(詳細な説明)
本明細書に提供される組成物及び方法は、メチニコビア属内の新規の酵母種の発見、単離、及び特徴解析に一部基づいている。本明細書において「H0」又は「H0メチニコビア属種」と呼ばれる、この新規のメチニコビア種の分離及び特徴解析により、H0メチニコビア属種及びその組換えH0メチニコビア属種についての数々の有利な特性、新規遺伝子及びタンパク質、並びに有益な用途が明らかになった。例えば、H0メチニコビア属種の有利な特性のうちのいくつかには、グルコース、キシロース、及びセロビオースを、キシリトール、アラビトール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、エタノール、又はフェニルエチルアルコールなどの生物由来化合物を生産するための炭素源として利用するその能力が含まれる。H0メチニコビア属種の例示的な新規遺伝子としては、ACT1、ARO8、ARO10、GPD1、GXF1、GXF2、GXS1、HGT19、HXT2.6、HXT5、PGK1、QUP2、RPB1、RPB2、TEF1、TPI1、XKS1、XYL1、XYL2、XYT1、TAL1、及びTKL1、並びにAro10、Gxf2、Hgt19、Hxt5、Tef1、Xks1、Xyl1、Tal1、及びTkl1に対する新規タンパク質が挙げられる。したがって、H0メチニコビア属種を、キシロースを生物由来化合物の生産のための炭素源として有する培地中で培養することにより、H0メチニコビア属種を、キシリトール、アラビトール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、エタノール、又はフェニルエチルアルコールなどの生物由来化合物を生産する方法において使用することができる。また本明細書に提供されるのは、H0メチニコビア属種又は組換えH0メチニコビア属種を用いて生物由来化合物を生産する方法によって生産される生物由来化合物を有する組成物である。またさらに本明細書に提供されるのは、H0メチニコビア属種の新規タンパク質に関する単離されたポリペプチド及びH0メチニコビア属種の新規遺伝子に関する単離された核酸、並びにそのような核酸を含む宿主細胞である。
本明細書で使用される場合、培養又は成長条件に関して使用されるときの「好気的」という用語は、遊離酸素(O2)が培養又は成長条件下で利用可能であることを意味することが意図される。これには、液体培地中の溶存酸素が50%飽和を上回る場合が含まれる。
本明細書で使用される場合、培養又は成長条件に関して使用されるときの「嫌気的」という用語は、培養又は成長条件が遊離酸素(O2)を欠くことを意味することが意図される。
本明細書で使用される場合、「減弱させる」という用語又はその文法的同等物は、酵素又はタンパク質の活性又は量を低下させるか、低減させるか、又は減少させることを意味することが意図される。酵素又はタンパク質の活性又は量の減弱は、該減弱によって、該活性又は量が、所与の経路が機能するのに必要とされる臨界レベルを下回るようになる場合、完全な破壊を模倣することができる。しかしながら、ある経路の完全な破壊を模倣する酵素又はタンパク質の活性又は量の減弱は、依然として、別の経路が機能し続けるのに十分であることができる。例えば、内在性酵素又はタンパク質の減弱は、特定の化合物(例えば、キシリトール)の生産のための同じ酵素又はタンパク質の完全な破壊を模倣するのに十分であることができるが、酵素又はタンパク質の残存する活性又は量は、依然として、他の経路又は反応、例えば、宿主メチニコビア種が生存し、生殖し、又は成長するのに極めて重要である経路を維持するのに十分であり得る。酵素又はタンパク質の減弱は、酵素又はタンパク質の活性又は量を、キシリトールの収率を増加させるのに十分である量で低下させるか、低減させるか、又は減少させることでもあり得るが、酵素又はタンパク質の完全な破壊を必ずしも模倣するものではない。
本明細書で使用される場合、「生物ベース」という用語は、全体として又は部分的に、生物由来化合物から構成されている生成物を意味する。生物ベース又は生物由来の生成物は、石油由来生成物と対照的であり、ここで、そのような生成物は、石油もしくは石油化学原料に由来するか、又は石油もしくは石油化学原料から合成される。
本明細書で使用される場合、「生物由来」という用語は、生物に由来するか又は生物によって合成されることを意味し、生物によって生産されることができるので、再生可能資源とみなすことができる。そのような生物、特に、本明細書に開示されるメチニコビア種は、糖(例えば、キシロース、セロビオース、グルコース、フルクトース、ガラクトース(例えば、海洋植物バイオマス由来のガラクトース)、及びスクロース)、農業、植物、細菌、又は動物の源から得られる炭水化物、並びにグリセロール(例えば、バイオディーゼル製造からの廃グリセロール副生成物)などの、原料又はバイオマスを利用することができる。
本明細書で使用される場合、「炭素源」という用語は、限定されないが、本明細書に記載される生物由来化合物を含む、その有機分子の合成用の生物によって使用される任意の炭素含有分子を指す。これには、様々な量の炭素原子を有する分子が含まれる。具体的な例としては、C3炭素源、C4炭素源、C5炭素源、及びC6炭素源が挙げられる。「C3炭素源」は、3個の炭素原子を含有する炭素源、例えば、グリセロールを指す。「C4炭素源」は、4個の炭素原子を含有する炭素源、例えば、エリトロース又はトレオースを指す。「C5炭素源」は、5個の炭素原子を含有する炭素源、例えば、キシロース、アラビノース、アラビトール、リボース、又はリキソースを指す。「C6炭素源」は、6個の炭素原子を含有する炭素源、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、アロース、アルトロース、グロース、又はイドースを指す。
本明細書で使用される場合、「D1/D2ドメイン」という用語は、ほとんどの酵母に見られる(26S)rDNAの大サブユニットの5'末端の450~600ヌクレオチドのドメインである。ほとんどの酵母種は、D1/D2ドメインの配列分岐から同定することができる。酵母の同種株は、通常、D1/D2ドメインのヌクレオチド配列中で1%未満の分岐を有するのに対し、生物学的種は、このドメインについて、1%を超える分岐だけ離れている。しかしながら、ごく稀に、例えば、クラビスポラ・ルシタニアエ(Clavispora lusitaniae)(Lachanceらの文献、FEMS Yeast Res. 2003; 4:253-8)、メチニコビア・アンダウエンシス、及びメチニコビア・フルクティコラ(Sipiczkiらの文献、PLoS One. 2013; 8:e67384)という種、並びに本明細書に記載される独特のメチニコビア種について、D1/D2ドメインの1%を超える差を同じ種内で見出すことができる。例えば、本明細書に記載される独特のメチニコビア種は、D1/D2ドメイン中で最大3.8%の分岐を有する。D1/D2ドメインのヌクレオチド配列をアッセイする方法は当技術分野で周知である。本明細書でより詳細に記載される、メチニコビア種のD1/D2ドメインをアッセイする1つの例示的な方法は、プライマーペア
を用いて、PCRにより、499ヌクレオチド配列を増幅させることを含む。
「コードする」という用語又はその文法的同等物は、それが核酸配列に適用されるとき、核酸がRNAである場合には翻訳時又は核酸がDNAである場合には転写及び翻訳時のペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質のアミノ酸をコードする核酸の配列を指す。したがって、「コード核酸配列」という用語は、転写及び/又は翻訳時のアミノ酸をコードする核酸の配列を指す。そのような配列は、例えば、真核生物の遺伝子のエキソン又は真核生物の遺伝子のcDNAに対応するゲノムDNA配列を含む。そのような配列は、同じ遺伝子のエンハンサー、プロモーター、及びイントロンと対照的であり、これらは、通常の条件下ではアミノ酸をコードしない。
「外因性」という用語は、それが本明細書で使用されるとき、言及された分子又は言及された活性が本明細書に記載されるメチニコビア種に導入されることを意味することが意図される。該分子は、例えば、宿主染色体への組込みなどによる、宿主メチニコビア種の遺伝物質へのコード核酸の導入によって、又はプラスミドなどの非染色体遺伝物質として導入することができる。その代わりに又はそれに加えて、導入される分子は、例えば、コード核酸の発現を調節する(例えば、増大させる、減少させる、もしくは構成的にする)非コード核酸、例えば、プロモーターもしくはエンハンサーであることができるか、又はこれらを含むことができる。それゆえ、この用語は、それがコード核酸の発現に関連して使用されるとき、宿主メチニコビア種への発現可能な形態のコード核酸の導入及び/又は宿主メチニコビア種のコード核酸の発現を増大させる(例えば、過剰発現する)核酸の導入を指す。生合成活性に関連して使用されるとき、この用語は、宿主メチニコビア種に導入される活性を指す。供給源は、例えば、メチニコビア種への導入後に言及された活性を発現する相同又は異種コード核酸であることができる。それゆえ、「内在性」という用語は、宿主メチニコビア種に存在する言及された分子又は活性を指す。同様に、コード核酸の発現に関連して使用される場合のこの用語は、微生物に含まれるコード核酸の発現を指す。「異種」という用語が、言及されたメチニコビア種以外の源に由来する分子又は活性を指すのに対し、「相同」は、宿主メチニコビア種に由来する分子又は活性を指す。したがって、本明細書に開示されるコード核酸の外因性発現は、異種又は相同コード核酸のいずれか又は両方を利用することができる。
複数の外因性核酸がメチニコビア種に含まれるとき、該複数の外因性核酸は、上で論じられたような、言及されたコード核酸又は生合成活性を指すことが理解される。微生物は1コピー又は多コピーの同じ外因性核酸を有することができることも理解される。本明細書に開示されるように、そのような複数の外因性核酸は、別の核酸分子上で、ポリシストロン性核酸分子上で、又はこれらの組合せで、宿主メチニコビア種に導入され、それでも、複数の外因性核酸とみなされることがさらに理解される。例えば、本明細書に開示されるように、微生物を、所望の経路酵素又はタンパク質をコードする2以上の外因性核酸を発現するように改変することができる。所望の活性をコードする2つの外因性核酸が宿主メチニコビア種に導入される場合、この2つの外因性核酸は、例えば、単一のプラスミド上で単一の核酸として導入されることができ、別々のプラスミド上で導入されることができ、単一の部位又は複数の部位で宿主染色体に組み込まれることができ、それでも、2つの外因性核酸とみなされることが理解される。同様に、3以上の外因性核酸は、任意の所望の組合せで、例えば、単一のプラスミド上で、別々のプラスミド上で、宿主生物に導入されることができ、単一の部位又は複数の部位で宿主染色体に組み込まれることができ、それでも、2以上の外因性核酸、例えば、3つの外因性核酸とみなされることが理解される。したがって、言及される外因性核酸又は生合成活性の数は、宿主生物に導入される別々の核酸の数ではなく、コード核酸の数又は生合成活性の数を指す。
本明細書で使用される場合、「遺伝子修飾」、「遺伝子破壊」という用語、又はその文法的同等物は、コード遺伝子産物を機能的に不活性状態にするか、又は活性はあるが、減弱した状態にする遺伝子改変を意味することが意図される。遺伝子改変は、例えば、全遺伝子の欠失、転写もしくは翻訳に必要とされる調節配列の欠失、切断された遺伝子産物をもたらす遺伝子の一部の欠失、又は当技術分野で周知のコード遺伝子産物を不活化するか又は減弱させる様々な突然変異戦略のいずれかによるものであることができる。遺伝子破壊の1つの特に有用な方法は、完全な遺伝子欠失であるが、それは、該方法が本明細書に提供されるメチニコビア種における遺伝的復帰の発生を低下又は消失させるからである。遺伝子破壊には、ヌル突然変異も含まれ、これは、RNAに転写されない及び/もしくは機能的遺伝子産物に翻訳されない遺伝子を生じる遺伝子を含有する領域内の突然変異を指す。そのようなヌル突然変異は、例えば、不活化点突然変異、遺伝子の一部の欠失、全遺伝子欠失、又は染色体セグメントの欠失を含む、多くのタイプの突然変異から生じることができる。
本明細書で使用される場合、「不活化する」という用語又はその文法的同等物は、酵素又はタンパク質の活性を停止することを意味することが意図される。そのような不活化は、酵素又はタンパク質をコードする全核酸配列の欠失によって達成することができる。不活化は、核酸配列によってコードされる得られる酵素又はタンパク質が全長酵素又はタンパク質の活性を有さないような酵素又はタンパク質をコードする核酸配列の一部の欠失によって達成することもできる。さらに、酵素又はタンパク質の不活化は、欠失との組合せを含む、酵素又はタンパク質をコードする核酸配列への置換又は挿入によって達成することができる。挿入は、異種核酸、例えば、本明細書に記載されるものを含むことができる。
本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、本明細書に記載されるメチニコビア種に関連して使用されるとき、言及された微生物が天然に見出されるときの少なくとも1つの成分を実質的に含まない生物を意味することが意図される。この用語は、それがその天然の環境において見出されるときのいくつかの又は全ての成分から取り出されているメチニコビア種を含む。この用語は、該微生物が非天然の環境において見出されるときのいくつかの又は全ての成分から取り出されている微生物も含む。それゆえ、単離されたメチニコビア種は、それが天然に見出されるときの又はそれが非天然の環境において成長している、保存されている、もしくは生存しているときの他の物質から部分的に又は完全に分離されている。単離されたメチニコビア種の具体的な例としては、部分的に純粋な微生物、実質的に純粋な微生物、及び非天然の培地中で培養された微生物が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「培地」、「培養培地」、「成長培地」という用語、又はこれらの文法的同等物は、本明細書に記載されるメチニコビア種などの任意の微生物を含む、細胞の成長を支持する栄養素を含有する液体又は固体(例えば、ゼラチン状)物質を指す。成長を支持する栄養素としては:限定されないが、キシロース、セロビオース、ガラクトース、グルコース、エタノール、アセテート、アラビトール、ソルビトール、及びグリセロールなどの、炭素を供給する物質;マグネシウム、窒素、リン、及び硫黄を含む、必須元素を提供する塩;ペプトン又はトリプトンなどの、アミノ酸の供給源;並びに酵母抽出物などの、ビタミン内容物の供給源が挙げられる。本方法において及び本明細書に記載されるメチニコビア種の特徴解析において有用な培地の具体的な例としては、限定されないが、キシロース、グルコース、セロビオース、ガラクトース、もしくはグリセロール、又はこれらの組合せなどの炭素源を有する酵母抽出物ペプトン(YEP)培地及び酵母窒素塩基(YNB)培地が挙げられる。YEP及びYNB培地の製剤は、当技術分野で周知である。例えば、4%キシロースを有するYEP培地は、限定されないが、酵母抽出物1.0g、ペプトン2.0g、キシロース4.0g、及び水100mlを含む。別の例として、2%グルコース及び2%キシロースを有するYNB培地は、限定されないが、ビオチン2μg、パントテン酸カルシウム400μg、葉酸2μg、イノシトール2000μg、ナイアシン400μg、p-アミノ安息香酸200μg、塩酸ピリドキシン400μg、リボフラビン200μg、塩酸チアミン400μg、ホウ酸500μg、硫酸銅40μg、ヨウ化カリウム100μg、塩化第二鉄200μg、硫酸マンガン400μg、モリブデン酸ナトリウム200μg、硫酸亜鉛400μg、第一リン酸カリウム1g、硫酸マグネシウム500mg、塩化ナトリウム100mg、塩化カルシウム100mg、グルコース20g、キシロース20g、及び水1Lを含む。培地中の炭素源の量は、当業者によって容易に決定されることができる。炭素を供給する複数の基質が培地中に存在するとき、これらは「共基質」と呼ばれる。培地は、成長に必要とされる栄養素以外の物質、例えば、選択培地中に一般に見られる、選択された細胞が成長することだけを可能にする物質(例えば、抗生物質もしくは抗真菌薬)又は示差もしくは指標培地中に一般に見られる、同じ培地中で成長したときにある微生物の分化を別のものよりも優先して可能にする物質も含むことができる。そのような物質は、当業者に周知である。
本明細書で使用される場合、「メチニコビア種」という用語は、メチニコビア属に含まれる酵母の任意の種を指す。例示的なメチニコビア種としては、メチニコビア・プルケリマ、メチニコビア・フルクティコラ、メチニコビア・クリソペルラエ、メチニコビア・レウカウフィイー(Metschnikowia reukaufii)、メチニコビア・アンダウエンシス、メチニコビア・シャンキシエンシス、メチニコビア・シネンシス、メチニコビア・ジジフィコラ、メチニコビア・ビクスピダータ(Metschnikowia bicuspidata)、メチニコビア・ルナータ(Metschnikowia lunata)、メチニコビア・ゾベルリイー(Metschnikowia zobellii)、メチニコビア・アウストラリス(Metschnikowia australis)、メチニコビア・アガウェアエ(Metschnikowia agaveae)、メチニコビア・グルエッシイー(Metschnikowia gruessii)、メチニコビア・ハワイエンシス(Metschnikowia hawaiiensis)、メチニコビア・クリッシイー(Metschnikowia krissii)、メチニコビア属種の株NS-O-85、メチニコビア属種の株NS-O-89、及び本明細書に記載される独特のメチニコビア種であるメチニコビア属種H0、別名、「H0メチニコビア属種」が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載されるメチニコビア種、すなわち、「H0メチニコビア属種」は、新たに発見された種であり、これは、アクセッション番号081116-01に指定されており、かつブダペスト条約の条項の下で、2016年11月8日に、R3E 3R2カナダマニトバ州ウィニペグアーリントン通り1015番地(1015 Arlington Street, Winnipeg, Manitoba, Canada R3E 3R2)の住所にある国際寄託当局であるカナダ国際寄託当局(「IDAC」)に寄託された。H0メチニコビア属種の提案された学名は、メチニコビア・ウィニフィコラ(Metschnikowia vinificola)である(ウィニフィ:ウィニフェラ(ワイン用ブドウの種)に由来する;コラ:住人を意味するラテン語の「インコラ」に由来する)。したがって、ウィニフィコラ(ウィニフェラの住人)という種名は、ワイン用ブドウからの基準株の単離を指す。
さらに、本明細書で言及されるメチニコビア種は、「非天然」又は「組換え」メチニコビア種を含むことができる。そのような生物は、言及された種の野生型株を含む、天然のメチニコビア種に通常は見られない少なくとも1つの遺伝子改変を有するメチニコビア種を意味することが意図される。遺伝子改変には、例えば、代謝的ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を導入する修飾、他の核酸付加、核酸欠失、及び/又は微生物の遺伝物質の他の遺伝子破壊が含まれる。そのような修飾には、例えば、言及された種の異種ポリペプチド、相同ポリペプチド、又は異種ポリペプチドと相同ポリペプチドの両方のコード領域及びその機能的断片が含まれる。さらなる修飾には、例えば、修飾が遺伝子又はオペロンの発現を変化させる非コード調節性領域が含まれる。例示的な代謝的ポリペプチドには、本明細書に記載される代謝経路内の酵素又はタンパク質が含まれる。
代謝的修飾は、その天然の状態から変化させる生化学的反応を指す。それゆえ、本明細書に記載されるメチニコビア種は、代謝的ポリペプチド又はその機能的断片をコードする1以上の核酸配列に対する遺伝子修飾を有することができ、これにより、異化又は同化反応並びに基礎代謝を含む、代謝的ポリペプチドが触媒する生化学的反応が変化する。例示的な代謝的修飾が本明細書に開示されている。
本明細書で使用される場合、「代謝経路」という用語は、基質化合物から生成物化合物への変換を触媒し、かつ/又は基質化合物から生成化合物への変換のための共基質を生産する1以上の代謝的ポリペプチド(例えば、タンパク質又は酵素)を指す。そのような生成化合物は、本明細書に記載される生物由来化合物、又は代謝経路の他のタンパク質もしくは酵素によるさらなる変換によって生物由来化合物に至ることができる中間化合物のうちの1つであることができる。したがって、代謝経路は、基質化合物に作用して、それを一連の中間化合物を経由して所与の生成化合物に変換する一連の代謝的ポリペプチド(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれより多く)から構成されることができる。代謝経路の代謝的ポリペプチドは、本明細書に記載される外因性核酸によってコードされるか、又はメチニコビア種によって天然に生産されることができる。
本明細書で使用される場合、「過剰発現」という用語又はその文法的同等物は、宿主メチニコビア種にとって普通であるよりも大きい量での、又は野生型発現の時間もしくは場所とは異なる宿主メチニコビア種内の時間もしくは場所での遺伝子産物(例えば、リボ核酸(RNA)、タンパク質、又は酵素)の発現を意味することが意図される。
本明細書で使用される場合、「配列同一性」又は「配列相同性」という用語は、核酸配列又はアミノ酸配列に関連して使用される場合、2以上の核酸分子間又は2以上のポリペプチド間の類似性を指す。同一性は、比較目的で整列させることができる各々の配列における位置を比較することにより決定することができる。比較される配列の位置が同じ塩基又はアミノ酸によって占められている場合、これらの分子は、その位置で同一である。配列間の同一性の程度は、該配列によって共有される一致する又は相同な位置の数の関数である。そのパーセント配列同一性を決定するための2つの配列のアラインメントは、例えば、Ausubelらの文献、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley and Sons, Baltimore, MD(1999)に記載されているものなどの当技術分野で公知のソフトウェアプログラムを用いて行うことができる。好ましくは、デフォルトパラメータがアラインメントに使用される。使用することができる当技術分野で周知の1つのアラインメントプログラムは、デフォルトパラメータに設定されているBLASTである。特に、プログラムは、以下のデフォルトパラメータ:遺伝コード=標準;フィルター=なし;鎖=両方;カットオフ=60;期待=10;マトリクス=BLOSUM62;記載=50配列;選別方法=高得点;データベース=非冗長、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS翻訳+SwissProtein+SPupdate+PIRを用いるBLASTN及びBLASTPである。これらのプログラムの詳細は、国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)において見出すことができる。
本明細書で使用される場合、「実質的に嫌気的」という用語は、培養又は成長条件に関連して使用される場合、液体培地中の溶存酸素の量が約10%飽和未満であることを意味することが意図される。この用語は、液体又は固体培地を含む約1%未満の酸素の雰囲気で維持される密閉チャンバーを含むことも意図される。
本明細書で使用される場合、「糖アルコール」という用語は、糖のアルデヒド又はケトンの還元によって生産されるアルコールを指す。したがって、「C7糖アルコール」は、7個の炭素原子を有する糖のアルデヒド又はケトンの還元によって生産されるアルコール、例えば、ボレミトール又はその異性体を指す。
本明細書で使用される場合、「キシリトール」という用語は、C5H12O5という化学式、152.15g/molというモル質量、及び(2R,3r,4S)-ペンタン-1,2,3,4,5-ペントール[(2S,4R)-ペンタン-1,2,3,4,5-ペントール]という1つのIUPAC名を有するペントース糖アルコールを指す。キシリトールは、糖尿病の人及び高血糖症の個人のインスリンレベルに影響を及ぼさない、糖の低カロリー、低炭水化物代用品として一般に使用されている。
本明細書で使用される場合、「キシロース」という用語は、C5H10O5という化学式、150.13g/molというモル質量、及び(3R,4S,5R)-オキサン-2,3,4,5-テトロールという1つのIUPAC名を有するホルミル官能基を有する五炭素単糖を指す。キシロースは、当技術分野において、D-キシロース、D-キシロピラノース、キシロシド、d-(+)-キシロース、キシロピラノース、木糖、キシロメド、及びD-キシロペントースとしても知られている。
本明細書に提供されるのは、キシロースを有する培地で培養したとき、キシロースからキシリトール及び他の生物由来化合物を生産する新規の単離されたメチニコビア種である。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、培養したとき、少なくとも0.1g/L/hのキシリトールをキシロースから生産する単離されたメチニコビア種である。また本明細書に提供されるのは、培養したとき、少なくとも1g/Lのキシロースからキシリトールを生産する単離されたメチニコビア種である。
当業者によって理解されることができるように、本明細書に提供される単離されたメチニコビア種によって生産されるキシロース由来のキシリトールの量は、培養条件及び/又は本明細書に記載されるメチニコビア種に対して行われる代謝的修飾によって異なり得る。したがって、いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも0.2g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも0.3g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも0.4g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも0.50g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも0.60g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも0.70g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも0.80g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも0.90g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも1.00g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも1.50g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも2.00g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも2.50g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも3.00g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも3.50g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも4.00g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも5.00g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも6.00g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも7.00g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも8.00g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも9.00g/L/hのキシリトールである。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種によって生産されるキシリトールの量は、キシロース由来の少なくとも10.00g/L/hのキシリトールである。
いくつかの実施態様において、キシロースをキシリトールに変換する本明細書に提供される単離されたメチニコビア種の変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.01gのキシリトールである。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.02gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.03gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.04gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.05gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.06gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.07gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.08gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.09gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.1gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.15gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.2gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.25gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.3gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.35gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.4gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.45gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.5gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.55gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.6gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.65gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.7gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.75gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.8gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.85gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.9gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも0.95gのキシリトールであることができる。該変換効率は、キシロース1g当たり少なくとも1gのキシリトールであることができる。
いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも1g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも2g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも3g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも4g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも5g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも10g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも20g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも30g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも40g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも50g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも60g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも70g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも80g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも90g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも100g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも150g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも200g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも250g/Lである。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種によって培養培地中で生産されるキシリトールの濃度は、少なくとも300g/Lである。
また本明細書に提供されるのは、各々特定の割合の本明細書に記載される生物由来化合物の組合せを生産する単離されたメチニコビア種である。例えば、本明細書に提供される単離されたメチニコビア種は、約0.11g/L/hのキシリトール及び以下の化合物:約6.8E-05g/L/hのn-ブタノール、約2.5E-04g/L/hのイソブタノール、約2.4E-04g/L/hのイソプロパノール、約2.64E-04g/L/hのエタノール、又は約3.73E-06g/L/hの2-フェニルエチルアルコールのうちの1つ又は複数を生産することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される単離されたメチニコビア種は、約6.8E-05g/L/hのn-ブタノールを生産することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される単離されたメチニコビア種は、約2.5E-04g/L/hのイソブタノールを生産することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される単離されたメチニコビア種は、約2.4E-04g/L/hのイソプロパノールを生産することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される単離されたメチニコビア種は、約2.64E-04g/L/hのエタノールを生産することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される単離されたメチニコビア種は、約3.73E-06g/L/hの2-フェニルエチルアルコールを生産することができる。本明細書に記載される単離されたメチニコビア種が特定の割合の生物由来化合物の組合せを生産する場合、これらの化合物の比を決定することができる。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、化合物のキシリトール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、エタノール、及び2-フェニルエチルアルコールを、約8,000mg/Lのキシリトール、約4.85mg/Lのn-ブタノール、約18.06mg/Lのイソブタノール、約17.5mg/Lのイソプロパノール、約19.7mg/Lのエタノール、及び約0.269mg/Lの2-フェニルエチルアルコールの濃度で生産する。
本明細書に記載されるキシロース由来のキシリトールの割合を得ることができる培養条件には、培地の通気量、培地の温度、培養物を成長させる時間の量、及び培地の組成を変化させる条件が含まれる。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種の培養は、好気的な条件下で行われる。いくつかの実施態様において、単離されたメチニコビア種の培養は、実質的に嫌気的な条件下で行われる。いくつかの実施態様において、培地の温度は、20℃~35℃、又はその代わりに、26℃~35℃、又はその代わりに、28℃~32℃の範囲、又はその代わりに、約30℃である。いくつかの実施態様において、培養物を1日間成長させる。いくつかの実施態様において、培養物を2日間成長させる。いくつかの実施態様において、培養物を3日間成長させる。いくつかの実施態様において、培養物を4日間成長させる。いくつかの実施態様において、培養物を5日間成長させる。いくつかの実施態様において、培養物を6日間成長させる。いくつかの実施態様において、培養物を7日間以上成長させる。培地の組成は、酵母、とりわけ、メチニコビアの属内の種を培養するための当技術分野で周知の任意の培地であることができる。例示的な培地としては、限定されないが、酵母抽出物ペプトン(YEP)培地又は酵母窒素塩基(YNB)培地が挙げられる。さらに、単離されたメチニコビア種によって使用される培地中の炭素源には、唯一の炭素源としてのキシロース、及び本明細書に記載される他の炭素源と組み合わせたキシロースが含まれ得る。培地中の炭素源の量は、1%~20%(例えば、1%~20%キシロース)、又はその代わりに、2%~14%(例えば、2%~14%キシロース)、又はその代わりに、4%~10%(例えば、4%~10%キシロース)の範囲であることができる。いくつかの実施態様において、炭素源の量は、4%(例えば、4%キシロース)である。
いくつかの実施態様において、キシロースは、唯一の炭素源ではない。例えば、いくつかの実施態様において、培地は、キシロース及びC3炭素源、C4炭素源、C5炭素源、C6炭素源、又はこれらの組合せを含む。したがって、いくつかの実施態様において、培地は、キシロース及びC3炭素源(例えば、グリセロール)を含む。いくつかの実施態様において、培地は、キシロース及びC4炭素源(例えば、エリトロース又はトレオース)を含む。いくつかの実施態様において、培地は、キシロース及びC5炭素源(例えば、アラビトール、リボース、又はリキソース)を含む。いくつかの実施態様において、培地は、キシロース及びC6炭素源(例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、アロース、アルトース、グロース、及びイドース)を含む。その代わりに又はそれに加えて、いくつかの実施態様において、培地は、キシロース並びにセロビオース、ガラクトース、グルコース、アラビトール、ソルビトール、及びグリセロール、又はこれらの組合せを含む。具体的な実施態様において、培地は、キシロース及びグルコースを含む。培地中の2以上の炭素源の量は、独立に、1%~20%(例えば、1%~20%キシロース及び1%~20%グルコース)、又はその代わりに、2%~14%(例えば、2%~14%キシロース及び2%~14%グルコース)、又はその代わりに、4%~10%(例えば、4%~10%キシロース及び4%~10%)の範囲であることができる。具体的な実施態様において、炭素源の各々の量は、2%(例えば、2%キシロース及び2%グルコース)である。
本明細書に記載される条件に基づき、具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、好気的な条件下及び30℃で3日間、4%キシロースを含む液体酵母抽出物ペプトン(YEP)培地中で培養したとき、少なくとも0.1g/L/hのキシリトールをキシロースから生産する単離されたメチニコビア種である。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、好気的な条件下及び30℃で3日間、4%キシロースを含む液体酵母窒素塩基(YNB)培地中で培養したとき、少なくとも0.1%(w/v)のキシロースをキシリトールに変換する単離されたメチニコビア種である。さらに別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、好気的な条件下及び30℃で2日間、2%キシロース及び2%グルコースを含む液体酵母窒素塩基(YNB)培地中で培養したとき、少なくとも0.1%(w/v)のキシロースをキシリトールに変換する単離されたメチニコビア種である。さらに別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される単離されたメチニコビア種は、好気的な条件下で3日間、4%キシロースを含む液体酵母抽出物ペプトン(YEP)培地中で培養したとき、約0.11g/L/hのキシリトール、約6.8E-05g/L/hのn-ブタノール、約2.5E-04g/L/hのイソブタノール、約2.4E-04g/L/hのイソプロパノール、約2.64E-04g/L/hのエタノール、及び約3.73E-06g/L/hの2-フェニルエチルアルコールを生産することができる。さらに別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される単離されたメチニコビア種は、好気的な条件下で3日間、4%キシロースを含む液体酵母抽出物ペプトン(YEP)培地中で培養したとき、化合物のキシリトール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、エタノール、及び2-フェニルエチルアルコールを、約8,000mg/Lのキシリトール、約4.85mg/Lのn-ブタノール、約18.06mg/Lのイソブタノール、約17.5mg/Lのイソプロパノール、約19.7mg/Lのエタノール、及び約0.269mg/Lの2-フェニルエチルアルコールの濃度で生産することができる。さらに別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される単離されたメチニコビア種は、好気的な条件下で3日間、4%キシロースを含む液体酵母抽出物ペプトン(YEP)培地中で培養したとき、化合物のキシリトール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、エタノール、及び2-フェニルエチルアルコールを、99.26%のキシリトール、0.061%のn-ブタノール、0.223%のイソブタノール、0.217%のイソプロパノール、0.236%のエタノール、及び0.003%の2-フェニルエチルアルコールの相対比で生産することができる。
キシリトール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、エタノール、又は2-フェニルエチルアルコールの生産について試験するためのアッセイを含む、本明細書に記載されるメチニコビア種によって生産される生物由来化合物の生産について試験するための好適な精製及び/又はアッセイを、周知の方法(実施例も参照)を用いて実施することができる。好適な複製物、例えば、3連培養物を、試験されるべき各々のメチニコビア種について成長させることができる。メチニコビア種における化合物及び副生成物の形成をモニタリングすることができる。最終生成物、中間体、及び他の化合物を、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、GC-MS(ガスクロマトグラフィー-質量分光法)、及びLC-MS(液体クロマトグラフィー-質量分光法)、又は当技術分野で周知のルーチンの手順を用いる他の好適な分析方法などの方法によって分析することができる。培養上清を用いて、発酵ブロス中の化合物の放出を試験することもできる。副生成物及び残留炭素源を、例えば、陽イオン交換カラム、示差屈折率検出器、及びUV検出器を用いるHPLC(Linらの文献、Biotechnol. Bioeng. 90:775-779(2005))、又は当技術分野で周知の他の好適なアッセイ及び検出方法によって定量することができる。代謝経路由来の個々の酵素又はタンパク質活性を、当技術分野で周知の方法を用いてアッセイすることもできる。
本明細書に提供される単離されたメチニコビア種を、上記の生産特徴に加えて又は上記の生産特徴に代わるものとして、遺伝的特徴によって同定することができる。例えば、いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、配列番号1を含むD1/D2ドメイン配列を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、配列番号1と少なくとも96.8%、少なくとも96.9%、少なくとも97%、少なくとも97.1%、少なくとも97.2%、少なくとも97.3%、少なくとも97.4%、少なくとも97.5%、少なくとも97.5%、少なくとも97.6%、少なくとも97.7%、少なくとも97.8%、少なくとも97.9%、少なくとも98%、少なくとも98.1%、少なくとも98.2%、少なくとも98.3%、少なくとも98.4%、少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、又は少なくとも99.9%同一である核酸配列を有するD1/D2ドメイン配列を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、配列番号2のコンセンサス配列内の核酸配列を含むD1/D2ドメイン配列を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、配列番号2のD1/D2ドメインコンセンサス配列と少なくとも97.1、%少なくとも97.2%、少なくとも97.3%、少なくとも97.4%、少なくとも97.5%、少なくとも97.6%、少なくとも97.7%、少なくとも97.8%、少なくとも97.9%、少なくとも98.0%、少なくとも98.1%、少なくとも98.2%、少なくとも98.3%、少なくとも98.4%、少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99.0%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、少なくとも99.8%、少なくとも99.9%同一であるD1/D2ドメイン配列を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、その中に1、2、3、又は4ヌクレオチド以下の置換を有する配列番号2の残基1~153、178~434、及び453~499を含む核酸配列を含むD1/D2ドメイン配列を有する。
D1/D2ドメインの配列に加えて、又はその代わりに、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種を、H0メチニコビア属種に独特である核酸配列の存在によって同定することができる。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、Aro10(配列番号37)、Gxf2(配列番号40)、Hgt19(配列番号42)、Hxt5(配列番号44)、Tef1(配列番号46)、Xks1(配列番号51)、Xyl1(配列番号52)、Tal1(配列番号55)、及びTkl1(配列番号56)から選択されるアミノ酸配列をコードする少なくとも1つの核酸配列を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、Aro10タンパク質(配列番号37)のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、Gxf2タンパク質(配列番号40)のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、Hgt19タンパク質(配列番号42)のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、Hxt5タンパク質(配列番号44)のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、Tef1タンパク質(配列番号49)のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、Xks1タンパク質(配列番号51)のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、Xyl1タンパク質(配列番号52)のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、Tal1タンパク質(配列番号55)のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、Tkl1タンパク質(配列番号56)のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、ACT1(配列番号57)、ARO8(配列番号58)、ARO10(配列番号59)、GPD1(配列番号60)、GXF1(配列番号61)、GXF2(配列番号62)、GXS1(配列番号63)、HXT19(配列番号64)、HXT2.6(配列番号65)、HXT5(配列番号66)、PGK1(配列番号67)、QUP2(配列番号68)、RPB1(配列番号69)、RPB2(配列番号70)、TEF1(配列番号71)、TPI1(配列番号72)、XKS1(配列番号73)、XYL1(配列番号74)、XYL2(配列番号75)、XYT1(配列番号76)、TAL1(配列番号77)、及びTKL1(配列番号78)から選択される少なくとも1つのコード核酸配列を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、ACT1(配列番号57)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、ARO8(配列番号58)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、ARO10(配列番号59)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、GPD1(配列番号60)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、GXF1(配列番号61)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、GXF2(配列番号62)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、GXS1(配列番号63)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、HXT19(配列番号64)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、HXT2.6(配列番号65)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、HXT5(配列番号66)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、PGK1(配列番号67)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、QUP2(配列番号68)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、RPB1(配列番号69)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、RPB2(配列番号70)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、TEF1(配列番号71)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、TPI1(配列番号72)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、XKS1(配列番号73)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、XYL1(配列番号74)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、XYL2(配列番号75)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、XYT1(配列番号76)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、TAL1(配列番号77)のコード核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、TKL1(配列番号78)のコード核酸配列を含む。
D1/D2ドメイン並びにH0メチニコビア属種の独特なタンパク質及びコード核酸の配列に加えて、又はその代わりに、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種を、特定の生理的特徴によって同定することができる。例えば、いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、2%キシロースを唯一の炭素源として含む酵母抽出物ペプトン(YEP)培地中で培養してから41時間以内に、約25のOD600にまで成長する。他の同定特徴としては:形状が球形から卵形である細胞;多極出芽; 30℃で7日間、YPDブロス中で培養したときの大量の球形の厚膜胞子様「プルケリマ」細胞; YPD寒天上、4℃での緩慢な成長、20℃~33℃での正常な成長、及び/又は37℃での無成長;培地中へのピンク色の色素の分泌;並びにD-グルコース、D-ガラクトース、D-キシロース、スクロース、グリセロール、エタノール、スクシネート、及びセロビオースの同化が挙げられる。
ある具体的な実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、配列番号1と少なくとも96.8%同一である核酸配列、並びに配列番号37、40、42、44、49、51、52、55、及び56から選択されるアミノ酸配列をコードする少なくとも1つの核酸配列を含む。
ある具体的な実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、配列番号2のコンセンサス配列内の核酸配列、並びに配列番号37、40、42、44、49、51、52、55、及び56から選択されるアミノ酸配列をコードする少なくとも1つの核酸配列を含む。
ある具体的な実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、その中に4以下のヌクレオチド置換を有する配列番号2の残基1~153、178~434、及び453~499を含む核酸配列、並びに配列番号37、40、42、44、49、51、52、55、及び56から選択されるアミノ酸配列をコードする少なくとも1つの核酸配列を含む。
ある具体的な実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、配列番号1と少なくとも96.8%同一である核酸配列を含むD1/D2ドメイン配列及び配列番号57~78から選択される少なくとも1つのコード核酸配列を含む。
ある具体的な実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、配列番号2のコンセンサス配列内の核酸配列を含むD1/D2ドメイン配列及び配列番号57~78から選択される少なくとも1つのコード核酸配列を含む。
ある具体的な実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、その中に4以下のヌクレオチド置換を有する配列番号2の残基1~153、178~434、及び453~499を含む核酸配列を含むD1/D2ドメイン配列、並びに配列番号57~78から選択される少なくとも1つのコード核酸配列を含む。
ある具体的な実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は:配列番号1と少なくとも96.8%同一であるD1/D2ドメイン配列;及び配列番号70のコード核酸配列を含み、ここで、該単離されたメチニコビア種は、2%キシロースを唯一の炭素源として含む酵母抽出物ペプトン(YEP)培地中で培養してから41時間以内に、約25のOD600にまで成長する。
ある具体的な実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、配列番号2のD1/D2ドメインコンセンサス配列と少なくとも97.1%同一である核酸配列;及び配列番号70のコード核酸配列を含む。
また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される特定のD1/D2ドメイン配列のうちの1つを有する単離されたメチニコビア種である。例えば、いくつかの実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、配列番号1及び3~25のうちの1つから選択される核酸配列を含む。したがって、いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号1の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号3の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号4の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号5の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号6の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号7の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号8の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号9の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号10の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号11の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号12の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号13の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号14の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号15の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号16の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号17の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号18の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号19の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号20の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号21の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号22の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号23の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号24の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、該単離されたメチニコビア種は、配列番号25の核酸配列を含む。
ある具体的な実施態様において、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種は、既知のメチニコビア種のD1/D2ドメインを含まないD1/D2ドメインを含む。例えば、含まれないそのようなドメインは、限定されないが、メチニコビア・プルケリマクレード内の種、例えば、メチニコビア・アンダウエンシス、メチニコビア・クリソペルラエ、メチニコビア・フルクティコラ、メチニコビア・プルケリマ、メチニコビア・シャンキシエンシス、メチニコビア・シネンシス、及びメチニコビア・ジジフィコラのD1/D2ドメインである。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ブダペスト条約の条項の下で、2016年11月8日に、国際寄託当局であるカナダ国際寄託当局に寄託された、アクセッション番号081116-01に指定されている単離されたメチニコビア種である。アクセッション番号081116-01に指定されている単離されたメチニコビア種は、本明細書において、「H0」又は「H0メチニコビア属種」と呼ばれる。カナダ国際寄託当局(International Depositary Authority of Canada)は、R3E 3R2カナダマニトバ州ウィニペグアーリントン通り1015番地(1015 Arlington Street, Winnipeg, Manitoba, Canada R3E 3R2)にある。
また本明細書に提供されるのは、組換えメチニコビア種である。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ブダペスト条約の条項の下で、2016年11月8日に、国際寄託当局であるカナダ国際寄託当局に寄託された、アクセッション番号081116-01に指定されている単離されたメチニコビア種であり、ここで、該メチニコビア種は、キシロース又は遺伝子修飾、又はその両方から生物由来化合物を生産することができる代謝経路をさらに含む。具体的な実施態様において、該代謝経路は、該代謝経路の少なくとも1つの酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸配列を含む。
本明細書に記載されるように、提供される組換えメチニコビア種は、キシロースから生物由来化合物を生産することができる代謝経路を含むように修飾することができる。その修飾が該代謝経路の少なくとも1つの酵素をコードする異種外因性核酸配列の導入を含む場合、酵素のコード配列は、宿主のコドン利用に従って修飾することができる。標準的な遺伝コードは、例えば、Osawaらの文献、Microbiol Rev. 56(1):229-64(1992)に概説されているように、当技術分野で周知である。限定されないが、出芽酵母、カンジダ・アジマ(Candida azyma)、カンジダ・ジベルサ(Candida diversa)、カンジダ・マグノリアエ(Candida magnoliae)、カンジダ・ルゴペリクローサ(Candida rugopelliculosa)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、及びジゴアスクス・ヘレニクス(Zygoascus hellenicus)を含む、酵母種は、標準的なコードを使用する。ある種の酵母種は別のコードを使用する。例えば、「Leu」に対する標準的なコードである「CUG」は、「CUG」クレード種、例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・シリンドラセア(Candida cylindracea)、カンジダ・メリビオシカ(Candida melibiosica)、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・ルゴセ(Candida rugose)、ピキア・スティピティス(Pichia stipitis)、及びメチニコビア種では、「Ser」をコードする。H0メチニコビア属種のDNAコドン表が、下に提供されている。非「CUG」クレード種由来の外来遺伝子におけるDNAコドンCTGは、メチニコビア種におけるタンパク質の機能的発現のために、TTG、CTT、CTC、TTA、又はCTAに変更される必要がある。他のコドン最適化は、メチニコビア種における外来遺伝子のタンパク質発現の増大をもたらすことができる。コドン最適化の方法は、当技術分野で周知であり(例えば、Chungらの文献、BMC Syst Biol. 6:134(2012); Chinらの文献、Bioinfomatics 30(15):2210-12(2014))、様々なツールが利用可能である(例えば、https://www.dna20.com/services/genegpsのDNA2.0;及びhttp://genomes.urv.es/OPTIMIZERのOPTIMIZER)。
(H0メチニコビア属種のコドン)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される単離されたメチニコビア種は、キシロースから、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノールなどの化合物を生産するための1以上の生合成経路を有することができる。該生合成経路は、内在性経路又は外因性経路であることができる。本明細書に提供されるメチニコビア種は、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、及び3-メチル-ブタノールなどの生成物についての1以上の生合成経路に関与する酵素又はタンパク質のうちの1つ又は複数をコードする発現可能な核酸をさらに有することができる。どの酵素又はタンパク質がメチニコビア種にとって内在性であるかに応じて、特定の生合成経路のいくつか又は全てのための核酸を発現させることができる。いくつかの実施態様において、該メチニコビア種は、キシロースから化合物を生産し、かつ該化合物を天然に生産するための生合成経路の全ての酵素の内在性発現を有することができ、これは、生合成経路の酵素又はタンパク質(例えば、キシローストランスポーター)の発現をさらに修飾し又は増大させることにより改善することができる。いくつかの実施態様において、該メチニコビア種は、所望の生合成経路のための1以上の酵素又はタンパク質が欠損している可能性があり、その場合、欠損している酵素又はタンパク質に代わる発現可能な核酸が後続の外因性発現のためにメチニコビア種に導入される。或いは、該メチニコビア種がいくつかの経路遺伝子の内在性発現を示すが、その他のものが欠損している場合、所望の化合物の生合成を達成するために、欠損している酵素又はタンパク質の代わりにコード核酸が必要とされる。したがって、組換えメチニコビア種は、所望の生合成経路を得るための外因性酵素もしくはタンパク質活性をさらに含むことができるか、又は1以上の内在性酵素もしくはタンパク質と一緒に、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、もしくは3-メチル-ブタノールなどの所望の化合物をキシロースから生産する1以上の外因性酵素もしくはタンパク質活性を導入することにより、所望の生合成経路を得ることができる。
本明細書に提供されるメチニコビア種は、安定な遺伝子改変を含有することができ、これは、該改変を失うことなく、5世代よりも長い間培養することができる微生物を指す。通常、安定な遺伝子改変には、10世代よりも長く持続する修飾が含まれ、特に安定な修飾は、約25世代よりも長く持続し、より具体的には、遺伝子修飾は、無限を含めて、50世代よりも長いものである。
遺伝子破壊の場合、特に有用で安定な遺伝子改変は遺伝子欠失である。安定な遺伝子改変を導入するための遺伝子欠失の使用は、遺伝子改変前の表現型の復帰の可能性を低下させるために特に有用である。例えば、安定な成長と連動した生化学物質の生産は、例えば、一連の代謝的修飾における1以上の反応を触媒する酵素をコードする遺伝子の欠失によって達成することができる。安定な成長と連動した生化学物質の生産の安定性は、各々の破壊された活性について起こる複数の代償性復帰の可能性を顕著に低下させる複数の欠失によってさらに強化することができる。
当業者は、本明細書に例示される代謝的修飾を含む遺伝子改変が、好適な宿主生物、例えば、本明細書に提供されるメチニコビア種及びその対応する代謝反応又は所望の遺伝物質、例えば、所望の代謝経路の遺伝子のための好適な供給源生物を参照して説明されていることを理解するであろう。しかしながら、多種多様な生物の完全なゲノムシークエンシング及びゲノミクスの領域における高度な技術を考慮して、当業者は、本明細書に提供される教示及び指針を本質的に全ての他の生物に容易に適用することができるであろう。例えば、本明細書に例示される代謝的改変は、言及された種以外の種由来の同じ又は類似のコード化核酸を組み込むことにより、他の種に容易に適用することができる。そのような遺伝子改変には、例えば、種ホモログ一般、特に、オーソログ、パラログの遺伝子改変、又は非オーソロガス遺伝子置換が含まれる。
オーソログは、垂直系譜によって関連付けられ、異なる生物において実質的に同じ又は同一の機能に関与している遺伝子(単数又は複数)である。例えば、マウスエポキシドヒドロラーゼとヒトエポキシドヒドロラーゼは、エポキシドの加水分解の生物学的機能についてオーソログとみなすことができる。遺伝子は、例えば、それらが相同であるか、又は共通の祖先からの進化によって関連することを示すのに十分な量の配列類似性を共有する場合に垂直系譜によって関連付けられる。遺伝子はまた、3次元構造を共有するが、一次配列類似性が確認できない程度に共通の祖先から進化していることを示すのに十分な量の配列類似性を必ずしも共有しない場合、オーソログとみなすことができる。オーソロガスである遺伝子は、約25%~100%のアミノ酸配列同一性の配列類似性を有するタンパク質をコードすることができる。25%未満のアミノ酸類似性を共有するタンパク質をコードする遺伝子は、それらの3次元構造も類似性を示す場合に、垂直系譜によって生じたとみなすこともできる。組織プラスミノーゲン活性化因子及びエラスターゼを含む、セリンプロテアーゼファミリーの酵素のメンバーは、共通の祖先からの垂直系譜によって生じたとみなされる。
オーソログには、例えば、進化を通じて、構造又は全体的な活性が分岐した遺伝子又はそのコードされた遺伝子産物が含まれる。例えば、1つの種が2つの機能を示す遺伝子産物をコードする場合及びそのような機能が第二の種において異なる遺伝子に分離している場合、これら3つの遺伝子及びその対応する産物は、オーソログとみなされる。生化学的化合物の生産のために、当業者は、導入又は破壊されるべき代謝活性を保有するオーソロガス遺伝子が本明細書に提供されるメチニコビア種の構築のために選択されることになることを理解しているであろう。分離可能な活性を示すオーソログの例は、異なる活性が2以上の種間で又は単一の種内で異なる遺伝子産物に分離している場合である。具体的な例は、エラスターゼタンパク質分解及びプラスミノーゲンタンパク質分解という2種類のセリンプロテアーゼ活性がプラスミノゲン活性化因子及びエラスターゼとして異なる分子に分離していることである。第二の例は、マイコプラズマ5'-3'エキソヌクレアーゼ及びドロソフィラ(Drosophila)DNAポリメラーゼIII活性の分離である。第一の種由来のDNAポリメラーゼを第二の種由来のエキソヌクレアーゼもしくはポリメラーゼのどちらか又はその両方に対するオーソログとみなすことができ、そしてその逆も同様である。
対照的に、パラログは、例えば、重複とその後の進化的分岐によって関連付けられるホモログであり、類似又は共通しているが、同一ではない機能を有する。パラログは、例えば、同じ種もしくは異なる種に由来するか又はこれらから派生することができる。例えば、ミクロソームエポキシドヒドロラーゼ(エポキシドヒドロラーゼI)と可溶性エポキシドヒドロラーゼ(エポキシドヒドロラーゼII)は、異なる反応を触媒し、かつ同じ種において異なる機能を有する、共通の祖先から共進化した2つの異なる酵素を表すので、パラログとみなすことができる。パラログは、互いに顕著な配列類似性を有する同じ種由来のタンパク質であり、それが相同であるか、又は共通の祖先からの共進化によって関連付けられることを示唆している。パラロガスなタンパク質ファミリーの群としては、HipAホモログ、ルシフェラーゼ遺伝子、ペプチーダーゼ、及びその他のものが挙げられる。
非オーソロガス遺伝子置換は、異なる種における言及された遺伝子機能と置き換わることができる1つの種由来の非オーソロガス遺伝子である。置換は、例えば、異なる種における言及された機能と比較して起源の種において実質的に同じ又は同様の機能を果たすことができることを含む。通常、非オーソロガス遺伝子置換は、言及された機能をコードする既知の遺伝子と構造的に関連があるものとして同定可能であるが、構造的にあまり関連はないが、機能的に類似している遺伝子及びその対応する遺伝子産物もやはり、それが使用される場合の用語の意味に含まれる。機能的類似性は、例えば、置換しようとする機能をコードする遺伝子と比較して非オーソロガス遺伝子産物の活性部位又は結合領域における少なくともある程度の構造的類似性を必要とする。それゆえ、非オーソロガス遺伝子には、例えば、パラログ又は無関係な遺伝子が含まれる。
それゆえ、生合成能力を有する本明細書に提供されるメチニコビア種を同定及び構築する際に、当業者は、本明細書に提供される教示及び指針を特定の種に適用して、代謝的修飾の同定がオーソログの同定及び包含又は不活化を含むことができるということを理解するであろう。パラログ及び/又は非オーソロガス遺伝子置換が同様の又は実質的に同様の代謝反応を触媒する酵素をコードする言及された微生物に存在する限りにおいて、当業者は、これらの進化的に関連のある遺伝子を利用することもできる。遺伝子破壊についても同様に、進化的に関連する遺伝子を宿主微生物において破壊するか又は欠失させて、破壊の標的とされる酵素活性の機能的冗長性を低下又は消失させることができる。
オーソログ、パラログ、及び非オーソロガス遺伝子置換は、当業者に周知の方法によって決定することができる。例えば、2つのポリペプチドについての核酸又はアミノ酸配列の調査により、比較された配列間の配列同一性及び類似性が明らかになるであろう。そのような類似性に基づいて、当業者は、これらのタンパク質が共通の祖先からの進化によって関連付けられることを示すほど類似性が十分に高いかどうかを決定することができる。当業者に周知のアルゴリズム、例えば、Align、BLAST、Clustal W、及びその他のものは、未加工の配列の類似性又は同一性を比較及び決定し、また、加重又はスコアを割り当てることができる配列中のギャップの存在又は重要性を決定する。そのようなアルゴリズムも当技術分野で公知であり、ヌクレオチド配列の類似性又は同一性を決定するために同様に適用される。関連性を決定するための十分な類似性のパラメータは、統計的類似性、又はランダムなポリペプチドにおける類似の一致を発見する見込み、及び決定された一致の有意性を計算するための周知の方法に基づいて計算される。2以上の配列のコンピュータ比較は、望ましい場合、当業者によって視覚的に最適化されることもできる。関連する遺伝子産物又はタンパク質は、高い類似性、例えば、25%~100%の配列同一性を有すると考えることができる。関連のないタンパク質は、十分なサイズのデータベースをスキャンしても、偶然に起こると考えられるもの(約5%)と本質的に同じである同一性を有することがある。5%~24%の配列は、比較された配列が関連しているという結論を下すのに十分な相同性を表す場合もあるし、表さない場合もある。データセットのサイズを考慮して、そのような一致の有意性を決定するためのさらなる統計解析を実施して、これらの配列の関連性を決定することができる。
例えば、BLASTアルゴリズムを用いて2以上の配列の関連性を決定するための例示的なパラメータは、以下に記載されているようなものであることができる。簡潔に述べると、アミノ酸配列アラインメントは、BLASTPバージョン2.0.8(Jan-05-1999)及び以下のパラメータ:マトリクス: 0 BLOSUM62;ギャップ開始: 11;ギャップ伸長: 1; x_dropoff: 50;期待: 10.0;文字サイズ: 3;フィルター:オンを用いて実施することができる。核酸配列アラインメントは、BLASTNバージョン2.0.6(Sept-16-1998)及び以下のパラメータ:マッチ: 1;ミスマッチ: -2;ギャップ開始: 5;ギャップ伸長: 2; x_dropoff: 50;期待: 10.0;文字サイズ: 11;フィルター:オフを用いて実施することができる。当業者は、例えば、比較のストリンジェンシーを増加又は減少させて、2以上の配列の関連性を決定するために、どの修正を上記のパラメータに対して行うことができるかを知っているであろう。
キシロースからキシリトールを生産するための生合成経路を有する微生物は、当技術分野で公知である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キシロースからキシリトールを生産するための生合成経路を有するメチニコビア種である。また本明細書に提供されるのは、キシリトール生合成経路を有する本明細書に提供されるメチニコビア種を、キシリトールを生産するための条件下でかつキシリトールを生産するのに十分な時間培養することにより、生物由来キシリトールを生産する方法である。
キシロースをキシリトールに変換する能力を有する、多くの酵母種(カンジダ種、デバリオミセス・ハンセンイー(Debaryomyces hansenii)、ピキア・アノマーラ(Pichia anomala)、クルイベロミセス属種(Kluyveromvces spp)、パキソレン・タンノフィルス(Pachysolen tannophilus)、サッカロミセス属種、及び分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe))が同定されている(Sirisansaneeyakulらの文献、J. Ferment. Bioeng. 80:565-570(1995); Onishiらの文献、Agric. Biol. Chem. 30:1139-1144(1966); Barbosaらの文献、J. Ind. Microbiol. 3:241-251(1988); Gongらの文献、Biotechnol. Lett. 3:125-130(1981); Vandeskaらの文献、World J. Microbiol. Biotechnol. 11:213-218(1995); Dahiyaらの文献、Cabdirect.org 292-303(1990); Gongらの文献、Biotechnol. Bioeng. 25:85-102(1983))。キシルロースからキシリトールを生産する能力も様々な酵母(サッカロミセス属種、D.ハンセンイー、ピキア・ファリノース(Pichia farinose)、ハンセヌラ属種、エンドミコプシス・コダティー(Endomycopsis chodatii)、カンジダ属種、及びクリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans))で発見されている(Onishiらの文献、Appl. Microbiol. 18:1031-1035(1969))。キシリトールの生物生産に関する研究の大多数は、酵母を使用するものであり、キシロースをキシリトールに変換することができる新規の酵母種は発見され続けている(Kamatらの文献、J. App. Microbiol. 115: 1357-1367(2013); Buraらの文献、J. Ind. Microbiol. Biotechnol. 39:1003-1011(2012); Junyapateらの文献、Antonie Van Leeuwenhoek 105:471-480(2014); Guaman-Burneoらの文献、Antonie Van Leeuwenhoek 108: 919-931(2015); Cadeteらの文献、Int. J. Syst. Evolv. Microbiol. 65:2968-2974(2015))。
出芽酵母は、多くの食品プロセスで使用されている酵母生物であるが、天然には、キシロースを効率的に利用しない。これは、他の酵母種、例えば、シェフェルソミセス・スティピティス(Scheffersomyces stipitis)(ピキア・スティピティス)及びカンジダ・シェハタエ(Candida shehatae)由来のキシロースレダクターゼを発現させることにより、キシロースからキシリトールを生産するように改変されている(Hallbornらの文献、Bio/Technology 9:1090-1095; Hallbornらの文献、Appl. Microbiol. Biotechol. 42:326-333(1994); Leeらの文献、Process Biochem. 35:1199-1203(2000); Giovindenらの文献、Appl. Microbiol. Biotechnol. 55:76-80(2001); Chungらの文献、Enzyme Microb. Technol. 30:809-816(2002))。
出芽酵母におけるキシリトール生産の別の経路が検討されている。出芽酵母のトランスケトラーゼ欠損株におけるピキア・スティピティスのキシリトールデヒドロゲナーゼの発現及びキシルロキナーゼ遺伝子の欠失は、多段階経路を経由するグルコースからキシリトールへの変換を可能にした(Toivariらの文献、Appl. Enviorn. Microbiol. 73:5471-5476(2007))。
アカパンカビ(Neurospora crassa)のセロデキストリントランスポーター及び細胞内β-グルコシダーゼの発現は、それがキシリトール生産中にセロビオースとキシロースを同時に利用することを可能にした(Ohらの文献、Metab. Eng. 15:226-234(2013); Zhaらの文献、PLoS One 8:e68317(2013))。さらに、出芽酵母のALD5、IDP2、又はS.スティピティスのZWF1の過剰発現はNADPHレベルの増加につながり、より高いキシリトール生産性をもたらした(Ohらの文献、Metab. Eng. 15:226-234(2013))。
キシリトール生産を、NADPH選択性キシロースレダクターゼとNADH選択性キシロースレダクターゼの両方の使用により改善して、NAD(P)H共因子の制限を減少させることができる。この戦略は、野生型NADPH選択性及び突然変異体NADH選択性のS.スティピティスのキシロースレダクターゼ並びに出芽酵母のZWF1及びACS1の発現を伴って出芽酵母で使用された(Joらの文献、Biotechnol. J. 10:1935-1943(2015))。
キシリトール生産の処理コストを減少させるために、S.スティピティスのキシロースレダクターゼ、アスペルギルス・アクレアタスのβ-グルコシダーゼ、ニホンコウジカビ(Apsergillus oryzae)のβ-キシロシダーゼ、及びトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)のエンドキシラナーゼを出芽酵母で発現させた(Guirimandらの文献、Appl. Microbiol. Biotechnol. 100:3477-3487(2016))。これらの真菌酵素の発現は、外因性酵素の添加なしで、ヘミセルロースの直接的な分解を可能にした。
カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)は病原性であるが、キシリトールの天然の生産者のうちの1つでもある。いくつかの特許及び文献が、キシロースからのキシリトール生産のための宿主株としてのカンジダ属由来の酵母;すなわち、C.トロピカリスATCC 13803(PCT/IN2009/000027 & KR100259470)、C.トロピカリスATCC 9968(PCT/FI1990/000015)、C.トロピカリスKFCC 10960(KR100199819)、C.トロピカリス(NRRL 12968)(PCT/IN2013/000523)、C.トロピカリスATCC 750(Westらの文献、World J. Mircrobiol. Biotechnol. 25:913-916(2009))、及びC.トロピカリスATCC 7349(SAROTEらの文献、J. Ferment. and Bioeng. 80:565-570(1995))の適用を記載している。C.トロピカリスにおけるキシリトール生産を改善するために使用される1つの戦略は、NADPHとNADHの両方によるキシロースの還元を可能にするC.パラプシローシス由来のNADH選択性キシロースレダクターゼの発現であった(Leeらの文献、Appl. Enviorn. Microbiol. 69:6179-6188(2003))。キシリトールデヒドロゲナーゼの欠失は、キシリトール異化を遮断することにより、キシリトール生産を増大させるが、キシロースレダクターゼ活性のためのNADPHを再生するのに、グルコース又はグリセロールなどの共基質が必要とされる(Koらの文献、Appl. Environ. Microbiol. 72:4207-4213(2006); Koらの文献、Biotechnol. Lett. 28:1159-1162(2006))。キシリトール生産のさらなる改善は、キシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子の欠失をアカパンカビのキシロースレダクターゼの発現と組み合わせることにより行われた(Jeonらの文献、Bioprocess Biosyst. Eng. 35:191-198(2012))。この株のキシロース取込み及びキシリトール生産性は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来のキシローストランスポーターを発現させることにより、またさらに改善された(Jeonらの文献、Bioprocess Biosyst. Eng. 36:809-817(2013))。
グリセロールが共基質として提供される場合、NADPH再生は、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ及び6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼをC.トロピカリスで発現させることにより増強することができる(Ahmadらの文献、Bioprocess Biosyst. Eng. 35:199-204(2012))。キシリトール生産は、グリセロールキナーゼを欠失させ、ピキア・スティピティス由来の3つのNADPH再生グリセロールデヒドロゲナーゼを発現させることにより増強することもできる(Ahmadらの文献、Bioprocess Biosyst. Eng. 36:1279-1284(2013))。混合糖基質からキシリトールを生産することに関する問題の1つは、C.トロピカリス由来のキシロースレダクターゼが、アラビノースを、キシリトール生産における夾雑物質となるアラビトールに変換することができるということである。これを防ぐために、内在性キシロースレダクターゼを欠失させ、アカパンカビ由来の突然変異体キシロース特異的キシロースレダクターゼを細菌アラビノース同化酵素と一緒に発現させた(Yoonらの文献、Biotechnol. Lett. 33:747-753(2011); Nairらの文献、 ChemBioChem 9:1213-1215(2008))。これにより、アラビトール形成が最小限に抑えられる一方、細胞成長のためのアラビノース同化が可能になった。
クルイベロミセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)は、乳製品によく見られる耐熱性酵母である。これは、その高い成長速度、最大52℃の温度に対する耐性、及び様々な糖を利用する能力のために、キシリトール生産に使用することができる。K.マルキシアヌスにおける単独又はキシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子の欠失と組み合わせたアカパンカビのキシロースレダクターゼの発現は、最適には42℃でキシリトール生産をもたらした(Zhangらの文献、Bioresour. Technol. 152:192-201(2014))。キシリトール生産に対するさらなる改善は、様々なキシローストランスポーター: K.マルキシアヌスのアクアグリセロポリン、カンジダ・インテルメディア(Candida intermedia)のグルコース/キシロースファシリテーター、又はC.インテルメディアのグルコース/キシロースシンポーターの発現を試験することにより行われた(Zhangらの文献、Bioresour. Technol. 175:642-645(2015))。C.インテルメディアのグルコース/キシロースファシリテーターの発現は、キシリトールの収率及び生産性を増大させるのに効果があることが分かり、特に、報告された最も高い最終キシリトール濃度を生じさせた。K.マルキシアヌスは、キシロース利用及びキシリトール生産能力が改善された株を生じさせる進化的適応実験でも使用された(Sharmaらの文献、Bioprocess Biosyst. Eng. 39:835-843(2016))。
2つの他の酵母種がキシリトール生産を研究するために遺伝子改変されている。デバリオミセス・ハンセンイーは、耐浸透圧性かつ非病原性であるキシリトールの別の天然の生産者である。キシリトール生産は、キシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子の欠失により、この種で増強された(Palらの文献、Bioresour. Technol. 147:449-455(2013))。ピキア・パストリス(Pichia pastoris)は、タンパク質発現のために一般に使用される酵母である。これは、グルコース-アラビトール-キシルロース-キシリトール経路を経て、グルコースから直接キシリトールを生産するように改変されている(Chengらの文献、Appl. Microbiol. Biotechnol. 98:3539-3552(2014))。これは、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)由来のキシリトールデヒドロゲナーゼ及びクレブシエラ・ニューモニアエ(Klebsiella pneumoniae)由来のキシルロース形成アラビトールデヒドロゲナーゼを発現させることにより達成された。
糸状菌及び酵母の他に、限られた数の細菌種(コリネバクテリウム属種及びエンテロバクター・リクエファシエンス)が、キシロースからキシリトールを生産することが観察されている(Yoshitakeらの文献、Agric. Biol. Chem. 35:905-911(1971); Yoshitakeらの文献、Agric. Biol. Chem. 37:2261-2267(1973); Yoshitakeらの文献、Agric. Biol. Chem. 40:1493-1503(1976); Rangaswamyらの文献、Appl. Microbiol. Biotechnol. 60:88-93(2002))。マイコバクテリウム・スメグマティス(Mycobacterium smegmatis)がキシルロースからキシリトールを生産することができることも報告されている(Izumoriらの文献、J. Ferment. Technol. 66:33-36(1988))。後続の細菌のスクリーニングにより、グルコノバクター属種(Gluconobacter spp.)及びアセトバクター・キシリヌム(Acetobacter xylinum)は、アラビトールからキシルロース及びキシルロースからキシリトールへの逐次変換によって、アラビトールをキシリトールに変換することができることが発見された(Suzukiらの文献、Biosci. Biotechnol. Biochem. 66:2614-2620(2002))。
微細藻類は、再生可能資源の生産のための魅力的なプラットフォームである。微細藻類におけるキシリトール生産が一度報告されており、そこで、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)におけるアカパンカビ由来のキシロースレダクターゼの発現により、コナミドリムシが少量のキシロースをキシリトールに変換することが可能になった(Pourmirらの文献、J. Biotechnol. 165:178-183(2013))。
様々な糸状菌(アオカビ属種(Penicillium spp.)、アスペルギルス属種(Aspergillus spp.)、クモノスカビ(Rhizopus nigricans)、グリオクラジウム・ロゼウム(Gliocladium roseum)、ビソクラミス・フルバ(Byssochlamys fulva)、ミロテシウム・ウェルカリア(Myrothecium verrucaria)、アカパンカビ、ロドトルラ・グルティニス(Rhodotorula glutinis)、及びトルロプシス・ユティリス(Torulopsis utilis))の抽出物が、キシロースをキシリトールに変換することができる酵素を含有することが観察されている(Chiangらの文献、Nature 188:79-81(1960); Chiangらの文献、Biochem. Biophys. Res. Commun. 3:554-559(1960); Chiangらの文献、Biochem. Biophys. Acta. 29:664-5(1958))。後の研究により、様々な程度の効率でキシロースをキシリトールに変換することができるさらなる糸状菌(ペトロミセス・アルベルテンシス(Petromyces albertensis)、アオカビ属種、及びクロコウジカビ(Aspergillus niger))が同定された(Dahiyaらの文献、Can. J. Microbiol. 37:14-18(1991); Sampaioらの文献、Brazilian J. Microbiol. 34:325-328(2003))。
セルロース分解酵素を分泌する糸状真菌であるトリコデルマ・リーゼイは、キシリトール代謝を遮断するためにキシリトールデヒドロゲナーゼ及びL-アラビニトール-4-デヒドロゲナーゼの遺伝子を欠失させたとき、より多くのキシリトールを生産した(Dashtbanらの文献、Appl. Biochem. Biotecnol. 169:554-569(2013))。キシリトール生産は、キシロースレダクターゼを過剰発現させ、キシルロキナーゼを阻害したとき、T.リーゼイでも増大した(Hongらの文献、Biomed Res. Int. 2014:169705(2014))。リグニン分解活性を有する白色腐敗真菌であるファネロカエテ・ソルディダ(Phanerochaete sordida)は、ファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)由来のキシロースレダクターゼ遺伝子を発現したとき、より多くのキシリトールを生産した(Hirabayashiらの文献、J. Biosci. Bioeng. 120:6-8(2015))。
細菌は、キシロースレダクターゼ-キシリトールデヒドロゲナーゼ経路を用いる代わりに、キシロースイソメラーゼを用いてキシロースを代謝する。それゆえ、キシリトール生産への細菌宿主の使用は、通常、キシロースレダクターゼの組換え発現を伴う。カンジダ・トロピカリス由来のキシロースレダクターゼを大腸菌(Escherichia coli)で発現させ、キシロースからのキシリトール生産のために機能的であることが分かった(Suzukiらの文献、J. Biosci. Bioeng. 87:280-284(1999))。その後の研究は、カンジダ・ボイディニイー(Candida boidinii)、カンジダ・テヌイス(Candida tenuis)、及びピキア・スティピティス由来のキシロースレダクターゼを内在性キシルロキナーゼ遺伝子の欠失と併せて発現させた(Cirinoらの文献、Biotechnol. Bioeng. 95:1167-1176(2006))。グルコースとキシロースの混合物からのキシリトール生産を改善するために、環状AMP受容体タンパク質を、キシロース代謝のグルコース抑制を回避する突然変異体と置き換えた。キシローストランスポーターのXylE又はXylFGHを発現させることは、環状AMP受容体タンパク質を突然変異体形態と置き換えるのと同様の効果を有する(Khankalらの文献、J. Biotehnol. 134:246-252(2008))。
共因子再生も、細菌におけるキシリトール生産を改善するために重要であり、これは、多数の遺伝子欠失及び共因子再生経路の発現を通じて大腸菌で研究されている(Chinらの文献、Biotechnol. Bioeng. 102:209-220(2009); Chinらの文献、Biotechnol. Prog. 27:333-341(2011); Iversonらの文献、World J. Microbiol. Biotechnol. 29:1225-1232(2013); Iversonらの文献、BMC Syst. Biol. 10:31(2016))。グルコースとキシロースの混合物からのキシリトール生産の改善を目的とした別の研究は、ホスホエノールピルビン酸依存的グルコースホスホトランスフェラーゼ系を破壊して、カタボライト抑制を消失させた(Suらの文献、Metab. Eng. 31:112-122(2015))。内在性キシロース代謝を、キシロースイソメラーゼ、キシルロースキナーゼ、及びホスホエノールピルビン酸依存的フルクトースホスホトランスフェラーゼ系を破壊することにより、この株で遮断し、アカパンカビのキシロースレダクターゼを発現させて、キシリトール生産を最適化した。
乳酸連鎖球菌(Lactococcus lactis)は、チーズ生産などの乳製品加工に一般的に使用される十分に特徴付けられた細菌であり、他の食品関連加工に取り入れることができる。乳酸連鎖球菌は、S.スティピティスのキシロースレダクターゼ及び乳酸短杆菌(Lactobacillus brevis)のキシローストランスポーターを発現したとき、キシロースからキシリトールを生産することができた(Nyyossolaらの文献、J. Biotechnol. 118:55-56(2005))。
コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)は、MSGの生産などの多くの産業用途を有する細菌である。これは、キシロースとグルコースを同時利用するように改変されており、これは、キシリトール生産性についての重要な特質である(Sasakiらの文献、Appl. Microbiol. Biotechnol. 85:105-115(2009))。C.グルタミクムにおけるキシリトール生産を最適化するために、これは、その乳酸デヒドロゲナーゼ、キシルロキナーゼ、及びホスホエノールピルビン酸依存的フルクトースホスホトランスフェラーゼ遺伝子の破壊と併せて、カンジダ・テヌイス由来のペントーストランスポーター及び突然変異体キシロースレダクターゼを発現するように改変されている(Sasakiらの文献、Appl. Microbiol. Biotechnol. 86:1057-1066(2010))。C.グルタミクムにおけるキシリトール生産は、ピキア・スティピティスのキシロースレダクターゼを発現することによっても達成された(Kimらの文献、Enzyme Microb. Technol. 46:366-371(2010))。ロドトルラ・ムシラギノーサ(Rhodotorula mucilaginosa)のキシロースレダクターゼ、大腸菌のl-アラビノースイソメラーゼ、アグロバクテリウム・トゥメファシェンス(Agrobacterium tumefaciens)のd-プシコース 3エピメラーゼ、マイコバクテリウム・スメグマティスのl-キシルロースレダクターゼ、及び融合ペントーストランスポーターの発現により、アラビトールを形成しないで、キシロースとアラビノースの混合物からのキシリトールの生産が可能になった(Dharらの文献、J. Biotechnol. 230:63-71(2016))。
本明細書に提供されるメチニコビア種をキシリトールの生産用の宿主株として用いることができることが理解される。さらなる代謝工学を用いて、メチニコビア種を採用して、これらのメチニコビア種におけるキシリトール生産をさらに増大させることができる。
キシロースからアラビトールを生産するための生合成経路を有する微生物は当技術分野で公知である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キシロースからアラビトールを生産するための生合成経路を有するメチニコビア種である。また本明細書に提供されるのは、アラビトール生合成経路を有する本明細書に提供されるメチニコビア種を、アラビトールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することにより、生物由来アラビトールを生産する方法である。
キシロースからアラビトールを生産することができるいくつかの酵母種が同定されている。例えば、最近同定されたジゴカッカロミセス・ロウキシイー(Zygocaccharomyces rouxxii)NRRL 27,624株は、グルコースからの主要代謝生成物としてD-アラビトールを生産することが知られている(Sahaらの文献、2007, J. Ind. Microbial. Biotechnol., 34:519-523)。しかしながら、これは、キシロースから及びキシロースとキシルロースの混合物からD-アラビトール及びキシリトールを生産することも確認された(Sahaらの文献、2007)。これらの結果に基づいて、キシロースからのD-アラビトールの生産のための経路には、キシロースレダクターゼ、キシリトールデヒドロゲナーゼ、及びアラビトールデヒドロゲナーゼが含まれた(Sahaらの文献、2007)。さらに、カンジダ・マルトーサ(Candida maltosa)は、キシルロースレダクターゼによってD-キシルロースからD-アラビトールを生産することが示されている(Chengらの文献、2011, Microbial. Cell Factories, 10:5)。アラビトールの生産は、デバリオミセス、ゲオトリクム(Geotrichum)、及びメチニコビアの属内の酵母種において、キシロースをグリセロールとともに添加することにより改善されることも分かった(2012年1月26日に公開された国際出願公開WO 2012/011962号)。
本明細書に提供されるメチニコビア種をアラビトールの生産用の宿主株として用いることができることが理解される。さらなる代謝工学を用いて、メチニコビア種を採用して、これらのメチニコビア種におけるアラビトール生産をさらに増大させることができる。
キシロースからエタノールを生産するための生合成経路を有する微生物は当技術分野で公知である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キシロースからエタノールを生産するための生合成経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するメチニコビア種である。キシロース取込みを増強すると、該微生物は、キシロースからのエタノールの生産を改善することもできる。また本明細書に提供されるのは、エタノール生合成経路を有する本明細書に提供されるメチニコビア種を、エタノールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することにより、生物由来エタノールを生産する方法である。
エタノールは、いくつかの用途を有し、最も一般的には、燃料添加剤として使用される。燃料添加剤として、エタノールは、その生産費の多くが原材料費に起因する低価値製品である。それゆえ、簡単に手に入る安価な出発材料、例えば、リグノセルロースからのエタノール生産のためのエタノロジェン及び発酵プロセスを開発することが望ましい。グルコースとキシロースの両方の発酵は、現在、バイオマスからエタノールへの経済的変換にとって最優先のこととみなされている。ほとんどの微生物は、グルコースを発酵させることができるが、キシロースを効率的に利用することが報告されているものは少なく、このペントースをエタノールに発酵させるものはさらに少ない。
比較的少数の野生型微生物がD-キシロースを発酵させることができる。これらの微生物は、通常、大規模発酵に適していない。この不都合さは、例えば、該微生物に精通していないこと、該微生物を取得する難しさ、前処理したリグノセルロース系材料(lignocellulosics)上での低い生産性及び/もしくは成長、又はバイオマスに由来する混合糖上で成長させた場合の不十分な収率の結果として生じ得る(C. Abbasの文献、「リグノセルロース系材料からエタノールへ:将来のエタノール需要を満たす(Lignocellulosics to ethanol: meeting ethanol demand in the future)」、アルコールテキストブック(The Alcohol Textbook)、第4版(K. A. Jacques、T. P. Lyons、及びD. R. Kelsall編). Nottingham University Press, Nottingham, UK, 2003, pp. 41-57.; C. Abbasの文献、「新興バイオリファイナリー及び非伝統的酵母の生物工学的応用:現在及び未来(Emerging biorefineries and biotechnological applications of nonconventional yeast: now and in the future)」、アルコールテキストブック(The Alcohol Textbook)、第4版(K. A. Jacques、T. P. Lyons、及びD. R. Kelsall編). Nottingham University Press, Nottingham, United Kingdom, 2003, pp. 171-191)。
酵母は、キシロースのアルコール発酵のための有望な微生物と考えられる(Ryabovaの文献、上記を参照)。酵母は細菌よりも大きい細胞を有し、ウイルス感染に耐性があり、かつエタノールからの負のフィードバックに対してより耐性がある傾向がある。さらに、酵母の成長及び代謝は、いくつかの種について徹底的に研究されている。
いくつかの酵母は、D-キシロースを天然発酵させることが知られている。これらには、例えば、ピキア・スティピティス、カンジダ・シェハタエ、及びパキソレン・タンノフィルスが含まれる(Ryabovaの文献、上記; Cite 2, C. Abbas 2003を参照)。一般的なビール酵母である出芽酵母は、D-キシロースを天然発酵させることが知られていないが、D-キシロースを実際に発酵させる代謝的に改変された出芽酵母のいくつかの株が報告されている。
数多くの研究により、組換え出芽酵母によるD-キシロースの代謝が記載されている(例えば、Matsushikaらの文献、Applied Microbiology and Biotechnology 84, no. 1(2009): 37-53;米国特許公開第2005/0153411A1号(Jul. 14, 2005);米国特許公開第2004/0231661A1号(Nov. 25, 2004);米国特許第4,368,268号(Jan. 11, 1983);米国特許第6,582,944号(Jun. 24, 2003);米国特許第7,226,735号(Jun. 5, 2007);米国特許公開第2004/0142456A1号(Jul. 22, 2004); Jeffries, T. W.及びJin, Y-S.の文献、Appl. Microbiol. Biotechnol. 63: 495-509(2004); Jin, Y-S.の文献、Met. Eng. 6: 229-238(2004); Pitkanen, J-Y.の文献、Helsinki Univ. of Tech., Dept. of Chem. Tech., Technical Biochemistry Report(January 2005); Porro, D.らの文献、App. & Env. Microbiol. 65(9): 4211-4215(1999); Jin, Y-S.らの文献、App. & Env. Microbiol. 70(11): 6816-6825(2004); Sybirna, Kらの文献、Curr. Genetics 47(3): 172-181(2005); Toivari, M. H.らの文献、Metabolic Eng. 3:236-249(2001)を参照。
酵母におけるD-キシロース代謝は、ペントースホスフェート経路を経由するグルコースの代謝と同様の経路に沿って進行する。D-キシロース由来の炭素は、解糖サイクルを経てエタノールにまで処理されるか、又は呼吸TCAサイクルを経てCO2にまで処理される。エタノールへの発酵は、一部、呼吸又は発酵のいずれかで使用され得る代謝物であるピルビン酸の代謝に依存している(van Hoek, P.らの文献、 Appl. & Enviro. Microbiol. 64(6); 2133-2140(1998)を参照)。ピルビン酸は、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(E.C. 4.1.1.1)という酵素によるピルビン酸からアセトアルデヒドへの脱炭酸の後に、発酵に入る。ピルビン酸デカルボキシラーゼは、ビオチン依存的カルボキシラーゼのファミリーのメンバーである。これは、ピルビン酸の脱炭酸を触媒して、ATP切断により、オキサロ酢酸を形成させる。オキサロ酢酸は、脂肪、グルコース、及び一部のアミノ酸又は他の誘導体の合成のために使用することができる。この酵素は高度に保存されており、種々の原核生物及び真核生物で見られる。
キシロースからエタノールを生産することができる他の微生物も当技術分野で公知である。耐熱性メタノール資化性酵母ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)(別名、ピキア・アングスタ(Pichia angusta))は、それぞれ、37℃及び48℃の至適成長温度及び最大成長温度を有することが報告されており、特定の条件下でD-キシロースを天然発酵させることができる(US 8071298号; Voronovskyらの文献、FEMS Yeast Res. 5(11): 1055-62(2005))。さらに、ピキア・スティピティスの3つの株及びカンジダ・シェハタエのうちの3つは、好気的な条件と微好気的な条件の両方に曝されたとき、キシロースを発酵させることが報告された。検討された株のうち、P.スティピティスNRRL Y-7124は、好気的に供給された150g/Lのキシロースのうちの7g/Lを除く全てを用いて、キシロース1グラム当たり0.39gの産出量(理論的収率の76%)で及びC.シェハタエNRRL Y-12878によって示された最速に匹敵する速度で、52g/Lエタノールを生産することができた。試験した全ての株について、好気的培養からの発酵の結果は、微好気的培養からの発酵の結果よりも有利であった。Slininger, P.J.らの文献、Biotechnol Lett(1985) 7: 431。
例えば、グルコース、フルクトース、及びスクロース上で成長する細菌エタノロジェンであるザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)は、エントナー・ドゥドロフ経路を経由して、これらの糖をCO2及びエタノールに代謝する。野生型株はキシロースを炭素源として用いることができないが、この糖の上でも成長することができるZ.モビリスの組換え株が人為的に作製されている(米国特許公開第20080187973号、米国特許第5,514,583号、米国特許第5,712,133号、WO 95/28476号、Feldmannらの文献(1992) Appl Microbiol Biotechnol 38: 354-361、Zhangらの文献(1995) Science 267:240-243)。
組換え大腸菌によるキシロースからエタノールへの変換が報告されている。少量のカルシウム、マグネシウム、及び第一鉄イオンの添加により、発酵が刺激された。Beallらの文献、Biotechnology and Bioengineering 38, no. 3(1991): 296-303。
本明細書に提供されるメチニコビア種をエタノールの生産用の宿主株として用いることができることが理解される。さらなる代謝工学を用いて、メチニコビア種を採用して、これらのメチニコビア種におけるエタノール生産をさらに増大させることができる。
キシロースからn-ブタノールを生産するための生合成経路を有する微生物は、当技術分野で公知である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キシロースからn-ブタノールを生産するための生合成経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するメチニコビア種である。キシロース取込みを増強すると、該微生物は、キシロースからのn-ブタノールの生産を改善することもできる。また本明細書に提供されるのは、n-ブタノール生合成経路を有する本明細書に提供されるメチニコビア種を、n-ブタノールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することにより、生物由来n-ブタノールを生産する方法である。
ブタノールは、燃料としてのいくつかの利点を提供する。ブタノールは、ほとんどの溶媒(アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、及び炭化水素)と混和性である透明な中性液体である四炭素アルコールであり、かつ水に難溶性(完全に混和性であるエタノールと比較して、6.3%の水溶解度)である。これは、ガソリンに匹敵するオクタン価を有し、そのため、ガソリンを燃焼させるために作られた任意の内燃機関用の貴重な燃料となっている。燃料試験により、ブタノールが水の存在下で相分離せず、かつエラストマー膨潤に対して悪影響がないことも証明されている。ブタノールは、エタノールよりもガソリンのエネルギー含量に近い高いエネルギー含量を有するため、燃料経済の面でそれほど障害とならないだけでなく、その低蒸気圧のために、従来のガソリンに容易に添加することもできる。
ブタノール生合成は、アセトン、ブタノール、及びエタノール発酵経路(「ABE経路」)を通じて達成することができる。クロストリディウム・アセトブティリクム(Clostridium acetobutylicum)という細菌の溶媒生産種を用いるこのブタノール発酵生産経路の生成物は、6部のブタノール、3部のアセトン、及び1部のエタノールである。ブタノール生産経路は、様々な宿主生物に導入されている。例えば、この経路は、その高い成長速度及び遺伝的ツールの効率性のために、大腸菌(Atsumiらの文献、Nature 451:86-89(2008))及び出芽酵母(Steenらの文献、Microb. Cell Fact 7:36(2008))で発現された。シュードモナス・プチーダ(Pseudomonas putida)、乳酸短杆菌、及び枯草菌(Bacillus subtilis)は、その潜在的により高い溶媒耐性のために使用された(Nielsenらの文献、Metab. Eng. 11:262-273(2009); Berezinaらの文献、Appl. Microbiol. Biot. 87:635-646(2010))。
ブタノール生産の出発材料としての食用作物の使用に代わるものは、バイオマス、具体的には、リグノセルロース系バイオマスである。クロストリジウム属種(Clostridium spp.)の株、例えば、C.サッカロパーブチルアセトニクム(C.saccharoperbutylacetonicum)(例えば、C.サッカロパーブチルアセトニクム株ATCC 27021又はC.サッカロパーブチルアセトニクム株ATCC 27022)は、キシロースの代わりにブタノールを生産するように改変されている。例えば、米国特許第8900841号を参照されたい。クロストリジウム・セルロリティクム(Clostridium cellulolyticum)は、結晶セルロースからのイソブタノール生産のために、その天然のバリン合成経路を迂回するように改変された(Higashideらの文献、Appl. Environ. Microb. 77:2727-2733(2011))。セルロースから前駆体ブチリル-CoAを1-ブタノールに変換するために、酪酸を主要代謝生成物として天然に生産するクロストリジウム・セルロボランス(Clostridium cellulovorans)に、アルデヒド/アルコールデヒドロゲナーゼ(AdhE2)が導入された(Yangらの文献、Metab. Eng. 32:39-48(2015))。サーモアナエロバクテリウム・サッカロリティクム(Thermoanaerobacterium saccharolyticum)を用いて、キシロースからの1-ブタノール生産も示された(Bhandiwadらの文献、Metab. Eng. 21:17-25(2014))。
セルロース分解速度を増大させるために及び汚染機会を低下させるために、好熱性生物を使用した。好熱菌におけるイソブタノール生産の最初の例は、セロビオースを基質として用いるゲオバシルス・サーモグルコシダシウス(Geobacillus thermoglucosidasius)で示された(Linらの文献、Metab. Eng. 24:1-8(2014))。この研究において、イソブタノール合成に関与する酵素の熱安定性が調べられた。この研究の結果は、イソブタノール生合成経路を発現させ、最適化することにより、クロストリジウム・サーモセルム(Clostridium thermocellum)におけるセルロースからイソブタノールへの直接変換に応用された(Linらの文献、Metab. Eng. 31:44-52(2015))。
最も効果的なエタノール生産酵母のうちの1つである出芽酵母は、リグノセルロースバイオマスの酸加水分解物におけるヘキソースからの高エタノール生産並びにエタノール及び他の阻害化合物に対する高い耐性などの、いくつかの利点を有する。この酵母の標準株は、キシロースなどのペントースを利用することができないが、ピキア・スティピティス由来のキシロースレダクターゼ及びキシリトールデヒドロゲナーゼなどのキシロース同化経路の細胞内発現のための遺伝子並びにA.アクレアートゥス(A.acleatus)由来のβ-グルコシダーゼを提示するための遺伝子を組み込むことにより、キシロース及びセロオリゴ糖を発酵させることができる組換え酵母株を提供することができる。例えば、米国特許公開第20100129885号;米国特許公開第20100261241号を参照されたい。
本明細書に提供されるメチニコビア種をn-ブタノールの生産用の宿主株として用いることができることが理解される。さらなる代謝工学を用いて、メチニコビア種を採用して、これらのメチニコビア種におけるn-ブタノール生産をさらに増大させることができる。
キシロースからイソブタノールを生産するための生合成経路を有する微生物は、当技術分野で公知である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キシロースからイソブタノールを生産するための生合成経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するメチニコビア種である。キシロース取込みを増強すると、該微生物は、キシロースからのイソブタノールの生産を改善することもできる。また本明細書に提供されるのは、イソブタノール生合成経路を有する本明細書に提供されるメチニコビア種を、イソブタノールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することにより、生物由来イソブタノールを生産する方法である。
バイオ燃料候補でもあるイソブタノールは、異種の5段階の代謝経路を発現する組換え微生物で生産されている(例えば、WO/2007/050671号、WO/2008/098227号、及びWO/2009/103533号を参照)。キシロースを含む五炭素(ペントース)糖からのイソブタノールの生産のための経路を含む組換え微生物も当技術分野で公知である(例えば、WO 2012173659号; WO 2011153144号を参照)。該組換え微生物を改変して、機能的な外因性キシロースイソメラーゼを発現させることができる。酵母で機能的な外因性キシロースイソメラーゼは当技術分野で公知である。例えば、US2006/0234364号を参照されたい。外因性キシロースイソメラーゼ遺伝子は、酵母細胞で機能的であるプロモーター及びターミネーター配列に機能的に連結させることができる。
例えば、組換え出芽酵母は、キシロースからイソブタノールを生産することが知られていた。例えば、US20130035515号、Bratらの文献、FEMS Yeastresearch 13.2(2013): 241-244; Lee, Won-Heongらの文献、Bioprocess and biosystems engineering 35.9(2012): 1467-1475を参照されたい。最適化されたサイトゾル局在性バリン生合成経路を、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)由来のキシロースイソメラーゼXylA、トランスアルドラーゼTal1、及びキシルロキナーゼXks1の過剰発現とともに同時過剰発現させると、組換え出芽酵母細胞が、唯一の炭素源としてのd-キシロース上での成長のためのilv 2,3,5三重欠失突然変異体のバリン栄養要求性を相補することができた。さらに、ケト酸デカルボキシラーゼAro10及びアルコールデヒドロゲナーゼAdh2のさらなる過剰発現の後、該細胞は、D-キシロースを直接イソブタノールに発酵させることができた。
本明細書に提供されるメチニコビア種をイソブタノールの生産用の宿主株として用いることができることが理解される。さらなる代謝工学を用いて、メチニコビア種を採用して、これらのメチニコビア種におけるイソブタノール生産をさらに増大させることができる。
キシロースからイソプロパノールを生産するための生合成経路を有する微生物は、当技術分野で公知である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キシロースからイソプロパノールを生産するための生合成経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するメチニコビア種である。キシロース取込みを増強すると、該微生物は、キシロースからのイソプロパノールの生産を改善することもできる。また本明細書に提供されるのは、イソプロパノール生合成経路を有する本明細書に提供されるメチニコビア種を、イソプロパノールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することにより、生物由来イソプロパノールを生産する方法である。
エチレンの重合は、広範囲の有用な用途を有するプラスチックの一種であるポリエチレンを提供する。エチレンは、伝統的に、精製された非再生可能な化石燃料によって生産されるが、生物由来エタノールからエチレンへの脱水は、再生可能な炭素源、すなわち、発酵性糖の発酵由来のエタノールからエチレンへの代替経路を提供する。同様に、イソプロパノール及びn-プロパノールをプロピレンに脱水することができ、次にこれを重合して、ポリプロピレンにすることができる。ポリエチレンと同様、生物由来プロパノール出発材料(すなわち、イソプロパノール又はn-プロパノール)を使用すれば、「グリーンポリプロピレン」が得られることになる。例えば、WO 2009/049274号、WO 2009/103026号、WO 2009/131286号、WO 2010/071697号、WO 2011/031897号、WO 2011/029166号、WO 2011/022651 号、WO 2012/058603号を参照されたい。
イソプロポナール(isoproponal)の生産は、イソプロパノール経路を有し、増加した量のイソプロパノールを生産するように改変された組換えラクトバシルス宿主細胞(例えば、ラクトバシルス・レウテリ(Lactobacillus reuteri))で観察されている。例えば、WO2013178699 A1号を参照されたい。合成経路を用いる改変大腸菌によるセロビオースからの直接的なイソプロパノール生産も観察された。例えば、Somaらの文献、Journal of bioscience and bioengineering 114.1(2012): 80-85を参照されたい。
本明細書に提供されるメチニコビア種をイソプロパノールの生産用の宿主株として用いることができることが理解される。さらなる代謝工学を用いて、メチニコビア種を採用して、これらのメチニコビア種におけるイソプロパノール生産をさらに増大させることができる。
キシロースから酢酸エチルを生産するための生合成経路を有する微生物は、当技術分野で公知である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キシロースから酢酸エチルを生産するための生合成経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するメチニコビア種である。キシロース取込みを増強すると、該微生物は、キシロースからの酢酸エチルの生産を改善することもできる。また本明細書に提供されるのは、酢酸エチル生合成経路を有する本明細書に提供されるメチニコビア種を、酢酸エチルを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することにより、生物由来酢酸エチルを生産する方法である。
酢酸エチルは、多くの産業用途を有する環境に優しい溶媒である。微生物による酢酸エチルの合成が望ましい。より多くの量のこのエステルを生産するための酵母の能力は長い間知られており、再生可能な原材料からの大規模エステル生産に応用することができる。ピキア・アノマーラ、カンジダ・ユティリス(Candida utilis)、及びクルイベロミセス・マルキシアヌスは、高収率で糖を酢酸エチルに変換する酵母である。Loserらの文献、Appl Microbiol Biotechnol(2014) 98:5397-5415。
多くの酢酸エチルの合成には酸素が必要とされ、これは、通常、通気によって供給される。酢酸エチルは揮発性が高く、そのため、通気の結果として、その相転移及び脱溶媒(stripping)がもたらされる。この脱溶媒プロセスは回避することができないが、実験中の適切な取扱いを要求し、費用効率の高いプロセス-合成エステルの同時回収(integrated recovery)の機会を提供する。
本明細書に提供されるメチニコビア種を酢酸エチルの生産用の宿主株として用いることができることが理解される。さらなる代謝工学を用いて、メチニコビア種を採用して、これらのメチニコビア種における酢酸エチル生産をさらに増大させることができる。
キシロースからフェニル-エチルアルコールを生産するための生合成経路を有する微生物は、当技術分野で公知である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キシロースからフェニル-エチルアルコールを生産するための生合成経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するメチニコビア種である。キシロース取込みを増強すると、該微生物は、キシロースからのフェニル-エチルアルコールの生産を改善することもできる。また本明細書に提供されるのは、フェニル-エチルアルコール生合成経路を有する本明細書に提供されるメチニコビア種を、フェニル-エチルアルコールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することにより、生物由来フェニル-エチルアルコールを生産する方法である。
フェニル-エチルアルコールは、微生物によって生産され得るわずかに粘稠性のある無色透明の液体である。フェニル-エチルアルコールは、いくつかの天然植物精油の中に、食物、香辛料、及びタバコの中に、並びに蒸留されていないアルコール飲料、ビール、及びワインの中に見出されている。これは、細菌の成長を防止し又は遅延させ、したがって、化粧品及びパーソナルケア製品を腐敗から保護する。フェニル-エチルアルコールはまた、製品に芳香を付与する。
本明細書に提供されるメチニコビア種をフェニル-エチルアルコールの生産用の宿主株として用いることができることが理解される。さらなる代謝工学を用いて、メチニコビア種を採用して、これらのメチニコビア種におけるフェニル-エチルアルコール生産をさらに増大させることができる。
キシロースから2-メチル-ブタノールを生産するための生合成経路を有する微生物は、当技術分野で公知である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キシロースから2-メチル-ブタノールを生産するための生合成経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するメチニコビア種である。キシロース取込みを増強すると、該微生物は、キシロースからの2-メチル-ブタノールの生産を改善することもできる。また本明細書に提供されるのは、2-メチル-ブタノール生合成経路を有する本明細書に提供されるメチニコビア種を、2-メチル-ブタノールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することにより、生物由来2-メチル-ブタノールを生産する方法である。
2-メチル-ブタノールは、溶媒及び他の化学物質の製造における中間体として用いることができる。2-メチル-ブタノールはまた、燃料及び潤滑油添加剤と、浮選助剤と、腐食阻害剤、医薬品、塗料溶媒、及び抽出剤の製造とに適用される。
本明細書に提供されるメチニコビア種を3-メチルブタノールの生産用の宿主株として用いることができることが理解される。さらなる代謝工学を用いて、メチニコビア種を採用して、これらのメチニコビア種における2-メチルブタノール生産をさらに増大させることができる。
キシロースから3-メチル-ブタノールを生産するための生合成経路を有する微生物は、当技術分野で公知である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キシロースから3-メチル-ブタノールを生産するための生合成経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するメチニコビア種である。キシロース取込みを増強すると、該微生物は、キシロースからの3-メチル-ブタノールの生産を改善することもできる。また本明細書に提供されるのは、3-メチル-ブタノール生合成経路を有する本明細書に提供されるメチニコビア種を、3-メチル-ブタノールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することにより、生物由来3-メチル-ブタノールを生産する方法である。
3-メチル-ブタノール(別名、イソアミルアルコール又はイソペンチルアルコール)は、透明無色のアルコールである。3-メチル-ブタノールは、自然界に見られ、かつ産業界で香味料として生産されてもいるエステルである、バナナ油の生産における主成分である。これは、細菌診断インドール検査に使用されるコバック試薬の主成分でもある。3-メチル-ブタノールは、クロロホルム:イソミル(Isomyl)アルコール試薬中の消泡剤としても使用される。
本明細書に提供されるメチニコビア種を3-メチル-ブタノールの生産用の宿主株として用いることができることが理解される。さらなる代謝工学を用いて、メチニコビア種を採用して、これらのメチニコビア種における3-メチル-ブタノール生産をさらに増大させることができる。
特定の化合物についてのメチニコビア種の生合成経路の構成要素に応じて、本明細書に提供されるメチニコビア種は、少なくとも1つ外因性に発現される生合成経路コード核酸及び該化合物の1以上の生合成経路の最大で全てのコード核酸を含むことができる。該化合物は、例えば、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノールであることができる。例えば、エタノール生合成は、対応するコード核酸の外因性発現を通じてキシロースからエタノールを生産するのに必要とされる経路酵素又はタンパク質が欠損しているメチニコビア種で確立することができる。言い換えると、エタノール経路の全ての酵素又はタンパク質が欠損しているメチニコビア種において、該経路内の全ての酵素又はタンパク質の外因性発現を含めることができるが、メチニコビア種が該経路酵素又はタンパク質の少なくとも1つを含有するとしても、経路の全ての酵素又はタンパク質を発現させることができることが理解される。例えば、H0メチニコビア属種は、キシロースからのエタノール生合成経路の全ての酵素の内在性発現を有するが、エタノール生産のための経路内の全ての酵素又はタンパク質の外因性発現を本明細書に提供されるH0メチニコビア属種に含めて、キシロースからのエタノールの生産を増強することができる。
本明細書に提供される教示及び指針を考慮すると、当業者は、発現可能な形態で導入すべきコード核酸の数がメチニコビア種の経路欠損と少なくとも同等であることを理解するであろう。それゆえ、本明細書に提供されるメチニコビア種は、生合成経路を構成する酵素又はタンパク質をコードする1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は最大で8つ全ての核酸を有することができる。いくつかの実施態様において、該メチニコビア種は、特定の化合物の生合成を促進もしくは最適化するか又は宿主微生物に他の有用な機能を付与する他の遺伝子修飾を含むこともできる。1つのそのような他の機能としては、例えば、特定の化合物の経路前駆物質の1つ又は複数の合成の強化を挙げることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるメチニコビア種は、キシロースからキシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、又はフェニル-エチルアルコールなどの化合物を合成する酵素的能力を含有する。この具体的な実施態様において、これは、例えば、生合成経路反応を所望の化合物の生産に向かわせるために、化合物の合成又は蓄積を増大させるのに有用であり得る。合成又は蓄積の増大は、例えば、キシロースからキシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、又はフェニル-エチルアルコールなどの化合物を生産するための生合成経路酵素又はタンパク質1つ又は複数をコードする核酸の過剰発現によって達成することができる。所望の経路の生合成経路の酵素(単数もしくは複数)及び/又はタンパク質(単数もしくは複数)の過剰発現は、例えば、内在性遺伝子(単数もしくは複数)の外因性発現によるか、又は異種遺伝子(単数もしくは複数)の外因性発現によって起こることができる。それゆえ、本明細書に提供されるメチニコビア種は、所望の化合物を、例えば、所望の生成物の生合成経路酵素又はタンパク質をコードする1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は最大で全ての核酸の過剰発現によって生産するために容易に修飾することができる。さらに、メチニコビア種は、生合成経路内の酵素の活性の増大をもたらす内在性遺伝子の突然変異誘発によって作製することができる。
特に有用な実施態様において、コード核酸の外因性発現が利用される。外因性発現は、使用者によって制御される所望の発現レベルを達成するために発現及び/又は調節性エレメントを宿主及び用途に特別に合わせる能力を付与する。しかしながら、他の実施態様において、例えば、負の調節性エフェクターの除去又は誘導性プロモーターもしくは他の調節性エレメントに連結されている場合の遺伝子のプロモーターの誘導によって、内在性発現も利用することができる。したがって、天然の誘導性プロモーターを有する内在性遺伝子は、適当な誘導剤を提供することにより上方調節することができるか、又は内在性遺伝子の調節性領域は、誘導性調節性エレメントを組み入れるように改変し、それにより、所望の時点での内在性遺伝子の発現増大の調節を可能にすることができる。同様に、誘導性プロモーターは、メチニコビア種に導入される外因性遺伝子の調節性エレメントとして含めることができる。
本明細書に記載される1以上の外因性核酸のいずれかをメチニコビア種に導入して、所望の化合物、例えば、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノールの生産が増大したメチニコビア種を作製することができることが理解される。該核酸は、例えば、キシロースからエタノールを生産する生合成経路を微生物に付与するために導入することができる。或いは、コード核酸を導入して、生合成能力を付与するために必要とされる反応のいくつかを触媒する生合成能力を有する中間メチニコビア種を作製することができる。例えば、生合成経路を有するメチニコビア種は、所望の酵素又はタンパク質をコードする少なくとも2つの外因性核酸を含むことができる。したがって、生合成経路の2以上の酵素又はタンパク質の任意の組合せを本明細書に提供されるメチニコビア種に含めることができることが理解される。同様に、所望の生合成経路の酵素及び/又はタンパク質の組合せが対応する所望の化合物の生産をもたらす限り、生合成経路の3以上の酵素又はタンパク質の任意の組合せを本明細書に提供されるメチニコビア種に含めることができることが理解される。同様に、望ましい場合、所望の生合成経路の酵素及び/又はタンパク質の組合せが対応する所望の化合物の生産をもたらす限り、本明細書に開示される生合成経路の4以上の酵素又はタンパク質の任意の組合せを本明細書に提供されるメチニコビア種に含めることができる。
本明細書に記載される所望の化合物の生合成に加えて、本明細書に提供されるメチニコビア種及び方法を、様々な組合せで相互に並びに/又は当技術分野で周知の他の微生物及び方法とともに利用して、他の経路で化合物の生合成を達成することもできる。例えば、エタノール生産者の使用以外にエタノールを生産するための1つの代替法は、エタノール経路中間体をエタノールに変換することができるメチニコビア種の添加によるものである。1つのそのような手順は、例えば、エタノール経路中間体を生産するメチニコビア種による発酵を含む。その後、エタノール経路中間体を、エタノール経路中間体をエタノールに変換する第二の微生物の基質として用いることができる。エタノール経路中間体を第二の生物の別の培養物に直接添加することができ、又はエタノール経路中間体生産者のもとの培養物から、例えば、細胞分離によって、これらのメチニコビア種を除去することができ、その後、発酵ブロスへの第二の生物の後続の添加を利用して、中間体精製工程なしで最終化合物を生産することができる。ここでは、エタノールが一例として使用されているが、同じアプローチを、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノールなどの、他の所望の化合物の生産に使用することができる。
他の実施態様において、本明細書に提供されるメチニコビア種及び方法を多種多様なサブ経路で集めて、所望の化合物の生合成を達成することができる。これらの実施態様において、本明細書に記載される所望の化合物の生合成経路を異なるメチニコビア種に分けることができ、この異なるメチニコビア種を共培養して、最終化合物を生産することができる。そのような生合成スキームにおいては、最終化合物が合成されるまで、ある微生物の化合物が第二の微生物の基質となる。例えば、所望の化合物の生合成は、ある経路中間体から別の経路中間体又は化合物への変換のための生合成経路を含有する微生物を構築することにより達成することができる。或いは、所望の化合物は、2種の生物を同じ容器中で用いる共培養又は共発酵によって、メチニコビア種から生合成的に生産することもでき、この場合、第一の微生物が所望の化合物の中間体を生産し、第二の微生物が該中間体を所望の化合物に変換する。所望の化合物は、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノールであることができる。
本明細書に提供される教示及び指針を考慮すると、当業者は、多種多様な組合せ及び順列が、本明細書に提供されるメチニコビア種及び方法について、他のメチニコビア種と合わせて、サブ経路を有する他のメチニコビア種の共培養とともに並びに所望の化合物を生産するための当技術分野で周知の他の化学的及び/又は生化学的手順の組合せとともに存在することを理解するであろう。
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される生物由来化合物を生産する方法である。そのような方法は、生物由来化合物を生産するための代謝経路を有する単離されたメチニコビア種を、キシロースから生物由来化合物を生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することを含むことができる。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、キシリトールを生産する方法であって、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種を、キシロースからキシリトールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、アラビトールを生産する方法であって、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種を、キシロースからアラビトールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、エタノールを生産する方法であって、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種を、キシロースからエタノールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、n-ブタノールを生産する方法であって、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種を、キシロースからn-ブタノールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、イソブタノールを生産する方法であって、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種を、キシロースからイソブタノールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、イソプロパノールを生産する方法であって、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種を、キシロースからイソプロパノールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、酢酸エチルを生産する方法であって、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種を、キシロースから酢酸エチルを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、フェニル-エチルアルコールを生産する方法であって、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種を、キシロースからフェニル-エチルアルコールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、2-メチル-ブタノールを生産する方法であって、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種を、キシロースから2-メチル-ブタノールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、3-メチル-ブタノールを生産する方法であって、本明細書に記載される単離されたメチニコビア種を、キシロースから3-メチル-ブタノールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することを含む、方法である。
本明細書に提供される方法は、特定の速度、変換効率、及び/又は濃度での生物由来化合物の生産を含む。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも0.1g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも0.2g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも0.3g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも0.4g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも0.50g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも0.60g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも0.70g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも0.80g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも0.90g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも1.00g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも1.50g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも2.00g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも2.50g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも3.00g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも3.50g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも4.00g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも5.00g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも6.00g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも7.00g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも8.00g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも9.00g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも10.00g/L/hの速度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.01gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.02gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.03gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.04gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.05gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.06gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.07gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.08gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.09gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.1gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.15gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.2gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.25gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.3gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.35gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.4gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.45gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.5gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.55gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.6gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.65gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.7gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.75gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.8gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.85gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.9gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、キシロース1g当たり少なくとも0.95gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、キシロース1g当たり少なくとも1gの生物由来化合物の変換効率でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも1g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも2g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも3g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも4g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも5g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも10g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも20g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも30g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも40g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも50g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも60g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも70g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも80g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも90g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも100g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも150g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも200g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも250g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも300g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも350g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも400g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、少なくとも500g/Lの濃度でキシロースから生物由来化合物(例えば、キシリトール)を生産する。
本明細書に記載されるメチニコビア種のいずれかを培養して、例えば、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノールを含む、所望の生物由来化合物を生産し、かつ/又は分泌させることができる。例えば、本明細書に提供されるメチニコビア種は、所望の化合物の生合成的生産のために培養することができる。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される所望の生物由来化合物又はその中間体を含有する培養培地である。いくつかの態様において、該培養培地は、所望の生物由来化合物又はその中間体を生産したメチニコビア種から分離することもできる。培養培地から微生物を分離する方法は、当技術分野で周知である。例示的な方法としては、濾過、綿状沈殿、沈殿、遠心分離、沈降などが挙げられる。
キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノールを含む、所望の生物由来化合物の生産のために、本明細書に提供されるメチニコビア種は、炭素源及び他の必須栄養素を含む培地中で培養される。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるメチニコビア種は、好気的培養培地中で培養される。好気的培養は、回分培養、流加培養、又は連続培養であることができ、ここで、培地中の溶存酸素は50%飽和を上回る。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるメチニコビア種は、実質的に嫌気的な培養培地中で培養される。本明細書に記載されるように、所望の化合物、例えば、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノールの生合成を達成するための1つの例示的な成長条件には、嫌気的培養又は発酵条件が含まれる。ある実施態様において、本明細書に提供されるメチニコビア種は、嫌気的又は実質的に嫌気的な条件下で維持し、培養し、又は発酵させることができる。簡潔に述べると、嫌気的条件は、酸素がない環境を指す。実質的に嫌気的な条件には、例えば、培地中の溶存酸素濃度が0~10%飽和であり続けるような培養、回分発酵、又は連続発酵が含まれる。実質的に嫌気的な条件には、細胞を1%酸素未満の雰囲気で維持された密閉チャンバー内部の液体培地中又は固形寒天上で成長又は休止させることも含まれる。酸素のパーセントは、例えば、培養物に、N2/CO2混合物又は他の好適な非酸素ガス(単数又は複数)をスパージすることにより維持することができる。
全工程の費用を低下させるために、発酵槽中の嫌気的条件を維持することが望ましい場合がある。そのような条件は、例えば、まず培地に窒素をスパージし、その後、フラスコをセプタム及びクリンプキャップで密閉することにより得ることができる。嫌気的には成長が観察されない株については、セプタムに制限通気用の小さい穴を開けることにより、微好気的又は実質的に嫌気的な条件を適用することができる。例示的な嫌気的条件は、以前に記載されており、かつ当技術分野で周知である。例示的な好気的及び嫌気的条件は、例えば、2007年8月10日に出願された米国公開第2009/0047719号に記載されている。発酵は、本明細書に開示されているように、回分的に、流加的に、又は連続的に実施することができる。発酵は、望ましい場合、2段階で実施することもできる。第一段階を好気的にして、高成長、したがって、高生産性を可能にし、その後、高収率の嫌気的段階にすることができる。
望ましい場合、塩基、例えば、NaOHもしくは他の塩基、又は酸を必要に応じて添加して、培養培地を所望のpHに維持することにより、培地のpHを、約5.5~6.5のpHなどの所望のpHに維持する。成長速度は、分光光度計(600nm)を用いて光学密度を測定することにより決定することができ、キシロース取込み速度は、炭素源枯渇を経時的にモニタリングすることにより決定することができる。
本明細書に提供されるメチニコビア種のための培養培地は、唯一の炭素源として又は本明細書に記載されるもしくは当技術分野で公知の1以上の共基質と組み合わせて、キシロースを含むことができる。該培養培地は、他の栄養補助剤、例えば、酵母抽出物及び/又はペプトンをさらに含むことができる。該培養培地は、例えば、炭素源をメチニコビア種に供給することができる任意の他の炭水化物源をさらに含むことができる。そのような源としては、例えば:他の糖、例えば、セロビオース、ガラクトース、グルコース、エタノール、アセテート、アラビトール、ソルビトール、及びグリセロールが挙げられる。したがって、該培養培地は、キシロース及び共基質のグルコースを含むことができる。該培養培地は、キシロース及び共基質のセロビオースを含むことができる。該培養培地は、キシロース及び共基質のガラクトースを含むことができる。該培養培地は、キシロース及び共基質のグリセロールを含むことができる。該培養培地は、グルコースとキシロースとセロビオースの組合せを含むことができる。該培養培地は、グルコースとキシロースとガラクトースの組合せを含むことができる。該培養培地は、グルコースとキシロースとグリセロールの組合せを含むことができる。該培養培地は、キシロースとセロビオースとガラクトースとグリセロールの組合せを含むことができる。
培養培地は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、又はそれより多くの量の炭素源(w/v)を有することができる。いくつかの実施態様において、培養培地は、2%の炭素源を有することができる。いくつかの実施態様において、培養培地は、4%の炭素源を有することができる。いくつかの実施態様において、培養培地は、10%の炭素源を有することができる。いくつかの実施態様において、培養培地は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、又はそれより多くの量のキシロース(w/v)を有することができる。培養培地は、1%のキシロースを有することができる。培養培地は、2%のキシロースを有することができる。培養培地は、3%のキシロースを有することができる。培養培地は、4%のキシロースを有することができる。培養培地は、5%のキシロースを有することができる。培養培地は、6%のキシロースを有することができる。培養培地は、7%のキシロースを有することができる。培養培地は、8%のキシロースを有することができる。培養培地は、9%のキシロースを有することができる。培養培地は、10%のキシロースを有することができる。培養培地は、11%のキシロースを有することができる。培養培地は、12%のキシロースを有することができる。培養培地は、13%のキシロースを有することができる。培養培地は、14%のキシロースを有することができる。培養培地は、15%のキシロースを有することができる。培養培地は、16%のキシロースを有することができる。培養培地は、17%のキシロースを有することができる。培養培地は、18%のキシロースを有することができる。培養培地は、19%のキシロースを有することができる。培養培地は、20%のキシロースを有することができる。
いくつかの実施態様において、キシロースは、唯一の炭素源ではない。例えば、いくつかの実施態様において、培地は、キシロース及びC3炭素源、C4炭素源、C5炭素源、C6炭素源、又はこれらの組合せを含む。したがって、いくつかの実施態様において、培地は、キシロース及びC3炭素源(例えば、グリセロール)を含む。いくつかの実施態様において、培地は、キシロース及びC4炭素源(例えば、エリトロース又はトレオース)を含む。いくつかの実施態様において、培地は、キシロース及びC5炭素源(例えば、アラビトール、リボース、又はリキソース)を含む。いくつかの実施態様において、培地は、キシロース及びC6炭素源(例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、アロース、アルトース、グロース、及びイドース)を含む。その代わりに又はそれに加えて、いくつかの実施態様において、培地は、キシロース並びにセロビオース、ガラクトース、グルコース、アラビトール、ソルビトール、及びグリセロール、又はこれらの組合せを含む。具体的な実施態様において、培地は、キシロース及びグルコースを含む。培地中の2以上の炭素源の量は、独立に、1%~20%(例えば、1%~20%キシロース及び1%~20%グルコース)、又はその代わりに、2%~14%(例えば、2%~14%キシロース及び2%~14%グルコース)、又はその代わりに、4%~10%(例えば、4%~10%キシロース及び4%~10%)の範囲であることができる。具体的な実施態様において、炭素源の各々の量は、2%(例えば、2%キシロース及び2%グルコース)である。
培養培地は、五炭素糖(例えば、キシロース)を主要炭素源として含む、C5が豊富な培地であることができる。培養培地は、C6糖(六炭素糖)も有することができる。いくつかの実施態様において、培養培地は、C6糖を主要炭素源として有する。いくつかの実施態様において、C6糖はグルコースである。培養物は、C6糖とC5糖の両方を炭素源として有することができ、かつ様々な比で存在するC6糖及びC5糖を有することができる。いくつかの実施態様において、培養培地中のC6糖の量とC5糖の量の比(C6:C5比)は、約10:1~約1:20である。例えば、培養培地中のC6:C5比は、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、又は1:20であることができる。いくつかの実施態様において、培養培地中のC6:C5比は、約3:1である。いくつかの実施態様において、培養培地中のC6:C5比は、約1:1である。いくつかの実施態様において、培養培地中のC6:C5比は、約1:5である。いくつかの実施態様において、培養培地中のC6:C5比は、約1:10である。C5糖はキシロースであることができ、C6糖はグルコースであることができる。いくつかの実施態様において、培養培地中のグルコースの量とキシロースの量の比(グルコース:キシロース比)は、約20:1~約1:10である。例えば、培養培地中のグルコース:キシロース比は、約20:1、19:1、18:1、17:1、16:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、又は1:10であることができる。いくつかの実施態様において、培養培地中のグルコース:キシロース比は、約3:1である。いくつかの実施態様において、培養培地中のグルコース:キシロース比は、約1:1である。いくつかの実施態様において、培養培地中のグルコース:キシロース比は、約1:5である。いくつかの実施態様において、培養培地中のグルコース:キシロース比は、約1:10である。
炭水化物の他の源としては、例えば、再生可能原料及びバイオマスが挙げられる。本明細書に提供される方法における原料として用いることができる例示的なタイプのバイオマスとしては、セルロース系バイオマス及びヘミセルロース系バイオマスの原料又は原料部分が挙げられる。そのようなバイオマス原料は、例えば、炭素源として有用な炭水化物基質、例えば、キシロース、グルコース、アラビノース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、及びデンプンを含有する。本明細書に提供される教示及び指針を考慮すると、当業者は、上で例示されたもの以外の再生可能原料及びバイオマスも、例えば、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノールを含む、所望の生物由来化合物の生産用の本明細書に提供されるメチニコビア種を培養するために使用することができることを理解するであろう。
したがって、本明細書に提供される教示及び指針を考慮すると、当業者は、炭素源としてのキシロース上で成長させたときに本明細書に記載される生合成された化合物を分泌するメチニコビア種を作製することができることを理解するであろう。そのような化合物には、例えば、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノール、及びこれらの中間代謝物のいずれかが含まれる。必要なのは、必要とされる酵素又はタンパク質活性の1つ又は複数を操作して、例えば、所望の化合物を生産するための生合成経路のいくつか又は全ての包含を含めて、所望の化合物又は中間体の生合成を達成することだけである。したがって、本明細書に提供されるのは、炭水化物又は他の炭素源上で成長させたときにキシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノールなどの所望の化合物を生産及び/又は分泌し、かつキシロース及び任意に他の炭水化物又は炭素源上で成長させたときに所望の化合物の生合成経路で示された中間代謝物を生産及び/又は分泌するメチニコビア種である。
本明細書に提供されるメチニコビア種を、本明細書に例示される当技術分野で周知の方法を用いて構築して、代謝経路の酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの核酸をキシロースから所望の化合物を生産するのに十分な量で外因性に発現させることができる。本明細書に提供されるメチニコビア種は、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノールなどの所望の化合物を生産するのに十分な条件下で培養されることが理解される。本明細書に提供される教示及び指針に従って、本明細書に提供されるメチニコビア種は、所望の化合物の生合成を達成し、約0.1~200mM又はそれを上回る細胞内濃度を生じることができる。通常、所望の化合物の細胞内濃度は、約3~150mM、特に、約5~125mM、より特には、約10mM、20mM、50mM、80mM、又はそれを上回るものを含む、約8~100mMである。これらの例示的な範囲の各々の間及びそれを上回る細胞内濃度も、本明細書に提供されるメチニコビア種から達成することができる。
いくつかの実施態様において、培養条件には、嫌気的又は実質的に嫌気的な成長又は維持条件が含まれる。例示的な嫌気的条件は以前に記載されており、かつ当技術分野で周知である。発酵プロセスの例示的な嫌気的条件は本明細書に記載されており、かつ例えば、米国公開第2009/0047719号に記載されている。これらの条件のいずれかを、メチニコビア種及び当技術分野で周知の他の嫌気的条件とともに利用することができる。そのような嫌気的又は実質的に嫌気的な条件下において、生産者株は、5~10mM又はそれを上回る細胞内濃度及び本明細書に例示される他の全ての濃度で所望の化合物を合成することができる。上の説明は細胞内濃度に言及しているにもかかわらず、生産メチニコビア種は、所望の化合物を細胞内で生産し、かつ/又は該化合物を培養培地中に分泌することができることが理解される。
本明細書に提供される方法は、当技術分野で周知の任意の培養プロセス、例えば、回分培養、流加培養、又は連続培養を含むことができる。そのようなプロセスは、発酵を含むことができる。例示的な発酵プロセスは、限定されないが、流加発酵と回分分離;流加発酵と連続分離;及び連続発酵と連続分離を含む。例示的な回分発酵プロトコルにおいて、生産生物を、適当なガスがスパージされた好適なサイズのバイオリアクターで成長させる。嫌気的条件下では、培養物に、不活性ガス又はガスの組合せ、例えば、窒素、N2/CO2混合物、アルゴン、ヘリウムなどをスパージする。細胞が成長し、炭素源を利用するにつれて、炭素源及び/又は栄養素の消費とほぼ見合うようにする速度で、追加の炭素源及び/又は他の栄養素をバイオリアクターに供給する。バイオリアクターの温度は、所望の温度、通常、22~37℃の範囲で維持するが、生産生物の成長特性及び/又は発酵プロセスのための所望の条件に応じて、この温度をより高い又はより低い温度で維持することができる。成長は、所望の期間続いて、発酵槽中での培養物の所望の特性、例えば、細胞密度、化合物濃度などを達成する。回分発酵プロセスにおいて、発酵の期間は、所望の培養条件に応じて、通常、数時間から数日間の範囲、例えば、8~24時間、又は1、2、3、4、もしくは5日間、又は最大1週間である。pHは、所望により、制御しても制御しなくてもよく、その場合、pHが制御されない培養物は、通常、連続運転の終わりまでに、pH 3~6まで減少する。培養期間の終了時に、発酵槽の内容物を、細胞分離ユニット、例えば、遠心分離器、濾過ユニットなどに通して、細胞及び細胞残渣を除去することができる。所望の化合物を細胞内で発現させる場合、さらなる化合物を放出させるために、細胞を、所望により、発酵ブロスから細胞を分離する前又は後に、酵素的に又は化学的に溶解又は破壊することができる。発酵ブロスを化合物分離ユニットに移すことができる。化合物の単離を当技術分野で利用される標準的な分離手順によって行い、所望の化合物を希釈水溶液から分離する。そのような方法としては、発酵プロセスの化合物の化学的特性に応じて、水不混和性有機溶媒(例えば、トルエン又は限定されないが、ジエチルエーテル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、メチル3級ブチルエーテル(MTBE)、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを含む、他の好適な溶媒)を用いて、化合物の有機溶液を提供する液液抽出、適切な場合、標準的な蒸留法などが挙げられるが、これらに限定されない。
例示的な完全連続発酵プロトコルにおいて、所望の細胞密度を達成するために、生産生物を、通常は、まず回分モードで成長させる。炭素源及び/又は他の栄養素が使い尽くされたとき、同じ組成のフィード培地を所望の速度で連続的に供給し、発酵液を同じ速度で回収する。そのような条件下では、バイオリアクター中の化合物濃度及び細胞密度は、通常、一定のままである。上で論じられているように、発酵槽の温度を所望の温度で維持する。連続発酵段階では、通常、最適化された生産のために好適なpH範囲を維持することが望ましい。所望のpH範囲を維持するための好適な酸又は塩基の添加を含む、ルーチンの方法を用いて、pHをモニタリング及び維持することができる。バイオリアクターを、長期間、通常、必要に応じてかつ所望により、少なくとも1週間から数週間、及び最大1カ月、又はそれより長い間、連続的に操作する。発酵液及び/又は培養物を、所望により、最大毎日のサンプリングを含め、定期的にモニタリングして、化合物濃度及び/又は細胞密度の不変性を保証する。連続モードでは、新しいフィード培地が供給されるときに、発酵槽の内容物を常に除去する。細胞を含有する出口ストリーム、培地、及び生成物を、通常、連続的な化合物分離手順に供し、所望により、細胞及び細胞残渣の除去を伴う又は伴わない。当技術分野で利用される連続分離法を用いて、希釈水溶液から化合物を分離することができ、該連続分離法には、水不混和性有機溶媒(例えば、トルエン又は限定されないが、ジエチルエーテル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、メチル3級ブチルエーテル(MTBE)、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを含む、他の好適な溶媒)を用いる連続液液抽出、標準的な連続蒸留法など、又は当技術分野で周知の他の方法が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書に開示される培養及び発酵条件に加えて、所望の化合物の生合成を達成するための成長条件は、培養条件への浸透圧保護剤の追加を含むことができる。ある実施態様において、本明細書に提供されるメチニコビア種を、浸透圧保護剤の存在下で、本明細書に記載されている通りに維持し、培養し、又は発酵させることができる。簡潔に述べると、浸透圧保護剤は、オスモライトとして作用し、かつ本明細書に記載される微生物が浸透圧ストレスを切り抜けるのを助ける化合物を指す。浸透圧保護剤としては、ベタイン、アミノ酸、及び糖トレハロースが挙げられるが、これらに限定されない。そのようなものの非限定的な例は、グリシンベタイン、プラリン(praline)ベタイン、ジメチルテチン、ジメチルスルホニオプロプリオネート(dimethylslfonioproprionate)、3-ジメチルスルホニオ-2-メチルプロプリオネート、ピペコリン酸、ジメチルスルホニオアセテート、コリン、L-カルニチン、及びエクトインである。一態様において、浸透圧保護剤は、グリシンベタインである。本明細書に記載される微生物を浸透圧ストレスから保護するのに好適な浸透圧保護剤の量及び種類は、使用される微生物によって決まることが当業者に理解される。培養条件下の浸透圧保護剤の量は、例えば、約0.1mM以下、約0.5mM以下、約1.0mM以下、約1.5mM以下、約2.0mM以下、約2.5mM以下、約3.0mM以下、約5.0mM以下、約7.0mM以下、約10mM以下、約50mM以下、約100mM以下、又は約500mM以下であることができる。
培養条件は、例えば、液体培養法並びに発酵及び他の大規模培養法を含むことができる。本明細書に記載されるように、生合成生成物の特に有用な収率を、好気的、嫌気的、又は実質的に嫌気的な培養条件下で得ることができる。
本明細書に記載される培養条件を所望の化合物の製造のためにスケールアップし、連続的に成長させることができる。例示的な成長法は、例えば、流加発酵と回分分離;流加発酵と連続分離、又は連続発酵と連続分離を含む。これらのプロセスは全て、当技術分野で周知である。発酵法は、商業量の所望の生成物の生合成的生産に特に有用である。一般に、かつ非連続培養法の場合、連続的及び/又はほぼ連続的な生産は、本明細書に提供されるメチニコビア種を、対数期における成長を持続及び/又はほぼ持続させるのに十分な栄養素及び培地中で培養することを含む。そのような条件下の連続培養は、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、もしくは7日間、又はそれより長い間の成長又は培養を含むことができる。さらに、連続培養は、1週間、2週間、3週間、4週間、もしくは5週間、又はそれより長い週間、及び最大数カ月間というより長い期間を含むことができる。或いは、特定の用途に好適である場合、本明細書に提供される生物を数時間培養することができる。連続的及び/又はほぼ連続的な培養条件は、これらの例示的な期間の中間の全ての時間間隔も含むことができることが理解されるべきである。本明細書に提供される微生物の培養時間は、所望の目的のために十分な量の化合物を生産するのに十分な期間であることがさらに理解される。
相当な量の所望の化合物の連続生産を用いる本明細書に提供されるメチニコビア種を用いる上記の発酵法に加えて、生物由来化合物を、例えば、化学合成法及び/もしくは酵素法に同時に供して、該化合物を他の化合物に変換することもでき、又は望ましい場合、生物由来化合物を発酵培養物から分離して、順次、化学的変換及び/又は酵素的変換に供して、該化合物を他の化合物に変換することができる。
より優れた生産者を作製するために、代謝モデリングを利用して、成長条件を最適化することができる。モデリングを用いて、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計することもできる(例えば、米国特許公開US 2002/0012939号、US 2003/0224363号、US 2004/0029149号、US 2004/0072723号、US 2003/0059792号、US 2002/0168654号、及びUS 2004/0009466号、並びに米国特許第7,127,379号を参照)。モデリング解析は、細胞成長に対するより効率的な所望の生成物の生産への代謝の移行の効果の確実な予測を可能にする。
いくつかの実施態様において、生物由来化合物を生産するための本明細書に提供される方法は、当技術分野で周知の種々の方法を用いて、生物由来化合物を培養物中の他の成分から分離することをさらに含む。生物由来化合物は、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノールであることができる。そのような分離方法としては、例えば、抽出法、並びに連続液液抽出、浸透気化、膜濾過、膜分離、逆浸透、電気透析、蒸留、結晶化、遠心分離、抽出濾過、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、限外濾過、活性炭吸着、pH調節、及び沈殿、又は上に列挙された1以上の方法の組合せを含む方法が挙げられる。上記の方法は全て、当技術分野で周知である。
また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される生物由来化合物である。いくつかの実施態様において、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノールを含む、生物由来化合物は、本明細書に提供される方法によって生産される。
また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるメチニコビア種によって生産される生物由来化合物、及び追加成分を有する組成物である。該生物由来化合物以外の成分は、細胞性部分、例えば、培養培地の微量の細胞性部分であることができるか、或いは本明細書に提供されるメチニコビア種の存在下で生産される発酵ブロスもしくは培養培地又はその精製もしくは部分精製画分であることができる。したがって、いくつかの実施態様において、該組成物は培養培地である。いくつかの実施態様において、培養培地は、本明細書に提供される単離されたメチニコビア種が除去された培養培地であることができる。該組成物は、例えば、本明細書に提供されるメチニコビア種によって生産されるとき、低レベルの副生成物を有することができる。該組成物は、例えば、1以上の生物由来化合物、例えば、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノール、及び本明細書に提供されるメチニコビア種の細胞溶解物又は培養上清を有することができる。追加成分は、副生成物又は不純物、例えば、グリセロール、アラビトール、C7糖アルコール、又はこれらの組合せであることができる。副生成物は、グリセロールであることができる。副生成物は、アラビトールであることができる。副生成物は、C7糖アルコール(例えば、ボレミトール又はその異性体)であることができる。いくつかの実施態様において、副生成物又は不純物(例えば、グリセロールもしくはアラビトール、又はその両方)は、本明細書に提供される単離されたメチニコビア種以外の微生物によって生産されるそれぞれの副生成物又は不純物の量よりも少なくとも10%、20%、30%、又は40%多い。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される組成物は、生物由来キシリトール及び追加成分を有することができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の上清であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の細胞性部分であることができる。追加成分は、生物由来キシリトールを生産するために使用される本明細書に記載されるタンパク質をコードする外因性核酸を有するメチニコビア種であることができる。追加成分は、本明細書に提供される微生物の細胞溶解物であることができる。追加成分は、副生成物、例えば、グリセロール、アラビトール、C7糖アルコール、又はこれらの組合せであることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される組成物は、生物由来アラビトール及び追加成分を有することができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の上清であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の細胞性部分であることができる。追加成分は、生物由来エタノールを生産するために使用される本明細書に記載されるタンパク質をコードする外因性核酸を有するメチニコビア種であることができる。追加成分は、本明細書に提供される微生物の細胞溶解物であることができる。追加成分は、副生成物、例えば、グリセロール、アラビトール、C7糖アルコール、又はこれらの組合せであることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される組成物は、生物由来エタノール及び追加成分を有することができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の上清であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の細胞性部分であることができる。追加成分は、生物由来エタノールを生産するために使用される本明細書に記載されるタンパク質をコードする外因性核酸を有するメチニコビア種であることができる。追加成分は、本明細書に提供される微生物の細胞溶解物であることができる。追加成分は、副生成物、例えば、グリセロール、アラビトール、C7糖アルコール、又はこれらの組合せであることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される組成物は、生物由来n-ブタノール及び追加成分を有することができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の上清であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の細胞性部分であることができる。追加成分は、生物由来n-ブタノールを生産するために使用される本明細書に記載されるタンパク質をコードする外因性核酸を有するメチニコビア種であることができる。追加成分は、本明細書に提供される微生物の細胞溶解物であることができる。追加成分は、副生成物、例えば、グリセロール、アラビトール、C7糖アルコール、又はこれらの組合せであることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される組成物は、生物由来イソブタノール及び追加成分を有することができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の上清であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の細胞性部分であることができる。追加成分は、生物由来イソブタノールを生産するために使用される本明細書に記載されるタンパク質をコードする外因性核酸を有するメチニコビア種であることができる。追加成分は、本明細書に提供される微生物の細胞溶解物であることができる。追加成分は、副生成物、例えば、グリセロール、アラビトール、C7糖アルコール、又はこれらの組合せであることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される組成物は、生物由来イソプロパノール及び追加成分を有することができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の上清であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の細胞性部分であることができる。追加成分は、生物由来イソプロパノールを生産するために使用される本明細書に記載されるタンパク質をコードする外因性核酸を有するメチニコビア種であることができる。追加成分は、本明細書に提供される微生物の細胞溶解物であることができる。追加成分は、副生成物、例えば、グリセロール、アラビトール、C7糖アルコール、又はこれらの組合せであることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される組成物は、生物由来酢酸エチル及び追加成分を有することができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の上清であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の細胞性部分であることができる。追加成分は、生物由来酢酸エチルを生産するために使用される本明細書に記載されるタンパク質をコードする外因性核酸を有するメチニコビア種であることができる。追加成分は、本明細書に提供される微生物の細胞溶解物であることができる。追加成分は、副生成物、例えば、グリセロール、アラビトール、C7糖アルコール、又はこれらの組合せであることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される組成物は、生物由来フェニル-エチルアルコール及び追加成分を有することができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の上清であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の細胞性部分であることができる。追加成分は、生物由来フェニル-エチルアルコールを生産するために使用される本明細書に記載されるタンパク質をコードする外因性核酸を有するメチニコビア種であることができる。追加成分は、本明細書に提供される微生物の細胞溶解物であることができる。追加成分は、副生成物、例えば、グリセロール、アラビトール、C7糖アルコール、又はこれらの組合せであることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される組成物は、生物由来2-メチル-ブタノール及び追加成分を有することができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の上清であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の細胞性部分であることができる。追加成分は、生物由来2-メチル-ブタノールを生産するために使用される本明細書に記載されるタンパク質をコードする外因性核酸を有するメチニコビア種であることができる。追加成分は、本明細書に提供される微生物の細胞溶解物であることができる。追加成分は、副生成物、例えば、グリセロール、アラビトール、C7糖アルコール、又はこれらの組合せであることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される組成物は、生物由来3-メチル-ブタノール及び追加成分を有することができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の上清であることができる。追加成分は、発酵ブロス又は培養培地の細胞性部分であることができる。追加成分は、生物由来3-メチル-ブタノールを生産するために使用される本明細書に記載されるタンパク質をコードする外因性核酸を有する微生物であることができる。追加成分は、本明細書に提供される微生物の細胞溶解物であることができる。追加成分は、副生成物、例えば、グリセロール、アラビトール、C7糖アルコール、又はこれらの組合せであることができる。
いくつかの実施態様において、炭素原料及び他の細胞取込み源、例えば、ホスフェート、アンモニア、スルフェート、塩化物、及び他のハロゲンを選んで、本明細書に提供されるメチニコビア種によって生産される生物由来化合物中に存在する原子の同位体分布を変化させることができる。様々な炭素原料及び上に列挙された他の取込み源は、本明細書において、「取込み源」と総称される。取込み源は、本明細書に提供されるメチニコビア種によって生産される生物由来化合物中に、又は副生成物もしくは不純物中に存在する任意の原子の同位体濃縮をもたらすことができる。同位体濃縮は、例えば、炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、リン、塩化物又は他のハロゲンを含む、任意の標的原子について達成することもできる。
いくつかの実施態様において、取込み源を選択して、炭素-12、炭素-13、及び炭素-14比を変化させることができる。いくつかの実施態様において、取込み源を選択して、酸素-16、酸素-17、及び酸素-18比を変化させることができる。いくつかの実施態様において、取込み源を選択して、水素、重水素、及び三重水素比を変化させることができる。いくつかの実施態様において、取込み源を選択して、窒素-14及び窒素-15比を変化させることができる。いくつかの実施態様において、取込み源を選択して、硫黄-32、硫黄-33、硫黄-34、及び硫黄-35比を変化させることができる。いくつかの実施態様において、取込み源を選択して、リン-31、リン-32、及びリン-33比を変化させることができる。いくつかの実施態様において、取込み源を選択して、塩素-35、塩素-36、及び塩素-37比を変化させることができる。
いくつかの実施態様において、1以上の取込み源を選択することにより、標的原子の同位体比を所望の比まで変化させることができる。取込み源は、自然界に見られるような天然源に、又は人工源に由来することができ、当業者は、天然源、人工源、又はこれらの組合せを選択して、標的原子の所望の同位体比を達成することができる。人工取込み源の例としては、例えば、少なくとも部分的に化学合成反応に由来する取込み源が挙げられる。そのような同位体濃縮取込み源を市販で購入するかもしくは実験室で調製し、かつ/又は任意に取込み源の天然源と混合して、所望の同位体比を達成することができる。いくつかの実施態様において、取込み源の標的原子同位体比は、自然界に見られる取込み源の所望の源を選択することにより達成することができる。例えば、本明細書で論じられているように、天然源は、生物に由来するかもしくは生物によって合成される生物ベースのもの、又は石油系生成物もしくは大気などの源であることができる。いくつかのそのような実施態様において、炭素の源を、例えば、化石燃料由来の炭素源(これは、炭素-14が相対的に枯渇している可能性がある)、又はCO2などの環境もしくは大気の炭素源(これは、その石油由来の対応物よりも多くの量の炭素-14を保有する可能性がある)から選択することができる。
不安定な炭素同位体である炭素-14又は放射性炭素は、地球の大気中の炭素原子の約1012個に1個を構成し、かつ約5700年の半減期を有する。炭素のストックは、高層大気中で、宇宙線及び通常の窒素(14N)が関与する核反応によって補充される。炭素-14は、ずっと以前に崩壊したので、化石燃料は、炭素-14を含有しない。化石燃料の燃焼は、大気の炭素-14の割合を低下させる(いわゆる、「スース効果」)。
化合物中の原子の同位体比を決定する方法は、当業者に周知である。同位体濃縮は、当技術分野で公知の技法を用いる質量分析、例えば、加速質量分析(AMS)、安定同位体比質量分析(SIRMS)、及び核磁気共鳴による位置特異的天然同位体分画(SNIF-NMR)によって容易に評価される。そのような質量スペクトル法を、例えば、液体クロマトグラフィー(LC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、及び/又はガスクロマトグラフィーなどの分離法と統合することができる。
炭素の場合、ASTM D6866は、米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)(ASTM)インターナショナルによる放射性炭素年代測定を用いて、固体、液体、及び気体試料の生物ベースの含有量を決定する標準的な分析方法として米国で開発された。標準は、生成物の生物ベースの含有量の決定への放射性炭素年代測定の使用に基づいている。ASTM D6866は、2004年に最初に発表され、この標準の現在活用されているバージョンは、ASTM D6866-11である(2011年4月1日に有効となった)。本明細書に記載されているものを含めて、放射性炭素年代測定法は、当業者に周知である。
化合物の生物ベースの含有量は、炭素-14(14C)と炭素-12(12C)の比によって推定される。具体的には、現在の割合(Fm)は、式: Fm=(S-B)/(M-B)(式中、B、S、及びMは、それぞれ、ブランク、試料、及び現在の参照物質の14C/12C比を表す)から計算される。現在の割合は、「現在」からの試料の14C/12C比の偏差の測定値である。現在は、δ13CVPDB=-19/milに対して標準化された、米国規格基準局(National Bureau of Standards)(NBS)シュウ酸I(すなわち、標準参照物質(SRM) 4990b)の(AD 1950年の)放射性炭素濃度の95%と定義される(Olssonの文献、標準物質としてのシュウ酸の使用(The use of Oxalic acid as a Standard)、放射性炭素による偏差及び絶対年代(Radiocarbon Variations and Absolute Chronology)、ノーベル財団シンポジウム、第12回議事録(Nobel Symposium, 12th Proc.)、John Wiley & Sons, New York(1970)に所収)。例えば、ASMにより測定された質量分析の結果は、δ13CVPDB=-19/milに対して標準化されたNBSシュウ酸I(SRM 4990b)の比放射能の0.95倍という国際的に合意された定義を用いて計算される。これは、1.176±0.010×10-12の絶対的な(AD 1950年の)14C/12Cの比と同等である(Karlenらの文献、Arkiv Geofysik, 4:465-471(1968))。標準的な計算には、ある同位体の別の同位体に関する示差取込み、例えば、12C>13C>14Cという生物学的系における優先的な取込みが考慮に入れられており、これらの補正は、δ13について補正されたFmとして反映されている。
シュウ酸標準物質(SRM 4990b又はHOx1)は、1955年のサトウダイコンの作物から作製された。1000ポンドが作製されたが、このシュウ酸標準物質はもはや市販されていない。シュウ酸II標準物質(HOx2; N.I.S.T表記SRM 4990C)は、1977年のフランス甜菜(French beet)の作物の糖蜜から作製された。1980年代初期に、12の研究室のグループが、2つの標準物質の比を測定した。シュウ酸II対1の放射能の比は、1.2933±0.001(加重平均)である。HOxIIの同位体比は、-17.8/milである。ASTM D6866-11は、現在の標準物質に、入手可能なシュウ酸II標準物質SRM 4990C(Hox2)の使用を提案している(Mannの文献、Radiocarbon, 25(2):519-527(1983)中のもとのシュウ酸標準物質対現在入手可能なシュウ酸標準物質の考察を参照)。Fm=0%は、材料中に炭素-14原子が完全に欠けていることを表し、したがって、化石(例えば、石油系)炭素源を示す。1950年以降の核爆弾実験による大気中への炭素-14の注入について補正した後のFm=100%は、完全に現在の炭素源を示す。本明細書に記載されるように、そのような「現在の」源には、生物ベースの源が含まれる。
ASTM D6866に記載されているように、現在の炭素のパーセント(pMC)が100%よりも大きくなることがある。これは、ASTM D6866-11に記載されているような大気中の炭素-14の相当な濃縮をもたらした1950年代の核実験プログラムの効果が減少しているものの持続しているからである。全ての試料の炭素-14放射能が「爆弾前」の標準物質を基準とするので、及びほとんど全ての新しい生物ベースの生成物が爆弾後の環境中に生成されるので、試料の本当の生物ベースの含有量をより良好に反映するために、(同位体割合について補正した後の)全てのpMC値に0.95(2010年時点)を乗じなければならない。103%よりも大きい生物ベースの含有量は、分析誤差が生じているか、又は生物ベースの炭素の源が数年以上古いものであるかのいずれかであることを示唆している。
ASTM D6866により、材料の全有機含有量と比べた生物ベースの含有量が定量され、存在する無機炭素及び他の非炭素含有物質は考慮されない。例えば、50%がデンプン系材料であり、かつ50%が水である生成物であれば、ASTM D6866に基づいて、生物ベースの含有量=100%(100%生物ベースである50%有機含有量)を有するとみなされる。別の例では、50%がデンプン系材料であり、25%が石油系であり、25%が水である生成物であれば、生物ベースの含有量=66.7%を有する(75%有機含有量であるが、生成物の50%しか生物ベースでない)。別の例では、50%が有機炭素であり、かつ石油系生成物である生成物であれば、生物ベースの含有量=0%を有するとみなされる(50%有機炭素であるが、化石源由来である)。したがって、化合物又は材料の生物ベースの含有量を決定するための周知の方法及び既知の標準物質に基づいて、当業者は、生物ベースの含有量を容易に決定すること、及び/又は所望の生物ベースの含有量を有する本明細書に提供されるものを利用する下流の生成物を調製することができる。
材料の生物ベースの含有量を定量するための炭素-14年代測定法の適用は、当技術分野で公知である(Currieらの文献、Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 172:281-287(2000))。例えば、炭素-14年代測定を用いて、テレフタレート含有材料中の生物ベースの含有量が定量されている(Colonnaらの文献、Green Chemistry, 13:2543-2548(2011))。とりわけ、再生可能な1,3-プロパンジオール及び石油由来テレフタル酸から誘導されたポリプロピレンテレフタレート(PPT)ポリマーからは、30%に近いFm値が得られた(すなわち、ポリマー炭素の3/11が再生可能な1,3-プロパンジオールに由来し、8/11が化石の端成分であるテレフタル酸に由来するため)(Currieらの文献、上記、2000))。対照的に、再生可能な1,4-ブタンジオールと再生可能なテレフタル酸の両方から誘導されたポリブチレンテレフタレートポリマーからは、90%を超える生物ベースの含有量が得られた(Colonnaらの文献、上記、2011)。
したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、環境の炭素とも呼ばれる、大気中の炭素の取込み源を反映する炭素-12、炭素-13、及び炭素-14の比を有する生物由来化合物である。該生物由来化合物としては、例えば、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノールが挙げられる。例えば、いくつかの態様において、該生物由来化合物は、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%と同程度のFm値を有することができる。いくつかのそのような実施態様において、該取込み源はCO2である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、石油系炭素取込み源を反映する炭素-12、炭素-13、及び炭素-14の比を有する生物由来化合物である。この態様において、本明細書に提供される生物由来化合物は、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2%未満、又は1%未満のFm値を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される生物由来化合物は、大気中の炭素の取込み源と石油系取込み源との組合せによって得られる炭素-12、炭素-13、及び炭素-14の比を有することができる。そのような取込み源の組合せの使用は、炭素-12、炭素-13、及び炭素-14の比を変動させることができる1つの方法であり、それぞれの比は、取込み源の割合を反映している。
さらに、本明細書に提供されるのは、例えば、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノールを含む、生物由来化合物に由来する生成物でもあり、ここで、該生物由来化合物は、環境中に生じるCO2とほぼ同じ値の炭素-12、炭素-13、及び炭素-14同位体比を有する。例えば、いくつかの態様において、本明細書に提供されるのは、環境中に生じるCO2とほぼ同じ値の炭素-12対炭素-13対炭素-14同位体比、又は本明細書に開示される他の比のいずれかを有する生物由来化合物である。本明細書に開示されるように、生成物は、環境中に生じるCO2とほぼ同じ値の炭素-12対炭素-13対炭素-14同位体比、又は本明細書に開示される比のいずれかを有することができることが理解され、ここで、該生成物は、本明細書に開示される生物由来化合物から生成され、ここで、該生物由来化合物は、最終生成物を生成させるために化学修飾される。本明細書に記載されるように、所望の生成物を生成させるために生物由来化合物を化学修飾する方法は、当業者に周知である。
また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるメチニコビア種によって生産されるか又は本明細書に記載される方法を用いて生産される1以上の生物由来化合物を有する生物ベースの生成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される生物由来化合物、例えば、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノールを用いて生産される生物ベースの生成物である。そのような製造は、生物由来化合物を化学反応させて(例えば、化学的変換、化学的官能化、化学的カップリング、酸化、還元、重合、共重合など)、最終生成物にすることを含むことができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される生物由来化合物、例えば、キシリトール、アラビトール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、又は3-メチル-ブタノールを有する生物ベースの生成物である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%生物由来化合物を有する生物ベースの生成物である。
本明細書に提供されるのは、H0メチニコビア属種のタンパク質に関する単離されたポリペプチド及びH0メチニコビア属種の遺伝子に関する単離された核酸、並びにそのような核酸を含む宿主細胞である。メチニコビア種におけるこれらの核酸の存在により、該メチニコビア種がH0メチニコビア属種又はその変異体と特定されることができる。したがって、本明細書に提供されるのは、タンパク質Aro10、Gxf2、Hgt19、Hxt5、Tef1、Xks1、Xyl1、Tal1、もしくはTkl1又はその変異体のアミノ酸配列を有する単離されたポリペプチド;タンパク質Aro10、Gxf2、Hgt19、Hxt5、Tef1、Xks1、Xyl1、Tal1、もしくはTkl1、又はこれらの変異体をコードする核酸配列を有する単離された核酸; ACT1、ARO8、ARO10、GPD1、GXF1、GXF2、GXS1、HGT19、HXT2.6、HXT5、PGK1、QUP2、RPB1、RPB2、TEF1、TPI1、XKS1、XYL1、XYL2、XYT1、TAL1、又はTKL1の遺伝子の核酸配列を有する単離された核酸;並びにそのような核酸配列を有し、かつ/又はそのようなタンパク質を発現する宿主細胞である。
H0メチニコビア属種の例示的なポリペプチドは、Aro10(配列番号37)、Gxf2(配列番号40)、Hgt19(配列番号42)、Hxt5(配列番号44)、Tef1(配列番号46)、Xks1(配列番号51)、Xyl1(配列番号52)、Tal1(配列番号55)、及びTkl1(配列番号56)を含む。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号37のアミノ酸配列を有する単離されたポリペプチドである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号40のアミノ酸配列を有する単離されたポリペプチドである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号42のアミノ酸配列を有する単離されたポリペプチドである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号44のアミノ酸配列を有する単離されたポリペプチドである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号46のアミノ酸配列を有する単離されたポリペプチドである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号51のアミノ酸配列を有する単離されたポリペプチドである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号52のアミノ酸配列を有する単離されたポリペプチドである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号55のアミノ酸配列を有する単離されたポリペプチドである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号56のアミノ酸配列を有する単離されたポリペプチドである。
また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるH0メチニコビア属種のタンパク質に対する変異体となるアミノ酸配列を有するが、該ポリペプチドの機能的活性を依然として保持する単離されたポリペプチドである。例えば、いくつかの実施態様において、単離されたポリペプチドは、配列番号37、40、42、44、46、51、52、55、及び56のいずれか1つのアミノ酸配列を有し、ここで、該アミノ酸配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25個のアミノ酸置換、欠失、又は挿入を含む。本明細書に提供されるタンパク質の変異体は、参照ポリペプチド配列と比較したとき、例えば、欠失、融合、又は切断も含む。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供される単離されたポリペプチドは、配列番号37、40、42、44、46、51、52、55、及び56のいずれか1つと少なくとも95.0%、少なくとも95.1%、少なくとも95.2%、少なくとも95.3%、少なくとも95.4%、少なくとも95.5%、少なくとも95.6%、少なくとも95.7%、少なくとも95.8%、少なくとも95.9%、少なくとも96.0%、少なくとも96.1%、少なくとも96.2%、少なくとも96.3%、少なくとも96.4%、少なくとも96.5%、少なくとも96.6%、少なくとも96.7%、少なくとも96.8%、少なくとも96.9%、少なくとも97.0%、少なくとも97.1%、少なくとも97.2%、少なくとも97.3%、少なくとも97.4%、少なくとも97.5%、少なくとも97.6%、少なくとも97.7%、少なくとも97.8%、少なくとも97.9%、少なくとも98.0%、少なくとも98.1%、少なくとも98.2%、少なくとも98.3%、少なくとも98.4%、少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99.0%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、又は少なくとも99.8%同一であるアミノ酸配列を有する。
本明細書に記載されるタンパク質の変異体は、保存的アミノ酸置換を含有することもでき、つまり、1以上のアミノ酸をタンパク質の二次及び/又は三次構造を変化させないアミノ酸に置き換えることができる。そのような置換としては、同様の物理化学的特性を有する残基によるアミノ酸の置換、例えば、ある脂肪族残基(Ile、Val、Leu、もしくはAla)の別の残基への置換、又は塩基性残基LysとArgの間、酸性残基GluとAspの間、アミド残基GlnとAsnの間、ヒドロキシル残基SerとTyrの間、又は芳香族残基PheとTyrの間の置換を挙げることができる。表現型に影響しないアミノ酸交換は、Bowieらの文献、Science 247:1306-10(1990)により完全に記載されている。さらに、本明細書に記載されるタンパク質の変異体は、置換、欠失、又は付加が、結果として得られるポリペプチドの機能に影響を及ぼさない限り、タンパク質の機能的領域の外側にアミノ酸配列に対するアミノ酸置換、欠失、又は付加を有するものを含む。これらの置換及び欠失を作製するための技法は、当技術分野で周知であり、例えば、部位特異的突然変異誘発を含む。
本明細書に提供される単離されたポリペプチドは、その機能を保持する本明細書に記載されるタンパク質の機能的断片も含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるタンパク質の機能的断片である単離されたポリペプチドである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるタンパク質の機能的断片であるポリペプチドをコードする単離された核酸である。いくつかの実施態様において、該単離されたポリペプチドは、タンパク質の機能を保持する、Aro10(配列番号37)、Gxf2(配列番号40)、Hgt19(配列番号42)、Hxt5(配列番号44)、Tef1(配列番号46)、Xks1(配列番号51)、Xyl1(配列番号52)、Tal1(配列番号55)、及びTkl1(配列番号56)などの、タンパク質の断片であることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるタンパク質の変異体は、他の化学的部分、例えば、グリコシル基、ポリエチレングリコール(PEG)基、脂質、ホスフェート、アセチル基などとの共有結合的修飾又は凝集的コンジュゲーションを含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるタンパク質の変異体は、例えば、本明細書に記載されるタンパク質及び別のポリペプチドから形成された融合タンパク質をさらに含む。該融合タンパク質を構築するための付加されるポリペプチドには、本明細書に記載されるタンパク質の精製もしくはオリゴマー化を容易にするもの、又は本明細書に記載されるタンパク質の安定性及び/もしくは機能を増強するものが含まれる。
本明細書に記載されるタンパク質を異種ポリペプチドに融合して、精製を容易にすることができる。多くの利用可能な異種ペプチド(ペプチドタグ)は、融合タンパク質の結合パートナーへの選択的結合を可能にする。ペプチドタグの非限定的な例としては、6-His、チオレドキシン、ヘマグルチニン、GST、及びOmpAシグナル配列タグが挙げられる。異種ペプチドタグを認識し、それに結合する結合パートナーは、金属イオン(例えば、金属親和性カラム)、抗体、抗体断片、又は異種ペプチドに選択的にもしくは特異的に結合して、融合タンパク質の精製を可能にする任意のタンパク質もしくはペプチドを含む、任意の分子又は化合物であることができる。
本明細書に記載されるタンパク質を修飾して、オリゴマーの形成を容易にすることもできる。例えば、本明細書に記載されるタンパク質を、オリゴマー化を促進するペプチド部分、例えば、ロイシンジッパー、及び特定の抗体断片ポリペプチド、例えば、Fcポリペプチドと融合することができる。これらの融合タンパク質を調製する技法は公知であり、例えば、WO 99/31241号及びCosmanらの文献、Immunity 14:123-133(2001)に記載されている。Fcポリペプチドとの融合は、プロテインA又はプロテインGカラムでの親和性クロマトグラフィーによる精製を容易にするさらなる利点を提供する。ロイシン-ジッパー(LZ)、例えば、4又は5個のロイシン残基が他のアミノ酸とともに散在することが多い反復ヘプタッドリピートとの融合は、Landschulzらの文献、Science 240:1759-64(1988)に記載されている。
本明細書に記載されるタンパク質は、単離された形態で、又は実質的に精製された形態で提供することができる。ポリペプチドは、例えば、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、及びレクチンクロマトグラフィーを含む、既知の方法によって、組換え細胞培養物から回収又は精製することができる。いくつかの実施態様において、タンパク質クロマトグラフィーを精製に利用する。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるタンパク質をコードする外因性核酸を有する組換えメチニコビア種である。いくつかの実施態様において、該組換えメチニコビア種は、本明細書に記載されるタンパク質をコードする外因性核酸を有し、ここで、該タンパク質は、1~25個、1~20個、1~15個、1~10個、又は1~5個のアミノ酸置換、欠失、又は挿入を有する。いくつかの実施態様において、該タンパク質は、Aro10(配列番号37)、Gxf2(配列番号40)、Hgt19(配列番号42)、Hxt5(配列番号44)、Tef1(配列番号46)、Xks1(配列番号51)、及びXyl1(配列番号52)であり、かつ該タンパク質の機能を保持する。いくつかの実施態様において、該タンパク質は、Aro10(配列番号37)、Gxf2(配列番号40)、Hgt19(配列番号42)、Hxt5(配列番号44)、Tef1(配列番号46)、Xks1(配列番号51)、及びXyl1(配列番号52)の1~10個のアミノ酸置換、欠失、又は挿入を有し、かつ該タンパク質の機能を保持する。いくつかの実施態様において、該タンパク質は、Aro10(配列番号37)、Gxf2(配列番号40)、Hgt19(配列番号42)、Hxt5(配列番号44)、Tef1(配列番号46)、Xks1(配列番号51)、及びXyl1(配列番号52)の1~5個のアミノ酸置換、欠失、又は挿入を有し、かつ該タンパク質の機能を保持する。非天然の微生物は、限定されないが、本明細書に記載されるH0メチニコビア属種を含む、メチニコビア種であることができる。
本明細書に記載されるタンパク質は、好適な宿主によって組換え発現させることができる。該タンパク質の異種発現が望ましい場合、特定の遺伝子のコード配列を宿主のコドン使用に従って修飾することができる。標準的な遺伝コードは、例えば、Osawaらの文献、Microbiol Rev. 56(1):229-64(1992)に概説されているように、当技術分野で周知である。限定されないが、出芽酵母、カンジダ・アジマ、カンジダ・ジベルサ、カンジダ・マグノリアエ、カンジダ・ルゴペリクローサ、ヤロウィア・リポリティカ、及びジゴアスクス・ヘレニクスを含む、酵母種は、標準的なコードを使用している。ある種の酵母種は、別のコードを使用している。例えば、「Leu」の標準的なコドンである「CUG」は、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・シリンドラセア、カンジダ・メリビオシカ、カンジダ・パラプシローシス、カンジダ・ルゴセ、ピキア・スティピティス、及びメチニコビア種などの種では、「Ser」をコードする。H0メチニコビア属種をコドン表は、本明細書に提供されている。
さらに、宿主は、同じ種類のタンパク質の複数の形態が同じ細胞内で発現されるように同じカテゴリーのタンパク質の他の形態を同時に生産することができる。例えば、宿主は、オリゴマーを形成して、同じ糖を輸送することができる異なるトランスポーターを同時に生産することができる。或いは、異なるトランスポーターが独立に機能して、糖を輸送することができる。
本明細書に記載されるタンパク質の変異体は、当技術分野で公知の従来の方法により、例えば、オリゴヌクレオチド指向性部位特異的突然変異誘発によって特定の位置に突然変異を導入することにより作製することができる。部位特異的突然変異誘発は、タンパク質工学への情報提供アプローチと考えられており、特定のアミノ酸変化を標的タンパク質の高解像度結晶構造に頼ることができる(Van Den Burgらの文献、PNAS 95:2056-60(1998))。種々のタンパク質工学対象物の部位特異的変化を同定するための計算方法も、当技術分野で公知である(Hellingaの文献、Nature Structural Biology 5:525-27(1998))。
当技術分野で公知の他の技法としては、非情報提供突然変異誘発法(一般に、「有向進化」と呼ばれる)が挙げられるが、これらに限定されない。有向進化は、ハイスループットスクリーニングと併せて、タンパク質立体構造における統計的に意味のあるバリエーションの試験を可能にする(Arnoldの文献、1998)。有向進化技術としては、Crameriらの文献、Nature 391:288-91(1998)に記載されているものと同様の多様化法、部位飽和突然変異誘発、互い違い伸長プロセス(StEP)(Zhaoらの文献、Nature Biotechnology 16:258-61(1998))、及びDNA合成/再集合(米国特許第5,965,408号)を挙げることができる。
本明細書に開示されるように、本明細書に記載されるタンパク質をコードする核酸を宿主生物に導入することができる。場合により、タンパク質の活性を修飾して、所望の生成物の生産を増大させることが望ましいこともある。例えば、タンパク質の活性を増大させる既知の突然変異をコード核酸分子に導入することができる。さらに、最適化の方法を適用して、タンパク質の活性を増大させ、かつ/又は阻害活性を減少させる、例えば、負の調節因子の活性を減少させることができる。
1つのそのような最適化の方法は、有向進化である。有向進化は、酵素の特性を改善及び/又は改変するために特定の遺伝子を標的とする突然変異の導入を伴う強力なアプローチである。改善及び/又は改変された酵素は、多くの酵素変異体(例えば、>104個)の自動化スクリーニングを可能にする感度の高いハイスループットスクリーニングアッセイの開発及び実行を通して同定することができる。典型的には、突然変異誘発とスクリーニングの反復ラウンドを実施して、最適化された特性を有する酵素を得る。突然変異誘発のための遺伝子の領域を特定するのを支援することができる計算アルゴリズムも開発されており、これは、作製及びスクリーニングされる必要がある酵素変異体の数を顕著に低下させることができる。多様な変異体ライブラリーを作出するのに有効である数多くの有向進化の技術が開発されており(総説については、Hibbertらの文献、Biomol.Eng 22:11-19(2005); Huisman及びLalondeの文献、製薬及びバイオテクノロジー産業における生体触媒作用(Biocatalysis in the pharmaceutical and biotechnology industries)、717~742ページ(2007)、Patel(編)、CRC Press所収; Otten and Quaxの文献、Biomol.Eng 22:1-9(2005).;並びにSenらの文献、Appl Biochem.Biotechnol 143:212-223(2007)を参照)、これらの方法は、多くの酵素クラスにわたる広範囲の特性の改善に首尾よく適用されている。有向進化の技術によって改善及び/又は改変されている酵素特性としては、例えば:非天然の基質の変換のための選択性/特異性;激しい高温処理のための温度安定性;より低い又はより高いpH条件下におけるバイオプロセシングのためのpH安定性;高い生成物力価を達成することができるような基質又は生成物の公差;非天然の基質を含めるための基質結合性の拡大を含む、結合(Km);生成物、基質、又は主要な中間体による阻害を除去するための阻害(Ki);所望のフラックスを達成するように酵素反応速度を増大させる活性(kcat);タンパク質収率及び全経路フラックスを増大させる発現レベル;好気的な条件下における空気感受性酵素の作動のための酸素安定性;並びに酸素の非存在下における好気的酵素の作動のための嫌気的活性が挙げられる。
特異的酵素の所望の特性を標的とする遺伝子の突然変異誘発及び多様化のためのいくつかの例示的な方法が開発されている。そのような方法は当業者に周知である。これらのいずれかを用いて、本明細書に記載されるタンパク質の活性を改変及び/又は最適化することができる。そのような方法としては、PCR反応におけるDNAポリメラーゼの忠実度を低下させることにより、ランダムな点突然変異を導入する、EpPCR(Pritchardらの文献、J Theor.Biol. 234:497-509(2005));完全環状プラスミドを鋳型として使用し、最後の2つのヌクレオチドにエキソヌクレアーゼ耐性チオリン酸結合を有するランダムヘキサマーを該プラスミドを増幅させるために使用し、その後、細胞に形質転換し、該細胞内で該プラスミドがタンデムリピートにおいて再環状化されることを除き、epPCRと同様である、エラープローンローリングサイクル増幅(epRCA)(Fujiiらの文献、Nucleic Acids Res. 32:e145(2004);及びFujiiらの文献、Nat. Protoc. 1:2493-2497(2006));典型的には、DnアーゼI又はEndoVなどのヌクレアーゼで2以上の変異体遺伝子を消化して、DNAポリメラーゼの存在下でのアニーリングと伸長のサイクルによって再集合するランダム断片のプールを生成させて、キメラ遺伝子のライブラリーを作出することを伴う、DNA又はファミリーシャフリング(Stemmerの文献、Proc Natl Acad Sci USA 91:10747-10751(1994);及びStemmerの文献、Nature 370:389-391(1994));鋳型プライミングと、その後の変性及び非常に短い期間のアニーリング/伸長(5秒程度の短時間)を含む2段階PCRの反復サイクルを伴う、互い違い伸長(StEP)(Zhaoらの文献、Nat. Biotechnol. 16:258-261(1998));ランダム配列プライマーを用いて、鋳型の異なるセグメントに相補的な多くの短いDNA断片を生成させる、ランダムプライミング組換え(RPR)(Shaoらの文献、Nucleic Acids Res 26:681-683(1998))が挙げられるが、これに限定されない。
さらなる方法としては、線状化プラスミドDNAを用いて、ミスマッチ修復によって修復されるヘテロ二本鎖を形成する、ヘテロ二本鎖組換え(Volkovの文献、Nucleic Acids Res. 27:e18(1999);及びVolkovらの文献、Methods Enzymol. 328:456-463(2000)); DnアーゼI断片化及び一本鎖DNA(ssDNA)のサイズ分画を利用する、一過性の鋳型上でのランダムなキメラ生成(RACHITT)(Cocoらの文献、Nat. Biotechnol. 19:354-359(2001));鋳型のプールとして使用される一方向のssDNA断片の存在下で、プライマーから一方向に成長する鎖の鋳型スイッチングを伴う、切断された鋳型上での組換え伸長(RETT)(Leeらの文献、J. Molec. Catalysis 26:119-129(2003));縮重プライマー用いて、分子間の組換えを制御する、縮重オリゴヌクレオチド遺伝子シャッフリング(DOGS);(Bergquist及びGibbsの文献、Methods Mol.Biol 352:191-204(2007); Bergquistらの文献、Biomol.Eng 22:63-72(2005); Gibbsらの文献、Gene 271:13-20(2001));対象となる遺伝子又は遺伝子断片の1塩基対の欠失を有するコンビナトリアルライブラリーを作出する、ハイブリッド酵素の作出のための漸増的切断(ITCHY)(Ostermeierらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:3562-3567(1999);及びOstermeierらの文献、Nat. Biotechnol. 17:1205-1209(1999));ホスホチオエートdNTPを用いて切断を生成させることを除き、ITCHYと同様である、ハイブリッド酵素の作出のためのチオ-漸増的切断(THIO-ITCHY)(Lutzらの文献、Nucleic Acids Res 29:E16(2001)); 2つの遺伝子組換え法であるITCHYとDNAシャッフリングを組み合わせたものである、SCRATCHY(Lutzらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98:11248-11253(2001)); epPCRによって作られた突然変異を、使用可能な活性を保持しているものについてスクリーニング/選択によって追跡する、ランダムドリフト突然変異誘発(RNDM)(Bergquistらの文献、Biomol. Eng. 22:63-72(2005));ホスホチオエートヌクレオチドのランダム組込み及び切断を用いてランダムな長さの断片のプールを作製し、これを鋳型として用いて、イノシンなどの「ユニバーサル」塩基の存在下で伸長させ、イノシン含有相補鎖の複製によって、ランダムな塩基の組込み、及びその結果として、突然変異誘発をもたらすランダム突然変異誘発法である、配列飽和突然変異誘発(SeSaM)(Wongらの文献、Biotechnol. J. 3:74-82(2008); Wongらの文献、Nucleic Acids Res. 32:e26(2004);及びWongらの文献、Anal. Biochem. 341:187-189(2005));「標的の全ての遺伝的多様性」をコードするように設計されたオーバーラップオリゴヌクレオチドを使用し、シャッフルされた子孫について非常に高い多様性を可能にする、合成シャッフリング(Nessらの文献、Nat. Biotechnol. 20:1251-1255(2002)); dUTPの組込みに次ぐ、ウラシルDNAグリコシラーゼ及びその後のピペリジンによる処理との組合せを利用して、エンドポイントDNA断片化を行う、ヌクレオチド交換及び切除技術NexT(Mullerらの文献、Nucleic Acids Res. 33:e117(2005))が挙げられる。
さらなる方法としては、リンカーを用いて、2つの遠縁の又は関連のない遺伝子間の融合を容易にし、この2つの遺伝子間の様々なキメラを作製して、単一交差ハイブリッドのライブラリーを生じさせる、配列相同性非依存的タンパク質組換え(SHIPREC)(Sieberらの文献、Nat. Biotechnol. 19:456-460(2001));出発材料が、挿入を含有するスーパーコイル二本鎖DNA(dsDNA)プラスミドと所望の突然変異部位で縮重している2つのプライマーとを含む、遺伝子部位飽和突然変異誘発(商標)(GSSM(商標))(Kretzらの文献、Methods Enzymol. 388:3-11(2004));限定された領域を多数の考えられるアミノ酸配列改変で置き換えるための短鎖オリゴヌクレオチドカセットの使用を伴う、コンビナトリアルカセット突然変異誘発(CCM)(Reidhaar-Olsonらの文献、Methods Enzymol. 208:564-586(1991);及びReidhaar-Olsonらの文献、Science 241:53-57(1988));本質的にCCMと同様であり、高い突然変異率のepPCRを用いて、多発点及び多発領域を特定し、その後、CMCMによる伸長を用いて、規定のタンパク質配列空間領域を網羅する、コンビナトリアル多重カセット突然変異誘発(CMCM)(Reetzらの文献、Angew. Chem. Int. Ed Engl. 40:3589-3591(2001)); DNAポリメラーゼIIIの突然変異体サブユニットをコードするmutD5遺伝子を利用する、条件付きts突然変異誘発遺伝子プラスミドにより、選択の間に、ランダムな及び自然の突然変異の頻度の20~4000倍の増大が可能になり、選択が必要とされない場合は有害な突然変異の蓄積が阻止される、突然変異誘発遺伝子株(Mutator Strains)の技法(Selifonovaらの文献、Appl. Environ. Microbiol. 67:3645-3649(2001)); Lowらの文献、J. Mol. Biol. 260:359-3680(1996))が挙げられる。
さらなる例示的な方法としては、選択されたアミノ酸のコンビナトリアル突然変異を評価及び最適化する多次元突然変異誘発法である、ルックスルー突然変異誘発(LTM)(Rajpalらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102:8466-8471(2005));遺伝子を一度に多重化するか、又は単一の遺伝子のキメラ(多重突然変異)の大きなライブラリーを作出するために適用することができるDNAシャッフリング法である、遺伝子再集合(Verenium Corporationによって供給されるTunable GeneReassembly(商標)(TGR(商標))技術)、特定のフォールドを有する構造的に規定されタンパク質骨格を固定し、かつ該フォールド及びタンパク質全体のエネルギー性を安定化することができるアミノ酸置換のための配列空間を検索する最適化アルゴリズムであり、通常、既知の3次元構造を有するタンパク質に対して最も効果的に作用する、インシリコタンパク質設計自動化(PDA)(Hayesらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:15926-15931(2002));並びに構造/機能の知識を用いて、酵素の改良に適した部位を選択すること、Stratagene QuikChange(Stratagene; San Diego CA)などの突然変異誘発法を用いて選択された部位における飽和突然変異誘発を実施すること、所望の特性についてスクリーニング/選択すること、及び改良されたクローンを使用し、別の部位でやり直し、所望の活性が得られるまで反復を継続することを伴う、反復飽和突然変異誘発(ISM)(Reetzらの文献、Nat. Protoc. 2:891-903(2007);及びReetzらの文献、Angew. Chem. Int. Ed Engl. 45:7745-7751(2006))が挙げられる。
前述の突然変異誘発方法のいずれかを単独又は任意の組合せで使用することができる。さらに、有向進化の方法のいずれか1つ又は組合せを、本明細書に記載されているか又はその他の形で当技術分野で公知の適応進化法と併せて使用することができる。
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるタンパク質をコードする核酸配列及び本明細書に記載される遺伝子の特定のコード核酸配列を有する単離された核酸である。本明細書に提供される核酸には、配列表に提供されている核酸配列を有するもの;高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件(例えば、42℃で2.5時間、6×SCC、0.1%SDS)の下で、配列表に提供されている核酸配列にハイブリダイズするもの;及び配列表に提供されている核酸配列と実質的な核酸配列同一性を有するものが含まれる。本明細書に提供される核酸は、翻訳されて、同じアミノ酸配列を産生することができるコドンの等価置換も包含する。また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される核酸を含むベクターである。該ベクターは、宿主微生物での発現に好適な発現ベクターであることができる。該ベクターは、ウイルスベクターであることができる。
本明細書に提供される核酸には、本明細書に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするもの、及びその機能を保持するその変異体が含まれる。本明細書に提供される核酸は、cDNA、化学合成DNA、PCRによって増幅されるDNA、RNA、又はこれらの組合せであることができる。遺伝コードの縮重のために、2つのDNA配列は、異なっているが、それでも同一のアミノ酸配列をコードすることができる。
また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるタンパク質をコードする核酸の有用な断片であり、これには、プローブ及びプライマーが含まれる。そのようなプローブ及びプライマーを、例えば、PCR法で用いて、本明細書に記載されるタンパク質をコードする核酸を増幅するか、又はその存在を、インビトロで並びに解析用のサザンブロット及びノーザンブロットで検出することができる。本明細書に記載されるタンパク質を発現する細胞も、そのようなプローブの使用により同定することができる。そのようなプライマー及びプローブの作製及び使用方法は周知である。
また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるタンパク質又は核酸配列の標的mRNA又はDNA配列に結合することができる一本鎖核酸を有するアンチセンス又はセンスオリゴヌクレオチドである本明細書に記載されるタンパク質をコードする核酸の断片である。
本明細書に記載されるタンパク質をコードする核酸は、配列番号によって本明細書に開示される核酸にハイブリダイズする核酸又は配列番号によって本明細書に開示されるアミノ酸配列をコードする核酸分子にハイブリダイズする核酸分子を含むことができる。ハイブリダイゼーション条件は、当業者に周知である極めてストリンジェントな、中等度にストリンジェントな、又は低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件、例えば、本明細書に記載されるものを含むことができる。
ストリンジェントなハイブリダイゼーションは、ハイブリダイズしたポリヌクレオチドが安定である条件を指す。当業者に知られているように、ハイブリダイズしたポリヌクレオチドの安定性は、ハイブリッドの融点(Tm)に反映される。一般に、ハイブリダイズしたポリヌクレオチドの安定性は、塩濃度、例えば、ナトリウムイオン濃度と温度の関数である。ハイブリダイゼーション反応をより低いストリンジェンシーの条件下で実施し、その後、様々な、しかし、より高いストリンジェンシーで洗浄することができる。ハイブリダイゼーションストリンジェンシーへの言及は、そのような洗浄条件に関連する。極めてストリンジェントなハイブリダイゼーションは、0.018M NaCl中、65℃でハイブリダイズした安定なポリヌクレオチドを形成する核酸配列のみのハイブリダイゼーションを許容する条件を含み、例えば、ハイブリッドが、0.018M NaCl中、65℃で安定でない場合、それは、本明細書で企図されるような、高ストリンジェンシー条件下で安定でない。高ストリンジェンシー条件は、例えば、50%ホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSPE、0.2%SDS中、42℃でのハイブリダイゼーションと、その後の0.1×SSPE及び0.1%SDS中、65℃での洗浄によって提供されることができる。極めてストリンジェントなハイブリダイゼーション条件以外のハイブリダイゼーション条件を用いて、本明細書に開示される核酸配列を説明することもできる。例えば、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーションという語句は、50%ホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSPE、0.2%SDS中、42℃でのハイブリダイゼーションと、その後の0.2×SSPE、0.2%SDS中、42℃での洗浄と同等の条件を指す。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションという語句は、10%ホルムアミド、5×デンハルト溶液、6×SSPE、0.2%SDS中、22℃でのハイブリダイゼーションと、その後の1×SSPE、0.2%SDS中、37℃での洗浄と同等の条件を指す。デンハルト溶液は、1%フィコール、1%ポリビニルピロリドン、及び1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する。20×SSPE(塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、エチレンジアミド四酢酸(EDTA))は、3M塩化ナトリウム、0.2Mリン酸ナトリウム、及び0.025M(EDTA)を含有する。他の好適な低、中等度、及び高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーションバッファー及び条件は、当業者に周知であり、例えば、Sambrookらの文献、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory, New York(2001);及びAusubelらの文献、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley and Sons, Baltimore, MD(1999)に記載されている。
本明細書に提供されるタンパク質をコードする核酸には、配列番号によって本明細書に開示される核酸配列に対する特定のパーセント配列同一性を有するものが含まれる。例えば、核酸分子は、配列番号57~78から選択される配列に対する少なくとも95.0%、少なくとも95.1%、少なくとも95.2%、少なくとも95.3%、少なくとも95.4%、少なくとも95.5%、少なくとも95.6%、少なくとも95.7%、少なくとも95.8%、少なくとも95.9%、少なくとも96.0%、少なくとも96.1%、少なくとも96.2%、少なくとも96.3%、少なくとも96.4%、少なくとも96.5%、少なくとも96.6%、少なくとも96.7%、少なくとも96.8%、少なくとも96.9%、少なくとも97.0%、少なくとも97.1%、少なくとも97.2%、少なくとも97.3%、少なくとも97.4%、少なくとも97.5%、少なくとも97.6%、少なくとも97.7%、少なくとも97.8%、少なくとも97.9%、少なくとも98.0%、少なくとも98.1%、少なくとも98.2%、少なくとも98.3%、少なくとも98.4%、少なくとも98.5%、少なくとも98.6%、少なくとも98.7%、少なくとも98.8%、少なくとも98.9%、少なくとも99.0%、少なくとも99.1%、少なくとも99.2%、少なくとも99.3%、少なくとも99.4%、少なくとも99.5%、少なくとも99.6%、少なくとも99.7%、もしくは少なくとも99.8%の配列同一性を有することができるか、又は配列番号57~78から選択される配列と同一である。
したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供される単離された核酸は、ACT1(配列番号57)、ARO8(配列番号58)、ARO10(配列番号59)、GPD1(配列番号60)、GXF1(配列番号61)、GXF2(配列番号62)、GXS1(配列番号63)、HXT19(配列番号64)、HXT2.6(配列番号65)、HXT5(配列番号66)、PGK1(配列番号67)、QUP2(配列番号68)、RPB1(配列番号69)、RPB2(配列番号70)、TEF1(配列番号71)、TPI1(配列番号72)、XKS1(配列番号73)、XYL1(配列番号74)、XYL2(配列番号75)、XYT1(配列番号76)、TAL1(配列番号77)、又はTKL1(配列番号78)を含む、本明細書に開示されるH0メチニコビア属種の遺伝子の核酸配列を有する。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ACT1の核酸配列(配列番号57)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ARO8の核酸配列(配列番号58)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ARO10の核酸配列(配列番号59)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、GPD1の核酸配列(配列番号60)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、GXF1の核酸配列(配列番号61)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、GXF2の核酸配列(配列番号62)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、GXS1の核酸配列(配列番号63)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、HXT19の核酸配列(配列番号64)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、HXT2.6の核酸配列(配列番号65)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、HXT5の核酸配列(配列番号66)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、PGK1の核酸配列(配列番号67)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、QUP2の核酸配列(配列番号68)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、RPB1の核酸配列(配列番号69)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、RPB2の核酸配列(配列番号70)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TEF1の核酸配列(配列番号71)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TPI1の核酸配列(配列番号72)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、XKS1の核酸配列(配列番号73)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、XYL1の核酸配列(配列番号74)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、XYL2の核酸配列(配列番号75)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、XYT1の核酸配列(配列番号76)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TAL1の核酸配列(配列番号77)を有する単離された核酸である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TKL1の核酸配列(配列番号78)を有する単離された核酸である。
本発明の様々な実施態様の活性に実質的に影響を及ぼさない修飾も本明細書に提供される本発明の定義内に提供されることが理解される。したがって、以下の実施例は、本発明を例示するが、限定しないことが意図される。本出願の全体を通して、様々な刊行物が参照されている。GenBank及びGI番号の公開を含む、これらの刊行物のその全体としての開示は、本発明が関係する技術分野の現状をより完全に説明するために、本出願において、引用により本明細書中に組み込まれる。
(実施例I)
(H0メチニコビア属種の同定)
本実施例は、H0メチニコビア属種がメチニコビアの属に属し、メチニコビア・プルケリマクレードと最も近縁のD1/D2及びITS配列を有するが、これは、そのD1/D2領域内でとても高い変動性を有するので、種同定のための一般に適用される1%閾値を使用することができないことを示している。しかしながら、高い変動性は2つの特定の領域に主に限定されており、保存されたD1/D2領域が同定されている。RPB2遺伝子配列を用いる系統樹解析により、メチニコビア・プルケリマクレードの他のメンバーと比較したとき、H0メチニコビア属種が、亜群としてのメチニコビア・ジジフィコラとともにクラスターを形成する新しい種であることが示される。形態的及び生理的特徴、特に、キシロースを有する培地中でのH0メチニコビア属種の成長プロファイルから、H0メチニコビア属種がメチニコビア・ジジフィコラと近縁の新しい種であることが確認される。
(D1/D2ドメイン及びITS配列解析)
大サブユニット(LSU) rRNA遺伝子のドメイン1及び2(D1/D2ドメイン)並びに小サブユニット(SSU) rRNA遺伝子とLSU rRNA遺伝子の間にある内部転写スペーサー(ITS)の配列解析は、酵母種同定のための一般に認められているツールである(Kurtzman及びRobnettの文献、1998, Antonie Van Leeuwenkoek, 73:331-371)。子嚢菌酵母に関する以前の研究により、D1/D2ドメイン中に1%を超える置換を有する株は、通常、別の種を表すことが示されている(Kurtzman及びRobnettの文献、1998)。例外は、クラビスポラ・ルシタニアエ(Lachanceらの文献、2003, FEMS Yeast Res. 4:253-258)、メチニコビア・アンダウエンシス、及びメチニコビア・フルクティコラで見出されており(Sipiczkiらの文献、2013, PLoS One, 8:e67384)、この場合、一部の株が、D1/D2ドメイン中で1%を超える多様性又は不均一性を示す。
H0メチニコビア属種のD1/D2ドメインを、プライマー
を用いて、そのゲノムDNAから増幅させた。D1/D2ドメイン(プライマーNL1の直後から始まり、プライマーNL4の前で終わる)の以下の例示的な499塩基配列をH0メチニコビア属種について同定した:
この例示的なD1/D2配列は、複数のタイプのD1/D2ドメインのプール-細胞内の全てのタイプを網羅するタイプのコンセンサス配列であった。
上記の配列を、NCBIヌクレオチドコレクション(nr/nt)データベースに対して、ヌクレオチド基本局所アラインメント検索ツール(BLASTN)を用いて比較した。BLASTN検索からの分類体系レポートが作成された(表1)。この分類体系レポートは、合計105ヒットのうち、104ヒットがメチニコビア属からのものであり、ほとんどの種が、メチニコビア・プルケリマ、メチニコビア・フルクティコラ、メチニコビア・アンダウエンシス、メチニコビア・クリソペルラエ、メチニコビア・シネンシス、メチニコビア・シャンキシエンシス、及びメチニコビア・ジジフィコラを含む、メチニコビア・プルケリマクレードに属することを示した。
(表1)
上で同定されているH0メチニコビア属種のD1/D2ドメイン(配列番号1)をメチニコビア・プルケリマクレード内の特定の種のD1/D2ドメインとさらに比較した(表2)。数多くの違いが確認された。例えば、H0メチニコビア属種とメチニコビア・プルケリマクレード種のメチニコビア・プルケリマ、メチニコビア・フルクティコラ、メチニコビア・アンダウエンシス、メチニコビア・クリソペルラエ、メチニコビア・シネンシス、メチニコビア・シャンキシエンシス、及びメチニコビア・ジジフィコラとの間のD1/D2ドメイン配列中のヌクレオチド変動の数は、それぞれ、11(2.2%)、14(2.8%)、11(2.2%)、11(2.2%)、11(2.2%)、11(2.2%)、及び12(2.4%)であった。
(表2)
D1/D2ドメイン及びITS配列の解析は、CBS-KNAW Fungal Biodiversity Centreによっても実施された。H0メチニコビア属種を麦芽抽出物寒天(MEA、OXOID)培地上で培養した。DNAを、暗所、25℃での3~4日間のインキュベーション期間の後、MoBio - UltraClean Microbial DNA Isolation Kitを用いて抽出した。D1/D2ドメインを含有する断片を、プライマー
(Vilgalys及びHesterの文献、1990, J. Bacteriol., 172(8):4238-4246)を用いて増幅させた。内部転写スペーサー1及び2並びに5.8S遺伝子(ITS)を含有する断片を、プライマー
(Gerrits van den Ende及びde Hoogの文献、1999))を用いて増幅させた。これらのPCR断片を、ABI Prism Big Dye(商標) Terminator v. 3.0 Ready Reaction Cycle Sequencing Kitを用いてシークエンシングした。試料をABI PRISM 3700 Genetic Analyzerで解析し、フォワード及びリバース配列をLaserGeneパッケージのプログラムSeqManとともに用いて、コンティグをアセンブルさせた。以下のD1/D2及びITS配列を同定した:
(D1/D2ドメイン配列:)
(ITS配列:)
これらの配列を、NCBIヌクレオチドコレクション(nr/nt)データベースに対してヌクレオチド基本局所アラインメント検索ツール(BLASTN)を用いて、及びほとんどの基準株の配列を有するCBS-KNAW Fungal Biodiversity Centreの巨大な真菌データベースにおいて比較した。この比較により、H0メチニコビア属種がメチニコビア属内の新しい種であることが示された。この属内の既知の最も近い種は、D1/D2配列について97%の配列同一性を有する、メチニコビア・アンダウエンシスであると確認された。さらに、メチニコビア・プルケリマは、D1/D2配列について98%の配列同一性を有するが、ITS配列について94%の配列同一性しか有さないことが示され、メチニコビア・シャンキシエンシスは、D1/D2配列について96%の配列同一性及びITS配列の短い断片について98%の配列同一性しか有さないことが示された。
しかしながら、上に示されたように、メチニコビア・アンダウエンシスとメチニコビア・フルクティコラの基準株のD1/D2ドメインは、非均質であると報告された。例えば、M.アンダウエンシスクローン内の最大18個(3.6%)の置換及びM.フルクティコラクローン内の最大25個(5%)の置換を見出すことができると報告されている(Sipiczkiらの文献、2013, PLoS One, 8:e67384)。したがって、H0メチニコビア属種のD1/D2ドメインが均質であるかどうかを確かめるために、もとのH0メチニコビア属種の永久ストックからストリークされた6つのコロニーからDNAを抽出し、プライマー
を用いて、PCRにより増幅させた。このプライマーには、アセンブリクローニング用のプラスミドpUC19と同一の20ntの配列が隣接している。PCR産物をゲル精製し、pUC19のSacI及びHindIII部位にクローニングした。クローニングされたプラスミドを両端からシークエンシングし、Geneious 7.1.9を用いて、配列を解析した
クローニングされ、解析された合計32個のD1/D2ドメイン配列において、H0メチニコビア属種とM.プルケリマクレードの基準株の違いを上回る最大23塩基(4.6%)の変動を有する23のタイプ(表3)がある。
(表3)
D1/D2領域中の変動は、配列番号1のヌクレオチド154~177と435~452の間に位置する2つの主な領域に限定されていた(図1)。これら2つの主な可変領域を除くと、ヌクレオチドの違いが少なくとも2つのクローンで観察される位置は9カ所しかなかった。単一のクローンにおいて、この2つの高可変領域の外の可変ヌクレオチドの数は、0個(タイプ13、15、及び22)又は1個(タイプ1、6、11、12、17、19、20、21、及び23)又は2個(タイプ2、3、4、5、7、9、10、14、及び18)又は3個(タイプ8)又は4個(タイプ16)であった。
さらに、以下のコンセンサスD1/D2ドメイン配列を同定した:
H0メチニコビア属種についての同定された全てのD1/D2ドメイン配列は、コンセンサスD1/D2配列と少なくとも97.1%の配列同一性を有していた。
これらの結果に基づくと、H0メチニコビア属種は、メチニコビア属のメンバーであり、かつメチニコビア・プルケリマクレードの種と近縁であることが明白であったが、H0メチニコビア属種をメチニコビア・プルケリマクレードの他のメンバーと区別するためには、D1/D2ドメイン配列を超えるさらなる特徴解析が必要であることが明白であった。
(RNAポリメラーゼII(RPB2)遺伝子配列解析)
ACT1と、EF2及びRPB2配列の1番目及び2番目のコドン位置とは、メチニコビア科(Metschnikowiaceae)ファミリーの既知の全ての種の系統樹解析に使用されている(Guzmanらの文献、2013, Mol. Phylogenet. Evol., 68(2):161-175)。したがって、H0メチニコビア属種由来のRPB2配列の解析を解析した。
6つのメチニコビア・プルケリマクレード種と、メチニコビア・プルケリマに近いが、それから分離した1つの外群種であるメチニコビア・クンウィエンシスの部分的なRPB2遺伝子配列をGeneBankから抽出した(表4)。
(表4)
H0メチニコビア属種由来のRPB2遺伝子配列をH0メチニコビア属種の全ゲノムショットガンコンティグから抽出した。これは:
によって表される。
配列をGenieous 7.1.9で編集し、ClustalWを用いて整列させた。近隣結合樹をGenieous 7.1.9ツリービルダーを用いて構築した。
メチニコビア・プルケリマクレードのメンバー間の系統距離は、メチニコビア・プルケリマ種とメチニコビア・クンウィエンシス外群の間の距離よりも近かった(図2)。H0メチニコビア属種を亜群としてのメチニコビア・ジジフィコラとともにクラスター形成させた(図2)。他の亜群は:(a)メチニコビア・プルケリマ及びメチニコビア・フルクティコラ;(b)M.アンダウエンシス、M.シネンシス、及びM.シャンキシエンシス;並びに(c)M.クリソペルラエである(図2)。
上の系統樹解析により、メチニコビア・プルケリマクレードの他のメンバーと比較したとき、H0メチニコビア属種が、亜群としてのメチニコビア・ジジフィコラとともにクラスターを形成する新しい種であることが示される。
(形態的及び生理的特徴)
H0メチニコビア属種は、他のメチニコビア種と特定の形態的及び生理的特徴を共有しているが、それは、実際、異なる特徴も有する。例えば、他のメチニコビア・プルケリマクレード種と同様、H0メチニコビア属種の細胞は球形から卵形である。出芽は多極性である。H0メチニコビア属種の酵母細胞を、30℃で7日間、YPDブロス中で成長させたとき、大量の球形の厚膜胞子様「プルケリマ」細胞が存在する。H0メチニコビア属種は、YPD寒天上で、4℃で緩慢に成長することができ、20℃~33℃で良好に成長し、37℃で成長しない。H0メチニコビア属種は、培地中にピンク色の色素を分泌する。H0メチニコビア属種は、D-グルコース、D-ガラクトース、D-キシロース、スクロース、グリセロール、エタノール、スクシネート、及びセロビオースを同化することができ、グルコースを弱く発酵させることができる。
H0メチニコビア属種は、YP培地+2%キシロース中での長期間にわたるその成長により、メチニコビア・プルケリマクレード種の他のメンバーと区別される。0.03の初期OD600を有するYP+2%キシロース培地中での41時間の好気的成長の最終段階において、H0メチニコビア属種培養物とメチニコビア・ジジフィコラ培養物の両方のOD600における光学密度は近く、他の株のOD600における光学密度よりもはるかに高かった(図3)。キシロース成長プロファイルによって明らかにされたH0メチニコビア属種とメチニコビア・ジジフィコラとの密接な関係は、上で考察されたRPB2配列解析の結果と一致している。
上の実験の全てに基づいて、H0メチニコビア属種は、新規のメチニコビア・プルケリマクレード種であり、RPB2配列及びそのキシロース成長プロファイルによって他のメンバーから分離することができることが明白である。
(実施例II)
(H0メチニコビア属種のキシロースからのキシリトールの生産)
本実施例は、キシロースを含有するYEP培地中で培養したとき、H0メチニコビア属種がキシロースからキシリトールを生産することを示している。
キシロースからのキシリトールの生産を、H0メチニコビア属種について、4%w/v又は10%w/vキシロースが補充された酵母抽出物ペプトン(YEP)培地中でアッセイした。対照として、出芽酵母のワイン酵母M2もアッセイした。
H0メチニコビア属種の細胞を125mlフラスコ中の50mlのYEP+4%w/v又は10%w/vキシロース培地中に接種し、120rpmで振盪させながら、30℃インキュベーターで成長させた。1mlの試料を培養物から採取し、細胞を遠心分離により除去した。上清を0.22μmナイロンシリンジフィルターに通して、HPLC試料バイアル中に濾過した。上清中のキシリトール含有量を、水を移動相として0.6ml/分の速度で用いる80℃でのRezex RPM-単糖Pb+2カラム(Phenomenex)上でのHPLCにより解析した。Agilent G1362A示差屈折率検出器(Agilent)でピークを検出した。
H0メチニコビア属種は、キシロース依存的経路を介してキシリトールを生産した。例えば、4%キシロース培地中で、H0メチニコビア属種は、5日間で約13.8g/Lのキシリトールを40g/Lのキシロースから生産したのに対し、10%キシロース中では、それは、10日間で約23g/Lのキシリトールを100g/Lのキシロースから生産した(図4)。キシロースが使い果たされたとき、H0メチニコビア属種は、培地中のキシリトールを消費し始めた(図4)。両方の培地中で、出芽酵母M2種は、キシリトールを生産しなかった(図4)。
(実施例III)
(H0メチニコビア属種による様々な化合物の生産)
本実施例は、キシロースを含有するYEP培地中で培養したとき、H0メチニコビア属種がいくつかの異なる化合物及びキシリトールを生産することを示している。
H0メチニコビア属種を、4%キシロースを含有するYEP培地中、30℃で成長させた。試料を接種した後3日目及び6日目に採取し、揮発性化合物及びキシリトールについて、ガスクロマトグラフィー-質量分析(GCMS)により分析した。
このアッセイは、キシリトール、イソプロパノール、エタノール、イソブタノール、n-ブタノール、及び2-フェニルエチルアルコールがH0メチニコビア属種によって生産されることを示した。表5は、3日目及び6日目に測定されたこれらの生成物の平均濃度を示している。これらの化合物の各々の生産の割合は、好気的な条件下で3日間、4%キシロースを含む液体酵母抽出物ペプトン(YEP)培地中で培養したとき、99.26%のキシリトール、0.061%のn-ブタノール、0.223%のイソブタノール、0.217%のイソプロパノール、0.236%のエタノール、及び0.003%の2-フェニルエチルアルコールの相対比の約0.11g/L/hのキシリトール、約6.8E-05g/L/hのn-ブタノール、約2.5E-04g/L/hのイソブタノール、約2.4E-04g/L/hのイソプロパノール、約2.64E-04g/L/hのエタノール、及び約3.73E-06g/L/hの2-フェニルエチルアルコールであることが決定された。
(表5)
NT=未試験
(実施例IV)
(成長及びH0メチニコビア属種に特異的な代謝物の生産)
本実施例は、近縁種(メチニコビア・プルケリマフラウィア)と比較したとき、H0メチニコビア属種が示差成長し、かつ異なる代謝物を生産することを示している。
H0メチニコビア属種及びメチニコビア・プルケリマフラウィア(FL)の3つの単一コロニーを、それぞれ、5mlの酵母抽出物ペプトンデキストロース(YEPD)培地中に接種し、30℃で一晩成長させた。培養物を100ml YEPDに移し、30℃で4時間成長させた。細胞を収集し、OD600=1.0を有する500mlフラスコ中の200mlの培地中に接種した。4つの異なるタイプの培地: 1)YNBG: 4%グルコースを含む酵母窒素塩基、2)YNBX: 4%キシロースを含む酵母窒素塩基、3)YNBGX: 2%グルコース及び2%キシロースを含む酵母窒素塩基、並びに4) YPDX: 2%デキストロース及び2%キシロースを含むYEPを使用した。培養物を、180rpmで振盪させながら、30℃で成長させた。試料を毎日採取して、OD600により測定される成長及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定される代謝物含有量をモニタリングした。H0メチニコビア属種及びFLによって生産される揮発性化合物をヘッドスペースGC-MSにより測定した。OD600及びHPLCデータは、3つの生物学的複製物の平均である。標準偏差も計算した。GC-MSデータをピーク高さによって大まかに比較した。
試験した全ての培地中でのH0メチニコビア属種とFL株の成長速度に違いが認められた。具体的には、H0は、FLよりも速く成長する(図5A~5D)。例えば、3日目に、FLと比べたH0メチニコビア属種のOD600の比は、YNBG中で1.17(図5A)、YNBX中で1.30(図5B)、YNBGX中で1.26(図5C)、及びYPDX中で1.19(図5D)であった。
グリセロール及びエタノールは、1日目に、YNBG培地、YNBGX培地、及びYPDX培地中で検出された。これらの濃度は、YNBG及びYNBGX培地中では、両株間で同様であった(図6A及び6B)。しかしながら、YPDX培地中では、H0メチニコビア属種は、FLよりも45%多いグリセロールを生産した(905mg/L対624mg/L;図6A)。
H0メチニコビア属種とFLは両方とも、全ての成長培地中でアラビトールを生産した(図7A~7D)。しかしながら、YNBG培地中では、H0メチニコビア属種は、1日目に、FLよりも60mg/L多いアラビトールを生産した(図7A)。最も劇的には、YNBGX培地中で、H0メチニコビア属種は、1日目、2日目、及び3日目に、顕著により多い量のアラビトールを生産し-H0メチニコビア属種は、FLよりも約40mg/L多いアラビトールを生産した(図7C)。YNBX及びYPDX培地中では、アラビトールレベルは、これら2つの種間で同様であった(図7B及び7D)。
H0メチニコビア属種は、最大量のキシリトールを、YNBX培地中では3日目に(1.61g/L)、YNBGX培地中では2日目に(1.43g/L)、及びYPDX培地中では4日目に(21.5g/L)生産したが、FLは、最大のキシリトールを、YNBX中では6日目に(2.33g/L)、YNBGX中では2日目に(0.73g/L)、及びYPDX中では4日目に(21.9g/L)生産した(図8A~8C)。H0メチニコビア属種とFLの間での3日目のキシリトール含有量の比は、YNBX中で4.39、YNBGX中で5.43、及びYPDX中で0.87であった。
それぞれ、YNBG中で1日間、並びにYNBX、YNBGX、及びYPDX中で3日間成長させた後の培地中の揮発性化合物をヘッドスペースGC-MSにより測定した。ピーク高さの比を計算し、FLとH0メチニコビア属種の間で比較した。この解析により、FLがH0よりも多くの揮発性化合物を生産することが示された(図9A~9D)。具体的には、FLは、YNBG培地中でより多くのアセトアルデヒド、酢酸エチル、アセタール、1-(1-エトキシエトキシ)ペンタン、及びフェニルエチルアルコール(図9A); YNBX培地中でより多くの酢酸イソアミル、2-メチル-1-ブタノール、及び3-メチル-1-ブタノール(図9B); YNBGX培地中でより多くの酢酸エチル、エチルプロパノエート、酢酸イソアミル、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、及びフェニルエチルアルコール(図9C)、並びにYPDX培地中でより多くのアセトアルデヒド、イソブタノール、酢酸イソアミル、3-メチル-1-ブタノール、エチルノナノエート、及びフェニルエチルアルコール(図9D)を生産した。
上の結果に基づいて、H0メチニコビア属種とFL種の成長及び分泌された代謝物のプロファイルは、成長速度並びに様々な培地中での成長時のいくつかの代謝産物の含有量及び動態の違いを示している。
(実施例V)
(H0メチニコビア属種特異的遺伝子及びタンパク質の同定)
本実施例は、H0メチニコビア属種に独特である数多くの遺伝子及びタンパク質が同定されたことを示している。
以下のパラメータを用いて、相同性検索を実施した:遺伝子ACT1、ARO8、ARO10、GPD1、PGK1、RPB1、RPB2、TEF1、TPI1 XKS1、TAL1、及びTKL1は、ショットガンコンティグから構成されたH0メチニコビア属種の全ゲノムにおけるGeneious 7.1.9のプログラムtblastnとともに出芽酵母由来の対応するタンパク質配列を用いる相同性検索によって同定された。遺伝子XYL1、XYL2,HXT2.6、QUP2、GXF1、及びGXF2は、ショットガンコンティグから構成されたH0メチニコビア属種の全ゲノムにおけるピキア・スティプティス(Pichia stiptis)のXyl1、Xyl2、Hxt2.6、Qup2、及びSut1タンパク質の相同性検索によって同定された。遺伝子GXS1及びXYT1は、ショットガンコンティグから構成されたH0メチニコビア属種の全ゲノムにおけるカンジダ・インテルメディアのGxs1及びGxf1タンパク質の相同性検索によって同定された。HXT5遺伝子は、ショットガンコンティグから構成されたH0メチニコビア属種の全ゲノムにおけるカンジダ・アルビカンスHxt5タンパク質の相同性検索によって同定された。HGT19遺伝子は、「主要ファシリテーター」という遺伝子オントロジー用語カテゴリーを有するキシロース誘導性タンパク質についてH0メチニコビア属種のトランスクリプトームを検索することにより同定された。
上の実験に基づいて、既知のタンパク質に対応するいくつかの独特なアミノ酸配列を同定した。さらに、既知の遺伝子に対応するいくつかの独特なコード核酸配列を同定した。表6は、そのコード核酸配列の全てが独特であり、かつ対応するタンパク質のいくつかが独特であるH0メチニコビア属種由来の例示的なタンパク質及びコード核酸配列のリストを提供している。
(表6)
上の同定されたアミノ酸及び核酸配列を、メチニコビア・フルクティコラ277(FR)及びメチニコビア・プルケリマフラウィア(FL)におけるその対応するホモログと比較した。表7は、FR及びFL種と比較したとき、H0メチニコビア属種の遺伝子及びタンパク質と同一であるヌクレオチド塩基及びアミノ酸残基のパーセンテージを示している。
(表7)
したがって、H0メチニコビア属種は、以下の遺伝子: ACT1、ARO8、ARO10、GPD1、GXF1、GXF2、GXS1、HXT19、HXT2.6、HXT5、PGK1、QUP2、RPB1、RPB2、TEF1、TPI1、XKS1、XYL1、XYL2、XYT1、TAL1、及びTKL1に対する独特の核酸配列、並びに以下のタンパク質: Aro10、Gxf2、Hgt19、Hxt5、Tef1、Xks1、Xyl1、Tal1、及びTkl1に対する独特のアミノ酸配列を有する。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
好気的な条件下及び30℃で3日間、4%キシロースを含む液体酵母抽出物ペプトン(YEP)培地中で培養したとき、少なくとも0.1g/L/hのキシリトールをキシロースから生産する単離されたメチニコビア種。
(態様2)
好気的な条件下及び30℃で3日間、4%キシロースを含む液体酵母窒素塩基(YNB)培地中で培養したとき、少なくとも1g/Lのキシリトールをキシロースから生産する単離されたメチニコビア種。
(態様3)
好気的な条件下及び30℃で2日間、2%キシロース及び2%グルコースを含む液体酵母窒素塩基(YNB)培地中で培養したとき、少なくとも1g/Lのキシリトールをキシロースから生産する単離されたメチニコビア種。
(態様4)
好気的な条件下で3日間、4%キシロースを含む液体酵母抽出物ペプトン(YEP)培地中で培養したとき、約0.11g/L/hのキシリトール、約6.8E-05g/L/hのn-ブタノール、約2.5E-04g/L/hのイソブタノール、約2.4E-04g/L/hのイソプロパノール、約2.64E-04g/L/hのエタノール、及び約3.73E-06g/L/hの2-フェニルエチルアルコールを生産する単離されたメチニコビア種。
(態様5)
好気的な条件下で3日間、4%キシロースを含む液体酵母抽出物ペプトン(YEP)培地中で培養したとき、化合物のキシリトール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、エタノール、及び2-フェニルエチルアルコールを、約8,000mg/Lのキシリトール、約4.85mg/Lのn-ブタノール、約18.06mg/Lのイソブタノール、約17.5mg/Lのイソプロパノール、約19.7mg/Lのエタノール、及び約0.269mg/Lの2-フェニルエチルアルコールの濃度で生産する単離されたメチニコビア種。
(態様6)
好気的な条件下で3日間、4%キシロースを含む液体酵母抽出物ペプトン(YEP)培地中で培養したとき、化合物のキシリトール、n-ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、エタノール、及び2-フェニルエチルアルコールを、99.26%のキシリトール、0.061%のn-ブタノール、0.223%のイソブタノール、0.217%のイソプロパノール、0.236%のエタノール、及び0.003%の2-フェニルエチルアルコールの相対比で生産する単離されたメチニコビア種。
(態様7)
(1)配列番号1と少なくとも96.8%同一である核酸配列;(2)配列番号2のコンセンサス配列内の核酸配列;又は(3)その中に4以下のヌクレオチド置換を有する配列番号2の残基1~153、178~434、及び453~499を含む核酸配列、並びに配列番号37、40、42、44、49、51、52、55、及び56からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする少なくとも1つの核酸配列:を含むD1/D2ドメイン配列を含む単離されたメチニコビア種。
(態様8)
(1)配列番号1と少なくとも96.8%同一である核酸配列;又は(2)配列番号2のコンセンサス配列内の核酸配列;又は(3)その中に4以下のヌクレオチド置換を有する配列番号2の残基1~153、178~434、及び453~499を含む核酸配列、並びに配列番号57~78からなる群から選択される少なくとも1つのコード核酸配列:を含むD1/D2ドメイン配列を含む単離されたメチニコビア種。
(態様9)
単離されたメチニコビア種であって:(1)配列番号1と少なくとも96.8%同一であるD1/D2ドメイン配列;及び(2)配列番号68のコード核酸配列を含み、ここで、該単離されたメチニコビア種が、2%キシロースを唯一の炭素源として含む酵母抽出物ペプトン(YEP)培地中で培養してから41時間以内に、約25のOD
600
にまで成長する、前記単離されたメチニコビア種。
(態様10)
(1)配列番号2のD1/D2ドメインコンセンサス配列と少なくとも97.1%同一である核酸配列;及び(2)配列番号70のコード核酸配列:を含む、単離されたメチニコビア種。
(態様11)
前記D1/D2ドメイン配列が配列番号1及び3~25からなる群から選択される核酸配列を含む、態様7~10のいずれか一項記載の単離されたメチニコビア種。
(態様12)
前記D1/D2ドメイン配列が、メチニコビア・アンダウエンシス、メチニコビア・クリソペルラエ、メチニコビア・フルクティコラ、メチニコビア・プルケリマ、メチニコビア・シャンキシエンシス、メチニコビア・シネンシス、及びメチニコビア・ジジフィコラからなる群から選択されるメチニコビア種の該D1/D2ドメイン配列を含まない、態様7~11のいずれか一項記載の単離されたメチニコビア種。
(態様13)
ブダペスト条約の条項の下で、2016年11月8日に、国際寄託当局であるカナダ国際寄託当局(International Depositary Authority of Canada)に寄託された、アクセッション番号081116-01に指定された単離されたメチニコビア種。
(態様14)
キシリトールを生産する方法であって、態様1~13のいずれか一項記載の単離されたメチニコビア種を、キシロースからキシリトールを生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することを含む、前記方法。
(態様15)
前記単離されたメチニコビア種が、少なくとも0.1g/L/h、少なくとも0.2g/L/h、少なくとも0.3g/L/h、少なくとも0.4g/L/h、少なくとも0.50g/L/h、少なくとも0.60g/L/h、少なくとも0.70g/L/h、少なくとも0.80g/L/h、少なくとも0.90g/L/h、少なくとも1.00g/L/h、少なくとも1.50g/L/h、少なくとも2.00g/L/h、少なくとも2.50g/L/h、少なくとも3.00g/L/h、少なくとも3.50g/L/h、少なくとも4.00g/L/h、少なくとも5.00g/L/h、少なくとも6.00g/L/h、少なくとも7.00g/L/h、少なくとも8.00g/L/h、少なくとも9.00g/L/h、又は少なくとも10.00g/L/hのキシリトールをキシロースから生産する、態様14記載の方法。
(態様16)
前記条件が、前記単離されたメチニコビア種を、キシロース及びC3炭素源、C4炭素源、C5炭素源、C6炭素源、又はこれらの組合せを含む培地中で培養することを含む、態様14又は15記載の方法。
(態様17)
前記条件が、前記単離されたメチニコビア種を、キシロース並びにセロビオース、ガラクトース、グルコース、エタノール、アセテート、アラビノース、アラビトール、ソルビトール、及びグリセロール、又はこれらの組合せからなる群から選択される共基質を含む培地中で培養することを含む、態様14又は15記載の方法。
(態様18)
前記共基質がグルコースである、態様17記載の方法。
(態様19)
前記培地がグルコースとキシロースとセロビオースの組合せを含む、態様17記載の方法。
(態様20)
前記培地がグルコースとキシロースとガラクトースの組合せを含む、態様17記載の方法。
(態様21)
前記培地がグルコースとキシロースとグリセロールの組合せを含む、態様17記載の方法。
(態様22)
前記培養することが好気的培養条件を含む、態様14~21のいずれか一項記載の方法。
(態様23)
前記培養することが、回分培養、流加培養、又は連続培養を含む、態様14~22のいずれか一項記載の方法。
(態様24)
前記キシリトールを前記培養物中の他の成分から分離することをさらに含む、態様14~23のいずれか一項記載の方法。
(態様25)
前記分離することが、抽出、連続液液抽出、浸透気化、膜濾過、膜分離、逆浸透、電気透析、蒸留、結晶化、遠心分離、抽出濾過、イオン交換クロマトグラフィー、吸収クロマトグラフィー、又は限外濾過を含む、態様24記載の方法。
(態様26)
態様14~25のいずれか一項記載の方法によって生産される生物由来キシリトール。
(態様27)
態様1~13のいずれか一項記載の単離されたメチニコビア種もしくは態様26記載の生物由来キシリトール、又はその両方を含む、組成物。
(態様28)
キシロースを含む培養培地である、態様27記載の組成物。
(態様29)
態様1~13のいずれか一項記載の単離されたメチニコビア種が除去されている培養培地である、態様27記載の組成物。
(態様30)
グリセロール、アラビトール、C7糖アルコール、又はこれらの組合せを、態様14~25のいずれか一項記載の方法からの不純物として含む、態様27記載の組成物。
(態様31)
前記C7糖アルコールがボレミトール又はその異性体である、態様30記載の組成物。
(態様32)
グリセロールもしくはアラビトール、又はその両方の量が、態様1~13のいずれか一項記載の単離されたメチニコビア種以外の微生物によって生産されるそれぞれのグリセロールもしくはアラビトール、又はその両方の量よりも少なくとも10%、20%、30%、又は40%多い、態様30記載の組成物。
(態様33)
キシロースもしくは遺伝子修飾、又はその両方から生物由来化合物を生産することができる代謝経路をさらに含む、ブダペスト条約の条項の下で、2016年11月8日に、国際寄託当局であるカナダ国際寄託当局(International Depositary Authority of Canada)に寄託された、アクセッション番号081116-01に指定された単離されたメチニコビア種。
(態様34)
前記代謝経路が該代謝経路の少なくとも1つの酵素をコードする少なくとも1つ外因性核酸配列を含む、態様33記載の単離されたメチニコビア種。
(態様35)
前記生物由来化合物が、フェニル-エチルアルコール、2-メチル-ブタノール、及び3-メチル-ブタノールからなる群から選択される、態様33又は34記載の単離されたメチニコビア種。
(態様36)
生物由来化合物を生産する方法であって、態様33~35のいずれか一項記載の単離されたメチニコビア種を、該生物由来化合物を生産するための条件下で、かつそれに十分な期間培養することを含む、前記方法。
(態様37)
前記条件が、前記単離されたメチニコビア種を、キシロース及びC3炭素源、C4炭素源、C5炭素源、C6炭素源、又はこれらの組合せを含む培地中で培養することを含む、態様36記載の方法。
(態様38)
前記条件が、前記微生物を、キシロース並びにセロビオース、ガラクトース、グルコース、アラビトール、ソルビトール、及びグリセロール、又はこれらの組合せからなる群から選択される共基質を含む培地中で培養することを含む、態様36記載の方法。
(態様39)
前記共基質がグルコースである、態様37記載の方法。
(態様40)
前記培地がグルコースとキシロースとセロビオースの組合せを含む、態様37記載の方法。
(態様41)
前記培地がグルコースとキシロースとガラクトースの組合せを含む、態様37記載の方法。
(態様42)
前記培地がグルコースとキシロースとグリセロールの組合せを含む、態様37記載の方法。
(態様43)
前記培養することが好気的培養条件を含む、態様36~42のいずれか一項記載の方法。
(態様44)
前記培養することが、回分培養、流加培養、又は連続培養を含む、態様36~43のいずれか一項記載の方法。
(態様45)
前記生物由来化合物を前記培養物中の他の成分から分離することをさらに含む、態様36~44のいずれか一項記載の方法。
(態様46)
前記分離することが、抽出、連続液液抽出、浸透気化、膜濾過、膜分離、逆浸透、電気透析、蒸留、結晶化、遠心分離、抽出濾過、イオン交換クロマトグラフィー、吸収クロマトグラフィー、又は限外濾過を含む、態様45記載の方法。
(態様47)
態様36~46のいずれか一項記載の方法によって生産される生物由来化合物。
(態様48)
態様33~35のいずれか一項記載のメチニコビア種又は態様47記載の生物由来化合物を含む、組成物。
(態様49)
キシロースを含む培養培地である、態様48記載の組成物。
(態様50)
態様33~35のいずれか一項記載のメチニコビア種が除去されている培養培地である、態様48記載の組成物。
(態様51)
グリセロール、アラビトール、C7糖アルコール、又はこれらの組合せを、態様36~46のいずれか一項記載の方法からの不純物として含む、態様48記載の組成物。
(態様52)
前記C7糖アルコールがボレミトール又はその異性体である、態様51記載の組成物。
(態様53)
グリセロールもしくはアラビトール、又はその両方の量が、態様33~35のいずれか一項記載の単離されたメチニコビア種以外の微生物によって生産されるそれぞれのグリセロールもしくはアラビトール、又はその両方の量よりも少なくとも10%、20%、30%、又は40%多い、態様51記載の組成物。
(態様54)
配列番号37、40、42、44、49、51、52、55、及び56からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
(態様55)
配列番号57~78からなる群から選択される核酸配列を含む単離された核酸。
(態様56)
態様55記載の単離された核酸配列を含むベクター。
(態様57)
態様56記載のベクターを含む宿主細胞。