JP7126286B1 - 紐靴及び紐靴の緊締方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】紐靴の着脱の不便さを解消する。装着時の締付けによって、足の甲に加わる圧迫感を分散させ、比較的容易に装着後の靴紐張力の均等に近い緊締状態を確保する。【解決手段】紐靴の内側若しくは外側の羽根部に1箇所多く配置された靴紐通しと、羽根部に配置された靴紐通しを交互に且つ全ての前記靴紐通しを張架し、前記紐靴を緊締するための一本の靴紐と、靴紐の両端部を同一方向に結束する結束具と、アッパー部に固定され、前記結束具を係止する結束具止め部と、を備えた紐靴。【選択図】図1

Description

本発明は、紐靴の緊締構造及び紐靴の緊締方法に関するものである。
紐靴とは、一般には足の底及び甲を保護し、装着及び緊締に紐を用いる靴で、つま先側から足首側方向に複数対に配置された鳩目に1本の靴紐を通して緊締する形式の靴である。また、鳩目間の靴紐による緊締部と甲の間にはタン部を設け、甲の保護と泥等の靴内への侵入を防いでいる。
靴紐の結び方ついては、図10(1)から(3)に示すようにつま先に最も近い部位から内側及び外側の鳩目に通した靴紐を緊張し、足首側の次の段の鳩目に対して交互に反対側の鳩目に通し緊張する作業を繰り返し、最も足首に近い箇所に配置された鳩目を通した内外の靴紐を結ぶことによって締結を完了する。内側及び外側の鳩目を通して緊張した後、次の段の鳩目に移行する際には、靴紐の緊張方向と異なる方向へ靴紐を鳩目に挿通するため、一旦は弛緩せざるをえない。その後、再び靴紐を緊張する。即ち、緊張と弛緩の繰返し作業において、足と靴のフィット感を創り上げる。
足の形状の個人差に合わせた緊締ができ、装着後の運動による足の形状の変化に沿った緊締が可能であることは紐靴の大きなメリットである。
紐靴は、各人の足の各部の周長に合わせて緊締するため、容易に脱げる心配がなく、緊締部の無い靴では得られない安心感と疲労の無い履き心地を得られる。また、足の甲部分の上面側で内側及び外側同等の引張力で締付けができ、他の緊締部のある面ファスナーのような方向の偏重する引張力による締付けでは得られないフィット感を実現できる。
人の体重を支え、運動の起点になるのは、足底の床面からの反力であり、運動時に起きる衝撃的な荷重に対しては、足裏の踵を一方の端部とする内側アーチ及び外側アーチ並びに前記の2つのアーチの他方の端部となる前足部に形成される横アーチの3つのアーチが機能する。特に「走る、飛び跳ねる、踏ん張る」などの運動によって大きな荷重が生じる場合、前足部に存在する横アーチ及び周辺筋肉などの形状変化が荷重の負荷による足への負担を軽減するが、その際に生じる周長の変化に対して、紐靴の適度な緊締は充分なゆとりとフィット感を与えることができる。長い靴紐と靴全体の伸縮による弾力によって、足になじむ感覚を得ることが可能だからである。
しかしながら、紐靴には幾つかの欠点が存在する。装着時の靴紐緊締や靴を脱ぐときの結束解除が容易ではない。特に爪先側から緊締終点部まで適度に締め付けて結束した場合、爪先側まで靴紐の弛緩が必要となる。同様に、一旦脱いだ靴を履きなおす場合、多くの鳩目に靴紐が挿入している状態で、爪先側から改めて緊締作業を行うことになり、極めて面倒な作業となる。従って、ある程度のフィット感を犠牲にして、着脱の容易性の確保のため、靴紐の結束状態を維持したままで、脱ぐことができる程度の緊締状態で、履くときは靴ベラを利用する方法が用いられる場合もある。
また、靴紐による緊締は、緊締直後の静止時に得られたフィット感と歩行や走行等の運動状態時のフィット感は異なる。それは、靴紐の結束による締付けは、結束箇所に近い程大きな引張力が作用し、足の甲に生じる圧迫感には箇所によって斑が生じている。装着時に適度なフィット状態で緊締したとしても、運動によって大きな力が加わる場合、足幅が広がるなど靴底部の部位に加わる力が変化し、結果として1本の靴紐全体が均等に近い引張力になった時、紐靴全体としては遊びの大きい緩んだ状態になる。逆に、最終的に得られる適度な締付け状態を確保しようとすると、装着時の締付けによる甲に生じる圧迫感は極めて大きなものとなる。足になじむフィット感を得るような緊締は、可能ではあるが、容易ではない。
上記の紐靴に係る欠点を補うため、種々の発明が提案されている。靴甲皮片側にバックルの一端を固定し、バックルの他端側に複数の靴紐挿通孔を設けて、靴紐を締緩することなく、バックルを着脱することによって、靴甲皮を締緩できる靴の締付け装置の提案がある(実開平2-130209)。この発明によって、紐靴の着脱の不便さは解消できるが、バックル他端に設けられた靴紐挿通孔に生じる靴紐からのテンションは、バックル固定端位置に集中することになり、靴腰部に広く面的に引張力が作用する状態にはならないため、通常の紐靴装着時のフィット感が得られない。
靴紐の一筋と他筋を甲の中間で固定するセンターストッパーと端部を固定するサイドストッパーと靴紐を結束するためのバックルを含む靴紐結束装置の発明がある(特表2017-509468)。この発明によって、紐靴の着脱や靴紐中央部の引張りの調整が容易になるが、結束或いは締付け及び解除箇所が多く、充分に使い勝手の良いものになっているとはいえない。
紐靴の舌革について、底面側にパッドを設けることによって、空洞を形成し、態様によっては、空洞に靴紐を通すことで保持機構と相まって、中間部分の締付け必要箇所での締付けが容易になる提案がある(特表2012-525881)。しかしながら、この発明では、靴紐の緊張方向と紐靴腰部の緊締方向とが一致しないため、靴紐締付け、結束に問題が生じる。
靴紐と、内外側甲皮にそれぞれ適当数装着された紐通し部材と、該靴紐の両端部を束ねて固着する部材である紐結束具と、該結束具と連結する締め調整帯と、該締め調整帯と係合し係止・開放自在の緊結具によって、1つの動作によって、複数本の紐による緊締が可能とする提案がなされている(特開平10-179210)。靴紐のメリットである足の甲部から底部への均等な圧力を加える緊締によるフィット感を得るためには複数の靴紐を用いる必要があるが、複数の靴紐を一箇所で結束する靴結束部での結束調整に難点がある。
靴紐を巻き取るためのリールと該リールを回転させるためのダイヤルと自在に解除できる機構を備えた固定式の靴紐巻取装置の発明がある(特開2015-293)。ダイヤル回転による結束やロック解除による結束解除が極めて容易であるが、巻取り装置内へ靴紐を収納する必要があり、靴紐はワイヤのような細くて強い材質に限定され、柔らかく、甲革の薄い靴紐に適用はできない。また、甲革に固定された靴紐巻取り装置は、靴紐両端の引張力の方向を限定するとともにダイヤル回転による締付けによる引張力の大きさには、限界がある。
実開平2-130209号公報 特表2017-509468号公報 特表2012-525881号公報 特開平10-179210号公報 特表2015-293号公報
解決しようとする課題は、紐靴の着脱の不便さを解消するとともに、装着時の締付けによって、足の甲に加わる圧迫感を分散させ、比較的容易に装着後の靴紐張力の均等に近い緊締状態を確保する。靴紐緊締時の両端部に作用させる張力による締付けによって、容易に紐靴全体の伸縮を利用できる靴紐の緊締構造と緊締方法を提案することである。
足各部の周長に合わせて緊締できる紐靴であって、左半足若しくは右半足について、
靴のアッパー部の内側及び外側に設置された羽根部において、内側若しくは外側の何れかに1箇所多く配置された一群の靴紐通しと、
該一群の靴紐通しの全てを交互に張架し、前記紐靴を緊締するための一本の靴紐と、
前記靴紐の両端部を同一方向に結束する結束具と、
前記1箇所多い靴紐通しが配置された羽根部に対峙する羽根部が設置されたアッパー部に固定された前記結束具を係止する結束具止め部と、
を備えた紐靴。
緊締時に靴紐の張力の作用が最も強くあらわれる両端部に近い紐通し区間の位置を分離することによって、靴紐の締付けによる足の甲への圧迫感を分散させるとともに、靴紐両端部への張力の負荷が靴紐全体に均等に近い状態にすることができる。また、紐靴を緊締する最終作業である靴紐の両端部を結束する必要がなく、結束具の結束具止め部での係止という極めて容易な作業で緊締作業が完了する。
図1は、内側列5段外側列4段の靴紐通しの紐靴の緊締状況の説明図である。(実施例1) 図2は、結束具及び結束具止め部の説明図である。(実施例1) 図3は、結束具止め部の位置に関する説明図である。(実施例1) 図4は、始終の靴紐通しの位置に関する説明図である。(実施例1) 図5は、靴紐の経路長に関する説明図である。(実施例1) 図6は、始終の紐通し区間に関する説明図である。(実施例1) 図7は、靴紐通しに鳩目を用い内外の均等な張力負荷の目印となる模様をタン部に付した紐靴の説明図である。(実施例2) 図8は、本発明による種々の靴紐締付け経路に関する説明図である。(実施例3) 図9は、本発明を用いたレースブーツの緊締状況の説明図である。(実施例4) 図10は、従来の靴紐の結び方、手順に関する説明図である。 図11は、靴紐の張力の変化に関する説明図である。 図12は、靴紐の張力と靴紐に生じる摩擦力に関する説明図である。
本発明における紐靴に係る各部の名称及び位置・方向の呼称について説明する。紐靴の靴底以外をアッパー部と呼ぶ。足の親指側を内側、小指側を外側と呼び、靴においても同じである。紐靴のアッパー部で靴紐によって緊締する部位を羽根部と呼び、内側と外側の羽根部に配置された複数の靴紐通しは、各羽根部内で、足首から爪先の長手方向に列を形成し、短手方向に段を形成する。靴紐通しの配置について、各羽根部では内側列若しくは外側列を形成し、列に対して略直角方向の配置について、足首に近い甲の上部を上段とし、爪先に近い段を下段とする。内側と外側の靴紐通しに靴紐を交互に挿通し若しくは引掛けるが、靴紐が直接に張力を及ぼし合う連続する2つの靴紐通しの区間を紐通し区間と呼ぶ。靴紐による張力は羽根部に伝達され、アッパー部全体にその効果が及ぶ。靴紐通しは、一般的には、鳩目やアイレットとも呼ばれ、各種の形式があり、本明細書では、フック状のもの、帯若しくは紐状のもの(紐通しバンドと呼ぶ。)も含めて靴紐通しと呼ぶ。足の甲の上方で内外の羽根部間を含めた靴紐による締付け部位の下方に設けるものがタン部であり、甲上での靴紐の接触防止や泥除けとなり、甲を保護する。一足の靴の片方を左半足若しくは右半足と呼び、一群の紐通しに対して、一本の靴紐を用いて緊締を行う。通常、靴紐の両端部の結束によって、緊締を完了するが、挿通等する靴紐通しに関して、両端部に最も近い2つの靴紐通しを始終の靴紐通しと呼び、該始終の靴紐通しに係る2つの紐通し区間を始終の紐通し区間と呼ぶ。従来型の紐靴の結び方を図10によって説明する。
全ての靴紐通しに靴紐を通して靴を履き、一旦靴を脱ぐために開口部が拡げている状態から更に靴を履くために紐靴を緊締する場合について説明する。図10(1)が開口部19を拡げている状態であるとすると、この状態において始終の靴紐通し間に必要かつ十分な靴紐の長さを有効靴紐長35と呼ぶ。図10(2)は、靴を脱いだ時に広げた開口部を閉じるために、余分な靴紐を始終の靴紐通し25から引き抜いた状態であり、この状態の始終の靴紐通し間に必要な靴紐の長さを装着靴紐長37と呼ぶ。図10(3)は、更に靴紐を引抜き、足が靴内部にフィットするまで張力を作用させ、緊締された状態を現したものである(以下、靴紐を延ばそうとする方向の力である引抜き力や引張力は全て張力ともいうこととする。)。この状態に必要な靴紐の長さを緊締靴紐長36と呼ぶ。
図10(1)に表した状態から靴紐の両端部から作用させる張力と始終の靴紐通しからの引抜き長さとの関係を模式的に現したものが図11(1)である。縦軸Tは、靴紐に作用させる張力である。横軸ΔLは、始終の靴紐通しからの引抜き長さである。図11(1)で引張強さTo、引抜き長さΔLoによって、点oに達した時、図10(4)の状態となり、その後引張強さTs、引抜き長さΔLsのs点に達して、その段階で両端部を結束することによって、締め付けを完了させ、図10(5)の状態となる。靴紐両端部からの張力の作用のみでは、図10(1)から図10(2)、更に図10(3)への変化には至らず、図10(4)、図10(5)へと状態が移行する。10(5)の状態で、運動等を行い足から紐靴に加わる力によって、靴紐全体の張力が均等に近い状態になり、図10(3)になりうる。図11(1)上では、o点に到るまでの階段状に引張力が変化し、o点からs点間では、張力がToからTsに、引抜き長さがΔLoからΔLsへと単一の直線状の変化をしている。
模式図である図11(1)の靴紐の引張り開始(T=0、ΔL=0)から点oまでを第1段階とすると、第1段階では、開口部を開放したため靴の装着時に不要となる靴紐を靴紐通しから引き抜いた状態である。この状態に至るまでに始終の紐通し区間では、図12(1)に示すような靴紐が靴紐通しを通過する間に働く摩擦力やタン部等に生じる摩擦力に見合う張力Toを加えることによって図12(2)の状態となる。この張力によって、引き抜かれる不要な靴紐を引き抜き長さ(ΔLであるが、図12(2)では、簡便のためLを一つの紐通し区間内で表現している。)は、靴紐が通された紐通し区間の靴紐の材質や直径と靴紐通しの形状や接触長さや接触部位における材質等が要因になって決定され、張力の大きさによる変化は少ないと考えられる。図11(1)に示すように、段階的に変化しているのは、引き抜かれることによって、靴紐が通過する靴紐通しの数と紐通し区間の接触長さによるもので、図11(1)では、始終の紐通しから3番目の紐通し区間について靴紐を引き抜いたことを示している。o点で得られた状態は、張力を靴紐全体に均等な状態にすることによって、足が靴の内側と圧迫感の無い状態で覆われ、靴紐の張力は0になる。
次に、図11(1)のo点からsまでを第2段階とすると、装着靴紐長から更に(ΔL-ΔL)の長さを引き抜いた状態にある。この間は、紐靴に係る張力による締付けによって、足の甲に強い圧迫感が生じる程度に締め付けている状態である(図10(5)の状態)が、靴紐全体の張力を均等にすることによって、靴内部と足各部が緩まない程度に、フィットしている状態(図10(3)の状態)になりうる。
上記の第2段階の靴紐の緊締過程について、装着靴紐長に張力を負荷した場合の張力と引抜き長さの関係を示すものが図11(2)である。図11(2)のs点は、図11(1)のo点を原点とし、装着靴紐長からの変化を表示するもので同じ変化を示している。l点は、sの緊締状態から、運動等によって紐靴に足から繰返し負荷を加えた後に想定される状態を示すものである。即ち、同じ引抜き長さで、張力がTからTに減少している。これは、緊締時に靴紐両端部に加えられた張力Tの及ぶ範囲が特定の紐通し区間に限定されているためであり、Tは、足幅が広がるなど靴の各部位に加わる力の変化によって、靴紐全体が均等に近い張力になった状態を示すものである。
本発明の目的の一つが図11(2)の一点鎖線で示すように、最終状態lに近い状態s’を緊締時に確保することである。そのために、11(2)のs点への実線の状態を回避するため、以下の検討をする。図12(3)に示す靴紐の張力を羽根部に伝達する際に、生じる摩擦力による損失について、次の式による。
Figure 0007126286000002
数1の表現によると、靴紐両端部に加えられた張力Tは、靴紐通しを通過し、紐通し区間におけるタン部等との接触に係る摩擦力によって張力を失い、次の紐通しに対しては、張力Tになる。図12(3)の靴紐通しによる摩擦力については、数1のF11であり、F11は、靴紐通しと靴紐間の垂直抗力Nに比例すると考えられ、NがTに比例するものであるとの考えから、推定されるのがF11=a×Tである。一方、紐通し区間の摩擦力については、数1のF12であり、靴紐が紐通し区間のタン部等へ加える垂直抗力Nとその接触長さL’の積に比例するとの考えから導き出されたのが、F12=b×T×Lである。これら2つの摩擦力によって靴紐の端部に加えられた張力Tは、紐通し区間毎に(1-r)の割合で失われることを示すものが数1である。この数1によると、靴紐が通る隣接する紐通し区間Lの長さが同じである場合は、その区間数によって決定される。例えば、1区間の通過によって張力が0.6になるとすると、1-r=0.6であり、図に示す4区間目では、引張力は端部に対して約13%であり、この張力が一定の(図10(1)の階段状の)張力以下であれば、靴紐両端部に作用させる張力は4区間目以降には作用しないことになる。 従って、図10(4)、10(5)において、靴紐両端部から4区間目以降は、L、L、Lであり、この区間において靴紐両端部からの張力が作用しないため、図10(5)に示す下から2段目までは、図10(1)と同一で、3段目より上段は、緊締靴紐長(その間で(ΔL-ΔL)を引き抜いた状態)で締付けた形状になっている。
本発明は、靴紐の有効靴紐長で全ての靴紐通しに挿通された状態(靴の開口部が拡げている状態)から紐靴を緊締する場合について、靴紐を下段側から結びなおすことなく、靴紐の両端部からの張力の作用によって、靴紐全体に張力が及ぶようにするもので、極めて容易な作業によって図11(2)のl点に近いs’点の状態を得ることを可能にするものである。
図1は、羽根部内側列5段、外側列4段の靴紐通し(紐通しバンド22)2に対して、内側列の上から2段目と3段目を始終の靴紐通し25とし、靴紐両端部を同一方向で、始終の靴紐通しの段の間隔に近い幅を確保して結束する結束具4を外側のアッパー部12に固定した結束具止め部6に係止したものである。一本の靴紐が靴紐通しを通す経路については、摩擦を受ける延長を短くすべきであるとの上述の検討で、経路距離を短くすることによって、靴紐に作用させる引張力が摩擦によって失うことを少なくすることができる。図1に示す紐靴は、上から2段目と3段目を始終の靴紐通しとする靴紐が通過する最短経路の結び方を示すものである。
図2に、結束具4及び結束具止め部6の詳細図を示す。図2(1)~(4)は、結束具の詳細図であり、図2(1)は、正面図で、(2)は背面図である。図2(1)の破線で表示しているのは、結束具が結束具止め部に係止されている状態の結束具止め部を示すものである。結束具は、上板部41と下板部42からなり、上板部は、図2(1)正面図に示すように、靴紐3の両端部を同一方向に結束する靴紐係止部43と靴紐の方向を誘導する靴紐方向誘導部47に分かれる。靴紐係止部は、右側面図である図2(3-1)のB-B図に示すように、靴紐係止凸部44によって、結束具を靴紐の自在の位置に係止できるようなっている。靴紐係止部は、弾性を有する部材であり、靴紐の長手方向に対して、短手方向の中央部に弾性変形固定部45があり、両端に下板部へ掛止できる掛止爪46を有している。図2(3-1)には、掛止前の状態と掛止後の状態を示している。図2(3)のA-A図では、靴紐が誘導部挿入口48から容易に挿入できる靴紐方向誘導部の構造を示している。図2(2)に示すように、結束具の下板部には、平板部49と紐通し部51がある。平板部は、磁石若しくは強磁性体であり、結束具止め部上面の結束具係止面61に着脱可能に接着できる構造になっている。図2(1)、(2)及び(8)に示すように結束具の方向誘導部後方の靴紐には、靴紐の周囲を回転可能に覆う円筒状の靴紐摘み部52を備えて、摘み部の両端部によって結束具に加わる引張力を操作できる。従って、この摘み部と前記靴紐係止部による係止位置によって、始終の靴紐通しからの靴紐両端部の張力の大きさと方向を変えることができる。なお、本発明における靴紐両端部とは、結束具における靴紐係止部の位置をいい、図2(1)~(4)において、一本の紐としての二つの端部は、表示していないが、本例の場合一本の紐は、何れかの位置で連結されて、閉じた靴紐状態になっており、その位置は明示していない。
結束具止め部6は、図1に示すように、外側アッパー部12に固定されており、詳細は、図2(5)~(7)に示すとおりである。図2(5)が正面図で磁石をそなえた結束具着接面61を示し、図2(7)の底面図には、アッパー部への固着面62が表されている。結束具着接面及びアッパー固着面は、図2(6)D-D図に示すようなプレート状を呈し、図2(5)に示す面積は、結束具4の平板着接面42と略同一である。図2(5)及び(7)に示すように正面右側には、結束具滑り止め63を設け、結束具が結束止め具に接着した後に靴紐からの張力によって右側へ滑るのを防止している。本例の結束具止め部の外側のアッパー部への固定については、始終の靴紐通し25からの距離と方向を確保する位置とし、固着方法に関しては、接着剤、端部縫合等一般的なものである。また、アッパー部外側への設置については、内側の場合に両足の靴の接触で結束具が結束具止め部から脱落することを防止するものである。
図3によって、アッパー部12における結束具止め部6の位置について説明する。図3(1)は、開口部が靴の着脱に必要な開放状態の時の靴紐通し2、靴紐3、結束具4及び結束具止め部6の位置関係を示すものであり、図3(2)は、紐靴緊締時の始終の靴紐通し25から結束具によって靴紐両端部に張力を作用させている状態と該状態の張力を維持しつつ結束具を始終の靴紐通しを支点にして回動させて、結束具止め部に着接させた状態を同時に示すものである。図3(1)に示すように、LからLの紐通し区間の長さは、有効靴紐長35であり、始端紐通し26及び終端紐通し27から結束具の靴紐両端部に到るまでの長さには、違いが生じている。緊締靴紐長に対して、それぞれの靴紐通しから引き抜かれる余剰の靴紐長が異なることを考慮したためである。本例では、始端靴紐通しからは、LからLの余剰分が引き抜かれるものとし、終端靴紐通しからは、LからLの余剰分が引き抜かれるものとしている。図3(2)では、靴紐の両端部から始終の靴紐通しを通じて、靴紐に加える張力の方向を示すものであり、始終の靴紐通しからの張力方向が2つの始終の紐通し区間の張力(この靴紐の張力は紐通し区間を作用線とする始終の靴紐通しへの方向を有する。)の挟角の2等分線の方向としている。始終の紐通しから効率的に張力を加えるためである。本例は、請求項8の第2過程の前段の「2つの靴紐張力の作用線の平面(該2つの張力の作用線がなす平面をいう。)上で、該2つの靴紐張力の交点を通り、該2つの張力の挟角内の方向」に関して、前記挟角の2等分線の方向は、最も始終の紐通しへの抗力を小さくする張力の方向である。結束具止め部の位置は、該方向と前記の緊締靴紐長と有効靴紐長に係る余剰長さ等を考慮した位置としている。結束具は、アッパーに固定された結束具止め部に着接させることによって、靴紐の張力を維持し、靴紐による緊締状態を確保するが、靴紐両端部からの張力が2箇所の始終の靴紐通しに作用する引張力を同等に近い状態にする結束具の方向とするためのものでもある。
図4によって、本例における始終の靴紐通しの位置に関する説明をする。図4は、アッパー部12を実線で、靴底を破線で表示し、足の動きによる前足部足裏の足圧の大きい箇所を2点鎖線で表示している。これは、前記「0004」に記載した横アーチ両端部付近となっている。一般的に、紐靴は、足の指の付け根(足の指に係る基節骨と中足骨の関節)付近から甲頂部付近までの範囲を靴紐によって緊締する。甲頂部付近での紐靴の結束は、靴が脱げる不安を解消するために不可欠であるが、この位置は足裏の土踏まずの上方部(前記「0004」の内側アーチの頂部付近)に当たり、運動による足の周長の変化の少ない部位である。足の指の付け根側に関しても足位に当たる箇所であり、比較的周長の変化の少ない部位である。一方で、図4に示すように足裏の足圧は、内外の土踏まずの先端側で大きくなり、人の動きによる足の周長の変化についても最も大きな箇所になっている。図4のような紐靴に関しては、靴紐通しの上下段の中央付近が周長の変化が大きい。周長の変化の大きな箇所では、紐通し区間における靴紐張力の変化も大きくなり、紐通し区間毎の張力の大きさに偏りがある場合には、隣接する紐通し区間を通じて靴紐全体の張力の速やかな均等化に寄与する。即ち、紐靴緊締時には始終の紐通し区間31の張力は他の区間と比較して大きくなるが、靴紐全体の張力を均等化するためには、周長の変化の最も大きな箇所に始終の紐通し区間を配置するが望ましい。そのため、始終の靴紐通しの一方として内側列5段の中央の3段目の靴紐通しを選択している。請求項5の「前記始終の靴紐通しを含む2箇所の間に、該始終の靴紐通しを含む靴紐通しの列の長手方向の中央が位置する請求項1乃至請求項4の何れかに記載された紐靴。」は、上記の効果を目的とするものである。加えて、前述の有効靴紐長から緊締靴紐長に到る余剰の靴紐長が大きな上段の紐通し区間から速やかな靴紐の引抜きを図るため、他方の始終の靴紐通しとして内側列2段目を選択したものである。
本発明にかかる紐靴1は、相互に対峙する羽根部13に配置された一群の全ての靴紐通し2を通過する1本の靴紐3に対して、内及び外側の羽根部の何れかの靴紐通し数を1箇所多く配置することによって、靴紐の両端部は内外何れかの側に現れ、結束具4に結束され、紐靴を緊締する。本例の始終の靴紐通し25を内側列の2段目と3段目にする靴紐の結び方は、144通り存在する。図5(1)~(10)は、本例の条件に照らし、最短経路に関する検討した結果を示すものである。左の羽根部に配置された靴紐通しを4箇所に上段から順に1から4までの番号を記している。右の羽根部に配置された靴紐通しを5箇所に上段から1から5までの番号を記している。本図は、計算上の条件として列間距離を3とし、右列靴紐通しの段の間隔を1とし、左列の靴紐通しの段の間隔を1.33とする靴紐通し区間の配置の模式図によって靴紐の経路を示すものである。図5(1)~(10)に記載された数値は、経路長を示すもので、前記144通りの配置に関して、経路長が最小から10位までの配置に係る靴紐の結び方を示すものである。図5(1)に示す紐通し区間の配置が最小の経路長となっている。この配置に関しては、列間隔の変化及び最下段からの列方向に拡がり(図10に示すような有効靴紐長状態の列方向の広がりをいう。)を加えても最小経路長となっている。本例の靴紐の緊締方法は、この結果に従ったものである。
図6によって、本発明における始終の紐通し区間31(図6(1)では、L及びL)における張力について、説明する。図6(1)から(3)は、図1におけるタン部14、靴紐通し2、靴紐3、結束具4及び結束具止め部6を抜粋し、緊締時の動作状態の変化を示したもので、図6(1)は、始終の靴紐通しを通じて、靴紐の両端に張力を作用させている状態である。図6(2)は、始終の紐通し区間における張力を維持しつつ始終の靴紐通しを支点に結束具を約90度回動させている状態である。図6(3)は、更に約90度回動させて結束具を結束止め部に着接させようとしている状態を現したものである。図6(4)は、上記状態の変化を模式的に回動軸の方向から示したものである。図6(4)に示すように(1)では、紐通しバンド22先端部を上方にしながら張力を作用させることによって、図6(4)に示すように始終の紐通し区間のタン部に接触することなく張力を作用させることができ、始終の靴紐通しについても大きな垂直抗力は作用しない。従って、「0021」において示した始終の紐通し区間における摩擦による張力の損失は極めて少ない。請求項8の第2過程の内「かつ前記2つの始終の紐通し区間において前記靴紐のタン部若しくは羽根部への接触長さを最小にする方向に張力を作用させる」は、上記事項を目的とするものである。この方法により、始終の紐通し区間(L、L)に作用させた靴紐両端部からの張力の影響が「0021」で示したように3区間に及ぶとすると、摩擦を受ける範囲は、始端紐通し26からL、L、Lの紐通し区間であり、終端紐通し27からは、L、L、Lの紐通し区間となる。従って、全ての紐通し区間へ靴紐端部からの張力が作用することとなる。通常の紐靴の緊締方法では、図6(4)の破線に示すように始終の紐通し区間のタン部で接触があり、折り返して結束するため、始終の紐通し区間においても、他の区間(LからL)と同様に、靴紐通しとタン部等との摩擦による張力の減少は、避けられない。この図6(1)における始終の紐通し区間の張力は、上記の説明の通り、始終の靴紐通しを支点に結束具を約90度回動した図6(2)においても維持され、更に図6(3)において示されるように、前記張力を維持した状態で結束具止め部に着接されることによって緊締は終了する。上記に必要な張力は、全て結束具後方の摘み部52の操作によって行われる。靴紐による締付けによって足に加わる適度な圧迫感によって強度を調整しつつ、結束具止め部に結束具が着接する方向に靴紐を回動させるという操作が容易になし得る。なお、上記の6(1)から(4)に示す始終の紐通し区間における斜め上方への張力の作用に関しては、通常の靴紐通しにおいても、靴紐両端部からの力によって羽根部を持ち上げることができる場合には、前記紐通しバンドにおける操作と異なるところはない。
一群の靴紐通し2の合計の箇所数に関して9箇所の例を示したが、奇数であれば靴紐とタン部及び靴紐通しとの摩擦を小さくすることによって更に大きくすることはできる。逆に摩擦の大きな素材の場合は、少なくしなければならない。
本例における結束具4及び結束具止め部6については、靴紐の両端部を同一方向に結束し、それを係止することが出来れば、構造及び形状が実施例1に限定されるものではない。但し、紐靴を履く者の足の形状に沿った緊締を行えるためには、靴紐両端部の結束位置を容易に変えることが出来なければならない。また、結束具及び結束具止め部における係止構造に関しても、本例に限定されるものではない。アッパー部にバックルの固定部を配し、結束具として該固定部に係合するバックルを配することができる。また、同様に雌雄の面ファスナーによる係止も想定される。
実施例1において、結束具4に結束された靴紐3を摘み部52の片手の操作によって、容易に紐靴を緊締する手順を示した。始終の靴紐通し25を通じた張力は、まずは外側18の羽根部13への引張力が卓越し、その後、始終の靴紐通しを支点とする回動から内側17の羽根部への引張力へと折り返して引張力を加える。この作業における張力のバランスをとる操作を更に容易にするために視覚的要素を加えたのが、図7に示す紐靴である。図7は、実施例の1の紐靴に対して、靴紐通しを鳩目2,21にしてタン部14に内側と外側の中心線15を対象として、目印となる模様を附したものである。内外の羽根部の足首から爪先方向に到る端部とタン部中心線からの距離を把握するという緊締操作に視覚による補助が加わることによって、内外の均等な引張力による緊締が更に容易になる。
図8(1)~(10)は、実施例1と同様の条件で、結束具、始終の靴紐通し25の配置に制約がない場合の靴紐の結び方(紐通し区間の配置)を示すものである。実施例1の始終の靴紐通しの配置を含めて、10通りの始終の靴紐通しの配置の組合せが存在するが、それらの配置における最短経路を示すのが図8(1)~(10)である。計算条件は、前記と同様で、左の羽根部に配置された靴紐通しを4箇所とし、右の羽根部に配置された靴紐通しを5箇所とし、列間距離を3とし、右列靴紐通しの段の間隔を1とし、左列の靴紐通し間隔を1.33とする靴紐通しの配置の模式図に靴紐の経路を示すものである。前記条件での靴紐の経路の組合せは、この図8(1)~(10)に示す始終2箇所の靴紐通し10通りの組合せの経路を含めて、1440通りに及ぶ。図8には、前記10通りの配置について、最短の始終の靴紐通し間の経路距離を計算した結果を示している。始終の靴紐通しの配置については、図8(4)の最上段と最下段の位置に始終の靴紐通しを配置した場合に最短距離となり、経路については、交差することない経路となっている。上下方向に対称の靴紐通しの配置としているので、始終の靴紐通しについて、右列1、2段の図4(1)と4、5段の(10)、右列1、3段の図4(2)と3、5段の(9)、右列1、4段の図4(3)と2、5段の(7)及び右列2、3段の図4(5)と3、4段の(8)等は、同じ経路長さになっている。これらの靴紐通しの配置に係る最短長の経路については、2つの始終の靴紐通しのうち、上段の始端紐通しは、該上段以上の靴紐通しを担い、終端紐通しは該下段以下の靴紐通しを担い、それぞれは最上若しくは最下段までは交差することない経路となっている。
効果的に紐靴の緊締を行うために、始終間の経路距離を最小にする必要があるのは、前述の通りである。図4(11)は、左右5段の靴紐通しを用い、靴紐を最下段である5段目から締付けた通常の運動靴の結び方による始終の靴紐の経路を表している。図上の数値は、靴紐通しを左右ともに5箇所の条件で算定したものである。図4(11)に示す靴紐経路は、図4(1)~(10)の靴紐経路と比較して、紐通し区間が1箇所多く、経路距離は約6程度大きくなっている。割合にすると、靴紐通しの増えた割合12.5%に対して、経路距離は24%である。このことは、通常の結び方に対して、本発明による靴紐の結び方が全体の紐通し間距離を短くする効率的な結び方であることを示すものである。
図9は、本発明を爪先から足首を覆い脹脛に到る所謂ブーツに用いたものである。本例の様に、紐靴を緊締するために足の甲上での靴紐の締付けと足首より上方での締付けといったように、靴紐に対して張力を作用させる平面が大きく異なる場合は、1本の靴紐の両端部からの張力の作用のみでは、摩擦による張力の損失が大きくなり、1本の靴紐で緊締するのは困難である。請求項1に記載する1本の靴紐で緊締し得る「一群の靴紐通し」とは、1本の靴紐の両端部からの張力で締付けうる複数の靴紐通しをいい、本図9の例は、1つの靴の左半足若しくは右半足について一群の靴紐通しが2つあるケースである。
1 紐靴、11 右反足、12 アッパー部、13 羽根部、14 タン部、15 中心線、17 内側、18 外側、19 開口部、
2 靴紐通し、21 鳩目、22 紐通しバンド、23 列、24 段、25 始終の靴紐通し、26 始端紐通し(上段)、27 終端紐通し(下段)
3 靴紐、31 始終の紐通し区間、32 紐通し区間(L、L、・・、L、L)、33 靴紐端部(両端部)、34 内外対称の模様(靴紐張力の目印)、35 有効靴紐長、36 緊締靴紐長、37 装着靴紐長
4 結束具、41 上板部、42 下板部、43 靴紐係止部、44 靴紐係止凸部、45 弾性変形固定部、46 掛止爪、47 靴紐方向誘導部、48 誘導部挿入口、49 平板部、50 平板着接面、51 紐通し部、52 靴紐摘み部
6 結束具止め部、61 結束具着接面、62 アッパー固着面、63 結束具滑り止め部、

Claims (5)

  1. 足各部の周長に合わせて緊締できる紐靴左半足若しくは右半足について、
    前記紐靴のアッパー部の内側及び外側(靴の部位の方向として、履いた足の親指側を内側、小指側を外側と呼ぶ、以下同じである。)に設置された両側の羽根部と、
    該両側の羽根部において、前記内側の羽根部及び前記外側の羽根部のそれぞれに列を成し、前記内側の羽根部と前記外側の羽根部のいずれか一方の羽根部に他方の羽根部より1箇所多い配分で、前記両側の羽根部に配置された一群の靴紐通しと、
    該一群の靴紐通しの全てについて前記内側と前記外側とを交互に張架し、両端を結束することによって閉じる1本の靴紐と、
    前記一群の靴紐通しのうち、前記一方の羽根部に配置され、前記靴紐が張架する全ての前記靴紐通しの起終点となる2つの始終の靴紐通しであって、前記列の両端部を除き、隣接する段(前記列における短手方向の並びをいう。)に配置され、前記靴紐の経路長を最短にする前記始終の靴紐通しと、
    前記靴紐の両端部を同一の方向で結束し、前記2つの始終の靴紐通しと該2つの始終の靴紐通しに隣接する靴紐通しとの間の2つの区間(以下、始終の紐通し区間という。)について、前記隣接する靴紐通しから前記始終の靴紐通しの方向に張力を作用させることができる結束具と、
    前記他方の羽根部の側の前記アッパー部に固定され前記結束具を係止する結束具止め部と、
    を備えた紐靴。
  2. 前記一方の羽根部が前記アッパー部の前記内側に設置された請求項1に記載された紐靴。
  3. 前記結束具前記結束具止め部に係止するため、該結束具及び該結束具止め部のいずれか一方が磁石を備え、他方が磁石若しくは強磁性体を備える請求項1若しくは請求項2に記載された紐靴。
  4. 前記紐靴によって保護する足と前記羽根部若しくは前記靴紐との間にタン部を備え、該タン部上で前記靴紐通しの列若しくは前記靴紐通しが配置された羽根部の端部を視認でき、該タン部の前記内側及び外側の中心線に対して線対称となる目印を該タン部に設けた請求項1乃至請求項3の何れかに記載された紐靴。
  5. 請求項1若しくは請求項2に記載の紐靴において、該紐靴の着脱に必要十分な開口部の開放状態で前記靴紐を、前記2つの始終の靴紐通しを起終点にして全ての前記靴紐通し挿通若しくは引掛ける第1過程と、
    第1過程前記紐靴を履いた状態で、前記結束具から前記靴紐の両端部へ作用させる張力の合力を、2つの前記始終の紐通し区間の靴紐が前記タン部若しくは羽根部に接触する長さを最小になるように斜め上方向で、且つ該2つの前記始終の紐通し区間の靴紐の張力の作用線を含む平面(該2つの張力の作用線がなす平面をいう。)内の分力が該2つの前記始終の紐通し区間の靴紐の張力の作用線の交点を通る方向に作用させる第2過程と、
    第2過程によって前記始終の紐通し区間の靴紐に作用する張力の大きさを維持しつつ、前記始終の靴紐通しを支点に前記靴紐両端部を結束する前記結束具を回動する第3過程と、
    第3過程後、該結束具を前記結束具止め部に係止する第4過程と、
    を備えた靴紐の緊締方法。




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