以下、図面を参照しながら本技術の実施の形態について説明する。なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.システムの構成
2.本技術の概要
3.フレーム構成
4.第1の解決手法:多重化の方式(FDM,TDM,LDM)を判別する手法
(1)同期パターン解決手法
(2)P1シグナリング解決手法
5.P2シグナリングの構成
(1)L1Bシグナリングの構成
(2)L1Dシグナリングの構成
6.第2の解決手法:フレーム同期までの時間を短縮化する手法
7.第3の解決手法:プリアンブルをFDM化又はTDM化する手法
8.受信装置の動作
9.各解決手法に対応した処理の流れ
10.変形例
11.コンピュータの構成
<1.システムの構成>
(伝送システムの構成例)
図1は、本技術を適用した伝送システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。なお、システムとは、複数の装置が論理的に集合したものをいう。
図1において、伝送システム1は、各放送局に関連する施設に設置されるデータ処理装置10-1乃至10-N(Nは1以上の整数)と、送信所に設置される送信装置20と、エンドユーザが所有する受信装置30-1乃至30-M(Mは1以上の整数)から構成される。
また、この伝送システム1において、データ処理装置10-1乃至10-Nと、送信装置20とは、通信回線40-1乃至40-Nを介して、接続されている。なお、通信回線40-1乃至40-Nは、例えば専用線とすることができる。
データ処理装置10-1は、放送局Aにより制作された放送番組等のコンテンツを処理し、その結果得られる伝送データを、通信回線40-1を介して送信装置20に送信する。
データ処理装置10-2乃至10-Nにおいては、データ処理装置10-1と同様に、放送局Bや放送局Z等の各放送局により制作された放送番組等のコンテンツが処理され、その結果得られる伝送データが、通信回線40-2乃至40-Nを介して、送信装置20に送信される。
送信装置20は、通信回線40-1乃至40-Nを介して、放送局側のデータ処理装置10-1乃至10-Nから送信されてくる伝送データを受信する。送信装置20は、データ処理装置10-1乃至10-Nからの伝送データを処理し、その結果得られる放送信号を、送信所に設置された送信用アンテナから送信する。
これにより、送信所側の送信装置20からの放送信号は、放送伝送路50を介して、受信装置30-1乃至30-Mに送信される。
受信装置30-1乃至30-Mは、テレビ受像機やセットトップボックス(STB:Set Top Box)、録画機、ゲーム機、ネットワークストレージなどの固定受信機、あるいはスマートフォンや携帯電話機、タブレット型コンピュータ等のモバイル受信機である。また、受信装置30-1乃至30-Mは、例えば車載テレビなどの車両に搭載される車載機器や、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)等のウェアラブルコンピュータなどであってもよい。
受信装置30-1は、放送伝送路50を介して、送信装置20から送信されてくる放送信号を受信して処理することで、エンドユーザによる選局操作に応じた放送番組等のコンテンツを再生する。
受信装置30-2乃至30-Mにおいては、受信装置30-1と同様に、送信装置20からの放送信号が処理され、エンドユーザによる選局操作に応じたコンテンツが再生される。
なお、伝送システム1において、放送伝送路50は、地上波(地上波放送)のほか、例えば、放送衛星(BS:Broadcasting Satellite)や通信衛星(CS:Communications Satellite)を利用した衛星放送、あるいは、ケーブルを用いた有線放送(CATV:Common Antenna TeleVision)などであってもよい。
また、以下の説明では、放送局側のデータ処理装置10-1乃至10-Nを、特に区別する必要がない場合には、データ処理装置10と称する。また、受信装置30-1乃至30-Mを、特に区別する必要がない場合には、受信装置30と称する。
(送信側の装置の構成)
図2は、図1のデータ処理装置10と送信装置20の構成例を示すブロック図である。
図2において、データ処理装置10は、コンポーネント処理部111、シグナリング生成部112、マルチプレクサ113、及びデータ処理部114から構成される。
コンポーネント処理部111は、放送番組等のコンテンツを構成するコンポーネントのデータを処理し、その結果得られるコンポーネントのストリームを、マルチプレクサ113に供給する。ここで、コンポーネントのデータは、例えば、ビデオやオーディオ、字幕等のデータであり、これらのデータに対し、例えば、所定の符号化方式に準拠した符号化処理などの処理が行われる。
シグナリング生成部112は、コンテンツの選局や再生等の上位層の処理で用いられるシグナリングを生成し、マルチプレクサ113に供給する。また、シグナリング生成部112は、物理層の処理で用いられるシグナリングを生成し、データ処理部114に供給する。
なお、シグナリングは、制御情報とも称される。また、以下の説明では、シグナリングのうち、物理層の処理で用いられるシグナリングを、物理層のシグナリング(L1シグナリング)と称する一方で、物理層よりも上位の層である上位層(アッパー層)の処理で用いられるシグナリングを、上位層のシグナリングと称して区別する。
マルチプレクサ113は、コンポーネント処理部111から供給されるコンポーネントのストリームと、シグナリング生成部112から供給される上位層のシグナリングのストリームとを多重化し、その結果得られるストリームを、データ処理部114に供給する。なお、ここでは、アプリケーションや時刻情報などの他のストリームが多重化されるようにしてもよい。
データ処理部114は、マルチプレクサ113から供給されるストリームを処理して、所定の形式のパケット(フレーム)を生成する。また、データ処理部114は、所定の形式のパケットと、シグナリング生成部112からの物理層のシグナリングを処理して、伝送データを生成し、通信回線40を介して送信装置20に送信する。
図2において、送信装置20は、データ処理部211及び変調部212から構成される。
データ処理部211は、通信回線40を介して、データ処理装置10から送信されてくる伝送データを受信して処理し、その結果得られる所定の形式のパケット(フレーム)と、物理層のシグナリングの情報を抽出する。
データ処理部211は、所定の形式のパケット(フレーム)と、物理層のシグナリングの情報を処理することで、所定の放送方式に準拠した物理層のフレーム(物理層フレーム)を生成し、変調部212に供給する。
変調部212は、データ処理部211から供給される物理層フレームに対し、必要な処理(変調処理)を施して、その結果得られる放送信号を、送信所に設置された送信用アンテナから送信する。
データ処理装置10と送信装置20は、以上のように構成される。
(受信側の装置の構成)
図3は、図1の受信装置30の構成例を示すブロック図である。
図3において、受信装置30は、RF部311、復調部312、及びデータ処理部313から構成される。
RF部311は、例えば、チューナ等から構成される。RF部311は、アンテナ321を介して受信した放送信号に対し、必要な処理を施し、それにより得られる信号を、復調部312に供給する。
復調部312は、例えば、復調LSI(Large Scale Integration)等から構成される。復調部312は、RF部311から供給される信号に対し、復調処理を行う。この復調処理では、例えば、物理層のシグナリングに従い、物理層フレームが処理され、所定の形式のパケットが得られる。復調処理で得られたパケットは、データ処理部313に供給される。
データ処理部313は、例えば、メインSoC(System On Chip)等から構成される。データ処理部313は、復調部312から供給されるパケットに対し、所定の処理を行う。ここでは、例えば、パケットに含まれる上位層のシグナリングに基づいて、ストリームの復号処理や再生処理などが行われる。
データ処理部313の処理で得られるビデオやオーディオ、字幕等のデータは、後段の回路に出力される。これにより、受信装置30では、放送番組等のコンテンツが再生され、その映像や音声が出力されることになる。
受信装置30は、以上のように構成される。
<2.本技術の概要>
上述したように、日本では、地上デジタルテレビ放送の放送方式として、ISDB-Tが採用されている(例えば、上記の非特許文献1参照)。
ISDB-Tにおいては、主に固定受信機向けの放送であり、12セグメントを使用したハイビジョン放送と、主にモバイル受信機向けの放送であり、1セグメントを使用した「携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス」(ワンセグ放送)が規定されている。
その一方で、日本では、地上デジタルテレビ放送の次世代に向けた高度化の検討が開始されている。現行のISDB-Tでは、放送信号の多重化の方式として、周波数分割多重化方式(FDM:Frequency Division Multiplexing)が採用されている。
次世代の地上デジタルテレビ放送においては、周波数分割多重化方式(FDM)のほか、時分割多重化方式(TDM:Time Division Multiplexing)や階層分割多重化方式(LDM:Layered Division Multiplexing)などの多重化の方式を用いた複数の放送システムが検討されている。
しかしながら、現状では、複数の多重化の方式を、同一の放送システムにより実現するための技術方式は確立されておらず、複数の多重化の方式を、同一の放送システムで実現する場合に、より柔軟な運用を行うための提案が要請されていた。
本技術では、このような要請に応えるために、以下の3つの解決手法を提案する。
第1に、複数の多重化の方式(FDM,TDM,LDM)を、同一の放送システムで実現する場合に、多重化の方式を判別することができないという課題があったが、この課題は、第1の解決手法により解決するものとする。
すなわち、第1の解決手法では、物理層フレームにおいて、共通のフレーム同期シンボル(FSS:Frame Sync Symbol)で、異なる同期パターンを用いるか、あるいは、共通のフレーム同期シンボル(FSS)で、同一の同期パターンであるが、P1シンボル(Preamble 1 Symbol)のP1シグナリングの情報を用いることで、多重化の方式を判別できるようにする。
なお、以下の説明では、この第1の解決手法のうち、前者を、同期パターン解決手法と称し、後者を、P1シグナリング解決手法と称する。
第2に、現行のISDB-Tなど、周波数分割多重化方式(FDM)を採用した場合、物理層フレームにおいて、TMCC(Transmission Multiplexing Configuration Control)情報等のL1シグナリングが分散して配置されているため、受信装置30では、同期をとるまでに必ず1フレームは要するという課題があったが、この課題は、第2の解決手法により解決するものとする。
すなわち、第2の解決手法では、物理層フレームにおいて、当該フレームの先頭に、L1シグナリングを集中して配置することで、受信装置30では、迅速にL1シグナリングを取得して、同期をとるまでの時間を短縮できるようにする。
第3に、現状の技術では、物理層フレームのペイロード(Payload)は、周波数分割多重化方式(FDM)又は階層分割多重化方式(LDM)を適用して、FDM化又はLDM化することは可能であるが、フレーム同期シンボル(FSS)やプリアンブル(Preamble)は、FDM化又はLDM化することができないという課題があったが、この課題は、第3の解決手法により解決するものとする。
すなわち、第3の解決手法では、周波数分割多重化方式(FDM)又は階層分割多重化方式(LDM)の場合に、階層ごとに、P2シンボル(Preamble 2 Symbol)を配置することで、プリアンブルを、FDM化又はLDM化できるようにする。
なお、例えば、次世代地上デジタルテレビ放送の放送方式の1つであるATSC(Advanced Television Systems Committee)3.0では、物理層フレームのペイロードを、FDM化又はLDM化することができる。
このように、本技術では、以上の3つの解決手法(技術的特徴)によって、複数の多重化の方式(FDM,TDM,LDM)を、同一の放送システムで実現する場合に、より柔軟な運用を行うことができるようにする。
以下、このような本技術の解決手法(技術的特徴)を、具体的な実施の形態を参照しながら説明する。ただし、以下の説明では、最初に、物理層フレームの構成について説明してから、その後に、3つの解決手法について説明するものとする。
<3.フレーム構成>
(フレーム構成の概念)
図4は、本技術を適用した物理層フレームの構成の概念を説明する図である。
本技術を適用した物理層フレームは、1つのフレーム同期シンボル(FSS:Frame Sync Symbol)と、1以上のP1シンボル(P1:Preamble 1 Symbol(s))と、1以上のP2シンボル(P2:Preamble 2 Symbol(s))と、1以上のデータ(Data)から構成される。
フレーム同期シンボル(FSS)は、物理層フレームの先頭に挿入される。なお、フレーム同期シンボル(FSS)は、ロバストに構成することができる。
P1シンボル(P1)は、第1プリアンブル(Preamble 1)である。また、P2シンボル(P2)は、第2プリアンブル(Preamble 2)である。
ここで、例えば、フレーム同期シンボル(FSS)とP1シンボル(P1)は、ATSC3.0で規定される物理層フレームを構成するブートストラップ(Bootstrap)に相当し、P2シンボル(P2)は、プリアンブル(Preamble)に相当している(例えば、下記の非特許文献2参照)。
非特許文献2:ATSC Standard:A/321, System Discovery and Signaling
P1シンボル(P1)とP2シンボル(P2)は、物理層のシグナリング(L1シグナリング)を含む。ここでは、P1シンボル(P1)のシグナリングを、P1シグナリングと称する。また、P2シンボル(P2)のシグナリングを、P2シグナリングと称する。
また、P2シグナリングは、固定長部分のL1-Basic(以下、L1Bシグナリングともいう)と、可変長部分のL1-Detail(以下、L1Dシグナリングともいう)とに分けることができる。なお、P1シグナリングとP2シグナリングの詳細は、後述する。
データ(Data)は、複数のデータシンボル(Data Symbol)から構成される。なお、データ(Data)には、必要に応じて、フレームの境界を示すバウンダリシンボル(BS:Boundary Symbol)が配置される。
本技術を適用した物理層フレームは、以上のように構成することができる。
なお、図4に示した物理層フレームにおいては、例えば、フレーム同期シンボル(FSS)とP1シンボル(P1)は、上記の非特許文献2に開示されているシンボル(に類似するシンボル)とし、P2シンボル(P2)とデータ(データシンボル)は、OFDMシンボルとすることができる。ここで、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)(直交周波数分割多重)では、伝送帯域内に多数の直交するサブキャリア(副搬送波)が設けられ、デジタル変調が行われる。
また、図4に示した物理層フレームの構成の概念は、時分割多重化方式(TDM)、周波数分割多重化方式(FDM)、又は階層分割多重化方式(LDM)のいずれの多重化の方式を採用した場合においても同様である。以下、これらの多重化の方式ごとに、物理層フレームの構成の詳細について説明する。
(1)時分割多重化方式(TDM)の物理層フレームの構成
(第1の構成例)
図5は、時分割多重化方式(TDM)の場合の物理層フレームの第1の構成例を示す図である。
時分割多重化方式(TDM)は、複数の放送信号を時間的に配列して1つの伝送路で伝送を行うことができるようにする多重化の方式である。
図5においては、図中の左側から右側に向かう方向を周波数(Freq)の方向とし、図中の上側から下側に向かう方向を時間(Time)の方向としたときにおける、時分割多重化方式(TDM)を用いた場合の物理層フレームの構成を表している。
図5において、物理層フレームは、時系列で伝送されるが、各物理層フレームの先頭には、フレーム同期シンボル(FSS)が挿入される。ここでは、時系列で伝送される複数の物理層フレームのうち、物理層フレームn(Frame n)の構成を代表して説明する。
図5の物理層フレームnは、フレーム同期シンボル(FSS)、P1シンボル(P1)、P2シンボル(P2)、フレーム(Frame)、及びバウンダリシンボル(BS)から構成される。物理層フレームnにおいては、P1シンボルとP2シンボル(のL1シグナリング)を取得した後に、それに続いたフレームを取得することが可能となる。
また、図5の物理層フレームnにおいては、データシンボルとしてのフレーム(Frame)と、バウンダリシンボル(BS)が、データ(Data)に相当している。ここで、バウンダリシンボルは、フレームの終端に挿入されるシンボルを表している。
なお、図5においては、複数の物理層フレームのうち、物理層フレームnの構成を代表して説明したが、物理層フレームn+1などの他の物理層フレームも同様に構成され、時系列で伝送されることになる。
(第2の構成例)
図6は、時分割多重化方式(TDM)の場合の物理層フレームの第2の構成例を示す図である。
図6において、物理層フレームnは、図5の物理層フレームnと比べて、1つのフレーム(Frame)の代わりに、1以上のサブフレーム(SubFrame)が配置される点が異なっている。図6の物理層フレームnには、サブフレームn(SubFrame n)と、サブフレームn+1(SubFrame n+1)の2つのサブフレームが配置されている。
図6の物理層フレームnにおいては、P1シンボルとP2シンボル(のL1シグナリング)を取得した後に、それに続いたサブフレームnとサブフレームn+1を取得することが可能となる。
ここで、図6の物理層フレームnにおいて、2以上のサブフレームが配置される場合には、サブフレームごとに、例えば、FFTサイズやガードインターバル長、パイロットパターンなどの変調パラメータを変更することができる。
また、各サブフレームには、当該サブフレームの始端と終端に挿入されるシンボルを表すサブフレームバウンダリシンボル(Subframe Boundary Symbol)が挿入される。そして、物理層フレームnにおいては、データシンボルとしてのサブフレームと、サブフレームバウンダリシンボルとが、データ(Data)に相当している。
時分割多重化方式(TDM)を用いた場合の物理層フレームは、以上のように構成することができる。
(2)周波数分割多重化方式(FDM)の物理層フレームの構成
(フレーム構成例)
図7は、周波数分割多重化方式(FDM)の場合の物理層フレームの構成例を示す図である。
周波数分割多重化方式(FDM)は、複数の放送信号を伝送する周波数帯域を分割して1つの伝送路で伝送を行うことができるようにする多重化の方式である。
図7においては、図中の左側から右側に向かう方向を周波数(Freq)の方向とし、図中の上側から下側に向かう方向を時間(Time)の方向としたときにおける、周波数分割多重化方式(FDM)を用いた場合の物理層フレームの構成を表している。
図7において、物理層フレームは、時系列で伝送されるが、各物理層フレームの先頭には、フレーム同期シンボル(FSS)が挿入され、さらに、それに続いてP1シンボル(P1)が挿入される。
また、周波数分割多重化方式(FDM)を用いる場合には、所定の周波数帯域(例えば6MHz)が、複数のセグメントに周波数分割される。そして、1又は複数のセグメントをまとめることで、階層が構成される。例えば、図7においては、35セグメントに周波数分割して、図中の中央の9セグメントにより、階層A(Layer A)が構成され、左右の残りのセグメントにより、階層B(Layer B)が構成される。
図7の物理層フレームnにおいては、階層Aと階層Bの階層ごとに、P2シンボル(P2)と、データシンボルとしてのフレーム(Frame)と、バウンダリシンボル(BS)が配置される。
ここで、図8には、図7の物理層フレームの構成の詳細を示している。図8においては、階層Aと階層Bの階層ごとのP2シンボル、データシンボル、及びバウンダリシンボルが、図中の四角で表したセグメント単位で示されている。
すなわち、図8では、周波数分割多重化方式(FDM)を用いることで、例えば、35セグメントに周波数分割されている場合に、中央の階層Aは、9セグメントから構成され、左右の階層Bは、残りの26セグメントから構成されている。なお、図中の四角で表した各セグメントは、同一のサブキャリアの数で構成される。
周波数分割多重化方式(FDM)を用いた場合の物理層フレームは、以上のように構成することができる。
(3)階層分割多重化方式(LDM)の物理層フレームの構成
(フレーム構成例)
図9は、階層分割多重化方式(LDM)の場合の物理層フレームの構成例を示す図である。
階層分割多重化方式(LDM)は、複数の放送信号を異なる階層電力に分割して1つの伝送路で伝送を行うことができるようにする多重化の方式である。
図9においては、xyzの3次元により、階層分割多重化方式(LDM)を用いた場合の物理層フレームの構成を表している。ただし、図9では、図中のx方向を、電力(Power)の方向とし、図中のy方向を、周波数(Freq)の方向とし、図中のz方向を、時間(Time)の方向としている。
図9において、物理層フレームは、時系列で伝送されるが、各物理層フレームの先頭には、フレーム同期シンボル(FSS)が挿入され、さらに、それに続いてP1シンボル(P1)が挿入される。
また、階層分割多重化方式(LDM)を用いる場合には、異なる送信電力となる階層ごとに、P2シンボル(P2)、データシンボルとしてのフレーム(Frame)、及びバウンダリシンボル(BS)が配置される。例えば、図9の物理層フレームnにおいては、階層k(Layer k)と階層k+1(Layer k+1)の2つの階層ごとに、P2シンボルと、データシンボルと、バウンダリシンボルがそれぞれ配置されている。
階層分割多重化方式(LDM)を用いた場合の物理層フレームは、以上のように構成することができる。
なお、本明細書の説明では、周波数分割多重化方式(FDM)と、階層分割多重化方式(LDM)において、同一の「階層(Layer)」の用語を用いているが、これらの「階層」の意味は、技術的には異なるものである。ここで、本明細書の説明においては、どちらの方式の階層であるかが明らかである場合には、特に区別せずに、「階層」の用語を用いる。一方で、特に、「階層」の用語を区別する必要がある場合には、周波数分割多重化方式(FDM)の階層を、「FDM階層」と記述し、階層分割多重化方式(LDM)の階層を、「LDM階層」と記述するものとする。
(4)フレーム同期シンボル(FSS)とP1シンボル(P1)の構成
次に、図10乃至図22を参照して、物理層フレームにおける、フレーム同期シンボル(FSS)とP1シンボル(P1)の構成について説明する。
(現状のFSSとP1の構成)
図10は、現状のフレーム同期シンボル(FSS)とP1シンボル(P1)の構成を示す図である。
図10に示したCAB構造とBCA構造は、ATSC3.0で規定されるブートストラップ(Bootstrap)の構成に相当するものである(例えば、上記の非特許文献2参照)。ここでは、フレーム同期シンボル(FSS)は、CAB構造からなる一方で、P1シンボル(P1)は、BCA構造からなる。すなわち、ATSC3.0では、1つの物理層フレームにおいて、1つのフレーム同期シンボル(FSS)と、3つのP1シンボル(P1)を含むことが規定されている。
ただし、図10のフレーム同期シンボル(FSS)のCAB構造では、Cの部分のサンプル(Sample)は、520とされ、Aの部分のサンプルは、2048とされ、Bの部分のサンプルは、504とされる。同様に、図10のP1シンボル(P1)のBCA構造では、Bの部分のサンプルは、504とされ、Cの部分のサンプルは、520とされ、Aの部分のサンプルは、2048とされる。
(本技術のFSSとP1の構成)
図11は、本技術のフレーム同期シンボル(FSS)とP1シンボル(P1)の構成の概要を示す図である。
図11において、フレーム同期シンボル(FSS)のCAB構造では、C,A,Bの部分のサンプルをそれぞれ、520g,2048g,504gとした場合に、本技術の構成では、主に、g = 0.5となるようにする。一方で、P1シンボル(P1)のBCA構造においても、B,C,Aの部分のサンプルをそれぞれ、504g,520g,2048gとした場合に、本技術の構成では、主に、g = 0.5となるようにする。
すなわち、g = 0.5とすることで、フレーム同期シンボル(FSS)とP1シンボル(P1)のシンボルの長さを半分にすることができるため、物理層フレームにおいて、高効率を実現することができる。
具体的には、フレーム同期シンボル(FSS)のCAB構造では、Cの部分のサンプルを、260とし、Aの部分のサンプルを、1024とし、Bの部分のサンプルを、252とすることができる。同様に、P1シンボル(P1)のBCA構造では、Bの部分のサンプルを、252とし、Cの部分のサンプルを、260とし、Aの部分のサンプルを、1024とすることができる。
また、本技術の構成では、ATSC3.0の構成と比べて、P1シンボルの数を、3つから2つに減らすことで、1つの物理層フレームにおいて、1つのフレーム同期シンボル(FSS)と、2つのP1シンボル(P1)を含むようにする。すなわち、本技術の構成では、ATSC3.0の構成と比べて、効率を、3/4にする。
図12には、フレーム同期シンボル(FSS)とP1シンボル(P1)の構成として、上段に、ATSC3.0の構成を示す一方で、下段に、本技術の構成を示している。
図12において、下段の本技術の構成では、上段のATSC3.0の構成と比べて、フレーム同期シンボル(FSS)とP1シンボル(P1)のシンボルの長さを半分にし、さらに、P1シンボルの数を、3つから2つに減らしている。そのため、下段の本技術の構成は、上段のATSC3.0の構成と比べれば、伝送時間を、3/8(1/2 × 3/4)の時間に短縮することができる。
ここで、図13には、gの値と、FFTサイズ、サンプル(Samples)、最大伝送速度(Max bps)、及びロバスト伝送速度(Robust bps)との関係を示している。
図13においては、gの値に応じて、FFTサイズ、サンプル、最大伝送速度、及びロバスト伝送速度の値が増減する。上述したように、本技術の構成では、g = 0.5として、FTTサイズ = 1024,サンプル = 1536,最大伝送速度 = 10bps,ロバスト伝送速度 = 6bps又は7bpsとすることで、ATSC3.0の構成(g = 1.0)と比べて、効率を良くすることができる。
なお、ロバスト伝送速度であるが、論理的には最大10bpsは可能であるが、チャネルのノイズなどによって、相関が十分に取れなくなる場合があるので、実際には、バックオフ(back-off)を持って、3bps又は4bpsで運用することになる。なお、ATSC3.0の構成では、論理的には最大11bpsとなるが、実際には、8bpsで運用を行うことになる。一方で、本技術の構成では、論理的には最大10bpsとなるところ、例えば、6bpsで運用を行うようにすることができる。
また、本技術の発明者は、gの値として、g = 0.5が好適であることを証明するために、図13に示したFFTサイズごとに、SNR(Symbol to Noise Ratio)を得るためのシミュレーションを行った。このシミュレーション結果を、図14乃至図18に示している。
なお、このシミュレーションでは、受信装置30が、チャネルに割り当てられた周波数帯域(例えば6MHz)の全帯域を受信する場合を想定している。また、図14乃至図18においては、横軸がSNR(Symbol to Noise Ratio)を表し、縦軸がBLER(Block Error Rate)を表している。
また、図14乃至図18において、シミュレーションの結果として異なる線種で表した[a,b,c]のaは、フレーム同期シンボル(FSS)のビット数を表し、a以外のbやc等は、P1シンボル(P1)のビット数を表している。フレーム同期シンボル(FSS)は、情報がないので、すべて0ビットとされる。また、P1シンボル(P1)のビット数は、2~12ビット等としている。
図14は、FFTサイズ = 512の場合のシミュレーション結果を示している。図14のシミュレーション結果においては、BLER = 1.0×10-3(1.0E-03)のとき、SNR = -6dBとなる。
図15は、FFTサイズ = 1024の場合のシミュレーション結果を示している。図15のシミュレーション結果においては、BLER = 1.0×10-3(1.0E-03)のとき、SNR = -7.6dBとなる。
図16は、FFTサイズ = 2048の場合のシミュレーション結果を示している。図16のシミュレーション結果においては、BLER = 1.0×10-3(1.0E-03)のとき、SNR = -9.6dBとなる。
図17は、FFTサイズ = 4096の場合のシミュレーション結果を示している。図17のシミュレーション結果においては、BLER = 1.0×10-3(1.0E-03)のとき、SNR = -10.8dBとなる。
図18は、FFTサイズ = 8192の場合のシミュレーション結果を示している。図18のシミュレーション結果においては、BLER = 1.0×10-3(1.0E-03)のとき、SNR = -12.5dBとなる。
ここで、ATSC3.0の構成は、g = 1.0,すなわち、FFTサイズ = 2048の場合のシミュレーション結果(図16)に相当するので、SNR = -9.6dBとなる。一方で、本技術の構成は、g = 0.5,すなわち、FFTサイズ = 1024の場合のシミュレーション結果(図15)に相当するので、SNR = -7.6dBとなる。
そして、SNRとしては、通常、-7.6dB程度であれば、十分な値であり、-9.6dBまでは必要ない。換言すれば、ATSC3.0の構成で用いられる、g = 1.0の場合にはオーバースペックであり、g = 0.5で、十分な性能が得られる。そのため、本技術の構成では、g = 0.5が好適であるとしている。
ただし、ここでは、伝送時間の短縮の観点から、g = 0.5が好適であるとして説明をしたが、本技術の物理層フレームの構成では、g = 0.25,1.00,2.00,4.00など、gの値として、0.5以外の他の値を用いるようにしてもよい。
また、多重化の方式として、周波数分割多重化方式(FDM)を用いる場合、受信装置30は、フレーム同期シンボル(FSS)とP1シンボル(P1)を部分帯域で受信することになる。例えば、図19に示すように、周波数分割多重化方式(FDM)を用いる場合には、チャネルに割り当てられた所定の周波数帯域(例えば6MHz)が、複数のセグメントに周波数分割される。
図19の例では、横方向を周波数としたときに、周波数上限と周波数下限との間の周波数帯域(例えば6MHz)内の、図中の四角で表したセグメントにより、階層(FDM階層)が構成されることを示している。図19においては、35セグメントに周波数分割されている。
ここでは、35個のセグメントのうち、図中の中央の1セグメントを、セグメント#0として、その左右のセグメントを、セグメント#1,#2とし、さらに、その左右のセグメントを、セグメント#3,#4とすることを繰り返していくと、図中の最も左側(周波数下限側)の1セグメントが、セグメント#33となり、図中の最も右側(周波数上限側)の1セグメントが、セグメント#34となる。
また、1又は複数のセグメントをまとめることで、階層が構成される。図19においては、セグメント#0乃至#8の9セグメントにより、階層A(Layer A)が構成される。また、セグメント#10,#12,・・・,#32,#34の13セグメントと、セグメント#9,#11,・・・,#31,#33の13セグメントとの合計26セグメントにより、階層B(Layer B)が構成される。
このように、1又は複数のセグメントから階層が構成され、それらの階層ごとに、例えば、異なる放送サービスのデータを伝送することができる。例えば、受信装置30は、階層Aで伝送される放送サービスのデータを受信する場合、部分帯域フィルタ(図19)により、階層Aの周波数帯域のみを受信することになる。
すなわち、受信装置30では、チャネルに割り当てられた周波数帯域の全帯域のうち、階層Aに対応した部分帯域のみが受信され、フレーム同期シンボル(FSS)とP1シンボル(P1)は、部分帯域で受信される。つまり、周波数帯域の全帯域に対し、階層Aに対応した部分帯域は、9/35の帯域とされる。
ここで、本技術の発明者は、階層Aに対応した部分帯域を、全帯域の9/35の帯域(約1/4の帯域)とした場合でも、gの値として、g = 0.5が好適であることを証明するために、FFTサイズ = 1024の場合に、SNRを得るためのシミュレーションを行った。このシミュレーション結果を、図20に示している。
なお、図20においては、上述した図14乃至図18と同様に、横軸がSNRを表し、縦軸がBLERを表している。また、図20には、5パターンのシミュレーション結果を示している。すなわち、異なる線種で表した[a,b,c]のa,b,cは、フレーム同期シンボル(FSS)のビット数、1つ目のP1シンボル(P1)のビット数、2つ目のP1シンボル(P1)のビット数をそれぞれ表している。
フレーム同期シンボル(FSS)は、情報がないので、すべて0ビットとされる。また、P1シンボル(P1)のビット数は、4~7ビットとしている。つまり、例えば、[0,5,5]は、0ビットのFSS,5ビットのP1,5ビットのP1の合計10ビットの情報とされる。同様に、[0,5,4]は、9ビットの情報、[0,4,4]は、8ビットの情報、[0,6,6]は、12ビットの情報、[0,7,7]は、14ビットの情報となる。
図20の各シミュレーション結果においては、BLER = 1.0×10-3(1.0E-03)のとき、SNR = -4dB程度が得られる。すなわち、g = 0.5の場合について、部分帯域(9/35の帯域)のシミュレーション結果(図20)を、上述した全帯域のシミュレーション結果(図15)と比べれば、BLER = 1.0×10-3(1.0E-03)のときのSNRが、-7.6dBから、-4dB程度に低下している。
しかしながら、SNRとしては、通常、-4dB程度であれば、許容範囲内の値であり、十分な性能が得られる。そのため、階層Aに対応した部分帯域を、全帯域の9/35の帯域とした場合でも、gの値として、g = 0.5が好適であると言える。
また、上述した各種のシミュレーション結果に基づいて、ロバスト性を考慮に入れると、1シンボルを、6ビットとすることができる。ただし、実際には、4ビットのバックオフを持つことで、最大10ビットとした上で、6ビットで運用することができる。
一方で、送信側の送信装置20から、受信側の受信装置30に送信すべき情報を考慮すれば、6ビットでは不足してしまうため、2つのP1シンボルが必要となる。これにより、12ビット(6ビット×2)のP1シンボルで、情報を送ることが可能となる。このようなP1シンボルの構成を、図21に示している。
すなわち、図21において、1つの物理層フレームは、1つのフレーム同期シンボル(FSS)と、2つのP1シンボルを含んで構成される。このように、効率の観点だけでなく、1シンボル当たりのビット数からも、2つのP1シンボルを用いることが好適であることが分かる。なお、図21には、FFTサイズ = 1024(1K)の構成と、FFTサイズ = 2048(2K)の構成を示しているが、FFTサイズ = 1024の構成で、十分な性能を得られることは先に述べた通りである。
以上をまとめると、図22のように表すことができる。図22には、FFTサイズ、1シンボル当たりのサンプル(Samples Per sym)、最大伝送速度(Max bps)、ロバスト伝送速度(Robust bps)、シンボル数(#Syms)、最大ビット数(Maxbits)、及びトータルサンプル(Total Samples)の関係を示している。
すなわち、本技術の構成では、gの値として、g = 0.5が好適であるとして、FFTサイズ = 1024,1シンボル当たりのサンプル = 1536,最大伝送速度 = 10bps,ロバスト伝送速度 = 6bps,シンボル数 = 3,最大ビット数 = 12ビット(6ビット×2),トータルサンプル数 = 4608(1536×3)とすることができる。
なお、1シンボル当たりのサンプルは、図12等に示したように、g = 0.5として、フレーム同期シンボル(FSS)とP1シンボル(P1)のシンボルの長さを半分にすることで、1536が得られる。また、シンボル数は、図12等に示したように、1つの物理層フレームにおいて、1つのフレーム同期シンボル(FSS)と、2つのP1シンボル(P1)とすることで、3シンボルとなる。さらに、最大ビット数を12ビットとしているのは、1シンボルを6ビットとした場合に、送信側から受信側に送るべき情報を考慮すると、2つのP1シンボルで12ビットになるからである。
また、ここで、例えば、サンプリング周波数を、6.912MHzとすれば、FFTサイズ = 1024(1K)の場合、1シンボル当たりの時間が、0.222msとなるので、3シンボルであると、0.666msとなる。一方で、FFTサイズ = 2048(1K)の場合には、サンプリング周波数を、6.912MHzとすれば、1.33msとされる。なお、ここでは、サンプリング周波数として、6.912MHzを用いたが、他のサンプリング周波数を用いるようにしてもよい。
(5)P2シンボル(P2)の構成
次に、図23乃至図27を参照して、物理層フレームのP2シンボルの構成について説明する。なお、P2シンボルの構成は、多重化の方式ごとに異なるので、以下、時分割多重化方式(TDM)、周波数分割多重化方式(FDM)、階層分割多重化方式(LDM)の順に、P2シンボルの構成を説明する。
(TDMの場合の構成例)
図23は、時分割多重化方式(TDM)の場合のP2シンボルの構成例を示す図である。
P2シンボルは、OFDMシンボルであり、L1Bシグナリングと、L1Dシグナリングを含む。ここで、図23には、1つの物理層フレームにおいて、1つのP2シンボルが配置される場合と、2つのP2シンボルが配置される場合を示している。
1つのP2シンボルが配置される場合には、P2シンボルの先頭から、固定長のL1Bシグナリング(L1-Basic)が配置され、それに続いて、可変長のL1Dシグナリング(L1-Detail)が配置される。また、P2シンボルの残りの部分には、データ(Payload Data)が配置される。
一方で、2つのP2シンボルが配置される場合には、1つ目のP2シンボルの先頭から固定長のL1Bシグナリング(L1-Basic)が配置され、それに続いて、可変長のL1Dシグナリング(L1-Detail)が配置される。ここでは、可変長のL1Dシグナリングが、1つ目のP2シンボル内には収まらないため、そのL1Dシグナリングの残りの部分が、2つ目のP2シンボルに配置される。また、2つ目のP2シンボルの残りの部分には、データ(Payload Data)が配置される。
なお、図6に示したような、物理層フレームにおいて、1以上のサブフレームが配置される構成の場合には、すべてのL1シグナリング(L1BシグナリングとL1Dシグナリングを含む)が、先頭のサブフレームよりも前に配置される。
(FDMの場合の第1の構成例)
図24は、周波数分割多重化方式(FDM)の場合のP2シンボルの第1の構成例を示す図である。
ここで、図24には、周波数分割多重化方式(FDM)を用いることで、階層Aと階層Bが構成されるときに、1つの物理層フレームにおいて、1つのP2シンボルが配置される場合と、2つのP2シンボルが配置される場合を示している。
1つのP2シンボルが配置される場合、P2シンボルでは、階層Aに対応する部分の先頭から、固定長のL1Bシグナリング(L1-Basic)が配置され、それに続いて、可変長のL1Dシグナリング(L1-Detail)が配置される。また、P2シンボルにおいて、階層Aに対応する部分のうち、残りの部分には、データ(Payload Data)が配置される。
すなわち、1つのP2シンボルが配置される場合に、複数の階層で構成されるとき、L1BシグナリングとL1Dシグナリングは、中央のセグメントを含む階層Aにのみ含まれる。なお、P2シンボルにおいて、左右の階層Bには、データ(Payload Data)のみが配置される。
一方で、2つのP2シンボルが配置される場合、1つ目のP2シンボルでは、階層Aに対応する部分の先頭から、固定長のL1Bシグナリング(L1-Basic)が配置され、それに続いて、可変長のL1Dシグナリング(L1-Detail)が配置される。
ここでは、可変長のL1Dシグナリングが、1つ目のP2シンボルの階層Aに対応する部分には収まらないため、そのL1Dシグナリングの残りの部分が、2つ目のP2シンボルの階層Aに対応する部分に配置される。また、2つ目のP2シンボルにおいて、階層Aに対応する部分のうち、残りの部分には、データ(Payload Data)が配置される。
すなわち、2つのP2シンボルが配置される場合に、複数の階層で構成されるとき、L1BシグナリングとL1Dシグナリングは、中央のセグメントを含む階層Aにのみ含まれる。なお、2つのP2シンボルにおいて、左右の階層Bには、データ(Payload Data)のみが配置される。
このように、周波数分割多重化方式(FDM)により複数の階層が構成される場合には、L1Bシグナリングを、P2シンボルの階層Aに対応する部分に配置するとともに、その階層Aに対応する部分のうち、残りの部分に、L1Dシグナリングが配置されるようにする。その際に、L1Dシグナリングが、1つ目のP2シンボルの階層Aに対応する部分に収まらない場合には、そのL1Dシグナリングの残りの部分を、2つ目のP2シンボルの階層Aに対応する部分に配置するようにする。
これにより、すべてのL1シグナリング(L1BシグナリングとL1Dシグナリング)が、中央のセグメントを含む階層AのP2シンボルに含まれるため、受信装置30では、チャネルに割り当てられた周波数帯域(例えば6MHz)の全帯域を受信する場合だけでなく、階層Aに対応した部分帯域(例えば全帯域の9/35の帯域)のみを受信する場合でも、L1シグナリングを取得することができる。
(FDMの場合の第2の構成例)
図25は、周波数分割多重化方式(FDM)の場合のP2シンボルの第2の構成例を示す図である。
図25には、図24と同様に、階層Aと階層Bが構成されるときに、1つの物理層フレームにおいて、1つのP2シンボルが配置される場合と、2つのP2シンボルが配置される場合を示している。
1つのP2シンボルが配置される場合、P2シンボルでは、階層Aに対応する部分の先頭から、固定長のL1Bシグナリング(L1-Basic)が配置され、それに続いて、可変長のL1Dシグナリング(L1-Detail)が配置される。また、P2シンボルにおいて、階層Aに対応する部分のうち、残りの部分には、データ(Payload Data)が配置される。
また、P2シンボルでは、一方の階層B(左側の階層B)に対応する部分の先頭から、可変長のL1Dシグナリング(L1-Detail)が配置され、それに続いて、データ(Payload Data)が配置される。ただし、このL1Dシグナリングは、階層Bに関する情報のみを含むものとする。なお、P2シンボルにおいて、他方の階層B(右側の階層B)に対応する部分には、データ(Payload Data)のみが配置される。
一方で、2つのP2シンボルが配置される場合、1つ目のP2シンボルでは、階層Aに対応する部分の先頭から、固定長のL1Bシグナリング(L1-Basic)が配置され、それに続いて、可変長のL1Dシグナリング(L1-Detail)が配置される。
ここでは、可変長のL1Dシグナリングが、1つ目のP2シンボルの階層Aに対応する部分には収まらないため、そのL1Dシグナリングの残りの部分が、2つ目のP2シンボルの階層Aに対応する部分に配置される。また、2つ目のP2シンボルにおいて、階層Aに対応する部分のうち、残りの部分には、データ(Payload Data)が配置される。
また、1つ目のP2シンボルでは、一方の階層B(左側の階層B)に対応する部分の先頭から、可変長のL1Dシグナリング(L1-Detail)が配置され、それに続いて、データ(Payload Data)が配置される。ただし、このL1Dシグナリングは、階層Bに関する情報のみを含むものとする。なお、1つ目のP2シンボルにおいて、他方の階層B(右側の階層B)に対応する部分には、データ(Payload Data)のみが配置される。
このように、周波数分割多重化方式(FDM)により複数の階層が構成される場合には、L1Bシグナリングを、P2シンボルの階層Aに対応する部分に配置するとともに、その階層Aに対応する部分のうち、残りの部分に、L1Dシグナリングが配置されるようにする。その際に、L1Dシグナリングが、1つ目のP2シンボルの階層Aに対応する部分に収まらない場合には、そのL1Dシグナリングの残りの部分を、2つ目のP2シンボルの階層Aに対応する部分に配置するようにする。さらに、L1Dシグナリングのうち、階層Bに関する情報は、P2シンボルの階層Bに対応する部分に配置されるようにする。
なお、図25においては、1つのP2シンボルが配置される場合と、2つのP2シンボルが配置される場合を例示したが、基本的に、1つのP2シンボルを配置する場合がほとんどであると想定される。すなわち、L1Dシグナリングのうち、階層Bに関する情報を、P2シンボルの階層Bに対応する部分に配置することで、P2シンボルの階層Aに対応する部分に配置するL1Dシグナリングの情報を減らすことができる。そのため、1つのP2シンボルを配置するだけで、L1Dシグナリングのすべての情報を配置するための領域を確保できるようになるからである。
そして、受信装置30では、基本的に1シンボル単位で処理を行うため、2つのP2シンボルからL1シグナリングを得る場合には、後のP2シンボルを処理するまで、先のP2シンボルをバッファリングして保持する必要がある。一方で、図25の上段に示した構成のように、1つのP2シンボルからL1シグナリングを得ることができる場合には、P2シンボルをバッファリングする必要がなく、迅速にL1シグナリングを得ることができる。
(LDMの場合の第1の構成例)
図26は、階層分割多重化方式(LDM)の場合のP2シンボルの第1の構成例を示す図である。
ここで、図26には、階層分割多重化方式(LDM)を用いることで、階層kと階層k+1が構成されるときに、1つの物理層フレームにおいて、1つのP2シンボルが配置される場合と、2つのP2シンボルが配置される場合を示している。
1つのP2シンボルが配置される場合、階層kのP2シンボルでは、その先頭から、固定長のL1Bシグナリング(L1-Basic)が配置され、それに続いて、可変長のL1Dシグナリング(L1-Detail)が配置される。また、階層kのP2シンボルの残りの部分には、データ(Payload Data)が配置される。なお、階層k+1のP2シンボルには、データ(Payload Data)のみが配置される。
一方で、2つのP2シンボルが配置される場合、階層kにおいて、1つ目のP2シンボルでは、その先頭から、固定長のL1Bシグナリング(L1-Basic)が配置され、それに続いて、可変長のL1Dシグナリング(L1-Detail)が配置される。
ここでは、階層kにおいて、可変長のL1Dシグナリングが、1つ目のP2シンボル内には収まらないため、2つ目のP2シンボルに配置される。また、階層kにおいて、2つ目のP2シンボルの残りの部分には、データ(Payload Data)が配置される。
また、階層k+1において、1つ目のP2シンボルと、2つ目のP2シンボルには、データ(Payload Data)のみが配置される。
このように、階層分割多重化方式(LDM)により複数の階層が構成される場合には、L1Bシグナリングを、階層kのP2シンボルに配置するとともに、その階層kのP2シンボルの残りの部分に、L1Dシグナリングが配置されるようにする。その際に、階層kにおいて、L1Dシグナリングが、1つ目のP2シンボル内に収まらない場合には、そのL1Dシグナリングの残りの部分を、2つ目のP2シンボル内に配置するようにする。
(LDMの場合の第2の構成例)
図27は、階層分割多重化方式(LDM)の場合のP2シンボルの第2の構成例を示す図である。
図27には、図26と同様に、階層kと階層k+1が構成されるときに、1つの物理層フレームにおいて、1つのP2シンボルが配置される場合と、2つのP2シンボルが配置される場合を示している。
1つのP2シンボルが配置される場合、階層kのP2シンボルでは、その先頭から、固定長のL1Bシグナリング(L1-Basic)が配置され、それに続いて、可変長のL1Dシグナリング(L1-Detail)が配置される。また、階層kのP2シンボルの残りの部分には、データ(Payload Data)が配置される。
また、階層k+1のP2シンボルには、その先頭から、可変長のL1Dシグナリング(L1-Detail)が配置され、それに続いて、データ(Payload Data)が配置される。ただし、このL1Dシグナリングは、階層k+1に関する情報のみを含むものとする。
一方で、2つのP2シンボルが配置される場合、階層kにおいて、1つ目のP2シンボルでは、その先頭から、固定長のL1Bシグナリング(L1-Basic)が配置され、それに続いて、可変長のL1Dシグナリング(L1-Detail)が配置される。
ここでは、階層kにおいて、可変長のL1Dシグナリングが、1つ目のP2シンボル内には収まらないため、2つ目のP2シンボルに配置される。また、階層kにおいて、2つ目のP2シンボルの残りの部分には、データ(Payload Data)が配置される。
また、階層k+1において、1つ目のP2シンボルでは、その先頭から、可変長のL1Dシグナリング(L1-Detail)が配置され、それに続いて、データ(Payload Data)が配置される。ただし、このL1Dシグナリングは、階層k+1に関する情報のみを含むものとする。なお、階層k+1において、2つ目のP2シンボルには、データ(Payload Data)のみが配置される。
このように、階層分割多重化方式(LDM)により複数の階層が構成される場合には、L1Bシグナリングを、階層kのP2シンボルに配置するとともに、その階層kのP2シンボルの残りの部分に、L1Dシグナリングが配置されるようにする。その際に、階層kにおいて、L1Dシグナリングが、1つ目のP2シンボル内に収まらない場合には、そのL1Dシグナリングの残りの部分を、2つ目のP2シンボル内に配置するようにする。さらに、L1Dシグナリングのうち、階層k+1に関する情報は、階層k+1のP2シンボルに配置されるようにする。
以上、本技術を適用した物理層フレームの構成について説明した。
<4.第1の解決手法>
上述したように、現状では、複数の多重化の方式(FDM,TDM,LDM)を、同一の放送システムで実現する場合に、多重化の方式を判別することができないという課題があったが、本技術では、この課題を、第1の解決手法により解決する。
ただし、第1の解決手法としては、同期パターン解決手法と、P1シグナリング解決手法の2つの手法があるので、以下、その順に説明する。
(1)同期パターン解決手法
まず、図28乃至図36を参照して、同期パターン解決手法について説明する。
同期パターン解決手法は、共通のフレーム同期シンボル(FSS)で、異なる同期パターンを用いることで、複数の多重化の方式(FDM,TDM,LDM)を判別する手法である。
(同期パターンの例)
図28は、フレーム同期シンボル(FSS)の同期パターンの例を示す図である。
図28においては、多重化の方式が、周波数分割多重化方式(FDM)の場合には、フレーム同期シンボル(FSS)の同期パターンとして、"0x019D"が用いられることを表している。また、多重化の方式が、時分割多重化方式(TDM)の場合には、フレーム同期シンボル(FSS)の同期パターンとして、"0x00ED"が用いられ、多重化の方式が、階層分割多重化方式(LDM)の場合には、フレーム同期シンボル(FSS)の同期パターンとして、"0x01E8"が用いられることを表している。換言すれば、同期パターンが、多重化の方式の判別情報となる。
このように、物理層フレームにおいて、多重化の方式ごとに、フレーム同期シンボル(FSS)の同期パターンが異なっているため、受信装置30では、この同期パターン("0x019D","0x00ED","0x01E8")に基づいて、周波数分割多重化方式(FDM)、時分割多重化方式(TDM)、又は階層分割多重化方式(LDM)である多重化の方式を判別することができる。
また、ここでは、Zadoff-Chuシーケンスルートqが、137となる場合を前提として、フレーム同期シンボル(FSS)の同期パターンを示したが、このqの値は、例えば、q = 400など、他の値でもよい。ただし、qの値を、他の値とした場合、フレーム同期シンボル(FSS)の同期パターンは、図28に示した同期パターンとは異なるパターンとなる。
なお、Zadoff-Chuシーケンスルートqについては、上記の非特許文献2などにも記載されている。
このように、同期パターン解決手法では、多重化の方式ごとに、フレーム同期シンボル(FSS)の同期パターンを用意するため、多数の多重化の方式に対応することができる。なお、他の多重化の方式としては、例えば、階層時分割多重化方式(LDM_TDM)や、階層周波数分割多重化方式(LDM_FDM)などがある。また、同期パターン解決手法では、P1シンボルのビットを使用しなくてよい、というメリットもある。
次に、同期パターン解決手法を用いる場合のP1シグナリングの構成について説明する。なお、P1シグナリングの構成は、多重化の方式ごとに異なるので、以下、時分割多重化方式(TDM)、周波数分割多重化方式(FDM)、階層分割多重化方式(LDM)の順に、P1シグナリングの構成を説明する。
(1a)時分割多重化方式(TDM)
(P1シグナリングの例)
図29は、時分割多重化方式(TDM)の場合のP1シグナリングのシンタックスの例を示す図である。
図29において、P1シグナリングは、P1_P2_waveform_structure,P1_eas_wake_up,P1_band_width,P1_Reservedを含む。
7ビットのP1_P2_waveform_structureは、P1,P2シンボルの構造を表す。このP1_P2_waveform_structureには、FFTサイズ、GI(Guard Interval)、FEC(Forward Error Correction)タイプ、及びパイロットパターン(SPP:SPパターン)を組み合わせた情報が含まれる。
1ビットのP1_eas_wake_upは、緊急警報フラグを表す。
2ビットのP1_band_widthは、放送信号のバンド幅を表す。
2ビットのP1_Reservedは、将来の拡張の領域を表す。
なお、フォーマット(Format)として、uimsbf(unsigned integer most significant bit first)が指定された場合、ビット演算をして、整数として扱われることを意味している。このフォーマットは、後述する他のシンタックスにおいても同様である。
(P1_P2_waveform_structureの例)
図30は、図29のP1_P2_waveform_structureの例を示す図である。
P1_P2_waveform_structureの値として、"0000000"が指定された場合、FFTサイズ = 8K,GI = 256,FECタイプ = 1,パイロットパターン = 16_2となる。
P1_P2_waveform_structureの値として、"0000001"が指定された場合、FFTサイズ = 8K,GI = 256,FECタイプ = 1,パイロットパターン = 16_4となる。
P1_P2_waveform_structureの値として、"0000010"が指定された場合、FFTサイズ = 8K,GI = 512,FECタイプ = 1,パイロットパターン = 12_2となる。
なお、図30の例では、P1_P2_waveform_structureの値を、すべて列挙していないが、他のP1_P2_waveform_structureの値についても同様に、FFTサイズ、GI、FECタイプ、及びパイロットパターンの組み合わせが割り当てられる。例えば、P1_P2_waveform_structureの値として、"1000010"が指定された場合には、FFTサイズ = 32K,GI = 2048,FECタイプ = 2,パイロットパターン = 6_2となる。
ただし、P1_P2_waveform_structureには、すべての組み合わせを列挙する必要はなく、実際の運用で用いられる組み合わせのみを定義すればよい。例えば、図30の例では、後述するように、FFTサイズと、GIと、パイロットパターンとの組み合わせは、34パターンとなるが、すべてのFECタイプに掛け合わせる必要はない。
また、FFTサイズと、GIと、パイロットパターンに対しては、ほぼ1つのFECタイプとしてもよい。ただし、パラメータの数が少ない場合には、FECタイプ1(FECタイプ = 1)とFECタイプ2(FECタイプ = 2)の両方のFECタイプを用意することができる。
(1b)周波数分割多重化方式(FDM)
(P1シグナリングの例)
図31は、周波数分割多重化方式(FDM)の場合のP1シグナリングのシンタックスの例を示す図である。
図31において、P1シグナリングは、P1_P2_waveform_structure,P1_eas_wake_up,P1_band_width,P1_Reservedを含む。
7ビットのP1_P2_waveform_structureは、P1,P2シンボルの構造として、FFTサイズ、GI、FECタイプ、パイロットパターン、及び階層Aのセグメント数を組み合わせた情報を含む。なお、この階層Aは、上述した図7や図8に示したように、中央のセグメントを含む階層である。
なお、図31において、P1_eas_wake_up,P1_band_width,P1_Reservedは、図29に示した内容と同様であるため、その説明は省略する。
(P1_P2_waveform_structureの例)
図32は、図31のP1_P2_waveform_structureの例を示す図である。
P1_P2_waveform_structureの値として、"0000000"が指定された場合、FFTサイズ = 8K,GI = 256,FECタイプ = 1,パイロットパターン = 16_2,階層Aのセグメント数 = 9となる。
P1_P2_waveform_structureの値として、"0000001"が指定された場合、FFTサイズ = 8K,GI = 256,FECタイプ = 1,パイロットパターン = 16_2,階層Aのセグメント数 = 7となる。
P1_P2_waveform_structureの値として、"0000010"が指定された場合、FFTサイズ = 8K,GI = 256,FECタイプ = 1,パイロットパターン = 16_2,階層Aのセグメント数 = 3となる。
P1_P2_waveform_structureの値として、"0000011"が指定された場合、FFTサイズ = 8K,GI = 256,FECタイプ = 1,パイロットパターン = 16_2,階層Aのセグメント数 = 1となる。
P1_P2_waveform_structureの値として、"0000100"が指定された場合、FFTサイズ = 8K,GI = 256,FECタイプ = 1,パイロットパターン = 16_4,階層Aのセグメント数 = 9となる。
なお、図32の例では、P1_P2_waveform_structureの値を、すべて列挙していないが、他のP1_P2_waveform_structureの値についても同様に、FFTサイズ、GI、FECタイプ、パイロットパターン、及び階層Aのセグメント数の組み合わせが割り当てられる。
例えば、P1_P2_waveform_structureの値として、"0010010"が指定された場合には、FFTサイズ = 16K,GI = 1024,FECタイプ = 1,パイロットパターン = 12_2,階層Aのセグメント数 = 3となる。また、例えば、P1_P2_waveform_structureの値として、"0010011"が指定された場合には、FFTサイズ = 16K,GI = 1024,FECタイプ = 1,パイロットパターン = 12_2,階層Aのセグメント数 = 9となる。
さらに、例えば、P1_P2_waveform_structureの値として、"1000010"が指定された場合には、FFTサイズ = 32K,GI = 2048,FECタイプ = 2,パイロットパターン = 6_2,階層Aのセグメント数 = 9となる。
ただし、P1_P2_waveform_structureには、すべての組み合わせを列挙する必要はなく、実際の運用で用いられる組み合わせのみを定義すればよい。例えば、図32の例では、後述するように、FFTサイズと、GIと、パイロットパターンとの組み合わせは、34パターンとなるが、すべてのFECタイプや階層Aのセグメント数に掛け合わせる必要はない。例えば、階層Aのセグメント数として、9セグメントと3セグメントが主に運用されるのであれば、9セグメントと3セグメントに関する組み合わせのみを定義すればよい。
(1c)階層分割多重化方式(LDM)
図33は、階層分割多重化方式(LDM)の場合のP1シグナリングのシンタックスの例を示す図である。
図33において、P1シグナリングは、P1_P2_waveform_structure,P1_eas_wake_up,P1_band_width,P1_Reservedを含む。
7ビットのP1_P2_waveform_structureは、P1,P2シンボルの構造として、FFTサイズ、GI、FECタイプ、及びパイロットパターンを組み合わせた情報を含む。
なお、図33において、P1_eas_wake_up,P1_band_width,P1_Reservedは、図29に示した内容と同様であるため、その説明は省略する。
(P1_P2_waveform_structureの例)
図34は、図33のP1_P2_waveform_structureの例を示す図である。
P1_P2_waveform_structureの値として、"0000000"が指定された場合、FFTサイズ = 8K,GI = 256,FECタイプ = 1,パイロットパターン = 16_2となる。
P1_P2_waveform_structureの値として、"0000001"が指定された場合、FFTサイズ = 8K,GI = 256,FECタイプ = 1,パイロットパターン = 16_4となる。
P1_P2_waveform_structureの値として、"0000010"が指定された場合、FFTサイズ = 8K,GI = 512,FECタイプ = 1,パイロットパターン = 12_2となる。
なお、図34の例では、P1_P2_waveform_structureの値を、すべて列挙していないが、他のP1_P2_waveform_structureの値についても同様に、FFTサイズ、GI、FECタイプ、及びパイロットパターンの組み合わせが割り当てられる。例えば、P1_P2_waveform_structureの値として、"1000010"が指定された場合には、FFTサイズ = 32K,GI = 2048,FECタイプ = 2,パイロットパターン = 6_2となる。
ただし、P1_P2_waveform_structureには、すべての組み合わせを列挙する必要はなく、実際の運用で用いられる組み合わせのみを定義すればよい。例えば、図34の例では、後述するように、FFTサイズと、GIと、パイロットパターンとの組み合わせは、34パターンとなるが、すべてのFECタイプに掛け合わせる必要はない。
また、FFTサイズと、GIと、パイロットパターンに対しては、ほぼ1つのFECタイプとしてもよい。ただし、パラメータの数が少ない場合には、FECタイプ1(FECタイプ = 1)とFECタイプ2(FECタイプ = 2)の両方のFECタイプを用意することができる。
(1d)FFT,GI,PPの組み合わせと、FECタイプの例
(FFT,GI,PPの組み合わせの例)
ここで、上述したP1_P2_waveform_structureにおける、FFTサイズ、GI、パイロットパターンの組み合わせの詳細について説明する。
図35は、FFTサイズとGIとの組み合わせの例を示す図である。
図35においては、FFTサイズを、8K,16K,32Kとし、GIを、1/128,1/64,1/32,1/16,1/8,1/4としたときの、GIのサンプル数を示している。すなわち、GIのサンプル数としては、256,512,1024,2048がある。
図36は、FFTサイズと、GIと、パイロットパターンとの組み合わせの例を示す図である。
図36においては、GIのサンプル数(Sample)に応じたGIパターン(GI Pattern)ごとに、8K,16K,32KのFFTサイズに対応したパイロットパターンが関連付けられている。
すなわち、GI_256には、8K FFTのSP16_2,SP16_4と、16K FFTのSP32_2,SP32_4,SP16_2,SP16_4と、32K FFTのSP32_2との7個のパイロットパターンが対応している。また、GI3_512には、8K FFTのSP12_2,SP12_4,SP6_2,SP6_4と、16K FFTのSP24_2,SP24_4,SP12_2,SP12_4と、32K FFTのSP24_2との9個のパイロットパターンが対応している。
また、GI5_1024には、8K FFTのSP6_2,SP6_4,SP3_2,SP3_4と、16K FFTのSP12_2,SP12_4,SP6_2,SP6_4と、32K FFTのSP24_2,SP12_2との10個のパイロットパターンが対応している。さらに、GI7_2048には、8K FFTのSP3_2,SP3_4と、16K FFTのSP6_2,SP6_4,SP3_2,SP3_4と、32K FFTのSP12_2,SP6_2との8個のパイロットパターンが対応している。
以上、図35及び図36に示したように、FFTサイズと、GIと、パイロットパターンとの組み合わせは、全34パターンとなる。
(FECタイプの例)
また、FECタイプとしては、FECタイプ1(FECタイプ = 1)と、FECタイプ2(FECタイプ = 2)を用いることができる。
FECタイプ1は、非常にロバストなFECである。ここでは、例えば、変調方式として、QPSK+CR = 3/15を使用することができる。なお、このFECタイプ1は、ATSC3.0の「L1-Basic Mode 2」に相当する。また、所要のC/N(Carrier to Noise Ratio)は、約-2.0dBとされる。
FECタイプ2は、効率を優先する場合に使用されるFECである。ここでは、例えば、変調方式として、64QAM+CR = 3/15を使用することができる。なお、このFECタイプ2は、ATSC3.0の「L1-Basic Mode 5」に相当する。また、所要のC/Nは、約10dBとされる。
なお、ここでは、FECタイプの一例として、FECタイプ1とFECタイプ2を例示したが、それ以外の他のFECタイプを用いるようにしてもよい。
(2)P1シグナリング解決手法
次に、図37乃至図42を参照して、P1シグナリング解決手法について説明する。
P1シグナリング解決手法は、共通のフレーム同期シンボル(FSS)で、同一の同期パターンであるが、P1シンボルのP1シグナリングの情報を用いることで、複数の多重化の方式(FDM,TDM,LDM)を判別する手法である。
すなわち、P1シグナリング解決手法では、上述した同期パターン解決手法のように、フレーム同期シンボル(FSS)で、異なる同期パターンを用いるのではなく、同一の同期パターンを用いて、フレーム同期シンボル(FSS)を完全に共通化する。
その一方で、P1シグナリングに、多重化の方式を判別する判別情報として、周波数分割多重化方式(FDM)、時分割多重化方式(TDM)、又は階層分割多重化方式(LDM)のいずれかを明記する。この判別情報としては、例えば、"00"が、周波数分割多重化方式(FDM)を表し、"01"が、時分割多重化方式(TDM)を表し、"10"が、階層分割多重化方式(LDM)を表すように定義することができる。
受信装置30では、P1シグナリングの判別情報("00","01","10")に基づいて、周波数分割多重化方式(FDM)、時分割多重化方式(TDM)、又は階層分割多重化方式(LDM)の多重化の方式を判別することができる。
このように、P1シグナリング解決手法では、P1シグナリングの判別情報により、多重化の方式を判別するため、サーチ時間を短縮することができる。
次に、P1シグナリング解決手法を用いる場合のP1シグナリングの構成について説明する。なお、P1シグナリングの構成は、多重化の方式ごとに異なるので、以下、時分割多重化方式(TDM)、周波数分割多重化方式(FDM)、階層分割多重化方式(LDM)の順に、P1シグナリングの構成を説明する。
(2a)時分割多重化方式(TDM)
(P1シグナリングの例)
図37は、時分割多重化方式(TDM)の場合のP1シグナリングのシンタックスの例を示す図である。
図37において、P1シグナリングは、P1_P2_waveform_structure,P1_eas_wake_up,P1_band_width,P1_Frame_Multiplexingを含む。
7ビットのP1_P2_waveform_structureは、P1,P2シンボルの構造として、FFTサイズ、GI、FECタイプ、及びパイロットパターンを組み合わせた情報を含む。なお、このP1_P2_waveform_structureとしては、例えば、図30に示した組み合わせの情報を定義することができる。
1ビットのP1_eas_wake_upは、緊急警報フラグを表す。
2ビットのP1_band_widthは、放送信号のバンド幅を表す。
2ビットのP1_Frame_Multiplexingは、周波数分割多重化方式(FDM)、時分割多重化方式(TDM)、又は階層分割多重化方式(LDM)など、多重化の方式を判別するための情報を表す。
(P1_Frame_Multiplexingの例)
図38は、図37のP1_Frame_Multiplexingの例を示す図である。
P1_Frame_Multiplexingの値として、"00"が指定された場合、多重化の方式が、周波数分割多重化方式(FDM)であることを意味する。
P1_Frame_Multiplexingの値として、"01"が指定された場合、多重化の方式が、時分割多重化方式(TDM)であることを意味する。
P1_Frame_Multiplexingの値として、"10"が指定された場合、多重化の方式が、階層分割多重化方式(LDM)であることを意味する。
なお、"11"であるP1_Frame_Multiplexingの値は、将来の拡張の領域である。
(2b)周波数分割多重化方式(FDM)
(P1シグナリングの例)
図39は、周波数分割多重化方式(FDM)の場合のP1シグナリングのシンタックスの例を示す図である。
図39において、P1シグナリングは、P1_P2_waveform_structure,P1_eas_wake_up,P1_band_width,P1_Frame_Multiplexingを含む。
7ビットのP1_P2_waveform_structureは、P1,P2シンボルの構造として、FFTサイズ、GI、FECタイプ、パイロットパターン、総セグメント数、及び階層Aのセグメント数を組み合わせた情報を含む。なお、このP1_P2_waveform_structureとしては、例えば、図32に示した組み合わせの情報を定義することができる。
なお、図39において、P1_eas_wake_up,P1_band_width,P1_Frame_Multiplexingは、図37に示した内容と同様である。すなわち、P1_Frame_Multiplexingは、多重化の方式を判別するための情報を表している。
(P1_Frame_Multiplexingの例)
図40は、図39のP1_Frame_Multiplexingの例を示す図である。
図40においては、図38と同様に、P1_Frame_Multiplexingとして、周波数分割多重化方式(FDM)の場合には、"00"が指定され、時分割多重化方式(TDM)の場合には、"01"が指定され、階層分割多重化方式(LDM)の場合には、"10"が指定される。
(2c)階層分割多重化方式(LDM)
(P1シグナリングの例)
図41は、階層分割多重化方式(LDM)の場合のP1シグナリングのシンタックスの例を示す図である。
図41において、P1シグナリングは、P1_P2_waveform_structure,P1_eas_wake_up,P1_band_width,P1_Frame_Multiplexingを含む。
7ビットのP1_P2_waveform_structureは、P1,P2シンボルの構造として、FFTサイズ、GI、FECタイプ、及びパイロットパターンを組み合わせた情報を含む。なお、このP1_P2_waveform_structureとしては、例えば、図34に示した組み合わせの情報を定義することができる。
なお、図41において、P1_eas_wake_up,P1_band_width,P1_Frame_Multiplexingは、図37に示した内容と同様である。すなわち、P1_Frame_Multiplexingは、多重化の方式を判別するための情報を表している。
(P1_Frame_Multiplexingの例)
図42は、図41のP1_Frame_Multiplexingの例を示す図である。
図42においては、図38と同様に、P1_Frame_Multiplexingとして、周波数分割多重化方式(FDM)の場合には、"00"が指定され、時分割多重化方式(TDM)の場合には、"01"が指定され、階層分割多重化方式(LDM)の場合には、"10"が指定される。
以上、第1の解決手法について説明した。
<5.P2シグナリングの構成>
次に、図43乃至図59を参照して、P2シンボルのP2シグナリングとして、L1Bシグナリング(L1-Basic)と、L1Dシグナリング(L1-Detail)について説明する。
ここで、L1Bシグナリングと、L1Dシグナリングには、例えば、次のような相違点がある。すなわち、L1Bシグナリングは、固定長であり、L1Dシグナリングは、可変長である点が異なっている。そのため、L1BシグナリングとL1Dシグナリングは、そのサイズが異なっている。通常、L1Bシグナリングのサイズよりも、L1Dシグナリングのサイズのほうが大きくなる。
また、L1BシグナリングとL1Dシグナリングはその順に読み出されるため、L1DシグナリングよりもL1Bシグナリングのほうが、先に読み出される。さらに、L1Bシグナリングは、L1Dシグナリングと比べて、よりロバスト(ロバストネス)に伝送することができる点でも異なっている。
(1)L1Bシグナリングの構成
まず、図43乃至図47を参照して、L1Bシグナリングの構成について説明する。なお、L1Bシグナリングの構成は、多重化の方式ごとに異なるので、以下、時分割多重化方式(TDM)、周波数分割多重化方式(FDM)、階層分割多重化方式(LDM)の順に、L1Bシグナリングの構成を説明する。
(1a)時分割多重化方式(TDM)
(L1Bシグナリングの例)
図43は、時分割多重化方式(TDM)の場合のL1Bシグナリングのシンタックスの例を示す図である。
図43において、L1Bシグナリングは、L1B_version,L1B_eas-wake_up,L1B_lls_flag,L1B_time_info_flag,L1B_L1_Detail_size_bytes,L1B_L1_Detail_fec_type,L1B_reserved,L1B_crcを含む。
3ビットのL1B_versionは、L1Bシグナリングのバージョンを表す。
1ビットのL1B_eas-wake_upは、緊急警報フラグを表す。
1ビットのL1B_lls_flagは、上位層のシグナリングの存在を示すフラグを表す。例えば、上位層のシグナリングとして、LLS(Low Level Signaling)が規定されている場合に、当該フラグは、LLSが存在するかどうかを示すものとなる。
1ビットのL1B_time_info_flagは、時刻情報のフラグを表す。
8ビットのL1B_L1_Detail_size_bytesは、L1Dシグナリングのサイズを表す。
2ビットのL1B_L1_Detail_fec_typeは、L1DシグナリングのFECタイプを表す。
80ビットのL1B_reservedは、将来の拡張の領域を表す。
32ビットのL1B_crcは、エラー検出のパリティを表す。
(1b)周波数分割多重化方式(FDM)
(L1Bシグナリングの例)
図44は、周波数分割多重化方式(FDM)の場合のL1Bシグナリングのシンタックスの例を示す図である。
図44において、L1Bシグナリングは、L1B_version,L1B_eas-wake_up,L1B_lls_flag,L1B_time_info_flag,L1B_num_layers,L1B_L1_Detail_size_bytes,L1B_L1_Detail_fec_type,L1B_reserved,L1B_crcを含む。
図44において、L1B_version,L1B_eas-wake_up,L1B_lls_flag,L1B_time_info_flag,L1B_L1_Detail_size_bytes,L1B_L1_Detail_fec_type,L1B_reserved,L1B_crcは、図43に示した内容と同様である。すなわち、図44のL1Bシグナリングは、図43と比べて、L1B_num_layersが追加されている。
2ビットのL1B_num_layersは、階層(FDM階層)の個数を表す。
なお、図44においては、L1B_reservedのビット数が、78ビットとなる。
(1c)階層分割多重化方式(LDM)
(L1Bシグナリングの例)
図45は、階層分割多重化方式(LDM)の場合のL1Bシグナリングのシンタックスの例を示す図である。
図45において、L1Bシグナリングは、L1B_version,L1B_eas-wake_up,L1B_lls_flag,L1B_time_info_flag,L1B_num_layers,L1B_L1_Detail_size_bytes,L1B_L1_Detail_fec_type,L1B_reserved,L1B_crcを含む。
図45において、L1B_version,L1B_eas-wake_up,L1B_lls_flag,L1B_time_info_flag,L1B_L1_Detail_size_bytes,L1B_L1_Detail_fec_type,L1B_reserved,L1B_crcは、図43に示した内容と同様である。すなわち、図45のL1Bシグナリングは、図43と比べて、L1B_num_layersが追加されている。
2ビットのL1B_num_layersは、階層(LDM階層)の個数を表す。
(1d)TDM,FDM,LDMで共通化した場合の例
ここで、図37乃至図42に示したTDM,FDM,LDMのP1シグナリングと、図43乃至図45に示したTDM,FDM,LDMのL1Bシグナリングは、TDM,FDM,LDMの各多重化の方式で、ほぼ同様に構成できることが、上述したP1シグナリングとL1Bシグナリングのシンタックスの例からも明らかである。
すなわち、時分割多重化方式(TDM)では、階層に関する情報は、必ずしも必須の情報ではないが、時分割多重化方式(TDM)のシグナリングに対し、階層に関する情報を入れることができれば、周波数分割多重化方式(FDM)と階層分割多重化方式(LDM)と共通化することができる。なお、時分割多重化方式(TDM)では、サブフレームを利用しなければ、num_layersをそのまま利用することができる。
(P1シグナリングの例)
図46は、TDM,FDM,LDMで共通化した場合のP1シグナリングのシンタックスの例を示す図である。
図46において、P1シグナリングは、P1_P2_waveform_structure,P1_eas_wake_up,P1_band_width,P1_Frame_Multiplexingを含む。
7ビットのP1_P2_waveform_structureは、周波数分割多重化方式(FDM)、時分割多重化方式(TDM)、及び階層分割多重化方式(LDM)の多重化の方式ごとに、意味が異なる。
すなわち、時分割多重化方式(TDM)の場合、P1_P2_waveform_structureには、FFTサイズ、GI、FECタイプ、及びパイロットパターンを組み合わせた情報が含まれる。
また、周波数分割多重化方式(FDM)の場合、P1_P2_waveform_structureには、FFTサイズ、GI、FECタイプ、パイロットパターン、総セグメント数、及び階層Aのセグメント数を組み合わせた情報が含まれる。さらに、階層分割多重化方式(LDM)の場合、P1_P2_waveform_structureには、FFTサイズ、GI、FECタイプ、及びパイロットパターンを組み合わせた情報が含まれる。
これらの多重化の方式(FDM,TDM,LDM)は、P1_Frame_Multiplexingの値により、判別することが可能となる。なお、P1_Frame_Multiplexingの値は、図38等に示したものと同様とされる。
(L1Bシグナリングの例)
図47は、TDM,FDM,LDMで共通化した場合のL1Bシグナリングのシンタックスの例を示す図である。
図47において、L1Bシグナリングは、L1B_version,L1B_eas-wake_up,L1B_lls_flag,L1B_time_info_flag,L1B_num_layers,L1B_L1_Detail_size_bytes,L1B_L1_Detail_fec_type,L1B_reserved,L1B_crcを含む。
図47において、L1B_version,L1B_eas-wake_up,L1B_lls_flag,L1B_time_info_flag,L1B_L1_Detail_size_bytes,L1B_L1_Detail_fec_type,L1B_reserved,L1B_crcは、図43に示した内容と同様である。すなわち、図47のL1Bシグナリングは、図43と比べて、L1B_num_layersが追加されている。
2ビットのL1B_num_layersは、階層の個数を表す。
ただし、周波数分割多重化方式(FDM)の場合、L1B_num_layersは、階層(FDM階層)の個数を表す。また、階層分割多重化方式(LDM)の場合、L1B_num_layersは、階層(LDM階層)の個数を表す。なお、時分割多重化方式(TDM)の場合、L1B_num_layersは、必ずしも必須の情報ではなく、不要なときには、未使用とされる。
(2)L1Dシグナリングの構成
次に、図48乃至図59を参照して、L1Dシグナリングの構成について説明する。なお、L1Dシグナリングの構成は、多重化の方式ごとに異なるので、以下、時分割多重化方式(TDM)、周波数分割多重化方式(FDM)、階層分割多重化方式(LDM)の順に、L1Dシグナリングの構成を説明する。
(2a)時分割多重化方式(TDM)
(L1Dシグナリングの第1の例)
図48は、時分割多重化方式(TDM)の場合のL1Dシグナリングのシンタックスの第1の例を示す図である。
図48のL1Dシグナリングは、図6に示したサブフレームに対応した物理層フレームのP2シンボルのP2シグナリングに相当している。
4ビットのL1D_versionは、L1Dシグナリングのバージョンを表す。
L1BシグナリングのL1B_time_info_flagが、時刻情報が存在することを示す場合、64ビットのL1D_ntp_timeが記述される。L1D_ntp_timeは、時刻情報を表す。
ここでは、例えば、上位層のトランスポートプロトコルとして、MMT(MPEG Media Transport)が用いられる場合には、時刻情報として、NTP(Network Time Protocol)フォーマットの時刻情報を用いることができる。なお、時刻情報のフォーマットとしては、NTPフォーマットに限らず、例えば、PTP(Precision Time Protocol)などの他のフォーマットを用いるようにしてもよい。
P1シグナリングのP1_eas_wake_upが、緊急警報が存在することを示す場合、8ビットのL1B_eas_codeが記述される。L1B_eas_codeは、緊急警報のコード情報を表す。
2ビットのL1D_num_subframesは、サブフレームの数を表す。このL1D_num_subframesが示す数に応じたサブフレームループ内には、L1D_fft_size,L1D_guard_interval,L1D_scattered_pilot_pattern,L1D_pilot_pattern_boost,L1D_num_ofdm_symbols,L1D_bs_first,L1D_bs_last,L1D_fcs_null_cellsが記述される。
これらのパラメータは、サブフレームごとに指定できるため、サブフレームごとに、変調パラメータを変更することができる。
これらのパラメータのうち、例えば、2ビットのL1D_fft_sizeは、対象のサブフレームのFFTサイズを表す。また、例えば、2ビットのL1D_guard_intervalと、5ビットのL1D_scattered_pilot_patternは、対象のサブフレームのガードインターバルとパイロットパターンを表している。
2ビットのL1D_num_layers_plpは、PLP(Physical Layer Pipe)の階層の数を表す。このL1D_num_layers_plpが示す数に応じたPLPループ内には、L1D_plp_id,L1D_plp_lls_flag,L1D_plp_start,L1D_plp_size,L1D_plp_mod,L1D_plp_cod,L1D_plp_type,L1D_plp_TI_num_ti_blocks,L1D_plp_TI_num_fec_blocks_maxが記述される。
これらのパラメータを各サブフレームのPLPごとに指定できるため、サブフレーム内のPLPごとに、変調パラメータを変更することができる。
これらのパラメータのうち、例えば、4ビットのL1D_plp_idは、対象のPLPのIDを表す。また、例えば、4ビットのL1D_plp_modと、4ビットのL1D_plp_codと、1ビットのL1D_plp_typeは、対象のPLPの変調方式と、符号化率と、タイプをそれぞれ表している。
PLPループとサブフレームループを抜けると、L1D_reservedと、L1D_crcが記述される。L1D_reservedは、将来の拡張の領域を表す。32ビットのL1D_crcは、エラー検出のパリティを表す。
(L1Dシグナリングの第2の例)
図49は、時分割多重化方式(TDM)の場合のL1Dシグナリングのシンタックスの第2の例を示す図である。
図49のL1Dシグナリングは、図5に示したサブフレームに未対応の物理層フレームのP2シンボルのP2シグナリングに相当している。したがって、図49のL1Dシグナリングでは、図48のL1Dシグナリングと比べて、サブフレームループの記述が削除されている。
すなわち、図49のL1Dシグナリングでは、L1BシグナリングのL1B_num_layersが示す数に応じた階層ループ内に、次のパラメータが記述される。
すなわち、この階層ループ内には、L1D_fft_size,L1D_guard_interval,L1D_scattered_pilot_pattern,L1D_pilot_pattern_boost,L1D_num_ofdm_symbols,L1D_bs_first,L1D_bs_last,L1D_fcs_null_cells,L1D_plp_id,L1D_plp_lls_flag,L1D_plp_start,L1D_plp_size,L1D_plp_mod,L1D_plp_cod,L1D_plp_type,L1D_plp_TI_num_ti_blocks,L1D_plp_TI_num_fec_blocks_maxが記述される。
これらのパラメータは、図48のL1Dシグナリングのパラメータと重複しているため、ここでは、その説明は省略する。
(2b)周波数分割多重化方式(FDM)
(L1Dシグナリングの第1の例)
第1の例では、単一のL1Dシグナリングに、階層Aと階層Bの階層(FDM階層)ごとに固有の情報と、階層Aと階層Bの階層(FDM階層)で共通の情報とが含まれるようにする。
図50は、周波数分割多重化方式(FDM)の場合のL1Dシグナリングのシンタックスの第1の例を示す図である。
図50のL1Dシグナリングには、階層Aと階層Bで共通の情報として、L1D_version,L1D_ntp_time,L1B_eas_code,L1D_num_ofdm_symbols,L1D_bs_present,L1D_bs_null_cells,L1D_scattered_pilot_pattern,L1D_scattered_pilot_boost,L1D_num_layersが記述される。
また、図50のL1Dシグナリングでは、L1BシグナリングのL1B_num_layersが示す数に応じた階層ループ内に、次のパラメータが記述される。
すなわち、この階層ループ内には、L1D_numsegs,L1D_layer_id,L1D_plp_lls_flag,L1D_plp_mod,L1D_plp_cod,L1D_plp_TI_num_ti_blocks,L1D_plp_TI_num_fec_blocks_maxが記述される。そして、この階層ループ内のパラメータは、階層Aと階層Bの各階層の固有の情報として記述される。なお、6ビットのL1D_numsegsは、各階層のセグメント数を表す。
このように、図50のL1Dシグナリングには、階層Aと階層Bの各階層で固有の情報とともに、階層Aと階層Bの各階層で共通の情報が記述される。
(L1Dシグナリングの第2の例)
第2の例では、階層Aと階層Bの階層(FDM階層)ごとに、L1Dシグナリングを用意して、各階層に固有の情報を記述する。その際に、階層Aと階層Bの階層間で共通の情報については、いずれかの階層のL1Dシグナリングに含まれるようにし、それ以外の階層のL1Dシグナリングには含まない。すなわち、第2の例では、階層Aと階層Bで共通の情報は、階層AのL1Dシグナリングにのみ含まれる。
図51は、周波数分割多重化方式(FDM)の場合のL1Dシグナリングのシンタックスの第2の例(階層A)を示す図である。
図51のL1Dシグナリングには、階層Aの固有の情報が記述されるので、図50のL1Dシグナリングと比べて、階層ループの記述が削除され、すべての階層ではなく、階層Aについてのパラメータが記述される。
すなわち、図51のL1Dシグナリングにおいて、L1D_numsegs,L1D_layer_id,L1D_plp_lls_flag,L1D_plp_mod,L1D_plp_cod,L1D_plp_TI_num_ti_blocks,L1D_plp_TI_num_fec_blocks_maxには、階層Aに固有の情報が記述される。
また、階層Aと階層Bで共通の情報については、図51のL1Dシグナリングに記述される。すなわち、図51のL1Dシグナリングには、階層Aと階層Bで共通の情報として、L1D_version,L1D_ntp_time,L1B_eas_code,L1D_num_ofdm_symbols,L1D_bs_present,L1D_bs_null_cells,L1D_scattered_pilot_pattern,L1D_scattered_pilot_boost,L1D_num_layersが記述される。
このように、図51のL1Dシグナリングには、階層Aに固有の情報とともに、階層Aと階層Bの各階層で共通の情報が記述される。
図52は、周波数分割多重化方式(FDM)の場合のL1Dシグナリングのシンタックスの第2の例(階層B)を示す図である。
図52のL1Dシグナリングにおいて、L1D_numsegs,L1D_layer_id,L1D_plp_lls_flag,L1D_plp_mod,L1D_plp_cod,L1D_plp_TI_num_ti_blocks,L1D_plp_TI_num_fec_blocks_maxには、階層Bに固有の情報が記述される。
なお、上述したように、階層Aと階層Bで共通の情報については、階層AのL1Dシグナリング(図51)に記述されるため、階層BのL1Dシグナリング(図52)への記述は不要である。
このように、図52のL1Dシグナリングには、階層Bに固有な情報のみが記述される。
(L1Dシグナリングの第3の例)
第3の例では、階層Aと階層Bの階層(FDM階層)ごとに、L1Dシグナリングを用意して、各階層に固有の情報を記述する。その際に、階層Aと階層B等の階層間で共通の情報については、すべての階層のL1Dシグナリングに含まれるようにする。すなわち、第3の例では、階層Aと階層Bで共通の情報は、階層AのL1Dシグナリングと、階層BのL1Dシグナリングの両方に含まれる。
図53は、周波数分割多重化方式(FDM)の場合のL1Dシグナリングのシンタックスの第3の例(階層A)を示す図である。
図53のL1Dシグナリングにおいて、L1D_numsegs,L1D_layer_id,L1D_plp_lls_flag,L1D_plp_mod,L1D_plp_cod,L1D_plp_TI_num_ti_blocks,L1D_plp_TI_num_fec_blocks_maxには、階層Aに固有の情報が記述される。
また、図53のL1Dシグナリングには、階層Aと階層Bで共通の情報として、L1D_version,L1D_ntp_time,L1B_eas_code,L1D_num_ofdm_symbols,L1D_bs_present,L1D_bs_null_cells,L1D_scattered_pilot_pattern,L1D_scattered_pilot_boost,L1D_num_layersが記述される。
このように、図53のL1Dシグナリングには、階層Aに固有の情報とともに、階層Aと階層Bの各階層で共通の情報が記述される。
図54は、周波数分割多重化方式(FDM)の場合のL1Dシグナリングのシンタックスの第3の例(階層B)を示す図である。
図54のL1Dシグナリングにおいて、L1D_numsegs,L1D_layer_id,L1D_plp_lls_flag,L1D_plp_mod,L1D_plp_cod,L1D_plp_TI_num_ti_blocks,L1D_plp_TI_num_fec_blocks_maxには、階層Bに固有の情報が記述される。
また、図54のL1Dシグナリングには、階層Aと階層Bで共通の情報として、L1D_version,L1D_ntp_time,L1B_eas_code,L1D_num_ofdm_symbols,L1D_bs_present,L1D_bs_null_cells,L1D_scattered_pilot_pattern,L1D_scattered_pilot_boost,L1D_num_layersが記述される。
このように、図54のL1Dシグナリングには、階層Bに固有の情報とともに、階層Aと階層Bの各階層で共通の情報が記述される。
(2c)階層分割多重化方式(LDM)
(L1Dシグナリングの第1の例)
第1の例では、単一のL1Dシグナリングに、階層kと階層k+1の階層(LDM階層)ごとに固有の情報と、階層kと階層k+1の階層(LDM階層)で共通の情報とが含まれるようにする。
図55は、階層分割多重化方式(LDM)の場合のL1Dシグナリングのシンタックスの第1の例を示す図である。
図55のL1Dシグナリングには、階層kと階層k+1で共通の情報として、L1D_version,L1D_ntp_time,L1B_eas_code,L1D_num_ofdm_symbols,L1D_bs_present,L1D_bs_null_cells,L1D_scattered_pilot_pattern,L1D_scattered_pilot_boost,L1D_num_layersが記述される。
また、図55のL1Dシグナリングでは、L1BシグナリングのL1B_num_layersが示す数に応じた階層ループ内に、次のパラメータが記述される。
すなわち、この階層ループ内には、L1D_layer_id,L1D_plp_lls_flag,L1D_plp_mod,L1D_plp_cod,L1D_plp_TI_num_ti_blocks,L1D_plp_TI_num_fec_blocks_maxが記述される。そして、この階層ループ内のパラメータは、階層kと階層k+1の各階層の固有の情報として記述される。
このように、図55のL1Dシグナリングには、階層kと階層k+1の各階層で固有の情報とともに、階層kと階層k+1の各階層で共通の情報が記述される。
(L1Dシグナリングの第2の例)
第2の例では、階層kと階層k+1の階層(LDM階層)ごとに、L1Dシグナリングを用意して、各階層に固有の情報を記述する。その際に、階層kと階層k+1の階層間で共通の情報については、いずれかの階層のL1Dシグナリングに含まれるようにし、それ以外の階層のL1Dシグナリングには含まない。すなわち、第2の例では、階層kと階層k+1で共通の情報は、階層kのL1Dシグナリングにのみ含まれる。
図56は、階層分割多重化方式(LDM)の場合のL1Dシグナリングのシンタックスの第2の例(階層k)を示す図である。
図56のL1Dシグナリングには、階層kの固有の情報が記述されるので、図55のL1Dシグナリングと比べて、階層ループの記述が削除され、すべての階層ではなく、階層kについてのパラメータが記述される。
すなわち、図56のL1Dシグナリングにおいて、L1D_layer_id,L1D_plp_lls_flag,L1D_plp_mod,L1D_plp_cod,L1D_plp_TI_num_ti_blocks,L1D_plp_TI_num_fec_blocks_maxには、階層kに固有の情報が記述される。
また、階層kと階層k+1で共通の情報については、図56のL1Dシグナリングに記述される。すなわち、図56のL1Dシグナリングには、階層kと階層k+1で共通の情報として、L1D_version,L1D_ntp_time,L1B_eas_code,L1D_num_ofdm_symbols,L1D_bs_present,L1D_bs_null_cells,L1D_scattered_pilot_pattern,L1D_scattered_pilot_boost,L1D_num_layersが記述される。
このように、図56のL1Dシグナリングには、階層kに固有の情報とともに、階層kと階層k+1の各階層で共通の情報が記述される。
図57は、階層分割多重化方式(LDM)の場合のL1Dシグナリングのシンタックスの第2の例(階層k+1)を示す図である。
図57のL1Dシグナリングにおいて、L1D_layer_id,L1D_plp_lls_flag,L1D_plp_mod,L1D_plp_cod,L1D_plp_TI_num_ti_blocks,L1D_plp_TI_num_fec_blocks_maxには、階層k+1に固有の情報が記述される。
なお、上述したように、階層kと階層k+1で共通の情報については、階層kのL1Dシグナリング(図56)に記述されるため、階層k+1のL1Dシグナリング(図57)への記述は不要である。
このように、図57のL1Dシグナリングには、階層k+1に固有な情報のみが記述される。
(L1Dシグナリングの第3の例)
第3の例では、階層kと階層k+1の階層(LDM階層)ごとに、L1Dシグナリングを用意して、各階層に固有の情報を記述する。その際に、階層kと階層k+1等の階層間で共通の情報については、すべての階層のL1Dシグナリングに含まれるようにする。すなわち、第3の例では、階層kと階層k+1で共通の情報は、階層kのL1Dシグナリングと、階層k+1のL1Dシグナリングの両方に含まれる。
図58は、階層分割多重化方式(LDM)の場合のL1Dシグナリングのシンタックスの第3の例(階層k)を示す図である。
図58のL1Dシグナリングにおいて、L1D_layer_id,L1D_plp_lls_flag,L1D_plp_mod,L1D_plp_cod,L1D_plp_TI_num_ti_blocks,L1D_plp_TI_num_fec_blocks_maxには、階層kに固有の情報が記述される。
また、図58のL1Dシグナリングには、階層kと階層k+1で共通の情報として、L1D_version,L1D_ntp_time,L1B_eas_code,L1D_num_ofdm_symbols,L1D_bs_present,L1D_bs_null_cells,L1D_scattered_pilot_pattern,L1D_scattered_pilot_boost,L1D_num_layersが記述される。
このように、図58のL1Dシグナリングには、階層kに固有の情報とともに、階層kと階層k+1の各階層で共通の情報が記述される。
図59は、階層分割多重化方式(LDM)の場合のL1Dシグナリングのシンタックスの第3の例(階層k+1)を示す図である。
図59のL1Dシグナリングにおいて、L1D_layer_id,L1D_plp_lls_flag,L1D_plp_mod,L1D_plp_cod,L1D_plp_TI_num_ti_blocks,L1D_plp_TI_num_fec_blocks_maxには、階層k+1に固有の情報が記述される。
また、図59のL1Dシグナリングには、階層kと階層k+1で共通の情報として、L1D_version,L1D_ntp_time,L1B_eas_code,L1D_num_ofdm_symbols,L1D_bs_present,L1D_bs_null_cells,L1D_scattered_pilot_pattern,L1D_scattered_pilot_boost,L1D_num_layersが記述される。
このように、図59のL1Dシグナリングには、階層k+1に固有の情報とともに、階層kと階層k+1の各階層で共通の情報が記述される。
<6.第2の解決手法>
上述したように、現行のISDB-Tなど、周波数分割多重化方式(FDM)を採用した場合、物理層フレームにおいて、TMCC情報等のL1シグナリングが分散して配置されているため、受信装置30では、同期をとるために必ず1フレームは要するという課題があったが、本技術では、この課題を、第2の解決手法により解決する。
(シグナリングの集中配置の例)
図60は、本技術を適用した物理層フレームにおけるL1シグナリングの集中配置の例を示す図である。
なお、図60においては、図60Bに、本技術を適用した物理層フレームの構成を示すとともに、比較のために、図60Aに、現行のISDB-Tの物理層フレームの構成を示している。
図60Aにおいて、横方向は、サブキャリアの番号(キャリア番号)を表す周波数軸であり、縦方向は、OFDMシンボルの番号(OFDMシンボル番号)を表す時間軸である。
ここで、ISDB-Tでは、OFDMのサブキャリアの間隔が異なるモード1,2,3の3つの伝送モードが規定されている。また、ISDB-Tでは、サブキャリアの変調方式として、QPSK(Quaternary Phase Shift Keying),16QAM(Quadrature Amplitude Modulation),64QAM,及び、DQPSK(Differential QPSK)の4つの変調方式が規定されている。
図60Aは、伝送モードがモード1で、変調方式がQPSK,16QAM,64QAMのOFDMセグメントの構成を示している。図60Aにおいては、204個のOFDMシンボルにより、1個のOFDMフレームが構成されている。
図60Aにおいて、Si,jは、上位層のデータで変調されたサブキャリアのデータシンボル(キャリアシンボル)を表し、OFDMセグメントは、データシンボルに、パイロット信号であるSP(Scattered Pilot)や、TMCC信号、AC(Auxiliary Channel)信号の各シンボル(サブキャリア)が付加されて構成される。
TMCC信号は、シグナリング(制御情報)としてのTMCC情報を伝送するための信号であり、AC信号は、放送に関する付加情報を伝送するための拡張用信号である。このAC信号では、緊急警報情報などのAC情報を伝送することができる。すなわち、TMCC情報とAC情報は、L1シグナリングであると言える。
なお、現行のISDB-TのOFDMセグメントの構成については、上記の非特許文献1の「3.12 フレーム構成」などに記載されている。
図60Aに示すように、現行のISDB-Tの物理層フレームにおいては、TMCC情報やAC情報などのL1シグナリングが、時間方向に配置され、1つの物理層フレーム単位で構成されている。換言すれば、現行のISDB-Tの物理層フレームでは、L1シグナリングが分散して配置されている。そのため、受信装置30では、L1シグナリングを取得するまでに少なくとも、1つの物理層フレームを処理しなければならず、同期をとるために、必ず1つの物理層フレームのフレーム長(の時間)を要していた。
一方で、本技術を適用した物理層フレームは、図60Bに示した構成からなる。
図60Bにおいては、図中の左側から右側に向かう方向を周波数(Freq)の方向とし、図中の上側から下側に向かう方向を時間(Time)の方向としたときにおける、周波数分割多重化方式(FDM)を用いた場合の物理層フレームの構成を表している。
図60Bにおいて、物理層フレームの先頭には、フレーム同期シンボル(FSS)が挿入され、さらに、それに続いて、P1シンボル(P1)が挿入される。
また、周波数分割多重化方式(FDM)を用いる場合には、所定の周波数帯域(例えば6MHz)が、複数のセグメントに周波数分割され、階層Aと階層Bの階層ごとに、P2シンボル(P2)、データシンボル、及びバウンダリシンボル(BS)が配置される。
このとき、図60Bの枠内に示すように、1つの物理層フレームにおいて、その先頭から順に、フレーム同期シンボル(FSS)と、P1シンボル(P1)と、P2シンボル(P2)が配置されている。ここで、P1シンボルには、P1シグナリングが含まれる。また、P2シンボルには、L1BシグナリングやL1Dシグナリング等のP2シグナリングが含まれる。
すなわち、P1シンボルやP2シンボルに含まれるL1シグナリングが、物理層フレームの先頭に集中して配置されている。そのため、受信装置30では、物理層フレームを処理する際に、その先頭に集中して配置されているL1シグナリングを迅速に取得して、同期をとるまでの時間を短縮することができる。
ここでは、例えば、1つの物理層フレームのフレーム長の約半分の時間で、L1シグナリングを取得することが可能となり、その結果として、必ず1つの物理層フレームのフレーム長(の時間)を要していた現行のISDB-Tの物理層フレームと比べて、同期をとるまでの時間を短縮することができる。
なお、図60Bの物理層フレームの構成は、上述した図8の周波数分割多重化方式(FDM)を用いた場合の物理層フレームの構成に対応している。また、ここでは、周波数分割多重化方式(FDM)について述べたが、図5や図6、図9に示したように、時分割多重化方式(TDM)を用いた場合の物理層フレームや、階層分割多重化方式(LDM)を用いた場合の物理層フレームでも、その先頭にL1シグナリングが集中して配置されている。
以上、第2の解決手法について説明した。
<7.第3の解決手法>
上述したように、現状の技術では、物理層フレームのペイロード(Payload)は、周波数分割多重化方式(FDM)又は階層分割多重化方式(LDM)を適用して、FDM化又はLDM化することは可能であるが、フレーム同期シンボル(FSS)やプリアンブル(Preamble)は、FDM化又はLDM化することができないという課題があったが、本技術では、この課題を、第3の解決手法により解決する。
(FDMとLDMの場合のFSS,P1,P2の配置の例)
図61は、周波数分割多重化方式(FDM)と、階層分割多重化方式(LDM)のフレーム同期シンボル(FSS)、P1シンボル(P1)、及びP2シンボル(P2)の配置の例を示す図である。
なお、図61においては、図61Aに、周波数分割多重化方式(FDM)を用いた場合の物理層フレームの構成を示し、図61Bに、階層分割多重化方式(LDM)を用いた場合の物理層フレームの構成を示している。
図61Aにおいて、物理層フレームの先頭には、フレーム同期シンボル(FSS)が挿入され、さらに、それに続いて、P1シンボル(P1)が挿入される。
また、周波数分割多重化方式(FDM)を用いる場合には、所定の周波数帯域(例えば6MHz)が、複数のセグメントに周波数分割され、階層Aと階層Bの階層(FDM階層)ごとに、P2シンボル(P2)、データシンボル(Frame)、及びバウンダリシンボル(BS)が配置される。
このとき、図61Aの枠内に示すように、P2シンボルは、そこに配置されるデータを分けることで、階層Aと階層Bの階層ごとに配置されている。そのため、図61Aに示した物理層フレームでは、データシンボルやバウンダリシンボルのみならず、P2シンボル等のプリアンブルをFDM化することができる。
一方で、図61Bにおいて、物理層フレームの先頭には、フレーム同期シンボル(FSS)が挿入され、さらに、それに続いてP1シンボル(P1)が挿入される。
また、階層分割多重化方式(LDM)を用いる場合には、異なる送信電力となる階層(LDM階層)ごとに、P2シンボル(P2)、データシンボル(Frame)、及びバウンダリシンボル(BS)が配置される。
このとき、図61Bの枠内に示すように、P2シンボルは、階層kと階層k+1の階層(LDM階層)ごとに配置されている。そのため、図61Bに示した物理層フレームでは、データシンボルやバウンダリシンボルのみならず、P2シンボル等のプリアンブルをLDM化することができる。
このように、第3の解決手法では、周波数分割多重化方式(FDM)又は階層分割多重化方式(LDM)を用いる場合に、データシンボルやバウンダリシンボルのみならず、P2シンボル等のプリアンブルを、FDM化又はLDM化することができる。
なお、図61Aの物理層フレームの構成は、上述した図7の周波数分割多重化方式(FDM)の場合の物理層フレームの構成に対応し、図61Bの物理層フレームの構成は、上述した図9の階層分割多重化方式(LDM)の場合の物理層フレームの構成に対応している。
以上、第3の解決手法について説明した。
<8.受信装置の動作>
次に、図62乃至図66を参照して、図1の受信装置30の動作について説明する。
(1)時分割多重化方式(TDM)の物理層フレームの処理
(フレーム処理例)
図62は、時分割多重化方式(TDM)の場合の物理層フレームに対する受信側の処理を説明する図である。
図62に示すように、時分割多重化方式(TDM)を用いる場合、物理層フレームの先頭から、フレーム同期シンボル(FSS)と、P1シンボル(P1)と、P2シンボル(P2)が順に配置される。また、図62の例では、物理層フレームが、サブフレームに対応しているため、P2シンボル(P2)に続いて、サブフレームnと、サブフレームn+1の2つのサブフレームが配置されている。
ここで、受信装置30では、フレーム同期シンボル(FSS)により物理層フレームの先頭を認識し、P1シンボルの情報(P1シグナリング)を取得することができる。また、受信装置30では、P1シグナリングの情報を用いて、物理層フレームから、P2シンボルの情報(P2シグナリング)を抽出し、さらに、データシンボルを抽出することができる。
また、2以上のサブフレームが配置される場合には、サブフレームごとに、変調パラメータの変更が可能であるが、L1Dシグナリングには、サブフレームごとの変調パラメータの情報が含まれている。そのため、受信装置30では、L1Dシグナリングの情報(例えば、図48のL1Dシグナリングのサブフレームループ内の情報)を用いて、物理層フレームから、各サブフレームのデータシンボルを抽出することができる。
なお、受信装置30では、L1Dシグナリングの情報を用い、物理層フレームから、図62の枠内のサブフレームnのデータシンボルを選択的に抽出することもできる。
(2)周波数分割多重化方式(FDM)の物理層フレームの処理
(フレーム処理例)
図63は、周波数分割多重化方式(FDM)の場合の物理層フレームに対する受信側の処理を説明する図である。
図63に示すように、周波数分割多重化方式(FDM)を用いる場合、物理層フレームの先頭から、フレーム同期シンボル(FSS)とP1シンボル(P1)が順に配置され、さらに、階層Aや階層Bの階層(FDM階層)ごとに、P2シンボル(P2)と、データシンボル(Frame)と、バウンダリシンボル(BS)が配置される。
ここで、受信装置30が、チャネルに割り当てられた所定の周波数帯域(例えば6MHz)の全帯域を受信する場合、フレーム同期シンボル(FSS)により物理層フレームの先頭を認識し、P1シンボルの情報(P1シグナリング)を取得することができる。また、受信装置30では、P1シグナリングの情報を用いて、物理層フレームから、P2シンボルの情報(P2シグナリング)を抽出し、さらに、データシンボルを抽出することができる。
また、受信装置30が、所定の周波数帯域のうち、階層A(Layer A)に対応した部分帯域を受信する場合には、図63の枠内の周波数帯域を受信することになる。ここで、図64には、図63の物理層フレームの構成の詳細を示している。すなわち、図64においては、階層Aと階層Bの階層ごとのP2シンボル、データシンボル、及びバウンダリシンボルが、セグメント単位で表されている。
図64において、階層Aと階層Bの各階層は、複数のセグメントで構成されるが、例えば、総セグメント数は、35セグメントとされ、中央のセグメントを含む階層Aは、中央の9セグメントとすることができる。つまり、受信装置30が、階層Aに対応した部分帯域を受信する場合、中央の9セグメント分の周波数帯域のみを受信することになる。
この場合において、受信装置30は、十分にロバストなフレーム同期シンボル(FSS)により、物理層フレームの先頭を認識し、P1シンボルの情報(P1シグナリング)を取得することができる。また、受信装置30は、P1シグナリングの情報(例えば、図31のP1_P2_waveform_structure)から、階層Aのセグメント数(例えば、9セグメント)を認識することができる。
そのため、受信装置30では、P1シグナリングの情報を用いて、中央の9セグメントからなる階層Aに対応した部分帯域から、P2シンボルの情報(P2シグナリング)を抽出し、さらに、データシンボルを抽出することができる。
なお、例えば、図65において、総セグメント数が35セグメントの場合に、中央の7セグメントを、階層Aとしたときであっても、受信装置30は、中央の9セグメント分の周波数帯域を、部分帯域として受信することで、P1シグナリングの情報を用いて、P2シグナリングを抽出し、さらに、データシンボルを抽出することができる。
(3)階層分割多重化方式(LDM)の物理層フレームの処理
(フレーム処理例)
図66は、階層分割多重化方式(LDM)の場合の物理層フレームに対する受信側の処理を説明する図である。
図66に示すように、階層分割多重化方式(LDM)を用いる場合、物理層フレームの先頭から、フレーム同期シンボル(FSS)とP1シンボル(P1)が順に配置され、さらに、P2シンボル(P2)と、データシンボル(Frame)と、バウンダリシンボル(BS)が順に配置される。ただし、P2シンボル(P2)と、データシンボル(Frame)と、バウンダリシンボル(BS)は、階層kや階層k+1の階層(LDM階層)ごとに配置される。
ここで、受信装置30では、フレーム同期シンボル(FSS)により物理層フレームの先頭を認識し、P1シンボルの情報(P1シグナリング)を取得することができる。また、受信装置30では、P1シグナリングの情報を用いて、階層kや階層k+1の階層ごとに、P2シンボルの情報(P2シグナリング)を抽出し、さらに、データシンボルを抽出することができる。
なお、受信装置30では、L1シグナリングの情報を用い、物理層フレームから、図66の枠内の階層(LDM階層)の一部を選択的に抽出することもできる。
<9.各解決手法に対応した処理の流れ>
次に、図67乃至図71のフローチャートを参照して、上述した第1の解決手法乃至第3の解決手法に対応した送信側と受信側の処理の流れについて説明する。
(第1の解決手法に対応する処理)
まず、図67及び図68のフローチャートを参照して、第1の解決手法に対応する送信側と受信側の処理の流れについて説明する。ただし、上述したように、第1の解決手法としては、異なる同期パターンを利用した同期パターン解決手法と、P1シグナリングを利用したP1シグナリング解決手法の2通りがあるので、順に説明する。
(同期パターン解決手法に対応する処理)
図67のフローチャートを参照して、同期パターン解決手法に対応する送信側と受信側の処理の流れについて説明する。
ステップS11において、データ処理装置10のコンポーネント処理部111乃至データ処理部114は、ストリームを生成する。
このステップS11の処理では、マルチプレクサ13によって、コンポーネント処理部111からのコンポーネントのストリームと、シグナリング生成部112からの上位層のシグナリングのストリームとが多重化される。そして、データ処理部114によって、多重化の結果得られるストリームが処理され、伝送データのストリームが生成される。
ステップS12において、送信装置20のデータ処理部211は、ステップS11の処理で得られるストリームを処理することで、物理層フレームを生成する。
このステップS12の処理では、上述した同期パターン解決手法によって、多重化の方式(FDM,TDM,LDM)ごとに、共通のフレーム同期シンボル(FSS)で、異なる同期パターン(例えば、図28の同期パターン)となるように、物理層フレームが生成される。
ステップS13において、送信装置20の変調部212は、ステップS12の処理で得られる物理層フレームに対し、必要な処理を施して、その結果得られる放送信号を、送信所に設置された送信用アンテナから送信する。
ステップS21において、受信装置30のRF部311は、送信所に設置された送信用アンテナから送信されてくる放送信号を受信する。
ステップS22において、受信装置30の復調部312は、ステップS21の処理で受信された放送信号から得られる物理層フレームを処理する。
このステップS22の処理では、上述した同期パターン解決手法によって、共通のフレーム同期シンボル(FSS)で、異なる同期パターン(例えば、図28の同期パターン)に基づいて、多重化の方式(FDM,TDM,LDM)を判別し、その判別結果に応じて物理層フレームを処理することで、伝送データのストリームが得られる。
ステップS23において、受信装置30のデータ処理部313は、ステップS22の処理で得られるストリームを処理する。
このステップS23の処理では、伝送データのストリームを処理することで、上位層のシグナリングやコンポーネントのストリームが得られる。そして、上位層のシグナリングやコンポーネントのストリームが処理されることで、放送番組等のコンテンツが再生される。
以上、同期パターン解決手法に対応する処理の流れを説明した。
(P1シグナリング解決手法に対応する処理)
図68のフローチャートを参照して、P1シグナリング解決手法に対応する送信側と受信側の処理の流れについて説明する。
なお、図68において、送信側のステップS31,S33の処理と、受信側のステップS41,S43の処理は、上述した図67のステップS11,S13の処理と、図67のステップS21,S23の処理と同様であるため、その説明は省略する。
送信側のステップS32において、送信装置20のデータ処理部211は、ステップS31の処理で得られるストリームを処理することで、物理層フレームを生成する。
このステップS32の処理では、上述したP1シグナリング解決手法によって、多重化の方式(FDM,TDM,LDM)を判別する判別情報(例えば、図37,図39,図41のP1_Frame_Multiplexing)を記述したP1シグナリングを含む物理層フレームが生成される。ただし、この物理フレームにおいては、共通のフレーム同期シンボル(FSS)で、同一の同期パターンとなる。
一方で、受信側のステップS42において、受信装置30の復調部312は、ステップS41の処理で受信された放送信号から得られる物理層フレームを処理する。
このステップS42の処理では、上述したP1シグナリング解決手法によって、P1シグナリングに記述された判別情報(例えば、図37,図39,図41のP1_Frame_Multiplexing)に基づいて、多重化の方式(FDM,TDM,LDM)を判別し、その判別結果に応じて物理層フレームを処理することで、伝送データのストリームが得られる。
以上、P1シグナリング解決手法に対応する処理の流れを説明した。
(第2の解決手法に対応する処理)
次に、図69のフローチャートを参照して、第2の解決手法に対応する送信側と受信側の処理の流れについて説明する。
ステップS51においては、図67のステップS11の処理と同様に、データ処理装置10のコンポーネント処理部111乃至データ処理部114によって、ストリームが生成される。
ステップS52において、送信装置20のデータ処理部211は、ステップS51の処理で得られるストリームを処理することで、物理層フレームを生成する。
このステップS52の処理では、上述した第2の解決手法によって、L1BシグナリングやL1Dシグナリング等のL1シグナリングが先頭(先頭側)に集中して配置されるように、物理層フレーム(例えば、図60Bの物理層フレーム)が生成される。
ステップS53においては、図67のステップS13の処理と同様に、送信装置20の変調部212によって、放送信号が送信される。ステップS61においては、図67のステップS21と同様に、受信装置30のRF部311によって、放送信号が受信される。
ステップS62において、受信装置30の復調部312は、ステップS61の処理で受信された放送信号から得られる物理層フレームを処理する。
このステップS62の処理では、上述した第2の解決手法によって、物理層フレーム(例えば、図60Bの物理層フレーム)の先頭(先頭側)に集中して配置されているL1シグナリングを取得し、物理層フレームを処理することで、伝送データのストリームが得られる。
ステップS63においては、図67のステップS23と同様に、受信装置30のデータ処理部313によって、ストリームが処理される。
以上、第2の解決手法に対応する処理の流れを説明した。
(第3の解決手法に対応する処理)
最後に、図70及び図71のフローチャートを参照して、上述した第3の解決手法に対応する送信側と受信側の処理の流れについて説明する。ただし、上述したように、第3の解決手法としては、周波数分割多重化方式(FDM)への対応と、階層分割多重化方式(LDM)への対応の2通りの解決手法があるので、順に説明する。
(FDM対応処理)
図70のフローチャートを参照して、FDM対応の第3の解決手法に対応する送信側と受信側の処理の流れについて説明する。
ステップS71においては、図67のステップS11の処理と同様に、データ処理装置10のコンポーネント処理部111乃至データ処理部114によって、ストリームが生成される。
ステップS72において、送信装置20のデータ処理部211は、ステップS71の処理で得られるストリームを処理することで、物理層フレームを生成する。
このステップS72の処理では、上述したFDM対応の第3の解決手法によって、P2シンボル(のP2シグナリング)を、階層Aや階層Bの階層(FDM階層)ごとに配置してFDM化することで、物理層フレーム(例えば、図61Aの物理層フレーム)が生成される。
ステップS73においては、図67のステップS13の処理と同様に、送信装置20の変調部212によって、放送信号が送信される。ステップS81においては、図67のステップS21と同様に、受信装置30のRF部311によって、放送信号が受信される。
ステップS82において、受信装置30の復調部312は、ステップS81の処理で受信された放送信号から得られる物理層フレームを処理する。
ステップS82の処理では、上述したFDM対応の第3の解決手法によって、物理層フレーム(例えば、図61Aの物理層フレーム)にてFDM化されたP2シンボルから、P2シグナリング(L1BシグナリングやL1Dシグナリング)を取得し、物理層フレームを処理することで、伝送データのストリームが得られる。
ステップS83においては、図67のステップS23と同様に、受信装置30のデータ処理部313によって、ストリームが処理される。
以上、FDM対応の第3の解決手法に対応する処理の流れを説明した。
(LDM対応処理)
図71のフローチャートを参照して、LDM対応の第3の解決手法に対応する送信側と受信側の処理の流れについて説明する。
なお、図71において、送信側のステップS91,S93の処理と、受信側のステップS101,S103の処理は、上述した図70のステップS71,S73の処理と、図70のステップS81,S83の処理と同様であるため、その説明は省略する。
送信側のステップS92において、送信装置20のデータ処理部211は、ステップS91の処理で得られるストリームを処理することで、物理層フレームを生成する。
このステップS92の処理では、上述したLDM対応の第3の解決手法によって、P2シンボル(のP2シグナリング)を、階層kや階層k+1の階層(LDM階層)ごとに配置してLDM化することで、物理層フレーム(例えば、図61Bの物理層フレーム)が生成される。
一方で、受信側のステップS102において、受信装置30の復調部312は、ステップS101の処理で受信された放送信号から得られる物理層フレームを処理する。
ステップS102の処理では、上述したLDM対応の第3の解決手法によって、物理層フレーム(例えば、図61Bの物理層フレーム)にてLDM化されたP2シンボルから、P2シグナリング(L1BシグナリングやL1Dシグナリング)を取得し、物理層フレームを処理することで、伝送データのストリームが得られる。
以上、LDM対応の第3の解決手法に対応する処理の流れを説明した。
<10.変形例>
(解決手法の組み合わせ)
上述した説明では、第1の解決手法乃至第3の解決手法の各解決手法を別個に説明したが、2以上の解決手法を組み合わせることもできる。
例えば、第1の解決手法と第2の解決手法とを組み合わせて、物理層フレームにおいて、共通のフレーム同期シンボル(FSS)で、同一の同期パターンを用いる際に、その先頭に、L1シグナリングを集中して配置することも可能である。これにより、受信装置30では、物理層フレームの処理時に、多重化の方式を判別できるだけでなく、同時に、同期をとるまでの時間を短縮することが可能となる。
また、例えば、第1の解決手法と第3の解決手法とを組み合わせて、物理層フレームにおいて、PIシグナリングの情報として、多重化の方式を判別するための判別情報を含めるとともに、階層(FDM階層又はLDM階層)ごとに、P2シンボルを配置することも可能である。これにより、受信装置30において、物理層フレームの処理時に、多重化の方式を判別できるだけでなく、物理層フレームのプリアンブルを、FDM化又はLDM化することができる。
(他の多重化方式)
また、上述した説明では、多重化の方式として、周波数分割多重化方式(FDM)、時分割多重化方式(TDM)、及び階層分割多重化方式(LDM)の3つの多重化の方式を例示したが、例えば、階層時分割多重化方式(LDM_TDM)や階層周波数分割多重化方式(LDM_FDM)など、他の多重化の方式が含まれるようにしてもよい。また、多重化の方式は、周波数分割多重化方式(FDM)、時分割多重化方式(TDM)、及び階層分割多重化方式(LDM)の3つの多重化の方式に限らず、2以上の多重化の方式であれば、いずれの方式であってもよい。
(他の放送方式への適用)
上述した説明としては、デジタルテレビ放送の規格として、日本等で採用されている方式であるISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)を中心に説明したが、本技術は、米国等が採用する方式であるATSC(Advanced Television Systems Committee)や、欧州の各国等が採用する方式であるDVB(Digital Video Broadcasting)などに適用するようにしてもよい。
すなわち、現状のATSCやDVBにおいても、複数の多重化の方式(例えば、FDM,TDM,LDMなど)を、同一の放送システムにより実現するための方式は規定されておらず、本技術を適用することで、複数の多重化の方式を、同一の放送システムで実現する場合に、より柔軟な運用を行うことが可能となる。また、上述した階層(FDM階層)は、概念的にはPLP(Physical Layer Pipe)として捉えることも可能である。この場合、複数階層は、M-PLP(Multiple-PLP)であるとも言える。
また、デジタルテレビ放送の規格としては、地上波放送のほか、放送衛星(BS)や通信衛星(CS)等を利用した衛星放送や、ケーブルテレビ(CATV)等の有線放送などの規格にも適用することができる。
(パケットやシグナリングの他の例)
また、上述したパケットやフレーム、シグナリング(制御情報)などの名称は、一例であって、他の名称が用いられる場合がある。ただし、これらの名称の違いは、形式的な違いであって、対象のパケットやフレーム、シグナリングなどの実質的な内容が異なるものではない。
また、本技術は、伝送路として、放送網以外の伝送路、すなわち、例えば、インターネットや電話網等の通信回線(通信網)などを利用することを想定して規定されている所定の規格(デジタル放送の規格以外の規格)などにも適用することができる。その場合には、伝送システム1(図1)の伝送路として、インターネット等の通信回線が利用され、データ処理装置10や送信装置20の機能は、インターネット上に設けられた通信サーバにより提供される。そして、当該通信サーバと、受信装置30とが、通信回線を介して双方向の通信を行うことになる。
<11.コンピュータの構成>
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。図72は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示す図である。
コンピュータ1000において、CPU(Central Processing Unit)1001、ROM(Read Only Memory)1002、RAM(Random Access Memory)1003は、バス1004により相互に接続されている。バス1004には、さらに、入出力インターフェース1005が接続されている。入出力インターフェース1005には、入力部1006、出力部1007、記録部1008、通信部1009、及び、ドライブ1010が接続されている。
入力部1006は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部1007は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記録部1008は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部1009は、ネットワークインターフェースなどよりなる。ドライブ1010は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体1011を駆動する。
以上のように構成されるコンピュータ1000では、CPU1001が、ROM1002や記録部1008に記録されているプログラムを、入出力インターフェース1005及びバス1004を介して、RAM1003にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
コンピュータ1000(CPU1001)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブル記録媒体1011に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線又は無線の伝送媒体を介して提供することができる。
コンピュータ1000では、プログラムは、リムーバブル記録媒体1011をドライブ1010に装着することにより、入出力インターフェース1005を介して、記録部1008にインストールすることができる。また、プログラムは、有線又は無線の伝送媒体を介して、通信部1009で受信し、記録部1008にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM1002や記録部1008に、あらかじめインストールしておくことができる。
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであってもよいし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであってもよい。
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
また、本技術は、以下のような構成をとることができる。
(1)
所定の多重化の方式で多重化された物理層フレームであって、多重化の方式を判別可能な判別情報を含む前記物理層フレームを生成する生成部と、
前記物理層フレームを、放送信号として送信する送信部と
を備える送信装置。
(2)
前記判別情報は、前記物理層フレームの先頭に挿入されるフレーム同期シンボルで用いられる、多重化の方式ごとに異なる同期パターンである
前記(1)に記載の送信装置。
(3)
前記判別情報は、前記物理層フレームに含まれる物理層のシグナリングの情報である
前記(1)に記載の送信装置。
(4)
前記シグナリングは、P1シンボルのP1シグナリングである
前記(3)に記載の送信装置。
(5)
前記多重化の方式は、周波数分割多重化方式(FDM)、時分割多重化方式(TDM)、及び階層分割多重化方式(LDM)のうちの少なくとも1つの方式を含んでいる
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の送信装置。
(6)
所定の多重化の方式で多重化された物理層フレームであって、多重化の方式を判別可能な判別情報を含む前記物理層フレームを生成し、
前記物理層フレームを、放送信号として送信する
ステップを含む送信方法。
(7)
放送信号を受信する受信部と、
前記放送信号から得られる物理層フレームに含まれる判別情報に基づいて、所定の多重化の方式で多重化された前記物理層フレームの多重化の方式を判別し、前記物理層フレームを処理する処理部と
を備える受信装置。
(8)
前記判別情報は、前記物理層フレームの先頭に挿入されるフレーム同期シンボルで用いられる、多重化の方式ごとに異なる同期パターンである
前記(7)に記載の受信装置。
(9)
前記判別情報は、前記物理層フレームに含まれる物理層のシグナリングの情報である
前記(7)に記載の受信装置。
(10)
前記シグナリングは、P1シンボルのP1シグナリングである
前記(9)に記載の受信装置。
(11)
前記多重化の方式は、周波数分割多重化方式(FDM)、時分割多重化方式(TDM)、及び階層分割多重化方式(LDM)のうちの少なくとも1つの方式を含んでいる
前記(7)乃至(10)のいずれかに記載の受信装置。
(12)
放送信号を受信し、
前記放送信号から得られる物理層フレームに含まれる判別情報に基づいて、所定の多重化の方式で多重化された前記物理層フレームの多重化の方式を判別し、前記物理層フレームを処理する
ステップを含む受信方法。
(13)
所定の多重化の方式で多重化された物理層フレームであって、その先頭に、物理層のシグナリングが集中して配置された前記物理層フレームを生成する生成部と、
前記物理層フレームを、放送信号として送信する送信部と
を備える送信装置。
(14)
所定の多重化の方式で多重化された物理層フレームであって、その先頭に、物理層のシグナリングが集中して配置された前記物理層フレームを生成し、
前記物理層フレームを、放送信号として送信する
ステップを含む送信方法。
(15)
放送信号を受信する受信部と、
前記放送信号から得られる物理層フレームの先頭に集中して配置された物理層のシグナリングを取得し、前記物理層フレームを処理する処理部と
を備える受信装置。
(16)
放送信号を受信し、
前記放送信号から得られる物理層フレームの先頭に集中して配置された物理層のシグナリングを取得し、前記物理層フレームを処理する
ステップを含む受信方法。
(17)
所定の多重化の方式で多重化された物理層フレームであって、階層ごとに、P2シンボルのP2シグナリングが配置された前記物理層フレームを生成する生成部と、
前記物理層フレームを、放送信号として送信する送信部と
を備える送信装置。
(18)
所定の多重化の方式で多重化された物理層フレームであって、階層ごとに、P2シンボルのP2シグナリングが配置された前記物理層フレームを生成し、
前記物理層フレームを、放送信号として送信する
ステップを含む送信方法。
(19)
放送信号を受信する受信部と、
前記放送信号から得られる物理層フレームの階層ごとに配置されたP2シンボルのP2シグナリングを取得し、前記物理層フレームを処理する処理部と
を備える受信装置。
(20)
放送信号を受信し、
前記放送信号から得られる物理層フレームの階層ごとに配置されたP2シンボルのP2シグナリングを取得し、前記物理層フレームを処理する
ステップを含む受信方法。