JP7125131B2 - 直動軸受用止め輪及び直動軸受 - Google Patents

直動軸受用止め輪及び直動軸受 Download PDF

Info

Publication number
JP7125131B2
JP7125131B2 JP2019152569A JP2019152569A JP7125131B2 JP 7125131 B2 JP7125131 B2 JP 7125131B2 JP 2019152569 A JP2019152569 A JP 2019152569A JP 2019152569 A JP2019152569 A JP 2019152569A JP 7125131 B2 JP7125131 B2 JP 7125131B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
outer cylinder
retaining ring
annular groove
diameter portion
synthetic resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019152569A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020063839A (ja
Inventor
大介 本多
浩平 岡田
弘人 福留
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HEPHAIST CO., LTD.
Original Assignee
HEPHAIST CO., LTD.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by HEPHAIST CO., LTD. filed Critical HEPHAIST CO., LTD.
Publication of JP2020063839A publication Critical patent/JP2020063839A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7125131B2 publication Critical patent/JP7125131B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、直動軸受に装着するのに好適な合成樹脂製の止め輪、およびこの止め輪が装着された直動軸受に関する。
従来より、軸体の直線方向の相対的な往復運動を案内する軸受として利用されている直動軸受(リニア軸受とも呼ばれる)の代表的な構成の例は、特許文献1に記載されている。本明細書に特許文献1に記載されている直動軸受の構成図を図1乃至図3として示す。図1は、直動軸受の外観を示す斜視図であり、図2は、直動軸受に軸体が挿入された状態を示す部分断面図である。そして、図3は、図1の直動軸受の軸方向から見た断面図である。
図1乃至図3に示した直動軸受10は、両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に円周に沿って形成された溝部(凹溝)11a、11bを備える外筒11;外筒11の内部に装着された、外周面と内周面のそれぞれに外筒11の長さ方向に延びる細長い開口(スリット)12a、12bが形成されている筒状の球体保持器(リテーナとも呼ばれる)12;そして球体保持器12の内部に、開口12a、12bを介して僅かに突出した状態での回転下の移動が可能なように収容保持されている球体群(通常は、複数個の鋼球からなる群)13を含む。
外筒11の両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に形成された溝部11a、11bには、外筒11からの球体保持器12の抜け落ちを防ぐための止め輪(スナップリングとも呼ばれる)14a、14bが装着される。
なお、図3に示した断面図では、外筒11の内周面には円周方向に沿って凹凸が形成され、そして球体保持器12の外周面は、外筒11の上記内周面の形状に沿う凹凸を持つ形状とされているが、これらの形状は、球体保持器12の外筒11の内部での周方向の回転を防止するための形状であって、直動軸受にとっての必須な形状ではない。
また、図2では、球体保持器12に収容されている球体群の内の互いに隣接する球体の間での直接的な接触を避けるためのセパレータ15が挿入されているが、このセパレータ15もまた任意の部材である。
直動軸受10により案内される軸体16は、球体保持器12の内周側に挿入される。そして、球体保持器12に収容されてい球体群13は、軸体16の長さ方向への相対的な往復運動により、球体保持器12の内部にて、加圧条件下に外筒11の内周面に接触しながら、球体循環路17に沿って回転しながら循環移動する。
特許文献1には、止め輪は、金属材料や樹脂材料などの弾性材料から形成され、周方向の一部分が切り欠かれたC字状の形状とされた部材であるとの記載が見られる。そして、この止め輪は、直動軸受の組立において、外周縁部に力を加えて外径が小さくなるように弾性変形させた状態にて外筒の端部の開口から内側に挿入され、次いで外筒の環状溝の内部に到達すると元の形状に復帰し、環状溝の内部に収容配置される旨の説明がある。
特開2009-287645号公報
前述の構成の直動軸受に装着するC字状の形状(C字形)の金属材料製の止め輪は、外筒からの球体保持器の抜け落ちを防ぐための手段として有効であって、現在でも一般的に使用されている。しかしながら、C字形の金属材料製の止め輪は、外筒内への装着に際して必要な弾性変形を生じさせる作業において、その変形に対して強い抵抗性を示すため、その装着作業を円滑に実施するためには熟練した技能が必要となり、また熟練した技能者であっても、その装着作業を素早く(すなわち、短時間内に)行うことは容易ではない。特に、近年になって需要が増えてきた微小な直動軸受の製造に必要な微小な金属材料製の止め輪の外筒内部への装着は難しさが増している。
一方、特許文献1で触れられている樹脂材料製のC字形止め輪に関しては、外筒内への装着は比較的容易であるが、途中に切断面を持つ不連続な止め輪であることから、装着後において、外筒からの球体保持器の抜け落ち防止手段としての確実性や安定性に欠けるという問題がある。従って、直動軸受に装着する止め輪としての樹脂材料製のC字形止め輪の普及は殆ど進んでいない。
本願発明の発明者は、従来より一般的に使用されている金属材料製のC字形止め輪、そして既に提案がなされている合成樹脂製のC字形止め輪のそれぞれが持つ問題点を検討し、それらの直動軸受用の止め輪に代わって、外筒内部への装着が容易で、かつ装着後における球体保持器の確実な抜け落ち防止機能が実現する止め輪の開発を目的として研究を行った。そして、その研究の結果、以下に記載する新規な構造を持つ合成樹脂製の止め輪が、従来知られている直動軸受用の止め輪の持つ問題点(即ち、課題)の解決に有効であることを見出し、本発明に到達した。
本発明は、両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に円周に沿って形成された環状溝を備える外筒;この外筒の内部に装着された、外周面と内周面のそれぞれに外筒の長さ方向(すなわち、軸方向)に延びる細長い開口が形成されている筒状の球体保持器;そしてこの球体保持器内に、外周面と内周面のそれぞれに形成された開口を介して僅かに突出した状態での回転下の移動が可能なように収容保持されている球体群を含む直動軸受の外筒の環状溝に装着される円環形状を持つ合成樹脂製の止め輪であって、この止め輪が、外筒の前記環状溝の内部にはめ込まれる大径部と、この大径部から厚み方向に延びている小径部とを含むように、円環の外周側側面から半径方向に沿って階段状に形成されていることを特徴とする合成樹脂製の止め輪にある。
本発明の合成樹脂製の止め輪の好ましい態様を以下に記載する。
(1)外筒の環状溝に装着される前の円環形状が楕円形状であって、その楕円形状の円環の短径方向の外径(大径部の短径方向の外径)を1とした場合に、その長径方向の外径(大径部の長径方向の外径)が1.02~1.20の範囲にある。
(2)外筒の環状溝に装着される前の円環の形状が楕円形状であって、その楕円形状の円環の内周部の短径方向に沿う対称位置のそれぞれに切り欠き部が形成されている。
(3)外筒の環状溝に装着される前の円環の形状が楕円形状であって、その楕円形状の円環の内周部の短径方向に沿う対称位置のそれぞれに切り欠き部が形成され、そしてそれらの切り欠き部を結ぶ仮想線を折り目として折り曲げられた形状にある。
(4)上記円環の内周面に、合成樹脂製の止め輪よりも柔軟な合成樹脂もしくはゴム材料の成形により得られた環状シール部材が装着されている。
(5)圧力の負荷がない状態において湾曲した形状にある。
(6)外筒の環状溝に装着される前の円環の形状が楕円形状を持ち、かつ楕円形状の長軸方向に沿う湾曲形状にある。
(7)上記円環が半径方向に切断された不連続のC字形の形状にあり、その切断された部位に沿う止め輪の両端部が、円環の平面に沿って互いに重ね合わせることができる形状を持つ。
本発明はまた、両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に円周に沿って形成された環状溝を備える外筒;この外筒の内部に装着された、外周面と内周面のそれぞれに外筒の長さ方向(すなわち、軸方向)に延びる細長い開口が形成されている筒状の球体保持器;そしてこの球体保持器内に、外周面と内周面のそれぞれに形成された開口を介して僅かに突出した状態での回転下の移動が可能なように収容保持されている球体群を含む直動軸受であって、外筒の環状溝に、外筒の前記環状溝の内部にはめ込まれる大径部と、この大径部から厚み方向に延びている小径部とを含むように、円環の外周側側面から半径方向に沿って階段状に形成されている合成樹脂製の止め輪が装着されている直動軸受にもある。
本発明の合成樹脂製の止め輪は、直動軸受の外筒の両端部の近傍の内周側表面に円周に沿って形成された環状溝の内部にはめ込まれる大径部と、この大径部から厚み方向に延びる小径部とを含むように、円環の外周側側面から半径方向に沿って階段状に構成されている。そして、この止め輪の大径部の厚みを薄くすることにより、通常の直動軸受の外筒の両端部の近傍の内周側表面に円周に沿って形成された環状溝(通常は、金属材料製の止め輪の装着を想定しているため、溝幅の狭い環状溝として形成されている)に容易に装着することができる。そして、その大径部から厚み方向に延びる小径部(この小径部は環状溝には挿入されない)の存在により、止め輪全体が充分な厚みを確保することができるため、合成樹脂製止め輪の弱点となる、厚み方向での強度不足を補うことが可能となる。従って、直動軸受の球体保持器の内側に装着され、繰り返しの往復運動が行われる軸体との接触により往復運動への圧力が付加された状態にある球体保持器の外筒からの抜け落ちを効果的に防止することができる。
そして、さらに本発明の合成樹脂製の止め輪を楕円形状とし、その楕円形状の長径に沿った方向(長軸方向)にて直動軸受の外筒の環状溝に挿入することにより、環状溝への挿入作業が容易となる。楕円形状とされた合成樹脂製の止め輪は、外筒の環状溝に装着後は真円の形状の環状溝の形状に沿って変形し、略真円形状となる。
また、本発明の合成樹脂製の止め輪を、外筒の環状溝に装着される前の円環の形状が楕円形状であって、その楕円形状の円環の短径方向に沿う対称位置のそれぞれの内周部に切り欠き部が形成された構成とすることにより、直動軸受の外筒の環状溝への挿入がさらに容易となる。
あるいは、本発明の合成樹脂製の止め輪を、外筒の環状溝に装着される前の円環の形状が楕円形状であって、その楕円形状の円環の短径方向に沿う対称位置のそれぞれの内周部に切り欠き部を形成し、それらの切り欠き部を結ぶ仮想線を折り目として折り曲げられた形状とすることによっても、直動軸受の外筒の環状溝への挿入がさらに容易となる。
あるいは、本発明の合成樹脂製の止め輪を、外筒の環状溝に装着される前の形状を湾曲形状とすることによって、直動軸受の外筒の環状溝への挿入が容易となる。そして、この湾曲形状の合成樹脂製の止め輪も、その形状(外筒の環状溝に装着される前の円環の形状)を楕円形状とすることにより、直動軸受の外筒の環状溝への挿入がさらに容易となる。
あるいは、本発明の合成樹脂製の止め輪を、円環が半径方向に切断された不連続の形状(C字形状)にあり、その切断された部位に沿う止め輪の両端部を、円環の平面に沿って互いに重ね合わせることができる形状とすることによっても、直動軸受の外筒の環状溝への挿入が容易となる。そして、このC字形状の止め輪も、その形状(外筒の環状溝に装着される前の円環の形状)を楕円形状とすることによって、直動軸受の外筒の環状溝への挿入がさらに容易となる。。
止め輪が装着されている公知の直動軸受の外観を示す斜視図である。 図1に示した直動軸受に軸体が挿入された状態を示す部分断面図である。 図1に示した直動軸受の軸方向から見た断面図である。 本発明に従う合成樹脂製の止め輪の平面図(上面図)(A)、正面図(B)、そして断面図(C)である。 本発明の合成樹脂製の止め輪の好ましい例である楕円形状の止め輪の形状の説明図である。 本発明の合成樹脂製の止め輪が装着された直動軸受の構成を示す断面図である。 本発明の合成樹脂製の止め輪の好ましい形状の例と、その止め輪を含む直動軸受の各構成部品を示す。 図7に示した形状の止め輪の上面図、この上面図のA-A線に沿う断面図(A)、そして部分構造の詳細を示す詳細図(B)、(C)である。 図7と図8に示した形状の止め輪の直動軸受の外筒端部への装着過程(嵌合前)を示す断面図(A)、そして装着後の状態(嵌合後)を示す断面図(B)である。 本発明に従う合成樹脂製の止め輪の別の好ましい形状(湾曲形状)の例と、その止め輪を含む直動軸受の各構成部品を示す。 図10に示した湾曲形状の止め輪の内の特に好ましい湾曲形状を示す図である。 図10と図11に示した湾曲形状の止め輪の直動軸受の外筒端部への装着過程を示す断面図(A)、そして装着後の状態を示す断面図(B)である。 本発明に従う合成樹脂製の止め輪のさらに別の好ましい形状(C字形状)の例(A)(外筒端部への装着前)と、この止め輪の外筒端部の環状溝への装着後の形状(B)を示す。 本発明に従う合成樹脂製の止め輪の別の構成例(止め輪複合体)を示す断面図(A)、そして外筒端部の環状溝への装着後の状態を示す断面図(B)である。
次に、添付図面を参照しながら、本発明に従う合成樹脂製の止め輪(止め輪複合体も含む)、そして止め輪が装着された直動軸受を詳しく説明する。
図4の(A)、(B)、(C)は、それぞれ、本発明に従う合成樹脂製の止め輪の基本モデルと云うべき止め輪の平面図(上面図)、正面図、断面図である。すなわち、本発明の合成樹脂製の止め輪20は、直動軸受の外筒の環状溝(図2の11a、11b)の内部にはめ込まれる大径部21と、この大径部から厚み方向に延びる小径部22とを含むように、円環の外周側側面から半径方向に沿って階段状に構成されている。大径部21の厚みは、外筒の環状溝(図2の11a、11b)の溝幅に基づいて定められる。従って、大径部21の厚みは、環状溝11a、11bの溝幅(溝内部の幅)よりも僅かに小さい厚みとされる。一方、小径部22の厚みについては、特に限定はないが、合成樹脂製の止め輪の強度と外筒内部への収容の容易性を考慮すると、大径部21の厚みを1として、1乃至3の範囲にあることが好ましい。
図5を用いて、本発明の合成樹脂製の止め輪の好ましい例である楕円形状の止め輪の形状を説明する。本発明の合成樹脂製の止め輪の好ましい例である楕円形状の止め輪における楕円形状とは、幾何学的に定義される意味での厳密な楕円形である必要はなく、卵形あるいは陸上競技場のトラックのように、長径が短径に対して大きい円形あるいは、その円形の変形タイプであっても構わない。
ただし、本発明の止め輪の好ましい例である楕円形の止め輪20は、図5に示す大径部21の長径(x)と短径(y)に対する比(x/y)が、1.02~1.20の範囲にあることが好ましい。
図6に、本発明の合成樹脂製の止め輪が装着された直動軸受の構成を長軸方向に沿って切断した断面図を示す。図6に示した直動軸受23は、環状溝24a、24bに装着されている止め輪が、本発明の合成樹脂製の止め輪20a、20bであることを除けば、図1乃至図3に示した直動軸受10と実質的に相違するものではない。
図7は、本発明の合成樹脂製の止め輪の好ましい形状の例と、その止め輪を含む直動軸受の各構成部品を示す。
図7で、本発明の直動軸受は、両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に円周に沿って形成された環状溝24を備える外筒25;この外筒の内部に装着される、外周面と内周面のそれぞれに外筒の長さ方向に延びる細長い開口が形成されている筒状の球体保持器26;そしてこの球体保持器内26に、外周面と内周面のそれぞれに形成された開口26aを介して僅かに突出した状態での回転下の移動が可能なように収容保持されている球体群27を含み、さらに外筒25の環状溝24の内部にはめ込まれる大径部と、この大径部から厚み方向に延びる小径部とを含むように、円環の外周側側面から半径方向に沿って階段状に形成されている合成樹脂製の止め輪20から構成される。
図7に示された合成樹脂製の止め輪20は、その止め輪の円環の短径方向に沿う対称位置のそれぞれの内周部に切り欠き部が形成されていて、それらの切り欠き部を結ぶ仮想線を折り目として折り曲げられた形状にある。
図7に示した合成樹脂製の止め輪20の詳細な構成を、図8を用いて説明する。この合成樹脂製の止め輪20も、楕円形状にあることが好ましい。図8において、平面図(外筒の環状溝に装着する前の状態、すなわち折り曲げた状態にある止め輪の上面図)で示した合成樹脂製の止め輪20は、その止め輪の円環(楕円)の短径方向に沿う対称位置のそれぞれの内周部に、切り欠き部20a、20bが形成されている。そして、上記平面図のA-A線での断面図(A)に示されているように、それらの切り欠き部を結ぶ直線(仮想線)を境にして折り曲げられている。
図8の(B)が、平面図にてBで示した部分(切り欠き部)の拡大図(詳細図)であり、(C)が断面図(A)でCで示した部分の拡大図(詳細図)であって、止め輪は、外周側の裏面(下面)で連続している。
図9は、図7と図8に示した形状(折り曲げ形状)の止め輪20の直動軸受の外筒端部の内周部の環状溝への装着過程(嵌合前)を示す断面図(A)、そして装着後の状態(嵌合後)を示す断面図(B)である。
本発明の合成樹脂製の止め輪は、合成樹脂の成形により製造される。合成樹脂としては、特に限定はないが、圧力が加えられた場合に、折り曲げられた状態から平坦な平面状態に変形し、圧力の負荷が無くなった場合には、元の形状に近い折り曲げられた状態に変形する程度の弾性を示す合成樹脂であることが好ましく、例えば、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、あるいはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂などを用いることができる。
なお、直動軸受の外筒は、一般に金属材料の鋳造により製造されるが、硬質の合成樹脂の成形により製造される場合もある。また、球体保持器は、通常は樹脂材料の成形により製造されるが、金属材料から製造されることもある。そして、球体保持器は、前述のように、直動軸受の内部に軸体が挿入され、その軸体が直動軸受に対して、軸方向での繰り返しの相対的な往復運動を行なうと、その軸体の外周面と外筒の内周面に沿って内部の球体群が加圧下に回転しながら循環移動することにより、直動軸受内での軸体の円滑な相対運動の実現を可能にする軸体支持球体回転循環路と、軸体支持球体回転循環路の両端部を接続する球体帰還路とを備える。
なお、上述したような直動軸受の構成は既に知られていて、そのような構成の直動軸受は、直動軸受を開示する各種文献に開示され、また実際に各種構成にて多数利用されているため、そのような構成の直動軸受についての詳しい説明は要しない。
これまでの説明から明らかなように、本発明の合成樹脂製の止め輪は、合成樹脂の成形により得られた外周側周縁部に段差が形成された円環の形状を持つ止め輪であるということができる。
図10に、本発明に従う合成樹脂製の止め輪の別の好ましい形状(湾曲形状)の例と、その止め輪を含む直動軸受の各構成部品を示す。図10は、合成樹脂製の止め輪20の形状が変わった以外は、図7と同一である。また、図11も、図10に示した合成樹脂製の止め輪の形状が変わった以外は、図9と同一である
湾曲形状の合成樹脂製の止め輪20は、図11に示すように、長軸方向に沿って湾曲しているが、その湾曲状態において、止め輪20の長軸方向の両端部の間の距離は、止め輪20の短軸方向の長さと同じか、もしくはそれ以下であることが好ましい。止め輪20の短軸方向の長さは、外筒の環状溝の径(環状溝の底部の径)と略同等にされていることから、湾曲形状の止め輪20の長径方向の両端部の距離が外筒の環状溝の径と略同等となり、この場合、合成樹脂製の止め輪20の外筒の環状溝への装着時に環状溝の内側への係合が容易となる。
図12は、図10と図11に示した湾曲形状の止め輪の直動軸受10の外筒端部の環状溝の装着過程を示す断面図(A)、そして装着後の状態を示す断面図(B)である。
図10と図11に示した湾曲形状の止め輪についても楕円形状にあることが好ましく、この楕円形状の止め輪を長径に沿った方向にて直動軸受の外筒の環状溝に差し込むように装着することにより、環状溝に容易に挿入でき、その挿入後に外筒の環状溝の形状に沿う形で変形し、ほぼ真円状となる。
図13に、本発明に従う合成樹脂製の止め輪のさらに別の好ましい形状(C字形状)の例(A)(外筒端部への装着前)と、この止め輪の外筒端部の環状溝への装着後の形状(B)を示す。本発明の合成樹脂製のC字形状の止め輪は、図12の(A)と(B)に示されているように、止め輪の円環が半径方向に切断された不連続の形状にあり、その切断された部位に沿う止め輪の両端部が、円環の平面に沿って互いに重ね合わせることができる形状を持つ。図13に示すC字形状の合成樹脂製止め輪では、その切断された部位に沿う止め輪の両端部が相互に重ね合わされて係合するような形状とされている。ただし、このような複雑な係合形状ではなく、例えば、一方の端部が止め輪側面に沿ってくさび状に切断され、外筒の環状溝に装着された状態で、他方の端部が先のさび状の端部と重なり合うことができるような形状とすることもできる。
また、必ずしも合成樹脂製の止め輪の半径方向に切断する必要は無く、止め輪表面を半径方向に対して角度を斜め方向に切断することもできる。
図14の(A)、(B)は、本発明に従う合成樹脂製の止め輪の別の構成例(止め輪複合体)を示す部分断面図(A)、そして外筒端部の環状溝への装着後の状態を示す断面図(B)である。
図14において、止め輪20の内周縁の内側には、同様な環状物である環状シール部材28が装着され、全体として止め輪複合体を構成している。止め輪複合体において、止め輪20の内周面には、凸部及び/又は凹部が形成され、そしてこの止め輪の内周面の凸部及び/又は凹部のそれぞれに接合する凹部及び/又は凸部が環状シール部材28に形成されている。なお、環状シール部材28には、止め輪20の湾曲状態と水平状態のいずれの状態にあっても、その形状が容易に追随できるようにするための切り込みが形成されていてもよい。
図14に示した合成樹脂製の止め輪20に装着されている環状シール部材28は、外部環境からの直動軸受の内部への粉塵や埃の侵入防止や、直動軸受の内部に含まれている場合がある潤滑油などの油状物の外部への漏出防止の機能を示す。従って、本発明の直動軸受の使用環境を考慮して、環状シール部材が装着されていない止め輪、あるいは止め輪と環状シール部材とが組み合わされた止め輪複合体が使用される。なお、環状シール部材は通常、弾性を示すゴム材料から形成されるが、弾性を示す限り合成樹脂の形成によっても製造することができる。
なお、上記の止め輪複合体は、異種の合成樹脂から、所謂「二色成形」によって一体物として製造されたものでもよい。この一体成形物の止め輪複合体では、止め輪と環状シール部材との接合面は、単純な平滑面とすることもできる。
10 直動軸受
11 外筒
11a、11b 環状溝
12 球体保持具
13 球体
14a、11b 止め輪(金属材料製)
15 軸体
20 本発明の合成樹脂製の止め輪
21 大径部
22 小径部

Claims (7)

  1. 両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に円周に沿って形成された環状溝を備える外筒;この外筒の内部に装着された、外周面と内周面のそれぞれに外筒の長さ方向に伸びる細長い開口が形成されている筒状の球体保持器;そしてこの球体保持器内に、外周面と内周面のそれぞれに形成された上記開口を介して僅かに突出した状態での回転しながらの移動が可能なように収容保持されている球体群を含む直動軸受の外筒の上記環状溝に装着される円環の形状を持つ合成樹脂製止め輪であって、この合成樹脂製止め輪が、外筒の前記環状溝の内部にはめ込まれる大径部と、この大径部から厚み方向に延びる小径部とを含むように、円環の外周側側面から半径方向に沿って階段状に形成されていて、外筒の環状溝に装着される前の円環の形状が楕円であって、その楕円形状の円環の短径方向の外径を1とした時に、その長径方向の外径が1.02~1.20の範囲にあることを特徴とする合成樹脂製の止め輪。
  2. 両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に円周に沿って形成された環状溝を備える外筒;この外筒の内部に装着された、外周面と内周面のそれぞれに外筒の長さ方向に伸びる細長い開口が形成されている筒状の球体保持器;そしてこの球体保持器内に、外周面と内周面のそれぞれに形成された上記開口を介して僅かに突出した状態での回転しながらの移動が可能なように収容保持されている球体群を含む直動軸受の外筒の上記環状溝に装着される円環の形状を持つ合成樹脂製止め輪であって、この合成樹脂製止め輪が、外筒の前記環状溝の内部にはめ込まれる大径部と、この大径部から厚み方向に延びる小径部とを含むように、円環の外周側側面から半径方向に沿って階段状に形成されていて、外筒の環状溝に装着される前の円環の形状が楕円であって、その楕円形状の円環の内周部の短径方向に沿う対称位置のそれぞれに切り欠き部が形成されていることを特徴とする合成樹脂製の止め輪。
  3. 両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に円周に沿って形成された環状溝を備える外筒;この外筒の内部に装着された、外周面と内周面のそれぞれに外筒の長さ方向に伸びる細長い開口が形成されている筒状の球体保持器;そしてこの球体保持器内に、外周面と内周面のそれぞれに形成された上記開口を介して僅かに突出した状態での回転しながらの移動が可能なように収容保持されている球体群を含む直動軸受の外筒の上記環状溝に装着される円環の形状を持つ合成樹脂製止め輪であって、この合成樹脂製止め輪が、外筒の前記環状溝の内部にはめ込まれる大径部と、この大径部から厚み方向に延びる小径部とを含むように、円環の外周側側面から半径方向に沿って階段状に形成されていて、外筒の環状溝に装着される前の円環の形状が楕円であって、その楕円形状の円環の内周部の短径方向に沿う対称位置のそれぞれに切り欠き部が形成され、そしてそれらの切り欠き部を結ぶ仮想線を折り目として折り曲げられた形状にあることを特徴とする合成樹脂製の止め輪。
  4. 両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に円周に沿って形成された環状溝を備える外筒;この外筒の内部に装着された、外周面と内周面のそれぞれに外筒の長さ方向に伸びる細長い開口が形成されている筒状の球体保持器;そしてこの球体保持器内に、外周面と内周面のそれぞれに形成された上記開口を介して僅かに突出した状態での回転しながらの移動が可能なように収容保持されている球体群を含む直動軸受の外筒の上記環状溝に装着される円環の形状を持つ合成樹脂製止め輪であって、この合成樹脂製止め輪が、外筒の前記環状溝の内部にはめ込まれる大径部と、この大径部から厚み方向に延びる小径部とを含むように、円環の外周側側面から半径方向に沿って階段状に形成されていて、上記円環の内周面に、合成樹脂製の止め輪よりも柔軟な合成樹脂材料もしくはゴム材料の成形により得られた環状シール部材が装着されていることを特徴とする合成樹脂製の止め輪。
  5. 両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に円周に沿って形成された環状溝を備える外筒;この外筒の内部に装着された、外周面と内周面のそれぞれに外筒の長さ方向に伸びる細長い開口が形成されている筒状の球体保持器;そしてこの球体保持器内に、外周面と内周面のそれぞれに形成された上記開口を介して僅かに突出した状態での回転しながらの移動が可能なように収容保持されている球体群を含む直動軸受の外筒の上記環状溝に装着される円環の形状を持つ合成樹脂製止め輪であって、この合成樹脂製止め輪が、外筒の前記環状溝の内部にはめ込まれる大径部と、この大径部から厚み方向に延びる小径部とを含むように、円環の外周側側面から半径方向に沿って階段状に形成されていて、外筒の環状溝に装着される前の円環の形状が楕円形状を持ち、かつ楕円形状の長軸方向で湾曲していることを特徴とする合成樹脂製の止め輪。
  6. 両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に円周に沿って形成された環状溝を備える外筒;この外筒の内部に装着された、外周面と内周面のそれぞれに外筒の長さ方向に伸びる細長い開口が形成されている筒状の球体保持器;そしてこの球体保持器内に、外周面と内周面のそれぞれに形成された上記開口を介して僅かに突出した状態での回転しながらの移動が可能なように収容保持されている球体群を含む直動軸受の外筒の上記環状溝に装着される円環の形状を持つ合成樹脂製止め輪であって、この合成樹脂製止め輪が、外筒の前記環状溝の内部にはめ込まれる大径部と、この大径部から厚み方向に延びる小径部とを含むように、円環の外周側側面から半径方向に沿って階段状に形成されていて、上記円環が半径方向に切断された不連続のC字型の形状にあり、その切断された部位に沿う止め輪の両端部が、円環の平面に沿って互いに重ね合わせることができる形状を持つことを特徴とする合成樹脂製の止め輪。
  7. 両端部のそれぞれの近傍の内周側表面に円周に沿って形成された環状溝を備える外筒;この外筒の内部に装着された、外周面と内周面のそれぞれに外筒の長さ方向に延びる細長い開口が形成されている筒状の球体保持器;そしてこの球体保持器内に、外周面と内周面のそれぞれに形成された開口を介して僅かに突出した状態での回転下の移動が可能なように収容保持されている球体群を含む直動軸受であって、外筒の環状溝に、請求項1-5のいずれかの項に記載の合成樹脂製の止め輪が装着されている直動軸受。
JP2019152569A 2018-10-11 2019-08-23 直動軸受用止め輪及び直動軸受 Active JP7125131B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018192486 2018-10-11
JP2018192486 2018-10-11

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020063839A JP2020063839A (ja) 2020-04-23
JP7125131B2 true JP7125131B2 (ja) 2022-08-24

Family

ID=70388172

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019152569A Active JP7125131B2 (ja) 2018-10-11 2019-08-23 直動軸受用止め輪及び直動軸受

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7125131B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021090757A1 (ja) * 2019-11-08 2021-05-14 ヒーハイスト株式会社 直動軸受用止め輪及び直動軸受

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018181928A1 (ja) 2017-03-31 2018-10-04 ヒーハイスト精工株式会社 直動軸受およびハウジング付き直動軸受

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3012018A1 (de) * 1980-03-28 1981-10-08 Skf Kugellagerfabriken Gmbh Waelzlager fuer laengsbewegungen
JPH10153216A (ja) * 1996-11-22 1998-06-09 Nippon Seiko Kk 直動装置のシール装置
JP3025491B1 (ja) * 1999-01-11 2000-03-27 日本ベアリング株式会社 軸受部材

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018181928A1 (ja) 2017-03-31 2018-10-04 ヒーハイスト精工株式会社 直動軸受およびハウジング付き直動軸受

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020063839A (ja) 2020-04-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7637665B2 (en) Bearing assembly and resilient seal element
JP4861307B2 (ja) サスペンションジョイントおよびベアリング
JP3965136B2 (ja) ボールジョイントシール
US20040141672A1 (en) Resin-made ball retainer for a rolling bearing
JP7125131B2 (ja) 直動軸受用止め輪及び直動軸受
CA2780928C (en) External bearing shroud
CN108105265A (zh) 密封装置,特别适用于滚动轴承
CN106122263B (zh) 包括弹性轴承凸缘的轴承
US10788075B2 (en) Ball bearing
WO2021090757A1 (ja) 直動軸受用止め輪及び直動軸受
CN106996420B (zh) 包括设置有线材的保持架和密封件的滚珠轴承
KR102665513B1 (ko) 직동 베어링용 리테이닝 링 및 직동 베어링
CN106931038B (zh) 包括设置有线材的保持架和密封件的轴承
KR102022369B1 (ko) 케이지 변형이 억제되는 구름 베어링
JP2008190663A (ja) 玉軸受
JP2004060677A (ja) 転がり軸受
JP6707869B2 (ja) ボールねじ用シール、ボールねじ
JP2017003112A (ja) 直動装置
CN106122284B (zh) 包括密封凸缘的轴承
CN109751340B (zh) 密封结构
JP2009299873A (ja) 密封装置
KR20230145486A (ko) 밀봉 장치
JP2018155346A (ja) 滑り軸受装置
GB2122701A (en) An assembly of a sleeve and a seal

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220203

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20220203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220427

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220617

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220707

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220804

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7125131

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150