱媒体の流れが阻害されるのを抑えることができる。そのため、第一外側流路溝71における熱媒体の流量の減少に伴う熱媒体の沸騰等の急激な温度上昇が抑えられる。これにより、第一熱媒体流路48では、第一外側流路溝71内を流れる熱媒体と、第一内側流路溝72内を流れる熱媒体とを同等の条件で加熱することができる。
同様に、第二ケーシング部42において、第二外側流路溝76は、第二内側流路溝77よりも、流路深さdが浅い状態で、かつ流路幅W/流路深さdが大きい。さらに、第二外側流路溝76は、第二内側流路溝77と同等以上の流路断面積として形成されている。したがって、第一熱媒体流路48と同様に、第二熱媒体流路56では、第二外側流路溝76内を流れる熱媒体と、第二内側流路溝77内を流れる熱媒体とを同等の条件で加熱することができる。したがって、熱媒体加熱装置25における加熱された熱媒体の温度の偏りを抑えることができる。
また、第一外側流路溝71は、第一内側流路溝72よりも流路深さdが浅い。同様に、第二外側流路溝76は、第二内側流路溝77よりも流路深さdが浅い。換言すると、隣り合う溝(第一外側流路溝71に対する第一内側流路溝72や、第二外側流路溝76に対する第二内側流路溝77)の底部が互いに第一フィン46B及び第二フィン53Cが延びる方向にずれている。これは、第一外側流路溝71及び第二外側流路溝76が形成される領域は、PTCヒータ33の外周部に設けられる絶縁部材34が配置される領域と対応しているためである。具体的には、第一板状部46Aや第二板状部53Aにおける第一熱媒体流路48や第二熱媒体流路56に対して厚み方向Zの反対側の面には、溝部53mのように、絶縁部材34を収容する空間を形成する必要がある。そのため、第一外側流路溝71や第二外側流路溝76のように、幅方向Yの外側に形成される流路溝では、第一内側流路溝72や第二内側流路溝77と同等の流路深さdを確保することができず、浅くなってしまう。ところが、本実施形態では、第一内側流路溝72や第二内側流路溝77に対して第一外側流路溝71や第二外側流路溝76の流路幅W/流路深さdを大きくしつつ、流路断面積を同等以上とすることで、流路深さdが浅くとも、熱媒体の流通するために十分な空間を確保することができる。したがって、はみ出した液状ガスケット80A、80Bによって、第一外側流路溝71や第二外側流路溝76における熱媒体の流れが阻害されるのを抑えることができる。
また、第一外側流路溝71は、第一流路溝70Aの中で流路幅Wが最も大きい。さらに、第二外側流路溝76は、第二流路溝70Bの中で流路幅Wが最も大きい。そのため、流路深さdを大きくできなくとも、熱媒体の流通するために十分な空間を確実に確保することができる。
また、第一外側流路溝71の流路断面積は、第一内側流路溝72の流路断面積よりも、第一空隙部81の断面積の値以上大きくなるように形成されている。同様に、第二外側流路溝76の流路断面積は、第二内側流路溝77の流路断面積よりも、第二空隙部82の断面積の値以上大きくなるように形成されている。そのため、仮に、第一空隙部81や第二空隙部82に充填されていた液状ガスケット80A、80Bが、第一外側流路溝71や第二外側流路溝76内にこぼれるように全量はみ出したとしても、第一外側流路溝71や第二外側流路溝76における熱媒体の流れが阻害されるのを抑えることができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
なお、第一フィン46B及び第二フィン53Cは、本実施形態のように、第一板状部46Aや第二板状部53Aに対して厚み方向に垂直に断面長方形状をなして延びていることに限定されるものではない。第一フィン46B及び第二フィン53Cは、先端に向かって、短手方向Yにおけるフィン厚さが漸次小さくなるような形状で形成されていてもよい。その際、第一フィン46B及び第二フィン53Cには、先端や、第一板状部46Aや第二板状部53A側の基部に角を丸めるようなR形状が形成されていてもよい。
例えば、本明細書において、流路幅Wは、本実施形態のように、短手方向Yの間隔が最も広い位置における長さであることに限定されるものではない。流路幅Wは、第一流路溝70A及び第二流路溝70Bにおいて、厚み方向Zの最上部(第一板状部46Aや第二板状部53Aに対して最も遠い位置)での長さや、厚み方向Zの最下部(第一板状部46Aや第二板状部53Aに対して最も近い位置)の長さや、厚み方向Zの中間位置での長さや、最上部から最下部までの長さの平均値のいずれとしてもよい。さらに、流路幅Wは、厚み方向Zにおける第一フィン46Bや第二フィン53Cの重心位置での、第一流路溝70Aや第二流路溝70Bの長さとすることもできる。
また、本明細書において、流路深さdは、フィンの先端からフィンが延びている面である底面までの距離であることに限定されるものではない。流路深さdは、例えば、流路溝における流路断面積を流路幅Wで割った値である仮想流路深さとしてもよい。
10 車両用空調装置
11 ハウジング
11A 取込口
11B 吐出口
11C 流路
13 ブロア
15 冷却器
16 放熱器
16A 導入口
16B 導出口
17 エアミックスダンパ
19 熱媒体循環回路
21 循環ライン
23 タンク
24 ポンプ
25 熱媒体加熱装置
31 ケーシング
33 PTCヒータ
34 絶縁部材
37 制御基板
41 第一ケーシング部
42 第二ケーシング部
43A 上流連通部
43B 下流連通部
45 基板収容部材(対向部材)
45A 基板収容空間
45B 第一流路形成凹部
45C 熱媒体導入口
45D 熱媒体導出口
45e 底板部
45f、45i 収容外周壁部
45p 導入側流路
45q 導出側流路
46 第一流路形成部材(流路形成部材)
46A 第一板状部
46B 第一フィン
46C ヒータ収容凹部
46f 第一外周壁部
46w 周壁部
47 第一蓋部材
48 第一熱媒体流路
50 ヒータ収容部(収容空間)
51A 第一上流連通口
51B 第一下流連通口
53 第二流路形成部材(流路形成部材)
53A 第二板状部
53B 第二流路形成凹部
53C 第二フィン
53f 第二外周壁部
53m 溝部
54 第二蓋部材(対向部材)
55A 第二上流連通口
55B 第二下流連通口
56 第二熱媒体流路
61 PTC素子
62 第一電極板
62d、62e、62f 端子
63 第二電極板
63d 端子
66 基板本体
66a、66b 面
68、69 電子部品
70A 第一流路溝
70B 第二流路溝
71 第一外側流路溝
76 第二外側流路溝
72 第一内側流路溝
77 第二内側流路溝
80A、80B 液状ガスケット
81 第一空隙部
82 第二空隙部
461 上側第一シール面
541 下側第一シール面
451 上側第二シール面
531 下側第二シール面
452 上側離間面
532 下側離間面
d、d1、d2、d3、d4 流路深さ
W、W1、W2、W3、W4 流路幅
J1 第一接合部
J2 第二接合部
X 長手方向
Y 短手方向(幅方向)
Z 厚み方向

Claims (4)

  1. 熱媒体が流れる熱媒体流路が内部に形成されたケーシングと、
    前記ケーシング内に配置され、前記熱媒体を加熱するPTCヒータと、を備え、
    前記ケーシングは、
    前記熱媒体流路の一部を形成する流路溝が複数形成された流路形成部材と、
    前記流路形成部材とともに前記熱媒体流路を形成するように前記流路溝に対向して設けられ、前記流路形成部材の外周部に液状ガスケットを介して接合される対向部材と、を有し、
    複数の前記流路溝は、前記熱媒体流路の延びる方向と直交する幅方向に間隔を空けて形成され、
    複数の前記流路溝の中で最も前記幅方向の外側に位置する外側流路溝は、前記外側流路溝よりも前記幅方向の内側に位置する他の前記流路溝よりも流路深さが浅く、
    前記流路溝の流路幅をW、前記流路深さをdとした場合に、前記外側流路溝は、前記他の前記流路溝よりも、W/dの値が大きく、
    前記外側流路溝の流路断面積は、他の前記流路溝の前記流路断面積以上の大きさである熱媒体加熱装置。
  2. 前記外側流路溝は、複数の前記流路溝の中で最も前記流路幅が大きい請求項1に記載の熱媒体加熱装置。
  3. 前記流路形成部材と前記対向部材との接合部は、
    前記流路形成部材の外周部に形成された第一シール面と、
    前記対向部材に形成され、前記第一シール面に対向する第二シール面と、
    前記第一シール面及び前記第二シール面の一方に連続して形成され、前記外側流路溝に近づくにしたがって、前記第一シール面及び前記第二シール面の他方から離れるように延びる離間面と、を有し、
    前記外側流路溝の前記流路断面積は、他の前記流路溝の前記流路断面積に対して、前記離間面と、前記第一シール面及び前記第二シール面の他方との間に形成される空隙部の断面積以上大きく形成されている請求項1または請求項2に記載の熱媒体加熱装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れか一項に記載の熱媒体加熱装置と、
    外気または車室内の空気に流れを生じさせるブロアと、
    前記ブロアの下流側に設けられ、前記外気または前記空気を冷却する冷却器と、
    前記冷却器の下流側に設けられ、前記熱媒体加熱装置により加熱された前記熱媒体によって前記外気または前記空気を加熱する放熱器と、
    を備える車両用空調装置。
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