JP7119358B2 - 防炭剤の浸入防止軸受構造およびこれを備える4点接触玉軸受並びにボールねじ装置 - Google Patents

防炭剤の浸入防止軸受構造およびこれを備える4点接触玉軸受並びにボールねじ装置 Download PDF

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Description

本発明は、防炭剤の浸入防止軸受構造およびこれを備える4点接触玉軸受並びにボールねじ装置に関する。
例えばボールねじ装置に軸受を使用する場合に、軸受の外輪に対して後工程で追加工を施したり、軸受の外輪に切欠き形状の加工を施すことで薄肉部が形成されたりすることがある。例えば、浸炭処理後に、軸受の外輪端面に切欠き形状を追加工する際、追加工を施す部分での外輪の炭素量を下げたいため、外輪に追加工を施す部分とその近傍のみに防炭処理が施される(例えば特許文献1(段落0015~0016)参照)。
特開2011-17409号公報
しかし、防炭処理にあっては、流動性を有する防炭剤を塗布または浸漬する。そのため、防炭剤が軸受外輪端面から外輪の軌道面側に垂れ落ちて軌道面に浸入すると軌道面が焼き入れ不良となる。よって、外輪の軌道面への防炭剤の垂れ落ち等による侵入を防ぐ必要がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、軸受の外輪端面に流動性を有する防炭剤の塗布または浸漬による防炭処理部が形成される軸受において、外輪の軌道面への防炭剤の垂れ落ち等による侵入を防止または抑制し得る防炭剤の浸入防止軸受構造およびこれを備える4点接触玉軸受並びにボールねじ装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る防炭剤の浸入防止軸受構造は、軸受の外輪端面に流動性を有する防炭剤の塗布または浸漬による防炭処理部が形成される軸受素材用の防炭剤の浸入防止軸受構造であって、前記防炭処理部が形成される外輪の端面と前記外輪の軌道面との間の外輪内周側の位置に、前記塗布または浸漬後の防炭剤の前記外輪の軌道面への移動を防止または抑制する防炭剤トラップ部が形成されていることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る4点接触玉軸受は、ナットに伝達された回転運動をねじ軸の直線運動として変換するボールねじ装置に用いられ、前記回転運動を行う前記ナットを支持するための4点接触玉軸受であって、軌道面を構成するゴシックアーチ溝をそれぞれ有する内輪および外輪と、これら内輪および外輪の軌道面間に転動自在に介装される複数のボールと、これら複数のボールを保持するクラウン型保持器と、を有し、前記外輪は、本発明の一態様に係る防炭剤の浸入防止軸受構造を有することを特徴とする。
さらに、本発明の一態様に係るボールねじ装置は、外周面に螺旋状の転動路を設けたねじ軸と、内周面に前記ねじ軸の転動路に対応する螺旋状の転動路を設けたナットと、前記ねじ軸及び前記ナット相互の転動路間に転動自在に介装される複数の転動体と、前記ナットに回転運動を伝達するトルク伝達部材と、回転運動を行う前記ナットを支持する4点接触玉軸受と、を備え、前記ナットに伝達された回転運動を前記ねじ軸の直線運動として変換するボールねじ装置であって、前記4点接触玉軸受として、本発明の一態様に係る4点接触玉軸受を備えることを特徴とする。
本発明によれば、軸受の外輪端面に流動性を有する防炭剤の塗布または浸漬による防炭処理部が形成される軸受素材に対し、防炭処理部が形成される外輪の端面と外輪の軌道面との間の外輪内周側の位置に、防炭剤トラップ部を設けたので、これにより、外輪の軌道面への防炭剤の垂れ落ち等による移動を拘束または抑制して軌道面への防炭剤の浸入を防止または抑制できる。
本発明の一態様に係る防炭剤の浸入防止軸受構造を有する軸受を備えるボールねじ装置の第一実施形態を示す模式的説明図であり、同図では軸方向に沿った断面を示している。 本発明の一態様に係る防炭剤の浸入防止軸受構造を有する軸受を備えるボールねじ装置の第二実施形態を示す模式的説明図であり、同図では軸方向に沿った断面を示している。 防炭剤トラップ部のトラップ形状の変形例を説明する要部拡大図((a)~(c))であり、同図では固定プレートを装着する凹部の追加工前の状態を示している。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
[第一実施形態]
図1に示すように、第一実施形態のボールねじ装置10は、ねじ軸20およびナット30を備える。ねじ軸20の外周面には螺旋状の転動路であるねじ溝21が設けられ、ナット30の内周には、ねじ溝21に対向する螺旋状の転動路であるねじ溝31が設けられている。
図示を省略するが、ねじ軸20およびナット30相互のねじ溝21、31の間には、転動体である複数のボール(図示せず)が転動自在に介装され、これら複数のボールは、転動路の端を繋ぐボール循環路を介して循環可能に構成されている。ナット30の軸方向の略中央部には、キー溝にキー33が装着され、その外周の位置に、歯車等のトルク伝達部材71が取り付けられている。トルク伝達部材71は、外部からの回転入力Rにより、ねじ軸20を中心として回転するようになっている。
ナット30は、トルク伝達部材71の同図右側の位置で、ハウジング80に対して4点接触玉軸受40を介して回転自在に支持されている。本実施形態の4点接触玉軸受40は、その外輪41の端面が、ハウジング80の端面に対して面一に固定部90によって固定される。
本実施形態の固定部90は、円環状に形成された板部材である固定プレート91と、固定プレート91の周方向に離隔して複数形成された装着穴に装着される固定ねじ92とを有する。外輪41の端面には、その外周側に円環状の凹部41jが、固定プレート91の内周が嵌め込まれるとともに周方向の移動を拘束する係合が可能に追加工によって形成される。
また、ハウジング80の端面には、その内周側に円環状の凹部80jが固定プレート91の外周側を嵌め込み可能に形成されるとともに、固定プレート91の複数の装着穴に対向する位置それぞれに、雌ねじが形成される。これにより、固定プレート91を凹部41j、80jに嵌め込むとともに固定ねじ92を締めこむことにより、外輪41がハウジング80に固定されるようになっている。これにより、本実施形態では、軸方向に固定されているナット30が外部からの回転入力Rに応じて回転することにより、ねじ軸20が軸方向に直線駆動されるようになっている。
本実施形態のボールねじ装置10は、ナット30の端面には、規制手段を構成する二つの係止部61、62が周方向に180°離隔した位置に設けられている。また、ねじ軸20には、規制手段を構成するストッパ50がスプライン嵌合により装着されている。ストッパ50には、二つのストッパ部51、52が周方向に180°離隔した位置に設けられている。
これにより、本実施形態のボールねじ装置10は、トルク伝達部材71への外部からの回転入力Rにより、トルク伝達部材71とともにナット30が所定量の回転をすると、ねじ軸20が所定の直線運動の行程を超えた場合に、ナット30の係止部61、62がねじ軸20のストッパ部51、52に同時に当接し、ボールねじ装置10自身およびボールねじ装置10に駆動される装置の破損を防止するために、ねじ軸20の直線運動行程を強制的に制限可能になっている。
次に、上記4点接触玉軸受40およびその外輪41に設けられた防炭剤トラップ部41t(図1の符号Xで示す部分)について説明する。
第一実施形態の4点接触玉軸受40は、円環状の外輪41と、ナット30の外周面に一体形成されて内輪として機能する内輪部(ナット30の外周面に内輪軌道面42kが形成されている部分(以下同じ))と、転動体である複数のボール(玉)43とを有する。ボール43は、クラウン型保持器44で円周方向に等間隔に且つ転動自在に保持されている。この4点接触玉軸受40には、ボールねじ装置10の組立時にグリース等の潤滑油が封入され、4点接触玉軸受40の外輪41と内輪部との間で形成される開口部は不図示のシール又はシールドで塞がれる。
より詳しくは、この4点接触玉軸受40は、内輪軌道面42k及び外輪軌道面41kの断面形状が、ゴシックアーチ形状(中心の異なる2つの同一円弧を組合せた略V字状)である。そして、内輪軌道面42k相互の境界部分には凹部からなるボール転動溝底(ゴシックアーチ溝底)42dが形成され、外輪軌道面41k相互の境界部分には凹部からなるボール転動溝底(ゴシックアーチ溝底)41dが形成されており、これらボール転動溝底41d、42d内に潤滑剤としてグリースが保持される。そのため、これら軌道面41k、42kとボール(玉)43との間にグリースが常に存在することとなって、ボール転動溝底41d、42d内のグリースは、内外の軌道面41k、42kとボール43の周囲に供給され、4点接触玉軸受40の良好な潤滑が長期間にわたって維持されるようになっている。
第一実施形態の4点接触玉軸受40は、上述したように、内輪を構成する部分がナット30と一体形成されている。また、第一実施形態の外輪41は、軸方向前後においてボール転動溝底41dの位置で分割体41a,41bの二つに分離されている。さらに、第一実施形態の4点接触玉軸受40は、外輪41の一端面(同図左側の端面)側からハウジング80の端面に固定部90によって軸方向に固定ねじ92を締めこむことにより固定される。
これにより、この4点接触玉軸受40は、正確な位置決めと予圧付与が可能であって、アキシャル荷重とラジアル荷重とモーメント荷重を同時に受けることができるとともに軸受幅を小さくできる。そのため、例えば二列組合せアンギュラ玉軸受よりも軽量でスペースをとらず、ボールねじ装置を一層小型化することができる。
つまり、この4点接触玉軸受40は、外輪41の分割体41a,41bの対向する端面間に、内外輪の軌道面41k,42kとボール43とが幾何的に4点接触した状態で適度な予圧が付与されるように分割体41a,41bが設計され、ハウジング80への固定部90による組み立て時に、分割体41a,41b相互を軸方向に押し付けて、分割体41a,41b相互の端面同士を接触させることで所期の予圧を付与可能になっている。なお、本実施形態では、ハウジング80への固定部90による組み立て例を示したが、これに限らず、例えば、軸受ナットや押え蓋によって分割体41a,41b相互を軸方向に押し付けて、分割体41a,41b相互の端面同士を接触させることで予圧を付与してもよい。
さらに、この4点接触玉軸受40は、外輪41に給脂部41mを有する。給脂部41mは、外輪41の径方向外型から外輪41のボール転動溝底41dに給脂可能に連通形成されている。第一実施形態においては、上述した外輪41の分割体41a,41bの対向する端面間に画成された円環状隙間が給脂部41mを構成している。
これにより、この4点接触玉軸受40では、給脂口80hから給脂部41mを介して、軌道面41k、42kとボール43の周囲にグリース等の潤滑油を直接給脂できる。そのため、ボールねじ機構一体型の4点接触玉軸受40において、軸受内部まで潤滑油を十分に行き渡らせる上で好適である。
ここで、上述したように、この4点接触玉軸受40は、追加工が施される外輪41がハウジング80に固定部90によって固定される構成なので、外輪41の端面は、予め防炭処理が施された防炭処理部41yとされている。しかし、防炭処理にあっては、軸受素材の段階で、流動性を有する防炭剤を塗布または浸漬する。そのため、防炭処理部41yから外輪41の軌道面41kへの防炭剤の垂れ落ち等による侵入を防ぐ必要がある。
そこで、この4点接触玉軸受40は、軸受素材の段階で、防炭処理部41yが形成された外輪41の端面と外輪41の軌道面41kとの間の外輪内周側の位置(同図に符号Xで示す位置)に、塗布または浸漬後の防炭剤の軌道面41kへの移動を防止または抑制する防炭剤トラップ部41tを形成している。この4点接触玉軸受40を製造する際は、熱処理前の軸受素材の段階での外輪41の端面に対し、防炭剤トラップ部41tを防炭処理前に形成しておき、防炭剤トラップ部41tの形成後に、外輪41の端面の防炭処理部41yに防炭剤を塗布または浸漬する。
特に、第一実施形態の4点接触玉軸受40では、防炭剤トラップ部41tのトラップ形状は、防炭処理部41yが形成される端面側から順に、該端面の端に連続して外側から内側に向けて縮径するスロープ状の凹の円錐面を有する円錐部41sと、該円錐部41sの端に連続するフラットな凹の円環面を有する円環部41nと、を備えて構成されている。円環部41nの奥側は、防炭処理部41yが形成される端面と並行な壁面41hとなっている。
さらに、この4点接触玉軸受40は、軌道面41kの底を構成するボール転動溝底41dの位置が、軸方向前後において防炭剤トラップ部41tとは反対側にオフセットしており、これにより、ボール転動溝底41dの位置に対して、防炭剤トラップ部41t側の分割体41aの軸方向長さαが、反対側の分割体41bの軸方向長さβよりも長くなっている(α>β)。また、クラウン型保持器44は、リム側が反負荷側となるように、防炭剤トラップ部41t側とは反対の分割体41bの側から装着されている。
次に、上記4点接触玉軸受40を備えるボールねじ装置10の作用効果について説明する。
このボールねじ装置10は、防炭剤の浸入防止軸受構造として、防炭剤トラップ部41tを4点接触玉軸受40に備えているので、防炭剤トラップ部41tのトラップ形状による多段の凹または凸の段部が防炭剤を滞留させて、防炭剤の垂れ落ち等による軌道面41kへの浸入を防止または抑制できる。
ここで、防炭剤の垂れ落ちは、防炭剤乾燥時の外輪41の姿勢において、防炭剤の塗布面よりも軌道面41kが低い位置にある場合に顕著に生じ得るところ、このボールねじ装置10によれば、防炭剤の塗布面である防炭処理部41yと軌道面41kとの間に、凹または凸の段部が連続する複数の面および角からなる防炭剤トラップ部41tを形成したので、防炭処理部41yと軌道面41kとが連続的に続いている場合でも、塗布面側から軌道面41k側へと垂れおちる防炭剤が、必ず防炭剤トラップ部41tによる凹または凸の段部を通過することになる。よって、防炭剤トラップ部41tによる凹または凸形状に形成された複数の面や角による界面間での界面張力や濡れ効果によって防炭剤を効果的にトラップできる。
さらに、この4点接触玉軸受40は、外輪軌道面41kを構成するボール転動溝底41dの位置をオフセットさせて、防炭剤トラップ部41t側の分割体41aの軸方向長さαが、反対側の分割体41bの軸方向長さβよりも長くなっている(α>β)ので、防炭剤トラップ部41tを形成するスペースを可及的に長く確保するとともに、塗布面から軌道面41kまでの距離を広げることにより、防炭剤の垂れ落ち等による軌道面41kへの浸入を防止または抑制する上で好適である。
ここで、この4点接触玉軸受40は、ナット30に伝達された回転運動をねじ軸20の直線運動として変換するボールねじ装置10に用いられ、回転運動を行うナット30を支持するものであるところ、トルク伝達部材71への外部からの回転入力Rにより、トルク伝達部材71とともにナット30が所定量の回転をするとき、4点接触玉軸受40は、内輪側に軸方向負荷(同図に示す符号F)を受ける。
これに対し、この4点接触玉軸受40は、軌道面41kの底を構成するボール転動溝底41dの位置が、軸方向前後において内輪の反負荷側にオフセットしており、これにより、ボール転動溝底41dの位置に対して、内輪の負荷側の軸方向での分割体41aの軸方向長さ(肉厚)αが、反負荷側の分割体41bの軸方向長さ(肉厚)βよりも長くなっている(α>β)ので、4点接触玉軸受40の負荷側での内容積を広げることができる。
そのため、面圧大となる内輪部の負荷側に、より多くのグリースが配分されるため、4点接触玉軸受40の良好な潤滑を長期間にわたって維持する上で好適である。また、クラウン型保持器44は、そのリム側が反負荷側となるように、反負荷側の分割体41bの側から装着されているので、保持器をコンパクトに構成しつつ、内輪部の負荷側の軸方向での分割体41aの軸方向長さ(肉厚)αをより厚肉にすることができる。
[第二実施形態]
図2に示すように、第二実施形態のボールねじ装置10では、4点接触玉軸受40は、内輪42とナット30とは別個の部品から構成されている点が上記第一実施形態と相違する。第二実施形態の内輪42は、軸方向前後においてゴシックアーチ溝底の位置で分割され、円環状に形成された二つの分割体42a,42bから構成されている。
内輪42は、各分割体42a,42bの内周面がナット30の外周面に対して締め代を有し、内面に圧入用のねじが形成された円環状の装着ナット82をトルク伝達部材71とは反対の側から締めこむことにより圧入嵌合される。これにより、トルク伝達部材71は、キー結合により円周方向に、軸受40の内輪42により軸方向に、それぞれナット30と相対的に位置がずれることの無いように取り付けられる。
また、第二実施形態では、4点接触玉軸受40の外輪41は分割されておらず、一の中空円筒状部材から構成されている点が上記第一実施形態と相違する。さらに、第二実施形態では、外輪41の給脂部41mは、外輪41の径方向外型から外輪41のボール転動溝底41dに給脂可能なように、円形横断面の貫通穴によって形成されている点が上記第一実施形態と相違する。
その他の構成は、上記第一実施形態と同様である。この第二実施形態のボールねじ装置10においても、上記第一実施形態と同様の構成を有する防炭剤トラップ部41tを4点接触玉軸受40に備えている。よって、この第二実施形態においても、上記第一実施形態と同様に、防炭剤トラップ部41tによる凹または凸形状に形成された複数の面および角による界面間での界面張力や濡れ効果によって防炭剤をトラップし、防炭剤の垂れ落ち等による軌道面41kへの浸入を防止または抑制できる。
また、上記第一実施形態と同様に、外輪軌道面41kを構成するボール転動溝底41dの位置をオフセットさせて、ボール転動溝底41dの位置に対し、防炭剤トラップ部41t側の軸方向長さαが、反対側の軸方向長さβよりも長くなっている(α>β)ので、防炭剤トラップ部41tを形成するスペースを確保するとともに、塗布面から軌道面41kまでの距離を広げることにより、防炭剤の垂れ落ち等による軌道面41kへの浸入を防止または抑制する上で好適である。
なお、本発明に係る防炭剤の浸入防止軸受構造およびこれを備える軸受並びにボールねじ装置は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記各実施形態では、防炭剤トラップ部のトラップ形状は、防炭処理部41yが形成される端面側から順に、該端面の端に連続して外側から内側に向けて縮径する円錐面を有する円錐部41sと、該円錐部41sの端に連続する円環面を有する円環部41nと、を有する例を示したが、これに限定されず、凹または凸形状に形成された複数の面および角による界面間での界面張力および濡れ効果によって防炭剤をトラップできれば、種々のトラップ形状を採用できる。
例えば、図3に変形例を示す。なお、同図に示す例では、防炭剤乾燥時の外輪41の素材を、テーブル面Tに対して防炭処理部41yを上にして載置した姿勢で防炭剤を乾燥させるイメージを併せて示している。
同図(a)に示す例では、防炭剤トラップ部のトラップ形状は、防炭処理部41yが形成される端面に連続して形成されて外側から内側に向けて縮径する凹の円錐面を有する円錐部41s(つまり、円錐部41sのみが防炭剤トラップ部41tに対応する)を備える。このような構成であっても、凹または凸形状に形成された面や角による界面間での界面張力や濡れ効果によって防炭剤をトラップできる。
また、防炭剤トラップ部のトラップ形状は、防炭処理部41yが形成される端面に連続して形成された凹の円環面を有する円環部41n(つまり、円環部41nのみが防炭剤トラップ部41tに対応する)を備える構成としてもよい(同図(b)参照)。このような構成であっても、凹または凸形状に形成された面や角による界面間での界面張力や濡れ効果によって防炭剤をトラップできる。
さらに、防炭剤トラップ部41tのトラップ形状は、より多段化してもよい。例えば、同図(c)に示すように、防炭処理部41yが形成される端面側から順に、該端面に連続する凹の円環面を有する第一円環部41pと、該第一円環部41pの端に連続して外側から内側に向けて縮径する凹の円錐面を有する円錐部41sと、該円錐部41sの端に連続する凹の円環面を有する第二円環部41nと、を備える構成としてもよい。
さらにまた、同図(c)に示すように、凹または凸の段部の角の位置に、細幅の凹の溝部41gを形成することが好ましい。細幅の溝部41gを凹または凸の段部の角に設ければ、凹または凸形状に形成された面や角による界面間での界面張力や濡れ効果とともに、細幅の溝による毛管現象によって防炭剤の軌道面への移動をより好適に防止または抑制できる。
10 ボールねじ装置
20 ねじ軸
21 (ねじ軸の)ねじ溝(転動路)
30 ナット
31 (ナットの)ねじ溝(転動路)
33 キー
40 4点接触玉軸受
41 外輪
41a,41b (外輪の)分割体
41d ボール転動溝底
41g 溝部
41h 壁面
41k (外輪の)軌道面
42k (内輪側の)軌道面
41m 給脂部
41s 円錐部
41n,41p 円環部
41t 防炭剤トラップ部
41y 防炭処理部
42 内輪、内輪部
42a,42b (内輪の)分割体
42d ボール転動溝底
42k (内輪の)軌道面
43 ボール(転動体)
44 クラウン型保持器
50 ストッパ
51 ストッパ部
61 係止部
71 トルク伝達部材
80 ハウジング
82 装着ナット
90 固定部
91 固定プレート
92 固定ねじ
R 回転入力

Claims (4)

  1. 軸受の外輪端面に流動性を有する防炭剤の塗布または浸漬による防炭処理部が形成される軸受素材用の防炭剤の浸入防止軸受構造であって、
    前記防炭処理部が形成される外輪の端面と前記外輪の軌道面との間の外輪内周側の位置に、前記塗布または浸漬後の防炭剤の前記外輪の軌道面への移動を防止または抑制する防炭剤トラップ部が形成されており、
    前記防炭剤トラップ部のトラップ形状は、前記防炭処理部が形成される端面側から順に、該端面に連続する凹の第一円環面と、該第一円環面の端に連続して外側から内側に向けて縮径する凹の円錐面と、該円錐面の端に連続する凹の第二円環面と、を有することを特徴とする防炭剤の浸入防止軸受構造。
  2. ナットに伝達された回転運動をねじ軸の直線運動として変換するボールねじ装置に用いられ、前記回転運動を行う前記ナットを支持するための4点接触玉軸受であって、
    軌道面を構成するゴシックアーチ溝をそれぞれ有する内輪および外輪と、これら内輪および外輪の軌道面間に転動自在に介装される複数のボールと、これら複数のボールを保持するクラウン型保持器と、を有し、
    前記外輪は、請求項1に記載の防炭剤の浸入防止軸受構造を有することを特徴とする4点接触玉軸受。
  3. 前記軌道面を構成するゴシックアーチ溝底の位置は、軸方向前後において前記防炭剤トラップ部とは反対側にオフセットしており、前記ゴシックアーチ溝底の位置に対して、前記防炭剤トラップ部側の外輪軸方向長さが反対側の外輪軸方向長さよりも長くなっており、
    前記クラウン型保持器は、前記防炭剤トラップ部側とは反対側から装着されている請求項2に記載の4点接触玉軸受。
  4. 外周面に螺旋状の転動路を設けたねじ軸と、内周面に前記ねじ軸の転動路に対応する螺旋状の転動路を設けたナットと、前記ねじ軸及び前記ナット相互の転動路間に転動自在に介装される複数の転動体と、前記ナットに回転運動を伝達するトルク伝達部材と、回転運動を行う前記ナットを支持する4点接触玉軸受と、を備え、前記ナットに伝達された回転運動を前記ねじ軸の直線運動として変換するボールねじ装置であって、
    前記4点接触玉軸受として、請求項2または3に記載の4点接触玉軸受を備えることを特徴とするボールねじ装置。
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