JP7122085B2 - 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
図1は、実施形態に係る積層セラミックコンデンサ100の部分断面斜視図である。図2は、図1のA-A線断面図である。図3は、図1のB-B線断面図である。図1~図3で例示するように、積層セラミックコンデンサ100は、略直方体形状を有する積層チップ10と、積層チップ10のいずれかの対向する2端面に設けられた外部電極20a,20bとを備える。なお、積層チップ10の当該2端面以外の4面のうち、積層方向の上面および下面以外の2面を側面と称する。外部電極20a,20bは、積層チップ10の積層方向の上面、下面および2側面の少なくともいずれかの面に延在する延在領域を有している。本実施形態においては、一例として、外部電極20a,20bは、積層チップ10の上面、下面および2側面に延在領域を有している。ただし、外部電極20a,20bは、互いに離間している。
まず、誘電体層11の主成分であるセラミック材料の粉末を用意する。当該セラミック材料の粉末に、目的に応じて所定の添加化合物を添加する。添加化合物としては、Mg(マグネシウム),Mn(マンガン),V(バナジウム),Cr(クロム),希土類元素(Y(イットリウム),Dy(ジスプロシウム),Tm(ツリウム),Ho(ホロミウム),Tb(テルビウム),Yb(イッテルビウム),Sm(サマリウム),Eu(ユウロビウム),Gd(ガドリニウム)およびEr(エルビウム))の酸化物、並びに、Co(コバルト),Ni,Li(リチウム),B,Na(ナトリウム),K(カリウム)およびSiの酸化物もしくはガラスが挙げられる。例えば、まず、セラミック材料の粉末に添加化合物を含む化合物を混合して仮焼を行う。続いて、得られたセラミック材料の粒子を添加化合物とともに湿式混合し、乾燥および粉砕してセラミック材料の粉末を調製する。
次に、得られたセラミック材料の粉末に、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂等のバインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、フタル酸ジオクチル(DOP)等の可塑剤とを加えて湿式混合する。得られたスラリーを使用して、例えばダイコータ法やドクターブレード法により、基材上に例えば厚み0.8μm以下の帯状の誘電体グリーンシートを塗工して乾燥させる。
このようにして得られた積層体を、250~500℃のN2雰囲気中で脱バインダした後に、還元雰囲気中で1100~1300℃で10分~24時間焼成することで、誘電体グリーンシートを構成する各化合物が焼結する。このようにして、内部に焼結体からなる誘電体層11と内部電極層12とが交互に積層されて最外層にカバー層13が形成された積層チップ10が得られる。
その後、1000~1300℃の還元雰囲気で4~24時間アニール処理を行ってもよい。さらに、N2ガス雰囲気中で600℃~1000℃で再酸化処理を行ってもよい。
次に、得られた積層チップ10の2端面から上面、下面および2側面の一部にかけて、下地層形成用導電ペーストを塗布する。下地層形成用導電ペーストは、下地層21の主成分金属の粉末、バインダ、溶剤、ガラスフィレットなどを含んでいる。バインダおよび溶剤は、上記したセラミックペーストと同様のものを使用できる。ガラスフィレットとして、少なくともガラス成分層30の構成成分が含まれている。その後、内部電極層パターンに対して、例えば800℃のN2雰囲気で焼き付けを行う。それにより、下地層21が形成される。また、ガラス成分の拡散によって、下地層21とカバー層13およびサイドマージン16との間にガラス成分層30が形成される。その後、ソフトエッチング剤(例えば過硫酸カリウム、硫酸水素カリウムなどを主成分とする)を用い、形成された下地層21を必要量だけエッチングする。それにより、下地層21の先端部が除去されるため、下地層21の先端部のガラス成分層30が露出する。
その後、半田食われを予防し、実装可能とするため、めっき層22をめっき処理により形成する。それにより、下地層21と、ガラス成分層30の延在部分の少なくとも一部とがめっき層22によって覆われる。以上の工程により、積層セラミックコンデンサ100が完成する。
チタン酸バリウム粉末に必要な添加物を添加し、ボールミルで十分に湿式混合粉砕して誘電体材料を得た。誘電体材料に、有機バインダとしてPVB(ポリビニルブチラール)を加え、溶剤としてトルエン、エタノール等を加えて、ドクターブレード法にて誘電体グリーンシートを作製した。次に、内部電極層12の主成分金属(Ni)の粉末と、バインダ(エチルセルロース)と、溶剤(トルエン、エタノール等)と、必要に応じてその他助剤とを含んでいる内部電極形成用導電ペーストを作製した。誘電体シートに内部電極形成用導電ペーストをスクリーン印刷した。内部電極形成用導電ペーストを印刷したシートを800枚重ね、その上下に、誘電体グリーンシートと同じ主成分の材料のカバーシートをそれぞれ積層した。その後、熱圧着によりセラミック積層体を得て、所定の形状に切断した。得られたセラミック積層体をN2雰囲気中で脱バインダした後に焼成して焼結体を得た。その後、焼結体に対して、アニール処理を行った後、再酸化処理を行った。それにより、積層チップ10を得た。再酸化処理後の誘電体層11の厚みは、1.6μmであった。
比較例1では、下地層21に対してエッチング処理を行わなかった。したがって、下地層21の先端からのガラス成分層30の延在距離aはゼロである。他の製造条件は、実施例1~4と同様とした。
実施例1~4および比較例1の外部電極20a,20bに対して、チップ実装後に治具を用いて引き剥がすことで固着強度を測定した。測定結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1~4では、比較例1に対して固着強度が高くなった。これは、下地層21の先端からガラス成分層30を延在させることによって、積層チップ10に対する外部電極20a,20bの固着強度が高くなったからであると考えられる。また、ガラス成分層30の延在距離が長くなるにつれて、固着強度も高くなった。
実施例5では、実施例1~4と同様の条件で、積層セラミックコンデンサ100を作製した。積層チップ10の両端面からの下地層21の幅を710μmとし、ガラス成分層30の延在距離を100μmとし、積層チップ10の両端面からのめっき層22の幅を810μmとした。
実施例6では、実施例1~4と同様の条件で、積層セラミックコンデンサ100を作製した。積層チップ10の両端面からの下地層21の幅を750μmとし、ガラス成分層30の延在距離を100μmとし、積層チップ10の両端面からのめっき層22の幅を850μmとした。
実施例7では、実施例1~4と同様の条件で、積層セラミックコンデンサ100を作製した。積層チップ10の両端面からの下地層21の幅を800μmとし、ガラス成分層30の延在距離を100μmとし、積層チップ10の両端面からのめっき層22の幅を900μmとした。
比較例2では、比較例1と同様の条件で、積層セラミックコンデンサ100を作製した。積層チップ10の両端面からの下地層21の幅を810μmとし、積層チップ10の両端面からのめっき層22の幅を810μmとした。
比較例3では、比較例1と同様の条件で、積層セラミックコンデンサ100を作製した。積層チップ10の両端面からの下地層21の幅を850μmとし、積層チップ10の両端面からのめっき層22の幅を850μmとした。
比較例4では、比較例1と同様の条件で、積層セラミックコンデンサ100を作製した。積層チップ10の両端面からの下地層21の幅を900μmとし、積層チップ10の両端面からのめっき層22の幅を900μmとした。
実施例5~7および比較例2~4の各100個のサンプルに対してヒートショック試験を行った。具体的には、-55℃で30分放置し、125℃で30分放置することを1サイクルとし、5サイクル、10サイクル、50サイクル、100サイクル後の容量が15%以上低下するサンプルの率をNG率として測定した。表2に測定結果を示す。表2に示すように、実施例5~7のいずれにおいても、NG率が低かった。これは、下地層21の幅を小さくしたことでヒートショックが抑制されたからであると考えられる。一方、比較例2~4のいずれにおいても、NG率が高くなった。これは、下地層21の幅を小さくできなかったことで、ヒートショックが抑制されなかったからであると考えられる。
11 誘電体層
12 内部電極層
13 カバー層
14 容量領域
15 エンドマージン
16 サイドマージン
20a,20b 外部電極
21 下地層
22 めっき層
30 ガラス成分層
100 積層セラミックコンデンサ
Claims (6)
- セラミックを主成分とする誘電体層と、内部電極層と、が交互に積層され、積層された複数の前記内部電極層が交互に対向する2端面に露出するように形成され、略直方体形状を有する積層チップと、
前記2端面に形成された外部電極と、
前記誘電体層の主成分セラミックとは異なる成分を含み、前記外部電極と前記積層チップとの間に形成されたガラス成分層と、を備え、
前記外部電極は、下地層上にめっき層が形成された構造を有し、前記2端面から前記積層チップの上面、下面および2側面のうち少なくともいずれかの面にかけて延在領域を備え、
前記ガラス成分層は、前記2端面に形成されており、当該2端面から前記上面、前記下面、および前記2側面のうち少なくともいずれかの面にかけて延在しており、
前記ガラス成分層は、前記延在領域において、前記下地層よりも、他方の前記外部電極側に向かって延在しており、
前記下地層が前記2端面から他方の端面まで延びる距離は、前記積層チップの前記2端面間の距離の1/4以下であることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。 - 前記ガラス成分層は、ZnおよびSiを含むことを特徴とする請求項1記載の積層セラミックコンデンサ。
- 前記ガラス成分層が前記下地層よりも延在する距離は、5μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
- 前記下地層は、Cuを主成分とすることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ。
- 前記下地層が前記2端面から他方の端面まで延びる距離は、800μm以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ。
- セラミックを主成分とする誘電体層と、内部電極層と、が交互に積層され、積層された複数の前記内部電極層が交互に対向する2端面に露出するように形成され略直方体形状を有する積層チップにおいて、前記2端面から、上面、下面および2側面の少なくともいずれかの面にかけてガラス成分を含む導電ペーストを配置し当該導電ペーストに対して熱処理を行うことで、金属を主成分とする下地層を焼き付け、
前記下地層に対してエッチング処理を行うことで、前記下地層と前記積層チップとの間に形成され前記ガラス成分を含むガラス成分層の一部を露出させ、
前記下地層上にめっき層を形成し、
前記下地層を焼き付ける際に、前記下地層が前記2端面から他方の端面まで延びる距離が前記積層チップの前記2端面間の距離の1/4以下となるように、前記下地層を焼き付けることを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。
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