JP7121652B2 - 免制振装置 - Google Patents
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Description
近年、長周期地震動の問題がクローズアップされ、従来のダンパーではストローク不足となる場合も生じることから、対応策が求められている。大ストロークのダンパーを新規に設計製造することが考えられるが、大ストロークで高速に対応できるボールねじ機構が必要になる上、この装置を大ストロークで加振試験する装置も要することから、容易に対応できるものではない。
これに対し、2つのダンパーを直列にしてストロークを稼ぐ方法が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
その結果、2台の回転式粘性ダンパーを直列して一体化した免制振装置において、安価に大ストロークで高速度に対応した免制振装置を実現することができる。免震層の変位をu、速度をv、としたとき2台の回転式粘性ダンパー変位はともにu/2、v/2となる。すなわち、本発明によれば、回転式粘性ダンパーのストロークと最大速度を2倍にした装置を得ることができる。
例えば、第1方向が水平方向で第1外筒と第2外筒とが水平方向に配列されて連結され、第1外筒と第2外筒とを連結した長さが長い場合に、第1外筒および第2外筒が自重で撓んだり、第1外筒および第2外筒に大きな曲げモーメントが作用したりすることを防止することができる。
また、第減衰機構と第2減衰機構とを並列させずに、いずれか1組だけ設けた場合は、免制振装置中央部にある外筒に両側の回転式粘性ダンパーのボールねじ機構それぞれからトルクTが作用し、トルク2Tに対して外筒(第1外筒および第2外筒)が回転しないようにする必要がある。
これに対し、ボールねじが逆向きとなる2組の第1減衰機構と第2減衰機構を並列配置した場合は、第1減衰機構の外筒(第1外筒および第2外筒)と第2減衰機構の外筒(第1外筒および第2外筒)とに互いに逆向きのトルクが作用する。これにより、第1減衰機構と第2減衰機構の外筒の上下に双方に跨がるように鋼板を設け、鋼板と双方の外筒とを回転自在に接合(係留)すれば、鋼板に作用するトルクが相殺され外筒や鋼板が回転する虞がなくなる。なお、外筒の上下の鋼板にボルト穴を設け、ボルトを挿入して張力を入れない程度に先端を外筒に固定すれば、外筒と鋼板を回転自在に接合でき、減衰機構の軸直交方向に変位した場合にも容易に対応できる。
図1に示すように、本実施形態の免制振装置1は、建物の免震層11に設けられている。免震層11の上側の構造体を上部構造体12(第1部材)とし、下側の構造体を下部構造体13(第2部材)とする。上部構造体12と下部構造体13とは水平方向(第1方向)に相対変位可能に構成されている。
図2に示すように、免制振装置1は、それぞれ2台の回転式粘性ダンパーを連結した第1減衰機構2と、第2減衰機構3と、を有している。第1減衰機構2と第2減衰機構3とは、それぞれ上部構造体12および下部構造体13に連結され、並列配置されている。
第1回転式粘性ダンパー4Aは、上部構造体12および下部構造体13と水平方向に相対移動可能な第1外筒41と、第1外筒41の内部に同軸に配置され、第1外筒41と軸線回りに相対回転可能な第1内筒42と、第1外筒41と第1内筒42との間に封入された第1粘性体43と、第1外筒41の内部に同軸に配置されて第1内筒42と連結され、第1外筒41の内部において第1内筒42とともに軸線回りに回転可能な第1ボールナット44と、上部構造体12に連結されるとともに、第1外筒41の内部に同軸に挿入されて第1ボールナット44とボールを介して螺合する第1ボールねじ45と、を有している。
第1ボールねじ45は、軸線方向の一方の端部が上部構造体12に第1クレビス46を介してピン接合され、他方の端部側が第1外筒41に挿入されている。第1クレビス46は、第1ボールねじ45を上下方向に延びる軸線回りに水平面内において回動可能に上部構造体12に連結している。
第1ボールねじ45と第1ボールナット44とが軸線方向に相対変位すると、第1ボールねじ45は軸線回りの回転が拘束されているため、第1ボールナット44が第1ボールねじ45の周りを回転する。このように、第1ボールねじ45と第1ボールナット44との軸線方向に相対変位が回転運動に変換される。
これにより、第1ボールねじ45に連結されている第1内筒42も回転する。第1内筒42と第1外筒41との間には第1粘性体43が封入されていることにより、第1粘性体43によって第1内筒42の回転が減衰する。
第2ボールねじ55は、軸線方向の一方の端部が下部構造体13に第2クレビス56を介してピン接合され、他方の端部側が第2外筒51に挿入されている。第2クレビス56は、第2ボールねじ55を上下方向に延びる軸線回りに水平面内において回動可能に上部構造体12に連結している。
第2ボールねじ55と第2ボールナット54とが軸線方向に相対変位すると、第2ボールねじ55は軸線回りの回転が拘束されているため、第2ボールナット54が第2ボールねじ55の周りを回転する。このように、第2ボールねじ55と第2ボールナット54との軸線方向に相対変位が回転運動に変換される。
これにより、第2ボールねじ55に連結されている第2内筒52も回転する。第2内筒52と第2外筒51との間には第2粘性体53が封入されていることにより、第2粘性体53によって第2内筒52の回転が減衰する。
第2減衰機構3の第1回転式粘性ダンパー4Bは、第1減衰機構2の第1回転式粘性ダンパー4Aにある第1ボールねじ45および第1ボールナット44を左ねじとした構成である。
第2減衰機構3の第2回転式粘性ダンパー5Bは、第1減衰機構2の第2回転式粘性ダンパー5Aにある第2ボールねじ55および第2ボールナット54を右ねじとした構成である。
第2減衰機構3においても、第1回転式粘性ダンパー4Bと第2回転式粘性ダンパー5Bとは、第1減衰機構2の第1回転式粘性ダンパー4Aと第2回転式粘性ダンパー5Aと同様に直列に連結されている。
免制振装置1には、第1減衰機構2と第2減衰機構3とを連結する連結枠6が設けられている。
連結枠6は、鋼板を箱形に形成した部材であり、第1減衰機構2の第1外筒41と第2減衰機構3の第1外筒41とを一体に囲繞する枠体61と、枠体61を第1減衰機構2の第1外筒41と第2減衰機構3の第2外筒51とに係留する連結ボルト62と、を有している。
第1減衰機構2および第2減衰機構3の自重は、枠体61およびベアリング63を介して下部構造体13に伝達されている。
上述した本実施形態による免制振装置1では、第1回転式粘性ダンパー4と第2回転式粘性ダンパー5とは、第1ボールねじ45または第2ボールねじ55のいずれか一方が右ねじで、他方が左ねじであること以外は、全く同じ回転式粘性ダンパーである。そして、免制振装置1は、このような2台の第1回転式粘性ダンパー4と第2回転式粘性ダンパー5とを直列して一体化した装置である。
これにより、第1回転式粘性ダンパー4の第1内筒42と第2回転式粘性ダンパー5の第2内筒52とは、同じ回転量となり、第1回転式粘性ダンパー4の第1外筒41と第2回転式粘性ダンパー5の第2外筒51とは、同じ回転量となる。その結果、第1回転式粘性ダンパー4の第1外筒41に対する第1ボールねじ45の相対変位量と、第2回転式粘性ダンパー5の第2外筒51に対する第2ボールねじ55の相対変位量と、を同一にすることができ、免制振装置1の変位は第1回転式粘性ダンパー4の変位と第2回転式粘性ダンパー5の変位の和となる。
従って、本実施形態の免制振装置1のように、2台の回転式粘性ダンパーを直列して一体化することにより、安価かつ大ストロークで、高速度に対応した免制振装置を実現することができる。
免震層11の変位をu、速度をv、としたとき2台の回転式粘性ダンパー4,5の変位は、ともにu/2、v/2となる。すなわち、本実施形態によれば、免制振装置1のストロークおよび最大速度を回転式粘性ダンパー4,5の2倍にすることができる。
また、第1減衰機構2と第2減衰機構3とを並列させずに、いずれか1組だけ設けた場合は、装置中央部にある外筒(第1外筒41および第2外筒51)に両側の回転式粘性ダンパーのボールねじ機構(ボールねじおよびボールナット)それぞれからトルクTが作用し、トルク2Tに対して外筒が回転しないようにする必要がある。
これに対し、ボールねじが逆向きとなる2組の第1減衰機構2および第2減衰機構3を並列配置した場合は、2組の外筒に互いに逆向きのトルクが作用することから、双方の外筒を上下において枠体61と回転自在に接合(係留)すれば、枠体61に作用するトルクが相殺され外筒や枠体61が回転する虞がない。
これにより、第1減衰機構2および第2減衰機構3における第1外筒41と第2外筒51とを連結した長さが長い場合でも、第1外筒41および第2外筒51が自重で撓んだり、第1外筒41および第2外筒51に大きな曲げモーメントが作用したりすることを防止することができる。
例えば、上記の実施形態では、免制振装置1は、水平方向に相対変位する上部構造体12と下部構造体13との間の免震層11に設けられているが、上下方向や水平方向および上下方向に対して斜めとなる方向に相対変位する上部構造体12と下部構造体13との間に設けられて、上部構造体12と下部構造体13との相対変位を減衰させるように構成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、免制振装置1の第1減衰機構2と第2減衰機構3とが並列に設けられているが、1つの減衰機構のみが構成されていてもよい。また、第1減衰機構2および第2減衰機構3が複数ずつで構成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、第1回転式粘性ダンパー4は、第1クレビス46を介して上部構造体12と回動可能に連結され、第2回転式粘性ダンパー5は、第2クレビス56を介して下部構造体13と回動可能に連結されている。これに対し、第1回転式粘性ダンパー4は、第1クレビス46を介して上部構造体12に連結され、第2回転式粘性ダンパー5は、鉛直軸まわりに回転自在なトラニオンを介して下部構造体13に連結されていてもよい。
2 第1減衰機構
3 第2減衰機構
4 第1回転式粘性ダンパー
5 第2回転式粘性ダンパー
12 上部構造体(第1部材)
13 下部構造体(第2部材)
41 第1外筒
42 第1内筒
43 第1粘性体
44 第1ボールナット
45 第1ボールねじ
51 第2外筒
52 第2内筒
53 第2粘性体
54 第2ボールナット
55 第2ボールねじ
63 ベアリング
Claims (3)
- 第1方向に相対変位可能な第1部材と第2部材との間に設けられる免制振装置において、
前記第1部材に連結される第1回転式粘性ダンパーと、
前記第2部材に連結され前記第1回転式粘性ダンパーと減衰特性が等しい第2回転式粘性ダンパーと、が同軸に連結された減衰機構を有し、
前記第1回転式粘性ダンパーは、軸線方向が前記第1方向となる向きに配置され、前記第1部材および前記第2部材と前記第1方向に相対移動可能な第1外筒と、
前記第1外筒の内部に同軸に配置され、前記第1外筒の内部において軸線回りに回転可能な第1内筒と、
前記第1外筒と前記第1内筒との間に封入された第1粘性体と、
前記第1外筒の内部に同軸に配置されて前記第1内筒と連結され、前記第1外筒の内部において前記第1内筒とともに軸線回りに回転可能な第1ボールナットと、
前記第1部材に連結されるとともに、前記第1外筒の内部に同軸に挿入されて前記第1ボールナットと螺合する第1ボールねじと、を有し、
前記第2回転式粘性ダンパーは、軸線方向が前記第1方向となる向きに配置され、前記第1部材および前記第2部材と前記第1方向に相対移動可能な第2外筒と、
前記第2外筒の内部に同軸に配置され、前記第2外筒の内部において軸線回りに回転可能な第2内筒と、
前記第2外筒と前記第2内筒との間に封入された第2粘性体と、
前記第2外筒の内部に同軸に配置されて前記第2内筒と連結され、前記第2外筒の内部において前記第2内筒とともに軸線回りに回転可能な第2ボールナットと、
前記第2部材に連結されるとともに、前記第2外筒の内部に同軸に挿入されて前記第2ボールナットと螺合する第2ボールねじと、を有し、
前記第1ボールねじおよび前記第2ボールねじは、いずれか一方が右ねじであり、他方が左ねじであり、
前記第1外筒と前記第2外筒とが連結されるとともに、前記第1内筒と前記第2内筒とが連結され、互いに連結された前記第1内筒および前記第2内筒を介して前記第1ボールナットと前記第2ボールナットとが連結されていることを特徴とする免制振装置。 - 前記第1外筒および前記第2外筒の前記第1部材および前記第2部材との前記第1方向以外の相対変位を規制する外筒変位規制部を有することを特徴とする請求項1に記載の免制振装置。
- 2つの前記減衰機構が並列に設けられ、
2つの前記減衰機構のうちの一方の第1減衰機構は、前記第1ボールねじが右ねじであり、前記第2ボールねじが左ねじであり、
2つの前記減衰機構のうちの他方の第2減衰機構は、前記第1ボールねじが左ねじであり、前記第2ボールねじが右ねじであり、
前記第1減衰機構の前記第1外筒および前記第2外筒と、前記第2減衰機構の前記第1外筒および前記第2外筒と、は、軸方向の相対変位が拘束されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の免制振装置。
Priority Applications (1)
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Citations (3)
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JP2012007635A (ja) | 2010-06-22 | 2012-01-12 | Shimizu Corp | 回転慣性質量ダンパー |
JP2014202234A (ja) | 2013-04-02 | 2014-10-27 | 株式会社東芝 | 減衰装置 |
CN107419945A (zh) | 2017-05-31 | 2017-12-01 | 天津大学 | 一种惯性质量阻尼装置 |
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- 2018-12-26 JP JP2018243630A patent/JP7121652B2/ja active Active
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JP2014202234A (ja) | 2013-04-02 | 2014-10-27 | 株式会社東芝 | 減衰装置 |
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