JP7121370B2 - 通気性フィルム - Google Patents
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Description
[1]ポリオレフィン系樹脂、無機フィラー及び感温性高分子を含む樹脂フィルムであって、60℃における透気度(TH)と20℃における透気度(TL)との比(TH/TL)が1.10以上であることを特徴とする通気性フィルム。
[2]前記感温性高分子は、融点が40乃至60℃の範囲に存在する高分子であることを特徴とする、[1]に記載の通気性フィルム。
[3]前記感温性高分子が2種以上のビニル系単量体と架橋剤との共重合体であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の通気性フィルム。
[4]前記ビニル系単量体が炭素原子数12乃至24のアルキル(メタ)アクリレートと、炭素原子数1乃至10のアルキル(メタ)アクリレート及び炭素原子数1乃至8の未置換または置換アミノアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種とを含むことを特徴とする、[3]に記載の通気性フィルム。
[5]前記ビニル系単量体が(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル、(メタ)アクリル酸ヘンイコシル、及び(メタ)アクリル酸ベヘニルからなる群から選ばれる少なくとも1種と、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル及び(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルからなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む、[4]に記載の通気性フィルム。
[6]前記架橋剤がビニル基含有シロキサン化合物であることを特徴とする、[3]乃至[5]のいずれかに記載の通気性フィルム。
[7]前記(TH/TL)が1.20以上であることを特徴とする、[1]乃至[6]のいずれか1項に記載の通気性フィルム。
[8]温熱医療用途に用いられることを特徴とする、[1]乃至[7]のいずれかに記載の通気性フィルム。
ここで、本発明の好ましい態様の1つとして、下記の[1’]-[6’]の通気性フィルムが挙げられる。
[1’]ポリオレフィン系樹脂、無機フィラー及び微粒子状の感温性高分子を含む樹脂フィルムであって、60℃における透気度(TH)と20℃における透気度(TL)との比(TH/TL)が1.10以上であることを特徴とする通気性フィルムであり、
該ポリオレフィン系樹脂の含有量は、該通気性フィルム100質量部に対して、30~70質量部であり、
該無機フィラーの含有量は、該通気性フィルム100質量部に対して、30~70質量部であり、
該微粒子状の感温性高分子の含有量は、該通気性フィルム100質量部に対して、1~30質量部であり、
該ポリオレフィン系樹脂、該無機フィラー及び該微粒子状の感温性高分子の合計含有量は、100質量部以下であり、
該無機フィラーの平均粒径は、0.1~10.0μmであり、
該微粒子状の感温性高分子の平均粒径は、1~200μmであり、
該微粒子状の感温性高分子は2種以上のビニル系単量体と架橋剤との共重合体であり、
該2種以上のビニル系単量体は炭素原子数12乃至24のアルキル(メタ)アクリレートと、炭素原子数1乃至10のアルキル(メタ)アクリレート及び炭素原子数1乃至8の未置換または置換アミノアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、通気性フィルム。
[2’]前記微粒子状の感温性高分子は、融点が40乃至60℃の範囲に存在する高分子であることを特徴とする、[1’]に記載の通気性フィルム。
[3’]前記ビニル系単量体が(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル、(メタ)アクリル酸ヘンイコシル、及び(メタ)アクリル酸ベヘニルからなる群から選ばれる少なくとも1種と、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル及び(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1’]又は[2’]に記載の通気性フィルム。
[4’]前記架橋剤がビニル基含有シロキサン化合物であることを特徴とする、[1’]乃至[3’]のいずれか1つに記載の通気性フィルム。
[5’]前記(TH/TL)が1.20以上であることを特徴とする、[1’]乃至[4’]のいずれか1つに記載の通気性フィルム。
[6’]温熱医療用途に用いられることを特徴とする、[1’]乃至[5’]のいずれか1つに記載の通気性フィルム。
また、本発明の通気性フィルムは、温熱具などに使用された際に、温熱具などの保温時間を長くすることができるという効果を有する。
本発明の通気性フィルムは、ポリオレフィン系樹脂、無機フィラー及び感温性高分子を含む樹脂フィルムであって、60℃における透気度(TH)と20℃における透気度(TL)との比(TH/TL)が1.10以上であるものである。
本発明で用いるポリオレフィン系樹脂は、少なくともオレフィン成分(エチレン、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1,4-メチル-ペンテン-1、ヘプテン-1、オクテン-1等のα-オレフィンなど)を単量体成分とする樹脂である。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸とを指す。
本発明では、ポリオレフィン系樹脂は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、低密度ポリエチレンのメルトフローレートは、特に限定されないが、1.0~5.0g/10分が好ましく、より好ましくは、2.0~4.0g/10分である。
、温度190℃、荷重2.16kgの条件下で測定した値である。
また、直鎖状低密度ポリエチレンのMFRは、特に限定されないが、1.0~5.0g/10分が好ましく、より好ましくは、2.0~4.0g/10分である。
また、エチレン-α-オレフィン共重合体のMFRは、特に限定されないが、1.0~5.0g/10分が好ましく、より好ましくは2.0~4.0g/10分である。
本発明に用いる無機フィラーは延伸加工により無機フィラーの周囲にボイドを発生させることによって、フィルムに通気性を付与する役割を担うものである。
かかる無機フィラーとしては、例えば、タルク、シリカ、石粉、ゼオライト、アルミナ、アルミニウム粉末、鉄粉の他、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム-カルシウム、炭酸バリウム等の炭酸の金属塩、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム等の硫酸の金属塩、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の金属水酸化物、酸化マグネシウム-酸化ニッケルの水和物、酸化マグネシウム-酸化亜鉛の水和物等の金属水和物などが挙げられる。
本発明では、無機フィラーは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
気透過法による比表面積の測定結果から算出した値である。
本発明に用いる感温性高分子としては、2種以上のビニル系単量体と架橋剤との共重合体が好ましく、該ビニル系単量体は、結晶性ビニル系単量体と非晶性ビニル系単量体とを用いることが好ましい。
ビニル系単量体として、結晶性ビニル系単量体と非晶性ビニル系単量体とを用いる場合、結晶性ビニル系単量体及び非晶性ビニル系単量体のそれぞれの使用量は、結晶性ビニル系単量体5~70質量部に対して、非晶性ビニル系単量体30~95質量部であることが好ましく、より好ましくは結晶性ビニル系単量体20~60質量部に対して、非晶性ビニル系単量体40~80質量部である。
結晶性ビニル系単量体として、具体的には、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル、(メタ)アクリル酸ヘンイコシル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸トリコシル及び(メタ)アクリル酸テトラコシル等のような単量体が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明では、結晶性ビニル系単量体は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
未置換アミノアルキル(メタ)アクリレートとは、アミノ基上に置換基を有さないアミノアルキル(メタ)アクリレートである。
一方、置換アミノアルキル(メタ)アクリレートとは、アミノ基上の水素原子の1個又は2個がアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の炭素原子数1乃至5のアルキル基)等で置換されたアミノアルキル(メタ)アクリレートである。
アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルエステル等のような単量体が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明では、非晶性ビニル系単量体は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、本発明では、上記ビニル系単量体は、炭素原子数12乃至24のアルキル(メタ)アクリレートと、炭素原子数1乃至10のアルキル(メタ)アクリレート及び炭素原子数1乃至8の未置換または置換アミノアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが特に好ましく、炭素原子数12乃至24のアルキル(メタ)アクリレート及び炭素原子数1乃至8の置換アミノアルキル(メタ)アクリレートであることがさらに好ましい。
上記の炭素原子数1乃至8の未置換又は置換アミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル及び(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルであることがより好ましい。
好ましい架橋剤は(メタ)アクリロイル基及び/又はアリル基を合計で2個以上有する化合物であり、より好ましくはビニル基含有シロキサン化合物であり、特に好ましくは2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサンである。
架橋剤の添加量はビニル系単量体の総量に対して、100モル%未満の為、融点に対する影響は軽微であるが、感温性高分子が融点(感温点)以上に加熱された際、架橋剤は転移して軟化した後でも三次元網目構造による形状維持を付与するために必要である。
感温性高分子の融点は本発明のTH/TLを達するものであれば特に限定はないが、TH/TLが1.10以上であるという要件をより一層満たしやすい観点から、本発明に用いる感温性高分子としては、融点が40乃至60℃の範囲に存在する高分子であることが好ましい。
感温性高分子の微粒子の平均粒径は1~200μmが好ましく、より好ましくは10~100μmである。1μm未満であると分散不良や二次凝集が発生しやすく、200μmを超えるとボイドの閉塞効果が不十分となる場合がある。
本発明の通気性フィルムには、さらに、着色剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤及び安定剤などの各種添加剤が、本発明の効果を損なわない範囲内で配合されていてもよい。
本発明の通気性フィルムの製造方法について説明する。上記のポリオレフィン系樹脂及
び無機フィラー、並びに必要に応じて、その他の添加剤を混合機で混合した後、適当な混練機で溶融混練させる。具体的には、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、タンブラーミキサー等の混合機を用いて混合し、その後一軸もしくは二軸スクリュー押出機によって混錬し、十分に混練させる。得られた混練物はストランドカットなどの方法によりペレット化する。感温性高分子は混合機での混合時に添加することが好ましいが、次の押出成形時にペレットと混合することも可能である。
次いで、このペレットを170~240℃、好ましくは190~220℃においてTダイ等が装着された押出成形機を用いて、溶融、製膜する。製膜したフィルムは、ロール法、テンター法などの公知の方法を用いて一軸方向または二軸方向にそれぞれ2~6倍延伸を行い、ポリオレフィン系樹脂と無機フィラーとの界面剥離を起こさせることにより通気性フィルムが得られる。
延伸温度は、室温~ポリオレフィン系樹脂の軟化点の温度範囲が好ましい。
延伸後、必要に応じて、得られたフィルムの形態を安定させるために熱固定処理を行っても良い。
なお、透気度はJIS P8117に準拠して求めることができる。
本発明の通気性フィルムを使用した温熱具などの発熱温度が感温性高分子の融点(感温点)付近になると、感温性高分子が膨張して、通気性フィルムの孔が塞がれることで、通気性フィルムの透気度が上昇し、空気の通気量が小さくなる。その結果、発熱剤と空気との酸化発熱反応が抑制される。一方、該温熱具などの発熱温度が感温性高分子の融点(感温点)より下がると、感温性高分子が収縮して、通気性フィルムの孔が開くことで、通気性フィルムの透気度が下降し、空気の通気量が大きくなる。その結果、発熱剤と空気との酸化発熱反応が促進される。
これらのことから、本発明の通気性フィルムを温熱具などに使用すれば、温熱具などの発熱温度を感温性高分子の融点(感温点)付近にすることができると考えられるので、温熱具などの発熱温度の過昇温を抑制することができる。
(1)感温性高分子の平均粒径
走査型電子顕微鏡[(株)日立ハイテクノロジーズ製、Miniscope TM-1
000]を用いて、加速電圧10~15kV、倍率100倍、500倍及び1000倍にて測定し、画像解析ソフトにて粒径分布及び平均粒子径(μm)を算出した。
(2)示差走査熱量測定
示差走査熱量測定装置(ティー・エイ・インスツルメント社製M-DSC Q-200)を用いて、窒素雰囲気下、昇温・冷却速度5℃/分、温度範囲10乃至70℃の条件で測定した。
(3)透気度
JIS P8117に準じて、測定した。透気度試験機(東洋精機製作所:ガーレー式デンソメーターG-B3C)を用いて恒温室の温度を20℃及び60℃にそれぞれ設定し、20℃及び60℃それぞれについて、空気100mLがフィルムを通過するのに要する時間を測定した。
(4)発熱温度
JIS S4100(使いすてかいろ)に準じて、測定した。延伸した通気性フィルムを56mm(MD方向)×28mm(TD方向)に裁断し、三方(MD方向2箇所とTD方向1箇所)をヒートシールした後、開口部から内部に発熱体を投入し、最後に残りのTD方向1箇所をヒートシールし、簡易温熱具を作製した。この簡易温熱具における設計温度は約60℃であった。なお該発熱体は、市販のカイロ発熱体(材質:鉄粉、水、活性炭、バーミキュライト、吸水性樹脂、食塩)を約6g用いた。
アクリル酸ベヘニル1モル及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル2モルと、これらの単量体に対する架橋剤として、7.5モル%の2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサンと、光重合開始剤として、0.3モル%のベンゾフェノンとを含む単量体溶液を50mL準備した。この単量体溶液に、UVランプを用いてUV光(波長365nm)を約7時間照射して重合を行い、感温性高分子Aを製造した。得られた感温性高分子Aを熱乾燥機に1日入れて乾燥させ、ミキサーで粉砕し、平均粒径が100μm程度の感温性高分子Aの微粒子を得た。融点を測定する為に、示差走査熱量測定を実施したところ、感温性高分子Aの融点のピークは55.3℃に確認された。
アクリル酸ベヘニル1モル及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル2モルと、これらの単量体に対する架橋剤として、0.15モル%の2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサンと、光重合開始剤として、0.3モル%のベンゾフェノンとを含む単量体溶液を50mL準備した。この単量体溶液に、UVランプを用いてUV光(波長365nm)を約7時間照射して重合を行い、感温性高分子Bを製造した。得られた感温性高分子Bを熱乾燥機に1日入れて乾燥させ、ミキサーで粉砕し、平均粒径が100μm程度の感温性高分子Bの微粒子を得た。融点を測定する為に、示差走査熱量測定を実施したところ、感温性高分子Bの融点のピークは53.5℃に確認された。
アクリル酸ベヘニル1モル及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル2モルと、これらの単量体に対する架橋剤として、15モル%のN,N’-メチレンビスアクリルアミドと、光重合開始剤として、0.3モル%のベンゾフェノンとを含む単量体溶液を50mL準備した。この単量体溶液に、UVランプを用いてUV光(波長365nm)を約7時間照射して重合を行い、感温性高分子Cを製造した。得られた感温性高分子Cを熱乾燥機に1日入れて乾燥させ、ミキサーで粉砕し、平均粒径が100μm程度の感温性高分子Cの微粒子を得た。融点を測定する為に、示差走査熱量測定を実施したところ、感温性高分子Cの融点のピークは54.6℃に確認された。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)42質量部、エチレン-α-オレフィン共重合体(エチレンとブテン-1との共重合体)12質量部、炭酸カルシウム45質量部及び酸化防止剤1質量部をヘンシェルミキサーで混合後、200℃にて二軸押出機で溶融混練し、混練物Aを得た。混練物A 90質量部に対して製造例1で得られた感温性高分子A
(微粒子)10質量部を混合し、Tダイを付けた二軸押出機を用いて200~300μmの未延伸フィルムを作製した。次いで、縦一軸延伸機を使用して、該未延伸フィルムをロール延伸により、延伸温度60℃、延伸倍率2.5倍で長手(MD)方向に延伸して、厚み160~170μmの通気性フィルムを得た。その通気性フィルムの透気度特性を表1に示す。
未延伸フィルムに対する延伸倍率を3.5倍に変更した以外は、実施例1と同様の操作で、厚み130~140μmの通気性フィルムを得た。その通気性フィルムの透気度特性を表1に示す。
通気性フィルムの組成を混練物A 90質量部及び製造例2で得られた感温性高分子B(微粒子)10質量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作で、厚み160~170μmの通気性フィルムを得た。その通気性フィルムの透気度特性を表1に示す。
通気性フィルムの組成を混練物A 90質量部及び製造例3で得られた感温性高分子C(微粒子)10質量部に変更したこと、並びに未延伸フィルムに対する延伸倍率を3.5倍に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作で、厚み130~140μmの通気性フィルムを得た。その通気性フィルムの透気度特性を表1に示す。
通気性フィルムの組成を混練物A 80質量部及び製造例3で得られた感温性高分子C(微粒子)20質量部に変更したこと以外は、実施例4と同様の操作で、厚み130~140μmの通気性フィルムを得た。その通気性フィルムの透気度特性を表1に示す。
通気性フィルムの組成を混練物A 100質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作で、厚み160~170μmの通気性フィルムを得た。その通気性フィルムの透気度特性を表1に示す。
未延伸フィルムに対する延伸倍率を3.5倍に変更した以外は、比較例1と同様の操作で、厚み130~140μmの通気性フィルムを得た。その通気性フィルムの透気度特性を表1に示す。
実施例1、実施例3~5及び比較例1で得られた通気性フィルムを用いて作製した簡易温熱具の発熱温度を測定した。その結果を図1に示す。
図1に示した結果より、本発明の通気性フィルムを用いて作製した簡易温熱具では、発熱温度の最高値が設計温度(60℃)以下であったのに対し、比較例1の通気性フィルムを用いて作製した簡易温熱具では、発熱温度の最高値(62.5℃)が設計温度以上であった。つまり本発明の通気性フィルムは温熱具などの発熱温度の過昇温を抑制可能なことが確認できた。
また、本発明の通気性フィルムを用いて作製した簡易温熱具は、比較例1の通気性フィルムを用いて作製した簡易温熱具に比べて、発熱温度の低下速度が小さく、長時間保温することが可能なことを示した(実施例1及び実施例3~5)。
Claims (6)
- ポリオレフィン系樹脂、無機フィラー及び微粒子状の感温性高分子を含む樹脂フィルムであって、60℃における透気度(TH)と20℃における透気度(TL)との比(TH/TL)が1.10以上であることを特徴とする通気性フィルムであり、
該ポリオレフィン系樹脂の含有量は、該通気性フィルム100質量部に対して、30~70質量部であり、
該無機フィラーの含有量は、該通気性フィルム100質量部に対して、30~70質量部であり、
該微粒子状の感温性高分子の含有量は、該通気性フィルム100質量部に対して、1~30質量部であり、
該ポリオレフィン系樹脂、該無機フィラー及び該微粒子状の感温性高分子の合計含有量は、100質量部以下であり、
該無機フィラーの平均粒径は、0.1~10.0μmであり、
該微粒子状の感温性高分子の平均粒径は、1~200μmであり、
該微粒子状の感温性高分子は2種以上のビニル系単量体と架橋剤との共重合体であり、
該2種以上のビニル系単量体は炭素原子数12乃至24のアルキル(メタ)アクリレートと、炭素原子数1乃至10のアルキル(メタ)アクリレート及び炭素原子数1乃至8の未置換または置換アミノアルキル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、通気性フィルム。 - 前記微粒子状の感温性高分子は、融点が40乃至60℃の範囲に存在する高分子であることを特徴とする、請求項1に記載の通気性フィルム。
- 前記ビニル系単量体が(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル、(メタ)アクリル酸ヘンイコシル、及び(メタ)アクリル酸ベヘニルからなる群から選ばれる少なくとも1種と、(
メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル及び(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は請求項2に記載の通気性フィルム。 - 前記架橋剤がビニル基含有シロキサン化合物であることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の通気性フィルム。
- 前記(TH/TL)が1.20以上であることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の通気性フィルム。
- 温熱医療用途に用いられることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の通気性フィルム。
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