JP7118412B2 - バンコマイシン懸濁液充填カプセル製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、バンコマイシン又はその塩を含む懸濁液が充填されたカプセル製剤等に関する。
バンコマイシンはグリコペプチド系抗生物質であり、幅広い抗菌スペクトルを有することから、広く用いられている。しかし、バンコマイシンは加水分解し易いという性質を持ち、このために通常は凍結乾燥品(例えばバイアル入り凍結乾燥品)として市場に供給されている。通常、使用時には当該凍結乾燥品を水で溶解し、これを数回分(例えば4~6回分)に分けて分割投与する。一度に使用しきれない場合には、溶解液を冷蔵保存する。
このように、凍結乾燥品は使用時に非常に手間がかかるため、バンコマイシンが安定であって且つ服用性の良い製剤(特に経口製剤)が求められている。
米国特許出願公開第2009/0232888号明細書 中国特許出願公開第101991557号明細書 国際公開第2001/047542号
バンコマイシン塩酸塩散0.5g「MEEK」添付文書(第9版)
本発明は、バンコマイシンが安定に含まれ且つ服用性の良い製剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、平均分子量300~500のポリエチレングリコール及びバンコマイシン又はその塩を含む懸濁液をカプセルに充填させることによって、バンコマイシンが安定に保持され得ることを見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。
本発明は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
(A)バンコマイシン又はその塩、及び
(B)平均分子量300~500のポリエチレングリコール
を含む懸濁液が充填されたハード若しくはソフトカプセル製剤。
項2.
(B)成分が、平均分子量320~480のポリエチレングリコールである、項1に記載のカプセル製剤。
項3.
(A)成分が、バンコマイシン塩酸塩である、項1又は2に記載のカプセル製剤。
項4.
前記懸濁液が、実質的に水を含まない、項1~3のいずれかに記載のカプセル製剤。
項5.
前記懸濁液に含まれる(A)成分及び(B)成分の質量比が、1:0.1~3である、項1~4のいずれかに記載のカプセル製剤。
項6.
前記懸濁液が、(A)成分及び(B)成分のみからなる懸濁液である、項1~5のいずれかに記載のカプセル製剤。
項7.
(A)バンコマイシン塩酸塩、及び
(B)平均分子量320~480のポリエチレングリコール
のみからなり、(A)成分及び(B)成分の質量比が、1:0.1~3である懸濁液が充填されたハード若しくはソフトカプセル製剤。
本発明に係るカプセル製剤であれば、バンコマイシン又はその塩が安定に保持され、かつ経口製剤であって保存や服用時の取り扱いも簡便である。カプセル製剤がソフトカプセル製剤の場合には、バンコマイシン又はその塩の安定性が特に優れる。また、バンコマイシン又はその塩の溶解性にも優れる。
バイアル瓶内で各比率になるようバンコマイシン塩酸塩とPEG400とを混合して懸濁液を調製し、40℃、75%RHの条件下で保管(4週間)し、HPLCにてバンコマイシン塩酸塩の純度を分析した結果を示す。 バンコマイシン塩酸塩とPEG300,400,又は600との質量比率が2:3となるようバイアル瓶内で混合して懸濁液を調製し、40℃、75%RHの条件下で保管(12週間)し、HPLCにてバンコマイシン塩酸塩の純度を分析した結果を示す。 バンコマイシン塩酸塩:PEG400=2:3(質量比)で混合して調製した懸濁液をソフトカプセルに充填してソフトカプセル製剤を製造し、25℃、60%RHの条件下で24週間保管し、HPLCにてバンコマイシン塩酸塩の純度を分析した結果を示す。 バンコマイシン塩酸塩:PEG400=2:3(質量比)で混合して調製した懸濁液をソフトカプセルに充填してソフトカプセル製剤を製造し、40℃、75%RHの条件下で24週間保管し、HPLCにてバンコマイシン塩酸塩の純度を分析した結果を示す。 表記する各実施例及び比較例の各製剤を40℃、75%RHの条件下で保管(4週間)し、HPLCにてバンコマイシン塩酸塩の純度を分析した結果を示す。 バンコマイシン塩酸塩:PEG400=2:3(質量比)で混合して調製した懸濁液をハードカプセルに充填してハードカプセル製剤を製造し、40℃、75%RHの条件下で4週間保管し、HPLCにてバンコマイシン塩酸塩の純度を分析した結果を示す。 バンコマイシン塩酸塩:PEG400=2:3(質量比)で混合して調製した懸濁液をハードカプセルに充填してハードカプセル製剤を製造し、25℃、60%RHの条件下で4週間保管し、HPLCにてバンコマイシン塩酸塩の純度を分析した結果を示す。
以下、本発明の各実施形態について、さらに詳細に説明する。
本発明に包含されるカプセル製剤は、懸濁液が充填されており、当該懸濁液は、(A)バンコマイシン又はその塩、及び(B)平均分子量300~500のポリエチレングリコール(PEG)を含む。当該カプセル製剤は、ハードカプセル製剤であってもソフトカプセル製剤であってもよい。なお、本明細書では、バンコマイシン又はその塩を(A)成分、平均分子量300~500のポリエチレングリコールを(B)成分、とよぶことがある。
(A)成分としては、バンコマイシン又は薬理学的に許容されるその塩が好ましい。当該塩としては、例えば有機塩又は無機塩であってよく、より具体的には、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機塩、酢酸塩、フマル酸塩などの有機塩を挙げることができる。中でも塩酸塩が好ましい。
(B)成分としては、平均分子量320~480のポリエチレングリコールが好ましい。当該平均分子量の下限は、330、340、350、360、370、380、又は390程度であってもよい。また、当該平均分子量の上限は、470、460、450、440、430、420、又は410程度であってもよい。例えば、平均分子量350~450のポリエチレングリコールがより好ましく、平均分子量370~430のポリエチレングリコールがさらに好ましく、平均分子量380~420のポリエチレングリコールがよりさらに好ましい。
(B)成分としては、市販品を購入して用いることもできる。好適な市販品として、例えばマクロゴール(より具体的には例えばマクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール500等)を挙げることができる。
なお、(B)成分の平均分子量は、第十七改正日本薬局方のマクロゴール400の欄に記載の方法によって測定する。より具体的には、次のようにして行う。
無水フタル酸42gをとり、新たに蒸留したピリジン300mLを正確に量って入れた1Lの遮光した共栓瓶に加え、強く振り混ぜて溶かした後、16時間以上放置する。この液25mLを正確に量り、約200mLの耐圧共栓瓶に入れ、これに被験物(平均分子量を測定するポリエチレングリコール)約1.5gを精密に量って加え、密栓し、丈夫な布でこれを包み、あらかじめ98±2℃に加熱した水浴中に入れる。この際瓶の中の液が水浴の液の中に浸るようにする。98±2℃で30分間保った後、水浴から瓶を取り出し、室温になるまで空気中で放冷する。次に0.5mol/L水酸化ナトリウム液50mLを正確に加え、更にフェノールフタレインのピリジン溶液(1→100)5滴を加え、この液につき、0.5mol/L水酸化ナトリウム液で滴定〈2.50〉する。ただし、滴定の終点は液が15秒間持続する淡赤色を呈するときとする。同様の方法で空試験を行う。平均分子量=(M×4000)/(a-b)
M:本品の秤取量(g)
a:空試験における0.5mol/L水酸化ナトリウム液の消費量(mL)
b:被験物の試験における0.5mol/L水酸化ナトリウム液の消費量(mL)
(A)成分及び(B)成分を含む懸濁液は、(A)成分及び(B)成分、並びに必要に応じてその他の成分を混合して懸濁することで調製することができる。
当該混合は、例えばホモミキサーを用いて行うことができる。また、用いるその他成分は、本発明の効果を損なわない範囲で添加する。
このようなその他成分としては、例えば、pH調整剤、懸濁化剤、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤、抗酸化剤、保存剤等が挙げられる。より具体的には、例えば、pH調整剤としては、塩酸、水酸化ナトリウム、乳酸、リン酸二水素ナトリウム等が挙げられ、懸濁化剤としては、メチルセルロース、ポリソルベート80、アラビアゴム、トラガント末、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられ、溶解補助剤としては、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド等が挙げられ、安定化剤としては、亜硫酸ナトリウム等が挙げられ、等張化剤としては、塩化ナトリウム、ぶどう糖等が挙げられ、保存剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、ソルビン酸等が挙げられる。
また、当該懸濁液は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他成分として、水を含んでもよいが、バンコマイシンは加水分解し易いという性質を持つことから、水はバンコマイシンの安定性を損なうおそれが高いため、水を用いる場合には注意すべきである。水はできるだけ少量用いるか、あるいは用いないことが好ましい。すなわち、当該懸濁液は、実質的に水を含まないことが好ましい。なお、実質的に水を含まないとは、本発明の効果を損なわない程度の水が不可避的に含まれる場合を包含する。例えばハード若しくはソフトカプセル皮膜由来の水が不可避的に含まれる場合を包含する。より具体的には、例えば、懸濁液調製時に水を加えていなくとも、(A)成分はやや吸湿性を示すことから、懸濁液をソフトカプセルに充填した後にソフトカプセル皮膜に含有される微量の水が懸濁液に吸収される可能性も考えられる。しかし、このような場合であっても、当該ソフトカプセル皮膜水分吸水後の懸濁液は「実質的に水を含まない」ものに該当する。
懸濁液が当該その他成分を含有する場合における、その他成分の総計含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば制限されない。例えば、0.1~10質量%、0.5~5質量%、1~2質量%、等が例示される。
また、当該懸濁液は、(A)成分及び(B)成分のみからなる懸濁液であることが、特に好ましい。この場合の「(A)成分及び(B)成分のみからなる」は、本発明の効果を損なわない程度の成分(特に水)が不可避的に含まれる場合を包含する。例えばハード若しくはソフトカプセル皮膜由来の水が不可避的に含まれる場合を包含する。より具体的には、例えば、懸濁液調製時に水を加えていなくとも、(A)成分はやや吸湿性を示すことから、(A)成分と(B)成分のみを用いて調製した懸濁液をソフトカプセルに充填した後にソフトカプセル皮膜に含有される微量の水が懸濁液に吸収される可能性も考えられる。しかし、このような場合であっても、当該ソフトカプセル皮膜水分吸水後の懸濁液は「(A)成分及び(B)成分のみからなる」ものに該当する。
なお、前述の通り(A)成分はやや吸湿性を示すため、特にソフトカプセルに当該懸濁液を充填した場合、ソフトカプセル皮膜に含まれる水分が懸濁液に吸収されて、当該水分によりバンコマイシンが加水分解されるおそれ、並びに水分を吸収されたソフトカプセル皮膜が脆くなる(ひび割れる)おそれ、が考えられるため、(A)成分及び(B)成分のみからなる懸濁液は好ましくないと予測されたが、意外なことに(A)成分及び(B)成分のみからなる懸濁液をソフトカプセルに充填した場合に特に良好なバンコマイシン安定性が得られ、また皮膜が特に脆くなり実用的でなくなることも無い。
また、当該懸濁液に含まれる(A)成分及び(B)成分の質量比((A)成分:(B)成分)は、好ましくは1:0.1~3であり、より好ましくは1:0.2~2であり、さらに好ましくは1:1.2~2.5である。
本発明に用いるソフトカプセルとしては、公知のソフトカプセルを適宜選択して用いることができる。例えば、基剤と可塑剤とを含有するソフトカプセルを用いることができる。基剤としては、例えばゼラチンを用いることができる。つまり、本発明に用いるソフトカプセルとして、ゼラチン皮膜ソフトカプセルを好適に用いることができる。また、可塑剤としては、例えばグリセリン、ソルビトール等を用いることができる。特に限定はされないが、例えばゼラチン皮膜の場合には、ゼラチン、グリセリン、ソルビトール、及び水を含むものが好ましい。
ソフトカプセル製剤の製造方法も特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えばロータリー式製法(打ち抜き法ともいわれる)、シームレス式製法(滴下法ともいわれる)等を用いることができる。
本発明に用いるハードカプセルとしては、公知のハードカプセルを適宜選択して用いることができる。例えば、基剤としてゼラチン、ヒプロメロース、及びプルラン等を用いたハードカプセルが例示できる。本発明に用いるハードカプセルとして、ゼラチン皮膜ハードカプセルが特に好ましい。
なお、ハードカプセルは、空のボディとキャップ1組からなり、このため液体を重点するにはシーリングが必要であるが、ソフトカプセルではシーリングの必要はない。また、ソフトカプセルの方が一般に表面が滑らかで服用しやすいと言われている。
また、ハードカプセルとソフトカプセルとは、第十七改正日本薬局方では、それぞれ硬カプセル、軟カプセルと規定されており、本発明もこれに従う。
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。
以下、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
バンコマイシン塩酸塩は日本アクセリア株式会社から購入して用いた。PEG400(平均分子量400のポリエチレングリコール)は、日油株式会社から購入して用いた。なお、バンコマイシン塩酸塩は白色粉末である。
また、懸濁液の調製は、「ホモミキサー」(型式HV-M(特殊機化工業株式会社))を用いて、各原料を一度に15分間攪拌混合することで行った。
バンコマイシン塩酸塩とPEG400との懸濁液を、ゼラチン皮膜ソフトカプセルへ充填してソフトカプセル製剤を製造した。当該充填は、ロータリー全自動式ソフトカプセル成型機(型式H-1(株式会社カマタ))を用いて行った。懸濁液は1カプセル当たり312.5mg充填した。
なお、ゼラチン皮膜は、ゼラチン:濃グリセリン:D-ソルビトール:精製水を質量比で5:1:1:5で混合して得た混合液を用いて調製した。(1ソフトカプセル当たり、当該混合液250mgを使用)
バンコマイシン塩酸塩とPEG400との混合比率の検討
バンコマイシン塩酸塩とPEG400とを、以下の質量比でバイアル瓶内で混合して懸濁液を調製した。
<各懸濁液の混合比率>
(参考例1)バンコマイシン塩酸塩:PEG400=5:1
(参考例2)バンコマイシン塩酸塩:PEG400=2:1
(参考例3)バンコマイシン塩酸塩:PEG400=1:1
(参考例4)バンコマイシン塩酸塩:PEG400=2:3
(参考例5)バンコマイシン塩酸塩:PEG400=1:2
(参考例6)バンコマイシン塩酸塩:PEG400=1:4
得られた参考例1~6の懸濁液を、封をしたバイアル瓶のまま、40℃、75%RH(相対湿度)の条件下で4週間保管した。保管前(検討開始時)、保管10日後、保管14日後、及び保管28日後に高速液体クロマトグラフ(HPLC)にてバンコマイシン塩酸塩の純度(検討開始時を100%とした時の残存割合)を測定した。
なお、HPLC測定は、第十七改正日本薬局方の「バンコマイシン塩酸塩」の「純度試験(2)類縁物質」に記載の方法に準じて行った。より具体的には、次の条件で行った(以下のHPLC測定検討でも同じ条件で行った)。
・移動相A:pH3.2トリエチルアミン緩衝液,アセトニトリル,テトラヒドロフラン(92:7:1)
・移動相B:pH3.2トリエチルアミン緩衝液,アセトニトリル,テトラヒドロフラン(70:29:1)
・機器条件:送液速度1.5mL/min,波長280nm,サンプル投入量20μL
HPLCに供する測定用サンプルは、バンコマイシン塩酸塩濃度が2mg/mLになるよう、各懸濁液を移動相Aに溶解させたものを用いた。
用いるポリエチレングリコール(PEG)の平均分子量の検討
バンコマイシン塩酸塩と、次に示す各平均分子量のポリエチレングリコール(PEG300、PEG400、又はPEG600)とを、質量比2:3でバイアル瓶内で混合して懸濁液を調製した。
<各懸濁液の混合比率>
(参考例A)バンコマイシン塩酸塩:PEG300=2:3
(参考例B)バンコマイシン塩酸塩:PEG400=2:3
(参考例C)バンコマイシン塩酸塩:PEG600=2:3
当該各懸濁液を、封をしたバイアル瓶のまま、40℃、75%RH(相対湿度)の条件下で2週間保管した。保管14日後に高速液体クロマトグラフ(HPLC)にてバンコマイシン塩酸塩の純度を測定した。結果を図2に示す。なお図2では、バンコマイシン塩酸塩は原薬と表記されている。
バンコマイシン塩酸塩懸濁液充填ソフトカプセルの調製及び検討
(実施例1)
上記の検討において、最も保存性に優れた混合比率(バンコマイシン塩酸塩:PEG400=2:3)を採用し、当該質量比でこれらを混合した懸濁液をソフトカプセルに充填してソフトカプセル製剤を調製した。
当該ソフトカプセル製剤を、「25℃、60%RH」又は「40℃、75%RH」の条件下で24週間保管した。保管前、保管1週間後、2週間後、4週間後、8週間後、12週間後、及び24週間後に高速液体クロマトグラフ(HPLC)にてバンコマイシン塩酸塩の純度を測定した。なお、バンコマイシン塩酸塩(単体)の粉末についても、同様の条件下で保管し、純度を測定した。なお、バンコマイシン塩酸塩(単体)の粉末の純度測定は、移動相Aで当該粉末を溶解し(バンコマイシン塩酸塩濃度:2mg/mL)、これをHPLC測定に供した。
結果を図3(「25℃、60%RH」)及び図4(「40℃、75%RH」)に示す。なお、これらの図では、「API」はバンコマイシン塩酸塩(単体)の粉末を、「PEG400含有SC」は被験ソフトカプセル製剤を、それぞれ示す。
各製剤との比較検討
(比較例1)
米国特許出願公開第2009/0232888号明細書の製剤3(表3)の即放部の組成を参考にして、バンコマイシン塩酸塩、PEG400、及びGelucireを質量比34:16:15で混合して混合液を調製し、これをゼラチンハードカプセルに充填してカプセル製剤を製造した(当該混合液200mg/1カプセル)。但し、Gelucireは湯浴で溶かした状態にしてから混合し、固まる前にカプセルに充填した。このため、充填後、常温になるとカプセル内の混合液は固体になった。
(比較例2)
中国特許出願公開第101991557号明細書の実施例2の組成を参考にして、バンコマイシン塩酸塩、グリセリン、大豆油、PEG400、レシチン、及びL-システインを質量比25:3:10:40:5:1で混合して懸濁液を調製し、ゼラチンハードカプセルに充填してカプセル製剤を製造した(当該懸濁液200mg/1カプセル)。
(比較例3)
用いたPEGをPEG400からPEG600へと変更した以外は、比較例2と同様にして、カプセル製剤を調製した。
(比較例4)
国際公開第2001/047542号の実施例1の組成を参考にして、バンコマイシン塩酸塩を500mg、PEG400を100mg、精製水を5mL、混合し、当該混合液をバイアル充填した後、凍結乾燥して、凍結乾燥製剤を調製した。
(比較例5)
さらにマンニトール100mgを加えて混合して混合液を調製したこと以外は、比較例4と同様にして、凍結乾燥製剤を調製した。(当該凍結乾燥製剤は、バンコマイシン塩酸塩散0.5g「MEEK」添付文書(第9版)に記載される市販品と同様の製剤と考えられる。)
なお、比較例1~3で用いたゼラチンハードカプセルは、クオリカプス社から購入したもの(2号ハードカプセル)である。
これら比較例1~5の製剤と、実施例1のソフトカプセル製剤とを、40℃、75%RH(相対湿度)の条件下で4週間保管した。保管前、保管1週間後、保管2週間後、及び保管4週間後に高速液体クロマトグラフ(HPLC)にてバンコマイシン塩酸塩の純度を測定した。結果を図5に示す。
バンコマイシン塩酸塩懸濁液充填ハードカプセルの調製及び検討
上記ソフトカプセルの調製及び検討と同様に、バンコマイシン塩酸塩:PEG400=2:3の質量比でこれらを混合した懸濁液を、ハードカプセルに充填して、ハードカプセル製剤を調製した。
なお、ハードカプセルはゼラチン皮膜ハードカプセル(クオリカプス製)を用いた。また、カプセル充填機(型式:LIQFIL super40)を用いて懸濁液をハードカプセルに充填し、さらに、液漏れを防ぐためにカプセルシール機(型式:HICAPSEAL 40)を用いてシールをした。用いたシールの原料はゼラチンであった。
そして、当該ハードカプセル製剤を、「40℃、75%RH」又は「25℃、60%RH」の条件下で4週間保管した。保管前、保管1週間後、2週間後、及び4週間後に高速液体クロマトグラフ(HPLC)にてバンコマイシン塩酸塩の純度を測定した。なお、バンコマイシン塩酸塩(単体)の粉末についても、同様の条件下で保管し、純度を測定した。なお、バンコマイシン塩酸塩(単体)の粉末の純度測定は、移動相Aで当該粉末を溶解し(バンコマイシン塩酸塩濃度:2mg/mL)、これをHPLC測定に供した。
結果を図6(「40℃、75%RH」)及び図7(「25℃、60%RH」)に示す。なお、これらの図では、「API」はバンコマイシン塩酸塩(単体)の粉末を、「PEG400含有HC」は被験ハードカプセル製剤を、それぞれ示す。

Claims (6)

  1. (A)バンコマイシン又はその塩、及び
    (B)平均分子量300~500のポリエチレングリコール
    を含み、実質的に水を含まない懸濁液が充填されたハード若しくはソフトカプセル製剤。
  2. (B)成分が、平均分子量320~480のポリエチレングリコールである、請求項1に記載のカプセル製剤。
  3. (A)成分が、バンコマイシン塩酸塩である、請求項1又は2に記載のカプセル製剤。
  4. 前記懸濁液に含まれる(A)成分及び(B)成分の質量比が、1:0.1~3である、請求項1~のいずれかに記載のカプセル製剤。
  5. 前記懸濁液が、(A)成分及び(B)成分のみからなる懸濁液である、請求項1~のいずれかに記載のカプセル製剤。
  6. (A)バンコマイシン塩酸塩、及び
    (B)平均分子量320~480のポリエチレングリコール
    のみからなり、(A)成分及び(B)成分の質量比が、1:0.1~3である懸濁液が充填されたハード若しくはソフトカプセル製剤。
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