図1は、実施形態の水処理方法が適用された水処理システムの概略構成を示すブロック図である。
すなわち、水処理システム100は、脱気装置20と、脱塩ユニット40と、バブル生成装置60と、バブル移送ライン80と、熱処理装置90とを備えている。
脱気装置20は、例えば工場廃水のような被処理水aに対して脱気処理を行い、脱気された被処理水aである被脱気水bと、被処理水aから脱気された例えば二酸化炭素のようなガスcとを取得し、被脱気水bを脱塩ユニット40へ、ガスcをバブル生成装置60へ提供する。
脱塩ユニット40は、一般に複数のRO膜を備えており、脱気装置20から提供された被脱気水bに対して、これら複数のRO膜を用いて脱塩処理を行い、被脱気水bを、被脱気水bから塩分が低減された脱塩水d、及び、塩分が濃縮された被脱気水bである濃縮水eに分離する。そして、脱塩水dをバブル生成装置60へ、濃縮水eを熱処理装置90へ提供する。
バブル生成装置60は、脱塩ユニット40から提供された脱塩水d、及び、脱気装置20から提供されたガスcを混合し、混合後に減圧することによって、脱塩水d中に、バブルfを発生させる。
バブル移送ライン80は、バブル生成装置60から脱塩ユニット40へのライン(例えば、配管)である。バブル移送ライン80には、ポンプ82が設けられており、バブル生成装置60によって生成されたバブルfを含む脱塩水dは、ポンプ82によって、バブル移送ライン80内を移送されることによって、脱塩ユニット40へ供給される。なお、後述する図2に示すように、脱塩ユニット40の前段に、導入ユニット30のような補助ユニットが備えられている場合、バブル生成装置60によって生成されたバブルfを含む脱塩水dを、脱塩ユニット40の代わりに、導入ユニット30のような補助ユニットに供給できるように、バブル供給ライン80の接続先を変更しても良い。
なお、当該技術分野では、ポンプ、エアリフト、スチームジェット、サイフォンのように、液体を移送する機器を移送機器(transfer means)と称している。そして、実施形態では、移送機器としてポンプを適用した例を用いて説明している。しかしながら、本明細書において記載されているポンプは、エアリフト、スチームジェット、サイフォンのような他の移送機器を代わりに使用することもできる。
熱処理装置90は、脱塩ユニット40から提供された濃縮水eを濃縮・蒸発乾燥処理することによって、濃縮水eから、溶解性固形分である塩分g、水分h、及び、ガス状の揮発成分kを回収する。塩分gは、濃縮された廃棄物として処分される。水分hは再生水として、例えば、被処理水aを排出した工場に戻され、再利用される。揮発成分kは、環境に放出される。
このような概略構成をなす水処理システム100の具体的な各実施形態について、以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、図1で示した部位と同一部分については、同一符号を用いて示し、重複説明を避ける。
(第1の実施形態)
第1の実施形態の水処理システムについて説明する。
図2は、第1の実施形態の水処理システムの構成例を示すブロック図である。
水処理システム100aは、前処理ユニット10、導入ユニット30、脱塩ユニット40、バブル生成装置60、バブル移送ライン80、及び熱処理装置90を備えている。
前処理ユニット10は、例えば工場廃水のような被処理水aに対して、固形分除去処理、軟水化処理、及び脱気処理等を含む前処理を実施するユニットであり、例えば、直列に配置された固形分除去装置12と、軟水化処理装置14と、前述した脱気装置20とを備えている。
固形分除去装置12、軟水化処理装置14、及び脱気装置20の前段にはそれぞれ、必要に応じて図示しないポンプが設けられ、固形分除去装置12、軟水化処理装置14、及び脱気装置20は、各前段に設けられたポンプによって上流側から被処理水aが送液されるようにしても良い。
固形分除去装置12は、例えば、精密濾過(MF:Microfiltration)膜、限外濾過(UF:Ultrafiltration)膜、及びMBR(Membrane Bioreactor)法等の膜分離技術を用いて実現する。このような固形分除去装置12は、被処理水aを濾過し、被処理水aから固形分を除去する。固形分を除去された被処理水a1は、固形分除去装置12から例えば軟水化処理装置14の前段に設けられた図示しないポンプによって、軟水化処理装置14へ送液される。
軟水化処理装置14は、例えば、イオン交換樹脂や凝集沈殿装置等を用いて実現する。このような軟水化処理装置14は、送液された被処理水a1から、カルシウムやマグネシウム等の硬度成分を除去することによって、被処理水1を軟水化する。このようにして被処理水a1から硬度成分が除去され、軟水化された被処理水a2は、軟水化処理装置14から、例えば脱気装置20の前段に設けられた図示しないポンプによって、脱気装置20へ送液される。
脱気装置20は、純水製造等で用いられる既存のものが使用可能であり、例えば、充填式脱炭酸塔、ばっ気装置、膜脱気装置、真空脱気装置等を用いて実現する。いずれも、脱気効率向上のため、塩酸、硫酸等の酸を被処理水a2に添加し、被処理水a2のpHを7以下、より好ましくは5.5以下に下げて処理を行なうことが望ましい。気液接触式の場合、G/L比(N-m3/m3)は5~20の範囲が好ましい。なお、脱気装置20は、公知の技術を用いて実現可能であり、適用に制限はない。
このような脱気装置20は、被処理水a2に対して脱気処理を行い、脱気された被処理水a2である被脱気水b、及び、被処理水a2から脱気された例えば二酸化炭素のようなガスcを取得し、被脱気水bを、脱塩ユニット40の前段に設けられた導入ユニット30へ、ガスcを、バブル生成装置60へ供給する。
導入ユニット30は、脱塩ユニット40へ導入される被脱気水bを調整するための設備である。
図3は、導入ユニットの構成例を示す概念図である。
図3に例示されるように、導入ユニット30は、被脱気水bを貯液するための液混和槽31、送液ライン32、34、薬液ライン33、ポンプ35、36、及び水質計37を備えている。また、液混和槽31には、バブル移送ライン80も導かれている。
送液ライン32は、脱気装置20からの被脱気水bを、液混和槽31へ導くための、例えば配管のようなラインである。
ポンプ35は、送液ライン32に設けられ、脱気装置20からの被脱気水bを液混和槽31へ送液する。
薬液ライン33は、液混和槽31へ薬液mを供給するための配管である。薬液mは、例えば、pH調整剤、殺菌剤、スケール防止剤、バイオファウリング防止剤及び膜洗浄剤等を含む。薬液mは、例えば、水質計37により計測される水質、並びに、脱塩ユニット40で用いられるRO膜の材質や性能等により使い分けられる。薬液mはさらに、定常運転時、及びメンテナンス時等に応じて使い分けることもできる。
pH調整剤としては、例えば、苛性ソーダ、水酸化カリウム等のアルカリ剤を用いる。これによって、導入ユニット30は、液混和槽31において、被脱気水bのpHを7以上、好ましくは8.5以上、さらに好ましくは10.5以上にする。
また、液混和槽31へは、バブル移送ライン80も導かれており、バブル生成装置60からの、バブルfを含む脱塩水dが、バブル移送ライン80を介して液混和槽31へ移送される。
水質計37は、液混和槽31に貯液された被脱気水bのpHを測定するpH計を含む。さらには、液混和槽31に貯液された被脱気水bの水位を測定する水位計、導電率を測定する導電率計等を含んでいても良い。
送液ライン34は、液混和槽31に貯液された被脱気水bを、脱塩ユニット40へ送液するための、例えば配管のようなラインである。
ポンプ36は、液混和槽31に貯液された被脱気水bのpH等の水質が、脱塩ユニット40へ導入されるのに適切な値になったことが水質計37によって検出された場合に起動され、液混和槽31に貯液された被脱気水bを、あらかじめ設定した圧力へ昇圧して脱塩ユニット40へ送液する。
なお、あらかじめ設定した圧力とは、脱塩ユニット40における最上流の分離ユニット41のRO膜47(後述する分離ユニット41AのRO膜47A)の浸透圧よりも高い圧力であり、0~3MPa程度が好適である。
脱塩ユニット40は、直列的に配置された3つの分離ユニット41A、41B、41C、及び、各分離ユニット41A、41B、41Cの下流側に共通して配置された最終ユニット49を含んでいる。
各分離ユニット41A、41B、41C、及び最終ユニット49は、それぞれ圧力容器42A、42B、42C、42Dを備えている。さらに、各圧力容器42A、42B、42C、42Dの内部には、RO膜エレメント部43A、43B、43C、43Dが配置されている。
なお、このような脱塩ユニット40の構成は一例であり、直列的に配置された3つの分離ユニット41A、41B、41Cの代わりに、直列的に配置された2つの分離ユニット41A、41Bを備えた構成でもよい。また、直列的に配置された3つより多くの分離ユニット41A、41B、41C、・・・を備えた構成でもよい。このような場合であっても、各分離ユニット41は、内部にRO膜エレメント部43を配置した圧力容器42をそれぞれ備えている。
図4は、第1の実施形態における分離ユニット41の構成例を示す概念図である。
図4に示す分離ユニット41の構成は、分離ユニット41A、41B、41C及び最終ユニット49の構成と共通している。したがって、以下では、図4を用いて、分離ユニット41A、41B、41C及び最終ユニット49の構成をまとめて説明する。
前述したように、分離ユニット41は、圧力容器42を備え、さらに、圧力容器42の内部にRO膜エレメント部43を配置している。図4では、一例として、分離ユニット41が1つの圧力容器42を備え、圧力容器42が1つのRO膜エレメント部43を配置した例を示している。しかしながら、各分離ユニット41が備える圧力容器42の数は、単数に限定されず、複数であっても良い。また、圧力容器42の内部に設置されるRO膜エレメント部43の数もまた、単数に限定されず、複数であっても良い。
RO膜エレメント部43は、内部にRO膜47を備えているとともに、1つの導入部44、及び、2つの排出部45、46を備えている。
導入部44は、導入ライン50を介して上流側から供給される被処理水(例えば、分離ユニット41Aの場合、導入ユニット30から送液される被脱気水b)を、RO膜エレメント部43の内部に導入するための入口である。
RO膜47は、例えば、スパイラル状、及び中空糸状等の膜を適用し、導入部44から導入された水を濾過して、RO膜47を透過した透過水d、及び、RO膜47を透過せず、TDS(Total Dissolved Solid)が濃縮された濃縮水eに分離する。
排出部45は、濃縮水eをRO膜エレメント部43から排出するための出口であり、排出部46は、透過水dをRO膜エレメント部43から排出するための出口である。排出部45から排出された濃縮水eは、濃縮水ライン52を介して下流側の分離ユニット41へ導かれ、排出部46から排出された透過水dは、透過水ライン51を介して最終ユニット49へ導かれる。なお、図2に示す例では分離ユニット41Cである最下流の分離ユニット41の場合、排出部45Cから排出された濃縮水e3は、濃縮水ライン52Cを介して熱処理装置90へ導かれる。
前述したような構成により、分離ユニット41は、分離ユニット41Aの場合、導入ユニット30から高圧に昇圧されて導入された被脱気水bが、導入ライン50Aを介して導入部44AからRO膜エレメント部43A内へ導入され、RO膜47Aを透過した透過水が、脱塩水d1として、排出部46Aから、透過水ライン51Aを介して最終ユニット49へ向けて排出され、RO膜47AによってTDSが濃縮された濃縮水e1が、排出部45Aから、濃縮水ライン52Aを介して分離ユニット41Bへ向けて排出される。
濃縮水ライン52Aにはポンプ48Aが備えられており、ポンプ48Aは、濃縮水ライン52A内を流れる濃縮水e1を、分離ユニット41BのRO膜47Bの浸透膜よりも高い圧力まで、好適には3~8MPa程度まで昇圧して、分離ユニット41Bへ送液する。
分離ユニット41Bは、このようにして分離ユニット41Aから送液された濃縮水e1を、導入ライン50Bを介して、RO膜エレメント部43Bへ導入する。なお、導入ライン50Bは、濃縮水ライン52Aから連続したラインであり、分離ユニット41A側から見た場合、濃縮水ライン52Aとして定義され、分離ユニット41B側から見た場合、導入ライン50Bとして定義される。
RO膜エレメント部43Bへ導入された濃縮水e1のうち、RO膜47Bを透過した透過水が、脱塩水d2として、排出部46Bから、透過水ライン51Bを介して最終ユニット49へ向けて排出され、RO膜47Bによって、濃縮水e1よりもさらにTDSが濃縮された濃縮水e2が、排出部45Bから、濃縮水ライン52Bを介して分離ユニット41Cへ向けて排出される。
濃縮水ライン52Bにはポンプ48Bが備えられており、ポンプ48Bは、濃縮水ライン52B内を流れる濃縮水e2を、分離ユニット41CのRO膜47Cの浸透膜よりも高い圧力まで、好適には8~12MPa程度まで昇圧して、分離ユニット41Cへ送液する。なお、濃縮水e2のTDS濃度は、望ましくは40,000(mg/L)以上、さらに望ましくは80,000(mg/L)以上である。
分離ユニット41Cは、分離ユニット41Bから送液された濃縮水e2を、導入ライン50Cを介して、RO膜エレメント部43Cへ導入する。なお、導入ライン50Cは、濃縮水ライン52Bから連続したラインであり、分離ユニット41B側から見た場合、濃縮水ライン52Bとして定義され、分離ユニット41C側から見た場合、導入ライン50Cとして定義される。
RO膜エレメント部43Cへ導入された濃縮水e2のうち、RO膜47Cを透過した透過水が、脱塩水d3として、排出部46Cから、透過水ライン51Cを介して最終ユニット49へ向けて排出され、RO膜47Cによって、濃縮水e2よりもさらにTDSが濃縮された濃縮水e3が、排出部45Cから、濃縮水ライン52Cを介して熱処理装置90へ向けて排出される。濃縮水ライン52Cには、ポンプ48Cが備えられている。ポンプ48Cは、排出部48Cから濃縮水ライン52Cへ排出された濃縮水e3を熱処理装置90へ送液する。
透過水ライン51A、51B、51Cは、最終ユニット49の前で合流し、透過水ライン51となる。したがって、脱塩水d1、d2、d3は、透過水ライン51において合流する。
透過水ライン51にはポンプ48Dが備えられており、透過水ライン51内を流れる脱塩水dを、最終ユニット49のRO膜47Dの浸透膜よりも高い圧力まで、好適には0~2MPa程度まで昇圧して、導入ライン50Dを介して、最終ユニット49へ送液する。
最終ユニット49は、送液された脱塩水dを、RO膜エレメント部43Dへ導入する。
最終ユニット49では、送液された脱塩水dが、RO膜47Dを透過すると、苛性ソーダ等のアルカリ成分や溶存塩類がさらに除去され、脱イオン化された再生水iとなり、RO膜47Dを透過しない脱塩水d’は、送液された脱塩水dよりも、苛性ソーダ等のアルカリ成分や溶存塩類が濃縮されている。
最終ユニット49は、このようにして、脱塩水dを、再生水i及び脱塩水d’に分離する。再生水iは、例えば、被処理水aを排出した工場に戻され、再利用される。一方、脱塩水d’は、濃縮水ライン52Dを介してバブル生成装置60へ供給される。なお、濃縮水ライン52Dには、ポンプ53が備えられており、ポンプ53は、濃縮水ライン52D内を流れる脱塩水d’を、バブル生成装置60へ送液する。
バブル生成装置60は、濃縮水ライン52Dを介して供給された脱塩水d’、及び、脱気装置20から供給されたガスcを混合し、混合後に減圧することによって、脱塩水d’の内部にバブルfを発生させる。
図5は、第1の実施形態におけるバブル生成装置60の構成例を示す概念図である。
図5に例示するバブル生成装置60は、ベンチュリー式バブル生成装置を示しており、断面積の縮小と拡大を有するベンチュリー管61と、ベンチュリー管61に接続され、脱気装置20からのガスcをバブル生成装置60内に導入するためのガス導入ライン62とから構成される。
バブル生成装置60には、最終ユニット49からの脱塩水d’が、ポンプ53によって、濃縮水ライン52Dを介してベンチュリー管61へ導入される。一方、脱気装置20から供給されたガスcが、ガス導入ライン62から導入される。
ガス導入ライン62は、ベンチュリー管61の断面積が最小となるノズル部63よりも上流側でベンチュリー管61に接続されている。これによって、脱塩水d’は、ガスcと混合され、ガスcの気泡を含んだ状態で、ノズル部63に進入する。
ガスcの気泡を含んだ状態で脱塩水d’がノズル部63を通過すると、急激な減圧によって、ガスcの気泡は膨張し、続いて生じる急激な圧力回復によって気泡は微細に粉砕されてバブルfが発生する。
このようにしてバブル生成装置60によって生成されたバブルfを含む脱塩水d’は、前述したバブル移送ライン80を介して液混和槽31へ提供される。バブル移送ライン80にはポンプ82が設けられており、ポンプ82は、バブルfを含む脱塩水d’を、液混和槽31へ送液する。
バブル生成装置60によって生成されるバブルfは、ファインバブルと呼ばれる平均径1000nm以下のバブルであることが望ましい。
平均径1000nm以下のファインバブルは、液中安定性及びRO膜47への浸透性も高く、RO膜47におけるスケールやバイオファウリングを防止する効果を高める。また、ファインバブルの表面は疎水性であり、帯電していることから、スケール防止剤、バイオファウリング防止剤、pH調整剤、殺菌剤、及び膜洗浄剤等を付着させることも容易となるので、これによって、バブル安定性及びRO膜47への浸透性を高めるとともに、スケール及びバイオファウリング防止効果を高めることができる。
また、スケール及びバイオファウリング防止効果は、バブルfの平均径がより小さいほど高くなることから、バブルfの平均径は、さらに小さい150nm以下であることが好ましい。
なお、バブル生成装置60は、図5に例示するようなベンチュリー式に限定されず、外部から気体を導入するエグゼクター式であっても良い。エグゼクター式では、狭い流路を高速で通過する液量によって生じる負圧を利用して、脱気装置20から供給されるガスcを吸引し、下流における管路の拡大により生じたキャビテーションによって吸引ガスを微細に破砕することによって、バブルを生成する。
ベンチュリー式及びキャビテーション式の何れであっても、バブルfが二酸化炭素であれば、殺菌効果や、バイオファウリング抑制効果を高めることもできるので、ガスcの種類としては二酸化炭素が好適である。
熱処理装置90は、例えば、蒸発濃縮装置、及び蒸発乾燥、有機物熱処理装置等を備え、熱を用いた蒸留回収、蒸発乾燥処理、焼却、及び触媒酸化等の熱処理プロセスのうち、少なくとも1つ以上の熱処理プロセスを実施する。例えば、濃縮水e3中のイオン分の主成分が、アルカノールアミン等の有機アミン類である場合、有機物熱処理装置の熱処理プロセスにより、有機物を、分離、濃縮、処分することができる。また、有機物熱処理装置の熱処理プロセスにより、熱処理炭素を生成し、水分hを回収する。
このように、熱処理装置90は、濃縮水e3を濃縮・蒸発乾燥処理することによって、濃縮水e3から、溶解性固形分である塩分g、水分h、及び、揮発成分kを回収する。塩分gは、濃縮された廃棄物として処分される。水分hは再生水として、例えば、被処理水aを排出した工場に戻され、再利用される。揮発成分kは、環境に放出される。
例えば、濃縮水e3中のイオン分の主成分が、無機イオン分である場合、熱処理装置90による濃縮・蒸発乾燥処理により、イオン分を固形状の塩分gとして回収することが可能となる。
なお、熱処理装置90に、晶析装置、及び遠心分離装置等を設けても良い。これにより、固形状の塩分gの回収をより円滑に実行することが可能となる。
次に、以上のように構成された第1の実施形態の水処理システム100aの動作例について説明する。
図6A及び図6Bは、第1の実施形態の水処理システム100aの動作例を示すフローチャートである。
第1の実施形態の水処理システム100aによる動作例として、例えば工場廃水のような被処理水aが処理される場合について説明する。
水処理システム100aによって処理される被処理水aは、例えばポンプによって前処理ユニット10の固形分除去装置12へ送液され、固形分除去装置12において濾過され、固形分が除去される(S1)。固形分を除去された被処理水a1は、例えばポンプによって軟水化処理装置14へ送液される。
軟水化処理装置14では、被処理水a1から、カルシウムやマグネシウム等の硬度成分が除去される。これによって、被処理水1は軟水化される(S2)。軟水化された被処理水a2は、例えばポンプによって、脱気装置20へ送液される。
脱気装置20では、被処理水a2に対して脱気処理が行われ、被処理水a2が脱気された水である被脱気水bは、ポンプ35によって導入ユニット30の液混和槽31へ送液され、被処理水a2から脱気された例えば二酸化炭素のようなガスcは、バブル生成装置60へ提供される(S3)。
これによって、液混和槽31には、例えば、1000mg/Lから数1000mg/L程度の濃度の被脱気水bが供給される。また、液混和槽31には、必要に応じて、薬液ライン33から薬液mも供給される。また、液混和槽31には、後述するステップS31においてバブル生成装置60によって生成されたバブルfを含む脱塩水d’も、バブル移送ライン80を介して移送される。このように液混和槽31では、被脱気水bが、薬液m及び脱塩水d’と混和されることによって調整される(S4)。
調整された被脱気水bは、水質計37によってpHが測定され、pHが7以上、より好ましくは8.5以上、さらに好ましくは10.5以上であることが検出されると、ポンプ36によって液混和槽31から取り込まれ、さらに、脱塩ユニット40の分離ユニット41AのRO膜47Aの浸透圧よりも高い圧力、例えば0~3MPa程度へ昇圧された状態で、送液ライン34を介して1段目の分離ユニット41Aへ送液される(S5)。
分離ユニット41Aへ送液された被脱気水bは、導入ライン50Aを介して導入部44AからRO膜エレメント部43A内へ導入され、RO膜47Aを透過した透過水が、脱塩水d1として、排出部46Aから、透過水ライン51Aを介して最終ユニット49へ向けて排出される。一方、RO膜47Aを透過せず、TDSが濃縮された濃縮水e1が、排出部45Aから排出される(S6)。
排出部45Aは、濃縮水ライン52Aに接続されている。また、濃縮水ライン52Aにはポンプ48Aが備えられており、ポンプ48Aによって、濃縮水ライン52A内を流れる濃縮水e1が、分離ユニット41BのRO膜47Bの浸透膜よりも高い圧力まで、例えば3~8MPa程度まで昇圧された状態で、2段目の分離ユニット41Bへ送液される(S7)。
分離ユニット41Bへ送液された濃縮水e1は、導入ライン50Bを介して導入部44BからRO膜エレメント部43Bへ導入され、RO膜47Bを透過した透過水が、脱塩水d2として、排出部46Bから、透過水ライン51Bを介して最終ユニット49へ向けて排出される。一方、RO膜47Bを透過せず、濃縮水e1よりもさらにTDSが濃縮された濃縮水e2が、排出部45Bから排出される(S8)。
排出部45Bは、濃縮水ライン52Bに接続されている。また、濃縮水ライン52Bにはポンプ48Bが備えられており、ポンプ48Bによって、濃縮水ライン52B内を流れる濃縮水e2が、分離ユニット41CのRO膜47Cの浸透膜よりも高い圧力まで、例えば8~12MPa程度まで昇圧された状態で、3段目の分離ユニット41Cへ送液される(S9)。
分離ユニット41Cへ送液された濃縮水e2は、導入ライン50Cを介して導入部44CからRO膜エレメント部43Cへ導入され、RO膜47Cを透過した透過水が、脱塩水d3として、排出部46Cから、透過水ライン51Cを介して最終ユニット49へ向けて排出される。濃縮水e2のTDS濃度は、望ましくは40,000(mg/L)以上、さらに望ましくは80,000(mg/L)以上である。一方、RO膜47Cを透過せず、濃縮水e2よりもさらにTDSが濃縮された濃縮水e3が、排出部45Cから排出される(S10)。
排出部45Cは、濃縮ライン52Cに接続されている。濃縮水ライン52Cにはポンプ48Cが備えられており、ポンプ48Cによって、濃縮水ライン52C内を流れる濃縮水e3が、熱処理装置90へ送液される(S11)。
透過水ライン51A、51B、51Cは、最終ユニット49の前で合流し、透過水ライン51となる。したがって、ステップS6、S8、S10で得られた脱塩水d1、d2、d3は、透過水ライン51において合流する。透過水ライン51にはポンプ48Dが備えられており、合流した脱塩水dは、最終ユニット49のRO膜47Dの浸透膜よりも高い圧力まで、好適には0~2MPa程度まで昇圧された状態で、最終ユニット49へ送液される(S21)。
最終ユニット49では、送液された脱塩水dが、導入ライン50Dを介して導入部44DからRO膜エレメント部43Dへ導入され、RO膜47Dによって、再生水i及び脱塩水d’に分離される(S22)。すなわち、脱塩水dは、RO膜47Dを透過したことによって、苛性ソーダ等のアルカリ成分や溶存塩類がさらに除去された再生水iとなり、RO膜47Dを透過しない脱塩水d’は、送液された脱塩水dよりも、苛性ソーダ等のアルカリ成分や溶存塩類が濃縮されている。
再生水iは、例えば、被処理水aを排出した工場に戻され、再利用される(S23)。脱塩水d’は、後述するステップS31のために、濃縮水ライン52Dを介して最終ユニット49からバブル生成装置60へ提供される(S24)。
ステップS31では、バブル生成装置60において、ステップS3において脱気装置20から提供されたガスc、及び、ステップS24において最終ユニット49から提供された脱塩水d’が混合され、混合後に減圧されることによって、例えば平均径が1000nm以下、好ましくは平均径が150nm以下であるファインバブルのようなバブルfを内包した脱塩水d’が生成される(S31)。
このようにしてバブル生成装置60によって生成されたバブルfを含む脱塩水d’は、ステップS4において、バブル移送ライン80を介して液混和槽31へ移送される。
このようにして、被脱気水bは、例えばファインバブルのようなバブルfと混合された後に、脱塩ユニット40へ供給される。ファインバブルは、脱塩ユニット40の各RO膜47におけるスケール析出やバイオファウリングの発生を抑制する効果を有するので、RO膜47A、47B、47C、47Dにおけるスケールやバイオファウリングによる膜閉塞が抑制される。これによって、各分離ユニット41A、41B、41C、及び最終ユニット49の長期運転が可能となり、もって、運転稼働率の向上が図られる。
その結果、脱塩ユニット40では、各RO膜47A、47B、47Cにおいて、濃縮水e1、e2、e3に含まれるTDSの濃度が、従来よりも高められる。これによって、例えば、ステップS11において熱処理装置90へ送液される濃縮水e3のTDS濃度を、例えば8万mg/L以上、望ましくは10万mg/L以上のような極めて高い値とすることが可能となる。
熱処理装置90では、濃縮水e3に対して、例えば濃縮・蒸発乾燥処理がなされることにより、濃縮水e3から、溶解性固形分である塩分g、水分h、及び揮発成分kが回収される(S12)。濃縮水e3のTDS濃度が高いほど、濃縮水e3に含まれる水分の量はより少なくなるので、熱処理装置90における濃縮・蒸発乾燥処理の際に消費される熱エネルギーも低減される。本実施形態では、上述したように、濃縮水e3のTDS濃度を従来よりも高くすることができるので、濃縮水e3に含まれる水分の量も少なくなり、熱処理装置90においてなされる濃縮・蒸発乾燥処理のために消費される熱エネルギーは、従来よりも低減される。
ステップS12において回収された塩分gは、廃棄され(S13)、揮発成分kは、環境に放出され(S14)、水分hは、再生水として、例えば、被処理水aを排出した工場に戻され、再利用される(S15)。
上述したように、本実施形態の水処理システムによれば、脱塩ユニット40の各RO膜47における膜の目詰まりの原因となる固形分、硬度成分、及び炭酸成分等を、前処理ユニット10において、被処理水aから予め除去することができる。
さらに、例えばファインバブルのようなバブルfを、バブル生成装置60において生成し、被脱気水bに溶存させた後に、被脱気水bを、脱塩ユニット40に提供することができる。例えばファインバブルのようなバブルfは、脱塩ユニット40の各RO膜47におけるスケール析出やバイオファウリングの発生を抑制する効果を有している。
したがって、脱塩ユニット40の各RO膜47の目詰まりや、スケール析出やバイオファウリングの発生の可能性を低減することが可能となる。
膜の目詰まりや、スケール析出やバイオファウリングが発生すると、各RO膜47における機能が低下するので、洗浄等により、RO膜47から、目詰まり、スケール、及びバイオファウリングを除去するために、水処理システム100aの運転を停止せねばならない。これは、水処理システム100aの運転稼働率の低下をもたらす。
しかしながら、本実施形態の水処理システム100aによれば、RO膜47の目詰まりや、スケール析出やバイオファウリングの発生の可能性が低減されるので、各分離ユニット41A、41B、41C、及び最終ユニット49の長期運転が可能となり、もって、運転稼働率の向上を図ることが可能となる。
また、このように、各分離ユニット41A、41B、41C、及び最終ユニット49の長期運転が可能となったことから、各RO膜47において得られる濃縮水e1、e2、e3のTDS濃縮度を、従来よりも高めることが可能となる。
その結果、RO膜エレメント部43Cから熱処理装置90へ提供される濃縮水e3におけるTDS濃度も従来よりも高くなり、相応して濃縮水e3に含まれる水の量も少なくなる。
濃縮水e3に含まれる水の量が少なくなることによって、熱処理装置90においてなされる濃縮・蒸発乾燥処理のために消費される熱エネルギーも低減される。これによって、コストダウンを図ることが可能となる。
以上のように、本実施形態の水処理システム100aによれば、高アルカリの環境下においてRO膜47を使用する場合であっても、ファウリング等によってもたらされるRO膜47の目詰まりの可能性を低く抑え、高い濃縮度まで廃液を濃縮できるようにすることによって、コストダウン及び稼働率向上の両方を実現することが可能となる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態の水処理システムについて説明する。
なお、本実施形態は、第1の実施形態の変形例であるので、以下の説明において、第1の実施形態と同一部分については、同一符号を用いて示し、重複説明を避ける。
図7は、第2の実施形態の水処理システムの構成例を示すブロック図である。
すなわち、第2の実施形態の水処理システム100bは、バブル生成装置60からのバブル移送ライン80が、導入ユニット30のみならず、前処理ユニット10の固形分除去装置12へも接続されているという構成が水処理システム100aと異なる。
このような構成により、水処理システム100bは、バブル生成装置60からの、バブルfを含む脱塩水d’が、導入ユニット30のみならず、前処理ユニット10の固形分除去装置12へも供給され、被処理水aと混合され、被処理水aにバブルfが溶存するようになる。
被処理水aは、前処理ユニット10によって処理され、被脱気水bとなって導入ユニット30の液混和槽31へ送液されるが、液混和槽31において再び、バブルfを含む脱塩水d’と混合された後に、脱塩ユニット40へ送液される。
このように、バブルfが、固定分除去装置12及び液混和槽31の両方に移送される構成であっても、各RO膜47におけるスケール析出やバイオファウリングの発生が抑制されるので、水処理システム100bもまた、水処理システム100aと同様に、運転稼働率の向上及びコストダウンの両方を実現することが可能となる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態の水処理システムについて説明する。
本実施形態もまた、第1の実施形態の変形例であるので、以下の説明において、第1の実施形態と同一部分については、同一符号を用いて示し、重複説明を避ける。
図8は、第3の実施形態の水処理システム100cの構成例を示すブロック図である。
すなわち、第3の実施形態の水処理システム100cは、バブル生成装置60の代わりに、バブル生成装置70を備えている。バブル生成装置70は、バブルfを生成するために、脱気装置20からのガスcを使用せず、周囲から取り込んだ空気を使用する。脱気装置20からのガスcは、環境に放出される。
図9は、バブル生成装置70の構成例を示す概念図である。
図9に例示するバブル生成装置70もまた、図5と同様にベンチュリー式バブル生成装置を示しており、断面積の縮小と拡大を有するベンチュリー管61と、ベンチュリー管61に接続され、周囲から空気を取り込むためのガス導入ライン62とから構成される。
最終ユニット49からの脱塩水d’が、ポンプ53によって、濃縮水ライン52Dを介してベンチュリー管61へ送液される。一方、周囲からの空気が、ガス導入ライン62から導入される。
ガス導入ライン62は、ベンチュリー管61の断面積が最小となるノズル部63よりも上流側でベンチュリー管61に接続されている。これによって、脱塩水dは、空気と混合され、空気の気泡を含んだ状態で、ノズル部63に進入する。
空気の気泡を含んだ状態で脱塩水d’がノズル部63を通過すると、急激な減圧によって、空気の気泡は膨張し、続いて生じる急激な圧力回復によって気泡は微細に粉砕されてバブルfが発生する。
このようにしてバブル生成装置70によって生成されたバブルfを含む脱塩水d’は、前述したバブル移送ライン80を介して液混和槽31へ移送される。
バブル生成装置70によって生成されるバブルfもまた、バブル生成装置60によって生成されるバブルfと同様に、ファインバブルと呼ばれる平均径1000nm以下、好ましくは150nm以下のバブルであることが望ましい。
このように、脱気装置20からのガスcの代わりに、周囲から取り込んだ空気を用いてバブルfを生成する構成であっても、各RO膜47におけるスケール析出やバイオファウリングの発生が抑制されるので、水処理システム100cもまた、水処理システム100aと同様に、運転稼働率の向上及びコストダウンの両方を実現することが可能となる。
なお、バブル生成装置70は、バブルfを生成するために、前述したように周囲から取り込んだ空気を利用する代わりに、空気ボンベから取り込んだ空気を利用したり、二酸化炭素ボンベから取り込んだ二酸化炭素を利用しても良い。特に、二酸化炭素ボンベから取り込まれた二酸化炭素を利用して生成されたバブルfは、空気を利用して生成されたバブルfよりも、CO2含有量が高い。このため、二酸化炭素ボンベから取り込まれた二酸化炭素を利用して生成したバブルfを使用する場合、バブルの殺菌効果はより高くなり、バイオファウリング抑制効果をより高めることも可能となる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態の水処理システムについて説明する。
なお、本実施形態は、第3の実施形態の変形例であるので、以下の説明において、第1及び第3の実施形態と同一部分については、同一符号を用いて示し、重複説明を避ける。
図10は、第4の実施形態の水処理システムの構成例を示すブロック図である。
すなわち、第4の実施形態の水処理システム100dは、バブル生成装置70からのバブル移送ライン80が、導入ユニット30のみならず、前処理ユニット10の固形分除去装置12へも接続されているという構成が水処理システム100cと異なる。
このような構成により、水処理システム100cは、バブル生成装置70からの、バブルfを含む脱塩水d’が、導入ユニット30のみならず、前処理ユニット10の固形分除去装置12へも移送され、被処理水aと混合され、被処理水aにバブルfが溶存するようになる。
被処理水aは、前処理ユニット10によって処理され、被脱気水bとなって導入ユニット30の液混和槽31へと移送されるが、液混和槽31において再び、バブルfを含む脱塩水d’と混合された後に、脱塩ユニット40へ送液される。
このように、空気を使用して生成されたバブルfが、固定分除去装置12及び液混和槽31の両方に移送される構成であっても、各RO膜47におけるスケール析出やバイオファウリングの発生が抑制されるので、水処理システム100dもまた、水処理システム100aと同様に、運転稼働率の向上及びコストダウンの両方を実現することが可能となる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態の水処理システムについて説明する。
本実施形態もまた、第1の実施形態の変形例であるので、以下の説明において、第1の実施形態と同一部分については、同一符号を用いて示し、重複説明を避ける。
図11は、第5の実施形態の水処理システム100eの構成例を示すブロック図である。
すなわち、第5の実施形態の水処理システム100eは、バブル生成装置60の代わりに、バブル生成装置75を備えている。脱気装置20からのガスcは、環境に放出される。バブル生成装置75は、脱塩水dを減圧することによって、バブルfを生成する。
図12は、バブル生成装置75の構成例を示す概念図である。
図12に例示するバブル生成装置75もまた、ベンチュリー式バブル生成装置であり、断面積の縮小と拡大を有するベンチュリー管61から構成される。断面積が縮小された部分はノズル部63である。
最終ユニット49からの脱塩水d’が、ポンプ53によって、濃縮水ライン52Dを介してベンチュリー管61へ送液される。
脱塩水d’がノズル部63を通過すると、急激な減圧によって、脱塩水d’に溶存している気体が膨張して気泡が生じ、続いて生じる急激な圧力回復によって気泡は微細に粉砕されてバブルfが発生する。
このようにしてバブル生成装置75によって生成されたバブルfを含む脱塩水d’は、前述したバブル移送ライン80を介して液混和槽31へ移送される。
バブル生成装置75によって生成されるバブルfもまた、バブル生成装置60によって生成されるバブルfと同様に、ファインバブルと呼ばれる平均径1000nm以下、好ましくは150nm以下のバブルであることが望ましい。
このように、脱気装置20からのガスcではなく、脱塩水d’に溶存している気体を利用してバブルfを生成する構成であっても、各RO膜47におけるスケール析出やバイオファウリングの発生が抑制されるので、水処理システム100eもまた、水処理システム100aと同様に、運転稼働率の向上及びコストダウンの両方を実現することが可能となる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態の水処理システムについて説明する。
なお、本実施形態は、第5の実施形態の変形例であるので、以下の説明において、第1及び第5の実施形態と同一部分については、同一符号を用いて示し、重複説明を避ける。
図13は、第6の実施形態の水処理システムの構成例を示すブロック図である。
すなわち、第6の実施形態の水処理システム100fは、バブル生成装置75からのバブル移送ライン80が、導入ユニット30のみならず、前処理ユニット10の固形分除去装置12へも接続されているという構成が水処理システム100eと異なる。
このような構成により、水処理システム100fは、バブル生成装置75からの、バブルfを含む脱塩水d’が、導入ユニット30のみならず、前処理ユニット10の固形分除去装置12へも供給され、被処理水aと混合され、被処理水aにバブルfが溶存するようになる。
被処理水aは、前処理ユニット10によって処理され、被脱気水bとなって導入ユニット30の液混和槽31へと移送されるが、液混和槽31において再び、バブルfを含む脱塩水d’と混合された後に、脱塩ユニット40へ送液される。
このように、脱塩水d’に溶存している気体を利用して生成されたバブルfが、固定分除去装置12及び液混和槽31の両方に移送される構成であっても、各RO膜47におけるスケール析出やバイオファウリングの発生が抑制されるので、水処理システム100fもまた、水処理システム100aと同様に、運転稼働率の向上及びコストダウンの両方を実現することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。