JP7117495B2 - 樹脂含有木質材料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂含有木質材料及びその製造方法に関する。
ウォルナット、メープル等の天然大径木から製材した板材は、高級感があり人気がある一方、これらの樹木は成長に時間がかかり、植林による供給ができないという問題がある。ただ、ウォルナット、メープル等の天然大径木から製材した板材が醸し出す高級感を求める需要は根強く、これに応えるために様々な工夫がなされてきた。例えば、比較的安価で成長が早く、植林にて十分に供給可能な樹種(いわゆる早生樹)を製材して、例えば黒色の顔料あるいは染料で着色するという試みが行われてきた。しかし、従来の方法では、製材された板材全体が均一に黒色に着色されてしまい、本物とは程遠い、単なる色の付いた板材を得ることができるに過ぎなかった。
そこで、早生樹に対して、特許文献1で提案されているように、高温高圧の水蒸気内で木材を熱処理して着色する方法を用いることが考えられる。
特開平8-155909号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法においては、熱処理の最終段階において高圧状態から大気圧に降圧する際、木材の表面が過度に乾燥し、割れを生じやすいといった問題がある。特に、早生樹等に代表される年輪幅が広い樹種に関しては、年輪の曲率が大きいために、寸法変化に異方性が発生してしまう。そして、これらの木材が乾燥する際、局部的に大きな収縮応力が発生することから、乾燥割れが極めて発生しやすいといった問題があった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、熱処理後の乾燥による割れの発生が少なく、高い硬度を有する樹脂含有木質材料及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第一の態様に係る樹脂含有木質材料は、木口面において、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり5%以上60%未満である木質材料と、道管の内部に浸透し、重量平均分子量が3000~20000であるポリアルキレングリコールとを有し、ポリアルキレングリコールの含率が30~70質量%である。
本発明の第二の態様に係る樹脂含有木質材料の製造方法は、木口面において、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり5%以上60%未満である木質材料に、重量平均分子量が3000~20000のポリアルキレングリコールを含浸させる工程を有し、樹脂含有木質材料におけるポリアルキレングリコールの含率が30~70質量%である。
本開示によれば、熱処理後の乾燥による割れの発生が少なく、高い硬度を有する樹脂含有木質材料及びその製造方法を提供することができる。
実施例で用いた木質材料の木口面をマイクロスコープで撮影した写真において、道管を黒で着色した状態を示す写真である。 実施例で用いた木質材料の木口面をマイクロスコープで撮影した写真において、1年輪の領域を黒で着色した状態を示す写真である。
以下、本実施形態に係る樹脂含有木質材料、及び当該樹脂含有木質材料の製造方法について詳細に説明する。
[樹脂含有木質材料]
上述のように、早生樹は、成長が早く比較的安価であることから、植林にて十分に供給することが可能な樹種である。ただ、早生樹は、広年輪幅の部分が広く年輪の曲率が大きいことから寸法変化に異方性が発生してしまう。そのため、これらの木材が乾燥する際、局部的に大きな収縮応力が発生し、乾燥割れが発生しやすくなる。
そこで、本実施形態の樹脂含有木質材料は、所定のポリアルキレングリコールを木質材料の道管の内部に含浸することにより、寸法安定性の向上と硬度向上を図っている。これにより、広年輪幅の部分や厚い木材であっても割れを抑制することが可能となり、早生樹の課題であった硬度も向上させることができる。以下、本実施形態の樹脂含有木質材料の各構成要素について順次説明する。
(木質材料)
本実施形態において使用する木質材料は、木口面において、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり5%以上60%未満である。ここで、木材(広葉樹)においては、道管の並び方により、散孔材及び環孔材の大きく2つに分類される。散孔材は、道管が無秩序に散在している木材である。また、環孔材は、断面積の大きな道管が年輪に沿って環状に配列している木材である。本実施形態においては、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり5%以上60%未満であれば、散孔材及び環孔材のいずれの木材も使用することができる。すなわち、道管径が30μm~200μmである道管を所定の面積比率で有する木材であれば、所定の重量平均分子量のポリアルキレングリコールを含浸することができ、寸法安定性及び硬度の向上を図ることができる。
本実施形態において、木質材料は、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり5%以上60%未満であることを満たせばよく、道管径30μm未満又は200μm超の道管の存在を排除するものではない。また、上記の道管の断面面積比率の条件を満たす限り、年輪の新旧は問わない。さらに、道管の内部にポリアルキレングリコールを含浸させた場合でも、木質材料の道管径は変化しない。
なお、木質材料の道管径は、次のように測定することができる。まず、木質材料の木口面を観察して、道管の実際の面積を測定する。次に、道管の面積と等しい面積を持つ円を求めた後、当該円の直径を道管径とする。
本実施形態において用いる木質材料において、道管の断面面積比率が5%未満であると、木材内部への液体浸透経路が不足するため、所定の重量平均分子量のポリアルキレングリコールを30質量%以上含浸することができない。また、道管の断面面積比率が60%以上であると、木材内部の液体浸透経路は十分であるが、逆に木質部が少なくなってしまうため、木質材料が本来保有する強度特性が大幅に低下してしまう。そのため、当該道管の断面面積比率は、5%以上60%未満が好ましく、10%以上50%以下がより好ましい。
本実施形態における木質材料としては、主に日本をはじめ東南アジア等で短期間に大径木となる早生植林木が好ましい。具体的には、木質材料は、センダン、チャンチンモドキ、ハンノキ、ユリノキ、ユーカリ、ポプラ、アカシアマンギウム及びファルカタからなる樹種群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。なお、本実施形態の木質材料は、木口面において、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり5%以上60%未満である木材であればよく、早生植林木に限定されない。
また、木質材料は、含水率が高い生の状態であってもよく、含水率が低い乾燥状態であってもよい。木質材料の含水率が高い状態であっても、後述する製法により、道管中の水分とポリアルキレングリコールとを置換することができるため、樹脂含有木質材料を得ることができる。
(ポリアルキレングリコール)
本実施形態において、重量平均分子量が3000~20000のポリアルキレングリコールは、木質材料の乾燥時に発生する割れを抑制し、高い硬度を担保するために用いられる。すなわち、木質材料に上記特定の重量平均分子量のポリアルキレングリコールを含浸させると、当該ポリアルキレングリコールは木質材料の道管内において留まり、木質材料の収縮が抑制される。これは、ポリアルキレングリコールが、木質材料の道管内において周囲の木材成分、例えばセルロースと水素結合することで強固に吸着されるためと推察される。そのため、ポリアルキレングリコールにより木質材料の寸法安定性及び硬度が向上する。なお、本実施形態の技術的範囲は、このようなメカニズムによって効果が発現する実施態様に限定されない。
本実施形態において、ポリアルキレングリコールとしては、重量平均分子量が3000~20000のものであれば特に限定されないが、炭素数が3~8であるアルキレン基を有するポリアルキレングリコールが好ましい。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等を単独又は複数種用いることができる。あるいは、エチレングリコールとプロピレングリコールとを共重合させたものなど、アルキレン基が異なるアルキレングリコール同士を共重合させたものであってもよい。
上記の通り、本実施形態においては、重量平均分子量が3000~20000のポリアルキレングリコールを用いる。当該重量平均分子量が3000未満では、木質材料に対して寸法安定性向上効果と若干の硬度向上効果を付与することは可能であるが、ポリアルキレングリコールが容易に水中へと溶出するため、ポリアルキレングリコールの含浸効果を持続することができない。また、当該重量平均分子量が20000より大きいと、分子サイズが大きすぎるため、木質材料中の液体浸透経路に浸透することができず、寸法安定性や硬度の向上効果を発現することができない。なお、本実施形態において、ポリアルキレングリコールの重量平均分子量は、5000~10000であることがより好ましい。
本実施形態の樹脂含有木質材料において、ポリアルキレングリコールの含率は30~70質量%である。ポリアルキレングリコールの含率が30質量%未満では寸法安定性改善効果と硬度向上効果が不十分であり、乾燥時に割れが発生してしまう。また、ポリアルキレングリコールを、70質量%を超える量を含有させても、含有量に見合うだけの効果を期待することができない。
このように、本実施形態の樹脂含有木質材料は、木口面において、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり5%以上60%未満である木質材料を有する。樹脂含有木質材料は、さらに、道管の内部に浸透し、重量平均分子量が3000~20000であるポリアルキレングリコールを有する。そして、樹脂含有木質材料におけるポリアルキレングリコールの含率が30~70質量%である。このような樹脂含有木質材料は、ポリアルキレングリコールが道管内において留まり、木質材料の収縮が抑制される。そのため、樹脂含有木質材料を高温高圧の水蒸気内で熱処理を行った場合でも乾燥による割れの発生が少なく、高い硬度を維持することが可能となる。
また、樹脂含有木質材料は、乾燥による割れの発生が少なく、表面の意匠性が高いことから、化粧材として好適に用いることができる。
[樹脂含有木質材料の製造方法]
次に、本実施形態に係る樹脂含有木質材料の製造方法について説明する。なお、木質材料及びポリアルキレングリコールは、上述の樹脂含有木質材料で説明したものと同じであるため、それらの説明は省略する。
本実施形態の製造方法は、木口面において、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり5%以上60%未満である木質材料に、重量平均分子量が3000~20000のポリアルキレングリコールを含浸させる工程を有する。そして、樹脂含有木質材料におけるポリアルキレングリコールの含率は、30~70質量%である。
木質材料に、ポリアルキレングリコールを含浸するに際し、まず、ポリプロピレングリコールを適当な溶媒に溶解してポリアルキレングリコール溶液を調製することが好ましい。当該溶液の濃度は、木質材料におけるポリアルキレングリコールの含浸率(30~70質量%)よりも高い濃度とすることが好ましい。例えば、木質材料におけるポリアルキレングリコールの含浸率を30質量%とするには、ポリアルキレングリコール溶液の濃度は30質量%より高濃度、例えば40質量%とすることが好ましい。なお、ポリアルキレングリコールを溶解する溶媒としては、水、メタノールなどが挙げられる。
ポリアルキレングリコールを木質材料に含浸するには、木質材料をポリアルキレングリコール溶液に浸漬すればよい。その場合、ポリアルキレングリコールの含浸を早めるには、ポリアルキレングリコール溶液を満たされた耐圧容器に木質材料を投入した状態で加圧することが好ましい。この際、加圧する場合の圧力は特に限定されないが、例えば0.3~1MPaとすることが好ましい。また、浸漬時には加熱する必要はなく、温度は常温でよい。
ポリアルキレングリコール溶液に木質材料に浸漬した後、乾燥させて溶媒を除去することにより、ポリアルキレングリコールが含浸された木質材料、すなわち樹脂含有木質材料を得ることができる。
なお、当該樹脂含有木質材料を黒色系の色に着色するために、加熱処理を行ってもよい。着色するための加熱条件は特に限定されないが、例えば、130~150℃に加熱し、30~60分間保持すればよい。当該加熱は、木質材料にポリアルキレングリコールを含浸する工程に引き続き行ってもよい。例えば、木質材料をポリアルキレングリコール溶液に浸漬する際に加圧する場合、加圧状態を保持したまま着色のための加熱をすることができる。
以下、実施例及び比較例により本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
木口面において、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり50%のセンダン材(木質材料)を準備し、半径方向に40mm、接線方向に180mm、繊維方向に2000mmのサイズに加工した。次いで、重量平均分子量が3000のポリエチレングリコール(PEG 三洋化成株式会社製)を、水に溶解し、固形分が40質量%になるように調製した。
そして、当該ポリエチレングリコール溶液に、加工したセンダン材を浸漬させた。このセンダン材が浸漬された溶液を耐圧容器中において常温で保持し、雰囲気圧力を大気圧基準で0.7MPaで3時間加圧した。以上のようにして樹脂含有木質材料を得た。
得られた樹脂含有木質材料を、上記加圧状態とした状態で130℃の環境下で40分加熱することにより、着色処理を行った。
[実施例2]
木口面において、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり10%のセンダン材を使用したこと以外は実施例1と同様に処理して、樹脂含有木質材料を得た。
[実施例3]
ポリエチレングリコールとして、重量平均分子量が20000であるポリエチレングリコール(PEG 三洋化成株式会社製)を使用したこと以外は実施例1と同様に処理して、樹脂含有木質材料を得た。
[実施例4]
センダン材に代え、木口面において、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり50%のハンノキ材を使用した。また、ポリエチレングリコールの代わりに、重量平均分子量が3000のポリプロピレングリコール(PPG 三洋化成株式会社製)を使用した。それら以外は、実施例1と同様に処理して、樹脂含有木質材料を得た。
[実施例5]
ポリエチレングリコールの代わりに、重量平均分子量が20000であるポリプロピレングリコール(PPG 三洋化成株式会社製)を使用したこと以外は実施例1と同様に処理して、樹脂含有木質材料を得た。
[実施例6]
木口面において、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり30%のチャンチンモドキ材を使用したこと以外は実施例1と同様に処理して、樹脂含有木質材料を得た。
[比較例1]
ポリエチレングリコールを含む溶液のポリエチレングリコール濃度が20質量%にとなるように調製したこと以外は実施例1と同様に処理して、樹脂含有木質材料を得た。
[比較例2]
木口面において、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が70%のハンノキ材を使用したこと以外は実施例1と同様に処理して、樹脂含有木質材料を得た。
[比較例3]
木口面において、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり3%のセンダン材を使用したこと以外は実施例1と同様に処理して、樹脂含有木質材料を得た。
[比較例4]
センダン材を、ポリエチレングリコールを含む溶液に浸漬する代わりに水に浸漬したこと以外は実施例1と同様に処理して、木質材料を得た。
[比較例5]
ポリエチレングリコールとして、重量平均分子量が500であるポリエチレングリコール(PEG 三洋化成株式会社製)を使用したこと以外は実施例1と同様に処理して、樹脂含有木質材料を得た。
[比較例6]
ポリエチレングリコールとして、重量平均分子量が30000であるポリエチレングリコール(PEG 三洋化成株式会社製)を使用したこと以外は実施例1と同様に処理して、樹脂含有木質材料を得た。
[比較例7]
木口面において、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり0%のホワイトオーク材を使用したこと以外は実施例1と同様に処理して、樹脂含有木質材料を得た。なお、比較例7で用いたホワイトオーク材は、道管径が5μm以上30μm未満の道管と、道管径が250μm以上の道管とが存在する環孔材であった。
[比較例8]
木口面において、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり3%のウォルナット材を使用したこと以外は実施例1と同様に処理して、樹脂含有木質材料を得た。なお、比較例8で用いたウォルナット材は、道管径が10μm以上30μm未満の道管と、道管径が250μm以上の道管とが存在する環孔材であった。
木質材料の道管径、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率、及びポリアルキレングリコールの含浸率は以下のようにして測定した。
(i)道管径
各実施例及び比較例で得られた樹脂含有木質材料(比較例4は木質材料)を、5cm×3cm×0.5cmの直方体状のブロックに加工した。このブロックの断面(木口面)をカッターナイフで面出しし、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製 VHX-5000)で撮影したのち、画像解析ツールにて道管の面積を測定した。さらに、得られた道管の面積から円相当径を計算し、当該円相当径を道管の道管径とした。
(ii)道管の断面面積比率
上記(i)で加工したブロックの断面(木口面)を、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製 VHX-5000)で撮影したのち、画像解析ツールにて道管径が30μm~200μmである部分の面積比率を算出した。この面積比率の算出について図面を参照して説明する。図1は上記ブロックの断面(木口面)を示す写真であり、道管径が30μm~200μmである道管を黒で着色して示している。図2は1年輪の領域を黒で着色して示している。道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率は、図1の黒色部分の総面積を図2の黒色領域の面積で除した値である。
(iii)含浸率
各実施例及び比較例において、木質材料をポリアルキレングリコール溶液に含浸する前に100℃の乾燥機に投入して24時間保持し、その後、全乾質量を測定した(この測定値をAとする。)。次に、ポリアルキレングリコールを加圧含浸した後、同様に全乾重量を測定した(この測定値をBとする。)。そして、含浸前質量からの質量増加率((B-A)/A)を算出し、含浸率とした。
[評価]
各実施例及び比較例において作製した樹脂含有木質材料(比較例4は木質材料)に対して、以下の評価を行った。
(1)固着率
木質材料にPEG又はPPGが固着されているか確認するため、PEG又はPPGを加圧含浸した後の木質材料を100℃の乾燥機に投入して24時間保持し、その後全乾質量を測定した(この測定値をCとする。)。次いで、その木質材料を常温の水に24時間浸漬した後、上記と同様に全乾重量を測定した(この測定値をDとする。)。そして、得られた測定値C,Dから、質量減少率((C-D)/C)を算出した。水浸漬前後の質量減少の割合が20%未満の場合を「〇」とし、20%以上の場合を「×」として評価した。評価結果を表1、表2に示す。
(2)熱処理後の割れ
着色処理後の樹脂含有木質材料を5cm×3cm×0.5cmの直方体状のブロックに加工した。さらに、このブロックの中央部をカットし、表面と内部についてマイクロスコープで割れを確認した。最小割れが10μm以内(目視で判別不可能)の場合を「○」とし、最小割れが10μm以上の場合を「×」として評価した。評価結果を表1、表2に示す。
(3)硬度
硬度を評価するため、鋼球落下試験を実施した。具体的には、評価対象の樹脂含有木質材料に対して、500gの鋼球(半径:1/2インチ)を30cmの高さより落下させ、凹み量を測定した。凹み量が0.3mm未満の場合を「○」とし、0.3mm以上の場合を「×」として評価した。評価結果を表1、表2に示す。
Figure 0007117495000001
Figure 0007117495000002
実施例1~6より、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり5%以上60%未満の木質材料であれば、樹種を問わず、重量平均分子量3000~20000のポリアルキレングリコールを30質量%以上含浸することが可能である。そして、割れが発生せず、十分な硬度を有する樹脂含有木質材料を得ることができたことが分かる。以下、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率を、単に「道管断面面積比率」と称する。
比較例1においては、PEGの固形分率が20%の溶液では含浸率が10質量%であり、30質量%に達しなかった。そのため、寸法安定性改善効果と硬度向上効果が不十分なため、乾燥時に割れが発生してしまい、十分な硬度を確保できなかった。
比較例2においては、道管断面面積比率が70%のハンノキ材では十分なPEGが固着し、寸法安定性が改善されたため、割れを抑制することができた。しかし、空隙率が大きく木質部が少ないため、十分な硬度を得ることができなかった。
比較例3においては、道管断面面積比率が3%では木材内部への液体浸透経路が不足するため、PEGを30%以上含浸することができなかった。そのため、寸法安定性改善効果と硬度向上効果が不十分であり、乾燥時に割れが発生してしまい、十分な硬度を確保できなかった。
比較例4においては、PEGではなく水を含浸したため、寸法安定性及び硬度の向上の効果が得られなかった。
比較例5においては、PEGの重量平均分子量が500であり、道管への含浸率は十分であった。しかし、PEGの分子量が小さく容易に水中へと溶出することから、寸法安定性改善効果と硬度向上効果が不十分なため、乾燥時に割れが発生してしまい、十分な硬度を確保できなかった。
比較例6においては、PEGの重量平均分子量が30000であると分子サイズが大きすぎるために、木質材料中の液体浸透経路を浸透できず、PEGを30質量%以上含浸することができなかった。そのため、乾燥時に割れが発生してしまい、十分な硬度を確保できなかった。
比較例7においては、道管断面面積比率が0%のホワイトオーク材では、重量平均分子量が3000のPEGが道管中に浸透することができなかった。そのため、寸法安定性及び硬度の向上効果が不十分であり、乾燥時に割れが発生してしまい、十分な硬度を確保できなかった。
比較例8においては、道管断面面積比率が3%のウォルナット材では、重量平均分子量が3000のPEGが道管中に浸透することができなかった。そのため、寸法安定性及び硬度の向上効果が不十分であり、乾燥時に割れが発生してしまい、十分な硬度を確保できなかった。
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。

Claims (3)

  1. 木口面において、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり5%以上60%未満である木質材料と、
    前記道管の内部に浸透し、重量平均分子量が3000~20000であるポリアルキレングリコールと、
    を有し、
    前記ポリアルキレングリコールの含率が30~70質量%である、樹脂含有木質材料。
  2. 前記木質材料が、センダン、チャンチンモドキ、ハンノキ、ユリノキ、ユーカリ、ポプラ、アカシアマンギウム及びファルカタからなる樹種群より選ばれる少なくとも一つである、請求項1に記載の樹脂含有木質材料。
  3. 木口面において、道管径が30μm~200μmである道管の断面面積比率が1年輪当たり5%以上60%未満である木質材料に、重量平均分子量が3000~20000のポリアルキレングリコールを含浸させる工程を有し、
    樹脂含有木質材料における前記ポリアルキレングリコールの含率が30~70質量%である、樹脂含有木質材料の製造方法。
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