本開示の一態様に係る表示システムは、移動体に搭載される表示部と、第1モードにて前記表示部が出射した画像光によって示される表示像を虚像表示するための凹面鏡と、第2モードにて前記移動体に入射する後方像を反射するための平面鏡とを備え、前記移動体を上面視した場合、前記表示部の中心と前記凹面鏡の中心とを結ぶ直線が、前記移動体の前後方向に対して、所定の角度を有するように前記表示部及び前記凹面鏡が配置され、前記第1モードの機能時における前記凹面鏡の凹鏡面の中心での法線方向と、前記第2モードの機能時における前記平面鏡の平鏡面の法線方向とは、互いに非平行である。
これによれば、表示部と凹面鏡とを結ぶ直線が移動体の前後方向と一致しないように、所定の角度だけ移動体前後方向に対して凹面鏡の姿勢を傾けることになる。したがって、後続車のヘッドライト等の外光が凹面鏡に入射しても、運転者の目の方向への反射を抑制できるので、外光が凹面鏡で反射して運転者の視界に入る可能性を抑制することができる。
さらに、第1モードにおける凹鏡面の中心での法線方向と、第2モードにおける平鏡面の法線方向とが非平行となる。このため、例えば凹鏡面に画像光が入射して反射する反射方向と、平鏡面に光が入射して反射する反射方向とが運転者に至るように、凹面鏡及び平面鏡を配置することができる。このため、第1モードと第2モードとの間でモードを切り替えたときに、凹面鏡及び平面鏡の水平方向における位置調節量を小さくすることができる。
したがって、外光が運転者に向けて反射されてしまうことを抑制することができ、かつ、容易に凹面鏡と平面鏡との切り替えを行うことができる。特に、この表示システムでは、画像光と外部からの光とによる表示態様を容易に調節することができる。
また、本開示の他の態様に係る表示システムにおいて、前記所定の角度は、前記移動体を上面視した場合、前記凹面鏡を視認する前記移動体の乗員(運転者)の目と目の間隔と、目と目の間の中点と前記凹面鏡の中心とを結ぶ直線の長さとに基づいて得られる、当該直線に対する前記凹面鏡の中心と目とを結ぶ直線で示される角度である下限角度から、前記凹面鏡の中心を通る前記移動体の進行方向に対する左右方向の直線に対する、前記凹面鏡の中心を通る前記移動体の前後方向の直線で示される角度である上限角度までの、間の角度である。
これによれば、上記所定の角度の範囲で、表示部と凹面鏡とを結ぶ直線を移動体の前後方向に対して傾けることで、外光が運転者の目の方向から逸れた方向に反射するため、外光が凹面鏡で反射して運転者の視界に入る可能性をさらに抑制することができる。
また、本開示の他の態様に係る表示システムにおいて、前記表示部の中心における接線と、前記凹面鏡の中心における接線とは、互いに平行である。
これによれば、表示部と凹面鏡とを結ぶ直線を移動体の前後方向に対し傾ける姿勢で表示部を配置しても、表示部と凹面鏡との間の光路長が略等しくなるので、凹面鏡に映る映像であって運転者が見ることができる映像の歪みを抑制することができる。
また、本開示の一態様に係る表示システムにおいて、前記表示部は、前記移動体の前後方向と平行な前記凹面鏡の中心を通過する直線よりも前記移動体の運転者側に配置される。
これによれば、表示部と凹面鏡、及び、表示部と運転者を結ぶそれぞれの直線間の角度が小さくなるので、全体的に光路長の差が抑制され、画像歪を低減することができる。
また、本開示の他の態様に係る表示システムにおいて、前記凹面鏡及び前記平面鏡は、第1筐体に収容され、前記第1筐体は、前記凹面鏡及び前記平面鏡を内部で回転させる回転軸を有する。
これによれば、回転軸を回転させることで、凹面鏡及び平面鏡を回転させることができる。このため、回転軸を回転させるだけで、第1モードと第2モードとを容易に切り替えることができる。また、凹鏡面に画像光が入射して反射する反射方向と、平鏡面に光が入射して反射する反射方向とが運転者に至るように、凹鏡面及び平面鏡を配置しておけば、いずれへの切り替えにおいても、回転軸の回転量を同量回転させるだけで、凹鏡面による画像光と平鏡面による光とを運転者に照射させることができる。
また、本開示の他の態様に係る表示システムは、前記凹面鏡及び前記平面鏡を有する光学体を備え、前記平面鏡は、前記凹面鏡に対して反対側で、前記平鏡面が外側に面するように配置され、前記光学体は、前記移動体の上下方向から見て楔状である。
これによれば、平面鏡と凹面鏡とを表裏一体に配置することができるとともに、平面鏡の姿勢に対して凹面鏡の姿勢を、水平面に沿って移動体の前後方向に傾けることができる。このため、第1モードと第2モードとを切り替えたときに、表示システムの水平方向における位置調節量を小さくすることができる。
また、本開示の他の態様に係る表示システムにおいて、前記移動体の進行方向に対する左右方向の運転者に近い側の前記光学体の端部における前記平面鏡と前記凹面鏡との間隔は、前記移動体の進行方向に対する左右方向の運転者に遠い側の端部における前記平面鏡と前記凹面鏡との間隔よりも小さい。
これによれば、光学体を運転者に対して斜め前側に配置する場合、運転者側の光学体の端部の間隔を反対側の光学体の間隔よりも小さくすれば、第1筐体の運転者側の長さを、第1筐体の運転者から遠い側の長さよりも小さくすることができる。このため、表示システムを配置する移動体のコンソールの領域を有効に活用することができる。
また、本開示の他の態様に係る表示システムにおいて、前記平面鏡は、前記凹面鏡に対して反対側に面するように配置され、前記凹面鏡及び前記平面鏡は、前記凹鏡面の中心での法線方向と、前記平鏡面の法線方向とが平行であり、前記平面鏡の平鏡面と前記回転軸の軸方向とが非平行となる。
これによれば、凹鏡面の中心での法線方向と平鏡面の法線方向とが平行であれば、光学体を製造し易くなるため、光学体の製造コストが高騰化し難くなる。また、平面鏡の平鏡面と回転軸の軸方向とを非平行にするだけで、第1モードの機能時の凹鏡面の中心での法線方向と、第2モードの機能時における平鏡面の法線方向とを、容易に非平行にすることができる。このため、表示システムの水平方向における位置調節量を小さくすることができる。
また、本開示の他の態様に係る表示システムにおいて、前記凹面鏡及び前記平面鏡を有する光学体を備え、前記平面鏡は、前記凹面鏡に対して反対側に面するように配置され、前記凹面鏡及び前記平面鏡は、前記移動体の進行方向に対する左右方向から見て楔状である。
これによれば、平面鏡と凹面鏡とを表裏一体に配置することができるとともに、平面鏡の姿勢に対して凹面鏡の姿勢を、平鏡面の鉛直面に沿って移動体の前後方向に傾けることができる。このため、第1モードと第2モードとを切り替えたときに、表示システムの水平方向における位置調節量を小さくすることができる。
また、本開示の他の態様に係る表示システムにおいて、前記平面鏡と前記凹面鏡とは、第2筐体に収容され、前記移動体の上下方向から見て、前記凹面鏡と運転者との間に前記平面鏡が配置される。
これによれば、平面鏡を運転者側に配置し、凹面鏡を平面鏡よりも奥側に配置することができる。このため、光が平面鏡の平鏡面の全域に入射することができるため、第2筐体によって平鏡面に影ができ難い。
また、本開示の他の態様に係る表示システムにおいて、前記平面鏡は、前記第2筐体に固定され、光の透過率を可変させる。
これによれば、平面鏡の光の透過率を可変することができるため、例えば、夜間に後続移動体のヘッドライト等の眩しい光が入射した場合でも、運転者が感じる眩しさを抑制することができる。
また、本開示の他の態様に係る表示システムにおいて、前記第2モード時における前記平鏡面の法線方向は、前記第1モード時における前記凹面鏡が反射する光の光軸方向よりも10°以上傾く。
これによれば、平鏡面の法線方向を凹鏡面が反射する光の光軸方向よりも10°以上傾かせることができる。このため、移動体の後方に存在する対象物(後方像)の映り込みを抑制することができる。
また、本開示の他の態様に係る表示システムにおいて、前記平面鏡は、可動式であり、前記第1モード時に前記第2筐体に収容される。
これによれば、平面鏡を可動させることができるため、第2モードと第1モードとを容易に切り替えることができる。
また、本開示の他の態様に係る表示システムにおいて、前記平面鏡は、フレネル反射面を有する。
これによれば、平面鏡が移動体の後方から入射する光を配光制御して反射することができる。このため、単一面である平鏡面の中心における平鏡面の規定方向の接線と、凹鏡面の中心における凹鏡面の規定方向の接線とが非平行になるように配置される構成に比べて、表示システムの大型化を抑制することができる。
また、本開示の他の態様に係る表示システムにおいて、前記平面鏡は、前記凹鏡面に対する姿勢を調節する姿勢調節部を有する。
これによれば、凹面鏡に対する平面鏡の姿勢を任意に調節することができるため、第2モードと第1モードとを切り替えた場合に、表示システムの調整自由度を増すことができる。
以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略平行等の表現を用いている。例えば、略平行は、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。具体的には、「平行」とは、対象である2つの直線のなす角度(鋭角)が0度以上10度以下であることを言う。なお、「平行」とは、対象である2つの直線のなす角度(鋭角)が0度以上5度以下であることを言うことが、より好ましい。また、略平行は、本開示による効果を奏し得る範囲において平行という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
以下、本開示の表示システムについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
(実施の形態1)
<構成:表示システム1>
図1Aは、実施の形態1に係る表示システム1を示し、画像光をルームミラー10に入射させて反射させる様子を例示した概略説明図である。図1Bは、実施の形態1に係る表示システム1を示し、移動体後方からの光をルームミラー10に入射させて反射させる様子を例示した概略説明図である。
図1A及び図1Bに示すように、表示システム1は、移動体に搭載され、例えば、移動体本体の天井部分4、天井部分4側のウィンドシールド3等に配置される。表示システム1は、移動体から得られる電力により駆動する。移動体は、自動車等の車両、船舶、航空機等である。本実施の形態では、移動体として自動車を用いて説明する。
表示システム1は、運転者が移動体後方又は周囲に存在する対象物を運転者が見ることができるように構成される。表示システム1は、例えば、移動体に搭載される撮像部31(後述)が撮影した移動体後方に存在する対象物の画像として、表示像を表示する。また、表示システム1は、移動体後方から入射した光によって移動体後方に存在する後方像を映す。つまり、表示システム1は、後方視野ミラーとしても機能する。
表示システム1は、複数の動作モードを有する。複数の動作モードのうちの、第1モードは、表示デバイス20の表示面21aから出射した画像光が、後述する光学体12に投影されることで、投影された画像光によって示される表示像を虚像表示するモードである。複数の動作モードのうちの、第2モードは、移動体後方から入射した光を反射することで、移動体後方の対象物である後方像を、映し出すモードである。
図2は、実施の形態1に係る表示システム1を例示したブロック図である。
図1A、図1B及び図2に示すように、表示システム1は、撮像部31と、表示デバイス20と、ルームミラー10と、入力操作部32とを備える。
[撮像部31]
撮像部31は、移動体の周囲、特に移動体後方を撮像するように移動体に搭載される。撮像部31は、移動体後方を撮像した画像の画像データを表示デバイス20に出力する。撮像部31は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであり、移動体後方を撮影する。また、撮像部31は、CMOSイメージセンサに限らず、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等のイメージセンサでもよい。
[表示デバイス20]
表示デバイス20は、撮像部31によって撮影される画像をルームミラー10に照射可能な姿勢であり、表示面21aを下方に向けた状態で、移動体本体の天井部分4に配置される。移動体を上下方向に見た場合に、表示デバイス20は、移動体前後方向に対して、少なくとも光学体12よりも運転者側に配置される。表示デバイス20は、例えばオーバーヘッドコンソール等に設けられる。表示デバイス20は、画像を形成する画像光を出射する。表示デバイス20は、表示部の一例である。
表示デバイス20は、表示制御部22と、光源部23と、液晶パネル24(LCD:Liquid Crystal Display)とを備える。
表示制御部22は、表示デバイス20による画像の表示状態を制御する。表示制御部22は、移動体の車内ネットワークを介して撮像部31と通信可能に接続され、撮像部31から撮像画像の画像データを取得する。表示制御部22は、撮像部31から取得される画像データに基づく画像を液晶パネル24に表示させる、つまり表示デバイス20の表示面21aに表示させる。
また、表示制御部22は、第2モードが実行された場合(後述する、光学体12が第2姿勢になった場合)、光源部23から出射する画像光を停止させる。つまり、表示制御部22は、第1モードと第2モードとの切り替え状態に応じて、光源部23から出射させる画像光のオンオフを制御する。
光源部23は、液晶パネル24のバックライトとして用いられる発光モジュールである。光源部23は、発光ダイオード又はレーザダイオード等の固体発光素子を用いた、サイドライト方式の光源部であり、液晶パネル24の上方に配置される。光源部23が出射した光は、液晶パネル24を透過して表示デバイス20の表示面21aから出射されることで、表示デバイス20の表示面21aから出射される画像光となる。
液晶パネル24は、光源部23の下方に配置される液晶表示素子である。例えば、液晶パネル24は、光透過型又は光半透過型のTFT液晶(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)等である。液晶パネル24では、裏面側の光源部23から光が照射されることで、透過した光によって、光学部材25と対向する側の面である表示面21aが発光する。液晶パネル24は、表示制御部22からの制御指示に応じて数字、文字及び図形等を含む画像を示す画像光を、液晶パネル24から出射させる。
また、表示デバイス20は、撮像部31によって撮影された画像を表示面21aに表示し、表示面21aから画像を示す画像光を出射する。表示面21aから出射した画像光は、光学部材25で反射された後に、ルームミラー10に入射することで、ルームミラー10で反射されて運転者の目に入射する。つまり、運転者は、表示デバイス20の表示面21aに表示された画像に基づいて、ルームミラー10に照射された画像光によって示される表示像を視認することができる。
[ルームミラー10]
ルームミラー10は、例えば移動体の後方視野ミラーであり、移動体後方を視認するために、天井部分4側のウィンドシールド3に配置され、前部座席に着座する運転者の視界に入る位置に取り付けられる。ルームミラー10は、装着ブラケット19を介して移動体のウィンドシールド3に取り付けられる。運転者がルームミラー10を好ましい位置及び角度で調節できるように、ルームミラー10は、第1筐体11と装着ブラケット19との間にヒンジを有する。なお、ルームミラー10は、オーバーヘッドコンソール等に設けられてもよく、ウィンドシールド3に限定されない。
ルームミラー10には、光学体12が内蔵されている。詳細は後述するが、光学体12は、支持体12aと、凹面鏡12bと、平面鏡12cと、回転軸12dとを有している。凹面鏡12bと平面鏡12cは支持体12aに支持されている。そして、ルームミラー10は、回転軸12dにより支持体12aが回転することで、図1Aに示すように、凹面鏡12bを運転者側に向けたり、図1Bに示すように、平面鏡12cを運転者側に向けたりして、凹面鏡12bと平面鏡12cとを切り替えることができる構成を備える。
以下、光学体12及び運転者に対する表示デバイスの位置関係について図3A~図3D、及び図4A~図4Dにより説明する。図3Aは、従来の表示システムにおける光学体及び運転者に対する表示デバイスの位置を示す模式図である。図3Bは、実施の形態1に係る表示システム1を搭載した移動体を上面視した場合、表示デバイス20を右方向にずらした際の光学体12及び運転者に対する表示デバイス20の位置を示す模式図である。図3Cは、実施の形態1に係る表示システム1を搭載した移動体を上面視した場合、表示デバイス20を右方向にずらした際の光学体12及び運転者に対する表示デバイス20の位置を示す別の模式図である。図3Dは、実施の形態1に係る表示システム1を搭載した移動体を上面視した場合、表示デバイス20を右方向にずらした際の光学体12及び運転者に対する表示デバイス20の位置を示すさらに別の模式図である。図4Aは、従来の表示システムにおける光学体及び運転者に対する表示デバイスの位置を示す模式図である。図4Bは、実施の形態1に係る表示システム1を搭載した移動体を上面視した場合、表示デバイス20を左方向にずらした際の光学体12及び運転者に対する表示デバイス20の位置を示す模式図である。図4Cは、実施の形態1に係る表示システム1を搭載した移動体を上面視した場合、表示デバイス20を左方向にずらした際の光学体12及び運転者に対する表示デバイス20の位置を示す別の模式図である。図4Dは、実施の形態1に係る表示システム1を搭載した移動体を上面視した場合、表示デバイス20を左方向にずらした際の光学体12及び運転者に対する表示デバイス20の位置を示すさらに別の模式図である。
まず、図3A~図3Dを用いて、移動体を上面視した場合、従来の図3Aの表示デバイスに対して、表示デバイス20を右方向、つまり運転者側にずらしていった場合について説明する。図3A~図3Dは、いずれも移動体を上面視した場合を例示している。これらの図において、実線は、表示デバイス20から運転者までの光路を示している。また、破線は、後続車のヘッドライトなどの移動体のリアウインドウから入射する外光の光路を示している。また、一点鎖線は、凹面鏡12bの中心から運転者の左目までを結ぶ直線であり、各図において固定された直線である。
まず、図3Aは従来の表示システムの光学体及び運転者に対する表示デバイスの位置を示す。ここで、図3Aに示される角度の定義を行う。これは、図3Aだけでなく他の図(図3B~図3D、図4A~図4D)においても同様である。図3Aにおいて、運転者の顔の中心と凹面鏡の中心とを結ぶ直線と、運転者の左目と凹面鏡の中心とを結ぶ直線とがなす角度(鋭角)を角度γと定義する。また、表示デバイス20の中心と凹面鏡12bの中心とを結ぶ直線と、車両前後方向と平行な直線とがなす角度(鋭角)を角度δと定義する。図3Aでは、角度γは、運転者の左右の目の中点(目と目の間の中点)と凹面鏡の中心とを結ぶ直線の長さをL、運転者の左右の目の間隔(目と目の間隔)の半分をXとすると、γ=arctan(X/L)で求められる。この角度γは、図3Aだけでなく他の図(図3B~図3D、図4A~図4D)においても一定であるとする。具体例として、人体の平均的な目の間隔(=2X)を65mm、Lを500mmとすると、角度γは約4度となる。一方、角度δは、図3Aでは0度とする。なお、2X及びLの値によっては、角度γが変化する場合があり、例えば、角度γは約1.8度であってもよい。
なお、以下に説明する本実施の形態の構成である図3B~図3D、および、図4B~図4Dにおいては、表示デバイス20の中心における接線と、凹面鏡12bの中心における接線とは、互いに平行である。なお、表示デバイス20の中心における接線とは、表示デバイス20の表示面21a(後述する)の中心における接線を意味し、凹面鏡12bの中心における接線とは、凹面鏡12bの凹鏡面12b1(後述する)の中心における接線を意味する。これにより、本実施の形態では、表示デバイス20と凹面鏡12bとを結ぶ直線が移動体の前後方向に対して傾くように表示デバイス20を配置しても、表示デバイス20と凹面鏡12bとの間の距離が場所によらず略一定、つまり光路長が略等しくなる状態が保たれるため、運転者が見ることができる凹面鏡12bに映った映像の歪みを抑制することができる。
図3Aの構成(従来の構成)では、移動体を上面視した場合、表示デバイスからの光が光学体の凹面鏡にて反射して運転者に向かう光路(実線)と、車両後部からの外光(破線)が凹面鏡で反射して運転者に向かう光路は、一致する。したがって、外光が凹面鏡に入射すると、運転者に至ることがあるため、凹面鏡で反射した外光が運転者の目に入る可能性がある。
次に、図3Bに示すように、移動体を上面視した場合、表示デバイス20を右方向(運転者側)へ少しずらした構成を考える。これにより、表示デバイス20の光が運転者に視認できるように、凹面鏡12bの位置も反時計回りに回転させることになる。このとき、角度δと角度γとがδ<γの条件を満たすように、僅かに右方向へ表示デバイス20の位置がずらされた場合を例示する。例えば、角度δは2度とする。この際の後方からの外光は、破線で示すように、凹面鏡12bで反射した後、図3Aに比べ、運転者の顔の中心と凹面鏡12bの中心とを結ぶ直線よりも角度δだけずれて運転者の右目側に至ることがある。しかし、凹面鏡12bで反射した外光は、運転者の目と目の間隔である2Xの幅(図3Bの両矢印の幅又は範囲)に照射されるため、運転者が少し動いただけで、反射した外光が運転者の目に入る可能性が依然として残る。
つまり、角度δをさらに増やしてゆくと、図3Bで示した外光の反射光路が反時計回りに右方向へ移動(回転)する。そして、δ=γになると、外光がちょうど運転者の右目に至ることになる。したがって、δ≦γの範囲では、外光の反射光路が運転者の左右の目の間のどこかに至ることになる。したがって、運転者が僅かに動いただけで外光の反射光が目に至る可能性があることになる。換言すると、δ>γの範囲になると、外光の反射光路が運転者の左右の目の間から遠ざかる方向になるため、外光が運転者の目に至る可能性が抑制される。
そこで、図3Cに示すように、移動体を上面視した場合、表示デバイス20を右方向(運転者側)へさらにずらした構成を考える。具体的には、角度δと角度γとがδ>γの条件を満たすように表示デバイス20の位置をずらす。これに応じて、表示デバイス20の光が運転者に視認できるように、凹面鏡12bの位置も反時計回りに回転させる。ここでは、δ>γを満たすために、角度δを45度とした例を示す。この際の後方からの外光は、破線で示すように、凹面鏡12bで反射した後、移動体の右方向に至る。したがって、外光が運転者の目に至る可能性はほとんどなくなる。
なお、図3Cの配置では、凹面鏡12bと表示デバイス20とが運転者と正対する方向となる。すなわち、運転者の座席中心から移動体の中心までの水平方向の距離を350mmとすると、上記したようにL=500mmであるので、運転者と凹面鏡12bの中心とを結ぶ直線と、車両前後方向の直線とのなす角度(鋭角)は、arcsin(350/500)=約45度となり、角度δと略一致する。ゆえに、凹面鏡12bと表示デバイス20とが、運転者と正対することとなる。
この構成では、表示デバイス20の中心における接線と、凹面鏡12bの中心における接線とは、互いに平行になるように配置されている。このため、表示デバイス20が出射した光(画像光)は、凹面鏡12bに略垂直に反射して運転者に至る。したがって、画像光の光路長が場所によらず略一定となる。このため、画像歪が図3A~図3D、図4A~図4Dで示される他の構成に比べ、最も少なくなる。
次に、図3Dに示すように、移動体を上面視した場合、図3Cに比べ表示デバイス20を右方向(運転者側)へさらにずらした構成を考える。具体的には、角度δと角度γとがδ>>γとなるように表示デバイス20の位置をずらす。これに応じて、表示デバイス20の光が運転者に視認できるように、凹面鏡12bの位置も反時計回りにさらに回転させる。その結果、後方からの外光は、凹面鏡12bで反射して、車両前方側へ反射する。したがって、外光が運転者の目に至る可能性はほぼなくなる。
なお、δ>γを満たす角度として、角度δをさらに増加させた場合、角度δが90度になると、表示デバイス20の中心と凹面鏡12bの中心とを結ぶ直線が、移動体の左右方向と平行になる。したがって、角度δが実質的に90度を超えると、表示デバイス20が凹面鏡12bより移動体の前方に配置されることになる。しかし、図1Aに示すように、凹面鏡12bを有するルームミラー10は、ウィンドシールド3に配置されているので、角度δが実質的に90度を超える配置は、表示デバイス20がウィンドシールド3よりも前方に配置されることになり、実質的に困難となる。
以上をまとめると、次のようになる。表示デバイス20の中心と凹面鏡12bの中心とを結ぶ直線は、移動体を上面視した場合、移動体の前後方向に対して、所定の角度δを有して配置されている。そして、その所定の角度δは、移動体を上面視した場合、凹面鏡12bを視認する移動体の乗員の目の間隔(2X)と、左右の目のそれぞれの中点と凹面鏡12bの中心とを結ぶ直線の長さ(L)に基づいて得られる、凹面鏡12bの中心における下限角度γと、凹面鏡12bの中心を通る移動体の進行方向に対する左右方向の直線と、凹面鏡12bの中心を通る移動体の前後方向の直線により得られる上限角度との間の角度である。そして、所定の角度δの具体例としては、4度<δ<90度となる。
なお、凹面鏡12bの姿勢、形状及び大きさ、表示デバイス20の姿勢、形状及び大きさ等によって、角度δが90度をわずかに超えても、表示デバイス20がウィンドシールド3よりも前方に配置されない場合があるため、角度δが90度未満となることに限定されない。なお、本実施の形態では、角度δが90度以上になると、表示デバイス20が凹面鏡12bより移動体の前方に配置される場合を例示しているため、角度δが90度未満となる場合を例示している。
なお、γが約1.8度の場合、所定の角度δの具体例としては、1.8度<δ<90度としてもよい。
なお、角度δの下限角度γについて、上記した実施の形態1では、目の間隔に基づいて求めているが、望ましくは、アイボックスの範囲から凹面鏡12bで反射した外光が外れるようにすればよい。この場合、例えばアイボックスの幅を目の間隔の2倍(=4X)とすると、角度γは約8度となる。さらに、上限角度については、図3Cで説明したように、角度δが45度(=δ1)の時に画像歪が最小になり、それより角度δが増えると、画像歪が増加する。このことから、上限角度は、角度δ1が望ましい。さらに、角度δが大きくなるほど、凹面鏡12bと平面鏡12cとを支持する支持体12aのサイズも大型化してしまう。これらのことから、所定の角度δの望ましい範囲は、8度<δ≦δ1(45度)となる。
次に、同様にして、図4A~図4Dを用いて、移動体を上面視した場合、従来の図4Aの表示デバイスに対して、表示デバイス20を左方向、つまり運転者側から遠ざかる方向にずらしていった場合について説明する。図4A~図4Dは、いずれも移動体を上面視した場合を例示している。また、各図の実線、破線、一点鎖線の意味は図3A~図3Dと同じである。さらに角度γ、角度δの定義も図3A~図3Dと同様である。したがって、図4B~図4Dにおいても、角度γは、約4度となる。
まず、図4Aの構成は、角度δ=0度の場合であるため、図3Aと同じ従来の構成である。したがって、図3Aの説明で述べたように、凹面鏡12bで反射した外光が運転者の目に入る可能性がある。
次に、図4Bに示すように、移動体を上面視した場合、表示デバイス20を左方向(運転者側から遠ざかる方向)へ少しずらした構成を考える。これにより、表示デバイス20の光が運転者に視認できるように、凹面鏡12bの位置も時計回りに回転させることになる。このとき、角度δと角度γとがδ<γの条件を満たすように、僅かに左方向へ表示デバイス20の位置がずらされた場合を例示する。例えば、角度δは2度とする。この際の後方からの外光は、破線で示すように、凹面鏡12bで反射した後、図4Aに比べ、運転者の顔の中心と凹面鏡の中心とを結ぶ直線よりも角度δだけずれて運転者の左目側に至ることがある。しかし、凹面鏡12bで反射した外光は、運転者の目と目の間隔である2Xの幅(図4Bの両矢印の幅又は範囲)に照射されるため、運転者が少し動いただけで、反射した外光が運転者の目に入る可能性が依然として残る。
つまり、角度δをさらに増やしてゆくと、図4Bで示した外光の反射光路が時計回りに左方向へ移動(回転)する。そして、δ=γになると、外光がちょうど運転者の左目に至ることになる。したがって、δ≦γの範囲では、外光の反射光路が運転者の左右の目の間のどこかに至ることになる。したがって、運転者が僅かに動いただけで外光の反射光が目に至る可能性があることになる。換言すると、δ>γの範囲になると、外光の反射光路が運転者の左右の目の間から遠ざかる方向になるため、外光が運転者の目に至る可能性が抑制される。
そこで、図4Cに示すように、移動体を上面視した場合、表示デバイス20を左方向(運転者側から遠ざかる方向)へさらにずらした構成を考える。具体的には、角度δと角度γとがδ>γの条件を満たすように表示デバイス20の位置をずらす。これに応じて、表示デバイス20の光が運転者に視認できるように、凹面鏡12bの位置も時計回りに回転させる。ここでは、δ>γを満たすために、角度δを45度(=δ1)とした例を示す。この際、後方からの外光は、破線で示すように、凹面鏡12bに対して垂直方向に入射するので、反射した後は、移動体の後方に至る。したがって、外光が運転者の目に至る可能性はほとんどなくなる。
次に、図4Dに示すように、移動体を上面視した場合、図4Cに比べ表示デバイス20とを左方向(運転者側から遠ざかる方向)へさらにずらした構成を考える。具体的には、角度δと角度γがδ>>γとなるように表示デバイス20の位置をずらす。これに応じて、表示デバイス20の光が運転者に視認できるように、凹面鏡12bの位置も時計回りにさらに回転させる。その結果、後方からの外光は、凹面鏡12bで反射して、車両の後方左半分側へ反射する。したがって、外光が運転者の目に至る可能性はほぼなくなる。
なお、δ>γを満たす角度として、角度δをさらに増加させた場合は、角度δが90度以上になると、図3Dで説明したように、表示デバイス20がウィンドシールド3よりも前方に配置されることになり、実質的には配置できない。
以上より、図3B~図3Dの場合と同様に、図4B~図4Dの構成においても、所定の角度δの具体例としては、4度<δ<90度となる。また、図3B~図3Dの場合と同様、アイボックスの観点、支持体12aのサイズの観点、さらに図4Dの構成(δ>δ1=45度)では、外光の反射光が助手席側に向かい、助手席乗員の目に外光の反射光が至る可能性があることから、図4B~図4Dの構成においても、所定の角度δの望ましい範囲は8度<δ≦δ1(45度)となる。
上記より、光学体12及び運転者に対する表示デバイス20の位置関係について説明したが、以下の説明においては、望ましい所定の角度δ(8度<δ≦δ1(45度))を満たす構成、例えば図3Cの構成であることを前提に述べる。
ルームミラー10は、光学体12、及び、後述する透光カバー16の姿勢を調節することによって、複数の動作モードを実行することができる。
図5Aは、実施の形態1に係る表示システム1を示し、左方からルームミラー10を見た場合に、第1モードとして光学体12を第1状態にして、画像光をルームミラー10に入射させて反射させる様子を例示した断面図である。なお、図5Aでは、便宜上、運転者の目だけを例示する。また、図5B以降の図においても同様である。図5Bは、実施の形態1に係る表示システム1を示し、左方からルームミラー10を見た場合に、第2モードとして光学体12を第2状態にして、移動体後方の光をルームミラー10に入射させて反射させる様子を例示した断面図である。
図6Aは、実施の形態1に係る表示システム1を示し、上方からルームミラー10を見た場合に、第1モードとして光学体12を第1状態にして、画像光を光学体12に入射させて反射させる様子を例示した断面図である。図6Bは、実施の形態1に係る表示システム1を示し、上方からルームミラー10を見た場合に、第2モードとして光学体12を第2状態にして、移動体後方の光を光学体12に入射させて反射させる様子を例示した断面図である。
図1A~図6Bに示すように、ルームミラー10は、第1筐体11と、光学体12と、透光カバー16と、駆動制御部17と、駆動部18とを備える。
図5A~図6Bに示すように、第1筐体11は、例えば合成樹脂の成型品等で構成される収容体である。第1筐体11は、内部に収容空間11aを形成し、移動体が車両である場合、運転者側が開口した左右方向に長尺な直方体状に形成される。第1筐体11は、移動体の進行方向に対する左右方向における寸法が、上下方向における寸法及び前後方向における寸法よりもそれぞれ大きくなるように形成される。第1筐体11は、光学体12と透光カバー16とを収容空間11aに収容する。
第1筐体11は、光学体12を内部で回転可能に保持する。第1筐体11は、光学体12を収容空間11aに収容した状態で、光学体12を収容空間11a内で回転可能に保持する。具体的には、第1筐体11の左右方向の両側の側壁は、光学体12を軸心O周りで回転可能に保持する。
また、第1筐体11は、光学体12よりも運転者側、つまり、開口11b側に配置される透光カバー16を保持している。具体的には、第1筐体11は、透光カバー16を収容空間11aに収容した状態で、収容空間11a内での光学体12の回転を阻害しない位置に透光カバー16を保持している。
図7は、実施の形態1に係る表示システム1の光学体12を例示した斜視図である。
図7に示すように、光学体12は、支持体12aと、凹面鏡12bと、平面鏡12cと、回転軸12dとを有する。
支持体12aは、凹面鏡12bを支持する一方面12a1と、平面鏡12cを支持する一方面12a1と反対側の他方面12a2とを有する。支持体12aの一方面12a1は他方面12a2に対して傾斜し、支持体12aを上下方向に見た場合に、支持体12aは、楔状である。本実施の形態では、支持体12aは、左右方向に長尺の平板状であり、左右方向における一方端縁の厚みが、他方端縁の厚みよりも薄い。本実施の形態では、移動体の進行方向に対する左右方向における、光学体12の右側端部の厚み(図7の長さD1、D2)は、左側端部の厚み(図7の長さD3、D4)よりも小さい。
支持体12aは、移動体の前後方向に見て凹面鏡12bと平面鏡12cとが重なるように、凹面鏡12b及び平面鏡12cを支持する。言い換えれば、支持体12aは、凹面鏡12bと平面鏡12cとが表裏一体となるように、凹面鏡12bと平面鏡12cとで挟まれる。具体的には、支持体12aは、凹鏡面12b1の中心での法線方向H1と直行する平面に対して平鏡面12c1が傾斜するように、凹面鏡12bを一方面12a1に固定し、かつ、平面鏡12cを他方面12a2に固定する。言い換えれば、支持体12aは、凹面鏡12bの左右方向が平面鏡12cに対して傾斜するように、平面鏡12c及び凹面鏡12bを支持する。
支持体12aは、図6A、図6B及び図7に示すように、凹面鏡12b及び平面鏡12cを支持した状態で、第1筐体11の左右方向の両側の側壁に支持される回転軸12dを有する。回転軸12dは、一対の円柱状の突起であり、左右方向の両側の側壁に対して回動可能に支持される。
回転軸12dには、図2の駆動部18によって自動的に回動制御される歯車機構が接続される。図2の駆動部18が歯車機構を駆動制御することによって、回転軸12dが軸心O周りで回動するため、光学体12が回動する。
凹面鏡12bには、表示デバイス20の表示面21aから出射した画像光が直接的又は間接的に入射し、入射した画像光を反射するための凹鏡面12b1が形成されている。凹面鏡12bが第1筐体11の開口11b側に面している場合(第1モード)、つまり運転者側に向いている場合、凹鏡面12b1は、表示デバイス20の表示面21aから出射した画像光を運転者に向けて反射する。凹鏡面12b1は、第1モードにて表示デバイス20が出射した画像光によって示される表示像を虚像表示する。直接的に入射とは、表示面21aから出射した画像光が図1Aの光学部材25を介さずに凹鏡面12b1に直接入射することであり、間接的に入射とは、表示面21aから出射した画像光が図1Aの光学部材25を介して凹鏡面12b1に入射することである。図1Aの光学部材25は、光を反射する鏡等の光反射部材、光を案内する導光部材等である。
凹面鏡12bは、凹鏡面12b1が支持体12aの反対側を向くように、支持体12aと重なるように配置され、支持体12aの一方面12a1に支持されて固定される。具体的には、凹面鏡12bは、軸心Oに沿って円弧状に湾曲し、凹面鏡12bの左右方向の両端縁が中央部分に比べ、平面鏡12cから離れるように、支持体12aの一方面12a1に支持されて固定される。
平面鏡12cは、凹面鏡12bに対して反対側に面するように、支持体に配置される。平面鏡12cは、平鏡面12c1が支持体12aの反対側を向くように、支持体12aと重なるように配置され、支持体12aの他方面12a2に支持されて固定される。
また、平面鏡12cには、移動体の後方から入射した光を反射することで、移動体後方の対象物を映し出すための平鏡面12c1が形成されている。平面鏡12cが第1筐体11の開口11b側に面している場合(第2モード)、つまり平鏡面12c1が運転者側に向いている場合、平面鏡12cは、移動体後方から入射した光を運転者に向けて反射する。平鏡面12c1は、第2モードにて移動体に入射する光の後方像を表示する。
回転軸12dは、移動体の進行方向に対する左右方向に沿って配置され、凹面鏡12b及び平面鏡12cを第1筐体11の内部で回転可能に軸支される。つまり、回転軸12dは、支持体の左右方向の両端面に形成され、当該両端面から突出する。本実施の形態では、回転軸12dの軸方向は、凹鏡面12b1の左右方向と略平行である。
このような光学体12は、回転動作によって、光学体12の姿勢が第1状態と第2状態とに切替えられる。言い換えれば、第1モードと第2モードとに切替られる。
第1状態は、第1モードが実行される際に、光学体12の凹面鏡12bが第1筐体11の開口11b側に面している状態、つまり運転者側に向いている状態である。第1状態は、光学体12の姿勢(第1姿勢)ともいえる。第1状態では、凹鏡面12b1に表示デバイス20の表示面21aから出射した画像光が直接的又は間接的に入射し、入射した画像光を運転者の目に向けて反射する。
第2状態は、第2モードが実行される際に、光学体12の平面鏡12cが第1筐体11の開口11b側に面している状態、つまり運転者側に向いている状態である。第2状態は、光学体12の姿勢(第2姿勢)ともいえる。第2状態では、平鏡面12c1に移動体後方側からの光が入射し、入射した光を運転者の目に向けて反射する。
つまり、図5A及び図5Bに示すように、第1モードの機能時の凹鏡面12b1の中心での法線方向H1と、第2モードの機能時における平鏡面12c1の法線方向H2は、互いに非平行となる。具体的には、光学体12は、第1モードにおける凹鏡面12b1の中心での法線方向H1と水平方向との角度θ1が、第2状態における平鏡面12c1の法線方向H2と水平方向との角度θ2と異なるように構成される。また、第1状態における画像光が凹鏡面12b1に入射する方向と凹鏡面12b1で反射して運転者に向かう方向との角度は、第2状態における移動体後方からの光が平鏡面12c1に入射する方向と平鏡面12c1で反射して運転者に向かう方向との角度よりも大きい。
また、光学体12は、移動体の上下方向から見て楔状である。具体的には、移動体の進行方向に対する左右方向において、一方側の端部における平面鏡12cと凹面鏡12bとの間隔は、他方側の端部における平面鏡12cと凹面鏡12bとの間隔よりも小さい。図7Aに示すように、光学体12を上方から見て、左右方向における一方側の端縁の長さD2は、他方側の端縁の長さD4よりも短い。また、光学体12を下方から見て、左右方向における一方側の端縁の長さD1は、他方側の端縁の長さD3よりも短い。
図5A及び図5Bに示すように、透光カバー16は、光学体12よりも運転者側であり、第1筐体11の開口11bを塞ぐように、第1筐体11に保持される。透光カバー16は、例えば可視光を透過する樹脂で構成される。
なお、平面鏡12cは、防眩機能を備えていてもよい。この場合、例えば平面鏡12cが第1筐体11の開口11b側に面している場合(第2モード)に、運転者が後続車のヘッドライトの反射を眩しいと感じたとき、レバー部15aを回動する操作によって第1筐体11の傾きが変更される。これにより、平面鏡12cは防眩ミラーとして機能する。
ここで、凹面鏡12bが第1筐体11の開口11b側に面している場合(第1モード)は、撮像部31が撮像した後方像の明るさに応じて、例えば表示制御部22が光源部23を制御して自動的に防眩機能を実現する。そのため、第2モードから第1モードに切り替える際には、レバー部15aにより第1筐体11の傾きが変更されていても、第1モードに切り替える動作に連動して、第1筐体11の傾きが元に戻るように構成されている。これにより、第1モードにおける凹面鏡12bの角度は、レバー部15aの操作状態にかかわらず一定となり、運転者は後方の虚像表示を視認することができる。
なお、ここでは第1筐体11の開口11bに透光カバー16が備えられる構成について説明したが、透光カバー16が、例えば液晶により反射率を可変できる構成としてもよい。この場合、第2モードの状態で、表示制御部22は、撮像部31が撮像した後方画像の明るさに応じて、液晶の反射率を制御する。このような構成により、第2モードは自動防眩機能を備えるようにしてもよい。これにより、第2モードでの防眩機能が自動的に実現できる。また、この構成においても、第2モードから第1モードに切り替えられる際には、表示制御部22は、液晶の反射率制御がオフになるように制御する。
図1A~図6Bに示すように、駆動制御部17は、駆動部18を制御することで、複数の動作モードを実行する。本実施の形態では、駆動制御部17は、複数の動作モードとして、第1モード及び第2モードのうち、所望のモードを実行することができる。
例えば、駆動制御部17は、駆動部18を制御することで、第1モードと第2モードとを切り替える。具体的には、駆動制御部17は、光学体12を第1状態から第2状態に切り替える制御指示(以下、第1制御指示ということがある)を入力操作部32から取得すると、駆動部18を介して光学体12の回動を制御することで、平面鏡12cの平鏡面12c1が運転者側に向くように、光学体12を回動させる。つまり、駆動制御部17は、第1モードから第2モードに切り替える。これにより、平面鏡12cの平鏡面12c1が運転者側に向く。
また、駆動制御部17は、光学体12を第2状態から第1状態に切り替える制御指示(以下、第2制御指示ということがある)を入力操作部32から取得すると、駆動部18を介して光学体12の回動を制御することで、凹面鏡12bの凹鏡面12b1が運転者側に向くように、光学体12を回動させる。つまり、駆動制御部17は、第2モードから第1モードに切り替える。これにより、凹面鏡12bの凹鏡面12b1が運転者側に向く。
なお、駆動制御部17は、表示デバイス20の表示面21aが故障した場合、光学体12を第2状態から第1状態に切り替える制御指示を出力しなくてもよい。この場合、駆動制御部17は、光学体12が第1状態であれば、第2状態に切り替えてもよい。また、駆動制御部17は、表示デバイス20から故障信号を取得することで、実現してもよい。
駆動部18は、光学体12を回動させるアクチュエータである。駆動部18は、駆動制御部17から取得した制御指示に応じて、光学体12を第1状態と第2状態とに切り替えることで、光学体12の回動を制御する。駆動部18は、第1制御指示を取得すると、光学体12を軸心O周りに回転させて、光学体12を第1状態から第2状態に切り替える。また、駆動部18は、第2制御指示を取得すると、光学体12を軸心O周りに回転させて、光学体12を第2状態から第1状態に切り替える。
[入力操作部32]
入力操作部32は、第1モード又は第2モードを実行するための、運転者による入力操作を受け付ける入力インターフェイスである。入力操作部32は、運転者の操作によって入力された操作に応じた制御指示を駆動制御部17に出力する。入力操作部32は、例えば、センターコンソールに設けた専用スイッチであってもよい。
<処理>
図8は、実施の形態1に係る表示システム1のルームミラー10の処理を例示したフローチャートである。
まず、図8に示すように、入力操作部32は、運転者による、第1モード又は第2モードを実行するための入力操作を受け付ける。入力操作部32は、入力操作に応じた制御指示を駆動制御部17に出力する(S11)。
次に、駆動制御部17は、第1モードを実行する制御指示を取得したか否かを判定する(S12)。
駆動制御部17は、第1モードを実行する制御指示を取得した場合(S12でYES)、第1モードを実行する(S13)。例えば、第2モードが実行されていれば、駆動制御部17は、第2モードから第1モードに切り替える。具体的には、駆動制御部17は、光学体12を第2状態から第1状態に切り替える制御指示を入力操作部32から取得すると、駆動部18を制御して、光学体12を回動させる。駆動部18は、駆動制御部17から当該指示を取得すると、凹面鏡12bの凹鏡面12b1が運転者側に向くように、光学体12を約180°回動させる。これにより、光学体12は、凹面鏡12bの凹鏡面12b1が運転者側に向くようになる。そして、表示システム1は、処理を終了する。
駆動制御部17は、第2モードを実行する制御指示を取得した場合(S12でNO)、第2モードを実行する(S14)。例えば、第1モードが実行されていれば、駆動制御部17は、第1モードから第2モードに切り替える。具体的には、駆動制御部17は、光学体12を第1状態から第2状態に切り替える制御指示を入力操作部32から取得すると、駆動部18を制御して、光学体12を回動させる。駆動部18は、駆動制御部17から当該指示を取得すると、平面鏡12cの平鏡面12c1が運転者側に向くように、光学体12を約180°回動させる。これにより、光学体12は、平面鏡12cの平鏡面12c1が運転者側に向くようになる。そして、表示システム1は、処理を終了する。
<実施例>
図6Cは、実施の形態1の実施例に係る表示システム1を示し、上方からルームミラー10を見た場合を例示した断面図である。図6Dは、実施の形態1の実施例に係る表示システム1を示し、上方からルームミラー10を見た場合を例示した断面図である。図7Bは、実施の形態1の実施例に係る表示システム1の光学体12を例示した斜視図である。
本実施例では、運転者に近い側(図6C及び図6Dでは右側)の光学体12の端部における平面鏡12cと凹面鏡12bとの間隔は、運転者に遠い側(図6C及び図6Dでは左側)の端部における平面鏡12cと凹面鏡12bとの間隔よりも小さくてもよい。図7Bに示すように、光学体12を上方から見て、左右方向における右側の端縁の長さD2は、左側の端縁の長さD4よりも短くてもよい。また、光学体12を下方から見て、左右方向における右側の端縁の長さD1は、左側の端縁の長さD3よりも短くてもよい。この場合、右側の第1筐体11の前後方向の長さL2を、左側の第1筐体11の長さL1よりも短くできる。
<作用効果>
本実施の形態における表示システム1の作用効果について説明する。
本実施の形態における表示システム1において、移動体に搭載される表示デバイス20(表示部)と、第1モードにて表示デバイス20が出射した画像光によって示される表示像を虚像表示するための凹面鏡12bと、第2モードにて移動体に入射する後方像を反射するための平面鏡12cとを備え、移動体を上面視した場合、表示デバイス20の中心と凹面鏡12bの中心とを結ぶ直線が、移動体の前後方向に対して所定の角度δを有するように表示デバイス20及び凹面鏡12bが配置され、第1モードの機能時における凹面鏡12bの凹鏡面の中心での法線方向と、第2モードの機能時における平面鏡12cの平鏡面の法線方向とは、互いに非平行である。
これによれば、表示デバイス20と凹面鏡12bとを結ぶ直線が移動体の前後方向と一致しないように、所定の角度δだけ移動体前後方向に対して傾けることになる。したがって、後続車のヘッドライト等の外光が凹面鏡12bに入射しても、運転者の目の方向への反射を抑制できるので、外光が凹面鏡12bで反射して運転者の視界に入る可能性を抑制することができる。
さらに、第1モードにおける凹鏡面12bの中心での法線方向と、第2モードにおける平鏡面12cの法線方向とが非平行となる。このため、例えば凹鏡面12bに画像光が入射して反射する反射方向と、平鏡面12cに光が入射して反射する反射方向とが運転者に至るように、凹面鏡12b及び平面鏡12cを配置することができる。このため、第1モードと第2モードとの間でモードを切り替えたときに、凹面鏡12b及び平面鏡12cの水平方向における位置調節量を小さくすることができる。
したがって、外光が運転者に向けて反射されてしまうことを抑制することができ、かつ、容易に凹面鏡12bと平面鏡12cとの切り替えを行うことができる。特に、この表示システム1では、画像光と外部からの光とによる表示態様を容易に調節することができる。
図9A及び図9Bは、表示システム1を上方から見た場合を示す。また、図7A及び図7Bは、表示システム1を上方から見た場合を示す。
図9Aは光学体及び運転者に対する表示デバイスの位置を示す図である。図9Bは、光学体及び運転者に対する表示デバイスの位置を示す別の図である。
図9Aでは、表示デバイスが出射する画像光の出射方向と移動体の進行方向が一致するように表示デバイスを配置している、つまり、光学体の中心と運転者の中心とを結ぶ直線の間に表示デバイスが配置されていない。一方、図9Bでは、光学体と運転者との間に表示デバイスが配置され、凹鏡面の法線方向と平鏡面の法線方向とが一致する。この構成では、第1モードと第2モードとの切り替えの都度、運転者が表示像及び後方像を見るためには、水平方向に対して光学体を位置調節しなければならない。
この理由は以下による。表示デバイスの出射した画像光を凹面鏡が運転者に向けて反射させるためには、光学体に設けられる凹鏡面の中心における法線方向と凹面鏡での反射方向との角度が小さくなる傾向にある。したがって、単に第1モードから第2モードに切り替えると、平鏡面の中心と運転者の中心とを結ぶ直線が平鏡面の中心の法線と略一致するため、平鏡面は、移動体後方からの光(後方像)を観察者に向けて反射し難くなる。
その結果、光学体に画像光が示す表示像、及び、移動体後方の光が示す後方像が、運転者にとって適切に映って見え難くなる。このため、運転者は、表示像又は後方像が見えるように光学体を操作して、光学体の細かな位置調節をする必要がある。
そこで、本実施の形態における表示システム1では、表示デバイス20と、第1モードにて表示デバイス20が出射した画像光によって示される表示像を虚像表示するための凹面鏡12bと、第2モードにて移動体に入射する後方像を反射するための平面鏡12cとを備える。そして、移動体の前後方向に対して表示デバイス20は、少なくとも凹面鏡12bよりも運転者側に配置され、第1モードの機能時における凹面鏡12bの凹鏡面12b1の中心での法線方向H1と、第2モードの機能時における平面鏡12cの平鏡面12c1の法線方向H2は、互いに非平行である。
これによれば、第1モードにおける凹鏡面12b1の中心での法線方向H1と、第2モードにおける平鏡面12c1の法線方向H2とが非平行となる。このため、例えば凹鏡面12b1に画像光が入射して反射する反射方向と、平鏡面12c1に光が入射して反射する反射方向とが運転者に至るように、凹面鏡12b及び平面鏡12cを配置することができる。このため、第1モードと第2モードとを切り替えたときに、表示システム1の水平方向における位置調節量を小さくすることができる。
したがって、画像光と外部からの光とによる表示態様を容易に調節することができる。
また、本実施の形態における表示システム1において、所定の角度δは、移動体を上面視した場合、凹面鏡12bを視認する移動体の乗員(運転者)の目の間隔(2X)と、目と目の間の中点と凹面鏡12bの中心とを結ぶ直線の長さ(L)に基づいて得られる、当該直線に対する凹面鏡12bの中心と目とを結ぶ直線で示される角度である下限角度γから、凹面鏡12bの中心を通る移動体の進行方向に対する左右方向の直線に対する、凹面鏡12bの中心を通る移動体の前後方向の直線で示される角度である上限角度までの、間の角度である。
これによれば、上記所定の角度の範囲で、表示デバイス20と凹面鏡12bとを結ぶ直線を移動体の前後方向に対して傾けることで、外光が運転者の目の方向から逸れた方向に反射するため、外光が凹面鏡12bで反射して運転者の視界に入る可能性をさらに抑制することができる。
また、本実施の形態における表示システム1において、表示デバイス20の中心における接線と、凹面鏡12bの中心における接線とは、互いに平行である。
これによれば、表示デバイス20と凹面鏡12bとを結ぶ直線を移動体の前後方向に対し傾ける姿勢で表示デバイス20を配置しても、表示デバイス20と凹面鏡12bとの間の光路長が略等しくなるので、凹面鏡12bに映る映像であって、運転者が見ることができる映像の歪みを抑制することができる。
また、本実施の形態における表示システム1において、表示デバイス20は、移動体の前後方向と平行な凹面鏡12bの中心を通過する直線よりも移動体の運転者側に配置される。
これによれば、表示デバイス20と凹面鏡12b、及び、表示デバイス20と運転者を結ぶそれぞれの直線間の角度が小さくなるので、全体的に光路長の差が抑制され、画像歪を低減することができる。
また、本実施の形態における表示システム1において、凹面鏡12b及び平面鏡12cは、第1筐体11に収容され、第1筐体11は、凹面鏡12b及び平面鏡12cを内部で回転させる回転軸12dを有する。
これによれば、回転軸12dを回転させることで、凹面鏡12b及び平面鏡12cを回転させることができる。このため、回転軸12dを回転させるだけで、第1モードと第2モードとを容易に切り替えることができる。また、凹鏡面12b1に画像光が入射して反射する反射方向と、平鏡面12c1に光が入射して反射する反射方向とが運転者に至るように、凹鏡面12b1及び平面鏡12cを配置しておけば、いずれへの切り替えにおいても、回転軸12dの回転量を同量回転させるだけで、凹鏡面12b1による画像光と平鏡面12c1による光とを運転者に照射させることができる。
また、本実施の形態における表示システム1は、凹面鏡12b及び平面鏡12cを有する光学体12を備える。そして、平面鏡12cは、凹面鏡12bに対して反対側で、平鏡面12c1が外側に面するように配置され、光学体12は、移動体の上下方向から見て楔状である。
これによれば、平面鏡12cと凹面鏡12bとを表裏一体に配置することができるとともに、平面鏡12cの姿勢に対して凹面鏡12bの姿勢を水平面に沿って移動体の前後方向に傾けることができる。このため、第1モードと第2モードとを切り替えたときに、表示システム1の水平方向における位置調節量を小さくすることができる。
また、本実施の形態における表示システム1において、移動体の進行方向に対する左右方向の運転者に近い側の光学体12の端部における平面鏡12cと凹面鏡12bとの間隔は、移動体の進行方向に対する左右方向の運転者に遠い側の端部における平面鏡12cと凹面鏡12bとの間隔よりも小さい。
これによれば、光学体12を運転者に対して斜め前側に配置する場合、運転者側の光学体12の端部の間隔を反対側の光学体12の間隔よりも小さくすれば、図6A及び図6Bに示すように、第1筐体11の右側(運転者側)の長さL1を、第1筐体11の左側(運転者から遠い側)の長さL2よりも小さくすることができる。このため、表示システム1を配置する移動体のコンソールの領域を有効に活用することができる。
(実施の形態1の変形例1)
本変形例の表示システム1について説明する。
図10Aは、実施の形態1の変形例1に係る表示システム1の光学体112aを例示した斜視図である。
図10Aに示すように、本変形例では、光学体112aを左右方向から見て楔状である点で実施の形態1と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
光学体112aを上方から見て、左右方向における一方側の端縁の長さD2は、他方側の端縁の長さD4と略同一である。また、光学体112aを下方から見て、左右方向における一方側の端縁の長さD1は、他方側の端縁の長さD3と略同一である。長さD2、D4は、長さD1、D3よりも長い。つまり、光学体112aは、移動体の進行方向に対する左右方向から見て楔状である。
このように、本変形例における表示システム1において、凹面鏡12b及び平面鏡12cを有する光学体112aを備え、平面鏡12cは、凹面鏡12bに対して反対側に面するように配置され、凹面鏡12b及び平面鏡12cは、移動体の進行方向に対する左右方向から見て楔状である。
これによれば、平面鏡12cと凹面鏡12bとを表裏一体に配置することができるとともに、平面鏡12cの姿勢に対して凹面鏡12bの姿勢を平鏡面12c1の鉛直面に沿って移動体の前後方向に傾けることができる。このため、第1モードと第2モードとを切り替えたときに、表示システム1の水平方向における位置調節量を小さくすることができる。
本変形例においても上述と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態1の変形例2)
本変形例の表示システム1について説明する。
図10Bは、実施の形態1の変形例2に係る表示システム1の光学体112bを例示した斜視図である。
図10Bに示すように、本変形例では、光学体112bを上下方向及び左右方向から見て楔状である点で実施の形態1と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
光学体112bを上方から見て、左右方向における一方側の端縁の長さD2は、他方側の端縁の長さD4よりも短い。また、光学体112bを下方から見て、左右方向における一方側の端縁の長さD1は、他方側の端縁の長さD3よりも短い。つまり、光学体112bは、移動体の上下方向から見て楔状である。
また、光学体112bを左右方向における一方側から見て上端縁の長さD2は、下端縁の長さD1よりも長い。また、光学体112bを左右方向における他方側から見て上端縁の長さD4は、下端縁の長さD3よりも長い。つまり、光学体112bは、移動体の進行方向に対する左右方向から見ても楔状である。
本変形例においても上述と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態1の変形例3)
本変形例の表示システム1について説明する。
図10Cは、実施の形態1の変形例3に係る表示システム1の光学体112cを例示した斜視図である。
図10Cに示すように、本変形例では、凹面鏡、平面鏡及び支持体が一体的な1つの光学体112cである点で実施の形態1と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
光学体112cは、一方面に形成される凹鏡面12b1と、凹鏡面12b1の反対側の面であり、他方面に形成される平鏡面12c1とを有する。凹鏡面12b1及び平鏡面12c1は、例えば、研磨されることで鏡面反射する。つまり、凹鏡面12b1を構成する部材と平鏡面12c1を構成する部材とが同一体であり、分離可能な別々の部材ではない。
本変形例においても上述と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態1の変形例4)
本変形例の表示システム1について説明する。
図11Aは、実施の形態1の変形例4に係る表示システム1を示し、上方からルームミラー10aを見た場合に、第1モードとして光学体12を第1状態にし、画像光をルームミラー10aに入射させて反射させる様子を例示した断面図である。図11Bは、実施の形態1の変形例4に係る表示システム1を示し、上方からルームミラー10aを見た場合に、第2モードとして光学体12を第2状態にし、移動体後方の光をルームミラー10aに入射させて反射させる様子を例示した断面図である。
図11A及び図11Bに示すように、本変形例では、凹鏡面12b1の中心の法線と直交する平面及び平鏡面12c1に対して回転軸12dの軸心Oが非平行である点で実施の形態1と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
光学体12は、上下方向及び左右方向から見て方形状である。具体的には、凹面鏡12b及び平面鏡12cは、平鏡面12c1の法線方向Hと、凹鏡面12b1の中心での法線方向Hとが平行である。本実施の形態では、凹面鏡12b及び平面鏡12cは、平鏡面12c1の法線方向Hと凹鏡面12b1の中心での法線方向Hとが平行となる姿勢で支持体12aに支持される。
また、平面鏡12cの平鏡面12c1と回転軸12dの軸方向とは、非平行である。また、凹鏡面12b1の中心での法線方向Hと直行する平面と、回転軸12dの軸方向とも非平行である。つまり、回転軸12dの軸方向は、凹鏡面12b1の中心での法線方向Hと直行する平面、及び、平鏡面12c1に対して傾いている。
このように、本実施の形態における表示システム1において、平面鏡12cは、凹面鏡12bに対して反対側に面するように配置され、凹面鏡12b及び平面鏡12cは、平鏡面12c1の法線方向Hと、凹鏡面12b1の中心での法線方向Hとが平行であり、平面鏡12cの平鏡面12c1と回転軸12dの軸方向とが非平行となる。
これによれば、平面鏡12cの中心での法線方向Hと凹面鏡12bの法線方向Hとが平行であれば、光学体12を製造し易くなるため、光学体12の製造コストが高騰化し難くなる。また、平面鏡12cの平鏡面12c1と回転軸12dの軸方向とを非平行にするだけで、第1モードの機能時の凹面鏡12bの中心での法線方向Hと、第2モードの機能時における平面鏡12cの法線方向Hとを、容易に非平行にすることができる。このため、表示システム1の水平方向における位置調節量を小さくすることができる。
本変形例においても上述と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態2)
<構成:表示システム1a>
本実施の形態の表示システム1aについて説明する。
図12は、実施の形態2に係る表示システム1aを例示した斜視図である。図13は、実施の形態2に係る表示システム1aの平面鏡212cが解除状態の様子を例示した断面図である。図14は、実施の形態2に係る表示システム1aの平面鏡212cが遮蔽状態の様子を例示した断面図である。
図12~図14に示すように、本実施の形態では、平面鏡212cが解除状態と遮蔽状態とのいずれかに切り替わる点で実施の形態1と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。平面鏡212cが解除状態は、第1モードに対応し、平面鏡212cが遮蔽状態は、第2モードに対応する。
表示システム1aは、第2筐体211と、表示デバイス20と、中間反射部材225と、凹面鏡212bと、平面鏡212cと、ハーフミラー216とを備える。
第2筐体211は、例えば合成樹脂の成型品等で構成される収容体である。第2筐体211は、内部に収容空間11aを形成し、運転者側が開口した左右方向に長尺な直方体状に形成される。第2筐体211は、移動体の進行方向に対する左右方向における寸法が、上下方向における寸法及び前後方向における寸法よりもそれぞれ大きくなるように形成される。第2筐体211は、表示デバイス20、凹面鏡212b、平面鏡212c及びハーフミラー216を収容する。
第2筐体211は、平面鏡212cを収容空間11aに収容した状態で、収容空間11a内で回動可能に保持する。具体的には、第2筐体211の左右方向の両側の側壁は、平面鏡212cを回動可能に保持する。第2筐体211は、平面鏡212cによる開口11bの遮蔽状態及び解除状態のいずれの状態でも、平面鏡212cを保持する保持構造を有する。
第2筐体211には、平面鏡212cの第1突起212e1及び第2突起212e2がそれぞれ挿入される複数のガイド溝が形成される。複数のガイド溝は、平面鏡212cの第1突起212e1が挿入される第1ガイド溝211eと、平面鏡212cの第2突起212e2が挿入される第2ガイド溝211dとを含む。第1ガイド溝211eは、第2筐体211の内側面に前後方向に沿って形成される。第2ガイド溝211dは、第2筐体211の内側面に、上下方向に沿って形成される。そして、第1ガイド溝211e及び第2ガイド溝211dの内部で第1突起212e1及び第2突起212e2の位置が変化(スライド)することによって、平面鏡212cの状態を解除状態と遮蔽状態とのいずれかに切り替わる。
また、第2筐体211は、凹面鏡212bと平面鏡212cとの間にハーフミラー216を保持する。具体的には、第2筐体211は、中間反射部材225及びハーフミラー216を収容空間11aに収容した状態で、収容空間11a内での平面鏡212cの回動を阻害しない位置にハーフミラー216を保持している。ハーフミラー216の詳細は後述する。
表示デバイス20は、第2筐体211内の上面に固定され、上方向から見て、中間反射部材225と重なり、かつ、第2筐体211の開口11bと凹面鏡212bとの間に配置される。つまり、表示デバイス20は、表示面21aが中間反射部材225と対向するように、中間反射部材225の上方に配置されて第2筐体211に固定される。表示デバイス20は、表示面21aに表示された画像を形成する画像光を出射する。表示デバイス20の表示面21aから出射した画像光は、中間反射部材225に入射して反射し、さらにハーフミラー216に入射して反射し、さらに凹面鏡212bに入射して反射した後に、ハーフミラー216を透過して第2筐体211の外部に出射することで、運転者の目に入射する。
中間反射部材225は、例えば平面鏡212cであり、第2筐体211の下側に、反射面225aを上側に向けた状態で配置されている。中間反射部材225は、表示デバイス20の下方に配置され、表示デバイス20が出射した画像光をハーフミラー216に反射する。
凹面鏡212bは、凹鏡面212b1が第2筐体211の開口11b側を向くように、第2筐体211の収容空間11aに収容されて固定される、湾曲した板状の鏡である。本実施の形態では、凹面鏡212bは、第2筐体211の底部に配置される。
平面鏡212cは、可動式であり、第1モード時に第2筐体211に収容される。つまり、平面鏡212cは、第2筐体211の開口11bを覆うように、第2筐体211に収容されて固定される、平板状の鏡である。移動体の上下方向から見て、平面鏡212cは、凹面鏡212bと運転者との間に配置される。
また、平面鏡212cは、第2筐体211の開口11bを遮蔽状態にしたり、解除状態にしたりすることが可能に、第2筐体211に保持される。遮蔽状態は、表示デバイス20の画像光が第2筐体211の外部に出射することを遮蔽する状態であり、第2筐体211に入射する光を運転者の目に向けて反射する状態である。遮蔽状態では、移動体後方の光が平面鏡212cで反射された後に運転者の目に入射するため、運転者は、光が示す後方像を視認することができる。
解除状態は、画像光が第2筐体211の外部への出射を解除した状態(遮蔽状態を解除した状態)であり、表示デバイス20の画像光が第2筐体211の外部に出射する状態である。解除状態では、表示デバイス20の表示面21aから出力された画像光が凹面鏡212bで反射された後に運転者の目に入射するため、運転者は、画像光が示す表示像を視認することができる。
また、表示システム1aを左右方向から見た場合に、平面鏡212cが遮蔽状態となる第2モード時における平面鏡212cの平鏡面212c1の法線方向H1は、平面鏡212cが解除状態となる第1モード時における凹面鏡212bが反射する光の光軸方向よりも10°以上傾いている。つまり、図14に示すように、法線方向H1と光軸方向との角度γは、10°以上である。これにより、平面鏡212cに移動体の後方に存在する対象物、例えば天井部分4が映りこむことを抑制することができる。
なお、平面鏡212cは、液晶パネルで構成されていてもよい。この場合、液晶パネルは表示制御部22によって制御されることで、入射する光の透過率を可変させる。例えば、平面鏡212cは、光を反射する反射モードと、画像光を透過する透過モードとを実行してもよい。平面鏡212cにおける光の透過率は、印加電圧に応じて変化する。すなわち、平面鏡212cは、印加電圧に応じて、光の一部を遮蔽する遮蔽状態と、光の遮蔽を解除する解除状態とのうち、いずれか一方の状態を取り得る。遮蔽状態は、液晶ミラーでの可視光の透過率が比較的小さい状態である。解除状態は、液晶ミラーでの可視光の透過率が比較的大きい状態である。このような構成とすることで、平面鏡212cは図14の位置に固定しておけばよくなるため、平面鏡212cを回動可能に保持する必要がなくなる。したがって、回動させるための構造が不要となる。
ハーフミラー216は、第2筐体211内に凹面鏡212bと平面鏡212cの間に配置される、平板状の部材である。具体的には、ハーフミラー216は、内側面が凹面鏡212bの凹鏡面12b1と対向し、かつ、内側面と反対側の外側面が、遮蔽状態のときに平面鏡212cと対向するように、第2筐体211内に配置されて固定される。ハーフミラー216は、ハーフミラー216の下端が上端よりも後方に飛び出るように、上下方向に対して斜めに配置される。なお、本実施の形態では、表示デバイス20からの画像光を反射する反射面である内側面が平面であるが、内側面は自由曲面のような曲面でもよい。ハーフミラー216の内側面を自由曲面とすることで、反射面に形成される画像の歪みを低減したり、像面の湾曲を低減したり、解像度を向上させたりすることができる。
ハーフミラー216は、画像光等の光の一部を透過する光透過性と、当該光の別の一部を反射する光反射性との機能を有する。ハーフミラー216は、光の透過率と反射率とが数十%である平板状のビームスプリッタで構成される。
なお、本実施の形態においても、平面鏡212cは防眩機能を備えていてもよい。この場合、実施の形態1で述べたレバー部15aを設けて、レバー部15aを操作することにより、第2筐体211の傾きが変更されるようにすればよい。
<作用効果>
本実施の形態における表示システム1aの作用効果について説明する。
このように、本実施の形態における表示システム1aにおいて、平面鏡212cと凹面鏡212bとは、第2筐体211に収容され、移動体の上下方向から見て、凹面鏡212bと運転者との間に平面鏡212cが配置される。
これによれば、平面鏡212cを運転者側に配置し、凹面鏡212bを平面鏡212cよりも奥側に配置することができる。このため、光が平面鏡212cの平鏡面212c1の全域に入射することができるため、第2筐体211によって平鏡面212c1に影ができ難い。
また、本実施の形態における表示システム1aにおいて、平面鏡212cは、第2筐体211に固定され、光の透過率を可変させる。
これによれば、平面鏡212cの光の透過率を可変することができるため、例えば、夜間に後続移動体のヘッドライト等の眩しい光が入射した場合でも、運転者が感じる眩しさを抑制することができる。
また、本実施の形態における表示システム1aにおいて、第2モード時における平面鏡212cの法線方向H1は、第1モード時における凹面鏡212bが反射する光の光軸方向よりも10°以上傾く。
これによれば、平面鏡212cの法線方向を凹面鏡212bが反射する光の光軸方向よりも10°以上傾かせることができる。このため、移動体の後方に存在する対象物(後方像)の映り込みを抑制することができる。
また、本実施の形態における表示システム1aにおいて、平面鏡212cは、可動式であり、第1モード時に第2筐体211に収容される。
これによれば、平面鏡212cを可動させることができるため、第2モードと第1モードとを容易に切り替えることができる。
(実施の形態2の変形例)
本実施の形態の表示システム1bについて説明する。
図15は、実施の形態2の変形例に係る表示システム1bの平面鏡232cが解除状態の様子を例示した断面図である。図16は、実施の形態2の変形例に係る表示システム1bの平面鏡232cが遮蔽状態の様子を例示した断面図である。
図15及び図16に示すように、本変形例では、解除状態で平面鏡232cが第2筐体231の下方に配置される点で実施の形態2と相違する。また、本変形例では、中間反射部材が第2筐体231に設けられていない点で実施の形態2と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態2等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
第2筐体211には、平面鏡212cの第1突起212e1及び第2突起212e2がそれぞれ挿入される複数のガイド溝が形成される。複数のガイド溝は、平面鏡212cの第1突起212e1が挿入される第1ガイド溝211eと、平面鏡212cの第2突起212e2が挿入される第2ガイド溝211dとを含む。
複数のガイド溝は、平面鏡232cの第1突起212e1が挿入される第1ガイド溝231eと、平面鏡232cの第2突起212e2が挿入される第2ガイド溝231dとを含む。第1ガイド溝231e及び第2ガイド溝231dの内部で第1突起212e1及び第2突起212e2の位置が変化することによって、平面鏡212cの状態を解除状態と遮蔽状態とのいずれかに切り替える。
平面鏡232cは、可動式であり、第1モード時に第2筐体231に収容される。つまり、平面鏡232cは、第2筐体231の開口11bを覆うように、第2筐体211に収容されて固定される、平板状の鏡である。平面鏡232cは、第2筐体231の開口11bを遮蔽状態にしたり、解除状態にしたりすることが可能に、第2筐体231に保持される。
表示デバイス20は、第2筐体231内の上面に固定され、上方向から見て、ハーフミラー216と重なり、かつ、第2筐体231の開口11bと凹面鏡212bとの間に配置される。つまり、表示デバイス20は、表示面21aがハーフミラー216と対向するように、ハーフミラー216の上方に配置されて第2筐体231に固定される。
表示デバイス20の表示面21aから出射した画像光は、ハーフミラー216に入射して反射し、さらに凹面鏡212bに入射して反射した後に、ハーフミラー216を透過して第2筐体231の外部に出射することで、運転者の目に入射する。
本変形例のハーフミラー216は、表示デバイス20の表示面21aからの画像光の入射方向、及び、凹鏡面212b1からの画像光の入射方向に対して、内側面(凹面鏡212b側の面)の法線方向がそれぞれ斜めに交差するように配置される。また、ハーフミラー216は、凹面鏡212bの凹鏡面212b1の中心での法線方向と直行する平面に対して、ハーフミラー216の下端が上端よりも前方に飛び出るように、上下方向に対して斜めに配置される。
本変形例においても上述と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態3)
<構成:表示システム1c>
本実施の形態の表示システム1cについて説明する。
図17は、実施の形態3に係る表示システム1cを示し、平面鏡312cの状態を遮蔽状態にしたときに上方からルームミラー10を見た場合を例示した断面図である。
図17に示すように、本実施の形態では、平面鏡312cがフレネル反射面312c1を有している。この点が実施の形態2と相違する。本実施の形態における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態2及びその変形例と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
回動する平面鏡312cは、フレネル反射面312c1を有する。つまり、平鏡面は、1以上のフレネル反射面312c1で構成される。本実施の形態のフレネル反射面312c1は、上下方向から平面鏡312cを見て、のこぎり歯状の上下方向に沿った複数の溝である。フレネル反射面312c1は、平面鏡312cに形成される上下方向に長尺な帯状の平面である。
凹鏡面212b1の中心での法線方向H1と前後方向との角度αは、フレネル反射面312c1の法線方向H2と前後方向との角度βよりも大きい。特に、凹鏡面212b1の中心での法線方向H1と前後方向との角度αは、フレネル反射面312c1の法線方向H2と前後方向との角度の2倍であることが好ましい。
<作用効果>
本実施の形態における表示システム1cの作用効果について説明する。
このように、実施の形態における表示システム1cにおいて、平面鏡312cは、フレネル反射面312c1を有する。
これによれば、平面鏡312cが移動体の後方から入射する光を配光制御して反射することができる。このため、単一面である平鏡面の中心における平鏡面の規定方向の接線と、凹鏡面の中心における凹鏡面の規定方向の接線とが非平行になるように配置される構成に比べて、表示システム1cの大型化を抑制することができる。
本実施の形態においても上述と同様の作用効果を奏する。
なお、実施の形態1の表示システム1であっても、平面鏡12cがフレネル反射面を有する構成としてもよい。この場合も、上記と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態3の変形例)
<構成:表示システム1d>
本変形例の表示システム1dについて説明する。
図18は、実施の形態3の変形例に係る表示システム1dを示し、平面鏡332cの状態を遮蔽状態にしたときに上方からルームミラー10を見た場合を例示した断面図である。
図18に示すように、本変形例では、実施の形態3の平面鏡312cがフレネル反射面312c1を有することが無く、替わりに、平面鏡332cの姿勢を調節することができる点で実施の形態3と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態3と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
回動する平面鏡332cは、凹面鏡212bに対する姿勢を調節する姿勢調節部333を有する。平面鏡332cは、枠体(図示せず)に設けた姿勢調節部333を介して取り付けられる。そして、枠体には、第1突起212e1及び第2突起212e2が設けられ、これらがそれぞれ第1ガイド溝211eと第2ガイド溝211dに挿入される。姿勢調節部333は、例えば、上下方向と略平行な方向を軸心Pとして、揺動可能に第2筐体311に設けられる回転軸及びヒンジである。したがって、姿勢調節部333は、凹鏡面212b1の中心での法線方向H1に対する平鏡面332c1の法線方向H2との角度を変化させるように、平面鏡332cを回動させることができる。具体的には、姿勢調節部333は、平鏡面332c1の法線方向H2と前後方向となす角度βが、凹鏡面212b1の中心での法線方向H1と前後方向となす角度αよりも小さい範囲で凹鏡面212b1を回動させる。
<作用効果>
本実施の形態における表示システム1dの作用効果について説明する。
また、本実施の形態における表示システム1dにおいて、平面鏡332cは、凹鏡面212b1に対する姿勢を調節する姿勢調節部333を有する。
これによれば、凹面鏡212bに対する平面鏡332cの姿勢を任意に調節することができるため、第2モードと第1モードとを切り替えた場合に、表示システム1dの調整自由度を増すことができる。
本変形例においても上述と同様の作用効果を奏する。
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態1~3、実施の形態1~3の変形例及び実施の形態1の変形例2~4に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態1~3、実施の形態1~3の変形例及び実施の形態1の変形例2~4等に限定されるものではない。
例えば、上記各実施の形態1~3、実施の形態1~3の変形例及び実施の形態1の変形例2~4に係る表示システムにおいて、図19に示すように、光学体112dを左右方向から見た場合に、光学体112dの形状はひし形状としてもよい。図19は、その他変形例に係る表示システムの光学体112dを例示した断面図である。光学体12の4つの面のうち、対称となる面には、一対の凹鏡面12b1及び一対の平鏡面12c1が形成されていてもよい。これにより、凹鏡面12b1と平鏡面12c1とを切り替える際に、回転角度を低減させることができる。なお、光学体112dは、4つの面のうち、3つの面に1以上の凹鏡面12b1及び1以上の平鏡面12c1が形成されていてもよい。また、光学体112dの形状はひし形状に限らず、台形状等の多角形状であってもよい。
また、上記各実施の形態1~3、実施の形態1~3の変形例及び実施の形態1の変形例2~4に係る表示システムに含まれる各処理部は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
なお、上記各実施の形態1~3、実施の形態1~3の変形例及び実施の形態1の変形例2~4において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態1~3、実施の形態1~3の変形例及び実施の形態1の変形例2~4は例示された数字に制限されない。
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
その他、実施の形態1~3、実施の形態1~3の変形例及び実施の形態1の変形例2~4に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態1~3、実施の形態1~3の変形例及び実施の形態1の変形例2~4における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。