以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.背景
2.本開示の概要
3.デバイスの機能構成
4.デバイスの動作
5.様々なUI
6.むすび
<1.背景>
まず、本開示の背景について説明する。
上記のとおり、近年、センサの低消費電力化・小型化が進展し、センサが様々な物品に備えられるようになっている。また、センサを備える小型のタグデバイスが開発され、ユーザは、当該タグデバイスを所望の物品に装着させることができるようになっている。そして、それらのセンサによって取得されたセンシングデータを用いた様々な技術が開発されている。例えば、指紋認証や虹彩認証のようにセンシングデータを用いてユーザ認証を行う技術が開示されている。
ここで、各種センサを用いたユーザ認証においては、簡易な方法で精度の高いユーザ認証を実現することが困難となる場合があった。例えば、指紋認証や虹彩認証によってユーザ認証が行われる場合、ユーザは所定の動作(指紋情報取得部へ指を接触させる動作、撮像部によって虹彩を撮像させる動作等)を行うことが求められるため相当の手間が発生する。また、ユーザがスマートフォンを携帯していることがセンサによって検出された場合に、携帯状態が終了するまでの期間は、ユーザ認証を行ったものとみなしてスマートフォンのロックを解除するという機能が存在する。この場合、第三者が移動中のユーザからスマートフォンを取得すれば、自由にスマートフォンを操作することができてしまう。以上から、より簡易な方法で精度の高いユーザ認証を実現することが求められている。
また、各種センサを用いて行動予測が行われる場合もある。例えば、GNSSセンサからのセンシングデータとユーザの過去の行動履歴に基づいて将来のユーザの行動予測が行われる場合がある。この場合、ユーザが相当程度移動しなければ行動予測を行うことができなかった。そのため、行動予測に基づいて忘れ物等の通知が行われる場合に、当該通知のタイミングが遅れる場合があった(例えば、自宅を出発する前に通知を行うことが困難であった)。また、ユーザが所定の目的で向かう場所と別の目的で向かう場所があまり離れていない場合、GNSSセンサを用いる行動予測では目的の違いを判別することができず、適切に行動予測を行うことができない場合があった。
また、センサが備えられた各種物品を管理するために、ユーザに求められる対応の負荷が高い場合があった。例えば、センサを備えるタグデバイスがユーザ所望の物品に装着される場合、ユーザは、当該物品に関する情報(物品の属性等)を所定の装置に入力することが求められる場合があった。また、ユーザが、センサを備えた各種物品を使用し始める際に、当該物品の所有者が自分であることを入力(認証)することが求められる場合があった。これらの場合、入力操作に慣れていないユーザが、入力に相当の時間を要したり、誤った入力をしたりしてしまう場合があった。
また、近年、インターネット等を介して個人間売買を行うことが可能な各種サービスが普及してきている。さらに、物品や場所等を複数の人と共有するシェアリングエコノミーサービスも浸透してきている。これらのサービスで取り扱われる物品等は、従来、その状態を適切に評価されない場合があった。
例えば、個人間売買を含む中古品市場においては、中古品買取店の店員がその時の物品の状態のみに基づいて評価を行い、当該物品が取り扱われてきた履歴情報等を考慮することができない場合が多かった。そのため、評価の精度は、店員等のスキルに依存しており安定していなかった。例えば、評価の精度は、店員間または店舗間で互いに異なっていた。また、中古品が販売される時には、当該中古品の状態が販売店独自の方法で表示される。例えば、中古品の状態は、「Aランク」、「Bランク」等のようにランク付けがされて表示されたり、「美品」、「傷あり」、「汚れあり」等のように定性的かつ主観的な特徴が表示されたりする。これらの表示は、販売店毎に異なり、かつ、評価基準も異なる。そのため、特に、インターネットを介する売買のように実物を確認することができない場合には、購入者は、これらの表示を見ただけでは購入の可否を決定することができない場合がある。
また、シェアリングエコノミーサービスにおいては、貸与者は、借用者が貸与物をどのように扱うかを事前に知ることができないため、借用者へ貸与することのリスクを適切に評価することができない。そのため、例えば、貸与者が、リスクを過大評価し保険を過剰にかけることで、貸与者の利益が損なわれたり、貸出価格が高くなったことが原因で借用者と折り合いがつかず機会損失が生じたりする可能性がある。一方、貸与者が、リスクを過小評価することで、貸与物の毀損が完全に補償されない可能性がある。借用者の立場から考えると、例えば、借用者が物品を丁寧に扱うユーザである場合にも、リスクが過大評価されることで、高額な貸出価格を支払わなければならない可能性がある。
さらに、借用者と実際の使用者が異なる場合がある。例えば、借用者が物品を借用した後に、当該物品を別人に使用させる(換言すると、転貸しをする)場合がある。この場合、実際の使用者が物品を粗悪に扱うユーザである場合には、貸与者の想定以上の大きな損害が発生する可能性がある。
本件の開示者は上記事情に鑑みて本技術に想到するに至った。以降では、本開示に係る技術について詳細に説明をしていく。
<2.本開示の概要>
上記では、本開示の背景について説明した。続いて、図1および図2を参照して、本開示の概要について説明する。
本開示はセンサ機能および通信機能を備えた情報処理装置であるデバイス(以降、「デバイス100」と呼称する)によって実現される。デバイス100は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、GNSSセンサ等の機能を有しており、これらのセンシングデータに基づいてユーザ認証等を行うことができる情報処理装置である。なお、上記はあくまで一例であり、デバイス100が有するセンサ機能は任意である。例えば、デバイス100は、地磁気センサ、気圧センサ、温度センサ、振動センサ、音声センサ、心拍センサ、脈波センサ、近接センサ、照度センサ、圧力センサ、発汗センサ、pHセンサ、湿度センサ、赤外線センサ等、人の動きに起因する物理変化ないし化学変化等を捉えることが可能なセンサ機能であればどのようなセンサ機能を有していてもよい。
デバイス100は、様々な物品に内蔵されたり、装着されたりすることができる程度に小型な装置であることを想定する。例えば、図1のように、デバイス100は、メガネ102、鞄103、時計104等の物品に内蔵されてもよいし、デバイス100が内蔵されたタグデバイス101が、鍵101a、傘101b、靴101c、ベルト101d、被服101e等に装着されてもよい。なお、上記はあくまで一例であり、デバイス100の大きさ、内蔵される物品ないし装着される物品は特に限定されない。また、図1にはICチップの形状を有したデバイス100を表しているが、デバイス100の形状は特に限定されない。
また、通信機能を備えるデバイス100は、様々な装置と通信を行うことができる。例えば、図2に示すように、デバイス100は、他のデバイス100(2Aを参照。図中ではデバイス100a~デバイス100cを例示)、任意の情報処理装置200(2Bを参照。図中ではスマートフォン200を例示)、または、所定のネットワーク上の情報処理装置300(2Cを参照。図中ではクラウドネットワーク上のサーバ300を例示)と無線通信を行ってもよい。なお、図2はあくまで一例であり、図2に示す通信形態以外の通信形態が用いられてもよい。本書では、2Aに示すように、デバイス100が他の各デバイス100と無線通信を行うことで、本開示に係る様々な機能を実現する場合を一例として説明する。
本開示に係るデバイス100は、二つ以上のデバイス100から取得された、ユーザによるデバイス100の携帯状態に関する情報に基づいてユーザ認証を行うことができる。例えば、デバイス100は、ユーザが携帯しているデバイス100の組み合わせ等に基づいてユーザを認証することができる。
より具体的には、ユーザがデバイス100を携帯している場合、デバイス100は、自装置に備えられる各種センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ等)に基づいて自装置が携帯されている状態にあることを認識する。そして、ユーザが二つ以上のデバイス100を携帯している場合、各デバイス100は相互に無線通信を行うことにより各デバイス100が携帯されている状態にあることを認識する。そして、デバイス100は、デバイス100が過去に携帯された際の履歴情報(以降、「携帯履歴情報」と呼称する)に基づいて、認証対象のユーザと携帯履歴情報におけるユーザとの相関に基づいてユーザ認証を行うことができる。
これによって、デバイス100は、より簡易な方法で精度の高いユーザ認証を実現することができる。より具体的には、上記のように、ユーザに携帯されている期間はユーザ認証を行ったものとみなしてスマートフォン等のロックを解除する機能に比べて、ユーザによるデバイス100の携帯履歴情報に基づいてユーザ認証が行われるため、デバイス100は、より高い精度のユーザ認証を実現することができる。また、ユーザ認証のために所定の動作(指紋情報取得部へ指を接触させる動作、虹彩を撮像部に撮像させる動作等)が求められる指紋認証や虹彩認証に比べて、本開示においては、ユーザが普段通りにデバイス100を携帯するだけでユーザ認証が行われるため、デバイス100は、より簡易な方法でユーザ認証を実現することができる。
また、デバイス100は、ユーザによる各デバイス100の携帯方法も考慮してユーザ認証を行うことができる。より具体的には、デバイス100は、各種センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ等)に基づいてユーザによる各デバイス100の携帯方法を認識する。ここで、「携帯方法」とは、デバイス100が携帯される各種態様を表す。例えば、デバイス100は、各デバイス100の保持態様(身体の一部(顔、耳、首、手、腕、腰、足等)に装着されている、ポケット(胸ポケット、ズボンの前後のポケット等)もしくは鞄(ショルダーバック、バックパック、トートバック等)に入れられている等)や、各デバイス100を携帯するユーザの移動方法(歩いている、走っている、各種乗り物(自転車、自動車、バス、電車、船、飛行機等)に乗っている等)を認識する。そして、デバイス100は、認証対象のユーザと携帯履歴情報におけるユーザとの相関の算出の際に、各デバイス100の携帯方法という要素も追加する。これによって、デバイス100は、ユーザ認証の精度をより向上させることができる。
なお、上記はあくまで一例であり、ユーザ認証方法は特に限定されない。より具体的には、ユーザ認証に用いられる情報は、デバイス100の組み合わせや携帯方法だけでなく、各デバイス100の携帯状態の関係性を表す情報であれば何でもよい。例えば、デバイス100は、ユーザが各デバイス100を携帯するタイミングや順番等に基づいてユーザ認証を行ってもよい。各デバイス100を携帯するタイミングや順番等についてユーザ固有の傾向がある場合、デバイス100は、ユーザ認証の精度をより向上させることができる。
また、デバイス100は、二つ以上のデバイス100から取得された、ユーザによるデバイス100の携帯状態に関する情報に基づいてユーザの行動を予測することもできる。例えば、デバイス100は、ユーザが携帯しているデバイス100の組み合わせに基づいてユーザの行動を予測することができる。より具体的には、デバイス100は、複数の行動と各行動が行われる際のデバイス100の組み合わせとを対応付けて携帯履歴情報として記憶している。そして、デバイス100は、ユーザが携帯しているデバイス100の組み合わせと、携帯履歴情報における各動が行われる際のデバイス100の組み合わせとの相関値を算出し、当該相関値に基づいてユーザの行動を予測することができる。
これによって、デバイス100は、より早いタイミングで行動予測を行うことができる。より具体的には、行動予測にGNSSセンサ等が用いられる場合には、ユーザが相当程度移動するまで行動予測が精度高く行われない。一方、デバイス100は、ユーザが各デバイス100を携帯した時点(または携帯する過程)で行動予測を行うことができるため、より早いタイミングで行動予測を行うことができる。
また、デバイス100は、GNSSセンサ等に基づく行動予測に比べて予測精度をより向上させることができる場合がある。例えば、ユーザが所定の目的で向かう場所(例えば、仕事のために向かうオフィス等)と、別の目的で向かう場所(例えば、レジャー施設)があまり離れていない場合、GNSSセンサ等に基づく行動予測では、ユーザの行動の予測精度が低減する場合がある。また、同一の目的でも向かう場所が毎回異なる場合(例えば、オフィスが毎回変わる場合等)においても同様に、ユーザの行動の予測精度が低減する場合がある。一方、ユーザの携帯物は目的に応じて異なるため(例えば、オフィスに向かう際の携帯物とレジャー施設に向かう際の携帯物は互いに異なる)、デバイス100は、より高い精度でユーザの行動を予測できる場合がある。なお、上記はあくまで一例であり、行動予測の方法は特に限定されない。例えば、デバイス100は、上記と同様に、各デバイス100の携帯方法、携帯されるタイミングや順番等を考慮して行動予測を行ってもよい。
また、デバイス100は、行動予測結果に基づいて各種処理を行ってもよい。例えば、デバイス100は、携帯されているデバイス100の過不足(例えば、忘れ物、不要な物等)をユーザに対して通知してもよい。より具体的には、デバイス100は、ユーザの行動と、各行動の際の携帯物とを対応付けて携帯履歴情報として記憶している。そして、デバイス100は、携帯履歴情報と行動予測結果に基づいてユーザが携帯することが望ましいと考えられるデバイス100(以降、「推薦デバイス100」と呼称する)を算出し、推薦デバイス100と現実に携帯されているデバイス100とを比較することで、デバイス100の過不足をユーザに通知することができる。なお、上記はあくまで一例であり、行動予測結果に基づいて行われる処理内容は上記に限定されない。
また、二人以上のユーザがデバイス100を共有している場合、デバイス100は、各ユーザが共通のグループ(家族、親しい友人、サークルメンバー、同僚等)に属していることを認識できる。そして、デバイス100は、各デバイス100の共有状況に基づいて各ユーザの関連性(または信頼度等)の高さを認識することができる。例えば、デバイス100は、ユーザ間で共有されている各デバイス100の重要度、または、共有されているデバイス100の数等に応じて各ユーザの関連性の高さを認識することができる。より具体的には、ユーザ間で共有されている各デバイス100の重要度が高いほど、また、共有されているデバイス100の数が多いほど、デバイス100は、各ユーザの関連性は高いと認識することができる。なお、デバイス100は、関連性の高さだけでなく、グループの属性等も認識することができる。例えば、「自宅の鍵」が二人以上のユーザで共有されている場合、デバイス100は、各ユーザが家族である(各ユーザが「家族」という属性のグループに所属している)と認識することができる。
また、デバイス100は、自装置(またはデバイス100が装着された装置)のカテゴリを認識することができる。ここで、「カテゴリ」とは、デバイス100の種類(例えば、「メガネ」、「鞄」、「時計」、「傘」、「靴」、「ベルト」、「被服」等)、デバイス100の所有者(「父親の物」、「A氏(個人氏名)の物」等)、デバイス100の所有グループ(「家族の物」、「B団体の物」等)、デバイス100の用途もしくは目的(「テニスセット」、「仕事セット」、「避難セット」等)、デバイス100が使用される期間、時刻もしくは場所(「冬季に使用される物」、「C月からD月に使用される物」、「朝に使用される物」、「E時からF時に使用される物」、「家で使用される物」等)等を表す概念である。なお、上記はあくまで一例であり、カテゴリの内容は上記に限定されない。また、カテゴリは一つのデバイス100に複数設定されてもよい。例えば、デバイス100が父親のコートに装着されている場合、「被服(コート)」、「父親の物」、「家族の物」、「冬季に使用される物」等がカテゴリとして設定されてもよい。
また、デバイス100は、自装置のカテゴリを認識していない場合(例えば、デバイス100が購入された直後、または、デバイス100が所定の物品に装着された直後等)、ユーザによるデバイスの携帯状態に基づいて自装置のカテゴリを認識することもできる。より具体的には、デバイス100は、カテゴリが既知である他のデバイス100との通信で得られた各デバイス100の携帯履歴情報と、自装置の携帯履歴情報との比較等によって、自装置のカテゴリを認識することができる。例えば、デバイス100が靴(または靴に装着されたデバイス100)である場合、他の靴の携帯履歴情報と自装置の携帯履歴情報とが類似していることに基づいて自装置のカテゴリが「靴」であることを認識できる。なお、デバイス100は、「靴」以外のカテゴリである、「父親の物」、「テニスセット(テニスシューズ)」等を認識してもよい。
これによって、各デバイス100を管理するユーザの負荷が軽減され得る。すなわち、ユーザがデバイス100に関するカテゴリ等の各種情報を登録しなくても、各デバイス100は、主体的に自装置に関する各種情報を認識することができる。
また、デバイス100は、自装置のカテゴリに基づいて各種動作を行うことができる。例えば、デバイス100は、同一もしくは所定の関係にあるカテゴリを有する他のデバイス100から携帯履歴情報を入手することができる。より具体的には、デバイス100の携帯履歴情報が少ない場合(例えば、デバイス100が購入された直後、または、デバイス100が所定の物品に装着された直後等)、当該デバイス100は、同一もしくは所定の関係(例えば、関連性の高い関係)にあるカテゴリを有する他のデバイス100の携帯履歴情報を入手することで、上記のユーザ認証や行動予測等の各種処理に用いてもよい。これによって、デバイス100は、自装置の携帯履歴情報が少ない場合でも、他のデバイス100の携帯履歴情報を有効に活用することができる。また、デバイス100は、自装置のカテゴリに基づいて通信対象を決定してもよい。例えば、デバイス100が「家族の物」というカテゴリを有している場合、他のデバイス100のうち「家族の物」という同一のカテゴリを有しているデバイス100を通信対象に決定してもよい。これによって、デバイス100は、関係のない第三者のデバイス100と通信を行うことを防ぐことができる。
また、デバイス100は、ユーザによる過去の使用状況を記憶しておくことで当該デバイス100の状態を適切に評価することができる。より具体的には、デバイス100は、自装置に備えられる各種センサ(例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ等)に基づいて自装置がどのような扱われ方をしているかを認識する。例えば、デバイス100は、各種センサに基づいて振動、回転、水没、分解もしくは改造等のイベントの有無またはそれらの程度を認識する。そして、デバイス100は、これらの情報に基づいて自装置の状態(または品質)を評価可能な指標値であるデバイス状態スコアを算出することができる。また、デバイス100は、デバイス状態スコアの信頼度を示す指標値(または信頼度そのもの)である信頼スコアも併せて算出することができる。デバイス状態スコアおよび信頼スコアの算出方法については後述する。なお、デバイス状態スコアおよび信頼スコアの算出に用いられるセンサおよびイベントは特に限定されない。また、デバイス状態スコアおよび信頼スコアを算出する装置は、評価対象のデバイス100自身であってもよいし、他のデバイス100であってもよいし、外部装置(例えば、クラウドサーバ等)であってもよい。
また、デバイス100は、ユーザによる各デバイス100の使用状況等に基づいて、ユーザがデバイス100をいかに適切に(または丁寧に)使用できるかを示す指標値(以降、「ユーザ物品使用スコア」と呼称する。ユーザ物品使用スコアは、ユーザによるデバイス100の使用の適正を示す値とも言える)を算出することができる。より具体的には、デバイス100は、デバイス状態スコア、信頼スコアおよび外部システムからの評価等を総合的に考慮してユーザ物品使用スコアを算出することができる。ユーザ物品使用スコアの算出方法については後述する。
上記のように、デバイス状態スコアと信頼スコアによるデバイス100の状態の評価、および、ユーザ物品使用スコアによるユーザの評価が行われることによって、デバイス100の状態の表示および価格設定等をより適切に行うことが可能になる。また、例えば、ユーザ毎に異なる状態のデバイス100を貸与すること等が可能になる。これらの詳細については後述する。
また、シェアリングエコノミーサービス等において、デバイス100は、借用者と実際の使用者が異なることを検出することができる。より具体的には、上記のとおり、デバイス100は、各種センサに基づいてユーザ認証を行うことができるため、デバイス100の使用者を認証することで、借用者と実際の使用者が異なるか否かを判断することができる。これによって、借用者と実際の使用者が異なる場合には、デバイス100の使用を中止させたり、使用者のユーザ物品使用スコア等に応じて貸出価格を再設定したりすること等が可能となる。
また、本開示においては、デバイス100に関する様々なUIが提供される。例えば、デバイス100の管理に用いられるUI、携帯すべきデバイス100の推薦に用いられるUI、忘れ物の通知に用いられるUI、ユーザ認証の状況を示すUI、デバイス100の販売価格等を表示するUI、または、ユーザが自らのユーザ物品使用スコア等を確認できるUI等が提供される。各UIの詳細については後述する。
<3.デバイスの機能構成>
上記では、本開示の概要について説明した。続いて、図3を参照して、デバイス100の機能構成について説明する。なお、以下に説明する各機能構成の機能はあくまで一例であり、特に限定されるものではない。
図3に示すように、デバイス100は、取得部110と、解析部120と、記憶部130と、通信部140と、制御部150と、を備える。
(取得部110)
取得部110は、デバイス100に備えられる各種センサからのセンシングデータを取得する。取得部110は、取得したセンシングデータを記憶部130に格納する。
(解析部120)
解析部120は、取得部110によって取得されたセンシングデータを解析することで、各種処理を実現する。例えば、解析部120は、デバイス100を携帯するユーザを認証する認証部として機能する。また、解析部120は、デバイス100を共有する二人以上のユーザの関連性を認識する関連性認識部としても機能する。また、解析部120は、デバイス100を携帯するユーザの行動予測を行う行動予測部としても機能する。また、解析部120は、デバイス100のカテゴリを認識するカテゴリ認識部としても機能する。また、解析部120は、デバイス100に過去発生したイベント等に基づいて当該デバイス100の状態または品質を示す値(デバイス状態スコア)を算出するデバイス状態算出部としても機能する。さらに、解析部120は、ユーザによって過去に使用されたデバイス100のデバイス状態スコアおよび信頼スコアに基づいて当該ユーザによるデバイス100の使用の適正を示す値(ユーザ物品使用スコア)を算出するユーザ適正算出部としても機能する。解析部120の機能の詳細については後述する。
(記憶部130)
記憶部130は、各種情報を記憶する。例えば、記憶部130は、取得部110によって取得されたセンシングデータ、解析部120ないし制御部150の処理に用いられる各種情報、解析部120ないし制御部150の処理結果等を記憶する。また、記憶部130は、デバイス100の各機能構成によって使用されるプログラムまたはパラメータ等を記憶してもよい。
(通信部140)
通信部140は、他装置との通信を行う。例えば、通信部140は、取得部110によって取得されたセンシングデータ、解析部120ないし制御部150によって生成された処理データ等を、無線通信によって他のデバイス100へ送信する。また、通信部140は、他のデバイス100から上記と同様のデータを受信してもよい。
(制御部150)
制御部150は、上記で説明した各機能構成の処理を統括的に制御する。また、制御部150は、解析部120の解析結果に基づいて各種処理を制御する。例えば、制御部150は、携帯することが推薦されるデバイス100を出力する推薦部として機能し、ユーザに対して忘れ物や不要な物等を通知する。また、制御部150は、デバイス100の携帯状態に基づいてデバイス100の所有者を登録する登録部としても機能する。また、制御部150は、デバイス100のカテゴリに基づいて他のデバイス100との連携(携帯履歴情報の共有等)を制御する。また、制御部150は、デバイス100が第三者に携帯されている場合にその旨を所有者へ通知する。また、制御部150は、現在または過去におけるデバイス100の携帯状態に関する情報の表示を制御する。さらに、制御部150は、ユーザ認証の結果に基づいて自装置または他装置の処理を制御する(例えば、ドアやスマートフォン等のロック解除等)。制御部150の機能の詳細については後述する。
<4.デバイスの動作>
上記では、デバイス100の機能構成について説明した。続いて、デバイス100の動作について説明する。
(4-1.携帯認識)
まず、図4を参照して、ユーザによるデバイス100の携帯有無を判定する動作(以降、「携帯認識」と呼称する)について説明する。
ステップS1000では、解析部120がセンシングデータに基づいてユーザの行動認識を行う。より具体的には、解析部120は、センシングデータの特徴量を抽出し、事前に機械学習等によって生成された行動モデルに対して当該特徴量を入力する。そして、解析部120は、行動モデルにおける各行動の特徴量と入力した特徴量とを比較することで、ユーザの行動を認識する。当該処理はあくまで一例であり、行動認識処理はこれに限定されない。
ステップS1004では、解析部120が、行動認識の結果とその他の各種情報に基づいて携帯認識スコアの算出を行う。「携帯認識スコア」とは、あるデバイス100がユーザに携帯されているか否かを表す指標値である。
ステップS1008では、解析部120は、近接認識(S1008a)、動き認識(S1008b)、行動認識(S1008c)、ユーザ入力認識(S1008d)等の各種認識処理を行う(行動認識については、ステップS1000の処理結果が用いられてもよい)。なお、これらの処理はあくまで一例であり、行われる処理は、これらに限定されるものではない。
「近接認識(S1008a)」とは、認識対象であるデバイス100以外に、ユーザに携帯されていることが判明しているデバイス100が存在する場合にて、当該携帯されているデバイス100と、認識対象であるデバイス100との離隔距離を算出する処理を指す。仮に、携帯されているデバイスと認識対象であるデバイス100が所定の距離以内に位置する場合、認識対象であるデバイス100も共に携帯されている可能性が高い。
「動き認識(S1008b)」とは、例えば、認識対象であるデバイス100の加速度センサによるデバイス100の動きを検出する処理を指す。認識対象であるデバイス100による動き認識の確信度が高いほど、当該デバイス100がユーザに携帯されている可能性が高い。なお、加速度センサ以外のセンサが用いられてもよい。
「行動認識(S1008c)」の内容は、上記のとおりである。認識対象であるデバイス100による行動認識の確信度が高いほど、当該デバイス100はユーザに携帯されている可能性が高い。
「ユーザ入力認識(S1008d)」とは、ユーザ操作によって入力されたデバイス100の携帯有無を認識する処理を指す。デバイス100を携帯していることがユーザによって明示的に入力された場合、当該デバイス100はユーザに携帯されている可能性が高い。なお、明示的な入力ではなく、ユーザがデバイス100を携帯していると推認できるような何らかの入力によってユーザ入力認識が行われてもよい。
ステップS1012では、解析部120は、式1のように、近接認識、動き認識、行動認識、および、ユーザ入力認識のそれぞれの結果(確信度)に対して重み係数による重み付けが施された値を合算することで携帯認識スコアを算出する。
ステップS1016では、解析部120が、算出した携帯認識スコアと所定の閾値とを比較する。そして、解析部120は、携帯認識スコアが所定の閾値よりも高ければ、デバイス100はユーザに携帯されていると判定し、携帯認識スコアが所定の閾値以下であれば、デバイス100はユーザに携帯されていないと判定する。
上記の動作によって解析部120は、ユーザによるデバイス100の携帯有無をより高い精度で認識することができる。なお、上記の動作は、あくまで一例であり適宜変更され得る。例えば、ステップS1008の各種認識処理は、並行して行われてもよいし、要求されている精度等に応じて段階的に行われたり一部省略されたりしてもよい。
また、解析部120は、図5に示すように、携帯認識よりも負荷が低い処理を携帯認識と組み合わせることで消費電力を低減させてもよい。
例えば、ステップS1100にて携帯認識が行われ、デバイス100が携帯されていることが認識された後は、ステップS1104にて、解析部120は、加速度センサ等によって、携帯認識よりも負荷が低い処理である動き認識を一定時間毎に繰り返してもよい。そして、所定値よりも大きな動きの変化が検出されない場合(換言すると、ユーザが同様の動作を継続している場合)(ステップS1108/No)には、解析部120は、引き続き動き認識を一定時間毎に繰り返す。一方、所定値よりも大きな動きの変化が検出された場合(ステップS1108/Yes)、処理がステップS1100に戻り、解析部120が携帯認識を行う。
上記の動作によって、解析部120は、消費電力を低減させることができる。すなわち、解析部120は、消費電力が高い携帯認識を常に継続するのではなく、ユーザの動きが大きく変化しない場合には携帯状態に大きな変化がないと認識して、より負荷が低い動き認識を行うことによって、デバイス100が携帯されているか否かの認識精度を高く維持した状態で消費電力を低減させることができる。なお、上記の動作は、あくまで一例であり適宜変更され得る。
(4-2.携帯位置認識)
続いて、図6を参照して、デバイス100が携帯されている位置(身体の一部(顔、耳、首、手、腕、腰、足等)に装着されている、ポケット(胸ポケット、ズボンの前後のポケット等)もしくは鞄(ショルダーバック、バックパック、トートバック等)に入れられている等)を判定する動作(以降、「携帯位置認識」と呼称する)について説明する。
ステップS1200では、図4または図5で示した携帯認識が行われる。そして、デバイス100がユーザに携帯されていると認識された場合には、ステップS1204にて、解析部120がセンシングデータに基づいて携帯位置認識を行う。例えば、解析部120は、加速度センサやジャイロセンサからのセンシングデータの特徴量を抽出し、事前に機械学習等によって生成された携帯位置モデルに対して当該特徴量を入力する。そして、解析部120は、携帯位置モデルにおける各携帯位置の特徴量と入力した特徴量とを比較することで、デバイス100の携帯位置を認識する。これはあくまで一例であり、携帯位置の認識方法はこれに限定されない。
例えば、カテゴリが既知のデバイス100については、解析部120は、上記の携帯位置認識を省略したり、携帯位置の候補を選定したり、あり得ない携帯位置を除外したりした上で携帯位置認識を行ったりしてもよい。より具体的には、デバイス100のカテゴリが「靴」であれば、解析部120は、携帯位置を「足(足に装着)」とすることで携帯位置認識を省略してもよい。また、デバイス100のカテゴリが「傘」であれば、解析部120は、「手(把持する)」、「腕(腕にかける)」、「鞄(鞄に入れる)」等を携帯位置の候補として選定したり、傘の携帯位置としてあり得ない、「足(足に装着)」、「頭(頭に装着)」等を除外したりした上で携帯位置認識を行ってもよい。また、ユーザが入力部(図示無し)を用いて、デバイス100の携帯位置を入力することで、解析部120は携帯位置認識を省略してもよい。これらによって、解析部120は、消費電力をより低減させることができ、処理速度をより向上させることができる。
また、解析部120は、図7に示すように、携帯位置認識よりも負荷が低い処理を携帯位置認識と組み合わせることで消費電力を低減させてもよい。
例えば、ステップS1300にて携帯認識が行われ、デバイス100が携帯されていることが認識され、ステップS1304にて携帯位置認識が行われ、デバイス100が携帯されている位置が認識されたとする。その後、解析部120は、ステップS1308にて、携帯位置認識よりも負荷が低い処理である携帯認識を一定時間毎に繰り返してもよい。そして、デバイス100が携帯されている状態が継続している場合(ステップS1312/Yes)、解析部120は、引き続き携帯認識を一定時間毎に繰り返す。一方、デバイス100が携帯されている状態が継続していない場合(ステップS1312/No)、処理がステップS1304に戻り、解析部120が再び携帯位置認識を行う。
上記の動作によって、解析部120は、消費電力を低減させることができる。すなわち、解析部120は、消費電力が高い携帯位置認識を常に継続するのではなく、携帯状態が継続している場合には、携帯位置に変化がないと認識して、より負荷が低い携帯認識を行うことによって、携帯位置の認識精度を高く維持した状態で消費電力を低減させることができる。例えば、靴や腕時計等のように携帯(装着)される位置が限られ、一度携帯されるとその位置が変わる可能性が低いデバイス100については上記の処理が特に有効である。また、解析部120は、カテゴリ等に基づいてデバイス100が靴や腕時計等の場合には携帯位置認識を適宜省略したり負荷の低い処理に変更したりしてもよい。なお、上記の動作は、あくまで一例であり適宜変更され得る。
(4-3.同一人物携帯認識)
続いて、図8を参照して、同一人物に携帯されているデバイス100を判定する動作(以降、「同一人物携帯認識」と呼称する)について説明する。この動作によって、二人以上のユーザが互いに近く(所定の距離以内)に位置する場合、各デバイス100は、ユーザ毎に携帯されているデバイス100群を認識することができるため、後述する、ユーザを認証する動作を行うことができる。
まず、図示していないが、同一人物携帯認識が行われる前には、図4または図5で示した携帯認識が行われる。なお、図6または図7で示した携帯位置認識が併せて行われてもよい。そして、携帯認識により、デバイス100がユーザに携帯されていると認識された場合には、ステップS1400にて、解析部120は、デバイスリストから携帯状態のデバイス100を抽出する。
そして、解析部120は、ステップS1404にて、携帯状態のデバイス100のうち2つを選択し、ステップS1408にて、同一人物携帯スコアの算出を行う。「同一人物携帯スコア」とは、2つのデバイス100が同一人物に携帯されているか否かの判定に用いられる指標値である。
ステップS1412では、解析部120は、近接認識(S1412a)、動き認識(S1412b)、行動認識(S1412c)、携帯位置認識(S1412d)等の各種認識処理を行う(各種認識処理については、前段で行われた処理結果が用いられてもよい)。なお、これらの各種認識処理の内容は、上記のとおりである。また、これらの処理はあくまで一例であり、行われる処理は、これらに限定されるものではない。
「近接認識(S1412a)」によって、2つのデバイス100間の離隔距離が算出される。2つのデバイス100間の距離が近いほど、各デバイス100は同一ユーザに携帯されている可能性が高い。
「動き認識(S1412b)」によって、デバイス100の動きが検出される。2つのデバイス100の動きの相関値が高いほど、各デバイス100は同一ユーザに携帯されている可能性が高い。
「行動認識(S1412c)」によって、ユーザの行動が認識される。2つのデバイス100によって認識されたユーザの行動の相関値が高いほど、各デバイス100は同一ユーザに携帯されている可能性が高い。
「携帯位置認識(S1412d)」によって、デバイス100の携帯位置が認識される。2つのデバイス100の携帯位置が同一または類似である場合において、各デバイス100の動きに相関がある場合、各デバイス100は同一ユーザに携帯されている可能性が高い。
ステップS1416では、解析部120は、式2のように、近接認識、動き認識、行動認識、および、携帯位置認識のそれぞれの結果(確信度)に対して重み係数による重み付けが施された値を合算することで同一人物携帯スコアを算出する。
ステップS1420では、解析部120が、算出した同一人物携帯スコアと所定の閾値とを比較する。そして、解析部120は、同一人物携帯スコアが所定の閾値よりも高ければ、2つのデバイス100は同一人物に携帯されていると判定し、同一人物携帯スコアが所定の閾値以下であれば、2つのデバイス100は同一人物に携帯されていないと判定する。解析部120は、同一人物携帯スコアの算出および所定の閾値との比較を、携帯状態にあるデバイス100について総当たり的に繰り返す。当該処理の結果、ステップS1424では、解析部120が同一人物に携帯されているデバイス100のリスト(図中では「同一人物携帯デバイスリスト」と表している)を作成する。
上記の動作によって解析部120は、同一人物に携帯されているデバイス100をより高い精度で認識することができる。なお、上記の動作は、あくまで一例であり適宜変更され得る。例えば、ステップS1412の各種認識処理は、並行して行われてもよいし、要求されている精度等に応じて段階的に行われたり一部省略されたりしてもよい。
また、解析部120は、図9に示すように、同一人物携帯認識よりも負荷が低い処理を同一人物携帯認識と組み合わせることで消費電力を低減させてもよい。
例えば、ステップS1500にて携帯認識が行われ、デバイス100が携帯されていることが認識され、ステップS1504にて同一人物携帯認識が行われ、同一人物に携帯されているデバイス100が認識されたとする。なお、上記のとおり、携帯位置認識が併せて行われてもよい。その後、解析部120は、ステップS1508にて、同一人物携帯認識よりも負荷が低い処理である携帯認識を一定時間毎に繰り返してもよい。そして、同一人物に携帯されていると認識された全デバイス100の携帯状態が継続している場合(ステップS1512/Yes)、解析部120は、引き続き携帯認識を一定時間毎に繰り返す。一方、いずれかのデバイス100の携帯状態が変化した場合(ステップS1512/No)、処理がステップS1504に戻り、解析部120が再び同一人物携帯認識を行う。
上記の動作によって、解析部120は、消費電力を低減させることができる。すなわち、解析部120は、消費電力が高い同一人物携帯認識を常に継続するのではなく、携帯状態が継続している場合には、各デバイス100が継続的に同一人物に携帯されていると認識し、より負荷が低い携帯認識を行うことによって、同一人物携帯認識の精度を高く維持した状態で消費電力を低減させることができる。なお、上記の動作は、あくまで一例であり適宜変更され得る。
(4-4.携帯人物認識(ユーザ認証))
続いて、図10を参照して、デバイス100を携帯しているユーザを判定する動作(以降、「携帯人物認識」と呼称する。ユーザ認証と等価)について説明する。
まず、図示していないが、携帯人物認識が行われる前には、携帯認識、携帯位置認識および同一人物携帯認識が行われることを想定しているが、これに限定されない。
そして、解析部120は、ステップS1600にて、デバイス100を携帯しているユーザの候補が示されているユーザリストから一名を選択し、ステップS1604にて、携帯人物スコアの算出を行う。「携帯人物スコア」とは、リストから選択された一名と、携帯人物認識の対象となるユーザとの類似度を表す指標値である。
ステップS1608では、解析部120は、行動認識(S1608a)、携帯位置認識(S1608b)、携帯シーケンス認識(S1608c)等の各種認識処理を行う(行動認識または携帯位置認識については、前段で行われた処理結果が用いられてもよい)。また、これらの処理はあくまで一例であり、行われる処理は、これらに限定されるものではない。
「行動認識(S1608a)」によって、デバイス100の携帯状態を含むユーザの行動が認識される。ユーザリストから選択されたユーザと、認証対象のユーザとの行動の相関値が高いほど、各ユーザは同一人物である可能性が高い。
「携帯位置認識(S1608b)」によって、デバイス100の携帯位置が認識される。各ユーザについて、デバイス100の携帯位置の相関値が高い程、各ユーザは同一人物である可能性が高い。
「携帯シーケンス認識(S1608c)」とは、複数のデバイス100がユーザによって携帯されるタイミングを認識する処理を指す。例えば、ユーザが各デバイス100を携帯する順番(どのデバイス100を先に携帯するか、または、どのデバイス100を同時に携帯するか等)や、あるデバイス100を携帯してから別のデバイス100を携帯するまでの所要時間等についての相関値が高い程、各ユーザは同一である可能性が高い。
ステップS1612では、解析部120は、式3のように、行動認識、携帯位置認識、および、携帯シーケンス認識のそれぞれの結果(確信度)に対して重み係数による重み付けが施された値を合算することで携帯人物スコアを算出する。また、解析部120は、ユーザリストに示されている全員についての携帯人物スコアの算出が完了するまで処理を繰り返す。
ここで、図11および図12を参照して、携帯人物スコア算出のイメージについて説明する。図11の11Aおよび11Bは、ユーザリストから選択されたユーザの一部であるユーザAおよびユーザBによるデバイス100A~デバイス100Cの携帯履歴情報を時系列的に示している。そして、解析部120は、11Cに示した認証対象のユーザと、ユーザリストから選択されたユーザAおよびユーザBとの類似度を表す携帯人物スコアを算出する。
解析部120は、行動認識の結果として、各時間帯にいずれのデバイス100を携帯し、どのような行動をしているか等を認識し、携帯位置認識の結果として、デバイス100の携帯位置はどこか等を認識し、携帯シーケンス認識の結果として、各デバイス100をどのような順番で携帯したか等を認識する。そして、解析部120は、これらの要素に基づいて認証対象のユーザと、ユーザAおよびユーザBとの類似度を表す携帯人物スコアを算出する。例えば、11Aの方が、11Bよりも11Cに類似しているため、解析部120は、ユーザAの携帯人物スコアをユーザBよりも高く出力する。
また、解析部120は、各デバイス100の携帯状態が時系列的に示された図11ではなく、図12のように、各デバイス100の携帯状態が行動シーケンス毎に示された携帯履歴情報が用いられてもよい。「行動シーケンス」とは、ユーザが行った行動の順番に関する情報である。例えば、図12に示すように、携帯履歴情報には、各ユーザの典型的な行動の順番が示され、それぞれの行動時の各デバイス100の携帯状態が示されている。なお、各バー10の長さは、各行動時においてデバイス100が表記の携帯位置で携帯される確率を示している。デバイス100は、携帯履歴情報を行動シーケンス毎に記憶することによって、時系列的に記憶する場合に比べてデータ容量を圧縮することができる。
解析部120は、図11および図12のいずれの方法を用いて携帯人物スコアを算出してもよい。なお、比較対象とされる携帯履歴情報の期間は任意である。例えば、解析部120は、ユーザが一日の活動を開始した時点からの携帯履歴情報に基づいて携帯人物スコアを算出してもよい。また、解析部120はある時点におけるデバイス100の携帯状態に基づいて携帯人物スコアを算出してもよい。例えば、解析部120は、ある時刻や、ユーザがある行動を行う時点におけるデバイス100の携帯状態に基づいて携帯人物スコアを算出してもよい。これによって、例えば、ユーザが帰宅する直前に、自宅の鍵であるデバイス100が携帯人物スコアを算出しユーザ認証を可能にすることで、ユーザが鍵を用いて自宅に入れるようにすること等ができる。
また、解析部120は、デバイス100が携帯されていないことの情報も用いて携帯人物スコアを算出してもよい。例えば、解析部120は、ある時間帯にデバイス100Aが携帯されて、かつ、デバイス100Bが携帯されていないという情報に基づいて携帯人物スコアを算出してもよい。また、解析部120は、デバイス100が位置している場所の情報も用いて携帯人物スコアを算出してもよい。
そして、図10のステップS1616では、解析部120は、携帯人物スコアリストを作成する。「携帯人物スコアリスト」とは、ユーザ毎に携帯人物スコアが示されたリストである。ステップS1620では、解析部120は、携帯人物スコアリストの各スコアと所定の閾値とを比較する。「所定の閾値」とは、各ユーザと認証対象のユーザが同一人物である可能性の有無の境界値として設定される値であることを想定しているが、これに限定されない。これによって、解析部120は、認証対象のユーザと同一人物である可能性が無い(または、限りなく低い)ユーザを排除することができる。
認証対象のユーザと同一人物である可能性があるユーザが存在する場合(ステップS1624/Yes)、ステップS1628にて、解析部120が最大の携帯人物スコアを有するユーザを出力する。なお、解析部120は、複数の携帯人物スコアが拮抗している場合には該当する二人以上のユーザを出力してもよいし、携帯人物スコアリスト自体を出力してもよい。ユーザリスト中のいずれのユーザも、認証対象のユーザと同一人物ではないと考えられる場合(ステップS1624/No)には、そのまま処理が終了する。なお、解析部120は、該当者が存在しない旨の情報を出力してもよいし、携帯人物スコアの内容を出力してもよい。
上記の動作によって解析部120は、デバイス100を携帯しているユーザをより高い精度で認証することができる。なお、上記の動作は、あくまで一例であり適宜変更され得る。例えば、ステップS1608の各種認識処理は、並行して行われてもよいし、要求されている精度等に応じて段階的に行われたり一部省略されたりしてもよい。
また、解析部120は、図13に示すように、携帯人物認識よりも負荷が低い処理を携帯人物認識と組み合わせることで消費電力を低減させつつ、ユーザの同一性を担保してもよい。
例えば、ステップS1700にて携帯認識が行われ、デバイス100が携帯されていることが認識され、ステップS1704にて同一人物携帯認識が行われ、同一人物に携帯されているデバイス100が認識される。なお、併せて携帯位置認識が行われてもよい。そして、ステップS1708にて携帯人物認識が行われ、デバイス100を携帯しているユーザが認証されたとする。その後、解析部120は、ステップS1712にて、携帯人物認識よりも負荷が低い処理である同一人物携帯認識を一定時間毎に繰り返してもよい。そして、各デバイス100が同一人物によって携帯されている状態が継続している場合(ステップS1716/Yes)、解析部120は、引き続き同一人物携帯認識を一定時間毎に繰り返す。一方、各デバイス100が同一人物によって携帯されていない状態である場合(ステップS1716/No)、処理がステップS1708に戻り、解析部120が再び携帯人物認識を行う。
上記の動作によって、解析部120は、消費電力を低減させることができる。すなわち、解析部120は、消費電力が高い携帯人物認識を常に継続するのではなく、同一人物による携帯状態が継続している場合には、各デバイス100を携帯しているユーザに変更はないと認識し、より負荷が低い同一人物携帯認識を行う。これにより、解析部120は、デバイス100を携帯しているユーザの認証精度を高く維持した状態で消費電力を低減させることができる。なお、上記の動作は、あくまで一例であり適宜変更され得る。
(4-5.人物関連性認識)
続いて、図14を参照して、デバイス100を共有しているユーザ間の関連性を判定する動作(以降、「人物関連性認識」と呼称する)の概要について説明する。上記のとおり、二人以上のユーザがデバイス100を共有している場合、各デバイス100の共有状況に基づいて各ユーザの関連性が認識され得る。
例えば、ユーザ間で共有されている各デバイス100の重要度に応じて各ユーザの関連性が認識され得る。より具体的には、図14に示すように、「スマートフォン」や「自宅の鍵」等のように重要度が高いデバイス100が二人以上のユーザ間で共有されている場合には、各ユーザの関連性は高いと認識され得る。一方、「カメラ」等の重要度が中程度のデバイス100が共有されている場合には、各ユーザの関連性も中程度と認識され得、「部室の鍵」、「事務所の鍵」または「本」等の重要度が低いデバイス100が共有されている場合には、各ユーザの関連性も低いと認識され得る。なお、各デバイス100の重要度とは、一般的に認識されている重要度に限られない。例えば、ユーザが所定の方法で各デバイス100の重要度(または重要度に相当する指標値)を設定することができてもよい。
なお、上記はあくまで一例であり、各ユーザの関連性の認識方法はこれに限定されない。例えば、ユーザ間で共有されるデバイス100の数に応じて各ユーザの関連性が認識されてもよい。ユーザ間で共有しているデバイス100の数が多いほど、各ユーザの関連性がより高いと認識され得る。
各ユーザの関連性が認識された場合、デバイス100はこの関連性に基づいて様々な制御をすることが可能となる。例えば、デバイス100が「カメラ」である場合には、所有者と関連性の高いユーザとそうでないユーザとで、閲覧可能な撮影画像や使用可能な操作内容等を自律的に変えることができる。
続いて、図15を参照して、人物関連性認識の具体的な動作について説明する。ステップS1800では、解析部120が、携帯履歴情報から過去に当該デバイス100を使用したユーザのリストを抽出する。そして、解析部120は、ステップS1804にて、デバイス100を使用したユーザのうち2名を選択し、ステップS1808にて、人物関連性スコアの算出を行う。「人物関連性スコア」とは、2名のユーザの関連性の判定に用いられる指標値である。
ステップS1812では、解析部120は、重要度スコア算出(S1812a)、共有数スコア算出(S1812b)等の各種処理を行う。また、これらの処理はあくまで一例であり、行われる処理は、これらに限定されるものではない。
「重要度スコア算出(S1812a)」とは、各デバイス100の重要度の指標値を算出する処理を指す。デバイス100は、各デバイス100のカテゴリもしくは、携帯履歴情報等に基づいて各デバイス100の重要度スコアを算出する。
「共有数スコア算出(S1812b)」とは、選択された2名によって共有されているデバイス100の数の指標値を算出する処理を指す。
ステップS1816では、解析部120は、式4のように、重要度スコア算出および共有数スコア算出のそれぞれの結果に対して重み係数による重み付けが施された値を合算することで人物関連性スコアを算出する。解析部120は、人物関連性スコアの算出を、デバイス100を使用したユーザについて総当たり的に繰り返す。
ステップS1820では、解析部120が人物関連性スコアに基づいて人物クラスタリングリストを生成する。「人物クラスタリングリスト」とは、関連性を有するユーザの組み合わせと、その関連性の高さ(人物関連性スコア)を示すリストであり、各ユーザを複数のグループに区分する情報である。
ステップS1824では、関連性の高さに基づいて各ユーザが所属しているグループの属性を判定する。例えば、デバイス100は、各グループの関連性の高さ(人物関連性スコア)と、所定の閾値とを比較することによって、各グループの属性(例えば、家族、親しい友人、サークルメンバー、同僚等)を識別する。
上記の動作によって解析部120は、デバイス100を共有しているユーザ間の関連性をより高い精度で認識することができる。なお、上記の動作は、あくまで一例であり適宜変更され得る。例えば、ステップS1812の各種処理は、並行して行われてもよいし、要求されている精度等に応じて段階的に行われたり一部省略されたりしてもよい。
(4-6.所属確認とその後の動作)
続いて、図16および図17を参照して、デバイス100による所属確認とその後の動作について説明する。「所属確認」とは、上記の携帯人物認識や人物関連性認識を用いてデバイス100が自装置の所有者や所属グループを確認する処理を指す。
図16は、所有者が設定されていないデバイス100が所属確認を行い、自装置の所有者を設定する動作を示す。
ステップS1900では携帯認識が行われ、デバイス100が携帯されていることが認識され、ステップS1904では同一人物携帯認識が行われ、同一人物に携帯されているデバイス100が認識される。なお、併せて携帯位置認識が行われてもよい。そして、ステップS1908では携帯人物認識が行われ、デバイス100を携帯しているユーザが認証されたとする。
ステップS1912では、制御部150が自装置の所属を確認する。例えば、制御部150は、自装置の所有者を確認する。自装置の所有者が設定されていない場合(ステップS1916/Yes)、ステップS1920にて、制御部150が、自装置を携帯しているユーザを所有者として登録する。ステップS1924では、制御部150が、所有者の登録を行った旨をユーザに対して所定の方法で通知する。既に所有者が設定されている場合(ステップS1916/No)には、そのまま処理が終了する。
上記の動作によって、ユーザが所有者登録を行わなくてもよくなる。なお、上記の動作は、あくまで一例であり適宜変更され得る。例えば、ステップS1920にて、自装置を携帯しているユーザを所有者として登録する前に、制御部150は、所有者登録の許可をユーザに求める動作を行ってもよい。これによって、制御部150は、ユーザが意図しない所有者登録を防ぐことができる。
続いて、図17の動作について説明する。図17は、デバイス100が所有者ではないユーザ(または所有者と関連性の低いユーザ)によって携帯されている場合に所有者への通知等を行う動作を示す。
ステップS2000~ステップS2008は、図16のステップS1900~ステップS1908と同一であるため、説明を省略する。ステップS2012では、制御部150が自装置の所属を確認する。例えば、制御部150は、自装置の所有者ないし所属グループを確認する。そして、自装置が、所有者ではない人物や、関連性の高い所属グループ(例えば、家族等)に属さない人物によって携帯されていると判定された場合(ステップS2016/Yes)、ステップS2020にて、制御部150がその旨を所有者に対して所定の方法で通知する。自装置が、所有者や関連性の高い所属グループに属する人物によって携帯されていると判定された場合(ステップS2016/No)には、そのまま処理が終了する。
上記の動作によって、デバイス100の盗難や紛失等が防止され得る。なお、上記の動作は、あくまで一例であり適宜変更され得る。例えば、ステップS2016にて、自装置が、関連性の高い所属グループに属する人物等に携帯されていると判定された場合(ステップS2016/No)においても、制御部150は、その旨を所有者に対して所定の方法で通知してもよい。また、自装置が所有者ではない人物等によって携帯されていると判定された場合に(ステップS2016/Yes)、制御部150は、自装置の一部機能の使用を制限したり、重点的に監視を行ったり、自装置の所有者を当該人物に変更するか否か(デバイス100の譲渡)もしくは自装置を当該人物に貸与するか否かを現所有者へ問い合わせたりしてもよい。また、携帯されているデバイス100自体ではなく、そのデバイス100の周囲に存在する他のデバイス100によって上記の処理が実現されてもよい。
(4-7.行動予測および携帯推薦)
続いて、図18を参照して、デバイス100の携帯状態に基づくユーザの行動予測および携帯するデバイス100を推薦する動作(以降、「携帯推薦」と呼称する)について説明する。上記のとおり、例えば、デバイス100は、ユーザが携帯しているデバイス100の組み合わせ等に基づいてユーザの行動を予測することができる。そして、デバイス100は、行動予測結果に基づいてユーザが携帯することが望ましいと考えられる推薦デバイス100を算出し、推薦デバイス100と現実に携帯されているデバイス100とを比較することで、デバイス100の過不足(例えば、忘れ物、不要な持ち物等)をユーザに通知することができる。
ステップS2100~ステップS2108は、図16のステップS1900~ステップS1908と同一であるため、説明を省略する。ステップS2112では、解析部120が行動予測を行う。より具体的には、ステップS2116にて、解析部120が行動履歴リストを抽出する。ここで、「行動履歴リスト」とは、図19に示すように、行動と、各行動時におけるデバイス100の携帯状態(図19には、一例として、各行動時にデバイス100が携帯される確率に関する値が表されている)とが対応付けられた情報である。なお、図19はあくまで一例であり、行動履歴リストの内容はこれに限定されない。
解析部120は、ステップS2120にて行動履歴リストから1つの行動を選択し、ステップS2124にてデバイス・行動関連性スコアを算出する。「デバイス・行動関連性スコア」とは、デバイス100の携帯状態と、選択された行動との関連性を示す指標値である。例えば、ユーザが図19におけるデバイス100A~デバイス100Cを携帯している場合、デバイス・行動関連性スコアは、行動履歴リスト中の各行動におけるデバイス100A~デバイス100Cに対応する値に基づいて算出される(例えば、デバイス100A~デバイス100Cに対応する値の合計値もしくは平均値等)。
解析部120は、デバイス・行動関連性スコアの算出を、全ての行動に対して行う。ステップS2128では、解析部120が、デバイス・行動関連性スコアの最も高い行動を出力する。図19の例では、ユーザが携帯しているデバイス100A~デバイス100Cに対応する値が最も高い行動Cが出力される(換言すると、ユーザは行動Cを行うと予測される)。上記の動作によって解析部120は、デバイス100の携帯状態に基づいてユーザの行動をより高い精度で予測することができる。
そして、ステップS2132にて、行動予測の結果に基づいて携帯推薦の動作が行われる。まず、制御部150が、ステップS2136にて行動履歴リストを抽出し、ステップS2140にて行動に基づく携帯デバイスリストのソートを行う。「携帯デバイスリスト」とは、図20の20Aに示すように、各デバイス100、スコア(携帯される確率)および携帯状態が対応付けられた情報である。制御部150は、20Aに示すように、行動予測によって出力された行動Cについてスコアが高い順に携帯デバイスリストのソートを行う。
ステップS2144では、制御部150は、20Bに示すように、携帯デバイスリストから携帯されているデバイス100を除去することで、忘れ物の一覧を出力する(または、制御部150は、携帯デバイスリストと携帯されているデバイス100との差分を抽出することで、忘れ物および不要な持ち物の一覧を出力してもよい)。ステップS2148では、制御部150が出力結果をユーザに対して所定の方法で通知する。
上記の動作によって、デバイス100は、デバイス100の過不足(例えば、忘れ物、不要な持ち物等)をより高い精度で認識し、ユーザに通知することができる。なお、上記の動作は、あくまで一例であり適宜変更され得る。例えば、ユーザの行動が既知である場合には、ステップS2112の行動予測は適宜省略されてもよい。また、デバイス100は、ユーザの忘れ物や不要な持ち物の傾向を学習することで、デバイス100毎に処理の精度や内容を変更してもよい。また、デバイス100が使用される期間が限定される場合(例えば、冬季のみ使用されるスキー用品やスケート用品等)、デバイス100は、使用される期間とそうでない期間とで処理の精度や内容を変更してもよい。
(4-8.デバイス100の状態の評価)
続いて、図21を参照して、デバイス100の状態の評価に関する動作について説明する。
まず、ステップS2200では、デバイス100がデバイス状態スコアを算出する。より具体的には、解析部120は、式5のように、振動、回転、水没、分解または改造等のイベントの検出結果(例えば、各イベントの検出回数およびその程度を示す値)およびユーザによって指示(または、入力)された値に対して重み係数による重み付けを施した値を合算することでデバイス状態スコアを算出する。
上記のように、デバイス状態スコアは、振動、回転、水没、分解または改造等のイベントの検出結果に基づいて変化する。例えば、図22に示すように、出荷時には、1.0を示していたデバイス状態スコアは、振動および水没等の検出に伴って逓減していくことで、デバイス100の状態が徐々に悪くなっていくことを表す。また、振動および水没等が検出されていない期間においても、デバイス状態スコアが逓減することで、デバイス100が経年劣化することも表す。また、デバイス状態スコアは、ユーザの指示によっても変化するため、ユーザは、所定の指示をすることで振動等のイベントの影響をキャンセルしたり補正したりすることができる。また、ユーザは所定の指示をすることでデバイス状態スコアの更新機能の起動または停止を制御することもできる。なお、図22はあくまで一例であり、デバイス状態スコアの変化の仕方はこれに限定されない。例えば、デバイス100の状態が向上するようなイベントが発生した場合には、デバイス状態スコアが増加してもよい。
そして、図21のステップS2204では、デバイス100は、デバイス状態スコアの信頼度の指標値である信頼スコアを算出する。より具体的には、解析部120は、式6のように、デバイス状態スコアの記録期間(イベントの記録期間と同義)を示す値、デバイス100の使用期間に対する、デバイス状態スコアの記録期間の割合を示す値、および、デバイス状態スコアの算出に使用されるセンサ(検出器)の数を示す値に対して重み係数による重み付けを施した値を合算することで信頼スコアを算出する。
なお、上記の動作は、あくまで一例であり適宜変更され得る。例えば、デバイス状態スコアの算出に用いられる上記のイベントは適宜変更されてもよい。より具体的には、デバイス状態スコアの算出に用いられるイベントは上記に限定されず、デバイス100の状態に影響を及ぼすイベントであればいかなるイベントでもよい。また、デバイス100の使用頻度に関する情報、使用回数に関する情報、または、使用したユーザに関する情報等(例えば、ユーザ物品使用スコア等)が考慮されてもよい。また、信頼スコアの算出に用いられる上記の要素も適宜変更されてもよい。より具体的には、信頼スコアの算出に用いられる要素は、デバイス状態スコアの信頼度に影響を及ぼす要素であればいかなるものであってもよい。
また、デバイス100は、上記で説明した方法で使用者を認証することができるため、デバイス状態スコアまたは信頼スコアを、使用者毎に区別して算出してもよい。より具体的には、デバイス100は、各使用者がデバイス100を使用した期間を特定し、各期間にて発生した振動等のイベント等に基づいてデバイス状態スコア等を算出してもよい。
ユーザ(例えば、デバイス100の販売者または貸与者を含む)は、上記動作によって算出されたデバイス状態スコアを用いることで、各デバイス100を適切に管理することができる。例えば、図23に示すように、デバイス状態スコアが含まれる範囲に基づいてデバイス100のランク(この例では、Sランク~Cランク)が決められてもよい。これによって、デバイス100の貸出しの際に、貸与者は、借用者に応じてランクの異なるデバイス100を貸与することができる。例えば、借用者がデバイス100を粗悪に扱う可能性が高い場合(換言すると、借用者のユーザ物品使用スコアが低い場合)、貸与者は、よりランクの低いデバイス100を貸与する等の対応をとることができる。
また、デバイス100が複数のランクに分類されることによって、デバイス状態スコアがそのまま用いられる場合に比べて、管理方法をより簡素にすることができる。より具体的には、デバイス状態スコアがそのまま用いられる場合、ユーザは、デバイス状態スコア毎に管理方法を策定する必要があるが、デバイス100が複数のランクに分類される場合、ユーザは、そのランク毎に管理方法を策定すれば済むため、管理方法がより簡素になる。
また、上記のとおり、デバイス100の販売価格(または貸出価格)がデバイス状態スコアに基づいて設定されてもよい。このとき、図23に示すように、デバイス状態スコアが含まれる範囲に基づいて販売価格等の設定に用いられる係数(この例では、0.7~1.0)が決められてもよい(以降、当該係数を「ランク係数」と呼称する)。
続いて、デバイス100の販売価格(または貸出価格)の設定方法について説明する。例えば、デバイス100の販売価格等は、式7のように、デバイス状態スコアと通常中古価格を乗算して得られる価格であってもよい(なお、デバイス状態スコアが0.0~1.0で表される場合を想定している)。ここで、通常中古価格とは、例えば、未使用のデバイス100の販売価格であり得、かつ、これに限定されない。これによって、状態の悪いデバイス100ほど、販売価格(または貸出価格)が低く設定される。
また、デバイス100の販売価格等は、式8のように、デバイス状態スコア、需要係数、経年劣化の指標値および新品価格を乗算して得られる価格であってもよい(換言すると、通常中古価格が、需要係数、経年劣化の指標値および新品価格を乗算して得られる価格であってもよい)。ここで、需要係数は、販売時(または貸出時)における市場でのデバイス100の需要を示す何らかの値であればよい。また、経年劣化の指標値は、振動等のイベントによらない経年劣化(例えば、デバイス100が使用されず保管されていた期間の劣化)を示す何らかの指標値であればよい。
また、デバイス100の販売価格等は、式9のように、ランク係数と通常中古価格を乗算して得られる価格であってもよい。
なお、販売価格等の設定方法は上記に限定されない。例えば、上記の各式で用いられた要素(例えば、各係数、通常中古価格または新品価格等)は適宜省略されたり変更されたりしてもよい。より具体的には、式8において、需要係数および経年劣化の指標値が省略されることで、販売価格がデバイス状態スコアと新品価格との乗算によって算出されてもよい。また、上記の方法が応用されることで、デバイス100の買取価格が設定されてもよい。
(4-9.ユーザ物品使用スコアの算出)
続いて、図24を参照して、ユーザ物品使用スコアの算出動作について説明する。
ステップS2300では、解析部120は、ユーザが過去に使用した全てのデバイス100に関するデバイス状態スコアの合計値を算出する。より具体的には、解析部120は、ステップS2304にて上記の式5の演算を行う処理を、ユーザが過去に使用した全てのデバイス100に対して繰り返し行う。そして、その後、ステップS2308にて、解析部120は、全てのデバイス100に関するデバイス状態スコアを合算する処理を行う。
ここで、ユーザが過去に使用した全てのデバイス100を特定する方法について説明する。デバイス100は、上記のとおりユーザ認証を行うことで、ユーザが過去に使用した全てのデバイス100、および、ユーザが各デバイス100を使用した期間を特定することができる。そのため、ステップS2304にて、解析部120は、ユーザが各デバイス100を使用した期間にて発生した振動等のイベント等に基づいて各デバイス100のデバイス状態スコアを算出することができる。これによって、1つのデバイス100が過去に複数のユーザによって使用された場合であっても、各ユーザによるデバイス100の扱い方がそれぞれのユーザ物品使用スコアに適切に反映される。
ステップS2312では、解析部120は、デバイス状態スコアに関する信頼スコアの合計値を算出する。より具体的には、解析部120は、ステップS2316にて上記の式6の演算を行う処理を、ユーザが過去に使用した全てのデバイス100に対して繰り返し行う。そして、その後、ステップS2320にて、解析部120は、全てのデバイス100に関する信頼スコアを合算する処理を行う。
ステップS2324では、解析部120は、外部システムから提供される情報に基づくユーザの総合的な評価を示す指標値である外部評価スコアを算出する。より具体的には、解析部120は、外部システムから提供されるユーザに関する何らかの評価を取得し、当該評価に対して重み係数による重み付けを施した値を合算したりすることで外部評価スコアを算出する。ここで、外部システムは、例えば、ユーザの疾患履歴や事故履歴等に基づいてユーザが有するリスク情報を提供する保険システムであってもよいし、ユーザの決済履歴等に基づいてユーザによる滞納のリスク情報を提供するクレジットカードシステム等であってもよい。なお、外部システムおよび外部システムから提供される情報はこれらに限定されない。また、外部評価スコアの算出方法は特に限定されない。例えば、外部評価スコアは、外部システムから提供される情報が所定の演算式に入力されることで算出されてもよい。
ステップS2328では、解析部120は、デバイス状態スコアの合計値、信頼スコアの合計値、および、外部評価スコアに基づいてユーザ物品使用スコアを算出する。より具体的には、解析部120は、これらのスコアに対して重み係数による重み付けを施した値を合算する等してユーザ物品使用スコアを算出する。
上記のように、ユーザ物品使用スコアは、デバイス状態スコアだけでなく、その信頼度を表す信頼スコアも考慮された上で算出される。これによって、デバイス状態スコアの精度が低い場合にも、解析部120は、精度の高いユーザ物品使用スコアを算出することができる。また、上記のように、ユーザ物品使用スコアは、外部システムから提供される情報に基づく外部評価スコアも考慮された上で算出される。これによって、解析部120は、本システム内の情報のみに基づいてユーザ物品使用スコアを算出する場合に比べて、当該スコアの精度を向上させることができる。
なお、上記の動作は、あくまで一例であり適宜変更され得る。例えば、解析部120は、デバイス状態スコアの合計値や、信頼スコアの合計値ではなく、これらの平均値等を演算に用いることでユーザ物品使用スコアを算出してもよい。
また、ユーザ物品使用スコアは、デバイス100のカテゴリ毎に算出されてもよい。デバイス100のカテゴリの内容は上記のとおりである。これによって、ユーザがデバイス100を適切に(または、丁寧に)使用できるか否かがデバイス100のカテゴリによって変わる場合であっても、デバイス100は、より適切なユーザ物品使用スコアを算出することができる。例えば、デバイス100は、あるユーザが「カメラ」については丁寧に扱うが「文房具」については粗悪に扱う場合や、「公共物」については丁寧に扱うが「私物」については粗悪に扱う場合等においても、より適切なユーザ物品使用スコアを算出することができる。
ここで、デバイス100の貸出価格(または販売価格)は、デバイス状態スコアだけでなくユーザ物品使用スコアにも基づいて設定されてもよい。例えば、デバイス100の貸出価格等は、式10のように、通常貸出価格をユーザ物品使用スコアで除算して得られる価格であってもよい(なお、ユーザ物品使用スコアが0.0~1.0で表される場合を想定している)。ここで、通常貸出価格とは、例えば、優良ユーザに対する貸出価格であり得、かつ、これに限定されない。これによって、ユーザ物品使用スコアの高い(例えば、デバイス100を丁寧に扱う)ユーザほど、貸出価格(または販売価格)が低く設定される。
また、デバイス100の貸出価格等は、式11のように、ランク係数および通常貸出価格を乗算して得られる値をユーザ物品使用スコアで除算して得られる価格であってもよい。これによって、デバイス100の状態も考慮された価格が設定される。
なお、貸出価格(または販売価格)の設定方法は上記に限定されない。また、上記の方法が応用されることで、デバイス100の買取価格が設定されてもよい。また、ユーザ物品使用スコアに基づいてユーザ毎に貸し出すデバイス100のランクが変更されてもよい。
ここで、上記のとおり、ユーザ物品使用スコアを用いることによって、ユーザ毎にデバイス100の貸出価格等を変更することや、貸し出すデバイス100のランクを変更することができるが、例えば、優良なユーザが低価格でデバイス100(または、高ランクなデバイス100)を借用して、劣悪なユーザに使用させる場合が生じ得る。
このとき、当該デバイス100は、上記で説明した方法で使用者を認証し、借用者と使用者が異なることを検知した場合、所定の動作を行うことができる。例えば、デバイス100は、使用不可となるようにロックをかけたり、使用者に対して警告を行ったり、貸与者に対して通知を行ったり、使用者に応じた貸出料金を再設定したりすること等ができる。なお、借用者と使用者が異なることを検知した場合のデバイス100の動作は、これらに限定されない。
<5.様々なUI>
上記では、デバイス100の動作について説明した。続いて、図25~図39を参照して、デバイス100に関する様々なUIの例について説明する。
本開示においては、ユーザは、任意の情報処理装置を用いてデバイス100をより適切に管理することができる。デバイス100の管理に用いられる情報処理装置は特に限定されない。例えば、当該情報処理装置は、デバイス100と通信可能なスマートフォン、PC(Personal Computer)、携帯型ゲーム機、携帯型音声再生機もしくはカメラ等の任意の装置でもよいし、デバイス100自体(またはデバイス100が内蔵された装置)でもよい。以降では、一例として、デバイス100の管理に用いられる情報処理装置が、スマートフォンであるデバイス100自体である場合について説明する。
デバイス100は、任意の統計情報をディスプレイに表示することができる。例えば、デバイス100は、図25に示すように、ディスプレイの縦方向に各デバイス100の使用期間を、横方向に各デバイス100の使用頻度を表し、各デバイス100のアイコン11を配置することで、それぞれの使用期間と使用頻度を表示することができる。なお、図25はあくまで一例であり、適宜変更され得る。例えば、ディスプレイの縦方向と横方向に表される統計情報が変更されてもよいし、各デバイス100のアイコン11の内容が変更されてもよい。
また、デバイス100は、図26に示すように、デバイス100の任意の統計情報(例えば、使用頻度、使用期間等)を曜日毎に表示することもできる。ユーザは、曜日タブ12を選択することによって、統計情報を確認したい曜日を選択することができる(26Aは月曜日、26Bは土曜日が選択されている)。
また、デバイス100は、図27に示すように、デバイス100の任意の統計情報(例えば、使用頻度、使用期間等)を時間(時刻)毎に表示することもできる。ユーザは、時間タブ13を選択することによって、統計情報を確認したい時間を選択することができる(27Aは11:00から12:00に至るまでの時間、27Bは21:00から22:00に至るまでの時間が選択されている)。なお、図27においては、デバイス100は、デバイス100毎に使用頻度を棒グラフで表示している。このように、デバイス100は、任意のグラフ、表または図等を用いて統計情報を表示してもよい。
また、デバイス100は、図28に示すように、デバイス100の任意の統計情報(例えば、使用頻度、使用期間等)をユーザ毎に表示することもできる。ユーザは、ユーザタブ14を選択することによって、統計情報を確認したいユーザを選択することができる(28Aは男性ユーザ、28Bは女性ユーザが選択されている)。これによって、例えば、親が子どものデバイス100を管理すること等もできる。
また、デバイス100は、図29に示すように、各デバイス100の携帯状態を日毎に表示することができる。ユーザは、29Aに示すように、所定の一日における各デバイス100の携帯状態を時系列的に確認することができる。なお、デバイス100は、29Aに示すように、各デバイス100の携帯状態をテクスチャの切り替え等で表すことができる(例えば、メガネについて、15aは「非携帯状態」、15bは「携帯状態かつ非装着状態」、15cは「装着状態」を表している)。また、ユーザは、29Bに示すように、所定の一日における各デバイス100の携帯状態のサマリーを確認することができる。
また、デバイス100は、図30に示すように、各デバイス100の携帯履歴情報を表示することができる。表示される携帯履歴情報の内容は任意であるが、例えば、図30に示すように、使用開始日、総携帯時間(総使用時間)、携帯頻度(使用頻度)、携帯の傾向(一緒に携帯される他のデバイス100に関する情報も含む)が表示され得る。
また、デバイス100は、図31に示すように、イベント毎にユーザが携帯(または装着)すべきデバイス100(デバイス100以外の物品が含まれてもよい)を推薦してもよい。デバイス100は、ユーザによって入力された、同行者、イベント内容、宿泊期間等の各種条件に基づいて、各デバイス100のカテゴリや携帯履歴情報等に基づいてユーザが携帯(または装着)すべきデバイス100を推薦することができる。
また、デバイス100は、図32に示すように、カテゴリ毎に携帯(または装着)すべきデバイス100を推薦してもよい。より具体的には、デバイス100は、行動履歴等に基づいてユーザの行動予測を行うことで携帯デバイスリストを生成する。そして、図32に示すように、デバイス100は、「スーツ」、「シャツ」、「ネクタイ」、「メガネ」および「時計」等のカテゴリに区別して当該リストを表示する。このとき、デバイス100は、各カテゴリにおいて推薦するデバイス100に所定のマーク16を付加する。ここで、推薦するデバイス100の決定方法は特に限定されない。例えば、デバイス100は、ユーザの嗜好もしくはユーザの行動履歴に基づいて推薦するデバイス100を決定してもよいし、色彩や模様について一般的により良いとされる組み合わせに基づいて推薦するデバイス100を決定してもよい。また、デバイス100は、ユーザが各カテゴリのデバイス100を携帯(または装着)していくに連れて、推薦するデバイス100を動的に変更する。これらの動作によって、ユーザは、組み合わせに悩むことなくデバイス100を携帯(または装着)することができ、かつ、忘れ物も無くなる。なお、図32に示すように、ユーザが携帯(または装着)したデバイス100のカテゴリにチェックマーク17が表示されてもよい。図32のUIは適宜変更され得る。また、図32のリストは、行動予測に基づいて生成されるのではなく、ユーザ入力に基づいて生成されてもよい。
また、デバイス100は、図33に示すように、携帯(または装着)すべきデバイス100の一覧(または忘れ物の一覧)を、優先順位と共に表示してもよい。より具体的には、デバイス100は、行動履歴等に基づいてユーザの行動予測を行うことで携帯デバイスリストを生成する。そして、デバイス100は、携帯デバイスリストからユーザが携帯済みのデバイス100を除去することで、携帯すべきデバイス100の一覧(または忘れ物の一覧)を出力する。このとき、デバイス100は、各デバイス100の優先順位を算出する。当該優先順位の算出方法は特に限定されない。例えば、行動履歴等に基づいて、ユーザによって携帯される確率がより高いデバイス100の優先順位がより高く設定されてもよい。また、行動履歴等に基づいて、ユーザによって携帯されるタイミングがより早いデバイス100の優先順位がより高く設定されてもよい。また、図33の例では、ユーザに携帯されたデバイス100は、一覧から随時削除される(非表示となる)ことを想定しているが、これに限定されない。また、各デバイス100の優先順位の変化に応じて、一覧の内容またはその順番が動的に変更されてもよい。図33のUIは適宜変更され得る。
また、上記のとおり、デバイス100は、センシングデータを用いてユーザ認証を行い、その認証結果に基づいて鍵の開錠等を行うことができる。そこで、デバイス100は、鍵の開錠機能と、忘れ物の通知機能を組み合せてユーザに提供することができる。より具体的には、デバイス100は、ユーザ認証に成功し、かつ、忘れ物が無いことを確認できた場合に鍵を開錠することができる。その際、デバイス100は、図34に示すようなUIをユーザに提供してもよい。より具体的には、鍵の開錠に必要なデバイス100がアイコンとして示されてもよい。なお、図34の例では、ユーザがデバイス100を携帯したタイミングで、当該デバイス100のアイコンが、ハイライトされていない状態(34Aのアイコン18bの状態)からハイライトされた状態(34Aのアイコン18aの状態)へ遷移する。そして、34Bに示すように、全てのデバイス100のアイコンがハイライトされた状態になった場合(換言すると、ユーザが全てのデバイス100を携帯した場合)に、鍵が開錠される(なお、ユーザ認証は成功しているとする)。図34のUIは適宜変更され得る。
また、デバイス100は、センシングデータを用いたユーザ認証の状況を示すUIをユーザへ提供してもよい。より具体的には、上記のとおり、デバイス100は、ユーザによって携帯されるデバイス100の組み合わせ、携帯される順番または携帯方法等に基づいてユーザ認証を行うことができる。その際、図35に示すように、デバイス100は、ユーザ認証の状況を示すグラフを表示してもよい。図35の例では、携帯人物スコア(または携帯人物スコアに対応する値)の時間変化を示す折線グラフと、ユーザ認証が成功する閾値が表示されている。図35の例では、ユーザが鞄、時計に続き鍵を携帯したタイミングで携帯人物スコアが閾値を超えることでユーザ認証が成功している。このUIによって、ユーザはユーザ認証の状況をよく知ることができる。なお、ユーザ認証の状況を示すUIは、図35の例に限定されない。
例えば、図36の36Aおよび36Bに示すように、携帯人物スコア(または携帯人物スコアに対応する値)がテキスト形式で表示されてもよい。また、36Cに示すように、デバイス100は、携帯人物スコアを複数の要素(例えば、行動認識結果、携帯位置認識結果等)に分解し、その要素毎の値をテキスト形式19またはプログレスバー20で表示してもよい。
また、上記のとおり、デバイス100の販売価格または貸出価格は、デバイス状態スコア、信頼スコアまたはユーザ物品使用スコアに基づいて設定され得る。そこで、続いて、デバイス100の販売価格等を表示するUIの具体例について説明する。例えば、ユーザが所定のWebサイトにてデバイス100を購入する場合、図37に示すような画面が表示されてもよい。より具体的には、図37に示すように、各デバイス100の販売価格、新品(未使用品)であるか否か、デバイス状態スコア、信頼スコアおよびデバイス状態スコアの算出時に使用された振動等のイベントの影響を示すレーダーチャート21を示すような画面が表示されてもよい。この例では、各デバイス100の販売価格は、デバイス状態スコアと新品価格(この例では\2,000)との乗算によって得られた価格となっている。
この画面が提供されることによって、ユーザは、所望のデバイス100をより選択し易くなる。より具体的には、ユーザは、デバイス100の状態と、その販売価格とのバランスを考慮して所望のデバイス100を選択することができる。また、その際、ユーザは、デバイス状態スコアの信頼度を示す信頼スコアも考慮することができる。さらに、ユーザは、レーダーチャート21に基づいて、各デバイス100に対して発生したイベントが許容範囲であるか否かを判断することができる。例えば、耐水性の低いデバイス100の購入時に、ユーザは、水没というイベントが発生していないデバイス100を優先的に選択すること等ができる。図37のUIは適宜変更され得る。
また、ユーザが自らのユーザ物品使用スコア等を確認できるUIが提供されてもよい。例えば、図38に示すように、ユーザの氏名、ユーザ物品使用スコア、当該ユーザ物品使用スコアの算出時に使用された各種スコア(デバイス状態スコア、信頼スコアおよび外部評価スコア)、および、これらのスコアを示すレーダーチャート22が表示されてもよい。なお、図38におけるデバイス状態スコアおよび信頼スコアは、図24のステップS2300およびステップS2304にて算出されたそれぞれの合計値が平均化された値(合計値がデバイス数で除算されて得られた値)であるが、これに限定されない。この画面が提供されることによって、ユーザは、自らのユーザ物品使用スコアを随時確認することができる。また、ユーザは、ユーザ物品使用スコアの算出時に使用された各種スコアを確認することができるため、ユーザ物品使用スコアの根拠を認識することができる。また、当該ユーザに対してデバイス100を貸与するか否かを検討している貸与者が当該画面を使用できてもよい。これによって、貸与者は、ユーザ物品使用スコアおよびその根拠に基づいて貸与の可否を判断することができる。図38のUIは適宜変更され得る。
ここで、上記のとおり、ユーザ物品使用スコアは、ユーザが過去に使用した全てのデバイス100に関するデバイス状態スコアに基づいて算出される。そこで、ユーザが過去に使用した全てのデバイス100に関するデバイス状態スコア等を確認できるUIが提供されてもよい。例えば、図39に示すように、ユーザの氏名、デバイス状態スコア、当該デバイス状態スコアの算出時に使用された各種イベントの影響を示す値、これらの値を示すレーダーチャート23、および、デバイス100毎の内訳(この例では、各デバイス100に関するデバイス名称、デバイス状態スコア、信頼スコアおよびデバイス状態スコアの算出時に使用された各種イベントの影響を示すレーダーチャート24が表示されている)が表示されてもよい。この画面が提供されることによって、ユーザは、自らのユーザ物品使用スコアの算出時に使用されたデバイス状態スコアの根拠を認識することができる。また、図38と同様に、当該ユーザに対してデバイス100を貸与するか否かを検討している貸与者が当該画面を使用できてもよい。例えば、貸与者は、頻繁にデバイス100を水没させているユーザには、耐水性の低いデバイス100を貸与しない等の判断を行うことができる。図39のUIは適宜変更され得る。
なお、上記で説明した表示内容はあくまで一例であり、適宜変更され得る。例えば、デバイス100は、上記で説明してきた各種処理の結果ないし途中経過、各種処理で用いられた情報等を表示してもよい。
<6.むすび>
以上で説明してきたように、本開示に係るデバイス100は、ユーザによるデバイス100の携帯状態に基づいてユーザ認証を行うことができる。例えば、デバイス100は、ユーザが携帯しているデバイス100の組み合わせ、携帯方法、デバイス100が携帯されるタイミングや順番等に基づいてユーザ認証を行うことができる。
また、デバイス100は、ユーザによるデバイス100の携帯状態に基づいてユーザの行動予測を行うことができ、行動予測の結果に基づいて、携帯されているデバイス100の過不足(例えば、忘れ物、不要な物等)をユーザに対して通知すること等もできる。
また、デバイス100は、二人以上のユーザによるデバイス100の共有状況に基づいて各ユーザの関連性を認識することができる。
また、デバイス100は、ユーザによるデバイス100の携帯状態に基づいて自装置のカテゴリを認識することができ、同一もしくは所定の関係にあるカテゴリを有する他のデバイス100から入手した携帯履歴情報を有効に活用することができる。
また、デバイス100は、ユーザによる過去の使用状況を記憶しておくことで当該デバイス100の状態を適切に評価することができる。より具体的には、デバイス100は、自装置の状態を評価可能な指標値であるデバイス状態スコアと、当該スコアの信頼度を示す指標値である信頼スコアを算出することができる。
また、デバイス100は、ユーザによる各デバイス100の使用状況等に基づいて、ユーザがデバイス100をいかに適切に使用できるかを示すユーザ物品使用スコアを算出することができる。デバイス状態スコア、信頼スコアまたはユーザ物品使用スコアは、デバイス100の販売価格(または貸出価格)の設定等に使用され得る。
また、シェアリングエコノミーサービス等において、デバイス100は、借用者と実際の使用者が異なることを検出することができる。
また、デバイス100は、デバイス100またはユーザの有するスコア等に関する様々なUIをユーザに対して提供することができる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記で説明した各種処理における各デバイス100の処理分担は任意である。例えば、上記の各種処理を行うデバイス100に対して他のデバイス100が加工を施していないセンシングデータを送信し、当該データを受信したデバイス100によって各種処理が実現されてもよい。また、他のデバイス100が各種処理における一部の処理を施したデータを、各種処理を行うデバイス100へ送信してもよい。これによって、各デバイス100は通信するデータ量を低減することができる。
また、上記で説明した行動予測、人物関連性認識、または、カテゴリの認識等の各種処理においても、ユーザ認証の処理に用いられた情報(例えば、デバイス100の組み合わせ、デバイス100の携帯方法、デバイス100が携帯されたタイミングもしくは順番等)が適宜応用されてもよい。例えば、デバイス100の携帯方法等も用いて行動予測が行われてもよい。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
二つ以上のデバイスから取得された、ユーザによる前記デバイスの携帯状態に関する情報に基づいて前記ユーザの認証を行う認証部を備える、
情報処理装置。
(2)
前記認証部は、前記デバイスの携帯状態の関係性に基づいて前記認証を行う、
前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記認証部は、前記デバイスの組み合わせに基づいて前記認証を行う、
前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記認証部は、前記デバイスの携帯方法に基づいて前記認証を行う、
前記(2)または(3)に記載の情報処理装置。
(5)
前記認証部は、前記デバイスが携帯されるタイミングもしくは順番に基づいて前記認証を行う、
前記(2)から(4)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(6)
前記認証部は、ある時間帯、ある時点またはある行動時における前記関係性に基づいて前記認証を行う、
前記(2)から(5)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(7)
前記認証部は、前記ユーザが携帯中の前記デバイスから取得された前記情報に基づいて前記認証を行う、
前記(1)から(6)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(8)
前記認証部は、前記認証が成功した後に、前記認証よりも負荷が低い処理によって前記ユーザの同一性を担保する、
前記(1)から(7)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(9)
前記情報に基づいて前記ユーザの行動予測を行う行動予測部をさらに備える、
前記(1)から(8)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(10)
前記行動予測に基づいて携帯することが推薦されるデバイスを出力する推薦部をさらに備える、
前記(9)に記載の情報処理装置。
(11)
前記情報に基づいて前記デバイスを共有する二人以上の前記ユーザの関連性を認識する関連性認識部を更に備える、
前記(1)から(10)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(12)
前記関連性認識部は、前記デバイスの重要度もしくは共有数に基づいて前記関連性を認識する、
前記(11)に記載の情報処理装置。
(13)
前記情報に基づいて前記デバイスを分類するカテゴリを認識するカテゴリ認識部をさらに備える、
前記(1)から(12)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(14)
前記カテゴリに基づいて他のデバイスとの連携を制御する制御部をさらに備える、
前記(13)に記載の情報処理装置。
(15)
前記制御部は、前記カテゴリに基づいて前記他のデバイスと前記情報を共有する、
前記(14)に記載の情報処理装置。
(16)
前記ユーザを前記デバイスの所有者として登録する登録部をさらに備える、
前記(1)から(15)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(17)
前記デバイスが前記所有者以外の者または借用者以外の者に携帯されているか、使用されている場合に、所定の処理を制御する制御部をさらに備える、
前記(16)に記載の情報処理装置。
(18)
前記デバイスに過去発生したイベントに基づいて前記デバイスの状態を示す値を算出するデバイス状態算出部をさらに備える、
前記(1)から(17)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(19)
前記デバイス状態算出部は、前記イベントの記録期間に基づいて前記デバイスの状態または品質を示す値の信頼度を算出する、
前記(18)に記載の情報処理装置。
(20)
前記ユーザによって過去に使用された前記デバイスの状態を示す値および前記信頼度に基づいて、前記ユーザによる前記デバイスの使用の適正を示す値を算出するユーザ適正算出部をさらに備える、
前記(19)に記載の情報処理装置。
(21)
前記ユーザ適正算出部は、外部システムから提供された前記ユーザの評価に関する情報にも基づいて前記適正を示す値を算出する、
前記(20)に記載の情報処理装置。
(22)
現在または過去における前記携帯状態に関する情報、前記ユーザによる携帯が推奨される前記デバイスに関する情報、前記認証の状況に関する情報、前記デバイスの状態または品質に関する情報、前記デバイスの状態または品質を示す値の信頼度に関する情報、前記ユーザによる前記デバイスの使用の適正を示す情報、または、外部システムから提供された前記ユーザの評価に関する情報の少なくとも1つの表示を制御する制御部をさらに備える、
前記(1)に記載の情報処理装置。
(23)
二つ以上のデバイスから取得された、ユーザによる前記デバイスの携帯状態に関する情報に基づいて前記ユーザの認証を行うことを有する、
コンピュータにより実行される情報処理方法。
(24)
二つ以上のデバイスから取得された、ユーザによる前記デバイスの携帯状態に関する情報に基づいて前記ユーザの認証を行うことを有する、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。