JP7124288B2 - エポキシ樹脂シート、エポキシ樹脂シートの製造方法、絶縁体の製造方法及び電気機器の製造方法 - Google Patents

エポキシ樹脂シート、エポキシ樹脂シートの製造方法、絶縁体の製造方法及び電気機器の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、エポキシ樹脂シート、エポキシ樹脂シートの製造方法、絶縁体の製造方法及び電気機器の製造方法に関する。
発電機、モーター等の動力装置からプリント配線板、ICチップ等の電子機器に到るまでの電気機器の多くは、電気を通すための導体と絶縁体とを含んで構成される。絶縁体としては、絶縁性、耐熱性等の観点から、熱硬化性樹脂の硬化物が広く使われている。
近年、これらの電気機器の小型化及び高出力化に伴って発熱量が増大する傾向にあり、発生した熱を絶縁体において放散させる技術の向上が重要な課題となっている。しかし、樹脂から形成される絶縁体は一般に熱伝導率が低く放熱性に劣るため、熱伝導性の向上が望まれている。
熱伝導性に優れる硬化物が得られるエポキシ樹脂としては、分子中にメソゲン基を有するエポキシ樹脂が提案されている(例えば、特許文献1~特許文献5参照)。メソゲン基を有するエポキシ樹脂は、硬化物中で分子がスタッキングして液晶性を発現する性質を有する。その結果、フォノン散乱を抑制し、高熱伝導性が達成される。
特許第4118691号公報 特許第4619770号公報 特許第5471975号公報 特開2011-84557号公報 特開2016-155985号公報
メソゲン基を有するエポキシ樹脂の硬化物は熱伝導性に優れているが、これを電気機器の絶縁体として用いる場合には、上述したように熱伝導性のいっそうの向上が求められている。
本発明は上記事情に鑑み、熱伝導性に優れる絶縁体が得られるエポキシ樹脂シート及びその製造方法、並びにこのエポキシ樹脂シートを用いた絶縁体及び電気機器の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>樹脂層と、前記樹脂層の少なくとも一方の面に接する基材とを備え、前記基材の前記樹脂層と接する面の表面自由エネルギーが10mJ/m以上であり、前記樹脂層はメソゲン基を有するエポキシ化合物を含むエポキシ樹脂を含む、エポキシ樹脂シート。
<2>前記メソゲン基を有するエポキシ化合物は、3個以上の6員環基が直鎖状に連結した構造を有する、<1>に記載のエポキシ樹脂シート。
<3>前記メソゲン基を有するエポキシ化合物は、下記一般式(I)で表される構造単位を有する、<1>又は<2>に記載のエポキシ樹脂シート。
Figure 0007124288000001
[一般式(I)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示す。]
<4>前記メソゲン基を有するエポキシ化合物は、1分子中に下記一般式(I)で表される構造単位を2つ有する化合物を含む、<1>~<3>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂シート。
Figure 0007124288000002
[一般式(I)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示す。]
<5>前記メソゲン基を有するエポキシ化合物は、下記一般式(IA)で表される構造単位及び下記一般式(IB)で表される構造単位からなる群より選択される少なくとも一つの構造単位を有する、<1>~<4>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂シート。
Figure 0007124288000003
[一般式(IA)及び一般式(IB)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示し、Rはそれぞれ独立に、炭素数1~8のアルキル基を示す。nは0~4の整数を示す。]
<6>前記樹脂層がAステージの状態である、<1>~<5>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂シート。
<7>前記樹脂層がBステージの状態である、<1>~<5>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂シート。
<8>前記樹脂層がCステージの状態である、<1>~<5>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂シート。
<9>基材上に樹脂層を形成する工程を備え、前記基材の前記樹脂層が形成される面の表面自由エネルギーが10mJ/m以上であり、前記樹脂層はメソゲン基を有するエポキシ化合物を含むエポキシ樹脂を含む、<1>~<8>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂シートの製造方法。
<10><9>に記載のエポキシ樹脂シートの製造方法により製造されるエポキシ樹脂シートの前記樹脂層を硬化させる工程を備える、絶縁体の製造方法。
<11><1>~<8>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂シートの前記樹脂層を絶縁対象に接触させる工程を備える、電気機器の製造方法。
本発明によれば、熱伝導性に優れる絶縁体が得られるエポキシ樹脂シート及びその製造方法、並びにこのエポキシ樹脂シートを用いた絶縁体及び電気機器の製造方法が提供される。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「エポキシ化合物」とは、分子中にエポキシ基を有する化合物を意味し、「エポキシ樹脂」とは、複数のエポキシ化合物を集合体として捉える概念を意味する。
<エポキシ樹脂シート>
本開示のエポキシ樹脂シートは、樹脂層と、前記樹脂層の少なくとも一方の面に接する基材とを備え、前記基材の前記樹脂層と接する面の表面自由エネルギーが10mJ/m以上であり、前記樹脂層はメソゲン基を有するエポキシ化合物(以下、メソゲン含有エポキシ化合物とも称する)を含むエポキシ樹脂を含む、エポキシ樹脂シートである。
本発明者らの検討の結果、上記構成を有するエポキシ樹脂シートによれば、熱伝導性に優れる絶縁体が得られることがわかった。その理由は必ずしも明らかではないが、樹脂層に接している基材の面が有する特定の性状(表面自由エネルギーが10mJ/m以上である)が樹脂層中のメソゲン含有エポキシ化合物の分子の配向状態に影響し、これが熱伝導性の向上に寄与していると推測される。
なお、本開示のエポキシ樹脂シートにより得られる絶縁体は、樹脂層を硬化して得られる硬化物に相当する。本開示のエポキシ樹脂シートを用いて絶縁体を得る方法としては、例えば、絶縁対象(金属等の導体)にエポキシ樹脂シートの樹脂層側を接触させ、樹脂層を硬化させる方法が挙げられる。
メソゲン含有エポキシ化合物は、硬化すると分子が一定の方向に配向した状態となりやすく、配向の度合いが大きいほど硬化時の熱伝導性が高い傾向にある。本開示のエポキシ樹脂シートでは、表面自由エネルギーが10mJ/m以上である基材の面と樹脂層とが接していることで、樹脂層中のメソゲン含有エポキシ化合物の分子の配向が促進され、得られる絶縁体の熱伝導性が向上すると推測される。
必要に応じ、エポキシ樹脂シートは、基材と樹脂層以外の部材(保護シート等)を備えていてもよい。また、基材と樹脂層の数はそれぞれ1つのみでも、2つ以上であってもよい。また、樹脂層の片面にのみ基材が配置されていても、両面に配置されていてもよい。樹脂層の両面に基材が配置されている場合、少なくとも一方の基材が上述した表面自由エネルギーの条件を満たしていればよい。すなわち、エポキシ樹脂シートを用いて得られる絶縁体が絶縁対象と接する側の基材が少なくとも上述した表面自由エネルギーの条件を満たしていればよい。
(基材)
基材の材質は、特に制限されない。例えば、樹脂等の有機材料、セラミック、金属等の無機材料、これらの複合体などから選択できる。樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)等の耐熱性に優れる樹脂が挙げられる。
基材の厚みは、特に制限されない。例えば、10μm~100μmの範囲から選択することができる。
樹脂層に接する基材の面の表面自由エネルギーは、10mJ/m以上であれば特に制限されない。樹脂層の熱伝導性向上の観点からは、例えば、12mJ/m以上であることが好ましく、15mJ/m以上であることがより好ましい。
樹脂層に接する基材の面の表面自由エネルギーの上限は、特に制限されない。樹脂層からの基材の剥離を容易にする観点からは、例えば、50mJ/m以下であることが好ましく、30mJ/m以下であることがより好ましく、25mJ/m以下であることがさらに好ましい。
樹脂層に接する基材の面の表面自由エネルギーを制御する方法は、特に制限されない。例えば、基材の面に表面処理を施す方法が挙げられる。基材の面に表面処理を施す方法としては、基材の面に離型剤を付与する方法等が挙げられる。
本開示において、基材の樹脂層に接する面の表面自由エネルギーの値は、自動接触角計(例えば、協和界面科学株式会社の商品名:DM500)を用いて、水及びホルムアミドの基材表面に対する接触角をそれぞれ25℃で測定した後、Kaelble-Uy法により算出する。
(樹脂層)
樹脂層の厚みは、特に制限されない。例えば、50μm~200μmの間から選択することができる。
樹脂層は、硬化していない状態(Aステージ)であっても、一部硬化した状態(Bステージ)であっても、完全に硬化した状態(Cステージ)であってもよい。Aステージ、Bステージ及びCステージの定義については、JIS K6900:1994の規定を参照するものとする。
Bステージ又はCステージの状態の樹脂層を備えるエポキシ樹脂シートは、例えば、樹脂層がBステージ又はCステージの状態になるまで熱処理することで得ることができる。熱処理は、必要に応じて加圧しながら行ってもよい。
エポキシ樹脂シートの取り扱い性の観点からは、樹脂層はBステージの状態であることが好ましい。樹脂層がBステージの状態である場合、昇温により粘度が低下することが好ましい。具体的には、樹脂層の粘度が常温(25℃)においては10Pa・s~10Pa・sであるのに対して、100℃で10Pa・s~10Pa・sに粘度が低下するものであることが好ましい。樹脂層の粘度は、動的粘弾性測定(周波数1Hz、荷重40g、昇温速度3℃/分)によって測定される値とする。
樹脂層の密度は特に制限されないが、通常、3.0g/cm~3.4g/cmとされる。柔軟性と熱伝導率の両立を考慮すると、樹脂シートの密度は3.0g/cm~3.3g/cmであることが好ましく、3.1g/cm~3.3g/cmであることがより好ましい。樹脂層の密度は、例えば、樹脂層に含まれるフィラー等の配合量により調整することができる。
樹脂層は、硬化すると後述するスメクチック構造が形成されるものであることが好ましい。硬化した状態でスメクチック構造が形成されていると、熱伝導性により優れる傾向にある。硬化した状態でスメクチック構造が形成される樹脂層は、例えば、樹脂層に含まれるメソゲン含有エポキシ化合物の種類、硬化条件等を適切に選択することで得ることができる。
(エポキシ樹脂)
樹脂層は、メソゲン基を有するエポキシ化合物を含むエポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂に含まれるメソゲン含有エポキシ化合物は、1種のみでも2種以上であってもよい。
本開示において、メソゲン含有エポキシ化合物が有するメソゲン基とは、分子間相互作用の働きにより、硬化物に結晶性又は液晶性を発現し易くする官能基のことを指す。具体的には、ビフェニル基、ターフェニル基、フェニルベンゾエート基、シクロヘキシルベンゾエート基、アゾベンゼン基、スチルベン基、アントラセン基、これらの誘導体、これらがアゾメチン基、エステル基等で接続された基が代表として挙げられる。
絶縁体の熱伝導性向上の観点からは、メソゲン含有エポキシ化合物は、分子中に3つ以上の6員環基が直鎖状に(好ましくは、各6員環の1位又は4位の炭素原子によって)連結した構造を含むものであることが好ましい。6員環基は、ベンゼン、ピリジン、トルエン、ナフタレン等のアセン類に代表される芳香環に由来する6員環基であっても、シクロヘキサン、シクロヘキセン、ピペリジン等の脂肪族環に由来する6員環基であってもよい。中でも、6員環基の少なくとも1つは芳香環に由来する6員環基であることが好ましく、1つが脂肪族環であり、残りの環が全て芳香環であることがより好ましい。
メソゲン含有エポキシ化合物を含むエポキシ樹脂は、硬化物中に高次構造を形成する。ここで、高次構造とは、その構成要素が配列してミクロな秩序構造を形成した高次構造体を含む構造を意味し、例えば結晶相及び液晶相が相当する。このような高次構造体の存在の有無は、偏光顕微鏡によって判断することができる。すなわち、クロスニコル状態での観察において、偏光解消による干渉縞が見られることで判別可能である。この高次構造体は、通常は硬化物中に島状に存在してドメイン構造を形成しており、その島の一つが一つの高次構造体に対応する。この高次構造体の構成要素自体は、一般には共有結合により形成されている。
高次構造としては、ネマチック構造とスメクチック構造とが挙げられる。ネマチック構造とスメクチック構造は、それぞれ液晶構造の一種である。ネマチック構造は分子長軸が一様な方向を向いており、配向秩序のみをもつ液晶構造である。これに対し、スメクチック構造は配向秩序に加えて一次元の位置の秩序を持ち、層構造を有する液晶構造である。秩序性はネマチック構造よりもスメクチック構造の方が高い。従って、硬化物の熱伝導性及び破壊靭性の観点からは、スメクチック構造の高次構造を形成することがより好ましい。
エポキシ樹脂の硬化物中にスメクチック構造が形成されているか否かは、硬化物のX線回折測定により判断できる。X線回折測定は、例えば、株式会社リガクのX線回折装置を用いて行うことができる。CuKα1線を用い、管電圧40kV、管電流20mA、2θ=2°~30°の範囲で測定すると、スメクチック構造を有している硬化物であれば、2θ=2°~10°の範囲に回折ピークが現れる。
エポキシ樹脂に含まれるメソゲン含有エポキシ化合物は、そのままの状態(モノマーのみ)であっても、メソゲン含有エポキシ化合物の一部を反応させた状態(プレポリマー)であってもよい。
メソゲン含有エポキシ化合物を含むエポキシ樹脂は一般に結晶化しやすく、溶媒への溶解度も低い傾向にあるが、その一部を反応させたプレポリマーの状態とすることで結晶化を抑制できるため、成形性が向上する場合がある。
メソゲン含有エポキシ化合物の一部を反応させた状態のエポキシ樹脂としては、例えば、未反応のメソゲン基含有化合物(以下、エポキシモノマーとも称する)と、当該メソゲン基含有化合物に由来する構造単位を2つ以上有するエポキシ化合物(以下、多量体化合物とも称する)の両方を含むエポキシ樹脂が挙げられる。具体的には、例えば、エポキシモノマーとして下記一般式(I’’)で表わされる構造のエポキシ化合物(特許第5471975号公報に記載)と、多量体化合物として下記一般式(I)で表される構造単位を2つ以上有するエポキシ化合物の両方を含むエポキシ樹脂が挙げられる。
Figure 0007124288000004
一般式(I’’)中、R~Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示し、水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
さらに、R~Rのうち、2つ~4つが水素原子であることが好ましく、3つ又は4つが水素原子であることがより好ましく、4つ全てが水素原子であることがさらに好ましい。R~Rのいずれかが炭素数1~3のアルキル基の場合、R及びRの少なくとも一方が炭素数1~3のアルキル基であることが好ましい。
Figure 0007124288000005
一般式(I)中、R~Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示し、水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
さらに、R~Rのうち、2つ~4つが水素原子であることが好ましく、3つ又は4つが水素原子であることがより好ましく、4つ全てが水素原子であることがさらに好ましい。R~Rのいずれかが炭素数1~3のアルキル基の場合、R及びRの少なくとも一方が炭素数1~3のアルキル基であることが好ましい。
一般式(I)で表される構造単位を2つ以上有するエポキシ化合物として具体的には、一般式(IA)で表される構造単位及び一般式(IB)で表される構造単位からなる群より選択される少なくとも一つを有する化合物が挙げられる。
Figure 0007124288000006
一般式(IA)及び一般式(IB)中、R~Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示し、水素原子又は炭素数1~2のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
さらに、R~Rのうち、2つ~4つが水素原子であることが好ましく、3つ又は4つが水素原子であることがより好ましく、4つ全てが水素原子であることがさらに好ましい。R~Rのいずれかが炭素数1~3のアルキル基の場合、R及びRの少なくとも一方が炭素数1~3のアルキル基であることが好ましい。
一般式(IA)及び一般式(IB)中、Rはそれぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基を示し、炭素数1~3のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。nは0~4の整数を示し、0~2の整数であることが好ましく、0~1の整数であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
本実施形態においては、一般式(IA)で表される構造単位が下記一般式(IA’)で表される構造単位及び下記一般式(IA’’)で表される構造単位からなる群より選択される少なくとも一つであり、一般式(IB)で表される構造単位が下記一般式(IB’)で表される構造単位及び下記一般式(IB’’)で表される構造単位からなる群より選択される少なくとも一つであることが好ましく、一般式(IA)で表される構造単位が下記一般式(IA’)で表される構造単位であり、一般式(IB)で表される構造単位が下記一般式(IB’)で表される構造単位であることがより好ましい。
Figure 0007124288000007
Figure 0007124288000008
一般式(IA’)、一般式(IB’)、一般式(IA’’)及び一般式(IB’’)中、R~R及びnの具体例は、一般式(IA)及び一般式(IB)と同様であり、その好ましい範囲も同様である。
上記構造を有する多量体化合物の中でも、一般式(IA’)又は一般式(IB’)で表させる構造を有する多量体化合物が好ましい。これらの構造を有する二量体化合物は、分子構造が直線的になりやすい。このため、分子のスタッキング性が高く、高次構造をより形成し易いと考えられる。
多量体化合物に含まれるメソゲン含有エポキシ化合物に由来する構造単位の数は特に制限されないが、平均値として5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
多量体化合物は、1分子中にメソゲン含有エポキシ化合物に由来する構造単位を2つ有する化合物(以下、「二量体化合物」とも称する)であってもよい。二量体化合物として具体的には、下記一般式(II-A)で表される化合物、下記一般式(II-B)で表される化合物及び下記一般式(II-C)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。
Figure 0007124288000009
一般式(II-A)、一般式(II-B)及び一般式(II-C)中、R~R及びnの具体例は、一般式(IA)及び一般式(IB)と同様であり、その好ましい範囲も同様である。
上記二量体化合物の具体例としては、下記一般式(II-A’)で表される化合物、下記一般式(II-B’)で表される化合物及び下記一般式(II-C’)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。これらの構造を有する二量体化合物は、分子構造が直線的になりやすい。このため、分子のスタッキング性が高く、高次構造をより形成し易いと考えられる。
Figure 0007124288000010
一般式(II-A’)、一般式(II-B’)及び下記一般式(II-C’)中、R~R及びnの具体例は、一般式(IA)及び一般式(IB)と同様であり、その好ましい範囲も同様である。
エポキシ樹脂中に含まれる多量体化合物の構造は、エポキシ樹脂の合成時に使用したモノマー(メソゲン含有エポキシ化合物)の反応により得られると推定される構造の分子量と、UVスペクトル検出器及びマススペクトル検出器を備える液体クロマトグラフを用いて実施される液体クロマトグラフィーにより求めた目的化合物の分子量とを照合させることで決定することができる。
液体クロマトグラフィーは、分析用カラムに株式会社日立製作所のLaChrom II C18を使用し、溶離液にはテトラヒドロフランを用い、流速を1.0ml/minとして行う。UVスペクトル検出器では、280nmの波長における吸光度を検出する。
また、マススペクトル検出器では、イオン化電圧を2700Vとして検出する。
なお、エポキシ樹脂の合成方法及び評価についての詳細は後述する。
エポキシ樹脂の結晶性を低下させ、エポキシ樹脂シートの取り扱い性を良好に維持する観点からは、エポキシ樹脂は、エポキシモノマーと、多量体化合物とを含むことが好ましく、エポキシモノマーと、二量体化合物とを含むことがより好ましい。
上記の場合において、エポキシ樹脂に含まれるエポキシモノマーと多量体化合物の割合は、特に制限されない。例えば、エポキシ樹脂全体に占める多量体化合物の割合が15質量%以上であることが好ましい。一方、充分な架橋密度を確保し、良好な熱伝導率と耐熱性を維持する観点からは、エポキシ樹脂全体に占める多量体化合物の割合は28質量%以下であることが好ましい。
エポキシ樹脂全体に占めるエポキシモノマー又は多量体化合物の割合は、例えば、逆相クロマトグラフィー(Reversed Phase Liquid Chromatography、RPLC)により測定することができる。
本開示においてRPLC測定は、カラムとして関東化学株式会社のMightysil RP-18を使用し、グラジエント法を用いて、溶離液の混合比(体積基準)をアセトニトリル/テトラヒドロフラン/水=20/5/75からアセトニトリル/テトラヒドロフラン=80/20(開始から20分)を経てアセトニトリル/テトラヒドロフラン=50/50(開始から35分)に連続的に変化させて行う。また、流速を1.0ml/minとする。本開示では、280nmの波長における吸光度を検出し、検出された全てのピークの総面積を100とし、それぞれ該当するピークにおける面積の比率を求め、その値をエポキシ樹脂全体に占める各化合物の割合[質量%]とする。
エポキシ樹脂は、メソゲン含有エポキシ化合物と、メソゲン含有エポキシ化合物以外のエポキシ化合物をさらに含んでいてもよい。この場合、エポキシ樹脂全体に占めるメソゲン含有エポキシ化合物以外のエポキシ化合物の割合は、15質量%未満であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下であることがさらに好ましく、実質的にメソゲン含有エポキシ化合物以外のエポキシ化合物を含まないことが特に好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は特に制限されないが、例えば、過塩素酸滴定法により測定されるエポキシ当量が245g/eq~300g/eqであることが好ましく、250g/eq~290g/eqであることがより好ましく、260g/eq~280g/eqであることがさらに好ましい。エポキシ樹脂のエポキシ当量が245g/eq以上であると、エポキシ樹脂の結晶性が低く抑えられ、樹脂層がBステージの状態である場合の柔軟性等のハンドリング性が良好に維持される傾向にある。一方、エポキシ樹脂のエポキシ当量が300g/eq以下であると、エポキシ樹脂の架橋密度が充分に確保され、良好な熱伝導率と耐熱性が維持される傾向にある。
エポキシ樹脂の分子量は特に制限されないが、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定における数平均分子量(Mn)が400~800であることが好ましく、450~750であることがより好ましく、500~700であることがさらに好ましい。エポキシ樹脂のMnが400以上であると、エポキシ樹脂の結晶性が低く抑えられ、エポキシ樹脂シートの柔軟性等の取り扱い性が良好に維持される傾向にある。一方、エポキシ樹脂のMnが800以下であると、エポキシ樹脂の架橋密度が充分に確保され、絶縁体の熱伝導率と耐熱性が良好に維持される傾向にある。
本開示におけるGPC測定は、カラムとして東ソー株式会社のG2000HXL及び3000HXLを使用し、移動相としてテトラヒドロフランを用い、試料濃度を0.2質量%とし、流速を1.0ml/minとして測定を行う。ポリスチレン標準サンプルを用いて検量線を作成し、ポリスチレン換算値でMnを計算する。
エポキシモノマーと、多量体化合物とを含むエポキシ樹脂を得る方法は、特に制限されない。例えば、エポキシモノマーと、当該エポキシモノマーのエポキシ基と反応しうる官能基を有する化合物と、必要に応じて後述する反応触媒を合成溶媒中に溶解し、加熱しながら撹拌して合成することができる。溶媒を使用せずにエポキシ樹脂モノマーを溶融して反応させる手法でも合成は可能であるが、エポキシモノマーが溶融する温度まで高温にしなければならないことがある。このため、安全性の観点から合成溶媒を使用した合成法が好ましい。
合成溶媒としては、エポキシモノマーと、当該エポキシモノマーのエポキシ基と反応しうる官能基を有する化合物とが反応するために必要な温度に加温できる溶媒であれば、特に制限されない。具体的には、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
合成溶媒の量は、上記原料を、反応温度において充分に溶解できる量とする。反応前の原料の種類、溶媒の種類等によって溶解性が異なるものの、例えば、仕込み固形分濃度が20質量%~60質量%となる量であると、合成後の樹脂溶液粘度として好ましい範囲となる傾向にある。
エポキシモノマーのエポキシ基と反応しうる官能基を有する化合物の種類は特に制限されない。例えば、エポキシ基と反応しうる官能基として2個の水酸基を一つのベンゼン環上に有する化合物(2価フェノール化合物)であってもよい。
2価フェノール化合物としては、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、これらの誘導体等が挙げられる。誘導体としては、カテコール、レゾルシノール又はヒドロキノンのベンゼン環に炭素数1~8のアルキル基等が置換した化合物が挙げられる。2価フェノール化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの2価フェノール化合物の中でも、レゾルシノール及びヒドロキノンを用いることが絶縁体の熱伝導率を向上させる観点から好ましく、ヒドロキノンを用いることがより好ましい。ヒドロキノンは2つの水酸基がパラ位の位置関係となるように置換されている構造であるため、エポキシモノマーと反応させて得られる多量体化合物は直線構造となりやすい。このため、分子のスタッキング性が高く、高次構造をより形成し易いと考えられる。
反応触媒の種類は特に限定されず、反応速度、反応温度、貯蔵安定性等の観点から適切なものを選択することができる。具体的には、イミダゾール化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。反応触媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。中でも、絶縁体の耐熱性の観点から有機リン化合物が好ましい。有機リン化合物として具体的には、有機ホスフィン化合物;有機ホスフィン化合物に無水マレイン酸、キノン化合物(1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等)、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;有機ホスフィン化合物と有機ボロン化合物(テトラフェニルボレート、テトラ-p-トリルボレート、テトラ-n-ブチルボレート等)との錯体などが挙げられる。
有機ホスフィン化合物として具体的には、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p-トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキルアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等が挙げられる。
反応触媒の量は、特に制限されない。反応速度及び貯蔵安定性の観点から、エポキシモノマーと、当該エポキシモノマーのエポキシ基と反応しうる官能基を有する化合物の合計質量に対し、0.1質量%~1.5質量%であることが好ましく、0.2質量%~1質量%であることがより好ましい。
エポキシモノマーと、多量体化合物とを含むエポキシ樹脂は、少量スケールであればガラス製のフラスコを使用し、大量スケールであればステンレス製の合成釜を使用して合成できる。具体的な合成方法は、例えば以下の通りである。
まず、エポキシモノマーをフラスコ又は合成釜に投入し、合成溶媒を入れ、オイルバス又は熱媒により反応温度まで加温し、エポキシモノマーを溶解する。そこにエポキシモノマーのエポキシ基と反応しうる官能基を有する化合物を投入し、合成溶媒中に溶解したことを確認した後に反応触媒を投入し、反応を開始する。所定時間の後に反応溶液を取り出すことで、エポキシモノマーと、多量体化合物とを含むエポキシ樹脂が得られる。また、フラスコ内又は合成釜内において、加温条件のもと減圧下で合成溶媒を留去したものを取り出すことで、エポキシモノマーと、多量体化合物とを含むエポキシ樹脂を室温(25℃)下で固体の状態で得ることができる。
反応温度は、反応触媒の存在下でエポキシ基と、エポキシ基と反応しうる官能基との反応が進行する温度であれば制限されず、例えば100℃~180℃の範囲であることが好ましく、100℃~150℃の範囲であることがより好ましい。反応温度を100℃以上とすることで、反応が完結するまでの時間をより短くできる傾向にある。一方、反応温度を180℃以下とすることで、ゲル化する可能性を低減できる傾向にある。
エポキシ樹脂中のエポキシモノマーと多量体化合物の割合は、原料として用いるエポキシモノマーと、エポキシ基と反応しうる官能基を有する化合物の配合比を変更することにより調節できる。例えば、エポキシモノマーのエポキシ基数(A)と、エポキシ基と反応しうる官能基を有する化合物の官能基数(B)の比率(A/B)を、100/100~100/1の範囲で変更することにより調節できる。
樹脂層がBステージの状態であるときのハンドリング性と、硬化した状態での耐熱性及び熱伝導率の観点からは、A/Bが100/18~100/10の範囲内であることが好ましい。A/Bを100/10以下とすることで、架橋点密度の低下が抑えられ、良好な耐熱性及び熱伝導率が維持される傾向にある。一方、A/Bを100/18以上とすることで、エポキシ樹脂の結晶性が低く抑えられ、樹脂層がBステージの状態であるときのハンドリング性が良好に維持される傾向にある。
(硬化剤)
樹脂層は、硬化剤を含んでいてもよい。硬化剤は、メソゲン含有エポキシ樹脂と硬化反応を生じるものであれば特に制限されず、硬化剤として通常用いられるものから選択できる。具体的には、酸無水物硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、メルカプタン硬化剤等が挙げられる。絶縁体の耐熱性の観点からは、アミン硬化剤及びフェノール硬化剤から選ばれる少なくとも1種が好ましい。硬化剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
アミン硬化剤としては、絶縁体の耐熱性の観点からは、芳香環を有するアミン硬化剤が好ましく、芳香環上にアミノ基を有するアミン硬化剤がより好ましい。芳香環としては、ベンゼン環又はナフタレン環が好ましい。硬化性の観点からは、2個以上のアミノ基を有するアミン硬化剤が好ましい。
アミン硬化剤として具体的には、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメトキシビフェニル、4,4’-ジアミノフェニルベンゾエート、1,5-ジアミノナフタレン、1,3-ジアミノナフタレン、1,2-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミン、1,4-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,3’-ジアミノベンズアニリド、トリメチレン-ビス-4-アミノベンゾアート、1,4-ジアミノナフタレン、及び1,8-ジアミノナフタレンが挙げられる。
これらの中でも、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン等の液状のアミン硬化剤を用いると、硬化物を作製するときのプレス圧力が低くても接着性及び絶縁性に優れる絶縁体が得られる傾向にある。
アミン硬化剤の含有量は、特に制限されない。効率的に硬化反応を行う観点からは、アミン硬化剤の活性水素の当量数(アミノ基の当量数)と、エポキシ樹脂のエポキシ基の当量数との比(アミノ基の当量数/エポキシ基の当量数)が、0.3~3.0であることが好ましく、0.5~2.0であることがより好ましい。
フェノール硬化剤としては、絶縁体の熱伝導率の観点からは、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン等の2官能のフェノール化合物、及びこれらをメチレン鎖で連結した状態のフェノールノボラック樹脂が好ましく、絶縁体の耐熱性の観点からは、フェノールノボラック樹脂がより好ましい。
フェノール硬化剤の含有量は、特に制限されない。効率的に硬化反応を行う観点からは、フェノール性水酸基の活性水素の当量数(フェノール性水酸基の当量数)とエポキシ樹脂のエポキシ基の当量数との比(フェノール性水酸基の当量数/エポキシ基の当量数)が0.5~2であることが好ましく、0.8~1.2であることがより好ましい。
(硬化触媒)
樹脂層は、硬化触媒を含んでいてもよい。樹脂層が硬化触媒を含むことで、エポキシ樹脂と硬化剤の反応を促進することができる。硬化触媒の種類及び含有率は特に限定されず、反応速度、反応温度、保管性等の観点から、適切な種類及び含有率を選択することができる。具体的には、イミダゾール系化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。硬化触媒は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(フィラー)
樹脂層は、フィラーを含んでいてもよい。樹脂層がフィラーを含むことで、得られる絶縁体の熱伝導率が向上する。特に、エポキシ樹脂としてメソゲン含有エポキシ化合物を含む場合、硬化物中にフィラーを中心とした高い秩序性を有する高次構造が形成され、硬化物の熱伝導性が飛躍的に向上する傾向にある(例えば、国際公開第WO2013/065159号公報を参照)。これは、高次構造を形成したエポキシ樹脂の硬化物中でフィラーが効率的な熱伝導パスとして機能するためと考えられている。
フィラーを含むエポキシ樹脂の硬化物中で、フィラーを中心とした高次構造が形成されているか否かは、例えば、硬化物(厚さ:約1mm)をスライドガラスに挟んだ状態で偏光顕微鏡(例えば、オリンパス株式会社のBX51)で観察することにより判断できる。このとき、フィラーが存在する領域ではフィラーを中心として干渉模様が観察されるが、フィラーが存在しない領域では干渉模様は観察されない。このことより、硬化物中で、フィラーを中心とした高次構造が形成されているか否かを判断できる。
上記観察は、クロスニコル状態ではなく、偏光子に対して検光子を60°回転させた状態で行うことが好ましい。クロスニコル状態で観察すると、干渉模様が観察されない領域(つまり、硬化物が高次構造を形成していない領域)が暗視野となり、フィラー部分と判別できなくなるが、偏光子に対して検光子を60°回転させることで干渉模様が観察されない領域が暗視野でなくなり、フィラー部分との判別が可能となる。
樹脂層中のフィラーの含有率は、特に制限されない。樹脂層の成形性及びエポキシ樹脂シートの取り扱い性の観点からは、樹脂層全体におけるフィラーの含有率は50体積%~90体積%であることが好ましく、絶縁体の熱伝導性の観点からは、60体積%~85体積%であることがより好ましく、樹脂層をワニス状のエポキシ樹脂組成物を用いて形成する場合のエポキシ樹脂組成物の揺変性の観点からは、65体積%~78体積%であることがさらに好ましい。
樹脂層に含まれるフィラーの体積基準の含有率は、例えば、以下のようにして測定される。まず、25℃における樹脂層の質量(Wc)を測定し、これを空気中、400℃で2時間、次いで700℃で3時間加熱し、樹脂分を分解及び燃焼して除去する。その後、25℃における残存したフィラーの質量(Wf)を測定する。次いで、電子比重計又は比重瓶を用いて、25℃におけるフィラーの密度(df)を求める。次いで、同様の方法で25℃における樹脂層の密度(dc)を測定する。次いで、樹脂層の体積(Vc)及び残存したフィラーの体積(Vf)を求め、(式1)に示すように残存したフィラーの体積を樹脂層の体積で除すことで、フィラーの体積比率(Vr)を求める。
(式1)
Vc=Wc/dc
Vf=Wf/df
Vr(%)=(Vf/Vc)×100
Vc:樹脂層の体積(cm
Wc:樹脂層の質量(g)
dc:樹脂層の密度(g/cm
Vf:フィラーの体積(cm
Wf:フィラーの質量(g)
df:フィラーの密度(g/cm
Vr:フィラーの体積比率(%)
樹脂層に含まれるフィラーの質量基準の含有量は、特に限定されない。例えば、樹脂層全体を100質量部としたときに、フィラーの含有量は、1質量部~99質量部であることが好ましく、50質量部~97質量部であることがより好ましく、70質量部~95質量部であることがさらに好ましい。フィラーの含有量が上記範囲内であることにより、より高い熱伝導率を達成することができる。
フィラーの種類は、特に制限されない。例えば、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等が挙げられる。フィラーは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
絶縁体の熱伝導性の観点からは、フィラーとしては窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の窒化物が好ましく、窒化ホウ素及び窒化アルミニウムの少なくとも一方がより好ましく、絶縁性の観点からは窒化ホウ素がより好ましい。
樹脂層に含まれるフィラーの種類は、例えば、エネルギー分散型X線分析法(EDX)によって確認することができる。
フィラーは、単一ピークを有する粒径分布を示すものであっても、2つ以上のピークを有する粒径分布を示すものであってもよい。樹脂層におけるフィラーの充填率の観点からは、2つ以上のピークを有する粒径分布を示すことが好ましく、3つ以上のピークを有する粒径分布を示すことがより好ましい。2つ以上のピークを有する粒径分布を示すフィラーは、粒径の異なる2種以上のフィラーを組み合わせて得てもよい。
フィラーが3つ以上のピークを有する粒径分布を示す場合、3つのピークを有する粒径分布を示す場合、0.1μm~0.8μmの範囲に存在する第一のピークと、1μm~8μmの範囲に存在する第二のピークと、20μm~60μmの範囲に存在する第三のピークとを有することが好ましい。このような粒度分布のフィラーを得るためには、小粒径粒子として0.1μm~0.8μmの平均粒子径を示す第一のフィラーと、中粒径粒子として1μm~8μmの平均粒子径を示す第二のフィラーと、大粒径粒子として20μm~60μmの平均粒子径を示す第三のフィラーとを併用することが好ましい。
フィラーが3つ以上のピークを有する粒径分布を示すことで、フィラーの充填率がより向上し、絶縁体の熱伝導率がより向上する傾向にある。フィラーの充填性の観点からは、第三のフィラーの平均粒子径は30μm~50μmであることが好ましく、第二のフィラーの平均粒子径は第三のフィラーの平均粒子径の1/15~1/4であることが好ましく、第一のフィラーの平均粒子径は第二のフィラーの平均粒子径の1/10~1/4であることが好ましい。
本開示においてフィラーの粒度分布は、レーザー回折法を用いて測定される体積累積粒度分布をいう。また、フィラーの平均粒子径は、レーザー回折法を用いて測定される体積累積粒度分布が50%となる粒子径をいう。レーザー回折法を用いた粒度分布測定は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター社のLS13)を用いて行うことができる。測定に用いるフィラー分散液は、例えば、フィラーを0.1質量%のメタリン酸ナトリウム水溶液に投入し、超音波分散させ、装置の感度上適切な光量となる濃度に調製することで得られる。
フィラーが上述した第一のフィラー、第二のフィラー及び第三のフィラーを含む場合、第三のフィラーが窒化物フィラーであることが好ましい。この場合、第一のフィラー及び第二のフィラーは、窒化物フィラーであっても、その他のフィラーであってもよいが、絶縁体の熱伝導性、及びワニス状のエポキシ樹脂組成物の揺変性の観点からは、アルミナ及び窒化アルミニウムの少なくとも一方であることが好ましい。
絶縁体の熱伝導性、接着性、及び機械的強度の観点からは、フィラーとしてアルミナを含むことが好ましく、α-アルミナを含むことがより好ましい。フィラーとしてアルミナを含む場合、アルミナとしてはγ-アルミナ、θ-アルミナ、δ-アルミナ等が挙げられるが、熱伝導性の観点から、α-アルミナのみを含むことが好ましい。
アルミナフィラーの形状は、粒子状であることが好ましい。アルミナフィラーの形状は走査型電子顕微鏡(SEM)によって確認することができる。 アルミナフィラーにおけるα-アルミナの存在は、X線回折スペクトルによって確認することができる。具体的には、特許第3759208号公報の記載に準じて、α-アルミナに特有のピークを指標としてα-アルミナの存在を確認することができる。
アルミナフィラーにおけるα-アルミナの含有率は、熱伝導性及び流動性の観点からアルミナフィラーの総体積の80体積%以上であることが好ましく、90体積%以上であることがより好ましく、100体積%であることが更に好ましい。α-アルミナの含有率が大きいほど、メソゲン含有エポキシ化合物による高次構造の形成が促進され、熱伝導性により優れる絶縁体が得られる傾向にある。なお、アルミナフィラーにおけるα-アルミナの含有率は、X線回折スペクトルによって確認することができる。
樹脂層中のフィラー全体に占めるα-アルミナフィラーの割合は、例えば、全フィラーの体積を100体積%とした場合に50体積%~90体積%であることが好ましく、70体積%~90体積%であることがより好ましい。α-アルミナフィラーの割合が全フィラー体積中の50体積%以上であると、絶縁体の被着体(金属等)に対する良好な密着性が維持され、90体積%以下であると良好な絶縁性が維持される傾向にある。
前記α-アルミナフィラーは、横軸に粒子径を、縦軸に頻度をとった粒度分布曲線を描いた場合に単一のピークを有していてもよく、複数のピークを有していてもよい。粒度分布曲線が複数のピークを有するα-アルミナフィラーを用いることで、α-アルミナフィラーの充填性がより向上し、絶縁体の熱伝導性がより向上する傾向にある。また、粒度分布曲線が複数のピークを有するα-アルミナフィラーは、例えば、平均粒子径(D50)が異なる2種以上のフィラーを組み合わせて得てもよい。
α-アルミナフィラーが粒度分布曲線を描いたときに単一のピークを有する場合、α-アルミナフィラーの体積累積粒度分布の小粒径側からの体積累積が50%となるときの粒子径である平均粒子径(D50)は、熱伝導性の観点から、0.1μm~50μmであることが好ましく、0.1μm~30μmであることがより好ましい。
α-アルミナフィラーが、異なる平均粒子径を持つ2種のフィラーの組み合わせである場合の例としては、平均粒子径(D50)が10μm~50μmであるフィラー(A)と、平均粒子径(D50)がフィラー(A)の1/2以下であり、かつ0.1μm以上、10μm未満であるフィラー(B)の組み合わせが挙げられる。この組み合わせにおいて、α-アルミナフィラーの総体積を基準(100体積%)として、フィラー(A)が60体積%~90体積%であり、フィラー(B)が10体積%~40体積%であることが好ましい。
α-アルミナフィラーが、異なる平均粒子径を持つ3種のフィラーの組み合わせである場合の例としては、平均粒子径(D50)が10μm~50μmであるα-アルミナフィラー(A’)と、平均粒子径(D50)がα-アルミナフィラー(A’)の1/2以下であり、かつ1μm以上、10μm未満であるフィラー(B’)と、平均粒子径(D50)がα-アルミナフィラー(B’)の1/2以下であり、かつ0.1μm以上、1μm未満であるα-アルミナフィラー(C’)の組み合わせが挙げられる。この組み合わせにおいて、α-アルミナフィラーの総体積を基準(100体積%)として、フィラー(A’)が30体積%~89体積%であり、フィラー(B’)が10体積%~40体積%であり、フィラー(C’)が1体積%~30体積%であることが好ましい。
上記の組み合わせにおいて、フィラー(A)及び(A’)の平均粒子径は、熱伝導性の観点からは大きいほど好ましい。一方、絶縁体の熱抵抗の観点からは、絶縁体の厚みは薄いほど好ましい。従って、フィラー(A)及び(A’)の平均粒子径は10μm~50μmであることが好ましく、10μm~30μmであることがより好ましい。
フィラーが窒化ホウ素を含む場合、窒化ホウ素の結晶形は、六方晶(hexagonal)、立方晶(cubic)及び菱面体晶(rhombohedral)のいずれであってもよく、粒子径を容易に制御できることから六方晶が好ましい。また、結晶形の異なる窒化ホウ素の二種以上を併用してもよい。
絶縁体の熱伝導率、及び樹脂層を形成する際にワニス状のエポキシ樹脂組成物を用いる場合の粘度の観点から、窒化物フィラーは、粉砕加工又は凝集加工したものであることが好ましい。窒化物フィラーの粒子形状としては、丸み状、球形、りん片状等の形状が挙げられる。また、窒化物フィラーは、これらの粒子が凝集した凝集粒子であってもよい。窒化物フィラーの充填性を高くする観点から、粒子の長径と短径との比(アスペクト比)が3以下の丸み状又は球形であることが好ましく、より好ましくはアスペクト比が2以下の丸み状又は球形であり、球形がさらに好ましい。なお、粒子のアスペクト比は、電子顕微鏡等を用いて粒子を画像化し、粒子1つ1つの長径及び短径を測定し、長径と短径との比の算術平均にて得られる値を意味する。本実施形態において、粒子の長径とは、粒子の外接長方形の長さをいい、粒子の短径とは、粒子の外接長方形の幅をいう。また、粒子が球形であるとは、アスペクト比が1.5以下であることをいう。
窒化物フィラーとしては、凝集加工した六方晶窒化ホウ素粒子が好ましい。凝集加工した六方晶窒化ホウ素粒子は隙間を多く有するため、粒子に圧力をかけることで粒子が潰れて変形しやすい。そのため、ワニス状のエポキシ樹脂組成物の低粘度化のためにフィラーの含有率を低くしても、プレス等でエポキシ樹脂組成物を圧縮することで実質的なフィラーの含有率を高めることが可能になる。熱伝導率が高いフィラー同士の接触による熱伝導パスの形成のし易さという観点から見ると、フィラーの粒子形状は球形よりも丸み状又はりん片状の方が、粒子の接触点が多くなり好ましいと考えられるが、フィラーの充填性並びにエポキシ樹脂組成物の揺変性及び粘度の兼ね合いから、球形の粒子が好ましい。
窒化物フィラーの体積平均粒子径(D50)は、特に制限されない。樹脂層の成形性の観点からは100μm以下であることが好ましく、絶縁体の熱伝導性及びワニス状のエポキシ樹脂組成物の揺変性の観点からは20μm~100μmであることがより好ましく、絶縁体の絶縁性の観点からは20μm~60μmであることがさらに好ましい。
フィラーに占める窒化物フィラーの割合は、特に制限されない。ある態様では、絶縁体の絶縁性の観点からは、フィラー全体の10体積%~100体積%であることが好ましく、ワニス状のエポキシ樹脂組成物の揺変性の観点からは、20体積%~90体積%であることがより好ましく、絶縁体の熱伝導性の観点からは、30体積%~85体積%であることがさらに好ましい。
また、フィラーに占める窒化物フィラーの割合は、その他の態様では、フィラー全体の50体積%~95体積%であることが好ましく、充填性の観点からは、60体積%~95体積%であることがより好ましく、絶縁体の熱伝導性の観点からは、65体積%~92体積%であることがさらに好ましい。
樹脂層は、必要に応じて、上記成分に加えてその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、溶剤、エラストマ、シランカップリング剤、分散剤、沈降防止剤等が挙げられる。
溶剤を含むエポキシ樹脂組成物を用いて樹脂層を形成する場合、樹脂層中に溶剤の一部が残存していても、残存していなくてもよい。樹脂層中に溶剤の一部が残存している場合、溶剤の含有率は、樹脂層全体の10質量%以下であることが好ましい。溶剤として具体例には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル等が挙げられる。
樹脂層がシランカップリング剤を含むことで、絶縁体の熱伝導率と絶縁信頼性がより向上する傾向にある。これは例えば、シランカップリング剤がフィラーの表面とその周囲の樹脂成分(エポキシ樹脂及び硬化剤)の間で共有結合を形成する役割(バインダ剤に相当)を果たすためと考えることができる。
シランカップリング剤としては、市販のものを使用してもよい。樹脂成分との相溶性、樹脂成分とフィラーとの界面での熱伝導ロスの低減等を考慮すると、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ウレイド基、水酸基等の官能基を有するシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤として具体的には、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。また、オリゴマー状のシランカップリング剤(例えば、日立化成テクノサービス株式会社のSC-6000KS2)を用いてもよい。シランカップリング剤は、一種を単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
樹脂層がシランカップリング剤を含有する場合、その含有率は特に制限されない。例えば、樹脂層の固形分全体の0.01質量%~0.1質量%であることが好ましい。
シランカップリング剤は、樹脂層に含まれるフィラーの表面を被覆した状態で存在していても、フィラーの表面以外の部分に存在していてもよい。
<エポキシ樹脂シートの製造方法>
本開示のエポキシ樹脂シートの製造方法は、基材上に樹脂層を形成する工程を備え、前記基材の前記樹脂層が形成される面の表面自由エネルギーが10mJ/m以上であり、前記樹脂層はメソゲン基を有するエポキシ化合物(メソゲン含有エポキシ化合物)を含む、エポキシ樹脂シートの製造方法である。
上記方法における基材及び樹脂層の詳細及び好ましい態様は、上述したエポキシ樹脂シートにおける基材及び樹脂層の詳細及び好ましい態様と同様である。
基材上に樹脂層を形成する方法は、特に制限されない。例えば、樹脂層に含まれる成分を含有するエポキシ樹脂組成物を基材上に付与し、必要に応じて熱処理を行う方法であってもよい。
エポキシ樹脂組成物を用いて基材上に樹脂層を形成する場合、エポキシ樹脂組成物の状態は特に制限されない。例えば、ワニス状であっても、シート状であってもよい。
ワニス状のエポキシ樹脂組成物を用いて基材上に樹脂層を形成する方法は、特に制限されない。具体的には、コンマコート、ダイコート、リップコート、グラビアコート等の方法が挙げられる。所定の厚みにエポキシ樹脂組成物を付与する観点からは、ギャップを設けてその間に基材を通過させるコンマコート法、ノズルから流量を調節したエポキシ樹脂組成物を塗布するダイコート法等が好ましい。
エポキシ樹脂組成物は、粘度調節等のために溶剤を含んでいてもよい。
エポキシ樹脂組成物が溶剤を含有する場合、エポキシ樹脂組成物の25℃における粘度は、0.5Pa・s~5Pa・sであることが好ましく、0.5Pa・s~4Pa・sであることがより好ましく、1Pa・s~3Pa・sであることがさらに好ましい。エポキシ樹脂組成物の25℃における粘度は、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、5.0s-1のせん断速度で温度25℃で測定される値をいう。
また、エポキシ樹脂組成物の25℃における揺変指数は、3~15であることが好ましく、3.5~10であることがより好ましく、4~7であることがさらに好ましい。エポキシ樹脂組成物の揺変指数は、25℃に保たれた組成物について、レオメーターを用いて粘度を測定したときの(0.5s-1のせん断速度での粘度)/(5.0s-1のせん断速度での粘度)の値とする。詳細には、「揺変指数」は、せん断粘度として、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
必要に応じ、基材上にエポキシ樹脂組成物を付与した後に、エポキシ樹脂組成物に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去するための乾燥処理を施してもよい。
さらに、樹脂層をBステージ又はCステージの状態にするための熱処理を施してもよい。熱処理の方法は、特に制限されない。熱処理による樹脂層中に空隙(ボイド)が生じるのを抑制する観点からは、熱真空プレス、熱ロールラミネート等が好ましい。
熱処理の条件は、特に制限されない。樹脂層をBステージの状態にする条件としては、例えば、加熱温度80℃~180℃で、1秒~3分間、減圧下(例えば、1kPa)で加熱プレス処理する条件が挙げられる。このときのプレスの圧力は、例えば、5MPa~20MPaであってもよい。樹脂層をCステージの状態にする条件としては、例えば、加熱温度150℃~250℃で、1分間~60分間、1MPa~30MPaで加熱プレス処理する条件が挙げられる。
<絶縁体の製造方法>
本開示の絶縁体の製造方法は、上述したエポキシ樹脂シートの製造方法により製造されるエポキシ樹脂シートの樹脂層を硬化させる工程を備える、絶縁体の製造方法である。
上記方法により製造される絶縁体は、樹脂層を硬化して得られる硬化物に相当する。絶縁体は、例えば、電気機器の導体等の絶縁対象と接する場所に配置される。絶縁体は、基材と接した状態であっても、基材が除去された状態であってもよい。
上記方法において樹脂層を硬化する方法は特に制限されず、周知の方法で行うことができる。
<電気機器の製造方法>
本開示の電気機器の製造方法は、上述したエポキシ樹脂シートの樹脂層を絶縁対象に接触させる工程を備える、電気機器の製造方法である。
上記方法はさらに、絶縁対象に接触させた樹脂層を硬化させる工程を備えてもよい。
上記方法で製造される電気機器は、樹脂層の硬化物を絶縁体として有する。電気機器及び絶縁対象の種類、及び絶縁体が設けられる場所等は特に制限されない。
上記方法で製造される電気機器では、エポキシ樹脂シートの基材は絶縁体から最終的には除去されていることが好ましい。エポキシ樹脂シートの基材を除去するタイミングは、特に制限されない。例えば、エポキシ樹脂シートの絶縁層を絶縁対象に接触させる前であっても、エポキシ樹脂シートの絶縁層を絶縁対象に接触させた後であって、樹脂層を硬化させる前であっても、樹脂層を硬化させた後であってもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
(1)エポキシ樹脂の合成
500mLの三口フラスコに、エポキシモノマーとして4-{4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル=4-(2,3-エポキシプロポキシ)ベンゾエート(エポキシ当量:212g/eq、下記構造、特開2011-74366号公報に記載の方法により合成)を50g(0.118mol)量り取り、そこにプロピレングリコールモノメチルエーテルを80g添加した。三口フラスコに冷却管及び窒素導入管を設置し、溶媒に漬かるように撹拌羽を取り付けた。この三口フラスコを120℃のオイルバスに浸漬し、撹拌を開始した。樹脂Aが溶解し、透明な溶液になったことを確認した後、エポキシモノマーのエポキシ基と反応する官能基を有する化合物としてヒドロキノンを添加し、さらに反応触媒としてトリフェニルホスフィンを0.5g添加し、120℃のオイルバス温度で加熱を継続した。ヒドロキノンは、エポキシモノマーのエポキシ基数(A)とヒドロキノンの水酸基数(B)の比率(A/B)が100/13となるように添加した。
5時間加熱を継続した後に、反応溶液からプロピレングリコールモノメチルエーテルを減圧留去し、残渣を室温(25℃)まで冷却することにより、エポキシモノマーと、エポキシモノマーとヒドロキノンの反応物とを含むエポキシ樹脂を合成した。
Figure 0007124288000011
合成したエポキシ樹脂とヒドロキノンとの反応より得られると推定される化合物の構造の分子量と、UV及びマススペクトル検出器を備える液体クロマトグラフを用いて実施される液体クロマトグラフィーにより求めた目的化合物の分子量とを照合させた。その結果、下記のうち少なくとも一つの構造を有する化合物(二量体化合物)がエポキシ樹脂に含まれていることを確認した。
液体クロマトグラフィーは、カラムとして株式会社日立製作所のLaChrom II C18を使用し、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、流速を1.0ml/minとして行った。
UVスペクトル検出器では、280nmの波長における吸光度を検出した。このとき、下記構造の化合物はいずれも17.4分の位置に、また、エポキシモノマーは14.9分の位置にピークが見られた。また、マススペクトル検出器ではイオン化電圧を2700Vとして検出し、下記構造の化合物の分子量はいずれもプロトンが一つ付加した状態で959であった。
Figure 0007124288000012
エポキシ樹脂の固形分量は、加熱減量法により測定した。具体的には、試料をアルミ製カップに1.0g~1.1g量り取り、180℃の温度に設定した乾燥機内に30分間放置した後の計測量と加熱前の計測量とに基づき、次式により算出したところ、固形分量は99.6質量%であった。
固形分量(%)=(30分間放置した後の計測量/加熱前の計測量)×100
エポキシ樹脂のエポキシ当量を、過塩素酸滴定法により測定したところ、エポキシ当量は275g/eqであった。
エポキシ樹脂に含まれる二量体化合物の含有率と、未反応のエポキシモノマーの含有率を逆相クロマトグラフィー(RPLC)によって測定したところ、二量体の化合物の含有率は23質量%であり、エポキシモノマーの含有率は69質量%であった。
測定には、カラムとして関東化学株式会社のMightysil RP-18を使用した。グラジエント法を用いて、溶離液の混合比(体積基準)をアセトニトリル/テトラヒドロフラン/水=20/5/75からアセトニトリル/テトラヒドロフラン=80/20(開始から20分)を経てアセトニトリル/テトラヒドロフラン=50/50(開始から35分)に連続的に変化させて測定を行った。流速は1.0ml/minとした。280nmの波長における吸光度を検出し、検出された全てのピークの総面積を100とし、それぞれ該当するピークにおける面積の比率を求め、その値をエポキシ樹脂全体における各化合物の含有率[質量%]とした。
(2)エポキシ樹脂組成物の調製
合成したエポキシ樹脂と下記の各材料を表1に記載の比率で混合し、ワニス状のエポキシ樹脂組成物を得た。
(フィラー)
・フィラー1[AA-3、アルミナ粒子、住友化学株式会社、D50:3μm]
・フィラー2[AA-04、アルミナ粒子、住友化学株式会社、D50:0.40μm]
・フィラー3[HP-40、窒化ホウ素粒子、水島合金鉄株式会社、D50:40μm、粒子形状(アスペクト比):りん片状の凝集体(1.5)、結晶形:六方晶]
(硬化剤)
・4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)[和光純薬工業株式会社]
(添加剤)
・シランカップリング剤[KBM-403、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業株式会社]
(溶剤)
・シクロヘキサノン(CHN)
(3)エポキシ樹脂シートの作製
上記で調整したエポキシ樹脂組成物を、アプリケーターを用いてPETフィルム上に塗布した後、130℃のボックス型オーブンで5分乾燥させた。この状態のPETフィルムを2つ作製し、それぞれの塗布面同士が対向するように重ね合わせた。次いで、温度:150℃、圧力:15MPa、時間:1分の条件で真空プレスにて熱間加圧を行い、樹脂層がBステージの状態であるエポキシ樹脂シートを得た。エポキシ樹脂シートは、上述した方法で測定した樹脂層と接する面の表面自由エネルギーの値が異なる3種のPETフィルムを用いて作製した。
(4)樹脂層の硬化
上記で作製したエポキシ樹脂シートに対し、温度:210℃、圧力:15MPa、時間:60分の条件で真空プレスにて熱間加圧を行い、樹脂層を硬化させた。硬化後の樹脂層の厚みは、80μmであった。
Figure 0007124288000013
(5)熱伝導性の評価
樹脂層を硬化させたエポキシ樹脂シートからPETフィルムをはがし、温度波熱分析装置(ai‐Phase社の商品名:ai‐Phase Mobile 1U)を用いて樹脂層の硬化物の熱拡散率を測定した。この値と、アルキメデス法で測定した密度と、DSC(Perkin Elmer社の商品名:DSC Pyris1)にて測定した比熱との積から、樹脂層の硬化物の熱伝導率を求めた。求めた熱伝導率の結果を、PETフィルムの表面自由エネルギーとともに表2に示す。
熱伝導率λ(W/(m・K))=α×ρ×Cp
α:熱拡散率(m/s)
ρ:密度(kg/cm
Cp:比熱(容量)(kJ/(kg・K))
Figure 0007124288000014
表2に示されるように、PETフィルムの樹脂層と接する面の表面自由エネルギーの値が大きいほど、樹脂層の硬化物の熱伝導率が大きい傾向が認められた。
また、樹脂層と接する面の表面自由エネルギーが10mJ/m以上であるPETフィルムを用いることで、絶縁体として充分な熱伝導率を有する樹脂層の硬化物が得られることがわかった。

Claims (9)

  1. 樹脂層と、前記樹脂層の一方の面に接する基材とを備え、前記基材の前記樹脂層と接する面の表面自由エネルギーが16.0mJ/m以上19.5mJ/m以下であり、前記基材の前記樹脂層と接する面は離型剤が付与されており、前記樹脂層はメソゲン基を有するエポキシ化合物を含むエポキシ樹脂を含み、
    前記メソゲン基を有するエポキシ化合物は、下記一般式(I)で表される構造単位を有する、エポキシ樹脂シート。
    Figure 0007124288000015


    [一般式(I)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示す。]
  2. 前記メソゲン基を有するエポキシ化合物は、1分子中に下記一般式(I)で表される構造単位を2つ有する化合物を含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂シート。
    Figure 0007124288000016


    [一般式(I)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示す。]
  3. 前記メソゲン基を有するエポキシ化合物は、下記一般式(IA)で表される構造単位及び下記一般式(IB)で表される構造単位からなる群より選択される少なくとも一つの構造単位を有する、請求項1又は請求項2に記載のエポキシ樹脂シート。
    Figure 0007124288000017


    [一般式(IA)及び一般式(IB)中、R~Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示し、Rはそれぞれ独立に、炭素数1~8のアルキル基を示す。nは0~4の整数を示す。]
  4. 前記樹脂層がAステージの状態である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂シート。
  5. 前記樹脂層がBステージの状態である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂シート。
  6. 前記樹脂層がCステージの状態である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂シート。
  7. 基材上に樹脂層を形成する工程を備え、前記基材の前記樹脂層が形成される面の表面自由エネルギーが16.0mJ/m以上19.5mJ/m以下であり、前記基材の前記樹脂層が形成される面は離型剤が付与されており、前記樹脂層はメソゲン基を有するエポキシ化合物を含むエポキシ樹脂を含む、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂シートの製造方法。
  8. 請求項7に記載のエポキシ樹脂シートの製造方法により製造されるエポキシ樹脂シートの前記樹脂層を硬化させる工程を備える、絶縁体の製造方法。
  9. 請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂シートの前記樹脂層を絶縁対象に接触させる工程を備える、電気機器の製造方法。
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