JP7120296B2 - 樹脂廃棄物の処理方法、及び樹脂廃棄物の処理システム - Google Patents
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Description
ところが、近年これら廃自動車シュレッダーダストに炭素繊維を使用した樹脂部材を処理する場合、排ガス処理設備の電気集塵機において炭素繊維が原因で放電を起こし、電気集塵機が停止する等セメント製造の操業に障害を引き起こすことが判明した。一般的な樹脂部材は燃焼場で加熱処理されるが、炭素繊維は上記温度帯では燃焼しないものがあり、燃焼しない炭素繊維は排ガスと共にプレヒータの中を通過していく。炭素繊維は繊維状であるため、種々の装置内や配管内に絡みつきセメント設備の操業を阻害する問題を発生し得る。特に電気集塵機の停止は深刻な事故につながる。
前記加熱・分離工程において、前記炭素繊維を含む樹脂廃棄物が800~1300℃に加熱される、樹脂廃棄物の処理方法。
[2]前記加熱・分離工程における前記加熱が、セメント製造装置のプレヒータ、仮焼炉、窯尻、及びロータリーキルンの少なくともいずれかによって行われる、[1]に記載の樹脂廃棄物の処理方法。
[3]前記回収工程のフィルター処理がバグフィルターによる処理である[1]又は[2]に記載の樹脂廃棄物の処理方法。
[4]前記フィルター処理後に電気集塵処理を施す[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂廃棄物の処理方法。
[5]前記炭素繊維を含む樹脂廃棄物が自動車シュレッダーダストである[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂廃棄物の処理方法。
[6]炭素繊維を含む樹脂廃棄物を処理する処理システムであって、加熱により前記樹脂廃棄物の樹脂部分を加熱する加熱手段と、前記加熱後に発生する前記炭素繊維を含む飛散物をフィルター処理して前記飛散物を回収する回収手段とを備え、前記加熱手段が、前記炭素繊維を含む樹脂廃棄物を800~1300℃に加熱する、樹脂廃棄物処理システム。
[7]前記回収手段がバグフィルターである[6]に記載の樹脂廃棄物処理システム。
[8]排気煙突と電気集塵機とを備えてなり、前記電気集塵機が、前記排気煙突と前記回収手段との間にある[6]又は[7]に記載の樹脂廃棄物処理システム。
まず、炭素繊維を用いた複合材料としては炭素繊維強化プラスチック、炭素繊維強化炭素複合材料などがある。炭素繊維を単独の材料として利用することは少なく、合成樹脂などの母材と組み合わせた複合材料として用いることが主である。
本発明の炭素繊維を含む樹脂廃棄物の処理方法では、樹脂部分を加熱して溶融又は燃焼させる加熱工程を含んでおり、具体的にはセメント製造装置のプレヒータ、仮焼炉、窯尻、及びロータリーキルンの加熱場又は燃焼場の少なくともいずれかに投入し、炭素繊維を含む樹脂廃棄物のうち、樹脂成分を溶融又は燃焼させ、炭素繊維を分離する。
したがって、燃焼処理後には、炭素繊維を含む飛散物が発生することになる。この飛散物は、排ガスとともに飛散し、例えば、電気集塵機に混入すると炭素繊維を介して通電してしまう問題が発生し、操業を停止せざるを得なくなることがある。また、当該飛散物が大量に飛散することで他の設備や配管内に滞留し、種々の不具合を生じることがある。
なお、本発明では、PAN系やピッチ系の炭素繊維を含む樹脂廃棄物に対して特に有効である。
また、払い落し方式としては、脈動逆圧方式、パルスジェット方式などが挙げられ、中でも好適な払い落し方式としては、パルスジェット方式である。
なお、電気集塵処理は、炭素繊維がフィルター処理により分離回収された後に行われるため、炭素繊維に起因する故障が生じることはない。
また、廃自動車シュレッダーダスト中の炭素繊維はセメント製造に適用される加熱では燃焼せずに残留するが、本発明ではそのような場合に炭素繊維に起因する不具合を防止しながら、当該炭素繊維を分離回収できる。かかる観点を考慮しても、廃自動車シュレッダーダストが好ましい。
上記粒径ごとに分ける方法としては、篩を用いる等の公知の方法を適用することができる。
脱塩処理としては、塩素含有廃棄物の水洗といった処理が挙げられる。あるいは、セメント設備の窯尻からプレヒータの最下段サイクロンまでの間で、高温ガスを抽気することで、セメント設備の中から塩素含有ダストや塩素ガスを系外に排出する脱塩処理が挙げられる。これら脱塩処理を採用すれば、廃自動車シュレッダーダストの処理量を増やすことができる。
また、飛散物をフィルター処理して分離回収した飛散物は炭素繊維を含有しているため、繊維補強コンクリート等に使用する補強繊維として再利用することができる。あるいは、回収した繊維をセメントに混合して、繊維補強コンクリート等に使用する繊維プレミックスセメントとして使用することができる。
本発明の炭素繊維を含む樹脂廃棄物の処理システムの一実施形態の概略を図1に示す。当該システムは、既述の本発明の樹脂廃棄物の処理方法を実施するのに好適である。したがって、以下で説明する各種条件は本発明の樹脂廃棄物の処理方法にも適用可能である。
以下、図面を参照して本発明の樹脂廃棄物の処理システムの処理概要の一例を説明する。なお、図1中、実線の矢印は原料の流れを示し、点線の矢印は排ガスの流れを示す。
プレヒータ12では300~900℃程度で原料が加熱されており、その後の仮焼炉12Aで800~1300℃程度で原料が加熱される。仮焼炉12Aで加熱された原料は、ロータリーキルン14内でさらに加熱処理が施される。これにより生成したクリンカはクリンカクーラ26へと運ばれ、その後粉砕されて公知のセメント製造処理が施される。
これにより、電気集塵機30には炭素繊維を含まない排ガスのみが送られ、ここでさらにダストが回収され、最終的に排気煙突32から排ガスが放出される。
ここで、電気集塵機30としては、整流方式がシリコンタイプで集塵室が3室のタイプ等を使用することができる。この電気集塵機の集塵室を通過するガス流速としては0.5~1.5m/s程度で稼働することができる。
無機系廃棄物としては、残留炭素を含む石炭灰、高炉スラグ、高炉ダスト、未燃灰等が用いられ、これらの無機系廃棄物は粘土質原料の代替品として好適である。
12・・・プレヒータ
12A・・・仮焼炉
13・・・窯尻
14・・・ロータリーキルン
16・・・樹脂廃棄物投入手段
18・・・セメント原料ストレージ
23・・・原料サイロ
28・・・飛散物回収手段
32・・・煙突
Claims (5)
- セメント製造設備において炭素繊維を含む樹脂廃棄物を処理する方法であって、
前記セメント製造設備が、プレヒータ、仮焼炉、窯尻、及びロータリーキルンの少なくともいずれかである加熱手段と、前記加熱手段で発生する排ガスの流れ方向の下流側に設けられる回収手段と、を備え、
前記加熱手段に前記樹脂廃棄物が投入され、前記加熱手段において前記樹脂廃棄物の樹脂部分が加熱されて、前記樹脂成分の一部または全部が燃焼する加熱工程と、
前記加熱工程を経て発生する前記炭素繊維を含む飛散物が、前記排ガスの流れとともに前記回収手段に搬送され、前記回収手段においてバグフィルターにより処理されて前記飛散物を前記排ガスから回収する回収工程とを含む樹脂廃棄物の処理方法。 - 前記フィルター処理後に電気集塵処理を施す請求項1に記載の樹脂廃棄物の処理方法。
- 前記炭素繊維を含む樹脂廃棄物が自動車シュレッダーダストである請求項1又は2に記載の樹脂廃棄物の処理方法。
- セメント製造設備において炭素繊維を含む樹脂廃棄物を処理する処理システムであって、
プレヒータ、仮焼炉、窯尻、及びロータリーキルンの少なくともいずれかである加熱手段と、
前記加熱手段で発生する排ガスの流れ方向の下流側に設けられ、バグフィルターによる処理を行う回収手段とを備え、
前記加熱手段に前記樹脂廃棄物が投入され、前記加熱手段が、前記炭素繊維を含む樹脂廃棄物を加熱し、前記樹脂廃棄物の樹脂成分が溶融し、前記樹脂成分の一部又は全部を燃焼させ、
前記加熱手段で前記樹脂廃棄物を加熱したことにより発生する前記炭素繊維を含む飛散物を、前記排ガスの流れとともに前記回収手段に搬送し、
前記回収手段が、前記加熱手段で前記樹脂廃棄物を加熱したことにより発生する前記炭素繊維を含む飛散物を回収する、樹脂廃棄物処理システム。 - 排気煙突と電気集塵機とを備えてなり、
前記電気集塵機が、前記排気煙突と前記回収手段との間にある請求項4に記載の樹脂廃棄物処理システム。
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