以下に、本発明の実施の形態にかかる液圧システム制御装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる液圧システム制御装置100と、液圧システム制御装置100によって制御される液圧システム200とを示す図である。液圧システム200は、作動液である油の圧力を受けて動作するアクチュエータを有する。図示していないが、産業機械において、通常、アクチュエータには機械負荷が取り付けられている。機械負荷は、アクチュエータから伝えられた動力を受けて動作する。例を挙げると、産業機械の1つである成形機において、機械負荷は、金型へ材料を圧入する機構である。液圧システム200からの動力を受けて動作する機械負荷は、成形機およびプレス機といった産業機械が有する機械負荷のほか、昇降機などの機械が有する機械負荷であっても良い。
液圧システム200は、作動液を送り出すポンプ20と、作動液を貯留するタンク21と、作動液が流動する配管22と、アクチュエータであるシリンダ23とを有する。配管22は、ポンプ20とタンク21とシリンダ23とを接続する。ポンプ20と、タンク21と、配管22と、シリンダ23とは、作動液が流動する回路である液圧回路を構成する。
シリンダ23は、作動液の圧力を受けて動作するピストン23aを有する。ポンプ20は、シリンダ23内へ作動液を流入させる向きへの作動液の流動と、当該向きとは逆の向きであってシリンダ23内から作動液を流出させる向きへの作動液の流動とを切り換え可能な両回転式のポンプである。位置検出器27は、ピストン23aの位置を検出し、検出結果である位置検出値10を液圧システム制御装置100へ出力する。
液圧システム200は、ポンプ20の動力源であるサーボモータ24と、圧力指令9にしたがってサーボモータ24を動作させるサーボアンプ25とを有する。圧力検出器26は、配管22を流動する作動液の圧力を検出し、検出結果である圧力検出値28をサーボアンプ25へ出力する。サーボアンプ25は、圧力指令9である圧力の指令値に圧力検出値28が追従するように、サーボモータ24へ供給される電流29の電流値を調整する。サーボモータ24は、電流29を受けて駆動することによってトルク30を発生させ、ポンプ20へトルク30を印加する。
液圧システム200は、サーボモータ24を用いてポンプ20を動作させ、ポンプ20から送り出される作動液の圧力をフィードバックしてポンプ20の回転速度を変化させることによって、作動液の圧力を制御する。かかる制御方式は、サーボポンプ方式と称される。液圧システム200は、サーボポンプ方式の採用により、アクチュエータを停止させているときにポンプ20とサーボモータ24とを停止させることができる。このため、液圧システム200は、常時油圧ポンプを最大回転させて作動液を最大流量で流しておき、油圧バルブを通して流量を制御する方式を採用するシステムと比較して、消費エネルギーの低減と騒音の低減とが可能となる。また、液圧システム200は、サーボモータ24をポンプ20の動力源とすることによって、サーボポンプ方式以外の制御方式を採用するシステムと比較して、位置制御の応答性が高いという特徴もある。
液圧システム制御装置100は、ポンプ20から送り出される作動液の圧力を調節することによって機械負荷の位置制御を行う。図1には、液圧システム制御装置100が有する機能構成を示している。液圧システム制御装置100は、位置指令7を生成する位置指令生成部1と、圧力指令8を生成する位置制御部2と、同定用圧力指令13を生成する同定用圧力指令生成部4とを有する。また、液圧システム制御装置100は、圧力指令8の出力と同定用圧力指令13の出力とを切り換える切り換え部3と、ピストン23aの動作速度を検出する速度検出部5と、制御ゲイン12を調整するゲイン調整部6とを有する。
位置指令生成部1は、機械負荷またはシリンダ23が動作すべき位置の参照信号となる位置指令7を出力する。位置指令7の具体例としては、機械負荷およびシリンダ23を動作させたい時刻における現在の位置から所望の位置への動作の間にステップ的、ランプ的あるいはS字的に位置が変化する位置指令7が挙げられる。ステップ的に位置が変化するとは、あるタイミングにおいて現在の位置から離散的に位置が変化することによって、現在の位置から所望の位置に到達するまで階段状に位置が推移して所望の位置に留まることを指す。ランプ的に位置が変化するとは、現在の位置から所望の位置に到達するまで、ある傾きを持って位置が推移して所望の位置に留まることを指す。S字的に位置が変化するとは、現在の位置から所望の位置に到達するまでS字曲線状に位置が推移して所望の位置に留まることを表す。なお、位置が推移するとは、時間と位置との関係をグラフにより表した場合における位置の推移を表すものとする。位置制御部2は、位置指令7と位置検出値10とを、時々刻々、例えばあらかじめ決められた制御サンプリング周期ごとに比較し、制御ゲイン12に基づき、時々刻々、圧力指令8を出力する。
図2は、図1に示す液圧システム制御装置100が有する位置制御部2の一例を示す図である。位置制御部2は、位置指令7と位置検出値10との差に制御ゲイン12の値であるKpを乗算することによって、圧力の指令値である圧力指令8を求める。位置制御部2は、位置指令7に位置検出値10を追従可能とするための圧力指令8を生成する。位置制御部2は、求めた圧力指令8を出力する。
図1に示す速度検出部5には、位置検出値10が入力される。速度検出部5は、位置検出値10の微分処理または差分処理によって、ピストン23aの動作速度を算出する。速度検出部5は、算出結果である速度値11をゲイン調整部6へ出力する。
ゲイン調整部6には、速度値11と、切り換え部3による出力である圧力指令9とが入力される。ゲイン調整部6は、圧力指令8からピストン23aの動作速度への伝達特性に基づいて制御ゲイン12を調整する。
同定用圧力指令生成部4は、伝達特性の同定のための圧力指令である同定用圧力指令13を生成して、生成された同定用圧力指令13を切り換え部3へ出力する。同定用圧力指令13は、液圧システム制御装置100が伝達特性の同定のための動作を行う際における圧力の指令値である。切り換え部3には、圧力指令8と同定用圧力指令13とが入力される。切り換え部3は、圧力指令8と同定用圧力指令13とのうちの一方を出力する。また、切り換え部3は、圧力指令8の出力と同定用圧力指令13の出力とを切り換える。切り換え部3は、同定のための動作の際に、同定用圧力指令13を出力する。切り換え部3は、同定のための動作以外の動作の際に、圧力指令8を出力する。圧力指令9は、切り換え部3から出力される指令であって、圧力指令8と同定用圧力指令13とのうちの一方とする。切り換え部3は、サーボアンプ25へ圧力指令9を出力する。
なお、液圧システム200には、配管22にチェックバルブが設けられることがある。かかる液圧システム200では、長時間において機械負荷の位置を保持する場合、特に、機械負荷に対して外力が加わる状態において機械負荷の位置を保持したい場合に、チェックバルブを閉じるのが一般的である。チェックバルブを閉じると、配管22が閉塞されることによって作動液の流れが遮断される。この場合、液圧システム200は、外力に抗するためのトルクをサーボモータ24において発生させることなく、シリンダ23の位置を保持することができる。チェックバルブが閉じられている状態では、配管22において作動液が循環できない。実施の形態1にかかる液圧システム制御装置100は、液圧システム200にチェックバルブが設けられている場合、チェックバルブを開いた状態においてシリンダ23の位置制御を行う。また、液圧システム制御装置100は、チェックバルブを開いた状態において伝達特性の同定のための動作を行う。すなわち、ゲイン調整部6は、作動液の流れが遮断されていない状態において伝達特性の同定のための動作を行う。これにより、液圧システム制御装置100は、配管22において作動液が流動可能なときであって伝達特性の同定のための動作が可能なときに、伝達特性の同定を行う。
液圧システム制御装置100において制御ゲイン12の調整が適切に行われない場合、アクチュエータにおける振動あるいはオーバーシュートの発生によって、機械負荷の位置制御の精度に影響が及ぶことがある。位置制御の精度低下は、産業機械によって生産される製品における品質の劣化の要因、および、産業機械の生産効率の悪化の要因となる。液圧システム制御装置100は、ゲイン調整部6において、伝達特性を同定するとともに伝達特性に基づいて制御ゲイン12を調整することによって、制御ゲイン12の適切な調整を行うことができる。
次に、伝達特性の同定と制御ゲイン12の調整とについて説明する。図3は、図1に示す液圧システム制御装置100による伝達特性の同定と制御ゲイン12の調整とについて説明するフローチャートである。
液圧システム制御装置100が通常の圧力制御を行う場合、切り換え部3は、圧力指令8を出力する状態とされる。これにより、液圧システム制御装置100は、位置制御部2の働きが有効とされた閉ループにて作動液の圧力調節を行う。液圧システム制御装置100が伝達特性の同定のための動作を行う場合、切り換え部3は、圧力指令8を出力する状態から同定用圧力指令13を出力する状態へ切り換わる。切り換え部3の切り換えにより、液圧システム制御装置100は、一時的に位置制御ループを無効にした状態、すなわち位置制御部2の働きを無効にした開ループ状態にて作動液の圧力調節を行う。
ステップS1において、同定用圧力指令生成部4は、開ループ状態にて同定用圧力指令13を出力する。液圧システム制御装置100は、同定用圧力指令13である圧力指令9をサーボアンプ25へ出力する。
液圧システム制御装置100は、同定用圧力指令13の出力によってポンプ20を動作させ、ポンプ20の動作に応じた位置検出値10を得る。ゲイン調整部6は、位置検出値10に応じた速度値11と同定用圧力指令13とに基づいて伝達特性の同定を行う。同定用圧力指令13である信号は、一定の時間の開始時と終了時においてゼロであって、かつ、その一定の時間においてゼロ以外となる。伝達特性の同定のための動作における圧力の指令値は、一定の時間の開始時と終了時においてゼロであって、かつ一定の時間においてゼロ以外の値となる。
ここで、同定用圧力指令13の具体例について説明する。図4は、図1に示す液圧システム制御装置100において生成される同定用圧力指令13の第1の例を示す図である。図5は、図1に示す液圧システム制御装置100において生成される同定用圧力指令13の第2の例を示す図である。図4では、同定用圧力指令13である信号の推移を時間軸に表したものである。
図4に示す第1の例の場合、同定用圧力指令13は、時間Tの開始時に初期値であるゼロからある値に変化し、時間Tにおいてが一定の値にて維持される。同定用圧力指令13は、時間Tの終了時に、初期値であるゼロに戻る。第1の例では、信号波形は矩形となる。第1の例では、同定用圧力指令13による圧力の指令値は、時間Tの開始時と終了時においてゼロであって、かつ、時間Tにおいて一定の値となる。
図5に示す第2の例の場合、同定用圧力指令13は、時間Tの開始によって初期値であるゼロから増加する。同定用圧力指令13は、ある値に到達したときから後は減少して、時間Tの終了時に初期値であるゼロに戻る。第2の例では、信号波形は三角形となる。第2の例では、同定用圧力指令13は、ゼロから連続的に漸増して、ピークに達してからゼロまで連続的に漸減する。同定用圧力指令13による圧力の指令値は、ゼロから連続的に漸増して、ピークに達してからゼロまで連続的に漸減する。
液圧システム200は、同定用圧力指令13である圧力指令9にしたがったサーボモータ24の駆動によってピストン23aを動作させる。速度検出部5は、位置検出値10に基づいた速度値11をゲイン調整部6へ出力する。ゲイン調整部6には、速度検出部5からの速度値11と、切り換え部3からの圧力指令9とが入力される。
ステップS2において、ゲイン調整部6は、圧力の指令値である圧力指令9と速度値11とを記憶する。ゲイン調整部6は、圧力指令9と速度値11との時系列データを時間同期して記憶する。
ステップS3において、ゲイン調整部6は、記憶された圧力指令9および速度値11に基づいて、伝達特性を同定する。伝達特性を表す伝達関数は、ゲインと遅れ要素とから構成される。圧力指令9であるPからピストン23aの速度であるVへの伝達特性を表す伝達関数は、次の式(1)により表される。
V=K・exp(-L・s)・P ・・・(1)
式(1)において、Kは伝達特性におけるゲイン要素を示すパラメータであって、Lは伝達特性における遅れ要素を示すパラメータである。sはラプラス演算子である。式(1)は、exp(-L・s)によって、Lに相当する時間の分、信号を遅らせることを意味する。ゲイン調整部6は、KとLとを決定することによって、伝達特性を一意に同定することができる。ステップS3では、ゲイン調整部6は、記憶された圧力指令9および速度値11に基づいてKおよびLを算出する。
ここで、ゲイン調整部6によりKとLとを算出する方法について説明する。指令された圧力とピストン23aの速度との間には、概ね比例関係が成り立つ。また、ピストン23aの速度の推移を時間軸において表した場合に、速度の推移を示す波形は、圧力指令9の信号波形に対して遅れを持つ波形となる。
図6は、図4に示す同定用圧力指令13とアクチュエータの動作速度の推移とを示す図である。ピストン23aの速度が初期値であるゼロから立ち上がるタイミングは、圧力指令9の信号の立ち上がりから遅れたタイミングとなる。ゲイン調整部6は、記憶された圧力指令9および速度値11を基に、圧力指令9の信号の立ち上がりからのピストン23aの速度の立ち上がりの遅れ時間であるLを求める。
圧力指令9の立ち上がりから立ち下がりまでにおける同定用圧力指令13の値をA、ピストン23aの速度の立ち上がりから立ち下がりまでにおける速度の値をBとすると、上記する比例関係によりK=B/Aの関係が成り立つ。ゲイン調整部6は、記憶された圧力指令9および速度値11からAおよびBを得て、BをAで割ることによってKを求める。
図7は、図5に示す同定用圧力指令13とアクチュエータの動作速度の推移とを示す図である。ピストン23aの速度がピークとなるタイミングは、同定用圧力指令13である圧力指令9のピークから遅れたタイミングとなる。ゲイン調整部6は、記憶された圧力指令9および速度値11を基に、圧力指令9のピークからのピストン23aの速度のピークの遅れ時間であるLを求める。
圧力指令9のピークにおける値をA、ピストン23aの速度のピークにおける値をBとすると、上記する比例関係によりK=B/Aの関係が成り立つ。ゲイン調整部6は、記憶された圧力指令9および速度値11からAおよびBを得て、BをAで割ることによってKを求める。このようにして、ゲイン調整部6は、同定用圧力指令13である圧力指令9の推移と、かかる圧力指令9にしたがったピストン23aの動作速度の推移とを基に、KとLとを算出する。
ステップS4において、ゲイン調整部6は、ステップS3において同定された伝達特性に基づいて制御ゲイン12を算出する。ゲイン調整部6は、指令位置の値とアクチュエータの位置を示す値との差分から、アクチュエータの位置を示す値への開ループ伝達関数を基に、制御ゲイン12を求める。
ここで、ゲイン調整部6により制御ゲイン12を算出する方法について説明する。図8は、図1に示す液圧システム制御装置100が有するゲイン調整部6による制御ゲイン12の算出の一例について説明する図である。図8には、位置指令7の値とピストン23aの位置を示す値との差分31から、ピストン23aの位置を示す値32への開ループ伝達関数について、開ループ伝達関数の構成要素であるブロックを示している。開ループ伝達関数は、制御ゲイン12であるKpと、ステップS3にて求めた伝達関数と、積分器である1/sとの積から構成される。積分器である1/sは、ピストン23aの動作速度からピストン23aの位置への伝達関数である。
ゲイン調整部6は、開ループ伝達関数のゲイン余裕を、自動制御の理論上妥当とされるゲイン余裕、例えば10dB以上のゲイン余裕とするKpを算出したり、あるいは、開ループ伝達関数の位相余裕が、自動制御の理論上妥当とされる位相余裕、例えば30度以上の位相余裕とするKpを算出する。
ステップS5において、ゲイン調整部6は、ステップS4において算出された制御ゲイン12を位置制御部2へ出力する。切り換え部3は、同定用圧力指令13を出力する状態から圧力指令8を出力する状態へ切り換わる。切り換え部3の切り換えにより、液圧システム制御装置100は、位置制御部2の働きが有効とされた閉ループにて位置制御が行える状態になる。以上により、液圧システム制御装置100は、図3に示す動作を終了する。
ここで、実施の形態1において、ゲイン要素と遅れ要素とを含めた伝達特性を同定することによる効果について説明する。サーボアンプ25は、与えられた圧力指令9に追従するようにサーボモータ24へ電流29を供給する。サーボモータ24によるトルク30の印加によって、ポンプ20は、液圧回路の作動液に圧力を印加する。液圧回路では、パスカルの原理により、作動液が受けた圧力とピストン23aの断面積に応じて、シリンダ23からピストン23aを動作させる力が生じる。この力によって、ピストン23aの動作が加速される。
ピストン23aは作動液の圧力により加速するが、無限に速度が大きくなるわけではない。作動液が液圧回路を流動する際に、ピストン23aは、作動液の流動抵抗である摩擦を受ける。ある大きさの力によってピストン23aを停止状態から加速させると、シャットバルブが閉じられて配管22が閉塞されるなど作動液の流れが遮断されているとき以外は、ピストン23aがある速度となったときにピストン23aを動作させる力と作動液の摩擦力とが釣り合う。かかる力によるピストン23aの加速は、摩擦力とピストン23aに生じる力とが釣り合う速度になるまでの加速とされる。このように、ピストン23aの速度は、ポンプ20が発生させた圧力に応じて決まる。
液圧回路の流動抵抗の大半は、ピストン23aが作動液中を通過する際に発生する、動作速度に比例する粘性摩擦である。よって、ピストン23aの動作速度と作動液の圧力との間には概ね比例関係が成立する。この比例定数が、伝達特性中の定数であるKに相当する。液圧システム200は、サーボアンプ25が圧力指令9を受けたときから、ピストン23aの動作速度が圧力指令9にしたがった速度となるまでに、ある程度の遅れを生じる。かかる遅れは、フィードバックの処理による遅れと、作動液への圧力印加を開始してから押圧力と摩擦力とが釣り合うまでの時間とに起因する。この遅れが、伝達特性中のLに相当する。
以上の説明から、サーボポンプ方式を採用する液圧システム200は、圧力指令9を受けたときから遅れ時間の後に圧力指令9に比例してピストン23aの動作速度が推移するという物理的な性質を有する。ゲイン調整部6は、上記の式(1)に示すようにゲイン要素と遅れ要素とを含めた伝達特性を用いることで、シャットバルブが閉じられて作動液の流れが遮断されているとき以外において、液圧システム200の物理的な性質に適した伝達特性を同定することが可能となる。
伝達特性の同定において使用される一般的なモデルの1つであるARX(Auto Regressive eXogenous)モデルは、上記の式(1)に示すモデルと比較して、多数のパラメータを持つ。ゲイン調整部6は、物理的な性質に基づくゲイン要素と遅れ要素とのみをパラメータとするモデルを用いることにより、上記のARXモデルを用いる場合と比べて、同定の精度の向上が可能となる。また、ゲイン調整部6は、上記のARXモデルを用いる場合と比べて、パラメータの数が少ないことにより制御ゲイン12を算出する際の演算処理の負荷を低減できる。
実施の形態1において伝達特性に含めた遅れ要素は、フィードバック制御において、周波数特性のうちの位相特性を遅らせる要因となる。高周波帯域においては、遅れ要素は、位相特性を180度以上変化させる。位相特性が180度回る伝達特性に対し、フィードバック制御を考えるとき、制御ゲイン12を大きくしすぎると、位置制御ループの安定性が劣化し、振動またはオーバーシュートが発生する。遅れ要素を含む伝達特性を採用することで、振動およびオーバーシュートの発生を考慮して制御ゲイン12の調整を実現することができる。逆に、位相特性の変化が180度未満の変化である伝達特性、例えば一次遅れ要素の伝達特性である場合、もともと位置制御ループが不安定にならない伝達特性なので、振動あるいはオーバーシュートを防止するといった適切な制御ゲイン12を得ることはできない。
実施の形態1にかかる液圧システム制御装置100は、上記の式(1)に示すように遅れ要素を含めた伝達特性を用いて制御ゲイン12を調整することによって、制御ループを安定化させるとともに振動およびオーバーシュートの発生を低減可能とする制御ゲイン12を得ることが可能となる。
次に、実施の形態1において図4および図5に示すような信号を同定用圧力指令13とすることによる効果について説明する。図4および図5に示す同定用圧力指令13は、一定の時間Tにおいてがゼロ以外の値であって、かつ、かかる時間Tの開始時と終了時においてゼロである信号である。
上記するように、液圧システム200は、圧力指令9を受けたときから遅れ時間の後に圧力指令9に比例してピストン23aの動作速度が推移するという物理的な性質を有する。ピストン23aの速度の推移は、初期値がゼロであって、一定の時間においてゼロ以外の値となった後に再びゼロに戻るという推移となる。ピストン23aの位置を示す値は、このような推移の速度を積分した結果であることから、無限に大きくなるということはなく特定の位置を示す値となる。ピストン23aの移動は、かかる特定の位置までの移動となる。これにより、液圧システム200は、伝達特性の同定のための動作において、ピストン23aが許容範囲を超えて動き続ける事態を回避することができる。また、機械負荷についても許容範囲を超えて動き続けることがないため、液圧システム200は、機構がストロークエンドに接触するといった事態を回避することができる。
なお、同定用圧力指令13は、図4および図5に示される信号に限られない。図5に示す同定用圧力指令13は、ゼロから直線に沿って連続的に漸増して、ピークに達してからゼロまで直線に沿って連続的に漸減する。同定用圧力指令13は、曲線に沿って連続的に漸増し、その後連続的に漸減するものであっても良い。曲線には、三角関数グラフの曲線あるいは指数関数グラフの曲線といった曲線を用いることができる。
液圧システム200では、上記の式(1)でも示されるように、指令される圧力とピストン23aの動作速度との間に比例関係が成り立つ。同定用圧力指令13に、ゼロから連続的に漸増しその後連続的に漸減する信号が用いられることによって、ピストン23aの動作速度も、同定用圧力指令13と同様に変化する。これにより、液圧システム200は、伝達特性の同定のための動作において、アクチュエータの急激な動作を生じさせないようにすることができる。液圧システム200は、同定用圧力指令13が直線に沿って変化する場合と、同定用圧力指令13が曲線に沿って変化する場合との双方において、アクチュエータの急激な動作を生じさせないようにすることができる。
位置制御部2は、位置指令7と位置検出値10との差に制御ゲイン12を乗算することによって圧力指令8を生成する。液圧システム制御装置100は、比例制御であるP(Proportional)制御による制御方式を採用するものである。液圧システム制御装置100が採用する制御方式は、比例制御以外の制御方式であっても良い。制御方式は、比例および積分制御であるPI(Proportional Integral)制御と、比例、積分および微分制御であるPID(Proportional Integral Differential)制御と、積分および比例制御であるI-P(Integral Proportional)制御とのいずれかであっても良い。
液圧システム制御装置100は、切り換え部3によって圧力指令8の出力と同定用圧力指令13の出力とを切り換えるものに限られない。液圧システム制御装置100は、切り換え部3を設けず、伝達特性の同定の際も位置制御部2の動作を有効にしたままとしても良い。この場合、液圧システム制御装置100は、位置指令生成部1によって生成される位置指令7を位置制御部2に印加して、位置制御動作の際における圧力指令8とシリンダ23の速度とを時間同期して記憶しておき、これらを用いて圧力指令8からシリンダ23の動作速度への伝達特性を同定する。このとき、位置制御部2に入力される制御ゲイン12の値は、ごく小さい値とする。これにより、応答性はかなり低くなるが、振動またはオーバーシュートの発生を生じさせずに伝達特性を同定できる。位置指令生成部1から位置制御部2へ位置指令7を与えて、このときに発生する圧力指令8とシリンダ23の動作速度とを時間同期して記憶し、記憶したデータを基に圧力指令8からシリンダ23の動作速度への伝達特性を同定し、その結果を基に、位置制御部2へ出力される制御ゲイン12を調整しても良い。
次に、液圧システム制御装置100が有するハードウェア構成について説明する。液圧システム制御装置100が有する機能は、処理回路を使用して実現される。処理回路は、液圧システム制御装置100に搭載される専用のハードウェアである。処理回路は、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであっても良い。
図9は、実施の形態1にかかる液圧システム制御装置100のハードウェア構成の一例を示す第1の図である。図9には、液圧システム制御装置100の機能が専用のハードウェアを使用して実現される場合におけるハードウェア構成を示している。液圧システム制御装置100は、各種処理を実行する処理回路61と、各種情報を記憶する外部記憶装置62と、液圧システム制御装置100の外部の機器との接続インタフェースである入出力インタフェース63とを備える。入出力インタフェース63は、キーボードあるいはポインティングデバイスといった情報入力のための入力デバイス、または、ディスプレイといった情報出力のための出力デバイスを有しても良い。図9に示す液圧システム制御装置100の各部は、バスを介して相互に接続されている。
専用のハードウェアである処理回路61は、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はこれらの組み合わせである。図1に示す位置指令生成部1、位置制御部2、切り換え部3、同定用圧力指令生成部4、速度検出部5およびゲイン調整部6の各機能は、処理回路61を用いて実現される。外部記憶装置62は、HDD(Hard Disk Drive)あるいはSSD(Solid State Drive)である。
図10は、実施の形態1にかかる液圧システム制御装置100のハードウェア構成の他の例を示す第2の図である。図10には、液圧システム制御装置100の機能がプログラムを実行するハードウェアを用いて実現される場合におけるハードウェア構成を示している。プロセッサ64およびメモリ65は、外部記憶装置62および入出力インタフェース63と相互に接続されている。
プロセッサ64は、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はDSP(Digital Signal Processor)である。図1に示す位置指令生成部1、位置制御部2、切り換え部3、同定用圧力指令生成部4、速度検出部5およびゲイン調整部6の各機能は、プロセッサ64と、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述され、内蔵メモリであるメモリ65に格納される。メモリ65は、不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリであって、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)またはEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。
実施の形態1によると、液圧システム制御装置100は、作動液の圧力の調節のための制御ゲイン12をゲイン調整部6によって調整する。ゲイン調整部6は、アクチュエータの動作速度と同定用圧力指令13である圧力指令9との関係を表す伝達特性に基づいて制御ゲイン12を調整することにより、制御ループを安定化させるとともに振動およびオーバーシュートの発生を低減可能とする制御ゲイン12を得ることができる。これにより、液圧システム制御装置100は、作動液の圧力によって機械負荷を動作させる液圧システム200において、機械負荷の高精度かつ安定した位置制御が可能となるという効果を奏する。
実施の形態2.
図11は、本発明の実施の形態2にかかる液圧システム制御装置101と、液圧システム制御装置101によって制御される液圧システム200とを示す図である。実施の形態2では、ゲイン調整部6は、作動液の温度に関連付けられた伝達特性を同定する。実施の形態2では、上記の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1とは異なる構成について主に説明する。
液圧システム制御装置101は、ゲイン調整部6により調整された制御ゲイン12を記憶する記憶部40を有する。温度検出器41は、配管22を流動する作動液の温度を検出する。伝達特性の同定の際に、温度検出器41は、検出結果である温度値42を記憶部40へ出力する。ゲイン調整部6は、制御ゲイン12を記憶部40へ出力する。記憶部40は、温度値42と制御ゲイン12とを互いに関連付けて記憶する。これにより、記憶部40は、作動液の温度と制御ゲイン12とが互いに関連付けられたテーブルを記憶する。
圧力指令8による作動液の圧力調節が行われる際、温度検出器41は、位置制御部2へ温度値42を出力する。位置制御部2は、入力された温度値42に対応する制御ゲイン12を記憶部40から読み出す。位置制御部2は、位置指令7と読み出された制御ゲイン12とに基づいて圧力指令8を生成する。
次に、作動液の温度と制御ゲイン12との関係を示すテーブルの記憶について説明する。図12は、図11に示す液圧システム制御装置101において作動液の温度と制御ゲイン12との関係を示すテーブルを記憶する動作の手順を説明するフローチャートである。
ステップS11では、ゲイン調整部6は、テーブルを記憶する動作の開始時である現在の作動液の温度における伝達特性を同定し、制御ゲイン12を算出する。制御ゲイン12を算出する手法は、実施の形態1と同様である。ステップS12において、記憶部40は、作動液の温度値42と制御ゲイン12とを関連付けて記憶する。ステップS13において、位置制御部2は、ステップS12において記憶部40に記憶された制御ゲイン12を読み出す。
ステップS14では、液圧システム制御装置101は、作動液の温度を上昇させて、ピストン23aの位置制御を実行する。作動液の温度を上昇させる手法には、液圧システム200のエージング運転を行うことが挙げられる。具体的には、液圧システム制御装置101は、位置制御を連続して実行することによって、液圧システム200をエージング運転させる。エージング運転が継続されると、液圧回路における作動液の摩擦によって、作動液の温度は徐々に上昇する。
ステップS15において、位置制御部2は、エージング運転での位置制御における位置制御特性の測定結果を基に、位置制御特性が劣化したか否かを判断する。位置制御におけるピストン23aあるいは機械負荷の状態波形測定などによって、位置制御特性が測定される。位置制御部2は、オーバーシュートあるいは振動があらかじめ定められた制御スペックを満たすか否かにより、位置制御特性が劣化したか否かを判断する。
位置制御特性が劣化したと判断した場合(ステップS15,Yes)、液圧システム制御装置101は、ステップS11からの手順を繰り返す。ステップS11にて、ゲイン調整部6は、エージング運転時の現在の作動液の温度における伝達特性を同定し、制御ゲイン12を算出する。
位置制御特性が劣化していないと判断した場合(ステップS15,No)、ステップS16において、位置制御部2は、作動液の温度があらかじめ設定された上限に達したか否かを判断する。温度の上限とは、作動液を使用可能な温度の上限である。温度の上限とは、機械負荷を動作させ得る作動液の温度の上限であっても良い。
作動液の温度が上限に達していないと判断した場合(ステップS16,No)、液圧システム制御装置101は、ステップS14からの手順を繰り返す。作動液の温度が上限に達したと判断した場合(ステップS16,Yes)、液圧システム制御装置101は、図12に示す手順による動作を終了する。これにより、液圧システム制御装置101は、作動液の温度と、位置制御特性の劣化を抑制可能な制御ゲイン12との関係を表すテーブルを作成する。
図13は、図11に示す液圧システム制御装置101が有する記憶部40に記憶されるテーブルの一例を示す図である。テーブルには、作動液の温度と、位置制御特性の劣化を抑制可能な制御ゲイン12とが関連付けられている。
液圧システム制御装置101は、機械負荷の製造または立ち上げ時に、テーブルを作成する。位置制御部2は、圧力指令8による作動液の圧力調節を行う際に、作動液の温度と制御ゲイン12との関係を記憶部40から読み出して、入力された温度値42に対応する制御ゲイン12を求める。位置制御部2は、記憶されている温度値42と制御ゲイン12との線形補間により得られた関係を基に、入力された温度値42に対応する制御ゲイン12を決定しても良い。
なお、テーブルは、図13に示すようなテーブルに限られない。テーブルは、あらかじめ設定された温度ごと、例えば1度ごとに、作動液の温度と制御ゲイン12とが関連付けられたものであっても良い。図12に示す手順によると、テーブルは、作動液の温度を徐々に上昇させて、位置精度特性が劣化した場合において制御ゲイン12を算出することによって得られる。この場合、設定された温度ごとの関連付けを有するテーブルを作成する場合と比べて、テーブルの作成に要する時間を短縮することができ、かつ、テーブルの容量を小さくすることができる。
液圧システム制御装置101は、実施の形態1に係る液圧システム制御装置100と同様のハードウェア構成を有する。記憶部40は、図9および図10に示す外部記憶装置62を用いて実現される。
実施の形態2によると、液圧システム制御装置101は、実施の形態1にかかる液圧システム制御装置101と同様の構成を有することにより、機械負荷の高精度かつ安定した位置制御が可能となる。また、液圧システム制御装置101は、ゲイン調整部6において、作動液の温度ごとにおける伝達特性を同定する。位置制御部2は、温度値42を基に、位置制御特性の劣化を抑制可能な制御ゲイン12を得て、圧力指令8を生成することができる。これにより、液圧システム制御装置101は、作動液の温度が変化した場合においても、機械負荷の高精度かつ安定した位置制御を行うことができる。
実施の形態3.
図14は、本発明の実施の形態3にかかる液圧システム制御装置102と、液圧システム制御装置102によって制御される液圧システム200とを示す図である。実施の形態3では、ゲイン調整部6は、機械負荷における負荷量に関連付けられた伝達特性を同定する。実施の形態3では、上記の実施の形態1および2と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1および2とは異なる構成について主に説明する。
液圧システム制御装置102は、ゲイン調整部6により調整された制御ゲイン12を記憶する記憶部50と、機械負荷における負荷量を示す負荷値52を取得するデータ取得部51とを有する。データ取得部51には、オペレータの操作によって、負荷量の情報が入力される。負荷量は、例えばワークの重量である。これにより、データ取得部51は、負荷値52を取得する。
伝達特性の同定の際に、データ取得部51は、取得された負荷値52を記憶部50へ出力する。ゲイン調整部6は、制御ゲイン12を記憶部50へ出力する。記憶部50は、負荷値52と制御ゲイン12とを互いに関連付けて記憶する。これにより、記憶部50は、負荷量と制御ゲイン12との関係を表すテーブルを記憶する。
圧力指令8による作動液の圧力調節が行われる際、データ取得部51は、負荷値52を取得し、位置制御部2へ負荷値52を出力する。位置制御部2は、入力された負荷値52に対応する制御ゲイン12を記憶部50から読み出す。位置制御部2は、位置指令7と読み出された制御ゲイン12とに基づいて圧力指令8を生成する。
次に、負荷量と制御ゲイン12との関係を示すテーブルの記憶について説明する。図15は、図14に示す液圧システム制御装置102において負荷量と制御ゲイン12との関係を示すテーブルを記憶する動作の手順を説明するフローチャートである。
データ取得部51には、テーブルを記憶する動作の開始時における負荷量の情報が入力される。ステップS21において、液圧システム制御装置102は、かかる入力を基に、負荷値52の初期値である初期負荷を設定する。初期負荷は、機械負荷における最小の負荷とする。
ステップS22において、ゲイン調整部6は、テーブルを記憶する動作の開始時である現在の負荷、すなわち初期負荷における伝達特性を同定し、制御ゲイン12を算出する。制御ゲイン12を算出する手法は、実施の形態1と同様である。ステップS23において、記憶部50は、負荷値52と制御ゲイン12とを関連付けて記憶する。ステップS24において、位置制御部2は、ステップS23において記憶部50に記憶された制御ゲイン12を読み出す。
次に、ステップS25では、液圧システム制御装置102は、負荷を増加させて、ピストン23aの位置制御を実行する。ステップS25では、機械負荷の負荷が増加されて、増加後の負荷量の情報がデータ取得部51に入力される。
ステップS26において、位置制御部2は、負荷が増加された状態での位置制御における位置制御特性の測定結果を基に、位置制御特性が劣化したか否かを判断する。位置制御におけるピストン23aあるいは機械負荷の状態波形測定などによって、位置制御特性が測定される。位置制御部2は、オーバーシュートあるいは振動があらかじめ定められた制御スペックを満たすか否かにより、位置制御特性が劣化したか否かを判断する。
位置制御特性が劣化したと判断した場合(ステップS26,Yes)、液圧システム制御装置102は、ステップS22からの手順を繰り返す。ステップS22にて、ゲイン調整部6は、現在の負荷値52での伝達特性を同定し、制御ゲイン12を算出する。
位置制御特性が劣化していないと判断した場合(ステップS26,No)、ステップS27において、位置制御部2は、負荷があらかじめ設定された上限に達したか否かを判断する。負荷の上限とは、機械負荷に許容される最大の負荷である。
負荷が上限に達していないと判断した場合(ステップS27,No)、液圧システム制御装置102は、ステップS25からの手順を繰り返す。負荷が上限に達したと判断した場合(ステップS27,Yes)、液圧システム制御装置102は、図15に示す手順による動作を終了する。これにより、液圧システム制御装置102は、負荷量と、位置制御特性の劣化を抑制可能な制御ゲイン12との関係を表すテーブルを作成する。
位置制御部2は、圧力指令8による作動液の圧力調節を行う際に、負荷量と制御ゲイン12との関係を記憶部50から読み出して、入力された負荷値52に対応する制御ゲイン12を求める。位置制御部2は、記憶されている負荷値52と制御ゲイン12との線形補間により得られた関係を基に、入力された負荷値52に対応する制御ゲイン12を決定しても良い。
液圧システム制御装置102は、実施の形態1に係る液圧システム制御装置100と同様のハードウェア構成を有する。データ取得部51は、図9および図10に示す入出力インタフェース63を用いて実現される。記憶部50は、図9および図10に示す外部記憶装置62を用いて実現される。
実施の形態3によると、液圧システム制御装置102は、実施の形態1にかかる液圧システム制御装置100と同様の構成を有することにより、機械負荷の高精度かつ安定した位置制御が可能となる。また、液圧システム制御装置102は、ゲイン調整部6において、負荷量に対応する伝達特性を同定する。位置制御部2は、負荷値52を基に、位置制御特性の劣化を抑制可能な制御ゲイン12を得て、圧力指令8を生成することができる。これにより、液圧システム制御装置102は、負荷量が変化した場合においても、機械負荷の高精度かつ安定した位置制御が可能となるという効果を奏する。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。