以下、本発明の実施形態に係るLED照明装置(LEDシーリングライト)について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態に係るLED照明装置1Aは、
例えば、家屋の天井面に設けられる引掛ローゼットや引掛シーリングなどの屋内配線器具(不図示)に係合する取付アダプタ(不図示)を介することによって、外部電源に接続されるとともに天井面の所定位置に固定されて利用に供されるものである。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るLED照明装置を示す分解斜視図である。なお、図1では、紙面上側が天井側、紙面下側が床側である。
図1に示すように、LED照明装置1Aは、例えば丸型のものであり、本体ベース11、アダプタ受け部(絶縁材)12、電源基板13、放熱板14、LED光源基板15A、反射シート16、LEDカバー17、センタカバー18、セード19、リング部材20、センサユニット21などで構成されている。
本体ベース11は、鋼板(例えば、SPCC)を略円形状に加工成形した部品であり、凹面が床側を向くように略凹状(皿状)に形成されている。また、本体ベース11の中央には、取付アダプタ(不図示)が係止されるアダプタ取付孔11aが形成されている。
アダプタ受け部(絶縁材)12は、難燃性を有する合成樹脂(例えば、PBT:ポリブチレンテレフタレート樹脂)で形成され、本体ベース11にねじ固定されるリング形状の固定部12aと、この固定部12aの内周縁部から床側(下方)に延出する円筒部12bと、を有している。
電源基板13は、制御部を含む点灯回路基板などを有し、アダプタ受け部(絶縁材)12を介して本体ベース11にねじ固定されている。これにより、電源基板13は、本体ベース11と後記する放熱板14とで囲まれた放熱空間内に、電気絶縁性を維持した状態で配置される。
また、電源基板13は、不図示の電線を介して、取付アダプタ(不図示)と電気的に接続される。これにより、LED照明装置1Aは、屋内配線器具(不図示)、取付アダプタ(不図示)、電源基板13をそれぞれ介して、給電されるようになっている。
放熱板14は、鋼板を略円形状に加工成形したものであり、床側に突出する円錐台形状の基板支持部14aが形成されている。また、放熱板14は、例えば亜鉛メッキ鋼板などの熱伝導性の良好な金属を用いて構成され、しぼり加工を施すことによって強度アップが図られている。また、放熱板14は、本体ベース11よりも大径に形成され、本体ベース11よりも径方向外側に突出するようにして本体ベース11に取り付けられる。
また、放熱板14の径方向の中心には、アダプタ受け部(絶縁材)12の円筒部12bと対応する位置に円形の貫通孔14bが形成されている。また、放熱板14の外周に形成された環状部14cには、後記するセード19を掛止するための受け具14dが120°間隔で3箇所に取り付けられている。
LED光源基板15Aは、リング形状の配線基板15aと、この配線基板15aの一面側(床面側)に同心円状に配置された複数のLED素子群15bと、を含んで構成されている。なお、LED素子群15bの詳細については後記する。
配線基板15aは、例えば、アルミニウム合金製の略環状の金属板に絶縁層および銅箔パターンなどを形成することで構成され、または熱伝導性の良好な樹脂(例えばポリイミド樹脂など)の平板上に銅箔パターンおよびソルダーレジストなどを形成することで構成されている。また、配線基板15aは、放熱板14にねじ固定されている。
本実施形態では、前記のような構成の本体ベース11と放熱板14とを備えることによって、放熱空間の容積を大きくし(放熱空間の空気の量を多くし)、電源基板13およびLED光源基板15Aの放熱効率の向上を図っている。その結果、LED素子群15bの発光効率を高くできる。
図2は、第1実施形態に係るLED照明装置の各色LEDの配置を示す平面図である。なお、図2は、18畳用のLEDの配列パターンの一例を示している。
図2に示すように、LED素子群15bは、昼光色(D色)の光を発する複数個の昼光色LED(Light Emitting Diode)15b1、電球色(L色)の光を発する複数個の電球色LED15b2、青緑色の光を発する複数個の青緑色LED15b3を含んで構成されている。また、LED素子群15bは、保安灯用のLED15b4を備えている。
昼光色LED15b1は、ピーク波長が430nm~460nmのものであり(後記する図6(a)参照)、外周側から内周側にかけて同心円状に複数列(図2の実施形態では10列)に形成されている。
電球色LED15b2は、ピーク波長が550nm~650nmのものであり、同心円状に複数列配置された各列において昼光色LED15b1を間に挟んで配置されている。
青緑色LED15b3は、ピーク波長が470nm~490nmのものであり、同心円状に複数列配置された列の中の最内周と最外周の列に昼光色LED15b1と電球色LED15b2とを間に挟んで配置される。最外周に配置されたLEDは外側への配光が、最内周に配置されたLEDは内側への配光が広くなるため、このように配置することで青緑色LED15b3を少ない個数で、青緑色の広い配光を得る効果を奏する。
すなわち、最外周と最内周においては、昼光色LED15b1と電球色LED15b2と青緑色LED15b3とは同じ数量で配置される。昼光色LED15b1と電球色LED15b2の数量を1:1とすることで相対的な昼光色の光量が減少するため、青緑色の発光による色温度の上昇を軽減することができ、最外周および最内周以外の昼光色LED15b1と電球色LED15b2の発光による混色と違和感の無い光色を得る効果を奏する。
最外周と最内周とを除く同心円状の列においては、電球色LED15b3は2個または3個の昼光色LED15b1を間に挟んで配置されている。4800Kの色温度を得るための昼光色と電球色の光量配分は約2:1であるため、このように配置することで昼光色LED15b1と電球色LED15b2の数量比率を約2:1とし、各色のLEDをほぼ同じ電流で発光させることで、発光効率の高い照明装置とする効果を奏する。
また、昼光色LED15b1、電球色LED15b2、または青緑色LED15b3が配置される同心円状の各列において、LEDは周方向に向けて等間隔またはほぼ等間隔に配置されている。このように配置することで、周方向に対して色ムラの少ない配光を得る効果を奏する。
図3は、第1実施形態の変形例に係るLED照明装置の各色LEDの配置を示す平面図である。なお、図3に示すLED光源基板15Bは、8畳用のLEDの配列パターンを示し、LED光源基板15Aとは、LED素子群15bの数および配列が異なるだけで、配線基板15aの形状などは同一である。また、保安灯用のLED15b4は、畳数に拘わらず同じ位置に配置されている。
図3に示すように、昼光色LED15b1は、前記と同様のピーク波長を有するものであり、外周側から内周側にかけて同心円状に複数列(図3の実施形態では7列)に形成されている。
電球色LED15b2は、前記と同様のピーク波長を有するものであり、同心円状に配置された各列において昼光色LED15b1を間に挟んで配置されている。
青緑色LED15b3は、前記と同様のピーク波長を有するものであり、同心円状に複数列配置された列の中の最内周と最外周の列に昼光色LED15b1と電球色LED15b2とを間に挟んで配置される。
図2に示すLED素子群15bは、例えば、274個の昼光色LED15b1、152個の電球色LED15b2、および32個の青緑色LED15b3によって構成されている。また、図3に示すLED素子群15bは、例えば、149個の昼光色LED15b1、77個の電球色LED15b2、および21個の青緑色LED15b3によって構成されている。このように、青緑色LED15b3の数は、昼光色LED15b1および電球色LED15b2の合計数の10%程度とすることが好ましい。
図1に戻って、反射シート(反射フィルム)16は、LED素子群15bから天井側に出射された光(LEDカバー17やセード19によって天井方向に反射された光)を床側に反射させる機能を有し、LED光源基板15Aの形状と対応するように平面視においてドーナツ状(環状)に形成されている。また、反射シート16は、白色の樹脂シートで構成され、LED素子群15bの各素子を個別に露出させる(挿通させる)貫通孔16aが形成されている。なお、本実施形態では、反射シート16を設ける場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、放熱板14や光源基板15Aに高反射塗装を行う構成であってもよい。本実施形態では、高反射塗装ではなく、反射シート16を用いることで、LED照明装置1Aを安価に製造することが可能になる。
LEDカバー17は、複数のLED素子群15bから発せられた光束を表面側(床側)へ導く機能およびLED光源基板15Aを放熱板14に対して密着させるように押圧する機能などを有している。
LEDカバー17は、例えばポリスチレン、ポリカーボネートなどの、透光性および電気絶縁性を有する樹脂を用いて、射出成形などによって一体成形されている。特に、透明性、コストおよび成形性の点においてポリスチレンを使用することが好ましい。また、LEDカバー17に用いる材料は、透光性および電気絶縁性を備えるものであれば、樹脂に限定されるものではなく、ガラスなどであってもよい。
また、LEDカバー17は、LED光源基板15Aの発光面(LED素子群15bが実装されている面)全体を覆う略円形状のLEDカバー部17aと、LEDカバー部17aの外周縁部から背面側(天井側)に向けて延びる円筒状の壁部17bと、壁部17bの上端(背面側)から径方向外側に向けて突出するつば部17cと、を有している。つば部17cは、周方向に沿って延在し、3箇所に分割されて形成されている。
センタカバー18は、装置本体の中央において露出する取付アダプタ(不図示)を覆うものであり、例えば、難燃性を有する合成樹脂(例えば、PP:ポリプロピレン樹脂)によって形成されている。また、センタカバー18は、円板状に形成され、LEDカバー17に着脱自在に取り付けられている。
セード19は、透光性(透明、半透明、または、乳白色を含む)を有する樹脂製(例えばアクリルやポリスチレンなど)であり、ドーム状に構成されたものである。また、セード19は、光源(LED素子群15b)から放射された光束を拡散させて、使用者がLED照明装置1Aを直視した際のまぶしさを軽減したり、LED照明装置1Aが設置された空間の明るさを均一化する役割を果たす。また、セード19は、放熱板14の受け具14dによって、着脱自在に係合保持される。
リング部材20は、リング部の内周側がセード19の外周側に保持され、リング部の外周側がセード19の外周よりも外側に突出するように構成されている。また、リング部材20は、光透過性を有する材料で形成されている。
センサユニット21は、例えば、LED照明装置1Aが設置された環境(空間)の明るさに応じてLED素子群15bへの供給電力を変化させて、LED照明装置1A下で一定の照度が得られるようにする機能を提供する。また、LED照明装置1A下の照度を検知する。
図4は第1実施形態に係るLED照明装置を示す縦断面図である。
図4に示すように(併せて図1に示すように)、LEDカバー部17aは、径方向の中央部に円形の貫通孔17a1が形成されている。また、LEDカバー部17aには、LED光源基板15AのLED素子群15b(昼光色LED15b1、電球色LED15b2、青緑色LED15b3)のそれぞれに対応する位置にドーム形状部17a2が形成されている。なお、ドーム形状部17a2は、レンズ機能を有するものであり、昼光色LED15b1、電球色LED15b2および青緑色LED15b3からの光束を拡散等させるものである。
また、LEDカバー17では、LEDカバー部17aが放熱板14の基板支持部14aにねじ固定され、つば部17cが放熱板14の環状部14cにねじ固定される。
壁部17bは、LEDカバー部17aに対して略直交する方向に延びて形成されている。また、壁部17bには、図示しない切欠きが形成され、LEDカバー17内の熱を外部に逃すことができるようになっている。なお、切欠きの開口面積は、使用者の指が挿入できない大きさに設定されている。これにより、使用者が手(指)で直接にLED光源基板15Aに触れるのを防止できる。
つば部17cは、LEDカバー17をLED光源基板15Aの外周側において放熱板14に固定する固定部である。
図5は、第1実施形態に係るLED照明装置を示す縦断面図を拡大したものであり、最内周部(a)、最外周部(c)、および中間的な位置(b)に配置されたLEDから放射する光束の配光を矢印で示したものである。最内周部(a)とは、昼光色LED15b1、電球色LED15b2、または青緑色LED15b3が配置される同心円状の各列における、一番内周側の列を指し、最外周部(c)とは一番外周側の列を指し、中間的な位置(b)とはその間の列を指す。中間的な位置(b)は、1列のこともあれば、複数列のこともある。
中間的位置(b)に配置されたLEDから出射した光束は、LEDカバーのドーム形状171bによって拡散光151bとなる。拡散光151bにおいて、鉛直に近い角度で放射された光束はそのまま図示しないセード19に到達するが、水平に近い角度で放射された光束は近接配置されたドーム形状172bに到達し、反射光152bとドーム形状172bに入射してから放射する光153bとになる。反射光152bおよびドーム形状172bからの出射光153bは鉛直方向に曲げられるため、拡散光151bは配光が狭められたものとなる。
最内周部(a)に配置されたLEDから出射した光束は、LEDカバーのドーム形状171aによって拡散光151aとなる。拡散光151aにおいて、鉛直に近い角度で放射された光束および内周側方向へ放射された光束はそのまま図示しないセード19に到達するが、外周側へ水平に近い角度で放射された光束は近接配置されたドーム形状172aに到達し、反射光152aとドーム形状172aに入射してから放射する光153aとになる。反射光152aおよびドーム形状172aからの出射光153aは鉛直方向に曲げられるため、拡散光151aは外周側の配光が狭められたものとなる。
最外周部(c)に配置されたLEDから出射した光束は、LEDカバーのドーム形状171cによって拡散光151cとなる。拡散光151cにおいて、鉛直に近い角度で放射された光束および外周側方向へ放射された光束はそのまま図示しないセード19に到達するが、内周側へ水平に近い角度で放射された光束は近接配置されたドーム形状172cに到達し、反射光152cとドーム形状172cに入射してから放射する光153cとになる。反射光152cおよびドーム形状172cからの出射光153cは鉛直方向に曲げられるため、拡散光151cは内周側の配光が狭められたものとなる。
以上説明したように、最外周に配置されたLEDの外側、および最内周に配置されたLEDの内側には隣接するドームが存在しないので配光を狭められることが無く、最外周に配置されたLEDの外側および最内周に配置されたLEDの内側方向は良好な配光が得られる。
図2および図3に示すように、青緑色LED15b3を最内周および最外周に配置することにより、少ない個数の青緑色LED15b3の光束を効率良く広範囲に配光することができる。
図6は、第1実施形態に係るLED照明装置を示す制御ブロック図である。
図6に示すように、LED照明装置1Aは、電源PS(または商用電源)および電源回路130から電力を供給されて動作する。電源回路130は、電源PSの電力を所定の電圧または電流に調整する機能を有する。
また、LED照明装置1Aは、受光部110を備えている。受光部110は、リモコン120のボタン操作によってリモコン120から出力される信号(例えば、赤外光)を受信し、受信した信号を制御部101に送信する機能を有する。
リモコン120は、人によって操作される不図示のボタンを有し、操作されたボタンに対して設定された信号を出力する機能を有する。例えば、全灯モード、明るさアップモード、青緑色LED追加モード、明るさアップモード+青緑色LED追加モードなどを設定することができる。
次に、LED照明装置1Aの機能例について説明する。LED照明装置1Aは、制御部101、昼光色LED、電球色LEDをそれぞれ調光する調光回路102,103、青緑色LEDを点灯・消灯する点灯回路104および3種類の昼光色LED15b1、電球色LED15b2、青緑色LED15b3(光源)を有する。なお、図2,3で説明した保安灯用のLED15b4については図示を省略している。
制御部101は、マイコン等を含んで構成され、受光部110によって受信された信号を受け付けて、調光回路102,103および点灯回路104を制御する制御信号を生成する機能を有する。制御信号は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号である。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)およびメインメモリによって構成され、不図示の記憶部に記憶されているアプリケーションプログラムをメインメモリに展開して、その機能を具現化する。
調光回路102,103は、制御部101から受信した制御信号に基づいて、昼光色LED15b1、電球色LED15b2を駆動し、点灯回路104は、青緑色LED15b3を駆動する機能を有する。また、調光回路102,103は、制御部101から受信した制御信号に基づいて、昼光色LED15b1、電球色LED15b2を駆動する駆動電流を個別に変更する機能を有する。また、点灯回路104は、制御部101から受信した制御信号に基づいて、青緑色LEDの点灯状態、消灯状態を切り替える機能を有し、駆動電流を変更する機能は有しない単純な構成である。
図7は、(a)は昼光色LEDのスペクトル分布図、(b)は電球色LEDのスペクトル分布図、(c)は青緑色LEDのスペクトル分布図である。なお、本実施形態では、スペクトル分布図として、波長(WAVELENGTH(nm))と放射強度との関係を示して説明するが、波長とエネルギ比との関係においても同様のピーク波長を有する波形を示すものである。
図7(a)に示すように、昼光色LED15b1は、430nm~460nmの範囲内においてピーク波長を有するものであり、本実施形態では、450nmにピーク波長を有するものが使用される。また、昼光色LED15b1の色温度は、6500K(ケルビン)である。
図7(b)に示すように、電球色LED15b2は、550nm~650nmの範囲内においてピーク波長を有するものであり、本実施形態では、610nmにピーク波長を有するものが使用される。また、電球色LED15b2の色温度は、2700Kである。
なお、昼光色LED15b1と電球色LED15b2の色温度は、6500Kや2700Kに限定されるものではない。
図7(c)に示すように、青緑色LED15b3は、470nm~490nmの範囲内においてピーク波長を有するものであり、本実施形態では、475nmにピーク波長を有するものが使用される。
図8(a)は、図7の(a)と(b)と全灯のスペクトル分布図とを重ね合わせたスペクトル分布図、図8(b)は太陽光のスペクトル分布図と図7(c)と全灯のスペクトル分布図と全灯に青緑色LEDを追加した場合のスペクトル分布図とを重ね合わせたスペクトル分布図、図8(c)は図7(c)と明るさアップモードのスペクトル分布図と明るさアップモードに青緑色LEDを追加した場合のスペクトル分布図とを重ね合わせたスペクトル分布図である。
ところで、人間の光に対する感度は、年齢によって変化し、特に高齢者では短波長領域(およそ500nm以下)の光に対する感度が低下することが知られている。白色LEDを光源として用いた照明装置では、図8(a)に示すように、波長-放射強度の特性において、昼光色LED15b1と電球色LED15b2の特性は略同一であり、ともに波長470nm~490nm近傍で放射強度が低くなっている。また、昼光色LED15b1と電球色LED15b2の双方を同時に点灯させた全灯モード(6099lm、4800K)でも、特性は略同一であり、波長が470nm~490nm近傍で放射強度が低くなっている。このため、高齢者では特にLED照明下において主に青緑色など短波長の光成分を含む色や文字が見づらくなるという課題がある。
そこで、本実施形態では、図8(b)において太実線で示すように、昼光色LED15b1と電球色LED15b2とを同時に(併せて)点灯させる全灯モードに、青緑色LED15b3を追加して点灯させること、つまり昼光色LED15b1と電球色LED15b2と青緑色LED15b3とを同時に点灯させることで、470nm~490nmでの放射強度の落ち込みを改善できる。これにより、色温度を太陽光の5800Kのスペクトルの波形に近づけることができ、書面等の文字が見易くなる。
図9は、色温度と光束との関係を示すパターン図である。図9の横軸は色温度(K)を表し、縦軸は光束(lm:ルーメン)を表している。
図9中の点200は、一般社団法人日本照明工業会によって畳数に応じて定められている部屋の明るさの範囲の最大値(以降、「部屋の広さに適した光束の最大値」と称する。)を表している。この点200では、昼光色LED15b1、電球色LED15b2に与えられる電流値は、その定格に対してある程度のマージンが取られている。
ドットを付したエリア250は、通常モードで調色および調光のいずれか一方または双
方を実行できる範囲を表している。
点210は、制御部101が、点200よりもさらに光束を増加する「明るさアップモード」の指示を受け付けた時の光束および色温度を表している。制御部101は、明るさアップモードの指示を受け付けた場合には、例えば、「全灯モード」(定格出力)で昼光色LED15b1および電球色LED15b2に流す電流値の1.2倍の電流を流すように制御する。点210の色温度は、点200の色温度と同じである。点210における光束は、複数の昼光色LED15b1と複数の電球色LED15b2のそれぞれで光束を増
加しているため、1つ当たりの調光率または電流値の増加量は、一部の昼光色LED15b1や電球色LED15b2で同じだけ光束を増加させる場合に比べて少なくて済む。
点221は、昼光色LED15b1を単独で駆動した場合に得られる「蛍光灯モード」である。点222は、電球色LED15b2を単独で駆動した場合に得られる「電球色モード」である。
点223は、昼光色LED15b1と電球色LED15b2の調色により得られる「図書館の明かりモード」である。この「図書館の明かりモード」は、色温度を蛍光灯モードより低く且つ電球モードよりも高い5000Kに設定し、さらに光束を蛍光灯モードおよび電球モードよりも高い5900lmに設定されている。
点224は、昼光色LED15b1と電球色LED15b2との調色により得られる「食卓モード」である。この「食卓モード」は、色温度を蛍光灯モードより低く且つ電球モードよりも高い3000Kに設定し、さらに光束を蛍光灯モードよりも低く且つ電球モードよりも高い約3650lmに設定されている。
このように、「蛍光灯モード」、「電球色モード」、「図書館の明かりモード」および「食卓モード」も、「全灯モード」と略同一の特性を有するものであり、波長が470nm~490nm近傍で放射強度が低くなる特性を有している。
そこで、本実施形態では、図9において矢印230で示すように、点200の「全灯モード」に青緑色LED15b3を追加して点灯する点220の「全灯モード+青緑色LED追加モード」を追加することで、色温度が太陽光の5800Kに近づくような5600Kの光を得ることで文字などが見易くなるという効果を奏する。
また、「全灯モード」において、昼光色LED15b1と電球色LED15b2に1.2倍の電流を加える「明るさアップモード」でも、波長が470nm~490nm近傍で放射強度が低くなる特性を有している。
そこで、本実施形態では、図9において矢印231で示すように、点210の「明るさアップモード」に青緑色LED15b3を追加して点灯する点240の「明るさアップモード+青緑色LED追加モード」を追加することで、色温度が太陽光の5800Kに近づくことで文字などがより見易くなるという効果および物が楽に見えるといった効果を奏する。
ここで点200の「全灯モード」、点210の「明るさアップモード」、点220の「全灯モード+青緑色LED追加モード」、点240の「明るさアップモード+青緑色LED追加モード」を具体的に実現するための方法および昼光色LED15b1、電球色LED15b2、青緑色LED15b3それぞれの光量比率について説明する。
上記では点200の「全灯モード」の際に昼光色LED15b1と電球色LED15b2に流す電流の1.2倍の電流を点210の「明るさアップモード」で流すことを説明したが、光量の比率の説明を容易にするために、各LEDの電流特性や温度特性を加味せずに、電流1.2倍を流した場合に光量も1.2倍得られるとした場合にて以下説明する。
まず、点200の「全灯モード」で前述の6099lm、4800Kの光を実現するためには、昼光色LED15b1の光量が約3900lmで電球色LED15b2の光量が約2200lm必要であり、この全灯モードでの電球色LED15b2の光量を100とした場合に、昼光色LED15b1の光量は177ということになる。
点210の「明るさアップモード」では単純に点200の「全灯モード」の1.2倍となるので、電球色LED15b2の光量は120となり、昼光色LED15b1の光量は212の比率であれば、4800Kの色温度を維持して明るさを1.2倍にすることが可能である。
点220の「全灯モード+青緑色LED追加モード」においては前述の5600Kを実現するためには、電球色LED15b2の光量100、昼光色LED15b1の光量177に対して、青緑色LED15b3の光量は7.5(前述の光束であれば約165lm)あればよい。
点240の「明るさアップモード+青緑色LED追加モード」を実現するためには、電球色LED15b2の光量120、昼光色LED15b1の光量212に加えて、青緑色LED15b3の光量は前述の点220における光量7.5の1.2倍となる9.0あれば同じ色温度5600Kを実現できる。
ただし、この制御方法を用いると、昼光色LED15b1の駆動電流を制御する調光回路102と、電球色LED15b2の駆動電流を制御する調光回路103の他に、青緑色LED15b3の駆動電流を制御する第3の調光回路(不図示)が必要となり、3系統のLEDを個別に制御するため、制御回路の複雑化や回路部品点数の増加、電源基板が大型化につながってしまう。
ここで昼光色LED15b1の光量を222に上げ、電球色LED15b2の光量を112に下げ、最適化を図ることで、青緑色LED15b3の光量は点220の「全灯モード+青緑色LED追加モード」時の光量7.5を維持したままでも点240の「明るさアップモード+青緑色LED追加モード」を実現することが可能となる。
この昼光色LED15b1と電球色LED15b2の光量比率の最適化により、青緑色LED15b3の制御は単純な点灯・消灯を切り替えるだけの機能をもった点灯回路104があれば、複雑な制御をする調光回路は不要となる。
よって、制御回路の単純化が可能となり、回路部品点数の削減ができ、電源基板の小型化を実現することが可能となる。
なお、上記説明の光量比率はあくまで一例であり、使用する昼光色LED15b1、電球色LED15b2、青緑色LED15b3の特性によって最適な比率は異なるため、上記光量比率に限定するものではない。
図10は、モードの種類毎の文字などの見易さを示す表である。なお、図10において、「○」は、「見易い」、1個の「◎」は、「より見易い」、「◎◎」は、「更により見易い」ことを表している。
図10において、No.1は「電球色モード」、No.2は「食卓モード」、No.3は「図書館の明かりモード」、No.4は「蛍光灯モード」、No.5は「全灯モード」である。No.1~No.5は、「見易い」という結果が得られた。
また、図10において、No.6は「明るさアップモード」(「全灯モード」の電流値の1.2倍)である。この場合、「より見易い」という結果が得られた。
また、図10のNo.7は、複数のモードをまとめて記載したものであり、No.1の「電球色モード」に「青緑色LED追加モード」を追加した場合、No.2の「食卓モード」に「青緑色LED追加モード」を追加した場合、No.3の「図書館の明かりモード」に「青緑色LED追加モード」を追加した場合、No.4の「蛍光灯モード」に「青緑色LED追加モード」を追加した場合、No.5の「全灯モード」に「青緑色LED追加モード」を追加した場合である。これらについては、No.1~No.5のモード(青緑色LED15b3の追加無し)に対して、「より見易い」という結果が得られた。これら「電球色モード+青緑色LED追加モード」、「食卓モード+青緑色LED追加モード」、「図書館の明かりモード+青緑色LED追加モード」、「蛍光灯モード+青緑色LED追加モード」では、470nm~490nmの放射強度が低い部分を補完することができ、各モードに青緑色LED15b3を追加することで、No.6のように電流値を1.2倍にしなくとも、470nm~490nmの範囲における放射強度を太陽光(5800K)の470nm~490nmにおける波形に近づけることができるので、文字などが見易くなる。
また、図10において、No.8は、No.6の「明るさアップモード」に「青緑色LED追加モード」を追加した場合である。この場合には、「明るさアップモード」(青緑色LED15b3の追加無し)に対して、「更により見易い」という結果が得られた。
以上説明したように、第1実施形態のLED照明装置1Aは、昼光色LED15b1と、電球色LED15b2と、青緑色LED15b3と、これら昼光色LED15b1、電球色LED15b2および青緑色LED15b3を制御する制御部101と、を備え、昼光色LED15b1の駆動電流を制御する調光回路102と、電球色LED15b2の駆動電流を制御する調光回路103によって昼光色LED15b1と電球色LED15b2の光量比率の最適化を図ることで、青緑色LED15b3の駆動は点灯・消灯のみの単純な点灯回路104のみで制御が可能となり、昼光色LED15b1と電球色LED15b2とを定格出力で駆動させる全灯モードの1.2倍(1より大きい所定倍率)の明るさをもった明るさアップモードに、青緑色LED15b3を追加して点灯することで、波長470nm~490nmの放射強度が低下する領域を補完することができ、また色温度を太陽光の5800Kに近づけることができ、また最外周および最内周に青緑色LED15b3を配置することで青緑色LED15b3の広配光を実現し、文字などが見易さを維持しながら、制御回路の単純化、回路部品点数の削減、電源基板の小型化が可能となる。
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態に係るLED照明装置の各色LEDの配置を示す平面図である。図11に示すLED光源基板15Cは、8畳用のLEDの配列パターンを示し、LED光源基板Aとは、LED素子群15bの数および配列が異なるだけで、配線基板15aの形状などは同一である。また保安灯用のLED15b4は、同じ位置に配置されている。
図11に示すように、LED素子群15bは、複数個の昼光色LED15b1、複数個の電球色LED15b2、複数個の青緑色LED15b3、保安灯用のLED15b4により構成されている。
図11に示すように、昼光色LED15b1は、前記と同様のピーク波長を有するものであり、外周側から内周側にかけて同心円状に複数列(図11の実施形態では7列)に形成されている。
電球色LED15b2は、前記と同様のピーク波長を有するものであり、同心円状に配置された各列において昼光色LED15b1を間に挟んで配置されている。
青緑色LED15b3は、前記と同様のピーク波長を有するものであり、同心円状に複数列配置された昼光色LED15b1と電球色LED15b2の配列において、最内周に昼光色LED15b1および電球色LED15b2を間に挟んで配置されている。
また、図5に示すように、LED光源基板15CにはLEDカバー17が組み合わされる。図11に示すように、青緑色LED15b3は最内周に配置されるため、内側には配光を狭めるドームが存在すること無く、中心方向に広い配光が得られる。更に青緑色LED15b3は円環状に配置されるため、青緑色の光束は全方向に渡って良好な配光が得られる。
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態に係るLED照明装置の各色LEDの配置を示す平面図である。図12に示すLED光源基板15Dは、18畳用のLEDの配列パターンを示し、LED光源基板Aとは、LED素子群15bの数および配列が異なるだけで、配線基板15aの形状などは同一である。また保安灯用のLED15b4は、同じ位置に配置されている。
図12に示すように、LED素子群15bは、複数個の昼光色LED15b1、複数個の電球色LED15b2、複数個の青緑色LED15b3、保安灯用のLED15b4により構成されている。
図12に示すように、昼光色LED15b1は、前記と同様のピーク波長を有するものであり、外周側から内周側にかけて同心円状に複数列(図12の実施形態では10列)に形成れている。
電球色LED15b2は、前記と同様のピーク波長を有するものであり、同心円状に配置された各列において昼光色LED15b1を間に挟んで配置されている。
青緑色LED15b3は、前記と同様のピーク波長を有するものであり、同心円状に複数列配置された昼光色LED15b1と電球色LED15b2の配列において、最外周に昼光色LED15b1および電球色LED15b2を間に挟んで配置されている。
また、図5に示すように、LED光源基板15DにはLEDカバー17が組み合わされる。図12に示すように、青緑色LED15b3は最外周に配置されるため、外側には配光を狭めるドームが存在すること無く、外側方向に広い配光が得られる。更に青緑色LED15b3は円環状に配置されるため、青緑色の光束は全方向に渡って良好な配光が得られる。
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更することができる。
また、LED照明装置1Aの形状は、丸型に限定されるものではなく、四角などの角型、多角型など他の形状であってもよい。
なお、最外周および/または最内周のLEDを、電球色LEDと昼光色LEDと青緑色LEDとしたが、この限りではない。例えば赤色LEDなどを青緑色LEDの代替としてもよいし、青緑色LEDと赤色LEDと電球色LEDと昼光色LEDを用いても良い。複数の色のLEDを配置する際は、同色のLEDを偏って配置するのを避け、各色のLED毎に等間隔に配置するのが望ましい。
なお、最外周および/または最内周のLEDを、青緑色LEDと電球色LEDと昼光色LEDの同数としたが、この限りでない。全て異なる数としてもよいし、2種類のみ同数としてもよい。
青緑LEDの代替として、赤色LEDだけでなく、例えば緑色LEDや相関色温度2000KのLEDなど、原色やそれ以外の白色以外の光色のLEDを用いてもよい。